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Patent Searching and Data


Title:
MOLDING METHOD, OPTICAL ELEMENT MANUFACTURING METHOD, AND ARRAYED OPTICAL ELEMENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/028391
Kind Code:
A1
Abstract:
A high-efficient molding method for realizing an inexpensive optical element having an environment stability of the optical performance approximately equivalent to that of glass optical elements. A transparent inorganic optical flat (71p) having optical performance stable in the environment is placed in a molding cavity (CV), molds (61, 62) are closed, the optical flat (71p) is molded with an energy-curing resin, and thus a molded product (MP) is obtained. With this, the optical path length of the energy-curing resin is short, and the optical performance of the molded product (MP) is hardly subject to environment variation. A high-precision molding transferability of the shapes of the molded optical surfaces (71j, 71k) formed by injection molding, simultaneous formation of both the optical surfaces (71j, 71k), and ensuring of alignment of the optical axes of the formed optical surfaces (71j, 71k) are easily realized, and thus a inexpensive optical element (71a) is molded with high-efficiency.

Inventors:
HOSOE SHIGERU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/064897
Publication Date:
March 05, 2009
Filing Date:
August 21, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KONICA MINOLTA OPTO INC (JP)
HOSOE SHIGERU (JP)
International Classes:
B29C45/14; G02B3/00; B29L11/00
Domestic Patent References:
WO2004027880A22004-04-01
WO2005083789A22005-09-09
Foreign References:
JP2001062852A2001-03-13
JP2006220739A2006-08-24
JP2002122706A2002-04-26
JPH0584901U1993-11-16
JP3929479B12007-06-13
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Claims:
 光学転写面を有する組金型の間に透明な無機材料で形成された光学部材を挿入した後に、前記組金型を閉状態にする第1工程と、
 前記組金型を閉状態としたときに形成される成形キャビティ内に、エネルギー硬化性樹脂を射出して光学素子を形成する第2工程と、
 前記組金型を開状態として、前記光学素子を取り出す第3工程と、
を備えることを特徴とする成形方法。
 前記成形キャビティは、前記光学部材を挟んで両側に形成されることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の成形方法。
 前記成形キャビティは、エネルギー硬化性樹脂の流路溝を有することを特徴とする請求の範囲第1項又は請求の範囲第2項に記載の成形方法。
 前記光学部材は、平板状であることを特徴とする請求の範囲第1項~第3項の何れか1項に記載の成形方法。
 前記光学部材は、光学ガラスで形成されることを特徴とする請求の範囲第1項~第4項の何れか1項に記載の成形方法。
 前記光学部材は、光学結晶及びセラミックスの何れか一方で形成されることを特徴とする請求の範囲第1項~第4項の何れか1項に記載の成形方法。
 前記光学転写面は、非球面形状であることを特徴とする請求の範囲第1項~第6項の何れか1項に記載の成形方法。
 前記光学部材の表面に、予め光学コートが施されることを特徴とする請求の範囲第1項~第7項の何れか1項に記載の成形方法。
 前記光学転写面は、複数面設けられ、アレイ状に配置されていることを特徴とする請求の範囲第1項~第8項の何れか1項に記載の成形方法。
 前記光学部材は、前記光学転写面に対向する複数のレンズ形状を有し、アレイ状に配置されていることを特徴とする請求の範囲第9項に記載の成形方法。
 請求の範囲第9項又は請求の範囲第10項に記載の成形方法によって成形されることを特徴とするアレイ状光学素子。
 請求の範囲第11項に記載のアレイ状光学素子を切断個片化する前に、該アレイ状光学素子の表面に反射コート及び反射防止コートの何れか一方を施すことを特徴とする光学素子製造方法。
 前記アレイ状光学素子を複数個積層することによってアレイ状の組レンズを構成することを特徴とする請求の範囲第12項に記載の光学素子製造方法。
 前記アレイ状光学素子は、アレイ状の光学面を有し、前記光学面間で切断して個片化されることを特徴とする請求の範囲第12項又は請求の範囲第13項に記載の光学素子製造方法。 
 前記光学部材は、前記光学転写面に対向するレンズ形状を有することを特徴とする請求の範囲第1項~第8項の何れか1項に記載の成形方法。
Description:
成形方法、光学素子製造方法、 びアレイ状光学素子

 本発明は、光学素子の成形技術に関し、 に、エネルギー硬化性樹脂を用いて光学素 を成形するための成形方法、及び光学素子 造方法、並びに、これらによって得られる レイ状光学素子に関する。

 射出成形によって樹脂のみで成形された 学素子は、材料物性上、温度や湿度の変動 よって屈折率が変動し、レンズの光学性能 環境の影響を受けやすいという欠点がある そのため、樹脂のみの成形品は、高精度な 形転写性を有しているにもかかわらず、限 れた環境下でしか光学性能の高さを発揮で ず、ガラスモールド等の製法によって生産 れる高価なガラスレンズと比較して、光学 能の環境安定性が劣っていた。

 この問題を解決するために、ガラス板上に ネルギー硬化性樹脂をキャスト成形した、 エハーレベルのカメラモジュールレンズが る(例えば特許文献1~3参照)。ここで、ガラ 板として例えば石英平板が用いられ、光学 のエネルギー硬化性樹脂として例えば紫外 硬化性樹脂が用いられている。

特許第3929479号公報

WO2004/027880

WO2005/083789

 しかしながら、特許文献1~3の成形方法は ずれもキャスト成形であるため、ガラス板 表裏面の一方の光学面しか成形できない。 た、紫外線硬化性樹脂の硬化の際には、紫 光をガラス板側から入射させたり、金型を 英などの透明な材料で研削・研磨加工して ることにより、金型側から紫外光を照射し りしている。この成形方法では、片面成形 あるため、両面成形のために2工程を要する だけでなく、射出成形のように樹脂を高圧で 成形金型に押しつけて成形転写性を向上しよ うとして樹脂に高圧をかけると、無機材料が 片方から高圧で押されるため割れてしまい、 成形ができない。従って、高精度な形状転写 性は望めず、特に肉厚差の大きいレンズ形状 の成形では樹脂の硬化収縮によって成形光学 面に大きなヒケが発生し、成形転写性は著し く劣化すると考えられる。そのため、上記の ような成形方法による光学性能を維持できる 実用的な成形光学面形状の肉厚差は、200μm程 度であり、極めて薄い光学面形状しか成形で きず、光学素子としての応用範囲は極めて狭 いと考えられる。

 そこで、本発明は、ガラス光学素子と略 しい光学性能の環境安定性を有し、安価な 学素子を成形する高効率な成形方法を提供 ることを目的とする。

 また、本発明は、上記のような成形方法 用いて製作したアレイ状光学素子を提供す ことを目的とする。

 また、本発明は、上記のような成形方法 びアレイ状光学素子を用いた光学素子製造 法を提供することを目的とする。

 本発明に係る成形方法は、光学転写面を する組金型の間に透明な無機材料で形成さ た光学部材を挿入した後に、前記組金型を 状態にする第1工程と、前記組金型を閉状態 としたときに形成される成形キャビティ内に 、エネルギー硬化性樹脂を射出して光学素子 を形成する第2工程と、前記組金型を開状態 して、前記光学素子を取り出す第3工程と、 備えることを特徴とする。ここで、光学転 面とは、金型の光学面をいう。また、光学 材が透明とは、成形された光学素子が使用 れる光の波長範囲において、少なくともそ 波長範囲の光のほとんどを透過することを う。例えば、可視光領域で使用される光学 子であれば、透明な範囲は少なくとも可視 領域であり、赤外線領域で使用される光学 子であれば、少なくとも赤外線領域である また、無機材料とは、炭化水素を主成分と る有機材料、例えば樹脂材料は含まれない また、エネルギー硬化性樹脂とは、熱や光 或いは電子線などの外部からのエネルギー よって硬化反応が開始して硬化する樹脂の とをいう。エネルギー硬化性樹脂は、光学 材と同様に、成形された光学素子が使用さ る光の波長範囲において、少なくともその 長範囲の光のほとんどを透過する性質を有 る。また、光学素子には、光学面が滑面の ンズだけでなく、回折や微細構造を有する ンズやプリズム、位相制御素子、偏光素子 も含まれる。

 上記成形方法では、光学性能が環境変動 対して安定で透明な無機材料である光学部 を成形キャビティ内に入れて金型を閉じ、 ネルギー硬化性樹脂と一体成形することに って光学素子を得る。これにより、エネル ー硬化性樹脂の光路長を短くし、成形品の 学性能が環境変動を受けにくくすることが きる。また、射出成形により成形された光 面形状の高精度な成形転写性と、両面光学 の同時成形と、両成形光学面の同軸度の確 とを簡易に実現することができ、高効率で 価な光学素子を成形することができる。

 本発明の具体的な態様によれば、成形キ ビティは、光学部材を挟んで両側に形成さ ることを特徴とする。この場合、光学部材 挟んで両側に成形キャビティが形成される とにより、射出成形の際に成形圧力が光学 材の全外周に静水圧的にかかるので、光学 材には圧縮応力しかからず、光学部材が割 たりすることなく高圧での成形が可能とな 、形状転写性を向上させることができる。 た、この成形の結果、光学部材が樹脂層に まれる構造となり、大きな温度変化におい 光学部材と樹脂との線膨張係数の違いから 学部材に曲げ応力が発生する場合でも、こ 応力が両面で発生して相殺するため、光学 材が反ったり割れたりすることを防ぐこと できる。

 本発明の別の態様によれば、成形キャビ ィは、エネルギー硬化性樹脂の流路溝を有 ることを特徴とする。この場合、成形キャ ティに流路溝を設けることによって、エネ ギー硬化性樹脂を成形キャビティ内にスム ズに導入することができる。また、光学部 の各部、特にゲートの反対側の領域にもエ ルギー硬化性樹脂を均一に注入することが きる。

 本発明のさらに別の態様によれば、光学 材は、平板状であることを特徴とする。こ で、光学部材が平板状とは、光学部材が略 行平面である板状であることをいう。この 合、光学部材が平板状であることにより、 学部材を成形キャビティに挿入する際に成 キャビティ内で光学部材が位置ずれするこ に起因するシフト誤差がなくなるため、光 部材がレンズ形状である場合に比較して容 に軸ずれのない高精度な光学素子を成形す ことができる。

 本発明のさらに別の態様によれば、光学 材は、光学ガラスで形成されることを特徴 する。この場合、光学ガラスは汎用的で可 光において光学物性が明確であり、光学設 を容易にすることができる。

 本発明のさらに別の態様によれば、光学 材は、光学結晶及びセラミックスの何れか 方で形成されることを特徴とする。この場 、光学結晶は、通常の光学ガラスと異なる い赤外透過率や紫外線透過率、高い屈折率 低い分散等の特殊な特徴を有しており、成 された光学素子に様々な光学性能を持たせ ことができる。また、セラミックスは、高 赤外透過率、高い屈折率等の特徴を有する のがあり、光学結晶の場合と同様に、成形 れた光学素子に高い光学性能を持たせるこ ができる。

 本発明のさらに別の態様によれば、光学 写面は、非球面形状であることを特徴とす 。この場合、光学転写面を非球面形状とす ことにより、光学設計の自由度が大きくな 、光学素子の用途が拡大するばかりでなく より高性能の光学素子を実現することがで る。

 本発明のさらに別の態様によれば、光学 材の表面に、予め光学コートが施されるこ を特徴とする。この場合、光学部材の表面 光学コートが施されることにより、例えば 層コートを施しても、基板となる光学部材 樹脂よりも環境変動に対して安定している め、成形の段取りや手間を増やすことなく 光学コートにクラックが発生することを防 ことができる。また、光学素子に光学フィ タの性能を持たせることにより、光学系の 品点数を減らすことができる。

 本発明のさらに別の態様によれば、光学 写面は、複数面設けられ、アレイ状に配置 れていることを特徴とする。これにより、 数の光学面を一度に成形でき、高効率に多 の光学素子を成形することができる。

 本発明のさらに別の態様によれば、光学 材は、光学転写面に対向する複数のレンズ 状を有し、アレイ状に配置されていること 特徴とする。これにより、光学性能の高い レイ状の光学素子を成形することができる

 本発明に係るアレイ状光学素子は、上記 成形方法によって成形されることを特徴と る。

 上記アレイ状光学素子では、光学物性が 境に安定で透明な無機材料である光学部材 エネルギー硬化性樹脂とを一体成形するこ により、エネルギー硬化性樹脂の光路長が くなり、アレイ状光学素子の光学性能が環 変動を受けにくくなる。また、射出成形に り成形された光学面形状の高精度な成形転 性と、両面光学面の同時成形と、両成形光 面の同軸度の確保とを簡易に実現すること でき、成形されたアレイ状光学素子は高精 で安価なものとなる。

 本発明に係る光学素子製造方法は、上記 成形方法によって成形されたアレイ状光学 子を切断個片化する前に、アレイ状光学素 の表面に反射コート及び反射防止コートの れか一方を施すことを特徴とする。

 上記光学素子製造方法では、アレイ光学 子を切断個片化する前に、アレイ状光学素 の表面に反射コートや反射防止コートを施 ことにより、一度に反射コートや反射防止 ートを施すことができ、作業負担を軽減す ことができる。

 本発明の具体的な態様によれば、上記の レイ状光学素子を複数個積層することによ てアレイ状の組レンズを構成することを特 とする。この場合、アレイ状の光学面の各 置関係は、成形金型により正確に決まって るため、複数個のアレイ状光学素子につい 、積層時にそれぞれ全体の軸合わせをすれ 、その成形されたアレイ状光学素子の光学 の軸合わせは自動的に決まり、簡単に多数 組レンズを偏心することなく組み上げるこ ができる。

 本発明の別の態様によれば、アレイ状光 素子は、アレイ状の光学面を有し、光学面 で切断して個片化されることを特徴とする この場合、アレイ状光学素子を切断して個 化することにより、単独の光学素子を効率 く大量に製造することができる。

 本発明のさらに別の態様によれば、光学 材は、光学転写面に対向するレンズ形状を することを特徴とする。ここで、レンズ形 とは、光学面として屈折曲面を有するよう 形状をいう。この場合、光学部材がレンズ 状を有することにより、光学性能の高い光 素子を成形することができる。

射出成形装置の構造を概念的に説明す 正面図である。 (A)は、成形用の金型のうち可動金型の 面側を説明する図であり、(B)は、成形用の 型のうち固定金型の内面側を説明する図で り、(C)は、固定金型及び可動金型の周辺を 明する図である。 (A)は、レンズアレイの平面図であり、( B)は、レンズアレイの側面図であり、(C)は、 ンズアレイから切り出した光学素子の側面 である。 図2に示す金型の変形例を説明する図で ある。 第2実施形態に係るレンズアレイの構造 を説明する断面図である。 図5のレンズアレイから切り出した光学 素子を組み込んだ撮像装置の構造を説明する 側方断面図である。 (A)は、レンズの構造を示す断面図であ 、(B)は、その空間周波数特性を示す図であ 。 図7の比較例を示す図である。 図2(C)の固定金型及び可動金型の変形例 である。 図2(C)の固定金型及び可動金型の変形 である。

符号の説明

 10…射出成形機
 11…固定盤
 12…可動盤
 13…型締め盤
 15…型開閉・型締装置
 20…搬送装置
 51…温度調節装置
 53…減圧装置
 16…射出装置
 16d…射出端
 61…固定金型
 62…可動金型
 63a…O-リング
 71,171,171q,171r…レンズアレイ
 71a,172a,173a…光学素子
 71p,172p,173p…光学平板
 SM…樹脂シール
 100…射出成形装置
 CV…成形キャビティ
 GA…ゲート
 PC…部分キャビティ
 V…バルブ
 MP…成形品

〔第1実施形態〕
 本発明の第1実施形態の成形方法及び光学素 子製造方法について、図面を参照しつつ説明 する。なお、図1は、本実施形態の成形方法 実施するための射出成形装置の構造を概念 に説明する正面図である。

 本実施形態の射出成形装置100は、射出成 機10と、搬送装置20と、温度調節装置51と、 圧装置53とを備える。このうち、射出成形 10は、射出成形を行って成形品MPを作製する 分であり、搬送装置20は、射出成形機10中に 後述する光学平板等をセットしたり、射出成 形機10から成形品MPを取り出したりする部分 あり、温度調節装置51は、射出成形機10の金 61,62の温度を調節する部分であり、減圧装 53は、射出成形機10の金型61,62内を真空引き る部分である。ここで、射出成形装置100は 型開き及び型閉じが縦方向となっている。

 射出成形機10は、固定盤11と、可動盤12と 型締め盤13と、開閉駆動装置15と、射出装置 16とを備える。射出成形機10は、固定盤11と可 動盤12との間に第1の金型である固定金型61と 2の金型である可動金型62とを挟持して両金 61,62を型締めすることにより成形を可能に る。

 固定盤11は、支持フレーム14の上下の中央 部分に固定されており、搬送装置20をその一 に支持する。固定盤11の内側(底面側)は、固 定金型61を着脱可能に支持しており、可動盤1 2の内側に対向している。なお、固定盤11は、 タイバー64a,64bを介して型締め盤13に固定され ており、型締め盤13を支持している。

 タイバー64aとタイバー64bとは、それぞれ 定盤11と型締め盤13との間に架設されている 。タイバー64aとタイバー64bとは、実際には2 ずつあり,固定盤11及び型締め盤13の四隅に支 持されて、互いに鉛直方向に平行に延びてい る。可動盤12の四隅には、タイバー64a,64bを貫 通させるための貫通孔が形成されており、可 動盤12は、タイバー64a,64bに対して摺動可能で ある。

 可動盤12は、後述するスライドガイド15a よって固定盤11に対して進退移動可能に、す なわち昇降可能に支持されている。可動盤12 内側(上側面)は、可動金型62を着脱可能に支 持しており、固定盤11の内側に対向している なお、可動盤12には、エジェクタ81が組み込 まれている。このエジェクタ81は、離形時に 動金型62に残る成形品MPを可動金型62内から し出して搬送装置20による移送を可能にす 。

 型締め盤13は、支持フレーム14の下部側に 固定されているが、タイバー64a,64bが延びて る上下方向に関して位置調整が可能になっ おり、固定盤11と可動盤12との間隔調整を可 にしている。型締め盤13は、型締めに際し 、開閉駆動装置15の動力伝達部15dを介して可 動盤12をその下面側から支持する。この際、 締め盤13は、タイバー64a,64bに懸架されて、 形時の型締め(すなわちロックアップ)の圧 に耐え得るようになっている。

 開閉駆動装置15は、スライドガイド15aと 動力伝達部15dと、アクチュエータ15eとを備 る。スライドガイド15aは、支持フレーム14と 可動盤12との間に設けられており、可動盤12 固定盤11に対する進退方向、すなわち上下方 向の滑らかな往復移動を可能にしている。動 力伝達部15dは、それぞれトグルリンク等で構 成され、アクチュエータ15eからの駆動力を受 けて伸縮する。これにより、可動盤12が昇降 動し、型締め盤13に対して可動盤12が近接し たり離間したり自在に変位し、結果的に、可 動盤12と固定盤11とを互いに近接するように め付けることができる。

 以上の開閉駆動装置15により、固定盤11と 可動盤12とに挟まれた固定金型61と可動金型62 とを型閉じすることができ、或いは、可動盤 12と固定盤11とを互いに離間させてこれらに まれた固定金型61と可動金型62とを型開きす ことができる。さらに、型閉じに際しては アクチュエータ15eの駆動によって可動盤12 固定盤11側に極めて大きな圧力で押し付ける ことができ、固定金型61と可動金型62とを十 な力で型締めすることができる。

 射出装置16は、シリンダ16a、原料貯留部16 b、スクリュ駆動部16c等を備え、射出端16dか 温度制御された状態で液体樹脂を吐出する とができる。射出装置16は、シリンダ16aの射 出端16dを固定盤11のゲートGA(後述)に対して分 離可能に接続することができ、固定盤11を介 て、固定金型61と可動金型62とを型締めした 状態で形成される成形キャビティCV(図2参照) に液体樹脂を所望のタイミング及び圧力で 給することができる。

 搬送装置20は、後述する光学平板71pや成 品MPを吸着又は把持することができるハンド 21と、ハンド21を3次元的に移動させる3次元駆 動装置22とを備える。搬送装置20は、成形の に、光学平板71p等を外部から搬入して可動 型62上に載置する役割を有すると共に、固定 金型61と可動金型62とを離間させて型開きす 際に、固定金型61や可動金型62に残る成形品M Pを把持して外部に搬出する役割を有する。

 温度調節装置51は、固定金型61と可動金型 62との温度調節を行う。具体的には、固定金 61と可動金型62とにヒーターを埋設して、固 定金型61と可動金型62とを必要な温度まで加 して、固定金型61と可動金型62との間に形成 れた成形キャビティCV中に射出された、例 ば熱硬化性樹脂等のエネルギー硬化性樹脂 硬化させる。

 減圧装置53は、固定金型61と可動金型62と 形成される成形キャビティCV内の真空引き 可能にする真空ポンプ53aと、真空ポンプ53a らの排気経路を開閉するバルブVとを備える 真空ポンプ53aは、バルブVを介して、固定金 型61に設けられた後述する真空引き用の孔52( 2参照)とつながれており、この孔52から成形 キャビティCV内の空気を抜くことができる。

 以下、本発明の第1実施形態に係る成形用 の金型について、図面を参照しつつ説明する 。なお、図2(A)は、成形用の金型のうち可動 型62の内面側を説明する図であり、図2(B)は 成形用の金型のうち固定金型61の内面側を説 明する図であり、図2(C)は、固定金型61及び可 動金型62の周辺を説明する正面断面図である

 固定金型61と可動金型62とを型合わせして 締め付けることにより、両金型61,62間に等し 円板状の成形キャビティCVが形成され、こ 成形キャビティCV中にエネルギー硬化性樹脂 である熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等を 充填した後に、熱処理、紫外線処理等をする ことにより、成形品MP(図1参照)を成形するこ ができる。ここで、熱硬化性樹脂として、 えばシリコーン樹脂、アリルエステル、ア リル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、 レタン系樹脂等がある。また、紫外線硬化 樹脂として、例えばシリコーン樹脂、アク ル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ウ タン系樹脂等がある。

 図2(B)及び図2(C)に示すように、固定金型61 は、円柱状の外形を有し、内側の型面61sには 、2次元的に配列された、すなわちアレイ状 多数の素子転写部61aと、これら素子転写部61 a間をつなぐ支持体転写部61bとを備える。各 子転写部61aは、成形品MPを構成する個々のレ ンズ素子に対応する光学転写面であり、円形 の外周を有する。

 また、固定金型61は、真空引き用の孔52を さらに備える。なお、固定金型61の中心には 樹脂を注入するためのスプル部61gが形成さ ている。スプル部61gの成形キャビティCV側 先端部は、樹脂注入の入り口であるゲートGA となっている。ゲートGAは、この場合、成形 MPの中心に対応する位置に設けられている

 図2(A)及び図2(C)に示すように、可動金型62 は、円柱状の外形を有し、内側の型面62sには 、2次元的に配列された、すなわちアレイ状 多数の素子転写部62aと、これら素子転写部62 a間をつなぐ支持体転写部62bとを備える。各 子転写部62aは、固定金型61の素子転写部61aに 対向して配置されるべき光学転写面であり、 円形の外周を有する。

 また、可動金型62は、型面62sの外側に、 1のシーリング部材であるO-リング63aをさら 備える。O-リング63aは、環状であって、可動 金型62に設けられた周溝64aにはめ込まれてい 。ここで、O-リング63aは、成形キャビティCV 内の気密性を保つことができガスを発生しな い材料を用いる。例えばフッ素樹脂等が用い られる。

 また、可動金型62は、型面62sとO-リング63a との間に、第2のシーリング部材である樹脂 ールSMをさらに備える。樹脂シールSMは、シ ル本体63bと突起部63cとを有する。シール本 63bは、環状であって、可動金型62に設けら た周溝64bにはめ込まれている。一方、突起 63cは、段差を有した小片であり、シール本 63bの半径方向の内側部分に一体的に固定さ ている。突起部63cの段差部分に後述する光 部材であるガラス製の光学平板71pがはめ込 れるようになっている。ここで、樹脂シー SMは、シールすべきエネルギー硬化性樹脂に 侵されないこと等の特性を有する材料を用い る。例えばシリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポ リイミド、ポリアミドイミド、66ナイロン、 ーフロロエラストマー等が用いられる。な 、突起部63cは、シール本体63bと一体部品で ってもよいし、可動金型62に設けられてい もよい。

 また、可動金型62には、シール本体63bに 応する位置に、複数のエジェクタピン82が設 けられている。これらのエジェクタピン82は 図1に示すエジェクタ81に連結されている。 ジェクタピン82は、可動金型62の型面62sの外 側の輪帯面RSに対して垂直方向に貫通し、上 に進退可能となっている。

 図2(C)に示すように、固定金型61と可動金 62とを型閉じ及び型締めすることにより、 形キャビティCVが形成される。なお、成形キ ャビティCVを形成した場合、素子転写部61a、6 2aによって個々のレンズ素子に対応する部分 ャビティPCが形成される。なお、図2(C)にお て、素子転写部61a、62aは詳細を一部省略す ことにより簡略化して示されている。

 固定金型61と可動金型62との間には、樹脂 シールSMに支持された状態で光学平板71pが挿 されている。光学平板71pは、各種光学ガラ を研削及び研磨することによって得た薄板 あり、表面に予め光学コート、例えば赤外 射コート等が施されている。光学平板71pは 外周形状が成形キャビティCVよりもわずか 小さく、樹脂シールSMに光学平板71pをはめ込 むと、光学平板71pとシール本体63bとの間には わずかな隙間ができ、この隙間から樹脂が光 学平板71pの裏側に入り込み、可動金型62側の 形キャビティCV部分にも樹脂が充填される うになっている。樹脂が成形キャビティCV中 に完全に充填されると、光学平板71pは、成形 キャビティCV内の樹脂の中で沈んでいる状態 なる。そのため、光学平板71pの比重は、樹 より大きいことが好ましい。比重が小さい 合、光学平板71pが突起部63cにはめ込まれて ても、樹脂が射出されると浮力により硬化 の成形キャビティの上側に移動する傾向が じるため、光学素子内での光学ガラスの位 にばらつきが発生し、成形が安定しなくな てしまう可能性がある。

 以下、図1、2に示す金型61,62等を用いた具 体的成形方法について説明する。

 まず、図1の射出成形機10において、搬送 置20のハンド21等を利用して、可動金型62上 樹脂シールSMがセットされ、この樹脂シー SM上に光学平板71pがはめ込まれる。

 その後、射出成形機10により第1の型締め 行われ、固定金型61と可動金型62との間に成 形キャビティCVが形成され、固定金型61と可 金型62との合わせ面が密着せずにO-リング63a 固定金型61との接触部分は、密着した状態 なる。つまり、第1の型締め位置の状態にお て、成形キャビティCVの内側はO-リング63aに よって気密性が保たれた状態となる。この状 態で、図1の射出装置16の射出端16dを固定金型 61の樹脂注入孔61hに対して気密に当接させて ルブVを開く。真空ポンプ53aにより、O-リン 63aの内側にある孔52から成形キャビティCV内 の空気が排出され、成形キャビティCVの減圧 行われる。

 真空引き後、射出成形機10により固定金 61と可動金型62との合わせ面が密着しない第2 の型締めが行われ、シール本体63bと固定金型 61の輪帯面RSとの接触部分は、密着した状態 なる。つまり、第2の型締め位置の状態にお て、成形キャビティCVがシール本体63bによ て密閉された状態となる。そして、エネル ー硬化性樹脂である、例えば熱硬化性樹脂 射出装置16から成形キャビティCV内に射出さ る。

 熱硬化性樹脂が成形キャビティCV内に充 された後に、金型61、62が加熱され、熱硬化 樹脂が硬化する。熱硬化性樹脂の硬化が完 する前に、射出成形機10により第3の型締め 行われ、固定金型61の合わせ面と可動金型62 の合わせ面とが完全に密着した状態となる。 つまり、第3の型締め位置の状態において、 縮成形が行われることとなる。

 熱硬化性樹脂の硬化が完了した後、型開 され、成形品MPのスプル部71g等(図3参照)が ンド21に把持され、エジェクタピン82により ール本体63bを押し出すことにより、可動金 62から成形品MPが取り出される。

 以下、図1の射出成形装置100により成形さ れた成形品MPからの光学素子の製造方法につ て説明する。

 可動金型62から取り出された成形品MPは、 切断個片化される前に、表面に反射防止コー トや反射コート等が施される。なお、対象と する波長は、紫外線であっても可視光や赤外 光であってもよく、クラック発生等の問題が ない程度の数層のコートができればよい。

 図3は、図1の射出成形装置100によって形 された成形品MP、すなわちレンズアレイを説 明する図である。図3(A)は、レンズアレイ71の 平面図であり、図3(B)は、レンズアレイ71の側 面図であり、図3(C)は、レンズアレイ71から切 り出した光学素子の側面図である。

 図3(A)、図3(B)に示したレンズアレイ71は、 円板状の外形を有し、2次元的に配列された レイ状の多数の光学素子部分171aと、これら 学素子部分171a間をつなぐ支持体71bとを備え る。ここで、光学素子部分171aは、図2(B)及び2 (A)の金型61,62に設けた素子転写部61a,62aに対応 し、支持体71bは、金型61,62に設けた支持体転 部61b,62bに対応する。なお、レンズアレイ71 中心部には、三角錐状のスプル部71gが形成 れている。レンズアレイは、切断されるこ で、個片化され、図3に示す光学素子71a、す なわちレンズとなる。

 図3(C)に示すレンズにおいて、光学素子71a は、光学素子本体71dとフランジ部71eとを備え る。光学素子本体71dは、図3(A)等に示す光学 子部分171aに対応するものであり、フランジ 71eは、支持体71bを切断した際の残りの部分 ある。別の観点では、光学素子71aは、第1層 LA1と、第2層LA2と、第3層LA3とを積層した構造 なっている。光学素子本体71dの上側面は、 の第1光学面71jとなっており、光学素子本体 71dの下側面は、凹の第4光学面71kとなってい 。また、光学平板71pの上面、すなわち第1層L A1と第2層LA2との境界は、第2光学面71mとなっ おり、光学平板71pの下面、すなわち第2層LA2 第3層LA3との境界は、第3光学面71nとなって る。

 以上をまとめると、図1の射出成形装置100 において、光学平板71pを成形キャビティCV内 入れて、エネルギー硬化性樹脂と一体成形 ることにより、図3(C)に示すように、光学平 板71pである第2層LA2が樹脂の第1及び第3層LA1,LA 3に挟まれた構造の光学素子71aを成形するこ ができる。光学素子71aがこのような構造を することにより、樹脂部分の光路長を短く 、光学素子71aの光学性能が環境変動を受け くくすることができる。また、射出成形に り光学面71j,71k形状の高精度な成形転写性と 両面光学面71j,71kの同時成形と、両成形光学 面71j,71kの同軸度の確保とを簡易に実現する とができ、高効率で安価な光学素子を成形 ることができる。

 また、射出成形では、樹脂を高圧で成形 ャビティCVに注入することで、樹脂内部に 縮応力を与え、成形キャビティCV内で樹脂が 硬化反応により収縮しても、その圧縮応力の ために樹脂が両金型61,62に強く密着した状態 維持できるので、金型形状の高精度な成形 写性を得ることができる。さらに、エネル ー硬化性樹脂は一般的に粘度が低い樹脂材 であり、射出成形の際に成形キャビティCV 全体に静水圧的に成形圧力をかけることが きる。そのため、粘性の非常に高い樹脂、 えば熱可塑性樹脂を用いた成形のように、 ンナーやゲートの位置を精密に設計するこ なく、部分キャビティPCをアレイ状に配した 大量の成形品MPを射出成形することができる この結果、高い形状精度を有する成形品MP 光学素子71aを効率よく安価に成形すること できる。また、樹脂が低粘度で高い流動性 有することにより、回折溝や波長以下の大 さの微細構造を有する光学面の成形の際に 金型の細部まで樹脂が入り込みやすく、熱 塑性樹脂に比べて成形転写性が非常に優れ いる。

 また、射出成形されるエネルギー硬化性 脂の粘度は低い(一般に100~2000mPa・s)ため、 形キャビティCV内で光学平板71pの表裏面およ び外周面すべてに樹脂が回り込み、成形圧力 が全方向から静水圧的に光学平板71pにかかる 。このように全方向均等な圧縮力に対しては 、ほとんどの無機材料は高い強度を示し、成 形圧力として50~100Mpaをかけても破損すること がない。従って、エネルギー硬化性樹脂に圧 縮応力をかけた状態で、光学平板71pを可動金 型62中に支持して成形硬化することができる め、光学平板71pを成形キャビティCVに投入 ても射出成形をすることができる。

 また、射出成形時に成形キャビティCV内 真空にする真空成形を行うことにより、成 キャビティCV内に挿入された光学平板71pによ って樹脂の流れが妨げられず、光学素子71aに 気泡残りがほとんど発生しないため、収率を 向上し、確実な成形をすることができる。

 また、光学平板71pが平板であると、成形 ャビティCVに光学平板71pを挿入する際に、 形キャビティCV内で位置ずれすることに起因 するシフト誤差はなくなるため、光学平板71p にレンズ形状を設けた場合と比較して容易に 成形することができる。従って、成形中に成 形圧力の多少の不均衡で平板状の光学平板71p が浮き上がったとしても、平行平板であるか らその光軸方向の位置精度は光学性能にほと んど影響を与えないため、成形条件のばらつ き等に光学素子の光学性能が影響されにくく 安定して成形をすることができる。結果とし て、成形収率を高め、高品質で低価格な高精 度光学素子を得ることができる。

 また、予め光学平板71pの表面に光学コー を行うことにより、光学コート材料の多く 無機材料であり密着性がよく、また、光学 板71pは樹脂よりも線膨張係数が小さく吸湿 しにくいため、コート後の環境変動に対す コートのクラックやはがれの発生を防ぐこ ができる。さらに、光学平板71pは、射出成 により樹脂内に封入されるため、吸湿等の 境変動を防ぐことができる。

 また、金型61,62の素子転写部61a,62aをアレ 配置とすることにより、極めて高効率に多 の光学面を成形することができる。

 また、成形品MPの表面への光学コート作 は、切断する前の多数個の光学素子部分171a アレイ状に一体となった状態で光学コート 行うことにより一度に行うことができ、個 化された小さな光学素子を1つ1つコート治 に並べ、その治具を慎重に成膜チャンバー セットしてコートし、また1つ1つ、コー卜済 光学素子をコート治具から取り出すという、 単調で煩雑な作業が大幅に軽減することがで きる。特に光学素子部分171aの成形単位が100 ほどのアレイ状になると、このコート治具 の着脱工数が1/100になるだけでなく、成形品 MP、すなわちレンズアレイ71がある程度大き ために取扱いが楽になり、作業負担の軽減 それ以上となる。

 また、レンズアレイ71を切断して個片化 ることにより、単独の光学素子71aを多量に 率よく製作することができる。

 なお、図4は、図2に示す金型61、62の変形例 説明する図である。可動金型62には、図4に すように、型面62s上に流路溝62nを設けても い。これにより、流路溝62nから樹脂が入り み、可動金型62側の成形キャビティCVにも樹 脂がすばやく充填されるようになり、光学平 板71pの可動金型62側に熱硬化性樹脂を均一に 時間で注入することができる。また、突起 63cを可動金型62に非環状に設けてあるので 投入された光学平板71pの外周端とシール本 63bとの間に、突起部63cがない部分で弧状の 間ができるため、この隙間から樹脂が可動 型62側に短時間で流れ込むことができる。
〔実施例1〕
 本実施例では、単玉レンズの射出成形にお て、計34層の赤外反射コートを施したガラ 板を光学平板71pとし両金型61,62間に挿入して 両面を一度に成形し、光学部品1部品のみで 成されるレンズ系である光学素子71aとして る。なお、比較例として、VGA用単玉撮像レ ズにおいて、レンズの他にガラス基板に赤 反射コートを施したフィルタを1枚加えた、 学部品2部品で構成されるレンズ系を挙げる 。

 光学平板71pに予め光学コートを施す例に いて説明する。例えば、CCD撮像素子などに 像する撮影レンズの場合、CCDが有する高い 外感度を落とすために、結像光から赤外線 取り除く赤外反射コートが必要である。こ で、可視光では90%以上透過し赤外線には90% 上の高い反射率を有する赤外反射コートは 通常誘電体を30~40層に積層コートする必要 ある。このような多層コートでは、各層の ート時に生じる内部応力も累積するため、 ート膜全体には大きな応力を内在している そのため、基材が膨縮すると簡単に割れて 数のクラックが発生する。このクラックは 透過光を散乱させ画像のコントラストを著 く低下させるので、結像レンズとしてあっ はならないものである。樹脂材料を基材と 、その表面にこのような高機能性光学コー を成膜すると、温度や湿度で基材が膨縮す ので簡単にクラックを発生する。そのため 新たにガラス板などの無機材料に赤外反射 ートを施したフィルタ部品を要し、レンズ に組み込む必要がある。

 本実施例において、レンズとして樹脂成 される前の光学平板71pに、予めこのような 機能光学コートをクラックの発生なく、か 成形の段取りや手間を増やすことなく施す とができる。また、光学系の部品点数も減 すことができる。

 本実施例では、ガラス板の赤外反射コート 反対面に反射防止コートを施さなかったが 樹脂とガラス板との屈折率が1.51とほぼ同じ ため、別部品の時では発生したこの面での光 線の反射がほとんどなくなり、画像領域によ ってはコントラスト感度(MTF)が8%近くも高く り、極めてコントラストの高い抜けのよい 像性能が得られた。さらに、温度変動によ 性能変動(具体的には焦点移動)についても、 本発明の単玉レンズでは光学平板71pであるガ ラス板の存在によって樹脂厚みが薄くなって 変動量が約半減し、固定焦点光学系として十 分な性能を維持することができた。また、フ ィルタがないことによって、成形レンズとCCD との距離を近づけることができるため、全長 の短い軽量コンパクトな撮像カメラが実現で き、携帯電話などの厚み方向の制約が厳しい 用途に対して、大きな意匠優位性も得ること ができた。
〔第2実施形態〕
 図5は、第2実施形態に係る積層型のレンズ レイの構造を説明する断面図である。なお 第2実施形態のレンズアレイは、第1実施形態 のレンズアレイ71を部分的に変更して積層し ものであり、特に説明しない部分は、第1実 施形態と同様であるものとする。

 レンズアレイ171は、図1の射出成形装置100 を用いて成形した2つのレンズアレイ171q,171r 絞り板72sとを積層して、接着した組レンズ なっている。各レンズアレイ171q,171r、絞り 72sは、それぞれ対応する金型61,62を用いて図 1の射出成形装置100によって射出成形される

 レンズアレイ171qは、アレイ状の多数の光 学素子部分72aと、これら光学素子部分72a間を つなぐ支持体172bとを備える。一方、レンズ レイ171rは、アレイ状の多数の光学素子部分7 3aと、これら光学素子部分73a間をつなぐ支持 173bとを備える。また、光学素子172a,173aは、 それぞれ光学素子本体172d,173dとフランジ部172 e,173eとを備える。光学素子本体172d,173dは、光 学素子部分72a,73aに対応するものであり、フ ンジ部172e,173eは、支持体172b,173bを切断した の残りの部分である。別の観点では、光学 子172a,173aは、上下2つ樹脂層間にそれぞれ光 平板172p,173pを挟んだ構造を有している。光 素子本体172dの上面側は第1光学面172jとなっ おり、光学平板172pの上面は第2光学面172mと っており、光学平板172pの下面は第3光学面17 2nとなっており、光学素子本体172dの下面側は 第4光学面172kとなっている。また、光学素子 体173dの上面側は第1光学面173jとなっており 光学平板173pの上面は第2光学面173mとなって り、光学平板173pの下面は第3光学面173nとな ており、光学素子本体173dの下面側は第4光 面173kとなっている。

 レンズアレイ171q,171rにそれぞれ設けた支 体172b,173bは、光学素子部分72a,73aと一体又は 独立しており、レンズアレイ171q,171rや絞り板 72s等の連結部分Rとなる。この連結部分Rによ 、レンズアレイ171q,171r、及び絞り板72s間等 間隔が決まる。

 絞り板72sは、光吸収成分を添加した樹脂 で成形されている。絞り板72sは、レンズア イ171q上に固定されている。絞り板72sは、光 学素子172a,173aに不要な光線が入射することを 防止している。

 レンズアレイ171q,171rや絞り板72sは、この 結部分Rで互いにアライメントされて積層さ れており、接着剤等によって固定されている 。レンズアレイ171は、図5の破線部分CLで切断 されることで、個片化され、図6に示す光学 子172a,173a、すなわちレンズとなる。

 図6は、図5のレンズアレイ171から切り出 れた結像部181を組み込んだ撮像装置の構造 説明する側方断面図である。

 撮像装置180は、直方体状の装置であり、 を形成するための結像部181と、カバーガラ 183と、結像部181とによって形成された像を 出する撮像素子182とを備える。

 結像部181は、レンズアレイ171q,171rに対応 る光学素子172a,173aと、絞り板72sに対応する り板172sとを備える結像用の光学素子ユニッ トである。つまり、結像部181は、2枚玉のレ ズであるが、8個の光学面を備える。

 カバーガラス183は、スペーサを介して撮 素子182と接合しており、撮像素子182に塵等 入るのを防いでいる。

 撮像素子182は、例えばCMOS型のイメージセ ンサ等を含む半導体集積回路を表面に形成し た回路チップであり、表面側に投射像を電気 信号に変換する受光領域SAを有している。撮 素子182は、接着剤等によってカバーガラス1 83に固定されている。

 なお、以上の説明では省略したが、結像 181や撮像素子182の側面に遮光体184を設ける ともできる。遮光体184は、筒状の部材とし 結像部181等の周囲に固定することもできる 、筐体として結像部181等を収納する構造と ることもできる。

 以上説明したレンズアレイにおいて、レ ズアレイ171q,171r、絞り板72sを切断する前に み上げることにより、個片化された光学素 を1つ1つ光軸を合わせて組み上げる手間を くことができる。また、光学面172j,172k,172m,17 2n,173j,173k,173m,173nの各位置関係は金型61,62によ り正確に決まるため、各レンズアレイ171q,171r について、積層時にそれぞれ全体の軸合わせ をすればその成形された中での光学面172j,172k ,172m,172n,173j,173k,173m,173nの光軸合わせは自動的 に決まる。その結果、極めて簡単に多数の組 レンズを組み上げることができる。

 なお、図5のレンズアレイ171q,171rは、支持 体172b,173bを連結部分Rとしたが、別部品とし スペーサ等を積層して連結部分Rとしてもよ 。この場合、スペーサとレンズアレイ171と 積層位置が決まるように、ダボ勘合等を設 ると組み立てに調整を必要としなくなる。

 また、絞り板72s,172sは、不要な光線を反射 るクロムを表面にコートしたガラス板であ てもよい。
〔実施例2〕
 以下、第2実施形態のレンズユニットの具体 的実施例について説明する。

 図7は、ガラス板を樹脂で挟んだレンズを 用いた場合の撮像レンズの性能を説明する図 であり、図7(A)は、レンズの構造を示す断面 であり、図7(B)は、その空間周波数特性を示 図である。図8は、図7の比較例であり、樹 のみの撮像レンズを用いた場合のレンズの 能を説明する図である。図8(A)は、レンズの 造を示す断面図であり、図8(B)は、その空間 周波数特性を示す図である。ここで、図7、8 グラフの横軸は像高、縦軸はコントラスト 度(MTF)を示す。なお、図7(A)、図8(A)の実線SL サジタル方向の空間周波数特性を表し、破 BLはタンジェンシャル方向の空間周波数特 を表す。このうち、データL3,L2,L1は、それぞ れナイキスト周波数に対して1/2、1/4、1/8の周 波数におけるMTFを表す。ここで、図7(A)にお て、光学系の焦点距離が3.0、光学系の全長 3.2、レンズ74のFNOが2.88、樹脂P1の屈折率が1.4 8、樹脂P2の屈折率が1.59、ガラスGの屈折率が1 .52である。一方、図8(A)において、光学系の 点距離が2.8、光学系の全長が3.2、レンズ75の FNOが2.88、屈折率が1.53である。図7(A)及び図8(A )の光学系の条件は、それぞれの光学系で最 化されたものとなっており、図8(A)の光学系 はレンズ75の入射側に赤外反射フィルタが けられている。

 図7(B)と図8(B)とを比較すると、図7(B)のMTF 値の方が大きいことがわかる。つまり、図7 (A)の撮像レンズの方が、コントラストの高い 結像性能を有する。

 なお、図7(A)のレンズの最大樹脂厚は0.46mm 程度であり、図8(A)のレンズの樹脂厚は程度1. 0mmである。樹脂の間に光学平板71pを挟むこと により、比較的厚いレンズであっても樹脂の 厚さを薄くすることが実現可能となっている 。

 以上実施形態に即して本発明を説明した 、本発明は、上記実施形態に限定されるも ではなく、様々な変形が可能である。例え 、エネルギー硬化性樹脂に熱硬化性樹脂を いて金型61,62を加熱することにより樹脂を 化させたが、紫外線硬化性樹脂等を用いた 合には、成形時に紫外線を照射する等、樹 の性質に即した処理を行い、硬化させても い。具体的には、紫外線硬化性樹脂を用い 射出成形する場合、成形キャビティCV内に紫 外線が照射されるように、可動金型62を透明 する。

 また、上記実施形態において、成形キャ ティCV内に光学平板71pを1枚挿入したが、図9 に示すように、光学平板71pを2枚挿入しても い。この場合、樹脂シールSMの突起部63cには 2つの段差65a,65bを設ける必要がある。この段 65a,65bにそれぞれ光学平板71pをはめ込むこと により、光学平板71pとシール本体63bとの間に 隙間ができ、2枚の光学平板71p,71p間にも樹脂 注入することができる。なお、光学平板71p 枚数は用途に合わせて変更可能である。

 また、上記実施形態において、成形キャ ティCV内に光学平板71pを挿入したが、図10に 示すように、レンズアレイ71を挿入してもよ 。レンズアレイ71には、両面に樹脂層66a,66b あり、再度射出成形することにより、さら 樹脂層を成形することができ、レンズアレ 71の光学面をさらに増やすことができる。 えば屈折率の異なる樹脂を用いて成形した 合、レンズアレイを組み上げるよりも簡単 接合レンズを作製することができる。

 また、上記実施形態において、転写光学 である素子転写部61a,62aの配置をアレイ状と したが、単一であってもよい。

 また、上記実施形態において、光学平板7 1p及びレンズアレイ71に光学コート等を施し が、光学コート等を施さなくてもよい。

 また、上記実施形態において、透明な無 材料として、ガラス製の光学平板71pを用い が、光学平板71pの材料として光学結晶を用 てもよい。ここで、光学結晶は多結晶であ ても単結晶であってもよい。例えば、樹脂 赤外線を吸収してもある程度は透過できる に対して、可視光で使われる光学ガラスは 長2μm以上の赤外線はほとんど透過しないの で、このような用途の光学素子には使えない からである。赤外透過率が高い結晶としては 、シリコンやゲルマニウム等があり、これら は同時に高い屈折率も有している。酸化タン タルなどでは、赤外線だけでなく可視光でも 高い透過率を有しており、かつ高い屈折率(2 上)を有しているという特徴がある。また、 樹脂は300nm近くまでの紫外線を透過できるも があるが、通常の光学ガラスではこの領域 高い透過率を有するものはない。しかし、 化カルシウム等の光学結晶は紫外線におい 高い透過率を有する。このように、光学結 は通常の光学ガラスと異なる高い赤外透過 や紫外線透過率、高い屈折率や低い分散な の特徴を有している。このような光学結晶 射出成形の基材である光学平板71pとして用 ることにより、成形された光学素子71aに高 光学性能を持たせることができる。

 また、透明な無機材料として、セラミッ クスを用いてもよい。セラミックスの場合 、赤外透過率の高い材料や高屈折率な材料 あり、射出成形の基材である光学平板71pと て用いることにより、成形された光学素子7 1aに高い光学性能を持たせることができる。

 また、上記実施形態において、光学平板7 1pの形状を平板状としたが、光学平板71pが光 転写面、即ち素子転写部61aや素子転写部62a 対向する1個のレンズ形状やアレイ状につな がった複数のレンズ形状を有していてもよい 。レンズ形状は、凸面であっても凹面であっ てもよく、光学平板71pの片側の面が平面であ ってもよい。いずれの形状であっても、光学 平板71pの両面に樹脂層が成形されれば、光学 平板71pにかかる応力が分散され、大きな温度 変化において線膨張係数の違いから光学平板 71pが反ったり割れたりするのを防ぐことがで きる。なお、以上のことは光学平板71pの材料 として光学結晶やセラミックスを用いた場合 も同様である。

 また、上記実施形態において、成形光学 71j,71kをそれぞれ凸、凹の球面状としたが、 非球面形状としてもよい。光学面形状を非球 面形状とすることにより、光学設計の自由度 が大きくなる。そのため、成形された光学素 子71aの用途を撮像レンズや対物レンズ、コリ メーターレンズ、回折レンズ等へ拡大できる だけでなく、同一レンズ枚数を単に積層する よりも高性能な光学素子を製造することがで きる。すなわち、透明な光学平板71pの表裏面 も光学面71m,71nとして扱えるので、成形光学 71j,71kが表裏2面の非球面形状としてこれと組 み合わせると、光学面4面を使った収差補正 できるため、極めて高精度高次元で光学性 を設計することができる。具体的には、通 では2枚のレンズ系によるCCD画素数2メガのモ ジュールカメラ用撮像レンズにおいて、ガラ ス板を間に挟んだ非球面形状の樹脂レンズを 設計すると、従来の2枚玉4面のみ非球面を使 た光学設計と比べ、MTFの値が最外周で20%程 上する。

 また、上記実施形態において、樹脂シー SMは、一体化された部材としたが、シール 体63bと突起部63cとがそれぞれ独立したもの あってもよい。

 また、上記実施形態において、金型の動 について、第1から第3の型締めを順番に行 たが、第2及び第3の型締めを同時に行っても よい。すなわち、最初の型締めにおいて、成 形キャビティCVの内側を気密性が保たれた状 にし、真空引きを行い、次の型締めにおい 、成形キャビティCVが密閉された状態とす 。

 また、上記実施形態において、射出成形 際に真空引きを行わず、成形キャビティCV の空気を逃がしながら樹脂を充填させる方 を用いてもよい。

 また、上記実施形態において、射出成形 置100を竪型とし、金型61,62の開閉方向を鉛 方向とし、樹脂を成形キャビティCVに注入す るスプル部71gを上型としたが、固定金型61を 側として固定金型61の下方にノズルを配し もよい。また、金型61,62の開閉方向が水平と なる横型の射出成形装置であってもよい。こ の場合、流動性の高いエネルギー硬化性樹脂 が成形キャビティCV内に静かに充填されるよ に、スプル部71gの位置を成形キャビティCV 最下方とし、ノズル位置を下げると均質に 化させることができる。