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Title:
METHOD FOR PRODUCTION OF UNCROSSLINKED POLYOLEFIN RESIN FOAM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/001959
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for producing a foam which has an expansion ratio of 3 to 10 times, has an uniform and microfine cell structure, and has excellent thermal insulation properties, surface smoothness and recycling efficiency. Specifically disclosed is a method for producing an uncrosslinked polyolefin resin foam, which comprises heat-melting a mixture comprising 100 parts by mass of an polyolefin resin and 3 to 10 parts by mass of a chemical foaming agent substantially in the absence of a crosslinking agent to expand the mixture, wherein the polyolefin resin is mainly composed of a linear polypropylene resin having a melt tension of 5 to 30 g at 230˚C, and the chemical foaming agent comprises an inorganic hydrogen carbonate and an organic carboxylic acid salt.

Inventors:
ONO MASAAKI (JP)
SAKURAI TADASHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/061855
Publication Date:
December 31, 2008
Filing Date:
June 30, 2008
Export Citation:
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Assignee:
ASAHI FIBREGLASS CO (JP)
SANKYO KASEI KK (JP)
ONO MASAAKI (JP)
SAKURAI TADASHI (JP)
International Classes:
C08J9/08; C08L23/04; C08L23/10
Domestic Patent References:
WO2003018677A12003-03-06
Foreign References:
JP2003147110A2003-05-21
JP2000198869A2000-07-18
JPH11152361A1999-06-08
JP2003094504A2003-04-03
JP2002316351A2002-10-29
Attorney, Agent or Firm:
SENMYO, Kenji et al. (SIA Kanda Square 17, Kanda-konyacho, Chiyoda-k, Tokyo 35, JP)
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Claims:
 230℃における溶融張力が5~30gである直鎖状のポリプロピレン系樹脂を主成分として含むポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、炭酸塩又は炭酸水素塩を含む化学発泡剤を3~10質量部含有する混合物を架橋剤の実質的な不存在下に加熱溶融して発泡させることを特徴とするポリオレフィン系樹脂非架橋発泡体の製造方法。
 前記化学発泡剤が、さらに有機カルボン酸塩を含む請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂非架橋発泡体の製造方法。
 前記炭酸塩、炭酸水素塩、及び有機カルボン酸の合計量がポリオレフィン系樹脂100質量部に対して3~10質量部である請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂非架橋発泡体の製造方法。
 前記炭酸塩及び炭酸水素塩の合計量を100質量部としたとき、有機カルボン酸が30~100質量部である請求項2又は3に記載のポリオレフィン系樹脂非架橋発泡体の製造方法。
 前記ポリオレフィン系樹脂が、230℃における溶融張力5~30gである直鎖状のポリプロピレン系樹樹脂とポリエチレン系樹脂とを主成分として含む請求項1~4のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂非架橋発泡体の製造方法。
 前記直鎖状のポリプロピレン系樹脂が、ポリプロピレン系樹脂の230℃における溶融張力(MT)と、230℃におけるメルトフローレート(MFR)との関係が、下記(A)の式を満たしている請求項1~5のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂非架橋発泡体の製造方法。
    Log(MT)>-1.33Log(MFR)+1.2・・・(A)
 前記式(A)において、左辺の値が、右辺の値よりも、0.5~2.0以上大きい請求項6に記載のポリオレフィン系樹脂非架橋発泡体の製造方法。
 発泡倍率が3~10倍である請求項1~7のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂非架橋発泡体の製造方法。
 請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法によって得られたポリオレフィン系樹脂非架橋発泡体からなる成形体。
Description:
ポリオレフィン系樹脂非架橋発 体の製造方法

 本発明は、ポリオレフィン系樹脂非架橋 泡体の製造方法に関する。

 ポリオレフィン系樹脂の発泡体は、その れた性能とコストのバランス、さらには、 年うたわれる樹脂のリサイクル性などを特 として、主に、建材用途、自動車部材用途 包装緩衝材用途、日用雑貨品用途、などに く使われている。

 例えば、建材用途としてはポリプロピレ 系樹脂やポリエチレン系樹脂の1.5~3倍程度 低発泡領域のボードが建築物の床や壁、ユ ットバスの壁などに使用され、その軽量・ 剛性・リサイクル性故に、市場で広く受け れられている。

 ポリオレフィン系樹脂発泡体については 押出機にポリオレフィン系樹脂組成物とガ 発泡剤もしくは化学発泡剤を投入し、加熱 加圧・溶融混合した後に、所定の形状で設 されたダイスを通じて発泡体を得る方法が 連続生産可能で、発泡倍率1.5~3倍程度のシ トを作製する為の一般的な方法として、広 世の中で実施されている。

 前記押出法は、例えば特許文献1に、ポリ プロピレン系樹脂に多官能モノマーと熱分解 型発泡剤を添加し、予め溶融混合し、電子線 を照射しポリプロピレン系樹脂を架橋させた 後に、更に加熱して熱分解型の化学発泡剤を 分解させ、発泡させる方法などが開示されて いる。

 また、例えば特許文献2には、ポリプロピ レン系樹脂とポリエチレン系樹脂に、ビニル 性架橋剤成分を添加し、また、さらに、電子 線架橋を施すことにより、各種の加熱下で成 形できる、化学発泡剤を用いたポリプロピレ ン系発泡体の記載がある。

 更に、特許文献3には、(A)メルトフローレー トが0.1~5g/10分の非架橋ポリプロピレン系樹脂 90~10重量%、及び(B)メルトフローレートが5g/10 を越え100g/10分以下である非架橋ポリプロピ レン系樹脂10~90重量%((A)と(B)との合計は100重 %)とからなる(C)非架橋ポリプロピレン系樹脂 組成物98.5~99.7重量%と(D)ペルオキシジカーボ ート1.5~0.3重量%とを170~270℃で10秒間~5分間溶 混練して得られる、メルトフローレートが0 .1~10g/10分、メルトテンション(溶融張力)が3~20 g、沸騰パラキシレン抽出によるゲル分率が0. 01~25重量%である(E)改質ポリプロピレン系樹脂 組成物の製造方法、及び得られたポリプロピ レン系樹脂組成物を原料とする発泡体が記載 されている。

特開平06-340761号公報

特開平07-173317号公報

特許3808843号公報

 特許文献1及び特許文献2のように、化学 泡剤を用いたポリプロピレン系樹脂組成物 発泡体については、様々な研究・開発が行 れている。しかし、残念ながら、これらの 明では、実質的には電子線架橋工程や化学 橋工程を必要とする場合が殆どであり、ま 、工程数の複雑さ、コストがかかるという 題があり、しかも、得られた発泡体はリサ クル性に乏しいという問題があった。さら 、その発泡倍率を3倍以上に高くさせるのは 架橋工程なしには樹脂の溶融特性が発泡を 害してしまうので実質的には難しいという 題があった。

 また、特許文献3に記載される発明は、ラ ジカル開始剤を用いて実質的に一部ポリプロ ピレン系樹脂を架橋、ゲル化させており、反 応性である開始剤の取り扱いが難しく、また 、分子鎖が架橋される反面、一部切断されて 発泡に適しない様態にあり、更に、分子鎖が 架橋されているため、マテリアルリサイクル に適さないなどの難点がある。加えて、発泡 体の発泡倍率は、その実施例に見られるよう に、いずれも実質2倍程度と小さく、素材と て軽量、高剛性な発泡体としては不向きで るという問題があった。

 したがって、本発明の目的は、発泡倍率 比較的高い好ましくは3倍~10倍の発泡体を安 価で効率よく製造することが可能であり、か つ、セル構造の均一微細性に優れることによ り、断熱材用途として使用した場合に断熱性 能に優れ、表面平滑性に優れ、さらには製造 された発泡体はリサイクル性にも優れる発泡 体の製造方法を提供することにある。

 本発明者は、上記目的を達成するために 意研究を進めた結果、従来のポリオレフィ 系樹脂の発泡体の製造法では、耐熱性や機 的強度のために架橋剤が使用され、発泡過 では発泡とともに架橋が行われているが、 泡体樹脂原料として、特定の物性を有する リプロピレン系樹脂を主成分として含むポ オレフィン系樹脂を使用し、かつこれを特 の化学発泡剤を使用して発泡させることに り、従来のように架橋剤を使用せずに、発 倍率が3倍~10倍を有し、かつ優れた特性を有 する発泡体を製造しうることを見出した。

 本発明の製造方法では、架橋剤を実質上 用しないために、架橋剤のコストが省かれ 同時に架橋を伴わない発泡過程が簡素化さ るだけでなく、製造される発泡体は成形性 さらにはマテリアルリサイクル性が向上す ために産業上極めて有利である。

 かくして、本発明は、下記を特徴とする要 を有するものである。
(1)230℃における溶融張力が5~30gである直鎖状 ポリプロピレン系樹脂を主成分として含む リオレフィン系樹脂100質量部に対し、炭酸 又は炭酸水素塩を含む化学発泡剤を3~10質量 部含有する混合物を架橋剤の実質的な不存在 下に加熱溶融して発泡させることを特徴とす るポリオレフィン系樹脂非架橋発泡体の製造 方法。
(2)前記化学発泡剤が、さらに有機カルボン酸 塩を含む上記(1)に記載の製造方法。
(3)前記炭酸塩、炭酸水素塩、及び有機カルボ ン酸の合計量がポリオレフィン系樹脂100質量 部に対して3~10質量部である上記(1)又は(2)に 載の製造方法。
(4)前記炭酸塩及び炭酸水素塩の合計量を100質 量部としたとき、有機カルボン酸が30~100質量 部である上記(2)又は(3)に記載の製造方法。
(5)前記ポリオレフィン系樹脂が、230℃におけ る溶融張力5~30gである直鎖状のポリプロピレ 系樹脂とポリエチレン系樹脂とを主成分と て含む上記(1)~(4)のいずれか1項に記載の製 方法。
(6)前記直鎖状のポリプロピレン系樹脂が、ポ リプロピレン系樹脂の230℃における溶融張力 (MT)と、230℃におけるメルトフローレート(MFR) との関係が、下記(A)の式を満たしている上記 (1)~(5)のいずれか1項に記載の製造方法。
    Log(MT)>-1.33Log(MFR)+1.2・・・(A)
(7)前記式(A)において、左辺の値が右辺の値よ りも、0.5~2.0以上大きい上記(6)に記載の製造 法。
(8)発泡倍率が3~10倍である上記(1)~(7)のいずれ 1項に記載のポリオレフィン系樹脂非架橋発 泡体の製造方法。
(9)上記(1)~(8)のいずれか1項に記載の製造方法 よって得られたポリオレフィン系樹脂非架 発泡体からなる成形体。

 本発明によれば、発泡倍率が比較的高い ましくは3倍~10倍の発泡体を安価で効率よく 製造することが可能であり、かつ、得られる 発泡体は、セル構造の均一微細性に優れるこ とにより、断熱材用途として使用した場合に 断熱性能に優れ、表面平滑性に優れ、さらに はリサイクル性にも優れる発泡体の製造方法 が提供される。

 また、本発明の製造方法では、架橋剤を 質上使用しないために、架橋剤のコストが かれ、同時に架橋を伴わない発泡過程が簡 化されるだけでなく、製造される発泡体は 形性、さらにはマテリアルリサイクル性が 上するために産業上極めて有利である。

 本発明において、発泡体の原料となるポ オレフィン系樹脂は、特定の物性を有する リプロピレン系樹脂を含有する。このポリ ロピレン系樹脂は、230℃における溶融張力( MT)が5~30gを必須とする。ここで溶融張力とは キャピログラフを用い、測定温度230℃、押 速度10mm/分、引き取り速度3.1m/分によって求 めることができる。

 ポリプロピレン系樹脂の溶融張力が5g未 であると発泡時にセルの破泡が生じやすく 逆に30gを超えると溶融張力が高すぎて、セ 膜の伸びが抑制され、発泡時に充分なセル 成長が行われないため充分な発泡倍率を有 る発泡体を得ることが難しくなり好ましく い。溶融張力は、好ましくは6.5~20gであり、 り好ましくは7.5~10gである。

 更に、上記のポリプロピレン系樹脂は、上 230℃における溶融張力(MT)(単位;g)を有する ともに、230℃におけるメルトフローレート(M FR)(単位;g/10分)との関係が、下記(A)の式を満 していることが好ましい。
    Log(MT)>-1.33Log(MFR)+1.2・・・(A)
 上記のポリプロピレン系樹脂は、上記(A)式 満足するものが好ましいが、上記(A)の式を 足しない場合、すなわち、左辺の値が、右 の値よりも小さい場合には、溶融樹脂の流 性が高すぎて破泡してしまい、好ましくは い。なかでも、本発明では、左辺の値が、 辺の値よりも好ましくは0.5~2.0大きい場合、 特に好ましくは0.7~2.0大きい場合には、溶融 力と流動性のバランスが良好になり、特に ましいことが見い出された。

 前記230℃における溶融張力(MT)が5~30gの直 状のポリプロピレン系樹脂は発泡体の発泡 率を高くするために、該ポリプロピレン系 脂を含むポリオレフィン系樹脂を100質量部 したときに好ましくは40質量部以上、特に ましくは60質量部以上含有させることが好ま しい。該ポリプロピレン系樹脂の含有量が40 量部より小さい場合に、発泡性の低下が生 易く好ましくない。

 本発明で用いられるポリオレフィン系樹 は、上記物性を有するポリプロピレン系樹 の他に、その他のポリオレフィン系樹脂を 用することができる。かかるポリオレフィ 系樹脂に併用することで低温での押出加工 が得られ、本発明のポリプロピレンの溶融 力の特性をより有効に生かすことが可能と る。前記その他のポリオレフィン系樹脂は リオレフィン系樹脂組成物100質量部とした きに60質量部以下が好ましく5~25質量部であ ことが上記の理由から好ましい。

 その他のポリオレフィン系樹脂としては 例えばプロピレンの単独重合体、プロピレ と該プロピレンと共重合可能なプロピレン 外のα-オレフィンとの共重合体などのポリ ロピレン系樹脂;例えば、エチレンの単独重 合体、エチレンと該エチレンと共重合可能な エチレン以外のα-オレフィンとのエチレンを 主体とする共重合体などのポリエチレン系樹 脂;などが挙げられる。ポリエチレン系樹脂 具体例としては、低密度ポリエチレン、直 状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチ ン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチ ンなどが挙げられる。

 上記エチレンと共重合可能なエチレン以 のα-オレフィンとしては、特に限定される のではないが、例えば、プロピレン、1-ブ ン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペ テン、1-ヘプテン、1-オクテンなどから選ば る1種以上が挙げられる。

 上記その他のポリオレフィン系樹脂は、 独でも、2種類以上が併用されてもよい。ま た、上記その他のポリオレフィン系樹脂は、 なかでも、押出発泡性や、得られる発泡体の 性能が優れることから、比較的分子量の大き なプロピレン単独を用いた重合体や、エチレ ン単独を用いた重合体や、プロピレンとエチ レンとのプロピレンを主体とする共重合体混 合樹脂が好ましい。

 本発明で用いられる発泡剤としては、炭 塩又は炭酸水素塩を含む化学発泡剤が使用 れる。かかる発泡剤を用いることにより発 体を製造する場合、安定的な発泡条件で発 アイを製造することができる。特に、押出 発泡体を製造する場合には、押出機内部の 融高分子の分子鎖を切断する恐れもなく、 練、押出発泡を行うことができる。

 炭酸塩又は炭酸水素塩としては、アルカ 金属若しくはアルカリ土類金属などの金属 、又はアンモニウム塩が好ましい。具体的 は、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモニウ 、炭酸水素アンモニウムなどが挙げられる なかでも、炭酸水素ナトリウムが、高倍率 ポリオレフィン系発泡体を得るために好ま い。

 本発明において、化学発泡剤は、炭酸塩 は炭酸水素塩とともに、有機カルボン酸塩 含むのが好ましい。この場合には、有機カ ボン酸塩が発泡体のセルの均一微細性に優 ために良好な結果が得られる。有機カルボ 酸塩が含有される場合には、得られる発泡 は高倍率で且つセル径を細かくし均一な分 を有し、断熱性能に優れるため好ましい。

 上記有機カルボン酸塩を形成する有機カ ボン酸としては、炭素数が好ましくは1~20、 特に好ましくは1~10の脂肪酸の金属塩が好ま い。脂肪酸の好ましい例としては、酢酸、 草酸、カプロン酸、ラウリル酸、クエン酸 どが挙げられる。また、金属塩の好ましい としては、周期律表のIA族、IIA族、II族、III (例えば、Li,Na,K,Mg,Ca,Zn,Alなど)が挙げられる 有機カルボン酸塩の特に好ましい例として 、クエン酸塩等が挙げられ、なかでも、ク ン酸ナトリウムが好ましい。

 本発明において化学発泡剤は、炭酸塩又は 酸水素塩を含み、さらに好ましくは有機カ ボン酸塩を含むが、必要に応じて他の無機 、又は有機系の発泡剤を含むことができる これら他の無機系の発泡剤としてはN 2 、CO 2 などが挙げられる。また、有機系の発泡剤と しては、例えば、アゾジカルボンアミド、p,p -オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド ジニトロソペンタメチレンテトラミンなど 挙げられる。

 本発明において、化学発泡剤の添加量と ては、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対 、3~10質量部が好ましく、更に、3~5質量部が より好ましい。上記化学発泡剤の量が3質量 未満であると、十分な発泡倍率を得ること できず、また、10質量部以上であると、コス ト高、マスターバッチ方式でブレンドするに は、添加量が大きくなりすぎ、混練り、分散 上好ましくない。

 本発明における化学発泡剤のうち、前記 酸塩、炭酸水素塩、及び有機カルボン酸塩 合計量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部 対して好ましくは3~10質量部、特に好ましく は3~8重量部であることが好適である。上記合 計量が3質量部未満であると、得られる発泡 は高倍率でセル径を細かく均一に分布させ ことができず、逆に10質量部を超えるとセル 径を細く均一に分布させることができず好ま しくない。

 また、本発明における化学発泡剤は、前 炭酸塩及び炭酸水素塩の合計量を100質量部 したとき、有機カルボン酸が好ましくは30~1 00質量部、特に好ましくは40~60重量部である とが好適である。上記合計量が30質量部未満 であると、セルが均一微細になりにくく、逆 に100質量部を超えると、樹脂の押出温度によ っては発泡剤から生じるガスが減少し、結果 として得られる発泡体の発泡倍率が下がるた め好ましくない。

 本発明において、発泡体は、上記ポリオ フィン系樹脂から発泡体を製造する場合、 記ポリオレフィン系樹脂は、好ましくは球 、楕円形などの適宜の形状のペレットにし これを上記の発泡剤、及び必要に応じて使 される任意成分を混合したブレンド物を押 し機を用いて溶融混練して発泡させるのが ましい。溶融混練は、好ましくは160~200℃、 特に好ましくは170~190℃で、押出し圧力が好 しくは6~8MPa、特に好ましくは7~8MPaでダイよ 押出しするのが好ましい。

 かくして、得られる発泡体の形状は、架橋 造を有していないのでシート状、棒状、筒 、ブロック状などの任意でありうる。発泡 は、発泡倍率が好ましくは3倍以上、特には 5倍以上から10倍程度の発泡体が容易に得られ る。
 押出し発泡された例えばシート状の発泡体 、真空成形、圧空成形、マッチドダイなど より二次成形し、トレイ、容器などの二次 形体を得ることができる。

 以下に、本発明における実施例を示すが、 発明は、これらの実施例に限定して解釈さ ないことはもちろんである。なお、以下に いて、特に断りのない限り、「部」は質量 であり、「%」は質量%である。また、下記 実施例及び比較例における各種の物性値の 定・算出方法は以下のとおりである。
 ・発泡体比重・・・発泡体サンプルを凡そ2 cm角程度に裁断し、質量を測定した後、既知 の水を入れたメスシリンダーにサンプルを 細の針金で沈め水位の変化より実体積を測 し、(発泡体比重)=(質量/体積)で算出した。
 ・発泡倍率・・・(発泡倍率)=(0.9/発泡体比 )で算出した。
 ・平均セル径・・・発泡体サンプルをカッ し、断面における1mm長さ中のセルの個数を える作業を異なる1mm線上で10回繰り返し測 し、(平均セル径)=(10000/セル個数総和)で算出 した。
 ・セル分布係数・・・発泡体サンプルをカ トし、断面にける各セルの長径、短径を測 してその平均をセル径とし、2mm角エリア内 存在するセルのセル径を全て測定し、(セル 径分布係数)=(標準偏差/平均)で算出した。
(実施例1)

 ポリプロピレン系樹脂(直鎖状のホモポリプ ロピレン、230℃における溶融張力(MT):23g、230 におけるメルトフローレート(MFR):3.3g/10分)10 0部に対して、炭酸水素ナトリウムとクエン 塩系発泡剤の複合発泡剤(三協化成社製)を4~1 0部(有効成分含有量40%)混合した。なお、クエ ン酸塩系発泡剤は炭酸水素ナトリウム100質量 部に対し50質量部含有されていた。
 得られる混合物を押出機を使用し、発泡成 を行った。押出機(30mmφ押出機、L/D=24、スク リュー:フルフライト、5mmφダイ、リップ開き :2mm、冷却方式:自然冷却)は、そのシリンダー の温度は210℃、ダイス温度は190℃とした。
 得られた成形発泡体について、比重及び発 倍率を測定した。結果を表1に示す。表1に られるように発泡剤添加量8部で5.7倍発泡で った。発泡剤添加量10部ではダイス温度を16 0℃まで下げることにより、発泡倍率は6.8倍 なった。いずれも気泡は微細であった。

(比較例1)
 実施例1において、ポリプロピレン系樹脂100 部に対して、複合系発泡剤を0~2部混合した他 は全く同様にして押出発泡成形を行った。得 られた発泡成形品の比重及び発泡倍率を測定 した。押出機シリンダーの温度210℃、ダイス 温度を190℃とした。結果を表1に示す。

(比較例2)
 汎用ポリプロピレン系樹脂(直鎖状のホモポ リプロピレン、MT=2.1g、MFR=3g/10分)100部に対し 、実施例1で使用したのと同じ複合発泡剤2~4 部を混合し、実施例1と同様にして押出発泡 形を行った。結果を合わせて表1に示す。
 比較例2のポリプロピレン樹脂は複合発泡剤 を2部添加で発泡倍率は1.9倍であったが、4部 添加では1.3倍に下がってしまった。

(実施例2)

 実施例1で使用したのと同じポリプロピレン 系樹脂100部に対して、発泡剤としての炭酸水 素ナトリウムを40%含有する発泡剤(他の60%は リエチレン樹脂)を混合して得られる混合物 実施例1と同様にして、押出発泡成形を行っ た。結果を表2に示す。
 実施例1と同じ程度の発泡倍率は得られたが 、実施例1の水準と比較すると気泡は粗大で り、発泡体のセル径の均一性にも乏しく、 ル径分布係数が大きかった。

(比較例3)
 実施例1において、発泡剤として、有機系発 泡剤(アゾジカルボンアミド系発泡剤、商品 :セルマイクMB1023、三協化成社製、有効成分 有量30質量%)をポリプロピレン系樹脂100部に 対して、4~6部添加して押出発泡成形を行った 。
 押出機シリンダーの温度は発泡剤に合わせ 230℃、ダイスは190℃とした。得られた発泡 の結果を表3に示す。

(比較例4)
 比較例2において使用したのと同じ汎用ポリ プロピレン樹脂を使用し、かつ比較例3で使 したのと同じ有機系発泡剤をした混合物に いて実施例1と同様にして押出発泡成形を行 た。得られた発泡体の結果を表3に示す。
 表3に見られるように、熱分解して窒素ガス を発生する有機系発泡剤では、無機系発泡剤 に比較して発泡倍率は低くかった。

(実施例3)

 実施例1で使用したのと同じポリプロピレン 樹脂(発明PP)と、比較例2で使用したのと同じ 用ポリプロピレン樹脂(汎用PP)と、低密度ポ リエチレン樹脂(LDPE)とを、表4に示した質量 にてペレットブレンドした。該ブレンド100 に対して実施例1で使用したのと同じ複合発 剤を表4に示した量を添加して得られる混合 物を実施例1と同様にして押出発泡成形を行 た。結果を表4に示す。
 表4の3-1、3-2及び3-3における発明PPと汎用PP のブレンド比率がそれぞれ80%、50%、30%では いずれでも、汎用PPのみの場合に比較して、 発泡倍率の高い発泡体が得られた。また、表 4の3-4におけるLDPEをブレンドしたポリプロピ ン樹脂の場合も同じ程度の発泡倍率が得ら た。

(実施例4)

 押出ダイスをTダイに変更した他は実施例3 同じ押出し発泡条件で、実施例1で使用した と同じポリプロピレン樹脂(発明PP)100部に対 して、実施例1で使用したのと同じ複合発泡 を混合した混合物について押出発泡を行っ 。また、発明PP50部と汎用PP50部とのペレット ブレンド物について押出発泡成形を行った。
 結果を表5に示す。T-ダイでのシート成形で 本発明のポリプロピレン樹脂は高い発泡倍 が得られた。

(比較例5)
 ポリプロピレン樹脂として、比較例2で使用 した汎用ポリプロピレン樹脂を用いて実施例 4と同様の押出条件で押出発泡を行った。結 を表5に示す。

(比較例6)
 一般用ホモポリプロピレン樹脂(A)(MT=3.4g、MF R≒2)を55部、一般用ホモポリプロピレン樹脂( B)(MT=3.8g、 MFR≒4.0g/10分)を45部、及びジセチ ペルオキシジカーボネート(架橋剤)0.7部を混 合し、更に実施例1で使用したのと同じ複合 泡剤を添加して得られた混合物について、 施例4と同じ押出条件で押出発泡成形を行っ 。結果を表5に示す。
 この比較例6においても、ポリプロピレン樹 脂は架橋して発泡するが、発泡倍率は小さく 、また発泡体は架橋物であった。

 本発明におけるポリオレフィン系樹脂の発 体は、その優れた性能とコストのバランス さらには、優れたリサイクル性などを生か て、主に、自動車部材用途、文房具などの 般消耗品用途、包装緩衝材用途、などに広 使用可能である。
 
 なお、2007年6月28日に出願された日本特許出 願2007-170526号の明細書、特許請求の範囲、及 要約書の全内容をここに引用し、本発明の 細書の開示として、取り入れるものである