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Title:
METHOD OF RECOVERING VALUABLE METAL FROM SCRAP CONTAINING CONDUCTIVE OXIDE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/117649
Kind Code:
A1
Abstract:
A method of recovering a valuable metal from an oxide-based scrap, characterized by using an insoluble electrode as an anode, using the oxide-based scrap as a cathode, and conducting electrolysis to recover the cathode scrap in the form of metal or suboxide.Thus, a valuable metal is efficiently recovered from an oxide-based scrap, e.g., a sputtering target made of indium-tin oxide (ITO) or fragments resulting from production.

Inventors:
SHINDO YUICHIRO (JP)
TAKEMOTO KOICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/054130
Publication Date:
October 02, 2008
Filing Date:
March 07, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON MINING CO (JP)
SHINDO YUICHIRO (JP)
TAKEMOTO KOICHI (JP)
International Classes:
C25C1/14; C22B1/02; C22B3/04; C22B3/44; C22B5/12; C22B7/00; C22B19/34; C22B25/06; C22B58/00; C25B1/00; C25C1/16; C25C1/22
Foreign References:
JP2003247089A2003-09-05
JPH0841560A1996-02-13
JPH06329415A1994-11-29
JPH07145432A1995-06-06
JPS62290900A1987-12-17
JPH0841560A1996-02-13
JPH0382720A1991-04-08
JP2000169991A2000-06-20
JP2002069684A2002-03-08
JP2002069544A2002-03-08
JP2002241865A2002-08-28
Other References:
See also references of EP 2130947A4
Attorney, Agent or Firm:
OGOSHI, Isamu (5F 3-1-10 Toranomon,Minato-k, Tokyo 01, JP)
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Claims:
 アノードに不溶性電極を使用し、カソードに酸化物系スクラップを使用して電解することにより、当該カソードのスクラップをメタル又は亜酸化物として回収することを特徴とする酸化物系スクラップからの有価金属の回収方法。
 電解時にカソードに発生する水素により酸化物系スクラップをメタル又は亜酸化物に還元することを特徴とする請求項1記載の酸化物系スクラップからの有価金属の回収方法。
 カソードに生成したメタル又は亜酸化物を酸で溶解し、溶解液として回収することを特徴とする請求項1又は2記載の酸化物系スクラップからの有価金属の回収方法。
 カソードに生成したメタル又は亜酸化物を酸又はアルカリで溶解し、その溶解液からメタルを構成する金属の一部を除去し、除去後の溶液から電解採取により有価金属を回収することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の酸化物系スクラップからの有価金属の回収方法。
 回収したメタル又は亜酸化物の溶解液から水酸化物として回収することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の酸化物系スクラップからの有価金属の回収方法。
 回収した複数のメタルの溶解液を電解により、合金として回収することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の酸化物系スクラップからの有価金属の回収方法。
 水酸化物又は亜酸化物を焙焼し、酸化物として回収することを特徴とする請求項5記載の酸化物系スクラップからの有価金属の回収方法。
Description:
導電性のある酸化物を含有する クラップからの有価金属の回収方法

 この発明は、使用済みインジウム-錫酸化 物(ITO)スパッタリングターゲット又は製造時 発生するITO端材等のITOスクラップを代表例 する、導電性のある酸化物を含有するスク ップ(本願明細書においては、これらを「導 電性のある酸化物を含有する」と総称する) らの有価金属の回収方法に関する。なお、 願明細書で記載する「有価金属の回収」は 有価金属を構成要素とするメタル、メタル 含有する溶解液、合金、水酸化物、酸化物 亜酸化物、過酸化物を含むものとする。

 近年、インジウム-錫酸化物(In 2 O 3 -SnO 2 :一般にITOと称呼されている)スパッタリング ーゲットは液晶表示装置の透明導電性薄膜 ガスセンサーなど多数の電子部品に広く使 されているが、多くの場合スパッタリング による薄膜形成手段を用いて形成されてい 。ITOは導電性のある代表的な酸化物である
 導電性のある酸化物(導電性酸化物)はITOに らず、IGZO(In-Ga-Zn-O系複合酸化物)、ZnO、Zn-SnO 2 、SnO 2 等、多数の導電性のある酸化物が存在する。 そして、同様にターゲットを作製し、これを スパッタリングして薄膜を形成し、各種の電 子部品に利用されている。

 このスパッタリング法による薄膜形成手段 優れた方法であるが、スパッタリングター ットを用いて、例えば透明導電性薄膜を形 していくと、該ターゲットは均一に消耗し いく訳ではない。このターゲットの一部の 耗が激しい部分を一般にエロージョン部と んでいるが、このエロージョン部の消耗が 行し、ターゲットを支持するバッキングプ ートが剥き出しになる直前までスパッタリ グ操作を続行する。そして、その後は新し ターゲットと交換している。
 したがって、使用済みのスパッタリングタ ゲットには多くの非エロージョン部、すな ち未使用のターゲット部分が残存すること なり、これらの導電性のある酸化物は全て クラップとなる。また、スパッタリングタ ゲットの製造時においても、研磨粉や切削 からスクラップ(端材)が発生する。

 導電性のある酸化物スパッタリングターゲ ト材料には、高価な金属が含まれている場 があるので、一般にこのようなスクラップ から金属を回収することが行われている。 の金属回収方法として、従来酸溶解法、イ ン交換法、溶媒抽出法などの湿式精製を組 せた方法が用いられている。
 例えば、ITOスクラップの場合は、同スクラ プを洗浄及び粉砕後、塩酸に溶解し、溶解 に硫化水素を通して、亜鉛、錫、鉛、銅な の不純物を硫化物として沈殿除去した後、 れにアンモニアを加えて中和し、水酸化イ ジウムとして回収する方法である。
 しかし、この方法によって得られた水酸化 ンジウムは、ろ過性が悪く操作に長時間を し、Si、Al等の不純物が多く、また生成する 水酸化インジウムはその中和条件及び熟成条 件等により、粒径や粒度分布が変動するため 、その後ITOターゲットを製造する際に、ITOタ ーゲットの特性を安定して維持できないとい う問題があった。導電性のある他の酸化物も 同様である。

 以下に、ITOを代表例として、従来技術とそ 利害得失を紹介する。
 その一つとして、基板上に被着されたITO膜 電解液中で電気化学的反応により還元させ さらにこの還元された透明導電膜を電解液 溶解させる透明導電膜のエッチング方法が る(特許文献1参照)。但し、目的がマスクパ ーンを高精度で得る方法であり、回収方法 は異なる技術である。
 ITOからの有価金属を回収するための事前処 として、バッキングプレートとの接合に用 ていたIn系のロウ材に含まれる不純物を電 液中で分離する技術がある(特許文献2参照) しかし、これはITOから有価金属を回収する 接的な技術に関するものではない。

 亜鉛精錬工程の副産物として得られる中間 又はITOスクラップからインジウムを回収す 際に、錫をハロゲン化錫酸塩として分離し 後、塩酸又は硝酸水溶液で還元処理し、次 でこの水溶液のpHを2~5に調整して、鉄、亜 、銅、タリウム等の金属イオンを還元し沈 しにくい物質とし、水溶液中のインジウム 分を分離する技術が開示されている(特許文 3参照)。この技術は精製工程が複雑で、精 効果もそれほど期待できない問題がある。
 また、高純度インジウムの回収方法として ITOを塩酸で溶解し、これにアルカリを加え pHが0.5~4となるようにし、錫を水酸化物とし て除去し、次に硫化水素ガスを吹き込み銅、 鉛等の有害物を硫化物として除去し、次いで この溶解液を用いて電解によりインジウムメ タルを電解採取する技術が開示されている( 許文献4参照)。この技術も精製工程が複雑で あるという問題がある。

 ITOインジウム含有スクラップを塩酸で溶 して塩化インジウム溶液とし、この溶液に 酸化ナトリウム水溶液を添加して錫を水酸 錫として除去し、除去後さらに水酸化ナト ウム水溶液を添加して水酸化インジウムと て、これをろ過し、ろ過後の水酸化インジ ムを硫酸インジウムとし、これを用いて電 採取によりインジウムとする方法がある(特 許文献5参照)。これは精製効果が大きく有効 方法であるが、工程が複雑であるという不 な点がある。

 ITOインジウム含有スクラップを塩酸で溶 して塩化インジウム溶液とする工程、該塩 インジウム溶液に水酸化ナトリウム水溶液 添加してスクラップ中に含有する錫を水酸 錫として除去する工程、該水酸化錫を除去 た後液から亜鉛によりインジウムを置換、 収する工程からなるインジウムの回収方法 ある(特許文献6参照)。この方法も、精製効 が大きく有効な方法であるが、工程が複雑 あるという不利な点がある。

 溶融金属インジウムの上に浮上する亜酸化 含有鋳造スクラップを取り出して雰囲気炉 挿入し、一度炉を真空にした後、アルゴン スを導入し、所定温度に加熱して亜酸化物 有鋳造スクラップを還元する金属インジウ の回収方法を開示する(特許文献7参照)。
 これ自体は有効な方法であるが、導電性の る酸化物のスクラップの基本的な回収方法 はないという欠点がある。
 以上から、効率的かつ回収工程に汎用性が る方法が求められている。

特開昭62-290900号公報

特開平8-41560号公報

特開平3-82720号公報

特開2000-169991号公報

特開2002-69684号公報

特開2002-69544号公報

特開2002-241865号公報

 本発明は、上記の問題を解決するために 導電性のある酸化物を含有するスクラップ はターゲットの製造時等に発生する導電性 ある酸化物の端材等のスクラップから、有 金属を効率良く回収する方法を提供するこ にある。

 本発明は、アノードに不溶性電極を使用し カソードに導電性のある酸化物を含有する クラップを使用して電解することにより、 該カソードのスクラップをメタル又は亜酸 物に還元するITOスクラップからの有価金属 回収方法を提供する。「有価金属の回収」 、有価金属を構成要素とするメタル、メタ を含有する溶解液、合金、水酸化物、酸化 、亜酸化物、過酸化物を含むものである。
 一般に、例えばITO等のスクラップは酸化物 セラミックスであるから、本来電解法で有 金属を回収することを予想することはでき い。しかし、このITO自体が酸化物系セラミ クスであるにもかかわらず導電性を有する 本願発明はここに着目し、電解による有価 属(例えば、ITOの場合は、インジウム又は錫 及びこれらの化合物)の回収を試み、それを 能としたものである。
 このことが本願発明の大きな特徴の一つで る。従来は、回収すべき原材料である金属 クラップをアノードにすることが常であり 本願発明のように逆転した発想の技術は存 せず、またこの方法を示唆するような一切 文献も存在していない。また、カソードか 発生する水素ガスを利用する例も存在して ない。
 したがって、本願発明の導電性のある酸化 を含有するスクラップからの有価金属の回 方法は基本発明となるものである。

 ITO等は、それ自体が導電性を備えている とは既に知られていることであるが、これ 焼結体である酸化物の酸素欠損によるもの 考えられている。本願発明は、この酸化物 れ自体の導電性を利用するものであるが、 化物自体に備わる導電性が、電解による有 金属の回収が可能であるという知見と判断 らには多くの実験を行わなければ実現でき いものであることは理解されるべきもので る。

 従来のITO等の導電性のある酸化物を含有す スクラップの回収を行なう場合には、導電 のある酸化物を含有するスクラップを粉砕 、これを強酸で溶解し、還元、置換、硫化 析出、中和、濾過、溶媒抽出、イオン交換 鋳造等の複数の工程を、適宜組合せる工程 経て製造されている。
 これらの工程において問題となるのは、導 性のある酸化物を含有するスクラップの粉 工程で不純物が混入することであり、その の工程で、粉砕工程で混入した不純物を、 らに除去する必要があるので、工程がより 雑になるということである。
 したがって、導電性のある酸化物を含有す スクラップから電解により直接有価金属を 収できることは、極めて大きな利点を持つ とが理解できるであろう。

 また、本発明は電解時にカソードに発生す 水素により導電性のある酸化物を含有する クラップをメタル又は亜酸化物に還元する 記導電性のある酸化物を含有するスクラッ からの有価金属の回収方法及びカソードに 成したメタル又は亜酸化物を酸で溶解し、 解液として回収する前記導電性のある酸化 を含有するスクラップからの有価金属の回 方法を提供する。
 また、本発明は、カソードに生成したメタ 又は亜酸化物を酸又はアルカリで溶解し、 解採取によりメタルを回収する前記導電性 ある酸化物を含有するスクラップからの有 金属の回収方法、回収したメタル溶解液か 水酸化物として回収する前記導電性のある 化物を含有するスクラップからの有価金属 回収方法、及び回収したメタルの溶解液を 解により、メタル又は合金として回収する 記導電性のある酸化物を含有するスクラッ からの有価金属の回収方法を提供する。

 さらに、水酸化物若しくは亜酸化物若しく これらの混合物を焙焼して、酸化物又は複 酸化物若しくは酸化物の混合物として回収 る前記導電性のある酸化物を含有するスク ップからの有価金属の回収方法を提供する
 導電性のある酸化物を含有するスクラップ らの有価金属の回収に際しては、電解液のp Hを酸性領域に調整して電解し、カソードの 電性のある酸化物を含有するスクラップを タルに還元することができる。上記で回収 たメタル溶解液は、その構成メタルの一部( 値の低いメタル)を、置換法、溶媒抽出等に より除去し、さらにその溶液から電解採取に より有価金属を回収することが可能となる。

 また、上記に回収したメタル溶解液は、 溶液のpHを各メタルの水酸化物ができる領 に調整して、水酸化物又は2種以上の水酸化 の混合物として回収することができる。こ ようにして回収した水酸化物と2種以上の水 酸化物の混合物は、さらに焙焼して酸化物と し又は2種以上の酸化物の混合物として回収 ることができる。

 上記の通り、本願発明の導電性のある酸 物を含有するスクラップからの有価金属の 収は、電解に供する導電性のある酸化物を 有するスクラップ自体が高純度の材料から るスクラップであれば、その純度はそのま 維持でき、高純度の有価金属を構成要素と るメタル、これらのメタルを含有する溶解 、高純度の合金、高純度の水酸化物又は2種 以上の水酸化物の混合物、高純度の酸化物又 は亜酸化物若しくはこれらの混合物として回 収することが可能である。

 これは、本願発明の著しい利点であること 言うまでもない。従来の煩雑な工程及び製 途中で混入する不純物を除去する工程を必 とせず、生産効率を上昇させ、高純度の有 金属の回収が可能となるという優れたメリ トを有するものである。
 また、電流密度等の電解条件は、端材等の クラップであるために一義的に決められる のではなく、電流密度はその端材の量や材 の性質に応じて適宜選択して実施する。電 質溶液の液温は、通常0~100°Cの範囲とする 、室温(15~30°C)で十分である。

 酸化物系のスパッタリングターゲット又 このターゲット製造時に発生する端材等の クラップを使用し、アノードに不溶性電極 び酸化物系スクラップをカソードとして電 するだけなので、極めて簡便にメタル、こ らのメタルを含有する溶解液、合金、水酸 物又は2種以上の酸化物の混合物、酸化物若 しくは亜酸化物又はこれらの混合物として効 率良く回収することができるという優れた方 法である。酸化物系スクラップは、水溶液か ら発生する水素ガスで還元できるものであれ ば、全て適用できる。

 さらに、本願発明の酸化物系スクラップ らの有価金属の回収は、電解に供するスク ップ自体の純度はそのまま維持でき、上記 材料を回収することができる。これは、本 発明の著しい利点である。従来の煩雑な工 及び製造途中で混入する不純物を除去する 程を必要とせず、生産効率を上昇させ、高 度の有価金属の回収が可能となるという優 たメリットを有する。

 本発明は、有価金属を含有する酸化物系ス ラップを、電解により、簡便にメタル、こ らのメタルを含有する溶解液、合金、水酸 物、2種以上の水酸化物の混合物として効率 良く回収することができる。さらに得られた 水酸化物又は2種以上の水酸化物の混合物を 焼することにより、酸化物又は2種以上の酸 物の混合物として効率良く回収することが きる。
 焙焼温度としては、100~1000°Cとする。好ま くは100~500°Cとするのが良い。100°C未満では 分が残り、1000°Cを超えると焼結してしまう ので、上記の範囲とする。但し、材料によっ ては、この範囲を超えることがあることは言 うまでもない。一般的な焙焼条件の目安とし て提案したものである。

 電解液としては、上記の通り、硫酸ナト ウム、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、 酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸 ンモニウム、塩化カリウム、硝酸カリウム 硫酸カリウムなどの溶液を任意に選択して 用することができる。なお、陽イオンがア モニア系の場合は、アンモニアガスの発生 排水処理での窒素負荷があるので、その処 に注意を要する。また、陰イオンが塩素系 場合は塩素ガスの発生があり、また硝酸系 場合はNOxガスの発生と排水の窒素負荷があ ので、その処理に注意を要する。

 硫酸系ではこれらの問題は殆んどないので 硫酸系は好適な材料と言える。しかし、そ 他の電解液の使用も、上記の問題を解決で れば、使用を妨げる理由は存在しない。
 この他に、電流効率を上げるために、一般 知られている公知の添加材を使用すること 可能である。このように、再生した2種以上 の酸化酸化物が同時に回収でき、再生製品に 近いものであれば、再生効率が高くなること は容易に理解されるであろう。

 電解装置として特別なものは必要としない 例えば水素ガスで容易に還元できる酸化物 スクラップをカソードとし、アノードとし はカーボン、貴金属等からなる不溶性の電 を用いて電解すれば良い。これによって、 クラップに含有されている以上の不純物の 加又は混入を避けることができる。
 また、電解液のpHを7以下に調整して電解す ことが望ましい。これは還元する好適な条 であり、それはカソードより水素ガスを発 させて酸化物をメタルに還元させるという 由による。なお、好ましいpHは例示したも であって、スクラップ材料の相異により替 得るものであることは、容易に理解される きものである。
 電解条件は原料の種類により、適宜に調整 ることが望ましい。この場合に調整する要 は、生産効率のみである。一般に、大電流 高電圧で電解する方が、生産性が良いと言 る。しかし、これらの条件に限定される必 はなく、その選択は任意である。

 また、電解温度も特に制限はないが、0~100° Cに調整して電解することが望ましい。室温 十分電解することができる。端材となった クラップは、それぞれカソードボックス(籠) に入れて電解すれば良い。スクラップ自体が 所定の大きさ(電極として使用できるサイズ) 有するものは、そのまま電極板として使用 ることができる。
 不溶性の電極からなるアノード及び2種以上 の水酸化物スクラップからなるカソードに通 電し、電解を開始すると、アノードでは酸素 ガス等が発生するが、特に問題となるもので はない。

 他方、水素ガスで容易に還元できるスクラ プのカソードでは、通電開始と共に水素ガ が発生し、スクラップが水素還元され、メ ルとなる(例えば、ITOスクラップでは、ITO+H 2 →In-Snメタル)。水素の発生は水の電気分解に よる(H 2 O→1/2H 2 +OH - )。
 しかし、通電時間が長くなると、スクラッ のカソードの表面に若干の厚みのメタル(例 えば、ITOスクラップでは、In、Sn)が蓄積し、 のメタル表層の下に、スポンジ状のメタル 亜酸化物が形成され、それ以上の還元が抑 されるので、電解を中止するなどして、生 したメタル及び当該メタルの亜酸化物を、 を用いて溶解させ、新しい酸化物を含有す 表面を露出させることが望ましい。これに って、新生面が現れさらに還元が進行する

 上記に回収したメタル溶解液は、中和法、 換法、メタ錫酸法、加水分解法等により一 の価値の低いメタル(例えば、ITOスクラップ では、錫)を除去し、さらに錫除去後の溶液 ら電解採取により、より高価な金属(例えば ITOスクラップでは、インジウム)を回収する ことが可能となる。ITOの場合、中和法では水 酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニ ア等のアルカリ性の液で中和し、pH0.5~3で錫 除去する。そのほか、例えばインジウムス ンジなどで置換したり、硝酸を添加してメ 錫酸として除去したり、空気バブリング、 酸化水素などの酸化剤により、例えばSn(OH) 4 とすることにより除去できる。

 また、上記に回収したメタル溶解液は、 溶液のpHを3~11に調整して、水酸化物又は2種 以上の水酸化物の混合物として回収すること もできる。このようにして回収した水酸化物 は、さらに100~1000°Cで焙焼して酸化物として 収することができる。

 このようにして得た酸化物を、そのまま製 の原料として使用することができる。また 必要に応じ、さらに酸化物を補充又は添加 て、その成分量を替え、あるいは他の元素 は化合物を添加して、焼結し再生ターゲッ とすることも容易になし得るものである。 願発明はこれらを全て包含する。
 一方、上記に回収したメタル溶解液を電解 ることにより、合金として回収することも きる。

 いずれも、アノードに不溶性電極を使用し カソードでは、水素ガスで容易に還元でき スクラップをメタルに還元し、このメタル 、さらに酸で溶解して得たメタル溶解液を 用することを前提としたものである。
 このメタル溶解液から、さらに必要とする 態、すなわちメタル、2種以上のメタルの合 金、メタルの溶解液、水酸化物、酸化物とし て回収することが可能となる。

 次に、実施例について説明する。なお、 実施例は発明の一例を示すためのものであ 、本発明はこれらの実施例に制限されるも ではない。すなわち、本発明の技術思想に まれる他の態様及び変形を含むものである

(実施例1)
 横長20mm×縦長100×厚さ6tのITO(酸化インジウ -酸化錫)の板状端材(スクラップ)90gを原料と た。この原料中の成分は酸化錫(SnO 2 )が9.8wt%、残部酸化インジウム(In 2 O 3 )であった。
 この原料をカソードとし、アノードには、 溶性電極であるカーボンを使用した。硫酸 トリウム70g/Lを含有する電解液1Lを使用し、 pH:4.0、電解温度:30°Cとして電解を行った。電 圧は10V(定電圧)、電流は2.95A(開始時)~1.2A(終了 時)、通電時間60分(1時間)で実施した。
 この結果、ITO端材の表面はIn及びSnメタルと 、内部は亜酸化物のスポンジ状となっていた 。

(実施例2)
 電解することにより得たIn及びSnメタル及び 亜酸化物を硫酸で酸浸出してインジウムと錫 の溶液とし、この溶液をpH2.0に調整して錫を 酸化錫として除去し、さらにインジウムを 解温度30°C、電流密度2A/dm 2 という条件で電解採取した。
 以上により、ITOスクラップから約1.5gのInの 価金属を回収することができた。

(実施例3)
 実施例1のITO端材をカソードに、アノードに Ptを用い、硝酸ナトリウム100g/Lの液を用いて pH:6.0、電解温度:30°Cとして電解を行った。 圧は10V(定電圧)、電流は2.95A(開始時)~1.2A(終 時)、通電時間60分(1時間)で実施した。
 この結果、実施例1と同様に、ITO端材の表面 はIn及びSnメタルであり、内部は亜酸化物の ポンジ状となっており、インジウム、錫及 これらの亜酸化物が得られた。電解による 計量は、インジウムと錫のメタル換算で約1. 4gであった。

(実施例4)
 電圧を5Vで一定とし、他の条件は実施例1と 様の条件で電解した。積算電流量も同じと た。この結果、実施例1と同様に、ITO端材の 表面はIn及びSnメタルであり、内部は亜酸化 のスポンジ状となっていた。インジウム、 及びこれらの亜酸化物が得られ、電解によ 合計量はインジウムと錫のメタル換算で約2. 0gであった。

(実施例5)
 電圧を2Vで一定とし、他の条件は実施例1と 様の条件で電解した。積算電流量も同じと た。この結果、実施例1と同様に、ITO端材の 表面はIn及びSnメタルであり、内部は亜酸化 のスポンジ状となっていた。インジウム、 及びこれらの亜酸化物が得られ、電解によ 合計量はインジウムと錫のメタル換算で約2. 2gであった。

(実施例6)
 電圧を20Vで一定とし、他の条件は実施例1と 同様の条件で電解した。積算電流量も同じと した。この結果、実施例1と同様に、ITO端材 表面はIn及びSnメタルであり、内部は亜酸化 のスポンジ状となっていた。インジウム、 及びこれらの亜酸化物が得られ、電解によ 合計量はインジウムと錫のメタル換算で約1 .7gであった。

(実施例7)
 横長20mm×縦長100×厚さ6tのITO(酸化インジウ -酸化錫)の板状端材(スクラップ)をカソード ックスに10kg入れ原料とした。この原料中の 成分は酸化錫(SnO 2 )が9.8wt%、残部酸化インジウム(In 2 O 3 )であった。
 この原料をカソードとし、アノードにはPt 使用した。塩化ナトリウム100g/Lを含有する 解液1Lを使用し、pH:3.0、電解温度:30°Cとして 電解を行った。電圧は10V(定電圧)、電流は2.95 A(開始時)~1.2A(終了時)で実施した。電解の積 電流量は10000AHrであった。この結果、インジ ウム、錫及びこれらの亜酸化物が得られ、電 解による合計量はインジウムと錫のメタル換 算で約6.0kgであった。この混合物の純度は、 施例1と同程度であった。

(比較例1)
 実施例1と同様のITO(酸化インジウム-酸化錫) スクラップ2kgを原料とした。この原料中の成 分は酸化錫(SnO 2 )が9.7wt%、残部酸化インジウム(In 2 O 3 )であった。これをカソードとし、アノード 不溶性カーボンを用いた。電解条件としてpH 12で電解した。
 この結果、カソードには何らの変化も現れ 、インジウム、錫及びこれらの亜酸化物の 収はできなかった。

 上記の実施例においては、いずれも酸化錫( SnO 2 )が9.7wt%、残部酸化インジウム(In 2 O 3 )であるITO(酸化インジウム-酸化錫)端材又は クラップを使用したが、In 2 O 3 及びSnO 2 の成分量に応じて、電流密度、pH等の電解条 を任意に変えることが可能であり、この原 の成分量に特に制限される必要がないこと 言うまでもない。特に、ITOは酸化錫(SnO 2 )の含有量を5wt%~30wt%まで、変化させることが るが、このような場合でも、本発明は十分 適用できる。
 また、ITOにさらに少量の副成分を添加した のもあるが、基本的にITOが基本成分であれ 、本願発明は、これらにも適用できること 言うまでもない。

 本願発明は、アノードに不溶性電極を使用 ると共にカソードにITOスクラップを使用し これを電解することにより、カソード上に ンジウム-錫のメタルを形成し、これをさら に硫酸により溶解させて、その後に使用する 有価金属を構成要素とするインジウム又は錫 のメタル、これらのメタルを含有する溶解液 、高純度のインジウム-錫合金、高純度の水 化インジウムと水酸化錫又はメタ錫酸の混 物、高純度の酸化インジウム及び酸化錫の 合物として回収することが可能であり、ITO クラップから有価金属を効率良く回収でき ことが分る。
 次に、ITO以外の実施例について説明する。

(実施例8)
 ・回収対象スクラップ:IGZO(In‐Ga‐Zn‐O系複 合酸化物)
 アノードには不溶性陽極であるカーボンを 用した。IGZO系の板状端材スクラップを対極 (電極)とし、硫酸ナトリウム70g/Lを含有する 解液1Lを用いて、pH9、温度20°Cで電解を行な た。その結果、In,Ga,Znの水酸化物を得た。 留まりは98%であった。
 その後は、通常実施されている湿式方法(酸 浸出→溶媒抽出→電解等)を使用することに り、In,Ga,Znのメタルあるいは酸化物の回収を 行なうことができた。
 以上のように、導電性があるIGZO(In‐Ga‐Zn O系複合酸化物)は、効率良く有価物(金属)を 収することが可能であった。

(実施例9)
 ・回収対象スクラップ:ZnO
 アノードには不溶性陽極であるカーボンを 用した。ZnO の板状端材スクラップを対極 し、硫酸アンモニウム50g/Lを含有する電解液 を用いて、pH10、温度50°Cで電解を行なった。 その結果、Znの水酸化物が得られた。歩留ま は99.5%であった。純度は、元材(原料の純度) と同一であった。
 この水酸化物を用いて、再度脱水、焼結す ことによりZnOターゲットとして使用可能で った。以上のように、導電性がある酸化物 あるZnOは、効率良く回収することが可能で った。

(実施例10)
 ・回収対象スクラップ:ZnO‐SnO 2
 アノードには不溶性陽極であるカーボンを 用した。ZnO‐SnO 2 の端材スクラップを対極とし、硫酸ナトリウ ム100g/Lを含有する電解液を用いて、pH9、電解 温度70°Cで電解を行なった。
 その結果、ZnとSnの水酸化物が得られた。歩 留まりは99.0%であった。以上のように、導電 酸化物であるZnO‐SnO 2 は、効率良くZnとSnの水酸化物として回収す ことが可能であった。

(実施例11)
 ・回収対象スクラップ:SnO 2
 アノードには不溶性陽極であるカーボンを 用した。SnO 2 の端材スクラップを対極とし、硫酸ナトリウ ム70g/Lの溶液で、pH2、電解温度30°Cで行なっ 。その結果、Snの水酸化物を得た。歩留まり は99.7%であった。以上のように、導電性酸化 であるSnO 2 は、効率良くSnの水酸化物として回収するこ が可能であった。

 上記実施例8~11に示す通り、ITOのみならず 、それ以外の酸化物のスクラップを使用し、 水溶液中で発生する水素ガスにより容易に還 元することができ、酸化物系スクラップから 有価金属を効率良く回収できることが分る。

 本発明は、酸化物系ターゲット又は製造時 発生する同ターゲット端材等の酸化物系ス ラップを使用し、アノードに不溶性電極及 カソードに水溶液中発生する水素ガスによ 容易に還元されるスクラップを使用して電 するだけなので、極めて簡便に有価金属を 成要素とするメタル、これらのメタルを含 する溶解液、2種以上のメタルの合金、水酸 化物、酸化物、亜酸化物、又はこれらの混合 物として効率良く回収することができる。
 さらに、本願発明の酸化物系スクラップか の有価金属の回収は、電解に供するスクラ プ自体の純度はそのまま維持できる。これ 、本願発明の著しい利点である。従来の煩 な工程及び製造途中で混入する不純物を除 する工程を必要とせず、生産効率を上昇さ 、高純度の有価金属の回収が可能となると う優れたメリットを有し、酸化物系スクラ プからの有価金属の回収方法として極めて 用である。