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Title:
ORAL POWDER AND GRANULAR ANTITUMOR AGENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/084216
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is an oral powder and granular antitumor agent capable of allowing an antitumor agent which is often dangerous when handling due to a high pharmacological activity to be safely taken and having stability equal to that of a capsule or a tablet. The oral powder and granular antitumor agent characterized in that a powder and granular composition containing an antitumor agent is coated with a saccharide except for a cellulose derivative.

Inventors:
OHNISHI YOSHITO (JP)
OGATA TETSUO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/003991
Publication Date:
July 09, 2009
Filing Date:
December 26, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TAIHO PHARMACEUTICAL CO LTD (JP)
OHNISHI YOSHITO (JP)
OGATA TETSUO (JP)
International Classes:
A61K9/14; A61K9/16; A61K31/44; A61K31/513; A61K31/53; A61K47/10; A61K47/26; A61P35/00
Domestic Patent References:
WO2005120480A12005-12-22
Foreign References:
JP2006521300A2006-09-21
JPH05194200A1993-08-03
JP2005289911A2005-10-20
JP2005506323A2005-03-03
JP2005508301A2005-03-31
JP2003034632A2003-02-07
JP2002526400A2002-08-20
JP2006516597A2006-07-06
JP2007045781A2007-02-22
JPH0436237A1992-02-06
Other References:
See also references of EP 2223683A4
Attorney, Agent or Firm:
THE PATENT CORPORATE BODY ARUGA PATENT OFFICE (3-6 Nihonbashiningyocho 1-chom, Chuo-ku Tokyo, JP)
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Claims:
 抗腫瘍剤を含有する粉粒状組成物を、セルロース誘導体を除く糖類によりコーティングしたことを特徴とする経口粉粒状抗腫瘍剤。
 糖類が単糖類又はオリゴ糖である請求項1に記載の経口粉粒状抗腫瘍剤。
 糖類が糖アルコール又は二糖類である請求項1又は2に記載の経口粉粒状抗腫瘍剤。
 糖類がマンニトール又はショ糖である請求項1~3のいずれかに記載の経口粉粒状抗腫瘍剤。
 剤形が顆粒剤である請求項1~4のいずれかに記載の経口粉粒状抗腫瘍剤。
 抗腫瘍剤が経口投与可能な抗腫瘍剤である請求項1~5のいずれかに記載の経口粉粒状抗腫瘍剤。
 抗腫瘍剤が代謝拮抗剤である請求項6に記載の経口粉粒状抗腫瘍剤。
 抗腫瘍剤がテガフールを含有するものである請求項6又は7に記載の経口粉粒状抗腫瘍剤。
 抗腫瘍剤が(a)テガフール、(b)ギメラシル及び(c)オテラシルカリウムを含有するものである請求項6~8のいずれかに記載の経口粉粒状抗腫瘍剤。
 (a)テガフール、(b)ギメラシル及び(c)オテラシルカリウムをモル比1:0.4:1で含有する請求項9に記載の経口粉粒状抗腫瘍剤。
 コーティング膜で被覆した粉粒状物中にテガフールを0.5~15質量%含む請求項1~10のいずれかに記載の経口粉粒状抗腫瘍剤。
 コーティング膜で被覆した粉粒状物中にテガフールを5~10質量%含む請求項1~10のいずれかに記載の経口粉粒状抗腫瘍剤。
Description:
経口粉粒状抗腫瘍剤

 本発明は、糖類によるコーティング膜で 覆した経口粉粒状抗腫瘍剤に関する。

 国立がんセンターがん対策情報センター 最新がん統計」によると、癌に罹患する確 (2000年)は、64歳までに男性11%、女性10%、74歳 までに男性27%、女性17%である。また、厚生労 働省大臣官房統計情報部「人口動態統計」に よれば、癌は昭和56年からわが国の死因の第1 位を占め、平成16年には死亡数320,315人、総死 亡数の31.1%となっている。

 このように、多くの国民が罹患する癌に対 る治療法としては、外科療法、化学療法、 射線療法、遺伝子治療、免疫療法等が挙げ れる。
 この内、化学療法は抗腫瘍剤を用いて行う 物療法であり、抗腫瘍剤には注射剤、錠剤 カプセル剤、ドライシロップ剤、顆粒剤な の剤形がある。
 注射剤を用いた治療法は点滴を用いて徐々 投与することが多く、患者に長時間の拘束 強いている。一方、カプセル剤、錠剤など 経口剤は患者が自宅や職場など病院以外で 服用出来る事から、日常生活に著しい支障 きたさないといった大きな利点がある。そ ため、術後の長期入院による治療が出来な 患者に対し、退院後のアジュバント療法と て用いられることも多い。

 ところが臨床現場では、癌罹患率の高い 齢者は嚥下機能の低下に伴って錠剤やカプ ル剤が嚥下困難なことが多い。また、癌患 の中には胃婁、経管チューブ等で栄養を摂 しているため、物理的に錠剤やカプセル剤 服用できない人もいる。そのために薬剤師 よる錠剤の粉砕やカプセル内容物の取り出 作業を行い、粉粒状製剤として投与してい のが現状である。

 一般的に、抗腫瘍効果を示す活性成分は劇 に分類されるほど薬理活性が高いものが多 、その取り扱いには充分な注意を要する。 かしながら、錠剤の粉砕やカプセル内容物 取り出し作業によって調剤された抗腫瘍剤 、薬物が剥き出しの状態であるために、薬 活性の高い薬物によって汚染する危険性を にはらんでおり、この汚染は、薬剤師のみ らず服用する患者や服薬介助者にまで及ぶ 能性がある。
 一方、これまでに粉粒状製剤として散剤、 ライシロップ剤、細粒剤、顆粒剤等が上市 れている。しかしながら、薬物が剥き出さ いよう表面処理された粉粒状抗腫瘍剤とし は現在までに腸溶性コーティングを施した 粒剤が知られているのみであり(特許文献1) コーティングの目的が主に副作用軽減であ ことから、安全に服用することを主眼にコ ティングを施した粉粒状抗腫瘍剤は存在し かった。これは薬理活性の高い抗腫瘍剤を 者、介助者及び医療従事者が取り扱うこと 対して、配慮が不足していた為ではないか 考えられる。

特開平4-36237号

 本発明の目的は、高い薬理活性により,取り 扱いが危険であることが多い抗腫瘍剤を安全 に服用でき、カプセル剤や錠剤と同等の安定 性を有する経口粉粒状抗腫瘍剤を提供するこ とにある。
 なお、本明細書において、「安全に服用で る」とは、薬物が剥き出しになっておらず 調剤及び服用時に薬物汚染することがない とをいう。

 本発明者らは上記課題を解決すべく、速や に溶解する種々のコーティング基剤を用い 経口投与可能な粉粒状抗腫瘍剤の製造を試 た。
 その結果、薬物をコーティングすることで 物汚染の危険性はなくなったものの、従来 剤形では認められなかった新規類縁物質を む総類縁物質量の増加が認められ、安定性 著しく低下する問題点が明らかとなった。
 そのため、速やかに溶解するコーティング 剤を用いて、表面をコーティングしつつ従 の剤形と同等の安定性を有する、粉粒状物 得ることは不可能かと思われたが、本発明 らは、引き続き種々の検討を行ったところ 次の知見を得た。
 (a)コーティング基剤に水溶性高分子ではな 、糖類を用いると従来の剤形と同等の安定 が確保できる。
 (b)こうして得られる粉粒状物は、コーティ グ膜の物理的摩損が少ない為、調剤及び服 時に薬物が付着するおそれがなく、安全に 用できる。また、コーティング膜は速やか 溶解するためにバイオアベイラビリティー 低下を招かない。
 本発明は、かかる知見に基づき、完成され ものである。

 すなわち、本発明は、抗腫瘍剤を含有する 粒状組成物を、セルロース誘導体を除く糖 によりコーティングしたことを特徴とする 口粉粒状抗腫瘍剤を提供するものである。
 本明細書において、「粉粒状物」とは、医 品を粉又は粒状に製した製剤を指す。これ 粉又は粒状に製した医薬品の粒度分布によ て、散剤、細粒剤、顆粒剤等の分類がなさ る。

 本発明によれば、次の優れた効果が奏され 。
(a)コーティング基剤に水溶性高分子ではなく 、糖類を用いると従来の剤形と同等の安定性 が確保できる。
(b)こうして得られる粉粒状物は、コーティン グ膜の物理的摩損が少ない為、調剤及び服用 時に薬物が付着するおそれがない。また、コ ーティング膜は速やかに溶解するためにバイ オアベイラビリティーの低下を招かない。
(c)したがって、本発明により、高い薬理活性 により、取り扱いが危険であることが多い抗 腫瘍剤を安全に服用でき、カプセル剤や錠剤 と同等の安定性を有する経口粉粒状抗腫瘍剤 が得られる。

 本発明における抗腫瘍剤としては、抗腫瘍 果を示す薬効成分を含むものであれば特に 限はなく、例えば、アルキル化剤、代謝拮 剤、抗腫瘍性抗生物質、抗腫瘍性植物成分 剤等を挙げることができる。
 アルキル化剤としては、具体的にはクロル チルアミン系抗腫瘍剤、エチレンイミン系 腫瘍剤、スルホン酸エステル系抗腫瘍剤等 挙げることができる。
 代謝拮抗剤としては、具体的にはメルカプ プリン系抗腫瘍剤、メトトレキサート抗腫 剤、フルオロウラシル系抗腫瘍剤、シトシ 系抗腫瘍剤等を挙げることができる。
 抗腫瘍性抗生物質としては、具体的にはマ トマイシンC、アクチノマイシンD、ブレオ イシン系抗腫瘍剤、アントラサイクリン系 生物質、ネオカルチノスタチン抗腫瘍剤等 挙げることができる。

 また、その他として、アセグラトン、ア ストロゾール、エキセメスタン、ファドロ ール塩酸塩水和物、プロカルバジン塩酸塩 タモキシフェンクエン酸塩、トレミフェン エン酸塩、ゲフィチニブ、ソブゾキサン、 ミバロテン、トレチノイン、ビカルタミド フルタミド、イマチニブメシル酸塩、エル チニブ塩酸塩、ソラフェニブトシル酸塩、 ニチニブリンゴ酸塩等を挙げることができ 。

 抗腫瘍剤のうちでも、薬効及び安全性の観 から、経口投与可能な抗腫瘍剤が好ましい 本明細書において、「経口投与可能な抗腫 剤」とは口から服用することによって抗腫 効果を示す薬効成分を含むものであれば特 制限はないが、現在経口剤として上市され いる薬効成分を含むものが好ましい。
 経口投与可能な抗腫瘍剤のうちでも、薬剤 定性を改善するという観点から、代謝拮抗 が好ましく、特に好ましくはその配合剤で る。代謝拮抗剤としてはメルカプトプリン メトトレキサート、カペシタビン、カルモ ール、テガフール、ドキシフルリジン、フ オロウラシル、シタラビンオクホスファー 、ヒドロキシカルバミド、テガフール・ウ シル、テガフール・ギメラシル・オテラシ カリウム配合剤を挙げられ、特に好ましく テガフール・ギメラシル・オテラシルカリ ム配合剤であり、それらのモル比が1:0.4:1で ある配合剤が更に好ましい。

 本発明の経口粉粒状抗腫瘍剤は、上記抗腫 剤を含有する粉粒状組成物をセルロース誘 体を除く糖類によりコーティングしてなる のである。
 本発明における糖類としては、セルロース 導体を除く医薬品の添加剤として一般に用 られるものであれば特に制限はなく、例え 単糖類、オリゴ糖、多糖類等を挙げること できる。

 単糖類としては、三炭糖(グリセロアルデ ヒド、ジヒドロキシアセトン等)、四炭糖(エ スロース、トレオース等)、五炭糖(キシロ ス、アラビノース、リボース、デオキシリ ース等)、六炭糖(グルコース、フルクトース 、ガラクトース、マンノース等)、デオキシ (フコース、ラムノース、チオグルコース等) 、アミノ糖(グルコサミン、ガラクトサミン )、糖アルコール(マンニトール、イノシトー ル等)、ウロン酸(グルクロン酸、ガラクツロ 酸等)、アルドン酸(グルコン酸等)等を挙げ ことができる。

 オリゴ糖としては、二糖類(トレハロース 、コージビオース、ニゲロース、マルトース 、イソマルトース、メリビオース、ソホロー ス、ラミナリビオース、ゲンチオビオース、 セロビオース、ラクトース、ツラノース、シ ョ糖、ロイクロース、パラチノース等)、三 類(6-ケストース、1-ケストース、ネオケスト ース、メレチトース、ラフィノース、パノー ス、イソパノース、ラクトシュクロース等) 四糖類(スタキオース、スコロドース等)、五 糖類(ベルバコース等)やその他(サイクロデキ ストリン、サイクロフルクタン、サイクロデ キストラン等)を挙げることができる。

 多糖類としては、デンプン、アガロース、 ラギナン、キチン等を挙げることができる
 なお、これらの糖類は単独で又は2種以上組 み合わせて使用してもよい。

 本発明における糖類のうちでも、薬剤安 性の改善及びコーティング膜の物理的摩損 の観点から、単糖類又はオリゴ糖が好まし 、特に糖アルコール又は二糖類が好ましく 更にマンニトール又はショ糖が好ましい。

 なお、本発明では糖類からセルロース及 セルロース誘導体は除かれ、除かれるセル ース誘導体としてはメチルセルロース、エ ルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロ ス、ヒプロメロース等が挙げられる。

 これらの糖類をコーティングする対象と る粉粒状組成物としては、抗腫瘍剤と公知 製剤添加物を用いて通常の造粒手段により 粒したものが挙げられる。造粒手段として 、例えば、流動層造粒法、撹拌造粒法、転 流動層造粒法、押出し造粒法、噴霧乾燥造 法等を用いて核粒子を造粒する手段が挙げ れる。

 本発明に用いる粉粒状組成物の典型的な 造法としては、例えば、押出し造粒装置に り、製剤添加物を用いて経口投与可能な抗 瘍剤を含む核粒子を造粒する方法が挙げら る。

 上記製剤添加物は、これを使用する場合 本発明の効果を妨げない範囲で使用される かかる製剤添加物としては、粉粒状製剤の 造に一般に用いられる種々の製剤添加剤で れば特に問題はなく、例えば、賦形剤、崩 剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、着香剤、矯 剤等を挙げることができる。賦形剤として 、糖類、軽質無水ケイ酸及びケイ酸カルシ ム等を挙げることができる。崩壊剤として 、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース カルメロース、クロスポビドン、カルメロ スカルシウム及びクロスカルメロースナト ウム等を挙げることができる。結合剤とし は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプ メロース、ポリビニルアルコール、ポリビ ルピロリドン等を挙げることができる。滑 剤としては、ステアリン酸マグネシウム、 テアリン酸カルシウム、タルク及びショ糖 肪酸エステル等を挙げることができる。着 剤としては、食用黄色5号色素、食用赤色2 色素、食用青色2号色素、食用レーキ色素、 色三二酸化鉄及び酸化チタン等を挙げるこ ができる。着香剤としては、オレンジ、レ ン各種香料等を挙げることができる。矯味 としては、L-メントール、カンフル、ハッ 等を挙げることができる。

 得られた造粒物(粉粒状組成物)のコーティ グ手段としては、流動層、コーティングパ 等を用いる手段が挙げられる。
 より好ましくは、流動層造粒コーティング 置を用いて、糖類を溶解した水溶液を、核 子に噴霧してコーティングする方法を挙げ ことができる。

 なお、糖類によるコーティングの割合は本 明の効果を妨げない範囲であれば特に制限 ないが、全コーティング量の70~100質量%が好 ましく、更に割合が90~100質量%の範囲が特に ましく、糖類のみでコーティングするのが に好ましい。
 また、コーティングの際のコーティング量 本発明の効果を妨げない範囲であれば特に 限はないが、粉粒状抗腫瘍剤全量に対して1 ~20質量%が好ましく、更に2~15質量%が好ましく 、特に3~10質量%が好ましい。

 本発明の粉粒状抗腫瘍剤の剤形は、特に 定されるものではないが、例えば顆粒剤、 剤及び細粒剤を挙げることができる。なお 顆粒剤、散剤及び細粒剤には、用時溶解し 用いるドライシロップ剤を含み、また、口 内で速やかに溶解、崩壊し、水なしでも服 できる粉粒状物を含む。ここで本発明でい 粉粒状物の粒子径は、75~1400μmであるのが好 ましく、顆粒剤である場合には更に250~1000μm あるのが好ましい。

 本発明において、抗腫瘍剤としてテガフ ルを含む場合、1回のテガフール最低投与量 は20mg程度と見込まれるが、薬物濃度が0.5質 %より低い場合、テガフール20mg相当量を服用 するには4gより多くの粉粒状物を服用する必 があり、服用しやすいとは言い難く、また 薬物濃度が15質量%より高い場合、テガフー 20mg相当量は133mgより少なくなるが、この量 一般的な分包装置では充てんする事が非常 困難な量となる為、テガフールをコーティ グ膜で被覆した粉粒状物中に0.5~15質量%で含 むのが好ましく、特に5~10質量%で含むのが好 しい。

 本発明の経口粉粒状抗腫瘍剤は抗腫瘍剤 及び必要に応じて前記製剤添加物を含有す ものであり、薬物が表面に剥き出さないよ 表面処理されているために薬物が付着する それがなく、安全に服用できる経口製剤で る。

 以下に、実施例及び試験例を挙げて本発 を更に詳細に説明するが、本発明はこれら 実施例のみに限定されるものではない。

実施例1
 テガフール150g、ギメラシル43.5g、オテラシ カリウム147g、乳糖2659.5g、ヒドロキシプロ ルセルロース(商品名「HPC-M」日本曹達株式 社製)60gを練合機(装置名「ダルトン万能混合 撹拌機 25AM-02-rr」、株式会社ダルトン製)に 込み、精製水300gを加え回転速度75min -1 で5分間練合した。
 この練合物をφ0.5mmのスクリーンを装着した 押出し造粒機(装置名「ペレッターダブル EXD -60」、不二パウダル株式会社製)を用いて造 した。この造粒物を目開き1.5mmの篩で篩過後 、流動層造粒コーティング装置(装置名「マ チプレックス MP-01」、株式会社パウレック )を用いて乾燥した。乾燥後、得られた造粒 物を355~1000μmに整粒し、顆粒剤を得た。

比較例1
 精製水441gにヒプロメロース(置換度タイプ29 10、商品名TC-5R)23.5g、タルク5.9gを加えコーテ ング液とした。実施例1の顆粒800gを流動層 粒コーティング装置(マルチプレックス MP-01 )に仕込み、上記コーティング液をスプレー 度3.2g/分で噴霧してコーティング顆粒を得た 。

比較例2~4
 比較例1と同様の方法に従って、表1に示す 溶性高分子を表1に記載の量で用いてコーテ ング顆粒を得た。

試験例1
 実施例1及び比較例1~4で得られた顆粒を60℃ 10日間保存した後、生成する総類縁物質量 日本薬局方一般試験法物理学的試験法収載 体クロマトグラフィー法により測定した。

 表1の結果から明らかなように、顆粒剤に 水溶性高分子をコーティングすることで総類 縁物質量が増加し安定性が低下することが判 明した。

実施例2
 テガフール300g、ギメラシル87g、オテラシル カリウム294g、乳糖2319g、ヒドロキシプロピル セルロース(商品名「HPC-L」日本曹達株式会社 製)60gを練合機(装置名「ダルトン万能混合撹 機 25AM-02-rr」)に仕込み、精製水300gを加え 転速度75min -1 で10分間練合した。この練合物をφ0.5mmのスク リーンを装着した押出し造粒機(装置名「ペ ッターダブル EXD-60」)を用いて造粒した。 の造粒物を、流動層造粒コーティング装置( 置名「マルチプレックス MP-01」)を用いて 燥した。乾燥後、得られた造粒物を250~1000μm に整粒し、顆粒剤を得た。
 一方、ショ糖15gを精製水135gで溶解してコー ティング液とした。上記の顆粒500gを流動層 粒コーティング装置(マルチプレックス MP-01 )に仕込み、上記コーティング液をスプレー 度9g/分で噴霧してコーティング顆粒を得た

実施例3
 実施例2と同様の方法に従って、D-マンニト ル25gを精製水225gで溶解してコーティング液 とした。上記の顆粒500gを流動層造粒コーテ ング装置(マルチプレックス MP-01)に仕込み 上記コーティング液をスプレー速度12g/分で 霧してコーティング顆粒を得た。

比較例5
 ショ糖を用いたコーティングを行わなかっ 以外は実施例2と同様にして顆粒を得た。

試験例2
 実施例2、3及び比較例5で得られた顆粒に防 包装(HDPEボトル+シリカゲル)を施し、40℃ 75 %R.H.で6箇月間保存した後、生成する類縁物質 量を日本薬局方一般試験法物理学的試験法収 載液体クロマトグラフィー法により測定した 。

 比較の為に上市品(テガフール・ギメラシ ル・オテラシルカプセル、販売名「TS-1カプ ル」)の防湿包装(PTP+アルミ袋)品の総類縁物 量を合わせて示した。表2の結果から明らか なように、顆粒剤にショ糖又はD-マンニトー のコーティングを施しても総類縁物質量に きな差がないことが判明した。なお、ショ とD-マンニトールではD-マンニトールのほう が多量にコーティングしているにもかかわら ず、総類縁物質量が少ない。

試験例3
 実施例2、3で得られたコーティング顆粒の 損度を下記評価法に従って評価した。
評価法:
 粒子径を355~710μmに整粒したコーティング顆 粒約30gをアルミナ製ボール4個と共に、アル ナ製ポットを装着した遊星ボールミル(Pulveri sette5、FRITSCH製)に入れ、回転数目盛6で10分間 転する。ポットから顆粒を取り出し、目開 250μmの篩で篩過する。なお、摩損度は下記 から算出する。
 摩損度A(%)=(仕込み量―目開き250μm篩上質量) /仕込み量×100
 摩損度Aが小さいほど顆粒表面からの摩損が 小さく、コーティング顆粒の場合薬物による 汚染が防げることを意味している。

 上記測定法で別途測定したテガフール顆 (「販売名:ステロジン顆粒、寿製薬株式会 製」)の摩損度は7.4%であった。表3の結果か 明らかなように実施例2、3のコーティング顆 粒は既存の顆粒剤に比べ殆ど摩損しないこと が判明した。

試験例4
 実施例2、3で得られた顆粒を日本薬局方一 試験法 製剤試験法収載溶出試験法に従い実 施した。
<測定条件>
溶出試験法:第2法(50min -1 )
試験液:水(900mL)
測定波長:λ=262nm
サンプリング:開始5分後

 表4の結果から明らかなように実施例2、3 コーティング顆粒からは5分間で薬効成分( ガフール、ギメラシル、オテラシルカリウ )の殆どが溶出した。

 以上の結果より、コーティング基剤に水 性高分子ではなく、糖類を用いると従来剤 と同等の安定性が確保できるうえ、コーテ ング膜は速やかに溶解し薬物が放出され、 イオアベイラビリティー低下の恐れがない が判明した。更に、コーティング膜の物理 摩損が少ない為、調剤及び服用時に薬物が 着するおそれがなく、安全に服用できるも である。