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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR PRODUCTION OF IMMOBILIZED ENZYME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/130880
Kind Code:
A1
Abstract:
The object is to effectively utilize an immobilizing carrier in a used immobilized enzyme which has been used in an esterification reaction, and to provide a method for producing an immobilized lipase which has the same levels of properties as those before use. Specifically disclosed is a method for producing an immobilized lipase, which comprises mixing an immobilized lipase that has been used in an esterification reaction with a solvent to wash the immobilized lipase until the remaining oil content in the immobilized lipase becomes 50 parts by mass or less relative to 100 parts by mass of an immobilizing carrier, contacting the immobilized lipase with an alkali solution, collecting the immobilizing carrier, and adsorbing a lipase on the immobilizing carrier.

Inventors:
FUKUHARA SHINPEI (JP)
KASE MINORU (JP)
KOMATSU TOSHITERU (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/001801
Publication Date:
October 29, 2009
Filing Date:
April 20, 2009
Export Citation:
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Assignee:
KAO CORP (JP)
FUKUHARA SHINPEI (JP)
KASE MINORU (JP)
KOMATSU TOSHITERU (JP)
International Classes:
C12N11/00; C12N11/08; C12P7/62; C12P7/64
Foreign References:
JP2004113238A2004-04-15
JPS63279794A1988-11-16
JP2001252090A2001-09-18
JPH01187086A1989-07-26
JPH0956379A1997-03-04
Other References:
See also references of EP 2272954A4
Attorney, Agent or Firm:
THE PATENT CORPORATE BODY ARUGA PATENT OFFICE (JP)
Patent business corporation Alga patent firm (JP)
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Claims:
 エステル化反応に使用した固定化脂質分解酵素と溶剤を混合し、固定化脂質分解酵素中の油分残存量が固定化担体100質量部に対して50質量部以下になるように洗浄し、次いでアルカリ溶液を接触させた後固定化担体を回収し、当該固定化担体に脂質分解酵素を吸着させる固定化脂質分解酵素の製造方法。
 アルカリ溶液の温度が0~70℃で、濃度が0.25~2規定、接触時間が2~48時間である請求項1記載の固定化脂質分解酵素の製造方法。
 脂質分解酵素が1,3位選択性リパーゼである請求項1又は2記載の固定化脂質分解酵素の製造方法。
 固定化担体が陰イオン交換樹脂である請求項1又は2記載の固定化脂質分解酵素の製造方法。
 請求項1又は2記載の方法により製造された固定化脂質分解酵素を用いて、グリセリンと脂肪酸又はその低級アルキルエステルとを反応させるジアシルグリセロールの製造方法。
Description:
固定化酵素の製造方法

 本発明は、固定化酵素を製造する方法に する。

 グリセリンと脂肪酸を原料としてエステ 化反応を行う際に、酵素を効率的に使用す ため、無機又は有機の担体に脂質分解酵素 固定化した固定化酵素が用いられている。 の固定化酵素は、長期間に渡り反応に使用 れるにつれて、その活性が低下するため、 る程度活性が低下した時点で回収し、新た 固定化酵素と交換する必要がある。

 回収された使用済み固定化酵素を有効利用 る手段として、これに付着している蛋白な をアルカリを用いることにより全て除去し 担体として再利用する方法がある(特許文献 1)。また、エステル交換反応やエステル転移 応に使用した活性の低下した固定化リパー を、溶剤又は溶剤とリン脂質を用いて湿潤 理して反応に寄与する水分をコントロール ることにより、残存するリパーゼを再活性 する方法(特許文献2)がある。
 しかし、上記の従来技術のうち、アルカリ 用いて酵素を除去する方法は、固定化担体 限定されたものであり、その他の固定化担 を用いた酵素に即応用できるものではない
 また、活性が低下した固定化酵素を溶剤又 溶剤とリン脂質を用いて湿潤処理する方法 、一部のリパーゼの脱離により活性が低下 た固定化酵素を再生するものではなく、あ までも残存するリパーゼを再活性化する方 である。

特開平1-187086号公報

特開平9-56379号公報

 本発明は、エステル化反応に使用した固 化脂質分解酵素と溶剤を混合し、固定化脂 分解酵素中の油分残存量が固定化担体100質 部に対して50質量部以下になるように洗浄 、次いでアルカリ溶液を接触させた後固定 担体を回収し、当該固定化担体に脂質分解 素を吸着させる固定化脂質分解酵素の製造 法を提供するものである。

発明の詳細な説明

 本発明は、エステル化反応に使用した使 済み固定化酵素の固定化担体を有効利用し 使用前と同等の性能を有する固定化脂質分 酵素を製造する方法を提供することに関す 。

 ここで、固定化脂質分解酵素を用いてジ シルグリセロール(以下、「DAG」と記載する )を製造する場合、上記の従来技術による再 固定化酵素を使用すると、DAG含有油脂のDAG 度が低下することが判明した。そこで、本 明者は、DAGの純度が低下する原因について 々検討したところ、再生した固定化酵素中 活性が低下した酵素が残存していることに 因があることを見出した。すなわち、脂質 解活性が低下しても転移活性が残っている め、1,3-DAGから1,2-DAGへの転位を経てトリアシ ルグリセロール(以下、「TAG」と記載する)が 成し、DAGの純度が低くなっていたのである そこでさらに検討したところ、固定化酵素 溶剤で洗浄した後、アルカリ溶液によって 理すれば、エステル化反応に使用された固 化担体から活性が低下した酵素をほぼ完全 脱離できることを見出した。そして、その 、回収した固定化担体に新たな脂質分解酵 を吸着させることによって、目的とする固 化脂質分解酵素を製造することができるこ を見出した。

 本発明によれば、エステル化反応におけ 使用済み固定化酵素の固定化担体を有効利 し、使用前と同等の活性を有する固定化脂 分解酵素とすることができる。そして、本 明の方法により製造された固定化脂質分解 素を用いれば、DAG純度の高いDAG含有油脂を 造することができる。

 本発明の製造方法の対象となる固定化酵 (使用済み固定化酵素)は、エステル化反応 使用され、脂質分解活性が低下した固定化 質分解酵素である。エステル化反応として 、例えば後記に示すグリセリンと脂肪酸又 その低級アルキルエステルとのエステル化 応が挙げられる。

 本発明の製造方法の対象となる固定化酵 における固定化担体としては、セライト、 イソウ土、カオリナイト、シリカゲル、モ キュラーシーブス、多孔質ガラス、活性炭 炭酸カルシウム、セラミックス等の無機担 、セラミックスパウダー、ポリビニルアル ール、ポリプロピレン、キトサン、イオン 換樹脂、疎水吸着樹脂、キレート樹脂、合 吸着樹脂等の有機高分子等が挙げられるが 特にイオン交換樹脂が好ましい。

 イオン交換樹脂としては、多孔質の陰イ ン交換樹脂が好ましい。このような多孔質 体は、大きな表面積を有するため、酵素の り大きな吸着量を得ることができる。樹脂 粒子径は100~1000μmが好ましく、細孔径は10~15 0nmが好ましい。

 陰イオン交換樹脂については、特許文献1に 、疎水性に基づく吸着が強いので担体から酵 素が脱離しにくく、使用することにより失活 した酵素を脱着して担体を再利用することは 困難であることが記載されている。これに対 し、本発明は、固定化酵素を溶剤で洗浄した 後、アルカリ溶液で処理すれば、酵素が疎水 性吸着した担体においても酵素が容易に脱離 し、また新しい酵素も吸着するため、担体を 再利用できることを見出したものである。
 本発明において、陰イオン交換樹脂の材質 しては、フェノールホルムアルデヒド系、 リスチレン系、アクリルアミド系、ジビニ ベンゼン系等が挙げられ、特に本発明の効 を良好に発揮する点からフェノールホルム ルデヒド系樹脂(例えば、Rohmand Hass社製Duoli te A-568)が好ましい。

 本発明において、脂質分解酵素としてはリ ーゼが挙げられる。リパーゼの種類は、任 に選択することができるが、DAG純度の高いD AG含有油脂を製造する点から、1,3位選択性リ ーゼが好ましい。
 リパーゼは、動物由来、植物由来のものは とより、微生物由来の市販リパーゼを使用 ることもできる。微生物由来リパーゼとし は、リゾプス(Rhizopus)属、アスペルギルス(As pergillus)属、ムコール(Mucor)属、リゾムコール( Rhizomucor)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ジ オトリケム(Geotrichum)属、ペニシリウム(Penicill ium)属、キャンディダ(Candida)属等の起源のも が挙げられる。

 使用済み固定化酵素の洗浄に使用する溶剤 しては、n-ヘキサン、アセトン、クロロホ ム、エタノール、メタノール、酢酸エチル アセトニトリル、酢酸、ペンタン、オクタ 等が挙げられ、酵素の油分の除去性の点か n-ヘキサン、アセトン、エタノールが好まし く、特に酵素の油分の除去性の点と溶剤の除 去性の点からn-ヘキサンが好ましい。
 洗浄方法は、バッチ式混合、連続式接触等 挙げられるが、操作性の点からバッチ式混 が好ましい。洗浄後、固定化酵素から溶剤 濾過・減圧留去等の方法により除去するこ が好ましい。

 洗浄は、洗浄後の油分付着量が少なくなり アルカリ処理工程で油分とアルカリとのケ 化が低減し、操作性が良くなる点から、洗 後の固定化脂質分解酵素中の油分残存量が 定化担体100質量部(以下、単に「部」で表す )に対して50部以下になるように行う。洗浄後 の固定化脂質分解酵素中の油分残存量は、同 様の点から、更に1~50部、特に同様の点及び 理コストの点から10~40部が好ましい。洗浄操 作は、一回だけ行ってもよく、数回繰り返し 行ってもよい。
 油分残存量は、固定化担体質量に対して残 する油分の質量を測定し、下記式(1)より固 化担体100部に対する質量比として求めるこ とする。
   油分残存量=(a-b)/b×100(a:固定化酵素質量 b:固定化担体質量)  (1)

 溶剤により洗浄した後、アルカリ溶液を接 させて使用済み固定化酵素から酵素を脱離 せる。本発明においてアルカリ溶液に使用 るアルカリとしては、例えば水酸化ナトリ ム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム、炭 カリウム等が挙げられるが、使用済み酵素 除去性の点から水酸化ナトリウムが好まし 。
 アルカリ溶液との接触方法は、バッチ式混 、連続式接触等が挙げられるが、操作性の からバッチ式混合が好ましい。接触方法は 静置、攪拌、振とう等が挙げられる。

 使用済み固定化酵素から酵素を脱離させ ために使用するアルカリ溶液の温度は、製 した固定化酵素の活性を有効に引き出し、D AG純度の低下を防止する点から、0~70℃が好ま しく、30~65℃がより好ましく、特に40~60℃が ましい。なお、ここでいう「DAG純度」とは DAG及びTAG中のDAGの質量%(以下、単に「%」で す)をいい、式で表すと、DAG/(TAG+DAG)×100であ 。

 また、アルカリ溶液の濃度は、製造した 定化酵素の活性を有効に引き出し、DAG純度 低下を防止する点から、0.25~2規定が好まし 、特に0.8~1.5規定が好ましい。

 アルカリ溶液との接触時間は、製造した固 化酵素の活性を有効に引き出し、DAG純度の 下を防止する点から、2~48時間が好ましく、 特に20~30時間が好ましい。
 アルカリ溶液を接触させた後、水洗、pH処 等によりアルカリを除去するのが好ましい

 新たな脂質分解酵素を固定化する場合、 定化担体に酵素を直接吸着してもよいが、 活性を発現するような吸着状態にするため 酵素吸着前に予め固定化担体を脂溶性脂肪 又はその誘導体で処理することが好ましい 脂溶性脂肪酸又はその誘導体と固定化担体 接触法としては、水又は有機溶剤中にこれ を直接加えてもよいが、分散性を良くする め、有機溶剤に脂溶性脂肪酸又はその誘導 を一旦分散、溶解させた後、水に分散させ 担体に加えてもよい。この有機溶剤として 、クロロホルム、ヘキサン、エタノール等 挙げられる。脂溶性脂肪酸又はその誘導体 使用質量は、固定化担体100部に対して1~500 、特に10~200部が好ましい。接触温度は0~100℃ 、特に20~60℃が好ましく、接触時間は5分~5時 程度が好ましい。この処理を終えた担体は ろ過して回収するが、乾燥してもよい。乾 温度は室温~100℃が好ましく、減圧乾燥を行 ってもよい。

 予め担体を処理する脂溶性脂肪酸又はそ 誘導体のうち、脂溶性脂肪酸としては、炭 数4~24、好ましくは炭素数8~18の飽和又は不 和の、直鎖又は分岐鎖の、水酸基を有して てもよい脂肪酸が挙げられる。具体的には カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、 レイン酸、リノール酸、α-リノレン酸、リ ノール酸、イソステアリン酸等が挙げられ 。また前記脂溶性脂肪酸の誘導体としては これらの脂溶性脂肪酸と一価若しくは多価 ルコール又は糖類とのエステル、リン脂質 及びこれらのエステルにエチレンオキサイ を付加したもの等が挙げられる。具体的に 、上記脂肪酸のメチルエステル、エチルエ テル、モノグリセライド、ジグリセライド それらのエチレンオキサイド付加体、ポリ リセリンエステル、ソルビタンエステル、 ョ糖エステル等が挙げられる。これら脂溶 脂肪酸及びその誘導体はいずれも常温(20℃) 液状であることが酵素を担体に固定化する 程上好ましい。これら脂溶性脂肪酸又はそ 誘導体としては、上記2種以上を併用しても よく、菜種脂肪酸、大豆脂肪酸等の天然由来 の脂肪酸を用いることもできる。

 酵素の固定化を行う温度は、酵素の特性 よって決定することができるが、酵素の失 が起きない0~60℃、特に5~40℃が好ましい。 た固定化時に使用する酵素溶液のpHは、酵素 の変性が起きない範囲であればよく、温度同 様酵素の特性によって決定することができる が、pH3~9が好ましい。このpHを維持するため は緩衝液を使用するが、緩衝液としては、 酸緩衝液、リン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝 等が挙げられる。

 上記酵素溶液中の酵素濃度は、固定化効 の点から酵素の飽和溶解度以下で、かつ十 な濃度であることが望ましい。また、酵素 液は、必要に応じて不溶部を遠心分離で除 した上澄や、限外濾過等によって精製した のを使用することもできる。また、用いる 素量は、固定化担体100部に対して5~1000部、 に10~500部が好ましい。

 固定化担体への酵素の吸着率は固定化酵 の活性を高める点、及び酵素コストの点か 高いほど好ましい。酵素吸着率は50%以上、 に80%以上、特に92%以上、殊更94~99%が好まし 。なお、ここでいう「酵素吸着率」とは、 素吸着前の酵素溶液の活性に対する酵素吸 後の酵素溶液(固定化酵素を除いた部分)の 性の残存率をいう。

 本発明においては、脂質分解酵素を固定 担体に吸着固定化した後、乾燥せずに、脂 性脂肪酸、脂肪酸トリグリセライド又は脂 酸部分グリセライド等に接触させながら脱 することにより、残存水分量を調整するの 好ましい。

 残存水分量は、保存安定性の点から固定 担体100部に対して1~50部、特に1~30部になる うに調整されることが好ましい。

 残存水分量を調整するのに使用される脂 性脂肪酸としては、菜種油、大豆油、ひま り油等の植物性の液状油脂若しくはイワシ 、マグロ油、カツオ油等の魚油から生成さ た脂肪酸が好ましい。なお、使用する脂肪 、脂肪酸トリグリセライド又は脂肪酸部分 リセライドは、本発明方法により調製され 固定化酵素を用いた実際のエステル化反応 おいて、油相基質とするものを選択するこ が好ましい。

 残存水分量を調整するのに使用される脂 酸、脂肪酸トリグリセライド又は脂肪酸部 グリセライドの量は、固定化酵素との接触 十分なものとし、かつ過剰量の使用による 駄を回避する点、及び流動性を高め脱水効 を向上させる点から、固定化担体100部に対 て20~3000部が好ましいが、100~1000部とするこ がより好ましい。

 本発明方法により得られた固定化酵素(以 下、「本発明固定化酵素」という)を用いてDA Gを製造すれば、高純度のDAG含有油脂(DAG+TAG中 のDAGが高比率)を調製することができる。DAG 有油脂のDAG純度は生理機能の点から50%以上 好ましく、さらには65%以上、特に80~100%、殊 93~98%が好ましい。また、DAG含有油脂中のTAG 有量は20%以下が好ましく、更には10%以下、 に5%以下、殊更4%以下が好ましい。

 また、本発明固定化酵素を用いてDAGを製造 れば、未使用の固定化担体に酵素を吸着さ て得られた固定化酵素(以下、「新規固定化 酵素」という)を用いてDAGを製造した場合と ぼ同等のDAG純度のDAG含有油脂が得られる。 発明固定化酵素を用いた場合のDAG純度と、 規固定化酵素を用いた場合のDAG純度との差 すなわち下記式(2)で定義されるDAG含有油脂 「DAG純度の差」は、-0.9%以上が好ましく、更 には-0.7%以上、特に-0.5%以上が好ましい。
   DAG純度の差=(本発明固定化酵素を用いた 合のDAG純度)-(新規固定化酵素を用いた場合 DAG純度)  (2)
 また、本発明固定化酵素を用いた場合のTAG 有量と、新規固定化酵素を用いた場合のTAG 有量との差、すなわち下記式(3)で定義され DAG含有油脂中の「TAG含有量の差」は、0.6%以 下が好ましく、更には0.3%以下が好ましい。
   TAG含有量の差=(本発明固定化酵素を用い 場合のTAG含有量)-(新規固定化酵素を用いた 合のTAG含有量)  (3)

 本発明におけるDAGの製造方法としては、グ セリンと脂肪酸又はその低級アルキルエス ルとのエステル化反応が挙げられる。
 ここで、エステル化反応に用いる脂肪酸又 その低級アルキルエステルとしては、直鎖 は分岐鎖の炭素数4~22、好ましくは炭素数8~1 8の飽和又は不飽和脂肪酸が好ましく、例え 酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、 プリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウ デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パ ミチン酸、ゾーマリン酸、ステアリン酸、 レイン酸、エライジン酸、リノール酸、リ レン酸、アラキドン酸、ガドレン酸、アラ ン酸、ベヘン酸、エルカ酸、エイコサペン エン酸、ドコサヘキサエン酸等を用いるこ ができる。また上記脂肪酸とエステルを形 する低級アルコールとしては、炭素数1~6の の、例えばメタノール、エタノール、1-プロ パノール、2-プロパノール、n-ブタノール、2- ブタノール又はt-ブタノールなどが挙げられ 。これらの脂肪酸又はその低級アルキルエ テルは、2種以上を併用することもできる。 また、上記脂肪酸の混合物、例えば大豆脂肪 酸などの天然由来の脂肪酸を用いることもで きる。

 この反応において、脂肪酸又はその低級ア キルエステルとグリセリンの反応モル比R〔 R=脂肪酸又はその低級アルキルエステル(mol)/ リセリン(mol)〕は、1.5~3.0が好ましく、更に 1.6~2.8、特に1.8~2.6であるのが好ましい。
 また、エステル化反応の反応温度は、特に 定されないが、20~80℃、特に30~70℃が反応性 の点で好ましい。また反応時間は工業的な生 産性の観点から10時間以内が好ましい。

 エステル化反応により得られたDAG含有油 は、後処理を行うことにより製品とするこ ができる。後処理は、脱酸(未反応の脂肪酸 及び副生したモノアシルグリセロールを除去 )、酸処理、水洗、脱臭の各工程を行うこと 好ましい。脱酸工程は、エステル化反応に り得られたDAG含有油脂を減圧蒸留すること より、反応生成物から未反応の脂肪酸及び 生したモノアシルグリセロールを除去する 程をいう。酸処理工程は、前記脱酸油にク ン酸等のキレート剤を添加、混合し、必要 応じて更に減圧脱水する工程をいう。また 得られた酸処理油は、色相、風味を更に良 とする点から、吸着剤との接触による脱色 程を行っても良い。水洗工程は、前記酸処 油に水を添加して強攪拌し、油水分離を行 操作を行う工程をいう。水洗は複数回(例え 3回)繰り返し、水洗油を得るのが好ましい 脱臭工程は、前記水洗油を減圧水蒸気蒸留 る工程をいう。脱臭は、バッチ式、連続式 半連続式等が挙げられ、薄膜脱臭装置また トレイ式脱臭装置の単独で行う方法の他、 れら薄膜脱臭装置を用いた脱臭処理とトレ 式脱臭装置を用いた脱臭処理とを組み合わ て行ってもよい。

[固定化酵素の活性測定方法]
 三日月羽根をセットした4つ口フラスコに固 定化酵素を4部仕込み、大豆脂肪酸約20部で3 洗浄した。その後、大豆脂肪酸を加え、50℃ ・400rpm・15分間攪拌した。次にグリセリンを えて反応を開始し、真空ポンプで減圧にし 。エステル化反応は温度50℃・攪拌400rpm・ 空度400Paで行い、大豆脂肪酸とグリセリンは FA/GLYモル比を2とし、仕込みの合計量を80部と した。30分毎に反応液をサンプリングし、AV ・水分・グリセリド組成の分析を行い、各 成(FA・GLY・MAG・DAG・TAG)の経時変化を追跡し 。収率(DAG+TAG)が70%に到達した時間とDAG純度( DAG質量/(DAG+TAG質量)×100)を経時曲線から読み り算出した。

[新規固定化酵素Aの調製]
 Duolite A-568(Rohm and Hass社)10部を0.1Nの水酸化 ナトリウム水溶液100部中で1時間攪拌した。 過した後、蒸留水100部で洗浄し、500mM酢酸緩 衝液(pH6)100部で1回、50mM酢酸緩衝液(pH6)100部で 2回、pH平衡化を行った。濾過後、エタノール 40部でエタノール置換を行った。濾過した後 大豆脂肪酸10部とエタノール40部の混合液を 加え30分間攪拌した。次に50mM酢酸緩衝液(pH6)5 0部で30分ずつ4回洗浄し、濾過して担体を回 した。その後、リパーゼ(リリパーゼ A-10FG ナガセケムテックス株式会社)10部を50mM酢酸 衝液(pH6)180部に溶解した酵素液と2時間接触 せ、固定化を行った。固定化後に濾過して 定化酵素を回収した後、50mM酢酸緩衝液(pH6)5 0部で30分間洗浄を行い、固定化していない酵 素や蛋白を除去し、濾過して固定化酵素を回 収した。酵素吸着率は98.0%であった。次に回 した固定化酵素とナタネ油40部とを16時間接 触させ、濾過して油処理した固定化酵素を回 収した。以上の操作で調製した新規固定化酵 素Aについて、前記「固定化酵素の活性測定 法」に従って活性を測定(以下同じ)したとこ ろ、収率70%の到達時間は64.1分で、DAG純度は95 .1%、TAG含有量3.4%であった。結果を表1に示す

[新規固定化酵素Bの調製]
 Duolite A-568(Rohm and Hass社)10部を0.1Nの水酸化 ナトリウム水溶液100部中で1時間攪拌した。 過した後、蒸留水100部で洗浄し、500mM酢酸緩 衝液(pH6)100部で1回、50mM酢酸緩衝液(pH6)100部で 2回、pH平衡化を行い、濾過して担体を回収し た。その後、リパーゼ(パラターゼ20000L、ノ ザイムズジャパン株式会社)12部を50mM酢酸緩 液(pH6)180部に溶解した酵素液と2時間接触さ 、固定化を行った。固定化後に濾過して固 化酵素を回収した後、50mM酢酸緩衝液(pH6)50 で30分間洗浄を行い、固定化していない酵素 や蛋白を除去し、濾過して固定化酵素を回収 した。酵素吸着率は99.8%であった。次に回収 た固定化酵素とナタネ油40部とを16時間接触 させ、濾過して油処理した固定化酵素を回収 した。以上の操作で調製した新規固定化酵素 Bの活性を測定したところ、収率70%の到達時 は117.7分で、DAG純度は97.0%、TAG含有量2.1%であ った。結果を表2に示す。

[使用済み固定化酵素Aの調製]
 前記新規固定化酵素Aを用い、50℃にてエス ル化反応時間1000時間相当の操作を行い、活 性が低下した残存活性を有する使用済み固定 化酵素Aを調製した。このときの油分残存量 固定化担体100部に対して150部であった。使 済み固定化酵素Aの活性を測定したところ、 率70%の到達時間は220分で、DAG純度は92.9%、TA G含有量は5.0%であった。

[使用済み固定化酵素Bの調製]
 前記新規固定化酵素Bを用い、50℃にてエス ル化反応時間1000時間相当の操作を行い、活 性が低下した残存活性を有する使用済み固定 化酵素Bを調製した。このときの油分残存量 固定化担体100部に対して85.3部であった。使 済み固定化酵素Bの活性を測定したところ、 収率70%の到達時間は290分で、DAG純度は93.9%、T AG含有量は4.4%であった。

[油分残存量の測定]
 固定化酵素a部に対し10質量倍のヘキサン、 セトンで交互に各3回洗浄後、70℃で15時間 置することにより脱溶剤し、固定化担体の の質量を秤量し(b)、下記式より固定化担体10 0部に対する質量比として求めた。
   油分残存量=(a-b)/b×100(a:固定化酵素質量 b:固定化担体質量)

[酵素吸着率の測定]
 酵素固定化操作における吸着前後の酵素溶 の酵素活性を、リパーゼキットS(大日本製 製)を使用し、37℃・15分反応させ測定し、酵 素吸着率は下記式より求めた。
   酵素吸着率[%]=(吸着前の活性-吸着後の活 性)/吸着前の活性×100

実施例1
 使用済み固定化酵素A10部(乾燥基準)に対しn- ヘキサン85部を加えて30分間攪拌した。洗浄 の油分残存量は、固定化担体100部に対して36 .9部であった。ヘキサンを減圧留去した後、1 Nの水酸化ナトリウム水溶液100部と50℃、24時 接触させて、残存酵素の脱離を行った。水 化ナトリウム水溶液を除去し、蒸留水100部 洗浄後、10%の酢酸水溶液4部と蒸留水100部を 加えて中和した。その後、500mM酢酸緩衝液(pH6 )100部で1回、50mM酢酸緩衝液(pH6)100部で2回、pH 衡化を行った。濾過後、エタノール40部で タノール置換を行った。濾過した後、大豆 肪酸10部とエタノール40部の混合液を加え30 間攪拌した。次に50mM酢酸緩衝液(pH6)50部で30 ずつ4回洗浄し、濾過して担体を回収した。 その後、リパーゼ(リリパーゼ A-10FG、ナガセ ケムテックス株式会社)10部を50mM酢酸緩衝液(p H6)180部に溶解した酵素液と2時間接触させ、 定化を行った。固定化後に濾過して固定化 素を回収した後、50mM酢酸緩衝液(pH6)50部で30 間洗浄を行い、固定化していない酵素や蛋 を除去し、濾過して固定化酵素を回収した 酵素吸着率は97.7%であった。次に回収した 定化酵素とナタネ油40部とを16時間接触させ 濾過して油処理した固定化酵素を回収した
 以上の操作で製造した固定化酵素の活性を 定したところ、収率70%の到達時間は64.3分で 、DAG純度は95.0%、DAG純度の差は-0.1%、TAG含有 3.5%、TAG含有量の差は0.1%であった。結果を表 1に示す。

実施例2
 水酸化ナトリウム水溶液との接触時間が2時 間である以外は実施例1と同様に固定化酵素 調製した。酵素吸着率は95.5%であった。得ら れた固定化酵素の活性を測定したところ、収 率70%の到達時間は66.2分で、DAG純度は94.7%、DAG 純度の差は-0.4%、TAG含有量3.8%、TAG含有量の差 は0.3%であった。結果を表1に示す。

実施例3
 使用済み固定化酵素A10部(乾燥基準)に対しn- ヘキサン85部を加えて30分間攪拌し、ヘキサ を減圧留去した。この操作を2回行い、油分 存量が固定化担体100部に対して6.7部のもの 使用して、実施例1と同様に固定化酵素を調 製した。酵素吸着率は96.7%であった。得られ 固定化酵素の活性を測定したところ、収率7 0%の到達時間は65.2分で、DAG純度は96.7%、DAG純 の差は1.6%、TAG含有量2.3%、TAG含有量の差は-1 .1%であった。結果を表1に示す。

実施例4
 使用済み固定化酵素A10部(乾燥基準)に対しn- ヘキサン85部を加えて30分間攪拌し、ヘキサ を減圧留去した。この操作を3回行い、油分 存量が固定化担体100部に対して2.4部のもの 使用して、実施例1と同様に固定化酵素を調 製した。酵素吸着率は98.6%であった。得られ 固定化酵素の活性を測定したところ、収率7 0%の到達時間は66.8分で、DAG純度は95.8%、DAG純 の差は0.7%、TAG含有量2.9%、TAG含有量の差は-0 .5%であった。結果を表1に示す。

実施例5
 使用済み固定化酵素B10部(乾燥基準)に対しn- ヘキサン85部を加えて30分間攪拌した。洗浄 の油分残存量は、固定化担体100部に対して8. 7部であった。ヘキサンを減圧留去した後、1N の水酸化ナトリウム水溶液100部と50℃、24時 接触させて、残存酵素の脱離を行った。水 化ナトリウム水溶液を除去し、蒸留水100部 洗浄後、10%の酢酸水溶液4部と蒸留水100部を えて中和した。その後、500mM酢酸緩衝液(pH6) 100部で1回、50mM酢酸緩衝液(pH6)100部で2回、pH 衡化を行い、濾過して担体を回収した。そ 後、リパーゼ(パラターゼ20000L、ノボザイム ジャパン株式会社)12部を50mM酢酸緩衝液(pH6)1 80部に溶解した酵素液と2時間接触させ、固定 化を行った。固定化後に濾過して固定化酵素 を回収した後、50mM酢酸緩衝液(pH6)50部で30分 洗浄を行い、固定化していない酵素や蛋白 除去し、濾過して固定化酵素を回収した。 素吸着率は99.1%であった。次に回収した固定 化酵素とナタネ油40部とを16時間接触させ、 過して油処理した固定化酵素を回収した。
 得られた固定化酵素の活性を測定したとこ 、収率70%の到達時間は86.8分で、DAG純度は97. 1%、DAG純度の差は0.1%、TAG含有量2.1%、TAG含有 の差は0.0%であった。結果を表2に示す。

比較例1
 前記使用済み固定化酵素Aをヘキサン洗浄を 行わずに1Nの水酸化ナトリウム水溶液100部と5 0℃、24時間接触させて残存酵素の脱離処理を 行ったが、濾過する際に液体の流動性が悪く て濾過ができず、固定化酵素が調製できなか った。

比較例2
 前記使用済み固定化酵素A10部(乾燥基準)に しn-ヘキサン30部で洗浄し、油分残存量を固 化担体100部に対して100部とした後、1Nの水 化ナトリウム水溶液100部と50℃、24時間接触 せて残存酵素の脱離処理を行ったが、比較 1と同様に流動性が悪くて濾過ができず、固 定化酵素が調製できなかった。

比較例3
 実施例1において、ヘキサン洗浄後、アルカ リ処理による酵素の脱離を行わずにエタノー ル置換を行い、その他は実施例1と同様に固 化酵素を調製した。酵素吸着率は91.1%であっ た。得られた固定化酵素の活性を測定したと ころ、収率70%の到達時間は69.5分で、DAG純度 92.6%、DAG純度の差は-2.5%、TAG含有量5.2%、TAG含 有量の差は1.8%であった。結果を表1に示す。

比較例4
 実施例5において、ヘキサン洗浄後、アルカ リ処理による酵素の脱離を行わずに酵素固定 化を行い、その他は実施例5と同様に固定化 素を調製した。酵素吸着率は93.8%であった。 得られた固定化酵素の活性を測定したところ 、収率70%の到達時間は103.8分で、DAG純度は96.0 %、DAG純度の差は-1.0%、TAG含有量2.8%、TAG含有 の差は0.7%であった。結果を表2に示す。

 表1及び2の結果から、使用済み固定化脂 分解酵素を溶剤で洗浄して、固定化脂質分 酵素中の油分残存量を固定化担体100部に対 て50部以下とし、次いでアルカリ処理した後 に脂質分解酵素を吸着させることにより、新 規に製造した固定化酵素と同等の活性を有す る固定化脂質分解酵素を製造することができ 、これを用いてエステル化反応を行えば、DAG 純度の高いDAG含有油脂を製造することができ ることが確認された。