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Title:
METHOD FOR PRODUCING THERMOSETTING RESIN HAVING BENZOXAZINE RING
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/017218
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for producing a thermosetting resin having a benzoxazine ring, wherein a bifunctional phenol compound, a diamine compound and an aldehyde compound are reacted in a mixed solvent of a nonpolar aromatic solvent and an alcohol.

Inventors:
KATAGIRI TOMOAKI (JP)
EGUCHI YUJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/063850
Publication Date:
February 05, 2009
Filing Date:
August 01, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SEKISUI CHEMICAL CO LTD (JP)
KATAGIRI TOMOAKI (JP)
EGUCHI YUJI (JP)
International Classes:
C08G14/073
Domestic Patent References:
WO2007097305A12007-08-30
WO2007129640A12007-11-15
Foreign References:
JP2001278934A2001-10-10
JP2004285195A2004-10-14
JP2006096891A2006-04-13
JP2005213301A2005-08-11
JPH11106465A1999-04-20
JPH11228786A1999-08-24
Attorney, Agent or Firm:
INABA, Yoshiyuki et al. (23rd Floor Roppongi Hills Mori Tower,6-10-1, Roppong, Minato-ku Tokyo, JP)
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Claims:
 二官能フェノール化合物、ジアミン化合物及びアルデヒド化合物を芳香族系の非極性溶媒とアルコールとの混合溶媒中で反応させる、ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の製造方法。
 前記二官能フェノール化合物と、前記ジアミン化合物と、前記アルデヒド化合物と、前記混合溶媒と、を混合して混合溶液を調製する工程と、
 前記混合溶液を加温処理する工程と、
を含む、請求項1に記載の製造方法。
 前記ジアミン化合物が直鎖脂肪族ジアミン化合物である、請求項1又は2に記載の製造方法。
 前記ジアミン化合物が芳香族ジアミン化合物である、請求項1又は2に記載の製造方法。
 前記混合溶媒中の前記アルコールの割合が、5体積%~25体積%である、請求項1~4の何れか1項に記載の製造方法。
 反応中に生成する水を留去する工程、をさらに含む、請求項1~4の何れか1項に記載の製造方法。
 前記混合溶媒中の前記アルコールの割合が、5体積%~40体積%である、請求項6に記載の製造方法。
 前記芳香族系の非極性溶媒が、トルエン、キシレン又はこれらの混合物である、請求項1~7の何れか1項に記載の製造方法。
 前記アルコールは、前記芳香族系の非極性溶媒よりも沸点が低いアルコールである、請求項1~8の何れか1項に記載の製造方法。
 前記アルコールが、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール及びイソブタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1~9の何れか1項に記載の製造方法。
 単官能フェノール化合物をさらに添加して反応させる、請求項1~10の何れか1項に記載の製造方法。
 反応後に、塩基性水溶液で洗浄する工程を、さらに含む、請求項1~11の何れか1項に記載の製造方法。
 請求項1~12の何れか1項に記載の製造方法により得られる、ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂。
 ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定により得られるポリスチレン換算値での重量平均分子量(Mw)が2000以上500000以下である、請求項13に記載のベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂。
Description:
ベンゾオキサジン環を有する熱 化性樹脂の製造方法

 本発明は、ベンゾオキサジン環を有する 硬化性樹脂の製造方法及び該製造方法によ 得られるベンゾオキサジン環を有する熱硬 性樹脂に関する。

 分子構造中にベンゾオキサジン環を有する 硬化性樹脂は、耐熱性や難燃性に加え、寸 安定性、電気絶縁性、及び低吸水性等の、 の熱硬化性樹脂には見られない優れた特性 有するため、積層板や半導体封止材等のエ クトロニクス材料、摩擦材や砥石等の結合 として注目されている。
 ベンゾオキサジン環は、ベンゼン環とオキ ジン環との複合構造環であり、下記式(I)で される構造を有している。
式(I):

(式(I)中、R 1 は、任意の有機基を示す。)

 近年、上記優れた特性を有するベンゾオ サジン環を有する熱硬化性樹脂を効率よく 成するために、その合成方法について、技 的検討がなされている。1)反応溶液のゲル 及び反応生成物の不溶化の反応制御による 止、並びに、2)合成プロセスの容易化が、効 率よく合成するための技術的ポイントである 。

 特許文献1では、フェノール類、パラホルム アルデヒド及びモノアミン類を、有機溶剤中 、特にアルコール系溶剤中で反応させる方法 が開示されている。
 しかしながら、特許文献1に開示されている 方法では、合成時の発熱による反応の急激な 進行と、反応の急激な進行に伴う反応溶液の ゲル化及び反応生成物の不溶化と、を抑える ため、予め、有機溶剤の中に、フェノール類 及びパラホルムアルデヒドを添加し、温度調 節を行った後に、モノアミン類を少しずつ添 加する工程が採られている。そのため、温度 調節器や滴下ポンプといった設備が必要とな り、合成プロセスが複雑化する。さらに、合 成時の温度制御にも多大なる注意を払う必要 がある。

 特許文献2及び特許文献3では、上記問題 を解決すべく、有機溶剤として、非プロト 性溶剤(ジオキサンを除く)を用いる方法が開 示されている。

特開2000-273135号公報

特開2002-338648号公報

特開2005-213301号公報

 しかしながら、特許文献2及び特許文献3 開示されている方法では、各原料を一括し 有機溶剤に添加できるところに技術的特徴 あるものの、反応の初期段階における反応 急激な進行による反応溶液のゲル化及び反 生成物の不溶化に対し、常時、多大なる注 を払う必要がある。実際に、特許文献2及び 許文献3に開示されている方法では、原料を 非プロトン性溶剤(ジオキサンを除く)に添加 た後に、二段階の温度調節が行われている

 また、ベンゾオキサジン環を有する熱硬 性樹脂を開環重合させることで得られるフ ルム等の最終製品の耐熱性、可撓性、電気 縁性等の諸性能のさらなる向上を図るため は、できるだけ高分子量化されたベンゾオ サジン環を有する熱硬化性樹脂、具体的に 、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ 測定により得られるポリスチレン換算値で 重量平均分子量(Mw)が2000以上500000以下のベ ゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂を得 ことが望まれる。

 しかしながら、特許文献1-3に開示されて る方法では、Mwが2000以上のベンゾオキサジ 環を有する熱硬化性樹脂を得ようとしても 成することができない、また、反応制御が 難であり、反応溶液のゲル化・反応生成物 不溶化が起こる可能性が高いという問題点 ある。

 上記事情に鑑み、本発明が解決しようと る課題は、合成反応中に反応溶液のゲル化 反応生成物の不溶化が生じることなく、さ に、合成プロセスの容易な、高分子量化さ たベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹 の製造方法を提供することである。

 本発明者らは、上記課題に対して鋭意研 を行った結果、下記手段にて、上記課題を 決することを見出し、本発明を完成させた

 すなわち、本発明は、以下のベンゾオキサ ン環を有する熱硬化性樹脂の製造方法及び 製造方法により得られるベンゾオキサジン を有する熱硬化性樹脂を提供する。
[1]
 二官能フェノール化合物、ジアミン化合物 びアルデヒド化合物を芳香族系の非極性溶 とアルコールとの混合溶媒中で反応させる ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂 製造方法。
[2]
 前記二官能フェノール化合物と、前記ジア ン化合物と、前記アルデヒド化合物と、前 混合溶媒と、を混合して混合溶液を調製す 工程と、
 前記混合溶液を加温処理する工程と、
を含む、前記[1]に記載の製造方法。
[3]
 前記ジアミン化合物が直鎖脂肪族ジアミン 合物である、前記[1]又は[2]に記載の製造方 。
[4]
 前記ジアミン化合物が芳香族ジアミン化合 である、前記[1]又は[2]に記載の製造方法。
[5]
 前記混合溶媒中の前記アルコールの割合が 5体積%~25体積%である、前記[1]~[4]の何れか1 に記載の製造方法。
[6]
 反応中に生成する水を留去する工程、をさ に含む、前記[1]~[4]の何れか1項に記載の製 方法。
[7]
 前記混合溶媒中の前記アルコールの割合が 5体積%~40体積%である、前記[6]に記載の製造 法。
[8]
 前記芳香族系の非極性溶媒が、トルエン、 シレン又はこれらの混合物である、前記[1]~ [7]の何れか1項に記載の製造方法。
[9]
 前記アルコールは、前記芳香族系の非極性 媒よりも沸点が低いアルコールである、前 [1]~[8]の何れか1項に記載の製造方法。
[10]
 前記アルコールが、メタノール、エタノー 、1-プロパノール、イソプロパノール、1-ブ タノール、2-ブタノール及びイソブタノール らなる群から選ばれる少なくとも1種である 、前記[1]~[9]の何れか1項に記載の製造方法。
[11]
 単官能フェノール化合物をさらに添加して 応させる、前記[1]~[10]の何れか1項に記載の 造方法。
[12]
 反応後に、塩基性水溶液で洗浄する工程を さらに含む、前記[1]~[11]の何れか1項に記載 製造方法。
[13]
 前記[1]~[12]の何れか1項に記載の製造方法に り得られる、ベンゾオキサジン環を有する 硬化性樹脂。
[14]
 ゲルパーミエーションクロマトグラフィー 定により得られるポリスチレン換算値での 量平均分子量(Mw)が2000以上500000以下である 前記[13]に記載のベンゾオキサジン環を有す 熱硬化性樹脂。

 本発明によれば、合成反応中に反応溶液の ル化や反応生成物の不溶化が生じることな 、さらに、合成プロセスの容易な、ベンゾ キサジン環を有する熱硬化性樹脂の製造方 を提供することができる。
 また、本発明によれば、高分子量化された ンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂が られる製造方法を提供することができる。

 以下、本発明を実施するための最良の形 (以下、実施の形態)について詳細に説明す 。なお、本発明は、以下の実施の形態に限 されるものではなく、その要旨の範囲内で 々変形して実施することができる。

 本実施の形態のベンゾオキサジン環を有 る熱硬化性樹脂の製造方法は、二官能フェ ール化合物、ジアミン化合物及びアルデヒ 化合物を芳香族系の非極性溶媒とアルコー との混合溶媒中で反応させる、ベンゾオキ ジン環を有する熱硬化性樹脂の製造方法で る。

 本実施の形態において用いられる二官能フ ノール化合物としては、特に限定されない 、例えば、下記式(II)、(III)及び(IV)で表され る化合物等が挙げられる。
 下記式(II)、(III)及び(IV)で表される化合物は 、各ヒドロキシル基の2つのオルト位のうち 少なくとも1つのオルト位に水素原子を有す ことが必要である。

(式(II)中、Xは、直接結合手(原子もしくは原 団が存在しない)、またはヘテロ元素もしく 官能基を含んでいてもよい脂肪族、脂環式 は芳香族の有機基を示す。)

 上記式(II)中、Xは、各ヒドロキシル基の ルト位、メタ位、又はパラ位で結合してい もよい。Xは、各ヒドロキシル基に対して、 じ位置で置換していてもよく、オルト位と ラ位のように異なった位置で結合していて よい。

 二官能フェノール化合物中、各ヒドロキ ル基の2つのオルト位のうち、少なくとも1 のオルト位に水素原子があれば、各芳香環 水素は炭素数1~10の脂肪族もしくは脂環式の 機基(脂肪族炭化水素基もしくは脂環式炭化 水素基)、又は置換もしくは無置換フェニル で置換されていてもよい。

 二官能フェノール化合物は芳香環に置換 として炭素数1~10のアルキル基等を有してい てもよいが、ハロゲンが存在すると、最終的 に得られる熱硬化性樹脂の絶縁性が低下する おそれがあるため、二官能フェノール化合物 類にはハロゲン原子が含まれていないことが 好ましい。

 二官能フェノール化合物が上記式(II)で表さ れる化合物である場合、Xのヘテロ元素もし は官能基を含んでいてもよい脂肪族、脂環 又は芳香族の有機基として、下記群Aから選 される少なくとも一つの基が挙げられる。
群A:

(群A中、*は上記式(II)におけるベンゼン環へ 結合部位を示す。)

 二官能フェノール化合物としては、特に限 されないが、例えば、4,4’-ジヒドロキシジ フェニル-2,2-プロパン(ビスフェノールA)、4,4 -[1,3-フェニレンビス(1-メチル-エチリデン)] スフェノール(ビスフェノールM)、4,4’-[1,4- ェニレンビス(1-メチル-エチリデン)]ビスフ ノール(ビスフェノールP)、4,4’-メチレンジ フェノール(ビスフェノールF)、ビス(4-ヒドロ キシフェニル)スルホン(ビスフェノールS)、4, 4’-ビフェノール、1,5-ジヒドロキシナフタレ ン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒド キシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレ ン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、1,4-ベンゼ ジオール(ヒドロキノン)、1,3-ベンゼンジオ ル(レゾルシノール)、1,2-ベンゼンジオール( カテコール)等が挙げられる。
 本実施の形態において、二官能フェノール 合物は、単独で用いても2種類以上を併用し て用いてもよい。

 二官能フェノール化合物を使用すると、 成後に得られるベンゾオキサジン環を有す 熱硬化性樹脂が線状を維持している割合が くなると考えられ、その結果、硬化後に得 れるフィルム等の最終製品の可撓性や耐熱 が向上する傾向がある。

 本実施の形態において用いられるジアミン 合物としては、特に限定されず、例えば、 記式(V)で表される化合物等が挙げられる。
式(V)
H 2 N-R 2 -NH 2
(R 2 は、炭素数2~30のヘテロ元素を含んでいても い脂肪族、脂環式又は芳香族の有機基を示 。)
 ジアミン化合物は置換基としてアルキル基 を有していてもよいが、ハロゲンが存在す と、最終的に得られる熱硬化性樹脂の絶縁 が低下するおそれがあるため、ハロゲン原 が含まれていないことが好ましい。

 上記式(V)で表される化合物としては、特に 定されないが、例えば、R 2 が芳香族の有機基の場合、下記式(VI)、(VII)及 び(VIII)で表される化合物が挙げられる。

(式(VI)中、Yは、直接結合手(原子もしくは原 団が存在しない)、またはヘテロ元素もしく 官能基を含んでいてもよい脂肪族、脂環式 は芳香族の有機基を示す。)

 ジアミン化合物中、各芳香環の水素は炭 数1~10の脂肪族炭化水素基もしくは脂環式炭 化水素基、又は置換もしくは無置換フェニル 基で置換されていてもよい。

 ジアミン化合物が上記式(VI)で表される化合 物である場合、Yのヘテロ元素もしくは官能 を含んでいてもよい脂肪族、脂環式又は芳 族の有機基として、下記群Bから選択される なくとも一つの基が挙げられる。
群B:

(群B中、*は上記式(VI)、におけるベンゼン環 の結合部位を示す。)

 上記式(V)で表される化合物としては、特に 定されず、例えば、R 2 が炭素数2~30の脂肪族、脂環式の有機基の場 、下記群Cや群Dから選択される少なくとも一 つの化合物が挙げられる。
群C:

群D:

ジアミン化合物としては、特に限定されない が、例えば、1,4-ジアミノベンゼン、4,4’-メ レンジアニリン、4,4’-メチレンジ-o-トルイ ジン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、2, 2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プ パン(和歌山精化工業株式会社製 製品名 BAP P)、4,4’-[1,3-フェニレンビス(1-メチル-エチリ デン)]ビスアニリン(ビスアニリンM)、4,4’-[1, 4-フェニレンビス(1-メチル-エチリデン)]ビス ニリン(ビスアニリンP)、1,3-ビス(4-アミノフ ェノキシ)ベンゼン、及び1,4-ビス(4-アミノフ ノキシ)ベンゼン等の芳香族ジアミン化合物 、3(4),8(9),-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5,2, 1,0 2,6 ]デカン(オクセア社製 製品名 TCDジアミン) 及び2,5(6)-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1] プタン等の脂環式ジアミン化合物、並びに1 ,2-ジアミノエタン、1,6-ジアミノヘキサン、1, 10-ジアミノデカン、1,12-ジアミノドデカン、1 ,14-ジアミノテトラデカン、及び1,18-ジアミノ オクタデカン等の直鎖脂肪族ジアミン化合物 が挙げられる。
 本実施の形態において、ジアミン化合物は 単独で用いても2種類以上を併用して用いて もよい。

 ジアミン化合物の使用量は、二官能フェノ ル化合物1.0molに対して、0.9mol~1.2molであるこ とが好ましい。
 ジアミン化合物の使用量が1.20molを超えると 、反応溶液がゲル化する傾向にあり、ジアミ ン化合物の使用量が0.90mol未満であると、未 応の二官能フェノール化合物類が残存する 向にある。

 ジアミン化合物を使用すると、合成後に られるベンゾオキサジン環を有する熱硬化 樹脂が線状を維持している割合が高くなる 考えられ、その結果、硬化後に得られるフ ルム等の最終製品の可撓性や耐熱性が向上 る傾向がある。

 本実施の形態において用いられるアルデ ド化合物としては、特に限定されないが、 ルムアルデヒドが好ましく、ホルムアルデ ドとしては、その重合体であるパラホルム ルデヒドや、水溶液の形であるホルマリン の形態で使用することが可能である。

 アルデヒド化合物の使用量は、ジアミン化 物1.0molに対して、4.0mol~6.5molが好ましい。
 アルデヒド化合物の使用量が6.5molを超える 、残存されるアルデヒド化合物が、人体及 環境に与える負荷が多大となる傾向にあり アルデヒド化合物の使用量が4.0mol未満であ と、ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性 脂が高分子量化しにくくなる傾向にある。

 本実施の形態のベンゾオキサジン環を有す 熱硬化性樹脂の製造方法においては、二官 フェノール化合物と共に単官能フェノール 合物を添加して反応してもよい。
 単官能フェノール化合物を併用した場合、 応性末端がベンゾオキサジン環で封止され 重合体が生成することになる。その結果、 成反応中の分子量の制御が可能であり、溶 のゲル化を防ぐことができる。また、反応 末端の封止は、得られたベンゾオキサジン を有する熱硬化性樹脂の保存安定性も向上 せ、不溶化を防止することができる。

 単官能フェノール化合物としては、特に限 されないが、例えば、フェノール、o-クレ ール、m-クレゾール、p-クレゾール、p-tert-ブ チルフェノール、p-オクチルフェノール、p- ミルフェノール、ドデシルフェノール、o-フ ェニルフェノール、p-フェニルフェノール、1 -ナフトール、2-ナフトール、m-メトキシフェ ール、p-メトキシフェノール、m-エトキシフ ェノール、p-エトキシフェノール、3,4-ジメチ ルフェノール、3,5-ジメチルフェノール等が げられる。
 単官能フェノール化合物としては、汎用性 コストの面からフェノールが好ましい。

 単官能フェノール化合物の使用量は、二官 フェノール化合物1.00molに対して0.50mol以下 好ましい。
 単官能フェノール化合物の使用量が二官能 ェノール化合物1.00molに対して0.50molを超え と、合成反応中にベンゾオキサジン環構造 有する熱硬化性樹脂の分子量が増大しにく なり、また、多量の単官能フェノール化合 が残存する傾向がある。

 本実施の形態において用いられる芳香族系 非極性溶媒としては、特に限定されないが 例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、 ソイドキュメン、メシチレン等が挙げられ 中でも、環境及び人体への負荷が小さく、 つ、汎用性が高く安価であるため、トルエ 、キシレンが好ましく、トルエンがより好 しい。
 芳香族系の非極性溶媒は、単独で用いても2 種以上を併用して用いてもよい。

 本実施の形態において、芳香族系の非極 溶媒としては、ハロゲンを構造中に有して ない溶媒ないしいわゆる不純物としてハロ ンを含まない溶媒が好ましい。ハロゲンが 有ないし混入されていると、本実施の形態 製造方法によって得られるベンゾオキサジ 環を有する熱硬化性樹脂やフィルム等の最 製品中に、ハロゲンが含有された状態にな 可能性がある。その結果、イオンマイグレ ションが誘発されることによる絶縁性低下 引き起こし、フィルム等の最終製品の品質 低下するおそれがある。

 本実施の形態において用いられるアルコー としては、特に限定されないが、後述する 温処理の容易化の観点から、芳香族系の非 性溶媒よりも沸点が低いアルコールを用い のが好ましい。
 アルコールとしては、特に限定されないが 例えば、炭素数が4以下のアルコールが挙げ られ、メタノール、エタノール、1-プロパノ ル、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブ タノール、イソブタノール等が好ましい。
 アルコールは、単独で用いても2種以上を併 用して用いてもよい。

 アルコールは、溶媒和作用により、ベン オキサジン環を有する熱硬化性樹脂の合成 応の急激な進行を抑制する作用を有してい 。本実施の形態において、芳香族系の非極 溶媒とアルコールの混合溶媒を用いること より、ベンゾオキサジン環を有する熱硬化 樹脂の合成反応が急激に進行することによ 反応溶液のゲル化及び合成物であるベンゾ キサジン環を有する熱硬化性樹脂の不溶化 可能性を低減させることができる。

 本実施の形態において、ハロゲンを含ま い芳香族の非極性溶媒とハロゲンを含まな アルコールとの混合溶媒中で、二官能性フ ノール化合物と、ジアミン化合物と、アル ヒド化合物とを反応させることにより、得 れるベンゾオキサジン環を有する熱硬化性 脂中のハロゲン量を非常に少なくすること できる。

 本実施の形態のベンゾオキサジン環を有す 熱硬化性樹脂の製造方法は、
(a)前記二官能性フェノール化合物と、前記ジ アミン化合物と、前記アルデヒド化合物と、 前記混合溶媒と、を添加混合して混合溶液を 調整する工程と、
(b)混合溶液を加温処理する工程と、を含むベ ンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の製 造方法であることが好ましい。

[(a)工程]
 (a)工程は、芳香族系の非極性溶媒と、アル ールと、二官能フェノール化合物と、ジア ン化合物と、アルデヒド化合物を添加混合 て混合溶液を調製する工程である。

 本実施の形態において、芳香族系の非極性 媒とアルコールとの混合溶媒中のアルコー の割合は、特に限定されないが、後述する( c)生成する水を留去する工程、をさらに含ま い場合、混合溶媒全体に対して、5体積%~25 積%であることが好ましい。
 アルコールの割合が5体積%未満であると、 ルコールによる反応抑制効果が小さくなり 反応溶液のゲル化及び合成物であるベンゾ キサジン環を有する熱硬化性樹脂の不溶化 リスクが高まるおそれがある。アルコール 割合が25体積%を超えると、ベンゾオキサジ 環を有する熱硬化性樹脂の合成反応に長時 を要することとなり、合成効率が低下する それがある。

 本実施の形態において、芳香族系の非極 溶媒とアルコールとを合計した混合溶媒の は、二官能フェノール化合物基準で、二官 フェノール化合物のモル濃度が0.1mol/L~1.2mol/ Lとなる量であることが好ましい。二官能フ ノール化合物のモル濃度が0.1mol/L未満である と、混合溶媒中の原料濃度が低く、ベンゾオ キサジン環を有する熱硬化性樹脂の合成反応 が遅くなり、合成効率が低下するおそれがあ る。二官能フェノール化合物のモル濃度が1.2 mol/Lを超えると、ベンゾオキサジン環を有す 熱硬化性樹脂の合成反応時に、反応溶液の ル化及び合成物であるベンゾオキサジン環 有する熱硬化性樹脂の不溶化のリスクが高 るおそれがある。

 原料を添加混合する順序は特に限定され いが、芳香族系の非極性溶媒とアルコール の混合溶媒に、二官能フェノール化合物、 アミン化合物及びアルデヒド化合物を順次 括して添加混合することが好ましい。原料 混合溶解を効率的に行うために、適宜、撹 機、撹拌子等を使用して混合溶媒の撹拌下 二官能性フェノール化合物等を添加混合し もよい。

[(b)工程]
 (b)工程は、上記(a)工程により調製した混合 液を、加温処理する工程である。

 加温処理の方法としては、特に限定されな が、例えば、油浴等の温度調節器を用いて 所定の温度まで一気に上昇させた後に、そ 温度で一定に保つ方法が挙げられる。
 加温処理の際の所定の温度は、ベンゾオキ ジン環を有する熱硬化性樹脂の合成反応の 率化が図られる温度であれば、特に限定さ ない。反応溶液温度が、例えば、50℃~130℃ なるように調節することが好ましい。
 反応溶液温度が50℃未満では、ベンゾオキ ジン環を有する熱硬化性樹脂の合成反応が くなり、合成効率が低下するおそれがある 反応溶液温度が130℃を越えると、ベンゾオ サジン環を有する熱硬化性樹脂の合成反応 に、反応溶液のゲル化及び合成物であるベ ゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の不 化のリスクが高まるおそれがある。
 混合溶液の加温処理を行っている間は、混 溶媒を還流させてもよい。

[(c)工程]
 本実施の形態のベンゾオキサジン環を有す 熱硬化性樹脂の製造方法においては、(c)生 する水を留去する工程をさらに含んでいて よい。
 本実施の形態において、反応により生成す 水を留去することで、ベンゾオキサジン環 有する熱硬化性樹脂の合成反応時間を短縮 せることが可能となり、反応の効率化を図 ことができる。
 生成する水の留去は、特に限定されるもの はないが、反応溶液中の混合溶媒と共沸さ ることにより行うことができ、例えば、コ ク付きの等圧滴下ロート、ジムロート冷却 、ディーン・スターク装置等を用いること 生成する水の留去を行うことができる。

 本実施の形態のベンゾオキサジン環を有 る熱硬化性樹脂の製造方法が、(c)工程をさ に含む場合には、混合溶媒中のアルコール 割合は、混合溶媒全体に対して、5体積%~40 積%であることが好ましい。アルコールの割 が5体積%未満であると、アルコールによる 応抑制効果が小さくなり、反応溶液のゲル 及び合成物であるベンゾオキサジン環を有 る熱硬化性樹脂の不溶化のリスクが高まる それがある。アルコールの割合が40体積%を えると、アルコールを留去する時間が長く り、ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性 脂の合成の効率が低下するおそれがある。

 加温処理の継続時間は、特に制限されな が、例えば、加温開始後1時間~10時間程度で あることが好ましい。加温開始後1時間~10時 加温を継続させた後、反応溶液を、油浴等 温度調節器の接触から開放して放冷しても いし、あるいは冷媒等を用いて冷却しても い。

[(d)工程]
 本実施の形態のベンゾオキサジン環を有す 熱硬化性樹脂の製造方法が、(d)反応後に、 基性水溶液で洗浄する工程を、さらに含ん いてもよい。
 (d)工程をさらに含むことにより、反応溶液 ら未反応の二官能フェノール化合物や単官 フェノール化合物を取り除くことができる
 (d)工程の塩基性水溶液による洗浄に次いで 蒸留水等で数回洗浄することにより、ナト ウムイオン等の塩基性水溶液由来のイオン 取り除くこともできる。

 塩基性水溶液としては、塩基性化合物を水 溶解させた水溶液ならば特に限定されない
 塩基性化合物としては、特に限定されない 、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリ ム、水酸化カルシウム等が挙げられる。
 塩基性化合物として、汎用性という観点か 、水酸化ナトリウムが好ましい。

 塩基性水溶液の濃度は、0.01mol/L~0.1mol/Lで ることが好ましい。塩基性水溶液濃度が0.01 mol/L未満では、未反応の二官能フェノール化 物や単官能フェノール化合物を十分に除去 ることが困難となる傾向がある。塩基性水 液濃度が0.1mol/Lを超える場合は、塩基性水 液を用いて反応溶液を洗浄した際に、塩基 水溶液層と反応溶液層とに分離することな エマルジョン化してしまう傾向がある。

 塩基性水溶液の使用量は、特に限定され いが、反応溶液の体積に対して0.5倍量~5.0倍 量であることが好ましい。塩基性水溶液の使 用量が反応溶液の体積に対して0.5倍量未満で あれば、未反応の二官能フェノール化合物や 単官能フェノール化合物を十分に除去するこ とが困難となる傾向がある。塩基性水溶液の 使用量が反応溶液の体積に対して5.0倍量を超 える場合は、塩基性水溶液層の抜き出しに必 要以上の時間がかかり、操作の効率が落ちる 。また、処理廃液量も増えることとなり、環 境への負荷の面からも好ましくない。

 塩基性水溶液による反応溶液の洗浄は、特 限定されないが、例えば、分液漏斗等に塩 性水溶液と反応溶液を注ぎ入れて、両液が 和するように十数回、分液漏斗を振ること より行うことができる。その後、分液漏斗 静置することにより、反応溶液層と塩基性 溶液層とに分離させることができる。
 また、反応溶液を冷却後、反応装置中に塩 性水溶液を添加して攪拌することにより洗 を行い、その後、静置することで反応溶液 と塩基性水溶液層を分離させることができ 。
 塩基性水溶液による洗浄回数は、1回以上で あれば特に限定されない。

 塩基性水溶液により洗浄した後は、塩基性 溶液由来のイオンを除去するために、蒸留 や精製水等で洗浄することが好ましい。
 水での洗浄は、塩基性水溶液由来のイオン 除去することができれば特に限定されない 、1回以上行うことが好ましく、2回以上行 ことがより好ましい。

 反応溶液から合成したベンゾオキサジン を有する熱硬化性樹を回収する方法は、特 限定されないが、例えば、貧溶媒による再 法、濃縮固化法(溶媒減圧留去)、スプレー ライ法等が挙げられる。

 本実施の形態のベンゾオキサジン環を有す 熱硬化性樹脂の製造方法により得られるベ ゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂は、 分子量化されているため、その後の開環反 により得られる、フィルム等の最終製品の 熱性や可とう性等の物性の向上が期待でき 。
 本実施の形態における高分子量化されたベ ゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂とは 競争的にベンゾオキサジン環の開環反応が 行し、三次元架橋構造を形成して高分子量 することなく、プレポリマータイプのベン オキサジン化合物、すなわち、ベンゾオキ ジン環を有する構造を繰り返し単位として するまま、高分子量化した熱硬化性樹脂を す。

 本実施の形態のベンゾオキサジン環を有す 熱硬化性樹脂のゲルパーミエーションクロ トグラフィー測定により得られるポリスチ ン換算値での重量平均分子量(Mw)は、好まし くは2000以上500000以下であり、より好ましく 4000以上200000以下である。
 Mwが2000未満であると、その後の開環反応に り得られる最終製品の耐熱性、可撓性が低 し、さらに、合成されたベンゾオキサジン を有する熱硬化性樹脂の回収作業性が低下 る傾向がある。

 本実施の形態において、合成反応中に、反 溶液の一部を抜き出し、ゲルパーミエーシ ンクロマトグラフィー測定を行うことでMw 確認することにより、目的のMwを有するベン ゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂を得る ことができる。
 本実施の形態において、重量平均分子量(Mw) は、以下の実施例に記載する方法により測定 することができる。

 本実施の形態のベンゾオキサジン環を有す 熱硬化性樹脂は、ハロゲンを構造中に有し いない、ないし、いわゆる不純物としてハ ゲンを含まない混合溶媒を用いて製造され ため、ハロゲンを含有しない、高分子量の 硬化性樹脂を得ることができる。
 本実施の形態のベンゾオキサジン環を有す 熱硬化性樹脂は、以下の実施例に記載され 定量分析により測定されるハロゲンの含有 が100ppm以下であることが好ましく、10ppm以 であることがより好ましい。

 本実施の形態のベンゾオキサジン環を有す 熱硬化性樹脂には、必要に応じて、硬化促 剤、難燃剤、無機充填材、離型剤、接着性 与剤、界面活性剤、着色剤、カップリング 、レベリング剤、その他の熱硬化性樹脂等 添加して、熱硬化性樹脂組成物とすること できる。
 本実施の形態において、ゲル化しておらず ハロゲンを含有しないベンゾオキサジン環 有する熱硬化性樹脂組成物を得ることがで る。
 ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂 成物は、前記混合溶媒を含んでいてもよい
 ベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂 成物は、開環反応させることより、積層板 半導体封止材等のエレクトロニクス材料、 擦材や砥石等の結合材として好適に用いる とができる。

 以下、実施例及び比較例によって本実施 形態をより具体的に説明するが、本発明は れらの実施例のみに限定されるものではな 。なお、本実施例に用いられる評価方法及 測定方法は以下のとおりである。

[重量平均分子量(Mw)の測定]
 高速液体クロマトグラフシステム、メーカ :SHIMADZU
  システムコントローラー:SCL-10A VP
  送液ユニット:LC-10AD
  VPデガッサー:DGU-12A
  示差屈折計(RI)検出器:RID-10A
  オートインジェクター:SIL-10AD VP
  カラムオーブン:CTO-10AS VP
  カラム:SHODEX KF804L(排除限界分子量400000)×2 (直列)
  カラム温度:40℃
  流量:1ml/分
  溶離液:THF(和光純薬工業株式会社製、安定 剤不含、HPLC用)
  サンプル:0.7質量%
  検出器:RI
を使用した。
 Mw(Mw/Mn)が、それぞれ、354000(1.02)、189000(1.04) 98900(1.01)、37200(1.01)、17100(1.02)、9830(1.02)、587 0(1.05)、2500(1.05)、1050(1.13)、500(1.14)300(1.20)の標 準ポリスチレンにより検量線を作成した。
 標準ポリスチレン換算により、ゲルパーミ ーションクロマトグラフィー測定により得 れたポリスチレン換算値での重量平均分子 (Mw)を測定した。

(実施例1)
 混合溶媒としてトルエン(和光純薬工業株式 会社製) 150mL及びメタノール(和光純薬工業株 式会社製) 50mLを還流管、コック付きの等圧 下ロート及びジムロート冷却器がセットさ た500mLのフラスコ内に、室温下で一括して添 加混合し、その後、ビスフェノールA(日本ジ イープラスチックス株式会社製) 15.98g(0.07mo l)、1,6-ジアミノヘキサン(東レ株式会社製) 8. 14g(0.07mol)をフラスコ内に室温下で一括して添 加混合した。その後、パラホルムアルデヒド (三菱ガス化学株式会社製、91.60%) 9.63g(0.29mol) を、フラスコ内に、室温下で一括して添加混 合し、全ての原料が混合された混合溶液を得 た。
 混合溶液が入ったフラスコを、温度が80℃ 設定された油浴中に浸し、加温することで 応を進行させた。還流開始から1時間後、反 中に生成した水を、トルエン、メタノール 共沸させることで系外に留去した。
 留去開始後から4時間反応を進行させた後に 、フラスコを油浴中から開放し、得られた反 応溶液を室温まで冷却した。得られた反応溶 液を、1Lのメタノール(和光純薬工業株式会社 製)中に注ぎ入れ、反応物を沈殿析出させた 析出した白色沈殿固体を減圧乾燥すること 、白色粉末状のベンゾオキサジン環を有す 熱硬化性樹脂を得た。
 得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬 性樹脂のゲルパーミエーションクロマトグ フィー測定により得られたポリスチレン換 値での重量平均分子量(Mw)は5495であった。

(実施例2)
 混合溶媒をトルエン 300mL及びメタノール 7 5mLにした以外は、実施例1と同様の方法によ 、全ての原料が混合された混合溶液を得た 混合溶媒が入ったフラスコを、温度が80℃に 設定された油浴中に浸し、加温することで反 応を進行させた。還流開始から1時間後、反 中に生成した水を、トルエン、メタノール 共沸させることで系外に留去した。留去開 後から5.5時間反応を進行させた後に、フラ コを油浴中から開放し、得られた反応溶液 室温まで冷却した。得られた反応溶液を、2L のメタノール中に注ぎ入れ、反応物を沈殿析 出させた。析出した白色沈殿固体を減圧乾燥 することで、白色粉末状のベンゾオキサジン 環を有する熱硬化性樹脂を得た。
 得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬 性樹脂のMwは5781であった。

 (実施例3)
 混合溶媒をトルエン 150mL及びエタノール( 光純薬工業株式会社製) 75mLにした以外は、 施例1と同様の方法により、全ての原料が混 合された混合溶液を得た。混合溶液が入った フラスコを、温度が90℃に設定された油浴中 浸し、加温することで反応を進行させた。 流開始から4時間後、反応中に生成した水を 、トルエン、エタノールと共沸させることで 系外に留去した。留去開始後から5時間反応 進行させた後に、フラスコを油浴中から開 し、得られた反応溶液を室温まで冷却した 得られた反応溶液を、1Lのメタノール中に注 ぎ入れ、反応物を沈殿析出させた。析出した 白色沈殿固体を減圧乾燥することで、白色粉 末状のベンゾオキサジン環を有する熱硬化性 樹脂を得た。
 得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬 性樹脂のMwは4307であった。

 (実施例4)
 混合溶媒としてトルエン 35mL及びイソブタ ール(三菱化学株式会社製) 15mLを還流管、 ック付きの等圧滴下ロート及びジムロート 却器がセットされた250mLのフラスコ内に、室 温下で一括して添加混合し、その後、ビスフ ェノールA 3.17g(0.014mol)、1,12-ジアミノドデカ (小倉合成工業株式会社製) 1.45g(0.007mol)、TCD ジアミン(オクセア社製)1.37g(0.007mol)をフラス 内に室温下で一括して添加混合した。その 、パラホルムアルデヒド(91.60%) 1.83g(0.056mol) を、フラスコ内に、室温下で一括して添加混 合し、全ての原料が混合された混合溶液を得 た。
 混合溶液が入ったフラスコを、温度が120℃ 設定された油浴中に浸し、加温することで 応を進行させた。還流開始から4時間後、反 応中に生成した水を、トルエン、イソブタノ ールと共沸させることで系外に留去した。
 留去開始後から4時間反応を進行させた後に 、フラスコを油浴中から開放し、得られた反 応溶液を室温まで冷却した。得られた反応溶 液を、100mLのメタノール中に注ぎ入れ、反応 を沈殿析出させた。析出した白色沈殿固体 減圧乾燥することで、白色粉末状のベンゾ キサジン環を有する熱硬化性樹脂を得た。
 得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬 性樹脂のMwは23209であった。

(実施例5)
 混合溶媒としてトルエン 16mL及びイソブタ ール 4mLを還流管、コック付きの等圧滴下 ート及びジムロート冷却器がセットされた50 mLのフラスコ内に、室温下で一括して添加混 し、その後、ビスフェノールA 1.37g(0.006mol) 1,6-ジアミノヘキサン 0.70g(0.006mol)をフラス 内に室温下で一括して添加混合した。その 、パラホルムアルデヒド(91.60%) 0.83g(0.025mol) を、フラスコ内に室温下で一括して添加混合 し、全ての原料が混合された混合溶液を得た 。
 混合溶液が入ったフラスコを、温度が120℃ 設定された油浴中に浸し、加温することで 応を進行させた。
 還流開始から6時間反応を進行させた後に、 フラスコを油浴中から開放し、得られた反応 溶液を室温まで冷却した。得られた反応溶液 を、100mLのメタノール中に注ぎ入れ、反応物 沈殿析出させた。析出した白色沈殿固体を 圧乾燥することで、白色粉末状のベンゾオ サジン環を有する熱硬化性樹脂を得た。
 得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬 性樹脂のMwは11555であった。

(実施例6)
 混合溶媒としてトルエン 2550mL及びイソブ ノール 450mLを還流管、コック付きの等圧滴 ロート及びジムロート冷却器がセットされ 10Lの反応装置内に、室温下で一括して添加 合し、その後、ビスフェノールA 274.00g(1.20m ol)、1,12-ジアミノドデカン 136.33g(0.66mol)、TCD アミン 129.18g(0.66mol)、フェノール(和光純薬 工業株式会社製) 34.22g(0.36mol)をフラスコ内に 室温下で一括して添加混合した。その後、パ ラホルムアルデヒド(91.60%) 259.50g(7.92mol)を、 ラスコ内に、室温下で一括して添加混合し 全ての原料が混合された混合溶液を得た。
 窒素ガスを15mL/分の流量で系内にパージさ ながら、混合溶液が100℃になるように加熱 、反応を進行させた。6時間還流させた後、 られた反応溶液を室温まで冷却した。この 点で、反応溶液中に残存しているフェノー 量は、ベンゾオキサジン環を有する熱硬化 樹脂に対して、1.2%であった。
 反応溶液を0.03mol/Lの水酸化ナトリウム水溶 3Lで2回洗浄し、その後、3Lの蒸留水で2回洗 した。この時点で、反応溶液中に残存して るフェノール量は、ベンゾオキサジン環を する熱硬化性樹脂に対して、0.1%であった。
得られた反応溶液を、15Lのメタノール中に注 ぎ入れ、反応物を沈殿析出させた。析出した 白色沈殿固体を減圧乾燥することで、白色粉 末状のベンゾオキサジン環を有する熱硬化性 樹脂を得た。
 得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬 性樹脂のMwは7811であった。

 (実施例7)
 混合溶媒としてトルエン 90mL及びイソブタ ール 10mLを還流管、コック付きの等圧滴下 ート及びジムロート冷却器がセットされた5 00mLのフラスコ内に、室温下で一括して添加 合し、その後、ビスフェノールM(三井化学株 式会社製) 34.67g(0.10mol)、 ビスアニリンM(三 化学株式会社製) 34.40g(0.10mol)をフラスコ内 室温下で一括して添加混合した。その後、 応溶液を65℃まで昇温し、ビスフェノールM ビスアニリンMの溶解を確認後、パラホルム ルデヒド(91.60%) 13.71g(0.42mol)を、前記フラス コ内に、一括して添加混合した。
 混合溶液が入ったフラスコを、110℃まで加 することで反応を進行させた。還流開始か 2時間後、反応中に生成した水を、トルエン 、イソブタノールと共沸させることで系外に 留去した。留去開始後、4時間還流させなが 反応を進行させた。その後、得られた反応 液を室温まで冷却した。トルエン100mLで反応 溶液を希釈し、ろ過した後、1Lのメタノール に注ぎ入れ、反応物を沈殿析出させた。析 した白色沈殿固体を減圧乾燥することで、 色粉末状のベンゾオキサジン環を有する熱 化性樹脂を得た。
 得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬 性樹脂のMwは7073であった。

 (実施例8)
 混合溶媒としてトルエン 1900mL及びイソブ ノール100mLを還流管、コック付きの等圧滴下 ロート及びジムロート冷却器がセットされた 10lの反応装置内に、室温下で一括して添加混 合し、その後、ビスフェノールM 416.31g(1.20mol )、BAPP(和歌山精化工業株式会社製) 513.05g(1.24 8mol)、フェノール 9.13g(0.096mol)をフラスコ内 室温下で一括して添加混合した。その後、 応溶液を65℃まで昇温し、各原料の溶解を確 認後、パラホルムアルデヒド(91.60%) 196.28g(5.9 9mol)を、フラスコ内に、一括して添加混合し 。
 窒素ガスを15mL/分の流量で系内にパージさ ながら、混合溶液を110℃まで加温すること 反応を進行させた。還流開始から2時間後、 応中に生成した水を、トルエン、イソブタ ールと共沸させることで系外に留去した。 去開始後、6時間還流させながら反応を進行 させた。その後、得られた反応溶液を室温ま で冷却した。トルエン1800mLで反応溶液を希釈 し、ろ過した後、15Lのメタノール中に注ぎ入 れ、反応物を沈殿析出させた。析出した白色 沈殿固体を減圧乾燥することで、白色粉末状 のベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂 を得た。
 得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬 性樹脂のMwは16228であった。

 (実施例9)
 混合溶媒としてトルエン 190mL及びイソブタ ノール 10mLを還流管、コック付きの等圧滴下 ロート及びジムロート冷却器がセットされた 500mLのフラスコ内に、室温下で一括して添加 合し、その後、ビスフェノールM 48.57g(0.14mo l)、ビスアニリンM 37.63g(0.109mol)、1,12-ジアミ ドデカン 7.31g(0.036mol)、フェノール 1.06g(0.0 11mol)をフラスコ内に室温下で一括して添加混 合した。その後、反応溶液を65℃まで昇温し 各原料の溶解を確認後、パラホルムアルデ ド(91.60%) 24.33g(0.74mol)を、フラスコ内に、一 括して添加混合した。
 混合溶液を、110℃まで加温することで反応 進行させた。還流開始から2時間後、反応中 に生成した水を、トルエン、イソブタノール と共沸させることで系外に留去した。留去開 始後、5時間還流させながら反応を進行させ 。その後、得られた反応溶液を室温まで冷 した。トルエン210mLで反応溶液を希釈し、ろ 過した後、スプレードライヤーを用いて、白 色粉末状のベンゾオキサジン環を有する熱硬 化性樹脂を得た。
 得られたベンゾオキサジン環を有する熱硬 性樹脂のMwは17031であった。

(実施例10)
 実施例1で得られた、ベンゾオキサジン環を 有する熱硬化性樹脂について、ヤナコ製 SQ-1 型/HSU-35型 + ダイオネクス製 ICP-2000型を用 て、自動燃焼ハロゲン・硫黄分析システム より、Cl(全塩素)の定量分析を行った。
 測定試料を加熱した石英燃焼管中で洗浄空 を導入して燃焼させた。生成した燃焼ガス 、吸収ユニット(HSU-35型)で吸収捕獲し、測 液として採取した。測定液は、イオンクロ トグラフにてハロゲン、硫黄を分別定量し 測定試料中の含有量を測定した。
 実施例1のベンゾオキサジン環を有する熱硬 化性樹脂のClの含有量は、10ppm未満であった

(比較例1)
 シクロヘキサノン(和光純薬工業株式会社製 ) 200mLを500mLのフラスコ内に、室温下で一括 て添加し、その後、ビスフェノールA 15.98g(0 .07mol)、1,6-ジアミノヘキサン 4.07g(0.035mol)、TC Dジアミン 6.86g(0.035mol)をフラスコ内に室温下 で一括して添加混合した。その後、パラホル ムアルデヒド(91.60%)9.63g(0.29mol)を、フラスコ に、室温下で一括して添加混合し、全ての 料が混合された混合溶液を得た。
 混合溶液が入ったフラスコを、温度が70℃ 設定された油浴中に浸し、加温することで 応を進行させた。この混合溶液からは、5時 経過後も、高分子量化したベンゾオキサジ 環を有する熱硬化性樹脂の生成は確認でき かったため、反応を中断した。

(比較例2)
 シクロヘキサノン 200mLをジメチルアセトア ミド(和光純薬工業株式会社製) 200mLにした以 外は、比較例1と同様の方法により、全ての 料が混合された混合溶液を得た。
 混合溶液が入ったフラスコを、温度が70℃ 設定された油浴中に浸し、加温することで 応を進行させた。この混合溶液からは、5時 経過後も、ベンゾオキサジン環を有する熱 化性樹脂の生成は確認できなかったため、 応を中断した。

(比較例3)
 シクロヘキサノン 200mLをトルエン 200mLに た以外は、比較例1と同様の方法により、全 の原料が混合された混合溶液を得た。
 混合溶液が入ったフラスコを、温度が70℃ 設定された油浴中に浸し、加温することで 応を進行させた。反応開始から2時間経過後 反応溶液がゲル化したため反応を中断した

(比較例4)
 シクロヘキサノン 200mLをトルエン 200mLに 1,6-ジアミノヘキサン 4.07g(0.035mol)、TCDジア ン 6.86g(0.035mol)を1,6-ジアミノヘキサン 8.14g( 0.07mol)にした以外は、比較例1と同様の方法に より、全ての原料が混合された混合溶液を得 た。
 混合溶液が入ったフラスコを、温度が70℃ 設定された油浴中に浸し、加温することで 応を進行させた。反応開始から1時間経過後 反応溶液がゲル化したため反応を中断した

(比較例5)
 トルエン 155mL及びアセトン(和光純薬工業 式会社製) 65mLを還流管、コック付きの等圧 下ロート及びジムロート冷却器がセットさ た500mLのフラスコ内に、室温下で一括して 加混合し、その後、ビスフェノールA 15.98g(0 .07mol)、1,6-ジアミノヘキサン 8.14g(0.07mol)をフ ラスコ内に室温下で一括添加混合した。その 後、パラホルムアルデヒド(91.60%) 9.63g(0.29mol) を、フラスコ内に、室温下で一括して添加混 合させ、全ての原料が混合された混合溶液を 得た。
 混合溶液が入ったフラスコを、温度が85℃ 設定された油浴中に浸し、加温することで 応を進行させた。還流開始から1時間後に、 液がゲル化したため反応を中断した。

(比較例6)
 還流開始と同時に、揮発成分の留去を開始 た以外は、比較例5と同様の方法により、原 料の調製及び反応を行った。留去開始から1 間後に、溶液がゲル化したため反応を中断 た。

(比較例7)
 トルエン 140mL及びテトラヒドロフラン(THF) 75mLを還流管、コック付の等圧滴下ロート及 ジムロート冷却器がセットされた500mLのフ スコ内に、室温下で一括して添加混合し、 の後、ビスフェノールA 15.98g(0.07mol)、1,6-ジ ミノヘキサン 8.14g(0.07mol)をフラスコ内に室 温下で一括して添加混合した。その後、パラ ホルムアルデヒド(91.60%) 9.63g(0.29mol)を、フラ スコ内に、室温下で一括して添加混合し、全 ての原料が混合された混合溶液を得た。
 混合溶液が入ったフラスコを、温度が95℃ 設定された油浴中に浸し、加温することで 応を進行させた。還流開始後、6時間反応さ たが、高分子量化したベンゾオキサジン環 有する熱硬化性樹脂の生成は確認できなか たため、反応を中断した。

(比較例8)
 還流開始と同時に、揮発成分の留去を開始 た以外は、比較例7と同様の方法により、原 料の調製及び反応を行った。留去開始後、6 間反応させたが、高分子量化したベンゾオ サジン環を有する熱硬化性樹脂の生成は確 できなかったため、反応を中断した。

(比較例9)
 メタノール 200mLを還流管、コック付の等圧 滴下ロート及びジムロート冷却器がセットさ れた500mLのフラスコ内に、室温下で一括して 加し、その後、ビスフェノールA 15.98g(0.07mo l)、1,6-ジアミノヘキサン 8.14g(0.07mol)を前記 ラスコ内に室温下で一括して添加混合した その後、パラホルムアルデヒド(91.60%)9.63g(0.2 9mol)を、前記フラスコ内に、室温下で一括し 添加混合し、全ての原料が混合された混合 液を得た。
 混合溶液が混入されたフラスコを、温度が8 0℃に設定された油浴中に浸し、加温するこ で反応を進行させた。還流開始後、5時間反 させたが、高分子量化したベンゾオキサジ 環を有する熱硬化性樹脂の生成は確認でき かったため、反応を中断した。

 (参考合成例)
 クロロホルム(和光純薬工業株式会社製) 200 mlを還流管、コック付の等圧滴下ロート及び ムロート冷却器がセットされた500mlのフラ コ内に、室温下で一括して添加し、その後 ビスフェノールA 14.61g(0.064mol)、1,6-ジアミノ ヘキサン 7.44g(0.064mol)を前記フラスコ内に室 下で一括して添加混合した。その後、パラ ルムアルデヒド(91.60%) 8.59g(0.256mol)を、フラ スコ内に、室温下で一括して添加混合し、全 ての原料が混合された混合媒体を得た。混合 媒体が混入されたフラスコを、温度が75℃に 定された油浴中に浸し、加温することで反 を進行させた。還流開始後、6時間反応後に 、フラスコを油浴中から開放し、得られた反 応溶液を室温まで冷却した。得られた反応溶 液を、1Lのメタノール中に注ぎ入れ、反応物 沈殿析出させた。析出した白色沈殿固体を 圧乾燥することで、白色粉末状のベンゾオ サジン環を有する熱硬化性樹脂を得た。得 れたベンゾオキサジン環を有する熱硬化性 脂のMwは37007であった。

 参考合成例で得られた、ベンゾオキサジ 環を有する熱硬化性樹脂について、ヤナコ  SQ-1型/HSU-35型 + ダイオネクス製 ICP-2000型 を用いて、自動燃焼ハロゲン・硫黄分析シス テムにより、Cl(全塩素)の定量分析を行った ころ、37000ppmという結果となった。

 

 以上の結果から、本発明によれば、容易 プロセスで、合成反応中に反応溶液がゲル することなく、高分子量化されたベンゾオ サジン環を有する熱硬化性樹脂を得ること できる。

 本発明によれば、合成反応中に反応溶液の ル化や反応生成物の不溶化が生じることな 、さらに、合成プロセスの容易な、高分子 化されたベンゾオキサジン環を有する熱硬 性樹脂の製造方法を提供することができる
 本発明の製造方法によれば、高分子量化さ たベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹 の製造方法を提供することができるので、 層板や半導体封止材等のエレクトロニクス 料、摩擦材や砥石等の結合材の分野におい 産業上の利用可能性を有する。