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Title:
METHOD FOR PRODUCING HYDROXYLATED ADAMANTANE USING CYTOCHROME P450
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/041470
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for producing a hydroxylated form of a compound having an adamantane skeleton, which is useful as an intermediate for functional resins and pharmaceutical products, with high yield and at low cost. Specifically, a hydroxylated form of a compound having an adamantane skeleton can be obtained by using cytochrome P450. More specifically, an N-(5-hydroxy-2-adamantyl)-benzamide derivative can be produced by hydroxylating an N-(2-adamantyl)-benzamide derivative.

Inventors:
TOMIKAWA TAIJIRO (JP)
MITSUDA YUUICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/067248
Publication Date:
April 02, 2009
Filing Date:
September 25, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SHIONOGI & CO (JP)
TOMIKAWA TAIJIRO (JP)
MITSUDA YUUICHI (JP)
International Classes:
C07C213/02; C12N15/53; C07C233/65; C07D231/20; C12N9/06; C12P13/02
Domestic Patent References:
WO2000044886A12000-08-03
WO2008053652A12008-05-08
WO2007114125A12007-10-11
WO2004056744A12004-07-08
WO2006132197A12006-12-14
WO2007058346A12007-05-24
WO1994000977A11994-01-20
WO1985000817A11985-02-28
Foreign References:
JP2006063061A2006-03-09
JPH0670780A1994-03-15
JP2007056538W2007-03-28
JP2007132259A2007-05-31
JPS58110600A1983-07-01
JPS63233798A1988-09-29
JPH0322979A1991-01-31
US4686191A1987-08-11
US4939094A1990-07-03
US5160735A1992-11-03
JPS63143942A1988-06-16
JPH0222705A1990-01-25
JPS63299A1988-01-05
JPS59140885A1984-08-13
JPS6070080A1985-04-20
JPS60251887A1985-12-12
JP2606856B21997-05-07
JP2517813B21996-07-24
JPH05336963A1993-12-21
JPH0623021A1994-02-01
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APPLIED MICROBIOLOGY AND BIOTECHNOLOGY, vol. 71, 2006, pages 455 - 462
Attorney, Agent or Firm:
TAKAYAMA, Hirotsugu et al. (Ltd. Intellectual Property Department 12-4, Sagisu 5-chome, Fukushima-ku, Osaka-sh, Osaka 02, JP)
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Claims:
チトクロームP450を用いて、N-(2-アダマンチル)―ベンズアミド誘導体を水酸化することを特徴とする、N-(5-ヒドロキシ-2-アダマンチル)-ベンズアミド誘導体の製造方法。
チトクロームP450が、配列番号:1若しくは3記載のアミノ酸配列からなるタンパク質又は該アミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ水酸化活性を有するタンパク質である、請求項1記載の製造方法。
チトクロームP450が、配列番号:1記載のアミノ酸配列において、I77F、L357P、A362T、F41L、I77W、M105I、T234A、F232I、F232L及びF232Mからなる群より選ばれる1若しくは数個の変異を持つアミノ酸配列からなるタンパク質、又は配列番号:3記載のアミノ酸配列において、I77F、I77W、M105I、A196D、F232I、F232L、F232M、T234A、T244A、V399E及びK702Eからなる群より選ばれる1若しくは数個の変異を持つアミノ酸配列からなるタンパク質である、請求項1記載の製造方法。
N-(2-アダマンチル)―ベンズアミド誘導体が、
式:

(式中、Rは水素又は親水性基である)
で示される化合物である、請求項1記載の製造方法。
N-(5-ヒドロキシ-2-アダマンチル)-ベンズアミド誘導体が、
式:

(式中、Rは水素又は親水性基である)
で示される化合物である、請求項1記載の製造方法。
請求項1~5いずれかに記載の製造方法によりN-(5-ヒドロキシ-2-アダマンチル)-ベンズアミド誘導体を得、
脱保護することを特徴とする、
式:

で示される化合物の製造方法。
N-(5-ヒドロキシ-2-アダマンチル)-ベンズアミド誘導体を単離しないことを特徴とする、請求項6記載の製造方法。
請求項6又は7いずれかに記載の製造方法により(I)で示される化合物を得、
式(II):A-R 1 -R 2 -R 3 -X
(式中、Aは置換されていてもよい環式炭化水素基又は置換されていてもよい複素環式基であり、R 1 は単結合、-C(=O)-、-O-又はNR 4 -であり、R 2 は単結合又は置換されていてもよいアルキレンであり、R 3 は単結合又はC(=O)-であり、Xは水酸基、ハロゲン又は水酸基から導かれる脱離基であり、R 4 は水素又は置換されていてもよいアルキルである)で示される化合物と反応させることを特徴とする、式(III):

で示される化合物の製造方法。
配列番号:1若しくは3記載のアミノ酸配列からなるタンパク質又は該アミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ水酸化活性を有するタンパク質を用いて、アダマンタン骨格を有する化合物のアダマンタン部分を水酸化する方法。
配列番号:1記載のアミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含有し、かつ水酸化活性を有するタンパク質。
配列番号:1記載のアミノ酸配列において、I77F、L357P、A362T、F41L、I77W、M105I、T234A、F232I、F232L及びF232Mからなる群より選ばれる1又は数個の変異を持つアミノ酸配列からなるタンパク質。
配列番号:3記載のアミノ酸配列からなるタンパク質又は該アミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含有し、かつ水酸化活性を有するタンパク質。
配列番号:3記載のアミノ酸配列において、I77F、I77W、M105I、A196D、F232I、F232L、F232M、T234A、T244A、V399E及びK702Eからなる群より選ばれる1又は数個の変異を持つアミノ酸配列からなるタンパク質。
式:

で示される化合物、その塩又はそれらの溶媒和物。
式:

(式中、Rは水素又は親水性基である)
で示される化合物、その塩又はそれらの溶媒和物。
Description:
チトクロームP450を用いたアダマ ンタン水酸化体の製造方法

 本発明は、チトクロームP450を用いた、ア ダマンタン水酸化体の製造方法に関する。

 アダマンタン水酸化体は、フォトリソグ フィー分野における感光性樹脂等の機能性 脂のモノマー(特許文献1)や、医薬品の分野 おける11ベータ-ヒドロキシステロイド デ ドロゲナーゼI型酵素(11βHSD1)の阻害剤(特許 献2、27ページ)として知られている。また、D PPIV阻害剤としても、アダマンチル基を有す 化合物が知られている。そしてこれらの化 物を合成する場合、アダマンタン水酸化体 一部の置換基を保護した化合物は、その反 性から合成中間体として有用である。

 微生物を用いたアダマンタン誘導体の水 化体の生産方法は以前から知られている。 えば、ボーベリア・スルフレッセンス(Beauve ria sulfurescens)の生体内変換を用いて、ベンズ アミドで保護されたアダマンタミン誘導体の 水酸化体を生産できる(非特許文献1)。他にも 、フタルイミドで保護されたアダマンタン誘 導体について、スポロトリカム・スルフレッ センス(Sporotrichum sulfurescens)の生体内変換に り、ジヒドロキシ体を生産できることが報 されている(非特許文献2)。

 チトクロームP450(以下、P450ともいう)は、 還元して一酸化炭素を結合させた時に450nm付 に特異的な吸収帯(ソーレー帯)を示すプロ ヘム含有タンパク質の総称である。P450は多 の動植物組織、カビ、酵母のミクロソーム 一部の動物組織のミトコンドリアの内膜に 合しているほか、ある種の細菌、カビでは 溶性の形で存在している。

 P450は様々な基質特異性を有し、多種多様 な有機化合物を基質とし得る非常に広い基質 特異性を示す酵素がある一方で、比較的限ら れた種類の有機化合物としか反応しない基質 特異性のかなり厳密な酵素も存在する。P450 、生理活性脂質であるコレステロール、ス ロイドホルモン、胆汁酸、活性型ビタミンD 生合成、ヘム、脂肪酸やエイコサノイドの 謝、そして薬物を含む外来化学物質の代謝 に関与している。P450の具体的な機能として は、該P450を発現する細胞の生体内異物(xenobio tic)の水酸化反応、エポキシ化反応、脱アル ル化反応、脱窒素反応等の様々な反応を触 することが知られている。

 微生物由来の、例えば、カビ又は細菌にお ては工業的に有用な物質の生産に役立つP450 の例が知られており、一部は実際に有用薬物 の工業生産に利用されている。代表的な例は 、放線菌ストレプトミセス カルボフィラス( Streptomyces carbophilus)によりコンパクチン(compac tin)の6β位を水酸化し、生成物として高脂血 の治療薬であるプラバスタチンを得るもの ある(非特許文献3、特許文献3)。放線菌シュ ドノカルジア オートトロフィカ(Pseudonocardi a autotrophica)を利用してビタミンD 3 の1α位と25位を水酸化して活性型ビタミンD 3 を生産する方法も実用化されている。

 アダマンタンの水酸化に関しては、非特 文献4に、シュードモナス プチダ(Pseudomonas putida)のP450である、P450cam によってアダマン タンが水酸化されることが記載されている。 また、非特許文献5には、470の微生物からア マンタンを水酸化する5つの微生物をスクリ ニングしたこと、その一つであるストレプ ミセス グリセオプラナス(Streptomyces griseopl anus)におけるアダマンタンの水酸化にはP450が 関与していることが示唆されている。

 しかし、いずれの文献にも、P450を用いたア ダマンタン骨格を有する化合物の水酸化、例 えば、P450を用いたN-(2-アダマンチル)―ベン アミド誘導体の水酸化について、記載も示 もされていない。

特開2006-63061号公報

国際公開第WO04/056744号パンフレット

特開平6-70780号公報 ジャーナル オブ オーガニック ケミス トリー (Journal of Organic Chemistry)、1992年、57 、p.7209‐7212 ザ ジャーナル オブ オーガニック ケ ストリー(The Journal of Organic Chemistry)、1968 、33巻、p.3201-3207 ジーン(Gene)、1995年、163巻、p.81-85 アーカイブス オブ バイオケミストリ  アンド バイオフィジックス(Archives of Bioc hemistry and Biophysics)、1984年、228巻、p.493-502 アプライド マイクロバイオロジー ア ド バイオテクノロジー(Applied Microbiology and  Biotechnology)、2006年、71巻、p.502‐504

 本発明の目的は、機能性樹脂や医薬品の 間体として有用であるモノヒドロキシ-2-ア マンタナミンの原料となるアダマンタン骨 を有する化合物の水酸化体(例えば、N-(5-ヒ ロキシ-2-アダマンチル)-ベンズアミド誘導 )のP450を用いた高収率かつ安定な製造方法を 提供することにある。

 本発明者らは、鋭意研究の結果、P450の一つ である、CYP109B1を用いて、アダマンタン骨格 有する化合物のアダマンタン部分を水酸化 る方法を見出した。詳しくは、N-(2-アダマ チル)-ベンズアミド誘導体から、N-(5-ヒドロ シ-2-アダマンチル)-ベンズアミド誘導体を 産することができることを初めて見出した またCYP109B1を改変することにより得られた、 CYP109B1変異体、109FK、109FK変異体を用いること により、N-(5-ヒドロキシ-2-アダマンチル)-ベ ズアミド誘導体の生産効率を上げることが きることを見出した。また、得られるN-(5-ヒ ドロキシ-2-アダマンチル)-ベンズアミド誘導 が、医薬品の中間体として好ましいAnti体100 %であることを見出した。
 すなわち、本発明は、以下に関する。
(1)チトクロームP450を用いて、N-(2-アダマンチ ル)―ベンズアミド誘導体を水酸化すること 特徴とする、N-(5-ヒドロキシ-2-アダマンチル )-ベンズアミド誘導体の製造方法。
(2)チトクロームP450が、配列番号:1若しくは3 載のアミノ酸配列からなるタンパク質又は アミノ酸配列において1若しくは数個のアミ 酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ 配列からなり、かつ水酸化活性を有するタ パク質である、(1)記載の製造方法。
(3)チトクロームP450が、配列番号:1記載のアミ ノ酸配列において、I77F、L357P、A362T、F41L、I77 W、M105I、T234A、F232I、F232L及びF232Mからなる群 り選ばれる1若しくは数個の変異を持つアミ ノ酸配列からなるタンパク質、又は配列番号 :3記載のアミノ酸配列において、I77F、I77W、M1 05I、A196D、F232I、F232L、F232M、T234A、T244A、V399E びK702Eからなる群より選ばれる1若しくは数 の変異を持つアミノ酸配列からなるタンパ 質である、(1)記載の製造方法。
(4)N-(2-アダマンチル)―ベンズアミド誘導体が 、
式:

(式中、Rは水素又は親水性基である)
で示される化合物である、(1)記載の製造方法 。
(5)N-(5-ヒドロキシ-2-アダマンチル)-ベンズア ド誘導体が、
式:

(式中、Rは水素又は親水性基である)
で示される化合物である、(1)記載の製造方法 。
(6)(1)~(5)いずれかに記載の製造方法によりN-(5- ヒドロキシ-2-アダマンチル)-ベンズアミド誘 体を得、
脱保護することを特徴とする、
式:

で示される化合物の製造方法。
(7)N-(5-ヒドロキシ-2-アダマンチル)-ベンズア ド誘導体を単離しないことを特徴とする、(6 )記載の製造方法。
(8)(6)又は(7)いずれかに記載の製造方法により (I)で示される化合物を得、
式(II):A-R 1 -R 2 -R 3 -X
(式中、Aは置換されていてもよい環式炭化水 基又は置換されていてもよい複素環式基で り、R 1 は単結合、-C(=O)-、-O-又はNR 4 -であり、R 2 は単結合又は置換されていてもよいアルキレ ンであり、R 3 は単結合又はC(=O)-であり、Xは水酸基、ハロ ン又は水酸基から導かれる脱離基であり、R 4 は水素又は置換されていてもよいアルキルで ある)で示される化合物と反応させることを 徴とする、式(III):

で示される化合物の製造方法。
(9)配列番号:1若しくは3記載のアミノ酸配列か らなるタンパク質又は該アミノ酸配列におい て1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若 くは付加されたアミノ酸配列からなり、か 水酸化活性を有するタンパク質を用いて、 ダマンタン骨格を有する化合物のアダマン ン部分を水酸化する方法。
(10)配列番号:1記載のアミノ酸配列において1 は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付 されたアミノ酸配列を含有し、かつ水酸化 性を有するタンパク質。
(11)配列番号:1記載のアミノ酸配列において、 I77F、L357P、A362T、F41L、I77W、M105I、T234A、F232I F232L及びF232Mからなる群より選ばれる1又は数 個の変異を持つアミノ酸配列からなるタンパ ク質。
(12)配列番号:3記載のアミノ酸配列からなるタ ンパク質又は該アミノ酸配列において1若し は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付 されたアミノ酸配列を含有し、かつ水酸化 性を有するタンパク質。
(13)配列番号:3記載のアミノ酸配列において、 I77F、I77W、M105I、A196D、F232I、F232L、F232M、T234A T244A、V399E及びK702Eからなる群より選ばれる1 又は数個の変異を持つアミノ酸配列からなる タンパク質。
(14)式:

で示される化合物、その塩又はそれらの溶媒 和物。
(15)式:

(式中、Rは水素又は親水性基である)
で示される化合物、その塩又はそれらの溶媒 和物。

 本発明のアダマンタン骨格を有する化合 のアダマンタン部分の水酸化方法は、安定 た生産及び供給を実現するものであり、ア マンタン骨格を有する化合物の水酸化体を 率よく、安全で安価に製造することが可能 なる。

 本明細書において使用される用語は、特 言及する場合を除いて、当該分野で通常用 られる意味で用いられる。以下に特に本明 書で用いられる用語について説明する。

 本発明において、「チトクロームP450」は 、アダマンタン骨格を有する化合物の水酸化 の触媒として利用される。例えば、N-(5-ヒド キシ-2-アダマンチル)-ベンズアミド誘導体 水酸化することによりN-(5-ヒドロキシ-2-アダ マンチル)-ベンズアミド誘導体を製造する方 において触媒として利用される。P450である タンパク質がアダマンタン骨格を有する化合 物の水酸化の触媒として利用可能か否かは、 例えば、基質であるN-(2-アダマンチル)―ベン ズアミド誘導体に、該タンパク質、又は該タ ンパク質及び該タンパク質に電子を供給する フェレドキシンと還元酵素からなる還元系を 作用させることによって、N-(5-ヒドロキシ-2- ダマンチル)-ベンズアミド誘導体が得られ か否かで判断することができる。より詳し は、P450を発現可能な微生物を、好適な培地 培養し、培地中に蓄積されたN-(5-ヒドロキ -2-アダマンチル)-ベンズアミド誘導体の有無 を検出する方法を用いることができる。必要 であればP450に電子を供給するフェレドキシ と還元酵素からなる還元系を微生物内に導 することにより、より効率的に検出するこ ができる。N-(5-ヒドロキシ-2-アダマンチル)- ンズアミド誘導体の検出は、例えば、本発 により得られるN-(5-ヒドロキシ-2-アダマン ル)-ベンズアミド誘導体を標準品として用い た高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、 行うことができる。具体的には後述の実施例 に記載の方法を用いることができる。本発明 に有用なP450としては、例えば、CYP109B1、CYP101 、CYP105D等、及びこれらの誘導体等が挙げら る。

 P450の「誘導体」とは、実質的にP450と同じ 物学的機能又は活性、すなわち本発明にお ては、水酸化活性を有するポリペプチドを 味する。該ポリペプチドのC末端はカルボキ ル基、カルボキシレート、アミド又はエス ルのいずれであってもよい。例えば、他の ンパク質との融合タンパク質、修飾基を付 して得られた修飾体、アミノ酸残基を欠失 置換若しくは付加することにより得られた 異体等が挙げられる。
 融合タンパク質に用いられる「他のタンパ 質」としては、融合することによって、該 合タンパク質が、実質的にP450と同じあるい はそれ以上の水酸化活性を示すことになるも のが好ましい。例えば、R450Rhf reductase domain P450BM3 reductase domain等が挙げられる。
 修飾体の修飾基としては、蛍光性を呈する 能基、ポリペプチドの立体構造の形成には 与しない官能基等が挙げられる。また、天 由来のP450を構成するアミノ酸残基以外のア ミノ酸残基(例えば、β-アラニン等)であって よい。蛍光性を呈する官能基としては、エ シンやフルオレセインイソチオシアネート( FITC)等が挙げられる。ポリペプチドの立体構 の形成には関与しない官能基としては、β- ラニン残基等に代表されるスペーサー基等 挙げられる。かかる官能基は末端に存在す ことが好ましい。
 変異体としては、P450のアミノ酸配列におい て、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換 しくは付加されたアミノ酸配列からなるP450 機能を有するタンパク質等が含まれる。

 「1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換 若しくは付加されたアミノ酸配列」とは、例 えば、(A)P450のアミノ酸配列中の1又は2個以上 (好ましくは、1~30個程度、好ましくは1~10個程 度、さらに好ましくは数(1~5)個)のアミノ酸が 欠失したアミノ酸配列、(B)P450のアミノ酸配 中の1又は2個以上(好ましくは、1~30個程度、 ましくは1~10個程度、さらに好ましくは数(1~ 5)個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換された アミノ酸配列、(C)P450のアミノ酸配列に1又は2 個以上(好ましくは、1~30個程度、好ましくは1 ~10個程度、さらに好ましくは数(1~5)個)のアミ ノ酸が付加したアミノ酸配列、又は(D)それら を組み合わせたアミノ酸配列を含有するタン パク質が挙げられる。アミノ酸配列が欠失、 置換又は付加されている場合、その欠失、置 換又は付加の位置としては、特に限定されな い。但し、本発明に使用されるP450の変異体 、欠失、置換又は付加によっても、アダマ タン骨格を有する化合物の水酸化の触媒作 を有するポリペプチドである。P450のアミノ 配列と少なくとも60%以上の相同性を有する リペプチド、好ましくは80%以上の相同性を するポリペプチド、さらに好ましくは、95% 上の相同性を有するポリペプチドが挙げら る。

 本明細書において、「CYP109B1」とは、配列 号:1記載のアミノ酸配列からなるタンパク質 を意味する。
 「CYP109B1の変異体」とは、配列番号:1記載の アミノ酸配列において1若しくは数個のアミ 酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ 配列を含有し、かつ水酸化活性を有するタ パク質を意味する。具体的には、配列番号:1 記載のアミノ酸配列において、I77F、L357P、A36 2T、F41L、I77W、M105I、T234A、F232I、F232L及びF232M らなる群より選ばれる1若しくは数個の変異 を持つアミノ酸配列からなるタンパク質等が 挙げられる。「1若しくは数個の変異」とは 1~5個程度、好ましくは1~3個、さらに好まし は1又は2個の変異を意味する。特に、配列番 号:1記載のアミノ酸配列において、I77F、I77F L357P、I77FとM105IとT234A、I77FとF232Mからなる群 り選ばれる1~5個、好ましくは1~3個の変異を つアミノ酸配列からなるタンパク質が好ま い。

 「CYP109FK」とは、配列番号:3記載のアミノ酸 配列からなるタンパク質を意味する。
 「CYP109FK変異体」とは、配列番号:3記載のア ミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸 列を含有し、かつ水酸化活性を有するタン ク質を意味する。具体的には、配列番号:3記 載のアミノ酸配列において、I77F、I77W、M105I A196D、F232I、F232L、F232M、T234A、T244A、V399E及び K702Eからなる群より選ばれる1若しくは数個の 変異を持つアミノ酸配列からなるタンパク質 等が挙げられる。「1若しくは数個の変異」 は、1~5個程度、好ましくは1~3個、さらに好 しくは1又は2個の変異を意味する。特に、配 列番号:3記載のアミノ酸配列において、I77F、 I77W、M105I、A196D、F232I、F232L、F232M、T234A、T244A 、V399E及びK702Eからなる群より選ばれる1~5個 好ましくは1~3個、特に好ましくは1個の変異 持つアミノ酸配列からなるタンパク質が好 しい。

 「アダマンタン骨格を有する化合物」とは アダマンタン骨格を有する化合物であれば いずれの化合物も包含される。好ましくは 保護された2-アミノアダマンタンが挙げら る。
 「保護された2-アミノアダマンタン」とは アダマンタナミンのアミノ基が保護された 合物であれば、いずれの化合物も包含され 。なお、アダマンタン部分の水酸化される 外の部分が置換基を有していてもよい。該 換基は特に限定されないが、例えば、F、Cl Br、I等のハロゲン、置換されていてもよい ルキル(例えば、非置換アルキル、カルバモ ルアルキル)、ヒドロキシ、アルコキシ、ニ トロ、アリール、アリールアルキル、カルボ キシ、エステル(例えば、アルコキシカルボ ル等)、カルバモイル、アルケニル、アルキ ル、カルバモイルオキシ、保護されたヒド キシ(例えば、アルキルヒドロキシ等)等が 換基として挙げられる。好ましくは、N-(2-ア ダマンチル)-ベンズアミド誘導体、N-(2-アダ ンチル)-ベンズアミド、N-(アダマンタン-2-イ ル)-フタルアミド酸、N-(2-アダマンチル)-p-メ キシベンジルオキシカルボニルアミン等が げられる。

 「N-(2-アダマンチル)-ベンズアミド誘導体」 とは、N-(2-アダマンチル)-ベンズアミド又は の誘導体を意味する。誘導体としては、例 ば、ベンゼン環部分が、ハロゲン、アルキ 、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、アリ ル、アリールアルキル、カルボキシ、エス ル、カルバモイル等で置換された化合物、 ダマンチル基の水酸化される以外の部分が ロゲン、アルキル、ヒドロキシ、アルコキ 、ニトロ、アリール、アリールアルキル、 ルボキシ、エステル、カルバモイル等で置 された化合物、また、ベンゼン環部分及び ダマンタン部分が上記の置換基で置換され 化合物も含まれる。好ましくは、

(式中、Rは水素又は親水性基である)
で示される化合物が挙げられる。

 「親水性基」とは、水との親和性が強い基 ある。すなわち、静電気的相互作用や水素 合等により水分子と弱い結合を形成しうる 子団を指す。例えば、-OH、-COOH、-NH 2 、-OSO 3 H、―SO 3 H、-OPO 3 H 2 等が挙げられる。特に、-COOHが好ましい。

 「N-(5-ヒドロキシ-2-アダマンチル)-ベンズア ミド誘導体」とは、N-(モノヒドロキシ-2-アダ マンチル)-ベンズアミド又はその誘導体を意 する。誘導体としては、例えば、ベンゼン が、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシ、ア コキシ、ニトロ、アリール、アリールアル ル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、 ルバモイル等で置換された化合物も含まれ 。好ましくは、

(式中、Rは水素又は親水性基である)
で示される化合物が挙げられる。さらに好ま しくは、

(式中、Rは水素又は親水性基である)
で示される化合物が挙げられる。

 本発明により得られた、アダマンタン骨格 有する化合物の、例えば、N-(5-ヒドロキシ-2 -アダマンチル)-ベンズアミド誘導体は、保護 基をはずすことにより、容易にモノヒドロキ シ-2-アダマンタナミン、つまり、
式:

で表される化合物に変換することができる。

 また、本発明において、N-(2-アダマンチ )-ベンズアミド誘導体からN-(5-ヒドロキシ-2- ダマンチル)-ベンズアミド誘導体を製造し 脱保護によりモノヒドロキシ-2-アダマンタ ミンを得る工程の中で、N-(5-ヒドロキシ-2-ア ダマンチル)-ベンズアミド誘導体を単離して よいし、単離しなくてもよい。N-(5-ヒドロ シ-2-アダマンチル)-ベンズアミド誘導体を製 造した際に、一度精製して脱保護を行うこと もできる。また、実施例8に記載のように、 菌をしながら脱保護を行うことによってN-(5- ヒドロキシ-2-アダマンチル)-ベンズアミド誘 体を単離せずにモノヒドロキシ-2-アダマン ナミンを得ることもできる。

 さらに上記で得られたモノヒドロキシ-2-ア マンタナミンを、
式(II):A-R 1 -R 2 -R 3 -X
(式中、Aは置換されていてもよい環式炭化水 基又は置換されていてもよい複素環式基で り、R 1 は単結合、-C(=O)-、-O-又はNR 4 -であり、R 2 は単結合又は置換されていてもよいアルキレ ンであり、R 3 は単結合又はC(=O)-であり、Xは水酸基、ハロ ン又は水酸基から導かれる脱離基であり、R 4 は水素又は置換されていてもよいアルキルで ある)で示される化合物と反応させることに って、式(III):

で示される化合物を製造することができる。


 式(I)で示される化合物と式(II)で示される化 合物を反応させ、式(III)で示される化合物を 造する工程である。
 溶媒としては、N-ジメチルホルムアミド、 メチルスルホキシド、芳香族炭化水素類(例 トルエン、ベンゼン、キシレン等)、飽和炭 化水素類(例、シクロヘキサン、ヘキサン等) ハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタン 、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン等)、エ テル類(例、テトラヒドロフラン、ジエチル エーテル、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタ 等)、エステル類(例、酢酸メチル、酢酸エチ ル等)、ケトン類(例、アセトン、メチルエチ ケトン等)、ニトリル類(例、アセトニトリ 等)、アルコール類(例、メタノール、エタノ ール、イソプロパノール、tert-ブタノール等) 、水及びそれらの混合溶媒等が挙げられる。 好ましくは、ハロゲン化炭化水素類(例、ジ ロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエ ン等)、ニトリル類(例、アセトニトリル等) エーテル類(例、テトラヒドロフラン、ジエ チルエーテル、ジオキサン、1,2-ジメトキシ タン等)、アルコール類(例、メタノール、エ タノール、イソプロパノール、tert-ブタノー 等)及び水等である。
 限定されないが、好ましくは、N,N-ジメチル ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、キシ レン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2- クロロエタン、ジエチルエーテル、ジオキ ン、1,2-ジメトキシエタン、アセトニトリル メタノール、エタノール、イソプロパノー 、tert-ブタノール、トルエン、テトラヒド フラン及び水である。
 さらに好ましくは、ジクロロメタン、メタ ール、エタノールである。
 R 5 が-C(=O)-であり、Xが水酸基の場合は、該工程 おいて縮合剤及び塩基を用いることができ 。縮合剤としては、例えば1,1-カルボニルジ イミダゾール、ジシクロヘキシルカルボジイ ミド又は水溶性カルボジイミド(1-エチル-3-(3 -ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド) が使用できる。塩基としては、例えば金属 素化物(例、水素化ナトリウム等)、金属水 化物(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ 、水酸化リチウム、水酸化バリウム等)、金 属炭酸塩(例、炭酸ナトリウム、炭酸カルシ ム、炭酸セシウム等)、金属アルコキシド(例 、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキ シド、カリウムtert-ブトキシド等)、炭酸水素 ナトリウム、金属ナトリウム、有機アミン( 、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチ アミン、DBU、2,6-ルチジン等)等が挙げられる 。
 R 5 が-C(=O)-であり、Xがハロゲンである場合は、 工程において上記記載の塩基を用いること できる。
 R 3 が-C(=O)-であり、R 4 が置換されていてもよいアルキレンであり、 R 5 が単結合であり、Xがハロゲン又は水酸基か 導かれる脱離基である場合は、該工程にお て上記の塩基を用いることができる。
 反応条件は、特に制限されないが、約-20~100 ℃、好ましくは約-10~80℃で通常1時間~36時間 好ましくは1時間~24時間攪拌すればよい。
 こうして得られた化合物(III)は11β-ヒドロキ システロイド脱水素酵素阻害剤及びDipeptidyl  PeptidaseIV(DPP IV)阻害剤、Jak3阻害剤等として有 用である。

 「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素及 ヨウ素を包含する。
 「アルキル」とは、炭素数1~10個の直鎖状又 は分枝状のアルキル基を意味し、例えば、メ チル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n -ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチ 、n-ぺンチル、イソぺンチル、ネオぺンチル 、n-ヘキシル、イソヘキシル、n-ヘプチル、n- オクチル、n-ノニル、n-デシル等が挙げられ 。好ましくは、炭素数1~6又は1~4個のアルキ であり、例えば、メチル、エチル、n-プロピ ル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s ec-ブチル、tert-ブチル、n-ぺンチル、イソぺ チル、ネオぺンチル、n-ヘキシル、イソヘキ シルが挙げられる。
 「アルコキシ」、「アルコキシカルボニル のアルキル部分は、上記のアルキルと同意 である。
 「アリール」とは、単環芳香族炭化水素基( 例:フェニル)及び多環芳香族炭化水素基(例:1- ナフチル、2-ナフチル、1-アントリル、2-アン トリル、9-アントリル、1-フェナントリル、2- フェナントリル、3-フェナントリル、4-フェ ントリル、9-フェナントリル等)が挙げられ 。
 「アリールアルキル」は、上記のアリール 置換された上記アルキルを意味する。
 「環式炭化水素基」とは、「シクロアルキ 」、「シクロアルケニル」、「アリール」 包含する。
 「シクロアルキル」とは、炭素数3~15の環状 飽和炭化水素基を意味し、例えば、シクロプ ロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シ クロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオク チル、橋かけ環式炭化水素基、スピロ炭化水 素基等が挙げられる。
 「橋かけ環式炭化水素基」とは、2つ以上の 環が2個又はそれ以上の原子を共有している 素数5~8の脂肪族環から水素を1つ除いてでき 基を包含する。具体的にはビシクロ[2.1.0]ペ ンチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2 .2.2]オクチル及びビシクロ[3.2.1]オクチル、ト リシクロ[2.2.1.0]ヘプチル等が挙げられる。
 「スピロ炭化水素基」とは、2つの炭化水素 環が1個の炭素原子を共有して構成されてい 環から水素を1つ除いてできる基を包含する 具体的にはスピロ[3.4]オクチル等が挙げら る。
 「シクロアルケニル」とは、炭素数3~7個の 状の不飽和脂肪族炭化水素基を意味し、例 ば、シクロプロペニル、シクロブテニル、 クロペンテニル、シクロヘキセニル、シク ヘプテニルが挙げられ、好ましくはシクロ ロペニル、シクロブテニル、シクロペンテ ル、シクロヘキセニルである。シクロアル ニルには、環中に不飽和結合を有する橋か 環式炭化水素基及びスピロ炭化水素基も含 。
 「複素環式基」とは、「ヘテロアリール、 テロサイクル」を包含する。
 「ヘテロアリール」とは、単環芳香族複素 式基及び縮合芳香族複素環式基を意味する 単環芳香族複素環式基は、酸素原子、硫黄 子、及び/又は窒素原子を環内に1~4個含んで いてもよい5~8員の芳香環から誘導される、置 換可能な任意の位置に結合手を有していても よい基を意味する。縮合芳香族複素環式基は 、酸素原子、硫黄原子、及び/又は窒素原子 環内に1~4個含んでいてもよい5~8員の芳香環 、1~4個の5~8員の芳香族炭素環若しくは他の5~ 8員の芳香族ヘテロ環と縮合している、置換 能な任意の位置に結合手を有していてもよ 基を意味する。例えば、フリル(例:2-フリル 3-フリル)、チエニル(例:2-チエニル、3-チエ ル)、ピロリル(例:1-ピロリル、2-ピロリル、 3-ピロリル)、イミダゾリル(例:1-イミダゾリ 、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル)、ピラゾ リル(例:1-ピラゾリル、3-ピラゾリル、4-ピラ リル)、トリアゾリル(例:1,2,4-トリアゾール- 1-イル、1,2,4-トリアゾール-3-イル、1,2,4-トリ ゾール-4-イル)、テトラゾリル(例:1-テトラ リル、2-テトラゾリル、5-テトラゾリル)、オ キサゾリル(例:2-オキサゾリル、4-オキサゾリ ル、5-オキサゾリル)、イソキサゾリル(例:3- ソキサゾリル、4-イソキサゾリル、5-イソキ ゾリル)、チアゾリル(例:2-チアゾリル、4-チ アゾリル、5-チアゾリル)、チアジアゾリル、 イソチアゾリル(例:3-イソチアゾリル、4-イソ チアゾリル、5-イソチアゾリル)、ピリジル( :2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル)、ピリ ダジニル(例:3-ピリダジニル、4-ピリダジニル )、ピリミジニル(例:2-ピリミジニル、4-ピリ ジニル、5-ピリミジニル)、フラザニル(例:3- ラザニル)、ピラジニル(例:2-ピラジニル)、 キサジアゾリル(例:1,3,4-オキサジアゾール-2 -イル)、ベンゾフリル(例:2-ベンゾ[b]フリル、 3-ベンゾ[b]フリル、4-ベンゾ[b]フリル、5-ベン ゾ[b]フリル、6-ベンゾ[b]フリル、7-ベンゾ[b] リル)、ベンゾチエニル(例:2-ベンゾ[b]チエニ ル、3-ベンゾ[b]チエニル、4-ベンゾ[b]チエニ 、5-ベンゾ[b]チエニル、6-ベンゾ[b]チエニル 7-ベンゾ[b]チエニル)、ベンズイミダゾリル( 例:1-ベンゾイミダゾリル、2-ベンゾイミダゾ ル、4-ベンゾイミダゾリル、5-ベンゾイミダ ゾリル)、ジベンゾフリル、ベンゾオキサゾ ル、キノキサリル(例:2-キノキサリニル、5- ノキサリニル、6-キノキサリニル)、シンノ ニル(例:3-シンノリニル、4-シンノリニル、5- シンノリニル、6-シンノリニル、7-シンノリ ル、8-シンノリニル)、キナゾリル(例:2-キナ リニル、4-キナゾリニル、5-キナゾリニル、 6-キナゾリニル、7-キナゾリニル、8-キナゾリ ニル)、キノリル(例:2-キノリル、3-キノリル 4-キノリル、5-キノリル、6-キノリル、7-キノ リル、8-キノリル)、フタラジニル(例:1-フタ ジニル、5-フタラジニル、6-フタラジニル)、 イソキノリル(例:1-イソキノリル、3-イソキノ リル、4-イソキノリル、5-イソキノリル、6-イ ソキノリル、7-イソキノリル、8-イソキノリ )、プリル、プテリジニル(例:2-プテリジニル 、4-プテリジニル、6-プテリジニル、7-プテリ ジニル)、カルバゾリル、フェナントリジニ 、アクリジニル(例:1-アクリジニル、2-アク ジニル、3-アクリジニル、4-アクリジニル、9 -アクリジニル)、インドリル(例:1-インドリル 、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル 、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル )、イソインドリル、ファナジニル(例:1-フェ ジニル、2-フェナジニル)又はフェノチアジ ル(例:1-フェノチアジニル、2-フェノチアジ ル、3-フェノチアジニル、4-フェノチアジニ ル)等が挙げられる。
 「ヘテロサイクル」とは、酸素原子、硫黄 子、及び/又は窒素原子を環内に1~4個含んで いてもよく、置換可能な任意の位置に結合手 を有していてもよい非芳香族複素環式基を意 味する。また、そのような非芳香族複素環式 基がさらに炭素数1~4のアルキル鎖で架橋され ていてもよく、シクロアルカン(5~6員環が好 しい)やベンゼン環が縮合していてもよい。 芳香族であれば、飽和でも不飽和でもよい 例えば、1-ピロリニル、2-ピロリニル、3-ピ リニル、1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、 3-ピロリジニル、1-イミダゾリニル、2-イミダ ゾリニル、4-イミダゾリニル、1-イミダゾリ ニル、2-イミダゾリジニル、4-イミダゾリジ ル、1-ピラゾリニル、3-ピラゾリニル、4-ピ ゾリニル、1-ピラゾリジニル、3-ピラゾリジ ニル、4-ピラゾリジニル、ピペリジノ、2-ピ リジニル、3-ピペリジニル、4-ピペリジニル 1-ピペラジニル、2-ピペラジニル、2-モルホ ニル、3-モルホリニル、モルホリノ、テト ヒドロピラニル等があげられる。
 「アルキレン」とは、メチレンが1~6個連続 た2価の基を包含し、具体的にはメチレン、 エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、 ペンタメチレン及びヘキサメチレン等が挙げ られる。
 「水酸基から導かれる脱離基」とは、-OMs、 -OTs、-OTf、-ONs等があげられる。ここで、「Ms はメタンスルホニル基、「Ts」はパラトル ンスルホニル基、「Tf」はトリフルオロメタ ンスルホニル基、「Ns」はオルトニトロベン ンスルホニル基を表す。

 式(II)及び式(III)中のAとしては、好ましくは 、置換されていてもよい複素環式基である。 さらに好ましくは、置換されていてもよいヘ テロアリール又は置換されていてもよいヘテ ロサイクルが挙げられる。より好ましくは、 フラン、チオフェン、ピロール、ピラゾール 、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール 、イソチアゾール、ピリジン、モルホリン、 ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、テト ラヒドロチオフェン、ベンゾオキサジン、ベ ンゾフラン、ピロロピリジンが挙げられる。 限定されないが、特に、イソキサゾール及び ピラゾールが好ましい。また、Aとして、置 されていてもよい環式炭化水素基が挙げら る。好ましくは、フェニルである。
 置換基としては、-OR 5 、-SR 5 、置換されていてもよいアルキル、置換され ていてもよいアルケニル、置換されていても よいアルキニル、置換されていてもよいシク ロアルキル、置換されていてもよいシクロア ルケニル、置換されていてもよいアリール、 置換されていてもよいヘテロアリール、置換 されていてもよいヘテロサイクル、式:-CH=CH-C (R a R b )-R c -R d で示される基又は式:-(CR e R f ) m -C(R a R b )-R c -R d で示される基等が挙げられる。
R a 及びR b は各々独立して水素、置換されていてもよい アルキル又はハロゲンであり、
又はR a とR b は隣接する炭素原子と一緒になって置換され ていてもよい環を形成していてもよく、
R c は-(CH 2 )n-(ここでnは0~3の整数である。)であり、
R d は水素、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ 、シアノ、置換されていてもよいアルキル、 置換されていてもよいアルケニル、置換され ていてもよいアルキニル、置換されていても よいシクロアルキル、置換されていてもよい シクロアルケニル、置換されていてもよいア リール、置換されていてもよいヘテロアリー ル、置換されていてもよいヘテロサイクル、 式:-C(=O)-NR g R h で示される基又は式:-NR i R j で示される基であり、
R e 及びR f は各々独立して水素、ハロゲン又は置換され ていてもよいアルキルであり、
R g 及びR h は各々独立して水素、置換されていてもよい アルキル、置換されていてもよいアルケニル 、置換されていてもよいアルキニル、置換さ れていてもよいシクロアルキル、置換されて いてもよいシクロアルケニル、置換されてい てもよいアリール、置換されていてもよいヘ テロアリール、置換されていてもよいヘテロ サイクル、置換されていてもよいアルキルス ルホニル、置換されていてもよいシクロアル キルスルホニル、置換されていてもよいアリ ールスルホニル、置換されていてもよいヘテ ロアリールスルホニル、置換されていてもよ いヘテロサイクルスルホニル、置換されてい てもよいアルキルオキシ、置換されていても よいカルバモイル若しくはR g とR h は隣接する窒素原子と一緒になって置換され ていてもよい環を形成していてもよく、
R i 及びR j は各々独立して水素、カルボキシ、ヒドロキ シ、置換されていてもよいアルキル、置換さ れていてもよいアルケニル、置換されていて もよいアルキニル、置換されていてもよいシ クロアルキル、置換されていてもよいシクロ アルケニル、置換されていてもよいアリール 、置換されていてもよいヘテロアリール、置 換されていてもよいヘテロサイクル、置換さ れていてもよいアシル、置換されていてもよ いカルバモイル、置換されていてもよいチオ カルバモイル、置換されていてもよいアルキ ルスルホニル、置換されていてもよいシクロ アルキルスルホニル、置換されていてもよい アリールスルホニル、置換されていてもよい ヘテロアリールスルホニル、置換されていて もよいヘテロサイクルスルホニル、置換され ていてもよいアルキルオキシカルボニル、置 換されていてもよいシクロアルキルオキシカ ルボニル、置換されていてもよいアリールオ キシカルボニル、置換されていてもよいヘテ ロアリールオキシカルボニル、置換されてい てもよいヘテロサイクルオキシカルボニル、 置換されていてもよいアルキルカルボニル、 置換されていてもよいシクロアルキルカルボ ニル、置換されていてもよいアリールカルボ ニル、置換されていてもよいヘテロアリール カルボニル、置換されていてもよいヘテロサ イクルカルボニル、置換されていてもよいス ルファモイル、若しくはR i とR j は隣接する窒素原子と一緒になって置換され ていてもよい環を形成していてもよく、
R 5 は置換されていてもよいアルキル、置換され ていてもよいアルケニル、置換されていても よいシクロアルキル、置換されていてもよい アリール、置換されていてもよいヘテロアリ ール又は置換されていてもよいヘテロサイク ルであり、
mは各々独立して1~3の整数である。
 R 1 は、好ましくは、単結合である。
 R 2 は、好ましくは、単結合である。
 R 3 は、好ましくは、-C(=O)-である。
 Xは、好ましくは、水酸基である。
 式(II)及び式(III)で表される化合物及びそれ の調製方法の詳細は、国際公開第2006/132197 パンフレット、国際公開第2007/058346号パンフ レット、PCT/JP2007/056538、特願2007-132259に集合 に記載されている。

 本発明のアダマンタン骨格を有する化合物 水酸化する方法、例えば、N-(2-アダマンチ )―ベンズアミド誘導体を水酸化することに って、N-(5-ヒドロキシ-アダマンタン-2-イル) -ベンズアミド誘導体を製造する方法(以下、 本発明の製造方法」と称することもある。) は、水酸化活性を持つP450(以下、「本発明の ンパク質」と称することもある。)を触媒と して使用することを特徴とする。具体的には 、本発明の製造方法は、基質であるN-(2-アダ ンチル)―ベンズアミド誘導体に、
(a)本発明のタンパク質、又は該タンパク質及 び該タンパク質に電子を供給するフェレドキ シンと還元酵素からなる還元系、又は
(b)本発明のタンパク質を発現可能な微生物
の少なくとも1つを作用させ、アダマンタン 分を選択的に水酸化させる工程を含む。

(a)本発明のタンパク質
 本発明のタンパク質は、該タンパク質をコ ドするポリヌクレオチド(以下、「本発明の 遺伝子」と称することもある。)を取得し、 用することによって作成することができる 以下に、本発明の遺伝子の取得方法、本発 のタンパク質の作製方法(発現ベクターの作 方法、形質転換体の作成方法等)を具体的に 記載する。

(1)本発明の遺伝子の取得方法
 バチルス サチルス(Bacillus subtilis)より、常 法によりcDNAライブラリーを作製することに って、本発明の遺伝子を取得することがで る。

 cDNAライブラリー作製法としては、Molecular  Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition(1989)(Cold  Spring Harbor Laboratory Press)、Current Protocols in Molecular Biology(1994)(Wiley-Interscience)、DNA Cloning  1:Core Techniques、A Practical Approach,Second Editio n(1995)(Oxford University Press)等に記載された方 、あるいは市販のキット、例えば、SuperScript  Plasmid System for cDNA Synthesis and Plasmid Cloni ng(インビトロジェン社製)やZAP-cDNA Synthesis Ki ts(ストラタジーン社製)等を用いる方法が挙 られる。

 該方法により取得されるcDNAとして、例え ば、配列番号:1記載のアミノ酸配列からなる ンパク質をコードするDNA等を挙げることが き、具体的には、配列番号:2記載の塩基配 からなるDNA等を挙げることができる。該cDNA 、本発明の遺伝子を適当な発現ベクターに み込んだ発現用プラスミドの作製に使用す ことができる。発現ベクター、発現用プラ ミドの使用方法等については「本発明のタ パク質の作製方法」に後述する。

 また、アミノ酸配列に基づいて、本発明 タンパク質をコードするDNAを化学合成する とによってもDNAを調製することができる。D NAの化学合成は、チオホスファイト法を利用 た島津製作所社製のDNA合成機、フォスフォ ミダイト法を利用したパーキン・エルマー 製のDNA合成機model392等を用いて行うことが きる。

 さらに、アミノ酸配列に基づいて、オリ ヌクレオチドをセンスプライマー及びアン センスプライマーとして用い、これらDNAに 補的なmRNAを発現している細胞のmRNAから調 したcDNAを鋳型として、PCRを行うことによっ も、目的とするDNAを調製することができる

(2)本発明のタンパク質の作製方法 
 本発明のタンパク質は、Molecular Cloning:A Lab oratory Manual,Second Edition(1989)(Cold Spring Harbor  Laboratory Press)、Current Protocols in Molecular Biol ogy(1994)(Wiley-Interscience)等に記載された方法等 用い、例えば、以下の方法により、本発明 タンパク質をコードするポリヌクレオチド 宿主細胞中で発現させ、製造することがで る。
 宿主細胞としては、原核細胞、酵母、動物 胞、植物細胞、昆虫細胞等、目的とする遺 子を発現できるものであればいずれも用い ことができる。発現ベクターとしては、上 宿主細胞において自律複製が可能、又は染 体中への組込みが可能で、本発明のタンパ 質の転写に適した位置にプロモーターを含 しているものが用いられる。

(i)原核生物を宿主として用いる場合
 本発明のタンパク質の発現ベクターは、原 生物中で自律複製可能であると同時に、プ モーター、リボソーム結合配列、本発明の リペプチドをコードするDNA、転写終結配列 より構成されていることが好ましい。プロ ーターを制御する遺伝子が含まれていても い。

 発現ベクターとしては、例えば、pBTrp2、p BTac1、pBTac2(ロシュダイアグノスティックス社 製)、Bluescript II SK(+)、pBluescript II SK(-)(スト ラタジーン社製)、pSTV28、pUC118、pUC19(宝酒造 製)、pKK233-2(GEヘルスケア社製)、pSE280、pSupex pUB110、pTP5、pC194、pTrxFus(インビトロジェン 製)、pGEMEX-1(プロメガ社製)、pQE-8(キアゲン社 製)、pGEX(GEヘルスケア社製)、pETシステム(ノ ジェン社製)、pMAL-c2(New England Biolabs社製)、p KYP10(特開昭58-110600)、pKYP200(Agricultural Biologycal  Chemistry,48,669(1984).)、pLSA1(Agricultural Biologycal Chemistry,53,277(1989).)、pGEL1(Proceeding of the Natio nal Academy of Sciences USA,82,4306(1985).)、pEG400(Jou rnal of Bacteriology,172,2392(1990).)、pTrs30(FERM BP-54 07)、pTrs32(FERM BP-5408)、pGHA2(FERM BP-400)、pGKA2(FE RM B-6798)、pPA1(特開昭63-233798)、pTerm2(特開平3-2 2979、US4686191、US4939094、US5160735)等を例示する とができる。

 プロモーターとしては、大腸菌等の宿主 胞中で発現できるものであればいかなるも でもよい。例えば、trpプロモーター(Ptrp)、l acプロモーター(Plac)、PLプロモーター、PRプロ モーター、PSEプロモーター等の、大腸菌やフ ァージ等に由来するプロモーター、SPO1プロ ーター、SPO2プロモーター、penPプロモーター 等をあげることができる。またPtrpを2つ直列 せたプロモーター(Ptrpx2)、tacプロモーター lacT7プロモーター、letIプロモーターのよう 人為的に設計改変されたプロモーター等も いることができる。

 リボソーム結合配列であるシャイン-ダル ガノ(Shine-Dalgarno)配列と開始コドンとの間を 当な距離、例えば、6~18塩基に調節したプラ ミドを用いることが好ましい。本発明の遺 子の発現には転写終結配列は必ずしも必要 はないが、構造遺伝子直下に転写終結配列 配置することが好ましい。

 宿主細胞としては、Escherichia属、Serratia属 、Bacillus属、Brevibacterium属、Corynebacterium属、Mi crobacterium属、Pseudomonas属等の原核生物が挙げ れ、Escherichia属としてE.coliのXL1-Blue株、XL2-Bl ue株、DH1株、MC1000株、KY3276株、W1485株、JM109株 、HB101株、No.49株、W3110株、NY49株、BL21株、BL21 (DE3)株、BL21(DE3)pLysS株、HMS174(DE3)株及びHMS174(DE 3)pLysS株等が、Serratia属として、S.ficaria株、S.f onticola株、S.liquefaciens、S.marcescens株等が、Bacil lus属として、B.subtilis株、B.amyloliquefaciens株等 、Brevibacterium属として、B.ammoniagenes株、B.Imma riophilum(ATCC:14068)株、B.saccharolyticum(ATCC:14066)株 が、Corynebacterium属として、C.glutamicum(ATCC:1303 2)株、C.glutamicum(ATCC:14067)株、C.gulutamicum(ATCC:138 69)株、C.acetoacidophilum(ATCC:13870)株等が、Microbact erium属として、M.ammoniaphilum(ATCC:15354)株等が、P seudomonas属として、P.mephitica株等が例示される 。

 組換えベクターの導入方法としては、上 宿主細胞へDNAを導入する方法であればいず も用いることができ、例えば、エレクトロ レーション法(Nucleic Acids Research,16,6127(1988). )、リン酸カルシウム法(Proceedings of the Nation al Academy of Sciences USA,69,2110(1972).)、プロト ラスト法(特開昭63-2483942)、Gene,17,107(1982).やMo lecular & General Genetics,168,111(1979).に記載の 方法等があげられる。

(ii)酵母を宿主として用いる場合
 宿主として酵母を用いる場合、発現ベクタ として、例えば、YEp13(ATCC:37115)、YEp24(ATCC:370 51)、YCp50(ATCC:37419)、pHS19、pHS15等が挙げられる 。
 プロモーターとしては、酵母中で発現でき ものであればいずれのものでもよく、例え 、ADH1(アルコールデヒドロゲナーゼ)プロモ ター、PHO5(酸性フォスファターゼ)プロモー ー、PGK1(ホスホグリセリン酸キナーゼ)プロ ーター、GAPDH(グリセルアルデヒド3-リン酸 ヒドロゲナーゼ)プロモーター、GAL1(ガラキ ースキナーゼ)プロモーター、GAL10(UDPガラク ース4-エピメラーゼ)プロモーター、MFα1(α ェロモン)プロモーター、CUP1(メタロチオネ ン)プロモーター等が挙げられる。
 宿主としては、例えば、Saccharomyces属、S.cere visiae種、Schizosaccharomyces属、S.pombe種、Kluyveromy ces属、K.lactis種、Trichosporon属、T.pullulans種、Sc hwanniomyces属、S.alluvius種及びPichia属、P.pastoris 等が挙げられる。
 組換えベクターの導入方法としては、宿主 DNAを導入する方法であればいずれも用いる とができ、例えば、エレクトロポレーショ 法(Methods in Enzymology,194,182(1990).)、スフェロ プラスト法(Proceedings of the National Academy of Sciences USA,84,1929(1978).)、酢酸リチウム法(Journ al of Bacteriology,153,163(1983).及びProceedings of th e National Academy of Sciences USA,75,1929(1978).)記 の方法等が挙げられる。

(iii)動物細胞を宿主として用いる場合
 宿主として動物細胞を用いる場合、発現ベ ターとして、例えば、pcDNA1/Amp、pcDNA1、pCDM8 pREP4(インビトロジェン社製)、pAGE107(Cytotechno logy,3,133(1990).)、pAGE103(The Journal of Biochemistry, 101,1307(1987).)、pAMo、pAMoA(pAMoPRSA)(The Journal of  Biologycal Chemistry,268,22782-22787(1993).)、pAS3-3(特 平2-22705)等を用いることができる。
 プロモーターとしては、宿主中で発現でき ものであればいずれも用いることができ、 えば、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)のIE(I mediate-early)遺伝子のプロモーター、SV40の初期 プロモーター、モロニー・ミュリン・ロイケ ミア・ウイルス(Moloney Murine Leulemia Virus)の ング・ターミナル・リピート・プロモータ (Long Terminal Repeat Promoter)、レトロウイルス プロモーター、HSPプロモーター、SRαプロモ ーター及びメタロチオネインのプロモーター 等を挙げることができる。また、ヒトCMVのIE 伝子のエンハンサーをプロモーターと共に いてもよい。

 宿主に用いる動物細胞としては、ヒト由 株細胞のHEK293(ヒト胎児腎細胞、ATCC:CRL-1573) Namalwa(バーキットリンパ腫、ATCC:CRL-1432)、HeL a(子宮頚部癌細胞、ATCC:CCL-2)HBT5637(白血病細胞 、特開昭63-299)、BALL-1(白血病細胞)及びHCT-15( 腸癌細胞)、マウス由来株細胞のSp2/0-Ag14(マ ス骨髄種細胞、ATCC:CRL-1581)及びNSO(マウス骨 種細胞)、サル由来株細胞のCOS-1(アフリカミ リザル腎細胞(SV40形質転換細胞)、ATCC:CRL-1650 )及びCOS-7(アフリカミドリザル腎細胞(SV40形質 転換細胞)、ATCC:CRL-1651)、ハムスター由来株細 胞のCHO-K1(チャイニーズハムスター卵巣細胞 ATCC:CCL-61)及びBHK-21(C-13)(シシリアンハムスタ 仔腎細胞、ATCC:CCL-10)、ラット由来株細胞のP C12(副腎褐色細胞腫、ATCC:CRL-1721)及びYB2/0(ラッ ト骨髄種細胞、ATCC:CRL-1662)等を例示すること できる。

 組換えベクターの導入方法としては、宿 にDNAを導入する方法であればいずれも用い ことができ、例えば、エレクトロポレーシ ン法(Cytotechnology,3,133,(1990).)、リン酸カルシ ム法(特開平2-22705)、リポフェクション法(Pro ceedings of the National Academy of Sciences,USA,84,74 13(1987).、Vilology,52,456(1973).)。

(iv)植物細胞を宿主として用いる場合
 宿主として植物細胞又は植物個体を用いる 合、公知の方法(組織培養,20(1994).、組織培 ,21(1995).、Trends in Biotechnology,15、45(1997).)に じてポリペプチドを生産することができる 発現ベクターとしては、例えば、Tiプラスミ ド、タバコモザイクウイルスベクター等を挙 げることができる。遺伝子発現に用いるプロ モーターとしては、植物細胞中で発現できる ものであればいずれも用いることができ、例 えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)の 35Sプロモーター、イネアクチン1プロモータ 等を挙げることができる。また、プロモー ーと発現させる遺伝子の間に、トウモロコ のアルコール脱水素酵素遺伝子のイントロ 1等を挿入することにより、遺伝子の発現効 をあげることもできる。

 宿主としては、ポテト、タバコ、トウモロ シ、イネ、アブラナ、大豆、トマト、ニン ン、小麦、大麦、ライ麦、アルファルファ 亜麻等の植物細胞が例示される。
 組換えベクターの導入方法としては、宿主 DNAを導入する方法であればいずれも用いる とができ、例えば、アグロバクテリウム(Agr obacterium)を用いる方法(特開昭59-140885、特開昭 60-70080、WO94/00977)、エレクトロポレーション (特開昭60-251887)、パーティクルガン(遺伝子 )法(特許第2606856号、特許第2517813号)等を挙げ ることができる。

(v)昆虫細胞を宿主として用いる場合
 宿主として昆虫細胞を用いる場合、トラン ファーベクターとしては、例えば、pVL1392、 pVL1393、pBlueBacIII(インビトロジェン社製)等が 感染用ウイルスとしては、例えば、ヨトウ 科昆虫に感染するバキュロウイルス(Baculovir us)Autographa california nuclear polyhedrosis virus(AcMN PV)Bac-N-Blue DNA等が挙げられる。昆虫細胞の形 質転換の方法は、例えば、Baculovirus Expression Vector:A Laboratory Manual(1992)(W.H.Freeman and Compan y)、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Editio n(1989)(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、Current  Protocols in Molecular Biology(1994)(Wiley-Interscience) BioTechnology,6,47(1988).等に記載の方法が用いら れる。

 昆虫細胞培養液に目的遺伝子を含むトラン ファーベクター及び昆虫細胞への感染用の キュロウイルスDNAを添加し、組換えにより 製された目的遺伝子を発現するウイルスが 虫細胞に感染することによりポリペプチド 発現することができる。
 宿主に用いる昆虫細胞としては、Spodoptera f rugiperda(ヨトウガ)由来株細胞、Trichoplusia ni( ラクサキンウワバ)由来株細胞等が挙げられ 具体的には、S.frugiperda由来細胞としては、S f9(ATCC:CRL-1711、卵巣細胞)、Sf21(卵巣細胞)等が T.ni由来細胞株としては、High Five、BTI-TN-5B1- 4(卵細胞、インビトロジェン社製)等が例示さ れる。
 組換えベクターの導入方法としては、宿主 導入できる方法であればいずれも用いるこ ができ、例えば、リン酸カルシウム法(特開 平2-22705)、リポフェクション法(Proceedings of t he National Academy of Sciences USA,84,7413(1987).)等 挙げることができる。また、動物細胞と同 に、エレクトロポレーション法(Cytotechnology, 3,133(1990).)等も用いることができる。

(vi)培養方法
 本発明のタンパク質をコードするDNAを組み んだ組換え体ベクターを保有する形質転換 が、大腸菌、酵母、動物細胞あるいは植物 胞等の細胞の場合、各種宿主に適した通常 培養方法に従って培養し、該タンパク質を 生・蓄積させ、形質転換体又は培養液より タンパク質を回収することにより、該タン ク質を製造することができる。形質転換体 、動物個体又は植物個体の場合、各種宿主 適した通常の生育方法に従って飼育又は栽 し、該タンパク質を産生・蓄積させ、該動 個体又は植物個体より該タンパク質を回収 ることにより、該タンパク質を製造するこ ができる。
 宿主が動物個体の場合、例えば、本発明の 伝子を保有する非ヒトトランスジェニック 物を飼育し、該組換え体DNAのコードする本 明のタンパク質を該動物中に産生・蓄積さ 、該動物個体中から該タンパク質を回収す ことにより、本発明のタンパク質を製造す ことができる。動物個体中の産生・蓄積場 としては、例えば、該動物のミルク、唾液 卵等を挙げることができる。
 宿主が植物個体の場合、例えば、本発明の ンパク質をコードする遺伝子を保有するト ンスジェニック植物を栽培し、該組換え体D NAのコードする本発明のタンパク質を該植物 体中に産生・蓄積させ、植物個体中から該 リペプチドを回収することにより、本発明 タンパク質を製造することができる。
 宿主が大腸菌等の原核生物又は酵母等の真 生物である場合、例えば、本発明のタンパ 質をコードする遺伝子を保有する形質転換 を培地中で培養し、該組換え体DNAのコード る本発明のタンパク質を培養液に産生・蓄 させ、該培養液から該タンパク質を回収す ことにより、本発明のタンパク質を製造す ことができる。
 本発明のタンパク質をコードする遺伝子を 有する形質転換体を培地で培養する方法は 宿主の培養に用いられる通常の方法に従っ 行うことができる。
 大腸菌等の原核生物あるいは酵母等の真核 物を宿主として得られた形質転換体を培養 る培地としては、該生物が資化し得る炭素 、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換 の培養を効率的に行える培地であれば天然 地、合成培地のいずれを用いてもよい。

 形質転換体が大腸菌等の原核生物あるい 酵母等の真核生物である場合、得られた形 転換体を培養する培地としては、宿主が資 し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有 、形質転換体の培養を効率的に行える培地 あれば天然培地、合成培地のいずれを用い もよい。宿主が大腸菌である形質転換体を 養する際の培地としては、例えば、バクト リプトン、イーストエクストラクト及び塩 ナトリウムを含むYT培地が好ましい。

 炭素源としては、それぞれの微生物が資化 得るものであればよく、グルコース、フラ トース、スクロース、これらを含有する糖 、デンプンあるいはデンプン加水分解物等 炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸 エタノール、プロパノール等のアルコール を用いることができる。
 窒素源としては、アンモニア、塩化アンモ ウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウ 、リン酸アンモニウム等の各種無機酸や有 酸のアンモニウム塩、その他含窒素物質、 びに、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、 ーンスチープリカー、カゼイン加水分解物 大豆粕及び大豆粕加水分解物、各種発酵菌 及びその消化物等を用いることができる。
 無機塩としては、リン酸第一カリウム、リ 酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫 マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一 、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム を用いることができる。培養は、振盪培養 は深部通気攪拌培養等の好気的条件下で行 。

 培養温度は15~40℃がよく、培養時間は、通 5時間~7日間である。培養中pHは、3.0~9.0に保 する。pHの調整は、無機あるいは有機の酸、 アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム、アン モニア等を用いて行う。また培養中必要に応 じて、アンピシリンやテトラサイクリンやカ ナマイシン等の抗生物質を培地に添加しても よい。
 プロモーターとして誘導性のプロモーター 用いた発現ベクターで形質転換した微生物 培養するときには、必要に応じてインデュ サーを培地に添加してもよい。例えば、lac ロモーターを用いた発現ベクターで形質転 した形質転換体を培養するときにはイソプ ピル-β-D-チオガラクトピラノシド等を、trp ロモーターを用いた発現ベクターで形質転 した形質転換体を培養するときにはインド ルアクリル酸等を培地に添加してもよい。 伝子を導入した植物の細胞や器官は、ジャ ファーメンターを用いて大量培養すること できる。培養する培地としては、一般に使 されているムラシゲ・アンド・スクーグ(MS) 培地、ホワイト(White)培地、又はこれら培地 オーキシン、サイトカイニン等、植物ホル ンを添加した培地等を用いることができる

 本発明のタンパク質製造用形質転換体が動 細胞である場合、該細胞を培養する培地は 一般に使用されているRPMI1640培地(The Journal of the American Medical Association,199,519(1967).)、M EM培地(Science,130,432(1959).)、D-MEM培地(Virology,8,39 6(1959).)、199培地(Proceedings of the Society for th e Biological Medicine,73,1(1950).)又はこれら培地に 牛胎児血清(FCS)等を添加した培地等が用いら る。
 培養は、通常pH6~8、25~40℃、5% CO 2 存在下等の条件で1~7日間行う。また培養中必 要に応じて、カナマイシン、ペニシリン、ス トレプトマイシン等の抗生物質を培地に添加 してもよい。
 形質転換体が昆虫細胞である場合、培養す 培地としては、一般に使用されているTNM-FH 地(ファーミンジェン社製)、Sf-900II SFM培地( インビトロジェン社製)、ExCell400、ExCell405(JRH イオサイエンシーズ社製)、Grace’s InsectMedi um(Nature,195,788(1962).)等を用いることができる

(vii)製造方法
 本発明のタンパク質は、形質転換体を培養 、培養液から本発明のタンパク質を単離・ 製することにより製造することができる。 発明のタンパク質の単離・精製方法は、当 分野において周知慣用の常法により行うこ ができ、例えば、酵素の単離・精製方法やS andlerらの糖転移酵素の精製方法(Methods in Enzy mology,83,458)を用いることができる。
 本発明のタンパク質が溶解性ポリペプチド して産生・蓄積される場合、上記のように 質転換体を培養した培養液を、例えば、遠 分離等の方法で細胞又は菌体と培地に分離 る。本発明のタンパク質が宿主細胞内に存 する場合、採取した細胞又は菌体をSTE溶液 の適当な緩衝液で洗浄した後、超音波、フ ンチプレス、マントンゴーリンホモジナイ ー、ダイノミル等で細胞又は菌体を破砕し 遠心分離やろ過により無細胞溶液として得 ことができる。
 本発明のタンパク質の分離・精製に用いる 衝液には界面活性剤が適量含まれていても く、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム(SDS) N-ラウロイルサルコシンナトリウム(サルコ ル)等を含んでいてもよい。
 得られた粗精製物に含まれる目的タンパク の分離・精製方法は自体公知の各種分離・ 製方法を組み合わせて行うことができる。 れらの公知の方法としては、例えば、溶媒 出法、硫酸アンモニウム等による塩析法、 析法、有機溶媒による沈殿法、限外濾過法 ゲル濾過、ジエチルアミノエチル(DEAE)-セフ ァロースクロマトグラフィー、DIAION HPA-75(三 菱化学社製)等のレジンを用いた陰イオンク マトグラフィーやイオン交換クロマトグラ ィー、S-Sepharose FF(ファルマシア社製)等のリ ジンを用いた陽イオンクロマトグラフィー、 ブチルセファロース等の疎水性クロマトグラ フィーやアフィニティークロマトグラフィー 等の各種クロマトグラフィー法、SDS-ポリア リルアミドゲル電気泳動法や等電点電気泳 法等の各種電気泳動等が例示される。

 本発明のタンパク質が不溶性ポリペプチ として産生・蓄積される場合、上記同様に 胞又は菌体を分離し、適当な方法により破 後、該ポリペプチドを含む分画を回収する 回収した試料は、ラウリル硫酸ナトリウム( SDS)やN-ラウロイルサルコシンナトリウム(サ コシル)等の界面活性剤等の可溶化剤で可溶 する。該可溶化液は、可溶化剤を含まない 殆ど含まれない濃度にまで希釈又は透析し 該ポリペプチドを正常な立体構造に構成さ た後、上記と同様の分離・精製方法により 製標品を得ることができる。

 また、本発明のタンパク質を他のタンパ 質との融合タンパク質として生産し、融合 たタンパク質に親和性をもつ物質を用いた フィニティークロマトグラフィーを利用し 精製することもできる(山川彰夫,実験医学,1 3,469-474(1995).)。融合タンパク質に使用する付 タンパク質としてはプロテインA、FLAG等が 示される(Proceedings of the National Academy of S ciences USA,86,8227(1989).、GenesDevelopment,4,1288(1990). 、特開平5-336963、特開平6-823021)。プロテインA を使用する場合、本発明のタンパク質とプロ テインAの融合タンパク質を生産し、イムノ ロブリンGを用いてアフィニティークロマト ラフィーを行うことにより精製することが きる。FLAGペプチドを使用する場合、本発明 のタンパク質とFLAGの融合タンパク質を生産 、抗FLAG抗体を用いてアフィニティークロマ グラフィーを行うことにより精製すること できる。

 本発明のタンパク質は、公知の方法に準じ 、in vitro転写・翻訳系を用いて生産するこ ができる(Journal of Biomolecular NMR,6,129-134(1995 ).、Science,242,1162-1164(1988).、The Journal of Bioche mistry,110,166-168(1991).)。
 本発明のタンパク質は、そのアミノ酸配列 基に、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカ ボニル法)、tBoc法(t-ブチルオキシカルボニル 法)等の化学合成法や市販されているペプチ 合成機器、例えば、APEX396(アドバンストケム テック社製)、433A(アプライドバイオシステム ズ社製)、PS3(プロテインテクノロジーズ社製) 、9050(パーセプティブ社製)、PSSM-8(島津製作 製)等のペプチド合成機器をにより化学合成 ることができる。
 本発明のタンパク質の構造解析は、タンパ 質化学で通常用いられる方法、例えば、遺 子クローニングのためのタンパク質構造解 (平野久著、東京化学同人発行、1993年)に記 の方法により実施可能である。本発明のタ パク質の水酸化活性は、アダマンタン骨格 有する化合物、例えば、基質であるN-(2-ア マンチル)―ベンズアミド誘導体に、本発明 タンパク質を作用させ、N-(5-ヒドロキシ-2- ダマンチル)-ベンズアミド誘導体の生産量で 検出することができる。より詳しくは、本発 明のタンパク質を発現可能な微生物を、好適 な培地で培養し、培地中に蓄積されたN-(5-ヒ ロキシ-2-アダマンチル)-ベンズアミド誘導 の蓄積量を検出する方法を用いることがで る。N-(5-ヒドロキシ-2-アダマンチル)-ベンズ ミド誘導体の検出は、例えば、本発明によ 得られるN-(5-ヒドロキシ-2-アダマンチル)-ベ ンズアミド誘導体を標準品として用いたHPLC より、行うことができる。具体的には後述 実施例に記載の方法を用いることができる

(vii)変異型ポリペプチドの作製方法
 本発明のタンパク質のアミノ酸の欠失又は 換は、出願前周知技術である部位特異的変 誘発法により実施することができる。1若し くは数個のアミノ酸が欠失又は置換は、Molecu lar Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition(1989)(Col d Spring Harbor Laboratory Press.)、Current Protocols in Molecular Biology(1994)(Wiley-Interscience)、Nucleic Acids Research,10,6487(1982).、Proceedings of the Nati onal Academy of Sciences USA,79,6409(1982).、Gene,34,31 5(1985).、Nucleic Acids research,13,4431(1985).、Proceed ings of the National Academy of Sciences USA,82,488(1 985).、Proceedings of the National Academy of Science s USA,81,5662(1984).、Science,224,1431(1984).、WO 85/008 17、Nature,316,601(1985).等に記載の方法に準じて 製することができる。

(b)本発明のタンパク質を発現可能な微生物
 本発明の製造方法において用いることので る微生物は、基質と作用させる際に、基質 作用可能な状態で本発明のタンパク質を発 可能な微生物である限り、特に限定される のではなく、例えば、本発明の遺伝子を導 した形質転換体、本発明のタンパク質を発 することが知られている天然の微生物、例 ば、バシルス属に属する微生物、好ましく バシルス・サチルス(Bacillus subtilis)、シュ ドモナス属に属する微生物、ストレプトマ セス属に属する微生物等が挙げられる。微 物中に含まれる本発明のタンパク質の量を 為的に増加させることができる点で、形質 換体であることが好ましい。

 本発明の製造方法に用いることのできる各 形質転換体を作成するために使用すること できる宿主細胞は、基質と作用可能な状態 本発明のタンパク質を発現することができ 限り、特に限定されるものではなく、例え 、通常使用される公知の微生物、例えば、 腸菌又は酵母(Saccharomyces cerevisiae)、あるい 、公知の培養細胞、例えば、脊椎動物細胞( 例えば、CHO細胞又はCOS細胞)又は昆虫細胞を げることができる。増殖速度が速く、取り いが容易な点で、大腸菌が好ましい。また 該形質転換体を作成するために使用するこ のできる発現ベクターは、基質と作用可能 状態で本発明のタンパク質を発現すること できる限り、特に限定されるものではなく 使用する宿主細胞の種類に応じて、適宜選 することができる。
 宿主細胞、発現ベクター、形質転換体、形 転換体の培養方法等については上記「(2)本 明のタンパク質の作製方法」に詳述されて る。

 本発明の製造方法において、基質と本発 のタンパク質を発現可能な微生物を作用さ る際には、休止菌体反応を用いてもよいし 生育菌体反応を用いてもよい。それぞれ公 の方法を利用することができる。休止菌体 応とは、本発明のタンパク質を発現可能な 生物を培養後、菌体の増殖を止めて、基質 添加する方法である。例えば、後述の実施 1~6に記載の方法を利用することができる。 育菌体反応とは、本発明のタンパク質を発 可能な微生物を培養しながら基質を添加す 方法である。例えば、後述の実施例7又は8 記載の方法を利用することができる。

 本発明の製造方法において、基質と
(a)本発明のタンパク質、又は該タンパク質及 び該タンパク質に電子を供給するフェレドキ シンと還元酵素からなる還元系、又は
(b)本発明のタンパク質を発現可能な微生物
の少なくとも1つを作用させる際の反応条件 以下が好ましい。
 反応温度は、本発明のタンパク質の至適温 、並びに、基質及び生成物の安定温度等を 慮して適宜決定することができ、例えば、1 0~45℃、好ましくは15~40℃、更に好ましくは20~ 40℃、特に好ましくは25~35℃で実施すること できる。
 反応pHも、本発明のタンパク質の至適pH、並 びに、基質及び生成物の安定pH等を考慮して 宜決定することができ、例えば、4~10、好ま しくは5~9、更に好ましくは6~9、特に好ましく は7~8で実施することができる。
 反応時間は、前記各種条件(すなわち、使用 する溶媒、反応温度、又は反応pH)、あるいは 、使用する基質及び本発明のタンパク質又は 微生物の種類等に応じて適宜決定することが でき、例えば、1~100時間、好ましくは5~48時間 、より好ましくは12~36時間である。
 使用する本発明のタンパク質の量は、特に 定されるものではないが、例えば、0.5~20μmo l/Lの濃度で実施することができる。

 また、本発明の製造方法では、基質と本 明のタンパク質又は本発明のタンパク質を 現可能な微生物を作用させる際に、所望に り、包接剤を添加してもよい。基質の化学 安定性や水への溶解性を増大させたり、酵 や微生物に対する基質阻害を低減させたり ることができる。該包接剤としては、ヒド キシプロピル-β-シクロデキストリン、α-シ クロデキストリン、β-シクロデキストリン、 γ-シクロデキストリン、メチル-β-シクロデ ストリン(Me-β-CD)が挙げられる。

 本発明の製造方法では、基質と本発明の ンパク質又は本発明のタンパク質を発現可 な微生物を作用させる際に、所望により、 酵素(例えば、NADPH又はNADH、好ましくはNADPH) を共存させることができ、更に、前記補酵素 の再生系を共存させることができる。本発明 の製造方法では、使用する本発明のタンパク 質の種類に応じて、適当な補酵素を共存させ ることにより、その反応性を向上させること ができる。

 また、反応の進行に伴って、補酵素が消費 れる(例えば、NAD(P)Hが消費され、NAD(P) + に変換される)ため、更に、前記補酵素の再 系を共存させることにより、その反応性を 上させることができる。補酵素再生系とし は、各補酵素に種々の再生系が公知であり 例えば、NAD(P)Hの再生系としては、例えば、 ルコースとグルコースデヒドロゲナーゼと 組み合わせ、ギ酸とギ酸デヒドロゲナーゼ の組み合わせ、又はプロパノールとアルコ ルデヒドロゲナーゼとの組み合わせ等を挙 ることができる。

 本発明の製造方法において共存させるこ のできるこれらの補酵素、又は補酵素再生 の添加量は、使用する基質及び本発明のタ パク質又は微生物の種類等に応じて適宜決 することができる。

 反応を停止し、その反応物から発酵生産 を採取する一般的な方法に準じて、アダマ タン骨格を有する化合物の水酸化体、例え 、N-(5-ヒドロキシ-2-アダマンチル)-ベンズア ミド誘導体の分離を行うのがよい。具体的に は、例えば、溶媒抽出、イオン交換クロマト グラフィー、活性炭処理、結晶化、膜分離等 により、アダマンタン骨格を有する化合物の 水酸化体を培地から単離することができる。

 本発明は、上記反応を行うために利用され 酵素群も含有する。具体的には、以下のタ パク質が挙げられる。
-配列番号:1記載のアミノ酸配列において1若 くは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは 加されたアミノ酸配列を含有し、かつ水酸 活性を有するタンパク質。
-配列番号:1記載のアミノ酸配列において、I77 F、L357P、A362T、F41L、I77W、M105I、T234A、F232I、F2 32L及びF232Mからなる群より選ばれる1若しくは 数個の変異を持つアミノ酸配列からなるタン パク質。
-配列番号:3記載のアミノ酸配列からなるタン パク質又は該アミノ酸配列において1若しく 数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加 れたアミノ酸配列を含有し、かつ水酸化活 を有するタンパク質。
-例えば、配列番号3記載のアミノ酸配列にお て、I77F、I77W、M105I、A196D、F232I、F232L、F232M T234A、T244A、V399E及びK702Eからなる群より選 れる1若しくは数個の変異を持つアミノ酸配 からなるタンパク質。
 これらのタンパク質は上記「本発明のタン ク質の作製方法」に記載の方法により、得 ことができる。

 また、本発明は以下の化合物も含有する。 れらの化合物は、機能性樹脂や医薬品の中 体として有用であるモノヒドロキシ-2-アダ ンタナミンの原料となるN-(5-ヒドロキシ-2- ダマンチル)-ベンズアミド誘導体の製造に有 用である。
式:

で示される化合物、その塩又はそれらの溶媒 和物。

 また、本発明は以下の化合物も含有する。 れらの化合物は、機能性樹脂や医薬品の中 体として有用であるモノヒドロキシ-2-アダ ンタナミンの製造に有用である。
式:

で示される化合物、その塩又はそれらの溶媒 和物。

 「塩」としては、例えば塩酸、硫酸、硝 又はリン酸等の無機酸の塩;パラトルエンス ルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸又は クエン酸等の有機酸の塩;アンモニウム、ト メチルアンモニウム又はトリエチルアンモ ウム等の有機塩基の塩;ナトリウム又はカリ ム等のアルカリ金属の塩;及びカルシウム又 はマグネシウム等のアルカリ土類金属の塩等 を挙げることができる。

 「溶媒和物」とは、上記化合物に対し、 意の数の溶媒分子と配位していてもよい。 ましくは水和物である。

 以下に実施例を示し、本発明をさらに詳し 説明するが、これらは本発明を限定するも ではない。
遺伝子操作的手法として、特に断らない限り Molecular Cloning :A Laboratpry Manual,2nd Edition(Cold  Spring Harbor Laboratory).に記載されている方法 を用いた。

CYP109B1を用いた休止菌体反応によるアダマン ンの水酸化
 [種培養]
 CYP109B1遺伝子(配列番号:2)が挿入された発現 クター(pET-109B1-CamA-CamB)を大腸菌(BL21(DE3))に 入し形質転換体を得た。該形質転換体をLB培 地2mlに植菌し、300rpmの往復しんとう機で37℃ 24時間培養し、種母とした。
 [本培養]
 M9mix培地(6.78g/L Na 2 HPO 4 (無水),3g/L KH 2 PO 4  ,0.5g/L NaCl,1g/L NH 4 Cl,4g/L カザミノ酸,100μM CaCl 2 )100mlを滅菌し、これに100mM FeSO 4 を100μl、2mg/ml チミンを1ml、添加した。これ メルク社製のOvernight Auto Induction System(Solut ionI 2ml,SolutionII 5ml,SolutionIII 100μl)を加え、 らに50mg/ml カルベニシリンを100μl、80mg/ml 5- アミノレブリン酸を100μl添加して本培養培地 とした。50mlの本培養培地が入った500ml広口三 角フラスコに種母を500μl植菌し、25℃、120rpm 24時間培養した。
 [生体触媒反応]
 培養液を遠心分離して上清を除き、菌体を た。菌体濃度が培養液換算で1倍、2.5倍、5 になるように菌体を25mlリン酸カリウムバッ ァー(50mM リン酸カリウム(pH7.4),10%グリセロ ル,1mM EDTA,2mM DTT,1mM D-グルコース)でそれぞ れ希釈し、縦ひだつき500ml三角フラスコに入 、反応液とした。この反応液にN-(アダマン ン-2-イル)-フタルアミド酸を終濃度5000μg/ml pH7.4になるように添加して反応を開始した 28℃、180rpmで31時間反応し、等量アセトンを 加し、逆相HPLCで分析した。その結果、表1 記載の変換率で基質がN-(5-ヒドロキシ-アダ ンタン-2-イル)-フタルアミド酸にそれぞれ変 換した。

CYP109FKを用いた休止菌体反応によるアダマン ンの水酸化
[ベクターの作成]
 アプライド マイクロバイオロジー アンド  バイオテクノロジー(Applied Microbiology and Bi otechnology)、2006年、71巻、p.455‐462を参考にCYP1 09B1とP450Rhf還元ドメインの融合蛋白(109FK)の発 現ベクターを作製した。具体的には109FK遺伝 (配列番号:4)の構築にはOverlap Extention PCR法 用いた。pET-109B1-CamA-CamBを鋳型としてプライ マー1(配列番号:7)とプライマー2(配列番号:8) 用いてPCRを実施し、またロドコッカス(Rhodoco ccus)属NCIMB9784株のゲノムを鋳型としてプライ ー3(配列番号:9)とプライマー4(配列番号:10) 用いてPCRをおこなった。次に各々のPCR産物 鋳型としてプライマー1と4を用いてPCRを実施 しクローニングベクター(pCR-BluntII-TOPO)へ挿入 した(pCR-109FK)。pCR-109FKベクターからXbaI、BamHI 109FK遺伝子を含む断片を切り出し、発現ベ ターpET21aに挿入し109FKの発現ベクターを作製 した(pET-109FK)。
 [種培養]
 pET-109FKを大腸菌(BL21(DE3))に導入し、形質転 体を得た。該形質転換体を1穴あたり500μlのL B培地が入った96穴ディープウェルプレートに 植菌し、900rpmで37℃、24時間培養し、種母と た。
 [本培養]
 実施例1記載の本培養培地を用い、1穴あた 500μlの本培養培地が入った96穴ディープウェ ルプレートに種母を1穴あたり5μl植菌し、25 、900rpmで24時間培養した。
 [生体触媒反応]
 96穴ディープウェルプレートの培養液を遠 分離して上清を除き、菌体を得た。この菌 を1mg/mlの N-(アダマンタン-2-イル)-フタルア ド酸が入った100μlリン酸カリウムバッファ (50mM リン酸カリウム(pH7.4),10%グリセロール, 1mM EDTA,2mM DTT,1mM D-グルコース)で希釈し反応 を開始した。28℃、900rpmで24時間反応した。 量アセトンを添加し、逆相HPLCで分析した結 、18%の基質がN-(5-ヒドロキシ-アダマンタン- 2-イル)-フタルアミド酸に変換された。

CYP109FK変異体を用いた休止菌体反応によるア マンタンの水酸化
[ランダム変異の導入]
 109FK遺伝子へのランダム変異導入にはError P rone PCR法を用いた。具体的にはストラタジー ン社のGeneMorph II Random Mutagenesis Kitを用いて プロトコールに従い、pET-109FKを鋳型としてプ ライマー1と4を用い変異頻度が0-4.5/kbになる うにError Prone PCRを実施した。得られたPCR断 片をXbaI及びHindIIIで制限酵素処理をしてpET21a 挿入し、発現ベクターを作製した(pET-109FKm)
[スクリーニング]
 pET-109FKmを大腸菌(BL21(DE3))に導入し、形質転 体を得た。該形質転換体として2296コロニー を採取し、各々のコロニーを1穴あたり500μl LB培地が入った96穴ディープウェルプレート 植菌し、900rpmで37℃、24時間培養し、種母と した。
 実施例1記載の本培養培地を用い、1穴あた 500μlの本培養培地が入った96穴ディープウェ ルプレートに種母を1穴あたり5μl植菌し、25 、900rpmで24時間培養した。
 96穴ディープウェルプレートの培養液を遠 分離して上清を除き、菌体を得た。この菌 を1mg/mlの N-(アダマンタン-2-イル)-フタルア ド酸が入った1mlリン酸カリウムバッファー( 50mM リン酸カリウム(pH7.4),10%グリセロール,1mM  EDTA,2mM DTT,1mM D-グルコース)で希釈し反応を 開始した。28℃、900rpmで24時間反応後、等量 セトンを添加し、逆相HPLCで分析した。その 果、91コロニーがpET-109FKを導入した形質転 体より活性が1.50倍以上向上していた。コロ ーからプラスミドを抽出しシークエンスに り変異箇所を同定した。得られた変異の中 I77とF232については、ストラタジーン社のQui ckChange II Site-Directed Mutagenesis Kitを用いた部 位特異的変異により他のアミノ酸への置換を 実施した。スクリーニングと同様の方法で各 々の変異体の活性を確認した結果、表2に記 の変異が、他の変異(例えば、表3に記載の変 異)と比べ、活性を向上させることが判明し 。

ランダム変異によるCYP109B1変異体を用いた休 菌体反応によるアダマンタンの水酸化
[ランダム変異の導入]
 CYP109B1遺伝子へのランダム変異導入にはError  Prone PCR法を用いた。具体的にはストラタジ ーン社のGeneMorph II Random Mutagenesis Kitを用い てプロトコールに従い、pET-109B1-CamA-CamBを鋳 としてプライマー1とプライマー5(配列番号:1 1)を用い変異頻度が0-4.5/kbになるようにError P rone PCRを実施した。得られたPCR断片をXbaI及 KpnIで制限酵素処理をおこない、XbaI及びKpnI 制限酵素処理をしたpET-109B1-CamA-CamBの7kbの断 に挿入し、発現ベクターを作成した(pET-109B1 m-CamA-CamB)。
[スクリーニング]
 pET-109B1m-CamA-CamBを大腸菌(BL21(DE3))に導入し、 形質転換体を得た。該形質転換体として880コ ロニーを採取し、各々のコロニーを1穴あた 500μlのLB培地が入った96穴ディープウェルプ ートに植菌し、900rpmで37℃、24時間培養し、 種母とした。
 実施例1記載の本培養培地を用い、1穴あた 500μlの本培養培地が入った96穴ディープウェ ルプレートに種母を1穴あたり5μl植菌し、25 、900rpmで24時間培養した。
 96穴ディープウェルプレートの培養液を遠 分離して上清を除き、菌体を得た。この菌 を1mg/mlの N-(アダマンタン-2-イル)-フタルア ド酸が入った500μlリン酸カリウムバッファ (50mM リン酸カリウム(pH7.4),10%グリセロール, 1mM EDTA,2mM DTT,1mM D-グルコース)で希釈し反応 を開始した。28℃、900rpmで2時間反応後、等量 アセトンを添加し、逆相HPLCで分析した。そ 結果、16コロニーがpET-109FKを導入した形質転 換体より活性が1.23倍以上向上していた。コ ニーからプラスミドを抽出しシークエンシ グにより変異箇所を同定した。スクリーニ グと同様の方法で各変異の活性を再確認し 結果、表4に記載の変異が、他の変異(例えば 、表5に記載の変異)と比べ、活性を向上させ ことが判明した。

CYP109FK変異体の変異を導入したCYP109B1変異体 用いた休止菌体反応によるアダマンタンの 酸化
 実施例3で判明した109FK遺伝子の変異の一部 CYP109B1遺伝子に導入し、実施例4のスクリー ングの方法で活性の検討をおこなった。た し、菌体は3mg/mlのN-(アダマンタン-2-イル)- タルアミド酸が入った1mlリン酸カリウムバ ファー(50mM リン酸カリウム(pH7.4),10%グリセ ール,1mM EDTA,2mM DTT,1mM D-グルコース)で希釈 、反応時間を16時間に変更した。その結果 表6に記載の変異が活性を向上させることが 明した。

一方でF232に変異を導入したCYP109B1遺伝子の活 性の確認は、実施例4のスクリーニングの方 で実施した。その結果、表7に記載の変異が 性を向上させることが判明した。

CYP109B1変異体(I77F)を用いた休止菌体反応によ アダマンタンの水酸化
[種培養]
 CYP109B1変異体(I77F)遺伝子(配列番号:5)が挿入 れた発現ベクター(pET-109B1(I77F)-CamA-CamB)を大 菌(BL21(DE3))に導入し形質転換体を得た。該 質転換体をLB培地2mlに植菌し、300rpmの往復し んとう機で37℃、24時間培養し、種母とした
[本培養]
 実施例1と同様に本培養を実施した。
[生体触媒反応]
 実施例1と同様に生態触媒反応を実施した。 反応後、等量アセトンを添加し、逆相HPLCで 析した結果、表8のような変換率で基質がN-(5 -ヒドロキシ-アダマンタン-2-イル)-フタルア ド酸にそれぞれ変換した。

 [精製]
 上記反応液をまとめて遠心分離後、上清113m lを取得した。上清40mlを5mlのHP20SSに吸着させ 0.1%ギ酸水溶液で2CV洗浄後、0.1%ギ酸、50%ア トン水溶液で溶出し、活性画分を得た。活 画分を濃縮、凍結乾燥してN-(5-ヒドロキシ- ダマンタン-2-イル)-フタルアミド酸の粉末125 mgを得た。NMRにより構造解析した結果、3.92の Hと1.71及び1.62のHとの間にNOEが観測されたこ から、Anti体100%であることが判明した。
1 H NMR(DMSO-d 6 ) δ : 8.40(1H、br.s)、7.74(1H、br.s)、7.522(1H、td J=7.5、1.1Hz)、7.461(1H、td、J=7.5、1.1Hz)、7.40(1H br.d、J=~8Hz)、 4.40(1H、 br.s)、 3.92(1H、 m)、  2.05(2H、 br.s)、 1.97(2H、 m)、 1.96(1H、 m)、 1.71(2H、br.d)、 1.62(2H、 br.d、 J=~12Hz)、 1.61(1 H、 br.s)、 1.28(2H、 br.d、 J=~12Hz)

CYP109B1変異体(I77F)を用いた生育菌体反応によ アダマンタンの水酸化
 [種培養]
 CYP109B1変異体(I77F)遺伝子(配列番号:5)が挿入 れた発現ベクター(pET-109B1(I77F)-CamA-CamB)を大 菌(BL21(DE3))に導入し形質転換体を得た。
 該形質転換体を一白金耳、50mlのLB培地が入 た500ml広口三角フラスコに植菌し、37℃、180 rpmで、5.5時間培養し、種母とした。
 [本培養]
 1LのL培地(10g/L トリプトン,5g/L 酵母エキス, 5g/L NaCl)を滅菌し、これに100mM FeSO 4 を1ml、グリセロール 20g、ヒドロキシプロピ -β-シクロデキストリン 30g、50mg/ml カルベ シリンを10ml、80mg/ml 5-アミノレブリン酸を1 0ml、2mg/ml チミンを10ml、MgCl 2  0.1g、Adecanol LG121 0.1mlを添加し、基質であ N-(アダマンタン-2-イル)-フタルアミド酸を終 濃度5000μg/mlになるように添加して本培養培 とした。1Lの本培養培地が入った3L-ミニジャ ーに種母を40ml植菌し、28℃、600rpm、pH6.5に制 して培養を開始した。培養開始6時間後にIPT Gを終濃度1mMになるように添加した。培養中 カザミノ酸、グリセロール、基質を適宜添 し、最終的に添加した基質量は30g/Lに達した 。反応開始72時間後に逆相HPLCで分析した結果 、67%の基質がN-(5-ヒドロキシ-アダマンタン-2- イル)-フタルアミド酸に変換された。

CYP109B1変異体(I77F)を用いた生育菌体反応によ アダマンタンの水酸化及びモノヒドロキシ- 2-アダマンタナミンの製造
 [ベクターの作成]
 大腸菌(Escherchia coli)JM109株由来のグリセロ ルデヒドロゲナーゼ遺伝子(配列番号:6)をpCDF Duetに挿入し、発現ベクターを構築した(pCDFD-G LD)。
 [種培養]
 pCDFD-GLD及び実施例7記載のpET-109B1(I77F)-CamA-Cam Bを大腸菌(BL21(DE3))に導入し形質転換体を得た 。該形質転換体を一白金耳、50mlのLB培地が入 った500ml広口三角フラスコに植菌し、37℃、18 0rpmで、7時間培養し、種母とした。
 [本培養]
 1LのL培地/M9(10g/L トリプトン,5g/L 酵母エキ ,6.78g/L Na 2 HPO 4 (無水),3g/L KH 2 PO 4  ,5.5g/L NaCl,1g/L NH 4 Cl)を滅菌し、これに100mM FeSO 4 を1ml、グリセロールを20g、ヒドロキシプロピ ル-β-シクロデキストリンを30g、50mg/ml カル ニシリンを1ml、50mg/ml ストレプトマイシン 1ml、80mg/ml 5-アミノレブリン酸を1ml、2mg/ml  ミンを10ml添加した。さらにメルク社製のOve rnight Auto Induction System(SolutionI 20ml,SolutionII  50ml,SolutionIII 1ml)を加え、基質であるN-(アダ ンタン-2-イル)-フタルアミド酸を終濃度5000μ g/mlになるように添加して本培養培地とした 1Lの本培養培地が入った3L-ミニジャーに種母 を40ml植菌し、28℃、500rpm、pH6.5に制御して培 を開始した。培養中、カザミノ酸、グリセ ール、基質を適宜添加し、最終的に添加し 基質量は30g/Lに達した。反応開始72時間後に 逆相HPLCで分析した結果、90%の基質がN-(5-ヒド ロキシ-アダマンタン-2-イル)-フタルアミド酸 に変換された。
[精製]
 培養液を塩酸でpH4に調整後、120℃、15分間 滅菌し保護基を脱保護した。水酸化ナトリ ム水溶液でpH7に調整後、遠心分離により、 清1.65Lを得た。上清1Lをアンモニウムイオン のダイヤイオンPK208、300mlに吸着させ、2規 アンモニア水で溶出することにより活性画 を得た。活性画分を濃縮、凍結乾燥後、100ml の水に溶解し、水酸化物イオン型のアンバー ライトIRA410、120mlに吸着させた。水で溶出し 活性画分を取得後、濃縮、凍結乾燥してモ ヒドロキシ-2-アダマンタナミンの粉末9.64g 得た。FDLA法により純度を測定した結果、モ ヒドロキシ-2-アダマンタナミンの純度は96.6 %であった。


化合物3(150mg)のジメチルホルムアミド溶液(DMF )(5ml)に、窒素雰囲気下、モノヒドロキシ-2-ア ダマンタナミン(140mg)、1-ヒドロキシベンゾト リアゾール(HOBT)(31mg)、1-(3-ジメチルアミノプ ピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(WSC)(174 mg)、トリエチルアミン(TEA)(180μl)を加え、室 で14時間攪拌した。反応終了後、2N塩酸水溶 (30ml)を加え、酢酸エチルで抽出した。有機 を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食 水の順に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥 た。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルクロ トグラフィーで精製し、化合物4(226mg)を得 。
NMR:(CDCl3);1.06(d,J=6.6Hz,6H),1.53-2.20(m,14H),3.72(s,3H),3 .98(d,J=6.6Hz,2H),6.25-6.30(m,1H),7.71(s,1H)

 本発明の方法は、機能性樹脂や医薬品の 間体として有用であるアダマンタン骨格を する化合物の水酸体の安価で高収率の製造 法として利用することができる。

配列番号:1は、CYP109B1のアミノ酸配列を示 。

配列番号:2は、実施例1で用いたCYP109B1をコ ドする遺伝子の塩基配列を示す。

配列番号:3は、CYP109FKのアミノ酸配列を示 。

配列番号:4は、CYP109FKをコードする遺伝子 塩基配列を示す。

配列番号:5は、CYP109B1変異体(I77F)をコード る遺伝子の塩基配列を示す。

配列番号:6は、大腸菌(Escherchia coli)JM109株 来のグリセロールデヒドロゲナーゼ遺伝子 示す。