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Title:
NUCLEIC ACID AMPLIFICATION METHOD AND VESSEL USED IN THE METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/136318
Kind Code:
A1
Abstract:
It is intended to provide a reaction vessel (such as a nucleic acid amplification vessel) capable of performing a chemical reaction (such as nucleic acid amplification reaction) simply in a short time without being broken, and a nucleic acid amplification method capable of facilitating automation and preventing contamination without increasing the size of an apparatus or complexing the apparatus, and further decreasing waste which may be a cause of contamination. A nucleic acid amplification vessel including a reaction unit for performing a nucleic acid amplification reaction, which has a bottom surface in the shape of having at least two corners and a side surface in the shape of a plane or a curve with either a straight line or a curve line constituting the bottom surface as one side, and an introduction unit for receiving a sample, which has liquid communication with the reaction unit, has a smaller ratio of a surface area to its volume than that of the reaction unit and has a larger volume than that of the reaction unit; and a nucleic acid amplification method and a nucleic acid amplification detection method using the same. A reaction vessel including a housing unit capable of housing at least a suction and discharge portion of a pipette tip and a reaction unit for performing a chemical reaction. A nucleic acid amplification method capable of handling a detachable tip with a built-in filter and a nucleic acid amplification vessel integrally by allowing the tip to hold a solution for a nucleic acid amplification reaction and attaching the tip to the nucleic acid amplification vessel.

Inventors:
KUSUMOTO MASAHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/057805
Publication Date:
November 13, 2008
Filing Date:
April 23, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOYO BOSEKI (JP)
KUSUMOTO MASAHIRO (JP)
International Classes:
C12N15/09; C12M1/00; C12Q1/68
Domestic Patent References:
WO1997046712A21997-12-11
Foreign References:
US5720923A1998-02-24
JPH10150975A1998-06-09
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Claims:
 試料中の核酸を増幅するための容器であって、
 少なくとも、高分子材料からなり前記核酸の増幅反応を行なうための反応部と、該反応部と同一の材料からなり前記試料を受け入れるための導入部とを有し、
 前記反応部は、
 少なくとも2つの角を有する形状の底面と、該底面を構成する直線または曲線をそれぞれ一辺とする平面状または曲面状の側面とを有し、
 前記反応部の容積に対する表面積の比は4mm-1以上であり、該容積は0.1ml以下であり、
 前記導入部は、
 前記反応部と流動性連通を有し、
 前記導入部の容積に対する表面積の比は4mm-1未満であり、該容積は前記反応部の容積より大きいことを特徴とする容器。
 核酸の増幅反応を行なうための反応部と試料を受け入れるための導入部とが一体的に形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の容器。
 反応部の側面における平面状または曲面状の側面の部分の肉厚が0.5mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の容器。
(6)
 反応部の底面の形状が長方形であり、該長方形を構成する辺において、長辺の長さが短辺の長さの2倍以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の容器。
(7)
 高分子材料が熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の容器。
(11)
 さらに複数の容器が連結されてなることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の容器。
(1)(2)
 ピペットチップの少なくとも吸入吐出口部位を収納できる収納部を含むことを特徴とする請求項1に記載の容器。
(15)
 ピペットチップがフィルター付きピペットチップであることを特徴とする請求項7に記載の容器。
(16)
 フィルターが疎水性フィルターであることを特徴とする請求項8に記載の容器。
(13)
 試料中の核酸を増幅するための方法であって、容器として、
 少なくとも、高分子材料からなり前記核酸の増幅反応を行なうための反応部と、該反応部と同一の材料からなり前記試料を受け入れるための導入部とを有し、
 前記反応部は、
 少なくとも2つの角を有する形状の底面と、該底面を構成する直線または曲線をそれぞれ一辺とする平面状または曲面状の側面とを有し、
 前記反応部の容積に対する表面積の比は4mm-1以上であり、該容積は0.1ml以下であり、
 前記導入部は、
 前記反応部と流動性連通を有し、
 前記導入部の容積に対する表面積の比は4mm-1未満であり、該容積は前記反応部の容積より大きい容器を使用することを特徴とする核酸増幅方法。
(1)
 少なくとも下記(a)および(b)の工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の核酸増幅方法。
(a)着脱可能なチップに、核酸増幅反応のための溶液を保持させる
(b)前記溶液を保持したチップを核酸増幅容器に装着する
(2)
 (a)の工程において、着脱可能なチップへの溶液の保持が、該チップを介して溶液を吸引および吐出することが可能な分注機構を用いて、該チップに該溶液を吸引することにより行なわれることを特徴とする請求項11に記載の核酸増幅方法。
(3)
 (b)の工程において、溶液を保持したチップの核酸増幅容器への装着が、該チップを分注機構から取り外すことなく行なわれることを特徴とする請求項12に記載の核酸増幅方法。
(4)
 チップがフィルターを内蔵してなり、該フィルターは、該チップにおいて溶液を保持する部分と、分注機構に装着される際に該分注機構に接する部分との間に位置することを特徴とする請求項11から13のいずれかに記載の核酸増幅方法。
(7)
 さらに、下記(c)および(d)の工程を含むことを特徴とする請求項11から15のいずれかに記載の核酸増幅方法。
(c)前記チップを分注機構から取り外す
(d)前記チップに保持した溶液を核酸増幅容器の底部に移動させる
(11)
 さらに、下記(c)および(d)の工程を含むことを特徴とする請求項11から15のいずれかに記載の核酸増幅方法。
(c)前記チップに保持された溶液に空気圧を与え、核酸増幅反応のための溶液を該核酸増幅容器の底部に移動させる
(d)前記チップを分注機構から取り外す
(23)
 試料が蛍光体または発光体を含有することを特徴とする請求項10から16のいずれかに記載の核酸増幅方法。
(24)
 さらに試料から発せられる光を検出することを特徴とする請求項10から17のいずれかに記載の核酸増幅方法。
 
Description:
核酸増幅方法およびそれに用い 容器

 本発明は、核酸増幅容器に関するものであ 。より詳しくは、破損しにくく取り扱いが 便であり、さらに簡易な構造で安価に大量 産することが可能な核酸増幅容器に関する のである。
 本発明はまた、コンタミネーションの原因 なる廃棄物を減らすことが可能な反応容器 関するものである。
 また、本発明は、核酸増幅方法に関するも である。より詳しくは、自動化が容易であ 、さらにコンタミネーションの原因となる 棄物を減らすことが可能な核酸増幅方法に するものである。

 例えば医薬品や医薬品原料など有用物質 、一般に、化合物の酸化、還元、修飾など 々な化学反応を組み合わせることにより生 され、また、例えば健康診断などの際には 酸化、還元、呈色など様々な化学反応を用 て試薬などの性状を変化させ、尿や血液な の生体物質を分析するなど、バイオテクノ ジーにおける様々な分野で化学反応が利用 れている。

 中でも、近年特に、PCR(Polymerase Chain Reaction )などの核酸増幅反応はバイオテクノロジー おける様々な分野で応用されている。
例えば、医学分野では、特定臓器で発現また は機能するタンパク質の核酸分子レベルでの 解析や、神経、脳あるいは免疫系での情報伝 達におけるタンパク質の発現制御の研究など において重要であるのみならず、遺伝的疾患 の変異遺伝子の検出、癌の診断、ウイルス関 連遺伝子の検出など遺伝子診断においても極 めて重要である。特に、遺伝子診断などでは 核酸増幅反応が確定診断として用いられるた め誤りが許されず、また患者から採取できる 検体の量が限られているため失敗が許されず 、さらに迅速性も要求されるために、迅速性 を保ちながら高い精度を有していなければな らない。

(1)
 PCRは、一般に、二本鎖DNAを一本鎖DNAに解離 る反応(以下、「変性反応」と表記する)、 離して生じた一本鎖DNAとプライマーとのア ーリング反応(以下、「アニーリング反応」 表記する)、アニーリングした一本鎖DNAを鋳 型とするプライマーの伸長反応(以下、「伸 反応」と表記する)を繰り返すことにより行 う。具体的には、従来、PCR反応液を個々の イクロチューブに入れて、昇温または冷却 繰り返すことで、上記各反応に必要な反応 度に調整する方法が主に用いられてきた。 かし、PCRを行なうためには、この温度の調 の繰り返しや、微量のサンプルを扱うこと どにより、煩雑な作業や多大な時間を要し 上記温度の調整の繰り返しを行なうために 約2~3時間を要する。そこで、近年、より簡 かつ短時間のうちにPCRを行なうための技術 提案されている(特許文献1~6)。

 特許文献1および2には、空気などの気体 熱媒とすることで、変性反応などのための 度調整を行なう装置が開示されている。具 的には、ヒーターで加熱した空気をPCR反応 の周囲に送り込むことで、それぞれの反応 度に調整している。これにより、ヒートブ ック等を用いるより迅速に温度調整が可能 なるとされている。核酸増幅容器としては キャピラリーサンプルチューブが用いられ いる。キャピラリーサンプルチューブは、PC R反応液の貯留部位が極めて細く形成されて るため、温度調整の時間を短縮することが きる。また、当該装置では、キャピラリー ンプルチューブなどに含まれるPCR反応液の 光を検出する手段も備えている。つまり、 酸の増幅に応じて発する蛍光が変化するPCR 料を用いれば、リアルタイムにPCRの結果を 認することができる。

 特許文献1および2に開示の装置のように、 酸増幅容器としてキャピラリチューブを用 る場合は、別途、遠心機によって試料など 充填する工程が必要となる。つまり、キャ ラリチューブは液溜部が細いため、試料な を当該液溜部すなわち核酸増幅反応を行な ための反応部に充填するためには、注入口 なわち試料などを受け入れるための導入部 注いだ上で遠心機にかける工程が必要にな 、当該工程を行なった上で、装置に搭載す 必要がある。このとき、特許文献1および2に 開示の核酸増幅容器では反応部の材質として ガラスを使用しているため、当該導入部に注 いだ試料などを当該反応部に充填するための 遠心の際に生じる遠心力によって核酸増幅容 器が破損する可能性がある。遠心時の他にも 、持ち運びなど通常の実験操作においても核 酸増幅容器が破損する可能性がある。当該充 填操作の際に核酸増幅容器が破損すると試料 などを失うことになるため、例えば、
患者から採取できる検体の量が限られている 遺伝子診断の場合には、診断結果を得ること ができない。また、特許文献1および2に開示 核酸増幅容器は、プラスチック製の導入部 ガラス製の反応部を組み合わせた複雑な構 であるため、大量生産することが困難であ 安価に供給することができない。

 特許文献3および4には、PCRによって得ら る二本鎖核酸に結合して蛍光を発する蛍光 料を用いて、当該蛍光を検出することで、 速にPCRの結果を確認する技術が開示されて る。

 特許文献5には、PCRによって得られる二本 鎖核酸に結合する化合物と、当該化合物が当 該二本鎖核酸に結合したときに発する蛍光が 変化する反応分子で標識したプライマーとを 用いるIFP法が開示されている。当該蛍光の変 化を検出することで、PCRの結果を簡便に確認 することができるとされている。

 特許文献6には、3’末端にC(シトシン)を し、C(シトシン)とG(グアニン)とが水素結合 たときに蛍光が消える蛍光色素で標識した ライマーを用いてPCRを行なうQ-Probe法が開示 れている。これにより、当該蛍光の変化を 認することで、PCRの結果を簡便に確認する とができるとされている。

 特許文献3~6に開示の技術は、核酸増幅反応 結果を簡便に確認するための技術であり、 酸増幅容器としては光学的に透明であれば く、破損しにくく取り扱いが簡便な核酸増 容器を安価に供給するために資する技術で ない。

特表2000-511435号公報

特表2000-512138号公報

特開平5-184397号公報

特開平10-210464号公報

特表2003-500001号公報

特開2001-286300号公報

(2)
 PCRは、一般に、二本鎖DNAを一本鎖DNAに解離 る反応(以下、「変性反応」と表記する)、 離して生じた一本鎖DNAとプライマーとのア ーリング反応(以下、「アニーリング反応」 表記する)、アニーリングした一本鎖DNAを鋳 型とするプライマーの伸長反応(以下、「伸 反応」と表記する)を繰り返すことにより、 意のDNA断片を指数関数的に増幅させる方法 ある。この1サイクルにより、1本の二本鎖DN Aが2本の二本鎖DNAに増幅される。したがって このサイクルをn回繰り返せば、理論上、増 幅の対象となるDNA断片が2のn乗倍に増幅され 。増幅されたDNA断片は大量に存在するため 電気泳動など従来公知の方法により容易に 出できる。このように、PCRによれば、従来 は検出不可能であった、極めて微量(1分子 も可)の核酸をも検出することが可能である( 非特許文献1)。

 このように、PCRに代表される核酸増幅技 を用いれば、増幅の対象となるDNA断片を非 に高感度に検出できる。一方で、高感度で るがゆえに非特異的な増幅反応、すなわち 幅の対象となるDNAの有無とは無関係な増幅 起こりやすいことが、本技術の大きな問題 ある。例えば、核酸増幅反応が確定診断と て用いられる遺伝子診断において、本来増 の対象となる核酸が存在しない、すなわち 性と判断されるべき検体で、非特異的な増 反応が起こった場合は、当該検体は陽性と 断されることになる。このような偽陽性は 例えば、増幅の対象がウイルス由来の核酸 場合には、健常者を誤って感染患者として う原因となり、無意味な治療行為により健 者の健康を害する危険があるだけでなく、 院や隔離などの行動制限や風評被害などの 会的な問題を引き起こす可能性もあり、非 に大きな問題に発展する。

 核酸増幅においては、核酸増幅反応液へ 型核酸が混入することによる汚染、すなわ コンタミネーションが、上述のような偽陽 の主要な原因となり得る。混入する鋳型核 としては、例えば、他の患者などに由来す 検体や、一旦増幅させた同種の核酸、すな ち増幅核酸断片などが挙げられる。特に、 述のように核酸増幅反応では、少量の核酸 ら大量の増幅核酸断片が生じるために、例 ば、増幅核酸断片が、目に見える飛沫のよ な形態だけでなく、目には見えないエアゾ ルのような形態で核酸増幅反応液へ混入し だけでも、偽陽性の原因となり得るため、 幅反応後の反応液の取り扱いには細心の注 を要する。

 PCRは、具体的には、従来、PCR反応液を個 のマイクロチューブに入れて、昇温または 却を繰り返すことで、上記各反応に必要な 応温度に調整する方法が主に用いられてき 。しかし、PCRを行なうためには、この温度 調整の繰り返しや、微量のサンプルを扱う となどにより、煩雑な作業や多大な時間を し、上記温度の調整の繰り返しを行なうた に、約2~3時間を要する。そこで、近年、よ 簡便かつ短時間のうちにPCRを行なうための 術が提案されている。

 特許文献1および2には、空気などの気体を 媒とすることで、変性反応などのための温 調整を行なう装置が開示されている。具体 には、ヒーターで加熱した空気をPCR反応液 周囲に送り込むことで、それぞれの反応温 に調整している。これにより、ヒートブロ ク等を用いるより迅速に温度調整が可能に るとされている。
 特許文献1および2には、核酸増幅容器とし キャピラリチューブを用いて、PCRに必要な 度サイクルを行なう手段と、サンプルチュ ブに含まれるPCR反応液の蛍光を検出する手 とを備えた装置が開示されている。核酸増 容器としては、キャピラリーサンプルチュ ブが用いられている。キャピラリーサンプ チューブは、PCR反応液の貯留部位が極めて く形成されているため、温度調整の時間を 縮することができる。また、当該装置では キャピラリーサンプルチューブなどに含ま るPCR反応液の蛍光を検出する手段も備えて る。つまり、当該装置では、核酸の増幅に じて発する蛍光が変化するPCR試料を用いれ 、リアルタイムにPCRの結果を確認すること でき、反応後にサンプルチューブの蓋を開 ることによる核酸増幅反応液の飛散を防ぎ コンタミネーションの危険を低減させるこ ができる。

 特許文献1および2に開示の装置のように 核酸増幅容器としてキャピラリチューブを いる場合は、別途、遠心機によって試料な を充填する工程が必要となる。つまり、キ ピラリチューブは液溜部が細いため、試料 どを当該液溜部すなわち核酸増幅反応を行 うための反応部に充填するためには、注入 すなわち試料などを受け入れるための導入 に注いだ上で遠心機にかける工程が必要に り、当該工程を行なった上で、装置に搭載 る必要がある。このとき、特許文献1および2 に開示の核酸増幅容器では反応部の材質とし てガラスを使用しているため、当該導入部に 注いだ試料などを当該反応部に充填するため の遠心の際に生じる遠心力によって核酸増幅 容器が破損する可能性がある。遠心時の他に も、持ち運びなど通常の実験操作においても 核酸増幅容器が破損する可能性がある。当該 充填操作の際に核酸増幅容器が破損すると試 料などを失うことになるため、例えば、患者 から採取できる検体の量が限られている遺伝 子診断の場合には、診断結果を得ることがで きない。また、特許文献1および2に開示の核 増幅容器は、プラスチック製の導入部とガ ス製の反応部を組み合わせた複雑な構造で るため、大量生産することが困難であり安 に供給することができない。

 特許文献1および2に開示の装置では、核 増幅反応の前に、別途、核酸増幅容器であ キャピラリチューブにキャップを装着する 要がある。これは、一旦増幅させた同種の 酸、すなわち増幅核酸断片のコンタミネー ョンを防止するために、従来、一般的に行 われている対策であるが、それぞれのキャ ラリチューブへのキャップの装着は、特にPC Rを行なうサンプルの数が多い場合には、大 煩雑な作業となる。また、特許文献1および2 に開示の装置では、他の患者などに由来する 検体のコンタミネーションを防止するための 対策は開示されていない、すなわち、核酸増 幅反応のための溶液を核酸増幅容器に充填す る際に、上記検体中に含まれる核酸が飛散す る問題が解決されていない。さらに、特許文 献1および2に開示の核酸増幅容器では、反応 の材質としてガラスを使用しているため、 ャップを装着する際に核酸増幅容器が破損 る可能性がある。当該操作の際に核酸増幅 器が破損すると試料などを失うことになる め、例えば、患者から採取できる検体の量 限られている遺伝子診断の場合には、診断 果を得ることができない。

 特許文献7には、蓋が一体的に設けられた 検出容器に、試薬と、標的核酸を含むことが 疑われる試料とを分注する分注手段と、検出 容器への試薬および試料の分注が終了した後 に、検出容器の蓋を閉める蓋閉手段と、蓋が 閉められた検出容器内の標的核酸を増幅する 増幅手段と、蓋が閉められた検出容器内の標 的核酸の存在を検出する検出手段とを備えた 装置が開示されている。つまり、当該装置で は、自動的に、核酸増幅容器へ蓋を装着する ことができる。

 特許文献7に開示の装置では、核酸増幅容器 へ蓋を装着する作業を自動的に行なうための 手段として、当該装置に、検出容器の蓋を蓋 閉位置まで移動させる回動部材と、回動部材 を上方向から下方向に押圧することにより蓋 に上方向からの押圧力を加えて蓋の蓋閉動作 を完了させる押圧部材とを含んでおり、押圧 部材による上方向からの押圧力による蓋閉め 動作により、検出容器の蓋閉め動作を行う。 これは、コンタミネーションを防止するため に、従来、一般的に行なわれている対策を自 動化したものであるが、装置が大型化、複雑 化するという問題を有する。また、特許文献 7に開示の装置においても、特許文献1および2 に開示の装置と同様に、他の患者などに由来 する検体のコンタミネーションを防止するた めの対策は開示されていない、すなわち、核 酸増幅反応のための溶液を核酸増幅容器に充 填する際に、上記検体中に含まれる核酸が飛 散する問題が解決されていない。

特開2005-95134号公報 Sambrookら、Molecular Cloning, A Laboratory Manu al, Third Edition、第8章、第8.1~8.126頁、2001年

本発明の実施形態に係る核酸増幅容器 底面の形状を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る核酸増幅容器 外観を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る核酸増幅容器 8個連結した外観を示す模式図である。 本発明の実施形態の一例を説明する図 ある。 本発明の実施例1における溶液温度測定 の結果を示す図である。 本発明の実施例2における電気泳動の結 果を示す図である。 本発明の実施形態の一例を説明する図 ある。 本発明の実施形態に係る反応容器の底 の形状を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る反応容器の外 を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る反応容器を8 連結した外観を示す模式図である。 本発明の実施形態の一例を説明する図 である。 本発明の実施例4における溶液温度測 の結果を示す図である。 本発明の実施例5における電気泳動の 果を示す図である。 本発明の実施例7における電気泳動の 果を示す図である。 本発明の実施形態に係る核酸増幅方法 を示す模式図である。 本発明の実施例8における電気泳動の 果を示す図である。 本発明の実施例9における電気泳動の 果を示す図である。

符号の説明

 100  図4においては「核酸増幅容器」、図11 においては「反応容器」
 101  図2および図4においては「導入部」、 9および図11においては「収納部」
 102  図2および図4においては「反応部」、 9および図11においては「反応部」
 103  図2および図4においては「反応部底面 、図9および図11においては「反応部底面」
 200  図11において「ピペットチップ」
 201  図11において「フィルター」

 核酸増幅容器としてキャピラリーサンプ チューブを用い、また核酸の増幅に応じて する蛍光が変化するPCR試料を用い、さらに 酸増幅装置がキャピラリーサンプルチュー などに含まれるPCR反応液の蛍光を検出する 段を備えていれば、短時間のうちにPCRを行 い、その結果を確認することができる。し しながら、上記従来の構成では、キャピラ ーサンプルチューブなど極めて細く形成さ た核酸増幅容器を使用するため、PCR反応液 調製および当該容器への充填に細心の注意 必要であり、その作業に長時間を要すると う問題を有する。また、上記従来の構成で 、キャピラリーサンプルチューブなど核酸 幅容器が破損しやすいため、特に失敗が許 れない遺伝子診断などに用いることは困難 あるという問題をも有する。

 さらに、上記従来の構成、すなわち、核酸 増幅に応じて発する蛍光が変化するPCR試料 用い、さらに核酸増幅装置がキャピラリチ ーブなどに含まれるPCR反応液の蛍光を検出 る手段を備えていれば、反応後にサンプル ューブの蓋を開けることによる核酸増幅反 液の飛散を防ぎ、コンタミネーションの危 を低減させることができる。
また、核酸増幅装置が、核酸増幅容器へ蓋を 装着する作業を自動的に行なうための手段を 備えていれば、蓋の装着という煩雑な作業を 省略することができる。
しかしながら、上記従来の構成では、装置が 大型化、複雑化するという問題を有する。ま た、上記従来の構成では、核酸増幅反応のた めの溶液を核酸増幅容器に充填する際に、上 記検体中に含まれる核酸が飛散し、他の患者 などに由来する検体のコンタミネーションが 起こるという問題をも有する。

 本発明は、上記の問題点に鑑みてなされ ものであり、その目的は、破損しにくく取 扱いが簡便であり、また簡易な構造で安価 大量生産することができ、さらにコンタミ ーションの原因となる廃棄物を減らすこと 可能な反応容器(核酸増幅容器)を提供する とにある。

 また、本発明は、上記の問題点に鑑みて されたものであり、その目的は、自動化が 易であり、装置が大型化、複雑化すること くコンタミネーションを予防することがで 、さらにコンタミネーションの原因となる 棄物を減らすことが可能な核酸増幅方法を 供することにある。

 本発明者らは、上記課題を解決するため 、鋭意検討を重ねた結果、核酸増幅容器の 質と形状を工夫することによって、破損を え、安価に大量生産できることを見出し、 発明に至った。

 また、本発明者らは、上記課題を解決する めに、鋭意検討を重ねた結果、化学反応の めの溶液を反応容器に充填する方法(核酸増 幅反応のための溶液を核酸増幅容器に充填す る方法)を工夫し、さらに反応容器の材質と 状を工夫することによって、破損を抑え、 価に大量生産でき、簡易な操作で確実に反 液の飛散を防ぐことができ、さらにコンタ ネーションの原因となる廃棄物を減らすこ ができることを見出し、本発明に至った。
 すなわち、本発明は以下のような構成から る。

1A.試料中の核酸を増幅するための容器であっ て、
 少なくとも、高分子材料からなり前記核酸 増幅反応を行なうための反応部と、該反応 と同一の材料からなり前記試料を受け入れ ための導入部とを有し、
 前記反応部は、
 少なくとも2つの角を有する形状の底面と、 該底面を構成する直線または曲線をそれぞれ 一辺とする平面状または曲面状の側面とを有 し、
 前記反応部の容積に対する表面積の比は4mm- 1以上であり、該容積は0.1ml以下であり、
 前記導入部は、
 前記反応部と流動性連通を有し、
 前記導入部の容積に対する表面積の比は4mm- 1未満であり、該容積は前記反応部の容積よ 大きいことを特徴とする容器。
2A.核酸の増幅反応を行なうための反応部と試 料を受け入れるための導入部とが一体的に形 成されてなることを特徴とする1Aの容器。
3A.反応部の側面における平面状または曲面状 の側面の部分の肉厚が0.5mm以下であることを 徴とする1Aまたは2Aの容器。
4A.反応部の底面の形状が三角形であることを 特徴とする1Aから3Aのいずれかの容器。
5A.反応部の底面の形状が四角形であることを 特徴とする1Aから3Aのいずれかの容器。
6A.反応部の底面の形状が長方形であり、該長 方形を構成する辺において、長辺の長さが短 辺の長さの2倍以上であることを特徴とする5A の容器。
7A.高分子材料が熱可塑性樹脂であることを特 徴とする1A~6Aのいずれかの容器。
8A.熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン、ポリオ レフィン、ポリメチルペンテン、環状ポリオ レフィン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポ リカーボネート、ポリアセタール、ポリアミ ド、ポリイミド、ポリアミドイミド、液晶ポ リマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ エーテルサルホン、ポリエチレンテレフタレ ート、ポリフェニレンエーテル、ポリサルフ ォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリブ チレンテレフタレート、メタクリル樹脂、ABS 樹脂及びポリ塩化ビニルからなる群より選ば れた1種の樹脂又は2種以上のポリマーアロイ たは2種以上のポリマーブレンドであること を特徴とする7Aの容器。
9A.熱可塑性樹脂が、ポリプロピレンであるこ とを特徴とする7Aの容器。
10A.核酸の増幅反応を行なうための反応部の なくとも一部が、光学的に透明であること 特徴とする1A~9Aのいずれかの容器。
11A.さらに複数の容器が連結されてなること 特徴とする1A~10Aのいずれかの容器。
12A.複数の容器の連結が、試料を受け入れる めの導入部を連結することによってなるこ を特徴とする11Aの容器。
1B’.ピペットチップの少なくとも吸入吐出口 部位を収納できる収納部を含むことを特徴と する1Aの容器。
2B’.化学反応が、核酸増幅反応であることを 特徴とする1B’の容器。
3B’.前記反応部の容積が、0.1ml以下であるこ を特徴とする1B’または2B’の容器。
4B’.前記反応部の容積に対する表面積の比が 、4mm-1以上であることを特徴とする3B’の容 。
5B’.前記反応部の側面の部分の肉厚が0.5mm以 であることを特徴とする1B’~4B’のいずれ の容器。
6B’.前記反応部の底面の形状が三角形である ことを特徴とする1B’~5B’のいずれかの容器
7B’.前記反応部の底面の形状が四角形である ことを特徴とする1B’~5B’のいずれかの容器
8B’.前記反応部の底面の形状が長方形であり 、該長方形を構成する辺において、長辺の長 さが短辺の長さの2倍以上であることを特徴 する7B’の容器。
9B’.容器が熱可塑性樹脂からなることを特徴 とする1B’~8B’のいずれかの容器。
10B’.熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン、ポ オレフィン、ポリメチルペンテン、環状ポ オレフィン、ポリエチレン、ポリスチレン ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリ ミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、液 ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、 リエーテルサルホン、ポリエチレンテレフ レート、ポリフェニレンエーテル、ポリサ フォン、ポリフェニレンサルファイド、ポ ブチレンテレフタレート、メタクリル樹脂 ABS樹脂及びポリ塩化ビニルからなる群より ばれた1種の樹脂又は2種以上のポリマーアロ イ又は2種以上のポリマーブレンドであるこ を特徴とする9B’の容器。
11B’.熱可塑性樹脂が、ポリプロピレンであ ことを特徴とする9B’の容器。
12B’.化学反応を行なうための反応部の少な とも一部が、光学的に透明であることを特 とする1B’~11B’のいずれかの容器。
13B’.さらに複数の容器が連結されてなるこ を特徴とする1B’~12B’のいずれかの容器。
14B’.複数の容器の連結が、収納部を連結す ことによってなることを特徴とする13B’の 器。
15B’.ピペットチップがフィルター付きピペ トチップであることを特徴とする1B’~14B’ いずれかの容器。
16B’.フィルターが疎水性フィルターである とを特徴とする15B’の容器。
13A.試料中の核酸を増幅するための方法であ て、容器として、
 少なくとも、高分子材料からなり前記核酸 増幅反応を行なうための反応部と、該反応 と同一の材料からなり前記試料を受け入れ ための導入部とを有し、
 前記反応部は、
 少なくとも2つの角を有する形状の底面と、 該底面を構成する直線または曲線をそれぞれ 一辺とする平面状または曲面状の側面とを有 し、
 前記反応部の容積に対する表面積の比は4mm- 1以上であり、該容積は0.1ml以下であり、
 前記導入部は、
 前記反応部と流動性連通を有し、
 前記導入部の容積に対する表面積の比は4mm- 1未満であり、該容積は前記反応部の容積よ 大きい容器を使用することを特徴とする核 増幅方法。
1C’.少なくとも下記(a)および(b)の工程を含む ことを特徴とする13Aの核酸増幅方法。
(a)着脱可能なチップに、核酸増幅反応のため の溶液を保持させる
(b)前記溶液を保持したチップを核酸増幅容器 に装着する
2C’.(a)の工程において、着脱可能なチップへ の溶液の保持が、該チップを介して溶液を吸 引および吐出することが可能な分注機構を用 いて、該チップに該溶液を吸引することによ り行なわれることを特徴とする1C’の核酸増 方法。
3C’.(b)の工程において、溶液を保持したチッ プの核酸増幅容器への装着が、該チップを分 注機構から取り外すことなく行なわれること を特徴とする2C’の核酸増幅方法。
4C’.チップがフィルターを内蔵してなり、該 フィルターは、該チップにおいて溶液を保持 する部分と、分注機構に装着される際に該分 注機構に接する部分との間に位置することを 特徴とする1C’から3C’のいずれかの核酸増 方法。
5C’.フィルターが疎水性フィルターであるこ とを特徴とする4C’の核酸増幅方法。
6C’.チップと核酸増幅容器が、装着により互 いに密着することを特徴とする1C’から5C’ いずれかの核酸増幅方法。
7C’.さらに、下記(c)および(d)の工程を含むこ とを特徴とする1C’から6C’のいずれかの核 増幅方法。
(c)前記チップを分注機構から取り外す
(d)前記チップに保持した溶液を核酸増幅容器 の底部に移動させる
8C’.(d)の工程において、溶液の移動が、チッ プを装着した核酸増幅容器を遠心することに より行なわれることを特徴とする7C’の核酸 幅方法。
9C’.(d)の工程において、溶液の移動が、チッ プに保持された溶液に空気圧を与えることに より行なわれることを特徴とする7C’の核酸 幅方法。
10.(c)の工程において、チップの取り外しが、 分注機構から空気を吐出しながら行なわれる ことを特徴とする7C’から9C’のいずれかの 酸増幅方法。
11.さらに、下記(c)および(d)の工程を含むこと を特徴とする1C’から6C’のいずれかの核酸 幅方法。
(c)前記チップに保持された溶液に空気圧を与 え、核酸増幅反応のための溶液を該核酸増幅 容器の底部に移動させる
(d)前記チップを分注機構から取り外す
14A.核酸の増幅反応を行なうための反応部と 料を受け入れるための導入部とが一体的に 成されてなることを特徴とする13Aの核酸増 方法。
15A.反応部の側面における平面状または曲面 の側面の部分の肉厚が0.5mm以下であることを 特徴とする13Aまたは14Aの核酸増幅方法。
16A.反応部の底面の形状が三角形であること 特徴とする13Aから15Aのいずれかの核酸増幅 法。
17A.反応部の底面の形状が四角形であること 特徴とする13Aから15Aのいずれかの核酸増幅 法。
18A.反応部の底面の形状が長方形であり、該 方形を構成する辺において、長辺の長さが 辺の長さの2倍以上であることを特徴とする1 7Aの核酸増幅方法。
19A.高分子材料が熱可塑性樹脂であることを 徴とする13A~18Aのいずれかの核酸増幅方法。
20A.熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン、ポリ レフィン、ポリメチルペンテン、環状ポリ レフィン、ポリエチレン、ポリスチレン、 リカーボネート、ポリアセタール、ポリア ド、ポリイミド、ポリアミドイミド、液晶 リマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポ エーテルサルホン、ポリエチレンテレフタ ート、ポリフェニレンエーテル、ポリサル ォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ チレンテレフタレート、メタクリル樹脂、AB S樹脂及びポリ塩化ビニルからなる群より選 れた1種の樹脂又は2種以上のポリマーアロイ 又は2種以上のポリマーブレンドであること 特徴とする19Aの核酸増幅方法。
21A.熱可塑性樹脂が、ポリプロピレンである とを特徴とする19Aの核酸増幅方法。
22A.核酸の増幅反応を行なうための反応部の なくとも一部が、光学的に透明であること 特徴とする13A~21Aのいずれかの核酸増幅方法
23A.試料が蛍光体または発光体を含有するこ を特徴とする13Aから22Aのいずれかの核酸増 方法。
24A.さらに試料から発せられる光を検出する とを特徴とする13Aから23Aのいずれかの核酸 幅方法。
25A.試料から発せられる光の検出が核酸増幅 応と同時に行なわれることを特徴とする24A 核酸増幅方法。
26A.試料から発せられる光の検出が核酸増幅 応の後に行なわれることを特徴とする24Aの 酸増幅方法。
 
1B.ピペットチップの少なくとも吸入吐出口部 位を収納できる収納部と、化学反応を行なう 反応部を含むことを特徴とする容器。
2B.化学反応が、核酸増幅反応であることを特 徴とする請求項32に記載の容器。
3B.前記反応部の容積が、0.1ml以下であること 特徴とする1Bまたは2Bの容器。
4B.前記反応部の容積に対する表面積の比が、 4mm-1以上であることを特徴とする3Bの容器。
5B.前記反応部の側面の部分の肉厚が0.5mm以下 あることを特徴とする1B~4Bのいずれかの容 。
6B.前記反応部の底面の形状が三角形であるこ とを特徴とする1B~5Bのいずれかの容器。
7B.前記反応部の底面の形状が四角形であるこ とを特徴とする1B~5Bのいずれかの容器。
8B.前記反応部の底面の形状が長方形であり、 該長方形を構成する辺において、長辺の長さ が短辺の長さの2倍以上であることを特徴と る7Bの容器。
9B.容器が熱可塑性樹脂からなることを特徴と する1B~8Bのいずれかの容器。
10B.熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン、ポリ レフィン、ポリメチルペンテン、環状ポリ レフィン、ポリエチレン、ポリスチレン、 リカーボネート、ポリアセタール、ポリア ド、ポリイミド、ポリアミドイミド、液晶 リマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポ エーテルサルホン、ポリエチレンテレフタ ート、ポリフェニレンエーテル、ポリサル ォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ チレンテレフタレート、メタクリル樹脂、AB S樹脂及びポリ塩化ビニルからなる群より選 れた1種の樹脂又は2種以上のポリマーアロイ 又は2種以上のポリマーブレンドであること 特徴とする9Bの容器。
11B.熱可塑性樹脂が、ポリプロピレンである とを特徴とする9Bの容器。
12B.化学反応を行なうための反応部の少なく も一部が、光学的に透明であることを特徴 する1B~11Bのいずれかの容器。
13B.さらに複数の容器が連結されてなること 特徴とする1B~12Bのいずれかの容器。
14B.複数の容器の連結が、収納部を連結する とによってなることを特徴とする13Bの容器
15B.ピペットチップがフィルター付きピペッ チップであることを特徴とする1B~14Bのいず かの容器。
16B.フィルターが疎水性フィルターであるこ を特徴とする15Bの容器。
1C.少なくとも下記(a)および(b)の工程を含むこ とを特徴とする核酸増幅方法。
(a)着脱可能なチップに、核酸増幅反応のため の溶液を保持させる
(b)前記溶液を保持したチップを核酸増幅容器 に装着する
2C.(a)の工程において、着脱可能なチップへの 溶液の保持が、該チップを介して溶液を吸引 および吐出することが可能な分注機構を用い て、該チップに該溶液を吸引することにより 行なわれることを特徴とする1Cの核酸増幅方 。
3C.(b)の工程において、溶液を保持したチップ の核酸増幅容器への装着が、該チップを分注 機構から取り外すことなく行なわれることを 特徴とする2Cの核酸増幅方法。
4C.チップがフィルターを内蔵してなり、該フ ィルターは、該チップにおいて溶液を保持す る部分と、分注機構に装着される際に該分注 機構に接する部分との間に位置することを特 徴とする1Cから3Cのいずれかの核酸増幅方法
5C.フィルターが疎水性フィルターであること を特徴とする4Cの核酸増幅方法。
6C.チップと核酸増幅容器が、装着により互い に密着することを特徴とする1Cから5Cのいず かの核酸増幅方法。
7C.さらに、下記(c)および(d)の工程を含むこと を特徴とする1Cから6Cのいずれかの核酸増幅 法。
(c)前記チップを分注機構から取り外す
(d)前記チップに保持した溶液を核酸増幅容器 の底部に移動させる
8C.(d)の工程において、溶液の移動が、チップ を装着した核酸増幅容器を遠心することによ り行なわれることを特徴とする7Cの核酸増幅 法。
9C.(d)の工程において、溶液の移動が、チップ に保持された溶液に空気圧を与えることによ り行なわれることを特徴とする7Cの核酸増幅 法。
10C.(c)の工程において、チップの取り外しが 分注機構から空気を吐出しながら行なわれ ことを特徴とする7Cから9Cのいずれかの核酸 幅方法。
11C.さらに、下記(c)および(d)の工程を含むこ を特徴とする1Cから6Cのいずれかの核酸増幅 法。
(c)前記チップに保持された溶液に空気圧を与 え、核酸増幅反応のための溶液を該核酸増幅 容器の底部に移動させる
(d)前記チップを分注機構から取り外す

 本発明により、破損しにくく取り扱いが 便であり、さらに簡易な構造で安価に大量 産することが可能な核酸増幅容器、ならび 当該核酸増幅容器を用いた迅速かつ簡便な 酸増幅検出方法が提供される。本発明の核 増幅容器は、特に、これまでの核酸増幅容 とは異なり破損する可能性が極めて低いた 、例えば、遺伝子検査のように、患者から 取できる検体の量が限られているため失敗 許されず、さらに迅速性も要求される場合 も、効果的に使用することができる。

 本発明により、破損しにくく取り扱いが簡 であり、簡易な構造で安価に大量生産する とが可能な反応容器が提供される。また、 発明により、簡易な操作で確実に核酸増幅 応液の飛散を防ぐことができるため、自動 が容易であり、簡易な構造の核酸増幅装置 コンタミネーションを予防することが可能 核酸増幅方法が提供される。
 さらに、本発明の反応容器(核酸増幅容器) 核酸増幅方法を用いれば、特に、これまで 反応容器(核酸増幅容器)・核酸増幅方法とは 異なり、コンタミネーションの原因となる物 質の、廃棄物からの飛散または漏出を減らす ことができるため、例えば、遺伝子検査のよ うに、患者から採取できる検体の量が限られ ているため失敗が許されず、さらに感染性の 検体を取り扱う可能性がある場合にも、効果 的に使用することができる。

 以下、本発明の一実施形態について詳細に 明する。
(A)
 本発明において、増幅の対象となる核酸と ては、標的核酸配列すなわち解析の対象と る核酸配列を含む染色体又はその断片に相 的な配列を有する核酸、増幅した核酸また その断片に相補的な配列を有する核酸、な が挙げられる。

 上記染色体又はその断片に相補的な配列 有する核酸は、例えば、バクテリア、動物 たは植物組織、個体細胞由来の溶解物など あらゆる材料から調製することができる。 染色体又はその断片に相補的な配列を有す 核酸の調製法は特に限定されないが、例え 、患者の血液、組織から、既知の方法によ 調製してもよい。代表的なものとして、フ ノール/クロロホルム抽出法(Biochimica et Biop hysica Acta 第72巻、第619~629頁、1963年)、アル リSDS法(Nucleic Acids Research 第7巻、第1513~1523 、1979年)等の液相で行なう方法がある。ま 、核酸の単離に核酸結合用担体を用いる系 しては、ガラス粒子とヨウ化ナトリウム溶 を使用する方法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 第76 -2巻、第615~619頁、1979年)、ハイドロキシアパ イトを用いる方法(特開昭63-263093号公報)等 ある。その他の方法としてはシリカ粒子と オトロピックイオンを用いた方法(Journal of  Clinical Microbiology 第28-3巻、第495~503頁、1990年 、特開平2-289596号公報)が挙げられる。なお、 例えば、バクテリア、動物、植物などに由来 する細胞を含む溶液を、当該細胞を破壊する ことなく試料として用いたり、あるいはバク テリア、動物、植物などに由来する細胞を直 接、核酸増幅反応を行なうための反応液に添 加して、上記のような方法による核酸の調製 を省略し、核酸増幅反応を行なうこともでき る。

 本発明において、核酸の増幅方法として 、上記PCRの他に、NASBA(Nucleic acid sequence-base damplification method;Nature 第350巻、第91頁(1991年) )、LCR(国際公開89/12696号公報、特開平2-2934号 報)、SDA(Strand Displacement Amplification:Nucleic aci d research 第20巻、第1691頁(1992年))、RCA(国際公 開90/1069号公報)、TMA(Transcription mediated amplific ation method;J.Clin.Microbiol. 第31巻、第3270頁(1993 ))、LAMP(loop-mediated isothermal amplification method :J Clin Microbiol. 第42巻:第1,956頁(2004年))、ICAN( isothermal and chimeric primer-initiated amplification  of nucleic acids:Kekkaku. 第78巻、第533頁(2003年)) ど既知の核酸増幅方法が挙げられる。本発 において、核酸増幅方法はPCRに限定される のではないが、以下、説明の簡便化のため 核酸の増幅方法をPCRに代表させ、核酸増幅( 核酸増幅反応)を行なうための反応液を「PCR 応液」と称することがある。

 本発明の核酸増幅容器は、材料として高 子材料を用いることにより、核酸増幅容器 破損する可能性を極めて低くすることがで る。高分子材料としては、破損しにくい性 を有していれば特に限定されないが、成型 容易であるという観点から熱可塑性樹脂で ることがより好ましい。例えば、ポリプロ レン(PP)、ポリオレフィン(PO)、ポリメチル ンテン(TPX)、環状ポリオレフィン(COC)、ポリ チレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボ ート(PC)、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(P A)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、 晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケ ン(PEEK)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリエ チレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレン ーテル(PPE)、ポリサルフォン(PSF)、ポリフェ ニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテレ タレート(PBT)、メタクリル樹脂(PMMA)、ABS樹 (ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)などを使用するこ ができる。またはこれら2種以上のポリマー アロイを使用することができる。好ましくは ポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン(COC) 、ポリカーボネート(PC)、またはこれら2種以 のポリマーアロイ又は2種以上のポリマーブ レンドであり、より好ましくはポリプロピレ ン(PP)である。

 また、本発明の核酸増幅容器において、 酸の増幅反応を行なうための反応部の少な とも一部が、光学的に透明であることによ 、核酸の増幅に応じて発する蛍光が変化す PCR試料を用い、さらに核酸増幅装置がPCR反 液の蛍光を検出する手段を備えている場合 、短時間のうちにPCRを行ない、その結果を 認することができる。一般に、物体に入射 た光は、一部は物体表面で反射され、他の 部は物体内で吸収され、残りが透過光とな ため、光学的な透明度は、入射光に対する 過光の比率として表すことができる。当該 応部の少なくとも一部の透明度としては、 酸の増幅に応じて発する蛍光が検出できれ 特に限定されない。1mm厚の成形板にしたと の可視光線透過率が、50%以上であることが ましく、より好ましくは80%以上、さらに好 しくは90%以上であればよい。

 高分子材料は、従来公知のキャピラリー ンプルチューブの材質として知られるガラ に比べて割れにくい、すなわち破損しにく メリットを有する一方で、熱などの影響に り変形しやすいデメリットを有する材料で る。特に、PCR反応液の蛍光を検出すること より短時間のうちにPCRの結果を確認する検 方法を用いる場合、核酸増幅容器が変形す と、PCR反応液から発せられた蛍光が核酸増 装置の検出器に届かないことが大きな問題 なる。

 前述のように、PCRにおいては核酸増幅容 を介してPCR反応液の昇温または冷却を繰り し、それぞれ変性反応、アニーリング反応 伸長反応に適した温度に調整することによ 、試料中の核酸が増幅する。一般に、PCRの 性反応に用いられる温度は95℃程度である め、当該温度において高分子材料からなる 酸増幅容器が変形しないようにするために 、該核酸増幅容器の肉厚を厚くする必要が る。しかしながら、肉厚を厚くすると核酸 幅容器を介した熱エネルギーの伝達が遅く るため、PCR反応液の昇温または冷却に時間 かかり、核酸増幅を迅速に行なうことがで ない。したがって、従来公知のキャピラリ サンプルチューブの材質を単純に高分子材 と置き換えるだけでは、迅速性を犠牲にす ことなく、破損しにくい核酸増幅容器を提 することはできない。すなわち、本発明で 、様々な材質および形状を検討し、破損し くい性質と変形しにくい性質を両立できる 酸増幅容器を確立したものである。

 本発明の核酸増幅容器は、底面と、該底 を構成する直線または曲線をそれぞれ一辺 する平面状または曲面状の側面とを有する 該底面の形状としては、核酸増幅容器の強 を確保するために、少なくとも2つの角を有 していれば特に限定されないが、例えば、図 1の(A)~(O)に示すような形状が挙げられる。(A)~ (E)に示すような正多角形、(F)のような長方形 、(G)のような平行四辺形、(H)のような十字型 、(I)または(J)のような星型など、直線のみで 構成される形状の他に、(K)~(N)のように直線 曲線とを組み合わせた形状、(O)のように曲 のみで構成される形状など、適宜選択する とができる。

 核酸増幅容器の強度を確保し、かつPCR反 液から発せられる蛍光を容易に検出すると う観点からは、該底面の形状は(A)のような 角形、または(B)、(F)、(G)のような四角形が ましい。一般に、蛍光検出においては、光 すなわちPCR反応液と検出器とを結ぶ直線に 行な軸線上にある蛍光分子の量が、測定さ るシグナルの強度に反映されるため、該底 の形状は(F)のような長方形であることがよ 好ましく、該長方形を構成する辺において 長辺の長さが短辺の長さの2倍以上であるこ とがさらに好ましい。

 核酸増幅容器の成型方法としては、従来 知の方法を使用することができるが、短い 間で同じ品質の成型品を大量に生産できる 原料の投入から成型品の取り出しまでを全 動で行うことができる、高い寸法精度と複 な構造の成型品を作ることができる、など 観点から、射出成型法がより好適に使用し る。

 蛍光検出において、当該PCR反応液へ入射 た励起光が核酸増幅容器により反射される 象が蛍光測定の障害となる場合は、例えば (K)~(N)のように直線と曲線を組み合わせた形 状、または(O)のように曲線のみで構成される 形状を選択することで、反射光の影響を低減 させることができる。この場合、上述したよ うに、光源すなわちPCR反応液と検出器とを結 ぶ直線に平行な軸線上にある蛍光分子の量が 、測定されるシグナルの強度に反映されるこ とから、(K)のような形状であることがより好 ましい。

 本発明の核酸増幅容器は、上記のような 状の底面を構成する直線または曲線をそれ れ一辺とする平面状または曲面状の側面と 有する。すなわち核酸増幅容器において、 酸の増幅反応を行なうための反応部は、上 のような形状の底面を、該底面に垂直な軸 方向に掃引したような外観を有する。当該 酸増幅容器を側面から見た場合の形状は特 限定されず、該反応部を、該底面に平行な 面で切断した場合の切り口の大きさは、該 面からの距離によらず一定の形状(すなわち 、柱状)でも良いし、該底面からの距離が離 るほど大きくなる形状(すなわち、底面に向 って細くなる形状)でも良い。本発明の実施 形態の一例として、図2に、底面の形状を正 形、側面の形状を柱状(すなわち、該底面に 行な平面で切断した場合の切り口の大きさ 該底面からの距離によらず一定)とした場合 の核酸増幅容器の外観を示す。

 一般に、柱状または底面に向かって細く る形状の構造物の変形に対する抵抗性、す わち強度は、該構造物の断面形状が三角形 四角形などの多角形の方が、円形より強い とが知られている。したがって、本発明の 酸増幅容器の外観は、三角形や四角形など 角形の断面形状を有する柱状または底面に かって細くなる形状が好ましく、三角形ま は四角形の断面形状を有することがより好 しい。

 本発明では、核酸増幅容器の反応部、す わちPCR反応液の貯留部位を極めて細く形成 ることにより、該PCR反応液の容積に対する 面積が大きくなる、すなわち該PCR溶液と核 増幅装置の間での熱エネルギーの伝達速度 向上し、PCRにおいて繰り返される変性反応 アニーリング反応、伸長反応の各工程間で 温度調整の時間を短縮することができる。 反応部において、容積に対する表面積の比 4mm-1以上であることが好ましく、6mm-1以上で あることがより好ましく、8mm-1以上であるこ がさらに好ましい。

 また、PCRにおいて繰り返される変性反応 アニーリング反応、伸長反応の各工程間で 温度調整の時間を短縮するためには、PCR反 液の容積を小さくすることも効果的である 迅速にPCRを行なうためには、該PCR反応液の 積は0.1ml以下であることが好ましく、0.02ml 下であることがより好ましい。しかしなが 、PCR反応液の容積が小さすぎると、該PCR反 液の蛍光を検出することにより短時間のう にPCRの結果を確認する検出方法を用いる場 に、検出可能な蛍光分子の量が不足し、シ ナルとして測定できない可能性があるため 該PCR反応液の容積は0.005ml以上であることが ましく、0.01ml以上であることがより好まし 。

 さらに、上述のように、核酸増幅容器の 厚を厚くすると、該核酸増幅容器を介した エネルギーの伝達が遅くなるため、PCR反応 の昇温または冷却に時間がかかり、核酸増 を迅速に行なうことができない。核酸増幅 器の反応部の側面における平面状または曲 状の部分の肉厚は0.5mm以下であることが好 しく、0.4mm以下であることがより好ましく、 0.3mm以下であることがさらに好ましい。しか ながら、当該反応部の側面における平面状 たは曲面状の部分の肉厚が薄すぎると、例 、核酸増幅容器の形状について前述のよう 工夫を施していたとしても、強度不足によ PCR中に該核酸増幅容器の反応部が変形する 能性があるため、該肉厚は0.1mm以上である とが好ましく、0.2mm以上であることがより好 ましい。

 上述のように、本発明の核酸増幅容器に いて、反応部、すなわちPCR反応液の貯留部 を極めて細く形成することが好ましい。し しながら、極めて細い反応部に試料またはP CR反応液などを充填するためには、導入部、 なわち試料などを受け入れるための注入口 注いだ上で遠心機にかける工程が必要にな 。核酸増幅容器の導入部へ試料またはPCR反 液などを注入する際には、例えば、マイク ピペットなど手動式の分注器または自動式 分注装置を使用するため、該導入部は当該 注器または分注装置により容易に試料また PCR反応液などを注入し得る形状であること 好ましい。具体的には、該導入部の容積に する表面積の比が4mm-1未満であり、該容積 前記反応部の容積より大きいことが好まし 。さらには、該導入部の容積に対する表面 の比が2mm-1未満であり、該容積は前記反応部 の容積より大きいことがより好ましい。

 また、試料またはPCR反応液などを核酸増 容器の導入部に注入し、遠心により該核酸 幅容器の反応部に充填するためには、該反 部と該導入部は流動性連通を有しているこ が好ましい。「流動性連通」とは、該導入 に注入した溶液が遠心力、圧力、重力など 外力により該反応部へ移動できることを指 、該溶液が約1000xg以上の遠心力により該反 部へ移動できることが好ましい。さらに、 反応部と該導入部とが同一の材料からなり 一体的に形成されていれば、従来公知の高 子材料の成型技術を用いて、当該核酸増幅 器を安価に大量生産することが可能となる め、より好ましい。

 多数の反応を同時に行なう場合などにお ては、複数の核酸増幅容器を連結すること 取り扱いを簡便にすることができる。核酸 幅容器の連結方法としては、生産する際に 複数の核酸増幅容器をあらかじめ連結した 造で成型しても良いし、使用する際に、単 の核酸増幅容器を当業者により用意に想到 得る冶具などを用いて連結しても良い。前 のように、PCRにおいて繰り返される変性反 、アニーリング反応、伸長反応の各工程間 の温度調整の時間を短縮するためには、核 増幅容器の反応部を介した熱エネルギーの 達を速くすることが効果的であるから、上 複数の核酸増幅容器の連結は、該核酸増幅 器の導入部を連結することによってなるこ が好ましい。本発明の実施形態の一例とし 、図3に、底面の形状を正方形、側面の形状 を柱状とした核酸増幅容器を、8個連結した 合の外観を示す。

 本発明の核酸増幅容器は、核酸を増幅お び/または検出するための容器として、例え ば、核酸の増幅のみの場合、核酸の増幅と同 時に検出する場合、核酸の増幅後に検出する 場合、核酸の検出のみの場合などの用途で適 宜使用することができる。

(B)
 本発明の反応容器を、バイオテクノロジー おける様々な分野で応用されている化学反 である核酸増幅反応に適用する場合、増幅 対象となる核酸としては、標的核酸配列す わち解析の対象となる核酸配列を含む染色 又はその断片に相補的な配列を有する核酸 増幅した核酸またはその断片に相補的な配 を有する核酸、などが挙げられる。

 本発明は、簡易な操作で確実に反応液の飛 を防ぐことができ、コンタミネーションを 防することが可能な反応容器を提供するこ を目的の一つとする。
 したがって、本発明において、核酸増幅方 とは、前述のような、核酸の増幅に応じて する蛍光が変化するPCR試料を用い、さらに 酸増幅装置がキャピラリチューブなどに含 れるPCR反応液の蛍光を検出する手段を備え いることによって、核酸の増幅と同時に、 るいは核酸の増幅後に連続して、増幅した 酸を検出する方法をも包含する。

 本発明の反応容器は、化学反応のための溶 を保持させたピペットチップの少なくとも 入吐出口部位を収納することにより、例え 、遺伝子検査においては、従来のピペット 作など核酸増幅反応のための溶液を核酸増 容器に充填する際に、検体中に含まれる核
酸が飛散し、他の患者などに由来する検体の コンタミネーションが起こる可能性を極めて 低くすることができる。

 ピペットチップとしては、化学反応のた の溶液を保持させることが可能な性質を有 ていれば特に限定されないが、入手が容易 あるという観点から、ピペットチップを介 て溶液を吸引および吐出することが可能な 注機構を有する手動分注器または自動分注 置に使用するために、市販されているピペ トチップであることが好ましい。例えば、 イニン・インスツルメント社、ギルソン社 エッペンドルフ社、イナ・オプティカ社な から市販されているマイクロピペット用の ップを使用することができる。また、従来 知の成型技術を用いれば、任意の形状のピ ットチップを設計および作製することがで 、上記ピペットチップとして使用すること できる。

 ピペットチップが吸引することができる 液の量は、ピペットチップに化学反応のた の溶液を保持させることができれば特に限 されないが、例えば、核酸増幅反応では、0 .5マイクロリットル以上100マイクロリットル 下であることが好ましく、1マイクロリット ル以上50マイクロリットル以下であることが り好ましく、5マイクロリットル以上20マイ ロリットル以下であることがさらに好まし 。また、溶液の量は、ピペットチップが反 容器に収納された際に、当該ピペットチッ の先端、すなわち吸入吐出口部位に溶液が 触しない量であることが好ましい。

 ピペットチップに、化学反応のための溶 を保持させるための手段も特に制限されな が、ピペットチップを介して溶液を吸引お び吐出することが可能な分注機構を用いて ピペットチップに化学反応のための溶液を 引することにより、行なうことができる。 えば、ピペットチップを手動式または電動 のマイクロピペット装着して、化学反応の めの溶液を吸引し、プランジャーを停止す ことにより、ピペットチップに溶液を保持 せることができる。このとき、マイクロピ ットの吸引量を、化学反応のための溶液よ 多く設定しておけば、チップの先端、すな ち吸引吐出口部位より奥の位置で溶液を保 させることもできる。例えば、自動分注装 の使用は、これら一連の操作をより簡便に なうことができるため好ましい。また、例 ば、核酸増幅機構と分注機構とを有する装 の使用は、さらに好ましい。

 ピペットチップを反応容器に収納する手 は、収納後にピペットチップと反応容器を 体的に取り扱うことができる形態であれば に制限されないが、ピペットチップと反応 器が嵌合する形態であることが好ましく、 ペットチップが反応容器に嵌入する形態で ることがより好ましい。このような形態で ペットチップを反応容器に収納することに り、反応後、ピペットチップおよび反応容 を廃棄する際においても、ピペットチップ 反応容器が分離することなく一体的に廃棄 ることができる。一例として、核酸増幅反 において、ピペットチップと核酸増幅容器 分離することなく一体的に廃棄することが きることにより、廃棄の際に、ピペットチ プに付着した核酸が飛散する可能性を極め 低くし、さらに、核酸増幅容器から増幅核 断片が漏出する可能性を極めて低くするこ で、コンタミネーションの可能性をさらに 減させることができる。

 ピペットチップの反応容器への収納は、 ペットチップを上記分注機構から取り外す となく行なわれても良いし、ピペットチッ を上記分注機構から取り外した後に行なわ ても良い。手動で装着する場合の操作、あ いは自動で装着する場合の動作を、ともに 易にするためには、チップを上記分注機構 ら取り外すことなく、反応容器へ収納する とがより好ましい。

 本発明の反応容器は、反応液の飛散を厳密 防ぐため、ピペットチップがフィルターを 蔵してなる、フィルター付きピペットチッ であることが好ましい。化学反応中および
化学反応後の反応液の飛散を防ぐ観点から、 フィルターは、ピペットチップにおいて溶液 を保持する部分と、上記分注機構に装着され る際に分注機構に接する部分との間に位置す ることが好ましい。また、フィルターは疎水 性フィルターであることが好ましく、飛沫だ けでなく、エアゾールの通過をも阻止し得る 疎水性フィルターであることがより好ましい 。このようなフィルターはとしては、従来公 知の方法にて作製することが可能であるが、 例えば、ポリエチレン製の基材からなる、フ ィルター孔の大きさが平均約20ミクロンのフ ルターを用いれば、エアゾールの通過によ コンタミネーションを好適に防止し得る。

 フィルター付きピペットチップとしては 例えば、レイニン・インスツルメント社、 ルソン社、エッペンドルフ社、イナ・オプ ィカ社などから市販されているマイクロピ ット用のフィルターチップあるいはエアゾ ル耐性チップを使用することができる。こ ような市販品の使用は、入手が容易である いう観点から好ましい。

 チップを反応容器に装着する際には、反 液の飛散を厳密に防ぐため、ピペットチッ と反応容器が密着していることが好ましい このような形状のピペットチップおよび反 容器の組み合わせを市販品より選抜して用 ることが好ましいが、ピペットチップと反 容器の形状が合わず、反応容器にピペット ップを装着した際に隙間が生じる場合には 例えば、ピペットチップとして市販のフィ ターチップあるいはエアゾール耐性チップ 使用し、当該ピペットチップの形状に合わ て反応容器を作製すればよい。また、反応 器にピペットチップを装着した際に生じた 間をシール材などを充填することにより塞 、あるいは、反応容器とピペットチップの に装着するアダプターなどを作製する、な によりピペットチップと反応容器を密着さ ればよい。

 本発明の重要な開示について、核酸増幅 応をその一例として、ピペットチップにフ ルター付きピペットチップを用い、反応容 に核酸増幅容器であるキャピラリチューブ 用いる場合について、図7を用いて、より詳 しく説明する。図7において、まず、(A)に示 ような、フィルター付きピペットチップに 手動分注器または自動分注装置を用いて、(B )に示すように、核酸増幅反応のための溶液 吸引し、溶液を保持する。当該ピペットチ プを、手動または自動にて、(C)に示すよう 、核酸増幅容器まで移動させ、(D)に示すよ に、ピペットチップを核酸増幅容器に収納 る。次に、ピペットチップを手動分注器ま は自動分注装置から取り外す。このとき、 動分注器または自動分注装置の分注機構か 空気を吐出しながら、当該ピペットチップ 取り外す動作を行なうことにより、当該動 の際に生じる圧力によってピペットチップ 保持された溶液の位置が変化する現象を回 することもできる。

 続いて、ピペットチップを装着した核酸 幅容器を遠心することにより、(E)に示すよ に、核酸増幅反応のための溶液を核酸増幅 器の底部に移動させる。このとき、遠心の わりに空気圧を用いることにより、当該溶 を移動させることもできる。空気圧を用い 場合には、例えば、手動分注器または自動 注装置の分注機構を再度ピペットチップに 着し、空気を吐出することにより、ピペッ チップに保持された溶液を押し出すことが きる。

 次に、(E)の状態のままで核酸増幅反応お び増幅核酸断片の検出を行い、(E)の状態の までピペットチップおよび核酸増幅容器を 棄する。

 また、本発明の別の重要な開示について、 酸増幅反応をその一例として、ピペットチ プにフィルター付きピペットチップを用い 反応容器に核酸増幅容器であるキャピラリ ューブを用いる場合について、図7を用いて 説明する。図7において、まず、(A)に示すよ な、フィルター付きピペットチップに、手 分注器または自動分注装置を用いて
、(B)に示すように、核酸増幅反応のための溶 液を吸引し、溶液を保持する。当該ピペット チップを、手動または自動にて、(C)に示すよ うに、核酸増幅容器まで移動させ、(D)に示す ように、ピペットチップを核酸増幅容器に収 納する。

 次に、手動分注器または自動分注装置の 注機構から空気を吐出することにより、ピ ットチップに保持された溶液に空気圧を与 、(E)に示すように、当該溶液を核酸増幅容 の底部に移動させる。

 続いて、(E)の状態のままで核酸増幅反応 よび増幅核酸断片の検出を行い、(E)の状態 ままでピペットチップおよび核酸増幅容器 廃棄する。

 本発明の反応容器は、材料として熱可塑 樹脂を用いることにより、成型が容易であ とともに、核酸増幅容器が破損する可能性 極めて低くすることができる。熱可塑性樹 としては、破損しにくい性質を有していれ 特に限定されないが、例えば、ポリプロピ ン(PP)、ポリオレフィン(PO)、ポリメチルペ テン(TPX)、環状ポリオレフィン(COC)、ポリエ レン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネ ト(PC)、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA) ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、液 ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケト (PEEK)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリエチ レンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンエ テル(PPE)、ポリサルフォン(PSF)、ポリフェニ レンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフ レート(PBT)、メタクリル樹脂(PMMA)、ABS樹脂(A BS)、ポリ塩化ビニル(PVC)などを使用すること できる。またはこれら2種以上のポリマーア ロイを使用することができる。好ましくはポ リプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン(COC)、 ポリカーボネート(PC)、またはこれら2種以上 ポリマーアロイ又は2種以上のポリマーブレ ンドであり、より好ましくはポリプロピレン (PP)である。

 また、本発明の反応容器において、化学 応を行なうための反応部の少なくとも一部 、光学的に透明であることにより、化学反 中あるいは化学反応後に、当該反応の結果 確認することができる。一例として、核酸 幅反応においては、核酸の増幅に応じて発 る蛍光が変化するPCR試料を用い、さらに核 増幅装置がPCR反応液の蛍光を検出する手段 備えている場合に、短時間のうちにPCRを行 い、その結果を確認することができる。一 に、物体に入射した光は、一部は物体表面 反射され、他の一部は物体内で吸収され、 りが透過光となるため、光学的な透明度は 入射光に対する透過光の比率として表すこ ができる。当該反応部の少なくとも一部の 明度としては、核酸の増幅に応じて発する 光が検出できれば特に限定されない。1mm厚 成形板にしたときの可視光線透過率が、50% 上であることが好ましく、より好ましくは8 0%以上、さらに好ましくは90%以上であればよ 。

 熱可塑性樹脂は、従来公知のキャピラリ サンプルチューブの材質として知られるガ スに比べて割れにくい、すなわち破損しに いメリットを有する一方で、熱などの影響 より変形しやすいデメリットを有する材料 ある。例えば、核酸増幅反応において、PCR 応液の蛍光を検出することにより短時間の ちにPCRの結果を確認する検出方法を用いる 合、核酸増幅容器が変形すると、PCR反応液 ら発せられた蛍光が核酸増幅装置の検出器 届かないことが大きな問題となる。

 前述のように、PCRにおいては核酸増幅容器 介してPCR反応液の昇温または冷却を繰り返 、それぞれ変性反応、アニーリング反応、 長反応に適した温度に調整することにより 試料中の核酸が増幅する。一般に、PCRの変 反応に用いられる温度は95℃程度であるた 、当該温度において高分子材料からなる核 増幅容器が変形しないよう
にするためには、該核酸増幅容器の肉厚を厚 くする必要がある。しかしながら、肉厚を厚 くすると核酸増幅容器を介した熱エネルギー の伝達が遅くなるため、PCR反応液の昇温また は冷却に時間がかかり、核酸増幅を迅速に行 なうことができない。したがって、従来公知 のキャピラリーサンプルチューブの材質を単 純に高分子材料と置き換えるだけでは、迅速 性を犠牲にすることなく、破損しにくい核酸 増幅容器を提供することはできない。すなわ ち、本発明では、様々な材質および形状を検 討し、破損しにくい性質と変形しにくい性質 を両立できる反応容器を確立したものである 。

 本発明の反応容器は、底面と、該底面を 成する直線または曲線をそれぞれ一辺とす 平面状または曲面状の側面とを有する。該 面の形状としては、反応容器の強度を確保 るために、少なくとも2つの角を有していれ ば特に限定されないが、例えば、図8の(A)~(O) 示すような形状が挙げられる。(A)~(E)に示す ような正多角形、(F)のような長方形、(G)のよ うな平行四辺形、(H)のような十字型、(I)また は(J)のような星型など、直線のみで構成され る形状の他に、(K)~(N)のように直線と曲線と 組み合わせた形状、(O)のように曲線のみで 成される形状など、適宜選択することがで る。

 反応容器の強度を確保し、かつ反応液か 発せられる蛍光などの光学的な信号を容易 検出するという観点からは、該底面の形状 (A)のような三角形、または(B)、(F)、(G)のよ な四角形が好ましい。一般に、蛍光検出に いては、光源すなわちPCR反応液と検出器と 結ぶ直線に平行な軸線上にある蛍光分子の が、測定されるシグナルの強度に反映され ため、該底面の形状は(F)のような長方形で ることがより好ましく、該長方形を構成す 辺において、長辺の長さが短辺の長さの2倍 以上であることがさらに好ましい。

 本発明において、ピペットチップの少な とも吸入吐出口部位を収納できる収納部と 化学反応を行なう反応部とが、同一の材料 らなり、一体的に形成されていれば、従来 知の高分子材料の成型技術を用いて、当該 酸増幅容器を安価に大量生産することが可 となるため、より好ましい。

 反応容器の成型方法としては、従来公知 方法を使用することができるが、短い時間 同じ品質の成型品を大量に生産できる、原 の投入から成型品の取り出しまでを全自動 行うことができる、高い寸法精度と複雑な 造の成型品を作ることができる、などの観 から、射出成型法がより好適に使用し得る

 蛍光検出において、当該反応液へ入射し 励起光が反応容器により反射される現象が 光測定の障害となる場合は、例えば、(K)~(N) のように直線と曲線を組み合わせた形状、ま たは(O)のように曲線のみで構成される形状を 選択することで、反射光の影響を低減させる ことができる。この場合、上述したように、 光源すなわちPCR反応液と検出器とを結ぶ直線 に平行な軸線上にある蛍光分子の量が、測定 されるシグナルの強度に反映されることから 、(K)のような形状であることがより好ましい 。

 本発明の反応容器は、上記のような形状の 面を構成する直線または曲線をそれぞれ一 とする平面状または曲面状の側面とを有す 。すなわち反応容器において、化学反応を なうための反応部は、上記のような形状の 面を、該底面に垂直な軸線方向に掃引した うな外観を有する。当該反応容器を側面か 見た場合の形状は特に限定されず、該反応 を、該底面に平行な平面で切断した場合の り口の大きさは、該底面からの距離によら 一定の形状(すなわち、柱状)でも良いし、 底面からの距離が離れるほど大きくなる形 (すなわち、底面に向かって細くなる形状)で も良い。本発明の実施形態の一例として、図 9に、底面の形状を正方形、側面の形状を柱 (すなわち、該底面に平行な平面で
切断した場合の切り口の大きさが該底面から の距離によらず一定)とした場合の反応容器 外観を示す。

 一般に、柱状または底面に向かって細く る形状の構造物の変形に対する抵抗性、す わち強度は、該構造物の断面形状が三角形 四角形などの多角形の方が、円形より強い とが知られている。したがって、本発明の 応容器の外観は、三角形や四角形など多角 の断面形状を有する柱状または底面に向か て細くなる形状が好ましく、三角形または 角形の断面形状を有することがより好まし 。

 本発明では、反応容器の反応部、すなわ 反応液の貯留部位を極めて細く形成するこ により、該反応液の容積に対する表面積が きくなる、すなわち、反応液と反応装置の での熱エネルギーの伝達速度が向上し、特 温度変化を伴う化学反応において、反応時 を短縮することができる。一例として、PCR 用いた核酸増幅反応においては、PCR溶液と 酸増幅装置の間での熱エネルギーの伝達速 が向上し、PCRにおいて繰り返される変性反 、アニーリング反応、伸長反応の各工程間 の温度調整の時間を短縮することができる 該反応部において、容積に対する表面積の は4mm-1以上であることが好ましく、6mm-1以上 であることがより好ましく、8mm-1以上である とがさらに好ましい。

 また、特に温度変化を伴う化学反応にお て、反応時間を短縮するためには、反応液 容積を小さくすることも効果的である。一 として、PCRにおいて繰り返される変性反応 アニーリング反応、伸長反応の各工程間で 温度調整の時間を短縮するためには、PCR反 液の容積を小さくすることも効果的である 迅速にPCRを行なうためには、該PCR反応液の 積は0.1ml以下であることが好ましく、0.02ml 下であることがより好ましい。しかしなが 、PCR反応液の容積が小さすぎると、該PCR反 液の蛍光を検出することにより短時間のう にPCRの結果を確認する検出方法を用いる場 に、検出可能な蛍光分子の量が不足し、シ ナルとして測定できない可能性があるため 該PCR反応液の容積は0.005ml以上であることが ましく、0.01ml以上であることがより好まし 。

 さらに、上述のように、反応容器の肉厚 厚くすると、該反応容器を介した熱エネル ーの伝達が遅くなるため、反応液の昇温ま は冷却に時間がかかり、温度変化を伴う化 反応を迅速に行なうことができない。例え 、核酸増幅反応において、核酸増幅容器の 応部の側面における平面状または曲面状の 分の肉厚は0.5mm以下であることが好ましく 0.4mm以下であることがより好ましく、0.3mm以 であることがさらに好ましい。しかしなが 、当該反応部の側面における平面状または 面状の部分の肉厚が薄すぎると、例え、核 増幅容器の形状について前述のような工夫 施していたとしても、強度不足によりPCR中 該核酸増幅容器の反応部が変形する可能性 あるため、該肉厚は0.1mm以上であることが ましく、0.2mm以上であることがより好ましい 。

 多数の反応を同時に行なう場合などにお ては、複数の反応容器を連結することで取 扱いを簡便にすることができる。反応容器 連結方法としては、生産する際に、複数の 応容器をあらかじめ連結した構造で成型し も良いし、使用する際に、単体の反応容器 当業者により用意に想到し得る冶具などを いて連結しても良い。例えば、核酸増幅反 においては、前述のように、PCRにおいて繰 返される変性反応、アニーリング反応、伸 反応の各工程間での温度調整の時間を短縮 るためには、核酸増幅容器の反応部を介し 熱エネルギーの伝達を速くすることが効果 であるから、上記複数の核酸増幅容器の連 は、該核酸増幅容器の収納部を連結するこ によってなることが好ましい。本発明の実 形態の一例として、図10に、底面の形状を 方形、側面の形状を柱状とした反応容器を 8個連結した場合の外観を示す。

 本発明の反応容器を核酸増幅反応に用い 場合は、核酸を増幅および/または検出する ための容器として、例えば、核酸の増幅のみ の場合、核酸の増幅と同時に検出する場合、 核酸の増幅後に検出する場合、核酸の検出の みの場合などの用途で適宜使用することがで きる。

 本発明において、化学反応としては、加水 解、脱水反応、付加重合、縮合重合、酸化 応、還元反応、中和反応など、原子間の結 または切断によって異なる物質を生成する 応の他に、抗原-抗体反応、リガンド結合反 応、蛍光エネルギー転移反応など、分子間の 相互作用に由来する反応をも包含する。
 本発明の反応容器はこれらの化学反応に用 ることもできる。

(c)
 本発明は、簡易な操作で確実に核酸増幅反 液の飛散を防ぐことができ、自動化が容易 あり、簡易な構造の核酸増幅装置でコンタ ネーションを予防することが可能な核酸増 方法を提供することを目的の一つとする。 たがって、本発明において、核酸増幅方法 は、前述のような、核酸の増幅に応じて発 る蛍光が変化するPCR試料を用い、さらに核 増幅装置がキャピラリチューブなどに含ま るPCR反応液の蛍光を検出する手段を備えて ることによって、核酸の増幅と同時に、あ いは核酸の増幅後に連続して、増幅した核 を検出する方法をも包含する。

 本発明の核酸増幅方法は、核酸増幅反応 ための溶液を保持させた着脱可能なチップ 核酸増幅容器に装着することにより、例え 、従来のピペット操作など核酸増幅反応の めの溶液を核酸増幅容器に充填する際に、 体中に含まれる核酸が飛散し、他の患者な に由来する検体のコンタミネーションが起 る可能性を極めて低くすることができる。

 着脱可能なチップとしては、核酸増幅反 のための溶液を保持させることが可能な性 を有していれば特に限定されないが、入手 容易であるという観点から、チップを介し 溶液を吸引および吐出することが可能な分 機構を有する手動分注器または自動分注装 に使用するために、市販されているチップ あることが好ましい。例えば、レイニン・ ンスツルメント社、ギルソン社、エッペン ルフ社、イナ・オプティカ社などから市販 れているマイクロピペット用のチップを使 することができる。また、従来公知の成型 術を用いれば、任意の形状のチップを設計 よび作製することができ、上記着脱可能な ップとして使用することができる。

 着脱可能なチップが吸引することができ 溶液の量は、チップに核酸増幅反応のため 溶液を保持させることができれば特に限定 れないが、0.5マイクロリットル以上100マイ ロリットル以下であることが好ましく、1マ イクロリットル以上50マイクロリットル以下 あることがより好ましく、5マイクロリット ル以上20マイクロリットル以下であることが らに好ましい。

 着脱可能なチップに、核酸増幅反応のた の溶液を保持させるための手段も特に制限 れないが、チップを介して溶液を吸引およ 吐出することが可能な分注機構を用いて、 ップに核酸増幅反応のための溶液を吸引す ことにより、行なうことができる。例えば チップを手動式または電動式のマイクロピ ット装着して、核酸増幅反応のための溶液 吸引し、プランジャーを停止することによ 、チップに溶液を保持させることができる このとき、マイクロピペットの吸引量を、 酸増幅反応のための溶液より多く設定して けば、チップの先端開口部より奥の位置で 液を保持させることもできる。例えば、自 分注装置の使用は、これら一連の操作をよ 簡便に行なうことができるため好ましい。 た、例えば、核酸増幅機構と分注機構とを する装置の使用は、さらに好ましい。

 チップを核酸増幅容器に装着する手段は 装着後にチップと核酸増幅容器を一体的に り扱うことができる形態であれば特に制限 れないが、チップと核酸増幅容器が嵌合す 形態であることが好ましく、チップが核酸 幅容器に嵌入する形態であることがより好 しい。このような形態でチップを核酸増幅 器に装着することにより、核酸増幅反応後 チップおよび核酸増幅容器を廃棄する際に いても、チップと核酸増幅容器が分離する となく一体的に廃棄することができる。つ り、廃棄の際に、チップに付着した核酸が 散する可能性を極めて低くし、さらに、核 増幅容器から増幅核酸断片が漏出する可能 を極めて低くすることで、コンタミネーシ ンの可能性をさらに低減させることができ 。

 溶液を保持したチップの核酸増幅容器へ 装着は、チップを上記分注機構から取り外 ことなく行なわれても良いし、チップを上 分注機構から取り外した後に行なわれても い。手動で装着する場合の操作、あるいは 動で装着する場合の動作を、ともに簡易に るためには、チップを上記分注機構から取 外すことなく、核酸増幅容器へ装着するこ がより好ましい。

 本発明の核酸増幅方法は、検体中に含ま る核酸または増幅核酸断片の飛散を厳密に ぐため、チップがフィルターを内蔵してな ことが好ましい。核酸増幅反応中および核 増幅反応後の当該核酸断片の飛散を防ぐ観 から、フィルターは、フィルターは、チッ において溶液を保持する部分と、上記分注 構に装着される際に分注機構に接する部分 の間に位置することが好ましい。また、フ ルターは疎水性フィルターであることが好 しく、飛沫だけでなく、エアゾールの通過 も阻止し得る疎水性フィルターであること より好ましい。このようなフィルターはと ては、従来公知の方法にて作製することが 能であるが、例えば、ポリエチレン製の基 からなる、フィルター孔の大きさが平均約2 0ミクロンのフィルターを用いれば、エアゾ ルの通過によるコンタミネーションを好適 防止し得る。

 フィルターを内臓したチップとしては、 えば、レイニン・インスツルメント社、ギ ソン社、エッペンドルフ社、イナ・オプテ カ社などから市販されているマイクロピペ ト用のフィルターチップあるいはエアゾー 耐性チップを使用することができる。この うな市販品の使用は、入手が容易であると う観点から好ましい。

 チップを核酸増幅容器に装着する際には 検体中に含まれる核酸または増幅核酸断片 飛散を厳密に防ぐため、チップと核酸増幅 器が密着していることが好ましい。このよ な形状のチップおよび核酸増幅容器の組み わせを市販品より選抜して用いることが好 しいが、チップと核酸増幅容器の形状が合 ず、核酸増幅容器にチップを装着した際に 間が生じる場合には、例えば、チップとし 市販のフィルターチップあるいはエアゾー 耐性チップを使用し、当該チップの形状に わせて核酸増幅容器を作製することも、当 者により容易に想到し得る。また、核酸増 容器にチップを装着した際に生じた隙間を ール材などを充填することにより塞ぐ、あ いは、核酸増幅容器とチップの間に装着す アダプターなどを作製する、などによりチ プと核酸増幅容器を密着させることも、当 者により容易に想到し得る。

 本発明の重要な開示について、チップに ィルター内臓チップを用い、核酸増幅容器 キャピラリチューブを用いる場合を例とし 、図15を用いて、より詳しく説明する。図15 において、まず、(A)に示すような、フィルタ ーを内蔵したチップに、手動分注器または自 動分注装置を用いて、(B)に示すように、核酸 増幅反応のための溶液を吸引し、溶液を保持 する。当該チップを、手動または自動にて、 (C)に示すように、核酸増幅容器まで移動させ 、(D)に示すように、チップを核酸増幅容器に 装着する。次に、チップを手動分注器または 自動分注装置から取り外す。このとき、手動 分注器または自動分注装置の分注機構から空 気を吐出しながら、当該チップを取り外す動 作を行なうことにより、当該動作の際に生じ る圧力によってチップに保持された溶液の位 置が変化する現象を回避することもできる。

 続いて、チップを装着した核酸増幅容器 遠心することにより、(E)に示すように、核 増幅反応のための溶液を核酸増幅容器の底 に移動させる。このとき、遠心の代わりに 気圧を用いることにより、当該溶液を移動 せることもできる。空気圧を用いる場合に 、例えば、手動分注器または自動分注装置 分注機構を再度チップに装着し、空気を吐 することにより、チップに保持された溶液 押し出すことができる。

 次に、(E)の状態のままで核酸増幅反応お び増幅核酸断片の検出を行い、(E)の状態の までチップおよび核酸増幅容器を廃棄する

 また、本発明の別の重要な開示について チップにフィルター内臓チップを用い、核 増幅容器にキャピラリチューブを用いる場 を例として、図15を用いて説明する。図15に おいて、まず、(A)に示すような、フィルター を内蔵したチップに、手動分注器または自動 分注装置を用いて、(B)に示すように、核酸増 幅反応のための溶液を吸引し、溶液を保持す る。当該チップを、手動または自動にて、(C) に示すように、核酸増幅容器まで移動させ、 (D)に示すように、チップを核酸増幅容器に装 着する。

 次に、手動分注器または自動分注装置の 注機構から空気を吐出することにより、チ プに保持された溶液に空気圧を与え、(E)に すように、当該溶液を核酸増幅容器の底部 移動させる。

 続いて、(E)の状態のままで核酸増幅反応お び増幅核酸断片の検出を行い、(E)の状態の までチップおよび核酸増幅容器を廃棄する
 

 以下、実施例に基づき本発明をより具体 に説明する。もっとも、本発明は下記実施 に限定されるものではない。

(実施例1-3に用いた核酸増幅容器の作製)
 図4は実施例1-3で用いた核酸増幅容器の一例 を示している。図4(A)は核酸増幅容器を側面 ら見た図、図4(B)は核酸増幅容器を導入部の 方より見た図、図4(C)は核酸増幅容器を反応 部の底から見た図である。反応部の内部の形 状は四角柱をしており、その四角柱の底面の 形状は正方形である。この内部の四角柱の長 さをL、底面の正方形の一辺の長さをaとする また反応部の外側の形状も四角柱の形状を し、その外側の四角柱の底面の形状も正方 である。この外側の四角柱の底面の一辺の さをbとする。これらにより容積(V)、表面積 (S)、容積に対する表面積の比(S/V)、肉厚を求 ることができる。例えば、L=20.00mm、a=1.00mm b=1.8mmであれば、下記のように算出される。
容積(V)=a×a×L=20.00mm3
表面積(S)=a×a+a×L×4=81.00mm2
容積に対する表面積の比(S/V)=S/V=81.00/20.00=4.05m m-1
肉厚=(b-a)/2=(1.8-1.00)/2=0.40mm

 表1に示すように、高分子材料としてポリ プロピレン(PP)を用いて、容器1~19の様々な容 の金型を作製し、射出成形を行った。なお ここで用いたポリプロピレン(PP)は、1mm厚の 成形板にしたときの可視光線透過率が75%であ った。

 〔実施例1:PCR反応容器内の溶液温度変化の 定〕
 (温度データの測定)
 PCR反応容器には、上記実施の形態で説明し 核酸増幅容器(以下、「本発明の核酸増幅容 器」と表記する)と、比較のため、従来品で るガラス製キャピラリー(ロシュ・ダイアグ スティクス社製、品番11909339001)を用いた。 お、本発明の核酸増幅容器については、容 16を用いた。

 まず、本発明の核酸増幅容器の導入部お びガラス製キャピラリーの注入口に、水10μ lをそれぞれ注入した。次に、3000rpmで5秒間遠 心することで、水を本発明の核酸増幅容器の 反応部およびガラス製キャピラリーの底にそ れぞれ移動させた。

 水が充填された反応容器をそれぞれ核酸 幅装置RapidCycler2(アイダホ・テクノロジーズ 社製)に装着し、温度測定記録装置(東亜電波 業株式会社製、INR-9000インテリジェントレ ーダ)に接続された温度センサーの先端部を 反応容器内の水にそれぞれ浸漬した。

 PCRの温度条件は、94℃で2分間静置した後 94℃で0秒、65℃で0秒を35サイクル行なう設 とし、PCRサイクル中の温度変化を、温度測 記録装置によりリアルタイムに記録した。 た、比較のため、上記核酸増幅装置の熱媒( 気)のPCRサイクル中の温度変化も同時に記録 した。

 (温度データの解析)
 記録した温度変化のデータを、温度測定記 装置専用の解析ソフトウェア(東亜電波工業 株式会社製、JULILOG2)を用いて解析した。その 結果を図5に示す。図5は本実施例におけるPCR イクル中の温度変化を示す図であり、(A)は 発明の核酸増幅容器内の溶液温度の測定結 を示し、(B)はガラス製キャピラリー内の溶 温度の測定結果を示し、(C)は核酸増幅装置 熱媒(空気)温度の測定結果を示す。

 図5(A)に示すように、本発明の核酸増幅容 器内の溶液温度は、おおよそ650秒の間に約98 から約60℃にわたる温度変化が35回繰り返さ れており、図5(B)に示すように、ガラス製キ ピラリー内の溶液温度は、おおよそ650秒の に約94℃から約65℃にわたる温度変化が35回 り返されている。また、図5(C)に示すように 核酸増幅装置の熱媒(空気)温度は、おおよ 650秒の間に約99℃から約56℃にわたる温度変 が35回繰り返されている。つまり、PCRの温 下降工程においては、核酸増幅装置の熱媒 度が約56℃まで下降したときに、本発明の核 酸増幅容器内の溶液温度は約60℃まで下降し ガラス製キャピラリー内の溶液温度は約65 まで下降したことを示し、また、PCRの温度 昇工程においては、核酸増幅装置の熱媒温 が約99℃まで上昇したときに、本発明の核酸 増幅容器内の溶液温度は約98℃まで上昇し、 ラス製キャピラリー内の溶液温度は約94℃ で上昇した。これは、本発明の一実施形態 ある核酸増幅容器を用いた核酸増幅方法で 、従来品のガラス製キャピラリーを用いた 合に比べて、核酸増幅装置の熱媒の温度変 に対する溶液温度の追随性が優れ、より迅 に核酸増幅を行なうことができることを示 ている。

 〔実施例2:Cytochrome P450 2C19(CYP2C19)遺伝子の 出〕
 (CYP2C19遺伝子を検出するプライマーの合成)
 まず、正鎖プライマー及び逆鎖プライマー 合成した。正鎖プライマーの塩基配列を配 番号1に、逆鎖プライマーの塩基配列を配列 番号2に示す。

 正鎖プライマー及び逆鎖プライマーは、D NAシンセサイザー(パーキンエルマー社製;392 )を用いて、添付のマニュアルに従い、ホス アミダイト法により合成した。合成した正 プライマー及び逆鎖プライマーを、アンモ ア水に溶解して、55℃の環境下で、一晩静 することによって脱保護した。その後、OPC ラム(パーキンエルマー社製)にて精製した。 なお、プライマーの合成は、DNA合成受託会社 ((株)日本バイオサービス、シグマアルドリッ チジャパン(株)、オペロンバイオテクノロジ (株)等)に依頼してもよい。

 (PCRによるCYP2C19遺伝子の解析)
 PCRに供するサンプルとして、ヒト白血球か フェノール・クロロフォルム法によって得 DNA溶液(以下、「サンプル」と表記する)を いた。

 次に、PCR反応液を調製した。PCR反応液は 全量を25μlとして、正鎖プライマー 20pmol、 逆鎖プライマー 20pmol、KOD plus DNAポリメラ ゼ(東洋紡社製、品番KOD-201)、KOD plus DNAポリ メラーゼに添付の×10緩衝液 2.5μl、2mM dNTP 2 .5μl、25mM MgCl22μl、5mg/ml ウシ血清アルブミ (BSA) 0.5μl及びサンプルを、溶解しているDNA 100ng、10ng又は1ngとなるように混合し、残部 水とした。

 PCRを行なう反応容器には、本発明の核酸 幅容器と、比較のため、従来品であるガラ 製キャピラリー(ロシュ・ダイアグノスティ クス社製、品番11909339001)を用いた。なお、本 発明の核酸増幅容器については、容器16を用 た。

 まず、本発明の核酸増幅容器の導入部お びガラス製キャピラリーの注入口に、調製 たPCR反応液のうち10μlをそれぞれ注入した 次に、3000rpmで5秒間遠心することで、PCR反応 液を本発明の核酸増幅容器の反応部およびガ ラス製キャピラリーの底にそれぞれ移動させ た。

 核酸増幅装置には、RapidCycler2(アイダホ・ テクノロジーズ社製)を用いた。PCRの温度条 は、94℃で2分間静置した後、94℃で0秒、65℃ で0秒を35サイクル行なった。

 (アガロースゲル電気泳動による核酸増幅の 確認)
 PCR反応後、それぞれの反応容器からPCR反応 5μlを回収した。次に、回収したPCR反応液を 、3%アガロースゲルによる電気泳動に供した 電気泳動では、100Vの電圧を印加して、60分 行なった。その結果を図6に示す。図6は本 施例における電気泳動の結果を示す図であ 、レーン1~4は本発明の核酸増幅容器を用い PCRの結果を示し、レーン5~8はガラス製キャ ラリーを用いたPCRの結果を示す。また、レ ン1及び5は、調製したPCR反応液25μl当たりのD NAの溶解量が100ngとしたPCR反応液を用いた結 を示し、レーン2及び6は、調製したPCR反応液 25μl当たりのDNAの溶解量が10ngとしたPCR反応液 を用いた結果を示し、レーン3及び7は、調製 たPCR反応液25μl当たりのDNAの溶解量が1ngと たPCR反応液を用いた結果を示す。また、レ ン4及び8は比較のためサンプルの代わりに水 を混合したPCR反応液を用いた結果を示す。

 図6に示すように、本発明の核酸増幅容器 を用いたPCRでは従来品のガラス製キャピラリ ーを用いたPCRより、高感度にCYP2C19遺伝子を 出することができた。これは、本発明の一 施形態である核酸増幅容器を用いれば、従 品のガラス製キャピラリーとは異なり破損 る可能性が極めて低いため、採取できる量 限られている患者検体に対して特に効果的 ありながら、該ガラス製キャピラリーを用 たPCR以上の感度でPCRを行なうことができた とを示している。

 容器16を除く他の容器についても、実施例1~ 2を行った。その結果を下記の評価基準を用 て検討したところ、容器1~19の全てにおいて ◎又は○の評価であった。
 ◎ : ガラス製キャピラリーより非常に良
 ○ : ガラス製キャピラリーより良好
 △ : ガラス製キャピラリーと同等の性能
 × : ガラス製キャピラリーより不良 

 〔実施例3:核酸増幅容器の強度の比較〕
 容器には、上記実施の形態で説明した核酸 幅容器(以下、「本発明の核酸増幅容器」と 表記する)と、比較のため、従来品であるガ ス製キャピラリー(ロシュ・ダイアグノステ クス社製、品番11909339001)を用いた。なお、 発明の核酸増幅容器については、容器16を いた。

 まず、本発明の核酸増幅容器およびガラ 製キャピラリーを水平な木製台の上に置き それぞれの上に、重さが1kgであり各辺の長 が10cmの立方体を静かに乗せた。本発明の核 酸増幅容器およびガラス製キャピラリーのそ れぞれ10本について上記の操作を行い、破損 有無を目視で判定した。表2は本発明の核酸 増幅容器およびガラス製キャピラリーの強度 を比較した結果を示す。

 表2に示すように、本発明の核酸増幅容器 では10本すべてが破損しなかったが、ガラス キャピラリーでは10本すべてが破損した。 れは、本発明の核酸増幅容器では、従来品 あるガラス製キャピラリーに比べて強度が れていることを示しており、実験操作にお て核酸増幅容器が破損する危険性が極めて いことを示している。

(実施例4-7に用いた反応容器の作製)
  図11は実施例4-7で用いた反応容器の一例を 示している。図11(AI)は反応容器を側面から見 た図、図11(AII)は反応容器にピペットチップ 収納したところを側面から見た図、図11(B)は 反応容器を収納部の上方より見た図、図11(C) 反応容器を反応部の底から見た図である。 納部の開口部の形状は、実施例4-7でフィル ー付きピペットチップとして用いたLTSエア ール耐性チップ(レイニン・インスツルメン ト社製、品番RT-L10F)の形状に合わせ、開口部 内径c=5.6mmとした。また、反応部の内部の形 状は四角柱をしており、その四角柱の底面の 形状は正方形である。この内部の四角柱にお いて、反応容器にピペットチップが収納され 、溶液が充填された場合に、反応の前後ある いは反応中に、当該ピペットチップに溶液が 接触しないような、最高位の液面位置から上 記底面までの長さをLとする。また、内部の 角柱において、底面の正方形の一辺の長さ aとする。また反応部の外側の形状も四角柱 形状をなし、その外側の四角柱の底面の形 も正方形である。この外側の四角柱の底面 一辺の長さをbとする。これらにより、溶液 をピペットチップに接触しない状態で充填可 能な最大の溶液量、すなわち容積(V)、表面積 (S)、容積に対する表面積の比(S/V)、肉厚を求 ることができる。例えば、L=20.00mm、a=1.00mm b=1.8mmであれば、下記のように算出される。
容積(V)=a×a×L=20.00mm3
表面積(S)=a×a+a×L×4=81.00mm2
容積に対する表面積の比(S/V)=S/V=81.00/20.00=4.05m m-1
肉厚=(b-a)/2=(1.8-1.00)/2=0.40mm
 なお、液面とピペットチップ間の距離は、 述のように接触しなければいいので特に限 はしないが、1mm以上であればよく、好まし は2mm以上であり、特に好ましくは3mm以上で る。液面とピペットチップ間の距離の上限 ついては、ピペットチップに溶液が接触し ければいいので、特に上限を設ける必要は く、下限の説明だけで十分である。

 表3に示すように、熱可塑性樹脂としてポ リプロピレン(PP)を用いて、容器1~19の様々な 器の金型を作製し、射出成形を行った。な 、ここで用いたポリプロピレン(PP)は、1mm厚 の成形板にしたときの可視光線透過率が75%で あった。

 〔実施例4:反応容器内の溶液温度変化の測 〕
 (温度データの測定)
 反応容器には、上記実施の形態で説明した 応容器(以下、「本発明の反応容器」と表記 する)と、比較のため、従来品であるガラス キャピラリー(ロシュ・ダイアグノスティク 社製、品番11909339001)を用いた。なお、本発 の反応容器については、容器16を用いた。

 まず、本発明の反応容器の導入部および ラス製キャピラリーの注入口に、水10μlを れぞれ注入した。次に、3000rpmで5秒間遠心す ることで、水を本発明の反応容器の反応部お よびガラス製キャピラリーの底にそれぞれ移 動させた。

 水が充填された反応容器をそれぞれ核酸 幅装置RapidCycler2(アイダホ・テクノロジーズ 社製)に装着し、温度測定記録装置(東亜電波 業株式会社製、INR-9000インテリジェントレ ーダ)に接続された温度センサーの先端部を 反応容器内の水にそれぞれ浸漬した。

 温度条件は、94℃で2分間静置した後、94 で0秒、65℃で0秒を35サイクル行なう設定と 、当該サイクル中の温度変化を、温度測定 録装置によりリアルタイムに記録した。ま 、比較のため、上記核酸増幅装置の熱媒(空 )の当該サイクル中の温度変化も同時に記録 した。

 (温度データの解析)
 記録した温度変化のデータを、温度測定記 装置専用の解析ソフトウェア(東亜電波工業 株式会社製、JULILOG2)を用いて解析した。その 結果を図12に示す。図12は本実施例における 該サイクル中の温度変化を示す図であり、(A )は本発明の反応容器内の溶液温度の測定結 を示し、(B)はガラス製キャピラリー内の溶 温度の測定結果を示し、(C)は核酸増幅装置 熱媒(空気)温度の測定結果を示す。

 図12(A)に示すように、本発明の反応容器 の溶液温度は、おおよそ650秒の間に約98℃か ら約60℃にわたる温度変化が35回繰り返され おり、図12(B)に示すように、ガラス製キャピ ラリー内の溶液温度は、おおよそ650秒の間に 約94℃から約65℃にわたる温度変化が35回繰り 返されている。また、図12(C)に示すように、 酸増幅装置の熱媒(空気)温度は、おおよそ65 0秒の間に約99℃から約56℃にわたる温度変化 35回繰り返されている。つまり、温度下降 程においては、核酸増幅装置の熱媒温度が 56℃まで下降したときに、本発明の反応容器 内の溶液温度は約60℃まで下降し、ガラス製 ャピラリー内の溶液温度は約65℃まで下降 たことを示し、また、温度上昇工程におい は、核酸増幅装置の熱媒温度が約99℃まで上 昇したときに、本発明の反応容器内の溶液温 度は約98℃まで上昇し、ガラス製キャピラリ 内の溶液温度は約94℃まで上昇した。これ 、本発明の一実施形態である反応容器では 従来品のガラス製キャピラリーを用いた場 に比べて、核酸増幅装置の熱媒の温度変化 対する溶液温度の追随性が優れ、より迅速 化学反応を行なうことができることを示し いる。

 〔実施例5:Cytochrome P450 2C19(CYP2C19)遺伝子の 出〕
 (CYP2C19遺伝子を検出するプライマーの合成)
 まず、正鎖プライマー及び逆鎖プライマー 合成した。正鎖プライマーの塩基配列を配 番号1に、逆鎖プライマーの塩基配列を配列 番号2に示す。

 正鎖プライマー及び逆鎖プライマーは、D NAシンセサイザー(パーキンエルマー社製;392 )を用いて、添付のマニュアルに従い、ホス アミダイト法により合成した。合成した正 プライマー及び逆鎖プライマーを、アンモ ア水に溶解して、55℃の環境下で、一晩静 することによって脱保護した。その後、OPC ラム(パーキンエルマー社製)にて精製した。 なお、プライマーの合成は、DNA合成受託会社 ((株)日本バイオサービス、シグマアルドリッ チジャパン(株)、オペロンバイオテクノロジ (株)等)に依頼してもよい。

 (PCRによるCYP2C19遺伝子の解析)
 PCRに供するサンプルとして、ヒト白血球か フェノール・クロロフォルム法によって得 DNA溶液(以下、「サンプル」と表記する)を いた。

 次に、PCR反応液を調製した。PCR反応液は 全量を25μlとして、正鎖プライマー 20pmol、 逆鎖プライマー 20pmol、KOD plus DNAポリメラ ゼ(東洋紡社製、品番KOD-201)、KOD plus DNAポリ メラーゼに添付の×10緩衝液 2.5μl、2mM dNTP 2 .5μl、25mM MgCl2 2μl、5mg/ml ウシ血清アルブミ ン(BSA) 0.5μl及びサンプルを、溶解しているDN Aが100ng、10ng又は1ngとなるように混合し、残 は水とした。

 PCRを行なう反応容器には、本発明の核酸 幅容器と、比較のため、従来品であるガラ 製キャピラリー(ロシュ・ダイアグノスティ クス社製、品番11909339001)を用いた。なお、本 発明の反応容器については、容器16を用いた

 ピペットチップには、LTSエアゾール耐性 ップ(レイニン・インスツルメント社製、品 番RT-L10F)を用いた。また、ピペットチップを して溶液を吸引および吐出することが可能 分注機構を有する手動分注器として、Pipet-L ite(TM)(レイニン・インスツルメント社製、品 L-20)を用いた。

 まず、Pipet-Lite(TM)にLTSエアゾール耐性チ プを装着し、調製したPCR反応液のうち10μlを 吸引し、溶液を保持した。この状態で、LTSエ アゾール耐性チップの先端を、本発明の反応 容器の収納部に押し付け、当該ピペットチッ プを本発明の反応容器に装着した。次に、Pip et-Lite(TM)に装備されているチップ・イジェク ーを用いて、本発明の反応容器に収納され チップを取り外し、当該収納物を3000rpmで5 間遠心することで、PCR反応液を本発明の反 容器の底に移動させた。

 比較のため、従来の方法、すなわち、ガ ス製キャピラリー(ロシュ・ダイアグノステ ィクス社製、品番11909339001)に添付のキャップ を蓋として使用するPCRを行なった。具体的に は、ガラス製キャピラリーの注入口に、調製 したPCR反応液のうち10μlをそれぞれ注入し、 ラス製キャピラリーに添付のキャップを装 した。次に、3000rpmで5秒間遠心することで PCR反応液をガラス製キャピラリーの底にそ ぞれ移動させた。

 核酸増幅装置には、RapidCycler2(アイダホ・ テクノロジーズ社製)を用いた。PCRの温度条 は、94℃で2分間静置した後、94℃で0秒、65℃ で0秒を35サイクル行なった。

 (アガロースゲル電気泳動による核酸増幅の 確認)
 PCR反応後、それぞれの反応容器からPCR反応 5μlを回収した。次に、回収したPCR反応液を 、3%アガロースゲルによる電気泳動に供した 電気泳動では、100Vの電圧を印加して、60分 行なった。その結果を図13に示す。図13は本 実施例における電気泳動の結果を示す図であ り、レーン1~4は本発明の核酸増幅容器を用い たPCRの結果を示し、レーン5~8はガラス製キャ ピラリーを用いたPCRの結果を示す。また、レ ーン1及び5は、調製したPCR反応液25μl当たり DNAの溶解量が100ngとしたPCR反応液を用いた結 果を示し、レーン2及び6は、調製したPCR反応 25μl当たりのDNAの溶解量が10ngとしたPCR反応 を用いた結果を示し、レーン3及び7は、調 したPCR反応液25μl当たりのDNAの溶解量が1ngと したPCR反応液を用いた結果を示す。また、レ ーン4及び8は比較のためサンプルの代わりに を混合したPCR反応液を用いた結果を示す。

 図13に示すように、本発明の反応容器を いたPCRでは従来品のガラス製キャピラリー 用いたPCRより、高感度にCYP2C19遺伝子を検出 ることができた。これは、本発明の一実施 態である反応容器を用いれば、従来品のガ ス製キャピラリーとは異なり破損する可能 が極めて低いため、採取できる量が限られ いる患者検体に対して特に効果的でありな ら、該ガラス製キャピラリーを用いたPCR以 の感度でPCRを行なうことができたことを示 ている。

 容器16を除く他の容器についても、実施例4~ 5を行った。その結果を下記の評価基準を用 て検討したところ、容器1~19の全てにおいて ◎又は○の評価であった。
 ◎ : ガラス製キャピラリーより非常に良
 ○ : ガラス製キャピラリーより良好
 △ : ガラス製キャピラリーと同等の性能
 × : ガラス製キャピラリーより不良 

 〔実施例6:反応容器の強度の比較〕
 容器には、上記実施の形態で説明した反応 器(以下、「本発明の反応容器」と表記する )と、比較のため、従来品であるガラス製キ ピラリー(ロシュ・ダイアグノスティクス社 、品番11909339001)を用いた。なお、本発明の 応容器については、容器16を用いた。

 まず、本発明の反応容器およびガラス製 ャピラリーを水平な木製台の上に置き、そ ぞれの上に、重さが1kgであり各辺の長さが1 0cmの立方体を静かに乗せた。本発明の反応容 器およびガラス製キャピラリーのそれぞれ10 について上記の操作を行い、破損の有無を 視で判定した。表4は本発明の反応容器およ びガラス製キャピラリーの強度を比較した結 果を示す。

 表4に示すように、本発明の反応容器では 10本すべてが破損しなかったが、ガラス製キ ピラリーでは10本すべてが破損した。これ 、本発明の反応容器では、従来品であるガ ス製キャピラリーに比べて強度が優れてい ことを示しており、実験操作において反応 器が破損する危険性が極めて低いことを示 ている。

 〔実施例7:核酸増幅反応、および、増幅核 断片が容器外に放出される可能性の検討〕
 本発明における化学反応の一例として、CYP2 C19遺伝子を対象とするPCRにおいて、核酸増幅 反応が十分に行われた場合に、核酸増幅反応 中または核酸増幅反応後に、増幅核酸断片が ピペットチップに内蔵されたフィルターを通 過して容器外に放出され、コンタミネーショ ンの原因となる可能性があるかを検討した。
 (CYP2C19遺伝子を検出するプライマーの合成)
 実施例5に記載のプライマーを使用した。

 (PCRによるCYP2C19遺伝子の増幅)
 PCRに供するサンプルとして、ヒト白血球か フェノール・クロロフォルム法によって得 DNA溶液を用いた。ヒト白血球として、4種類 の個体から得たものを用い、DNA溶液を4種類 製した(以下、「サンプルA」、「サンプルB 、「サンプルC」、「サンプルD」と表記する )。

 次に、PCR反応液を調製した。PCR反応液は 全量を25μlとして、正鎖プライマー 20pmol、 逆鎖プライマー 20pmol、KOD plus DNAポリメラ ゼ(東洋紡社製、品番KOD-201)、KOD plus DNAポリ メラーゼに添付の×10緩衝液 2.5μl、2mM dNTP 2 .5μl、25mM MgCl2 2μl、5mg/ml ウシ血清アルブミ ン(BSA) 0.5μlおよびサンプルA、B、C、またはD 、溶解しているDNAが100ngとなるように混合 、残部は水とした。

 ピペットチップには、LTSエアゾール耐性 ップ(レイニン・インスツルメント社製、品 番RT-L10F)を用いた。また、ピペットチップを して溶液を吸引および吐出することが可能 分注機構を有する手動分注器として、Pipet-L ite(TM)(レイニン・インスツルメント社製、品 L-20)を用いた。

 PCRを行なう核酸増幅容器には、本発明の 応容器、容器16を用いた。

 まず、Pipet-Lite(TM)にLTSエアゾール耐性チ プを装着し、調製したPCR反応液のうち10μlを 吸引し、溶液を保持した。この状態で、LTSエ アゾール耐性チップの先端を、本発明の反応 容器の収納部に押し付け、当該ピペットチッ プを本発明の反応容器に装着した。次に、Pip et-Lite(TM)に装備されているチップ・イジェク ーを用いて、本発明の反応容器に収納され チップを取り外し、当該装着物を3000rpmで5 間遠心することで、PCR反応液を本発明の反 容器の底に移動させた。

 さらに、本発明の反応容器に装着されたL TSエアゾール耐性チップに内蔵されたフィル ーの上部、すなわち、Pipet-Lite(TM)が装着さ ていた面の上側に、水25μlを置き、核酸増幅 装置にセットした。

 核酸増幅装置には、RapidCycler2(アイダホ・テ クノロジーズ社製)を用
いた。PCRの温度条件は、94℃で2分間静置した 後、94℃で0秒、65℃で0秒を50サイクル行なっ 。

 (PCRによるフィルターを通過した増幅核酸断 片の確認)
 RapidCycler2による増幅反応の終了後、上記フ ルターの上部に置いた水の全量を採取し、 れぞれサンプルとして、PCRを行なった。PCR 応液は、全量を50μlとして、正鎖プライマ  10pmol、逆鎖プライマー 10pmol、KOD plus DNA リメラーゼ(東洋紡社製、品番KOD-201)、KOD plu s DNAポリメラーゼに添付の×10緩衝液 5μl、2m M dNTP 5μl、25mM MgCl2 2μlおよび各サンプルを 混合し、残部は水とした。

 核酸増幅装置には、GeneAmp9700(アプライド イオシステムズ社製)を用いた。PCRの温度条 件は、94℃で2分間静置した後、94℃で15秒、60 ℃で30秒、68℃で30秒を50サイクル行なった。

 (アガロースゲル電気泳動による核酸増幅の 確認)
 PCR反応後、それぞれの反応容器からPCR反応 5μlを回収した。次に、回収したPCR反応液を 、3%アガロースゲルによる電気泳動に供した 電気泳動では、100Vの電圧を印加して、60分 行なった。その結果を図14に示す。図14は本 実施例における電気泳動の結果を示す図であ り、レーン1、3、5、7はRapidCycler2を用いた増 、すなわちガラス製キャピラリーの内部で 幅したPCRの結果を示し、レーン2、4、6、8はG eneAmp9700を用いた増幅、すなわちRapidCycler2を いた増幅の際にフィルターの上部に置いた をサンプルとしたPCRの結果を示す。また、 ーン1および2はサンプルAを用いたPCRの結果 示し、レーン3および4はサンプルBを用いたPC Rの結果を示し、レーン5および6はサンプルC 用いたPCRの結果を示し、レーン7および8はサ ンプルDを用いたPCRの結果を示す。

 図14に示すように、本発明の反応容器の 部では大量の増幅核酸断片が生成している 、フィルターの上部に置いた水からは増幅 酸断片が検出できなかった。これは、本発 の一実施形態である反応容器を用いれば、 酸増幅反応が十分に行われ、大量の増幅核 断片が生成した場合でも、核酸増幅反応中 たは核酸増幅反応後に、増幅核酸断片がチ プに内蔵されたフィルターを通過して容器 に放出されることはないことを示している すなわち、本発明の一実施形態である反応 器を用いれば、簡易な構造のため核酸増幅 置の自動化が容易である長所を有していな ら、確実にコンタミネーションを予防する とができることを示している。

 〔実施例8:Cytochrome P450 2C19(CYP2C19)遺伝子の 出〕
 (CYP2C19遺伝子を検出するプライマーの合成)
 まず、正鎖プライマー及び逆鎖プライマー 合成した。正鎖プライマーの塩基配列を配 番号1に、逆鎖プライマーの塩基配列を配列 番号2に示す。

 正鎖プライマー及び逆鎖プライマーは、D NAシンセサイザー(パーキンエルマー社製;392 )を用いて、添付のマニュアルに従い、ホス アミダイト法により合成した。合成した正 プライマー及び逆鎖プライマーを、アンモ ア水に溶解して、55℃の環境下で、一晩静 することによって脱保護した。その後、OPC ラム(パーキンエルマー社製)にて精製した。 なお、プライマーの合成は、DNA合成受託会社 ((株)日本バイオサービス、シグマアルドリッ チジャパン(株)、オペロンバイオテクノロジ (株)等)に依頼してもよい。

 (PCRによるCYP2C19遺伝子の解析)
 PCRに供するサンプルとして、ヒト白血球か フェノール・クロロフォルム法によって得 DNA溶液(以下、「サンプル」と表記する)を いた。

 次に、PCR反応液を調製した。PCR反応液は 全量を25μlとして、正鎖プライマー 20pmol、 逆鎖プライマー 20pmol、KOD plus DNAポリメラ ゼ(東洋紡社製、品番KOD-201)、KOD plus DNAポリ メラーゼに添付の×10緩衝液 2.5μl、2mM dNTP 2 .5μl、25mM MgCl2 2μl、5mg/ml ウシ血清アルブミ ン(BSA) 0.5μl及びサンプルを、溶解しているDN Aが100ng、10ng又は1ngとなるように混合し、残 は水とした。

 チップには、LTSエアゾール耐性チップ(レ イニン・インスツルメント社製、品番RT-L10F) 用いた。また、チップを介して溶液を吸引 よび吐出することが可能な分注機構を有す 手動分注器として、Pipet-Lite(TM)(レイニン・ ンスツルメント社製、品番L-20)を用いた。

 PCRを行なう核酸増幅容器には、ガラス製 ャピラリー(ロシュ・ダイアグノスティクス 社製、品番11909339001)を用いた。

 まず、Pipet-Lite(TM)にLTSエアゾール耐性チッ を装着し、調製したPCR反応液のうち10μlを吸 引し、溶液を保持した。この状態で、LTSエア ゾール耐性チップの先端を、ガラス製キャピ ラリーの注入口に押し付け、当該チップをガ ラス製キャピラリーに装着した。次に、Pipet- Lite(TM)に装備されているチップ・イジェクタ を用いて、ガラス製キャピラリーに装着さ たチップを取り外し、当該
装着物を3000rpmで5秒間遠心することで、PCR反 液をガラス製キャピラリーの底に移動させ 。

 比較のため、従来の方法、すなわち、上 ガラス製キャピラリーに添付のキャップを として使用するPCRを行なった。具体的には ガラス製キャピラリーの注入口に、調製し PCR反応液のうち10μlをそれぞれ注入し、ガ ス製キャピラリーに添付のキャップを装着 た。次に、3000rpmで5秒間遠心することで、PCR 反応液を本発明の核酸増幅容器の反応部およ びガラス製キャピラリーの底にそれぞれ移動 させた。

 核酸増幅装置には、RapidCycler2(アイダホ・ テクノロジーズ社製)を用いた。PCRの温度条 は、94℃で2分間静置した後、94℃で0秒、65℃ で0秒を35サイクル行なった。

 (アガロースゲル電気泳動による核酸増幅の 確認)
 PCR反応後、それぞれの反応容器からPCR反応 5μlを回収した。次に、回収したPCR反応液を 、3%アガロースゲルによる電気泳動に供した 電気泳動では、100Vの電圧を印加して、60分 行なった。その結果を図16に示す。図16は本 実施例における電気泳動の結果を示す図であ り、レーン1~4は本発明の核酸増幅方法の結果 を示し、レーン5~8はガラス製キャピラリーに 添付のキャップを用いたPCRの結果を示す。ま た、レーン1及び5は、調製したPCR反応液25μl たりのDNAの溶解量が100ngとしたPCR反応液を用 いた結果を示し、レーン2及び6は、調製したP CR反応液25μl当たりのDNAの溶解量が10ngとしたP CR反応液を用いた結果を示し、レーン3及び7 、調製したPCR反応液25μl当たりのDNAの溶解量 が1ngとしたPCR反応液を用いた結果を示す。ま た、レーン4及び8は比較のためサンプルの代 りに水を混合したPCR反応液を用いた結果を す。

 図16に示すように、本発明の核酸増幅方 では、従来の核酸増幅方法、すなわちガラ 製キャピラリーに添付のキャップを用いたPC Rと同等の感度でCYP2C19遺伝子を検出すること できた。これは、本発明の一実施形態であ 核酸増幅方法を用いれば、核酸増幅反応の めの溶液を保持させた着脱可能なチップを 酸増幅容器に装着することにより、例えば 従来のピペット操作など核酸増幅反応のた の溶液を核酸増幅容器に充填する際に、検 中に含まれる核酸が飛散し、他の患者など 由来する検体のコンタミネーションが起こ 可能性を極めて低くすることができる効果 ありながら、従来の方法と同等の感度でPCR 行なうことができたことを示している。さ に、本発明の一実施形態である核酸増幅方 を用いれば、チップを核酸増幅容器に装着 ることにより、核酸増幅反応後、チップお び核酸増幅容器を廃棄する際においても、 ップと核酸増幅容器が分離することなく一 的に廃棄することができるため、コンタミ ーションの原因となる核酸が廃棄物から飛 または漏出する可能性を極めて低くするこ ができる効果がありながら、従来の方法と 等の感度でPCRを行なうことができたことを 示している。

 〔実施例9:核酸増幅反応、および、増幅核 断片が容器外に放出される可能性の検討〕
 CYP2C19遺伝子を対象とするPCRを例として、本 発明において核酸増幅反応が十分に行われた 場合に、核酸増幅反応中または核酸増幅反応 後に、増幅核酸断片がチップに内蔵されたフ ィルターを通過して容器外に放出され、コン タミネーションの原因となる可能性があるか を検討した。
 (CYP2C19遺伝子を検出するプライマーの合成)
 実施例8に記載のプライマーを使用した。

 (PCRによるCYP2C19遺伝子の増幅)
 PCRに供するサンプルとして、ヒト白血球か フェノール・クロロフォルム法によって得 DNA溶液を用いた。ヒト白血球として、2種類 の個体から得たものを用い、DNA溶液を4種類 製した(以下、「サンプルA」、「サンプルB 、「サンプルC」、「サンプルD」と表記する )。

 次に、PCR反応液を調製した。PCR反応液は 全量を25μlとして、正鎖プライマー 20pmol、 逆鎖プライマー 20pmol、KOD plus DNAポリメラ ゼ(東洋紡社製、品番KOD-201)、KOD plus DNAポリ メラーゼに添付の×10緩衝液 2.5μl、2mM dNTP 2 .5μl、25mM MgCl2 2μl、5mg/ml ウシ血清アルブミ ン(BSA) 0.5μlおよびサンプルA、B、C、またはD 、溶解しているDNAが100ngとなるように混合 、残部は水とした。

 チップには、LTSエアゾール耐性チップ(レ イニン・インスツルメント社製、品番RT-L10F) 用いた。また、チップを介して溶液を吸引 よび吐出することが可能な分注機構を有す 手動分注器として、Pipet-Lite(TM)(レイニン・ ンスツルメント社製、品番L-20)を用いた。

 PCRを行なう核酸増幅容器には、ガラス製 ャピラリー(ロシュ・ダイアグノスティクス 社製、品番11909339001)を用いた。

 まず、Pipet-Lite(TM)にLTSエアゾール耐性チ プを装着し、調製したPCR反応液のうち10μlを 吸引し、溶液を保持した。この状態で、LTSエ アゾール耐性チップの先端を、ガラス製キャ ピラリーの注入口に押し付け、当該チップを ガラス製キャピラリーに装着した。次に、Pip et-Lite(TM)に装備されているチップ・イジェク ーを用いて、ガラス製キャピラリーに装着 れたチップを取り外し、当該装着物を3000rpm で5秒間遠心することで、PCR反応液をガラス キャピラリーの底に移動させた。

 さらに、ガラス製キャピラリーに装着さ たLTSエアゾール耐性チップに内蔵されたフ ルターの上部、すなわち、Pipet-Lite(TM)が装 されていた面の上側に、水25μlを置き、核酸 増幅装置にセットした。

 核酸増幅装置には、RapidCycler2(アイダホ・ テクノロジーズ社製)を用いた。PCRの温度条 は、94℃で2分間静置した後、94℃で0秒、65℃ で0秒を50サイクル行なった。

 (PCRによるフィルターを通過した増幅核酸断 片の確認)
 RapidCycler2による増幅反応の終了後、上記フ ルターの上部に置いた水の全量を採取し、 れぞれサンプルとして、PCRを行なった。PCR 応液は、全量を50μlとして、正鎖プライマ  10pmol、逆鎖プライマー 10pmol、KOD plus DNA リメラーゼ(東洋紡社製、品番KOD-201)、KOD plu s DNAポリメラーゼに添付の×10緩衝液 5μl、2m M dNTP 5μl、25mM MgCl2 2μlおよび各サンプルを 混合し、残部は水とした。

 核酸増幅装置には、GeneAmp9700(アプライド イオシステムズ社製)を用いた。PCRの温度条 件は、94℃で2分間静置した後、94℃で15秒、60 ℃で30秒、68℃で30秒を50サイクル行なった。

 (アガロースゲル電気泳動による核酸増幅の 確認)
 PCR反応後、それぞれの反応容器からPCR反応 5μlを回収した。次に、回収したPCR反応液を 、3%アガロースゲルによる電気泳動に供した 電気泳動では、100Vの電圧を印加して、60分 行なった。その結果を図17に示す。図17は本 実施例における電気泳動の結果を示す図であ り、レーン1、3、5、7はRapidCycler2を用いた増 、すなわちガラス製キャピラリーの内部で 幅したPCRの結果を示し、レーン2、4、6、8はG eneAmp9700を用いた増幅、すなわちRapidCycler2を いた増幅の際にフィルターの上部に置いた をサンプルとしたPCRの結果を示す。また、 ーン1および2はサンプルAを用いたPCRの結果 示し、レーン3および4はサンプルBを用いたPC Rの結果を示し、レーン5および6はサンプルC 用いたPCRの結果を示し、レーン7および8はサ ンプルDを用いたPCRの結果を示す。

 図17に示すように、ガラス製キャピラリー 内部では大量の増幅核酸断片が生成してい が、フィルターの上部に置いた水からは増 核酸断片が検出できなかった。これは、本 明の一実施形態である核酸増幅方法におい 、核酸増幅反応が十分に行われ、大量の増 核酸断片が生成した場合でも、核酸増幅反 中または核酸増幅反応後に、増幅核酸断片 チップに内蔵されたフィルターを通過して 器外に放出されることはないことを示して る。すなわち、本発明の一実施形態である 酸増幅方法は、簡易な構造のため核酸増幅 置の自動化が容易である長所を有していな ら、確実にコンタミネーションを予防する とができることを示している。
 

 本発明に係る核酸増幅容器は、破損する 能性が極めて低く、また極めて迅速かつ簡 に核酸増幅反応を行なうことができる。遺 子解析や、遺伝子をモニタリングすること より行なわれるバイオアッセイなど、PCR等 核酸増幅反応を用いるあらゆる産業で利用 能である。特に、核酸増幅反応が確定診断 して用いられるため誤りが許されず、また 者から採取できる検体の量が限られている め失敗が許されず、さらに迅速性も要求さ るために、迅速性を保ちながら高い精度を していなければならない遺伝子診断におい 極めて有用である。

 本発明に係る反応容器は、破損する可能 が極めて低く、また極めて迅速かつ簡便に 学反応を行なうことができる。また、本発 に係る反応容器を用いれば、あるいは、本 明に係る核酸増幅方法を行えば、簡易な操 で確実に反応液(核酸増幅反応液)の飛散を ぐことができるため、自動化が容易であり 簡易な構造の反応装置でコンタミネーショ を予防することができる。特に、本発明に る反応容器を核酸増幅反応に用いれば、あ いは、本発明に係る核酸増幅方法を行えば これまでの核酸増幅方法とは異なり、コン ミネーションの原因となる核酸の、廃棄物 らの飛散または漏出を減らすことができる め、例えば、患者から採取できる検体の量 限られているため失敗が許されず、感染性 検体を取り扱う可能性があり、さらに迅速 も要求されるために、迅速性を保ちながら い精度を有していなければならない遺伝子 断において極めて有用である。

 本発明は上述した実施形態および実施例の れぞれに限定されるものではなく、請求項 示した範囲で種々の変更が可能であり、異 る実施形態および実施例にそれぞれ開示さ た技術的手段を適宜組み合わせて得られる 施形態についても本発明の技術的範囲に含 れる。また、本明細書中に記載された特許 献の全てが、本明細書中において参考とし 援用される。