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Title:
METHOD FOR SELECTIVELY REMOVING CATALYSTS FROM FISCHER-TROPSCH SYNTHETIC CRUDE OIL AND METHOD FOR RECYCLING REMOVED CATALYSTS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/113620
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a method for selectively removing catalysts from Fischer-Tropsch synthetic crude oil. The method comprises: a process for extracting a slurry that contains magnetic catalysts and Fischer-Tropsch synthetic crude oil obtained by a Fischer-Tropsch synthesis reaction from a synthesis reactor; a process for separating any catalysts with a given diameter or larger from the slurry by means of a first solid-liquid separator; and a process in which the catalysts that were not separated using the first solid-liquid separator from the slurry from which the catalysts of a given diameter or larger have been separated are separated using a second solid-liquid separator.

Inventors:
TASAKA KAZUHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/054779
Publication Date:
September 17, 2009
Filing Date:
March 12, 2009
Export Citation:
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Assignee:
JAPAN OIL GAS & METALS JOGMEC (JP)
INPEX CORP (JP)
NIPPON OIL CORP (JP)
JAPAN PETROLEUM EXPLORATION CO (JP)
COSMO OIL CO LTD (JP)
NIPPON STEEL ENG CO LTD (JP)
TASAKA KAZUHIKO (JP)
International Classes:
C10G2/00
Foreign References:
JP2007516065A2007-06-21
US4605678A1986-08-12
JPS6254790A1987-03-10
US6114399A2000-09-05
JP2008065773A2008-03-21
JP2008065778A2008-03-21
JP2008065780A2008-03-21
JP2004323626A2004-11-18
JPH0770568A1995-03-14
JPH06200260A1994-07-19
Attorney, Agent or Firm:
SHIGA, Masatake et al. (JP)
Masatake Shiga (JP)
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Claims:
 フィッシャー・トロプシュ合成反応器からのフィッシャー・トロプシュ触媒の選択的除去方法であって、
 フィッシャー・トロプシュ合成反応により得られるフィッシャー・トロプシュ合成粗油と磁性を有するフィッシャー・トロプシュ触媒とを含むスラリーを、フィッシャー・トロプシュ合成反応器から抜き出す工程と、
 前記スラリーから、所定の径以上の触媒を、第一の固液分離装置を使用して分離する工程と、
 前記所定の径以上の触媒を分離された前記スラリーから、前記第一の固液分離装置によっては分離されなかった触媒を、第二の固液分離装置を使用して分離する工程とを備え、
 前記第一の固液分離装置によって前記スラリーから分離された前記触媒は、前記フィッシャー・トロプシュ合成反応器に戻して再利用され、
 前記第二の固液分離装置によって前記スラリーから分離された前記触媒は、系外に排出され、
 前記系外に排出される前記触媒の平均粒径は、前記フィッシャー・トロプシュ合成反応器の出口における前記スラリー中の前記触媒の平均粒径よりも小さいフィッシャー・トロプシュ触媒の選択的除去方法。
 請求項1に記載のフィッシャー・トロプシュ触媒の選択的除去方法であって、
 前記第一の固液分離装置は、高勾配磁気分離器であり、
 前記第二の固液分離装置は、前記高勾配磁気分離器以外から選択されるフィッシャー・トロプシュ触媒の選択的除去方法。
 請求項1に記載のフィッシャー・トロプシュ触媒の選択的除去方法であって、
 前記第二の固液分離装置は、高勾配磁気分離器であり、
 前記第一の固液分離装置は、前記高勾配磁気分離器以外から選択されるフィッシャー・トロプシュ触媒の選択的除去方法。
 請求項2または3に記載のフィッシャー・トロプシュ触媒の選択的除去方法であって、
 前記高勾配磁気分離器は、同分離器の内部を洗浄するための洗浄液導入経路と、前記洗浄液を前記分離器から排出する洗浄液排出経路とを有し、
 前記分離器内部で捕捉した磁性粒子を間欠的に洗浄するフィッシャー・トロプシュ触媒の選択的除去方法。
 請求項2または3に記載のフィッシャー・トロプシュ触媒の選択的除去方法であって、
 前記高勾配磁気分離器以外から選択される固液分離装置が、ろ過分離器、重力沈降分離器、サイクロン、遠心分離器の少なくともいずれかひとつであるフィッシャー・トロプシュ触媒の選択的除去方法。
 フィッシャー・トロプシュ合成反応器からのフィッシャー・トロプシュ触媒の選択的除去方法であって、
 フィッシャー・トロプシュ合成反応により得られるフィッシャー・トロプシュ合成粗油と磁性を有するフィッシャー・トロプシュ触媒とを含むスラリーを、フィッシャー・トロプシュ合成反応器から抜き出す工程と、
 前記スラリーから、磁性の強い触媒を、第一の高勾配磁気分離器を使用して分離する工程と、
 前記触媒を分離された前記スラリーから、前記第一の高勾配磁気分離器によっては分離されなかった磁性の弱い触媒を、ろ過装置を使用して分離する工程とを備え、
 前記第一の高勾配磁気分離器によって前記スラリーから分離された前記磁性の強い触媒は、前記フィッシャー・トロプシュ合成反応器に戻して再利用され、
 前記ろ過装置によって前記スラリーから分離された磁性の弱い前記触媒は、系外に排出されるフィッシャー・トロプシュ触媒の選択的除去方法。
 請求項6に記載のフィッシャー・トロプシュ触媒の選択的除去方法であって、
 前記ろ過装置によって前記スラリーから分離された前記触媒の磁性が、前記フィッシャー・トロプシュ合成反応器の出口における前記スラリー中の前記触媒の磁性よりも弱いフィッシャー・トロプシュ触媒の選択的除去方法。
 フィッシャー・トロプシュ触媒のリサイクル方法であって、
 フィッシャー・トロプシュ合成反応により得られるフィッシャー・トロプシュ合成粗油と磁性を有するフィッシャー・トロプシュ触媒とを含むスラリーを、フィッシャー・トロプシュ合成反応器から抜き出す工程と、
 前記スラリーから、磁性の強い触媒を、第一の高勾配磁気分離器を使用して分離する工程と、
 前記磁性の強い触媒が分離された前記スラリーから、前記第一の高勾配磁気分離器によっては分離されなかった触媒を、第二の高勾配磁気分離器を使用して分離する工程とを備え、
 前記第一の高勾配磁気分離器によって前記スラリーから分離された前記磁性の強い触媒は、前記フィッシャー・トロプシュ合成反応器に戻して再利用され、
 前記第二の高勾配磁気分離器によって前記スラリーから分離された前記触媒は、系外に排出されるフィッシャー・トロプシュ触媒のリサイクル方法。
 請求項8に記載のフィッシャー・トロプシュ触媒のリサイクル方法であって、
 前記第一の高勾配磁気分離器によって前記スラリーから分離された前記触媒の磁性が、前記フィッシャー・トロプシュ合成反応器の出口における前記スラリー中の前記触媒の磁性よりも強いフィッシャー・トロプシュ触媒のリサイクル方法。
Description:
フィッシャー・トロプシュ合成 油からの触媒の選択的除去方法、および除 された触媒のリサイクル方法

 本発明は、フィッシャー・トロプシュ合成 油中の微粉化した触媒、および活性の低下 た触媒を選択的に除去する方法、およびフ ッシャー・トロプシュ合成粗油中の活性の い触媒をリサイクルする方法に関する。
 本願は、2008年3月14日に出願された特願2008-6 5773号、特願2008-65778号、および特願2008-65780号 について優先権を主張し、その内容をここに 援用する。

 近年、環境負荷低減の観点から、硫黄分及 芳香族炭化水素の含有量が低く、環境にや しいクリーンな液体燃料が求められている そこで、石油業界においては、クリーン燃 の製造方法として、一酸化炭素と水素とを 料とするフィッシャー・トロプシュ合成法( 以下、「FT合成法」と略す。)が検討されてい る。FT合成法によれば、パラフィン含有量に み、かつ硫黄分を含まない液体燃料基材、 えばディーゼル燃料基材を製造することが きるので、その期待は非常に大きい。例え 環境対応燃料油は、下記の特許文献1にも提 案されている。

特開2004-323626号公報

 従来、一酸化炭素と水素とを原料とするFT 成法の触媒は、鉄系の固体触媒が多かった 、近年は高活性なことからコバルト系の固 触媒も開発されている。ここで、FT合成法の 反応形態は、固体触媒が生成物の炭化水素中 に懸濁するスラリーの態様であることが多い 。したがって、触媒を含まないFT合成粗油を ることの他にも、プロセスのコストを低減 るために、スラリー中の触媒を回収し、再 用する必要がある。
 そして、FT合成反応によって得られるFT合成 粗油中には、相当量の残留触媒が含まれる。 得られたFT合成粗油は、蒸留及び水素化処理 の精製処理を施されて燃料油等の製品にな が、残留触媒が、後の処理工程、たとえば 製処理に影響するため、FT合成粗油から残 触媒を十分に除去する必要がある。

 FT合成反応器からは触媒の懸濁したスラリ が得られるので、触媒を含まないFT合成粗油 を回収する一方、触媒を回収して再使用する ことが好ましい。
 しかし、触媒は、FT合成反応器の内部で衝 、粉砕等を繰り返し、微粉粒子となること ら、FT合成反応器内部のスラリーの流動状態 が変化することがある。
 そのため、微粉化した触媒粒子は、FT合成 応器内の流動性を維持するためにも、FT合成 粗油中に残留する触媒を低減させるためにも 、選択的、かつ積極的にこれらを除去する必 要がある。

 加えて、触媒は、FT合成反応器の内部で含 素化合物によって酸化されることがある。 た、FT合成反応により触媒上にコーク析出が 起こることがある。いずれにしても触媒の活 性が低下し、それによって触媒の効率が低下 する。
 したがって、触媒を回収して再使用すると ても、活性の低下した触媒は廃棄し、活性 高い触媒のみを回収して再使用することが ましい。

 本発明は上記の事情に鑑みてなされたも であり、反応活性が低下した触媒は磁性が いため、磁性の大小を基準にすれば触媒を 効に選別できることを利用して、FT合成粗 中の微粉化した触媒、および活性の低下し 触媒を選択的に除去する方法、およびFT合成 粗油中の活性の高い触媒をリサイクルする方 法を提供することを目的とする。

 本発明のフィッシャー・トロプシュ合成粗 からの触媒の選択的除去方法の第一態様は フィッシャー・トロプシュ合成反応により られるフィッシャー・トロプシュ合成粗油 磁性を有するフィッシャー・トロプシュ触 とを含むスラリーを、フィッシャー・トロ シュ合成反応器から抜き出す工程と、前記 ラリーから、所定の径以上の触媒を、第一 固液分離装置を使用して分離する工程と、 記所定の径以上の触媒を分離された前記ス リーから、前記第一の固液分離装置によっ は分離されなかった触媒を、第二の固液分 装置を使用して分離する工程とを備える。
 前記第一の固液分離装置によって前記スラ ーから分離された前記触媒は、前記フィッ ャー・トロプシュ合成反応器に戻して再利 され、前記第二の固液分離装置によって前 スラリーから分離された前記触媒は、系外 排出される。前記系外に排出される前記触 の平均粒径は、前記フィッシャー・トロプ ュ合成反応器の出口における前記スラリー の前記触媒の平均粒径よりも小さい。

 本発明のフィッシャー・トロプシュ触媒 選択的除去方法の第一態様において、前記 一の固液分離装置が高勾配磁気分離器であ 、前記第二の固液分離装置は、前記高勾配 気分離器以外から選択されてもよい。もし は、前記第二の固液分離装置が前記高勾配 気分離器であり、前記第一の固液分離装置 、前記高勾配磁気分離器以外から選択され もよい。

 本発明のフィッシャー・トロプシュ触媒 選択的除去方法の第一態様において、前記 勾配磁気分離器は、同分離器の内部を洗浄 るための洗浄液導入経路と、前記洗浄液を 記分離器から排出する洗浄液排出経路とを していてもよい。前記分離器内部で捕捉さ た磁性粒子は、間欠的に洗浄される。

 本発明のフィッシャー・トロプシュ触媒 選択的除去方法の第一態様において、前記 勾配磁気分離器以外から選択される固液分 装置が、ろ過分離器、重力沈降分離器、サ クロン、遠心分離器の少なくともいずれか とつであってもよい。

 本発明のフィッシャー・トロプシュ合成粗 からの触媒の選択的除去方法の第二態様は フィッシャー・トロプシュ合成反応により られるフィッシャー・トロプシュ合成粗油 磁性を有するフィッシャー・トロプシュ触 とを含むスラリーを、フィッシャー・トロ シュ合成反応器から抜き出す工程と、前記 ラリーから、磁性の強い触媒を、第一の高 配磁気分離器を使用して分離する工程と、 記触媒を分離された前記スラリーから、前 第一の高勾配磁気分離器によっては分離さ なかった磁性の弱い触媒を、ろ過装置を使 して分離する工程とを備える。
 前記第一の高勾配磁気分離器によって前記 ラリーから分離された前記磁性の強い触媒 、前記フィッシャー・トロプシュ合成反応 に戻して再利用される。前記ろ過装置によ て前記スラリーから分離された磁性の弱い 記触媒は、系外に排出される。

  本発明のフィッシャー・トロプシュ触 の選択的除去方法の第二態様においては、 記ろ過装置によって前記スラリーから分離 れた前記触媒の磁性が、前記フィッシャー トロプシュ合成反応器の出口における前記 ラリー中の前記触媒の磁性よりも弱くても い。

 本発明のフィッシャー・トロプシュ触媒の サイクル方法は、フィッシャー・トロプシ 合成反応により得られるフィッシャー・ト プシュ合成粗油と磁性を有するフィッシャ ・トロプシュ触媒とを含むスラリーを、フ ッシャー・トロプシュ合成反応器から抜き す工程と、前記スラリーから、磁性の強い 媒を、第一の高勾配磁気分離器を使用して 離する工程と、前記磁性の強い触媒が分離 れた前記スラリーから、前記第一の高勾配 気分離器によっては分離されなかった触媒 、第二の高勾配磁気分離器を使用して分離 る工程とを備える。
 前記第一の高勾配磁気分離器によって前記 ラリーから分離された前記磁性の強い触媒 、前記フィッシャー・トロプシュ合成反応 に戻して再利用される。前記第二の高勾配 気分離器によって前記スラリーから分離さ た前記触媒は、系外に排出される。

 本発明のフィッシャー・トロプシュ触媒 リサイクル方法において、前記第一の高勾 磁気分離器によって前記スラリーから分離 れた前記触媒の磁性が、前記フィッシャー トロプシュ合成反応器の出口における前記 ラリー中の前記触媒の磁性よりも強くても い。

 本発明のフィッシャー・トロプシュ合成 油からの触媒の選択的除去方法の第一態様 よれば、FT反応器から排出されるスラリー 処理に複数段の分離工程が設けられており 初めの処理段では、スラリーから有効な粒 の触媒を回収し、FT反応器に戻して再使用す る。後段では、微粉化した触媒を除去するこ とにより、触媒残渣の低減されたFT合成粗油 回収される。また、磁気分離工程を併用す ことにより、微細な微粒子が含有され易いF T合成粗油から微粉化触媒を効率よく回収す ことができる。

 本発明のフィッシャー・トロプシュ合成粗 からの触媒の選択的除去方法の第二態様に れば、フィッシャー・トロプシュ合成粗油 ら反応活性の低い触媒粒子を選択的に分離 除去し、残りをリサイクルするので、FT合 プロセスの効率を向上させることができる
 そして、第一の高勾配磁気分離器を使用し 分離する工程では、磁性が大きく、高活性 残留触媒の大部分がフィッシャー・トロプ ュ合成粗油から分離、除去されており、残 はほとんど低活性な触媒なので、ろ過装置 使用して分離する工程では、残留触媒を廃 することができる。

 本発明のフィッシャー・トロプシュ触媒 リサイクル方法によれば、残留触媒の少な FT反応合成粗油を取得すると共に、磁性が きく高活性な残留触媒を選択的に再使用す ことができる。

図1は、本発明の実施形態を説明するた めの燃料製造プラントを示す模式図である。 図2は、本発明に使用される高勾配磁気 分離器を示す模式図である。

符号の説明

10…FT合成反応器
20、30…分離器
40…精留塔

(第一の実施形態)
 本発明の第一の実施形態を図1および図2を 照して説明する。
 図1に示すように、一酸化炭素ガスと水素ガ スを含む合成ガスを、合成ガス供給管として のライン1を通じてFT合成反応器10に供給し、F T合成反応器10におけるFT合成反応により液体 化水素が生成される。合成ガスは、たとえ 適宜に炭化水素の改質等により得ることが きる。代表的な炭化水素としては、メタン 天然ガス、LNG(液化天然ガス)等を挙げる事 できる。改質方法としては、酸素を用いた 分酸化改質法(POX)、部分酸化改質法と水蒸気 改質法の組合せである自己熱改質法(ATR)、炭 ガス改質法などを利用することもできる。

 次に図1を参照して、FT合成工程について説 する。
 FT合成反応システムは、FT合成反応器10を備 る。反応器10は、合成ガスを合成して液体 化水素とする反応器の一例であり、FT合成反 応により合成ガスから液体炭化水素を合成す るFT合成用反応器として機能する。反応器10 、たとえば気泡塔型反応器とすることがで る。

 反応器10本体は、略円筒型の金属製の容器 あって、その直径は1~20m程度、好ましくは2~1 0m程度である。反応器本体の高さは10~50m程度 好ましくは15~45m程度である。反応器本体の 部には、液体炭化水素(FT合成反応の生成物) 中に固体の触媒粒子を懸濁させたスラリーが 収容される。
 反応器10に収容されたスラリーの一部は、 応器10の胴部から、スラリー配送管としての ライン3を通じて分離器20に導入される。未反 応の合成ガス等は、反応器10の塔頂から合成 ス排出管としてのライン2を通じて排出され 、一部はライン1を通じて反応器10に戻される 。

 ライン1を通じて反応器10に供給された合成 スは、合成ガス供給口(図示せず)から、反 器10内部のスラリー中に噴射される。合成ガ スと触媒粒子とが接触する接触反応により、 液体炭化水素の合成反応(FT合成反応)が行わ る。具体的には、下記化学反応式(1)に示す うに水素ガスと一酸化炭素ガスとが合成反 を起こす。

 具体的には、合成ガスが、反応器10の底部 導入され、反応器10内に貯留されたスラリー 内を上昇する。この際、反応器10内では、上 したFT合成反応により、合成ガスに含まれ 一酸化炭素と水素ガスとが反応して、炭化 素が生成される。この合成反応時には発熱 起こるので、適宜の冷却手段で除熱する。
 金属触媒には担持型や沈積型等があるが、 ずれにしろ、鉄族金属を含む固体の磁性粒 である。固体粒子中に金属は適宜の量が含 れるが、固体粒子は100%金属でも良い。鉄族 金属としては鉄が例示されるほか、活性の高 いコバルトが好ましい。

 上記FT合成反応器10に供給される合成ガスの 組成比は、FT合成反応に適した組成比(例えば 、H 2 :CO=2:1(モル比))に調整されている。なお、反 器10に供給される合成ガスは、適宜の圧縮機 (図示せず)により、FT合成反応に適切な圧力( えば3.6MPaG)まで昇圧される。ただし、場合 よっては上記圧縮機を設ける必要はない。

 上記のようにして反応器10で合成された 体炭化水素は、触媒粒子が懸濁されたスラ ーとして、反応器10の胴部に接続されたライ ン3を通じて反応器10から取り出され、触媒の 分離、回収工程に供給される。

 本実施形態の触媒分離、回収工程では、図1 に示すように、二基の分離器20、30が直列に 列されている。
 分離器20による第一の固液分離工程では、 ラリー中から所定の径以上の触媒を分離、 収する。回収された触媒は、ライン21を通じ て反応器10に循環され、再使用される。
 前記所定の径は適宜に設定することができ 。たとえば、反応初期の触媒粒径(仕込み径 )を設定してもよいし、経時的に減少する粒 径の適当な時期の径を適宜に設定してもよ 。つまり、分離、回収すべき触媒の径は、 応系に戻して再利用する観点から適宜に設 される。

 分離器20によって分離、回収される触媒は 粒径が大きく、反応器10で再使用可能なもの であるから、ライン21を通じて反応系に戻し 再使用する。
 粒径の大な粒子が分離除去された残りのス リーは、ライン22を通じて次の分離器30に導 入される。

 前記第一の固液分離工程において、再使 可能な触媒は分離回収されるので、スラリ 中に残留した触媒は粒径の小さな不要な触 である。この残留触媒は、分離器30による 二の固液分離工程において除去する。具体 には、分離器30から排出される触媒の平均粒 径が、反応器10の出口におけるスラリー中の 媒の平均粒径よりも小さい触媒を分離する 分離された触媒は、ライン31を通じて系外 排出される。得られたFT合成粗油は、ライン 32を通じて回収することができる。

 分離器30によって分離、回収される触媒は 微粉化しているので反応系外に排出し、再 用せずに廃棄処分とする。
 分離器20、30のいずれかを磁気分離器とする ことができるが、以下では、分離器20を磁気 離器とする場合について説明する。

 以下、高勾配磁気分離器20による第一の 液分離工程を説明する。この工程は、抜き されたFT合成粗油中に含まれる磁性粒子を、 高勾配磁気分離器20によりFT合成粗油から分 除去するものである。

 すなわち、FT合成粗油を高勾配磁気分離 20によって磁気処理し、磁性を帯びた触媒粒 子を分離除去する。FT合成用触媒としての鉄 金属の態様は、鉄にしろコバルトにしろ、 定の磁化率を有し、常磁性を示すこともわ っているので、磁気分離による除去が相当 度有効である。

 本実施形態で用いる高勾配磁気分離器20 おいては、外部の電磁コイルにより発生さ る均一な高磁場空間内に強磁性の充填物が 置され、充填物の周囲に生じる通常1000~20000 ウス/cmの高い磁場勾配によって充填物の表 に強磁性あるいは常磁性を有する粒子を付 させることにより、触媒粒子等の固形の磁 粒子が、液体炭化水素を含む液体分から分 される。充填物は洗浄され、付着した粒子 除去される。高勾配磁気分離器20としては たとえば、登録商標”FEROSEP”として知られ 市販機等を使用することができる。

 上記強磁性充填物としては、通常1~1000μm 径をもつスチールウールあるいはスチール ットのような強磁性細線の集合体、エキス ンドメタル、貝殻状金属細片が用いられる 金属としては耐食、耐熱性、強度に優れる テンレススチールが好ましい。

 その他、特開平7-70568号公報に提案されて いる強磁性金属片も好ましく利用できる。す なわち、その強磁性金属片は、二つの面を有 する板状体であって、その二つの面のうち大 きな方の面の面積が、直径R=0.5~4.0mmの円の面 と等しく、かつその板状体の最大厚さdに対 するRの比、つまりR/dが5~20の範囲にあり、し もその板状体がFeを主成分とし、Crを5~25wt% Siを0.5~2wt%、Cを2wt%以下の量で含有するFe-Cr系 合金からなる。

 高勾配磁気分離器20によってスラリー中の 性微粒子を分離する工程では、該スラリー 高勾配磁気分離器20の磁場空間内に導入し、 磁場空間内に置かれた強磁性充填物に磁性粒 子を付着させることにより、磁性粒子をスラ リーから除去する。
 次に、充填物に付着した磁性粒子を洗浄除 する工程では、磁性粒子が付着した強磁性 填物を洗浄し、磁性粒子を洗浄液によって 填物から除去する。表面積が一定の充填物 捕捉できる磁性粒子の量には限界がある。 こで、磁性粒子の捕捉量が一定量又は限界 に達したならば、磁場を断って磁性粒子を 填物から脱離させたうえで、充填物を洗浄 によって洗浄し、磁性粒子を洗浄液ととも 磁気分離器外に排出する。スラリー中に含 される磁性粒子の磁気分離条件、ならびに 填物に付着した磁性粒子の洗浄除去条件を 下に述べる。

 高勾配磁気分離器20の分離条件としては、 場強度は2000ガウス以上が好ましく、3000ガウ ス以上がさらに好ましい。分離器内の液温度 (処理温度)は100℃以上400℃以下が好ましく、1 00℃以上300℃以下がさらに好ましく、100℃以 200℃以下が特に好ましい。液滞留時間(滞留 時間)は、15秒以上が好ましく、20秒以上がさ に好ましい。
 なお、本発明において「液滞留時間」とは 磁場を印加する充填槽の体積を、充填槽に 入される液(すなわち磁性粒子を含むFT合成 油)の流入量で除することで得られる時間を 意味し、以下のような式で表される。

 次に、磁性粒子の磁気分離操作を継続す と、充填物に捕捉された磁性粒子の量の増 につれて、充填物による磁性粒子の除去率 低下する。従って除去率を維持するために 、磁気分離操作を一定時間継続した後、充 物に捕捉された磁性粒子を磁気分離器外に 出するための洗浄除去工程が必要となる。 業上の運転では、この洗浄除去工程中、磁 粒子を含む液体は磁気分離器をバイパスし もよい。しかしながら、洗浄に要する時間 長いと次工程への磁性粒子の流入量が多く り、除去率が低下するので、必要に応じて 替用の予備分離器を設けてもよい。

 洗浄除去工程に用いる洗浄液としては、 気分離処理されたFT合成粗油を洗浄液とし 利用することができる。

 洗浄除去工程では、充填物周囲の磁場を 失させ(磁気分離器用電磁コイルの通電を止 める)、上記洗浄液を分離器の塔底からライ 24を通じて分離器20に導入し、充填物に付着 ている磁性粒子を流し去る。洗浄液はライ 25を通じて系外へ排出される。洗浄条件と ては、洗浄液線速度が1~10cm/sec、好ましくは2 ~6cm/secである。

 以下に図2を参照して磁気分離工程を説明す る。
 図2は、高勾配磁気分離器20の模式簡略図で る。高勾配磁気分離器20の分離部は縦型充 塔をなし、該塔内に強磁性充填物が充填さ ている。充填物が充填されている充填槽26は 、塔の外部に設置された電磁コイル23により 生する磁力線により磁化されて高勾配の磁 分離部を形成する。この部分が、外部の電 コイル23により発生する均一な高磁場空間 ある。操作適温に加熱されたスラリーは、 イン3を通じて磁気分離器20の底部に導入さ 、塔内を所定の流速、好ましくは磁気分離 での滞留時間が15秒以上となる流速で下から 上に通過し、塔頂部からライン22を通じて排 される。スラリーが磁気分離部を通過する に、スラリーに含まれる磁性粒子が充填物 表面に付着する。

 FT合成粗油が磁気分離器20を通過中は、洗 浄液は洗浄油バイパスライン(図示せず)を通 て磁気分離器20をバイパスする。磁性粒子 付着した充填物の洗浄中は、洗浄液がライ 24を通じて磁気分離器20に導入される。スラ ーはスラリーバイパスライン(図示せず)を じて磁気分離器20をバイパスし、後段の固液 分離装置、たとえば分離器30に送液すること できる。このようにして除去運転、洗浄運 の切替、繰返し連続運転が可能となる。上 洗浄除去工程は、特開平6-200260号公報記載 方法を参考にして行なうことができる。

 次に、磁気分離器以外の分離器30を使用す 第二の固液分離工程を説明する。
 第一の固液分離工程において触媒粒子を分 された液体分は、ライン22を通じて分離器30 に導入される。分離器30で、第一の固液分離 程において分離された液体分からさらに触 を分離する。その平均粒径は、反応器10の 口におけるスラリー中の触媒の平均粒径よ も小さい。分離された触媒はライン31を通じ て系外へ排出され、触媒残渣の低減された清 浄なFT合成粗油は、ライン32を通じて分離器30 から抜き出され、次の工程、たとえば、精留 塔40に導入される。

 平均粒径の測定法は、特に限定されない たとえば、レーザ回折法、動的光散乱法、 準篩法を利用する粒度分布測定装置により 定される平均粒径(μm)を好ましく挙げるこ ができる。また、廃棄されるFT触媒の平均粒 径は、FT反応器10の出口におけるスラリー中 FT触媒の平均粒径よりも小さければ、特に限 定されない。FT反応器出口におけるスラリー のFT触媒の平均粒径を基準として5%以上小さ くなることが好ましく、10%以上小さくなるこ とがより好ましく、20%以上小さくなることが さらに好ましい。下限値も特に限定されない 。通常は、第二段目の固液分離工程における 分離能に依存する。

 後段の磁気分離器以外の分離手段を使用 る第二の固液分離工程では、前記分離手段 公知の技術を採用することができ、焼結金 フィルター等の適宜のフィルターを用いる 過器、重力沈降分離器、サイクロン、遠心 離器等から選択される。重力沈降分離器と ては、たとえば、液体分を満たし、その液 中の固体粒子を自然沈降させるべく一定時 放置する沈降槽(重力沈降分離器)を利用す ことができる。重力沈降分離器は、構造が 単であるので有利である。これらは、連続 、またはバッチ式のいずれも使用すること できる。本実施形態では、触媒粒子の分離 容易である、焼結金属フィルター等のフィ ター目開きを適宜選択したろ過器を用いる がより好ましい。

 上記では、第一段の分離器20として磁気 離器を採用し、第二段の分離器30には、磁気 分離器以外の分離手段を採用している。しか しながら、これに限らず、反対に第一段の分 離器20に磁気分離器以外の分離手段を採用し 第二段の分離器30に磁気分離器を採用して よい。

 分離器20、30により磁性粒子が分離されたFT 成粗油は、図1に示すように、ライン32を通 て精留塔40に導入されて精留され、水素化 理など各種の精製処理を施されて製品とな 。
 すなわち、二段階の固液分離工程を経て得 れたFT合成粗油は精留塔40に導入されて分留 される。そして、たとえばナフサ留分(沸点 約150℃未満)がライン41を通じて分留され、 間留分(沸点が約150~350℃)がライン42を通じて 分留され、ワックス留分(沸点が約350℃より )がライン43を通じて分留される。なお、図1 は三つの留分に分留されるが、二つの留分 分留されてもよいし、三つ以上の留分に分 されても良い。また、特に蒸留されずに次 精製工程に供することもできる。

(実施例1)
 天然ガスを改質して得られた一酸化炭素と 素ガスとを主成分として含む合成ガスを、 イン1を通じて気泡塔型炭化水素合成反応器 (FT合成反応器)10に導入し、FT触媒粒子(平均粒 径100μm、活性金属としてコバルトを30重量%担 持)を懸濁させたスラリー内で反応させて液 炭化水素を合成した。
 FT合成反応器10で合成された液体炭化水素は 、FT触媒粒子を含むスラリーとしてライン3を 通じて反応器10から取り出される。

 取り出されたスラリーを、FT合成反応器 後段に配置した第一の固液分離工程に設け れた電磁石型高勾配磁気分離器20(FEROSEP(登録 商標))に導き、表1に記載の処理条件のもとで 、比較的粒径の大きな粒子と、液体分(液体A) とに分離する。

 第一の固液分離工程において分離された触 粒子を、ライン21を通じて合成反応器10に戻 す。高勾配磁気分離器20では捕捉できない触 粒子を含む液体分(液体A)を、ライン22を通 て第二の固液分離工程に設けられた分離器30 (目開きが10μmの焼結金属フィルター)に導き さらに固形分である触媒粒子と液体分(液体B )とに分離する。
 なお、第一の固液分離工程で用いた高勾配 気分離器20は、内部洗浄をするための洗浄 導入ライン24と洗浄液を排出するためのライ ン25とを有し、FT合成粗油から分離された触 粒子を2時間おきに間欠的に洗浄して合成反 器10へと戻す。

 第二の固液分離工程において分離された 媒粒子を系外へ排出する。液体分(液体B)を 留塔40へと導き、ナフサ留分(沸点が約150℃ 満)がライン41を通じて分留され、中間留分( 沸点が約150~350℃)がライン42を通じて分留さ 、ワックス留分(沸点が約350℃より大)がライ ン43を通じて分留された。さらに、中間留分 水素化異性化装置(図示せず)で処理し、ワ クス留分を水素化分解装置(図示せず)で処理 した後、水素化異性化装置および水素化分解 装置からの流出物をライン内で混合して第2 精留塔(図示せず)に導入して分留し、ディー ゼル燃料基材とした。

 このとき、合成反応器10の出口におけるス リー中の触媒粒子の平均粒径は72.5μmであり 系外へ排出された触媒粒子の平均粒径は57μ mであった。
 なお、触媒粒子の平均粒径は、(株)島津製 所製レーザ回折式粒度分布測定装置 SALD-3100 を用いて測定した値である(以下同様)。

(実施例2)
 第一の固液分離工程の処理条件を表1に記載 の通りに変更した以外は、実施例1と同様の 理を行った。このとき、系外へ排出された 媒粒子の平均粒径は28μmであった。

(実施例3)
 第一の固液分離工程の処理条件を表1に記載 の通りに変更した以外は、実施例1と同様の 理を行った。このとき、系外へ排出された 媒粒子の平均粒径は39μmであった。

(実施例4)
 第一の固液分離工程の処理条件を表1に記載 の通りに変更した以外は、実施例1と同様の 理を行った。このとき、系外へ排出された 媒粒子の平均粒径は25μmであった。

(実施例5)
 天然ガスを改質して得られた一酸化炭素と 素ガスとを主成分として含む合成ガスを、 イン1を通じて気泡塔型炭化水素合成反応器 (FT合成反応器)10に導入し、FT触媒粒子(平均粒 径100μm、活性金属としてコバルトを30重量%担 持)を懸濁させたスラリー内で反応させて液 炭化水素を合成した。
 FT合成反応器10で合成された液体炭化水素は 、FT触媒粒子を含むスラリーとしてライン3を 通じて反応器10から取り出される。

 取り出されたスラリーを、FT合成反応器10の 後段に配置した第一の固液分離工程に設けら れた分離器20(目開きが10μmの焼結金属フィル ー)に導き、比較的粒径の大きな粒子と、液 体分(液体A)とに分離する。
 第一の固液分離工程において分離された触 粒子を、ライン21を通じて合成反応器10に戻 し、焼結金属フィルターなどの分離器20では 捉できない触媒粒子を含む液体分(液体A)を 第二の固液分離工程に設けられた電磁石型 勾配磁気分離器30(FEROSEP(登録商標))に導き、 さらに固形分である触媒粒子と液体分(液体B) とに分離する。

 なお、第二の固液分離工程で用いた高勾配 気分離器30は、内部洗浄をするための洗浄 導入ライン24と洗浄液を排出するためのライ ン25とを有し、捕捉した触媒粒子を2時間おき に間欠的に洗浄して系外へ排出する。
 液体分(液体B)を精留塔40へと導き、ナフサ 分(沸点が約150℃未満)がライン41を通じて分 され、中間留分(沸点が約150~350℃)がライン4 2を通じて分留され、ワックス留分(沸点が約3 50℃より大)がライン43を通じて分留された。 らに、中間留分を水素化異性化装置(図示せ ず)で処理し、ワックス留分を水素化分解装 (図示せず)で処理した後、水素化異性化装置 および水素化分解装置からの流出物をライン 内で混合して第2の精留塔(図示せず)に導入し て分留し、ディーゼル燃料基材とした。
 このとき、合成反応器10の出口におけるス リー中の触媒粒子の平均粒径は72.5μmであり 系外へ排出された触媒粒子の平均粒径は25μ mであった。

(比較例1)
 天然ガスを改質して得られた一酸化炭素と 素ガスとを主成分として含む合成ガスを、 イン1を通じて気泡塔型炭化水素合成反応器 (FT合成反応器)10に導入し、FT触媒粒子(平均粒 径100μm、活性金属としてコバルトを30重量%担 持)を懸濁させたスラリー内で反応させて液 炭化水素を合成した。
 FT合成反応器10で合成された液体炭化水素は 、FT触媒粒子を含むスラリーとしてライン3を 通じて反応器10から取り出される。
 取り出されたスラリーを、FT合成反応器の 段に配置した固液分離工程に設けられた分 器20(目開きが10μmの焼結金属フィルター)に き、触媒粒子と液体分とに分離する。ここ 、固液分離器20は単段であって、磁気分離器 30は設けていない。

 単段の分離器20によって分離された触媒 子を系外へ排出する。液体分を精留塔40へと 導き、ナフサ留分(沸点が約150℃未満)がライ 41を通じて分留され、中間留分(沸点が約150~ 350℃)がライン42を通じて分留され、ワックス 留分(沸点が約350℃より大)がライン43を通じ 分留された。このとき、系外へ排出された 媒粒子の平均粒径は72.5μmであった。

(結果)
 FT合成反応器の後段に、第一の固液分離工 として電磁石型高勾配磁気分離器20を、第二 の固液分離工程として金属フィルターなどの 分離器30を配した場合(実施例1~4)、および第 の固液分離工程として金属フィルターなど 分離器20を、第二の固液分離工程として電磁 石型高勾配磁気分離器30を配した場合、系外 排出された触媒の平均粒径(重量基準)は、 ずれの場合でも上記比較例1より小さな値を した。つまり、粒径が小さくなった触媒粒 が、スラリー中から選択的に除去できるこ が分かる。

(第二の実施形態)
 本発明の第二の実施形態を図1および図2を 照して説明する。
 本実施形態の触媒分離、回収工程では、図1 に示すように、二基の分離器20、30が直列に 列されている。第一の固液分離工程では、 離器20として高勾配磁気分離器を使用し、第 二の固液分離工程では、分離器30としてろ過 を使用する。

 すなわち、高勾配磁気分離器20では、磁 の強い触媒粒子を分離する。磁性の強い触 粒子は、依然として反応活性の高い粒子な で、ライン21を通じて反応器10に戻して再使 する。反応器10に戻すべき粒子の磁性は、 め任意に設定することができる。例えば、 勾配磁気分離器20に導入される前のスラリー を反応器10から抜き出して、そのスラリー中 触媒粒子よりも磁性の高い粒子を捕捉、分 し、リサイクルするようにすれば良い。

 磁性の強い粒子が分離除去されたスラリ は、ろ過器30による第二の固液分離工程に イン22を通じて供給される。

 高勾配磁気分離器20による第一の固液分離 程については、上記第一の実施形態におい 既に説明したので、その説明は省略する。 だし、本実施形態における高勾配磁気分離 20の分離条件としては、磁場強度は15000ガウ 以上が好ましく、30000ガウス以上がさらに ましい。分離器内の液温度(処理温度)は100℃ 以上400℃以下が好ましく、100℃以上300℃以下 がさらに好ましく、100℃以上200℃以下が特に 好ましい。液滞留時間は、15秒以上が好まし 、50秒以上がさらに好ましい。
 本実施形態では、高勾配磁気分離器20は、 記分離条件を適宜に設定することにより磁 による粒子の分離が可能である。

 次に、焼結金属フィルター等の適宜のフィ ターを用いるろ過器30を使用する第二の固 分離工程を説明する。
 第二の固液分離工程において触媒粒子を分 された液体分は、ライン22を通じてろ過器30 に導入される。第二の固液分離工程では、ろ 過器30に公知の技術を採用することができ、 記のろ過器以外にも、重力沈降分離器、サ クロン、遠心分離器等から選択される。重 沈降分離器としては、たとえば、液体分を たし、その液体中の固体粒子を自然沈降さ るべく一定時間放置する沈降槽(重力沈降分 離器)を利用することができる。重力沈降分 器は構造が簡単であるので有利である。こ らは、連続式、またはバッチ式のいずれも 用することができる。

 第一の固液分離工程において、磁性の強い 活性の粒子はすでに捕捉されており、第二 固液分離工程におけるろ過器30には、磁性 弱い粒子、つまり低活性の触媒が導入され ので、ろ過器には可能な限り目開きの細か ものを使用する。そして、分離した触媒は サイクルすることなく系外へ排出し、好ま くは廃棄する。すなわち、第二の固液分離 程において系外へ排出される触媒粒子は、 の磁性が反応器10の出口におけるスラリー中 のFT触媒の磁性よりも小さい。従って、この うな触媒粒子はライン31を通じて系外へ排 される。
 磁性の測定法については特に限定は無いが たとえばSQUID(超伝導量子干渉素子)等で測定 される磁化率(emu/g)を好ましく挙げることが きる。また、廃棄される触媒粒子の磁性は 反応器10の出口におけるスラリー中のFT触媒 磁性よりも小さければ、特に限定されるも ではない。磁化率に関して検討した場合、 棄される触媒粒子の磁性は、反応器10の出 におけるスラリー中のFT触媒の磁化率の98%以 下、好ましくは97%以下である。
 上記のように常法のろ過操作により、触媒 渣の低減された清浄なFT合成粗油が得られ ので、磁性が小さく活性の低いFT触媒を選択 的に除去することができる。

 分離器20、30により磁性粒子が分離された FT合成粗油は、図1に示すように、ライン32を じて精留塔40に導入されて精留され、水素 処理など各種の精製処理を施されて製品と る。

(実施例6)
 天然ガスを改質して得られた一酸化炭素と 素ガスとを主成分として含む合成ガスを、 イン1を通じて気泡塔型炭化水素合成反応器 (FT合成反応器)10に導入し、FT触媒粒子(平均粒 径100μm、活性金属としてコバルトを30重量%担 持)を懸濁させたスラリー内で反応させて液 炭化水素を合成した。
 FT合成反応器10で合成された液体炭化水素は 、FT触媒粒子を含むスラリーとしてライン3を 通じて反応器10から取り出される。

 取り出されたスラリーを、FT合成反応器10 の後段に配置した第一の固液分離工程に設け られた電磁石型高勾配磁気分離器20(FEROSEP(登 商標))に導き、表2に記載の処理条件のもと 、触媒粒子の一部と、液体分(液体A)とに分 する。

 第一の固液分離工程において分離された触 粒子を、ライン21を通じて合成反応器10に戻 す。そして、高勾配磁気分離器20では捕捉で ない触媒粒子を含む液体分(液体A)を、ライ 22を通じて第二の固液分離工程に設けられ ろ過器30(目開きが10μmの焼結金属フィルター )に導き、さらに固形分である触媒粒子と液 分(液体B)とに分離する。
 第二の固液分離工程において分離された触 粒子を系外へ排出する。そして、液体分(液 体B)を精留塔40へと導き、ナフサ留分(沸点が 150℃未満)がライン41を通じて分留され、中 留分(沸点が約150~350℃)がライン42を通じて 留され、ワックス留分(沸点が約350℃より大) がライン43を通じて分留された。さらに、中 留分を水素化異性化装置(図示せず)で処理 、ワックス留分を水素化分解装置(図示せず) で処理した後、水素化異性化装置および水素 化分解装置からの流出物をライン内で混合し て第2の精留塔(図示せず)に導入して分留し、 ディーゼル燃料基材とした。

 このとき、合成反応器10の出口におけるス リー中の触媒粒子の磁化率は7.30emu/gであり 系外に排出し廃棄された触媒粒子の磁化率 7.13emu/gであった。
 なお、触媒粒子の磁化率は、SQUID(超伝導量 干渉素子)磁束計(カンタム・デザイン社製  MPMS-5)を用いて測定した値である(以下同様)。

(実施例7~9)
 高勾配磁気分離器20の処理条件を表2に記載 通りに変更した以外は、実施例6と同様の処 理を行った。各実施例において廃棄されたFT 媒粒子の平均磁化率を表2に記す。

(比較例2)
 スラリーからのFT触媒粒子の分離処理に、 勾配磁気分離器20を使用しないこと以外は、 実施例6と同様の処理を行った。比較例2にお て廃棄されたFT触媒粒子の磁化率を表2に記 。

(結果)
 高勾配磁気分離器20およびろ過器30による分 離工程を経て、系外へ排出されたFT触媒粒子 、反応器10の出口におけるスラリー中のFT触 媒粒子よりも磁性が低く、活性が低下してい ることが分かる。一方、ろ過器30のみでFT触 粒子を除去して廃棄した場合は、比較的磁 の強い触媒も廃棄されている。

(第三の実施形態)
 本発明の第三の実施形態を図1および図2を 照して説明する。
 本実施形態の触媒分離、回収工程では、図1 に示すように、二基の分離器20、30が直列に 列されている。本実施形態では、分離器20、 30として高勾配磁気分離器を使用する。第1の 高勾配磁気分離器20、および第2の高勾配磁気 分離器30においては、各分離器によって分離 回収する触媒の磁性が異なるように、双方 操作条件等を異ならせる。

 すなわち、第1の高勾配磁気分離器20では、 性の強い触媒粒子を分離する。磁性の強い 媒粒子は、依然として反応活性の高い粒子 ので、ライン21を通じて反応器10に戻して再 使用する。反応器10に戻すべき粒子の磁性は 分離する磁性の程度は、予め任意に設定す ことができる。例えば、高勾配磁気分離器2 0によってスラリー中から取り除かれ、反応 10に戻される触媒粒子の磁性を、反応器10の 口におけるスラリー中のFT触媒の磁性より 大きくすることができる。これにより、磁 が強く、反応活性が高いFT触媒のみを選択的 にFT反応器へリサイクルすることが可能とな 。
 磁性の測定法については特に限定は無いが たとえばSQUID(超伝導量子干渉素子)等で測定 される磁化率(emu/g)を好ましく挙げることが きる。また、FT反応器に戻すFT触媒の磁性は 反応器10の出口におけるスラリー中のFT触媒 の磁性よりも大きければ、特に限定されるも のではない。磁化率に関して検討した場合、 反応器10の出口におけるスラリー中のFT触媒 磁化率を基準として0.5%以上、1.0%以上大きい ことが好ましい。

 初めの高勾配磁気分離器20による処理から 離、回収される触媒は、上記のように活性 依然として高いので、これはライン21により 反応器10に戻して再使用する。
 磁性の強い粒子を分離除去されたスラリー 、第2の高勾配磁気分離器30による第二の固 体分離工程にライン22を通じて供給される

 高勾配磁気分離器30によってスラリーか 分離、回収される触媒は、磁性が弱く活性 低下しているので、ライン31を通じて系外へ 排出される。

 高勾配磁気分離器20による第一の固液分離 程については、上記第一の実施形態におい 既に説明したので、その説明は省略する。 だし、本実施形態における高勾配磁気分離 20の分離条件としては、磁場強度は5000ガウ 以上が好ましく、15000ガウス以上がさらに好 ましい。分離器内の液温度(処理温度)は100℃ 上400℃以下が好ましく、100℃以上300℃以下 さらに好ましく、100℃以上200℃以下が特に ましい。液滞留時間は、10秒以上が好まし 、50秒以上がさらに好ましい。
 本実施形態では、高勾配磁気分離器20は、 記の分離条件を適宜に設定することにより 磁性による粒子の分離が可能である。例え 、高勾配磁気分離器20によりスラリー中から 取り除かれ、FT反応器に戻されるFT触媒の磁 を、反応器10の出口におけるスラリー中のFT 媒の磁性よりも大きくすることが可能であ 。

 次に、高勾配磁気分離器30を用いる第二の 液分離工程を説明する。なお、高勾配磁気 離器30の構造および操作は、高勾配磁気分離 器20と同じである。ただし、高勾配磁気分離 30は、磁性の弱い粒子を磁気分離する。上 のように、磁性の強い触媒粒子は高勾配磁 分離器20によって既に分離、除去されている ので、高勾配磁気分離器30に導入されるFT合 粗油中に残留する触媒は、磁性が弱く活性 低い。高勾配磁気分離器30は、このような磁 性が弱く低活性の触媒粒子を可能な限り分離 し、系外へ排出することが求められる。
 高勾配磁気分離器30の分離条件としては、 場強度は15000ガウス以上が好ましく、20000ガ ス以上がさらに好ましい。分離器内の液温 (処理温度)は100℃以上400℃以下が好ましく 100℃以上300℃以下がさらに好ましく、100℃ 上200℃以下が特に好ましい。液滞留時間は 50秒以上が好ましい。
 高勾配磁気分離器30によって分離、除去さ た触媒粒子は磁性が弱く活性が低い。従っ 、このような触媒粒子は反応器10にリサイク ルされることなく、ライン31を通じて系外へ 出され、好ましくは廃棄される。
 磁性粒子が分離されたFT合成粗油は、ライ 32を通じて精留塔40に導入される。
 なお、第二の磁気分離工程における高勾配 気分離器30では、適宜に操作条件を調節す ことにより、その多くの残渣触媒を除去す ことが可能である。これにより、残留触媒 除去されたFT合成粗油を取得することができ る。

 分離器20、30により磁性粒子が分離された FT合成粗油は、図1に示すように、ライン32を じて精留塔40に導入されて精留され、水素 処理など各種の精製処理を施されて製品と る。

(実施例10)
 天然ガスを改質して得られた一酸化炭素と 素ガスとを主成分として含む合成ガスを、 イン1を通じて気泡塔型炭化水素合成反応器 (FT合成反応器)10に導入し、FT触媒粒子(平均粒 径100μm、活性金属としてコバルトを30重量%担 持)を懸濁させたスラリー内で反応させて液 炭化水素を合成した。
 FT合成反応器10で合成された液体炭化水素は 、FT触媒粒子を含むスラリーとしてライン3を 通じて反応器10から取り出される。

 取り出されたスラリー(FT触媒濃度:100質量 ppm)を、合成反応器10の後段に配置した第一の 固液分離工程に設けられた第1の電磁石型高 配磁気分離器20(FEROSEP(登録商標))に導き、表3 に記載の処理条件のもとで、触媒粒子の一部 (反応器10の出口におけるスラリー中のFT触媒 子よりも磁性が強い)と、液体分(液体A)とに 分離する。

 第一の固液分離工程において分離された高 性の触媒粒子を、ライン21を通じて合成反 器10に戻す。そして、高勾配磁気分離器20で 捕捉できない触媒粒子を含む液体分(液体A) 、ライン22を通じて第二の固液分離工程に けられた第2の高勾配磁気分離器30に導き、 3に記載の処理条件のもとで、さらに固形分 あるFT触媒粒子と液体分(液体B)とに分離す 。
 第二の固液分離工程において分離された低 性の触媒粒子を、ライン31を通じて系外へ 出する。そして、液体分(液体B)を精留塔40へ と導き、ナフサ留分(沸点が約150℃未満)がラ ン41を通じて分留され、中間留分(沸点が約1 50~350℃)がライン42を通じて分留され、ワック ス留分(沸点が約350℃より大)がライン43を通 て分留された。さらに、中間留分を水素化 性化装置(図示せず)で処理し、ワックス留分 を水素化分解装置(図示せず)で処理した後、 イン内で混合して第2の精留塔(図示せず)に 入して分留し、ディーゼル燃料基材とした

 このとき、合成反応器10の出口におけるス リー中の触媒粒子の磁化率は7.30emu/gであり 高勾配磁気分離器20によって分離除去され、 ライン21を通じてFT反応器10にリサイクルされ たFT触媒粒子の磁化率は7.36emu/gであった。
 また、高勾配磁気分離器30の出口における 体Bの触媒濃度は9.6質量ppmであった。

 なお、触媒粒子の磁化率は、SQUID(超伝導量 干渉素子)磁束計(カンタム・デザイン社製  MPMS-5)を用いて測定した値である(以下同様)。
 また、液体Bの触媒濃度(質量ppm)は、(株)島 製作所製レーザ回折式粒度分布測定装置SALD- 3100の測定結果に基づき、処理油の重量を基 にして算出された値である(以下同様)。

(実施例11~14)
 第1の高勾配磁気分離器20および第2の高勾配 磁気分離器30の処理条件を表3に記載の通りに 変更した以外は、実施例10と同様の処理を行 た。各実施例においてリサイクルされたFT 媒粒子の磁化率、および第2の高勾配磁気分 器30出口における触媒濃度を表3に記す。

(比較例3)
 スラリーからのFT触媒粒子の分離処理に、 1の高勾配磁気分離器20および第2の高勾配磁 分離器30の代わりに、目開きが10μmの焼結金 属フィルターを用いたこと以外は、実施例10 同様の処理を行った。リサイクルされたFT 媒粒子の磁化率、およびフィルター出口に ける処理油中の触媒濃度を表3に記す。なお フィルター出口における処理油中の触媒濃 を、表3中の第2の磁気分離器30の出口におけ る触媒濃度の欄に記載した。

(結果)
 比較例3のように、フィルターでFT触媒粒子 除去してリサイクルした場合は、磁性が弱 低活性の触媒もFT反応器に戻されているこ が分かる。一方、各実施例のように、第1の 勾配磁気分離器20によって分離され、反応 10に戻されたFT触媒粒子は、いずれも反応器1 0の出口におけるスラリー中のFT触媒粒子より も磁性が高く、触媒活性の高いことが分かる 。

 また、第2の高勾配磁気分離器30を導入し いずれの実施例においても、第2の磁気分離 器20の出口における液体B中のFT触媒濃度は10 量ppm未満に低減しており、フィルターのみ 用いた比較例3と同等、もしくはそれ以上の 粒子除去効果を持つことが分かる。

 本発明は、フィッシャー・トロプシュ合成 油中の微粉化した触媒、および活性の低下 た触媒を選択的に除去する方法、およびフ ッシャー・トロプシュ合成粗油中の活性の い触媒をリサイクルする方法に関する。
 本発明によれば、微細な微粒子の発生しや いFT合成粗油から微粉化触媒を効率よく回 することができる。さらに、磁性が強く高 性な残留触媒を選択的に再使用することが きる。