MURATA SHIZUAKI (JP)
IWAMATSU FUMI (JP)
ASUBIO PHARMA CO LTD (JP)
SHIRO YUICHI (JP)
MURATA SHIZUAKI (JP)
IWAMATSU FUMI (JP)
MURATA, S. ET AL.: "Novel regio- and stereoselective synthesis of 6-substituted pteridines and naturally occurring L-erythro biopterin", SYNTHESIS, vol. 3, 1992, pages 303 - 8
"The Chemical Society of Japan, Kagaku Binran Kisohen", 2004, MARUZEN CO., LTD.
下記一般式(1); で表される光学活性エポキシアルデヒド化合物と、下記一般式(2); で表されるピリミジン化合物とを、pKaが4.5以下の酸の存在下、極性溶媒中にて縮合し、次いで酸化することを特徴とする、下記一般式(3); で表されるプテリジン化合物の製造方法。 |
下記一般式(1); で表される光学活性エポキシアルデヒド化合物と、下記一般式(2); で表されるピリミジン化合物とを、pKaが4.5以下の酸の存在下、極性溶媒中にて縮合し、次いで酸化して下記一般式(3); で表されるプテリジン化合物を得、次いで該プテリジン化合物を脱保護することを特徴とする、L-ビオプテリンの製造方法。 |
酸が脂肪族カルボン酸又は無機酸である、請求項1又は2記載の製造方法。 |
脂肪族カルボン酸がトリフルオロ酢酸、シュウ酸、ギ酸、アセチル酢酸、乳酸、コハク酸及びアジピン酸から選ばれる少なくとも1種である、請求項3記載の製造方法。 |
無機酸が塩酸である、請求項3記載の製造方法。 |
極性溶媒が非プロトン性極性溶媒である、請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。 |
非プロトン性溶媒がニトリル類、アミド類、ラクタム類、スルホキシド類、エーテル類、エステル類、ケトン類及びハロゲン化炭化水素類から選ばれる少なくとも1種である、請求項6記載の製造方法。 |
本発明は、L-ビオプテリン及びその前駆 であるプテリジン化合物の製造方法に関す 。
L-ビオプテリンは、医薬化合物の合成中 体として有用な化合物であり、例えば、先 性代謝異常治療薬である塩酸サプロプテリ の重要な合成中間体として用いられている
従来、L-ビオプテリンの製造方法として 例えば、下記の方法が知られている。すな ち、乳酸エチルを出発原料とし、下記のス ームAにしたがって5-デオキシアラビノース 導体である2,3-ジアセトキシ-4-ヒドロキシペ タナール(a1)を得、次いで該化合物(a1)にフ ニルヒドラジンを作用させてフェニルヒド ゾン(b1)を得、次いで該化合物(b1)とピリミジ ン化合物とを縮合し、酸化してアセチルプテ リジン化合物(3A)を得、そして該化合物(3A)を アセチル化してL-ビオプテリン(4)を得る方 が知られている(特許文献1参照)。
また、酒石酸を出発原料とし、下記のス ームBにしたがって5-デオキシアラビノース( a2)を得、次いで該化合物(a2)にフェニルヒド ジンを作用させ、水酸基をアセチル化して 酸基が保護されたフェニルヒドラゾン(b2)を 、次いで該化合物(b2)とピリミジン化合物と を縮合し、酸化してアセチルプテリジン化合 物(3B)を得、そして該化合物(3B)を脱アセチル してL-ビオプテリン(4)を得る方法もある(非 許文献1参照)。
更に、L-ラムノースを出発原料とし、下 のスキームCにしたがって5-デオキシアラビ ース(a3)を得、次いで該化合物(a3)にフェニル ヒドラジンを作用させ、水酸基をアセチル化 して水酸基が保護されたフェニルヒドラゾン (b2)を得、次いで該化合物(b2)とピリミジン化 物とを縮合し、酸化してアセチルプテリジ 化合物(3B)を得、そして該化合物(3B)を脱ア チル化してL-ビオプテリン(4)を得る方法も知 られている(特許文献2参照)。
しかしながら、従来のL-ビオプテリンの 造方法には、次のような問題がある。すな ち、特許文献1に記載の製造方法においては 安価かつ容易に入手可能な乳酸エチルを出 原料として用いるが、製造工程が煩雑でか 縮合反応が低収率であって、光学分割によ 精製が必要となるために、乳酸エチルから 総収率が7.9%と極めて低くなる。また、非特 許文献1に記載の製造方法においても、安価 つ容易に入手可能な酒石酸を出発原料とし 用いるものの、特許文献1と同様に縮合反応 低収率であり、しかも酒石酸からの総収率 8.6%と低くなる。更に、特許文献2に記載の 法においては、5-デオキシアラビノース(a3) 最も効率よく製造できるが、縮合反応が低 率であり、また出発原料であるL-ラムノース が天然資源であるために大量に入手すること が困難で原料供給の安定性に欠けるという問 題もある。
このように、従来のL-ビオプテリンの製造
法は、工業的に有利な方法とは言い難く、
のためL-ビオプテリンを工業的に有利に収率
よく得ることの可能な製造方法の創製が望ま
れている。
したがって、本発明は、L-ビオプテリン及
その前駆体であるプテリジン化合物を工業
に有利に収率よく得ることの可能な製造方
を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題点に鑑み、L-ビ プテリンの新規な合成ルートの構築を意図 て5-デオキシアラビノース又はその誘導体に 代わる中間体を探求した結果、下記式(I)で示 すように、光学活性エポキシアルデヒドが5- オキシアラビノースの等価体となり得るこ を見出した。そして、本発明者らは、光学 性エポキシアルデヒドを中間体として用い 縮合反応の条件を精査したところ、特定条 でのみ縮合反応が飛躍的に促進されること 見出した。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表さ
る光学活性エポキシアルデヒド化合物と、
記一般式(2)で表されるピリミジン化合物と
、pKaが4.5以下の酸の存在下、極性溶媒中に
縮合し、次いで酸化することを特徴とする
下記一般式(3)で表されるプテリジン化合物
製造方法を提供する。
本発明はまた、当該プテリジン化合物を脱
護することを特徴とする、L-ビオプテリン
製造方法を提供する。
(式中、R 1 は水酸基の保護基を示し、R 2 は水素原子又は水酸基の保護基を示す。)
本発明によれば、中間体として光学活性 ポキシアルデヒド化合物を使用し、かつピ ミジン化合物との縮合反応を特定条件で行 ことで、飛躍的に縮合反応を促進させるこ ができる。その結果、L-ビオプテリン及び の前駆体であるプテリジン化合物を光学分 することなく、簡便な操作で収率よく得る とができる。しがたって、本発明の製造方 は、製造に要する労力(工程数、時間等)及び コストを大幅に軽減することができるため、 工業的規模でのL-ビオプテリン及びその前駆 であるプテリジン化合物の生産に有効であ 。
以下、本発明について詳細に説明する。
先ず、本明細書において使用する、各式中
記号の定義を説明する。
R 1
における水酸基の保護基としては、例えば、
アルコキシアルキル基、アラルキルオキシア
ルキル基、アルキル基、アラルキル基、アシ
ル基、シリル基等が例示される。
アルコキシアルキル基としては、炭素数2~8
アルコキシアルキル基が好適であり、特に
トキシメチル基、エトキシエチル基、メト
シエトキシメチル基が好適である。
アラルキルオキシアルキル基としては、炭
数8~15(好ましくは8~12)のアラルキルオキシア
ルキル基が好適である。アラルキル基は炭素
数1~6のアルキル基又はアルコキシ基で置換さ
れていてもよく、例えば、メチルベンジル基
、エチルベンジル基、メトキシベンジル基等
が例示される。具体的には、ベンジルオキシ
メチル基、2-ベンジルオキシエチル基、4-メ
キシベンジルオキシメチル基、フェネチル
キシメチル、フェネチルオキシエチル等が
示され、特にベンジルオキシメチル基が好
である。
アルキル基としては、炭素数1~6(好ましくは
4~6)の直鎖、分岐状又は環状のアルキル基が
適である。具体的には、メチル基、エチル
、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル
、tert-ブチル基、シクロへキシル等が例示
れ、特にn-ブチル基、シクロへキシルが好適
である。
アラルキル基としては、炭素数7~22(好まし
は7~19)のアラルキル基が好適であり、アラル
キル基は炭素数1~6のアルキル基又はアルコキ
シ基で置換されていてもよい。具体的には、
ベンジル基、メチルベンジル基、エチルベン
ジル基、4-メトキシベンジル基、フェネチル
、トリチル基、4-メトキシトリチル基、4,4
-ジメトキシトリチル基等が例示され、特に
ンジル基、トリチル基が好適である。
アシル基としては、例えば、ホルミル基;炭
素数1~12の直鎖状、分岐状又は炭素数3~10の環
のアルキル-カルボニル基(例えば、アセチ
基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブ
リル基、バレリル基、ピバロイル基、ヘキ
ノイル基);炭素数6~14のアリール-カルボニル
(例えば、ベンゾイル基、ナフトイル基)等
例示される。
中でも、アルキル-カルボニル基、アリール
-カルボニル基が好適であり、特にアセチル
、ベンゾイル基が好適である。
シリル基としては、トリメチルシリル(TMS)
、トリエチルシリル基、トリイソプロピル
リル基、t-ブチルジメチルシリル(TBS)基、t-
チルジフェニルシリル基、フェニルジメチ
シリル基等が好適であり、特にt-ブチルジメ
チルシリル(TBS)基が好適である。
その他、アリル基、ベンジルオキシメチル
、テトラヒドロピラニル基、メトキシカル
ニル基、9-フルオレニルメトキシカルボニ
基、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル基
ベンジルオキシカルボニル基、tert-ブトキシ
カルボニル基が例示され、中でもテトラヒド
ロピラニル基が好適である。
これらの中で、R 1
における水酸基の保護基としては、アルコキ
シアルキル基、シリル基が特に好適である。
R 2 における水酸基の保護基としては、上記した R 1 と同様の基を例示することができる。中でも 、炭素数1~6(好ましくは3~6)の直鎖、分岐状又 環状のアルキル基、アリル基が好適であり 特にシクロへキシル基、n-ブチル基、ペン ル基、アリル基が好適である。
次に、本発明の製造方法について説明す 。本発明の製造方法は、下記の反応スキー に表すことができる(スキーム1参照)。
(縮合工程)
縮合工程は、pKaが4.5以下の酸の存在下、極
溶媒中で、上記一般式(1)で表される光学活
エポキシアルデヒド化合物(以下、「化合物
(1)」ともいう)と、上記一般式(2)で表される
リミジン化合物(以下、「化合物(2)」ともい
)とを縮合させて、上記一般式(5)で表される
化合物(以下、「化合物(5)」ともいう)を得る
程であるが、各試薬の添加順序は特に限定
なく、順次又は同時に添加することができ
。中でも、化合物(2)と極性溶媒との溶液中
、酸と化合物(1)とを順次添加することが好
しい。
化合物(1)は、例えば、Tetrahedron Letters, 45,
7847-7850(2004)に記載の方法により合成すること
が可能である。また、化合物(2)として、水酸
基が保護されていない無保護のピリミジン化
合物を使用することも可能である。なお、保
護基の導入は、公知の方法で行うことができ
、保護試薬の使用量は、化合物(2)に対して、
通常1~20当量、好ましくは1~2当量であり、化
物(1)においても同様である。
本発明において使用する酸のpKaの上限は4.5
あるが、好ましくは4である。これにより、
縮合反応が飛躍的に促進され、副生物の生成
を防止することができる。また、副生物の生
成抑制の観点から、pKaの下限は-7とすること
望ましい。
酸としては、pKaが4.5以下であれば、有機酸
無機酸又は固体酸等を特に限定なく使用す
ことができる。また、かかる酸は、単独で
は2種以上を組み合わせて使用することがで
きる。なお、本明細書において、pKaとは、25
における酸解離定数をいい、多価の酸の場
は第1酸解離定数である。
有機酸としては、例えば、脂肪族又は芳香
カルボン酸、脂肪族又は芳香族スルホン酸
例示され、脂肪族又は芳香族カルボン酸は
価の酸でも又は多価の酸であってもよい。
下、本発明において使用可能な酸の一例を
す。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、トリ
ルオロ酢酸、シュウ酸、ギ酸、アセチル酢
、乳酸、コハク酸、アジピン酸等が例示さ
る。
芳香族カルボン酸としては、例えば、ジフ
オロ安息香酸、m-フルオロ安息香酸、p-ニト
ロ安息香酸、安息香酸等が例示される。
脂肪族スルホン酸としては、例えば、メタ
スルホン酸、トリフルオロメタンスルホン
等が例示される。
芳香族スルホン酸としては、例えば、ベン
ンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等が
示される。
固体酸としては、例えば、Dowex(ダウ・ケミ
ル社製)、Nafion(デュポン社製)、DIAION(三菱化
学社製)等の酸性型イオン交換樹脂、活性白
、シリカ-アルミナ等が例示される。
無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝
、亜硝酸等が例示される。
これらの中でも、酸としては、脂肪族カル
ン酸又は無機酸が好ましく、更にトリフル
ロ酢酸、シュウ酸、ギ酸、アセチル酢酸、
酸、コハク酸、アジピン酸、塩酸が好まし
、特にギ酸、塩酸が好ましい。
極性溶媒としては本反応を阻害しない溶媒
あれば特に限定はなく、プロトン性極性溶
でも非プロトン性極性溶媒であってもよい
極性溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わ
せて使用することができる。
非プロトン性極性溶媒としては、例えば、
セトニトリル、プロピオニトリル、ベンソ
トリル等のニトリル類;ホルムアミド、N-メ
ルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド
、N,N-ジメチルアセトアミド、ヘキサメチル
ン酸トリアミド等のアミド類;2-ピロリドン
N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリド
、ε-カプロラクタム、N-メチル-ε-カプロラ
タム等のラクタム類;ジメチルスルホキシド
等のスルホキシド類;ジエチルエーテル、ジ
ソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン
ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチ
エチルケトン、メチルフェニルケトン等の
トン類;ギ酸エチル、酢酸エチル、プロピオ
ン酸エチル等のエステル類;塩化メチレン、
ロロホルム等のハロゲン化炭化水素類等が
示される。
プロトン性極性溶媒としては、例えば、水;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ペ
ンタノール、ヘキサノール等の1価アルコー
類;エチレングリコール、プロピレングリコ
ル、グリセリン等の多価アルコール類;メチ
ルセロソルブ、エチルセロソルブ、メトキシ
プロピレングリコール、ジメトキシプロパノ
ール等のセルソルブ類等が例示される。
極性溶媒としては、副生物抑制の観点から
非プロトン性極性溶媒が好ましく、更にニ
リル類、アミド類、ラクタム類、スルホキ
ド類、エーテル類、エステル類、ケトン類
ハロゲン化炭化水素類が好ましい。中でも
ニトリル類、とりわけアセトニトリルが副
物の抑制だけでなく、縮合反応を飛躍的に
進させることができる点で特に好ましい。
化合物(2)の使用量は、化合物(1)に対して、
ましくは1~2当量、より好ましくは1~1.5当量
ある。
酸の使用量は、pKaが3~4.5の酸の場合、化合
(2)に対して通常1当量以上であるが、過剰に
用することが好ましい。具体的には、化合
(2)に対して、2~20当量、更に5~15等量、特に12
~13当量を使用することが好ましい。他方、pKa
が3よりも小さい酸の場合、化合物(2)に対し
触媒量から略等量を使用することが好まし
、具体的には、化合物(2)に対して、0.05~1.2当
量、更に0.3~1当量、特に0.7~1当量を使用する
とが好ましい。
極性溶媒の使用量は、化合物(1)に対して、
ましくは5~50倍質量、より好ましくは20~30倍
量である。
反応温度は、好ましくは0~50℃、より好まし
くは20~30℃である。また、反応時間は、好ま
くは0.5~24時間、より好ましくは1~2時間であ
。
反応終了後、反応液に有機溶剤(例えば、 トルエン等の炭化水素類)及び水を加え分層 得られた有機層を水で洗浄して、有機層を 縮することで化合物(5)を得ることができる 、本発明においては、化合物(5)を単離精製 ることなく、後述の酸化工程に供すること できる。
(酸化工程)
酸化工程は、化合物(5)を酸化して化合物(3)
得る工程である。化合物(5)の酸化は公知の
法で行うことができ、例えば、ヨウ素若し
は過酸化水素の存在下、又はヨウ素及び過
化水素の共存下で、化合物(5)を脱水素して
素環内に二重結合を形成させる。
酸化工程は、上記した縮合工程終了後に化
物(5)を単離することなく連続して行っても
い。この場合、縮合反応後の反応液にヨウ
及び過酸化水素を同時に加えるか、又はヨ
素を添加した後、過酸化水素を加えて化合
(5)を脱水素反応に付することができる。ま
、縮合反応後の反応液にヨウ素又は過酸化
素を単独で添加して化合物(5)を脱水素反応
付してもよい。なお、過酸化水素は、通常
水溶液の形態で使用され、その濃度は30~35
量%である。
ヨウ素を単独で使用する場合、ヨウ素の使
量は、化合物(1)に対して、好ましくは1.5~3
量、より好ましくは1.5~2当量である。
過酸化水素を単独で使用する場合、過酸化
素の使用量は、化合物(1)に対して、好まし
は2~10当量、より好ましくは3~5当量である。
ヨウ素及び過酸化水素を併用する場合、ヨ
素の使用量は、化合物(1)に対して、好まし
は0.1~2当量、より好ましくは0.1~1当量であり
、過酸化水素の使用量は、化合物(1)に対して
、好ましくは2~10当量、より好ましくは3~5当
である。
反応温度は、好ましくは0~50℃、より好まし
くは20~30℃である。また、反応時間は、好ま
くは0.5~24時間、より好ましくは12~24時間で
る。
反応終了後、亜硫酸水素ナトリウム水溶 等の還元剤を反応液に注ぎ込み、クロロホ ム等の溶媒で抽出する。得られた有機層を 水硫酸マグネシウム等で乾燥後、ろ過する ろ液を減圧濃縮し、残渣をカラムクロマト ラフィーにより精製することで化合物(3)を 率よく得ることができる。
(脱保護工程)
脱保護工程は、化合物(3)の-OR 1
及び-OR 2
における保護基R 1
及びR 2
を除去して、L-ビオプテリン(以下、「化合物
(4)」ともいう)を得る工程である。
除去方法は保護基の種類により選択するこ
が可能であるが、例えば、酸又は塩基の存
下、溶媒中で化合物(3)を加水分解する。
酸としては、強酸が好適に使用され、具体
には、塩酸、硫酸等の無機酸;トリクロロ酢
酸、トリフルオロ酢酸、p-トルエンスルホン
等の有機酸が例示される。
塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化
リウム等のアルカリ水酸化物等が例示され
。
酸又は塩基の使用量としては、化合物(3)に
して、通常0.1~20当量、好ましくは1~20当量で
ある。
溶媒としては本反応を阻害しない溶媒であ
ばいずれでもよく、例えば、酢酸エチル、
酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル
;メタノール、エタノール、イソプロピルア
ルコール等のアルコール類;アセトン、メチ
イソブチルケトン等のケトン類;水等が例示
れる。これらは、単独で又は2種以上を組み
合わせて使用することができる。
溶媒の使用量は、化合物(3)に対して、好ま
くは3~50倍質量、より好ましくは5~20倍質量
ある。
反応温度は、好ましくは0℃~加熱還流温度
より好ましくは室温~加熱還流温度である。
た、反応時間は、好ましくは2~24時間、より
好ましくは12~24時間である。
反応終了後、反応液を酸又は塩基性水溶 (例えば、アンモニア水、水酸化ナトリウム 水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液)で中和 た後、析出した結晶をろ取することで化合 (4)を得ることができる。
このように、本発明の製造方法において 、光学分割によることなく簡便な手段でプ リジン化合物及びL-ビオプテリンを収率よ 単離することが可能である。したがって、 発明の製造方法によれば、製造に要する労 (工程数、時間等)及びコストを大幅に軽減す ることができる。
以下、本発明を実施例によって更に具体 に説明するが、本発明はこれらに限定され ものではない。
(実施例1)
2,5,6-トリアミノ-4-シクロヘキシルオキシピ
ミジン168mg(0.75mmol)をアセトニトリル5mLに溶
し、ギ酸431mg(pKa3.54、9.37mmol、12.5当量)、(2R,3
S)-エポキシ-4S-メトキシメトキシペンタナー
100mg(0.62mmol)を加え、室温下1時間縮合反応さ
た。次いで、反応液にヨウ素16mg(0.06mmol)、30
%過酸化水素水354mg(3.12mmol)を加え、室温下12時
間酸化反応させた。次いで、亜硫酸水素ナト
リウム水溶液を加え過剰の過酸化物を除き、
減圧留去によりアセトニトリルを除去した。
次いで、濃縮物に水を加え、クロロホルムで
抽出し、更に有機層を脱水、減圧濃縮し、橙
色の粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィ
ー(SiO 2
:1.5g,酢酸エチル:メタノール=50:1)で分離精製
た。そして、黄色アモルファスとして142mgの
2-アミノ-4-シクロヘキシルオキシ-6-(1R-ヒドロ
キシ-2S-メトキシメトキシ)プロピルプテリジ
を収率62%で得た。
1 H-NMR(400MHz)δ(CDCl 3 )1.25(d, 3H, J=6.0Hz), 1.30-1.50(m, 3H), 1.61-1.74(m, 3H), 1.83-1.90(m, 2H), 2.05-2.14(m, 2H), 3.28(s, 3H), 3.99(d.q., 1H, J=5.2, 6.0Hz), 4.61(d, 1H, J=7.0Hz), 4.70(d, 1H, J=7.0Hz), 4.90(d, 1H, J=5.2Hz), 5.30(t.t., 1H, J=4.0, 5.6Hz), 5.88(br-s, 2H), 8.96(s, 1H)
(実施例2)
ピリミジン化合物に対するギ酸の使用量を7
.5当量(259mg、5.62mmol)に代えたこと以外は、実
例1と同様の方法により2-アミノ-4-シクロヘ
シルオキシ-6-(1R-ヒドロキシ-2S-メトキシメ
キシ)プロピルプテリジンを収率52%で得た。
お、得られた化合物は、実施例1に記載のス
ペクトルデータと一致することを確認した。
(実施例3)
ピリミジン化合物に対するギ酸の使用量を1
4.5当量(500mg、10.9mmol)に代えたこと以外は、実
施例1と同様の方法により2-アミノ-4-シクロヘ
キシルオキシ-6-(1R-ヒドロキシ-2S-メトキシメ
キシ)プロピルプテリジンを収率51%で得た。
なお、得られた化合物は、実施例1に記載の
ペクトルデータと一致することを確認した
(実施例4)
2,5,6-トリアミノ-4-シクロヘキシルオキシピ
ミジン168mg(0.75mmol)をアセトニトリル5mLに溶
し、シュウ酸56mg(pKa1.04、0.62mmol、0.83当量)、
(2R,3S)-エポキシ-4S-メトキシメトキシペンタナ
ール100mg(0.62mmol)を加え、室温下1時間縮合反
させた。次いで、反応液にヨウ素16mg(0.06mmol)
、30%過酸化水素水354mg(3.12mmol)を加え、室温下
12時間酸化反応させた。次いで、亜硫酸水素
トリウム水溶液を加え過剰の過酸化物を除
、減圧留去によりアセトニトリルを除去し
。次いで、濃縮物に水を加え、クロロホル
で抽出し、更に有機層を脱水、減圧濃縮し
橙色の粗生成物をシリカゲルクロマトグラ
ィー(SiO 2
:1.5g,酢酸エチル:メタノール=50:1)で分離精製
た。そして、黄色アモルファスとして102mgの
2-アミノ-4-シクロヘキシルオキシ-6-(1R-ヒドロ
キシ-2S-メトキシメトキシ)プロピルプテリジ
を収率45%で得た。なお、得られた化合物は
実施例1に記載のスペクトルデータと一致す
ることを確認した。
(実施例5)
2,5,6-トリアミノ-4-シクロヘキシルオキシピ
ミジン168mg(0.75mmol)をアセトニトリル5mLに溶
し、トリフルオロ酢酸85mg(pKa0.3、0.75mmol、1
量)、(2R,3S)-エポキシ-4S-メトキシメトキシペ
タナール100mg(0.62mmol)を加え、室温下1時間縮
合反応させた。次いで、反応液にヨウ素16mg(0
.06mmol)、30%過酸化水素水354mg(3.12mmol)を加え、
温下12時間酸化反応させた。次いで、亜硫
水素ナトリウム水溶液を加え過剰の過酸化
を除き、減圧留去によりアセトニトリルを
去した。次いで、濃縮物に水を加え、クロ
ホルムで抽出し、更に有機層を脱水、減圧
縮し、橙色の粗生成物をシリカゲルクロマ
グラフィー(SiO 2
:1.5g,酢酸エチル:メタノール=50:1)で分離精製
た。そして、黄色アモルファスとして109mgの
2-アミノ-4-シクロヘキシルオキシ-6-(1R-ヒドロ
キシ-2S-メトキシメトキシ)プロピルプテリジ
を収率48%で得た。なお、得られた化合物は
実施例1に記載のスペクトルデータと一致す
ることを確認した。
(実施例6)
ピリミジン化合物に対するトリフルオロ酢
の使用量を0.41当量(36mg、0.31mmol)に代えたこ
以外は、実施例3と同様の方法により2-アミ
-4-シクロヘキシルオキシ-6-(1R-ヒドロキシ-2S
-メトキシメトキシ)プロピルプテリジンを収
49%で得た。なお、得られた化合物は、実施
1に記載のスペクトルデータと一致すること
を確認した。
(実施例7)
2,5,6-トリアミノ-4-シクロヘキシルオキシピ
ミジン84mg(0.38mmol)をアセトニトリル3mLに溶
し、3N塩酸104μL(pKa-7、0.31mmol、0.82当量)、(2R,3
S)-エポキシ-4S-メトキシメトキシペンタナー
50mg(0.31mmol)を加え、室温下1時間縮合反応さ
た。次いで、反応液にヨウ素8mg(0.03mmol)、30%
酸化水素水177mg(1.56mmol)を加え、室温下12時
酸化反応させた。次いで、亜硫酸水素ナト
ウム水溶液を加え過剰の過酸化物を除き、
圧留去によりアセトニトリルを除去した。
いで、濃縮物に水を加え、クロロホルムで
出し、更に有機層を脱水、減圧濃縮し、橙
の粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィ
(SiO 2
:1.5g,酢酸エチル:メタノール=50:1)で分離精製
た。そして、黄色アモルファスとして71mgの2
-アミノ-4-シクロヘキシルオキシ-6-(1R-ヒドロ
シ-2S-メトキシメトキシ)プロピルプテリジ
を収率63%で得た。なお、得られた化合物は
実施例1に記載のスペクトルデータと一致す
ことを確認した。
(実施例8)
ピリミジン化合物に対する塩酸の使用量を0
.42当量(3N塩酸52μL、0.16mmol)に代えたこと以外
、実施例5と同様の方法により2-アミノ-4-シ
ロヘキシルオキシ-6-(1R-ヒドロキシ-2S-メト
シメトキシ)プロピルプテリジンを収率52%で
た。なお、得られた化合物は、実施例1に記
載のスペクトルデータと一致することを確認
した。
(実施例9)
2,5,6-トリアミノ-4-シクロヘキシルオキシピ
ミジン84mg(0.38mmol)を酢酸エチル3mLに溶解し
ギ酸215mg(4.67mmol、12.3当量)、(2R,3S)-エポキシ-4
S-メトキシメトキシペンタナール50mg(0.31mmol)
加え、室温下1時間縮合反応させた。次いで
反応液にヨウ素8mg(0.03mmol)、30%過酸化水素水
177mg(1.56mmol)を加え、室温下12時間酸化反応さ
た。次いで、亜硫酸水素ナトリウム水溶液
加え過剰の過酸化物を除いた。クロロホル
で抽出し、更に有機層を脱水、減圧濃縮し
橙色の粗生成物をシリカゲルクロマトグラ
ィー(SiO 2
:1.5g,酢酸エチル:メタノール=50:1)で分離精製
た。そして、黄色アモルファスとして52mgの2
-アミノ-4-シクロヘキシルオキシ-6-(1R-ヒドロ
シ-2S-メトキシメトキシ)プロピルプテリジ
を収率46%で得た。なお、得られた化合物は
実施例1に記載のスペクトルデータと一致す
ことを確認した。
(実施例10)
2,5,6-トリアミノ-4-ピリミジノール硫酸塩351m
g(1.47mmol)、ハイドロサルファイトナトリウム3
5mgを1M水酸化ナトリウム水溶液6mLに溶解し、
酸を加えpH=7に中和した。析出した結晶をろ
取し、2,5,6-トリアミノ-4-ピリミジノールを得
た。得られた2,5,6-トリアミノ-4-ピリミジノー
ルを水2mL、アセトニトリル2mL混液に懸濁させ
、ギ酸366mg(7.95mmol)、(2R,3S)-エポキシ-4S-メトキ
シメトキシペンタナール196mg(1.22mmol)を加え、
室温下1時間反応縮合反応させた。次いで、
応液に30%過酸化水素水700mg(6.17mmol)を加え、
温下12時間酸化反応させた。次いで、析出し
た結晶をろ取し、水洗後、50℃で一晩減圧乾
した。そして、褐色結晶として114mgの2-アミ
ノ-4-ヒドロキシ-6-(1R-ヒドロキシ-2S-メトキシ
トキシ)プロピルプテリジンを収率39%で得た
。
1 H-NMR(400MHz)δ(DMSO-d 6 )1.08(d, 3H, J=6.0Hz), 3.06(s, 3H), 3.98(d.q., 1H, J= 5.6, 6.0Hz), 4.52(d, 1H, J=6.6Hz), 4.56(d, 1H, J=6.6H z), 4.61(d.d.,1H, J=4.8, 5.2Hz), 5.73(d, 1H, J=4.8Hz), 6.87(br-s, 2H), 8.72(s, 1H), 11.38(br-s, 1H)
(実施例11)
2-アミノ-4-シクロヘキシルオキシ-6-(1R-ヒド
キシ-2S-メトキシメトキシ)プロピルプテリ
ン447mg(1.23mmol)をメタノール1mLに溶解し、3M塩
酸5mLを加え50℃で24時間反応させた。反応液
アンモニア水を加えpH=7に中和し、析出した
晶をろ取し、水洗後、50℃で一晩減圧乾燥
、黄土色結晶として240mgのL-ビオプテリンを
率82%で得た。
1 H-NMR(400MHz)δ(CF 3 COOD)1.53(d, 3H, J=6.4Hz), 4.69(m, 1H), 5.43(d, 1H, J =3.6Hz), 9.23(s, 1H)
(実施例12)
2-アミノ-4-ヒドロキシ-6-(1R-ヒドロキシ-2S-メ
トキシメトキシ)プロピルプテリジン104mg(0.37m
mol)を3M塩酸1mLに溶解し、50℃で4時間反応させ
た。反応液にアンモニア水を加えpH=7に中和
、析出した結晶をろ取し、水洗後、50℃で一
晩減圧乾燥し、黄土色結晶として74mgのL-ビオ
プテリンを収率84%で得た。なお、得られた化
合物は、実施例11に記載のスペクトルデータ
一致することを確認した。
(比較例1)
2,5,6-トリアミノ-4-シクロヘキシルオキシピ
ミジン168mg(0.75mmol)をアセトニトリル5mLに溶
し、酢酸562mg(pKa4.74、9.37mmol、12.5当量)、(2R,3
S)-エポキシ-4S-メトキシメトキシペンタナー
100mg(0.62mmol)を加え、室温下14時間縮合反応さ
せた。次いで、反応液にヨウ素16mg(0.06mmol)、3
0%過酸化水素水354mg(3.12mmol)を加え、室温下24
間酸化反応させた。次いで、亜硫酸水素ナ
リウム水溶液を加え過剰の過酸化物を除き
減圧留去によりアセトニトリルを除去した
次いで、濃縮物に水を加え、クロロホルム
抽出し、更に有機層を脱水、減圧濃縮し、
色の粗生成物をシリカゲルクロマトグラフ
ー(SiO 2
:1.5g,酢酸エチル:メタノール=50:1)で分離精製
た。そして、黄色アモルファスとして69mgの2
-アミノ-4-シクロヘキシルオキシ-6-(1R-ヒドロ
シ-2S-メトキシメトキシ)プロピルプテリジ
を収率30%で得た。なお、得られた化合物は
実施例1に記載のスペクトルデータと一致す
ことを確認した。
(比較例2)
2,5,6-トリアミノ-4-シクロヘキシルオキシピ
ミジン463mg(2.08mmol)をメタノール24mLに溶解し
、(2R,3S)-エポキシ-4S-メトキシメトキシペンタ
ナール277mg(1.73mmol)を加え、中性条件で室温下
17時間縮合反応させた。次いで、反応液にギ
1.19g(25.9mmol)、ヨウ素540mg(2.13mmol)加え、室温
1時間酸化反応させた。次いで、亜硫酸水素
ナトリウム水溶液を加え過剰のヨウ素を除き
、減圧留去によりメタノールを除去した。次
いで、濃縮物に水を加え、クロロホルムで抽
出し、更に有機層を脱水、減圧濃縮し、橙色
の粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー
(SiO 2
:10g,クロロホルム:メタノール=30:1)で分離精製
した。そして、黄色アモルファスとして203mg
2-アミノ-4-シクロヘキシルオキシ-6-(1R-ヒド
キシ-2S-メトキシメトキシ)プロピルプテリ
ンを収率39%で得た。なお、得られた化合物
、実施例1に記載のスペクトルデータと一致
ることを確認した。
Next Patent: PROPHYLACTIC OR THERAPEUTIC AGENT FOR INFLAMMATORY DISEASE COMPRISING THYMIDINE PHOSPHORYLASE INHIBI...