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Patent Searching and Data


Title:
MULTI-ELEMENT LITHIUM PHOSPHATE COMPOUND PARTICLES HAVING OLIVINE STRUCTURE, METHOD FOR PRODUCING SAME, AND LITHIUM SECONDARY BATTERY USING SAME IN POSITIVE ELECTRODE MATERIAL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2010/047334
Kind Code:
A1
Abstract:
Multi-element lithium phosphate compound particles having an olivine structure, which are represented by the following general formula: LiYM11-ZM2ZPO4 (wherein M1 represents one metal element selected from a group consisting of Fe, Mn and Co; Y represents a number satisfying 0.9 ≤ Y ≤ 1.2; M2 represents at least one metal element other than M1 and selected from a group consisting of Mn, Co, Mg, Ti and Al; and Z represents a number satisfying 0 < Z ≤ 0.1).  The multi-element lithium phosphate compound particles are characterized in that the concentration of the metal element M2 in the particle surface is higher than that in the particle center, and that the concentration of the metal element M2 is continuously decreased from the particle surface to the particle center.

Inventors:
ABE HIDETOSHI (JP)
SUZUKI TOMONORI (JP)
EGURO TAKASHI (JP)
KANAMURA KIYOSHI (JP)
SAITO MITSUMASA (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/068074
Publication Date:
April 29, 2010
Filing Date:
October 20, 2009
Export Citation:
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Assignee:
FURUKAWA BATTERY CO LTD (JP)
UNIV TOKYO METROPOLITAN (JP)
SUMITOMO OSAKA CEMENT CO LTD (JP)
ABE HIDETOSHI (JP)
SUZUKI TOMONORI (JP)
EGURO TAKASHI (JP)
KANAMURA KIYOSHI (JP)
SAITO MITSUMASA (JP)
International Classes:
C01B25/45; H01M4/36; H01M4/58; H01M10/052; H01M10/0566
Domestic Patent References:
WO2007034821A12007-03-29
Foreign References:
JP2004063270A2004-02-26
JP2007103298A2007-04-19
JP2005050684A2005-02-24
JPH09134724A1997-05-20
JPH09134725A1997-05-20
JP2001085010A2001-03-30
JP2001110414A2001-04-20
JP2005116392A2005-04-28
JP2003292309A2003-10-15
JP2003157845A2003-05-30
Other References:
See also references of EP 2360119A4
JOURNAL OF POWER SOURCES, vol. 146, 2005, pages 580 - 583
Attorney, Agent or Firm:
SUZUYE, Takehiko et al. (JP)
Takehiko Suzue (JP)
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Claims:
 一般式Li Y M1 1-Z M2 Z PO 4 (但し、M1はFe、Mn、及びCoからなる群から選択される1種の金属元素であり、Yは式0.9≦Y≦1.2を満たす数であり、M2はMn、Co、Mg、Ti、及びAlからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素でかつM1以外の金属元素であり、Zは式0<Z≦0.1を満たす数である)で表される、オリビン構造を有する多元系リン酸リチウム化合物粒子であって、粒子表面の金属元素M2の濃度が粒子中心部の濃度よりも高く、かつ金属元素M2の濃度が粒子表面から粒子中心部へ向かって連続的に低下していることを特徴とする多元系リン酸リチウム化合物粒子。
 一般式Li x M1PO 4 (但し、M1はFe、Mn、及びCoからなる群から選択される1種の金属元素であり、Xは式0.9≦X≦1.2を満たす数である)で表されるオリビン構造を有するリン酸M1リチウム化合物と、1種以上の一般式Li x M2PO 4 (但し、M2はMn、Co、Mg、Ti、及びAlからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素であり、Xは式0.9≦X≦1.2を満たす数である)で表されるオリビン構造を有するリン酸M2リチウム化合物の前駆体と、炭素または炭素源とを混合し、これを不活性雰囲気または真空中で熱処理することによって得られた、オリビン構造を有する多元系リン酸リチウム化合物とカーボンとの複合体粒子であって、粒子表面の金属元素M2の濃度が粒子中心部の濃度よりも高く、かつ金属元素M2の濃度が粒子表面から粒子中心部へ向かって連続的に低下している、一般式Li Y M1 1-Z M2 Z PO 4 (但し、M1はFe、Mn、及びCoからなる群から選択される1種の金属元素であり、Yは式0.9≦Y≦1.2を満たす数であり、M2はMn、Co、Mg、Ti、及びAlからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素でかつM1で選択した以外の金属元素であり、Zは式0<Z≦0.1を満たす数である)で表されるオリビン構造を有する多元系リン酸リチウム化合物とカーボンとの複合体粒子。
 一般式Li x M1PO 4 (但し、M1はFe、Mn、及びCoからなる群から選択される1種の金属元素であり、Xは式0.9≦X≦1.2を満たす数である)で表されるオリビン構造を有するリン酸M1リチウム化合物と、一般式Li x M2PO 4 (但し、M2はMn、Co、Mg、Ti、及びAlからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素であり、Xは式0.9≦X≦1.2を満たす数である)で表されるオリビン構造を有するリン酸M2リチウム化合物の前駆体とを混合する工程、及び
 前記混合物を不活性雰囲気または真空中で熱処理し、粒子表面付近の金属元素M2の濃度が粒子中心部の濃度よりも高く、かつ金属元素M2の濃度が粒子表面から粒子中心部へ向かって連続的に低下している、一般式Li Y M1 1-Z M2 Z PO 4 (但し、M1はFe、Mn、及びCoからなる群から選択される1種の金属元素であり、Yは式0.9≦Y≦1.2を満たす数であり、M2はMn、Co、Mg、Ti、及びAlからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素でかつM1で選択した以外の金属元素であり、Zは式0<Z≦0.1を満たす数である)で表されるオリビン構造を有する多元系リン酸リチウム化合物粒子を得る工程
 を具備することを特徴とするオリビン構造を有する多元系リン酸リチウム化合物粒子の製造方法。
 前記リン酸M2リチウム化合物の前駆体が、リン酸M2リチウムの化学量論を満足するリン酸リチウム及びM2リン酸塩の混合物であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
 一般式Li x M1PO 4 (但し、M1はFe、Mn、及びCoからなる群から選択される1種の金属元素であり、Xは式0.9≦X≦1.2を満たす数である)で表されるオリビン構造を有するリン酸M1リチウム化合物と、1種以上の一般式Li x M2PO 4 (但し、M2はMn、Co、Mg、Ti、及びAlからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素であり、Xは式0.9≦X≦1.2を満たす数である)で表されるオリビン構造を有するリン酸M2リチウム化合物の前駆体と、炭素または炭素源とを混合する工程、及び
 前記混合物を不活性雰囲気または真空中で熱処理し、粒子表面付近の金属元素M2の濃度が粒子中心部の濃度よりも高く、かつ金属元素M2の濃度が粒子表面から粒子中心部へ向かって連続的に低下している、一般式Li Y M1 1-Z M2 Z PO 4 (但し、M1はFe、Mn、及びCoからなる群から選択される1種の金属元素であり、Yは式0.9≦Y≦1.2を満たす数であり、M2はMn、Co、Mg、Ti、及びAlからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素でかつM1で選択した以外の金属元素であり、Zは式0<Z≦0.1を満たす数である)で表されるオリビン構造を有する多元系リン酸リチウム化合物とカーボンとの複合体粒子を得る工程
 を具備することを特徴とするオリビン構造を有する多元系リン酸リチウム化合物とカーボンとの複合体粒子の製造方法。
 前記リン酸M2リチウム化合物の前駆体が、リン酸M2リチウムの化学量論を満足するリン酸リチウム及びM2リン酸塩の混合物であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
 正極、負極及びリチウム塩を含む電解液を備えたリチウム二次電池において、前記正極は、請求項1に記載のオリビン構造を有する多元系リン酸リチウム化合物粒子または請求項2に記載のオリビン構造を有する多元系リン酸リチウム化合物とカーボンとの複合体粒子を少なくとも含むことを特徴とするリチウム二次電池。
Description:
オリビン構造を有する多元系リ 酸リチウム化合物粒子、その製造方法及び れを正極材料に用いたリチウム二次電池

 本発明は、オリビン構造を有する多元系 ン酸リチウム化合物粒子及びその製造方法 これを正極材料に用いたリチウム二次電池 関する。

 リチウム金属、リチウム合金、又はリチ ムイオンを吸蔵、放出可能な物質を負極活 質とするリチウム二次電池は、高い電圧と れた可逆性を有することを特徴としている 特に、正極活物質としてリチウムと遷移金 との複合酸化物を用い、負極活物質として 素系材料を用いたリチウムイオン二次電池 、従来の鉛二次電池やニッケル-カドミウム 二次電池などに比較し、軽量で放電容量も大 きいことから、様々な電子機器用電源として 広く使用されている。

 現在、一般的に用いられているリチウムイ ン二次電池の正極活物質としては、主にLiCo O 2 、LiNiO 2 、LiMnO 2 、あるいはLiMn 2 O 4 が用いられている。しかし、コバルトやニッ ケルは埋蔵量が少なく、しかも限られた地域 でしか産出しない。そのために、これらの金 属を含む材料は、今後より一層の需要増加が 見込まれるリチウムイオン二次電池の正極活 物質としては、価格の面からも原料の安定供 給の面からも制約されている。また、安全性 の面からも、これらの活物質では反応性が高 いために問題になることがある。また、マン ガンは比較的安価な材料ではあるが、マンガ ンを含む物質を正極活物質として用いること は、サイクル特性の安定性に問題がある。

 このために、産出量が多く安価で安定な 給が見込まれる鉄を原料に用いたリン酸鉄 チウムあるいはリン酸鉄リチウムの鉄の一 を他元素で置換した材料を、リチウム二次 池の正極活物質として用いることが、特許 献1~3などで提案されている。

 しかしながら、これらのオリビン構造を有 るリン酸リチウム化合物は、従来用いられ きたLiCoO 2 などのリチウム金属酸化物に比べて電気抵抗 が非常に大きいため、充放電を行った場合に 抵抗分極が増大し、十分な放電容量が得られ ないことや充電では受入れ性が悪いといった 問題があった。特にその傾向は大電流の充放 電では顕著であった。

 こうした問題を解決する方法として、オ ビン構造を有するリン酸リチウム系材料の 子を微細化して反応面積を増やし、リチウ イオンの拡散を容易にして電子がリン酸鉄 チウム系材料粒子内部を流れる距離を短く ることが考えられている。しかし、オリビ 構造を有するリン酸リチウム系材料の微細 子は、電極作製時にカーボンブラック等の 電材と混合する際に二次凝集を起こしやす という特性を有している。この二次凝集を こすと、凝集粒内部ではリン酸鉄リチウム 材料粒子同士、および導電剤が点で接触し いるために、十分な集電効果が得られずに 気抵抗が非常に大きくなるといった問題が った。そのために凝集粒子中央部の活物質 電池の充放電を行っても電子伝導が起こら 、充放電容量が低下していた。

 更に、微細粒子は大きな表面積を持つた に、電解液への溶解量が増大しやすくなり 長期安定性に問題があった。また、大きな 面積のために電極作製時のスラリー調製で 必要な分散媒の量が多くなり、必要塗工量 得られ難いことや、乾燥時にひび割れが生 やすいこと、十分な圧縮が困難な為に高容 化し難い等の問題もあった。

 このため、リン酸鉄リチウム系材料の微 粒子上に、導電性であり、かつリン酸鉄リ ウム系材料の酸化還元電位よりも貴な銀、 素、白金、パラジウム等の微粒子を担持さ ることが提案されている(例えば、特許文献 4参照)。

 また、導電剤としてカーボンを使用し、L i源と、Fe源と、P源とC源とO源を含有する溶液 、分散液、懸濁液を高温雰囲気中に噴霧して 前駆体とし、これを還元性雰囲気または不活 性雰囲気で熱処理して、炭素をリン酸鉄リチ ウム系粒子表面に均一に分散する方法が提案 されている(例えば、特許文献5参照)。

 また、粒子間の導電性を更に向上させる方 として、LiFePO 4 の粒子表面を炭素質物質で被覆してなるリチ ウム鉄リン系複合酸化物炭素複合体で、炭素 複合体が平均粒径0.5μm以下の物性を持つもの が公知である(例えば、特許文献6参照)。

 さらに、リン酸リチウム中の鉄の酸化還 電位は他元素より低く、例えば一般的なコ ルト酸リチウムと比較すると0.2Vも低いこと が知られている。そこで、抵抗低減と電位上 昇を目的として、リン酸またはリン酸を含む 溶液中で鉄、コバルト、マンガン、ニッケル 、銅およびバナジウムからなる群より選ばれ る金属を含有する1種または複数種の化合物 、リチウムを含有する1種または複数種の化 物を反応させ、その後所定の温度に焼成す ことが記載されている(例えば、特許文献7 照)。

 また、Journal of Power sources 146 (2005) 580- 583 等では、リン酸鉄リチウムの鉄の一部を バルトで置換する方法が提案されている(例 えば、非特許文献1参照)。

特開平9-134724号公報

特開平9-134725号公報

特開2001-085010号公報

特開2001-110414号公報

特開2005-116392号公報

特開2003-292309号公報

特開2003-157845号公報

Journal of Power sources 146 (2005) 580-583

 しかしながら、上記の特許文献4に記載の 技術では、リン酸鉄リチウム系材料の微細粒 子上に金属粒子を担持させるため、金属粒子 は化学的な変性も受けやすく、安定性に問題 があった。さらに粒子同士の接続なので低い 集電性の問題も十分に解決されなかった。特 許文献5の技術では、導電剤としてカーボン 使用し、これを粒子表面に均一に分散する 法であるが、この方法でも分散効果が不十 であり、十分な集電効果は期待できなかっ 。

 また、粒子間の導電性を更に向上させる 法としての特許文献6に記載の技術は、電池 活物質として高度な粒度制御を必要とするた め、そのような制御が著しく制御が困難であ るといった問題があった。

 また、特許文献7及び非特許文献1の技術 、数種類の金属塩水溶液または各原料粉を 一混合してから前駆体を作製し、これを焼 することにより多元系のオリビン型化合物 製造する方法である。しかしこれらの方法 は、純粋なオリビン型化合物を得るために 駆体の組成制御が複雑であり、また結晶性 高まり易く、十分な導電性が得られ難いこ や、粒度制御が困難であるなどの問題点を している。

 オリビン型リン酸Mリチウム系材料(Mは金 )の粒子表面は、バルクと比較して結晶性が 低いため、アモルファス状になっていると考 えられている。このため、空気中での放置に より二価の金属が酸化され、より抵抗の大き な三価のリン酸塩に変化する。これにより、 初充電時に大きな分極を発生するので、放置 条件が厳しいことや活性化が複雑になること や、抵抗成分が残留するという問題もある。 この問題は活物質の粒子径が小さく表面積が 大きいほど顕著になる。

 本発明の第1の態様によると、一般式Li Y M1 1-Z M2 Z PO 4 (但し、M1はFe、Mn、及びCoからなる群から選択 される1種の金属元素であり、Yは式0.9≦Y≦1.2 を満たす数であり、M2はMn、Co、Mg、Ti、及びAl からなる群から選択される少なくとも1種の 属元素でかつM1以外の金属元素であり、Zは 0<Z≦0.1を満たす数である)で表される、オ ビン構造を有する多元系リン酸リチウム化 物粒子であって、粒子表面の金属元素M2の 度が粒子中心部の濃度よりも高く、かつ金 元素M2の濃度が粒子表面から粒子中心部へ向 かって連続的に低下していることを特徴とす る多元系リン酸リチウム化合物粒子が提供さ れる。

 本発明の第2の態様によると、一般式Li x M1PO 4 (但し、M1はFe、Mn、及びCoからなる群から選択 される1種の金属元素であり、Xは式0.9≦X≦1.2 を満たす数である)で表されるオリビン構造 有するリン酸M1リチウム化合物と、1種以上 一般式Li x M2PO 4 (但し、M2はMn、Co、Mg、Ti、及びAlからなる群 ら選択される少なくとも1種の金属元素であ 、Xは式0.9≦X≦1.2を満たす数である)で表さ るオリビン構造を有するリン酸M2リチウム 合物の前駆体と、炭素または炭素源とを混 し、これを不活性雰囲気または真空中で熱 理することによって得られた、オリビン構 を有する多元系リン酸リチウム化合物とカ ボンとの複合体粒子であって、粒子表面の 属元素M2の濃度が粒子中心部の濃度よりも高 く、かつ金属元素M2の濃度が粒子表面から粒 中心部へ向かって連続的に低下している、 般式Li Y M1 1-Z M2 Z PO 4 (但し、M1はFe、Mn、及びCoからなる群から選択 される1種の金属元素であり、Yは式0.9≦Y≦1.2 を満たす数であり、M2はMn、Co、Mg、Ti、及びAl からなる群から選択される少なくとも1種の 属元素でかつM1で選択した以外の金属元素で あり、Zは式0<Z≦0.1を満たす数である)で表 れるオリビン構造を有する多元系リン酸リ ウム化合物とカーボンとの複合体粒子が提 される。

 本発明の第3の態様によると、一般式Li x M1PO 4 (但し、M1はFe、Mn、及びCoからなる群から選択 される1種の金属元素であり、Xは式0.9≦X≦1.2 を満たす数である)で表されるオリビン構造 有するリン酸M1リチウム化合物と、一般式Li x M2PO 4 (但し、M2はMn、Co、Mg、Ti、及びAlからなる群 ら選択される少なくとも1種の金属元素であ 、Xは式0.9≦X≦1.2を満たす数である)で表さ るオリビン構造を有するリン酸M2リチウム 合物の前駆体とを混合する工程、及び前記 合物を不活性雰囲気または真空中で熱処理 、粒子表面付近の金属元素M2の濃度が粒子中 心部の濃度よりも高く、かつ金属元素M2の濃 が粒子表面から粒子中心部へ向かって連続 に低下している、一般式Li Y M1 1-Z M2 Z PO 4 (但し、M1はFe、Mn、及びCoからなる群から選択 される1種の金属元素であり、Yは式0.9≦Y≦1.2 を満たす数であり、M2はMn、Co、Mg、Ti、及びAl からなる群から選択される少なくとも1種の 属元素でかつM1で選択した以外の金属元素で あり、Zは式0<Z≦0.1を満たす数である)で表 れるオリビン構造を有する多元系リン酸リ ウム化合物粒子を得る工程を具備すること 特徴とするオリビン構造を有する多元系リ 酸リチウム化合物粒子の製造方法が提供さ る。

 本発明の第4の態様によると、一般式Li x M1PO 4 (但し、M1はFe、Mn、及びCoからなる群から選択 される1種の金属元素であり、Xは式0.9≦X≦1.2 を満たす数である)で表されるオリビン構造 有するリン酸M1リチウム化合物と、1種以上 一般式Li x M2PO 4 (但し、M2はMn、Co、Mg、Ti、及びAlからなる群 ら選択される少なくとも1種の金属元素であ 、Xは式0.9≦X≦1.2を満たす数である)で表さ るオリビン構造を有するリン酸M2リチウム 合物の前駆体と、炭素または炭素源とを混 する工程、及び前記混合物を不活性雰囲気 たは真空中で熱処理し、粒子表面付近の金 元素M2の濃度が粒子中心部の濃度よりも高く 、かつ金属元素M2の濃度が粒子表面から粒子 心部へ向かって連続的に低下している、一 式Li Y M1 1-Z M2 Z PO 4 (但し、M1はFe、Mn、及びCoからなる群から選択 される1種の金属元素であり、Yは式0.9≦Y≦1.2 を満たす数であり、M2はMn、Co、Mg、Ti、及びAl からなる群から選択される少なくとも1種の 属元素でかつM1で選択した以外の金属元素で あり、Zは式0<Z≦0.1を満たす数である)で表 れるオリビン構造を有する多元系リン酸リ ウム化合物とカーボンとの複合体粒子を得 工程を具備することを特徴とするオリビン 造を有する多元系リン酸リチウム化合物と ーボンとの複合体粒子の製造方法が提供さ る。

 以上の本発明の第3及び第4の態様に係る 法において、前記リン酸M2リチウム化合物の 前駆体として、リン酸M2リチウムの化学量論 満足するリン酸リチウム及びM2リン酸塩の 合物を用いることが出来る。

 本発明の第5の態様によると、正極、負極 及びリチウム塩を含む電解液を備えたリチウ ム二次電池において、前記正極は、請求項1 記載のオリビン構造を有する多元系リン酸 チウム化合物粒子または請求項2に記載のオ ビン構造を有する多元系リン酸リチウム化 物とカーボンとの複合体粒子を少なくとも むことを特徴とするリチウム二次電池が提 される。

 本発明によると、リチウム二次電池正極 物質を容易に製造することができ、しかも 物質粒子内部および粒子間での導電性が向 するとともにリチウムイオンの移動を円滑 することができ、高率充放電性能に優れた 極活物質およびリチウム二次電池を得るこ ができる。

図1は、オリビン構造を有するリン酸M1M 2リチウム化合物粒子において、M2の濃度が粒 子表面から粒子中心部へ向かって連続的に低 下している状態を模式的に示す説明図である 。 図2は、従来の各濃度が均一なオリビン 構造を有するリン酸M1M2リチウム化合物粒子 模式的に示す説明図である。 図3は、粉体A,粉体D,粉体HのX線回折パタ ーンである。 図4は、図3の2θ=30°付近に出現するピー クの拡大図である。

 本発明の一態様に係るオリビン構造を有 る多元系リン酸リチウム化合物は、オリビ 構造を有するリン酸M1リチウム化合物(但し M1はFe,Mn,及びCoからなる群から選択される1 の金属元素)と、オリビン構造を有するリン M2リチウム化合物(但し、M2はMn,Co,Mg,Ti,及びAl からなる群から選択される少なくとも1種の 属で、かつM1で選択した以外の金属元素)の 駆体とを混合し、これを不活性雰囲気また 真空中で熱処理することにより製造され得 。

 リン酸M1リチウム化合物は、一般式Li X M1PO 4 (但し、M1はFe,Mn,Coからなる群から選択される1 種の金属元素、0.9≦X≦1.2)で表される化合物 あり、リン酸M2リチウム化合物は、一般式Li X M2PO 4 (但し、M2はMn,Co,Mg,Ti,Alからなる群から選択さ る少なくとも1種の金属で、かつM1で選択し 以外の金属元素、0.9≦X≦1.2)で表される化 物である。

 以上の式において、Xが0.9未満の場合には 、1から大きくずれると安定した単相に成り くいと共に、活物質として部分充電状態と り、電池設計上、またはMの原子価を2とする 上で好ましくなく、1.2を超える場合は、安定 した単相に成りにくいと共に、遊離のLiが増 するので水性ペーストにする場合にアルカ 度が高くなり、好ましくない。

 ここで得られる多元系リン酸リチウム化合 は、一般式Li Y M1 z M2 1-z PO 4 (但し、M1はFe,Mn,及びCoからなる群から選択さ る1種以上の金属元素、Yは式0.9≦Y≦1.2を満 す数、M2はMn,Co,Mg,Ti,及びAlからなる群から選 択される少なくとも1種の金属でかつM1で選択 した以外の金属元素、Zは式0<Z≦0.1を満た 数)で表される。

 以上の式において、Yを0.9~1.2とする理由 、上記Xの場合と同様である。

 また、Zが0.1を超える場合には、容量が低 下し、好ましくない。

 得られた多元系リン酸リチウム化合物を 砕分級して、正極用活物質粒子を得ること 出来る。正極用活物質粒子の粒径は、20μm 下であることが好ましい。

 金属種M1としては、Fe、Mn、Coが挙げられ M2としては、Mn、Co、Mg、Ti、Alを挙げること 出来る。例えば、M1がFeのときには、M2とし Feよりも酸化を受け難い元素、例えばMn,Co,Mg, Ti,Alなどを選択して得た正極用活物質粒子は これら金属の表面濃度が高いためにFeの酸 が抑制され、活物質や電極の長期保存が可 となり、Fe成分の溶出を抑制しやすくなり、 長期間安定な電池が得られるようになる。

 リン酸M2リチウム化合物前駆体としては 各化学量論比を合わせたリン酸塩混合物や 種金属塩とリン酸の混合物などを使用する とができる。金属塩としては、(硫酸第一マ ガン、硝酸マンガン(II)、炭酸マンガン(II) 酸化マンガン(II)等を挙げることが出来る。 種原料の投入後の混練は、水系または有機 分散媒中で十分に混合する。これらの混合 ビーズミルなどのメディア分散法で行うこ ができる。

 これらの混合物は、乾燥後不活性ガス雰 気または真空中で加熱して焼結する。乾燥 例えば100℃で2時間行なう。不活性ガスとし ては、例えばアルゴンガス、窒素ガスを用い ることが出来る。焼結は、例えば600℃で焼結 時間は約3時間とすることが出来る。

 これによって、最初に合成されたオリビ 構造を有するリン酸M1リチウム化合物粒子 面から、粒子中のM1が徐々にM2と置換する反 が起こり、M2濃度がオリビン構造を有する ン酸M1リチウム化合物の粒子内部の中心部へ 向けて連続的に低下する現象が起こると考え られる。この状態を模式的に示したのが図1 ある。

 これに対して、従来の各濃度が均一なオ ビンリン構造を有する多元系リン酸リチウ 化合物を同じように模式的に示すと図2に示 す通りである。

 このようにM2濃度が変化する本発明の多 系リン酸リチウム化合物は、従来の均一溶 から作られたオリビン構造を有する多元系 ン酸リチウム化合物と比較して、結晶性が 化しており、バルクの導電性やリチウムイ ン移動性が円滑となり、高率充放電性能が 上するものと推定されている。

 さらに、リン酸M2リチウム化合物前駆体 炭素または炭素源を混合し、これにオリビ 構造を有するリン酸M1リチウム化合物を加え 、焼結することで、粒子間の導電性も向上す るため、更に良好な高率充放電特性を得るこ とができる。また、電極製造時の活物質スラ リー塗工性の改善や充填密度向上の効果を有 するようになる。ここに用いる炭素としては 、アセチレンブラック、ケッチェンブラック 、ファーネスブラックなどが好ましい。また 、炭素源としては、有機化合物が使用される 。有機化合物としては、ショ糖、ポリビニル アルコール、石油ピッチ、エチレングリコー ル等を挙げることが出来る。

 上記のオリビン構造を有するリン酸型リ ウム化合物の活物質を用いて得た正極板は 活物質に導電剤、水溶性増粘剤、結着剤及 分散媒としての水を混練分散した水性ペー トを、集電体上に塗布し、乾燥することに り製造される。

 正極活物質のオリビン構造を有するリン 型リチウム化合物は、一次粒子が1μm以下で あるのが好ましく、0.5μm以下がより好ましい 。ペーストに含有される導電剤は、アセチレ ンブラック、ケッチェンブラック、ファーネ スブラック、炭素繊維、グラファイトなどの 導電性カーボンや、導電性ポリマー、金属粉 末などがあげられるが、導電性カーボンが特 に好ましい。これら導電剤は正極活物質100重 量部に対して、20重量部以下で使用すること 好ましい。より好ましい使用量は、10重量 以下1重量部以上である。

 水溶性増粘剤としては、カルボキシメチ セルロース、メチルセルロース、ヒドロキ エチルセルロース、ポリエチレンオキサイ などである。これら水溶性増粘剤は正極活 質100重量部に対して、0.1~4.0重量部以下で使 用することが好ましい。より好ましい使用量 は、0.5~3.0重量部以下である。水溶性増粘剤 量が、前記範囲を超えると得られる二次電 の電池抵抗が増大してレート特性が低下し 逆に前記範囲未満であると水性ペーストが 集してしまう。前記水溶性増粘剤は水溶液 状態で用いてもよく、その際は0.5~3重量%の 溶液にして用いることが好ましい。

 また、結着剤としては、例えばフッ素系 着剤やアクリルゴム、変性アクリルゴム、 チレン-ブタジエンゴム、アクリル系重合体 、ビニル系重合体の単独或いはこれらの二種 以上の混合物、または共重合体として用いる ことができる。より好ましいのは耐酸化性、 少量で十分な密着性、極板に柔軟性が得られ るためアクリル系重合体を用いることが好ま しく、その配合割合は、正極活物質100重量部 に対して、1重量部以上10重量部以下とするこ とが好ましく、更には2重量部以上7重量部以 とすることがより好ましい。

 本発明では、分散媒として水を用いるが 水の他に、活物質層の乾燥性や集電体との れ性を改良する目的で、アルコール系溶剤 アミン系溶剤、カルボン酸系溶剤、ケトン 溶剤などの水溶性溶剤を含んでいてもよい

 本発明では、オリビン構造を有するリン 型リチウム系材料、導電剤、水溶性増粘剤 結着剤、及び分散媒を含む水性ペーストに 更に、塗工性やレベリング性を改良する目 で、界面活性剤、水溶性オリゴマーなどの ベリング剤を添加してもよい。水性ペース の分散は、プラネタリーミキサー、ディス ーミキサー、ビーズミル、サンドミル、超 波分散機、ホモジナイザー、ヘンシルミキ ーなどの公知の分散機を用いて行うことが きる。1μm以下の粒径のリン酸鉄リチウム系 材料を好適に用いるためには、ビーズミル、 サンドミル等小粒径の分散メディアを用いる ことが出来るメディア分散法がより好ましい 。このようにして作製されたペーストは、塗 布乾燥して成形された塗膜に好適な多孔性を 維持できる。

 このようにして調製された正極活物質合 の塗工用水性ペーストは、金属箔からなる 電体上に塗工する。集電体としては、銅、 ルミニウム、ニッケル、ステンレスなどの 属箔が用いられ、中でも正極用集電体には ルミニウムが好ましい。

 水性ペーストの集電体金属箔への塗工は グラビアコート、グラビアリバースコート ロールコート、マイヤーバーコート、ブレ ドコート、ナイフコート、エアーナイフコ ト、コンマートコート、スロットダイコー 、スライドダイコート、ディップコートな から選択した公知の塗工方法を用いること できる。

 本発明においては、乾燥重量で2~10mg/cm 2 ,より好ましくは3~8mg/cm 2 の範囲となるように水性ペーストを均一に塗 布する。乾燥方法としては特に限定されるも のではないが、例えば、温風、熱風による乾 燥、真空乾燥、遠赤外線ヒーターなどで乾燥 することができ、乾燥温度も30~130℃程度の範 囲で行うことができ、例えば、100℃の温風乾 燥機内で1時間放置した後の重量変化が0.1重 %以下になった時点で乾燥終了とする。その 、これを平板プレスもしくはロールプレス プレスすることが好ましい。

 負極には活物質としてリチウムをドープ 脱ドープできるものを使用すればよい。例 ば、熱分解炭素類、ピッチコークス、ニー ルコークス、石油コークスなどのコークス 、グラファイト類、ガラス状炭素類、有機 分子化合物焼結体(フェノール樹脂、フラン 樹脂などを適当な温度で焼結して炭素化した もの)、炭素繊維、活性炭などの炭素繊維、 いは金属リチウム、リチウム合金やSn系化合 物などの合金系材料、その他ポリアセチレン 等のポリマーも使用することが出来る。

 これらの負極活物質と結着剤、必要に応 て導電助剤を分散媒に混練分散させて得ら る負極ペーストを集電体に塗布し、乾燥・ 延して負極板を作製する。負極用集電体と ては、例えば銅、ニッケル、ステンレスな を用いることが出来るが、銅箔が好ましい 電解液は、特に制限されないが、非水電解 が好ましい。

 非水電解液は、従来から一般的にリチウム 次電池に使用されているものが制限なく使 される。例えば、LiClO 4 、LiBF 4 、LiPF 6 、LiAsF 6 、LiCl、LiBr等の無機リチウム塩、LiBOB、LiB(C 6 H 5 ) 4 、LiN(SO 2 CF 3 ) 2 、LiC(SO 2 CF 3 ) 3 、LiOSO 2 CF 3 等の有機リチウム塩の少なくとも一種を、プ ロピレンカーボネート、エチレンカーボネー ト、ブチレンカーボネート、γ-ブチロラクト ン、ビニレンカーボネート、2メチル-γ-ブチ ラクトン、アセチル-γ-ブチロラクトン、γ- バレロラクトン等の環状エステル類、テトラ ヒドロフラン、アルキルテトラヒドロフラン 、ジアルキルテトラヒドロフラン、アルコキ シテトラヒドロフラン、ジアルコキシテトラ ヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、アルキル-1 ,3-ジオキソラン、1,4-ジオキソラン等の環状 ーテル類、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエト キシエタン、ジエチルエーテル、エチレング リコールジアルキルエーテル、ジエチレング リコールジアルキルエーテル、トリエチレン グリコールジアルキルエーテル、テトラエチ レングルコールジアルキルエーテル等の鎖状 エーテル類、ジメチルカーボネート、メチル エチルカーボネート、ジエチルカーボネート 、プロピオン酸アルキルエステル、マーロン 酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステ ル等の鎖状エステル類から選択した少なくと も一種の溶媒に溶解したものがあげられる。 特に、LiBF 4 、LiPF 6 またはLiBOB、或いはこれらの混合物を上記の なくとも一種以上の有機溶媒に溶解したも が好ましい。

 また、セパレータは上記の電解液成分に 溶であれば特に限定されないが、ポリプロ レン、ポリエチレンなどのポリオレフィン の微多孔性フイルムの単層体、或いは多層 が用いられるが、特に多層体が好ましい。 記した本発明の正極板を用い、これに非水 解液用の公知の負極、電解液、セパレータ どを組合わせることで、非水電解液二次電 を製作することが出来る。電池の形状は特 限定されるものではなく、コイン型、ボタ 型、ラミネート型、円筒型、角型、扁平型 ど何でもよい。

(実施例1)
 以下に、本発明の種々の実施例を説明する なお、本発明は以下の実施例のみに限定さ るものではない。

 M1がFeであるオリビン構造を有するリン酸 M1リチウム化合物を水熱法により、以下のよ に合成した。

 まず、リン酸リチウム486g、及び2価の鉄 合物としての2価の塩化鉄4水和物795gを耐圧 器に蒸留水2000mlとともに入れ、アルゴンガ で置換した後に密閉した。この耐圧容器を18 0℃のオイルバス中で、48時間反応させた。そ の後、室温まで放冷したのち、内容物を取り 出し、100℃で乾燥させて粉末試料を得た。得 られた粉末試料は、X線回折パターンにより ン酸鉄リチウムであることが確認された。 た、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、 粉末試料は、20nmから200nmの粒径を有している ことが確認された。

 次に、M2がMnであるオリビン構造を有する リン酸M2リチウム化合物前駆体を以下のよう 合成した。

 まず、2000mlのビーカー中で、72.3gの硫酸 一マンガン5水和物を500mlのイオン交換水に 解したのち、23.1gの85%リン酸を投入して十分 に攪拌した。攪拌しながら24gの水酸化ナトリ ウムを100mlのイオン交換水に溶解した溶液を 液漏斗に入れて30分間で滴下し、沈殿を得 。滴下量は、反応液の液性が6.5<pH<7.0の 囲に入るように調整した。結晶をろ過して 取した後、イオン交換水で十分に洗浄し、1 00℃で5時間の乾燥を行なった。

 得られた生成物をICP発光分光分析を用いて そのMn量を測定したところ、79.1%のMn 3 (PO 4 ) 2 を含有していることがわかった。また、走査 型電子顕微鏡(SEM)による観察から、生成物の 径は1μm以下であり、不定形の結晶であるこ とが確認された。

 次に、50gの水酸化リチウム1水塩を2000mlの ビーカー内で200mlのイオン交換水に溶解して 攪拌しながら46gの85%リン酸を200mlのイオン 換水に溶解した溶液を分液漏斗に入れて30分 間で滴下し、沈殿を得た。結晶をろ過して採 取した後、イオン交換水で十分に洗浄し、100 ℃で5時間の乾燥を行なった。

 得られた生成物をICP発光分光分析を用いて そのLi量を測定したところ、99.3%のLi 3 PO 4 を含有していることがわかった。また、走査 型電子顕微鏡(SEM)による観察から、生成物の 径は1μm以下であり、針状結晶であることが 確認された。

 Mn 3 (PO 4 ) 2 とLi 3 PO 4 を純度換算後に、モル比でMn:Li=1:1となるよう に各粉体を秤量してから、乾式ボールミルに よって十分に粉砕混合した。この混合粉をLiM nPO 4 前駆体とした。

 以上のようにして得られたLiFePO 4 とLiMnPO 4 前駆体を、Li:Fe:Mn=1.0:0.9:0.1になるように混合 た。即ち、5.12gのLiFePO 4 と0.67gのLiMnPO 4 前駆体を10mlのイオン交換水と混ぜて、乳鉢 十分に混合してスラリーを得た。このスラ ーを黒鉛坩堝に投入して100℃で2時間の乾燥 行なった後、真空ガス置換炉に投入した。

 次いで、窒素ガスで十分に置換後真空状 にして、600℃で3時間の焼結処理を実施した 。その後、これを室温まで放冷して坩堝を取 出して中の試料を採取した。試料は脆い塊状 であった。これをコーヒーミルで粉砕後に篩 で20μm以下の凝集粒子に分級した。これを粉 Aとした。

 粉体AをX線回折装置で分析したところ、 相のオリビン型化合物であった。更にICP発 分析により、各元素が投入時の組成と同じ あることを確認した。SEMによる粒度分布の 定では、焼結前と比較して粒径が大きくな 、一次粒子は約0.7から3μmであることを確認 た。

(実施例2)
 実施例1で得られたものと同じLiFePO 4 とLiMnPO 4 前駆体を用い、Li:Fe:Mn=1.0:0.9:0.1になるように 5.12gのLiFePO 4 と0.67gのLiMnPO 4 前駆体を混合した。次に、0.512gのショ糖を10m lのイオン交換水に溶解した溶液を上記の混 粉と混ぜて乳鉢で十分に混合し、スラリー 得た。このスラリーを黒鉛坩堝に投入した 、100℃で2時間の乾燥を行ない、更に、真空 ス置換炉に投入した。

 次いで、窒素ガスで十分に置換した後、 空状態にして、600℃で3時間の焼結処理を実 施した。その後、室温まで放冷した後、坩堝 を取出して中の試料を採取した。試料は黒色 の脆い塊状であった。これをコーヒーミルで 粉砕後に篩で20μm以下の凝集粒子に分級した これを粉体Bとした。

 この粉体BをX線回折装置で分析したとこ 、単相のオリビン型化合物であった。更にIC P発光分光分析により、各元素が投入時の組 と同じであることを確認した。また、熱重 分析により、カーボン量は4重量%であること を確認した。SEMによる粒度分布の測定では、 焼結前と比較して粒径が大きくなり、一次粒 子は約0.7から3μmであることがわかった。

(実施例3)
 実施例1で得られたものと同じLiFePO 4 とLiMnPO 4 前駆体を用い、Li:Fe:Mn=1.0:0.9:0.1になるように 5.12gのLiFePO 4 と0.67gのLiMnPO 4 前駆体を混合し、更に0.100gのアセチレンブラ ックを加えた。これに0.512gのショ糖を10mlの オン交換水に溶解した溶液を混合粉と混ぜ 、乳鉢で十分に混合してスラリーとした。 のスラリーを黒鉛坩堝に投入した後、100℃ 2時間の乾燥を行ない、更に、真空ガス置換 に投入した。

 次いで、窒素ガスで十分に置換した後、 空状態にして600℃で3時間の焼結処理を実施 した。その後、室温まで放冷して坩堝を取出 して中の試料を採取した。この試料は、黒色 の脆い塊状であった。これをコーヒーミルで 粉砕後に篩で20μm以下の凝集粒子に分級した これを粉体Cとした。

 この粉体CをX線回折装置で分析したとこ 、単相のオリビン型化合物であった。更にIC P発光分光分析により各元素が投入時の組成 同じであることが分かった。また、熱重量 析により、総カーボン量は6重量%であること を確認した。SEMによる粒度分布の測定では、 焼結前と比較して粒径が大きくなり、一次粒 子は約0.7から3μmであった。

(比較例1)
 65.99gのCH 3 COOLi、156.56gのFe(CH 3 COO) 2 、17.30gのMn(CH 3 COO) 2 、115.29gの85%H 3 PO 4 を秤量した混合物を、イオン交換水1000mlに加 えて溶解させ、十分に攪拌して均一溶液とし た。次に、この溶液を150℃で乾燥した後、得 られた物質を電気炉に入れ、アルゴン-水素(9 2:8,v/v)中で400℃、8時間の焼成を行なった。そ の後、室温まで冷却して前駆体の塊を得た。 これを再度粉砕して、また電気炉に入れ、同 雰囲気中で600℃、24時間の焼成をして粉体Dを 得た。

 この粉体DをX線回折装置で分析したところ 単相のオリビン型化合物であった。更にICP より各元素がLiFe 0.9 Mn 0.1 PO 4 で表される組成比であることを確認した。SEM による粒度分布測定では、粒径が約20から100n mであった。

 更に、上記イオン交換水に15gのショ糖を えた溶液を上記混合物に加え、上記と同様 操作で得られた粉体を粉体Eとした。粉体E 熱重量分析により、総カーボン量が6重量%で あった。

(比較例2)
 リン酸リチウム486g、2価の鉄化合物として 2価の塩化鉄4水和物716g、および2価のマンガ 化合物としての2価の塩化マンガン2水和物65 gを、鉄耐圧容器(オートクレーブ)中に蒸留水 2000mlとともに入れ、アルゴンガスで置換した 後に密閉した。この耐圧容器を180℃のオイル バス中で48時間反応させた。その後、室温ま 放冷した後、内容物を取出し、100℃で乾燥 せて粉末試料を得た。

 得られた粉末は、X線回折パターンにより、 単相のオリビン型化合物であることがわかっ た。更に、ICP発光分光分析により各元素がLiF e 0.9 Mn 0.1 PO 4 で表される組成比であることを確認した。ま た、SEMによる粒度分布測定では、約20から100n mであった。この粉末を粉体Fとした。

 1gのショ糖をイオン交換水に溶解した溶 を10gの粉体Fに加え、乳鉢で十分に混練して ラリーを得た。このスラリーを黒鉛坩堝に 入してから100℃で2時間の乾燥を行なった後 真空ガス置換炉に投入した。次いで窒素ガス で十分に置換後、真空状態にして600℃で3時 の処理を実施した。その後室温まで放冷後 坩堝を取出して中の試料を採取した。試料 黒色の脆い塊状であり、これをコーヒーミ で粉砕後に篩で20μm以下の凝集粒子に分級し た。これを粉体Gとした。X線回折装置で分析 たところ、単相のオリビン型化合物であっ 。また熱重量分析によりカーボン量は4重量 %であることを確認した。SEMによる粒度分布 測定では焼結前と比較して粒径が大きくな 、一次粒子は約0.7から3μmであった。

(比較例3)
 LiMnPO 4 前駆体を適量のイオン交換水と混ぜて、乳鉢 で十分に混合してスラリーを得た。このスラ リーを黒鉛坩堝に投入した後、100℃で2時間 乾燥を行ない、更に真空ガス置換炉に投入 た。窒素ガスで十分に置換した後、真空状 にして、600℃で3時間処理した。次いで、室 まで放冷した後に坩堝を取出して、中の試 を採取した。試料は脆い塊状であり、これ コーヒーミルで粉砕した後に篩で20μm以下 凝集粒子に分級した。

 これをX線回折装置で分析したところ、LiMnPO 4 であることを確認した。更に、ICP発光分光分 析によるLiとMnの定量の結果でも、略純粋なLi MnPO 4 であることを確認した。SEMによる粒度分布の 測定では、焼結前と比較して粒径が大きくな り、一次粒子は約0.7から3μmであった。

 水熱法で合成したLiFePO 4 と上記LiMnPO 4 粉末を、モル比で9:1の割合で混合した後、乳 鉢で十分に均一分散させたものを粉体Hとし 。

(比較例4)
 水熱法で得られたLiFePO 4 を粉体Iとした。1gのショ糖をイオン交換水に 溶解した溶液を10gの粉体Iに加えた後、乳鉢 十分に混練してスラリーを得た。このスラ ーを黒鉛坩堝に投入した後、100℃で2時間の 燥を行ない、更に、真空ガス置換炉に投入 た。次いで、窒素ガスで十分に置換した後 真空状態にして600℃で3時間の処理を実施し た。その後、室温まで放冷した後に、坩堝を 取出して中の試料を採取した。

 試料は黒色の脆い塊状であり、これをコ ヒーミルで粉砕した後に篩で20μm以下の凝 粒子に分級した。これを粉体Jとした。これ X線回折装置で分析したところ、単相のオリ ビン型化合物であることを確認した。また、 熱重量分析により、カーボン量は4重量%であ た。SEMによる粒度分布の測定では、焼結前 比較して粒径が大きくなり、一次粒子は約0 .7から3μmであることが分かった。

(得られた各粒子の結晶学的比較)
 何れもFe:Mn=9:1の組成をもつ粉体A、粉体D、 体HのX線回折パターンを図3に示した。図3か 、何れの粉体も基本的なオリビン構造を有 るリン酸型リチウム系化合物の特徴的なパ ーンを示した。LiFePO 4 とLiMnPO 4 の混合粉である粉体Hは明確なピーク分離は られなかった。

 図4に示すように、(020)面を示す2θ=30°付 に出現するピークを拡大すると、各々の合 法によりピーク出現位置が異なることが判 した。これにより各合成法により結晶形態 変化したことが推定され、同じ組成を持つ 発明による粉体Aと従来の均一合成法による 体Dは異なることが示唆された。

 また、粉体A-Jにサイクリックボルタンメ リーを行った結果、粉体A-CにはMnに起因す レドックスピークがブロードに見られ、濃 勾配があることが示唆されたが、粉体E~Gで Mnに起因するレドックスピースが見られなか った。また、粉体DではMnに起因するレドック スピークがシャープに見られた。

(正極の作製)
 実施例及び比較例で得られた各々の粉体A~J 、導電剤としてアセチレンブラックを全炭 量が10重量%になるように混合した。混合粉 と結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVdF) 、重量比95:5の割合で混合し、さらにN-メチ -2-ピロリドン(NMP)を加えて十分混練して、 極スラリーを得た。

 この正極スラリーを厚さ15μmのアルミニウ 箔集電体に100g/m 2 の塗工量で塗布し、120℃で30分間乾燥した。 の後、ロールプレスで1.8g/ccの密度になるよ うに圧延加工し、2cm 2 の円盤状に打抜いて正極とした。各粉体A~Jで 作製した正極を各々正極A~Jとする。各仕様を 下記表1にまとめて示した。

 なお、上記表1において、粉体C(正極C)の 学式におけるC+ABは、ショ糖に由来する炭素C とアセチレンブラック(AB)の炭素が存在する とを意味する。

(正極の電気化学的特性確認)
 電気化学的特性を確認するために、三電極 セル(単極セル)を作製した。正極として作 した正極A~正極Jを、負極および参照電極と て金属リチウム電極を使用し、電解液とし エチレン-カーボネート及びジエチルカーボ ートを体積比1:1の割合で混合したものを用 た。

 電極評価として、1から5サイクルまでは0.2CA の充放電を実施し、充電終止電位4,5V、放電 止電位2.0Vとした。5サイクル目を0.2CA容量確 試験とした。次に、充放電の終止電位は前 0.2CAと同じ条件で、1CA、5CA、10CAで放電した 、放電と同じ電流で充電を行い、各率容量 確認した。尚、電位は金属Liに対する値で る。下記表2にこれらの結果を示した。

 上記表2から、本発明に係る正極A~正極Cは 、特に5CA以上の高率充放電性能が優れている ことが判明した。これは、FeとMnの二元系活 質のMn濃度が連続的に粒子内部で変化してい るため、粒子内部の導電性が向上することと 、Liイオン移動が円滑になったためと推定さ る。

 更にカーボン源と共に処理した粉末を使 した正極B更には正極Cは、粒子間の導電性 向上したために、より良好な特性を得るこ ができた。

 FeとMnが均一な組成の二元系活物質を使用し た正極D~正極Gは、カーボンの効果が得られる ものの、5CA以上の電流では反応抵抗を含む抵 抗が大きく、容量低下が顕著に現れた。LiFePO 4 とLiMnPO 4 の混合正極である正極Hは、粒子の抵抗が大 いLiMnPO 4 の影響を受け、全体的な性能が低下したもの と推定される。単一系である正極Iおよび正 Jについては、低率では容量が得られやすい 、高率では容量低下が大きい問題を有して た。