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Patent Searching and Data


Title:
MICROENCAPSULATED LATENT HARDENER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/028224
Kind Code:
A1
Abstract:
An aluminum chelate type latent hardener excellent in latency and thermal responsiveness. It comprises: a latent hardener comprising a porous resin obtained by subjecting a polyfunctional isocyanate compound to interfacial polymerization and an aluminum-chelating agent held in the resin; and an enzyme-treated gelatin film with which the latent hardener is covered. This microencapsulated latent hardener can be produced by dissolving an aluminum-chelating agent and a polyfunctional isocyanate compound in a volatile organic solvent, introducing the resultant solution into an aqueous phase containing gelatin, heating the mixture with stirring to conduct interfacial polymerization, and adding an enzyme to the resultant polymerization reaction mixture to treat the gelatin with the enzyme.

Inventors:
KAMIYA KAZUNOBU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/054927
Publication Date:
March 05, 2009
Filing Date:
March 18, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SONY CHEM & INF DEVICE CORP (JP)
KAMIYA KAZUNOBU (JP)
International Classes:
C08G59/40; C08K5/54; C08L63/00
Domestic Patent References:
WO2006075415A12006-07-20
Foreign References:
JP2008031325A2008-02-14
JP2006070051A2006-03-16
JP2006291053A2006-10-26
Attorney, Agent or Firm:
TAJIME & TAJIME (New-Well-Ikuta Bldg.26-28, Mita 1-chome, Tama-k, Kawasaki-shi Kanagawa 34, JP)
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Claims:
 多官能イソシアネート化合物を界面重合させて得た多孔性樹脂にアルミニウムキレート剤が保持されてなる潜在性硬化剤と、それを被覆する酵素処理ゼラチン膜とからなるマイクロカプセル型潜在性硬化剤。
 アルミニウムキレート剤が、配位子であるβ-ケトエノラート陰イオンがアルミニウムに配位した錯体化合物である請求項1記載のマイクロカプセル型潜在性硬化剤。
 アルミニウムキレート剤が、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)である請求項1記載のマイクロカプセル型潜在性硬化剤。
 酵素処理ゼラチン膜が、ポリビニルアルコールを含有する請求項1~3のいずれかに記載のマイクロカプセル型潜在性硬化剤。
 酵素処理ゼラチン膜の膜厚が、1~1000nmである請求項1~4のいずれかに記載のマイクロカプセル型潜在性硬化剤。
 酵素処理ゼラチン膜が、JISK6503-2001によるゼリー強度10~200のゼラチンを酵素処理したものから形成されている請求項1~5のいずれかに記載のマイクロカプセル型潜在性硬化剤。
 酵素処理ゼラチン膜が、重量平均分子量1000~110000のゼラチンの酵素処理したものから形成されている請求項1~6のいずれかに記載のマイクロカプセル型潜在性硬化剤。
 請求項1記載のマイクロカプセル型潜在性硬化剤の製造方法であって、アルミニウムキレート剤と多官能イソシアネート化合物とを揮発性有機溶剤に溶解させ、得られた溶液を、ゼラチンを含有する水相に投入し、加熱撹拌することにより界面重合を行い、得られた重合反応混合物に酵素を添加してゼラチンの酵素処理を行うことを特徴とする製造方法。
 該水相が、更にポリビニルアルコールを含有する請求項8記載の製造方法。
 揮発性有機溶剤が、低級アルキル酢酸エステルである請求項8又は9記載の製造方法。
 請求項1~7のいずれかに記載のマイクロカプセル型潜在性硬化剤とシランカップリング剤と熱硬化型樹脂とを含有することを特徴とする熱硬化型樹脂組成物。
 熱硬化型樹脂が熱硬化型エポキシ樹脂である請求項11記載の熱硬化型樹脂組成物。
 
 
Description:
マイクロカプセル型潜在性硬化

 本発明は、エポキシ樹脂等を主成分とす 熱硬化型樹脂組成物の硬化を、比較的低温 開始させることができるマイクロカプセル 潜在性硬化剤、その製造方法、それを含有 る良好な貯蔵安定性と低温速硬化性とを有 る熱硬化型樹脂組成物に関する。

 熱硬化型エポキシ樹脂組成物の潜在性硬 剤として、潜在性イミダゾール系硬化剤が く用いられているが、硬化反応を開始させ ためには180℃以上に加熱加圧する必要があ た。そこで、低温速硬化活性を示す潜在性 化剤として、エポキシ樹脂をカチオン重合 せることができるアルミニウムキレート剤 知られている(特許文献1)。更に、そのよう アルミニウムキレート剤を、多官能イソシ ネート化合物を乳化重合させて得た多孔性 脂に保持させることにより、潜在性が付与 れたアルミニウムキレート系潜在性硬化剤 提案されている(特許文献2)。

特開2002-363255号公報

特開2006-70051号公報

 しかしながら、特許文献2の実施例1に開 されたアルミニウムキレート系潜在性硬化 の場合、いわゆる示差熱分析(DSC測定)による と発熱開始温度が75℃、発熱ピーク温度が106 であり、発熱開始温度と発熱ピーク温度と 温度差が約30℃となり、潜在性硬化剤とし の潜在性を更に向上させるために、その温 差を更に狭めることが求められていた。ま 、DSC曲線における発熱ピーク付近のプロフ イルはシャープなものであったが、潜在性 化剤としての熱応答性を更に改善するため は、そのプロファイルをよりシャープなも にすることが求められていた。

 本発明の目的は、以上の従来の技術の課 を解決しようとするものであり、潜在性及 熱応答性に優れたアルミニウムキレート系 在性硬化剤、その製造方法及びその潜在性 化剤を含有する、良好な貯蔵安定性と低温 硬化性とを有する熱硬化型樹脂組成物を提 することである。

 本発明者は、多官能イソシアネート化合 を界面重合させて得た多孔性樹脂にアルミ ウムキレート剤が保持されてなる潜在性硬 剤について、その潜在性と熱応答性とを改 するために種々研究した結果、多官能イソ アネート化合物をゼラチンに反応させて得 れたゼラチン反応膜を酵素処理することに り、発熱ピーク温度をシフトさせずに発熱 始温度を高温側にシフトすることができ、 かもDSC曲線における発熱ピークのベースか の立ち上がりからベースへの復帰までの間 温度幅を小さくできると共にピーク強度を めることができることを見出し、本発明を 成させた。

 即ち、本発明は、多官能イソシアネート 合物を界面重合させて得た多孔性樹脂にア ミニウムキレート剤が保持されてなる潜在 硬化剤と、それを被覆する酵素処理ゼラチ 膜とからなるマイクロカプセル型潜在性硬 剤を提供する。

 また、本発明は、上述のマイクロカプセ 型潜在性硬化剤の製造方法であって、アル ニウムキレート剤と多官能イソシアネート 合物とを揮発性有機溶剤に溶解させ、得ら た溶液を、ゼラチンを含有する水相に投入 、加熱撹拌することにより界面重合を行い 得られた重合反応混合物に酵素を添加して ラチンの酵素処理を行うことを特徴とする 造方法を提供する。

 更に、本発明は、上述のマイクロカプセ 型潜在性硬化剤とシランカップリング剤と 硬化型樹脂とを含有することを特徴とする 硬化型樹脂組成物を提供する。

 本発明のマイクロカプセル型潜在性硬化 は、アルミニウムキレート剤が多官能イソ アネート化合物を界面重合させて得た多孔 樹脂に保持されているので、比較的低温で 時間の条件で熱硬化性エポキシ樹脂を硬化 せることが可能である。また、酵素処理ゼ チン膜でマイクロカプセル化されているの 、熱応答性が向上する。本発明の潜在性硬 剤の製造方法によれば、アルミニウムキレ ト剤と多官能イソシアネート化合物とを揮 性有機溶剤に溶解させ、得られた溶液を、 散剤を含有する水相に投入し、加熱撹拌す ことにより界面重合させているので、潜在 硬化剤の硬化条件を比較的容易にコントロ ル可能である。更に、本発明の熱硬化性樹 組成物は、前述の本発明のマイクロカプセ 型潜在性硬化剤とシランカップリング剤と 硬化型樹脂とを含有するので、低温速硬化 を示す。

図1Aはゼラチン膜で被覆されていない 在性硬化剤粒子の電子顕微鏡写真である。 図1Bは図1Aの潜在性硬化剤粒子の中心 近の拡大電子顕微鏡写真である。 図1Cは本発明のマイクロカプセル型潜 性硬化剤の電子顕微鏡写真である。 図1Dは酵素未処理ゼラチン膜で被覆さ たマイクロカプセル型潜在性硬化剤の電子 微鏡写真である。 図1Eは酵素処理ゼラチン膜で被覆され マイクロカプセル型潜在性硬化剤の電子顕 鏡写真である。 図1Fは実施例1fで得られたマイクロカ セル型潜在性硬化剤の粒度分布図である。 図2は実施例2及び比較例1で調整した熱 化型エポキシ樹脂組成物のDSC測定図である 図3は実施例2及び参考例1で調整した熱 化型エポキシ樹脂組成物のDSC測定図である 図4は実施例3及び実施例4で調整した熱 化型エポキシ樹脂組成物のDSC測定図である 図5は実施例3及び実施例5で調整した熱 化型エポキシ樹脂組成物のDSC測定図である 図6は実施例5の解砕処理したマイクロ プセル型潜在性硬化剤の電子顕微鏡写真で る。

符号の説明

1 潜在性硬化剤
2 多孔性樹脂マトリックス
3 孔
10 マイクロカプセル型潜在性硬化剤

 本発明のマイクロカプセル型潜在性硬化 は、アルミニウムキレート剤が、多官能イ シアネート化合物を界面重合させて得た多 性樹脂に保持されてなる潜在性硬化剤と、 れを被覆する酵素処理ゼラチン膜とから構 される。このマイクロカプセル型潜在性硬 剤は、低温速硬化性を実現可能なアルミニ ムキレート剤を使用しているので、この潜 性硬化剤を配合した熱硬化型樹脂組成物に 好な低温速硬化性を付与することができる また、アルミニウムキレート剤が界面重合 せて得た多孔性樹脂に保持されているので この潜在性硬化剤を熱硬化型樹脂組成物に 合しても(一液化した状態でも)、熱硬化型 脂組成物の貯蔵安定性を大きく向上させる とができる。更に、酵素処理ゼラチン膜で 覆されているので、熱応答性を向上させる とができる。

 本発明のマイクロカプセル型潜在性硬化 においては、アルミニウムキレート剤コア 周囲を多孔性樹脂のシェルで被覆した単純 構造のマイクロカプセルではなく、潜在性 化剤1の電子顕微鏡写真(図1A)とその中心付 の拡大電子顕微鏡写真(図1B)に示すように、 孔性樹脂マトリックス2中に存在する微細な 多数の孔3にアルミニウムキレート剤が保持 れ、その周囲を更に酵素処理ゼラチン膜で 覆されている構造となっている(図1Cの10:SEM 真20000倍)。また、酵素処理によりゼラチン には表面凹凸ができる。

 ここで、本発明のマイクロカプセル型潜 性硬化剤10は、界面重合法を利用して製造 れるため、その形状はほぼ球状であり、そ 粒子径は硬化性及び分散性の点から、好ま くは0.5~100μmであり、また、孔3の大きさは硬 化性及び潜在性の点から、好ましくは5~150nm ある。

 また、酵素処理ゼラチン膜は、潜在性硬 剤1の周囲にいったん形成されたゼラチン反 応膜を、酵素で常法に従って処理することに より形成されたものである。その厚みは、薄 すぎると潜在性が低下し、厚すぎると熱応答 性が低下する傾向があるので、好ましくは1~1 000nm、より好ましくは10~500nmである。

 酵素処理としては、詳しくは後述するが 例えば、界面重合反応終了後、重合反応液 直接、蛋白質分解酵素等の酵素を投入し、 の酵素の活性温度域で加温しながら撹拌す という操作を挙げることができる。酵素処 後は常法に従って精製することができる。

 なお、ゼラチン膜を酵素処理しない場合 は、界面重合後に重合混合物に水を加えて 別し水洗浄により精製するが、図1Dに示す うに、潜在性硬化剤10’の周囲に異物Fが付 しやすくなる。それに対し、ゼラチン膜を 素処理した場合には、図1Eに示すように、マ イクロカプセル型潜在性硬化剤10の周囲に異 の付着は観察されない。

 また、界面重合により得られる本発明の イクロカプセル型潜在性硬化剤10は、その 次粒子が凝集して二次粒子化する場合があ 、そのような場合には、ジェットミルなど 解砕することがしばしば行われる。この場 、解砕処理により酵素処理ゼラチン膜が破 されることがあり、発熱ピーク温度が低温 にシフトして潜在性が低下し、発熱ピーク 度も低下する傾向がある。そこで、本発明 おいては、酵素処理の際にポリビニルアル ールを共存させ、酵素処理ゼラチン膜中に リビニルアルコールを取り込ませることに り、発熱ピーク温度と強度との変化を抑制 せることができる。これは、ポリビニルア コールが酵素処理ゼラチン膜の強度を向上 せるためであると考えられる。

 ポリビニルアルコールとしては、ポリ酢 ビニルのエステル基の80モル%以上をケン化 中和することにより得られるものを使用す ことができる。

 このようなポリビニルアルコールの含有 は、酵素処理ゼラチン膜中に好ましくは0.1~ 30質量%、より好ましくは1~10質量%である。

 また、マイクロカプセル型潜在性硬化剤1 0は、使用する多孔性樹脂の架橋度が小さす るとその潜在性が低下し、大きすぎるとそ 熱応答性が低下する傾向があるので、使用 的に応じて、架橋度が調整された多孔性樹 を使用することが好ましい。ここで、多孔 樹脂の架橋度は、微少圧縮試験により計測 ることができる。

 本発明のマイクロカプセル型潜在性硬化 10は、その界面重合時に使用する有機溶剤 実質的に含有していないこと、具体的には 1ppm以下であることが、硬化安定性の点で好 しい。

 また、本発明のマイクロカプセル型潜在 硬化剤10における多孔性樹脂とアルミニウ キレート剤との含有量は、アルミニウムキ ート剤含量が少なすぎると熱応答性が低下 、多すぎると潜在性が低下するので、多孔 樹脂100質量部に対しアルミニウムキレート を、好ましくは10~200質量部、より好ましく 10~150質量部である。

 本発明のマイクロカプセル型潜在性硬化 において、アルミニウムキレート剤として 、式(1)に表される、3つのβ-ケトエノラート 陰イオンがアルミニウムに配位した錯体化合 物が挙げられる。

 

 ここで、R1、R2及びR3は、それぞれ独立的 アルキル基又はアルコキシル基である。ア キル基としては、メチル基、エチル基等が げられる。アルコキシル基としては、メト シ基、エトキシ基、オレイルオキシ基等が げられる。

 式(1)で表されるアルミニウムキレート剤 具体例としては、アルミニウムトリス(アセ チルアセトネート)、アルミニウムトリス(エ ルアセトアセテート)、アルミニウムモノア セチルアセトネートビス(エチルアセトアセ ート)、アルミニウムモノアセチルアセトネ トビスオレイルアセトアセテート、エチル セトアセテートアルミニウムジイソプロピ ート、アルキルアセトアセテートアルミニ ムジイソプロピレート等が挙げられる。

 多官能イソシアネート化合物は、好まし は一分子中に2個以上のイソシアネート基、 より好ましくは3個のイソシアネート基を有 る化合物である。このような3官能イソシア ート化合物の更に好ましい例としては、ト メチロールプロパン1モルにジイソシアネー ト化合物3モルを反応させた式(2)のTMPアダク 体、ジイソシアネート化合物3モルを自己縮 させた式(3)のイソシアヌレート体、ジイソ アネート化合物3モルのうちの2モルから得 れるジイソシアネートウレアに残りの1モル ジイソシアネートが縮合した式(4)のビュウ ット体が挙げられる。

 

 上記式(2)~(4)において、置換基Rは、ジイ シアネート化合物のイソシアネート基を除 た部分である。このようなジイソシアネー 化合物の具体例としては、トルエン2,4-ジイ シアネート、トルエン2,6-ジイソシアネート 、m-キシリレンジイソシアネート、ヘキサメ レンジイソシアネート、ヘキサヒドロ-m-キ リレンジイソシアネート、イソホロンジイ シアネート、メチレンジフェニル-4,4’-ジ ソシアネート等が挙げられる。

 このような多官能イソシアネート化合物 界面重合させて得られる多孔性樹脂は、界 重合の間にイソシアネート基の一部が加水 解を受けてアミノ基となり、そのアミノ基 イソシアネート基とが反応して尿素結合を 成してポリマー化するものであり、多孔性 リウレアである。このような多孔性樹脂と の孔に保持されたアルミニウムキレート剤 からなる潜在性硬化剤は、硬化のために加 されると、明確な理由は不明であるが、保 されているアルミニウムキレート剤が、潜 性硬化剤と併存しているシランカップリン 剤や熱硬化型樹脂と接触できるようになり 硬化反応を進行させることができる。

 なお、本発明のマイクロカプセル型潜在 硬化剤の構造上、酵素処理ゼラチン膜で被 された多孔性樹脂の界面にもアルミニウム レート剤が存在することになると思われる 、界面重合の際に系内に存在する水により 活性化するものもあるが、アルミニウムキ ート剤は多孔性樹脂の内部で保持されたも や、水で不活性化する前にゼラチン膜で被 されたものは、依然として活性を保持して ることになり、結果的に得られるマイクロ プセル型硬化剤は潜在性を獲得できたもの 考えられる。

 本発明のマイクロカプセル型潜在性硬化 は、アルミニウムキレート剤と多官能イソ アネート化合物とを揮発性有機溶剤に溶解 せ、得られた溶液を、ゼラチンと必要に応 てポリビニルアルコールや界面活性剤とを 有する水相に投入し、加熱撹拌することに り界面重合させ、得られた重合反応混合物 酵素を添加してゼラチンの酵素処理を行う とにより製造することができる。

 この製造方法においては、まず、アルミ ウムキレート剤と多官能イソシアネート化 物とを揮発性有機溶剤に溶解させ、界面重 における油相となる溶液を調製する。ここ 、揮発性有機溶剤を使用する理由は以下の りである。即ち、通常の界面重合法で使用 るような沸点が300℃を超える高沸点溶剤を いた場合、界面重合の間に有機溶剤が揮発 ないために、イソシアネート-水との接触確 率が増大せず、それらの間での界面重合の進 行度合いが不十分となるからである。そのた め、界面重合させても良好な保形性の重合物 が得られ難く、また、得られた場合でも重合 物に高沸点溶剤が取り込まれたままとなり、 熱硬化型樹脂組成物に配合した場合に、高沸 点溶剤が熱硬化型樹脂組成物の硬化物の物性 に悪影響を与えるからである。このため、こ の製造方法においては、油相を調製する際に 使用する有機溶剤として、揮発性のものを使 用する。

 このような揮発性有機溶剤としては、ア ミニウムキレート剤と多官能イソシアネー 化合物との良溶媒(それぞれの溶解度が好ま しくは0.1g/ml(有機溶剤)以上)であって、水に しては実質的に溶解せず(水の溶解度が0.5g/ml (有機溶剤)以下)、大気圧下での沸点が100℃以 下のものが好ましい。このような揮発性有機 溶剤の具体例としては、アルコール類、酢酸 エステル類、ケトン類等が挙げられる。中で も、高極性、低沸点、貧水溶性の点で酢酸エ チルが好ましい。

 揮発性有機溶剤の使用量は、アルミニウ キレート剤と多官能イソシアネート化合物 合計量100質量部に対し、少なすぎると潜在 が低下し、多すぎると熱応答性が低下する で、好ましくは100~500質量部である。

 なお、揮発性有機溶剤の使用量範囲内に いて、揮発性有機溶剤の使用量を比較的多 使用すること等により、油相となる溶液の 度を下げることができるが、粘度を下げる 撹拌効率が向上するため、反応系における 相滴をより微細化かつ均一化することが可 になり、結果的に得られる潜在性硬化剤の 子径をサブミクロン~数ミクロン程度の大き さに制御しつつ、粒度分布を単分散とするこ とが可能となる。油相となる溶液の粘度は1~2 .5mPa・sに設定することが好ましい。

 また、多官能イソシアネート化合物を乳 分散する際に、界面活性剤や分散剤の水酸 と多官能イソシアネート化合物が反応して まうことがあり、そのような場合には副生 物が異物として潜在性硬化剤粒子の周囲を 着してしまったり、粒子形状そのものが異 化してしまったりする。この現象を防ぐた には、多官能イソシアネート化合物と水と 反応性を促進すること、あるいは多官能イ シアネート化合物と界面活性剤や分散剤の 酸基との反応性を抑制することが挙げられ 。

 多官能イソシアネート化合物と水との反 性を促進するためには、アルミニウムキレ ト剤の配合量を多官能イソシアネート化合 の重量で好ましくは1/2以下、より好ましく 1/3以下とする。これにより、多官能イソシ ネート化合物と水とが接触する確率が高く り、反応し易くなる。

 また、多官能イソシアネート化合物と界 活性剤や分散剤の水酸基との反応性を抑制 るためには、油相中のアルミニウムキレー 剤の配合量を増大させることが挙げられる 具体的には、アルミニウムキレート剤の配 量を多官能イソシアネート化合物の重量で ましくは等倍以上、より好ましくは1.0~2.0倍 とする。これにより、油相滴表面におけるイ ソシアネート濃度が低下する。さらに多官能 イソシアネート化合物は水酸基よりも加水分 解により形成されるアミンとの反応(界面重 )速度が大きいため、多官能イソシアネート 合物と界面活性剤や分散剤の水酸基との反 確率を低下させることができる。

 アルミニウムキレート剤と多官能イソシ ネート化合物とを揮発性有機溶剤に溶解さ る際には、大気圧下、室温で混合撹拌する けでもよいが、必要に応じ、加熱してもよ 。

 次に、ゼラチンを含有する水相を調製す 。使用するゼラチンとしては、シングルミ ロンメーターの粒子径の制御を可能にする いう観点から、酸処理を施したゼラチンを ましく使用することができる。また、ゲル ットワーク形成の観点から、比較的低いゼ ー強度のゼラチンを好ましく使用すること できる。具体的には、JIS K6503-2001によるゼ ー強度10~200を示すゼラチンを使用すること 好ましい。更に、乳化分散安定性の観点か 、重量平均分子量1000~110000のゼラチンを使 することが好ましい。

 水としては、蒸留水、イオン交換水を好 しく使用することができる。水に対するゼ チンの含有量は、少なすぎると乳化が不安 化し、多すぎると乳化分散性が低下するの 、水100質量部に対し、好ましくは0.1~50質量 、より好ましくは0.1~10質量部である。また ゼラチンは、使用した多官能イソシアネー 化合物に対し、少なすぎると低反応性とな 、多すぎると高反応性となるので、多官能 ソシアネート化合物100質量部に対し、好ま くは1~100質量部、より好ましくは10~50質量部 である。

 この水相は、乳化安定性のために、必要 応じて界面活性剤を含有することが好まし 。界面活性剤としては、イソシアネート反 性及びノンハロゲンの観点からアルキルベ ゼンスルホン酸塩を好ましく使用できる。 た、界面活性剤の含有量は、少なすぎると 化安定性が低下し、多すぎると微細粒子形 及び発泡を生じる為、蒸留水等の水100質量 に対し、好ましくは0.001~10質量部、より好 しくは0.001~0.1質量部である。

 この水相は、単離した本発明のマイクロ プセル型潜在性硬化剤をジェットミルなど 解砕した場合でも、発熱ピーク温度を変化 せず且つ発熱ピーク強度を低減させないよ にするために、ポリビニルアルコールを併 することが好ましい。ポリビニルアルコー としては、ポリ酢酸ビニルのエステル基の8 0モル%以上をケン化し中和することにより得 れるものを使用することができる。

 ポリビニルアルコールの水相中の含有量 、少なすぎると粒子被覆効果が低下し、多 ぎるとゼラチンとイソシアネート化合物と 反応性が低下するので、蒸留水などの水100 量部に対し、好ましくは0.001~10質量部、よ 好ましくは0.001~1質量部である。

 次に、この製造方法においては、アルミ ウムキレート剤と多官能イソシアネート化 物が揮発性有機溶剤に溶解した油相溶液を ゼラチンを含有する水相に投入し、加熱撹 することにより界面重合させる。これによ 、酵素未処理のゼラチン膜で被覆されたマ クロカプセル型潜在性硬化剤が得られる。

 油相溶液の水相に対する配合量は、油相 液が少なすぎると多分散化し、多すぎると 細化により凝集が生ずるので、水相100質量 に対し、好ましくは5~50質量部である。

 界面重合における乳化条件としては、油 の大きさが好ましくは0.5~100μmとなるような 撹拌条件(撹拌装置ホモジナイザー;撹拌速度8 000rpm以上)で、通常、大気圧下、温度30~80℃、 撹拌時間2~12時間、加熱撹拌する条件を挙げ ことができる。

 界面重合終了後、酵素未処理ゼラチン膜 被覆されたマイクロカプセル型潜在性硬化 を含有する重合反応液を酵素活性温度域(例 えば、30~60℃)に調整し、酵素を投入し、撹拌 してゼラチン膜の酵素処理を行う。

 酵素としては、蛋白質分解酵素を好まし 使用でき、その具体例としては、プロテア ゼN「アマノG」、ニューラーゼF3G、プロメ インF(天野エンザイム(株))等を挙げることが できる。酵素の使用量としては、少なすぎる とゼラチン分解不足となり、多すぎると残留 異物となるので、使用したゼラチン100質量部 に対し、好ましくは0.1~30質量部、より好まし くは1~10質量部である。

 酵素処理後、本発明の酵素処理ゼラチン で被覆されたマイクロカプセル型潜在性硬 剤は、反応液から濾別し、水洗して乾燥す 。なお、必要に応じて、ジェットミルなど より解砕することができる。

 以上説明した本発明の製造方法によれば 多官能イソシアネート化合物の種類や使用 、アルミニウムキレート剤の種類や使用量 ゼラチンの種類や使用量、ポリビニルアル ールの種類や使用量、界面重合条件、酵素 理条件等を変化させることにより、マイク カプセル型潜在性硬化剤の硬化特性をコン ロールすることができる。例えば、重合温 を低くすると硬化温度を低下させることが き、反対に、重合温度を高くすると硬化温 を上昇させることができる。

 本発明のマイクロカプセル型潜在性硬化 は、従来のイミダゾール系潜在性硬化剤と 様の用途に使用することができ、好ましく 、シランカップリング剤と熱硬化型樹脂と 用することにより、低温速硬化性の熱硬化 樹脂組成物を与えることができる。

 熱硬化型樹脂組成物におけるマイクロカ セル型潜在性硬化剤の含有量は、少なすぎ と十分に硬化せず、多すぎるとその組成物 硬化物の樹脂特性(例えば、可撓性)が低下 るので、熱硬化型樹脂100質量部に対し1~70質 部、好ましくは1~50質量部である。

 シランカップリング剤は、特開2002-212537 公報の段落0007~0010に記載されているように アルミニウムキレート剤と共働して熱硬化 樹脂(例えば、熱硬化性エポキシ樹脂)のカチ オン重合を開始させる機能を有する。このよ うな、シランカップリング剤としては、分子 中に1~3の低級アルコキシ基を有するものであ り、分子中に熱硬化性樹脂の官能基に対して 反応性を有する基、例えば、ビニル基、スチ リル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロ イルオキシ基、エポキシ基、アミノ基、メル カプト基等を有していてもよい。なお、アミ ノ基やメルカプト基を有するカップリング剤 は、本発明のマイクロカプセル型潜在性硬化 剤がカチオン型硬化剤であるため、アミノ基 やメルカプト基が発生カチオン種を実質的に 捕捉しない場合に使用することができる。

 このようなシランカップリング剤の具体 としては、ビニルトリス(β-メトキシエトキ シ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビ ルトリメトキシシラン、γ-スチリルトリメ キシシラン、γ-メタクリロキシプロピルト メトキシシラン、γ-アクリロキシプロピル リメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘ キシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリ ドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グ シドキシプロピルメチルジエトキシシラン N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメ トキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノ ロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノ ロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-γ- ミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メル プトプロピルトリメトキシシラン、γ-クロ プロピルトリメトキシシラン等を挙げるこ ができる。

 熱硬化型樹脂組成物におけるシランカッ リング剤の含有量は、少なすぎると低硬化 となり、多すぎるとその組成物の硬化物の 脂特性(例えば、保存安定性)が低下するの 、潜在性硬化剤100質量部に対し50~1500質量部 好ましくは300~1200質量部である。

 熱硬化型樹脂としては、熱硬化型エポキ 樹脂、熱硬化型尿素樹脂、熱硬化型メラミ 樹脂、熱硬化型フェノール樹脂等を使用す ことができる。中でも、硬化後の接着強度 良好な点を考慮すると、熱硬化型エポキシ 脂を好ましく使用することができる。

 このような熱硬化型エポキシ樹脂として 、液状でも固体状でもよく、エポキシ当量 通常100~4000程度であって、分子中に2以上の ポキシ基を有するものが好ましい。例えば ビスフェノールA型エポキシ化合物、フェノ ールノボラック型エポキシ化合物、クレゾー ルノボラック型エポキシ化合物、エステル型 エポキシ化合物、脂環型エポキシ化合物等を 好ましく使用することができる。また、これ らの化合物にはモノマーやオリゴマーが含ま れる。

 本発明の熱硬化型樹脂組成物には、必要 応じてシリカ、マイカなどの充填剤、顔料 帯電防止剤などを含有させることができる

 本発明の熱硬化型樹脂組成物は、マイク カプセル型潜在性硬化剤、シランカップリ グ剤、熱硬化型樹脂及び必要に応じて添加 れる他の添加剤とを、常法に従って均一に 合撹拌することにより製造することができ 。

 このようにして得られた本発明の熱硬化 樹脂組成物は、硬化剤が潜在化しているの 、一剤型であるにも拘わらず、保存安定性 優れている。また、潜在性硬化剤がシラン ップリング剤と共働して、熱硬化型樹脂を 温速硬化でカチオン重合させることができ 。

 以下、本発明を実施例により具体的に説 する。

  実施例1a~1g
 蒸留水840質量部と、界面活性剤(ニューレッ クスR-T、日本油脂(株))0.05質量部と、表1のゼ チン8質量部とを、温度計を備えた3リット の界面重合容器に入れ、均一に混合した。 の混合液に、更に、アルミニウムモノアセ ルアセトネートビス(エチルアセトアセテー )の24%イソプロパノール溶液(アルミキレー D、川研ファインケミカル(株))36質量部と、 チレンジフェニル-4,4'-ジイソシアネート(3モ ル)のトリメチロールプロパン(1モル)付加物(D -109、三井武田ケミカル(株))25質量部とを、酢 酸エチル135質量部に溶解した油相溶液を投入 し、ホモジナイザー(10000rpm/10分:ホモジナイ ーT-50、IKA社)で乳化混合後、60℃で3時間界面 重合させた。

 反応終了後、重合反応液を40℃に調整し 酵素(プロテアーゼN「アマノG」、天野エン イム(株))を0.08質量部投入し、40℃で6時間撹 した。得られた界面重合粒子を濾別し、水 し、乾燥することにより球状の酵素処理ゼ チン膜で被覆されたマイクロカプセル型潜 性硬化剤を得た。

 使用したゼラチンの粘度(JIS K6503-2001)と ゼリー強度(JIS K6503-2001)と、重量平均分子量 のカタログ値を表1に示す。また、得られた イクロカプセル型潜在性硬化剤に対する粒 径制御性については、粒度分布(SD-2000 シメ クス(株))を測定し、以下の基準にて評価し 。

<粒子径(体積換算値)制御性の評価基準>
 A:最大粒子径が5μm以内であり、かつ粒度分 が正規分布である場合
 B:最大粒子径が10μm以内であり、かつ粒度分 布が正規分布である場合
 C:最大粒子径が30μm以内である場合
 D:粒子同士の凝集により粒度分布計での測 ができないが、最大粒子径は30μm以内である 場合

 表1から、ゼラチンとしてはアルカリ処理 より酸処理されているもの方が好ましいこと がわかる。また、ゼリー強度も比較的低いも のの方が好ましいことがわかる。なお、参考 のために、実施例1fで得られたマイクロカプ ル型潜在性硬化剤の粒度分布を、粒度分布 定装置を用いて測定した結果を図1Fに示す 図1Fから、体積換算粒度分布が5μm以下の粒 分布を実現していることがわかる。

  実施例2
 実施例1fで得られたマイクロカプセル型潜 性硬化剤2質量部、脂環式エポキシ樹脂(CEL-20 21P、ダイセル化学工業(株))90質量部、及びシ ンカップリング剤(KBM5103、信越化学工業社)1 2質量部を、均一に混合することにより熱硬 型エポキシ樹脂組成物を得た。

  比較例1
 酵素処理を行わない以外は実施例1fを繰り すことにより、酵素未処理ゼラチン膜で被 されたマイクロカプセル型潜在性硬化剤を た。その硬化剤を用いて、実施例2と同様に て熱硬化型エポキシ樹脂組成物を得た。

  (硬化性評価1)
 実施例2及び比較例1の熱硬化型エポキシ樹 組成物を、示差熱分析装置(DSC)(DSC6200、セイ ーインスツル(株))を用いて熱分析した。得 れた結果を表2及び図2に示す。ここで、マ クロカプセル型潜在性硬化剤の硬化特性に し、発熱開始温度は硬化開始温度を意味し おり、発熱ピーク温度は最も硬化が活性と る温度を意味しており、発熱ピーク強度は 硬化性を意味している。

 

 表2及び図2から、酵素処理ゼラチン膜で 覆されたマイクロカプセル型潜在性硬化剤 使用した実施例2の熱硬化型エポキシ樹脂組 物は、酵素未処理ゼラチン膜で被覆された イクロカプセル型潜在性硬化剤を使用した 較例1の熱硬化型エポキシ樹脂組成物に比べ 、発熱開始温度及び発熱ピーク温度が低温側 にシフトしていることがわかる。更に、発熱 ピーク強度も約1.7倍になっていることがわか る。従って、酵素処理ゼラチン膜で被覆され たマイクロカプセル型潜在性硬化剤(実施例2) は、酵素処理が施されているために、その潜 在性が向上すると共に熱応答性も向上し、熱 硬化型エポキシ樹脂組成物の低温速硬化性を 実現できることがわかる。

  参考例1(解砕処理の影響)
 実施例2で得たマイクロカプセル型潜在性硬 化剤を、ジェットミル(A-Oジェットミル、セ シン企業社)を用いて解砕したものを使用し 、実施例2と同様にして熱硬化型エポキシ樹 脂組成物を得た。

  (硬化性評価2)
 実施例2及び参考例1の熱硬化型エポキシ樹 組成物を、実施例2の場合と同様に、熱分析 た。得られた結果を表3及び図3に示す。

 

 表3及び図3から、解砕処理をすると発熱 始温度、発熱ピーク温度が低温側にシフト 、発熱ピーク強度が小さくなることがわか 。

  実施例3
 蒸留水840質量部と、界面活性剤(ニューレッ クスR-T、日本油脂(株))0.05質量部と、ゼラチ (APH-100、新田ゼラチン社)7.9質量部と、ポリ ニルアルコール(PVA205、(株)クラレ)0.1質量部 を、温度計を備えた3リットルの界面重合容 器に入れ、均一に混合した。この混合液に、 更に、アルミニウムモノアセチルアセトネー トビス(エチルアセトアセテート)の24%イソプ パノール溶液(アルミキレートD、川研ファ ンケミカル(株))36質量部と、メチレンジフェ ニル-4,4'-ジイソシアネート(3モル)のトリメチ ロールプロパン(1モル)付加物(D-109、三井武田 ケミカル(株))25質量部とを、酢酸エチル135質 部に溶解した油相溶液を投入し、ホモジナ ザー(10000rpm/10分:ホモジナイザーT-50、IKA社) 乳化混合後、60℃で3時間界面重合させた。

 反応終了後、重合反応液を40℃に調整し 酵素(プロテアーゼN「アマノG」、天野エン イム(株)を0.08質量部投入し、40℃で6時間撹 した。得られた界面重合粒子を濾別し、水 し、乾燥することにより球状の酵素処理ゼ チン膜で被覆されたマイクロカプセル型潜 性硬化剤を得た。

 得られたマイクロカプセル型潜在性硬化 2質量部、脂環式エポキシ樹脂(CEL-2021P、ダ セル化学工業(株))90質量部、及びシランカッ プリング剤(KBM5103、信越化学工業社)12質量部 、均一に混合することにより熱硬化型エポ シ樹脂組成物を得た。

  実施例4
 ゼラチンを7.7質量部とし、ポリビニルアル ールを0.3質量部とする以外は、実施例3を繰 り返すことにより球状の酵素処理ゼラチン膜 で被覆されたマイクロカプセル型潜在性硬化 剤を得、更に熱硬化型エポキシ樹脂組成物を 得た。

  (硬化性評価3)
 実施例3及び4の熱硬化型エポキシ樹脂組成 を、実施例2の場合と同様に、熱分析した。 られた結果を表4及び図4に示す。

 

 表4及び図4から、ポリビニルアルコール 使用量が増大すると、発熱開始温度及び発 ピーク温度が低温側にシフトするが、発熱 ーク強度が大きく低下する傾向になってい ことがわかる。従って、ポリビニルアルコ ルの使用量は、ゼラチン7.7質量部に対し0.3 量部を超えない範囲が好ましいことがわか 。

  実施例5
 実施例3で得たマイクロカプセル型潜在性硬 化剤を、ジェットミル(A-Oジェットミル、セ シン企業社)を用いて解砕したものを使用し 、実施例3と同様に熱硬化型エポキシ樹脂組 成物を得た。

  (硬化性評価4)
 実施例3及び5の熱硬化型エポキシ樹脂組成 を、実施例2の場合と同様に、熱分析した。 られた結果を表5及び図5に示す。

 

 表5及び図5から、ポリビニルアルコール 併用すると、解砕処理した後でも、発熱開 温度、発熱ピーク温度に変化がなく、発熱 ーク強度の減少も抑制されていることがわ る。図6に実施例5の解砕処理したマイクロカ プセル型潜在性硬化剤10の電子顕微鏡写真を す。ポリビニルアルコールを併用すると、 用していない図1Cのマイクロカプセル型潜 性硬化剤に比べ、表面凹凸のレベルが小さ なっていることがわかる。

 本発明のマイクロカプセル型潜在性硬化剤 、酵素処理ゼラチン膜で被覆された、潜在 及び熱応答性に優れたアルミニウムキレー 系潜在性硬化剤である。従って、このマイ ロカプセル型潜在性硬化剤を含有する熱硬 型樹脂組成物は、良好な低温速硬化性を示 。よって、ICチップ等の電子部品を配線基 に過大なヒートショックを与えずに接合さ なければならない場合に有用である。