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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR PRODUCING OPTICALLY ACTIVE AMINE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/005024
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for producing a chiral amine, which is characterized in that an imine compound is subjected to a hydrogen transfer-type asymmetric reduction in the presence of an iridium (III) complex having a chiral proline amide compound as a ligand and a hydrogen-donating compound. This method is useful for producing a chiral amine efficiently in both optical yield and chemical yield.

Inventors:
MAEDA SADAYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/061809
Publication Date:
January 08, 2009
Filing Date:
June 30, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HAMARI CHEMICALS LTD (JP)
MAEDA SADAYUKI (JP)
International Classes:
C07C213/02; C07C217/70; C07C303/40; C07C311/37; C07D405/04; C07B53/00
Domestic Patent References:
WO1997020789A11997-06-12
WO2002010101A12002-02-07
WO1997020789A11997-06-12
Foreign References:
JP2004504371A2004-02-12
JP2004537588A2004-12-16
JPS6327471A1988-02-05
EP0916637A11999-05-19
JPH066565B21994-01-26
JP2004537588A2004-12-16
Other References:
ANGEW. CHEM. INT. ED, vol. 42, 2003, pages 5472 - 5474
ANGEW. CHEM. INT. ED, vol. 40, 2001, pages 3425 - 3427
Attorney, Agent or Firm:
IWATANI, Ryo (1-31 Dojima 2-chome,Kita-ku, Osaka-shi, Osaka 03, JP)
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Claims:
 式[I]:
(式中、R 1 およびR 2 は、R 1 が水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、または置換基を有してもよいヘテロアリール基を示し、R 2 が置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、カルボキシル基、エステル化されたカルボキシル基、シアノ基、またはアミド基を示すか、あるいはR 1 とR 2 が末端で結合して隣接する炭素原子と一緒になって環を形成していてもよいことを示し、R 3 は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、または置換基を有してもよいシクロアルキル基を示し、R 2 とR 3 が隣接する-N=C-と一緒になって置換基を有していてもよい窒素含有複素環を形成していてもよいことを示す。)
で示されるイミン化合物をキラルなプロリンアミド類化合物を配位子とするイリジウム(III)錯体および水素供与性化合物の存在下で水素移動型の不斉還元に付すことを特徴とする式[II]:
(式中、R 1 、R 2 およびR 3 は、前記と同一意味を有し、*印は不斉炭素原子を示す。)
で示されるキラルアミンの製造方法。
 式[III]:
(式中、R 4 およびR 5 は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、または置換基を有してもよいシクロアルキル基を示すか、あるいはR 4 とR 5 が末端で結合して隣接する窒素原子と一緒になって環を形成していてもよいことを示す。)
で示されるアミンと、式[IV]:
(式中、R 6 およびR 7 は、それぞれ異なって、R 6 が置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、または置換基を有してもよいヘテロアリール基を示し、R 7 が置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、カルボキシル基、エステル化されたカルボキシル基、シアノ基、またはアミド基を示すか、あるいはR 6 とR 7 が末端で結合して隣接する炭素原子と一緒になって環を形成していてもよいことを示す。)
で示されるケトンと、式[V]:
(式中、Mはホウ素、アルミニウム、亜鉛、チタニウム、およびジルコニウムからなる群から選ばれる原子を示し、nはMの原子価を示し、Xはアルコキシ基、アリールオキシ基、アシロキシ基、スルホキシ基、トリフルオロメタンスルホキシ基、またはハロゲンを示す。)
で示される金属化合物とを反応させて、式[VI]:
(式中、R 4 、R 5 、R 6 、R 7 、M、nおよびXは、前記と同一意味を有する。)
で示されるアミノアルコール金属化合物を形成させ、ついで該アミノアルコール金属化合物をキラルなプロリンアミド類化合物を配位子とするイリジウム(III)錯体および水素供与性化合物の存在下で水素移動型の不斉還元に付すことを特徴とする式[VII]:
(式中、R 4 、R 5 、R 6 およびR 7 は、前記と同一意味を有し、*印は不斉炭素原子を示す。)
で示されるキラルアミンの製造方法。
 キラルなプロリンアミド類化合物が、式[VIII]:
(式中、R 8 は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、またはシクロアルキル基を示し、*印は不斉炭素原子を示す。)
で示される化合物である請求の範囲第1項または第2項に記載の製造方法。
 式[VIII]で示されるキラルなプロリンアミド類化合物が、(R)-プロリンアミドまたは(S)-プロリンアミドである請求の範囲第3項に記載の製造方法。
 式[VIII]で示されるキラルなプロリンアミド類化合物が、(R)-プロリンヘテロアリールアミドまたは(S)-プロリンヘテロアリールアミドである請求の範囲第3項に記載の製造方法。
 式[VIII]で示されるキラルなプロリンアミド類化合物が、(R)-N-(6-キノリニル)-2-ピロリジンカルボキサミドまたは(S)-N-(6-キノリニル)-2-ピロリジンカルボキサミドである請求の範囲第3項に記載の製造方法。
 式[VIII]で示されるキラルなプロリンアミド類化合物が、(R)-N-(2-メトキシ-3-ジベンゾフラニル)-2-ピロリジンカルボキサミドまたは(S)-N-(2-メトキシ-3-ジベンゾフラニル)-2-ピロリジンカルボキサミドである請求の範囲第3項に記載の製造方法。
 キラルなプロリンアミド類化合物を配位子とするイリジウム(III)錯体が、(S)もしくは(R)-クロロ〔(1,2,3,4-η)-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル〕〔N-(2-メトキシ-3-ジベンゾフラニル)-2-ピロリジンカルボキサミダト-κN1,κN2〕イリジウム(III)触媒、(S)もしくは(R)-クロロ〔(1,2,3,4-η)-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル〕(N-6-キノリニル-2-ピロリジンカルボキサミダト-κN1,κN2)イリジウム(III)触媒、または(S)もしくは(R)-クロロ〔(1,2,3,4-η)-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル〕(2-ピロリジンカルボキサミダト-κN1,κN2)イリジウム(III)触媒である請求の範囲第1項または第2項に記載の製造方法。
 水素供与性化合物が蟻酸である請求の範囲第1~8項のいずれかに記載の製造方法。
 式[V]で示される金属化合物が、チタニウムテトライソプロポキシドである請求の範囲第2項に記載の製造方法。
 式[I-a]:
(式中、Meはメチル基、Etはエチル基を示す。)
で示されるイミン化合物をキラルなプロリンアミド類化合物を配位子とするイリジウム(III)錯体および水素供与性化合物の存在下で水素移動型の不斉還元に付し、所望により生成物をその酸付加塩とすることを特徴とする式[II-a]:
(式中、Me、Etは前記と同一意味を有し、*印は不斉炭素原子を示す。)
で示されるタムスロシンまたはその酸付加塩の製造方法。
 (S)-N-(2-メトキシ-3-ジベンゾフラニル)-2-ピロリジンカルボキサミドまたは(R)-N-(2-メトキシ-3-ジベンゾフラニル)-2-ピロリジンカルボキサミド。
Description:
光学活性アミンの製造方法

 本発明は、光学活性アミンの新規製造法 関する。

 光学活性アミン(以下、キラルアミンともい う。)はファインケミカル、医薬品、農薬な の分野において広く利用されている重要な 合物である。
 ケトンとアミンから光学活性アミンを製造 る方法としては、ケトンとアミンとを還元 アミノ化し、得られるアミン化合物を光学 割剤(例えば、キラルなカンファースルホン 酸など)で光学分割する方法や、ケトンと光 活性α-メチルベンジルアミンとを還元的ア ノ化反応させてベンジル基を有するアミン 合物とし、ついでこのアミン化合物を分解 て光学活性アミンとする方法が知られてい 。例えば、特許文献1には、5-アセトニル-2- トキシベンゼンスルホンアミドと(R)-(+)-α-メ チルベンジルアミンとを白金触媒(酸化白金) 存在下に水素化して2R,1R-メトキシ-5-[2-(1-メ ルベンジルアミノ)プロピル]ベンゼンスル ンアミドとし、ついでこれを接触還元して(R )-メトキシ-5-(2-アミノプロピル)ベンゼンスル ホンアミドを得る方法が開示されている。

 一方、より有利な光学活性アミンの製造方 として、ケトンとアミンとから得られるイ ン化合物をキラルな金属触媒で不斉還元す 方法が知られている。例えば、特許文献2に は、ケトンとアミンとを水素供与体と触媒の 存在下に水素移動型不斉還元して光学活性ア ミンを製造する方法が開示されており、触媒 としては、例えばキラルなまたはアキラルな ホスフィンやジホスフィンリガンドと金属前 錯体を反応させて得られる金属触媒(例えば [(S-BINAP)RuCl 2 (DMF) X ],(R-TolBINAP)RuCl 2 (DMF) X ) 、[Ir(C 8 H 12 )Cl] 2 、[Ir(C 8 H 14 ) 2 Cl] 2 +R-TolBINAPなど)が用いられている。また、特許 文献3には、イミン化合物を水素供与体と下 で示される不斉ルテニウム錯体の存在下に 素移動型不斉還元して光学活性アミンを製 する方法が開示されている。
(式中、環Aはベンゼン、またはp-シメンを示 、Arはトルイル、2,4,6-トリメチルフェニル、 または1-ナフチルを示す。)

 さらに、非特許文献1には、ケトンとギ酸ア ンモニウムとを、イリジウム触媒(例えば、(1 R,2R)-1,2-ジフェニル-1,2-エチレンジアミンと[Ir (C 8 H 14 ) 2 Cl] 2 /2または[Ir(C 5 Me 5 )Cl 2 ] 2 /2とから形成される触媒)の存在下に水素移動 型不斉還元して光学活性アミンを製造する方 法が開示されている。

 しかしながら、従来の方法は、必ずしも 足できるものではなかった。例えば、非特 文献1の方法では、60~85℃という比較的高温 の反応条件が必要なためか、アミン化合物 他にアルコール化合物やN-ホルミルアミン 合物などが多量に副生するという難点があ た。また、ケトンに隣接する炭素原子がと にアルキル基であるような鎖状の単純ケト の場合では良好な光学収率を得ることは一 的に困難である(非特許文献1および2)。

特公平6-6565号公報

特表2004-537588号公報

国際公開WO97/20789号パンフレット Angew.Chem.Int.Ed,2003,42,5472-5474 Angew.Chem.Int.Ed,2001,40,3425-3427

 本発明は、従来では良い成績の得られて ない鎖状の単純ケトンを含む広範囲のケト とアミンを用いて、穏和な水素移動型不斉 元反応条件のもとで光学収率および化学収 の両面にわたってより高い選択性を有する 造方法を提供することを目的とする。

 本発明者らは、上記課題を解決するため 鋭意研究を重ねた結果、ケトンとアミンよ 製造されるイミン化合物を、またより簡便 はケトンとアミンをチタニウムアルコキシ で処理してアミノアルコールチタニウム錯 を得、これをキラルなプロリンアミドを配 子とするイリジウム(III)錯体を触媒に用い 、水素供与性化合物の存在下で水素移動型 不斉還元反応を行うことで簡便かつ高い選 性をもって、目的とする光学活性アミンが られることを見出し、この知見に基づいて らに研究を進め、本発明を完成するに至っ 。

 すなわち、本発明は、
[1] 式[I]:
(式中、R 1 およびR 2 は、R 1 が水素原子、置換基を有してもよいアルキル 基、置換基を有してもよいアリール基、置換 基を有してもよいアラルキル基、置換基を有 してもよいシクロアルキル基、または置換基 を有してもよいヘテロアリール基を示し、R 2 が置換基を有してもよいアルキル基、置換基 を有してもよいアラルキル基、置換基を有し てもよいシクロアルキル基、カルボキシル基 、エステル化されたカルボキシル基、シアノ 基、またはアミド基を示すか、あるいはR 1 とR 2 が末端で結合して隣接する炭素原子と一緒に なって環を形成していてもよいことを示し、 R 3 は、水素原子、置換基を有してもよいアルキ ル基、置換基を有してもよいアリール基、置 換基を有してもよいアラルキル基、置換基を 有してもよいヘテロアリール基、または置換 基を有してもよいシクロアルキル基を示し、 R 2 とR 3 が隣接する-N=C-と一緒になって置換基を有し いてもよい窒素含有複素環を形成していて よいことを示す。)
で示されるイミン化合物をキラルなプロリン アミド類化合物を配位子とするイリジウム(II I)錯体および水素供与性化合物の存在下で水 移動型の不斉還元に付すことを特徴とする [II]:
(式中、R 1 、R 2 およびR 3 は、前記と同一意味を有し、*印は不斉炭素 子を示す。)
で示されるキラルアミンの製造方法、
[2] 式[III]:
(式中、R 4 およびR 5 は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を 有してもよいアルキル基、置換基を有しても よいアリール基、置換基を有してもよいアラ ルキル基、置換基を有してもよいヘテロアリ ール基、または置換基を有してもよいシクロ アルキル基を示すか、あるいはR 4 とR 5 が末端で結合して隣接する窒素原子と一緒に なって環を形成していてもよいことを示す。 )
で示されるアミンと、式[IV]:
(式中、R 6 およびR 7 は、それぞれ異なって、R 6 が置換基を有してもよいアルキル基、置換基 を有してもよいアリール基、置換基を有して もよいアラルキル基、置換基を有してもよい シクロアルキル基、または置換基を有しても よいヘテロアリール基を示し、R 7 が置換基を有してもよいアルキル基、置換基 を有してもよいアリール基、置換基を有して もよいアラルキル基、置換基を有してもよい ヘテロアリール基、置換基を有してもよいシ クロアルキル基、カルボキシル基、エステル 化されたカルボキシル基、シアノ基、または アミド基を示すか、あるいはR 6 とR 7 が末端で結合して隣接する炭素原子と一緒に なって環を形成していてもよいことを示す。 )
で示されるケトンと、式[V]:
(式中、Mはホウ素、アルミニウム、亜鉛、チ ニウム、およびジルコニウムからなる群か 選ばれる原子を示し、nはMの原子価を示し Xはアルコキシ基、アリールオキシ基、アシ キシ基、スルホキシ基、トリフルオロメタ スルホキシ基、またはハロゲンを示す。)
で示される金属化合物とを反応させて、式[VI ]:
(式中、R 4 、R 5 、R 6 、R 7 、M、nおよびXは、前記と同一意味を有する。 )
で示されるアミノアルコール金属化合物を形 成させ、ついで該アミノアルコール金属化合 物をキラルなプロリンアミド類化合物を配位 子とするイリジウム(III)錯体および水素供与 化合物の存在下で水素移動型の不斉還元に すことを特徴とする式[VII]:
(式中、R 4 、R 5 、R 6 およびR 7 は、前記と同一意味を有し、*印は不斉炭素 子を示す。)
で示されるキラルアミンの製造方法、
[3] キラルなプロリンアミド類化合物が、式[ VIII]:
(式中、R 8 は、水素原子、置換基を有してもよいアルキ ル基、置換基を有してもよいアリール基、置 換基を有してもよいヘテロアリール基、置換 基を有してもよいアラルキル基、またはシク ロアルキル基を示し、※印は不斉炭素原子を 示す。)
で示される化合物である前記[1]または[2]に記 載の製造方法、
[4] 式[VIII]で示されるキラルなプロリンアミ 類化合物が、(R)-プロリンアミドまたは(S)- ロリンアミドである前記[3]に記載の製造方 、
[5] 式[VIII]で示されるキラルなプロリンアミ 類化合物が、(R)-プロリンヘテロアリールア ミドまたは(S)-プロリンヘテロアリールアミ である前記[3]に記載の製造方法、
[6] 式[VIII]で示されるキラルなプロリンアミ 類化合物が、(R)-N-(6-キノリニル)-2-ピロリジ ンカルボキサミドまたは(S)-N-(6-キノリニル)-2 -ピロリジンカルボキサミドである前記[3]に 載の製造方法、
[7] 式[VIII]で示されるキラルなプロリンアミ 類化合物が、(R)-N-(2-メトキシ-3-ジベンゾフ ニル)-2-ピロリジンカルボキサミドまたは(S) -N-(2-メトキシ-3-ジベンゾフラニル)-2-ピロリ ンカルボキサミドである前記[3]に記載の製 方法、
[8] キラルなプロリンアミド類化合物を配位 とするイリジウム(III)錯体が、(S)もしくは(R )-クロロ〔(1,2,3,4-η)-ペンタメチル-2,4-シクロ ンタジエン-1-イル〕〔N-(2-メトキシ-3-ジベ ゾフラニル)-2-ピロリジンカルボキサミダト- κN1,κN2〕イリジウム(III)触媒、(S)もしくは(R)- クロロ〔(1,2,3,4-η)-ペンタメチル-2,4-シクロペ ンタジエン-1-イル〕(N-6-キノリニル-2-ピロリ ンカルボキサミダト-κN1,κN2)イリジウム(III) 触媒、または(S)もしくは(R)-クロロ〔(1,2,3,4-η )-ペンタメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イ 〕(2-ピロリジンカルボキサミダト-κN1,κN2)イ リジウム(III)触媒である前記[1]または[2]に記 の製造方法、
[9] 水素供与性化合物が蟻酸である前記[1]~[8] に記載の製造方法、
[10] 式[V]で示される金属化合物が、チタニウ ムテトライソプロポキシドである前記[2]に記 載の製造方法、
[11] 式[I-a]:
(式中、Meはメチル基、Etはエチル基を示す。)
で示されるイミン化合物をキラルなプロリン アミド類化合物を配位子とするイリジウム(II I)錯体および水素供与性化合物の存在下で水 移動型の不斉還元に付し、所望により生成 をその酸付加塩とすることを特徴とする式[ II-a]:
(式中、Me、Etは前記と同一意味を有し、*印は 不斉炭素原子を示す。)
で示されるタムスロシンまたはその酸付加塩 の製造方法、および
[12] (S)-N-(2-メトキシ-3-ジベンゾフラニル)-2- ロリジンカルボキサミドまたは(R)-N-(2-メト シ-3-ジベンゾフラニル)-2-ピロリジンカルボ サミド、
に関する。

 本発明の製造方法によれば、鎖状の単純 トンやそのイミン化合物を含む、より広範 なケトンを原料として、簡便かつ化学選択 、光学選択性の両面において効率的に、目 とするキラルアミンを製造することが可能 なる。

 本発明によれば、下記(A)または(B)の反応ル トにより、効率的に光学活性アミンを製造 ることができる。
以下、各工程について説明する。

触媒の調製
 本反応に用いる触媒のリガンドであるキラ なプロリンアミド類化合物としては、式[VII I]:
で示される化合物、すなわち、プロリンの無 置換のアミドの他、N-置換アミド、例えばN- ルキルアミド、N-シクロアルキルアミド、N- リールアミド、N-ヘテロアリールアミド、N- アラルキルアミド、N-ヘテロアリールアルキ アミドなどが挙げられる。N-アルキルアミ における“アルキル基”としては、炭素数1~ 20の直鎖状または分枝状のアルキル基で不斉 素を含まないものが好ましく、該アルキル としては、例えばメチル基、エチル基、プ ピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソ チル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキ ル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基 デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、 キサデシル基、またはオクタデシル基など 挙げられる。N-シクロアルキルアミドにおけ る“シクロアルキル基”としては、炭素数3~7 のシクロアルキル基が好ましく、該シクロア ルキル基としては、例えばシクロプロピル基 、シクロブチル基、シクロペンチル基、シク ロヘキシル基、またはシクロヘプチル基など が挙げられる。N-アリールアミドにおける“ リール基”としては、例えば置換基を有し いてもよい炭素数6~14の芳香族炭化水素基が 挙げられ、該芳香族炭化水素基としては、例 えばフェニル基、ナフチル基、またはアント ラニル基などが挙げられる。N-ヘテロアリー アミドにおける“ヘテロアリール基”とし は、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から 択される原子を異項原子として含有する、 テロアリール基が好ましく、該ヘテロアリ ル基としては、フリル基、チエニル基、オ サゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリ 基、イソチアゾリル基、ピロリル基、イミ ゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピ ミジニル基、ピラジニル基、フタラジニル 、トリアジニル基、インドリル基、イソイ ドリル基、キノリニル基、イソキノリニル 、またはジベンゾフラニル基などが挙げら る。N-アラルキルアミドおよびN-ヘテロアリ ールアルキルアミドにおける“アラルキル基 ”および“ヘテロアリールアルキル基”とし ては、上記に例示したアリール基が置換した アルキル基およびヘテロアリール基が置換し たアルキル基が挙げられ、該アルキル基とし ては、例えばメチル基、エチル基、またはプ ロピル基などが挙げられる。前記の“アリー ル基”、“ヘテロアリール基”、“アラルキ ル基”および“シクロアルキル基”の置換基 (以下、置換基(A)という。)としては、本発明 反応を阻害しない限りどのようなものでも いが、例えばハロゲン(例えばフッ素原子、 塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子など )、炭素数1~6の直鎖状または分枝状のアルキ 基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基 イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基 tert-ブチル基、ペンチル基、またはヘキシ 基など)、炭素数5~12のアラルキル基(例えば ェニルエチル基、フェニルプロピル基、ま はナフチルメチル基など)、炭素数1~6の直鎖 または分枝状のアルコキシ基(例えばメトキ シ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロ ポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、ter t-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、またはヘ シルオキシ基など)、ハロゲン化アルキル基 (例えばモノフルオロメチル基、ジフルオロ チル基、トリフルオロメチル基、ジフルオ エチル基、トリフルオロエチル基、または リクロロメチル基など)、ハロゲン化アルコ シ基(例えばフルオロメトキシ基、ジフルオ ロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ま たはトリフルオロエトキシ基など)、水酸基 メルカプト基、ニトロ基、ニトリル基、ま はアルコキシカルボニル基などが挙げられ 。これらリガンドの中では、(R)または(S)-プ リン-N-ヘテロアリールアミドが好ましく、 りわけ、(R)-N-(6-キノリニル)-2-ピロリジンカ ルボキサミド、(S)-N-(6-キノリニル)-2-ピロリ ンカルボキサミド、(R)-N-(2-メトキシ-3-ジベ ゾフラニル)-2-ピロリジンカルボキサミドま は(S)-N-(2-メトキシ-3-ジベンゾフラニル)-2-ピ ロリジンカルボキサミドが好ましい。また、 入手の容易性に関しては無置換の(R)および(S) -プロリンアミドは市販品の入手が容易であ ことから最も優位性が高い。

 リガンドであるキラルなプロリンアミド 化合物とともに用いるイリジウム(III)錯体 しては、例えばペンタメチルシクロペンタ エニルイリジウム(III)クロリドダイマー、ア セチルアセトナトイリジウム(III)、トリス(ノ ルボルナジエン)(アセチルアセトナト)イリジ ウム(III)などが挙げられ、とりわけペンタメ ルシクロペンタジエニルイリジウム(III)ク リドダイマーが好ましい。触媒の調製は、 ラルなプロリンアミド類化合物の遊離塩基 溶媒に溶解し、これにイリジウム(III)錯体お よび塩基(例えばトリエチルアミンなど)を添 し、不活性気体(例えば、アルゴンなど)雰 気下、室温で数分から数時間攪拌すること より容易に行うことができる。

 リガンドであるキラルなプロリンアミド 化合物の使用量は、イリジウム(III)錯体が イマーである場合、該ダイマー1モルに対し 通常約2~3モル、好ましくは約2~2.2モルであ 。塩基の使用量は前記プロリンアミド類化 物に対して等モル量乃至少過剰のモル量が ましい。得られたキラルなプロリンアミド 化合物を配位子とするイリジウム(III)錯体は 、これを単離して使用してもよいが、触媒調 製液そのものを不斉還元反応溶液に添加して 反応を行ってもよい。

化合物[I]→化合物[II]
 一般式[I]で示されるイミン化合物と水素供 性化合物とをキラルなプロリンアミド類化 物を配位子とするイリジウム(III)錯体(触媒) の存在下に反応させて、水素移動型の不斉還 元を行うことにより一般式[II]で示されるキ ルアミンを製造することができる。一般式[I ]で示されるイミン化合物(以下、単に化合物[ I]ともいう。)において、R 1 、R 2 およびR 3 で示される置換基を有してもよいアルキル基 における“アルキル基”としては、炭素数1~2 0の直鎖状または分枝状のアルキル基が好ま く、例えばメチル基、エチル基、プロピル 、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル 、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、 ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル 基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル 基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキ サデシル基、またはオクサデシル基などが挙 げられる。R 1 およびR 3 で示される置換基を有してもよいアリール基 における“アリール基”としては、炭素数6~1 4の芳香族炭化水素基が好ましく、該芳香族 化水素基としては、例えばフェニル基、ナ チル基、またはアントラニル基などが挙げ れる。R 1 、R 2 およびR 3 で示される置換基を有してもよいアラルキル 基(=アリールアルキル基)における“アラルキ ル基”としては、炭素数1~3のアルキル基に前 記アリール基が置換したものが挙げられる。 具体的には、例えばベンジル基、フェニルエ チル基、フェニルプロピル基、またはナフチ ルメチル基などが挙げられる。R 1 およびR 3 で示される置換基を有してもよいヘテロアリ ール基における“ヘテロアリール基”として は、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基 、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イソチ アゾリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、 ピラゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基 、ピラジニル基、フタラジニル基、トリアジ ニル基、インドリル基、イソインドリル基、 キノリニル基、イソキノリニル基、またはジ ベンゾフラニル基などが挙げられる。R 1 、R 2 およびR 3 で示される置換基を有してもよいシクロアル キル基における“シクロアルキル基”として は、炭素数3~7のシクロアルキル基が好ましく 、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基 、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ま たはシクロヘプチル基などが挙げられる。R 1 およびR 2 で示されるエステル化されたカルボキシル基 としては、アルコキシカルボニル基(例えば トキシカルボニル基など)やアリールオキシ ルボニル基(例えばフェノキシカルボニル基 など)が挙げられる。前記した“アルキル基 、“アリール基”、“アラルキル基”、“ テロアリール基”、または“シクロアルキ 基”の置換基としては前記した置換基(A)と 様のものが挙げられる。

 R 2 とR 3 が隣接する-N=C-と共に結合して形成されてな 、置換基を有していてもよい窒素含有複素 としては、例えば、異項環原子として窒素 子の他に酸素原子または硫黄原子を含んで てもよく、また、5員環または6員環が好適 挙げられ、さらに、前記5員環または6員環と 他の環(例えば、置換基を有していてもよい ンゼン環等)とが縮合していてもよい。

 前記窒素含有複素環としては、例えば、下 式[IX]:
(式中、Xは炭素原子、酸素原子または硫黄原 を示し、環Aは置換基を有していてもよいベ ンゼン環を示す。)
で示される複素環等が好適に挙げられ、さら に具体的には1,4-ベンゾオキサジン環等がよ 好適に挙げられる。前記置換基としては、 記置換基(A)と同様のものが挙げられる。

 化合物[I]に、R 2 とR 3 が隣接する-N=C-と共に置換基を有していても い窒素含有複素環を形成している化合物を 用する場合、本発明の不斉還元により、反 は下記のように進行する。
(式中、記号は前記と同一意味を有する。)

 キラルなプロリンアミド類化合物を配位 とするイリジウム(III)錯体の使用量は、該 体がダイマーの形態である場合、化合物[I] 対して通常約0.1~約10モル%、好ましくは約0.2~ 約2モル%である。

 水素供与性化合物としては、例えば蟻酸 トリエチル蟻酸アンモニウム、または2-プ パノールなどが挙げられるが、とりわけ蟻 が好ましい。なお、蟻酸を用いるときは、 三級アミン、例えばトリエチルアミンを併 すると好ましい。本反応に用いる溶媒とし は、例えばアセトニトリル、N,N-ジメチルホ ムアミド、テトラヒドロフラン、ジメトキ エタン、ジクロロメタン、またはアルコー などの不活性溶媒が挙げられ、蟻酸-トリエ チルアミン混合物を水素供与性化合物と溶媒 をかねて用いることもできる。水素供与性化 合物の使用量は通常化合物[I]1モルに対し約1 ル~約20モル、好ましくは約4モル~約10モルで ある。溶媒の使用量は、化合物[I]1kgに対し、 通常2L~50L、好ましくは5L~25Lである。蟻酸-ト エチルアミン混合物を用いる場合、トリエ ルアミンの使用量は蟻酸1モルに対し約0.1モ ~約1モル、好ましくは約0.2モル~約0.7モルで る。

 水素移動型の不斉還元反応は、不活性気 雰囲気下の化合物[I]溶液にキラルなプロリ アミド類化合物を配位子とするイリジウム( III)錯体を添加、溶解させた後に、水素供与 化合物を滴下して反応させることにより好 に実施できる。本反応は-70℃~溶媒の還流温 、好ましくは約-10℃~約30℃で好適に行われ 通常、5分間~2時間で反応は完了する。また イミン化合物の安定性を向上させるために 水硫酸マグネシウム、無水硫酸カルシウム モレキュラーシーブス、オルト蟻酸エステ などの脱水剤を共存させて反応させてもよ 。

 上記水素移動型の不斉還元反応の例として 、下記反応式で示される反応が挙げられる

化合物[III]+化合物[IV]+化合物[V]→ 合物[VI]→化合物[VII]
 一方、ケトンとアミンとを用い、アミノア コール金属化合物を経由して水素移動型の 斉還元することによっても優れた化学選択 でキラルアミンを製造することができる。 なわち、一般式[III]で示されるアミン(以下 単に化合物[III]ともいう。)と一般式[IV]で示 されるケトン(以下、単に化合物[IV]ともいう )とを、一般式[V]で示される金属化合物(例 ばチタニウムテトライソプロポキシドなど ルイス酸)(以下、単に化合物[V]ともいう。) 存在下に反応させて、一般式[VI]で示される ミノアルコール金属化合物(以下、単に化合 物[VI]ともいう。)を形成させ、次いで、該ア ノアルコール金属化合物を前記キラルなプ リンアミド類化合物を配位子とするイリジ ム(III)錯体および前記水素供与性化合物の 在下に反応させることにより、一般式[VII]で 示されるキラルアミン(以下、単に化合物[VII] ともいう。)を製造することができる。

 ケトンとアミンの混合物に前記触媒およ 前記水素供与性化合物を添加して還元アミ 化反応を行った場合、主生成物はケトンが に還元されたアルコール化合物であるが、 ミノアルコール金属化合物を経由させるこ によりアルコールの副生を皆無乃至痕跡量 まで抑えることができる。

 化合物[III]において、R 4 およびR 5 で示される置換基を有してもよいアルキル基 における“アルキル基”としては、炭素数1~2 0の直鎖状または分枝状のアルキル基が好ま く、例えばメチル基、エチル基、プロピル 、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル 、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、 ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル 基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル 基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキ サデシル基、またはオクサデシル基などが挙 げられる。R 4 およびR 5 で示される置換基を有してもよいアリール基 における“アリール基”としては、炭素数6~1 4の芳香族炭化水素基が好ましく、該芳香族 化水素基としては、例えばフェニル基、ナ チル基、またはアントラニル基などが挙げ れる。R 4 およびR 5 で示される置換基を有してもよいアラルキル 基における“アラルキル基”としては、炭素 数1~3のアルキル基に前記アリール基が置換し たものが挙げられる。具体的には、例えばベ ンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロ ピル基、またはナフチルメチル基などが挙げ られる。R 4 およびR 5 で示される置換基を有してもよいヘテロアリ ール基における“ヘテロアリール基”として は、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基 、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イソチ アゾリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、 ピラゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基 、ピラジニル基、フタラジニル基、トリアジ ニル基、インドリル基、イソインドリル基、 キノリニル基、イソキノリニル基、またはジ ベンゾフラニル基などが挙げられる。R 4 およびR 5 で示される置換基を有してもよいシクロアル キル基における“シクロアルキル基”として は、炭素数3~7のシクロアルキル基が好ましく 、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基 、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ま たはシクロヘプチル基などが挙げられる。前 記した“アルキル基”、“アリール基”、“ アラルキル基”、“ヘテロアリール基”、ま たは“シクロアルキル基”の置換基としては 前記した置換基(A)と同様のものが挙げられる 。

 化合物[IV]において、R 6 およびR 7 で示される置換基を有してもよいアルキル基 における“アルキル基”としては、炭素数1~2 0の直鎖状または分枝状のアルキル基が好ま く、例えばメチル基、エチル基、プロピル 、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル 、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、 ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル 基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル 基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキ サデシル基、またはオクサデシル基などが挙 げられる。R 6 およびR 7 で示される置換基を有してもよいアリール基 における“アリール基”としては、炭素数6~1 4の芳香族炭化水素基が好ましく、該芳香族 化水素基としては、例えばフェニル基、ナ チル基、またはアントラニル基などが挙げ れる。R 6 およびR 7 で示される置換基を有してもよいアラルキル 基(=アリールアルキル基)における“アラルキ ル基”としては、炭素数1~3のアルキル基に前 記アリール基が置換したものが挙げられる。 具体的には、例えばベンジル基、フェニルエ チル基、フェニルプロピル基、またはナフチ ルメチル基などが挙げられる。R 6 およびR 7 で示される置換基を有してもよいヘテロアリ ール基における“ヘテロアリール基”として は、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基 、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イソチ アゾリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、 ピラゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基 、ピラジニル基、フタラジニル基、トリアジ ニル基、インドリル基、イソインドリル基、 キノリニル基、イソキノリニル基、またはジ ベンゾフラニル基などが挙げられる。R 7 で示される置換基を有してもよいシクロアル キル基における“シクロアルキル基”として は、炭素数3~7のシクロアルキル基が好ましく 、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基 、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ま たはシクロヘプチル基などが挙げられる。R 6 およびR 7 で示されるエステル化されたカルボキシル基 としては、アルコキシカルボニル基(例えば トキシカルボニル基など)やアリールオキシ ルボニル基(例えばフェノキシカルボニル基 など)が挙げられる。前記した“アルキル基 、“アリール基”、“アラルキル基”、“ テロアリール基”、または“シクロアルキ 基”の置換基としては前記した置換基(A)と 様のものが挙げられる。

 化合物[V]において、Xで示されるアルコキ シ基としては、炭素数1~6の直鎖状または分枝 状アルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ 基、エトキシ基、プロポキシ基、またはイソ プロポキシ基などが挙げられる。Xで示され アリールオキシ基としては、例えばフェノ シ基などが挙げられる。Xで示されるアシロ シ基としては、例えばアセトキシ基などが げられる。Xで示されるハロゲンは、前記と 同一意味を有する。化合物[V]の好ましい例と しては、例えば三フッ化ホウ素、トリフルオ ロメタンスルホン酸亜鉛、アルミニウムトリ エトキシド、ジルコニウムテトラプロポキシ ド、チタニウムテトラエトキシド、またはチ タニウムテトライソプロポキシドなどが挙げ られ、とりわけチタニウムテトライソプロポ キシドが好ましい。

 化合物[VI]は、溶媒の存在または非存在下 で化合物[III]および化合物[IV]の混合物に、不 活性気体雰囲気中で、化合物[V]を添加し、室 温で数十分間~数時間攪拌するのみで容易に 成できる。化合物[III]の使用量は、化合物[IV ]1モルに対して通常約1モル~約20モル、好まし くは約3モル~約10モルであり、化合物[V]の使 量は、化合物[IV]1モルに対して通常約1モル~ 5モル、好ましくは約1モル~約3モルである。 溶媒としては、アセトニトリル、N,N-ジメチ ホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメ キシエタン、ジクロロメタンなどが好まし 。溶媒の使用量は、化合物[IV]1kgに対し、通 1L~50L、好ましくは2L~25Lである。

 化合物[VII]は、化合物[VI]が形成された後 前記キラルなプロリンアミド類化合物を配 子とするイリジウム(III)錯体および前記水 供与性化合物を順次添加し、水素移動型の 斉還元反応をさせることにより容易に生成 きる。キラルなプロリンアミド類化合物を 位子とするイリジウム(III)錯体の使用量は、 該錯体がダイマーの形態である場合、化合物 [IV]に対して通常約0.1~約10モル%、好ましくは 0.2~約2モル%である。水素供与性化合物の使 量は、化合物[IV]1モルに対し約1モル~約20モ 、好ましくは約3モル~約10モルである。溶媒 としては、アセトニトリル、N,N-ジメチルホ ムアミド、テトラヒドロフラン、ジメトキ エタン、ジクロロメタンなどが好ましい。 媒の使用量は、化合物[IV]1kgに対し、通常1L~5 0L、好ましくは2L~25Lである。

 また、本反応において、化合物[III]がア モニアの場合は、水素供与性化合物をかね 蟻酸アンモニウムの形で使用し、この蟻酸 ンモニウムを化合物[IV]と化合物[V]に加え、 いで前記キラルなプロリンアミド類化合物 配位子とするイリジウム(III)錯体を添加す ことによっても実施できる。該蟻酸アンモ ウムの使用量は化合物[IV]1モルに対し約1モ ~約20モル、好ましくは約3モル~約10モルであ 。反応はともに-70℃~溶媒の還流温度、好ま しくは約-10℃~約30℃で好適に行われ、通常、 数時間~数十時間で反応は完了する。

 反応後は、通常の濃縮、抽出、濾過、洗 などの処理を行うことにより容易に目的と る光学活性アミンを得ることができる。必 に応じて、結晶化や再結晶、塩酸、硫酸、 タンスルホン酸などのアキラルな酸との塩 成やその再結晶、またはキラルなマンデル 、酒石酸、ジトルオイル酒石酸、リンゴ酸 どを用いた化学的光学分割の手法などを用 ることにより光学的に純粋なキラルアミン 導くことができる。

 以下に実施例を用いて本発明を説明する 、本発明はこれらに限定されるものではな 。

 [実施例1]
(S)-N-(2-メトキシ-3-ジベンゾフラニル)-2-ピロ ジンカルボキサミドの合成
 N-(tert-ブトキシカルボニル)-S-プロリン43.1g テトラヒドロフラン500mlに溶解し、これにト リエチルアミン20.2g、ついでクロロ炭酸エチ 21.7gを加えて-5~5℃で約30分間攪拌を続けた この溶液に3-アミノ-2-メトキシジベンゾフラ ン42.6gのテトラヒドロフラン溶液を同温で約3 0分間を要して滴下し、その後15~25℃で一晩攪 拌を続け、反応させた。反応後、減圧濃縮し 残留物を酢酸エチルに溶解した。食塩水、5% 曹水、水で順次洗浄した後に減圧濃縮し、8 6.2gの(S)-1-(tert-ブトキシカルボニル)-N-(2-メト シ-3-ジベンゾフラニル)-2-ピロリジンカルボ キサミドが固形物として得られた。得られた 化合物35.0gをメタノール100mlに溶解し、氷冷 、4N-塩酸/酢酸エチル200mlを加えて一晩攪拌 続けた。析出物を濾過し、酢酸エチルで洗 、乾燥し、23.4gの(S)-N-(2-メトキシ-3-ジベンゾ フラニル)-2-ピロリジンカルボキサミドの塩 塩が白色結晶として得られた。該塩酸塩10.0g を水酸化ナトリウム水溶液で中和し酢酸エチ ルで抽出、水洗、濃縮し、酢酸エチルより再 結晶すると6.9gの遊離塩基が白色結晶として られた。

 融点:170~171℃
旋光度:[α] 20 D  -61.9°(C=0.5、MeOH)
NMR: 1 H-NMR(200MHz,CDCl 3 ):δ 1.67-1.88(2H,m),2.01-2.30(1H,m),2.98-3.19(2H,m)、3.90 -3.98(1H,m)、4.01(3H,S)、7.26-7.43(4H,m)、7.52-7.56(1H,m) 、7.82-7.86(1H,m)、8.79(1H,S)

 N-(tert-ブトキシカルボニル)-S-プロリンの わりにN-(tert-ブトキシカルボニル)-R-プロリ 用いて上記一連の操作を行うことにより(R)- N-(2-メトキシ-3-ジベンゾフラニル)-2-ピロリジ ンカルボキサミドを得ることができる。

 [実施例2]
(R)-5-[2-[[2-(2-エトキシフェノキシ)エチル]アミ ノ]プロピル]-2-メトキシベンゼンスルホンア ド・(R)-マンデル酸塩の合成

(1)(S)-クロロ〔(1,2,3,4-η)-ペンタメチル-2,4-シ ロペンタジエン-1-イル〕〔N-(2-メトキシ-3-ジ ベンゾフラニル)-2-ピロリジンカルボキサミ ト-κN1,κN2〕イリジウム(III)触媒の調製
 ペンタメチルシクロペンタジエニルイリジ ム(III)クロリドダイマー79.7mg、(S)-N-(2-メト シ-3-ジベンゾフラニル)-2-ピロリジンカルボ サミド65.2mg、トリエチルアミン22.3mgをアセ ニトリル5mlに加えてアルゴン雰囲気下に室 で約30分間攪拌し、触媒調製液が得られた

(2)(R)-5-[2-[[2-(2-エトキシフェノキシ)エチル]ア ミノ]プロピル]-2-メトキシベンゼンスルホン ミド・(R)-マンデル酸塩の合成
 2-メトキシ-5-(2-オキソプロピル)ベンゼンス ホンアミド4.87g、2-(2-エトキシフェノキシ) チルアミン3.62gおよび酢酸ナトリウム10mgを セトニトリル30mlに加えて約1時間還流下に加 熱攪拌を行った。その後、溶媒を減圧留去す ることにより、イミン化合物7.84gの粉体が得 れた。得られたイミン化合物をアセトニト ル70mlに再び溶解し、無水硫酸マグネシウム 1.0gを加えた後にアルゴン雰囲気下に-3~3℃に 却した。

 上記触媒調製液の全量を添加し同温で約3 0分間攪拌を続けた後に蟻酸/トリエチルアミ (モル比5/2)混合溶液12.0mlを滴下した。滴下 、同温で約5時間攪拌した後に徐々に室温に して一晩攪拌を続け、反応させた。反応後 溶媒を減圧留去し、残留物をメチルイソブ ルケトンに溶解し、メタンスルホン酸水溶 で抽出した。この水層を水酸化ナトリウム 溶液で弱アリカリ性とした後、遊離する油 物をメチルエチルケトンで抽出した。抽出 を飽和食塩水で洗浄、乾燥、濃縮すること より、R体が過剰な5-〔2-〔(2-(2-エトキシフ ノキシ)エチル)アミノ〕プロピル〕-2-メトキ シベンゼンスルホンアミド(粗結晶)7.96gを淡 色粉体として得た。得られた化合物を光学 性カラム(CHIRALPAC AD-H;ダイセル化学工業(株) )を用い、n-へキサン/2-プロパノール/ジエチ ルアミン(800/200/1)を溶媒として分析したとこ 、R体の光学純度は70.7%eeであった。

 次に、該粗結晶6.0gを10%含水アセトン42.0ml に溶解し、(R)-マンデル酸3.36gを加えた後に加 熱溶解し、その後15~25℃で一晩放置した。析 結晶を濾過し、アセトンで洗浄、乾燥する とにより、(R)-タムスロシン・(R)-マンデル 塩、すなわち(R)-5-[2-[[2-(2-エトキシフェノキ )エチル]アミノ]プロピル]-2-メトキシベンゼ ンスルホンアミド・(R)-マンデル酸塩4.56gを無 色結晶として得た。得られた化合物のR体の 学純度は97.0%eeであった。さらに、10%含水ア トンで再結晶することにより3.29gの精製品 得られ、このR体の光学純度は100%eeであった

旋光度:〔α〕 D 20  -31.90°(C=0.5,MeOH)
NMR: 1 H-NMR(200MHz,DMSO-d 6 ):δ 0.99-1.03(3H,d),1.23-1.30(3H,t),2.47-2.59(1H,q),2.97-3 .05(1H,q),3.10-3.30(1H,m),3.14-3.20(2H,t),3.88(3H,s),3.94-4. 04(2H,q),4.09-4.15(2H,t),4.43(2H,m),4.75(1H,s),6.82-7.43(9H, m),7.04(2H,m),7.58-7.60(1H,d).

 (R)-N-(2-メトキシ-3-ジベンゾフラニル)-2-ピ ロリジンカルボキサミドは(S)-N-(2-メトキシ-3- ジベンゾフラニル)-2-ピロリジンカルボキサ ドの場合と全く同様の方法で合成でき、(S)-N -(2-メトキシ-3-ジベンゾフラニル)-2-ピロリジ カルボキサミドの代わりに(R)-N-(2-メトキシ- 3-ジベンゾフラニル)-2-ピロリジンカルボキサ ミドおよび(S)マンデル酸を用いて上記一連の 操作を行うことにより(S)-5-[2-[[2-(2-エトキシ ェノキシ)エチル]アミノ]プロピル]-2-メトキ ベンゼンスルホンアミド・(S)-マンデル酸塩 を得ることができる。

 [実施例3]
(R)-1-(4-メトキシフェニル)-2-ベンジルアミノ ロパンの合成
(1)(R)-クロロ〔(1,2,3,4-η)-ペンタメチル-2,4-シ ロペンタジエン-1-イル〕(N-6-キノリニル-2-ピ ロリジンカルボキサミダト-κN1,κN2)イリジウ (III)触媒の調製
 ペンタメチルシクロペンタジエニルイリジ ム(III)クロリドダイマー398mg、(S)-N-6-キノリ ル-2-ピロリジンカルボキサミド253mg、トリ チルアミン111mgをアセトニトリル20mlに加え アルゴン雰囲気下に室温で約30分間攪拌し、 触媒調製液が得られた。

(2)(R)-1-(4-メトキシフェニル)-2-ベンジルアミ プロパン・メタンスルホン酸塩の合成
 4-メトキシフェニルアセトン8.21g、ベンジル アミン5.36gをトルエン50mlに溶解しp-トルエン ルホン酸50mgを加えた後に2時間脱水還流を った。反応液を減圧濃縮し、イミン化合物12 .34gが淡褐色油状物として得られた。得られ イミン化合物をアセトニトリル100mlに再び溶 解し、無水硫酸マグネシウム5.0gを加えた後 アルゴン雰囲気下に-3~3℃に冷却した。

 上記触媒調製液の全量を添加し同温で約3 0分間攪拌を続けた後に、蟻酸/トリエチルア ン(モル比5/2)混合溶液30.0mlを滴下した。滴 後、同温で約5時間攪拌した後に徐々に室温 戻して一晩攪拌を続け、反応させた。反応 、溶媒を減圧留去し、残留物をメタンスル ン酸水溶液とジイソプロピルエーテルで処 し、この水層を水酸化ナトリウム水溶液で アリカリ性とした後に酢酸エチルで抽出し 食塩水で洗浄、乾燥、濃縮することにより1 0.66gの油状物が得られた。得られた油状物を 学活性カラム(CHIRALCEL OD;ダイセル化学工業( 株)製)を用い、n-へキサン/2-プロパノール/酢 /トリフルオロ酢酸(950/50/1/1)を溶媒として分 析したところ、光学純度は83.2%eeであった。 に、該油状物9.00gをアセトニトリル80mlに溶 し、50℃に加温し、メタンスルホン酸4.07gを 々に添加し、結晶が析出した。室温まで冷 した後に析出結晶を濾過し、アセトニトリ で洗浄、乾燥し、8.67gの微黄白色結晶が得 れた。さらに、メタノールを溶媒として再 晶し、5.05gの題記化合物が無色結晶として得 られた。なお、このメタンスルホン酸塩を中 和して得られた遊離塩基の光学純度は100%eeで あった。

融点:201~203℃
旋光度:[α] 20 D  -16.6°(C=1.0、MeOH)
NMR: 1 H-NMR(200MHz,CDCl 3 ):δ 1.26-1.29(3H,d),2.68(3H,S),3.29-3.32(2H,m),3.44-3.54(1 H,m),3.77(3H,S),4.21-4.27(1H,d),4.28-4.35(1H,d),6.87-6.94(2H ,d),7.13-7.21(2H,d),7.43-7.55(5H,m)

 (S)-N-6-キノリニル-2-ピロリジンカルボキ ミドの代わりに(R)-N-6-キノリニル-2-ピロリジ ンカルボキサミド用いて上記一連の操作を行 うことにより(S)-1-(4-メトキシフェニル)-2-ベ ジルアミノプロパン・メタンスルホン酸塩 得ることができる。

 [実施例4]
(R)-1-(4-メトキシフェニル)-2-エチルアミノプ パンの合成
(1)(S)-クロロ〔(1,2,3,4-η)-ペンタメチル-2,4-シ ロペンタジエン-1-イル〕(2-ピロリジンカル キサミダト-κN1,κN2)イリジウム(III)触媒の調
 ペンタメチルシクロペンタジエニルイリジ ム(III)クロリドダイマー239mg、(S)-プロリン ミド72mg、トリエチルアミン67mgをアセトニト リル5mlに加えてアルゴン雰囲気下に室温で約 30分間攪拌し、触媒調製液が得られた。

(2)(R)-1-(4-メトキシフェニル)-2-エチルアミノ ロパンの合成
 4ーメトキシフェニルアセトン4.10g、エチル ミン塩酸塩10.2gをアセトニトリル70mlに加え 、その後トリエチルアミン12.6gを添加した に室温、封管中で一晩攪拌を続けた。チタ ウムテトライソプロポキシド14.2gを加えて室 温で約1時間攪拌し、IRスペクトルよりケトン に由来する吸収が消失した。アルゴン雰囲気 下で-3~3℃に冷却した。

 上記触媒調製液の全量および蟻酸5.18gを えて同温で約5時間攪拌した後に徐々に室温 戻して一晩攪拌を続けた。反応後、溶媒を 圧留去し、残留物を希塩酸と酢酸エチルで 理し、この酸性水層を水酸化ナトリウム水 液で弱アリカリ性とした。酢酸エチルを加 短時間攪拌した後に不溶物を吸引濾過し酢 エチルで洗浄した。濾過液の有機層を分取 食塩水で洗浄、乾燥、濃縮し、4.98gの油状 が得られた。得られた油状物には、4-メトキ シフェニルアセトンが単に還元されたアルコ ール成分は存在せず、目的のアミンの光学純 度は51.9%eeであった。次に、該油状物4.50gにジ -p-トルオイル-L-酒石酸9.09gを加えてエタノー /メタノール(1/1)混合溶媒200mlに加熱溶解さ 、その後室温まで冷却した。析出結晶を濾 しエタノールで洗浄、乾燥し、8.03gの結晶( 学純度93.3%ee)が得られた。得られた結晶をエ タノール/メタノール(1/1)で再結晶し、5.30gの 色結晶(光学純度98.2%ee)が得られた。このジ- p-トルオイル-L-酒石酸塩を水酸化ナトリウム 溶液で中和し酢酸エチルで抽出したものを 縮し、2.00gの題記化合物が油状物として得 れた。

旋光度:[α] 20 D -25.4°(C=0.5、MeOH)
NMR: 1 H-NMR(200MHz,CDCl 3 ):δ 1.02-1.09(3H,t),1.03-1.06(2H,d),2.48-2.80(4H,m),2.81-2 .91(1H,m),3.79(3H,s),6.84(2H,d)7.10(2H,d)

 (S)-プロリンアミドの代わりに(R)-プロリ アミド用いて上記一連の操作を行うことに り(S)-1-(4-メトキシフェニル)-2-エチルアミノ ロパンを得ることができる。

 [実施例5]
(3S)-7,8-ジフルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロ-4H-1,4 -ベンゾオキサジンの合成
(1)(S)-クロロ〔(1,2,3,4-η)-ペンタメチル-2,4-シ ロペンタジエン-1-イル〕(2-ピロリジンカル キサミダト-κN1,κN2)イリジウム(III)触媒の調
 ペンタメチルシクロペンタジエニルイリジ ム(III)クロリドダイマー637mg、(S)-プロリン ミド192mg、トリエチルアミン356mgをジクロロ タン20mlに加えて室温で約30分間攪拌するこ により触媒調製液が得られた。

(2)(3S)-7,8-ジフルオロ-3-メチル-2,3-ジヒドロ-4H- 1,4-ベンゾオキサジンの合成
 7,8-ジフルオロ-3-メチル-2H-1,4-ベンゾオキサ ン7.29gをジクロロメタン125mlに溶解し窒素気 流下に攪拌し-35~-30℃に冷却した。
 上記触媒調製液の全量を添加し同温で約30 間攪拌した後に蟻酸/トリエチルアミン(モル 比5/2)混合溶液30.0mlを滴下し、同温で8時間攪 すると反応は終了した。水酸化ナトリウム 溶液を加えて塩基性とした後に有機層を分 し、水洗、濃縮すると7.54gの油状物が得ら た。

 シリカゲルを用いたカラムクロマトによる 製を行い、ジクロロメタン/n-ヘキサン(1/1) 溶出されるフラクションを濃縮すると5.12gの S体が過剰な7,8-ジフルオロ-3-メチル-2,3-ジヒ ロ-4H-1,4-ベンゾオキサジンが油状物として得 られた。得られた化合物を光学活性カラム(CH IRALPAC IB;ダイセル化学工業(株)製)を用い、n- キサン/メタノール/ジエチルアミン(1000/1/1) 移動相として分析したところ、S体の光学純 度は93.2%eeであった。
NMR: 1 H-NMR(200MHz,CDCl 3 ):δ 1.19(3H,d),3.43-3.58(1H,m),3.78(1H,dd),4.28(1H,dd),6.2 1-6.31(1H,m),6.48-6.62(1H,m)

 [実施例6]
2,3-ジヒドロ-1-[3-(フェニルメトキシ)プロピル ]-5-[(2R)-2-[[2-[2-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)フ ェノキシ]エチル]アミノ]プロピル]-1H-インド ル-7-カルボニトリルの合成
(1)1-[3-(ベンジルオキシ)プロピル]-2,3-ジヒド -5-(2-オキソプロピル)-1H-インドール-7-カルボ ニトリル8.85gおよび2-[2-(2,2,2-トリフルオロエ キシ)フェノキシ]-エタナミン6.25gをトルエ 70mlに溶解し、p-トルエンスルホン酸10mgを加 た後に攪拌下に1時間脱水還流を行い、その 後、溶媒を減圧留去すると14.34gのイミン化合 物が油状物として得られた。

(2)(S)-クロロ〔(1,2,3,4-η)-ペンタメチル-2,4-シ ロペンタジエン-1-イル〕(2-ピロリジンカル キサミダト-κN1,κN2)イリジウム(III)触媒の調
 ペンタメチルシクロペンタジエニルイリジ ム(III)クロリドダイマー498mg、(S)-プロリン ミド150mg、トリエチルアミン278mgをジクロロ タン20mlに加えて室温で約30分間攪拌するこ により触媒調製液が得られた。

(3)2,3-ジヒドロ-1-[3-(フェニルメトキシ)プロピ ル]-5-[(2R)-2-[[2-[2-(2,2,2-トリフルオロエトキシ) フェノキシ]エチル]アミノ]プロピル]-1H-イン ール-7-カルボニトリルの合成
 上記イミン化合物14.10gをジクロロメタン125m lに溶解し窒素気流下に攪拌し0~5℃に冷却し 。

 上記触媒調製液の全量を添加し同温で約3 0分間攪拌した後に蟻酸/トリエチルアミン(モ ル比5/2)混合溶液16.5mlを滴下し、同温で約5時 攪拌した後に徐々に室温に戻して一晩攪拌 続けた。反応後、炭酸カリウム水溶液を加 て塩基性とした後に有機層を分取し、水洗 濃縮すると14.75gの油状物が得られた。

 シリカゲルを用いたカラムクロマトによ 精製を行い、ジクロロメタン/アセトン(5/1) 溶出されるフラクションを濃縮すると8.01g R体が過剰な2,3-ジヒドロ-1-[3-(フェニルメト シ)プロピル]-5-[(2R)-2-[[2-[2-(2,2,2-トリフルオ エトキシ)フェノキシ]エチル]アミノ]プロピ ]-1H-インドール-7-カルボニトリルが油状物 して得られた。得られた化合物を光学活性 ラム(CHIRALPAC AD-H;ダイセル化学工業(株)製)を 用い、n-へキサン/2-プロパノール/ジエチルア ミン(800/100/1)を移動相として分析したところ R体の光学純度は80.1%eeであった。

NMR: 1 H-NMR(200MHz,CDCl 3 ):δ 1.05(3H,d),1.90-2.00(2H,m),2.35-2.45(1H,m),2.55-2.65(1 H,m),2.85-2.95(3H,m),2.95-3.10(2H,m)3.54(2H,t)、3.60-3.70(4 H,m)、4.05-4.15(2H,m)、4.25-4.35(2H,m)、4.52(2H,s)、6.85 -7.10(6H,m)、7.25-7.35(5H,m)
 なお、上記80.1%eeの油状物はエタノールを溶 媒として用いてD-(-)-酒石酸塩の結晶として単 離することにより精製することができる。こ の方法で得られる2,3-ジヒドロ-1-[3-(フェニル トキシ)プロピル]-5-[(2R)-2-[[2-[2-(2,2,2-トリフ オロエトキシ)フェノキシ]エチル]アミノ]プ ロピル]-1H-インドール-7-カルボニトリル・D-(- )-酒石酸塩の光学純度は99.6%deに上昇し、その 比旋光度は[α] 25 D -7.6°(C=0.99、MeOH)であった。

 [参考例]
1-[3-(フェニルメトキシ)プロピル]-2,3-ジヒド -5-(2-オキソプロピル)-1H-インドール-7-カルボ ニトリルの合成
 5-ブロモインドリン19.80gをトルエン250mlに溶 解し、氷冷攪拌下に三塩化ホウ素ジクロロメ タン溶液(1.0M)110mlを滴下した。

 ジクロロメタンを留去しつつ徐々に昇温さ 、110℃で1時間攪拌した後に室温まで冷却し 、チオシアン酸メチル10.0mlを加えて一晩室温 で攪拌を続けた。反応後、溶媒を減圧留去し た後に得られる残留物をメタノール250mlに溶 し水酸化ナトリウム56.0gの水100ml溶液を加え て50~60℃で5時間攪拌した。冷却後、塩酸酸性 とした後に酢酸エチルで抽出し水洗、濃縮す ると14.20gの5-ブロモ-7-インドリンカルボニト ルが淡褐色粉体として得られた。
NMR: 1 H-NMR(200MHz,CDCl 3 ):δ 3.12(2H,t),3.73(2H,t),7.22-7.30(2H,m)

 5-ブロモ-7-インドリンカルボニトリル10.00g ジメチルホルムアミド 120mlに溶解し窒素雰 気下に0℃に冷却し60%水素化ナトリウム2.37g 添加した。
 30分間攪拌した後に3-ブロモプロピルベンジ ルエーテル11.32gを加えて同温で7時間攪拌を けると反応は終了した。

 反応液を水に注加し酢酸エチルで抽出した 抽出液を水洗、濃縮して得られる残留物を リカゲルを用いたカラムクロマトによる精 を行い、n-ヘキサン/ジイソプロピルエーテ (3/1)で溶出されるフラクションを濃縮する 13.45gの1-[3-(ベンジルオキシ)プロピル]-2,3-ジ ドロ-5-ブロモ-1H-インドール-7-カルボニトリ ルが油状物として得られた。
NMR: 1 H-NMR(200MHz,CDCl 3 ):δ 1.90-2.03(2H,m),2.95(2H,t),3.54-3.72(7H,m),4.51(2H,s), 7.09(1H,m)、7.20(1H,m)、7.30-7.36(5H,m)

 1-[3-(ベンジルオキシ)プロピル]-2,3-ジヒド ロ-5-ブロモ-1H-インドール-7-カルボニトリル13 .37g、トリ-n-ブチルすずメトキシド23.11g、酢 イソプロペニル7.20gをトルエン270mlに溶解し 窒素雰囲気下に室温で1時間攪拌した。

 トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラ ウム(0)0.33gと2-ジシクロヘキシルホスフィノ- 2‘-(ジメチルアミノ)ビフェニル0.57gを加えた 後に75~85℃で1.5時間攪拌を続けると反応は終 した。

 溶媒を減圧留去した後に得られる残留物を リカゲルを用いたカラムクロマトによる精 を行い、n-ヘキサン/酢酸エチル(4/1)で溶出 れるフラクションを濃縮すると11.11gの1-[3-( ンジルオキシ)プロピル]―2,3-ジヒドロ-5-(2- キソプロピル)-1H-インドール-7-カルボニトリ ルが油状物として得られた。
NMR: 1 H-NMR(200MHz,CDCl 3 ):δ 1.91-2.06(2H,m),2.17(3H,s),2.94(2H,t),3.51(2H,s),3.54 3.72(6H,m),4.52(2H,s)6.94(2H,m)、7.29-7.38(5H,m)

 本発明により医薬、ファインケミカルの 域で極めて重要な化合物群であるキラルア ンを簡便かつ高収率に製造することができ 。