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Title:
ORGANIC ELECTROLUMINESCENT DEVICE, DISPLAY DEVICE AND ILLUMINATING DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/054253
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an organic electroluminescent device having high luminance and low driving voltage. Also disclosed are an illuminating device and a display device, each using such an organic electroluminescent device. The organic electroluminescent device is characterized by containing at least one compound represented by the following general formula (1). (In the formulae, Ar represents a monocyclic or bicyclic aromatic ring or an aromatic heterocyclic ring, each of which contains at least one hydrogen atom; n1 represents an integer of 3, 4 or 5; A represents a group represented by the general formula (A) above and a plurality of A's may be the same as or different from one another; X11 and X12 each represents a nitrogen atom or CR13; R11, R12 and R13 each represents a hydrogen atom or a substituent, but they do not combine together to form a ring; when X11 and X12 are both CR13, R13's may be the same as or different from each other; and at least three of A's bonded to Ar are bonded to carbon atoms of Ar which are adjacent to one another.)

Inventors:
OSHIYAMA TOMOHIRO (JP)
KITA HIROSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/068153
Publication Date:
April 30, 2009
Filing Date:
October 06, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KONICA MINOLTA HOLDINGS INC (JP)
OSHIYAMA TOMOHIRO (JP)
KITA HIROSHI (JP)
International Classes:
H01L51/50; C07D213/36; C07D239/26; C07D251/16; C07D401/14; C09K11/06; H05B33/10
Domestic Patent References:
WO2006103909A12006-10-05
Foreign References:
JP2006135160A2006-05-25
JP2005268022A2005-09-29
JP2003027048A2003-01-29
JP2008222687A2008-09-25
JPH0468076A1992-03-03
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Claims:
下記一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。

(式中、Arは単環または二環の芳香族環、または芳香族複素環を表すが、少なくとも一つの水素原子を有する。n1は3、4または5の整数を表す。Aは一般式(A)で表されるが、複数のAは互いに同じでも異なってもよい。X 11 、X 12 は窒素原子またはCR 13 を表す。R 11 、R 12 、R 13 は水素原子または置換基を表すが、互いに結合して環を形成することはない。X 11 とX 12 のいずれもCR 13 で表される場合、R 13 は同じでも異なっていてもよい。Arに結合するAの少なくとも3つはArの互いに隣接する炭素原子に結合する。*はArとの結合部位を表す。)
前記一般式(1)が下記一般式(2)で表されることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

(式中、Aの少なくとも3つはベンゼン環の互いに隣接する炭素原子に結合する。R 21 は水素原子または置換基を表すが、互いに結合して環を形成することはない。複数のR 21 は同じでも異なっていてもよい。n21は3、4、5の整数を表し、n22は1、2、3の整数を表すが、n21+n22は6を表す。Aは前記一般式(1)のAが表す一般式(A)と同義である。)
前記一般式(1)が下記一般式(3)で表されることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

(式中、Aの少なくとも3つはナフタレン環の互いに隣接する炭素原子に結合する。R 22 は水素原子または置換基を表すが、互いに結合して環を形成することはない。複数のR 22 は同じでも異なっていてもよい。n31は3、4、5の整数を表し、n32は3、4、5の整数を表すが、n31+n32は8を表す。Aは前記一般式(1)のAが表す一般式(A)と同義である。)
前記一般式(1)において、Arが少なくとも一つの水素原子を有する芳香族複素環で表されることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
前記一般式(1)が下記一般式(4)で表されることを特徴とする請求の範囲第4項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

(式中、Aの少なくとも3つはピリジン環の互いに隣接する炭素原子に結合する。R 31 は水素原子または置換基を表すが、互いに結合して環を形成することはない。複数のR 31 は同じでも異なっていてもよい。n4は3、4の整数を表し、n5は1、2の整数を表すが、n4+n5は5を表す。Aは前記一般式(1)のAが表す一般式(A)と同義である。)
前記一般式(1)が下記一般式(5)で表されることを特徴とする請求の範囲第4項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

(式中、Aは前記一般式(1)のAが表す一般式(A)と同義である。)
前記一般式(1)が下記一般式(6)で表されることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

(式中、Aの少なくとも3つはベンゼン環の互いに隣接する炭素原子に結合する。R 61 、R 62 は水素原子または置換基を表すが、互いに結合して環を形成することはない。複数のR 61 、R 62 は同じでも異なっていてもよい。n61、n62は3、4の整数を表し、n63、n64は1、2の整数を表すが、n61+n62+n63+n64は10を表す。Aは前記一般式(1)のAが表す一般式(A)と同義である。)
前記一般式(1)が下記一般式(7)で表されることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

(式中、Aの少なくとも3つはX 76 ~X 80 で形成される環、X 81 ~X 86 で形成される環の互いに隣接する炭素原子に結合する。R 71 、R 72 は水素原子または置換基を表すが、互いに結合して環を形成することはない。複数のR 71 、R 72 は同じでも異なっていてもよい。n71、n72は3、4の整数を表し、n73、n74は1、2の整数を表すが、n71+n73、n72+n74はそれぞれ4または5を表す。X 71 ~X 86 は窒素原子または-CR 7 を表す。但し、R 7 は水素原子または置換基を表す。m7は1または2の整数を表す。Aは前記一般式(1)のAが表す一般式(A)と同義である。)
前記一般式(7)が下記一般式(8-1)、(8-2)、(8-3)、(8-4)で表されることを特徴とする請求の範囲第8項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

(式中、Aの少なくとも3つはX 76 ~X 80 で形成される環、X 81 ~X 85 で形成される環、X 86 ~X 90 で形成される環の互いに隣接する炭素原子に結合する。R 71 、R 72 、R 73 は水素原子または置換基を表すが、互いに結合して環を形成することはない。複数のR 71 、R 72 、R 73 は同じでも異なっていてもよい。n71、n72、n76は3、4の整数を表し、n73、n74、n75は1、2の整数を表すが、n71+n73、n72+n74、n75+n76はそれぞれ4または5を表す。X 71 ~X 90 は窒素原子または-CR 7 を表す。但し、R 7 は水素原子または置換基を表す。Aは前記一般式(1)のAが表す一般式(A)と同義である。)
前記一般式(8-1)、(8-2)、(8-3)、(8-4)がそれぞれ下記一般式(9-1)、(9-2)、(9-3)、(9-4)で表されることを特徴とする請求の範囲第9項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

(式中、Aの少なくとも3つはベンゼン環の互いに隣接する炭素原子に結合する。R 71 、R 72 、R 73 は水素原子または置換基を表すが、互いに結合して環を形成することはない。複数のR 71 、R 72 、R 73 は同じでも異なっていてもよい。n71、n72、n76は3、4の整数を表し、n73、n74、n75は1、2の整数を表すが、n71+n73、n72+n74、n75+n76はそれぞれ5を表す。X 71 ~X 75 は窒素原子または-CR 7 を表す。但し、R 7 は水素原子または置換基を表す。Aは前記一般式(1)のAが表す一般式(A)と同義である。)
前記一般式(9-1)、(9-2)、(9-3)、(9-4)がそれぞれ下記一般式(10-1)、(10-2)、(10-3)、(10-4)で表されることを特徴とする請求の範囲第10項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

(式中、Aの少なくとも3つはベンゼン環の互いに隣接する炭素原子に結合する。R 71 、R 72 、R 73 は水素原子または置換基を表すが、互いに結合して環を形成することはない。複数のR 71 、R 72 、R 73 は同じでも異なっていてもよい。n71、n72、n76は3、4の整数を表し、n73、n74、n75は1、2の整数を表すが、n71+n73、n72+n74、n75+n76はそれぞれ5を表す。R 101 ~R 105 は水素原子または置換基を表す。Aは前記一般式(1)のAが表す一般式(A)と同義である。)
前記一般式(8-1)、(8-2)、(8-3)、(8-4)がそれぞれ下記一般式(11-1)、(11-2)、(11-3)、(11-4)で表されることを特徴とする請求の範囲第9項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

(式中、R 101 ~R 105 は水素原子または置換基を表す。Aは前記一般式(1)のAが表す一般式(A)と同義である。)
前記一般式(1)が下記一般式(12)で表されることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

(式中、Aの少なくとも3つはX 76 ~X 80 で形成される環、X 81 ~X 85 で形成される環の互いに隣接する炭素原子に結合する。R 71 、R 72 は水素原子または置換基を表すが、互いに結合して環を形成することはない。複数のR 71 、R 72 は同じでも異なっていてもよい。n71、n72は3、4の整数を表し、n73、n74は1、2の整数を表すが、n71+n73、n72+n74はそれぞれ4または5を表す。X 121 は酸素原子、硫黄原子、
-NR 8a 、-C(R 8b )(R 8c )または-Si(R 8d )(R 8e )表し、X 122 、X 123 は窒素原子または-CR 7 を表す。但し、R 8a 、R 8b 、R 8c 、R 8d 、R 8e は水素原子、アルキル基、アリール基を表し、R 7 は水素原子または置換基を表す。Aは前記一般式(1)のAが表す一般式(A)と同義である。)
前記一般式(12)が下記一般式(12-1)で表されることを特徴とする請求の範囲第13項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

(式中、Aの少なくとも3つはベンゼン環の互いに隣接する炭素原子に結合する。R 71 、R 72 は水素原子または置換基を表すが、互いに結合して環を形成することはない。複数のR 71 、R 72 は同じでも異なっていてもよい。n71、n72は3、4の整数を表し、n73、n74は1、2の整数を表すが、n71+n73、n72+n74はそれぞれ4または5を表す。X 121 は酸素原子、硫黄原子、-NR 8a 、-C(R 8b )(R 8c )、または、-Si(R 8d )(R 8e )表す。X 122 、X 123 は窒素原子または-CR 7 を表す。但し、R 8a 、R 8b 、R 8c 、R 8d 、R 8e は水素原子、アルキル基、アリール基を表し、R 7 は水素原子または置換基を表す。Aは前記一般式(1)のAが表す一般式(A)と同義である。)
前記一般式(12-1)が下記一般式(12-2)で表されることを特徴とする請求の範囲第14項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

(式中、Aの少なくとも3つはベンゼン環の互いに隣接する炭素原子に結合する。R 71 、R 72 は水素原子または置換基を表すが、互いに結合して環を形成することはない。複数のR 71 、R 72 は同じでも異なっていてもよい。n71、n72は3、4の整数を表し、n73、n74は1、2の整数を表すが、n71+n73、n72+n74はそれぞれ4または5を表す。Aは前記一般式(1)のAが表す一般式(A)と同義である。)
前記一般式(12-1)が下記一般式(12-3)で表されることを特徴とする請求の範囲第14項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

(式中、Aの少なくとも3つはベンゼン環の互いに隣接する炭素原子に結合する。R 71 、R 72 は水素原子または置換基を表すが、互いに結合して環を形成することはない。複数のR 71 、R 72 は同じでも異なっていてもよい。R 121 、R 122 は水素原子、アルキル基、アリール基を表し、R 123 、R 124 は水素原子または置換基を表す。n71、n72は3、4の整数を表し、n73、n74は1、2の整数を表すが、n71+n73、n72+n74はそれぞれ4または5を表す。Aは前記一般式(1)のAが表す一般式(A)と同義である。)
前記一般式(A)が下記一般式(A1)で表されることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第16項のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

(式中、R a1 、R a2 、R a3 、R a4 は水素原子または置換基を表す。*はArとの結合部位を表す。)
前記一般式(A)が下記一般式(A2)で表されることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第16項のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

(式中、R b1 、R b2 、R b3 は水素原子または置換基を表す。*はArとの結合部位を表す。)
前記一般式(A)が下記一般式(A3)で表されることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第16項のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

(式中、R c1 、R c2 、R c3 は水素原子または置換基を表す。*はArとの結合部位を表す。)
前記一般式(A)が下記一般式(A4)で表されることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第16項のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

(式中、R d1 、R d2 は水素原子または置換基を表す。*はArとの結合部位を表す。)
電子輸送層または正孔阻止層が前記一般式(1)~一般式(12-3)で表される化合物の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求の範囲第1項乃至第20項のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
発光層が前記一般式(1)~一般式(12-3)で表される化合物の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求の範囲第1項乃至第20項のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
ホスト化合物及びリン光性化合物を含有し、該ホスト化合物が前記一般式(1)~一般式(12-3)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第22項のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
ホスト化合物、リン光性化合物及び電子輸送性化合物を含有し、該電子輸送性化合物が前記一般式(1)~一般式(12-3)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第23項のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
前記リン光性化合物がイリジウム化合物または白金化合物であることを特徴とする請求の範囲第23項または第24項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
前記リン光性化合物がイリジウム化合物であることを特徴とする請求の範囲第25項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
有機層がウェットプロセスによって形成されることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第26項のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
請求の範囲第1項乃至第27項のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする表示装置。
請求の範囲第1項乃至第27項のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする照明装置。
Description:
有機エレクトロルミネッセンス 子、表示装置及び照明装置

 本発明は、有機エレクトロルミネッセン 素子、表示装置及び照明装置に関する。

 従来、発光型の電子ディスプレイデバイ として、エレクトロルミネッセンスディス レイ(以下、ELDと言う)がある。ELDの構成要 としては、無機エレクトロルミネッセンス 子や有機エレクトロルミネッセンス素子(以 、有機EL素子とも言う)が挙げられる。

 無機エレクトロルミネッセンス素子は平 型光源として使用されてきたが、発光素子 駆動させるためには交流の高電圧が必要で る。有機EL素子は発光する化合物を含有す 発光層を陰極と陽極で挟んだ構成を有し、 光層に電子及び正孔を注入して、再結合さ ることにより励起子(エキシトン)を生成させ 、このエキシトンが失活する際の光の放出( 光・リン光)を利用して発光する素子であり 数V~数十V程度の電圧で発光が可能であり、 に自己発光型であるために視野角に富み、 認性が高く、薄膜型の完全固体素子である めに省スペース、携帯性等の観点から注目 れている。

 しかしながら、今後の実用化に向けた有 EL素子においては、更に低消費電力で効率 く高輝度に発光する有機EL素子の開発が望ま れている。

 特許第3093796号公報では、スチルベン誘導 体、ジスチリルアリーレン誘導体またはトリ ススチリルアリーレン誘導体に微量の蛍光体 をドープし、発光輝度の向上、素子の長寿命 化を達成している。また、8-ヒドロキシキノ ンアルミニウム錯体をホスト化合物として これに微量の蛍光体をドープした有機発光 を有する素子(例えば、特開昭63-264692号公報 )、8-ヒドロキシキノリンアルミニウム錯体を ホスト化合物として、これにキナクリドン系 色素をドープした有機発光層を有する素子( えば、特開平3-255190号公報)等が知られてい 。

 上記文献に開示されている技術では、励 一重項からの発光を用いる場合一重項励起 と三重項励起子の生成比が1:3であるため、 光性励起種の生成確率が25%であることと、 の取り出し効率が約20%であるため外部取り し量子効率(ηext)の限界は5%とされている。

 ところが、プリンストン大より励起三重 からのリン光発光を用いる有機EL素子の報 (M.A.Baldo et al.,Nature、395巻、151~154頁(1998年)) されて以来、室温でリン光を示す材料の研 が活発になってきている。

 例えば、M.A.Baldo et al.,Nature、403巻、17号 750~753頁(2000年)、また米国特許第6,097,147号明 細書等にも開示されている。

 励起三重項を使用すると、内部量子効率 上限が100%となるため励起一重項の場合に比 べて原理的に発光効率が4倍となり、冷陰極 とほぼ同等の性能が得られる可能性がある とから照明用途としても注目されている。

 例えば、S.Lamansky et al.,J.Am.Chem.Soc.,123巻 4304頁(2001年)等においては、多くの化合物が リジウム錯体系等重金属錯体を中心に合成 討されている。また、前述のM.A.Baldo et al., Nature,403巻、17号、750~753頁(2000年)においては ドーパントとして、トリス(2-フェニルピリ ン)イリジウムを用いた検討がされている。

 中心金属をイリジウムの代わりに、白金 したオルトメタル化錯体も注目されている この種の錯体に関しては、配位子に特徴を たせた例が多数知られている。

 これらリン光発光性ドーパントのホスト 合物として、CBP、m-CPに代表されるカルバゾ ール誘導体がよく知られている(例えば、特 文献1、2参照)。特に青発光のホスト化合物 しては、バンドギャップの大きなm-CPやその 導体が知られている。

 一方、正孔阻止層(エキシトン阻止層)の 入により高い発光輝度を得る技術も開示さ ている。例えば、パイオニア社により、あ 種のアルミニウム錯体を使用する例、フッ 置換化合物を用いることにより高効率な発 を達成している(例えば、特許文献3、非特許 文献1参照)。

 ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体を電子 送材料に使用する例が開示されている(例え ば、特許文献4、5参照)。また、ピリジン誘導 体の開示例(例えば、特許文献6)や電子輸送材 料に使用する例が開示されている(例えば、 許文献7、8参照)。

国際公開第03/80760号パンフレット

国際公開第04/74399号パンフレット

特開2002-8860号公報

国際公開第06/103909号パンフレット

特開2003-45662号公報

特表2004-535051号公報

特開平4-68076号公報

米国特許第5,077,142号明細書 Appl.Phys.Lett.,79巻、156頁(2001年)

 本発明の目的は、高い発光輝度を示し、 つ低駆動電圧の有機エレクトロルミネッセ ス素子、及び該素子を用いた照明装置、表 装置を提供することである。

 本発明の上記目的は、下記の構成により 成される。

 1.下記一般式(1)で表される化合物を少な とも1種を含有することを特徴とする有機エ クトロルミネッセンス素子。

(式中、Arは単環または二環の芳香族環、また は芳香族複素環を表すが、少なくとも一つの 水素原子を有する。n1は3、4または5の整数を す。Aは一般式(A)で表されるが、複数のAは いに同じでも異なってもよい。X 11 、X 12 は窒素原子またはCR 13 を表す。R 11 、R 12 、R 13 は水素原子または置換基を表すが、互いに結 合して環を形成することはない。X 11 とX 12 のいずれもCR 13 で表される場合、R 13 は同じでも異なっていてもよい。Arに結合す Aの少なくとも3つはArの互いに隣接する炭素 原子に結合する。*はArとの結合部位を表す。 )
 2.前記一般式(1)が下記一般式(2)で表される とを特徴とする前記1に記載の有機エレクト ルミネッセンス素子。

(式中、Aの少なくとも3つはベンゼン環の互い に隣接する炭素原子に結合する。R 21 は水素原子または置換基を表すが、互いに結 合して環を形成することはない。複数のR 21 は同じでも異なっていてもよい。n21は3、4、5 の整数を表し、n22は1、2、3の整数を表すが、 n21+n22は6を表す。Aは前記一般式(1)のAが表す 般式(A)と同義である。)
 3.前記一般式(1)が下記一般式(3)で表される とを特徴とする前記1に記載の有機エレクト ルミネッセンス素子。

(式中、Aの少なくとも3つはナフタレン環の互 いに隣接する炭素原子に結合する。R 22 は水素原子または置換基を表すが、互いに結 合して環を形成することはない。複数のR 22 は同じでも異なっていてもよい。n31は3、4、5 の整数を表し、n32は3、4、5の整数を表すが、 n31+n32は8を表す。Aは前記一般式(1)のAが表す 般式(A)と同義である。)
 4.前記一般式(1)において、Arが少なくとも一 つの水素原子を有する芳香族複素環で表され ることを特徴とする前記1に記載の有機エレ トロルミネッセンス素子。

 5.前記一般式(1)が下記一般式(4)で表され ことを特徴とする前記4に記載の有機エレク ロルミネッセンス素子。

(式中、Aの少なくとも3つはピリジン環の互い に隣接する炭素原子に結合する。R 31 は水素原子または置換基を表すが、互いに結 合して環を形成することはない。複数のR 31 は同じでも異なっていてもよい。n4は3、4の 数を表し、n5は1、2の整数を表すが、n4+n5は5 表す。Aは前記一般式(1)のAが表す一般式(A) 同義である。)
 6.前記一般式(1)が下記一般式(5)で表される とを特徴とする前記4に記載の有機エレクト ルミネッセンス素子。

(式中、Aは前記一般式(1)のAが表す一般式(A)と 同義である。)
 7.前記一般式(1)が下記一般式(6)で表される とを特徴とする前記1に記載の有機エレクト ルミネッセンス素子。

(式中、Aの少なくとも3つはベンゼン環の互い に隣接する炭素原子に結合する。R 61 、R 62 は水素原子または置換基を表すが、互いに結 合して環を形成することはない。複数のR 61 、R 62 は同じでも異なっていてもよい。n61、n62は3 4の整数を表し、n63、n64は1、2の整数を表す 、n61+n62+n63+n64は10を表す。Aは前記一般式(1) Aが表す一般式(A)と同義である。)
 8.前記一般式(1)が下記一般式(7)で表される とを特徴とする前記1に記載の有機エレクト ルミネッセンス素子。

(式中、Aの少なくとも3つはX 76 ~X 80 で形成される環、X 81 ~X 86 で形成される環の互いに隣接する炭素原子に 結合する。R 71 、R 72 は水素原子または置換基を表すが、互いに結 合して環を形成することはない。複数のR 71 、R 72 は同じでも異なっていてもよい。n71、n72は3 4の整数を表し、n73、n74は1、2の整数を表す 、n71+n73、n72+n74はそれぞれ4または5を表す。X 71 ~X 86 は窒素原子または-CR 7 を表す。但し、R 7 は水素原子または置換基を表す。m7は1または 2の整数を表す。Aは前記一般式(1)のAが表す一 般式(A)と同義である。)
 9.前記一般式(7)が下記一般式(8-1)、(8-2)、(8-3 )、(8-4)で表されることを特徴とする前記8に 載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

(式中、Aの少なくとも3つはX 76 ~X 80 で形成される環、X 81 ~X 85 で形成される環、X 86 ~X 90 で形成される環の互いに隣接する炭素原子に 結合する。R 71 、R 72 、R 73 は水素原子または置換基を表すが、互いに結 合して環を形成することはない。複数のR 71 、R 72 、R 73 は同じでも異なっていてもよい。n71、n72、n76 は3、4の整数を表し、n73、n74、n75は1、2の整 を表すが、n71+n73、n72+n74、n75+n76はそれぞれ4 たは5を表す。X 71 ~X 90 は窒素原子または-CR 7 を表す。但し、R 7 は水素原子または置換基を表す。Aは前記一 式(1)のAが表す一般式(A)と同義である。)
 10.前記一般式(8-1)、(8-2)、(8-3)、(8-4)がそれ れ下記一般式(9-1)、(9-2)、(9-3)、(9-4)で表され ることを特徴とする前記9に記載の有機エレ トロルミネッセンス素子。

(式中、Aの少なくとも3つはベンゼン環の互い に隣接する炭素原子に結合する。R 71 、R 72 、R 73 は水素原子または置換基を表すが、互いに結 合して環を形成することはない。
複数のR 71 、R 72 、R 73 は同じでも異なっていてもよい。n71、n72、n76 は3、4の整数を表し、n73、n74、n75は1、2の整 を表すが、n71+n73、n72+n74、n75+n76はそれぞれ5 表す。X 71 ~X 75 は窒素原子または-CR 7 を表す。但し、R 7 は水素原子または置換基を表す。Aは前記一 式(1)のAが表す一般式(A)と同義である。)
 11.前記一般式(9-1)、(9-2)、(9-3)、(9-4)がそれ れ下記一般式(10-1)、(10-2)、(10-3)、(10-4)で表 れることを特徴とする前記10に記載の有機エ レクトロルミネッセンス素子。

(式中、Aの少なくとも3つはベンゼン環の互い に隣接する炭素原子に結合する。R 71 、R 72 、R 73 は水素原子または置換基を表すが、互いに結 合して環を形成することはない。複数のR 71 、R 72 、R 73 は同じでも異なっていてもよい。n71、n72、n76 は3、4の整数を表し、n73、n74、n75は1、2の整 を表すが、n71+n73、n72+n74、n75+n76はそれぞれ5 表す。R 101 ~R 105 は水素原子または置換基を表す。Aは前記一 式(1)のAが表す一般式(A)と同義である。)
 12.前記一般式(8-1)、(8-2)、(8-3)、(8-4)がそれ れ下記一般式(11-1)、(11-2)、(11-3)、(11-4)で表 れることを特徴とする前記9に記載の有機エ クトロルミネッセンス素子。

(式中、R 101 ~R 105 は水素原子または置換基を表す。Aは前記一 式(1)のAが表す一般式(A)と同義である。)
 13.前記一般式(1)が下記一般式(12)で表される ことを特徴とする前記1に記載の有機エレク ロルミネッセンス素子。

(式中、Aの少なくとも3つはX 76 ~X 80 で形成される環、X 81 ~X 85 で形成される環の互いに隣接する炭素原子に 結合する。R 71 、R 72 は水素原子または置換基を表すが、互いに結 合して環を形成することはない。複数のR 71 、R 72 は同じでも異なっていてもよい。n71、n72は3 4の整数を表し、n73、n74は1、2の整数を表す 、n71+n73、n72+n74はそれぞれ4または5を表す。X 121 は酸素原子、硫黄原子、
-NR 8a 、-C(R 8b )(R 8c )または-Si(R 8d )(R 8e )表し、X 122 、X 123 は窒素原子または-CR 7 を表す。但し、R 8a 、R 8b 、R 8c 、R 8d 、R 8e は水素原子、アルキル基、アリール基を表し 、R 7 は水素原子または置換基を表す。Aは前記一 式(1)のAが表す一般式(A)と同義である。)
 14.前記一般式(12)が下記一般式(12-1)で表され ることを特徴とする前記13に記載の有機エレ トロルミネッセンス素子。

(式中、Aの少なくとも3つはベンゼン環の互い に隣接する炭素原子に結合する。R 71 、R 72 は水素原子または置換基を表すが、互いに結 合して環を形成することはない。複数のR 71 、R 72 は同じでも異なっていてもよい。n71、n72は3 4の整数を表し、n73、n74は1、2の整数を表す 、n71+n73、n72+n74はそれぞれ4または5を表す。X 121 は酸素原子、硫黄原子、-NR 8a 、-C(R 8b )(R 8c )、または、-Si(R 8d )(R 8e )表す。X 122 、X 123 は窒素原子または-CR 7 を表す。但し、R 8a 、R 8b 、R 8c 、R 8d 、R 8e は水素原子、アルキル基、アリール基を表し 、R 7 は水素原子または置換基を表す。Aは前記一 式(1)のAが表す一般式(A)と同義である。)
 15.前記一般式(12-1)が下記一般式(12-2)で表さ ることを特徴とする前記14に記載の有機エ クトロルミネッセンス素子。

(式中、Aの少なくとも3つはベンゼン環の互い に隣接する炭素原子に結合する。R 71 、R 72 は水素原子または置換基を表すが、互いに結 合して環を形成することはない。複数のR 71 、R 72 は同じでも異なっていてもよい。n71、n72は3 4の整数を表し、n73、n74は1、2の整数を表す 、n71+n73、n72+n74はそれぞれ4または5を表す。A は前記一般式(1)のAが表す一般式(A)と同義で る。)
 16.前記一般式(12-1)が下記一般式(12-3)で表さ ることを特徴とする前記14に記載の有機エ クトロルミネッセンス素子。

(式中、Aの少なくとも3つはベンゼン環の互い に隣接する炭素原子に結合する。R 71 、R 72 は水素原子または置換基を表すが、互いに結 合して環を形成することはない。複数のR 71 、R 72 は同じでも異なっていてもよい。R 121 、R 122 は水素原子、アルキル基、アリール基を表し 、R 123 、R 124 は水素原子または置換基を表す。n71、n72は3 4の整数を表し、n73、n74は1、2の整数を表す 、n71+n73、n72+n74はそれぞれ4または5を表す。A は前記一般式(1)のAが表す一般式(A)と同義で る。)
 17.前記一般式(A)が下記一般式(A1)で表される ことを特徴とする前記1~16のいずれか1項に記 の有機エレクトロルミネッセンス素子。

(式中、R a1 、R a2 、R a3 、R a4 は水素原子または置換基を表す。*はArとの結 合部位を表す。)
 18.前記一般式(A)が下記一般式(A2)で表される ことを特徴とする前記1~16のいずれか1項に記 の有機エレクトロルミネッセンス素子。

(式中、R b1 、R b2 、R b3 は水素原子または置換基を表す。*はArとの結 合部位を表す。)
 19.前記一般式(A)が下記一般式(A3)で表される ことを特徴とする前記1~16のいずれか1項に記 の有機エレクトロルミネッセンス素子。

(式中、R c1 、R c2 、R c3 は水素原子または置換基を表す。*はArとの結 合部位を表す。)
 20.前記一般式(A)が下記一般式(A4)で表される ことを特徴とする前記1~16のいずれか1項に記 の有機エレクトロルミネッセンス素子。

(式中、R d1 、R d2 は水素原子または置換基を表す。*はArとの結 合部位を表す。)
 21.電子輸送層または正孔阻止層が前記一般 (1)~一般式(12-3)で表される化合物の少なくと も一つを含むことを特徴とする前記1~20のい れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセ ス素子。

 22.発光層が前記一般式(1)~一般式(12-3)で表 される化合物の少なくとも一つを含むことを 特徴とする前記1~20のいずれか1項に記載の有 エレクトロルミネッセンス素子。

 23.ホスト化合物及びリン光性化合物を含 し、該ホスト化合物が前記一般式(1)~一般式 (12-3)で表される化合物から選ばれる少なくと も1種の化合物であることを特徴とする前記1~ 22のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミ ネッセンス素子。

 24.ホスト化合物、リン光性化合物及び電 輸送性化合物を含有し、該電子輸送性化合 が前記一般式(1)~一般式(12-3)で表される化合 物から選ばれる少なくとも1種の化合物であ ことを特徴とする前記1~23のいずれか1項に記 載の有機エレクトロルミネッセンス素子。

 25.前記リン光性化合物がイリジウム化合 または白金化合物であることを特徴とする 記23または24に記載の有機エレクトロルミネ ッセンス素子。

 26.前記リン光性化合物がイリジウム化合 であることを特徴とする前記25に記載の有 エレクトロルミネッセンス素子。

 27.有機層がウェットプロセスによって形 されることを特徴とする前記1~26のいずれか 1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス 子。

 28.前記1~27のいずれか1項に記載の有機エ クトロルミネッセンス素子を備えたことを 徴とする表示装置。

 29.前記1~27のいずれか1項に記載の有機エ クトロルミネッセンス素子を備えたことを 徴とする照明装置。

 本発明により、高い発光輝度を示し、且 低駆動電圧の有機エレクトロルミネッセン 素子、及び該素子を用いた照明装置、表示 置を提供することができた。

有機EL素子から構成される表示装置の 例を示した模式図である。 表示部Aの模式図である。 画素の模式図である。 パッシブマトリクス方式フルカラー表 装置の模式図である。 照明装置の概略図である。 照明装置の模式図である。

符号の説明

 1 ディスプレイ
 3 画素
 5 走査線
 6 データ線
 7 電源ライン
 10 有機EL素子
 11 スイッチングトランジスタ
 12 駆動トランジスタ
 13 コンデンサ
 A 表示部
 B 制御部
 102 ガラスカバー
 105 陰極
 106 有機EL層
 107 透明電極付きガラス基板
 108 窒素ガス
 109 捕水剤

 以下、本発明を詳細に説明する。

 本発明者等は、鋭意検討の結果、前記一 式(1)~(12-3)で表される化合物を少なくとも1 用いることにより、高い発光輝度を示し、 つ低駆動電圧の有機エレクトロルミネッセ ス素子(有機EL素子とも言う)、及び該有機EL 子を有する照明装置、表示装置を提供でき ことを見いだした。併せて、上記の化合物 組み合わせることにより、高効率なフルカ ー画像表示装置が得られることが判った。

 本発明の有機EL素子とは、該有機EL素子を 構成する少なくとも一つの層に前記一般式(1) ~(12-3)で表される化合物の少なくとも1種を含 することが、本発明に記載の効果を得るた の必須要件であるが、好ましくは上記の化 物を発光層、正孔阻止層または電子輸送層 含有せしめることである。

 ピリジン誘導体やピリミジン誘導体等の 素環誘導体は、電子輸送材料として知られ いるが、その分子構造を本発明の一般式(1) ら(12-3)のように対称性を低下、もしくは非 称化させることにより、素子の駆動電圧を 来の化合物に比べて大きく低下させること 分かった。

 更に本発明に係る化合物は単環または二 の芳香族環、または芳香族複素環であり、 お且つ少なくとも一つの水素原子を有する 格を母核とする点に特徴がある。また、こ 母核に3個以上5個以下の複素環が置換され わけであるが、その少なくとも3個は必ず母 であるArの互いに隣接する炭素原子に結合 る。これらの構造的な特徴により、本発明 見られるような高い発光効率と駆動電圧の 下を達成するに至った。

 本発明に使用されるような多置換ベンゼ 誘導体が、使用できるようになった背景に 最近の新しい合成法の開発によるところが きい。従来このような多置換ベンゼン誘導 は、アルキンを三量化することによる合成 が知られていたが、この方法によると対称 のベンゼン誘導体しか得ることができない

 最近の多置換ベンゼン誘導体の新しい合成 によれば、ハロゲン化アリールと芳香族化 物をルテニウム触媒と有機リン化合物の存 下でカップリングさせ、ビアリール構造を るものであるが、この反応時に金属触媒を いることにより、ハロゲン化アリールと芳 族化合物の炭素-水素結合のカップリングで sp 2 炭素同士の結合を一度に複数形成させること ができる。この合成法によれば、従来、合成 の難易度の高かった非対称型の多置換芳香族 化合物についても効率よく合成できる。この 合成法は、多置換ピリジン誘導体、多置換ピ リミジン誘導体等への応用も可能であること が分かった。従って、本発明のように一般式 (1)から(12-3)のような対称性が低下、もしくは 非対称化の分子構造でも合成可能なことが分 かった。

 この合成法は、合成工程の簡略化による 置換芳香族化合物の収率向上、新規多置換 香族化合物の製造、更には多置換芳香族化 物を製造時の安全性、環境への調和性を向 させることができる。

 以下、本発明に係る各構成要素の詳細に いて、順次説明する。

 ここで、本発明に係る前記一般式(1)~(12-3) で表される化合物について説明する。

 一般式(1)において、Arは単環または二環 芳香族環、または芳香族複素環を表すが、 なくとも一つの水素原子を有する。n1は3、4 たは5の整数を表す。

 Aは一般式(A)で表されるが、複数のAは互い 同じでも異なってもよい。X 11 、X 12 は窒素原子またはCR 13 を表す。R 11 、R 12 、R 13 は水素原子または置換基を表すが、互いに結 合して環を形成することはない。X 11 とX 12 のいずれもCR 13 で表される場合、R 13 は同じでも異なっていてもよい。Arに結合す Aの少なくとも3つはArの互いに隣接する炭素 原子に結合する。*はArとの結合部位を表す。

 R 11 、R 12 、R 13 が表す置換基としては、アルキル基(例えば メチル基、エチル基、プロピル基、イソプ ピル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル 基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基 、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シ ロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、 クロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例え ば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香 炭化水素環基(芳香族炭素環基、アリール基 とも言い、例えば、フェニル基、p-クロロ ェニル基、メシチル基、トリル基、キシリ 基、ナフチル基、アントリル基、アズレニ 基、アセナフテニル基、フルオレニル基、 ェナントリル基、インデニル基、ピレニル 、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例え ば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基 、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミ ダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、 トリアゾリル基(例えば、1,2,4-トリアゾール-1 -イル基、1,2,3-トリアゾール-1-イル基等)、オ サゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チア リル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾ ル基、フラザニル基、チエニル基、キノリ 基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、 ンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、イ ドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル 、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル 基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つ が窒素原子で置き換わったものを示す)、キ キサリニル基、ピリダジニル基、トリアジ ル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等) 複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾ リジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基 等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エ キシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキ 基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基 ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基 (例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロ キシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例え ば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、 ルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチ チオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基 ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシ チオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチ 基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチ オ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカル ニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基 エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシ ルボニル基、オクチルオキシカルボニル基 ドデシルオキシカルボニル基等)、アリール オキシカルボニル基(例えば、フェニルオキ カルボニル基、ナフチルオキシカルボニル 等)、スルファモイル基(例えば、アミノスル ホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメ チルアミノスルホニル基、ブチルアミノスル ホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シ クロヘキシルアミノスルホニル基、オクチル アミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホ ニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフ チルアミノスルホニル基、2-ピリジルアミノ ルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチ 基、エチルカルボニル基、プロピルカルボ ル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキ ルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2- エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカル ボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチル カルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、 シルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、 チルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニ オキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、 デシルカルボニルオキシ基、フェニルカル ニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチ カルボニルアミノ基、エチルカルボニルア ノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロ ルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニ アミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミ 基、2-エチルヘキシルカルボニルアミノ基、 オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカル ボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ 基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カル モイル基(例えば、アミノカルボニル基、メ ルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカ ボニル基、プロピルアミノカルボニル基、 ンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシ アミノカルボニル基、オクチルアミノカル ニル基、2-エチルヘキシルアミノカルボニ 基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニ アミノカルボニル基、ナフチルアミノカル ニル基、2-ピリジルアミノカルボニル基等) ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エ ルウレイド基、ペンチルウレイド基、シク ヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基 ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基 ナフチルウレイド基、2-ピリジルアミノウ イド基等)、スルフィニル基(例えば、メチル スルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブ チルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフ ィニル基、2-エチルヘキシルスルフィニル基 ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフ ニル基、ナフチルスルフィニル基、2-ピリ ルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル (例えば、メチルスルホニル基、エチルスル ホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキ シルスルホニル基、2-エチルヘキシルスルホ ル基、ドデシルスルホニル基等)、アリール スルホニル基またはヘテロアリールスルホニ ル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフ ルスルホニル基、2-ピリジルスルホニル基等 )、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミ 基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、 クロペンチルアミノ基、2-エチルヘキシル ミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、 フチルアミノ基、2-ピリジルアミノ基等)、 ロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子 臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、 ルオロメチル基、トリフルオロメチル基、 ンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフ ニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキ 基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリ メチルシリル基、トリイソプロピルシリル基 、トリフェニルシリル基、フェニルジエチル シリル基等)等が挙げられる。これらの置換 は、上記の置換基によって更に置換されて てもよい。更に高分子鎖を形成する置換基 あってもよい。

 これらの置換基の中で、好ましくはアル ル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環 である。

 Arが表す単環または二環の芳香族環とし は、一般式(2)、(3)が示すようにベンゼン、 フタレンが好ましい。

 Arが表す芳香族複素環としては、ピリジ 、ピリミジン、ピロール、フラン、チオフ ン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イ ドール、イソキノリン、キノキサリン、フ ラジン等が挙げられるが、一般式(4)、(5)が すようにピリジン、ピリミジンが好ましい

 一般式(2)において、Aの少なくとも3つはベ ゼン環の互いに隣接する炭素原子に結合す 。R 21 は水素原子または置換基を表すが、互いに結 合して環を形成することはない。複数のR 21 は同じでも異なっていてもよい。n21は3、4、5 の整数を表し、n22は1、2、3の整数を表すが、 n21+n22は6を表す。Aは前記一般式(1)のAが表す 般式(A)と同義である。

 R 21 が表す置換基は、一般式(1)におけるR 11 、R 12 、R 13 が表す置換基と同義である。

 一般式(3)において、Aの少なくとも3つはナ タレン環の互いに隣接する炭素原子に結合 る。R 22 は水素原子または置換基を表すが、互いに結 合して環を形成することはない。複数のR 22 は同じでも異なっていてもよい。n31は3、4、5 の整数を表し、n32は3、4、5の整数を表すが、 n31+n32は8を表す。Aは前記一般式(1)のAが表す 般式(A)と同義である。

 R 22 が表す置換基は、一般式(1)におけるR 11 、R 12 、R 13 が表す置換基と同義である。

 一般式(4)において、Aの少なくとも3つはピ ジン環の互いに隣接する炭素原子に結合す 。R 31 は水素原子または置換基を表すが、互いに結 合して環を形成することはない。複数のR 31 は同じでも異なっていてもよい。n4は3、4の 数を表し、n5は1、2の整数を表すが、n4+n5は5 表す。Aは前記一般式(1)のAが表す一般式(A) 同義である。

 R 31 が表す置換基は、一般式(1)におけるR 11 、R 12 、R 13 が表す置換基と同義である。

 一般式(5)において、Aは前記一般式(1)のA 表す一般式(A)と同義である。

 一般式(6)において、Aの少なくとも3つはベ ゼン環の互いに隣接する炭素原子に結合す 。R 61 、R 62 は水素原子または置換基を表すが、互いに結 合して環を形成することはない。複数のR 61 、R 62 は同じでも異なっていてもよい。n61、n62は3 4の整数を表し、n63、n64は1、2の整数を表す 、n61+n62+n63+n64は10を表す。Aは前記一般式(1) Aが表す一般式(A)と同義である。

 R 61 、R 62 が表す置換基は、一般式(1)におけるR 11 、R 12 、R 13 が表す置換基と同義である。

 一般式(7)において、Aの少なくとも3つはX 76 ~X 80 で形成される環、X 81 ~X 85 で形成される環の互いに隣接する炭素原子に 結合する。R 71 、R 72 は水素原子または置換基を表すが、互いに結 合して環を形成することはない。複数のR 71 、R 72 は同じでも異なっていてもよい。n71、n72は3 4の整数を表し、n73、n74は1、2の整数を表す 、n71+n73、n72+n74はそれぞれ4または5を表す。X 71 ~X 86 は窒素原子または-CR 7 を表す。但し、R 7 は水素原子または置換基を表す。m7は1または 2の整数を表す。Aは前記一般式(1)のAが表す一 般式(A)と同義である。

 R 71 、R 72 、R 7 が表す置換基は、一般式(1)におけるR 11 、R 12 、R 13 が表す置換基と同義である。

 一般式(8-1)、(8-2)、(8-3)、(8-4)において、Aの なくとも3つはX 76 ~X 80 で形成される環、X 81 ~X 85 で形成される環、X 86 ~X 90 で形成される環の互いに隣接する炭素原子に 結合する。R 71 、R 72 、R 73 は水素原子または置換基を表すが、互いに結 合して環を形成することはない。複数のR 71 、R 72 、R 73 は同じでも異なっていてもよい。n71、n72、n76 は3、4の整数を表し、n73、n74、n75は1、2の整 を表すが、n71+n73、n72+n74、n75+n76はそれぞれ4 たは5を表す。X 71 ~X 90 は窒素原子または-CR 7 を表す。但し、R 7 は水素原子または置換基を表す。Aは前記一 式(1)のAが表す一般式(A)と同義である。

 R 71 、R 72 、R 73 、R 7 が表す置換基は、一般式(1)におけるR 11 、R 12 、R 13 が表す置換基と同義である。

 一般式(9-1)、(9-2)、(9-3)、(9-4)において、Aの なくとも3つはベンゼン環の互いに隣接する 炭素原子に結合する。R 71 、R 72 、R 73 は水素原子または置換基を表すが、互いに結 合して環を形成することはない。複数のR 71 、R 72 、R 73 は同じでも異なっていてもよい。n71、n72、n76 は3、4の整数を表し、n73、n74、n75は1、2の整 を表すが、n71+n73、n72+n74、n75+n76はそれぞれ5 表す。X 71 ~X 75 は窒素原子または-CR 7 を表す。但し、R 7 は水素原子または置換基を表す。Aは前記一 式(1)のAが表す一般式(A)と同義である。

 R 71 、R 72 、R 73 、R 7 が表す置換基は、一般式(1)におけるR 11 、R 12 、R 13 が表す置換基と同義である。

 一般式(10-1)、(10-2)、(10-3)、(10-4)において、 中、Aの少なくとも3つはベンゼン環の互い 隣接する炭素原子に結合する。R 71 、R 72 、R 73 は水素原子または置換基を表すが、互いに結 合して環を形成することはない。複数のR 71 、R 72 、R 73 は同じでも異なっていてもよい。n71、n72、n76 は3、4の整数を表し、n73、n74、n75は1、2の整 を表すが、n71+n73、n72+n74、n75+n76はそれぞれ5 表す。R 101 ~R 105 は水素原子または置換基を表す。Aは前記一 式(1)のAが表す一般式(A)と同義である。

 R 71 、R 72 、R 73 が表す置換基は、一般式(1)におけるR 11 、R 12 、R 13 が表す置換基と同義である。

 一般式(11-1)、(11-2)、(11-3)、(11-4)において、R 101 ~R 105 は水素原子または置換基を表す。Aは前記一 式(1)のAが表す一般式(A)と同義である。

 R 101 ~R 105 が表す置換基は、一般式(1)におけるR 11 、R 12 、R 13 が表す置換基と同義である。

 一般式(12)において、Aの少なくとも3つはX 76 ~X 80 で形成される環、X 81 ~X 85 で形成される環の互いに隣接する炭素原子に 結合する。R 71 、R 72 は水素原子または置換基を表すが、互いに結 合して環を形成することはない。複数のR 71 、R 72 は同じでも異なっていてもよい。n71、n72は3 4の整数を表し、n73、n74は1、2の整数を表す 、n71+n73、n72+n74はそれぞれ4または5を表す。X 121 は酸素原子、硫黄原子、-NR 8a 、-C(R 8b )(R 8c )または-Si(R 8d )(R 8e )表し、X 122 、X 123 は窒素原子または-CR 7 を表す。但し、R 8a 、R 8b 、R 8c 、R 8d 、R 8e は水素原子、アルキル基、アリール基を表し 、R 7 は水素原子または置換基を表す。Aは前記一 式(1)のAが表す一般式(A)と同義である。

 R 71 、R 72 、R 7 が表す置換基は、一般式(1)におけるR 11 、R 12 、R 13 が表す置換基と同義である。

 一般式(12-1)において、Aの少なくとも3つは ンゼン環の互いに隣接する炭素原子に結合 る。R 71 、R 72 は水素原子または置換基を表すが、互いに結 合して環を形成することはない。複数のR 71 、R 72 は同じでも異なっていてもよい。n71、n72は3 4の整数を表し、n73、n74は1、2の整数を表す 、n71+n73、n72+n74はそれぞれ4または5を表す。X 121 は酸素原子、硫黄原子、-NR 8a 、-C(R 8b )(R 8c )、または、-Si(R 8d )(R 8e )表す。X 122 、X 123 は窒素原子または-CR 7 を表す。但し、R 8a 、R 8b 、R 8c 、R 8d 、R 8e は水素原子、アルキル基、アリール基を表し 、R 7 は水素原子または置換基を表す。Aは前記一 式(1)のAが表す一般式(A)と同義である。

 R 71 、R 72 、R 7 が表す置換基は、一般式(1)におけるR 11 、R 12 、R 13 が表す置換基と同義である。

 一般式(12-2)において、Aの少なくとも3つは ンゼン環の互いに隣接する炭素原子に結合 る。R 71 、R 72 は水素原子または置換基を表すが、互いに結 合して環を形成することはない。複数のR 71 、R 72 は同じでも異なっていてもよい。n71、n72は3 4の整数を表し、n73、n74は1、2の整数を表す 、n71+n73、n72+n74はそれぞれ4または5を表す。A は前記一般式(1)のAが表す一般式(A)と同義で る。

 R 71 、R 72 が表す置換基は、一般式(1)におけるR 11 、R 12 、R 13 が表す置換基と同義である。

 一般式(12-3)において、Aの少なくとも3つは ンゼン環の互いに隣接する炭素原子に結合 る。R 71 、R 72 は水素原子または置換基を表すが、互いに結 合して環を形成することはない。複数のR 71 、R 72 は同じでも異なっていてもよい。R 121 、R 122 は水素原子、アルキル基、アリール基を表し 、R 123 、R 124 は水素原子または置換基を表す。n71、n72は3 4の整数を表し、n73、n74は1、2の整数を表す 、n71+n73、n72+n74はそれぞれ4または5を表す。A は前記一般式(1)のAが表す一般式(A)と同義で る。

 R 71 、R 72 、R 123 、R 124 が表す置換基は、一般式(1)におけるR 11 、R 12 、R 13 が表す置換基と同義である。

 次に、一般式(A1)~(A4)について説明する。

 一般式(A1)において、R a1 、R a2 、R a3 、R a4 は水素原子または置換基を表す。*はArとの結 合部位を表す。R a1 、R a2 、R a3 、R a4 が表す置換基は、一般式(1)におけるR 11 、R 12 、R 13 が表す置換基と同義である。

 一般式(A2)において、R b1 、R b2 、R b3 は水素原子または置換基を表す。*はArとの結 合部位を表す。R b1 、R b2 、R b3 が表す置換基は、一般式(1)におけるR 11 、R 12 、R 13 が表す置換基と同義である。

 一般式(A3)において、R c1 、R c2 、R c3 は水素原子または置換基を表す。*はArとの結 合部位を表す。R c1 、R c2 、R c3 が表す置換基は、一般式(1)におけるR 11 、R 12 、R 13 が表す置換基と同義である。

 一般式(A4)において、R d1 、R d2 は水素原子または置換基を表す。*はArとの結 合部位を表す。R d1 、R d2 が表す置換基は、一般式(1)におけるR 11 、R 12 、R 13 が表す置換基と同義である。

 以下、一般式(1)~(12-3)で表される本発明に 係る化合物の具体例を以下に示す。

 以下に代表的な化合物の合成例を示す。

 例示化合物1、2の合成
 窒素雰囲気下、2-フェニルピリジン(1.0mmol) ルテニウム錯体[(η 6 -C 6 H 6 )RuCl 2 ] 2 (0.05mmol)、トリフェニルホスフィン(0.2mmol)、 酸カリウム(12mmol)をNMP(N-メチル-2-ピロリドン )3ml中で混合した。温度を140℃に昇温し、そ へ2-ブロモピリジン(8.0mmol)のNMP(N-メチル-2-ピ ロリドン)(2.0ml)溶液を20時間かけて滴下し(シ ンジポンプ使用)、更に4時間その温度で攪 した。

 反応液を室温まで冷却後、ジクロロメタン5 mlを加え、反応液を濾過する。濾液は減圧下 溶媒を留去し(800Pa、80℃)、(N-メチル-2-ピロ ドン)残渣をシリカゲルフラッシュクロマト グラフィー(CH 2 Cl 2 :Et 3 N=20:1~10:1)にて精製した。

 各フラクションを集めて溶媒を減圧下に 去後、残渣をジクロロメタンに再び溶解し 水で3回洗浄後した。有機相を無水硫酸マグ ネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下に留去して 例示化合物1、2を得た。例示化合物1は68%の収 率であり、例示化合物2は微量であった。

 例示化合物7の合成
 窒素雰囲気下、2-フェニルピリミジン(1.0mmol )、ルテニウム錯体[(η 6 -C 6 H 6 )RuCl 2 ] 2 (0.05mmol)、トリフェニルホスフィン(0.2mmol)、 酸カリウム(12mmol)をNMP(N-メチル-2-ピロリドン )3ml中で混合した。温度を140℃に昇温し、そ へ2-ブロモピリミジン(8.0mmol)のNMP(N-メチル-2- ピロリドン)(2.0ml)溶液を20時間かけて滴下し( リンジポンプ使用)、更に4時間その温度で 拌した。

 反応液を室温まで冷却後、ジクロロメタン5 mlを加え、反応液を濾過する。濾液は減圧下 溶媒を留去し(800Pa、80℃)、残渣をシリカゲ フラッシュクロマトグラフィー(CH 2 Cl 2 :Et 3 N=20:1~10:1)にて精製した。

 各フラクションを集めて溶媒を減圧下に 去後、残渣をジクロロメタンに再び溶解し 水で3回洗浄後した。有機層を無水硫酸マグ ネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下に留去して 例示化合物7を収率52%で得た。

 《本発明に係る化合物の有機EL素子への適 》
 本発明に係る化合物を用いて本発明の有機E L素子を作製する場合、有機EL素子の構成層( 細は後述する)の中で、発光層、正孔阻止層 たは電子輸送層に本発明に係る化合物を用 ることが好ましい。また、発光層中では上 のようにホスト化合物(発光ホストとも言う )として好ましく用いられる。

 (発光ホストと発光ドーパント)
 発光層中の主成分であるホスト化合物であ 発光ホストに対するリン光性化合物(発光ド ーパントとも言う)との混合比は、好ましく 質量で0.1~30質量%未満の範囲に調整すること ある。

 発光ドーパントは大きく分けて、蛍光を 光する蛍光性ドーパントとリン光を発光す リン光性ドーパントの2種類がある。

 前者(蛍光性ドーパント)の代表例として 、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニ 系色素、クロコニウム系色素、スクアリウ 系色素、オキソベンツアントラセン系色素 フルオレセイン系色素、ローダミン系色素 ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチ ベン系色素、ポリチオフェン系色素、また 希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。

 後者(リン光性ドーパント)の代表例とし は、好ましくは元素周期表で8族、9族、10族 遷移金属元素を含有する錯体系化合物であ 、更に好ましくはイリジウム錯体化合物、 金錯体化合物である。

 具体的には以下の特許公報に記載されて る化合物である。

 国際公開第00/70655号パンフレット、特開20 02-280178号公報、特開2001-181616号公報、特開2002 -280179号公報、特開2001-181617号公報、特開2002-2 80180号公報、特開2001-247859号公報、特開2002-299 060号公報、特開2001-313178号公報、特開2002-30267 1号公報、特開2001-345183号公報、特開2002-324679 公報、国際公開第02/15645号パンフレット、 開2002-332291号公報、特開2002-50484号公報、特 2002-332292号公報、特開2002-83684号公報、特表20 02-540572号公報、特開2002-117978号公報、特開2002 -338588号公報、特開2002-170684号公報、特開2002-3 52960号公報、国際公開第01/93642号パンフレッ 、特開2002-50483号公報、特開2002-100476号公報 特開2002-173674号公報、特開2002-359082号公報、 開2002-175884号公報、特開2002-363552号公報、特 開2002-184582号公報、特開2003-7469号公報、特表2 002-525808号公報、特開2003-7471号公報、特表2002- 525833号公報、特開2003-31366号公報、特開2002-226 495号公報、特開2002-234894号公報、特開2002-23507 6号公報、特開2002-241751号公報、特開2001-319779 公報、特開2001-319780号公報、特開2002-62824号 報、特開2002-100474号公報、特開2002-203679号公 報、特開2002-343572号公報、特開2002-203678号公 等。

 以下に、具体例の一部を示す。

 更に、下記化合物も本発明において用い れる。

 (発光ホスト)
 本発明に用いられるホスト化合物とは、発 層に含有される化合物の内で室温(25℃)にお いてリン光発光のリン光量子収率が、0.01未 の化合物を表す。

 本発明に係る化合物と併用してもよい発 ホストとしては構造的には特に制限はない 、代表的にはカルバゾール誘導体、トリア ールアミン誘導体、芳香族ボラン誘導体、 窒素複素環化合物、チオフェン誘導体、フ ン誘導体、オリゴアリーレン化合物等の基 骨格を有するもの、またはカルボリン誘導 や該カルボリン誘導体のカルボリン環を構 する炭化水素環の炭素原子の少なくとも一 が窒素原子で置換されている環構造を有す 誘導体等が挙げられる。中でも、カルバゾ ル誘導体、カルボリン誘導体や該カルボリ 誘導体のカルボリン環を構成する炭化水素 の炭素原子の少なくとも一つが窒素原子で 換されている環構造を有する誘導体が好ま く用いられる。

 以下に、本発明に係る化合物と併用して よい発光ホストの具体例を挙げるが、本発 はこれらに限定されない。これらの化合物 正孔阻止材料として使用することも好まし 。

 本発明に係る発光層においては、ホスト 合物として公知のホスト化合物を複数種併 して用いてもよい。ホスト化合物を複数種 いることで、電荷の移動を調整することが 能であり、有機EL素子を高効率化すること できる。これらの公知のホスト化合物とし は、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、 つ発光の長波長化を防ぎ、なお且つ高Tg(ガ ス転移温度)である化合物が好ましい。

 また、本発明に用いられる発光ホストは 分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分 化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基の うな重合性基を有する低分子化合物(蒸着重 合性発光ホスト)でもいい。

 発光ホストとしては、正孔輸送能、電子 送能を有しつつ、且つ発光の長波長化を防 、なお且つ高Tg(ガラス転移温度)である化合 物が好ましい。

 発光ホストの具体例としては、以下の文 に記載されている化合物が好適である。例 ば、特開2001-257076号公報、特開2002-308855号公 報、特開2001-313179号公報、特開2002-319491号公 、特開2001-357977号公報、特開2002-334786号公報 特開2002-8860号公報、特開2002-334787号公報、 開2002-15871号公報、特開2002-334788号公報、特 2002-43056号公報、特開2002-334789号公報、特開20 02-75645号公報、特開2002-338579号公報、特開2002- 105445号公報、特開2002-343568号公報、特開2002-14 1173号公報、特開2002-352957号公報、特開2002-2036 83号公報、特開2002-363227号公報、特開2002-231453 号公報、特開2003-3165号公報、特開2002-234888号 報、特開2003-27048号公報、特開2002-255934号公 、特開2002-260861号公報、特開2002-280183号公報 、特開2002-299060号公報、特開2002-302516号公報 特開2002-305083号公報、特開2002-305084号公報、 開2002-308837号公報等。

 また、発光層はホスト化合物として更に 光極大波長を有するホスト化合物を含有し いてもよい。この場合、他のホスト化合物 リン光性化合物から蛍光性化合物へのエネ ギー移動で、有機EL素子としての電界発光 蛍光極大波長を有する他のホスト化合物か の発光も得られる。蛍光極大波長を有する スト化合物として好ましいのは、溶液状態 蛍光量子収率が高いものである。ここで、 光量子収率は10%以上、特に30%以上が好まし 。

 具体的な蛍光極大波長を有するホスト化 物としては、クマリン系色素、ピラン系色 、シアニン系色素、クロコニウム系色素、 クアリウム系色素、オキソベンツアントラ ン系色素、フルオレセイン系色素、ローダ ン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系 素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系 素等が挙げられる。蛍光量子収率は、前記 4版実験化学講座7の分光IIの362頁(1992年版、 善)に記載の方法により測定することができ る。

 次に、代表的な有機EL素子の構成につい 述べる。

 《有機EL素子の構成層》
 本発明の有機EL素子の構成層について説明 る。

 本発明の有機EL素子の層構成の好ましい 体例を以下に示すが、本発明はこれらに限 されない。

 (i)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子 輸送層/陰極
 (ii)陽極/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電 輸送層/陰極
 (iii)陽極/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正 阻止層/電子輸送層/陰極
 (iv)陽極/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正 阻止層/電子輸送層/陰極
 (v)陽極/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔 阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
 (vi)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/電子 阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極 ッファー層/陰極
 (vii)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/電 阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極 ッファー層/陰極
 《阻止層(電子阻止層、正孔阻止層)》
 本発明に係る阻止層(例えば、電子阻止層、 正孔阻止層)について説明する。本発明にお ては、正孔阻止層に本発明に係る化合物を いることが好ましい。

 本発明に係る化合物を正孔阻止層に含有 せる場合、本発明に係る化合物を正孔阻止 の層構成成分として100質量%の状態で含有さ せてもよいし、他の有機化合物等と混合して もよい。

 本発明に係る阻止層の膜厚としては好ま くは3~100nmであり、更に好ましくは5~30nmであ る。

 《正孔阻止層》
 正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の 能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ 孔を輸送する能力が著しく小さい材料から り、電子を輸送しつつ正孔を阻止すること 電子と正孔の再結合確率を向上させること できる。

 《電子阻止層》
 一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸 層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有 つつ電子を輸送する能力が著しく小さい材 からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止す ことで電子と正孔の再結合確率を向上させ ことができる。また、後述する正孔輸送層 構成を必要に応じて電子阻止層として用い ことができる。

 《正孔輸送層》
 正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有す 材料を含み、広い意味で正孔注入層、電子 止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層 単層もしくは複数層設けることができる。

 正孔輸送材料としては特に制限はなく、 来、光導伝材料において正孔の電荷注入輸 材料として慣用されているものや、有機EL 子の正孔注入層、正孔輸送層に使用される 知のものの中から任意のものを選択して用 ることができる。

 正孔輸送材料は正孔の注入もしくは輸送 電子の障壁性のいずれかを有するものであ 、有機物、無機物のいずれであってもよい 例えば、トリアゾール誘導体、オキサジア ール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリア ールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及 ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘 体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カ コン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリ アントラセン誘導体、フルオレノン誘導体 ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シ ザン誘導体、アニリン系共重合体、また導 性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリ マー等が挙げられる。

 正孔輸送材料としては上記のものを使用 ることができるが、ポルフィリン化合物、 香族第三級アミン化合物及びスチリルアミ 化合物、特に芳香族第三級アミン化合物を いることが好ましい。

 芳香族第三級アミン化合物及びスチリル ミン化合物の代表例としては、N,N,N″,N″- トラフェニル-4,4″-ジアミノフェニル;N,N″- フェニル-N,N″-ビス(3-メチルフェニル)-〔1,1 ″-ビフェニル〕-4,4″-ジアミン(TPD);2,2-ビス(4 -ジ-p-トリルアミノフェニル)プロパン;1,1-ビ (4-ジ-p-トリルアミノフェニル)シクロヘキサ ;N,N,N″,N″-テトラ-p-トリル-4,4″-ジアミノ フェニル;1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニ ル)-4-フェニルシクロヘキサン;ビス(4-ジメチ アミノ-2-メチルフェニル)フェニルメタン; ス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)フェニルメ ン;N,N″-ジフェニル-N,N″-ジ(4-メトキシフェ ニル)-4,4″-ジアミノビフェニル;N,N,N″,N″-テ トラフェニル-4,4″-ジアミノジフェニルエー ル;4,4″-ビス(ジフェニルアミノ)クオードリ フェニル;N,N,N-トリ(p-トリル)アミン;4-(ジ-p-ト リルアミノ)-4″-〔4-(ジ-p-トリルアミノ)スチ ル〕スチルベン;4-N,N-ジフェニルアミノ-(2- フェニルビニル)ベンゼン;3-メトキシ-4″-N,N- ジフェニルアミノスチルベンゼン;N-フェニル カルバゾール、更には米国特許第5,061,569号明 細書に記載されている2個の縮合芳香族環を 子内に有するもの、例えば、4,4″-ビス〔N-(1 -ナフチル)-N-フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD )、特開平4-308688号公報に記載されているトリ フェニルアミンユニットが3つスターバース 型に連結された4,4″,4′-トリス〔N-(3-メチル フェニル)-N-フェニルアミノ〕トリフェニル ミン(MTDATA)等が挙げられる。

 更にこれらの材料を高分子鎖に導入した またはこれらの材料を高分子の主鎖とした 分子材料を用いることもできる。また、p型 -Si、p型-SiC等の無機化合物も正孔注入材料、 孔輸送材料として使用することができる。

 この正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、 えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャ ト法、インクジェット法、LB法等の公知の 法により、薄膜化することにより形成する とができる。正孔輸送層の膜厚については に制限はないが、通常は5~5000nm程度である。 この正孔輸送層は上記材料の一種または二種 以上からなる一層構造であってもよい。

 《電子輸送層》
 電子輸送層とは電子を輸送する機能を有す 材料からなり、広い意味で電子注入層、正 阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送 は単層もしくは複数層を設けることができ 。

 従来、単層の電子輸送層、及び複数層と る場合は発光層に対して陰極側に隣接する 子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻 止材料を兼ねる)としては、下記の材料が知 れている。

 更に、電子輸送層は陰極より注入された 子を発光層に伝達する機能を有していれば く、その材料としては従来公知の化合物の から任意のものを選択して用いることがで る。

 この電子輸送層に用いられる材料(以下、 電子輸送材料と言う)の例としては、ニトロ 換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘 体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタ ンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無 物、カルボジイミド、フレオレニリデンメ ン誘導体、アントラキノジメタン及びアン ロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、カ ボリン誘導体、または該カルボリン誘導体 カルボリン環を構成する炭化水素環の炭素 子の少なくとも一つが窒素原子で置換され いる環構造を有する誘導体等が挙げられる

 更に上記オキサジアゾール誘導体におい 、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原 に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸 性基として知られているキノキサリン環を するキノキサリン誘導体も電子輸送材料と て用いることができる。更にこれらの材料 高分子鎖に導入した、またはこれらの材料 高分子の主鎖とした高分子材料を用いるこ もできる。

 また、8-キノリノール誘導体の金属錯体 例えば、トリス(8-キノリノール)アルミニウ (Alq)、トリス(5,7-ジクロロ-8-キノリノール) ルミニウム、トリス(5,7-ジブロモ-8-キノリノ ール)アルミニウム、トリス(2-メチル-8-キノ ノール)アルミニウム、トリス(5-メチル-8-キ リノール)アルミニウム、ビス(8-キノリノー ル)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心 金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替 った金属錯体も電子輸送材料として用いる とができる。

 その他、メタルフリーもしくはメタルフ ロシアニン、またはそれらの末端がアルキ 基やスルホン酸基等で置換されているもの 電子輸送材料として好ましく用いることが きる。また、発光層の材料として例示した スチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料 して用いることができるし、正孔注入層、 孔輸送層と同様にn型-Si、n型-SiC等の無機半 体も電子輸送材料として用いることができ 。

 この電子輸送層は上記電子輸送材料を、 えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャ ト法、インクジェット法、LB法等の公知の 法により、薄膜化することにより形成する とができる。電子輸送層の膜厚については に制限はないが、通常は5~5000nm程度である。 この電子輸送層は上記材料の一種または二種 以上からなる一層構造であってもよい。

 《注入層》:電子注入層、正孔注入層
 注入層は必要に応じて設け、電子注入層と 孔注入層があり、陽極と発光層または正孔 送層の間、及び陰極と発光層または電子輸 層との間に存在させてもよい。

 注入層とは駆動電圧低下や発光輝度向上 ために電極と有機層間に設けられる層のこ で、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年 11月30日 エヌ・ティー・エス社発行)」の第2 第2章「電極材料」(123~166頁)に詳細に記載さ れており、正孔注入層(陽極バッファー層)と 子注入層(陰極バッファー層)とがある。

 陽極バッファー層(正孔注入層)は特開平9- 45479号、同9-260062号、同8-288069号の各公報等に もその詳細が記載されており、具体例として 、銅フタロシアニンに代表されるフタロシア ニンバッファー層、酸化バナジウムに代表さ れる酸化物バッファー層、アモルファスカー ボンバッファー層、ポリアニリン(エメラル ィン)やポリチオフェン等の導電性高分子を いた高分子バッファー層等が挙げられる。

 陰極バッファー層(電子注入層)は特開平6- 325871号、同9-17574号、同10-74586号の各公報等に もその詳細が記載されており、具体的にはス トロンチウムやアルミニウム等に代表される 金属バッファー層、フッ化リチウムに代表さ れるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ 化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金 属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに 代表される酸化物バッファー層等が挙げられ る。

 上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜 あることが望ましく、素材にもよるがその 厚は0.1~100nmの範囲が好ましい。

 この注入層は上記材料を、例えば、真空 着法、スピンコート法、キャスト法、イン ジェット法、LB法等の公知の方法により、 膜化することにより形成することができる 注入層の膜厚については特に制限はないが 通常は5~5000nm程度である。この注入層は上記 材料の一種または二種以上からなる一層構造 であってもよい。

 《陽極》
 本発明の有機EL素子に係る陽極としては、 事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝 導性化合物及びこれらの混合物を電極物質と するものが好ましく用いられる。このような 電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI インジウムチンオキシド(ITO)、SnO 2 、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また 、IDIXO(In 2 O 3 -ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料 用いてもよい。

 陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッ リング等の方法により薄膜を形成させ、フ トリソグラフィー法で所望の形状のパター を形成してもよく、あるいはパターン精度 あまり必要としない場合は(100μm以上程度) 上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に 望の形状のマスクを介してパターンを形成 てもよい。この陽極より発光を取り出す場 には、透過率を10%より大きくすることが望 しく、また陽極としてのシート抵抗は数百ω /□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよ が、通常10~1000nm、好ましくは10~200nmの範囲で 選ばれる。

 《陰極》
 一方、本発明に係る陰極としては、仕事関 の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称 る)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの 混合物を電極物質とするものが用いられる。 このような電極物質の具体例としては、ナト リウム、ナトリウム-カリウム合金、マグネ ウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、 グネシウム/銀混合物、マグネシウム/アル ニウム混合物、マグネシウム/インジウム混 物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al 2 O 3 )混合物、インジウム、リチウム/アルミニウ 混合物、希土類金属等が挙げられる。

 これらの中で、電子注入性及び酸化等に対 る耐久性の点から、電子注入性金属とこれ り仕事関数の値が大きく安定な金属である 二金属との混合物、例えば、マグネシウム/ 銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合 、マグネシウム/インジウム混合物、アルミ ウム/酸化アルミニウム(Al 2 O 3 )混合物、リチウム/アルミニウム混合物、ア ミニウム等が好適である。

 陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッ リング等の方法により、薄膜を形成させる とにより作製することができる。また、陰 としてのシート抵抗は数百ω/□以下が好ま く、膜厚は通常10~1000nm、好ましくは50~200nm 範囲で選ばれる。なお発光を透過させるた 、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一 方が透明または半透明であれば、発光輝度が 向上し好都合である。

 《基体(基板、基材、支持体等とも言う)》
 本発明の有機EL素子に係る基体としては、 ラス、プラスチック等の種類には特に限定 なく、また透明のものであれば特に制限は いが、好ましく用いられる基板としては、 えば、ガラス、石英、光透過性樹脂フィル を挙げることができる。特に好ましい基体 、有機EL素子にフレキシブル性を与えること が可能な樹脂フィルムである。

 樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエ レンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナ タレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、 リエーテルイミド、ポリエーテルエーテル トン、ポリフェニレンスルフィド、ポリア レート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC) 、セルローストリアセテート(TAC)、セルロー アセテートプロピオネート(CAP)等からなる ィルム等が挙げられる。

 樹脂フィルムの表面には、無機物もしくは 機物の被膜またはその両者のハイブリッド 膜が形成されていてもよく、水蒸気透過率 0.01g/m 2 ・day以下の高バリア性フィルムであることが 好ましい。

 本発明の有機EL素子の発光の室温におけ 外部取り出し効率は1%以上であることが好ま しく、より好ましくは2%以上である。ここに 外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に 光した光子数/有機EL素子に流した電子数×10 0である。

 また、カラーフィルター等の色相改良フ ルター等を併用してもよい。

 照明用途で用いる場合には、発光ムラを 減させるために粗面加工したフィルム(アン チグレアフィルム等)を併用することもでき 。

 多色表示装置として用いる場合は、少な とも2種類の異なる発光極大波長を有する有 機EL素子からなるが、有機EL素子を作製する 適な例を説明する。

 《有機EL素子の作製方法》
 本発明の有機EL素子の作製方法の一例とし 、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔 止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極か なる有機EL素子の作製法について説明する

 まず、適当な基体上に所望の電極物質、 えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、 好ましくは10~200nmの膜厚になるように、蒸着 スパッタリング等の方法により形成させ、 極を作製する。次に、この上に素子材料で る正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔 止層、電子輸送層等の有機化合物を含有す 薄膜を形成させる。

 この有機化合物を含有する薄膜の薄膜化の 法としては、スピンコート法、キャスト法 インクジェット法、蒸着法、印刷法等があ が、均質な膜が得られやすく、且つピンホ ルが生成しにくい等の点から、真空蒸着法 たはスピンコート法が特に好ましい。更に ごとに異なる製膜法を適用してもよい。製 に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は 用する化合物の種類等により異なるが、一 にボート加熱温度50~450℃、真空度10 -6 ~10 -2 Pa、蒸着速度0.01~50nm/秒、基板温度-50~300℃、 厚0.1~5μmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。

 これらの層の形成後、その上に陰極用物 からなる薄膜を1μm以下、好ましくは50~200nm 範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着や パッタリング等の方法により形成させ、陰 を設けることにより所望の有機EL素子が得 れる。この有機EL素子の作製は、一回の真空 引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製 するのが好ましいが、途中で取り出して異な る製膜法を施しても構わない。その際、作業 を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が 必要となる。

 《表示装置》
 本発明の表示装置について説明する。本発 の表示装置は上記有機EL素子を有する。

 本発明の表示装置は単色でも多色でもよ が、ここでは多色表示装置について説明す 。多色表示装置の場合は発光層形成時のみ ャドーマスクを設け、一面に蒸着法、キャ ト法、スピンコート法、インクジェット法 印刷法等で膜を形成できる。

 発光層のみパターニングを行う場合、そ 方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、 ンクジェット法、印刷法である。蒸着法を いる場合においては、シャドーマスクを用 たパターニングが好ましい。

 また、作製順序を逆にして、陰極、電子 送層、正孔阻止層、発光層、正孔輸送層、 極の順に作製することも可能である。

 このようにして得られた多色表示装置に 流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極 を-の極性として電圧2~40V程度を印加すると発 光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印 加しても電流は流れずに発光は全く生じない 。更に交流電圧を印加する場合には、陽極が +、陰極が-の状態になったときのみ発光する なお、印加する交流の波形は任意でよい。

 多色表示装置は表示デバイス、ディスプ イ、各種発光光源として用いることができ 。表示デバイス、ディスプレイにおいて、 、赤、緑発光の3種の有機EL素子を用いるこ によりフルカラーの表示が可能となる。

 表示デバイス、ディスプレイとしては、 レビ、パソコン、モバイル機器、AV機器、 字放送表示、自動車内の情報表示等が挙げ れる。特に静止画像や動画像を再生する表 装置として使用してもよく、動画再生用の 示装置として使用する場合の駆動方式は、 純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でも アクティブマトリクス方式でもどちらでもよ い。

 発光光源としては、家庭用照明、車内照 、時計や液晶用のバックライト、看板広告 信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写 の光源、光通信処理機の光源、光センサー 光源等が挙げられるが、これに限定するも ではない。

 《照明装置》
 本発明の照明装置について説明する。本発 の照明装置は上記有機EL素子を有する。

 本発明の有機EL素子に共振器構造を持た た有機EL素子として用いてもよく、このよう な共振器構造を有した有機EL素子の使用目的 しては、光記憶媒体の光源、電子写真複写 の光源、光通信処理機の光源、光センサー 光源等が挙げられるが、これらに限定され い。また、レーザー発振をさせることによ 上記用途に使用してもよい。

 また、本発明の有機EL素子は照明用や露 光源のような一種のランプとして使用して よいし、画像を投影するタイプのプロジェ ション装置や、静止画像や動画像を直接視 するタイプの表示装置(ディスプレイ)として 使用してもよい。動画再生用の表示装置とし て使用する場合の駆動方式は、単純マトリク ス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブ トリクス方式でもどちらでもよい。または 異なる発光色を有する本発明の有機EL素子 2種以上使用することにより、フルカラー表 装置を作製することが可能である。

 以下、本発明の有機EL素子を有する表示 置の一例を図面に基づいて説明する。

 図1は有機EL素子から構成される表示装置 一例を示した模式図である。有機EL素子の 光により画像情報の表示を行う、例えば、 帯電話等のディスプレイの模式図である。

 ディスプレイ1は複数の画素を有する表示 部A、画像情報に基づいて表示部Aの画像走査 行う制御部B等からなる。制御部Bは表示部A 電気的に接続され、複数の画素それぞれに 部からの画像情報に基づいて走査信号と画 データ信号を送り、走査信号により走査線 の画素が画像データ信号に応じて順次発光 て画像走査を行って、画像情報を表示部Aに 表示する。

 図2は表示部Aの模式図である。

 表示部Aは基板上に、複数の走査線5及び ータ線6を含む配線部と複数の画素3等とを有 する。表示部Aの主要な部材の説明を以下に う。

 図においては、画素3の発光した光が白矢 印方向(下方向)へ取り出される場合を示して る。配線部の走査線5及び複数のデータ線6 それぞれ導電材料からなり、走査線5とデー 線6は格子状に直交して、直交する位置で画 素3に接続している(詳細は図示していない)。

 画素3は走査線5から走査信号が印加され と、データ線6から画像データ信号を受け取 、受け取った画像データに応じて発光する 発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、 領域の画素を適宜同一基板上に並置するこ によって、フルカラー表示が可能となる。

 次に、画素の発光プロセスを説明する。

 図3は画素の模式図である。

 画素は有機EL素子10、スイッチングトラン ジスタ11、駆動トランジスタ12、コンデンサ13 等を備えている。複数の画素に有機EL素子10 して、赤色、緑色、青色発光の有機EL素子を 用い、これらを同一基板上に並置することで フルカラー表示を行うことができる。

 図3において、制御部Bからデータ線6を介 てスイッチングトランジスタ11のドレイン 画像データ信号が印加される。そして、制 部Bから走査線5を介してスイッチングトラン ジスタ11のゲートに走査信号が印加されると スイッチングトランジスタ11の駆動がオン 、ドレインに印加された画像データ信号が ンデンサ13と駆動トランジスタ12のゲートに 達される。

 画像データ信号の伝達により、コンデン 13が画像データ信号の電位に応じて充電さ るとともに、駆動トランジスタ12の駆動がオ ンする。駆動トランジスタ12は、ドレインが 源ライン7に接続され、ソースが有機EL素子1 0の電極に接続されており、ゲートに印加さ た画像データ信号の電位に応じて、電源ラ ン7から有機EL素子10に電流が供給される。

 制御部Bの順次走査により走査信号が次の 走査線5に移ると、スイッチングトランジス 11の駆動がオフする。しかし、スイッチング トランジスタ11の駆動がオフしてもコンデン 13は充電された画像データ信号の電位を保 するので、駆動トランジスタ12の駆動はオン 状態が保たれて、次の走査信号の印加が行わ れるまで有機EL素子10の発光が継続する。順 走査により次に走査信号が印加されたとき 走査信号に同期した次の画像データ信号の 位に応じて、駆動トランジスタ12が駆動して 有機EL素子10が発光する。

 即ち、有機EL素子10の発光は複数の画素そ れぞれの有機EL素子10に対して、アクティブ 子であるスイッチングトランジスタ11と駆動 トランジスタ12を設けて、複数の画素3それぞ れの有機EL素子10の発光を行っている。この うな発光方法をアクティブマトリクス方式 呼んでいる。

 ここで、有機EL素子10の発光は複数の階調 電位を持つ多値の画像データ信号による複数 の階調の発光でもよいし、2値の画像データ 号による所定の発光量のオン、オフでもよ 。また、コンデンサ13の電位の保持は次の走 査信号の印加まで継続して保持してもよいし 、次の走査信号が印加される直前に放電させ てもよい。

 本発明においては、上述したアクティブ トリクス方式に限らず、走査信号が走査さ たときのみデータ信号に応じて有機EL素子 発光させるパッシブマトリクス方式の発光 動でもよい。

 図4はパッシブマトリクス方式による表示 装置の模式図である。図4において、複数の 査線5と複数の画像データ線6が画素3を挟ん 対向して格子状に設けられている。

 順次走査により走査線5の走査信号が印加 されたとき、印加された走査線5に接続して る画素3が画像データ信号に応じて発光する

 パッシブマトリクス方式では画素3にアク ティブ素子がなく、製造コストの低減が計れ る。

 また、本発明の有機EL材料は照明装置と て、実質白色の発光を生じる有機EL素子に適 用できる。複数の発光材料により複数の発光 色を同時に発光させて混色により白色発光を 得る。複数の発光色の組み合わせとしては、 青色、緑色、青色の3原色の3つの発光極大波 を含有させたものでもよいし、青色と黄色 青緑と橙色等の補色の関係を利用した2つの 発光極大波長を含有したものでもよい。

 また、複数の発光色を得るための発光材 の組み合わせは、複数のリン光または蛍光 発光する材料を複数組み合わせたもの、蛍 またはリン光で発光する発光材料と、発光 料からの光を励起光として発光する色素材 との組み合わせたもののいずれでもよいが 本発明に係る白色有機EL素子においては、 光ドーパントを複数組み合わせ混合するだ でよい。発光層もしくは正孔輸送層あるい 電子輸送層等の形成時のみマスクを設け、 スクにより塗り分ける等単純に配置するだ でよく、他層は共通であるのでマスク等の ターニングは不要であり、一面に蒸着法、 ャスト法、スピンコート法、インクジェッ 法、印刷法等で、例えば、電極膜を形成で 、生産性も向上する。この方法によれば、 数色の発光素子をアレー状に並列配置した 色有機EL装置と異なり、素子自体が発光白色 である。

 発光層に用いる発光材料としては特に制 はなく、例えば、液晶表示素子におけるバ クライトであれば、CF(カラーフィルター)特 性に対応した波長範囲に適合するように、本 発明に係る発光ドーパント、また公知の発光 材料の中から任意のものを選択して組み合わ せて白色化すればよい。

 このように、本発明に係る白色発光有機E L素子は、前記表示デバイス、ディスプレイ 加えて、各種発光光源、照明装置として、 庭用照明、車内照明、また露光光源のよう 一種のランプとして、また液晶表示装置の ックライト等、表示装置にも有用に用いら る。その他、時計等のバックライト、看板 告、信号機、光記憶媒体等の光源、電子写 複写機の光源、光通信処理機の光源、光セ サーの光源等、更には表示装置を必要とす 一般の家庭用電気器具等広い範囲の用途が げられる。

 以下、実施例により本発明を説明するが 本発明はこれらに限定されない。

 実施例1
 《有機EL素子1-1の作製》
 陽極としてガラス上にITOを150nm成膜した基 (NHテクノグラス社製:NA-45)にパターニングを った後、このITO透明電極を設けた透明支持 板をiso-プロピルアルコールで超音波洗浄し 、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分 間行った。

 この透明支持基板を市販の真空蒸着装置の 板ホルダーに固定し、一方5つのタンタル製 抵抗加熱ボートにα-NPD、H-4、Ir-12、BAlq、Alq 3 をそれぞれ入れ、真空蒸着装置(第1真空槽)に 取り付けた。

 更に、タンタル製抵抗加熱ボートにフッ リチウムをタングステン製抵抗加熱ボート アルミニウムをそれぞれ入れ、真空蒸着装 の第2真空槽に取り付けた。

 まず、第1の真空槽を4×10 -4 Paまで減圧した後、α-NPDの入った前記加熱ボ トに通電して加熱し、蒸着速度0.1~0.2nm/秒で 透明支持基板に膜厚20nmの厚さになるように 着し、正孔注入/輸送層を設けた。

 更にH-4の入った前記加熱ボートとIr-12の ったボートをそれぞれ独立に通電して、発 ホストであるH-4と発光ドーパントであるIr-12 の蒸着速度が100:6になるように調節し、膜厚3 0nmの厚さになるように蒸着し、発光層を設け た。

 次いで、BAlqの入った前記加熱ボートに通電 して加熱し、蒸着速度0.1~0.2nm/秒で厚さ10nmの 孔阻止層を設けた。更にAlq 3 の入った前記加熱ボートを通電して加熱し、 蒸着速度0.1~0.2nm/秒で膜厚20nmの電子輸送層を けた。

 次に、電子輸送層まで成膜した素子を真 のまま第2真空槽に移した後、電子輸送層の 上にステンレス鋼製の長方形穴あきマスクが 配置されるように装置外部からリモートコン トロールして設置した。

 第2真空槽を2×10 -4 Paまで減圧した後、フッ化リチウム入りのボ トに通電して蒸着速度0.01~0.02nm/秒で膜厚0.5n mの陰極バッファー層を設け、次いでアルミ ウムの入ったボートに通電して、蒸着速度1~ 2nm/秒で膜厚150nmの陰極をつけ、有機EL素子1-1 作製した。

 《有機EL素子1-2~1-22の作製》
 有機EL素子1-1の作製において、ホスト化合 のH-4を表1に記載のホスト化合物に変更した 外は同様にして、有機EL素子1-2~1-22を作製し た。

 《有機EL素子の評価》
 得られた有機EL素子1-1~1-22を評価するに際し ては、作製後の各有機EL素子の非発光面をガ スケースで覆い、厚み300μmのガラス基板を 止用基板として用いて、周囲にシール材と て、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社 製ラックストラックLC0629B)を適用し、これを 記陰極上に重ねて前記透明支持基板と密着 せ、ガラス基板側からUV光を照射して、硬 させて、封止して、図5、図6に示すような照 明装置を形成して評価した。

 図5は照明装置の概略図を示し、有機EL素 101はガラスカバー102で覆われている(なお、 ガラスカバーでの封止作業は、有機EL素子101 大気に接触させることなく窒素雰囲気下の ローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒 ガスの雰囲気下)で行った)。図6は照明装置 断面図を示し、図6において、105は陰極、106 有機EL層、107は透明電極付きガラス基板を す。なお、ガラスカバー102内には窒素ガス10 8が充填され、捕水剤109が設けられている。

 (外部取り出し量子効率)
 有機EL素子を室温(約23~25℃)、2.5mA/cm 2 の定電流条件下による点灯を行い、点灯開始 直後の発光輝度(L)[cd/m 2 ]を測定することにより、外部取り出し量子 率(η)を算出した。ここで、発光輝度の測定 CS-1000(コニカミノルタセンシング製)を用い 。外部取り出し量子効率は有機EL素子1-1を10 0とする相対値で表した。

 (駆動電圧)
 有機EL素子を室温(約23~25℃)、2.5mA/cm 2 の定電流条件下により駆動したときの電圧を 各々測定し、測定結果を下記に示すように、 有機EL素子1-1(比較例)を100として各々相対値 示した。

 電圧=(各素子の駆動電圧/有機EL素子1-1の駆 電圧)×100
 なお、値が小さいほうが比較に対して駆動 圧が低いことを示す。

 (駆動電圧の経時変化)
 有機EL素子を室温下、2.5mA/cm 2 の定電流条件下による連続点灯を行い、初期 輝度の70%の輝度になった時の駆動電圧を各々 測定した。測定結果は下記に示すように、有 機EL素子1-1(比較)を100として各々相対値で示 た。

 電圧=(各素子の駆動電圧/有機EL素子1-1の 動電圧)×100

 表1から、本発明に係る化合物を用いて作 製した有機EL素子は、比較の有機EL素子に比 、高い発光効率と駆動電圧の低下が達成で ることが明らかである。

 実施例2
 《有機EL素子2-1の作製》
 陽極としてガラス上にITOを150nm成膜した基 (NHテクノグラス社製:NA-45)にパターニングを った後、このITO透明電極を設けた透明支持 板をiso-プロピルアルコールで超音波洗浄し 、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分 間行った。

 この透明支持基板を市販の真空蒸着装置の 板ホルダーに固定し、一方5つのタンタル製 抵抗加熱ボートにα-NPD、H-1、Ir-13、BAlq、Alq 3 をそれぞれ入れ、真空蒸着装置(第1真空槽)に 取り付けた。

 更に、タンタル製抵抗加熱ボートにフッ リチウムを、タングステン製抵抗加熱ボー にアルミニウムをそれぞれ入れ、真空蒸着 置の第2真空槽に取り付けた。

 まず、第1の真空槽を4×10 -4 Paまで減圧した後、α-NPDの入った前記加熱ボ トに通電して加熱し、蒸着速度0.1~0.2nm/秒で 透明支持基板に膜厚20nmの厚さになるように 着し、正孔注入/輸送層を設けた。

 更に、H-1の入った前記加熱ボートとIr-13 入ったボートをそれぞれ独立に通電して発 ホストであるH-1と発光ドーパントであるIr-13 の蒸着速度が100:6になるように調節し、膜厚3 0nmの厚さになるように蒸着し、発光層を設け た。

 次いで、BAlqの入った前記加熱ボートに通電 して加熱し、蒸着速度0.1~0.2nm/秒で厚さ10nmの 孔阻止層を設けた。更にAlq 3 の入った前記加熱ボートを通電して加熱し、 蒸着速度0.1~0.2nm/秒で膜厚20nmの電子輸送層を けた。

 次に、電子輸送層まで成膜した素子を真 のまま第2真空槽に移した後、電子輸送層の 上にステンレス鋼製の長方形穴あきマスクが 配置されるように装置外部からリモートコン トロールして設置した。

 第2真空槽を2×10 -4 Paまで減圧した後、フッ化リチウム入りのボ トに通電して蒸着速度0.01~0.02nm/秒で膜厚0.5n mの陰極バッファー層を設け、次いでアルミ ウムの入ったボートに通電して、蒸着速度1~ 2nm/秒で膜厚150nmの陰極をつけ、有機EL素子2-1 作製した。

 《有機EL素子2-2~2-68の作製》
 有機EL素子2-1の作製において、ホスト化合 のH-1、正孔阻止化合物のBAlqをそれぞれ表2、 3、4に記載の化合物に変更した以外は同様に て、有機EL素子2-2~2-68を作製した。

 《有機EL素子の評価》
 実施例1と同様の評価を行った。得られた結 果を表2、3、4に示す。なお、有機EL素子2-1を1 00とした相対値で各々示している。

 表2、3、4から、本発明に係る化合物を用 て作製した有機EL素子は、比較の有機EL素子 に比べ、高い発光効率と駆動電圧の低下が達 成できることが明らかである。

 また、発光ドーパントとしてIr-13の代わ にIr-1、Ir-9、1-8を使用し、本発明に係る化合 物を正孔阻止化合物とした場合にも、発光効 率の向上、駆動電圧の低下が見られることが 分かった。

 実施例3
 《フルカラー表示装置の作製》
 (青色発光素子の作製)
 実施例1の有機EL素子1-7を青色発光素子とし 用いた。

 (緑色発光素子の作製)
 実施例1の有機EL素子1-1において、Ir-12をIr-1 変更した以外は同様にして緑色発光素子を 製し、これを緑色発光素子として用いた。
(赤色発光素子の作製)
 実施例2の有機EL素子2-1において、Ir-13をIr-9 変更した以外は同様にして赤色発光素子を 製し、これを赤色発光素子として用いた。

 上記で作製した赤色、緑色、青色発光有 EL素子を同一基板上に並置し、図1に記載の うな形態を有するアクティブマトリクス方 フルカラー表示装置を作製した。図2には、 作製した前記表示装置の表示部Aの模式図の を示した。

 即ち、同一基板上に複数の走査線5及びデ ータ線6を含む配線部と並置した複数の画素3( 発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青 領域の画素等)とを有し、配線部の走査線5及 複数のデータ線6はそれぞれ導電材料からな り、走査線5とデータ線6は格子状に直交して 直交する位置で画素3に接続している(詳細 図示せず)。

 前記複数画素3は、それぞれの発光色に対 応した有機EL素子、アクティブ素子であるス ッチングトランジスタと駆動トランジスタ れぞれが設けられたアクティブマトリクス 式で駆動されており、走査線5から走査信号 が印加されるとデータ線6から画像データ信 を受け取り、受け取った画像データに応じ 発光する。このように赤、緑、青の画素を 宜、並置することによって、フルカラー表 装置を作製した。

 このフルカラー表示装置は駆動すること より、輝度が高く、高耐久性を有し、且つ 明なフルカラー動画表示が得られることが かった。

 実施例4
 《白色発光素子及び白色照明装置の作製》
 実施例1の透明電極基板の電極を20mm×20mmに ターニングし、その上に実施例1と同様に正 注入/輸送層としてα-NPDを25nmの厚さで成膜 、更にH-4の入った前記加熱ボートと例示化 物Ir-13の入ったボート及びIr-9の入ったボー をそれぞれ独立に通電して、発光ホストで るH-4と発光ドーパントであるIr-13及びIr-9の 着速度が100:5:0.6になるように調節し、膜厚30 nmの厚さになるように蒸着し、発光層を設け 。

 次いで、例示化合物1を10nm成膜して正孔阻 層を設けた。更にAlq 3 を40nmで成膜し、電子輸送層を設けた。

 次に、実施例1と同様に電子注入層の上に ステンレス鋼製の透明電極とほぼ同じ形状の 正方形穴あきマスクを設置し、陰極バッファ ー層としてフッ化リチウム0.5nm及び陰極とし アルミニウム150nmを蒸着成膜した。

 この素子を実施例1と同様な方法及び同様 な構造の封止缶を具備させ、図5、図6に示す うな平面ランプを作製した。この平面ラン に通電したところほぼ白色の光が得られ、 明装置として使用できることが分かった。

 実施例5
 《有機EL素子5-1の作製》
 陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上に ITO(インジウムチンオキシド)を100nm成膜した 板(NHテクノグラス社製NA-45)にパターニング 行った後、このITO透明電極を設けた透明支 基板をイソプロピルアルコールで超音波洗 し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を 5分間行った。

 この透明支持基板上に、ポリ(3,4-エチレ ジオキシチオフェン)-ポリスチレンスルホネ ート(PEDOT/PSS、Bayer社製、Baytron P Al 4083)を純 水で70質量%に希釈した溶液を3000rpm、30秒でス ピンコート法により製膜した後、200℃にて1 間乾燥し、膜厚30nmの正孔注入/輸送層を設け た。

 この正孔注入/輸送層上に、ポリビニルカ ルバゾール30mgとIr-13(青発光性オルトメタル 錯体)1.5mgとをトルエン3mlに溶解した溶液を10 00rpm、30秒の条件下、スピンコート法により 膜し、60℃で1時間真空乾燥し、膜厚80nmの発 層とした。

 この発光層上に、比較6を30mgをメタノー 3mlに溶解した溶液を1000rpm、30秒の条件下、 ピンコート法により製膜し、60℃で1時間真 乾燥し、膜厚20nmの電子輸送層とした。

 これを真空蒸着装置に取付け、次いで、真 槽を4×10 -4 Paまで減圧し、陰極バッファー層としてカル ウム10nm及び陰極としてアルミニウム110nmを 着して陰極を形成し、有機EL素子5-1を作製 た。

 《有機EL素子5-2~5-67の作製》
 有機EL素子5-1の作製において、電子輸送層 作製に用いた比較6を表5、6、7に記載した化 物に変更した以外は全く同様にして、有機E L素子5-2~5-67を各々作製した。

 《有機EL素子5-1~5-67の評価》
 得られた有機EL素子5-1~5-67を評価するに際し ては、作製後の各有機EL素子の非発光面をガ スケースで覆い、厚み300μmのガラス基板を 止用基板として用いて、周囲にシール材と て、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社 製ラックストラックLC0629B)を適用し、これを 記陰極上に重ねて前記透明支持基板と密着 せ、ガラス基板側からUV光を照射して、硬 させて、封止して、図5、図6に示すような照 明装置を形成して評価した。

 次いで、下記のようにして外部取り出し 子効率及び駆動電圧を測定した。

 (外部取り出し量子効率)
 作製した有機EL素子について、23℃、乾燥窒 素ガス雰囲気下で2.5mA/cm 2 定電流を印加した時の外部取り出し量子効率 (%)を測定した。なお、測定には分光放射輝度 計CS-1000(コニカミノルタ(株)製)を用いた。有 EL素子5-1(比較)を100として各々相対値で示し た。

 (駆動電圧)
 有機EL素子を室温(約23~25℃)、2.5mA/cm 2 の定電流条件下により駆動したときの電圧を 各々測定し、測定結果を下記に示すように、 有機EL素子5-1(比較)を100として各々相対値で した。

 電圧=(各素子の駆動電圧/有機EL素子5-1の 動電圧)×100

 表5、6、7から、本発明に係る化合物を電 輸送層に用いることで、外部取り出し量子 率が大幅に向上し、消費電力が抑制される とが分かった。