Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR PRODUCING PTERIDINE COMPOUND AND METHOD FOR PRODUCING L-BIOPTERIN
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/047902
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method which enables to commercially advantageously produce a pteridine compound with high yield. Specifically disclosed is a method for producing a pteridine compound represented by the general formula (3) below, which is characterized in that an optically active epoxy aldehyde compound represented by the general formula (1) below and a pyrimidine compound represented by the general formula (2) below are condensed in a polar solvent in the presence of an acid having a pKa of not more than 4.5, and then the resulting is subjected to oxidation. (In the formulae below, R1 represents a protecting group of a hydroxy group, and R2 represents a hydrogen atom or a protecting group of a hydroxy group.)

Inventors:
SHIRO YUICHI (JP)
MURATA SHIZUAKI (JP)
IWAMATSU FUMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/002856
Publication Date:
April 16, 2009
Filing Date:
October 09, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
SHIRATORI PHARM (JP)
ASUBIO PHARMA CO LTD (JP)
SHIRO YUICHI (JP)
MURATA SHIZUAKI (JP)
IWAMATSU FUMI (JP)
International Classes:
C07D475/04
Other References:
ISHIKAWA, T.: "Product class 21: pteridines and related structures", SCIENCE OF SYNTHESIS, vol. 16, 2004, pages 1291 - 1335
MURATA, S. ET AL.: "Novel regio- and stereoselective synthesis of 6-substituted pteridines and naturally occurring L-erythro biopterin", SYNTHESIS, vol. 3, 1992, pages 303 - 8
"The Chemical Society of Japan, Kagaku Binran Kisohen", 2004, MARUZEN CO., LTD.
Attorney, Agent or Firm:
THE PATENT CORPORATE BODY ARUGA PATENT OFFICE (3-6 Nihonbashiningyocho 1-chome, Chuo-k, Tokyo 13, JP)
Download PDF:
Claims:
 下記一般式(1);
(式中、R 1 は水酸基の保護基を示す。)
で表される光学活性エポキシアルデヒド化合物と、下記一般式(2);
(式中、R 2 は水素原子又は水酸基の保護基を示す。)
で表されるピリミジン化合物とを、pKaが4.5以下の酸の存在下、極性溶媒中にて縮合し、次いで酸化することを特徴とする、下記一般式(3);
(式中、R 1 及びR 2 は上記と同義である。)
で表されるプテリジン化合物の製造方法。
 下記一般式(1);
(式中、R 1 は水酸基の保護基を示す。)
で表される光学活性エポキシアルデヒド化合物と、下記一般式(2);
(式中、R 2 は水素原子又は水酸基の保護基を示す。)
で表されるピリミジン化合物とを、pKaが4.5以下の酸の存在下、極性溶媒中にて縮合し、次いで酸化して下記一般式(3);
(式中、R 1 及びR 2 は上記と同義である。)
で表されるプテリジン化合物を得、次いで該プテリジン化合物を脱保護することを特徴とする、L-ビオプテリンの製造方法。
 酸が脂肪族カルボン酸又は無機酸である、請求項1又は2記載の製造方法。
 脂肪族カルボン酸がトリフルオロ酢酸、シュウ酸、ギ酸、アセチル酢酸、乳酸、コハク酸及びアジピン酸から選ばれる少なくとも1種である、請求項3記載の製造方法。
 無機酸が塩酸である、請求項3記載の製造方法。
 極性溶媒が非プロトン性極性溶媒である、請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
 非プロトン性溶媒がニトリル類、アミド類、ラクタム類、スルホキシド類、エーテル類、エステル類、ケトン類及びハロゲン化炭化水素類から選ばれる少なくとも1種である、請求項6記載の製造方法。
Description:
プテリジン化合物及びL-ビオプ リンの製造方法

 本発明は、L-ビオプテリン及びその前駆 であるプテリジン化合物の製造方法に関す 。

 L-ビオプテリンは、医薬化合物の合成中 体として有用な化合物であり、例えば、先 性代謝異常治療薬である塩酸サプロプテリ の重要な合成中間体として用いられている

 従来、L-ビオプテリンの製造方法として 例えば、下記の方法が知られている。すな ち、乳酸エチルを出発原料とし、下記のス ームAにしたがって5-デオキシアラビノース 導体である2,3-ジアセトキシ-4-ヒドロキシペ タナール(a1)を得、次いで該化合物(a1)にフ ニルヒドラジンを作用させてフェニルヒド ゾン(b1)を得、次いで該化合物(b1)とピリミジ ン化合物とを縮合し、酸化してアセチルプテ リジン化合物(3A)を得、そして該化合物(3A)を アセチル化してL-ビオプテリン(4)を得る方 が知られている(特許文献1参照)。

 また、酒石酸を出発原料とし、下記のス ームBにしたがって5-デオキシアラビノース( a2)を得、次いで該化合物(a2)にフェニルヒド ジンを作用させ、水酸基をアセチル化して 酸基が保護されたフェニルヒドラゾン(b2)を 、次いで該化合物(b2)とピリミジン化合物と を縮合し、酸化してアセチルプテリジン化合 物(3B)を得、そして該化合物(3B)を脱アセチル してL-ビオプテリン(4)を得る方法もある(非 許文献1参照)。

 更に、L-ラムノースを出発原料とし、下 のスキームCにしたがって5-デオキシアラビ ース(a3)を得、次いで該化合物(a3)にフェニル ヒドラジンを作用させ、水酸基をアセチル化 して水酸基が保護されたフェニルヒドラゾン (b2)を得、次いで該化合物(b2)とピリミジン化 物とを縮合し、酸化してアセチルプテリジ 化合物(3B)を得、そして該化合物(3B)を脱ア チル化してL-ビオプテリン(4)を得る方法も知 られている(特許文献2参照)。

特開平01-221380号公報

特開昭59-186986号公報 A. Fernandez et. al., J. Org. Chem., 61, 8698- 8700(1996)

 しかしながら、従来のL-ビオプテリンの 造方法には、次のような問題がある。すな ち、特許文献1に記載の製造方法においては 安価かつ容易に入手可能な乳酸エチルを出 原料として用いるが、製造工程が煩雑でか 縮合反応が低収率であって、光学分割によ 精製が必要となるために、乳酸エチルから 総収率が7.9%と極めて低くなる。また、非特 許文献1に記載の製造方法においても、安価 つ容易に入手可能な酒石酸を出発原料とし 用いるものの、特許文献1と同様に縮合反応 低収率であり、しかも酒石酸からの総収率 8.6%と低くなる。更に、特許文献2に記載の 法においては、5-デオキシアラビノース(a3) 最も効率よく製造できるが、縮合反応が低 率であり、また出発原料であるL-ラムノース が天然資源であるために大量に入手すること が困難で原料供給の安定性に欠けるという問 題もある。

 このように、従来のL-ビオプテリンの製造 法は、工業的に有利な方法とは言い難く、 のためL-ビオプテリンを工業的に有利に収率 よく得ることの可能な製造方法の創製が望ま れている。
 したがって、本発明は、L-ビオプテリン及 その前駆体であるプテリジン化合物を工業 に有利に収率よく得ることの可能な製造方 を提供することを目的とする。

 本発明者らは、上記問題点に鑑み、L-ビ プテリンの新規な合成ルートの構築を意図 て5-デオキシアラビノース又はその誘導体に 代わる中間体を探求した結果、下記式(I)で示 すように、光学活性エポキシアルデヒドが5- オキシアラビノースの等価体となり得るこ を見出した。そして、本発明者らは、光学 性エポキシアルデヒドを中間体として用い 縮合反応の条件を精査したところ、特定条 でのみ縮合反応が飛躍的に促進されること 見出した。

 すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表さ る光学活性エポキシアルデヒド化合物と、 記一般式(2)で表されるピリミジン化合物と 、pKaが4.5以下の酸の存在下、極性溶媒中に 縮合し、次いで酸化することを特徴とする 下記一般式(3)で表されるプテリジン化合物 製造方法を提供する。
 本発明はまた、当該プテリジン化合物を脱 護することを特徴とする、L-ビオプテリン 製造方法を提供する。

 (式中、R 1 は水酸基の保護基を示し、R 2 は水素原子又は水酸基の保護基を示す。)

 本発明によれば、中間体として光学活性 ポキシアルデヒド化合物を使用し、かつピ ミジン化合物との縮合反応を特定条件で行 ことで、飛躍的に縮合反応を促進させるこ ができる。その結果、L-ビオプテリン及び の前駆体であるプテリジン化合物を光学分 することなく、簡便な操作で収率よく得る とができる。しがたって、本発明の製造方 は、製造に要する労力(工程数、時間等)及び コストを大幅に軽減することができるため、 工業的規模でのL-ビオプテリン及びその前駆 であるプテリジン化合物の生産に有効であ 。

 以下、本発明について詳細に説明する。
 先ず、本明細書において使用する、各式中 記号の定義を説明する。
 R 1 における水酸基の保護基としては、例えば、 アルコキシアルキル基、アラルキルオキシア ルキル基、アルキル基、アラルキル基、アシ ル基、シリル基等が例示される。
 アルコキシアルキル基としては、炭素数2~8 アルコキシアルキル基が好適であり、特に トキシメチル基、エトキシエチル基、メト シエトキシメチル基が好適である。
 アラルキルオキシアルキル基としては、炭 数8~15(好ましくは8~12)のアラルキルオキシア ルキル基が好適である。アラルキル基は炭素 数1~6のアルキル基又はアルコキシ基で置換さ れていてもよく、例えば、メチルベンジル基 、エチルベンジル基、メトキシベンジル基等 が例示される。具体的には、ベンジルオキシ メチル基、2-ベンジルオキシエチル基、4-メ キシベンジルオキシメチル基、フェネチル キシメチル、フェネチルオキシエチル等が 示され、特にベンジルオキシメチル基が好 である。
 アルキル基としては、炭素数1~6(好ましくは 4~6)の直鎖、分岐状又は環状のアルキル基が 適である。具体的には、メチル基、エチル 、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル 、tert-ブチル基、シクロへキシル等が例示 れ、特にn-ブチル基、シクロへキシルが好適 である。
 アラルキル基としては、炭素数7~22(好まし は7~19)のアラルキル基が好適であり、アラル キル基は炭素数1~6のアルキル基又はアルコキ シ基で置換されていてもよい。具体的には、 ベンジル基、メチルベンジル基、エチルベン ジル基、4-メトキシベンジル基、フェネチル 、トリチル基、4-メトキシトリチル基、4,4 -ジメトキシトリチル基等が例示され、特に ンジル基、トリチル基が好適である。

 アシル基としては、例えば、ホルミル基;炭 素数1~12の直鎖状、分岐状又は炭素数3~10の環 のアルキル-カルボニル基(例えば、アセチ 基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブ リル基、バレリル基、ピバロイル基、ヘキ ノイル基);炭素数6~14のアリール-カルボニル (例えば、ベンゾイル基、ナフトイル基)等 例示される。
 中でも、アルキル-カルボニル基、アリール -カルボニル基が好適であり、特にアセチル 、ベンゾイル基が好適である。
 シリル基としては、トリメチルシリル(TMS) 、トリエチルシリル基、トリイソプロピル リル基、t-ブチルジメチルシリル(TBS)基、t- チルジフェニルシリル基、フェニルジメチ シリル基等が好適であり、特にt-ブチルジメ チルシリル(TBS)基が好適である。
 その他、アリル基、ベンジルオキシメチル 、テトラヒドロピラニル基、メトキシカル ニル基、9-フルオレニルメトキシカルボニ 基、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル基 ベンジルオキシカルボニル基、tert-ブトキシ カルボニル基が例示され、中でもテトラヒド ロピラニル基が好適である。
 これらの中で、R 1 における水酸基の保護基としては、アルコキ シアルキル基、シリル基が特に好適である。

 R 2 における水酸基の保護基としては、上記した R 1 と同様の基を例示することができる。中でも 、炭素数1~6(好ましくは3~6)の直鎖、分岐状又 環状のアルキル基、アリル基が好適であり 特にシクロへキシル基、n-ブチル基、ペン ル基、アリル基が好適である。

 次に、本発明の製造方法について説明す 。本発明の製造方法は、下記の反応スキー に表すことができる(スキーム1参照)。

(縮合工程)
 縮合工程は、pKaが4.5以下の酸の存在下、極 溶媒中で、上記一般式(1)で表される光学活 エポキシアルデヒド化合物(以下、「化合物 (1)」ともいう)と、上記一般式(2)で表される リミジン化合物(以下、「化合物(2)」ともい )とを縮合させて、上記一般式(5)で表される 化合物(以下、「化合物(5)」ともいう)を得る 程であるが、各試薬の添加順序は特に限定 なく、順次又は同時に添加することができ 。中でも、化合物(2)と極性溶媒との溶液中 、酸と化合物(1)とを順次添加することが好 しい。
 化合物(1)は、例えば、Tetrahedron Letters, 45,  7847-7850(2004)に記載の方法により合成すること が可能である。また、化合物(2)として、水酸 基が保護されていない無保護のピリミジン化 合物を使用することも可能である。なお、保 護基の導入は、公知の方法で行うことができ 、保護試薬の使用量は、化合物(2)に対して、 通常1~20当量、好ましくは1~2当量であり、化 物(1)においても同様である。

 本発明において使用する酸のpKaの上限は4.5 あるが、好ましくは4である。これにより、 縮合反応が飛躍的に促進され、副生物の生成 を防止することができる。また、副生物の生 成抑制の観点から、pKaの下限は-7とすること 望ましい。
 酸としては、pKaが4.5以下であれば、有機酸 無機酸又は固体酸等を特に限定なく使用す ことができる。また、かかる酸は、単独で は2種以上を組み合わせて使用することがで きる。なお、本明細書において、pKaとは、25 における酸解離定数をいい、多価の酸の場 は第1酸解離定数である。
 有機酸としては、例えば、脂肪族又は芳香 カルボン酸、脂肪族又は芳香族スルホン酸 例示され、脂肪族又は芳香族カルボン酸は 価の酸でも又は多価の酸であってもよい。 下、本発明において使用可能な酸の一例を す。

 脂肪族カルボン酸としては、例えば、トリ ルオロ酢酸、シュウ酸、ギ酸、アセチル酢 、乳酸、コハク酸、アジピン酸等が例示さ る。
 芳香族カルボン酸としては、例えば、ジフ オロ安息香酸、m-フルオロ安息香酸、p-ニト ロ安息香酸、安息香酸等が例示される。
 脂肪族スルホン酸としては、例えば、メタ スルホン酸、トリフルオロメタンスルホン 等が例示される。
 芳香族スルホン酸としては、例えば、ベン ンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等が 示される。
 固体酸としては、例えば、Dowex(ダウ・ケミ ル社製)、Nafion(デュポン社製)、DIAION(三菱化 学社製)等の酸性型イオン交換樹脂、活性白 、シリカ-アルミナ等が例示される。
 無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝 、亜硝酸等が例示される。
 これらの中でも、酸としては、脂肪族カル ン酸又は無機酸が好ましく、更にトリフル ロ酢酸、シュウ酸、ギ酸、アセチル酢酸、 酸、コハク酸、アジピン酸、塩酸が好まし 、特にギ酸、塩酸が好ましい。

 極性溶媒としては本反応を阻害しない溶媒 あれば特に限定はなく、プロトン性極性溶 でも非プロトン性極性溶媒であってもよい 極性溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わ せて使用することができる。
 非プロトン性極性溶媒としては、例えば、 セトニトリル、プロピオニトリル、ベンソ トリル等のニトリル類;ホルムアミド、N-メ ルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド 、N,N-ジメチルアセトアミド、ヘキサメチル ン酸トリアミド等のアミド類;2-ピロリドン N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリド 、ε-カプロラクタム、N-メチル-ε-カプロラ タム等のラクタム類;ジメチルスルホキシド 等のスルホキシド類;ジエチルエーテル、ジ ソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチ エチルケトン、メチルフェニルケトン等の トン類;ギ酸エチル、酢酸エチル、プロピオ ン酸エチル等のエステル類;塩化メチレン、 ロロホルム等のハロゲン化炭化水素類等が 示される。
 プロトン性極性溶媒としては、例えば、水; エタノール、プロパノール、ブタノール、ペ ンタノール、ヘキサノール等の1価アルコー 類;エチレングリコール、プロピレングリコ ル、グリセリン等の多価アルコール類;メチ ルセロソルブ、エチルセロソルブ、メトキシ プロピレングリコール、ジメトキシプロパノ ール等のセルソルブ類等が例示される。
 極性溶媒としては、副生物抑制の観点から 非プロトン性極性溶媒が好ましく、更にニ リル類、アミド類、ラクタム類、スルホキ ド類、エーテル類、エステル類、ケトン類 ハロゲン化炭化水素類が好ましい。中でも ニトリル類、とりわけアセトニトリルが副 物の抑制だけでなく、縮合反応を飛躍的に 進させることができる点で特に好ましい。

 化合物(2)の使用量は、化合物(1)に対して、 ましくは1~2当量、より好ましくは1~1.5当量 ある。
 酸の使用量は、pKaが3~4.5の酸の場合、化合 (2)に対して通常1当量以上であるが、過剰に 用することが好ましい。具体的には、化合 (2)に対して、2~20当量、更に5~15等量、特に12 ~13当量を使用することが好ましい。他方、pKa が3よりも小さい酸の場合、化合物(2)に対し 触媒量から略等量を使用することが好まし 、具体的には、化合物(2)に対して、0.05~1.2当 量、更に0.3~1当量、特に0.7~1当量を使用する とが好ましい。
 極性溶媒の使用量は、化合物(1)に対して、 ましくは5~50倍質量、より好ましくは20~30倍 量である。
 反応温度は、好ましくは0~50℃、より好まし くは20~30℃である。また、反応時間は、好ま くは0.5~24時間、より好ましくは1~2時間であ 。

 反応終了後、反応液に有機溶剤(例えば、 トルエン等の炭化水素類)及び水を加え分層 得られた有機層を水で洗浄して、有機層を 縮することで化合物(5)を得ることができる 、本発明においては、化合物(5)を単離精製 ることなく、後述の酸化工程に供すること できる。

(酸化工程)
 酸化工程は、化合物(5)を酸化して化合物(3) 得る工程である。化合物(5)の酸化は公知の 法で行うことができ、例えば、ヨウ素若し は過酸化水素の存在下、又はヨウ素及び過 化水素の共存下で、化合物(5)を脱水素して 素環内に二重結合を形成させる。
 酸化工程は、上記した縮合工程終了後に化 物(5)を単離することなく連続して行っても い。この場合、縮合反応後の反応液にヨウ 及び過酸化水素を同時に加えるか、又はヨ 素を添加した後、過酸化水素を加えて化合 (5)を脱水素反応に付することができる。ま 、縮合反応後の反応液にヨウ素又は過酸化 素を単独で添加して化合物(5)を脱水素反応 付してもよい。なお、過酸化水素は、通常 水溶液の形態で使用され、その濃度は30~35 量%である。

 ヨウ素を単独で使用する場合、ヨウ素の使 量は、化合物(1)に対して、好ましくは1.5~3 量、より好ましくは1.5~2当量である。
 過酸化水素を単独で使用する場合、過酸化 素の使用量は、化合物(1)に対して、好まし は2~10当量、より好ましくは3~5当量である。
 ヨウ素及び過酸化水素を併用する場合、ヨ 素の使用量は、化合物(1)に対して、好まし は0.1~2当量、より好ましくは0.1~1当量であり 、過酸化水素の使用量は、化合物(1)に対して 、好ましくは2~10当量、より好ましくは3~5当 である。
 反応温度は、好ましくは0~50℃、より好まし くは20~30℃である。また、反応時間は、好ま くは0.5~24時間、より好ましくは12~24時間で る。

 反応終了後、亜硫酸水素ナトリウム水溶 等の還元剤を反応液に注ぎ込み、クロロホ ム等の溶媒で抽出する。得られた有機層を 水硫酸マグネシウム等で乾燥後、ろ過する ろ液を減圧濃縮し、残渣をカラムクロマト ラフィーにより精製することで化合物(3)を 率よく得ることができる。

(脱保護工程)
 脱保護工程は、化合物(3)の-OR 1 及び-OR 2 における保護基R 1 及びR 2 を除去して、L-ビオプテリン(以下、「化合物 (4)」ともいう)を得る工程である。
 除去方法は保護基の種類により選択するこ が可能であるが、例えば、酸又は塩基の存 下、溶媒中で化合物(3)を加水分解する。
 酸としては、強酸が好適に使用され、具体 には、塩酸、硫酸等の無機酸;トリクロロ酢 酸、トリフルオロ酢酸、p-トルエンスルホン 等の有機酸が例示される。
 塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化 リウム等のアルカリ水酸化物等が例示され 。
 酸又は塩基の使用量としては、化合物(3)に して、通常0.1~20当量、好ましくは1~20当量で ある。

 溶媒としては本反応を阻害しない溶媒であ ばいずれでもよく、例えば、酢酸エチル、 酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル ;メタノール、エタノール、イソプロピルア ルコール等のアルコール類;アセトン、メチ イソブチルケトン等のケトン類;水等が例示 れる。これらは、単独で又は2種以上を組み 合わせて使用することができる。
 溶媒の使用量は、化合物(3)に対して、好ま くは3~50倍質量、より好ましくは5~20倍質量 ある。
 反応温度は、好ましくは0℃~加熱還流温度 より好ましくは室温~加熱還流温度である。 た、反応時間は、好ましくは2~24時間、より 好ましくは12~24時間である。

 反応終了後、反応液を酸又は塩基性水溶 (例えば、アンモニア水、水酸化ナトリウム 水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液)で中和 た後、析出した結晶をろ取することで化合 (4)を得ることができる。

 このように、本発明の製造方法において 、光学分割によることなく簡便な手段でプ リジン化合物及びL-ビオプテリンを収率よ 単離することが可能である。したがって、 発明の製造方法によれば、製造に要する労 (工程数、時間等)及びコストを大幅に軽減す ることができる。

 以下、本発明を実施例によって更に具体 に説明するが、本発明はこれらに限定され ものではない。

(実施例1)
 2,5,6-トリアミノ-4-シクロヘキシルオキシピ ミジン168mg(0.75mmol)をアセトニトリル5mLに溶 し、ギ酸431mg(pKa3.54、9.37mmol、12.5当量)、(2R,3 S)-エポキシ-4S-メトキシメトキシペンタナー 100mg(0.62mmol)を加え、室温下1時間縮合反応さ た。次いで、反応液にヨウ素16mg(0.06mmol)、30 %過酸化水素水354mg(3.12mmol)を加え、室温下12時 間酸化反応させた。次いで、亜硫酸水素ナト リウム水溶液を加え過剰の過酸化物を除き、 減圧留去によりアセトニトリルを除去した。 次いで、濃縮物に水を加え、クロロホルムで 抽出し、更に有機層を脱水、減圧濃縮し、橙 色の粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィ ー(SiO 2 :1.5g,酢酸エチル:メタノール=50:1)で分離精製 た。そして、黄色アモルファスとして142mgの 2-アミノ-4-シクロヘキシルオキシ-6-(1R-ヒドロ キシ-2S-メトキシメトキシ)プロピルプテリジ を収率62%で得た。

  1 H-NMR(400MHz)δ(CDCl 3 )1.25(d, 3H, J=6.0Hz), 1.30-1.50(m, 3H), 1.61-1.74(m,  3H), 1.83-1.90(m, 2H), 2.05-2.14(m, 2H), 3.28(s, 3H), 3.99(d.q., 1H, J=5.2, 6.0Hz), 4.61(d, 1H, J=7.0Hz),  4.70(d, 1H, J=7.0Hz), 4.90(d, 1H, J=5.2Hz), 5.30(t.t.,  1H, J=4.0, 5.6Hz), 5.88(br-s, 2H), 8.96(s, 1H)

(実施例2)
 ピリミジン化合物に対するギ酸の使用量を7 .5当量(259mg、5.62mmol)に代えたこと以外は、実 例1と同様の方法により2-アミノ-4-シクロヘ シルオキシ-6-(1R-ヒドロキシ-2S-メトキシメ キシ)プロピルプテリジンを収率52%で得た。 お、得られた化合物は、実施例1に記載のス ペクトルデータと一致することを確認した。

(実施例3)
 ピリミジン化合物に対するギ酸の使用量を1 4.5当量(500mg、10.9mmol)に代えたこと以外は、実 施例1と同様の方法により2-アミノ-4-シクロヘ キシルオキシ-6-(1R-ヒドロキシ-2S-メトキシメ キシ)プロピルプテリジンを収率51%で得た。 なお、得られた化合物は、実施例1に記載の ペクトルデータと一致することを確認した

(実施例4)
 2,5,6-トリアミノ-4-シクロヘキシルオキシピ ミジン168mg(0.75mmol)をアセトニトリル5mLに溶 し、シュウ酸56mg(pKa1.04、0.62mmol、0.83当量)、 (2R,3S)-エポキシ-4S-メトキシメトキシペンタナ ール100mg(0.62mmol)を加え、室温下1時間縮合反 させた。次いで、反応液にヨウ素16mg(0.06mmol) 、30%過酸化水素水354mg(3.12mmol)を加え、室温下 12時間酸化反応させた。次いで、亜硫酸水素 トリウム水溶液を加え過剰の過酸化物を除 、減圧留去によりアセトニトリルを除去し 。次いで、濃縮物に水を加え、クロロホル で抽出し、更に有機層を脱水、減圧濃縮し 橙色の粗生成物をシリカゲルクロマトグラ ィー(SiO 2 :1.5g,酢酸エチル:メタノール=50:1)で分離精製 た。そして、黄色アモルファスとして102mgの 2-アミノ-4-シクロヘキシルオキシ-6-(1R-ヒドロ キシ-2S-メトキシメトキシ)プロピルプテリジ を収率45%で得た。なお、得られた化合物は 実施例1に記載のスペクトルデータと一致す ることを確認した。

(実施例5)
 2,5,6-トリアミノ-4-シクロヘキシルオキシピ ミジン168mg(0.75mmol)をアセトニトリル5mLに溶 し、トリフルオロ酢酸85mg(pKa0.3、0.75mmol、1 量)、(2R,3S)-エポキシ-4S-メトキシメトキシペ タナール100mg(0.62mmol)を加え、室温下1時間縮 合反応させた。次いで、反応液にヨウ素16mg(0 .06mmol)、30%過酸化水素水354mg(3.12mmol)を加え、 温下12時間酸化反応させた。次いで、亜硫 水素ナトリウム水溶液を加え過剰の過酸化 を除き、減圧留去によりアセトニトリルを 去した。次いで、濃縮物に水を加え、クロ ホルムで抽出し、更に有機層を脱水、減圧 縮し、橙色の粗生成物をシリカゲルクロマ グラフィー(SiO 2 :1.5g,酢酸エチル:メタノール=50:1)で分離精製 た。そして、黄色アモルファスとして109mgの 2-アミノ-4-シクロヘキシルオキシ-6-(1R-ヒドロ キシ-2S-メトキシメトキシ)プロピルプテリジ を収率48%で得た。なお、得られた化合物は 実施例1に記載のスペクトルデータと一致す ることを確認した。

(実施例6)
 ピリミジン化合物に対するトリフルオロ酢 の使用量を0.41当量(36mg、0.31mmol)に代えたこ 以外は、実施例3と同様の方法により2-アミ -4-シクロヘキシルオキシ-6-(1R-ヒドロキシ-2S -メトキシメトキシ)プロピルプテリジンを収 49%で得た。なお、得られた化合物は、実施 1に記載のスペクトルデータと一致すること を確認した。

(実施例7)
 2,5,6-トリアミノ-4-シクロヘキシルオキシピ ミジン84mg(0.38mmol)をアセトニトリル3mLに溶 し、3N塩酸104μL(pKa-7、0.31mmol、0.82当量)、(2R,3 S)-エポキシ-4S-メトキシメトキシペンタナー 50mg(0.31mmol)を加え、室温下1時間縮合反応さ た。次いで、反応液にヨウ素8mg(0.03mmol)、30% 酸化水素水177mg(1.56mmol)を加え、室温下12時 酸化反応させた。次いで、亜硫酸水素ナト ウム水溶液を加え過剰の過酸化物を除き、 圧留去によりアセトニトリルを除去した。 いで、濃縮物に水を加え、クロロホルムで 出し、更に有機層を脱水、減圧濃縮し、橙 の粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィ (SiO 2 :1.5g,酢酸エチル:メタノール=50:1)で分離精製 た。そして、黄色アモルファスとして71mgの2 -アミノ-4-シクロヘキシルオキシ-6-(1R-ヒドロ シ-2S-メトキシメトキシ)プロピルプテリジ を収率63%で得た。なお、得られた化合物は 実施例1に記載のスペクトルデータと一致す ことを確認した。

(実施例8)
 ピリミジン化合物に対する塩酸の使用量を0 .42当量(3N塩酸52μL、0.16mmol)に代えたこと以外 、実施例5と同様の方法により2-アミノ-4-シ ロヘキシルオキシ-6-(1R-ヒドロキシ-2S-メト シメトキシ)プロピルプテリジンを収率52%で た。なお、得られた化合物は、実施例1に記 載のスペクトルデータと一致することを確認 した。

(実施例9)
 2,5,6-トリアミノ-4-シクロヘキシルオキシピ ミジン84mg(0.38mmol)を酢酸エチル3mLに溶解し ギ酸215mg(4.67mmol、12.3当量)、(2R,3S)-エポキシ-4 S-メトキシメトキシペンタナール50mg(0.31mmol) 加え、室温下1時間縮合反応させた。次いで 反応液にヨウ素8mg(0.03mmol)、30%過酸化水素水 177mg(1.56mmol)を加え、室温下12時間酸化反応さ た。次いで、亜硫酸水素ナトリウム水溶液 加え過剰の過酸化物を除いた。クロロホル で抽出し、更に有機層を脱水、減圧濃縮し 橙色の粗生成物をシリカゲルクロマトグラ ィー(SiO 2 :1.5g,酢酸エチル:メタノール=50:1)で分離精製 た。そして、黄色アモルファスとして52mgの2 -アミノ-4-シクロヘキシルオキシ-6-(1R-ヒドロ シ-2S-メトキシメトキシ)プロピルプテリジ を収率46%で得た。なお、得られた化合物は 実施例1に記載のスペクトルデータと一致す ことを確認した。

(実施例10)
 2,5,6-トリアミノ-4-ピリミジノール硫酸塩351m g(1.47mmol)、ハイドロサルファイトナトリウム3 5mgを1M水酸化ナトリウム水溶液6mLに溶解し、 酸を加えpH=7に中和した。析出した結晶をろ 取し、2,5,6-トリアミノ-4-ピリミジノールを得 た。得られた2,5,6-トリアミノ-4-ピリミジノー ルを水2mL、アセトニトリル2mL混液に懸濁させ 、ギ酸366mg(7.95mmol)、(2R,3S)-エポキシ-4S-メトキ シメトキシペンタナール196mg(1.22mmol)を加え、 室温下1時間反応縮合反応させた。次いで、 応液に30%過酸化水素水700mg(6.17mmol)を加え、 温下12時間酸化反応させた。次いで、析出し た結晶をろ取し、水洗後、50℃で一晩減圧乾 した。そして、褐色結晶として114mgの2-アミ ノ-4-ヒドロキシ-6-(1R-ヒドロキシ-2S-メトキシ トキシ)プロピルプテリジンを収率39%で得た 。

  1 H-NMR(400MHz)δ(DMSO-d 6 )1.08(d, 3H, J=6.0Hz), 3.06(s, 3H), 3.98(d.q., 1H, J= 5.6, 6.0Hz), 4.52(d, 1H, J=6.6Hz), 4.56(d, 1H, J=6.6H z), 4.61(d.d.,1H, J=4.8, 5.2Hz), 5.73(d, 1H, J=4.8Hz),  6.87(br-s, 2H), 8.72(s, 1H), 11.38(br-s, 1H)

(実施例11)
 2-アミノ-4-シクロヘキシルオキシ-6-(1R-ヒド キシ-2S-メトキシメトキシ)プロピルプテリ ン447mg(1.23mmol)をメタノール1mLに溶解し、3M塩 酸5mLを加え50℃で24時間反応させた。反応液 アンモニア水を加えpH=7に中和し、析出した 晶をろ取し、水洗後、50℃で一晩減圧乾燥 、黄土色結晶として240mgのL-ビオプテリンを 率82%で得た。

  1 H-NMR(400MHz)δ(CF 3 COOD)1.53(d, 3H, J=6.4Hz), 4.69(m, 1H), 5.43(d, 1H, J =3.6Hz), 9.23(s, 1H)

(実施例12)
 2-アミノ-4-ヒドロキシ-6-(1R-ヒドロキシ-2S-メ トキシメトキシ)プロピルプテリジン104mg(0.37m mol)を3M塩酸1mLに溶解し、50℃で4時間反応させ た。反応液にアンモニア水を加えpH=7に中和 、析出した結晶をろ取し、水洗後、50℃で一 晩減圧乾燥し、黄土色結晶として74mgのL-ビオ プテリンを収率84%で得た。なお、得られた化 合物は、実施例11に記載のスペクトルデータ 一致することを確認した。

(比較例1)
 2,5,6-トリアミノ-4-シクロヘキシルオキシピ ミジン168mg(0.75mmol)をアセトニトリル5mLに溶 し、酢酸562mg(pKa4.74、9.37mmol、12.5当量)、(2R,3 S)-エポキシ-4S-メトキシメトキシペンタナー 100mg(0.62mmol)を加え、室温下14時間縮合反応さ せた。次いで、反応液にヨウ素16mg(0.06mmol)、3 0%過酸化水素水354mg(3.12mmol)を加え、室温下24 間酸化反応させた。次いで、亜硫酸水素ナ リウム水溶液を加え過剰の過酸化物を除き 減圧留去によりアセトニトリルを除去した 次いで、濃縮物に水を加え、クロロホルム 抽出し、更に有機層を脱水、減圧濃縮し、 色の粗生成物をシリカゲルクロマトグラフ ー(SiO 2 :1.5g,酢酸エチル:メタノール=50:1)で分離精製 た。そして、黄色アモルファスとして69mgの2 -アミノ-4-シクロヘキシルオキシ-6-(1R-ヒドロ シ-2S-メトキシメトキシ)プロピルプテリジ を収率30%で得た。なお、得られた化合物は 実施例1に記載のスペクトルデータと一致す ことを確認した。

(比較例2)
 2,5,6-トリアミノ-4-シクロヘキシルオキシピ ミジン463mg(2.08mmol)をメタノール24mLに溶解し 、(2R,3S)-エポキシ-4S-メトキシメトキシペンタ ナール277mg(1.73mmol)を加え、中性条件で室温下 17時間縮合反応させた。次いで、反応液にギ 1.19g(25.9mmol)、ヨウ素540mg(2.13mmol)加え、室温 1時間酸化反応させた。次いで、亜硫酸水素 ナトリウム水溶液を加え過剰のヨウ素を除き 、減圧留去によりメタノールを除去した。次 いで、濃縮物に水を加え、クロロホルムで抽 出し、更に有機層を脱水、減圧濃縮し、橙色 の粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー (SiO 2 :10g,クロロホルム:メタノール=30:1)で分離精製 した。そして、黄色アモルファスとして203mg 2-アミノ-4-シクロヘキシルオキシ-6-(1R-ヒド キシ-2S-メトキシメトキシ)プロピルプテリ ンを収率39%で得た。なお、得られた化合物 、実施例1に記載のスペクトルデータと一致 ることを確認した。