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Patent Searching and Data


Title:
OPERATING OIL COMPOSITION FOR BUFFER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/123245
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an operating oil composition for a buffer, which comprises a lubricant base oil and a viscosity index improver. The lubricant base oil contains saturated contents in an amount of 90 mass% or more, wherein cyclic saturated contents comprise 40 mass% or less of the saturated contents. The lubricant base oil has a viscosity index of 110 or more, and an iodine value of 2.5 or less. The viscosity improver is contained in the composition in an amount of 0.01 to 2.5 mass% in terms of a polymer relative to the total amount of the composition. The operating oil composition can achieve all of viscosity-temperature property, shear stability and defoaming property at high levels.

Inventors:
AOKI TOORU (JP)
TAGAWA KAZUO (JP)
SHIRAHAMA SHINICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/055572
Publication Date:
October 16, 2008
Filing Date:
March 25, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON OIL CORP (JP)
PETROLEUM ENERGY CENTER FOUND (JP)
AOKI TOORU (JP)
TAGAWA KAZUO (JP)
SHIRAHAMA SHINICHI (JP)
International Classes:
C10M169/04; C10M101/02; C10M145/14; C10N40/06
Foreign References:
JP2006249408A2006-09-21
JP2006241436A2006-09-14
JPS55151094A1980-11-25
JP2006342149A2006-12-21
JP2003522280A2003-07-22
JP2004521976A2004-07-22
Attorney, Agent or Firm:
HASEGAWA, Yoshiki et al. (Ginza First Bldg.10-6 Ginza 1-chom, Chuo-ku Tokyo, JP)
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Claims:
 飽和分を90質量%以上含有し、且つ該飽和分に占める環状飽和分の割合が40質量%以下であり、粘度指数が110以上であり、ヨウ素価が2.5以下である潤滑油基油と、
 組成物全量基準で、ポリマー量として、0.01質量%以上2.5質量%以下の粘度指数向上剤と、
を含有することを特徴とする緩衝器用作動油組成物。
 前記環状飽和分に含まれる1環飽和分と2環以上の飽和分との質量比が下記式(1)で表される条件を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の緩衝器用作動油組成物。
M A /M B ≦3  (1)
(式中、M A は1環飽和分の質量を示し、M B は2環以上の飽和分を示す。)
 前記飽和分に占める2環以上の飽和分の割合が0.1質量%以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の緩衝器用作動油組成物。
 前記潤滑油基油が、潤滑油基油全量基準で、芳香族分を0.1~7質量%含有することを特徴とする、請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の緩衝器用作動油組成物。
 前記潤滑油基油に占める分岐パラフィンの割合が54~99質量%であることを特徴とする、請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の緩衝器用作動油組成物。
Description:
緩衝器用作動油組成物

 本発明は緩衝器用作動油組成物に関する

 従来、緩衝器用作動油としては、例えば、 リα-オレフィン、エステル、シリコンオイ 、あるいは、深脱ろう基油などを用いたも が知られている。また、従来の緩衝器用作 油においては、各種添加剤を配合すること よりその特性の改善が図られている(例えば 特許文献1~9)。

特開平3-285989号公報

特開平5-86390号公報

特開平5-247482号公報

特開平6-220480号公報

特開2000-119672号公報

特開2000-044971号公報

特開2000-109876号公報

特開2000-119672号公報

特開2005-314609号公報

 しかしながら、上記従来の緩衝器用作動 は以下の点で改善の余地がある。

 すなわち、緩衝器用作動油には、低温に いても充分な緩衝作用あるいは減衰力を発 できることが必要であり、近年では、この うな低温特性に対する要求が一層厳しくな ている。例えば、低温において流動性が損 われず、しかも充分な緩衝作用あるいは減 力を得るためには、要求される温度におけ ブルックフィールド粘度が2000mPa・s以下で ることが必要とされている。そして、近年 は-40℃の外気温下でもこの低温性能を充分 たす緩衝器用作動油が求められている。

 従来の緩衝器用作動油において、-40℃に けるブルックフィールド粘度を2000mPa・s以 とするには、粘度の低い溶剤成分を配合し 基油粘度を下げ、粘度指数向上剤をある程 多量に配合する必要がある。しかし、溶剤 分を多量に配合すると潤滑性を悪化させる とになる。また、粘度指数向上剤を多量に 合すると、使用する間に粘度指数向上剤が ん断を受け、緩衝器用作動油の粘度が低下 てしまう。その結果、緩衝器用作動油に必 な粘度を維持できずに潤滑性を悪化させる けでなく、所定の減衰力を維持することが きなくなり、最悪の場合、緩衝器を交換せ るを得ない状況となってしまう。

 また、緩衝器用作動油には、過酷な条件 おける泡の発生を抑制し、減衰力の低下を 制できることが必要とされている。ところ 、従来の緩衝器用作動油の場合、消泡剤や 度指数向上剤をしても、十分な消泡性を長 間維持することは困難である。

 本発明は、このような実情に鑑みてなさ たものであり、その目的は、粘度-温度特性 、せん断安定性及び消泡性の全てを高水準で 達成することが可能な緩衝器用作動油組成物 を提供することにある。

 上記課題を解決するために、本発明は、 和分を90質量%以上含有し、且つ該飽和分に める環状飽和分の割合が40質量%以下であり 粘度指数が110以上であり、ヨウ素価が2.5以 である潤滑油基油と、組成物全量基準で、 リマー量として、0.01質量%以上2.5質量%以下 粘度指数向上剤と、を含有することを特徴 する緩衝器用作動油組成物(緩衝器用油圧作 動油組成物を包含する。)を提供する。

 本発明の緩衝器用作動油組成物に含まれ 潤滑油基油は、飽和分の含有量及び当該飽 分に占める環状飽和分の割合、並びに粘度 数及びヨウ素価がそれぞれ上記条件を満た ものであるため、潤滑油基油自体が粘度-温 度特性及び低温粘度特性に優れるものである 。そして、当該潤滑油基油を含有する本発明 の緩衝器用作動油組成物によれば、低温粘度 特性の大幅な向上が実現でき、低温時におい ても十分な緩衝作用や減衰力を発現できる。 低粘度の溶剤や粘度指数向上剤を多量に配合 せずとも、-40℃におけるブルックフィールド 粘度を2000mPa・s以下とすることができる。

 また、本発明の緩衝器用作動油組成物に れば、上記の潤滑油基油自体が泡立ち防止 能や消泡性に優れるため、泡の発生よる緩 器の減衰力低下を抑制することができ、過 な条件下においても優れた減衰力の維持性 発揮できる。

 さらに、上記潤滑油基油を用いることに って、より低粘度の基油又は溶剤の使用量 削減できるとともに、粘度指数向上剤の配 量も削減できるため、潤滑性に優れるだけ なく、せん断安定性に優れた組成物を得る とが可能となり、長期の使用にも耐えうる 分な潤滑性と緩衝器の減衰力を保持するこ が可能となる。

 本発明の緩衝器用作動油組成物においては 上記環状飽和分に含まれる1環飽和分と2環 上の飽和分との質量比が下記式(1)で表され 条件を満たすことが好ましい。
M A /M B ≦3  (1)
(式中、M A は1環飽和分の質量を示し、M B は2環以上の飽和分を示す。)

 また、上記飽和分に占める2環以上の飽和 分の割合は0.1質量%以上であることが好まし 。

 また、本発明の緩衝器用作動油組成物に いては、前記潤滑油基油が、潤滑油基油全 基準で、芳香族分を0.1~7質量%含有すること 好ましい。

 また、上記潤滑油基油に占める分岐パラ ィンの割合は54~99質量%であることが好まし 。

 本発明によれば、粘度-温度特性、せん断 安定性および消泡性の全てを高水準で達成す ることが可能な緩衝器用作動油組成物が提供 される。

 以下、本発明の好適な実施形態について 細に説明する。

 本発明の緩衝器用作動油組成物は、飽和 を90質量%以上含有し、且つ該飽和分に占め 環状飽和分の割合が40質量%以下であり、粘 指数が110以上であり、ヨウ素価が2.5以下で る潤滑油基油(以下、「本発明にかかる潤滑 油基油」という。)を含有する。

 本発明にかかる潤滑油基油は、飽和分の 有量及び当該飽和分に占める環状飽和分の 合、並びに粘度指数及びヨウ素価が上記条 を満たすものであれば特に制限されない。 体的には、原油を常圧蒸留及び/又は減圧蒸 留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、 溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱 ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の 精製処理のうちの1種を単独で又は2種以上を み合わせて精製したパラフィン系鉱油、あ いはノルマルパラフィン系基油、イソパラ ィン系基油などのうち、飽和分の含有量及 当該飽和分に占める環状飽和分の割合、並 に粘度指数及びヨウ素価が上記条件を満た ものが挙げられる。これらの潤滑油基油は 1種を単独で用いてもよく、また、2種以上 組み合わせて用いてもよい。

 本発明にかかる潤滑油基油の好ましい例と ては、以下に示す基油(1)~(8)を原料とし、こ の原料油及び/又はこの原料油から回収され 潤滑油留分を、所定の精製方法によって精 し、潤滑油留分を回収することによって得 れる基油を挙げることができる。
(1)パラフィン基系原油及び/又は混合基系原 の常圧蒸留による留出油
(2)パラフィン基系原油及び/又は混合基系原 の常圧蒸留残渣油の減圧蒸留による留出油(W VGO)
(3)潤滑油脱ろう工程により得られるワックス (スラックワックス等)及び/又はガストゥリキ ッド(GTL)プロセス等により得られる合成ワッ ス(フィッシャートロプシュワックス、GTLワ ックス等)
(4)基油(1)~(3)から選ばれる1種又は2種以上の混 合油及び/又は当該混合油のマイルドハイド クラッキング処理油
(5)基油(1)~(4)から選ばれる2種以上の混合油
(6)基油(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)の脱れき油(DAO)
(7)基油(6)のマイルドハイドロクラッキング処 理油(MHC)
(8)基油(1)~(7)から選ばれる2種以上の混合油。

 なお、上記所定の精製方法としては、水 化分解、水素化仕上げなどの水素化精製;フ ルフラール溶剤抽出などの溶剤精製;溶剤脱 うや接触脱ろうなどの脱ろう;酸性白土や活 白土などによる白土精製;硫酸洗浄、苛性ソ ーダ洗浄などの薬品(酸又はアルカリ)洗浄な が好ましい。本発明では、これらの精製方 のうちの1種を単独で行ってもよく、2種以 を組み合わせて行ってもよい。また、2種以 の精製方法を組み合わせる場合、その順序 特に制限されず、適宜選定することができ 。

 更に、本発明にかかる潤滑油基油としては 上記基油(1)~(8)から選ばれる基油又は当該基 油から回収された潤滑油留分について所定の 処理を行うことにより得られる下記基油(9)又 は(10)が特に好ましい。
(9)上記基油(1)~(8)から選ばれる基油又は当該 油から回収された潤滑油留分を水素化分解 、その生成物又はその生成物から蒸留等に り回収される潤滑油留分について溶剤脱ろ や接触脱ろうなどの脱ろう処理を行い、ま は当該脱ろう処理をした後に蒸留すること よって得られる水素化分解鉱油
(10)上記基油(1)~(8)から選ばれる基油又は当該 油から回収された潤滑油留分を水素化異性 し、その生成物又はその生成物から蒸留等 より回収される潤滑油留分について溶剤脱 うや接触脱ろうなどの脱ろう処理を行い、 たは、当該脱ろう処理をしたあとに蒸留す ことによって得られる水素化異性化鉱油。

 また、上記(9)又は(10)の潤滑油基油を得る に際して、好都合なステップで、必要に応じ て溶剤精製処理及び/又は水素化仕上げ処理 程を更に設けてもよい。

 また、上記水素化分解・水素化異性化に 用される触媒は特に制限されないが、分解 性を有する複合酸化物(例えば、シリカアル ミナ、アルミナボリア、シリカジルコニアな ど)又は当該複合酸化物の1種類以上を組み合 せてバインダーで結着させたものを担体と 、水素化能を有する金属(例えば周期律表第 VIa族の金属や第VIII族の金属などの1種類以上) を担持させた水素化分解触媒、あるいはゼオ ライト(例えばZSM-5、ゼオライトベータ、SAPO-1 1など)を含む担体に第VIII族の金属のうち少な くとも1種類以上を含む水素化能を有する金 を担持させた水素化異性化触媒が好ましく 用される。水素化分解触媒及び水素化異性 触媒は、積層又は混合などにより組み合わ て用いてもよい。

 水素化分解・水素化異性化の際の反応条 は特に制限されないが、水素分圧0.1~20MPa、 均反応温度150~450℃、LHSV0.1~3.0hr-1、水素/油 50~20000scf/bとすることが好ましい。

 本発明にかかる潤滑油基油の製造方法の ましい例としては、以下に示す製造方法Aが 挙げられる。

 すなわち、本発明にかかる製造方法Aは、
 NH 3 脱着温度依存性評価においてNH 3 の全脱着量に対する300~800℃でのNH 3 の脱着量の分率が80%以下である担体に、周期 律表第VIa族金属のうち少なくとも1種類と、 VIII族金属のうち少なくとも1種類とが担持さ れた水素化分解触媒を準備する第1工程と、
 水素化分解触媒の存在下、スラックワック を50容量%以上含む原料油を、水素分圧0.1~14M Pa、平均反応温度230~430℃、LHSV0.3~3.0hr -1 、水素油比50~14000scf/bで水素化分解する第2工 と、
 第2工程で得られた分解生成油を蒸留分離し て潤滑油留分を得る第3工程と、
 第3工程で得られた潤滑油留分を脱ろう処理 する第4工程と
を備える。

 以下、上記製造方法Aについて詳述する。

(原料油)
 上記製造方法Aにおいては、スラックワック スを50容量%以上含有する原料油が用いられる 。なお、本発明でいう「スラックワックスを 50容量%以上含有する原料油」とは、スラック ワックスのみからなる原料油と、スラックワ ックスと他の原料油との混合油であってスラ ックワックスを50容量%以上含有する原料油と の双方が包含される。

 スラックワックスは、パラフィン系潤滑油 分から潤滑油基油を製造する際、溶剤脱ろ 工程で副生するワックス含有成分であり、 発明においては該ワックス含有成分をさら 脱油処理したものもスラックワックスに包 される。スラックワックスの主成分はn-パ フィン及び側鎖の少ない分岐パラフィン(イ パラフィン)であり、ナフテン分や芳香族分 は少ない。原料油の調製に使用するスラック ワックスの動粘度は、目的とする潤滑油基油 の動粘度に応じて適宜選定することができる が、本発明にかかる潤滑油基油として低粘度 基油を製造するには、100℃における動粘度が 2~25mm 2 /s程度、好ましくは2.5~20mm 2 /s程度、より好ましくは3~15mm 2 /s程度の、比較的低粘度のスラックワックス 望ましい。また、スラックワックスのその の性状も任意であるが、融点は、好ましく 35~80℃、より好ましくは45~70℃、さらに好ま しくは50~60℃である。また、スラックワック の油分は、好ましくは60質量%以下、より好 しくは50質量%以下、さらに好ましくは25質 %以下、特に好ましくは10質量%以下であり、 た、好ましくは0.5質量%以上、より好ましく は1質量%以上である。また、スラックワック の硫黄分は、好ましくは1質量%以下、より ましくは0.5質量%以下であり、また、好まし は0.001質量%以上である。

 ここで、十分に脱油処理されたスラック ックス(以下、「スラックワックスA」とい 。)の油分は、好ましくは0.5~10質量%、より好 ましくは1~8質量%である。また、スラックワ クスAの硫黄分は、好ましくは0.001~0.2質量%、 より好ましくは0.01~0.15質量%、さらに好まし は0.05~0.12質量%である。一方、脱油処理され いか、あるいは脱油処理が不十分であるス ックワックス(以下、「スラックワックスB という。)の油分は、好ましくは10~60質量%、 り好ましくは12~50質量%、さらに好ましくは1 5~25質量%である。また、スラックワックスBの 硫黄分は、好ましくは0.05~1質量%、より好ま くは0.1~0.5質量%、さらに好ましくは0.15~0.25質 量%である。なお、これらスラックワックスA Bは、水素化分解/異性化触媒の種類や特性 応じて、脱硫処理が施されたものであって よく、その場合の硫黄分は、好ましくは0.01 量%以下、より好ましくは0.001質量%以下であ る。

 上記製造方法Aにおいては、上記スラック ワックスAを原料として用いることで、飽和 の含有量及び当該飽和分に占める環状飽和 の割合、並びに粘度指数及びヨウ素価が上 条件を満たす本発明にかかる潤滑油基油を 適に得ることができる。また、上記製造方 Aによれば、油分や硫黄分が比較的高く、比 的粗悪で安価なスラックワックスBを原料と して用いても、粘度指数が高く、低温特性及 び熱・酸化安定性に優れた付加価値の高い潤 滑油基油を得ることができる。

 原料油がスラックワックスと他の原料油 の混合油である場合、当該他の原料油とし は、混合油全量に占めるスラックワックス 割合が50容量%以上であれば特に制限されな が、原油の重質常圧蒸留留出油及び/又は減 圧蒸留留出油の混合油が好ましく用いられる 。

 また、原料油がスラックワックスと他の 料油との混合油である場合、高粘度指数の 油を製造するという観点から、混合油に占 るスラックワックスの割合は、70容量%以上 より好ましく、75容量%以上が更により好ま い。当該割合が50容量%未満では、得られる 滑油基油において芳香族分、ナフテン分な の油分が増大し、潤滑油基油の粘度指数が 下する傾向にある。

 一方、スラックワックスと併用される原 の重質常圧蒸留留出油及び/又は減圧蒸留留 出油は、製造される潤滑油基油の粘度指数を 高く保つため、300~570℃の蒸留温度範囲に60容 量%以上の留出成分を有する留分であること 好ましい。

(水素化分解触媒)
 上記製造方法Aでは、NH 3 脱着温度依存性評価においてNH 3 の全脱着量に対する300~800℃でのNH 3 の脱着量の分率が80%以下である担体に、周期 律表第VIa族金属のうち少なくとも1種類と、 VIII族金属のうち少なくとも1種類とが担持さ れた水素化分解触媒が用いられる。

 ここで、「NH 3 脱着温度依存性評価」とは、文献(Sawa M., Niw a M., Murakami Y., Zeolites 1990,10,532、Karge H. G. , Dondur V.,J.Phys.Chem. 1990,94,765など)に紹介さ ている方法であり、以下のようにして行わ る。先ず、触媒担体を、窒素気流下400℃以 の温度で30分以上前処理し、吸着分子を除去 した後に、100℃でNH 3 を飽和するまで吸着させる。次いで、その触 媒担体を100~800℃まで10℃/分以下の昇温速度 昇温してNH 3 を脱着させ、脱着により分離されたNH 3 を所定温度ごとにモニターする。そして、NH 3 の全脱着量(100~800℃での脱着量)に対する、300 ℃~800℃でのNH 3 の脱着量の分率を求める。

 上記製造方法Aで用いられる触媒担体は、上 記のNH 3 脱着温度依存性評価においてNH 3 の全脱着量に対する300~800℃でのNH 3 の脱着量の分率が80%以下のものであり、好ま しくは70%以下、より好ましくは60%以下である 。かかる担体を用いて水素化分解触媒を構成 することで、分解活性を支配する酸性質が十 分に抑制されるので、水素化分解により原料 油中のスラックワックス等に由来する高分子 量n-パラフィンの分解異性化によるイソパラ ィンの生成を効率よく且つ確実に行うこと でき、且つ、生成したイソパラフィン化合 の過度の分解を充分に抑制することができ ようになる。その結果、適度に枝分かれし 化学構造を有する粘度指数の高い分子を、 度な分子量範囲で十分量与えることができ 。

 このような担体としては、アモルファス であり且つ酸性質を有する二元酸化物が好 しく、例えば、文献(「金属酸化物とその触 媒作用」、清水哲郎、講談社、1978年)などに 示されている二元酸化物が挙げられる。

 中でも、アモルファス系複合酸化物であっ Al、B、Ba、Bi、Cd、Ga、La、Mg、Si、Ti、W、Y、Z nおよびZrから選ばれる元素の酸化物2種類の 合による酸性質二元酸化物を含有すること 好ましい。これらの酸性質二元酸化物の各 化物の比率などを調整することにより、前 のNH 3 吸脱着評価において、本目的に適した酸性質 の担体を得ることができる。なお、当該担体 を構成する酸性質二元酸化物は上記のうちの 1種類であっても2種類以上の混合物であって よい。また、当該担体は、上記酸性質二元 化物からなるものであってもよく、あるい 当該酸性質二元酸化物をバインダーで結着 せた担体であってもよい。

 さらに、当該担体は、アモルファス系シ カ・アルミナ、アモルファス系シリカ・ジ コニア、アモルファス系シリカ・マグネシ 、アモルファス系シリカ・チタニア、アモ ファス系シリカ・ボリア、アモルファス系 ルミナ・ジルコニア、アモルファス系アル ナ・マグネシア、アモルファス系アルミナ チタニア、アモルファス系アルミナ・ボリ 、アモルファス系ジルコニア・マグネシア アモルファス系ジルコニア・チタニア、ア ルファス系ジルコニア・ボリア、アモルフ ス系マグネシア・チタニア、アモルファス マグネシア・ボリアおよびアモルファス系 タニア・ボリアから選ばれる少なくとも1種 類の酸性質二元酸化物を含有することが好ま しい。当該担体を構成する酸性質二元酸化物 は上記のうちの1種類であっても2種類以上の 合物であってもよい。また、当該担体は、 記酸性質二元酸化物からなるものであって よく、あるいは当該酸性質二元酸化物をバ ンダーで結着させた担体であってもよい。 かるバインダーとしては、一般に触媒調製 使用されるものであれば特に制限はないが シリカ、アルミナ、マグネシア、チタニア ジルコニア、クレーから選ばれるかまたは れらの混合物などが好ましい。

 上記製造方法Aにおいては、上記の担体に 、周期律表第VIa族の金属(モリブデン、クロ 、タングステンなど)のうち少なくとも1種類 と、第VIII族の金属(ニッケル、コバルト、パ ジウム、白金など)のうち少なくとも1種類 が担持されて水素化分解触媒が構成される これらの金属は、水素化能を担うものであ 、酸性質担体によってパラフィン化合物が 解または枝分かれする反応を終結させ、適 な分子量と枝分かれ構造を有するイソパラ ィンの生成に重要な役割を担っている。

 水素化分解触媒における金属の担持量と ては、第VIa族金属の担持量が金属1種類当た り5~30質量%であり、第VIII族金属の担持量が金 属1種類当たり0.2~10質量%であることが好まし 。

 さらに、上記製造方法Aで用いられる水素 化分解触媒においては、第VIa族金属の1種類 上の金属としてモリブデンを5~30質量%の範囲 で含み、また、第VIII族金属の1種類以上の金 としてニッケルを0.2~10質量%の範囲で含むこ とがより好ましい。

 上記の担体と第VIa族金属の1種類以上と第 VIII属金属の1種類以上の金属とで構成される 素化分解触媒は、硫化した状態で水素化分 に用いることが好ましい。硫化処理は公知 方法により行うことができる。

(水素化分解工程)
 上記製造方法Aにおいては、上記の水素化分 解触媒の存在下、スラックワックスを50容量% 以上含む原料油を、水素分圧が0.1~14MPa、好ま しくは1~14MPa、より好ましくは2~7MPa;平均反応 度が230~430℃、好ましくは330~400℃、より好 しくは350~390℃;LHSVが0.3~3.0hr -1 、好ましくは0.5~2.0hr -1 ;水素油比が50~14000scf/b、好ましくは100~5000scf/b で水素化分解する。

 かかる水素化分解工程においては、原料 中のスラックワックスに由来するn-パラフ ンを分解する過程でイソパラフィンへの異 化を進行させることにより、流動点が低く かつ粘度指数の高いイソパラフィン成分を ぜしめるのであるが、同時に、原料油に含 れている高粘度指数化の阻害因子である芳 族化合物を単環芳香族化合物、ナフテン化 物及びパラフィン化合物に分解し、また、 粘度指数化の阻害因子である多環ナフテン 合物を単環ナフテン化合物やパラフィン化 物に分解することができる。なお、高粘度 数化の点からは、原料油中に高沸点で粘度 数の低い化合物が少ない方が好ましい。

 また、反応の進行度合いを評価する分解率 下記式:
(分解率(容量%))=100-(生成物中の沸点が360℃以 の留分の割合(容量%))
のように定義すると、分解率は3~90容量%であ ことが好ましい。分解率が3容量%未満では 原料油中に含まれる流動点の高い高分子量n- パラフィンの分解異性化によるイソパラフィ ンの生成や、粘度指数の劣る芳香族分や多環 ナフテン分の水素化分解が不十分となり、ま た、分解率が90容量%を超えると潤滑油留分の 収率が低くなり、それぞれ好ましくない。

(蒸留分離工程)
 次いで、上記の水素化分解工程により得ら る分解生成油から潤滑油留分を蒸留分離す 。この際、軽質分として燃料油留分も得ら る場合がある。

 燃料油留分は脱硫、脱窒素が十分に行わ 、また、芳香族の水素化も十分に行われた 果得られる留分である。このうち、ナフサ 分はイソパラフィン分が多く、灯油留分は 点が高く、また、軽油留分はセタン価が高 等、燃料油としていずれも高品質である。

 一方、潤滑油留分における水素化分解が 十分である場合には、その一部を再度水素 分解工程に供してもよい。また、所望の動 度の潤滑油留分を得るため、潤滑油留分を に減圧蒸留してもよい。なお、この減圧蒸 分離は次に示す脱ろう処理後に行ってもよ 。

 蒸発分離工程において、水素化分解工程 得られる分解生成油を減圧蒸留することに り、70Pale、SAE10、SAE20と呼ばれる潤滑油基油 を好適に得ることができる。

 原料油としてより低粘度のスラックワッ スを使用した系は、70PaleやSAE10留分を多く 成するのに適しており、原料油として上記 囲で高粘度のスラックワックスを使用した はSAE20を多く生成するのに適している。しか し、高粘度のスラックワックスを用いても、 分解反応の進行程度によっては70Pale、SAE10を 当量生成する条件を選ぶこともできる。

(脱ろう工程)
 上記の蒸留分離工程において、分解生成油 ら分留した潤滑油留分は流動点が高いので 所望の流動点を有する潤滑油基油を得るた に脱ろうする。脱ろう処理は溶剤脱ろう法 は接触脱ろう法などの通常の方法で行うこ ができる。このうち、溶剤脱ろう法は一般 MEK、トルエンの混合溶剤が用いられるが、 ンゼン、アセトン、MIBK等の溶剤を用いても よい。脱ろう油の流動点を-10℃以下にするた めに溶剤/油比1~6倍、ろ過温度-5~-45℃、好ま くは-10~-40℃の条件で行うことが好ましい。 お、ここで除去されるろう分は、スラック ックスとして、水素化分解工程に再び供す ことができる。

 上記製造方法においては、脱ろう処理に 剤精製処理及び/又は水素化精製処理を付加 してもよい。これらの付加する処理は潤滑油 基油の紫外線安定性や酸化安定性を向上させ るために行うもので、通常の潤滑油精製工程 で行われている方法で行うことができる。

 溶剤精製の際には、溶剤として一般にフ フラール、フェノール、N-メチルピロリド 等を使用し、潤滑油留分中に残存している 量の芳香族化合物、特に多環芳香族化合物 除去する。

 また、水素化精製はオレフィン化合物や芳 族化合物を水素化するために行うもので、 に触媒を限定するものではないが、モリブ ン等の第VIa族金属のうち少なくとも1種類と 、コバルト、ニッケル等の第VIII族金属のう 、少なくとも1種類を担持したアルミナ触媒 用いて、反応圧力(水素分圧)7~16MPa、平均反 温度300~390℃、LHSV0.5~4.0hr -1 の条件下で行うことができる。

 また、本発明にかかる潤滑油基油の製造 法の好ましい例としては、以下に示す製造 法Bが挙げられる。

 すなわち、本発明にかかる製造方法Bは、
 触媒の存在下、パラフィン系炭化水素を含 する原料油を水素化分解及び/又は水素化異 性化する第5工程と、
 第5工程で得られる生成物又はその生成物か ら蒸留等により回収される潤滑油留分を脱ろ う処理する第6工程と、
を備える。

 以下、上記製造方法Bについて詳述する。

 (原料油)
 上記製造方法Bにおいては、パラフィン系炭 化水素を含有する原料油が用いられる。なお 、本発明でいう「パラフィン系炭化水素」と は、パラフィン分子の含有率が70質量%以上の 炭化水素をいう。パラフィン系炭化水素の炭 素数は特に制限されないが、通常、10~100程度 のものが用いられる。また、パラフィン系炭 化水素の製法は特に制限されず、石油系及び 合成系の各種パラフィン系炭化水素を用いる ことができるが、特に好ましいパラフィン系 炭化水素としては、ガストゥリキッド(GTL)プ セス等により得られる合成ワックス(フィッ シャートロプシュワックス(FTワックス)、GTL ックス等)が挙げられ、中でもFTワックスが ましい。また、合成ワックスは、炭素数が ましくは15~80、より好ましくは20~50のノルマ パラフィンを主成分として含むワックスが 適である。

 原料油の調製に使用するパラフィン系炭化 素の動粘度は、目的とする潤滑油基油の動 度に応じて適宜選定することができるが、 発明にかかる潤滑油基油として低粘度基油 製造するには、100℃における動粘度が2~25mm 2 /s程度、好ましくは2.5~20mm 2 /s程度、より好ましくは3~15mm 2 /s程度の、比較的低粘度のパラフィン系炭化 素が望ましい。また、パラフィン系炭化水 のその他の性状も任意であるが、パラフィ 系炭化水素がFTワックス等の合成ワックス ある場合、その融点は、好ましくは35~80℃、 より好ましくは50~80℃、さらに好ましくは60~8 0℃である。また、合成ワックスの油分は、 ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量% 以下、さらに好ましくは2質量%以下である。 た、合成ワックスの硫黄分は、好ましくは0 .01質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下 さらに好ましくは0.0001質量%以下である。

 原料油が上記合成ワックスと他の原料油 の混合油である場合、当該他の原料油とし は、混合油全量に占める合成ワックスの割 が50容量%以上であれば特に制限されないが 原油の重質常圧蒸留留出油及び/又は減圧蒸 留留出油の混合油が好ましく用いられる。

 また、原料油が上記合成ワックスと他の 料油との混合油である場合、高粘度指数の 油を製造するという観点から、混合油に占 る合成ワックスの割合は、70容量%以上がよ 好ましく、75容量%以上が更により好ましい 当該割合が70容量%未満では、得られる潤滑 基油において芳香族分、ナフテン分などの 分が増大し、潤滑油基油の粘度指数が低下 る傾向にある。

 一方、合成ワックスと併用される原油の 質常圧蒸留留出油及び/又は減圧蒸留留出油 は、製造される潤滑油基油の粘度指数を高く 保つため、300~570℃の蒸留温度範囲に60容量% 上の留出成分を有する留分であることが好 しい。

 (触媒)
 製造方法Bで用いられる触媒は特に制限され ないが、アルミノシリケートを含有する担体 に、活性金属成分として周期律表第VI属b金属 及び第VIII属金属から選ばれる1種以上が担持 れた触媒が好ましく用いられる。

 アルミノシリケートとは、アルミニウム 珪素及び酸素の3元素で構成される金属酸化 物をいう。また、本発明の効果を妨げない範 囲で他の金属元素を共存させることもできる 。この場合、他の金属元素の量はその酸化物 としてアルミナ及びシリカの合計量の5質量% 下が好ましく、3質量%以下がより好ましい 共存可能な金属元素としては、例えばチタ 、ランタン、マンガン等を挙げることがで る。

 アルミノシリケートの結晶性は、全アルミ ウム原子中の4配位のアルミニウム原子の割 合で見積もることができ、この割合は 27 Al固体NMRにより測定することができる。本発 で用いられるアルミノシリケートとしては アルミニウム全量に対する4配位アルミニウ ムの割合が50質量%以上のものが好ましく、70 量%以上のものがより好ましく、80質量%以上 のものがさらに好ましい。以下、アルミニウ ム全量に対する4配位アルミニウムの割合が50 質量%以上のアルミノシリケートを「結晶性 ルミノシリケート」という。

 結晶性アルミノシリケートとしては、い ゆるゼオライトを使用することができる。 ましい例としては、Y型ゼオライト、超安定 性Y型ゼオライト(USY型ゼオライト)、β型ゼオ イト、モルデナイト、ZSM-5などが挙げられ 中でもUSYゼオライトが特に好ましい。本発 では結晶性アルミノシリケートの1種類を単 で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて 用いてもよい。

 結晶性アルミノシリケートを含有する担 の調製方法としては、結晶性アルミノシリ ート及びバインダーの混合物を成型し、そ 成型体を焼成する方法が挙げられる。使用 るバインダーについては特に制限はないが アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、チタ ア、マグネシアが好ましく、中でもアルミ が特に好ましい。バインダーの使用割合は に制限されないが、通常、成型体全量基準 5~99質量%が好ましく、20~99質量%がより好ま い。結晶性アルミノシリケート及びバイン ーを含有する成型体の焼成温度は、430~470℃ 好ましく、440~460℃がより好ましく、445~455 がさらに好ましい。また、焼成時間は特に 限されないが、通常1分~24時間、好ましくは1 0分から20時間、より好ましくは30分~10時間で る。焼成は空気雰囲気下で行ってもよいが 窒素雰囲気下などの無酸素雰囲気下で行う とが好ましい。

 また、上記担体に担持される第VI属b金属 してはクロム、モリブデン、タングステン が、第VIII属金属としては、具体的には、コ バルト、ニッケル、ロジウム、パラジウム、 イリジウム、白金等がそれぞれ挙げられる。 これらの金属は、1種類を単独で用いてもよ 、あるいは2種類以上を組み合わせて用いて よい。2種類以上の金属を組み合わせる場合 、白金、パラジウム等の貴金属同士を組み合 わせてもよく、ニッケル、コバルト、タング ステン、モリブデン等の卑金属同士を組み合 わせてもよく、あるいは貴金属と卑金属とを 組み合わせてもよい。

 また、金属の担体への担持は、金属を含 溶液への担体の含浸、イオン交換等の情報 より行うことができる。金属の担持量は、 宜選択することができるが、触媒全量基準 、通常0.05~2質量%であり、好ましくは0.1~1質 %である。

 (水素化分解/水素化異性化工程)
 上記製造方法Bにおいては、上記触媒の存在 下、パラフィン系炭化水素を含有する原料油 を水素化分解/水素化異性化する。かかる水 化分解/水素化異性化工程は、固定床反応装 を用いて行うことができる。水素化分解/水 素化異性化の条件としては、例えば温度は250 ~400℃、水素圧は0.5~10MPa、原料油の液空間速 (LHSV)は0.5~10h -1 がそれぞれ好ましい。

 (蒸留分離工程)
 次いで、上記の水素化分解/水素化異性化工 程により得られる分解生成油から潤滑油留分 を蒸留分離する。なお、製造方法Bにおける 留分離工程は製造方法Aにおける蒸留分離工 と同様であるため、ここでは重複する説明 省略する。

 (脱ろう工程)
 次いで、上記の蒸留分離工程において分解 成油から分留した潤滑油留分を脱ろうする かかる脱ろう工程は、溶剤脱ろう又は接触 ろう等の従来公知の脱ろうプロセスを用い 行うことができる。ここで、分解/異性化生 成油中に存在する沸点370℃以下の物質が脱ろ うに先立ち高沸点物質から分離されていない 場合、分解/異性化生成油の用途に応じて、 水素化異性化物を脱ろうしてもよく、ある は沸点370℃以上の留分を脱ろうしてもよい

 溶剤脱ろうにおいては、水素化異性化物 冷却ケトン及びアセトン、並びにMEK、MIBKな どのその他の溶剤と接触させ、さらに冷却し て高流動点物質をワックス質固体として沈殿 させ、その沈殿をラフィネートである溶剤含 有潤滑油留分から分離する。さらに、ラフィ ネートをスクレープトサーフィス深冷器で冷 却してワックス固形分を除去することができ る。また、プロパン等の低分子量炭化水素類 も脱ろうに使用可能であるが、この場合は分 解/異性化生成油と低分子量炭化水素とを混 し、少なくともその一部を気化して分解/異 化生成油をさらに冷却してワックスを沈殿 せる。ワックスは、ろ過、メンブランまた 遠心分離等によりラフィネートから分離す 。その後、溶剤をラフィネートから除去し ラフィネートを分留して、目的の潤滑油基 を得ることができる。

 また、接触脱ろう(触媒脱ろう)の場合は 分解/異性化生成油を、適当な脱ろう触媒の 在下、流動点を下げるのに有効な条件で水 と反応させる。接触脱ろうでは、分解/異性 化生成物中の高沸点物質の一部を低沸点物質 へと転化させ、その低沸点物質をより重い基 油留分から分離し、基油留分を分留し、2種 上の潤滑油基油を得る。低沸点物質の分離 、目的の潤滑油基油を得る前に、あるいは 留中に行うことができる。

 脱ろう触媒としては、分解/異性化生成油 の流動点を低下させることが可能なものであ れば特に制限されないが、分解/異性化生成 から高収率で目的の潤滑油基油を得ること できるものが好ましい。このような脱ろう 媒としては、形状選択的分子篩(モレキュラ シーブ)が好ましく、具体的には、フェリエ ライト、モルデナイト、ZSM-5、ZSM-11、ZSM-23、Z SM-35、ZSM-22(シータワン又はTONとも呼ばれる) シリコアルミノホスフェート類(SAPO)などが げられる。これらのモレキュラーシーブは 触媒金属成分と組み合わせて使用すること 好ましく、貴金属と組み合わせることがよ 好ましい。好ましい組合せとしては、例え 白金とH-モルデナイトとを複合化したものが 挙げられる。

 脱ろう条件は特に制限されないが、温度は2 00~500℃が好ましく、水素圧は10~200バール(1MPa~ 20MPa)がそれぞれ好ましい。また、フロースル ー反応器の場合、H 2 処理速度は0.1~10kg/l/hrが好ましく、LHSVは0.1~10 -1 が好ましく、0.2~2.0h -1 がより好ましい。また、脱ろうは、分解/異 化生成油に含まれる、通常40質量%以下、好 しくは30質量%以下の、初留点が350~400℃であ 物質をこの初留点未満の沸点を有する物質 と転換するように行うことが好ましい。

 以上、本発明にかかる潤滑油基油の好ま い製造方法である製造方法A及び製造方法B ついて説明したが、本発明にかかる潤滑油 油の製造方法はこれらに限定されない。例 ば、上記製造方法Aにおいて、スラックワッ スの代わりにFTワックス、GTLワックス等の 成ワックスを用いてもよい。また、上記製 方法Bにおいて、スラックワックス(好ましく はスラックワックスA、B)を含有する原料油を 用いてもよい。さらに、製造方法A、Bのそれ れにおいて、スラックワックス(好ましくは スラックワックスA、B)と、合成ワックス(好 しくはFTワックス、GTLワックス)とを併用し もよい。

 なお、本発明にかかる潤滑油基油を製造 る際に使用される原料油が、上記のスラッ ワックス及び/又は合成ワックスと、これら のワックス以外の原料油との混合油である場 合、スラックワックス及び/又は合成ワック の含有量は原料油全量基準で50質量%以上で ることが好ましい。

 また、本発明にかかる潤滑油基油を製造 るための原料油としては、スラックワック 及び/又は合成ワックスを含有する原料油で あって、油分が好ましくは60質量%以下、より 好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは25 量%以下である原料油が好ましい。

 また、本発明にかかる潤滑油基油におけ 飽和分の含有量は、潤滑油基油全量を基準 して、前述の通り90質量%以上であり、好ま くは93質量%以上、より好ましくは95質量%以 であり、また、当該飽和分に占める環状飽 分の割合は、前述の通り40質量%以下であり 好ましくは0.1~40質量%、2~30質量%、より好ま くは5~25質量%、更に好ましくは10~21質量%で る。飽和分の含有量及び当該飽和分に占め 環状飽和分の割合がそれぞれ上記条件を満 し、更に粘度指数及びヨウ素価がそれぞれ 定条件を満たすことにより、粘度-温度特性 び熱・酸化安定性を達成することができ、 た、当該潤滑油基油に添加剤が配合された 合には、当該添加剤を潤滑油基油中に十分 安定的に溶解保持しつつ、当該添加剤の機 をより高水準で発現させることができる。 に、本発明によれば、潤滑油基油自体の摩 特性を改善することができ、その結果、摩 低減効果の向上、ひいては省エネルギー性 向上を達成することができる。

 なお、飽和分の含有量が90質量%未満であ と、粘度-温度特性、熱・酸化安定性及び摩 擦特性が不十分となる。また、飽和分に占め る環状飽和分の割合が40質量%を超えると、潤 滑油基油に添加剤が配合された場合に当該添 加剤の効き目が低下してしまう。更に、飽和 分に占める環状飽和分の割合が0.1質量%未満 あると、潤滑油基油に添加剤が配合された 合に、当該添加剤の溶解性が低下して潤滑 基油中に溶解保持される当該添加剤の有効 が低下し、当該添加剤の機能を有効に得る とができなくなる傾向にある。また、飽和 の含有量は100質量%でもよいが、製造コスト 低減及び添加剤の溶解性の向上の点から、 ましくは99.9質量%以下、より好ましくは99.5 量%以下、更に好ましくは99質量%以下、特に 好ましくは98.5質量%以下である。

 本発明にかかる潤滑油基油において、そ 飽和分に占める環状飽和分の割合が40質量% 下であることは、飽和分に占める非環状飽 分が60質量%以上であることと等価である。 こで、非環状飽和分には直鎖パラフィン分 び分枝パラフィン分の双方が包含される。 発明にかかる潤滑油基油に占める各パラフ ン分の割合は特に制限されないが、分枝パ フィン分の割合は、潤滑油基油全量基準で 好ましくは55~99質量%、より好ましくは57.5~96 質量%、更に好ましくは60~95質量%、一層好ま くは70~92質量%、特に好ましくは80~90質量%で る。潤滑油基油に占める分枝パラフィン分 割合が前記条件を満たすことにより、粘度- 度特性及び熱・酸化安定性をより向上させ ことができ、また、当該潤滑油基油に添加 が配合された場合には、当該添加剤を十分 安定的に溶解保持しつつ、当該添加剤の機 を一層高水準で発現させることができる。 た、潤滑油基油に占める直鎖パラフィン分 割合は、潤滑油基油全量基準で、好ましく 1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、 らに好ましくは0.2質量%以下である。直鎖パ ラフィン分の割合が上記条件を満たすことで 、より低温粘度特性に優れた潤滑油基油を得 ることができる。

 また、本発明にかかる潤滑油基油におい 、飽和分に占める1環飽和分及び2環以上の 和分の含有量はそれらの合計が40質量%以下 ある限りにおいて特に制限されないが、飽 分に占める2環以上の飽和分の割合は、0.1質 %以上であることが好ましく、1質量%以上で ることがより好ましく、3質量%以上である とがさらに好ましく、5質量%以上であること が特に好ましく、また、40質量%以下であるこ とが好ましく、20質量%以下であることがより 好ましく、15質量%以下であることが更に好ま しく、11質量%以下であることが特に好ましい 。また、飽和分に占める1環飽和分の割合は0 量%であってもよいが、好ましくは1質量%以 、より好ましくは2質量%以上、更に好まし は3質量%以上、特に好ましくは4質量%以上で り、また、好ましくは40質量%以下、より好 しくは20質量%以下、更に好ましくは15質量% 下、特に好ましくは11質量%以下である。

 また、本発明にかかる潤滑油基油において 環状飽和分に含まれる1環飽和分の質量(M A )と2環以上の飽和分の質量(M B )との比(M A /M B )は、好ましくは20以下、より好ましくは3以 、更に好ましくは2以下、特に好ましくは1以 下である。また、M A /M B は0であってもよいが、好ましくは0.1以上、 り好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.5以 である。M A /M B が上記条件を満たすことにより、粘度-温度 性と熱・酸化安定性とを一層高水準で両立 ることができる。

 また、本発明にかかる潤滑油基油において 環状飽和分に含まれる1環飽和分の質量(M A )と2環飽和分の質量(M c )との比(M A /M c )は、好ましくは3以下、より好ましくは1.5以 、更に好ましくは1.3以下、特に好ましくは1 .2以下である。また、M A /M c は0であってもよいが、好ましくは0.1以上、 り好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.5以 である。M A /M c が上記条件を満たすことにより、粘度-温度 性と熱・酸化安定性とを一層高水準で両立 ることができる。

 なお、本発明でいう飽和分の含有量とは ASTM D 2007-93に準拠して測定される値(単位: 量%)を意味する。

 また、本発明でいう飽和分に占める環状 和分、1環飽和分、2環以上の飽和分及び非 状飽和分の割合とは、それぞれASTM D 2786-91 準拠して測定されるナフテン分(測定対象:1 ~6環ナフテン、単位:質量%)及びアルカン分( 位:質量%)を意味する。

 また、本発明でいう潤滑油基油中の直鎖パ フィン分とは、前記ASTM D 2007-93に記載され た方法により分離・分取された飽和分につい て、以下の条件でガスクロマトグラフィ分析 を行い、当該飽和分に占める直鎖パラフィン 分を同定・定量したときの測定値を、潤滑油 基油全量を基準として換算した値を意味する 。なお、同定・定量の際には、標準試料とし て炭素数5~50の直鎖パラフィンの混合試料が いられ、飽和分に占める直鎖パラフィン分 、クロマトグラムの全ピーク面積値(希釈剤 由来するピークの面積値を除く)に対する各 直鎖パラフィンに相当に相当するピーク面積 値の合計の割合として求められる。
(ガスクロマトグラフィ条件)
カラム:液相無極性カラム(長さ25mm、内径0.3mm 、液相膜厚さ0.1μm)昇温条件:50℃~400℃(昇温 度:10℃/min)
キャリアガス:ヘリウム(線速度:40cm/min)
スプリット比:90/1
試料注入量:0.5μL(二硫化炭素で20倍に希釈し 試料の注入量)

 また、潤滑油基油中の分枝パラフィン分 割合とは、前記飽和分に占める非環状飽和 と前記飽和分に占める直鎖パラフィン分と 差を、潤滑油基油全量を基準として換算し 値を意味する。

 なお、飽和分の分離方法、あるいは環状飽 分、非環状飽和分等の組成分析の際には、 様の結果が得られる類似の方法を使用する とができる。例えば、上記の他、ASTM
 D 2425-93に記載の方法、ASTM D 2549-91に記載 方法、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)によ 方法、あるいはこれらの方法を改良した方 等を挙げることができる。

 また、本発明にかかる潤滑油基油におけ 芳香族分は、飽和分の含有量及び当該飽和 に占める環状飽和分の割合、並びに粘度指 及びヨウ素価が上記条件を満たすものであ ば特に制限されないが、潤滑油基油全量を 準として、好ましくは7質量%以下、より好 しくは5質量%以下、さらに好ましくは4質量% 下、特に好ましくは3質量%以下であり、ま 、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0 .5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、特 好ましくは1.5質量%以上である。芳香族分の 含有量が上記上限値を超えると、粘度-温度 性、熱・酸化安定性及び摩擦特性、更には 発防止性及び低温粘度特性が低下する傾向 あり、更に、潤滑油基油に添加剤が配合さ た場合に当該添加剤の効き目が低下する傾 にある。また、本発明にかかる潤滑油基油 芳香族分を含有しないものであってもよい 、芳香族分の含有量を上記下限値以上とす ことにより、添加剤の溶解性を更に高める とができる。

 なお、本発明でいう芳香族分とは、ASTM D  2007-93に準拠して測定された値を意味する。 芳香族分には、通常、アルキルベンゼン、ア ルキルナフタレンの他、アントラセン、フェ ナントレン及びこれらのアルキル化物、更に はベンゼン環が四環以上縮合した化合物、ピ リジン類、キノリン類、フェノール類、ナフ トール類等のヘテロ原子を有する芳香族化合 物などが含まれる。

 また、本発明にかかる潤滑油基油の粘度 数は、前述の通り110以上である。粘度指数 前記下限値未満であると、粘度-温度特性及 び熱・酸化安定性、更には揮発防止性が低下 する傾向にある。なお、本発明にかかる潤滑 油基油の粘度指数の好ましい範囲は潤滑油基 油の粘度グレードによるため、その詳細につ いては後述する。

 また、本発明にかかる潤滑油基油のヨウ 価は、前述の通り2.5であり、好ましくは1.5 下、より好ましくは1以下、更に好ましくは 0.8以下であり、また、0.01未満であってもよ が、それに見合うだけの効果が小さい点及 経済性との関係から、好ましくは0.01以上、 り好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.5 上である。潤滑油基油のヨウ素価を2.5以下 することで、熱・酸化安定性を飛躍的に向 させることができる。なお、本発明でいう ヨウ素価」とは、JIS K 0070「化学製品の酸 、ケン化価、ヨウ素価、水酸基価及び不ケ 化価」の指示薬滴定法により測定したヨウ 価を意味する。

 本発明にかかる潤滑油基油のその他の性 は、飽和分の含有量及び当該飽和分に占め 環状飽和分の割合、並びに粘度指数及びヨ 素価が上記条件を満たすものであれば特に 限されないが、本発明の潤滑油は以下に示 各種性状を有することが好ましい。

 本発明にかかる潤滑油基油は、下記式(2)で される条件を満たすことが好ましい。
1.435≦n 20 -0.002×kv100≦1.453  (2)
[式中、n 20 は潤滑油基油の20℃における屈折率を示し、k v100は潤滑油基油の100℃における動粘度(mm 2 /s)を示す。]

 更に、本発明にかかる潤滑油基油が飽和分 95質量%以上含有し、且つ該飽和分に占める 状飽和分の割合が0.1~15質量%、好ましくは1~1 0質量%である潤滑油である場合、n 20 -0.002×kv100は、好ましくは1.435~1.450、より好ま しくは1.440~1.449、更に好ましくは1.442~1.448、 に好ましくは1.444~1.447である。このような性 状を有する潤滑油基油を製造するには、水素 化分解及び/又は水素化異性化工程に導入す 原料として、前記した合成ワックス及び/又 スラックワックスを主成分とする原料を使 することが好ましく、前記した合成ワック 及び/又はスラックワックスAを主成分とす 原料を使用することがより好ましい。また この場合、前記した潤滑油基油に占める分 パラフィンの割合は、より好ましくは95~99質 量%、さらに好ましくは97~99質量%であり、前 したスラックワックスAを原料として得られ 潤滑油基油の場合、潤滑油基油に占める分 パラフィンの割合は、より好ましくは82~98 量%、さらに好ましくは90~95質量%である。

 また、本発明にかかる潤滑油基油が飽和分 90質量%以上含有し、且つ該飽和分に占める 状飽和分の割合が5~40質量%、好ましくは10~25 質量%である潤滑油基油である場合、n 20 -0.002×kv100は、1.435~1.453であり、好ましくは1.4 40~1.452、より好ましくは1.442~1.451、更に好ま くは1.444~1.450である。このような性状を有す る潤滑油基油を製造するには、水素化分解及 び/又は水素化異性化工程に導入する原料と て、前記した合成ワックス及び/又はスラッ ワックスを主成分とする原料を使用するこ が好ましく、前記したスラックワックスBを 主成分とする原料を使用することがより好ま しい。また、この場合、前記した潤滑油基油 に占める分枝パラフィンの割合は、より好ま しくは54~95質量%、さらに好ましくは58~92質量% 、さらに好ましくは70~90質量%、特に好ましく は80~90質量%である。

 n 20 -0.002×kv100を前記範囲内とすることにより、 度-温度特性及び熱・酸化安定性を一層高水 で両立することができ、また、当該潤滑油 油に添加剤が配合された場合には、当該添 剤を潤滑油基油中に十分に安定的に溶解保 しつつ、当該添加剤の機能をより高水準で 現させることができる。更に、n 20 -0.002×kv100を前記範囲内とすることにより、 滑油基油自体の摩擦特性を改善することが き、その結果、摩擦低減効果の向上、ひい は省エネルギー性の向上を達成することが きる。

 なお、n 20 -0.002×kv100が前記上限値を超えると、粘度-温 特性、熱・酸化安定性及び摩擦特性が不十 となり、更には、潤滑油基油に添加剤が配 された場合に当該添加剤の効き目が低下す 傾向にある。また、n 20 -0.002×kv100が前記下限値未満であると、潤滑 基油に添加剤が配合された場合に、当該添 剤の溶解性が不十分となり、潤滑油基油中 溶解保持される当該添加剤の有効量が低下 るため、当該添加剤の機能を有効に得るこ ができなくなる傾向にある。

 なお、本発明でいう20℃における屈折率(n 20 )とは、ASTM D1218-92に準拠して20℃において測 される屈折率を意味する。また、本発明で う100℃における動粘度(kv100)とは、JIS K 2283 -1993に準拠して100℃において測定される動粘 を意味する。

 また、本発明にかかる潤滑油基油の%C p は、好ましくは80以上、より好ましくは82~99 更に好ましくは85~95、特に好ましくは87~93で る。潤滑油基油の%C p が上記下限値未満の場合、粘度-温度特性、 ・酸化安定性及び摩擦特性が低下する傾向 あり、更に、潤滑油基油に添加剤が配合さ た場合に当該添加剤の効き目が低下する傾 にある。また、潤滑油基油の%C p が上記上限値を超えると、添加剤の溶解性が 低下する傾向にある。

 また、本発明にかかる潤滑油基油の%C N は、好ましくは3~19、より好ましくは5~15、更 好ましくは7~13、特に好ましくは7.5~12である 。潤滑油基油の%C N が上記上限値を超えると、粘度-温度特性、 ・酸化安定性及び摩擦特性が低下する傾向 ある。また、%C N が上記下限値未満であると、添加剤の溶解性 が低下する傾向にある。

 また、本発明にかかる潤滑油基油の%C A は、好ましくは5以下、より好ましくは2以下 より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1以 下である。潤滑油基油の%C A が上記上限値を超えると、粘度-温度特性、 ・酸化安定性及び摩擦特性が低下する傾向 ある。また、本発明にかかる潤滑油基油の%C A は0であってもよいが、%C A を0.1以上とすることにより、添加剤の溶解性 を更に高めることができる。

 更に、本発明にかかる潤滑油基油における% C P と%C N との比率は、%C P /%C N が5以上であることが好ましく、6以上である とがより好ましく、7以上であることが更に 好ましい。%C P /%C N が上記下限値未満であると、粘度-温度特性 熱・酸化安定性及び摩擦特性が低下する傾 にあり、更に、潤滑油基油に添加剤が配合 れた場合に当該添加剤の効き目が低下する 向にある。また、%C P /%C N は、35以下であることが好ましく、20以下で ることがより好ましく、14以下であることが さらに好ましく、13以下であることが特に好 しい。%C P /%C N を上記上限値以下とすることにより、添加剤 の溶解性を更に高めることができる。

 なお、本発明でいう%C P 、%C N 及び%C A とは、それぞれASTM D 3238-85に準拠した方法(n -d-M環分析)により求められる、パラフィン炭 数の全炭素数に対する百分率、ナフテン炭 数の全炭素数に対する百分率、及び芳香族 素数の全炭素数に対する百分率を意味する つまり、上述した%C P 、%C N 及び%C A の好ましい範囲は上記方法により求められる 値に基づくものであり、例えばナフテン分を 含まない潤滑油基油であっても、上記方法に より求められる%C N が0を超える値を示すことがある。

 また、本発明にかかる潤滑油基油におけ 硫黄分の含有量は、その原料の硫黄分の含 量に依存する。例えば、フィッシャートロ シュ反応等により得られる合成ワックス成 のように実質的に硫黄を含まない原料を用 る場合には、実質的に硫黄を含まない潤滑 基油を得ることができる。また、潤滑油基 の精製過程で得られるスラックワックスや ろう過程で得られるマイクロワックス等の 黄を含む原料を用いる場合には、得られる 滑油基油中の硫黄分は通常100質量ppm以上と る。本発明にかかる潤滑油基油においては 熱・酸化安定性の更なる向上及び低硫黄化 点から、硫黄分の含有量が100質量ppm以下で ることが好ましく、50質量ppm以下であるこ がより好ましく、10質量ppm以下であることが 更に好ましく、5質量ppm以下であることが特 好ましい。

 また、コスト低減の点からは、原料とし スラックワックス等を使用することが好ま く、その場合、得られる潤滑油基油中の硫 分は50質量ppm以下が好ましく、10質量ppm以下 であることがより好ましい。なお、本発明で いう硫黄分とは、JIS K 2541-1996に準拠して測 される硫黄分を意味する。

 また、本発明にかかる潤滑油基油におけ 窒素分の含有量は、特に制限されないが、 ましくは5質量ppm以下、より好ましくは3質 ppm以下、更に好ましくは1質量ppm以下である 窒素分の含有量が5質量ppmを超えると、熱・ 酸化安定性が低下する傾向にある。なお、本 発明でいう窒素分とは、JIS K 2609-1990に準拠 て測定される窒素分を意味する。

 また、本発明にかかる潤滑油基油の動粘度 、飽和分の含有量及び当該飽和分に占める 状飽和分の割合、並びに粘度指数及びヨウ 価がそれぞれ上記条件を満たす限りにおい 特に制限されないが、その100℃における動 度は、好ましくは1.5~20mm 2 /s、より好ましくは2.0~11mm 2 /sである。潤滑油基油の100℃における動粘度 1.5mm 2 /s未満の場合、蒸発損失の点で好ましくない また、100℃における動粘度が20mm 2 /sを超える潤滑油基油を得ようとする場合、 の収率が低くなり、原料として重質ワック を用いる場合であっても分解率を高めるこ が困難となるため好ましくない。

 本発明においては、100℃における動粘度が 記の範囲にある潤滑油基油(I)を蒸留等によ 分取し、使用することが好ましい。
(I)100℃における動粘度が1.5mm 2 /s以上3.5mm 2 /s未満、より好ましくは2.0~3.0mm 2 /sの潤滑油基油。

 また、本発明にかかる潤滑油基油の40℃に ける動粘度は、好ましくは6.0~80mm 2 /s、より好ましくは8.0~50mm 2 /sである。本発明においては、40℃における 粘度が下記の範囲にある潤滑油留分(II)を蒸 等により分取し、使用することが好ましい
(II)40℃における動粘度が6.0mm 2 /s以上12mm 2 /s未満、より好ましくは8.0~12mm 2 /sの潤滑油基油。

 上記潤滑油基油(I)及び(II)は、飽和分の含 有量及び当該飽和分に占める環状飽和分の割 合、並びに粘度指数及びヨウ素価がそれぞれ 上記条件を満たすことで、粘度グレードが同 じ従来の潤滑油基油と比較して、特に、低温 粘度特性に優れ、粘性抵抗や撹拌抵抗を著し く低減することができる。また、流動点降下 剤を配合することにより、-40℃におけるBF粘 を2000mPa・s以下とすることができる。なお -40℃におけるBF粘度とは、JPI-5S-26-99に準拠し て測定された粘度を意味する。

 本発明にかかる潤滑油基油の粘度指数は 潤滑油基油の粘度グレードにもよるが、上 潤滑油基油(I)の粘度指数を110以上とするこ ができる。上記潤滑油(I)及び(II)の粘度指数 は、好ましくは110~135である。粘度指数が前 下限値未満であると、粘度-温度特性、更に 揮発防止性が低下する傾向にある。また、 度指数が前記上限値を超えると、低温粘度 性が低下する傾向にある。

 なお、本発明でいう粘度指数とは、JIS K 2283-1993に準拠して測定された粘度指数を意 する。

 また、本発明にかかる潤滑油基油の20℃ おける屈折率は、潤滑油基油の粘度グレー にもよるが、例えば、上記潤滑油基油(I)及 (II)の20℃における屈折率は、好ましくは1.440 ~1.461、より好ましくは1.442~1.460、更に好まし は1.445~1.459である。屈折率が前記上限値を えると、その潤滑油基油の粘度-温度特性及 熱・酸化安定性、更には揮発防止性及び低 粘度特性が低下する傾向にあり、また、当 潤滑油基油に添加剤が配合された場合に当 添加剤の効き目が低下する傾向にある。

 また、本発明にかかる潤滑油基油の流動 は、潤滑油基油の粘度グレードにもよるが 例えば、上記潤滑油基油(I)及び(II)の流動点 は、好ましくは-10℃以下、より好ましくは-12 .5℃以下、更に好ましくは-15℃以下である。 動点が前記上限値を超えると、その潤滑油 油を用いた潤滑油全体の低温流動性が低下 る傾向にある。なお、本発明でいう流動点 は、JIS K 2269-1987に準拠して測定された流 点を意味する。

 また、本発明にかかる潤滑油基油の15℃に ける密度(ρ 15 、単位:g/cm 3 )は、潤滑油基油の粘度グレードによるが、 記式(3)で表されるρの値以下であること、す なわちρ 15 ≦ρであることが好ましい。
ρ=0.0025×kv100+0.820  (3)
[式中、kv100は潤滑油基油の100℃における動粘 度(mm 2 /s)を示す。]

 なお、ρ 15 >ρとなる場合、粘度-温度特性及び熱・酸 安定性、更には揮発防止性及び低温粘度特 が低下する傾向にあり、また、潤滑油基油 添加剤が配合された場合に当該添加剤の効 目が低下する傾向にある。

 例えば、上記潤滑油基油(I)及び(II)のρ 15 は、好ましくは0.825g/cm 3 以下、より好ましくは0.820g/cm 3 以下である。

 なお、本発明でいう15℃における密度と 、JIS K 2249-1995に準拠して15℃において測定 れた密度を意味する。

 また、本発明にかかる潤滑油基油のアニリ 点(AP(℃))は、潤滑油基油の粘度グレードに るが、下記式(4)で表されるAの値以上である こと、すなわちAP≧Aであることが好ましい。
A=4.1×kv100+97  (4)
[式中、kv100は潤滑油基油の100℃における動粘 度(mm 2 /s)を示す。]

 なお、AP<Aとなる場合、粘度-温度特性 び熱・酸化安定性、更には揮発防止性及び 温粘度特性が低下する傾向にあり、また、 滑油基油に添加剤が配合された場合に当該 加剤の効き目が低下する傾向にある。

 例えば、上記潤滑油基油(I)及び(II)のAPは 好ましくは108℃以上、より好ましくは110℃ 上、更に好ましくは112℃以上である。なお 本発明でいうアニリン点とは、JIS K 2256-198 5に準拠して測定されたアニリン点を意味す 。

 また、本発明にかかる潤滑油基油の蒸留 状は、ガスクロマトグラフィ蒸留で、初留 (IBP)が290~440℃、終点(FBP)が430~580℃であるこ が好ましく、かかる蒸留範囲にある留分か 選ばれる1種又は2種以上の留分を精留する とにより、上述した好ましい粘度範囲を有 る潤滑油基油(I)及び(II)を得ることができる

 例えば、上記潤滑油基油(I)及び(II)の蒸留 性状に関し、その初留点(IBP)は、好ましくは2 60~360℃、より好ましくは300~350℃、更に好ま くは310~350℃である。また、10%留出温度(T10) 、好ましくは320~400℃、より好ましくは340~390 ℃、更に好ましくは350~380℃である。また、50 %留出点(T50)は、好ましくは350~430℃、より好 しくは360~410℃、更に好ましくは370~400℃であ る。また、90%留出点(T90)は、好ましくは380~460 ℃、より好ましくは390~450℃、更に好ましく 400~440℃である。また、終点(FBP)は、好まし は420~520℃、より好ましくは430~500℃、更に好 ましくは440~480℃である。また、T90-T10は、好 しくは50~100℃、より好ましくは55~85℃、更 好ましくは60~70℃である。また、FBP-IBPは、 ましくは100~250℃、より好ましくは110~220℃、 更に好ましくは120~200℃である。また、T10-IBP 、好ましくは10~80℃、より好ましくは15~60℃ 、更に好ましくは20~50℃である。また、FBP-T90 は、好ましくは10~80℃、より好ましくは15~70 、更に好ましくは20~60℃である。

 潤滑油基油(I)及び(II)において、IBP、T10、 T50、T90、FBP、T90-T10、FBP-IBP、T10-IBP、FBP-T90を 記の好ましい範囲に設定することで、低温 度の更なる改善と、蒸発損失の更なる低減 が可能となる。なお、T90-T10、FBP-IBP、T10-IBP びFBP-T90のそれぞれについては、それらの蒸 範囲を狭くしすぎると、潤滑油基油の収率 悪化し、経済性の点で好ましくない。

 なお、本発明でいう、IBP、T10、T50、T90及 FBPとは、それぞれASTM D 2887-97に準拠して測 定される留出点を意味する。

 また、本発明にかかる潤滑油基油におけ 残存金属分は、製造プロセス上余儀なく混 する触媒や原料に含まれる金属分に由来す ものであるが、かかる残存金属分は十分除 されることが好ましい。例えば、Al、Mo、Ni 含有量は、それぞれ1質量ppm以下であること が好ましい。これらの金属分の含有量が上記 上限値を超えると、潤滑油基油に配合される 添加剤の機能が阻害される傾向にある。

 なお、本発明でいう残存金属分とは、JPI- 5S-38-2003に準拠して測定される金属分を意味 る。

 また、本発明にかかる潤滑油基油によれ 、飽和分の含有量及び当該飽和分に占める 状飽和分の割合、並びに粘度指数及びヨウ 価がそれぞれ上記条件を満たすことにより 優れた熱・酸化安定性を達成することがで るが、その動粘度に応じて以下に示すRBOT寿 命を示すことが好ましい。例えば、上記潤滑 油基油(I)及び(II)のRBOT寿命は、好ましくは300m in以上、より好ましくは320min以上、更に好ま くは330min以上である。RBOT寿命がそれぞれ前 記下限値未満の場合、潤滑油基油の粘度-温 特性及び熱・酸化安定性が低下する傾向に り、更に、潤滑油基油に添加剤が配合され 場合には当該添加剤の効き目が低下する傾 にある。

 なお、本発明でいうRBOT寿命とは、潤滑油 基油にフェノール系酸化防止剤(2,6-ジ-tert-ブ ル-p-クレゾール;DBPC)を0.2質量%添加した組成 物について、JIS K 2514-1996に準拠して測定さ たRBOT値を意味する。

 上記構成を有する本発明にかかる潤滑油 油は、粘度-温度特性に優れ、緩衝器の性能 向上に有効である。

 本発明にかかる潤滑油基油を本発明の緩 器用作動油組成物の基油として用いる場合 本発明にかかる潤滑油基油を単独で用いて よく、また、本発明にかかる潤滑油基油を の基油の1種又は2種以上と併用してもよい なお、本発明にかかる潤滑油基油と他の基 とを併用する場合、それらの混合基油中に める本発明にかかる潤滑油基油の割合は、30 質量%以上であることが好ましく、50質量%以 であることがより好ましく、70質量%以上で ることが更に好ましい。

 本発明にかかる潤滑油基油と併用される他 基油としては、特に制限されないが、鉱油 基油としては、例えば100℃における動粘度 1~100mm 2 /sの溶剤精製鉱油、水素化分解鉱油、水素化 製鉱油、溶剤脱ろう基油などが挙げられる

 また、合成系基油としては、ポリα-オレ ィン又はその水素化物、イソブテンオリゴ ー又はその水素化物、イソパラフィン、ア キルベンゼン、アルキルナフタレン、ジエ テル(ジトリデシルグルタレート、ジ-2-エチ ルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペ ート、ジトリデシルアジペート、ジ-2-エチル ヘキシルセバケート等)、ポリオールエステ (トリメチロールプロパンカプリレート、ト メチロールプロパンペラルゴネート、ペン エリスリトール2-エチルヘキサノエート、 ンタエリスリトールペラルゴネート等)、ポ オキシアルキレングリコール、ジアルキル フェニルエーテル、ポリフェニルエーテル が挙げられ、中でも、ポリα-オレフィンが ましい。ポリα-オレフィンとしては、典型 には、炭素数2~32、好ましくは6~16のα-オレ ィンのオリゴマー又はコオリゴマー(1-オク ンオリゴマー、デセンオリゴマー、エチレ -プロピレンコオリゴマー等)及びそれらの水 素化物が挙げられる。

 ポリα-オレフィンの製法は特に制限され いが、例えば、三塩化アルミニウム又は三 ッ化ホウ素と、水、アルコール(エタノール 、プロパノール、ブタノール等)、カルボン またはエステルとの錯体を含むフリーデル クラフツ触媒のような重合触媒の存在下、α -オレフィンを重合する方法が挙げられる。

 また、本発明の緩衝器用作動油組成物は 粘度指数向上剤を含有する。粘度指数向上 としては、潤滑油の粘度指数向上剤として 常用いられる任意の化合物が使用可能であ 、例えば、各種メタクリル酸エステルから ばれる1種又は2種以上のモノマーの重合体 は共重合体若しくはその水添物などのいわ る非分散型粘度指数向上剤、又はさらに窒 化合物を含む各種メタクリル酸エステルを 重合させたいわゆる分散型粘度指数向上剤 非分散型又は分散型エチレン-α-オレフィン 重合体(α-オレフィンとしてはプロピレン、 1-ブテン、1-ペンテン等が例示できる。)若し はその水素化物、ポリイソブチレン若しく その水添物、スチレン-ジエン共重合体の水 素化物、スチレン-無水マレイン酸エステル 重合体及びポリアルキルスチレン等が挙げ れる。

 粘度指数向上剤の重量平均分子量は、例 ば分散型及び非分散型ポリメタクリレート 場合では、通常5,000~1,000,000、好ましくは100, 000~900,000のものが、ポリイソブチレン又はそ 水素化物の場合は通常800~500,000、好ましく 1,000~400,000のものが、エチレン-α-オレフィン 共重合体又はその水素化物の場合は通常800~50 0,000、好ましくは3,000~200,000のものが用いられ る。

 上記粘度指数向上剤の中から任意に選ば た1種類あるいは2種類以上の化合物を任意 量で含有させることができる。

 上記の粘度指数向上剤の中では、粘度指 向上効果及び低温粘度特性の改善効果に優 る点で、ポリメタクリレート系粘度指数向 剤を用いることが好ましい。また、ポリメ クリレート系粘度指数向上剤の重量平均分 量は、好ましくは1万~30万、より好ましくは 4万~25万、更に好ましくは10万~20万である。ポ リメタクリレート系粘度指数向上剤の重量平 均分子量を前記下限値以上とすることにより 、より高い粘度指数向上効果及び低温粘度特 性の改善効果を得ることができ、また、前記 上限値以下とすることによってせん断安定性 に優れた組成物を得ることができる。

 本発明の緩衝器用作動油組成物において 粘度指数向上剤の含有量は、通常組成物基 で0.1~20質量%であるが、本発明においては、 組成物全量基準で、粘度指数向上剤に含まれ るポリマー量として、2.5質量%以下であり、 ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1.5質 量%以下、特に好ましくは1質量%以下であり、 好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1 量%以上である。粘度指数向上剤に含まれる ポリマー量として、2.5質量%以下とすること せん断安定性により優れた組成物を得るこ ができ、0.01質量%以上とすることで、低温粘 度特性改善効果がより高まる。

 また、本発明の緩衝器用作動油組成物は 上記の粘度指数向上剤に加えて任意の潤滑 添加剤を更に含有することができる。かか 潤滑油添加剤としては、具体的には、酸化 止剤、無灰分散剤、極圧剤又は摩耗防止剤 摩擦調整剤、流動点降下剤、金属不活性化 、消泡剤、金属系清浄剤、腐食防止剤、防 剤、抗乳化剤、シール膨潤剤、着色剤など 挙げられる。これらの添加剤は、1種を単独 で用いてもよく、また、2種以上を組み合わ て用いてもよい。

 酸化防止剤としては、潤滑油の酸化防止 として通常用いられる任意の化合物が使用 能であり、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレ ゾール、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチル フェノール)、オクチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3-メチ ル-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル置換脂 酸エステル類等のフェノール系酸化防止剤 フェニル-α-ナフチルアミン、アルキルフェ ニル-α-ナフチルアミン、ジアルキルジフェ ルアミン等のアミン系酸化防止剤等が挙げ れる。

 これらの酸化防止剤は、組成物全量基準 、通常0.01~5質量%の範囲で本発明の組成物に 含有させることが可能である。

 無灰分散剤としては、潤滑油の無灰分散 として通常用いられる任意の化合物が使用 能であり、例えば、炭素数40~400のアルキル 又はアルケニル基を有するコハク酸イミド ベンジルアミン、ポリアミン等及びそれら ホウ素化合物、リン化合物、硫黄化合物、 酸素有機化合物等により変性された誘導体 が挙げられる。本発明においては、数平均 子量が700~2500、好ましくは900~1500のアルキル 基又はアルケニル基を少なくとも1つ有する ハク酸イミド、中でもビスタイプの該コハ 酸イミドを含有することが望ましい。

 これら無灰分散剤は、組成物全量基準で 通常0.01~20質量%の範囲で本発明の組成物に 有させることが可能であるが、本発明にお ては、好ましくは0.01~5質量%、より好ましく 1質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以下で る。

 摩耗防止剤としては、潤滑油の摩耗防止剤 して通常用いられる任意の化合物が使用可 であり、例えば、リン及び/又は硫黄含有摩 耗防止剤等が挙げられ、例えば、(チオ)リン エステル類、(チオ)亜リン酸エステル類、 れらの誘導体、これら金属塩、これらのア ン塩、及びジスルフィド類、硫化オレフィ 類、硫化油脂類、ジチオカーバメート、ジ オカルバミン酸亜鉛等の硫黄含有化合物等 挙げられる。本発明においては、ジアルキ ジチオリン酸亜鉛、炭素数1~30、好ましくは 素数4~24、より好ましくは炭素数8~20のアル ル基又はアルケニル基を有する亜リン酸エ テル及び/又はリン酸エステルを含有させる とが望ましく、炭素数8~20のアルキル基又は アルケニル基を有する亜リン酸エステル(例 ばジ(2-エチルヘキシル)ハイドロジェンホス ァイトやジオレイルハイドロジェンホスフ イト等)を含有させることが特に望ましい。
これらの摩耗防止剤は、組成物全量基準で、 通常0.01~5質量%の範囲で本発明の組成物に含 させることが可能である。

 摩擦調整剤としては、潤滑油用の摩擦調 剤として通常用いられる任意の化合物が使 可能であり、例えば、炭素数6~30のアルキル 基又はアルケニル基、特に炭素数6~30の直鎖 ルキル基又は直鎖アルケニル基を分子中に なくとも1個有する、脂肪族アルコール、脂 族エーテル、脂肪族アミン、脂肪酸、脂肪 エステル、サルコシン類等の窒素を含む脂 酸及びこれらの誘導体等の摩擦調整剤等が げられる。本発明においては、炭素数12~20 アルキル基又はアルケニル基を有する脂肪 又はその誘導体を含有することが好ましく 該脂肪酸と多価アルコールとのエステル(例 ばグリセリンオレエート等)を含有すること が特に望ましい。これらの摩擦調整剤は、通 常組成物基準で0.01~5質量%の範囲で含有させ ことが可能である。

 流動点降下剤としては、潤滑油の流動性 上剤として通常用いられる任意の化合物が 用可能であり、例えば、ポリメタクリレー 系流動性向上剤等が挙げられる。

 金属不活性化剤としては、イミダゾリン ピリミジン誘導体、アルキルチアジアゾー 、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾト アゾール又はその誘導体、1,3,4-チアジアゾ ルポリスルフィド、1,3,4-チアジアゾリル-2,5 -ビスジアルキルジチオカーバメート、2-(ア キルジチオ)ベンゾイミダゾール、及びβ-(o- ルボキシベンジルチオ)プロピオンニトリル 等が挙げられる。

 消泡剤としては、例えば、シリコーン、 ルオロシリコーン、及びフルオロアルキル ーテル等が挙げられる。

 金属系清浄剤としては、アルカリ金属又 アルカリ土類金属のスルホネート、フィネ ト、サリシレート及びホスホネート等が挙 られる。

 腐食防止剤としては、例えば、ベンゾト アゾール系、トリルトリアゾール系、チア アゾール系、及びイミダゾール系化合物等 挙げられる。

 防錆剤としては、例えば、石油スルホネ ト、アルキルベンゼンスルホネート、ジノ ルナフタレンスルホネート、アルケニルコ ク酸エステル、及び多価アルコールエステ 等が挙げられる。

 抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシ チレンアルキルエーテル、ポリオキシエチ ンアルキルフェニルエーテル、及びポリオ シエチレンアルキルナフチルエーテル等の リアルキレングリコール系非イオン系界面 性剤等が挙げられる。

 これらの添加剤を本発明の緩衝器用作動 組成物に含有させる場合には、その含有量 組成物全量基準で、流動点降下剤、金属系 浄剤、腐食防止剤、防錆剤、抗乳化剤では れぞれ0.005~5質量%、金属不活性化剤では0.005 ~1質量%、消泡剤では0.0005~1質量%の範囲で通常 選ばれる。

 本発明の緩衝器用作動油組成物の動粘度は 特に制限はないが、40℃における動粘度は 通常3~60mm 2 /s、好ましくは6~20mm 2 /s、特に好ましくは8~15mm 2 /sである。

 本発明の緩衝器用作動油組成物の-40℃に けるブルックフィールド粘度は、この温度 おいても十分な緩衝作用や減衰力が得られ ために、好ましくは2000mPa・s以下であり、 り好ましくは1700mPa・s以下であり、さらに好 ましくは1400mPa・s以下であり、特に好ましく 1200mPa・s以下である。

 本発明の緩衝器用作動油組成物において 、石油学会法JPI-5S-29-06の条件でせん断した き、せん断前の100℃における動粘度に対す せん断後の100℃における動粘度の低下率が 10%以下であることが好ましく、8%以下であ ことがより好ましく、6%以下であることが更 に好ましい。なお、ここでいうせん断後の動 粘度の低下率は、せん断前の100℃における動 粘度とせん断後の100℃における動粘度との差 をせん断前の100℃における動粘度で除した値 に100を乗じることによって求められる。

 以下、実施例及び比較例に基づき本発明 更に具体的に説明するが、本発明は以下の 施例に何ら限定されるものではない。

 [潤滑油基油D1の製造]
 溶剤精製基油を精製する工程において減圧 留で分離した留分を、フルフラールで溶剤 出した後で水素化処理し、次いで、メチル チルケトン-トルエン混合溶剤で溶剤脱ろう した。かかる溶剤脱ろうの際に除去されたス ラックワックスをさらに脱油して得られたワ ックス分(以下、「WAX1」という。)を、潤滑油 基油の原料として用いた。WAX1の性状を表1に す。

 次に、水素化分解触媒の存在下、水素分圧5 MPa、平均反応温度350℃、LHSV1hr -1 の条件下で、WAX1の水素化分解を行った。水 化分解触媒としては、アモルファス系シリ ・アルミナ担体(シリカ:アルミナ=20:80(質量 ))にニッケル3質量%及びモリブデン15質量%が 持された触媒を硫化した状態で用いた。

 次に、上記の水素化分解で得られた分解 成物を減圧蒸留することにより原料油に対 て26容量%の潤滑油留分を得た。この潤滑油 分について、メチルエチルケトン-トルエン 混合溶剤を用いて、溶剤/油比4倍、ろ過温度- 25℃の条件で溶剤脱ろうを行い、潤滑油基油D 1を得た。

 [潤滑油基油D2の製造]
 USY型ゼオライト800gとアルミナバインダー200 gとを混合混練し、直径1/16インチ(約1.6mm)、高 さ6mmの円柱状に成型した。得られた成型体を 450℃で3時間焼成して担体を得た。この担体 、白金換算値で担体の0.8質量%となる量のジ ロロテトラアミン白金(II)の水溶液を含浸し 、120℃で3時間乾燥させ、400℃で1時間焼成す ことにより、目的の触媒を得た。

 次に、得られた触媒200mlを固定証の流通式 応器に充填し、この反応器を用いて、パラ ィン系炭化水素を含む原料油の水素化分解/ 素化異性化を行った。本工程では、原料油 して、パラフィン含量が95質量%であり、20 ら80までの炭素数分布を有するFTワックス(以 下、「WAX2」という。)を用いた。WAX2の性状を 表2に示す。また、水素化分解の条件は、水 圧3MPa、反応温度350℃、LHSV2.0h -1 とし、原料に対し沸点380℃以下の留分(分解 成物)が30質量%(分解率30%)となる分解/異性化 成油を得た。

 次に、上記の水素化分解/水素化異性化工 程で得られた分解/異性化生成油を減圧蒸留 ることにより、潤滑油留分を得た。この潤 油留分について、メチルエチルケトン-トル ン混合溶剤を用いて、溶剤/油比4倍、ろ過 度-25℃の条件で溶剤脱ろうを行い、潤滑油 油D2を得た。

 [潤滑油基油D3、D4、D5の製造]
 溶剤精製基油を精製する工程において減圧 留で分離した留分を、フルフラールで溶剤 出した後で水素化処理し、次いで、メチル チルケトン-トルエン混合溶剤で溶剤脱ろう した。かかる溶剤脱ろうの際に除去されたス ラックワックスをさらに脱油して得られたワ ックス分(以下、「WAX3」という。)を、潤滑油 基油の原料として用いた。WAX3の性状を表3に す。

 次に、水素化分解触媒の存在下、水素分圧5 MPa、平均反応温度350℃、LHSV1hr -1 の条件下で、WAX3の水素化分解を行った。水 化分解触媒としては、アモルファス系シリ ・アルミナ担体(シリカ:アルミナ=20:80(質量 ))にニッケル3質量%及びモリブデン15質量%が 持された触媒を硫化した状態で用いた。

 次に、上記の水素化分解で得られた分解 成物を減圧蒸留することにより原料油に対 て26容量%の潤滑油留分を得た。この潤滑油 分について、メチルエチルケトン-トルエン 混合溶剤を用いて、溶剤/油比4倍、ろ過温度- 25℃の条件で溶剤脱ろうを行い、潤滑油基油D 3、D4、D5を得た。

 潤滑油基油D1~D5について、各種性状及び 能評価試験結果を表4に示す。後述する実施 及び比較例に用いた従来の高粘度指数基油R 1、R2についての各種性状及び性能評価試験結 果を表5に示す。

 [実施例1~3、比較例1~7]
 実施例1~3及び比較例1~7においては、それぞ 潤滑油基油D3、R1、R2及び下記の潤滑油基油R 3、並びに下記の添加剤を用いて、表6~8に示 組成を有する作動油組成物を調製した。
潤滑油基油R3:石油系ソルベント(40℃における 動粘度:3.2mm 2 /s、15℃における密度:0.82g/cm 3 )
粘度指数向上剤A:ポリメタクリレート系粘度 数向上剤(重量平均分子量:16万、ポリマー含 有量65質量%)
粘度指数向上剤B:ポリメタクリレート系粘度 数向上剤(重量平均分子量:5万、ポリマー含 量75質量%)
粘度指数向上剤C:ポリメタクリレート系粘度 数向上剤(重量平均分子量:2万、ポリマー含 量75質量%)
添加剤パッケージ:コハク酸イミド系分散剤 ジ(2-エチルヘキシル)ハイドロジェンホスフ イト、グリセリンモノオレートの混合物。

 次に、実施例1~3及び比較例1~7の作動油組 物について以下の試験を実施した。

(ブルックフィールド粘度の測定)
 JPI-5S-26-99に準拠した方法により、-40℃にお るブルックフィールド粘度(BF粘度)を測定し た。得られた結果を表6~8に示す。

(せん断安定性試験)
 JPI-5S-29-06に準拠した方法により、10kHz、28μm 、1時間の条件でせん断安定性試験を行い、 ん断試験前の100℃における動粘度と、せん 試験後の試験油の100℃における動粘度とか 、100℃における動粘度低下率を求めた。得 れた結果を表6~8に示す。動粘度低下率が小 いほどせん断安定性に優れ、過酷な条件下 おいても、緩衝器用油圧作動油として必要 動粘度を維持できるとともに、動粘度低下 よる緩衝器の減衰力低下を抑制しやすくな 。

(泡立ち性試験)
 JIS K2518に準拠した方法により25℃において 立ち性試験を行い、泡立ち量(ml)と、その泡 が消失するまでの時間(秒)を測定した。得ら た結果を表6~8に示す。泡立ち量が少なく消 時間が短いほど、緩衝器用油圧作動油とし 使用した場合には、緩衝器の減衰力を低下 せにくい優れた組成物を得ることができる

 表6~8に示した結果から明らかなとおり、 施例1~3の作動油組成物は、粘度指数が高く 温粘度特性にも優れており、その一方で、 ん断安定性が非常に優れていることがわか 。また、実施例1~3における潤滑油基油D3の わりに潤滑油基油D1、D2、D4又はD5を用いて作 動油組成物を調製し、同様の試験を実施した ところ、これらの作動油組成物についても、 粘度指数が高く低温粘度特性にも優れており 、その一方で、せん断安定性が非常に優れて いることが確認された。