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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR PRODUCTION OF MONOSACCHARIDE AND/OR WATER-SOLUBLE POLYSACCHARIDE BY HYDROLYSIS OF CELLULOSE-CONTAINING MATERIAL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/004950
Kind Code:
A1
Abstract:
A monosaccharide and/or a water-soluble polysaccharide can be produced with a high degree of efficiency by hydrolyzing a cellulose-containing material with a sulfonate-containing carbonaceous material. The used sulfonate-containing carbonaceous material can be reactivated and reused by carbonization and sulfonation, without the need of separating the sulfonate-containing carbonaceous material from the unreacted portion of the cellulose-containing material. This method enables to reduce the cost for hydrolysis, can reduce the amount of waste materials, and therefore can contribute to the global environmental conservation.

Inventors:
YANAGAWA SHINICHIROU (JP)
KONDO HIDESATO (JP)
HARA MICHIKAZU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/061466
Publication Date:
January 08, 2009
Filing Date:
June 24, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON OIL CORP (JP)
TOKYO INST TECH (JP)
YANAGAWA SHINICHIROU (JP)
KONDO HIDESATO (JP)
HARA MICHIKAZU (JP)
International Classes:
C13K1/02; B01J27/02; C01B31/02; C07H3/02; C07H3/06; C07B61/00
Domestic Patent References:
WO2008001696A12008-01-03
WO2005029508A12005-03-31
Foreign References:
JP2006238728A2006-09-14
JP2004238311A2004-08-26
JP2002085100A2002-03-26
JPS5925801A1984-02-09
Other References:
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Attorney, Agent or Firm:
HASEGAWA, Yoshiki et al. (Ginza First Bldg. 10-6Ginza 1-chome, Chuo-k, Tokyo 61, JP)
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Claims:
 有機物を炭化処理およびスルホン化処理して得られるスルホン酸基含有炭素質材料ならびに水の存在下、セルロースを含む材料を加水分解し、該加水分解により生成した単糖類および/または水溶性多糖類を含有する反応混合物を得る第1の工程と、
 前記第1の工程で得られた前記反応混合物から、単糖類および/または水溶性多糖類を含む液相を分離する第2の工程と、
 前記第2の工程で前記反応混合物から前記液相を分離した残部に含まれる、未反応材料および/またはスルホン酸基含有炭素質材料を含む固形分の一部または全てについて、炭化処理およびスルホン化処理を行い、循環使用するためのスルホン酸基含有炭素質材料を製造する第3の工程と、
 前記第3の工程で得られた循環使用するためのスルホン酸基含有炭素質材料の一部または全てを、セルロースを含む材料と混合し、前記第1の工程に供する第4の工程と、
を有することを特徴とする単糖類および/または水溶性多糖類の製造方法。
 前記セルロースを含む材料を前記第4の工程に供する前に粉砕する第5の工程をさらに有することを特徴とする、請求項1に記載の単糖類および/または水溶性多糖類の製造方法。
 前記有機物が、前記第5の工程にて粉砕したセルロースを含む材料であることを特徴とする、請求項2に記載の単糖類および/または水溶性多糖類の製造方法。
 前記第2の工程で得られた単糖類および/または水溶性多糖類を含む液相を酵素にて糖化する第6の工程をさらに有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の単糖類および/または水溶性多糖類の製造方法。
 前記セルロースを含む材料がリグノセルロースであることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の単糖類および/または水溶性多糖類の製造方法。
Description:
セルロースを含む材料の加水分 による単糖類および/または水溶性多糖類の 製造方法

 本発明は、セルロースを含む材料の加水 解による単糖類および/または水溶性多糖類 の製造方法に関する。

 近年の地球環境問題、特に二酸化炭素排出 削減等に関連して、再生可能資源であるバ オマスを活用する技術の開発が行われてい 。その中で、バイオマスを構成する主成分 あるセルロース類を加水分解することによ 単糖類を得、これを原料に発酵法によりエ ノールあるいはL-乳酸等を製造する方法が 案されている。また水に不溶のセルロース を加水分解して水溶性の物質に変えること 、化学的あるいは栄養学的に有用な物質を る手段として重要であるのみならず、水溶 とすることにより酵素糖化による単糖類の 成が容易となり、その後発酵などにより「 イオエタノール」の製造が可能となるなど 産業上利用価値が高い。
 これらの方法における第一の段階、即ちセ ロース系原料から単糖類および/または水溶 性多糖類を得る工程については、セルラーゼ 等のセルロース加水分解能を有する酵素を用 いる方法、硫酸を触媒に用いる加水分解方法 (例えば特許文献1)、リン酸を触媒に用いる加 水分解方法(特許文献2)等が提案されている。 しかし酵素を用いる方法は、高価な酵素を使 用すること、反応効率が必ずしも高くないこ となどが問題点である。
 一方、硫酸を触媒に用いる方法はより実現 の高い方法として、精力的に技術開発が進 られており(非特許文献1)、反応効率の点で 素法に比較して優れるが、硫酸による装置 腐食のため高価な耐酸性材料を使用する必 があること、硫酸触媒の反応生成物からの 離、回収、精製、濃縮、再利用等の多くの 程を必要とし、これらの工程にはイオン交 樹脂等の高価な資材を使用し、また多くの ネルギーを要すること、木材を処理した場 未反応物にリグニンスルホン酸などの酸性 棄物を多量に生成すること、などの問題が り、さらには排水処理、場合により硫酸の 和により発生する産業廃棄物等の問題もあ 、実用化には至っていない。リン酸を触媒 用いる方法も硫酸を触媒に用いる場合と同 の問題がある。

 一般的に、化学反応に硫酸等の鉱酸触媒 使用する場合の上記のような問題点を解決 る手段として固体酸触媒の利用があり、水 原料に使用する化学反応に使用される代表 な固体酸触媒として、強酸型陽イオン交換 脂が挙げられる。しかしイオン交換樹脂は 熱性に乏しいため使用可能な温度領域が狭 、高価である、反応によっては活性が十分 ない等の問題があり、硫酸等の鉱酸触媒の 替手段として広く使用されてはいないのが 状である。またセルロース類の加水分解反 に対して固体酸触媒を用いる方法が提案さ ている(非特許文献4)。しかしながら、イオ 交換樹脂等の固体酸触媒を用いた場合は、 熱性が低いのみでなく、未反応のセルロー 類を触媒から分離することが困難なため使 済み触媒は廃棄処理とせざるを得ず触媒コ トの面で実用的でない、などの問題がある

 一方、最近芳香族化合物や糖類などの有機 を出発原料とし、これを炭化およびスルホ 化して得られるスルホン酸基含有炭素質材 が開発され、触媒として高活性であり、イ ン交換樹脂に比較して耐熱性に優れ、また コストである等の特徴から注目を集めてい 。このカーボン系固体酸を触媒に用いた化 反応としては、酢酸および高級脂肪酸のエ ノールによるエステル化反応、酢酸シクロ キシルの加水分解反応、2,3-ジメチル-2-ブテ ンの水和反応、アニソールおよびベンジルア ルコールのアルキル化が開示されている(特 文献3、非特許文献2、非特許文献3)。しかし がら、これらの出願には前記炭素質材料が 糖類を加水分解することについては何も記 されておらず、製造プロセスについても全 言及されていない。

特表平11-506934号公報

特開平10-110001号公報

特開2004-238311号公報 NEDO平成13年度成果報告書、「バイオマス エネルギー高効率転換技術開発/セルロース バイオマスを原料とする新規なエタノール 酵技術の開発/前処理・糖化・エタノール発 技術の開発」 Tada,M.,Takagaki,A.,Okamura,M.,Kondo,J.,Hayashi,S.,Dom en,K.,Hara,M.,Nature,483,178(2005) 高垣 敦,原 亨和,PETROTECH,29,411(2006) 柴田 智弘,銭 衛華,國眼 孝雄,セルロー ス系バイオマスからの糖化反応,2007年度石油 会発表 A18

 本発明の課題は、スルホン酸基含有炭素 材料による加水分解反応を用いることによ 、従来の鉱酸、特に硫酸触媒による方法に 要な工程の大幅な省略あるいは簡略化さら は装置の腐食防止が可能であり、かつ従来 方法と同等の反応効率が得られる、セルロ ス類を含む材料の加水分解反応方法を提供 ることにある。

 上記従来技術の問題点に鑑み、本発明者ら 鋭意研究を行った結果、セルロースを含む 材料のスルホン酸基含有炭素質材料による 水分解反応、生成物の分離、スルホン酸基 有炭素質材料の再生、再生したスルホン酸 含有炭素質材料の加水分解反応への再投入 という異なる技術を組み合わせることによ 、従来の硫酸法技術のように、反応装置に 酸性材料を大量に用いず、かつリグニンス ホン酸のような大量の酸性未反応物を生成 ない、セルロースを含む材料の加水分解に る単糖類および/または水溶性多糖類の製造 方法を見出した。
 従来、木材などセルロースを含む材料を加 分解するためには、酸が糖同士の結合部分 存在しなければならず、硫酸のような液体 酸でなければ多糖類を効率よく加水分解で ないと考えられており、固体酸で行うため は、高価な触媒を用いた高温・高圧下の厳 い条件が必要であることが知られていた。 た、固体酸にて反応させた場合には、反応 の未反応セルロースもしくはリグニンと固 酸を分離することが極めて困難であった。 かしながら、スルホン酸基含有炭素質材料 用いて反応させることにより、セルロース 含む材料を効率よく加水分解し、単糖類お び/または水溶性多糖類を製造することが出 来ること、さらには生成物分離後の未反応物 とスルホン酸基含有炭素質材料の混合物を、 分離することなく再度そのままスルホン酸基 含有炭素質材料の原料に供することにより、 効率よくセルロースを含む材料を加水分解さ せることが出来ることを見出し、本発明を完 成させるに至った。

 すなわち、本発明は、有機物を炭化処理 よびスルホン化処理して得られるスルホン 基含有炭素質材料ならびに水の存在下、セ ロースを含む材料を加水分解し、該加水分 により生成した単糖類および/または水溶性 多糖類を含有する反応生成物を得る第1の工 と、第1の工程で得られた反応生成物から、 糖類および/または水溶性多糖類を含む液相 を分離する第2の工程と、第2の工程で反応生 物から液相を分離した残部に含まれる、未 応材料および/またはスルホン酸基含有炭素 質材料を含む固形分の一部または全てについ て、炭化処理およびスルホン化処理を行い、 循環使用するためのスルホン酸基含有炭素質 材料を製造する第3の工程と、第3の工程で得 れた循環使用するためのスルホン酸基含有 素質材料の一部または全てを、セルロース 含む材料と混合し、第1の工程に供する第4 工程と、を有することを特徴とする単糖類 よび/または水溶性多糖類の製造方法を提供 る。

 また、本発明の単糖類および/または水溶 性多糖類の製造方法は、セルロースを含む材 料を第4の工程に供する前に粉砕する第5の工 をさらに有することが好ましい。

 本発明においては、前記有機物が、第5の 工程にて粉砕したセルロースを含む材料であ ることが好ましい。

 また、本発明の単糖類および/または水溶 性多糖類の製造方法は、第2の工程で得られ 単糖類および/または水溶性多糖類を含む液 を酵素にて糖化する第6の工程をさらに有す ることが好ましい。

 また、本発明においては、セルロースを む材料がリグノセルロースであることが好 しい。

 本発明の単糖類および/または水溶性多糖 類の製造方法は、触媒としてスルホン酸基含 有炭素質材料を用いるので、従来の硫酸触媒 を用いる方法に比較して、装置の腐食の懸念 がなく、触媒の分離、回収、精製、濃縮、再 利用、排水処理等の工程を大幅に省略あるい は簡略化可能であり、リグニンスルホン酸の ような酸性廃棄物の生成を大幅に抑制するこ とが可能であり、さらには、従来の固体酸触 媒のように反応後の触媒と固体未反応物とを 分離しなくとも触媒の再生と再利用が可能で ある。その上、従来方法と同様の反応効率が 得られるので、低コストかつ効率的にセルロ ース類の加水分解反応を行うことが可能であ る。

 本発明によって製造される単糖類はエタ ールの製造用原料として有用である。水溶 多糖類を得ることもまた工業的に有用であ 、かつ酵素等により容易に単糖類に変換で るため、エタノール製造用原料としても有 である。

本発明の単糖類および/または水溶性多 糖類の製造方法の一例を示す工程図である。

 以下、場合により図面を参照して、本発 の好適な実施形態について詳細に説明する

 図1は本発明の単糖類および/または水溶 多糖類の製造方法の一例を示す工程図であ 。以下では、本発明の製造方法に含まれる 工程について、順に説明する。

<第1の工程:反応工程>
 本工程は、粉砕された、セルロースを含む 料を、スルホン酸基含有炭素質材料ならび 水の存在下、加水分解反応を行い、単糖類 よび/または水溶性多糖類を得る工程である (図1中のS1)。原料の形状は加水分解反応に適 た形状であれば特に制約は無いが、加水分 反応工程を速やか効率的に進行させるため 微細であることが好ましい。具体的には平 粒子径が0.1μm~30mmであることが好ましい。 均粒子径が0.1μmより小さい場合には、必要 する機械的エネルギーが大きく非実用的で り、30mmより大きい場合には加水分解反応の 度が十分でないため好ましくない。原料が 工程で処理するには大きすぎる場合には、 述の粉砕工程で粉砕して本工程に供給する とも可能である。
 スルホン酸基含有炭素質材料の一部または てとして、第3の工程(図1中のS3)により得ら た材料を、後述する第4の工程(混合工程)を て本工程に供給する。また、必要に応じて 第3の工程で得られたものとは異なるスルホ ン酸基含有炭素質材料を用いることも出来る が、第4の工程を経て本工程に供給されるス ホン酸基含有炭素質材料の少なくとも一部 第3の工程で製造されたものである。

(触媒)
 第1の工程にて触媒として用いるスルホン酸 基含有炭素質材料は、有機物を出発原料とし 、これを炭化およびスルホン化することによ り得られるものであり、前記非特許文献3あ いは特許文献3等に開示されているものを使 することができる。

 前記スルホン酸基含有炭素質材料の出発原 となる有機物としては、炭化処理およびス ホン化処理できるものであればいずれも利 可能である。例えば、芳香族炭化水素等の 機低分子量化合物;重油、石油系ピッチ、タ ール等の石油系重質炭化水素混合物;グルコ ス、マルトース、セロビオースなどの糖類; ンプン、セルロース、アミロース、ヘミセ ロース等の天然有機物;フェノール樹脂、フ ラン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和 ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化 性樹脂;リグニンなどの有機高分子化合物な が挙げられる。
 中でもセルロース、ヘミセルロース、リグ ン、リグノセルロースなど木質系材料は、 発明の加水分解反応の原料でもあり、また られるスルホン酸基含有炭素質材料の熱安 性が高いことから好ましい。

 前記スルホン酸基含有炭素質材料の製造は 前記非特許文献3あるいは特許文献3等に開 されている方法により行うことができる。
 即ち、出発原料の有機物の炭化処理は、窒 等の不活性気体雰囲気下で加熱処理するこ により行われ、それによりアモルファス状 黒色固体(炭化物)が得られる。炭化物のス ホン化処理は濃硫酸または発煙硫酸中で加 処理することにより行われ、それにより前 炭化物の骨格にスルホン基が導入される。

 炭化処理とスルホン化処理は、それぞれ独 して処理することも同時に1工程として行う ことも可能である。各処理における処理温度 などの条件は、用いる出発原料の有機物の種 類により適宜選択される。
 例えば出発原料の有機物として多環式芳香 炭化水素類を用いる場合には、濃硫酸また 発煙硫酸中、100~450℃、好ましくは200~350℃ 加熱処理することにより、炭化およびスル ン化を同時に1工程にて行うことが好ましい 一方、糖類、高分子化合物類などを用いる 合は別工程で行った方が好ましいが、これ 限定されうるものではない。炭化工程がプ セス的に多大なエネルギーを必要とするこ を考慮すると、有機物が糖類、高分子化合 類である場合も、1工程にて行う場合が好ま しい場合もある。以下、炭化処理とスルホン 化処理を別工程にて行う場合について好まし い態様を記載する。

 炭化処理のための加熱は、好ましくは窒 、アルゴン等の不活性気体雰囲気下、温度 300~600℃、で行われる。炭化処理の温度が前 記範囲の下限に満たない場合には、これをス ルホン化処理して得られるスルホン酸基含有 炭素質材料の耐熱性が劣る、あるいは水又は 有機物への溶解分が多いなどの問題を生じる 傾向にある。一方、前記範囲の上限を超える 温度の場合には、これをスルホン化処理する 際に十分な量のスルホン酸基を付与すること ができず、得られるスルホン酸基含有炭素質 材料の加水分解反応に対する触媒活性が不十 分なものとなる傾向にある。

 炭化処理のための加熱時間は、1~100時間 好ましくは2~30時間である。炭化処理の時間 前記範囲の下限に満たない場合には、これ スルホン化処理して得られるスルホン酸基 有炭素質材料の耐熱性が劣る、あるいは水 たは有機物等への溶解分が多いなどの問題 生じる傾向にある。一方、前記範囲の上限 時間で必要な炭化は十分進行しており、そ を超える時間をかけることは不要であると 時に余分なエネルギーを消費することとな 好ましくない。

 スルホン化処理に使用するスルホン化剤 濃硫酸又は発煙硫酸が一般的に用いられる 使用する濃硫酸又は発煙硫酸の量は特に限 されないが、スルホン化を行う炭化物の量 2~100倍(質量比)、好ましくは5~80倍である。 の範囲の下限に満たない場合には、炭化物 十分な量のスルホン酸基を付与することが きず、得られるスルホン酸基含有炭素質材 の多糖類の加水分解反応に対する触媒活性 不十分なものとなる傾向にある。一方、こ 範囲の上限を超える場合には、必要以上の 硫酸又は発煙硫酸を使用することとなり、 用済みの硫酸の処理を含めコスト上昇をも らす。

 スルホン化処理の温度は、40~250℃、好ま くは80~200℃である。スルホン化処理の温度 この範囲の下限に満たない場合には、炭化 に十分な量のスルホン酸基を付与すること できず、得られるスルホン酸基含有炭素質 料の多糖類の加水分解反応に対する触媒活 が不十分なものとなる傾向にあり、一方、 の範囲の上限を超える温度の場合には、付 したスルホン酸基が分解する傾向となる。

 スルホン化処理の時間は5分~30時間で行う のが好ましい。スルホン化処理の時間がこの 範囲の下限に満たない場合には、炭化物に十 分なスルホン基を付与することができず、得 られるスルホン酸基含有炭素質材料の多糖類 の加水分解反応に対する触媒活性が不十分な ものとなる傾向にある。一方、この範囲の上 限の時間で必要なスルホン化は十分進行して おり、それを超える時間を掛けることは不要 である。

 炭化およびスルホン化処理工程後には、 ましくは熱水で、洗浄することにより余剰 硫酸を除去し、さらに乾燥することによっ 、本発明で用いるスルホン酸基含有炭素質 料を得ることができる。熱水による洗浄は 例えばソックスレー抽出法等により、約100 での還流下で行うのが簡便であるが、必ず も本法により行う必要は無く一般的な洗浄 法を用いることが可能である。加圧下でさ なる高温で洗浄することにより、洗浄時間 短縮することも可能である。

 本発明に用いるスルホン酸基含有炭素質 料の形状は特に限定されないが、加水分解 応時に原材料および水との接触機会を向上 せる目的で、微細な粉体であることが好ま く、具体的には平均粒子径が0.1μm~50mmであ ことが好ましい。平均粒子径が0.1μmより小 い場合には、反応後のろ過工程での効率が 下し、50μmより大きい場合には加水分解反応 の速度が十分でないため好ましくない。微粉 体化手法もまた特に限定されないが、自動乳 鉢、ボールミル、ハンマリング、裁断のよう な機械的粉砕手法が一般的に用いられる。

 本発明のスルホン酸基含有炭素質材料は、X 線回折パターンからはいかなる構造も確認す ることができず、実質的に無定形である。
 また、酸基含有量は、1mmol/g以上である。酸 基の含有量が前記範囲の下限未満の場合には 、加水分解反応に対する活性が不十分となる 傾向にある。なおここでいう酸基含有量とは 、スルホン酸基含有炭素質材料を逆滴定法に より測定するものであり、スルホン化処理に より生成するスルホン酸基と、炭化処理時及 び/又はスルホン化処理時に生成するカルボ 酸基及びフェノール性水酸基を併せたもの 含有量を指す。
 また、酸基含有量としてはスルホン酸量と て定義することも出来る。この場合スルホ 酸量は塩化ナトリウムを用いたイオン交換 量を測定することにより求められる値であ 。スルホン酸基含有炭素質材料のスルホン 量は0.5mmol/g以上であることが好ましく、1.0m mol/g以上であることがより好ましく、1.5mmol/g 上であることが更に好ましい。スルホン酸 が前記範囲の下限未満の場合には、加水分 反応に対する活性が不十分となる傾向にあ 。なお、スルホン酸量の上限は特に限定さ ない。
 塩化ナトリウム溶液を用いたイオン交換容 測定法は下記のとおりである。すなわち所 量のスルホン酸基含有炭素質材料を塩化ナ リウム溶液に加え入れて一定時間撹拌し、 ルホン酸基のプロトンとナトリウムイオン を交換させる。イオン交換により生成したH Clの量を中和滴定により定量することにより スルホン酸量が求められる。イオン交換反 は下記式(1)で表される。
R-SO 3 H+NaCl→R-SO 3 Na+HCl  (1)
[式中、Rはスルホン酸基含有炭素質材料から ルホン酸基を除いた残基を示す。]
 またスルホン酸基含有炭素質材料の硫黄/炭 素元子比(モル比)はスルホン酸基含有炭素質 料に付加、導入されたスルホン酸基含有量 尺度となる。本発明で用いるスルホン酸基 有炭素質材料の、好ましい硫黄/炭素元子比 (モル比)は1.5×10 -2 以上である。この範囲の下限未満の場合には 、加水分解反応に対する活性が不十分となる 傾向にある。

 以上のようにして得られるスルホン酸基 有炭素質材料は、安価な出発原料、簡便な 造方法のため低コストでの製造が可能であ 、触媒としての活性が高く、鉱酸触媒のよ に装置の腐食の問題がなく、また鉱酸触媒 比較して触媒の分離、回収、再生、再使用 簡単に行え、更には排水処理等の問題も発 し難いという特徴を有する。

(反応方式)
 第1の工程において、セルロースを含む材料 の加水分解反応の形態は特に限定されず、い わゆる回分式、半回分式、連続式の何れの形 態を採用してもよい。また、前記スルホン酸 基含有炭素質材料は、固定床、流動床、懸濁 床の何れの形態で使用してもよい。
 セルロースを含む材料は一般的に固体であ 、原料およびスルホン酸基含有炭素質材料 共に固体であることから、加水分解反応を 率的に進行させるためには、セルロースを む材料および水とスルホン酸基含有炭素質 料との接触機会ならびに接触する際にかか 力を高めることが重要である。その方法に しては、いずれの公知の方法をも利用可能 あり、限定されうるものではないが、本発 の実施態様に関しては、回分式の撹拌装置 有する槽型反応装置を用いる場合について 下に記載する。

(反応条件)
 原料であるセルロースを含む材料と、スル ン酸基含有炭素質材料の比率は質量比とし 1:0.1~1:100(セルロースを含む材料:スルホン酸 基含有炭素質材料)とし、好ましくは1:1~1:30で ある。触媒であるスルホン酸基含有炭素質材 料が原料に対して1/10未満であると、加水分 反応が十分な速度で進行せず、原料に対し 100倍を超えると、容量の大きな反応器他の 備を必要とするなど設備コストが増大し、 た加熱、冷却等に要するエネルギーコスト 増大するので好ましくない。

 原料であるセルロースを含む材料と水と 比は,加える触媒量にもよるため一概には規 定できないが、1:0.1~1:10(セルロースを含む材 :水)とする。水の量がセルロースに対して1/ 10未満とした場合、加水分解反応に十分な水 量が確保できないばかりか,反応器内での効 率よい攪拌が困難となる。水の量がセルロー スに対して10倍を超えると反応系内の酸濃度 低下し、加水分解反応効率が低下する。但 、スルホン酸基含有炭素質材料が原料に対 て十分に多く供給されている場合に関して この限りではなく、実質的に酸量低下によ 反応速度が十分に得られなくなるまで使用 能である。しかし、そうした場合において スルホン酸基含有炭素質材料に対して10倍 超える水を供給することは、反応速度の面 らも、また加熱、冷却等に要するエネルギ コストが増大することからも好ましくない

 本発明の加水分解反応の反応温度は20~250 、好ましくは80~150℃である。20℃より低い 度では加水分解反応が十分な速度で進行し い。また250℃より高い温度ではスルホン酸 含有炭素質材料の劣化あるいは生成した単 類がさらに分解することから好ましくない

 本発明の加水分解反応の反応圧力は特に 定はないが、100℃以上の温度で反応を行う には、水の蒸発を避けるため大気圧以上の 力であることが好ましい。

 本発明の加水分解反応の反応時間は、撹 装置を有する槽型反応器を用いる場合、5分 ~100時間、好ましくは5分~48時間である。5分よ り短い場合には、加水分解反応が十分に進行 せず、100時間より長い場合には、反応槽の容 積効率が低下するため大きな反応槽が必要と なるのでエネルギーコストが大きくなること に加えて、滞留時間が長くなり生成した単糖 類がさらに分解し単糖類の収率が低下して好 ましくない。

 本発明の加水分解反応に使用する水は特 限定されないが、蒸留水(水蒸気発生装置の 凝縮水を含む)、イオン交換水などが好まし 使用される。また加水分解反応工程の後の 程で、反応生成物を含む水溶液を濃縮する 合には、濃縮によって除去、回収された水 循環して使用してもよい。さらには原材料 多量の水を含有する場合は、それらの水を 水分解材料の一部として供することも可能 ある。

<第2の工程:分離工程>
 本工程は、第1の工程で得られた反応混合物 から単糖類および/または水溶性多糖類の水 液を含む液相を分離する工程である(図1中の S2)。水に不溶な他の反応生成物、未反応物、 およびスルホン酸基含有炭素質材料を含む固 形分は回収されて後記の第3の工程に供給さ る。
 第1の工程で得られた反応混合物中には、目 的物である単糖類および/または水溶性多糖 ;水に不溶な他の反応生成物;未反応物である 未反応セルロース、リグノセルロース、ヘミ セルロース、またはリグニン;触媒であるス ホン酸基含有炭素質材料;および水が含まれ 。本工程では、目的物である単糖類および/ または水溶性多糖類を水溶液として回収する 。

 水溶液として目的物を回収するのに、水 が不足する場合には水を添加することがで る。添加する水の量は、目的物が回収でき 量であれば特に限定されないが、第1の工程 から得られる目的物1重量部に対して、0.1~100 量部が好ましい。0.1重量部以下では回収効 が向上せず、100重量部以上では、目的物の 度が薄くなり、発酵もしくは酵素糖化など 後段の処理効率が低下する。回収された目 物を含む水溶液は、必要に応じて再度濃縮 ることも可能である。しかし、この場合に いても、目的物に対する水の添加量は上記 量部の範囲とすることが好ましく、100重量 以上とすると濃縮に必要なエネルギーが多 なり、工業的な有用性が損なわれる。

 目的物と水を接触させる場合、その接触 法は特に限定されないが、十分に目的物が 相に溶解できるようにすることが好ましい 具体的には、ライン中での添加、槽内での 拌中の添加などが挙げられる。

 分離工程における温度は特に限定されな が、熱回収の観点からも第1の工程の反応温 度以下であることが好ましい。100℃を超える 場合は、液相を保持するため加圧することが 好ましい。必要に応じて、目的温度まで冷却 することも可能であり、水を添加する場合は 、その行為により温度が低下する。

 水中に単糖類および/または水溶性多糖類 が十分に溶解した後に、水相と未反応物、水 に不溶な他の加水分解生成物、それにスルホ ン酸基含有炭素質材料を含む固形分を分離す るが、その方法は特に限定されず実質的に両 相が分離され、目的物を含む水溶液が回収さ れれば、静置、遠心分離、ろ過などの一般的 手法を用いることが可能である。例えば、ろ 過工程であれば、そのろ過方法は特に限定さ れず、常圧でのろ過、減圧ろ過などの方法を 用いることができる。また、場合により水溶 液を含む固形分を圧搾してもよい。ろ別され た固形分は適宜水洗し、目的物の回収率を向 上させることも可能である。

 スルホン酸基含有炭素質材料は一般に熱 定性が高いが、第1の工程にてその一部が分 解し、酸が遊離する恐れがある。その際は必 要に応じて、中和処理を行うことも可能であ る。

 目的物を回収した後の固形分の一部また 全ては、第3の工程により再度スルホン酸基 含有炭素質材料の原料として供されるが、原 料として用いられない固形分は、焼却等によ り処分することが可能である。本固形分は、 スルホン酸基含有炭素質材料は含まれている ものの、従来の濃硫酸法等で生成するリグニ ンスルホン酸を主成分とする固形分と比較す ると、その酸量含有量は大幅に少ない。また 、この固形分を輸送するために水分が必要な 場合は、分離時に水分を一部残すことも可能 であり、新たに水分を添加することも可能で ある。

<第3の工程:循環触媒製造工程>
 本工程は、第2の工程より得られた固形分の 一部または全てを炭化およびスルホン化する ことによりスルホン酸基含有炭素質材料を製 造する工程である(図1中のS3)。
 本工程は、スルホン酸基含有炭素質材料が 第2の工程から得られる固形分によって製造 できるために成り立ちうる工程であり、一般 の固体酸触媒ではその実現は困難である。そ のため、固体酸触媒と未反応物、および水に 不溶の他の反応生成物との分離を必ずしも必 要とせず、効率的な目的物の製造が可能とな る。

 第2の工程より得られた固形分には、未反 応物である未反応セルロース、リグノセルロ ース、ヘミセルロース、またはリグニン等; 媒であるスルホン酸基含有炭素質材料;水に 溶の他の反応生成物;および水が含まれる。 未反応物に含まれるセルロース,リグニン等 ,スルホン酸基含有炭素質材料の原料となり ることは、前述の触媒の製造方法にて示し 通りである。

 本工程に供するスルホン酸基含有炭素質 料の原料は、第2の工程から得られた固形分 の一部もしくは全てを使用することができる 。その量は、第1の工程で必要な触媒量によ 変更可能である。また、必要に応じて第2の 程から得られた固形分とは別に、前述のス ホン酸基含有炭素質材料の製造用原料を加 ることが可能である。

 該固形分が第2の工程より多量の水ととも に第3の工程に供給される場合は、炭化処理 行う前に水分を除去することも可能である しかし、炭化処理における加熱により水分 蒸発除去することも可能であることから、 分除去は必須ではない。

 本工程における触媒製造方法は、原料が 2の工程から得られたものを含むことを除い て、前記非特許文献3あるいは特許文献3等に 示されているものを使用することができる さらには、前述のスルホン酸基含有炭素質 料の製造法として記載の製造条件にて製造 ることが可能である。

<第4の工程:混合工程>
 本工程は、セルロースを含む材料、第3の工 程にて製造されたスルホン酸基含有炭素質材 料、水、および必要に応じて供給される、第 3の工程とは異なる場所で製造されたスルホ 酸基含有炭素質材料を混合する工程である( 1中のS4)。なお、混合した後に、第1の工程 供給する。セルロースを含む材料が本工程 処理するには大きすぎる場合には、後述の 砕工程で粉砕後本工程に供給することも可 である。

 本工程における混合方法は特に限定され 、混練機の使用等の一般的な混合手法が用 られる。また、本工程は、反応工程で用い れる設備が混合に適したものである場合は 略できる。粉砕されたセルロースを含む材 、第3の工程にて製造されたスルホン酸基含 有炭素質材料、および水が含まれる必要があ る。

 第3の工程にて製造されたスルホン酸基含 有炭素質材料の粒度が粗い場合は、本工程に 供する前に事前に粉砕しておくことが望まし い。第3の工程から供給されるスルホン酸基 有炭素質材料が水を含有する場合も、それ そのまま用いることができる。

 本工程では、第3の工程から供給されるスル ホン酸基含有炭素質材料の一部または全てを 用いることができ、場合によっては第3の工 から供給されるスルホン酸基含有炭素質材 とは別に、新たなスルホン酸基含有炭素質 料を加えることも可能である。一方で、第3 工程から得られたスルホン酸基含有炭素質 料のうち、本工程で使用しないものは、他 途に適用することも可能である。
 以下の第5の工程および第6の工程は必要に じて適宜組み合わせて実施することが出来 。

<第5の工程:粉砕工程>
 本工程は、原料となるセルロースを含む材 がそのまま加水分解反応に供するには大き ぎる形状を有する場合にその材料を粉砕し その後の反応工程において効率的に加水分 を行うための処理をする工程である(図1中 S5)。また、粉砕されたセルロースを含む材 はスルホン酸基含有炭素質材料の製造原料 ある有機物として使用することもできる。

 本工程に供される原料は、セルロースを む材料であれば、特に制限されない。例え 、セルロース、ヘミセルロース、もしくは グニンと結合したリグノセルロース、など ある。これらの原料は植物バイオマスの主 部分を構成しており、セルロースは多くの 合植物体内でヘミセルロースおよびリグニ と密接に会合して存在している。本発明の 料としてセルロースを含む材料を例示する 、セルロースおよび/又はヘミセルロース、 およびこれらとリグニンからなる植物由来の 材料、具体的には、木材質(廃材を含む)、古 、稲藁、麦藁、もみ殻、竹、バガス(さとう きび圧搾残)、とうもろこし穂軸、サゴヤシ( んぷん搾りかす)、リンター、綿、パルプな どを原料として供することが可能である。

 セルロースを含む材料は一般に固体材料 あるが、その形状は、後の加水分解反応工 を速やか効率的に進行させるために微細で ることが好ましい。具体的には数平均粒子 が0.1μm~30mmであることが好ましい。数平均 子径が0.1μmより小さい場合には、必要とす 機械的エネルギーが大きく非実用的であり 30mmより大きい場合には加水分解反応の速度 十分でないため好ましくない。第5の工程で 粉砕されたセルロースを含む材料は前述の第 4の工程に供される。

 粉砕方法も特に限定されないが、自動乳 、ボールミル、ハンマリング、裁断のよう 公知の機械的粉砕手法が一般的に用いられ 。また、本工程に、原料と合わせて反応に するスルホン酸基含有炭素質材料を加え、 料と同時に粉砕することも可能である。

<第6の工程:酵素糖化工程>
 本工程は、第2の工程により得られた反応混 合物中の水溶性多糖類を酵素により糖化し、 単糖類を得る工程である(図1中のS6)。反応液 含まれる単糖類の含有量をさらに高めたい 合にはこの工程を適宜実施できる。

 本工程における原料は、第2の工程により得 られた反応混合物中の液相であり、必要に応 じてろ過、中和などの工程を設けることが可 能であり、中和・ろ過ともに一般的な手法を 用いることが可能である。例えば、中和の目 的は、スルホン酸基含有炭素質材料から遊離 したプロトン酸を中和することにより、酵素 糖化に適した水素イオン濃度(pH)とするため あり、そのpHは酵素が糖化能を有することが できるpHであれば任意のpHにすることができ 。その値は、一般にpH4~8.5、好ましくはpH4-7 範囲である。中和方法は、一旦アルカリで ルカリ性反応物とした後に、酸を再度加え 的のpHにしても、アルカリのみで目的のpHに ても良い。その際、酸として弱酸を加える とにより、緩衝能を持た
せた反応物とすることも可能である。中和剤 としては、一般に中和剤として用いるアルカ リであればいずれも使用可能であるが、例え ば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸 ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナト リウム、クエン酸ナトリウム、石灰などの強 アルカリもしくは弱アルカリや、クエン酸緩 衝液、酢酸緩衝液などの各種緩衝液などが好 ましい。

 本工程に用いる酵素は、水溶性多糖類のグ コシド結合を切断できる酵素であれば、そ 種類は問わず用いることが可能である。一 的にはセルラーゼ等の酵素を適宜、単数ま は複数選択して用いることが可能である。 本工程の温度は、酵素の活性を高めるとい 観点から、25℃~60℃が好ましく、45℃~55℃が り好ましい。温度が25℃よりも低い場合は 酵素反応速度が遅いため糖を得るために長 間を要し、また、60℃以上の場合は酵素の失 活を招くため好ましくない。また、本工程は 、pHを4.0~8.5に調整することが好ましく、4.5~6. 0程度に調整することがより好ましく、10~72時 間反応させることによって行われる。本工程 の反応を促進するためには、固形物を攪拌な どの手段により酵素と均一に接触させること が望ましい。
 本工程を実施することにより、反応生成物 含まれる水溶性多糖類が効率的に単糖類に 解される。

 以上、本発明は、第1の工程~第4の工程を み合わせることにより、完成させるに至っ が、各工程を単独で実施しそれらを組み合 せることも可能であり、一方で全てをライ で連結し、一連の装置として目的物を製造 ることも可能である。また、必要に応じて 5の工程と第6の工程を組み合わせて実施す ことも出来る。

 本発明により、従来の硫酸法技術のよう 、反応装置に耐酸性材料を大量に用いる必 が無く、かつリグニンスルホン酸のような 量の酸性未反応物を生成させることのない 法が実現できる。またそれにより、セルロ スを含む材料の加水分解による単糖類およ /または水溶性多糖類の製造を効率的に行う 方法が提供可能となる。

 以下、実施例および比較例に基づき本発 をさらに具体的に説明するが、本発明は以 の実施例に限定されるものではない。

[実施例1]
 以下に各工程を順に説明する。
<スルホン酸基含有炭素質材料の製造>
 第1の工程を最初に行うときは、第3の工程 らスルホン酸基含有炭素質材料が得られな ため、以下の手法にてスルホン酸基含有炭 質材料を別途調製した。
 粉末セルロース100gを、容量1000mlのナス型フ ラスコ中に取り、窒素流通下に400℃、4hr加熱 処理して33gの炭化物を得た。この黒色粉末状 の炭化物33gに濃硫酸1000gを加え、窒素雰囲気 で150℃,2hr加熱処理してスルホン化を行った 。スルホン化後、黒色固形物をガラスフィル ターにてろ過し、ソックスレー抽出器を使用 して還流下(約100℃)で熱水による洗浄を繰り し行い、洗浄液中に硫酸が検出されなくな ことを確認した。これを乾燥し、黒色粉末 スルホン酸基含有炭素質材料31gを得た。
 本スルホン酸基含有炭素質材料のX線回折分 析をマックサイエンス社製X線回折装置(MXP18VA HF)により実施したところ、回折パターンから は構造を特定できるピークは検出されず、実 質的にアモルファスであることが確認された 。
 また、酸量を逆滴定法により測定したとこ 3.1mmol/gであった。
また、イオン交換容量測定により求めたスル ホン酸量は0.8mmol/gであった。
 スルホン酸基含有炭素質材料に付加、導入 れたスルホン酸基含有量の尺度となる硫黄 子と炭素原子の比を、Elementar Vario ELを用 て元素分析にて測定したところ、1.7×10 -2 であることが確認された。このものをスルホ ン酸基含有炭素質材料(A)と称す。
<第4の工程-1>
 上記、スルホン酸基含有炭素質材料(A)30gに 末セルロース7.5gと水70gを加え、よく混合し た。
<第1の工程-1>
 上記工程で混合したものを、200mlのステン ス製オートクレーブに充填し、120℃にて3時 処理し、加水分解反応を行った。
<第2の工程-1>
 500mlビーカー内に、上記第1の工程-1より回 された全ての反応混合物と、水200gを加え、1 時間攪拌した後ガラスフィルターにてろ過し 、固形分と液体を分離した。得られた液体を 液体クロマトグラフにて分析したところ、粉 末セルロースが全てαセルロースであるとの 分分析結果より、3質量%の収率にてグルコ スが生成していることが確認された。
<第3の工程>
 第2の工程-1にて液体と分離することにより 収された固形分のうち25gを、容量1000mlのナ 型フラスコ中に取り、窒素流通下に400℃、2 hr加熱処理して22gの炭化物を得た。この黒色 末状の炭化物に発煙硫酸300gを加え、窒素雰 囲気下で150℃,2hr加熱処理してスルホン化を った。スルホン化後、黒色固形物をガラス ィルターにてろ過し、ソックスレー抽出器 使用して還流下(約100℃)で熱水による洗浄を 繰り返し行い、洗浄液中に硫酸が検出されな くなることを確認した。これを乾燥し、黒色 粉末のスルホン酸基含有炭素質材料20gを得た 。
 本スルホン酸基含有炭素質材料のX線回折分 析をマックサイエンス社製X線回折装置(MXP18VA HF)により実施したところ、回折パターンから は構造を特定できるピークは検出されず、実 質的にアモルファスであることが確認された 。
 また、酸量を逆滴定法により測定したとこ 1.8mmol/gであった。またイオン交換容量法で めたスルホン酸量は0.8mmol/gであった。スル ン酸基含有炭素質材料に付加、導入された ルホン酸基含有量の尺度となる硫黄原子と 素原子の比(S/C比)を、Elementar Vario ELを用い て元素分析にて測定したところ、1.8×10 -2 であることが確認された。このものを再生ス ルホン酸基含有炭素質材料(B)と称す。
<第4の工程-2>
 第3の工程より得られた再生スルホン酸基含 有炭素質材料(B)20gと、第1の工程-1で使用した スルホン酸基含有炭素質材料と同じ製法で調 製したスルホン酸基含有炭素質材料(C)10g、粉 末セルロース7.5g、および水70gとを、第1の工 -1で使用した200mlオートクレーブ内に加え、 十分に攪拌し混合した。
<第1の工程-2>
 第4の工程にて200mlオートクレーブ内で調製 た混合物を、120℃にて3時間処理し、加水分 解反応を行った。
<第2の工程-2>
 500mlビーカー内に、上記第1の工程-2より回 された全ての反応混合物と、水200gを加え、1 時間攪拌した後ガラスフィルターにてろ過し 、固形分と液体を分離した。得られた液体を 液体クロマトグラフにて分析し、粉末セルロ ースが全てαセルロースであるとの成分分析 果より、3質量%の収率にてグルコースが生 していることが確認された。

[実施例2]
 実施例1の第4の工程の前段に以下の第5の工 を加え、さらに第1の工程~第4の工程を以下 条件に変更することを除き、実施例1と同等 の方式で各工程を実施した。
<第5の工程>
 セルロースを含む材料としてユーカリ木片 用いた。このユーカリ木片の平均的な大き は、W15-30mm ×L20-55mm×t4-7mmであり、48時間以 自然乾燥させて使用した。乾燥後のかさ密 は200kg/m 3 であり、約8.40%の水分を含有している。
 このユーカリチップ5kgを、自由粉砕機(奈良 機械製作所製;M-4型)にて回転速度5500rpm、スク リーン1φmmの条件で処理し、かさ密度290kg/m 3 の針状の微粉末を得た。この微粉末は60MESHの 篩を98.5%以上通過し、120MESHの篩を74.8%が通過 ることを確認した。
<スルホン酸基含有炭素質材料の製造>
 触媒原料にセルロースの代わりに第5の工程 から得られたユーカリの粉末をもちいる他は 、実施例1の<スルホン酸基含有炭素質材料 製造>と同等の触媒調製を行った。その結 果、黒色のスルホン酸基含有炭素質材料32gを 得た。このスルホン酸基含有炭素質材料の逆 滴定法で求めた酸量は、3.0mmol/gであり、イオ ン交換容量法により求めたスルホン酸量は0.8 mmol/gであった。また元素分析による硫黄原子 と炭素原子の比(S/C比)は、1.7×10 -2 であることが確認された。このものをスルホ ン酸基含有炭素質材料(D)と称す。
 
<第4の工程-1>
 スルホン酸基含有炭素質材料として上記製 工程で製造したスルホン酸基含有炭素質材 (D)を用い、加水分解原料として上記第5の工 程で得られたユーカリ粉末をもちいたほかは 、実施例1の第4の工程-1と同様の比率で反応 料を混合した。
<第1の工程-1>
 その後、実施例1の第1の工程-1と同じ条件で 加水分解反応を行った。
<第2の工程-1>
 上記第1の工程-1から得られた反応混合物を 施例1の第2の工程-1と同条件で固形分と液体 を分離した。得られた液体を液体クロマトグ ラフにて分析し、粉末ユーカリの40%がαセル ースであるとの成分分析結果より、3質量% 収率にてグルコースが生成していることが 認された。
<第3の工程>
 上記第2の工程-1にて液体と分離することに り回収された固形分のうち25gを、容量1000ml ナス型フラスコ中に取り、窒素流通下に400 、2hr加熱処理して23gの炭化物を得た。この 色粉末状の炭化物に発煙硫酸300gを加え、窒 素雰囲気下で150℃,2hr加熱処理してスルホン を行った。スルホン化後、黒色固形物をガ スフィルターにてろ過し、ソックスレー抽 器を使用して還流下(約100℃)で熱水による洗 浄を繰り返し行い、洗浄液中に硫酸が検出さ れなくなることを確認した。これを乾燥し、 黒色粉末のスルホン酸基含有炭素質材料20gを 得た。
 本スルホン酸基含有炭素質材料のX線回折分 析をマックサイエンス社製X線回折装置(MXP18VA HF)により実施したところ、回折パターンから は構造を特定できるピークは検出されず、実 質的にアモルファスであることが確認された 。
 得られたスルホン酸基含有炭素質材料の逆 定法で求めた酸量は1.8mmol/gであり、硫黄原 と炭素原子の比(S/C比)は、1.8×10 -2 であることが確認された。また、イオン交換 容量法で求めたスルホン酸量は0.8mmol/gであっ た。このものを再生スルホン酸基含有炭素質 材料(E)と称す。
<第4の工程-2>
 上記第3の工程より得られた再生スルホン酸 基含有炭素質材料(E)20gと、第1の工程-1で使用 したスルホン酸基含有炭素質材料と同じ製法 で調製したスルホン酸基含有炭素質材料(F)10g 、上記第5の工程で得た粉末ユーカリ7.5g、お び水70gとを、第1の工程-1で使用した200mlオ トクレーブ内に加え、十分に攪拌し混合し 。
<第1の工程-2>
 第4の工程-2にて200mlオートクレーブ内で調 した混合物を、120℃にて3時間処理し、加水 解反応を行った。
<第2の工程-2>
 上記第1の工程-2から得られた反応混合物に いて上記第2の工程-1と同じ条件で固形分と 体を分離した。得られた液体を液体クロマ グラフにて分析し、粉末ユーカリの40%がα ルロースであるとの成分分析結果より、3質 %の収率にてグルコースが生成していること が確認された。

[実施例3]
<第6の工程の追加>
 実施例2の第2の工程-2で得られた液体10gに酵 素セルラーゼ(明治製菓(株)メイセラーゼ)3.2g( セルロース1.0gあたりセルラーゼ0.3g)を加え、 50℃、48時間酵素加水分解を実施した。得ら た液体を液体クロマトグラフにて分析し、 末ユーカリの40%がαセルロースであるとの成 分分析結果より、5質量%の収率にてグルコー が生成していることが確認された。これは 実施例2の第2の工程-2に比べ、約60%グルコー スの収率が向上していることを示す結果であ る。

 以上の実施例より、本発明によりスルホ 酸基含有炭素質材料を用いてセルロースを む材料を加水分解し、単糖類および/または 水溶性多糖類を製造できること、さらには使 用済みのスルホン酸基含有炭素質材料を未反 応のセルロースを含む材料と分離することな く再度、炭化およびスルホン化することによ り再びセルロースを含む材料の加水分解反応 に循環利用できることがわかる。

 スルホン酸基含有炭素質材料は、多糖類 加水分解反応に活性を示すので、セルロー を含む材料の加水分解による単糖類あるい 水溶性の多糖類の製造に有効である。さら 、スルホン酸基含有炭素質材料は加水分解 料であるセルロースを含む材料の炭化およ スルホン化により製造されるので、使用済 のスルホン酸基含有炭素質材料を未反応の ルロースを含む材料から分離することなく 再度炭化およびスルホン化することにより 活性化でき、スルホン酸基含有炭素質材料 循環使用が可能となる。このことにより加 分解に関わるスルホン酸基含有炭素質材料 製造コストを低減でき、その結果単糖類あ いは水溶性多糖類の製造コストを低減でき 。ひいてはセルロースを含む材料を原料と て安価なバイオエタノールの製造が可能と る。