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Patent Searching and Data


Title:
METHOD OF RESIN SEGREGATION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/136165
Kind Code:
A1
Abstract:
In the resin segregation through pressurizing of a heated mixture on a segregation member so as to adhere a molten resin contained in the mixture to the segregation member, thereby attaining segregation from unmolten resins, use is made of a segregation member with its surface configuration optimized. Accordingly, there can be accomplished segregation recovery of a resin material with high purity from wasted household electrical goods, etc.

Inventors:
KOJIMA TAMAO
NISHIKAWA KAZUTAKA
MIYASAKA MASATOSHI
ISOMI AKIRA
TABATA DAISUKE
NAKA HIROYUKI
WADA YOSHINORI
SATO YASUYUKI
Application Number:
PCT/JP2008/000375
Publication Date:
November 13, 2008
Filing Date:
February 28, 2008
Export Citation:
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Assignee:
PANASONIC CORP (JP)
KOJIMA TAMAO
NISHIKAWA KAZUTAKA
MIYASAKA MASATOSHI
ISOMI AKIRA
TABATA DAISUKE
NAKA HIROYUKI
WADA YOSHINORI
SATO YASUYUKI
International Classes:
B29B17/00
Foreign References:
JPH07504368A1995-05-18
JPS51103983A1976-09-14
JPH11226957A1999-08-24
JP2002234031A2002-08-20
JP2002046128A2002-02-12
JPH04126822U1992-11-18
JP2002234031A2002-08-20
Other References:
See also references of EP 2039485A4
Attorney, Agent or Firm:
ITAGAKI, Takao (4th Floor 10-10, Nishi-Hommachi 1-chome, Nishi-ku, Osaka-sh, Osaka 05, JP)
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Claims:
 溶融温度の異なる2種類以上の樹脂が混在する混在物の粒子径を、予め設定された範囲内に均一化し、
 前記粒子径を均一化された混在物を、
 この混在物を載置する側の表面に凹部または凸部の少なくとも一方を有し、隣り合う凹部または凸部の距離がこの混在物の最小粒径未満であり、前記凹部または前記凸部の高さが前記混在物の最小粒径未満で、かつ前記凹部または凸部の径が前記混在物の最小粒径未満である分別部材に載置し、
 前記分別部材に載置された前記混在物を、前記溶融温度の異なる2種類以上の樹脂のうちの2種類の樹脂の溶融温度の間の温度に加熱し、
 前記加熱された混在物を加圧して、前記加圧された混在物に混在する溶融した樹脂を前記分別部材に付着させて樹脂を分別する樹脂の分別方法。
 溶融温度の異なる3種類以上の樹脂が混在する混在物の粒子径を、予め設定された範囲内に均一化し、
 第1の分別手順として、前記粒子径を均一化された混在物を、
 この混在物を載置する側の表面に凹部または凸部の少なくとも一方を有し、隣り合う凹部または凸部の距離がこの混在物の最小粒径未満であり、前記凹部または前記凸部の高さが前記混在物の最小粒径未満で、かつ前記凹部または凸部の径が前記混在物の最小粒径未満である分別部材に載置し、
 前記溶融温度の異なる3種類以上の樹脂のうち、任意の2種類以上の樹脂の溶融温度よりも低い温度に第1次加熱し、前記第1次加熱された混在物を第1次加圧して、前記第1次加圧された混在物に混在する溶融した樹脂を前記第1の分別部材に付着させることで、前記第1次加圧された混在物に混在する未溶融の混在物と分別し、
 次いで、第2の分別手順として、前記第1の分別手順で未溶融の混在物を、
 この混在物を載置する側の表面に凹部または凸部の少なくとも一方を有し、隣り合う凹部または凸部の距離がこの混在物の最小粒径未満であり、前記凹部または前記凸部の高さが前記混在物の最小粒径未満で、かつ前記凹部または凸部の径が前記混在物の最小粒径未満である分別部材に載置し、
 前記第2の分別部材に載置された前記第1の分別手順で未溶着の混在物を、前記第1の分別手順で未溶着の混在物に含まれる任意の2種類の樹脂の溶融温度の間の温度に第2次加熱し、前記第2次加熱された混在物を第2次加圧して、前記第2次加圧された混在物に混在する溶融した樹脂を前記第2の分別部材に付着させることで、前記第1の分別手順で未溶融の混在物から樹脂を分別する樹脂の分別方法。
 溶融温度の異なる3種類以上の樹脂が混在する混在物の粒子径を、予め設定された範囲内に均一化し、
 第1の分別手順として、前記粒子径を均一化された混在物を、
 この混在物を載置する側の表面に凹部または凸部の少なくとも一方を有し、隣り合う凹部または凸部の距離がこの混在物の最小粒径未満であり、前記凹部または前記凸部の高さが前記混在物の最小粒径未満で、かつ前記凹部または凸部の径が前記混在物の最小粒径未満である分別部材に載置し、
 前記第1の分別部材に載置された前記混在物を、前記溶融温度の異なる3種類以上の樹脂のうち、任意の2種類以上の樹脂の溶融温度よりも高い温度に第1次加熱し、前記第1次加熱された混在物を第1次加圧して、前記第1次加圧された混在物に混在する溶融した樹脂群を前記第1の分別部材に付着させることで、前記第1次加圧された混在物に混在する未溶融の混在物と分別し、
 次いで、第2の分別手順として、前記第1の分別部材に付着された樹脂群を前記第1の分別部材から剥離し、前記剥離された樹脂群を、
 この混在物を載置する側の表面に凹部または凸部の少なくとも一方を有し、隣り合う凹部または凸部の距離がこの混在物の最小粒径未満であり、前記凹部または前記凸部の高さが前記混在物の最小粒径未満で、かつ前記凹部または凸部の径が前記混在物の最小粒径未満である第2の分別部材に載置し、
 前記第2の分別部材に載置された樹脂群を、前記第2の分別部材に載置された樹脂群に含まれる任意の2種類の樹脂の溶融温度の間の温度に第2次加熱し、前記第2次加熱された樹脂群を第2次加圧して、前記第2次加圧された樹脂群に混在する溶融した樹脂を前記第2の分別部材に付着させることで、前記第1の分別部材に付着された樹脂群から樹脂を分別する樹脂の分別方法。
 分別部材の混在物を載置する側の表面が凹部を有し、前記分別部材の隣り合う凹部の距離が前記混在物の最小粒径未満であり、前記凹部の深さが40μm以上かつ前記混在物の最小粒径未満で、かつ前記凹部の径が50μm以上かつ前記混在物の最小粒径未満であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の樹脂の分別方法。
 分別部材の混在物を載置する側の表面が円柱状凸部を有し、前記分別部材の隣り合う円柱状凸部の距離が前記混在物の最小粒径未満であり、前記円柱状凸部の高さが50μm以上かつ前記混在物の最小粒径未満で、かつ前記円柱状凸部の底面の径が100μm以上かつ前記混在物の最小粒径未満であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の樹脂の分別方法。
 分別部材の混在物を載置する側の表面が、表面粗さがRa=0.6μm以上かつ55μm未満の凹凸を有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の樹脂の分別方法。
 混在物にPSおよびABSが含まれ、110℃以上かつ125℃以下の温度に加熱することを特徴とする請求項1に記載の樹脂の分別方法。
 混在物にABSおよびPPが含まれ、130℃以上かつ145℃以下の温度に加熱することを特徴とする請求項1に記載の樹脂の分別方法。
 混在物にPSおよびPPが含まれ、110℃以上かつ145℃以下の温度に加熱することを特徴とする請求項1に記載の樹脂の分別方法。
 混在物にPS、ABSおよびPPが含まれ、110℃以上かつ125℃以下の温度に第1次加熱することおよび130℃以上かつ145℃以下の温度に第2次加熱することを特徴とする請求項2に記載の樹脂の分別方法。
 混在物にPS、ABSおよびPPが含まれ、130℃以上かつ145℃以下の温度に第1次加熱することおよび110℃以上かつ125℃以下の温度に第2次加熱することを特徴とする請求項3に記載の樹脂の分別方法。
Description:
樹脂の分別方法

 本発明は、使用済み家電製品の再資源化 目的とした、樹脂片が混在する混在物から 樹脂の分別技術に関するものである。

 近年の大量生産、大量消費、大量廃棄型 経済活動が、地球温暖化や資源の枯渇など 球規模での環境問題を引き起こしている。 のような状況の中、循環型社会の構築に向 て、平成13年4月から家電リサイクル法が完 施行され、使用済みになったエアコン、テ ビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機のリサイクル 義務付けられている。

 従来、不要になった家電製品は、家電リ イクル工場で、破砕後に磁気、風力、振動 どを利用して材料毎に分別回収し、再資源 されている。特に金属材料は、比重選別装 や磁気選別装置を用いることで、鉄、銅、 ルミニウムなど材料毎に高純度で回収され 高い再資源化率が実現されている。

 一方、樹脂材料では、軽比重物であるポ プロピレン(PP)が、水を活用した比重選別で 高比重物と分別され、比較的高純度で回収さ れている。しかしながら、水を活用した比重 選別は、大量の排水が発生することや比重の 近いPS(ポリスチレン)とABS(アクリロニトリル チレンブタジェン)が分別できないことが大 きな課題となっている。

 樹脂材料の再資源化に関する前記課題を 慮した分別方法が(特許文献1)(特許文献2)で 案されている。

 (特許文献1)は、分別対象となる2種類の樹 脂の溶融温度差を活用した分別方法で、分別 対象の2種類の樹脂の溶融温度の中間温度に るように、一対の耐熱鋼製の周動面を加熱 、前記加熱した周動面の隙間に、分別対象 2種類の樹脂を通過させ、溶融温度の低い樹 のみを前記加熱した周動面に付着させるこ で2種類の樹脂を分別する方法である。

 また、(特許文献2)は、樹脂材料間の誘電損 の違いを利用した分別方法である。2種類以 上の樹脂が混在する混在物に、電磁波などを 印加して誘電加熱を施し、樹脂材料毎の発熱 性状の違いによる溶融特性差を活用して分別 する方法であり、これらの分別方法では、排 水の発生がなく、樹脂材料の比重の影響も受 けない。

実開平4-126822号公報

特開2002-234031公報

 しかしながら、(特許文献1)では、PPやPSな ど他の物質への接着性が低い低極性分子物質 では、溶融した樹脂の付着強度が不安定にな り、高純度の分別が出来ない。また、低融点 の樹脂と高融点の樹脂が同時に加熱された周 動面の隙間を通過すると、溶融した低融点の 樹脂に未溶融の高融点の樹脂が付いて、分別 できないという課題も発生する。

 また、(特許文献2)では、誘電損失特性の い樹脂材料の分別ができないため、高純度 の回収は困難である。

 本発明は上記従来の課題を解決するもの 、排水の発生がなく、樹脂材料の比重およ 誘電損失特性の影響を受けない樹脂材料の 純度分別方法を提供するものである。

 上記目的を達成するために、第1発明の樹 脂の分別方法は、溶融温度の異なる2種類以 の樹脂が混在する混在物の粒子径を、予め 定された範囲内に均一化し、前記粒子径を 一化された混在物を、この混在物を載置す 側の表面に凹部または凸部の少なくとも一 を有し、隣り合う凹部または凸部の距離が の混在物の最小粒径未満であり、前記凹部 たは前記凸部の高さが前記混在物の最小粒 未満で、かつ前記凹部または凸部の径が前 混在物の最小粒径未満である分別部材に載 し、前記分別部材に載置された前記混在物 、前記溶融温度の異なる2種類以上の樹脂の ちの2種類の樹脂の溶融温度の間の温度に加 熱し、前記加熱された混在物を加圧して、前 記加圧された混在物に混在する溶融した樹脂 を前記分別部材に付着させて樹脂を分別する ことを特徴とする。

 第2発明の樹脂の分別方法は、溶融温度の 異なる3種類以上の樹脂が混在する混在物の 子径を、予め設定された範囲内に均一化し 第1の分別手順として、前記粒子径を均一化 れた混在物を、この混在物を載置する側の 面に凹部または凸部の少なくとも一方を有 、隣り合う凹部または凸部の距離がこの混 物の最小粒径未満であり、前記凹部または 記凸部の高さが前記混在物の最小粒径未満 、かつ前記凹部または凸部の径が前記混在 の最小粒径未満である分別部材に載置し、 記溶融温度の異なる3種類以上の樹脂のうち 、任意の2種類以上の樹脂の溶融温度よりも い温度に第1次加熱し、前記第1次加熱された 混在物を第1次加圧して、前記第1次加圧され 混在物に混在する溶融した樹脂を前記第1の 分別部材に付着させることで、前記第1次加 された混在物に混在する未溶融の混在物と 別し、次いで、第2の分別手順として、前記 1の分別手順で未溶融の混在物を、この混在 物を載置する側の表面に凹部または凸部の少 なくとも一方を有し、隣り合う凹部または凸 部の距離がこの混在物の最小粒径未満であり 、前記凹部または前記凸部の高さが前記混在 物の最小粒径未満で、かつ前記凹部または凸 部の径が前記混在物の最小粒径未満である分 別部材に載置し、前記第2の分別部材に載置 れた前記第1の分別手順で未溶着の混在物を 前記第1の分別手順で未溶着の混在物に含ま れる任意の2種類の樹脂の溶融温度の間の温 に第2次加熱し、前記第2次加熱された混在物 を第2次加圧して、前記第2次加圧された混在 に混在する溶融した樹脂を前記第2の分別部 材に付着させることで、前記第1の分別手順 未溶融の混在物から樹脂を分別することを 徴とする。

 第3発明の樹脂の分別方法は、溶融温度の 異なる3種類以上の樹脂が混在する混在物の 子径を、予め設定された範囲内に均一化し 第1の分別手順として、前記粒子径を均一化 れた混在物を、この混在物を載置する側の 面に凹部または凸部の少なくとも一方を有 、隣り合う凹部または凸部の距離がこの混 物の最小粒径未満であり、前記凹部または 記凸部の高さが前記混在物の最小粒径未満 、かつ前記凹部または凸部の径が前記混在 の最小粒径未満である分別部材に載置し、 記第1の分別部材に載置された前記混在物を 、前記溶融温度の異なる3種類以上の樹脂の ち、任意の2種類以上の樹脂の溶融温度より 高い温度に第1次加熱し、前記第1次加熱さ た混在物を第1次加圧して、前記第1次加圧さ れた混在物に混在する溶融した樹脂群を前記 第1の分別部材に付着させることで、前記第1 加圧された混在物に混在する未溶融の混在 と分別し、次いで、第2の分別手順として、 前記第1の分別部材に付着された樹脂群を前 第1の分別部材から剥離し、前記剥離された 脂群を、この混在物を載置する側の表面に 部または凸部の少なくとも一方を有し、隣 合う凹部または凸部の距離がこの混在物の 小粒径未満であり、前記凹部または前記凸 の高さが前記混在物の最小粒径未満で、か 前記凹部または凸部の径が前記混在物の最 粒径未満である第2の分別部材に載置し、前 記第2の分別部材に載置された樹脂群を、前 第2の分別部材に載置された樹脂群に含まれ 任意の2種類の樹脂の溶融温度の間の温度に 第2次加熱し、前記第2次加熱された樹脂群を 2次加圧して、前記第2次加圧された樹脂群 混在する溶融した樹脂を前記第2の分別部材 付着させることで、前記第1の分別部材に付 着された樹脂群から樹脂を分別することを特 徴とする。

 この第1から3の発明は、1つの態様におい 、分別部材の混在物を載置する側の表面が 部を有し、前記分別部材の隣り合う凹部の 離が前記混在物の最小粒径未満であり、前 凹部の深さが40μm以上かつ前記混在物の最 粒径未満で、かつ前記凹部の径が50μm以上か つ前記混在物の最小粒径未満であることを特 徴とする。

 この第1から3の発明は、1つの態様におい 、分別部材の混在物を載置する側の表面が 柱状凸部を有し、前記分別部材の隣り合う 柱状凸部の距離が前記混在物の最小粒径未 であり、前記円柱状凸部の高さが50μm以上 つ前記混在物の最小粒径未満で、かつ前記 柱状凸部の底面の径が100μm以上かつ前記混 物の最小粒径未満であることを特徴とする とができる。

 この第1から3の発明は、1つの態様におい 、分別部材の混在物を載置する側の表面が 表面粗さがRa=0.6μm以上かつ55μm未満の凹凸 有することを特徴とすることができる。

 この第1の発明は、混在物にPSおよびABSが まれ、110℃以上かつ125℃以下の温度に加熱 ることを特徴とすることができる。

 この第1の発明は、混在物にABSおよびPPが まれ、130℃以上かつ145℃以下の温度に加熱 ることを特徴とすることができる。

 この第1の発明は、混在物にPSおよびPPが まれ、110℃以上かつ145℃以下の温度に加熱 ることを特徴とすることができる。

 この第2の発明は、混在物にPS、ABSおよびP Pが含まれ、110℃以上かつ125℃以下の温度に 1次加熱することおよび130℃以上かつ145℃以 の温度に第2次加熱することを特徴とするこ とができる。

 この第3の発明は、混在物にPS、ABSおよびP Pが含まれ、130℃以上かつ145℃以下の温度に 1次加熱することおよび110℃以上かつ125℃以 の温度に第2次加熱することを特徴とするこ とができる。

 本発明によれば、分別部材上で加熱され 混在物を加圧し、混在物に混在する溶融し 樹脂を分別部材に付着させて、未溶融の樹 と分別する際に、溶融温度の異なる樹脂が 在する混在物の粒子径を、予め設定された 囲内に均一化してから、あらかじめ表面形 を最適化した分別部材を使用するので、溶 した樹脂の付着強度を安定化することがで る。その結果、溶融した樹脂が未付着状態 なって、未溶融の樹脂に混入することを防 でき、高純度な樹脂材料が得られる。

本発明の実施の形態を示す樹脂の付着 度と分別部材の表面形状の関係図 本発明の実施の形態を示す表面に凹部 形成した分別部材の構造図 本発明の実施の形態を示す樹脂の付着 度と分別部材の表面形状の関係図 本発明の実施の形態を示す樹脂の付着 度と分別部材の表面形状の関係図 本発明の実施の形態を示す表面に円柱 凸部を形成した分別部材の構造図 本発明の実施の形態を示す樹脂の付着 度と分別部材の表面形状の関係図 本発明の実施の形態を示す樹脂の付着 度の測定結果の説明図

 以下、本発明の樹脂の分別方法を、具体 な各実施の形態に基づいて説明する。

 下記の表1は、家電製品に使用されている 汎用樹脂品種であるPS、ABSおよびPP樹脂の溶 温度の測定結果である。それぞれの樹脂品 共に代表品番を対象に測定を実施した。PSに は東洋スチレン株式会社(TOYO STYRENE Co.,Ltd)製 の品番:G100Cを使用した。ABSにはユーエムジー ・エービーエス株式会社(UMG ABS,Ltd.)製の品番 :VW20を使用した。PPには出光石油化学株式会 (Idemitsu Kosan Co.,Ltd.)製の品番:J6083HPを使用し た。

 溶融温度は、300gfの荷重をかけながら樹 ペレットを昇温し、樹脂ペレットが軟化し 、厚みの減衰が1%に達した温度とした。

 この表1から分かるように、PS、ABSおよびP P樹脂ともに他の品種とは明確な溶融温度差 あることを確認した。

 加熱で溶融した樹脂を分別部材に付着さ て、未溶融の樹脂と分別するためには、溶 樹脂を分別部材に付着させた後、未溶融で 付着の樹脂のみを分別部材から除去する必 がある。振動や風力、せん断力などを用い 、未付着の樹脂を分別部材から除去する際 分別部材に付着した溶融樹脂が一緒に除去 れないためには、100gf以上の付着強度を確 することが必要と考えられる。

 下記の表2は、表1に示した溶融温度で、 樹脂品番の樹脂ペレットを耐熱鋼板製の分 部材に溶着したときの付着強度の測定結果 ある。いずれの樹脂品番でも付着力は、100gf を下回っており、分別部材を介してこの分別 部材上で加熱された混在物を加圧し、混在物 に混在する溶融した樹脂を分別部材に付着さ せて、未溶融の樹脂と分別するためには、溶 融した樹脂の分別部材への付着力を向上させ る必要がある。

 PSやPPなどの低極性分子物質は、他の物質 との分子間力が低いため、分別部材との付着 力確保のためには、アンカー効果などの機械 的な嵌め合い構造が有効であると考えられ、 分別部材の表面構造の最適化について検討し た。

 図1は、樹脂の付着強度におよぼす分別部 材の表面形状の影響を調べた結果である。図 2に示したような、凹部1を表面に形成した耐 鋼板2を分別部材として用いて、樹脂の付着 強度におよぼす凹部1の径:D1の影響を測定し 。凹部1の深さ:d1=60μm、隣合う凹部1の距離:L1 =300μmで、加熱温度100℃、加圧力300gf、加圧時 間60秒の条件で、φ2mmのPS樹脂ペレット(東洋 チレン株式会社製 G100C)を付着した。

 PS樹脂の付着強度は、凹部1の径:D1=50μm以 で、約400gfの一定値を示したが、凹部1の径: D1=20μm以下では、100gf以下になり、10μmで未接 着状態になった。また、凹部1の径:D1が樹脂 イズ以上なると、樹脂が付着時に孔に入り み脱着できなくなる。したがって、分別部 の凹部1の径:D1は50μm以上かつ樹脂の最小粒 未満が好ましい。

 図3は、樹脂の付着強度におよぼす分別部 材の表面凹部の深さの影響を調べた結果であ る。凹部1の径:D1=200μm、隣合う凹部1の距離:L1 =300μmで、分別部材を介しての加熱温度100℃ 加圧力300gf、加圧時間60秒の条件で、φ2mmのPS 樹脂ペレット(東洋スチレン株式会社製 G100C) を付着した。PS樹脂は、分別部材の凹部1の深 さ:d1=20μm以下では未接着状態になるが、深さ :d1=40μmでは100gfとなり、それ以上では、凹部1 の深さに比例して付着強度が大きくなった。

 さらに、凹部1の深さ:d1=2mm以上になると 一度付着した樹脂が脱着できなくなった。 たがって、分別部材の凹部1の深さはd1=40μm 上かつ樹脂の最小粒径未満が好ましい。

 また、隣合う凹部1の距離:L1が、樹脂ペレ ットの径以上になると、樹脂ペレットが凹部 1と接触しない場合があるので、隣合う凹部1 距離:L1は、樹脂の最小粒径未満が好ましい

 図4は、図5に示したような円柱状凸部3を 面に形成した耐熱鋼板を分別部材として用 て、樹脂の付着強度におよぼす円柱状凸部3 の高さ:h1の影響を測定した結果である。円柱 状凸部3の底面径:D2=200μm、隣合う円柱状凸部 距離:L2=300μmで、分別部材を介しての加熱温 度100℃、加圧力300gf、加圧時間60秒の条件で φ2mmのPS樹脂ペレット(東洋スチレン株式会社 製 G100C)を付着した。PS樹脂の付着強度は、 柱状凸部3の高さ:h1=50μm以上で、約250gfの一 値を示したが、円柱状凸部3の底面径:D2=20μm 下では、付着強度が100gf未満になり、D2=10μm で未接着状態になった。また、円柱状凸部3 高さが樹脂サイズ以上になると、樹脂の付 力が強すぎるため脱着できなくなる。した って、分別部材の円柱状凸部3の高さは、h1=5 0μm以上かつ樹脂の最小粒径未満が好ましい

 円柱状凸部3の底面径は、100μm未満になる と円柱状凸部の構造体としての強度が低下す る。また、円柱状凸部3の底面径:D2が樹脂ペ ットの径以上になると、機械的な嵌め合い 果が得られない場合があるので、円柱状凸 3の底面径:D2は、100μm以上かつ、樹脂の最小 径未満が好ましい。また、隣合う円柱状凸 3の距離:L2は、樹脂ペレットの径以上になる と、機械的な嵌め合い構造が得られない場合 があるので、樹脂の最小粒径未満が好ましい 。なお、本実施の形態では、分別部材の表面 に凹部または凸部の一方を形成することで、 良好な樹脂の付着強度が得られているが、分 別部材の表面に凹部および凸部の両方を形成 した場合でも、同様に良好な樹脂の付着強度 が得られる。

 図6は、平均粒径が24~550μmであるアルミナ 系の研磨材を用いてサンドブラスト処理を施 した耐熱鋼板を分別部材として、分別部材の 表面粗さと樹脂の付着強度の関係を調べた結 果である。なお、加熱温度110℃、加圧力300gf 加圧時間60秒の条件で、φ2mmのPS樹脂ペレッ (東洋スチレン株式会社製 G100C)を付着した サンドブラスト処理により付着強度が向上 ることがわかった。また、Ra=0.4μm未満では 着強度が得られない。また、Ra=55μmを超え と粗化面内に樹脂残りが発生し、分別部材 メンテナンスが必要となる。したがって表 粗さは、Ra=0.6μm以上かつRa=55μm未満が好まし い。なお、一般的に算術平均粗さRaは、最大 さRyの1/10から1/3の値を示し、本実施例のサ プルの実測結果でも同様の傾向となり、Ra=5 5μmの分別部材の表面凹凸の大きさは、前記φ 2mmのPS樹脂ペレットの径よりもかなり小さい とが確認できた。また、サンドブラスト処 で用いた研磨材の粒径が550μm以下なので、 論上、隣り合う頂点の距離は、550μm以下に り、前記φ2mmのPS樹脂ペレットの径よりもか なり小さくなっている。

 図7は、表面粗さRa=30μmになるように、サ ドブラスト処理を施した耐熱鋼板を分別部 として、PS、ABSおよびPP樹脂の溶着温度を測 定した結果である。それぞれの樹脂品種共に 複数の代表品番を対象に測定を実施した。PS は東洋スチレン株式会社製の品番:G100C,H350,H 485,H650,WM1C,WM2Cの樹脂を使用した。ABSにはユー エムジー・エービーエス株式会社製の品番:EX 18X,TJ3L,VW20,EX23Xの樹脂を使用した。PPには住友 化学株式会社(Sumitomo Chemical Co.,Ltd.)製の品番 WN-12と、出光石油化学株式会社製の品番:J3053H ,J6083HPおよび、湖南石油化学社(HONAM PETROCHEMIC AL CORP.)製の品番J-380Aの樹脂を使用した。

 なお、分別部材を介しての加熱温度以外 付着条件は、加圧力300gf、加圧時間60秒、樹 脂サイズφ2mmで、100gf以上の付着強度が得ら る加熱温度を溶着温度とした。

 図7から分かるように、PS、ABSおよびPP樹 ともに品種内で若干の溶着温度差があるも の、他の品種とは明確な溶着温度差がある とを確認した。

 図7より、PSとABSの分別は、分別部材を介 て110~125℃に加熱すれば概ねの分別が可能で 、さらに高純度な分別を実施する場合は、114 ~120℃の加熱温度が好ましい。

 ABSとPPの分別は、分別部材を介して130~145 に加熱すれば概ねの分別が可能で、さらに 純度な分別を実施する場合は、135~142℃の加 熱温度が好ましい。

 PSとPPの分別は、分別部材を介して110~145 に加熱すれば概ねの分別が可能で、さらに 純度な分別を実施する場合は、114~142℃の加 温度が好ましい。

 PS、ABSおよびPPの分別は、第1番目の分別 法として、分別部材を介してまず110~125℃で 熱することでPSを分別し、次いで、分別部 を介して130~145℃に加熱すればABSとPPが分別 きる。さらに、高純度の分別を目的とする 合は、まず114~120℃に加熱することでPSを分 し、次いで、分別部材を介して135~142℃に加 すればABSとPPが分別できる。

 PS、ABSおよびPPの分別の第2番目の分別方 として、分別部材を介してまず130~145℃に加 することでPPを分別し、次いで、分別部材 介して110~125℃に加熱すればPSとABSが分別で る。さらに、高純度の分別を目的とする場 は、分別部材を介してまず135~142℃に加熱す ことでPPを分別し、次いで、分別部材を介 て114~120℃に加熱すればPSとABSが分別できる

  (実施の形態)
 以下、本発明による使用済み家電製品から 樹脂分別の実施の形態について説明する。

 本実施の形態では、使用済み家電製品を 知の方法で破砕し、磁力、風力や振動など 用いて概ねの金属材料等を分別除去した混 物を対象とする。

 本発明の樹脂分別方法は、分別部材を介 てこの分別部材上で加熱された混在物を加 し、混在物に混在する溶融した樹脂を分別 材に付着させて、未溶融の樹脂と分別する ので、前記加圧工程では、複数の樹脂片な を一括で加圧するため、あらかじめ、混在 の粒子径を設定された範囲内に均一化する とで、分別精度を向上できる。

 そこで、まず、前記概ねの金属材料等を 別除去した混在物の粒子径を篩を用いて均 化した。目開き4.75mmの篩を用いることで、 在物中の粗大物を除去し、目開き1.0mmの篩 用いることで、混在物中の小さな混在片や 末を取除き、粒子径が均一化された混在物 得た。

 次に、油圧式平板熱プレス機の下熱板の に表面粗さRa=30μmのサンドブラスト処理を した厚さ1mmの耐熱鋼板を設置し、前記耐熱 板の上に、前記粒子径が均一化された混在 を重なりがないように均質に並べた。前記 質に並べられた混在物の上にクッション材 配置し、前記均質に並べられた混在物を分 部材としての耐熱鋼板を介して第1次加熱加 した。前記第1次加熱加圧の条件は、耐熱鋼 板を介して加熱温度が117℃で、加圧力は、混 在物中の混在片1粒あたり100gfの平均圧力にな るように設定し、60秒間加熱加圧した。前記 1次加熱加圧後、前記耐熱鋼板と前記均質に 並べられた混在物を一括で取り出し、冷却板 の上で冷却した。前記耐熱鋼板と前記均質に 並べられた混在物の表面温度が30℃以下にな てから、前記耐熱鋼板を傾けることで、前 均質に並べられた混在物に含まれる混在片 うち前記耐熱鋼板に未溶着の混在片を分別 た。次に、前記耐熱鋼板に溶着した混在片 、溶融温度の異なる2種類以上の樹脂が混在 する混在物の粒子径を、予め設定された範囲 内に均一化し、厚さ1mmのステンレス(SUS)片を いて前記耐熱鋼板から剥離し、分別した。

 次に、前記第1次加熱加圧で未溶着の混在 片を、分別部材としての耐熱鋼板を介して第 2次加熱加圧し、未溶着の混在片と溶着した 在片を分別した。なお、第2次加熱加圧は、 熱鋼板を介して加熱温度が137℃で、温度条 以外は第1次加熱加圧と同一の条件とし、第 2次加熱加圧後の分別は、前記第1次加熱加圧 の分別条件と同一の条件で実施した。

 次に前記第2次加熱加圧で未溶着の混在片 を、第3次加熱加圧し、未溶着の混在片と溶 した混在片を分別した。なお、第3次加熱加 は、耐熱鋼板を介して加熱温度が165℃で、 度条件以外は第1次加熱加圧と同一の条件と し、第3次加熱加圧後の分別は、前記第1次加 加圧後の分別条件と同一の条件で実施した

 前記第1~3次加熱加圧で分別された溶着し 混在片と第3次加熱加圧で未溶着の混在片の 定性分析を行った。

 前記第1~3次加熱加圧で分別された溶着し 混在片の目視および触診観察からは、樹脂 料のみが検知され、金属、木材、紙、フィ ムなどは混在されていなかった。また、赤 吸光分析装置による組成分析では、前記第1 次加熱加圧で分別された溶着した混在片から はPS樹脂、前記第2次加熱加圧で分別された溶 着した混在片からはABS樹脂、前記第3次加熱 圧で分別された溶着した混在片からはPP樹脂 が検出された。

 また、第3次加熱加圧で未溶着の混在片の 目視および触診観察からは、金属、木材、紙 、フィルムが検出された。

 上記の説明では、分別対象の樹脂の混合 を分別部材を介して設定温度に加熱したが 分別部材を介さずに分別対象の樹脂の混合 を分別部材の上側から直接に設定温度に加 して分別することもできる。

 本発明によれば、未溶融の樹脂と分別す 際に、あらかじめ表面形状を最適化した分 部材を採用することで、溶融した樹脂の付 強度を安定化して、高純度な樹脂材料が得 れる樹脂の分別を実現でき、樹脂材料の再 源化に寄与できる。