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Patent Searching and Data


Title:
NOx PURIFYING CATALYST
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/011237
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a NOx purifying catalyst which is capable of removing NOx sufficiently efficiently even during operations at low temperatures such as operations in diesel cars. Specifically disclosed is a NOx purifying catalyst for processing NOx in an exhaust gas by performing lean/rich control of air-fuel ratio of the exhaust gas. This NOx purifying catalyst comprises at least a first catalyst layer containing a β zeolite containing iron element and a second catalyst layer containing a noble metal, a cerium oxide material and a specific zirconium oxide material. The second catalyst layer and the first catalyst layer are sequentially arranged on a carrier in such a manner that the first catalyst layer forms the uppermost layer.

Inventors:
SATO NAOHIRO (JP)
YAMAMOTO OSAMI (JP)
INABA KOICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/062187
Publication Date:
January 22, 2009
Filing Date:
July 04, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HONDA MOTOR CO LTD (JP)
SATO NAOHIRO (JP)
YAMAMOTO OSAMI (JP)
INABA KOICHI (JP)
International Classes:
B01J29/76; B01D53/94; B01J35/04; B01J37/02; F01N3/08
Domestic Patent References:
WO2005044426A12005-05-19
WO2007074599A12007-07-05
WO1998026867A11998-06-25
Foreign References:
JP2001179100A2001-07-03
JPH06111838A1994-04-22
JP2006314989A2006-11-24
JPH11300211A1999-11-02
JP2005177570A2005-07-07
JPH05220403A1993-08-31
JP2600492B21997-04-16
JPH06316416A1994-11-15
Other References:
See also references of EP 2177269A4
Attorney, Agent or Firm:
SHOBAYASHI, Masayuki et al. (25-8 Higashi-ikebukuro 1-chome, Toshima-k, Tokyo 13, JP)
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Claims:
 空燃比をリーン又はリッチに制御された内燃機関から排出された排気ガス中のNOxの浄化に用いられる触媒であって、
 前記触媒は第一触媒層と第二触媒層とを有し、
 前記リーンにした状態では、NOxは前記第一触媒層を通過し、通過した前記NOxは前記第二触媒層で酸化、吸着され、
 前記リッチにした状態では、前記第二触媒層に吸着されたNOxは、前記第二触媒層上の還元成分によりNH 3 に変換された後、このNH 3 が前記第一触媒層に移動して吸着され、
 その後にこのNH 3 がNOxと反応して窒素と水に変換されるものであって、
 前記第一触媒層は、鉄元素を含むβゼオライトを含み、
 前記第二触媒層は、A)貴金属と、B)酸化セリウム系材料と、C)スカンジウム、イットリウム、希土類金属より選択される1種以上を含有する酸化ジルコニウム系材料と、を含み、
 担体上に前記第二触媒層及び前記第一触媒層が順次積層されており、前記第一触媒層が最上層となるように構成されていることを特徴とするNOx浄化触媒。
 前記酸化ジルコニウム系材料が前記希土類金属を含有し、
 前記酸化ジルコニウム系材料におけるジルコニウムが酸化物換算で50wt%以上であり、
 前記酸化ジルコニウム系材料における前記希土類金属が酸化物換算で5~30wt%、
である請求項1記載のNOx浄化触媒。
 前記第一触媒層の鉄元素を含むβゼオライトは、更にセリウム元素を含む請求項1又は2に記載のNOx浄化触媒。
 前記還元成分は、前記排気ガス中の、CO、HC成分、前記CO及び/又はHC成分が前記第二触媒層に接触することにより生じる水素、より選択される一種以上である請求項1から3いずれか記載のNOx浄化触媒。
 前記第二触媒層は、更に、耐熱性無機酸化物を含む請求項1から4いずれか記載のNOx浄化触媒。
 前記酸化セリウム系材料は、酸化セリウム、及び/又は、セリウムと希土類元素との複合酸化物である請求項1から5いずれか記載のNOx浄化触媒。
 前記第二触媒層は、前記第一触媒層側から担体側に向かって、前記貴金属含量が順次又は段階的に減少するように構成されている請求項1から6いずれか記載のNOx浄化触媒。
Description:
NOx浄化触媒

 本発明は、例えば、自動車等の排気ガス のNOxを十分な効率で除去できるNOx浄化触媒 関し、更に詳しくは、ディーゼル車のよう 低温下の運転領域においても、NOxを十分な 率で除去できるNOx浄化触媒に関する。

 従来より、自動車等の排気ガス中におけ NOx(窒素酸化物)を有効に低減可能なNOx浄化 媒が検討されている。なかでも、ディーゼ 車においては、PM(粒子状物質)と共にNOxの削 は大きな課題となっている。

 ディーゼル車においては、通常、ディー ルエンジンの排気通路に、酸化触媒(DOC)と ィーゼルパティキュレートフィルター(DPF)と が配置されている。しかしながら、今後、更 なるNOxの低減化が求められる場合には、従来 のDOC/DPFの組み合わせのみでは不十分となる

 このような、排気ガス中のNOxを更に低減化 せる方法として、例えば、下記の特許文献1 には、排気ガスの空燃比がリーンであるとき にNOxを吸収し、排気ガス中の酸素濃度を低下 させると吸収したNOxを放出するNOx吸収剤を用 い、排気ガスがリーンのときに吸収されたNOx を、排気ガス中の酸素濃度が低下せしめられ たときにNOx吸収剤から放出するようにした内 燃機関の排気浄化装置が開示されている。

特許第2600492号公報

 しかしながら、特許文献1の排気浄化装置 に用いられているNOx吸収剤は、アルカリ金属 、アルカリ土類金属等を用いている。そして 、リーン状態におけるHC、CO、NOxの酸化、及 、リッチ状態におけるNOxの還元には白金等 貴金属を用いている。このように、特許文 1では、NOx吸収剤として塩基性の強い物質を いるため、貴金属の活性が低下し易く、特 低温におけるNOx浄化性能が低下するという 題があった。

 また、NOx吸収剤として塩基性の強い物質 用いるため、NOxよりも酸性度の強いSOxとの びつきが強くなる。このため、硫黄被毒し 後の再生に高温が必要となり、低温での触 再生が困難であるという問題もあった。

 すなわち、特許文献1に記載のNOx浄化触媒 は、ガソリンエンジンのような高温領域の運 転が主の場合には所定の効果が得られるもの の、ディーゼルエンジンのように、例えば、 300℃以下の運転領域が多い場合にはNOx低減化 効果が不十分である。

 本発明は、以上の問題点に鑑みてなされ ものであり、ディーゼル車のような低温下 運転領域においても、NOxを十分な効率で除 できるNOx浄化触媒を提供することを目的と る。

 本発明者らは、鉄元素を含むゼオライト 触媒を含む第一触媒層と、貴金属、酸化セ ウム系材料、及び特定の酸化ジルコニウム 材料を含む第二触媒層と、を組み合わせ、 一触媒層が最上層となるように積層するこ により、低温下の運転領域においてNOxの除 効率が向上することを見出し、本発明を完 するに至った。すなわち、本発明は以下の のを提供する。

 (1) 空燃比をリーン又はリッチに制御され 内燃機関から排出された排気ガス中のNOxの 化に用いられる触媒であって、前記触媒は 一触媒層と第二触媒層とを有し、前記リー にした状態では、NOxは前記第一触媒層を通 し、通過した前記NOxは前記第二触媒層で酸 、吸着され、前記リッチにした状態では、 記第二触媒層に吸着されたNOxは、前記第二 媒層上の還元成分によりNH 3 に変換された後、このNH 3 が前記第一触媒層に移動して吸着され、その 後にこのNH 3 がNOxと反応して窒素と水に変換されるもので あって、前記第一触媒層は、鉄元素を含むβ オライトを含み、前記第二触媒層は、A)貴 属と、B)酸化セリウム系材料と、C)スカンジ ム、イットリウム、希土類金属より選択さ る1種以上を含有する酸化ジルコニウム系材 料と、を含み、担体上に前記第二触媒層及び 前記第一触媒層が順次積層されており、前記 第一触媒層が最上層となるように構成されて いることを特徴とするNOx浄化触媒。

 (1)の発明であるNOx浄化触媒は、以下のよう してNOxを十分な効率で除去する。排気ガス 空燃比をリーンにした状態で、排気ガス中 NOxは、まず、固体酸触媒である上層の第一 媒層を容易に通過して、下層の第二触媒層 到達する。NOxは第二触媒層に接触し、第二 媒層における白金等の貴金属によって酸化 れながら当該第二触媒層に一旦吸着される( 仮貯蔵)。ここで、白金等の貴金属は、NOxを 化(例えば、NO→NO 2 )する触媒活性種として作用する。

 次いで、排気ガスの空燃比をリッチ状態 する。すると、第二触媒層に吸着したNOxを 水性ガスシフト反応により生成する水素に ってアンモニアに変換させると共に、この ンモニアが第一触媒層に移動、吸着される( 再貯蔵)。この再貯蔵は、第二触媒層と第一 媒層が隣接して積層されていることで容易 行われる。

 その後、再度、排気ガスの空燃比をリー に戻すと、第一触媒層に再貯蔵されたアン ニアと排気ガスに含まれるNOxは、アンモニ 選択接触還元法により窒素と水に変換され この窒素が第一触媒層の表面から放出され 。このとき、第一触媒層は最上層であるの 、還元された窒素は、最表面から効率よく 出される。尚、このとき、上記の仮貯蔵も 奏的に進行する。

 以上のように、排気ガスのリーン/リッチ 制御を所定の周期で繰り返し行うことにより 、リーン状態では、NOxを第二触媒層中に仮貯 蔵すると共に、第一触媒層中に再貯蔵されて いるアンモニアを窒素と水に変換して放出す る。一方、リッチ状態では、仮貯蔵されてい るNOxをアンモニアに変換して第一触媒層に再 貯蔵する。これによって、連続的にNOxを浄化 できる。そして、最上層を第一触媒層、下層 を第二触媒層という層構成とすることで、NOx の仮貯蔵、アンモニアへの変換、アンモニア の再貯蔵、窒素への還元と放出、という一連 のサイクルが効率よく行われるので、NOxの低 減化効率を向上できる。なお、上記の作用に ついては、後述する実施形態において更に詳 細に説明する。

 そして、本発明においては、前記第一触 層の固体酸触媒は、鉄元素を含むβゼオラ トである。βゼオライトは、NOxを通過しつつ もアンモニア吸着能に優れ、耐熱性も比較的 高いため、本発明に好適に用いられる。なお 、下記のように、βゼオライトをFeでイオン 換したものを用いることが好ましい。

 更に、本発明においては、第二触媒層は 貴金属と、酸化セリウム系材料と、特定の 化ジルコニウム系材料とを含む。この構成 より、上記のNOxの仮貯蔵や再貯蔵が効率的 進行する。特に、特定の酸化ジルコニウム 材料を含むことで、水性ガスシフト触媒と ての水素生成を促し、第二触媒層における ンモニア生成が促進される。その結果、酸 セリウム系材料のみでは高温側の300~400℃に おいて低かった水素発生能力を向上でき、そ れによって、高温側のNOx浄化率を向上できる 。

 なお、本発明のNOx浄化触媒においては、 記の特許文献1のNOx吸収剤のように、NOxを内 部に取り込むように「吸収」するのではなく 、仮貯蔵、再貯蔵の2段階で「吸着」する。 して、塩基性の強いアルカリ金属、アルカ 土類金属等を用いることがない。このため 低温においても貴金属の触媒活性が低下す ことがなく、ディーゼル車のような300℃以 を主とする低温下の運転領域においてもNOx 十分な効率で除去できるという、従来には い優れた効果を奏する。

 ここで、リーン状態とは、空気燃料比(空 燃比)が大きい状態(つまり燃料濃度が希薄な 態)を意味し、リッチ状態とは、空気燃料比 (空燃比)が小さい状態(つまり燃料濃度が高い 状態)を意味する。

 (2) 前記酸化ジルコニウム系材料が前記 土類金属を含有し、前記酸化ジルコニウム 材料におけるジルコニウムが酸化物換算で50 wt%以上であり、前記酸化ジルコニウム系材料 における前記希土類金属が酸化物換算で5~30wt %である(1)記載のNOx浄化触媒。

 この態様によれば、特に高温側における 素発生能力を向上でき、それによって、高 側のNOx浄化率を向上できる。

 (3) 前記第一触媒層の鉄元素を含むβゼオ ライトは、更にセリウム元素を含む(1)又は(2) に記載のNOx浄化触媒。

 この態様によれば、セリウム元素の添加 より、酸素の吸蔵放出能力によりNOxの吸着 行われ、また酸素の吸蔵放出能力により還 成分による触媒被毒の抑制が期待される。 のように両成分を併せて用いることで、こ らの作用が相乗して触媒としてより優れた 果が発揮される。

 (4) 前記還元成分は、前記排気ガス中の CO、HC成分、前記CO及び/又はHC成分が前記第 触媒層に接触することにより生じる水素、 り選択される一種以上である(1)から(3)いず か記載のNOx浄化触媒。

 上記のように、本発明においては、リッチ した状態では、第二触媒層に吸着されたNOx 、第二触媒層上の還元成分によりNH 3 に変換される。このとき、(4)の態様によれば 、排気ガス中の上記還元成分を用いることで 、第二触媒層に吸着されたNOxを効率的にNH 3 に変換できる。

 (5) 前記第二触媒層は、更に、耐熱性無 酸化物を含む(1)から(4)いずれか記載のNOx浄 触媒。

 (5)の態様によれば、耐熱性無機酸化物を むことで、300℃以上での水性ガスシフト反 による水素の生成が効率よく行われる。こ ため、リッチ状態におけるNOxからアンモニ への変換を、より効率的に行うことができ 。

 (6) 前記酸化セリウム系材料は、酸化セ ウム、及び/又は、セリウムと希土類元素と 複合酸化物である(1)から(5)いずれか記載のN Ox浄化触媒。

 (6)の態様によれば、酸化セリウム系材料 して、酸化セリウム、及び/又は、セリウム と希土類元素との複合酸化物、好ましくは、 酸化セリウム及び前記複合酸化物を用いるこ とにより、第二触媒層へのNOxの吸着が促進さ れる。なお、希土類元素としては、プラセオ ジム(Pr)、ランタン(La)、ネオジウム(Nd)等の希 土類元素から選ばれる少なくとも一つ以上の 元素が好ましい。

 (7) 前記第二触媒層は、前記第一触媒層 から担体側に向かって、前記貴金属含量が 次又は段階的に減少するように構成されて る(1)から(6)いずれか記載のNOx浄化触媒。

 (7)の態様によれば、第二触媒層のより上 (最表面に近い側)領域では、貴金属が多く 在するので、リーン状態でのNOxの酸化や、 性ガスシフト反応によるアンモニアの生成 支配的になる。一方、第二触媒層の下側(担 に近い側)領域では、貴金属が少ないか又は 存在しない領域であるので、NOxの仮貯蔵が支 配的になる。これにより、NOxの低減化効率を 更に向上できる。

 なお、「第一触媒層側から担体側に向か て貴金属含量が順次又は段階的に減少する うに」する構成としては特に限定されない 、貴金属の量が層の厚さ方向に連続的に減 している構成でもよく、第二触媒層を2層以 上の多層によって形成し、各層の貴金属量が 段階的に減少するような構成であってもよい 。なお、本発明の態様には、層の担体側に貴 金属を実質的に含有していない層を有してい る場合も含まれる。

 本発明によれば、触媒温度が低温域にあ 運転領域においても、NOxを十分な効率で除 できるNOx浄化触媒を提供できる。このため 本発明は、ディーゼル車等に好適に用いる とができる。

実施例1における触媒温度に対するNOx変 換率の特性を示す図である。 実施例2における触媒温度と水素生成量 との関係を示す図である。

発明を実施するための形態

 以下、本発明に係るNOx浄化触媒の一例に いて詳細に説明する。

[NOx浄化触媒の構成]
 本実施形態におけるNOx浄化触媒は、2層以上 の異なる触媒層により被覆された担体からな る一体構造型の触媒であって、鉄元素を含む ゼオライト系触媒を含む第一触媒層と、貴金 属と酸化セリウム系材料と特定の酸化ジルコ ニウム系材料とを含む第二触媒層と、を少な くとも備える。

〔第一触媒層〕
<構成成分>
 第一触媒層は、本発明のNOx浄化触媒におい 、排気ガスと直接接する最表面層として使 されることが好ましい。又、実質的に白金 分を含まないことが好ましく、貴金属成分 般を含まないことがより好ましい。

 この第一触媒層は、アンモニア吸着能を する固体酸触媒を含む。該固体酸触媒とし はβゼオライト触媒を用いる。また、このβ ゼオライトは鉄元素を含んでいる。ゼオライ ト系触媒に鉄元素を添加することにより排気 ガスの浄化性能、特にNOxの浄化性能が向上す る理由は定かではないが、鉄元素により、ゼ オライトへのNOxや還元成分の吸着が促進され るためと推定される。

 なお、鉄元素に加えて更にセリウム元素 添加、イオン交換されていてもよい。セリ ム元素の添加により、酸素の吸蔵放出能力 よりNOxの吸着が行われ、また酸素の吸蔵放 能力により還元成分による触媒被毒の抑制 期待される。このように両成分を併せて用 ることで、これらの作用が相乗して触媒と てより優れた効果が発揮される。

 本発明に使用されるβゼオライトは、一 に比較的大きな径を有する一方向に配列し 直線的細孔と、これに交わる曲線的細孔と らなる比較的複雑な三次元細孔構造を有し いることから、イオン交換時におけるカチ ンの拡散、及び還元時における炭化水素分 の拡散が容易になされる等の性質を有して る。これは、モルデナイト、ホージャサイ 等が一方向に整列した直線的な空孔のみを するのに対して特異な構造であるといえる また、このような構造的特徴により、βゼオ ライトは熱的にも高い耐久性を有しているこ とから、本発明に使用される触媒として使用 することで、触媒に優れた耐熱性を付与する ことができる。

 本発明のβゼオライトへの鉄元素、又は リウム元素の添加は、鉄やセリウムの塩溶 として、βゼオライトに添加されることによ って行うことができるが、市販の鉄元素、セ リウム元素添加済のβゼオライトを使用して よい。

 また、このようにして作られたβゼオラ トによれば、鉄元素、又はセリウム元素が βゼオライトのカチオンサイトにイオン交換 された状態とすることができる。イオン交換 されたβゼオライトであれば、本発明におい NOxの浄化性能が向上するが、これはイオン 換によりβゼオライトの骨格構造が安定化 ることがその要因の一つではないかと考え れる。

<各構成成分の配合量>
 第一触媒層に含まれるβゼオライトの配合 は、適宜設定可能であり特に限定されない 、本発明の触媒全体の単位体積あたり5~300g/L が好ましく、30~150g/Lがより好ましい。配合量 が5g/L以上であれば、本発明の排気ガス浄化 力を発揮することが可能であり、300g/L以下 あればハニカムにおける排気ガスの通気性 充分に保つことができる。

 また、当該βゼオライト中に添加される 元素は、当該ゼオライトに対し酸化物換算 0.1~10wt%が好ましく、0.5~5wt%がより好ましい。 添加量が10wt%を超えると活性な固体酸点数が 保できなくなり活性が低下することがあり 耐熱性も低下することがあり、0.1wt%以上で れば充分なNOx浄化性能を得ることができる

 加えてセリウム元素が添加される場合は 当該βゼオライトに中に添加されるセリウ 元素は当該ゼオライトに対し酸化物換算で0. 05~5wt%が好ましく、0.1~3wt%がより好ましい。0.0 5wt%以上であれば排気ガス中の還元成分によ 触媒被毒を防止することができるが、5wt%を えると活性な固体酸点数が確保できなくな 活性や、耐熱性が低下することがある。

〔第二触媒層〕
<構成成分>
 第二触媒層には、A)白金等の貴金属と、B)酸 化セリウム系材料と、C)スカンジウム、イッ リウム、希土類金属より選択される1種以上 を含有する酸化ジルコニウム系材料と、が添 加されている。これは、酸化セリウム系材料 と白金等の貴金属の相乗作用で、NOxの浄化能 力が向上するためである。このようにNOxの浄 化性能が向上する理由は定かではないが、還 元成分による白金の被毒が防止されたり、NOx の吸着作用がその一因ではないかと考えられ る。

 更に、本発明においては、上記の特定の 化ジルコニウム系材料を含むことで、水性 スシフト触媒としての水素生成を促し、第 触媒層におけるアンモニア生成が促進され 。その結果、酸化セリウム系材料のみでは 温側の300~400℃において低かった水素発生能 力を向上でき、それによって、高温側のNOx浄 化率を向上できる。

 <A)貴金属>
 貴金属としては、白金の他、必要に応じて 、パラジウム、ロジウムを使用することが きるが、活性の高さから、白金を主成分と て用いることが好ましい。ここで、主成分 は、全貴金属中の50wt%以上の白金が含まれ ことを意味する。

 白金を使用することにより排気ガス中のNOx 浄化が促進される理由は定かでないが、白 により排気ガス中の大部分を占めるNOをNO 2 に酸化し、このNO 2 が、本発明に使用される触媒のセリウム成分 に吸着することで、還元成分との反応が促進 されるのが一因でないかと考えられる。

 貴金属は耐熱性無機酸化物に担持されて 用されるが、このような耐熱性無機酸化物 しては、本発明の第二触媒層に用いられる 化セリウム系材料や酸化ジルコニウム系材 の他、アルミナ系材料、ゼオライト系材料 シリカ系材料等の無機酸化物であればその から広く選択可能である。また、耐熱性無 酸化物への担持については、第二触媒層を 成する耐熱性無機酸化物全体に担持させる ともできるが、特定の無機酸化物に担持さ てもよい。

 <B)酸化セリウム系材料>
 本発明に使用される酸化セリウム系材料と ては、酸化セリウム、又は酸化セリウム-酸 化ジルコニウム複合酸化物、又はこれら酸化 物に種々の副原料を添加されたものを用いる ことができる。なお、酸化セリウム-酸化ジ コニウム複合酸化物を使用する場合は、複 酸化物中、酸化物換算で10wt%以上のセリウム が含まれていることが好ましく、30wt%以上含 れていることがより好ましく、50wt%以上含 れていることが最も好ましい。

 本発明に使用される酸化セリウム系材料 は、添加材としてプラセオジム、ネオジム ランタン、サマリウム等、セリウム等の希 類元素を添加することができる。このよう 添加材は、酸化セリウム系材料の結晶構造 に取り込まれ、金属、又は酸化物等の状態 安定に存在することが好ましい。このよう 存在することで酸化セリウム系材料の耐熱 、耐久性を向上することができる。

 このように、酸化セリウム系材料としては 酸化セリウム、及び/又は、セリウムと希土 類元素との複合酸化物が好ましく、例えば、 CeO 2 +Ce-Pr-La-Oxのような、酸化セリウムや前記複合 酸化物のような酸化セリウム系材料である。

 酸化セリウム系材料は市販の酸化セリウ 系材料を使用してもよいが、公知の方法に り得ることができる。例えば、特開平06-3164 16号公報に記載の方法によれば、セリウムゾ と、プラセオジム、ネオジム、ランタン、 マリウム等の硝酸塩と、必要によりジルコ ウムゾルを混合し、乾燥焼成することによ 得ることができる。

 <C)酸化ジルコニウム系材料>
 本発明の酸化ジルコニウム系材料は、スカ ジウム、イットリウム、希土類金属より選 される1種以上を含有する酸化ジルコニウム 系材料である。なかでも、希土類金属を含有 し、ジルコニウム系材料におけるジルコニウ ムが酸化物換算で50wt%以上であり、ジルコニ ム系材料における希土類金属が酸化物換算 5~30wt%であることが好ましい。

 ジルコニウムが酸化物換算で50wt%以上で ると、300℃から400℃における水素生成が促 されるので好ましい。ジルコニウム系材料 おける希土類金属が酸化物換算で5wt%以上で ると、水素生成が更に促進されると共に、 ーン状態でのNOx吸着能も向上するので好ま く、ジルコニウム系材料における希土類金 が酸化物換算で30wt%以下であると、耐熱性 維持されるので好ましい。

 希土類としては、例えば、プラセオジム ネオジム、ランタン、サマリウム等、セリ ム等の希土類元素を添加することができる このような添加材は、酸化ジルコニウムの 晶構造中に取り込まれ、金属、又は酸化物 の状態で安定に存在することが好ましい。 のように存在することで酸化ジルコニウム 材料の耐熱性、耐久性を向上させることが きる。

 このような、酸化ジルコニウム系材料と ては、具体的には、イットリウムが添加さ た酸化ジルコニウムが挙げられる。また、 ットリウムが添加された酸化ジルコニウム 結晶構造は単斜晶、立方晶、正方晶、また れらの複合物が使用可能である。また、イ トリウムが添加された酸化ジルコニウムは イットリア安定化ジルコニアとして知られ いる市販の材を使用してもよい。イットリ 安定化ジルコニアは、酸化イットリウムを ルコニア中に固溶させることで、その結晶 造中に酸素空孔が形成され、構造的に安定 化合物である。このようなイットリア安定 ジルコニアには、結晶構造の変態を完全に 制できるように結晶中にイットリウムをド プした完全安定化ジルコニアと、イットリ ムのドープ量を減らしてジルコニアの一部 変態できるようにした部分安定化ジルコニ があるが、本発明ではそのどちらも使用で る。酸化ジルコニウムに対するイットリウ の添加量は、酸化物換算で1~20wt%が好ましく 、1~10wt%がより好ましい。イットリウムの添 量が少なすぎると本発明のNOx浄化性能が得 れず、イットリウムの量が多すぎるとジル ニアの結晶構造が安定性に欠け、長期間の 用において本発明のNOx浄化性能が低下する 合がある。

 このようなイットリウムが添加された酸 ジルコニウムは、様々な公知の方法で製造 ることができる。製造方法の例としては共 法や含浸法が挙げられる。共沈法の場合、 酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム等の水 性ジルコニウム塩と、硝酸イットリウム、 酸イットリウム等の水溶性イットリウム塩 、所定の重量比に従って所定の量比で同時 は別々に溶解し、アンモニア水溶液等のア カリ水溶液と共に、pHを調整しながら攪拌 合し、沈殿物を生成させることで得ること できる。この沈殿操作においては、必要に じて加圧、減圧、加熱、冷却処理をしても く、更に沈殿物を数時間から数十時間放置 成させてもよい。このようにして得られた 殿物をろ過、洗浄後、乾燥、焼成すること 本発明に使用できるイットリウムが添加さ た酸化ジルコニウムを得ることができる。

 また、含浸法の場合、硝酸イットリウム 硫酸イットリウム等の水溶性イットリウム を溶解したものを酸化ジルコニウムに対し 必要に応じて加圧、減圧、加熱、冷却、攪 等の処理を加えながら、所定の重量比に従 所定の量比で含浸処理し、その後、ろ過、 浄後、乾燥、焼成することで本発明に使用 きるイットリウムが添加された酸化ジルコ ウムを得ることができる。

 第二触媒層には、更に、アルミナ系材料 ゼオライト系材料、シリカ系材料等の、本 明に用いる酸化セリウム系材料や酸化ジル ニウム系材料以外の耐酸性無機酸化物が添 されていてもよい。他の耐熱性無機酸化物 しては、γ-アルミナが好ましい。

<各構成成分の配合量>
 第二触媒層に用いられる触媒活性種の貴金 量については、本発明の触媒全体の単位体 あたり0.1~20g/Lが好ましく、1~10g/Lがより好ま しい。配合量が0.1g/L以上であれば、浄化能力 を発揮することが可能であり、20g/Lを超えて 更なる効果の向上が望めなくなる。

 ここで、触媒活性種として白金以外の貴 属を合わせて使用する場合、白金の量は総 金属量に対し50%以上が好ましく、70%以上が り好ましく、90%以上が最も好ましい。

 第二触媒層に使用される酸化セリウム系 料及び耐熱性無機酸化物については、本発 の触媒全体の単位体積あたり10~300g/Lが好ま く、30~150g/Lがより好ましい。使用量が10g/L 上であれば、本発明の排気ガス浄化能力を 揮しうる貴金属の担持が可能であり、300g/L 下であれば、ハニカムにおける排気ガスの 気性を十分に保つことができる。

 酸化セリウム系材料については、本発明 触媒全体の単位体積あたり1~300g/Lが好まし 、10~200g/Lがより好ましい。配合量が1g/L以上 あれば、本発明の排気ガス浄化性能を発揮 ることができ、300g/L以下であればハニカム おける排気ガスの通気性を充分に保つこと できる。なお、酸化セリウムと複合酸化物 を使用する場合、その割合は、酸化セリウ :複合酸化物で100:0から50:50の範囲とするこ が好ましい。また、酸化ジルコニウム系材 としては、その配合量は適宜設定可能であ 特に限定されないが、好ましくは5~50g/L、よ 好ましくは10~30g/Lである。なお、使用され 酸化セリウム系材料は2種類以上を併せて使 してもよい。

 酸化ジルコニウム系材料については、本 明の触媒全体の単位体積あたり5~50g/Lが好ま しく、10~30g/Lがより好ましい。配合量が5g/L以 上であれば、高温での水素生成能を高めるこ とができ、50g/L以下であれば、他のNOx吸着材 より多く担持できるので好ましい。

 なお、第二触媒層に含まれる酸化セリウ 系材料と酸化ジルコニウム系材料との配合 合については、95:5から50:50の範囲が好まし 。

<その他成分>
 その他の成分として、例えばアルミナ、シ カのような耐熱性向上成分又は強度向上成 や、密着性向上成分(バインダー)等が第一 媒層及び/又は第二触媒層に配合されていて よい。

 バインダーとしては、ジルコニア系化合 、アルミナ系化合物、シリカ系化合物等が ましく例示できる。また、耐熱性向上成分 は強度向上成分としては、カリウム、ルビ ウム、セシウム、マグネシウム、カルシウ 、ストロンチウム、バリウム、アンチモン ハフニウム、タンタル、レニウム、ビスマ 、ガドリニウム、ホルミウム、ツリウム、 ッテルビウム、ゲルマニウム、セレン、カ ミウム、インジウム、スカンジウム、チタ 、ニオブ、クロム、銀、等のアルカリ、ア カリ土類、金属成分等が好ましく例示でき 。

〔第一触媒層と第二触媒層との積層形態〕
 本発明のNOx浄化触媒は、第一触媒層と第二 媒層との配置関係が特定されている点が特 となっている。すなわち、担体上に第二触 層及び第一触媒層が順次積層され、第一触 層が最上層となるように構成されているこ が好ましい。また、下層の第二触媒層は、 一触媒層側から担体側に向かって、貴金属 量が順次又は段階的に減少するように構成 れていることが好ましい。このことは、下 は必ずしも1層である必要はなく、貴金属含 量が順次又は段階的に減少するように、多層 で構成されていてもよいことを意味する。

[NOx低減化システムの作用]
 次に、本発明のNOx浄化触媒によるNOx低減化 ステムの作用について説明する。NOx浄化触 の一例は、下記の表1に示される構成からな り、後述する実施例に用いられる上層、下層 の2層構成からなる触媒である。この例では 上層が本発明の第一触媒層に該当し、下層 本発明の第二触媒層に該当する。

<低温域における作用>
 リーン状態1
 まず、排気ガスの空燃比をリーンにした状 (ディーゼルエンジンにおける通常の運転状 態)においては、排出ガス中のNOxが、上層(第 触媒層)を通過して、下層(第二触媒層)に到 し、貴金属(ここではPt)によって、NOxを酸化 (例えばNO→NO 2 )しながら、このNO 2 を、下層(いずれも第二触媒層)に一旦吸着さ て仮貯蔵する。このとき、PtはNO酸化触媒と して機能し、CeO 2 は、NOx吸着材として機能する。

 リッチ状態
 次に、排気ガスの空燃比をリッチにした状 とすると、上記のリーン状態1で下層に吸着 したNOxを、下記の水性ガスシフト反応(化学 1)により生成する水素によってアンモニアに 変換させると共に(化学式2)、このアンモニア が上層に移動し、固体酸に吸着されて再貯蔵 される。このとき、Pt/CeO 2 は水性ガスシフト触媒として機能し、PtはNH 3 生成触媒として機能し、Feイオン交換βゼオ イトはNH 3 吸着材として機能する。
 CO+H 2 O→H 2 +CO 2     ・・・化学式1
 NOx+H 2 →NH 3       ・・・化学式2

 リーン状態2
 排気ガスの空燃比を再度リーンにした状態 おいては、上層に再貯蔵されたアンモニア 、排気ガスに含まれるNOxとを、アンモニア 択接触還元法(NH 3 -SCR)により反応させて窒素に変換し(化学式3) 当該窒素を上層の表面から放出させること できる。このとき、Feイオン交換βゼオライ トは、NH 3 -SCR触媒として機能する。
 NOx+NH 3 +O 2 →N 2 +H 2 O    ・・・化学式3

 以上のように、上記の構成の触媒によれ 、下層へのNOxの仮貯蔵、アンモニアへの変 、上層へのアンモニアの再貯蔵、上層での 素への還元と放出、という一連のサイクル 効率よく行われるので、低温域においてもN Oxの低減化効率を向上できる。なお、本発明 おける低温域とは、400℃以下、好ましくは3 00℃以下である。

 なお、本発明においては、例えば、下層 更に2層構成として、上層、中層、下層の3 構成としてもよい。この場合、中層と下層 でPt量を変えてもよく、例えば、Ptの含有量 中層>下層としてもよい。更に、中層のみ にPtを含有し、下層にはPtを含有していない 成であってもよい。

 また、上述した実施形態では、本発明を ィーゼル内燃機関に適用した例を示したが ガソリン内燃機関にも適用可能である。更 本発明は、クランク軸を鉛直方向とした船 機等のような船舶推進機用エンジン等の空 比制御にも適用が可能である。

 以下、実施例により、本発明を更に詳細 説明する。

<実施例>
[NOx浄化触媒の調製]
 NOx浄化触媒として、上記の表1と同じ2層構 の触媒を従来公知のスラリー法で製造した すなわち、各触媒層毎に、構成する材料を 系媒体と共にボールミルにより混合して各 ラリーを製造し、このスラリーを下記の表2 示す組成表の成分量になるよう、下記に示 担体にウォッシュコート法をもって被覆し 下記に示す乾燥・焼成条件で乾燥・焼成し NOx浄化触媒を調製した。なお、本実施例の 層に使用されるスラリーの製造においては 各材料と共に塩化白金水溶液を混合した。

(担体)
サイズ:25.4φ×60mm(30cc)
壁厚:4.3mil
セル数:400
材質:コーディエライト製
形状:フロースルー型ハニカム構造体

(乾燥・焼成条件)
乾燥温度:120℃(大気中)
乾燥時間:1時間
焼成装置:電気炉
焼成温度:450℃
焼成時間:30分

<比較例>
 表2に示すように、下層の酸化物換算で5wt% イットリウムを含む酸化ジルコニウムを含 させなかった以外は実施例と同様の条件でNO x浄化触媒を調製した。

 [試験例1]
 上記の実施例1の構成の触媒を、下記の試験 条件下で運転し、NOx浄化性能を評価した。そ の結果を図1に示す。ここで、図1における横 は触媒温度であり、縦軸はNOxの変換率(体積 %)である。

 [試験条件]
(測定条件)
 触媒温度:200℃、250℃、300℃、350℃、400℃の 計5点
 リーン/リッチの割合:55秒/5秒
(ガス条件)
 リーン状態:O 2  6%、CO 2  6%、C 3 H 6  500ppm、
       CO 900ppm、NO 110ppm、H 2 O 7%、バランスN 2
 リッチ状態:O 2  0%、CO 2  6%、C 3 H 6  500ppm、
       CO 2%、NO 110ppm、H 2 O 7%、バランスN 2

 [試験例2]
 実施例及び比較例のNOx浄化触媒について、 性ガスシフト反応による水素生成量を質量 析により比較した。その結果を図2に示す。 ここで、図1における横軸は触媒温度であり 縦軸は水素生成量(イオン強度)である。

 図2の結果から明らかなように、300~400℃ 近において、比較例においては水素生成量 低下している。一方、実施例においては水 発生量が増加していることがわかる。