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Patent Searching and Data


Title:
ORGANIC THIN FILM TRANSISTOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/041254
Kind Code:
A1
Abstract:
In an organic thin film transistor, at least three terminals of a gate electrode, a source electrode and a drain electrode, and an insulator layer and an organic semiconductor layer are arranged on a substrate, and a current between a source and a drain is controlled by applying a voltage to the gate electrode. The organic thin film transistor has a channel control layer, which contains an amorphous organic compound having an ionization potential of less than 5.8eV, between the organic semiconductor layer and the insulator layer. The organic thin film transistor has excellent stability in field effect mobility even when stored at a high temperature, and also has a high response speed.

Inventors:
NAKAMURA HIROAKI (JP)
NAKANO YUKI (JP)
SAITO MASATOSHI (JP)
KONDO HIROFUMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/066248
Publication Date:
April 02, 2009
Filing Date:
September 09, 2008
Export Citation:
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Assignee:
IDEMITSU KOSAN CO (JP)
NAKAMURA HIROAKI (JP)
NAKANO YUKI (JP)
SAITO MASATOSHI (JP)
KONDO HIROFUMI (JP)
International Classes:
H01L29/786; H01L51/05; H01L51/30
Domestic Patent References:
WO2005056505A12005-06-23
WO2006120859A12006-11-16
Foreign References:
JP2006303459A2006-11-02
JP2007103819A2007-04-19
JP2007220772A2007-08-30
JP2007527119A2007-09-20
JP2003318196A2003-11-07
JP2000029403A2000-01-28
JPH08228034A1996-09-03
JPH0555568A1993-03-05
JPH10135481A1998-05-22
JPH1176800A1999-03-23
JPH1180647A1999-03-26
JPH11319538A1999-11-24
JP2000239853A2000-09-05
JP2001254185A2001-09-18
JP2001053028A2001-02-23
JP2001035255A2001-02-09
JP2000124157A2000-04-28
JP2000123634A2000-04-28
JPH1161406A1999-03-05
JPH11133205A1999-05-21
JP2000121804A2000-04-28
JP2000147209A2000-05-26
JP2000185362A2000-07-04
Other References:
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LAY-LAY CHUA ET AL., NATURE, vol. 434, 10 March 2005 (2005-03-10), pages 194
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MYUNG-HAN YOON ET AL., J. AM. CHEM. SOC, vol. 127, 2005, pages 10388 - 10395
C.W. TANG; S.A. VANSLYKE, APPL. PHYS. LETT., vol. 51, 1987, pages 913
T.P.I. SARAGI; T. FUHRMANN-LIEKER; J. SALBECK: "Comparison of Charge Transport in Thin Films of Spiro-Linked Compounds and Their Corresponding Parent Compounds", ADVANCED FUNCTIONAL MATERIALS, vol. 16, 2006, pages 966
"Kagaku Binran Kiso-hen II", 1983, MARUZEN CO., LTD., pages: 493
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YASUDA ET AL., JPN. J. APPL. PHYS., vol. 42, 2003
JANOS VERES ET AL., CHEM. MATER., vol. 16, 2004, pages 4543 - 4555
See also references of EP 2194582A4
Attorney, Agent or Firm:
OHTANI, Tamotsu et al. (Bridgestone Toranomon Bldg.6F., 25-2, Toranomon,3-chome, Minato-ku, Tokyo 01, JP)
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Claims:
 少なくとも基板上にゲート電極、ソース電極及びドレイン電極の3端子、絶縁体層並びに有機半導体層が設けられ、ソース-ドレイン間電流をゲート電極に電圧を印加することによって制御する有機薄膜トランジスタであって、前記有機半導体層と前記絶縁体層の間に、イオン化ポテンシャルが5.8eV未満である非晶質有機化合物を含むチャネル制御層を有することを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
 前記非晶質有機化合物のガラス転移温度が100℃以上である請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
 前記チャネル制御層の膜厚が1nm~100nmの範囲にある請求項2に記載の有機薄膜トランジスタ。
 前記非晶質有機化合物がアミノ基を有する有機化合物である請求項2に記載の有機薄膜トランジスタ。
 前記非晶質有機化合物が縮合芳香環を有する炭化水素化合物である請求項2に記載の有機薄膜トランジスタ。
 前記非晶質有機化合物の分子量が1000以上である請求項1記載の有機薄膜トランジスタ。
 前記非晶質有機化合物がアミノ基含有有機化合物である請求項6に記載の有機薄膜トランジスタ。
 前記非晶質有機化合物が縮合芳香環を有する炭化水素化合物である請求項6に記載の有機薄膜トランジスタ。
 前記有機半導体層がnチャネル駆動能を有する有機半導体を含む請求項1又は6に記載の有機薄膜トランジスタ。
 前記非晶質有機化合物が下記一般式(A)で表される請求項7に記載の有機薄膜トランジスタ。
(式中、Ar 1 ~Ar 6 は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の核炭素数6~40のアリール基又は置換もしくは無置換の核炭素数3~40のヘテロアリール基であり、Ar 1 とAr 2 及びAr 5 とAr 6 は、それぞれ独立に、単結合で連結してカルバゾリル基を形成してもよく、
 R 1 ~R 4 は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、置換もしくは無置換の炭素数1~40のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2~40のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2~40のアルキニル基、又は置換もしくは無置換の炭素数1~40のアルコキシ基であり、
 n、m、p、及びqは、それぞれ独立に、0~4の整数であり、
 Lは、下記一般式(B)又は(C)で表される2価の連結基である。)
    -(Ar 7 ) a -(Ar 8 ) b -(Ar 9 ) c -   (B)
(式中、Ar 7 ~Ar 9 は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の核炭素数6~40の2価のアリール基又は置換もしくは無置換の核炭素数3~40の2価のヘテロアリール基であり、
 a、b及びcは、それぞれ独立に、1~3の整数である。)
(式中、R 5 及びR 6 は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、置換もしくは無置換の炭素数1~40のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2~40のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2~40のアルキニル基、又は置換もしくは無置換の炭素数1~40のアルコキシ基であり、
 R 5 とR 6 は、互いに連結して環構造を形成してもよい。)
 前記非晶質有機化合物が下記一般式(D)又は(E)で表される繰り返し単位を有するアミノ基含有高分子化合物である請求項7に記載の有機薄膜トランジスタ。
(式中、R 7 ~R 13 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルケニル基、炭素数1~20のアルキニル基、炭素数1~20のハロアルキル基、炭素数1~30のアルコキシル基又は炭素数1~20のカルボニル基を有する基であり、またR 9 ~R 13 のうち隣接するもの同士で飽和又は不飽和の環状構造を形成していても良く、
 dは1又は2である。)
(式中、R 14 ~R 20 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルケニル基、炭素数1~20のアルキニル基、炭素数1~20のハロアルキル基、炭素数1~30のアルコキシル基又は炭素数1~20のカルボニル基を有する基であり、またR 16 ~R 20 のうち隣接するもの同士で飽和又は不飽和の環状構造を形成していても良い。)
 前記非晶質有機化合物が、架橋部位を有するアミノ基含有低分子化合物を架橋してなる請求項7に記載の有機薄膜トランジスタ。
 前記アミノ基含低分子化合物の架橋部位が下記一般式(1)~(4)で示される基である請求項12に記載の有機薄膜トランジスタ。
(式中、R 21 は、出現毎に同一であるか異なり、水素原子、炭素数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシ基若しくはチオアルコキシ基、4~18個の芳香族環原子を有するアリール基若しくはヘテロアリール基、または炭素数2~10のアルケニル基であって、ここで、1以上の水素原子は、ハロゲンまたはCNにより置き換えられてもよく、また1以上の非隣接の炭素原子は、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-O-CO-により置き換えられてもよく、R 22 は、出現毎に同一であるか異なり、水素原子、炭素数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基若しくはアルコキシアルキル基、4~18個の芳香族環原子を有するアリール基若しくはヘテロアリール基、または炭素数2~10のアルケニル基であって、ここで、1以上の水素原子は、ハロゲンまたはCNにより置き換えられてもよく、また1以上の非隣接の炭素原子は、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-O-CO-により置き換えられてもよく、Zは、出現毎に同一であるか異なり、二価の基-(CR 23 R 24 ) r -(ここで、1以上の非隣接の炭素原子は、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-O-CO-により置き換えられてもよい)、または4~40個の炭素原子を有する二価のアリール基若しくはN-、S-および/またはO-ヘテロアリール基(これは、1以上のR 23 基により置換されていてもよい)であり、R 23 、R 24 は、出現毎に同一であるか異なり、水素原子、炭素数1~20の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基若しくはチオアルコキシ基、4~20個の芳香族環原子を有するアリール基若しくはヘテロアリール基、または炭素数2~10個のアルケニル基であって、ここで、1以上の水素原子は、ハロゲンまたはCNにより置き換えられてもよく、R 23 またはR 24 基は、互いに、またはR 21 若しくはR 22 と環構造を形成していてもよく、
 rは、出現毎に同一であるか異なり、0~30の整数であり、
 xは、出現毎に同一であるか異なり、0~5の整数である。
 ここでの破線は、前記低分子化合物への結合を示す。)
 前記非晶質有機化合物が、少なくとも1種のオニウム化合物を添加して前記アミノ基含有低分子化合物を架橋した架橋体である請求項12又は13に記載の有機薄膜トランジスタ。
Description:
有機薄膜トランジスタ

 本発明は、有機薄膜トランジスタに関し 特に、高温保存した場合でも電界効果移動 の安定性に優れ、かつ応答速度が大きい有 薄膜電界効果トランジスタに関する。

 薄膜トランジスタ(以下、TFTと略記する場合 がある。)は、液晶表示装置等の表示用のス ッチング素子として広く用いられている。 表的なTFTの断面構造を図1に示す。図1に示す ように、TFTは、基板上にゲート電極、絶縁体 層、有機半導体層をこの順に有し、有機半導 体層上に、所定の間隔を隔てて形成されたソ ース電極及びドレイン電極を有している。ソ ース電極及びドレイン電極の一部は表面に露 出し、両電極間に露出する面には、半導体層 が形成されている。このような構成のTFTでは 、半導体層がチャネル領域を成しており、ゲ ート電極に印加される電圧でソース電極とド レイン電極の間に流れる電流が制御され、オ ン/オフ動作する。
 従来、TFTは、アモルファスや多結晶のシリ ンを用いて作製されていたが、このような リコンを用いたTFTの作製に用いられるCVD装 は、高額であり、TFTを用いた表示装置等の 型化は、製造コストの大幅な増加を伴うと う問題点があった。また、アモルファスや 結晶のシリコンを成膜するプロセスは非常 高い温度下で行われるので、基板として使 可能な材料の種類が限られてしまい、軽量 、且つ柔軟性の付与が可能で自由に形状設 ができる樹脂基板等は使用できないという 題があった。軽量の樹脂基板の上にTFTの製 が可能になると携帯用電子デバイスへの応 が可能になると期待される。

 このような問題を解決するために、有機 導体を用いたTFT(以下、有機TFTと略記する場 合がある。)が提案されている。有機半導体 TFTを形成する際に用いる成膜方法として真 蒸着法や塗布法等が知られているが、これ の成膜方法によれば、製造コストの上昇を えつつ素子の大型化が実現可能になり、成 時に必要となるプロセス温度を比較的低温 することができる。また、有機物を用いたTF Tでは、基板に用いる材料の選択時の制限が ないといった利点があり、その実用化が期 されている。このような状況下、有機TFTに いて多くの研究報告が出されるようになっ 。例えば、非特許文献1~3などを挙げること できる。また、TFTの半導体層に用いる材料 しては、p型では共役系ポリマーやチオフェ などの多量体(特許文献1)や、ペンタセンな の縮合芳香族炭化水素(特許文献2)などが知 れている。また,n型FETの材料としては、1,4,5 ,8-ナフタレンテトラカルボキシルジアンヒド ライド(NTCDA)、11,11,12,12-テトラシアノナフト-2 ,6- キノジメタン(TCNNQD)、1,4,5,8-ナフタレンテ トラカルボキシルジイミド(NTCDI)等が、特許 献3に開示されている。

 有機TFTと同じように電気伝導を用いるデバ スとして有機エレクトロルミネッセンス素 (以下、有機EL素子と略記する場合がある。) が知られている。有機EL素子が、一般に100nm 下の超薄膜に対して、膜厚方向に10 5 V/cm以上の強電界をかけ強制的に電荷を流し いるのに対し、有機TFTの場合には数μm以上 距離を10 5 V/cm以下の電界で高速に電荷を流す必要があ 。このため、有機物自体に、有機EL素子用材 料を超える電導性が必要となる。しかしなが ら、従来の有機TFTに使用されている有機物は 電界効果移動度(以下、移動度と略記する場 がある。)が小さく、応答速度が遅い。この め、トランジスタとしての高速応答性に問 があった。また、オン/オフ比も小さいもの であった。
 ここで、オン/オフ比とは、ゲート電圧をか けたとき、すなわち、オン状態のときにソー ス-ドレイン間に流れる電流(オン電流)を、ゲ ート電圧をかけないとき、すなわち、オフ状 態のときにソース-ドレイン間に流れる電流 割った値である。また、オン電流とはゲー 電圧を増加させていったときに、ソース-ド イン間に流れる電流が飽和したときの電流 (飽和電流)のことである。
 このような有機TFTの問題点を解決し、素子 成の改良により移動度を向上させる試みが されている。たとえば、チャネル層(有機半 導体層)と絶縁層の界面にN,N’-ジナフタレン- 1-イル-N,N’-ジフェニル-ビフェニル-4,4’-ジ ミン(NPD)の蒸着膜を挿入することが試みられ ている(非特許文献4)。しかし、NPDはガラス転 移温度が低く、耐熱性が不足しているため、 高温下で実用に供した場合、時間とともに移 動度が低下するという問題があった。また、 一方で熱に安定な有機TFTを得るためポリスチ レン等の高分子を架橋して用いることが試み られている(非特許文献5)が,これだけでは高 移動度が得られないという問題点があった

特開平8-228034号公報

特開平5-55568号公報

特開平10-135481号公報 HorowitzらAdvanced Materials,8巻,3号, 242頁,1996 年 H. Fuchigamiら,Applied Physics Letter,63巻,1372 ,1993年 Lay-Lay Chuaら,Nature,434巻,2005年3月10日号,194 頁 石川ら、2007年春季第54回応用物理学関係 連合講演会予稿集30a-W-11、1424頁 Myung-Han Yoonら,J. AM. CHEM. SOC. 2005, 127,  10388-10395

 本発明は、前記の課題を解決するために されたもので、高温保存した場合でも電界 果移動度の安定性に優れ、かつ応答速度が きい有機薄膜トランジスタ(有機TFT)を提供 ることを目的とする。

 本発明者らは、前記目的を達成するために 意研究を重ねた結果、有機TFTを構成する絶 体層と有機半導体層の間に、特定のイオン ポテンシャルを有する非晶質材料からなる ャネル制御層を形成することにより応答速 (駆動速度)を高速化することができること 及び高温条件での保存に対して安定となる とを見出し、本発明を完成したものである
 すなわち、本発明は、少なくとも基板上に ート電極、ソース電極及びドレイン電極の3 端子、絶縁体層並びに有機半導体層が設けら れ、ソース-ドレイン間電流をゲート電極に 圧を印加することによって制御する有機薄 トランジスタであって、前記有機半導体層 前記絶縁体層の間に、イオン化ポテンシャ が5.8eV未満である非晶質有機化合物を含むチ ャネル制御層を有することを特徴とする有機 薄膜トランジスタである。

  本発明の有機TFTは、応答速度(駆動速度) が高速化されており、且つ高温保存した場合 でも電界効果移動度の安定性に優れる。

一般的な有機TFTの素子構成の一例を示 図である。 本発明の有機TFTの素子構成の一例を示 図である。 本発明の有機TFTの素子構成の一例を示 図である。 本発明の有機TFTの素子構成の一例を示 図である。 本発明の有機TFTの素子構成の一例を示 図である。 本発明の実施例における有機TFTの素子 成の一例を示す図である。

 本発明は、少なくとも基板上にゲート電極 ソース電極及びドレイン電極の3端子、絶縁 体層並びに有機半導体層が設けられ、ソース -ドレイン間電流をゲート電極に電圧を印加 ることによって制御する有機薄膜トランジ タであって、前記有機半導体層と前記絶縁 層の間に、イオン化ポテンシャルが5.8eV未満 である非晶質有機化合物を含むチャネル制御 層を有することを特徴とする有機薄膜トラン ジスタ(有機TFT)である。
 本発明の有機TFTは、非晶質有機化合物のガ ス転移温度が100℃以上である、本発明の第 の有機TFTであると好ましく、また、非晶質 機化合物の分子量が1000以上である、本発明 の第二の有機TFTであっても好ましい。

 以下、本発明の有機TFTの詳細について説明 る。
(基本素子構成)
 本発明の有機TFTの素子構成としては、少な とも基板上にゲート電極、ソース電極及び レイン電極の3端子、絶縁体層及び有機半導 体層が設けられ、前記有機半導体層と前記絶 縁体層の間にチャネル制御層が挿入されてお り、ソース-ドレイン間電流をゲート電極に 圧を印加することによって制御するTFTであ ば、限定されない。公知の素子構成を基本 するものであっても良い。本発明ではこの 機半導体層と前記絶縁体層の間にチャネル 御層が挿入されていることを特徴とする。
 本発明の素子構成A~Dを図2~5に例示する。有 TFTの素子構成はA~Dに限定されるものではな 。素子構成A~Dに示すように、電極の位置、 の積層順などによりいくつかの公知の基本 成が知られているが、本発明の有機TFTは、 界効果トランジスタ(FET: Field Effect Transisto r)構造を有するものである。有機TFTは、有機 導体層、絶縁体層と、相互に所定の間隔を けて対向するように形成されたソース電極 びドレイン電極と、ソース電極、ドレイン 極からそれぞれ所定の距離をあけて形成さ たゲート電極とを有し、ゲート電極に電圧 印加することによってソース-ドレイン電極 間に流れる電流を制御する。ここで、ソース 電極とドレイン電極の間隔は通常、用途によ って決定され、通常は0.1μm~1mm、好ましくは1 m~100μm、さらに好ましくは5μm~100μmである。

 素子A~Dのうち、図4に記載の素子Cを例と てさらに詳しく説明する。素子Cは、基板上 、ゲート電極、絶縁体層、チャネル制御層 有機半導体層をこの順に有し、有機半導体 上に、所定の間隔をあけて形成された一対 ソース電極及びドレイン電極を有している ゲート電極に印加される電圧でソース電極 ドレイン電極の間に流れる電流が制御され オン/オフ動作する。

(チャネル制御層の機能)
 チャネル制御層は、その上に成膜される有 半導体層との界面でのキャリアトラップを 減させ移動度を向上させる機能を有する。 た、キャリアトラップの低減により、TFTの 気中での安定性が向上する。

(チャネル制御層が含む非晶質有機化合物の 理特性)
 チャネル制御層は、5.8eV未満、好ましくは5. 7eV以下、より好ましくは5.5eV以下のイオン化 テンシャル(Ip)を有する非晶質有機化合物を 含む。チャネル制御層が含む非晶質有機化合 物のIpが5.8eV以上であると、キャリアトラッ が発生するため、移動度が不十分となる。Ip の下限値は、特に限定されないが、材料の入 手容易性の点で4.0eV以上であることが好まし 。
 更にもう一つの要件は、上記非晶質有機化 物は本質的に非晶質であるという点である 非晶質であることにより、通常、単結晶や 結晶物質で構成される有機半導体層との界 のチャネル領域が平滑となってキャリアの 動度が向上する。また、ピンホールや欠陥 分ができにくい点も移動度の向上に寄与す 。チャネル制御層は完全に非晶質化してい 必要はなく、本発明の効果を損なわない範 であれば、結晶化部分を含んでいてもよい
 上記イオン化ポテンシャルとガラス転移温 の条件を満たす、非晶質有機化合物をチャ ル制御層に用いることにより、非晶質材料 チャネル制御層が形成できる。この層の形 により、チャネル領域内を移動するキャリ のトラップが低減され、移動度の向上を図 ことできるため、チャネル制御層と名づけ 。
 本発明の第一の有機TFTでは、ガラス転移温 が100℃以上の非晶質有機化合物を用いる。 帯用電子デバイスは100℃以上の高温環境に かれたりする可能性もあるので、後記する 温保存性が必要である。そのためチャネル 御層にはガラス転移温度100℃以上の材料を いることにより、携帯用途の電子デバイス 必須である100℃の高温保存が可能となるこ を見出した。これにより、高温環境下での 能低下を抑制することができる。
 一方、本発明の第二の有機TFTでは、分子量 1000以上の非晶質有機化合物が用いられる。 例えば、携帯用電子デバイスは100℃以上の高 温環境におかれたりする可能性もあるので、 後記する高温保存性が必要である。そのため チャネル制御層には分子量1000以上の非晶質 機化合物を用いることにより、携帯用途の 子デバイスに必須である100℃の高温保存が 能となる。これにより、高温環境下での性 低下を抑制することができる。また,分子量 1000以上の非晶質有機化合物を用いてチャネ ル制御層を形成すると,有機溶媒に対する耐 が発現するため、その上に有機半導体層や 縁体層を塗布によって積層することが可能 なる。溶液からの塗布法を用いてもチャネ 制御層は溶媒により完全に溶かされること 無く,チャネル制御層の移動度向上効果が損 われることがない。このように分子量は膜 安定性に大きく寄与する。上記非晶質有機 合物の分子量は、より好ましくは10,000以上 あり,特に好ましくは100,000以上である。ま 、その上限値については、特に制限されな が通常は、10,000,000以下である。

(非晶質化合物の具体例)
 前記の物理特性を満たす非晶質化合物であ ば特に限定されないが、具体的には以下に 示する非晶質有機化合物を好ましく挙げる とができる。このような非晶質有機化合物 チャネル制御層に用いることにより、大き 移動度と、高温条件での優れた安定性が得 れる。この場合、本発明の効果を損なわな 範囲であれば、結晶性化合物を配合しても い。

(第一の有機TFTに用いる非晶質化合物)
 本発明の第一の有機TFTにおいてチャネル制 層に用いる非晶質化合物として好ましい例 以下に挙げるがこれに制限されるわけでは い。

 上記例示化合物は、次の4種類に分けられる 。
(1)アミノ基含有有機化合物
 イオン化ポテンシャル(Ip)5.8eV以下を達成す ため芳香族アミン化合物が好ましい。一般 芳香族アミン化合物はIpが小さい化合物と て知られ有機ELの正孔輸送材料として用いら れている。芳香族アミン化合物において、芳 香族基がナフタレン、アントラセン、フェナ ントレン、クリセン等の縮合芳香族の残基や 、ビフェニルの残基、スピロ結合を有する化 合物が、中でも高いTgが得られるので好まし 。
(2)縮合芳香族炭化水素化合物
 縮合芳香族基としては、ナフタレン、アン ラセン等の残基が挙げられる。また、ビフ ニルやターフェニルの残基、およびスピロ 合を有する縮合芳香族炭化水素化合物も好 しく挙げられる。
(3)末端変性されたチオフェンオリゴマー
 チオフェンオリゴマーもIpが小さな化合物 して代表的なものであるが通常、結晶性で る。そこで、非晶性とするため、末端を芳 族炭化水素基で置換したものが好ましい。
(4)特定構造の金属錯体
 化合物(28)のような金属錯体が挙げられる。

(第二の有機TFTに用いる非晶質化合物)
 以下、本発明の第二の有機TFTにおいてチャ ル制御層に用いる非晶質化合物として好ま い例を以下に挙げるがこれに制限されるわ ではない。
 チャネル制御層に用いる非晶質化合物とし 好ましいのはアミノ基含有有機化合物や、 合芳香環を有する炭化水素化合物である。 ミノ基含有有機化合物としては、5.8eV以下 達成するため芳香族アミン化合物が好まし 。一般に芳香族アミン化合物はイオン化ポ ンシャル(Ip)が小さい化合物として知られ有 ELの正孔輸送材料として用いられている。 香族アミン化合物において、芳香族基がナ タレン、アントラセン、フェナントレン、 リセン等の縮合芳香族の残基や、ビフェニ の残基、スピロ結合を有する化合物がこの しい。これらの代表的な例を以下に示す。

 本発明の第二の有機TFTにおいて用いられる 晶質化合物としては、下記一般式(A)で表さ るものを用いることができる。
(式中、Ar 1 ~Ar 6 は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の 核炭素数6~40のアリール基又は置換もしくは 置換の核炭素数3~40のヘテロアリール基であ 、Ar 1 とAr 2 及びAr 5 とAr 6 は、それぞれ独立に、単結合で連結してカル バゾリル基を形成してもよく、
 R 1 ~R 4 は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、カルボ キシル基、アミノ基、水酸基、置換もしくは 無置換の炭素数1~40のアルキル基、置換もし は無置換の炭素数2~40のアルケニル基、置換 しくは無置換の炭素数2~40のアルキニル基、 又は置換もしくは無置換の炭素数1~40のアル キシ基であり、
 n、m、p、及びqは、それぞれ独立に、0~4の整 数であり、
 Lは、下記一般式(B)又は(C)で表される2価の 結基である。)
    -(Ar 7 ) a -(Ar 8 ) b -(Ar 9 ) c -   (B)
(式中、Ar 7 ~Ar 9 は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の 核炭素数6~40の2価のアリール基又は置換もし は無置換の核炭素数3~40の2価のヘテロアリ ル基であり、
 a、b及びcは、それぞれ独立に、1~3の整数で る。)
(式中、R 5 及びR 6 は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、カルボ キシル基、アミノ基、水酸基、置換もしくは 無置換の炭素数1~40のアルキル基、置換もし は無置換の炭素数2~40のアルケニル基、置換 しくは無置換の炭素数2~40のアルキニル基、 又は置換もしくは無置換の炭素数1~40のアル キシ基であり、
 R 5 とR 6 は、互いに連結して環構造を形成してもよい 。)

 前記一般式(A)における核炭素数6~40のアリー ル基の具体例としては、ベンゼン、ナフタレ ン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン 、フェナントレン、クリセン、トリフェニレ ン、コラニュレン、コロネン、ヘキサベンゾ トリフェニレン、ヘキサベンゾコロネン、ス マネン等を置換基としたものが挙げられる。 また、核炭素数3~40のヘテロアリール基の具 例としては、ピリジン、ピラジン、キノリ 、ナフチリジン、キノキサリン、フェナジ 、ジアザアントラセン、ピリドキノリン、 リミドキナゾリン、ピラジノキノキサリン フェナントロリン、カルバゾール、6,12-ジヒ ドロ-6,12-ジアザインデノフルオレン、ジベン ゾチオフェン、ジチアインダセン、ジチアイ ンデノインデン、チエノチオフェン、ジチエ ノチオフェン、ジベンゾフラン、ベンゾジフ ラン、ジベンゾセレノフェン、ジセレナイン ダセン、ジセレナインデノインデン、ジベン ゾシロール等が挙げられる。
 前記ハロゲン原子としては、フッ素、塩素 臭素及びヨウ素原子が挙げられる。
 前記炭素数1~40のアルキル基の具体例として は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソ プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、イソ チル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキ ル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基等が挙げ れる。
 前記炭素数2~40のアルケニル基は、直鎖状及 び分岐状アルケニル基の両者を含み、炭素数 2~15のものが好ましい。
 前記炭素数2~40のアルキニル基は、直鎖状及 び分岐状アルキニル基の両者を含み、炭素数 2~15のものが好ましい。
 前記アルコキシ基は、-OX 1 で表される基であり、X 1 の具体例としては、前記アルキル基で説明し たものと同様の例が挙げられる。
 前記環構造の具体例としては、シクロブタ 、シクロペンタン、シクロヘキサン、アダ ンタン、ノルボルナン等の炭素数4~12のシク ロアルカン、シクロブテン、シクロペンテン 、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロ オクテン等の炭素数4~12のシクロアルケン、 クロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、 クロオクタジエン等の炭素数6~12のシクロア カジエン、ベンゼン、ナフタレン、フェナ トレン、アントラセン、ピレン、クリセン アセナフチレン等の炭素数6~50の芳香族環、 ピロリジン、ピペリジン等の複素環が挙げら れる。

 上記一般式(A)で表される非晶質有機化合物 具体例としては、以下の化合物が挙げられ 。

 本発明の第二の有機TFTにおいて用いられる 晶質有機化合物は、上記一般式(A)で表され ものに限られず、分子量が1000以上であるア ミノ基を有するオリゴマーでもよく、以下に 示す化合物が挙げられる。

 また、上記非晶質有機化合物は、下記一般 (D)又は(E)で表される繰り返し単位を有する ミノ基含有高分子化合物であっても好まし 。
(式中、R 7 ~R 13 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原 子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のア ケニル基、炭素数1~20のアルキニル基、炭素 数1~20のハロアルキル基、炭素数1~30のアルコ シル基又は炭素数1~20のカルボニル基を有す る基であり、またR 9 ~R 13 のうち隣接するもの同士で飽和又は不飽和の 環状構造を形成していても良く、
 dは1又は2である。)

(式中、R 14 ~R 20 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原 子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のア ケニル基、炭素数1~20のアルキニル基、炭素 数1~20のハロアルキル基、炭素数1~30のアルコ シル基又は炭素数1~20のカルボニル基を有す る基であり、またR 16 ~R 20 のうち隣接するもの同士で飽和又は不飽和の 環状構造を形成していても良い。)

 前記一般式(D)及び(E)におけるハロゲン原子 しては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素原 が挙げられる。
 前記炭素数1~20のアルキル基の具体例として は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソ プロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、イソ チル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキ ル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基等が挙げ れる。
 前記炭素数1~20のアルケニル基は、直鎖状及 び分岐状アルケニル基の両者を含み、炭素数 2~15のものが好ましい。
 前記炭素数1~20のアルキニル基は、直鎖状及 び分岐状アルキニル基の両者を含み、炭素数 2~15のものが好ましい。
 前記炭素数1~20のハロアルキル基としては、 例えば、クロロメチル基、1-クロロエチル基 2-クロロエチル基、2-クロロイソブチル基、 1,2-ジクロロエチル基、1,3-ジクロロイソプロ ル基、2,3-ジクロロ-t-ブチル基、1,2,3-トリク ロロプロピル基、ブロモメチル基、1-ブロモ チル基、2-ブロモエチル基、2-ブロモイソブ チル基、1,2-ジブロモエチル基、1,3-ジブロモ ソプロピル基、2,3-ジブロモ-t-ブチル基、1,2 ,3-トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、 1-ヨードエチル基、2-ヨードエチル基、2-ヨー ドイソブチル基、1,2-ジヨードエチル基、1,3- ヨードイソプロピル基、2,3-ジヨード-t-ブチ ル基、1,2,3-トリヨードプロピル基、フルオロ メチル基、1-フルオロメチル基,2-フルオロメ ル基、2-フルオロイソブチル基、1,2-ジフロ エチル基、ジフルオロメチル基、トリフル ロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パ フルオロイソプロピル基、パーフルオロブ ル基、パーフルオロシクロヘキシル基等が げられる。
 前記炭素数1~30のアルコキシル基は、-OX 1 で表される基であり、X 1 の具体例としては、前記アルキル基で説明し たものと同様の例が挙げられる。
 前記炭素数1~20のカルボニル基を有する基の 具体例としては、ホルミル基,アセチル基,プ パノイル基,メトキシカルボニル基等が挙げ られる。
 前記飽和又は不飽和の環状構造としては、 クロブタン、シクロペンタン、シクロヘキ ン、アダマンタン、ノルボルナン等の炭素 4~12のシクロアルカン、シクロブテン、シク ロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテ ン、シクロオクテン等の炭素数4~12のシクロ ルケン、シクロヘキサジエン、シクロヘプ ジエン、シクロオクタジエン等の炭素数6~12 シクロアルカジエン、ベンゼン、ナフタレ 、フェナントレン、アントラセン、ピレン クリセン、アセナフチレン等の炭素数6~50の 芳香族環などが挙げられる。

 上記一般式(D)、(E)で表される繰り返し単位 具体例としては、以下のものが挙げられる

 さらに、本発明の第二の有機TFTにおいて いられる非晶質有機化合物は、架橋部位を するアミノ基含有低分子化合物を架橋して るものであっても好ましく、上記アミノ基 有低分子化合物の架橋部位が下記一般式(1)~ (4)で示される基であるであるとより好ましく 、また、上記非晶質有機化合物が、少なくと も1種のオニウム化合物を添加してアミノ基 有低分子化合物を架橋した架橋体であると らに好ましい。具体的には下記(1)~(4)で示さ る架橋部位をアミノ基含有低分子化合物に め設けておき,薄膜として成膜後,熱や光で 橋して高分子量へと変性して得られた薄膜 熱安定性や有機溶媒への耐性に優れ、特に ましい。

(式中、R 21 は、出現毎に同一であるか異なり、水素原子 、炭素数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状 アルキル基、アルコキシアルキル基、アル キシ基若しくはチオアルコキシ基、4~18個の 香族環原子を有するアリール基若しくはヘ ロアリール基、または炭素数2~10のアルケニ ル基であって、ここで、1以上の水素原子は ハロゲンまたはCNにより置き換えられてもよ く、また1以上の非隣接の炭素原子は、-O-、-S -、-CO-、-COO-、-O-CO-により置き換えられても く、R 22 は、出現毎に同一であるか異なり、水素原子 、炭素数1~20の直鎖状、分岐状若しくは環状 アルキル基若しくはアルコキシアルキル基 4~18個の芳香族環原子を有するアリール基若 くはヘテロアリール基、または炭素数2~10の アルケニル基であって、ここで、1以上の水 原子は、ハロゲンまたはCNにより置き換えら れてもよく、また1以上の非隣接の炭素原子 、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-O-CO-により置き換え れてもよく、Zは、出現毎に同一であるか異 り、二価の基-(CR 23 R 24 ) r -(ここで、1以上の非隣接の炭素原子は、-O-、 -S-、-CO-、-COO-、-O-CO-により置き換えられても よい)、または4~40個の炭素原子を有する二価 アリール基若しくはN-、S-および/またはO-ヘ テロアリール基(これは、1以上のR 23 基により置換されていてもよい)であり、R 23 、R 24 は、出現毎に同一であるか異なり、水素原子 、炭素数1~20の直鎖、分岐若しくは環状のア キル基、アルコキシ基、アルコキシアルキ 基若しくはチオアルコキシ基、4~20個の芳香 環原子を有するアリール基若しくはヘテロ リール基、または炭素数2~10個のアルケニル 基であって、ここで、1以上の水素原子は、 ロゲンまたはCNにより置き換えられてもよく 、R 23 またはR 24 基は、互いに、またはR 21 若しくはR 22 と環構造を形成していてもよく、
 rは、出現毎に同一であるか異なり、0~30の 数であり、
 xは、出現毎に同一であるか異なり、0~5の整 数である。
 ここでの破線は、前記非晶質有機化合物へ 結合を示す。)
 上記低分子化合物は、少なくとも1つの水素 原子が、式(1)の基により置き換えられている アミノ基を有する有機化合物であると特に好 ましい。

 前記一般式(1)~(4)における炭素数1~20のアル ル基の具体例としては、メチル基、エチル 、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基 、s-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n- ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n- オクチル基等が挙げられる。
 前記アルコキシ基は、-OX 1 で表される基であり、X 1 の具体例としては、前記アルキル基で説明し たものと同様の例が挙げられる。
 前記チオアルコキシ基は、-SX 2 で表される基であり、X 2 の例としては、前記アルキル基で説明したも のと同様の例が挙げられる。
 前記4~18の芳香族環原子を有するアリール基 の具体例としては、前記一般式(A)における核 炭素数6~40のアリール基の具体例として挙げ れたもののうち、4~18の芳香族原子を有する のが挙げられる。
 前記へテロアリール基の具体例としては、 記一般式(A)における核炭素数3~40のヘテロア リール基の具体例として挙げられたもののう ち、4~18の芳香族環原子を有するものが挙げ れる。
 前記ハロゲン原子としては、フッ素、塩素 臭素及びヨウ素原子が挙げられる。
 前記4~40個の炭素原子を有する二価のアリー ル基若しくはN-、S-および/またはO-ヘテロア ール基としては、前記一般式(A)における核 素数6~40のアリール基あるいは核炭素数3~40の ヘテロアリール基の具体例として挙げられた もののうち、条件を満たすものが挙げられる 。
 前記環構造の具体例としては、シクロブタ 、シクロペンタン、シクロヘキサン、アダ ンタン、ノルボルナン等の炭素数4~12のシク ロアルカン、シクロブテン、シクロペンテン 、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロ オクテン等の炭素数4~12のシクロアルケン、 クロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、 クロオクタジエン等の炭素数6~12のシクロア カジエン、ベンゼン、ナフタレン、フェナ トレン、アントラセン、ピレン、クリセン アセナフチレン等の炭素数6~50の芳香族環、 ピロリジン、ピペリジン等の複素環が挙げら れる。

 架橋反応は光照射によって開始されること 好ましく,好ましいオニウム化合物は、ジア リールヨードニウム塩、ジアリールブロモニ ウム塩、ジアリールクロロニウム塩、および トリアリールスルホニウム塩であり、特に好 ましくはジアリールヨードニウム塩、ジアリ ールブロモニウム塩、およびジアリールクロ ロニウム塩であり、ここで、アニオンは変え ることができるが、一般的には、例えば、PF 6 - 、SbF 6 - 、SbC l6 - 、BF 4 - 、B(C 6 F 5 ) 4 - 等の弱い求核アニオンが選択される。混合物 中または層中のオニウム化合物の割合は、広 い範囲で変化させることができるが,分解反 の反応生成物が、出来るだけ有機薄膜トラ ジスタの機能に影響を与えないように、出 るだけ低い割合を保つことが好ましい。一 で、この割合は、出来るだけ十分に架橋を 始するために十分であることを確保するこ が必要である。開始剤(オニウム化合物)の割 合は、それぞれのアミノ基を有する有機化合 物について、およびそれぞれのオニウム化合 物について別個に最適化される。一般的に、 混合物中のオニウム化合物の割合が、0.001~5 量%から選択されることが好ましく、特に好 しくは0.01~3質量%,特に0.1~2質量%から選択さ ることを見出した。これらの値は、特にジ リールヨードニウム化合物に当てはまり、 の化合物については、これらの値がこれか 外れることは十分にあり得る。アミノ基を する有機化合物が容易に酸化しない場合に 、非常に低い割合のオニウム化合物、好ま くは0.01~0.5質量%の範囲におけるオニウム化 物が、良好な架橋に適切である一方で、非 に電子リッチな、容易に酸化し得る半導体 場合には、より高い割合のオニウム化合物 好ましくは1~2質量%の範囲におけるオニウム 合物が、良好な架橋に必要とされるという とが見出された。

 上述のようにして架橋反応を行って形成し チャネル制御層に対して、以下に述べる状 調節処理を施すと、架橋の度合いを上昇さ ることができため好ましい。上述の光照射 完了した後、好ましくは50~250℃の温度範囲 、より好ましくは80~150℃の温度範囲で、好 しくは0.1~30分間、より好ましくは1~5分間、 態調節処理を施すことができる。但し、上 温度範囲は、用いられる非晶質有機化合物 によって異なる。この状態調節処理により チャネル制御層中の反応性オキセタン単位 移動性が増し、架橋の度合いが上昇し、ポ マーネットワークが得られる。このように て得られたチャネル制御層は、THF等の一般 な有機溶媒に対して、実質的に不溶である
 また、上述のようにして架橋反応を行って 成したチャネル制御層、あるいは、上述の うにして架橋反応を行って形成し、その後 態調節処理を施したチャネル制御層に対し 、さらに洗浄処理を施すことができる。洗 処理は、チャネル制御層をTHF等の一般的な 媒を用いて行うことができる。洗浄処理に り、チャネル制御層中の添加剤等が除去さ る。添加剤としては、LiAlH 4 、MBDQフリーラジカルアニオン=2,6-ジメチル2 ,6’-ジ-tert-ブチルジキノンフリーラジカル ニオン、ヒドラジン、ヒドラジン誘導体等 還元剤、テトラブチルアンモニウムアセテ トまたはブロミド等の弱塩基/求核試薬等が げられ、これらの添加剤の濃度は低く、好 しくは10 -4 モル/リットル未満、特に好ましくは10 -5 モル/リットル未満である。

 オニウム化合物の存在下で進行し、照射に り開始される本架橋反応は、照射をオニウ 化合物の吸収帯において行わないことが好 しく、オニウム化合物の吸収極大よりも少 くとも80nm長い波長において照射することが より好ましく、オニウム化合物の吸収極大よ りも100nm長い波長において照射することが特 好ましい。これらの数値は、吸収の極大と 出との分離に相当する。このことは、オニ ム化合物は、光酸発生物質として直接的に 用することはできず、すなわち、直接的に ロトンを遊離することはできないというこ を意味する。しかしながらオキセタン基の 橋は、非常に効率的に且つ迅速に起こり、 際に、照射が、他の点に関しては同様の条 下で、オニウム化合物の吸収帯においてで なく、アミノ基を有する有機化合物の吸収 において行われる場合には、架橋された層 より耐久性を有するということが見出され 。これはオキセタン官能化された有機化合 は、反応のための光増感剤としての役割を たすと考えている。
 照射を、好ましくは、アミノ基を有する有 化合物の吸収帯において、特に個々の吸収 の吸収極大の+/-50nmまでの範囲における波長 において行うときは。照射時間は、非常に短 いものを選択することができ、非常に良好な 架橋結果がやはり得られる。照射を、好まし くは、0.01~10秒間、特に好ましくは0.1~3秒間で 行う。これらの時間は、<1mW/cm 2 の光量に対応し、より高い光量においては、 適切な場合には、さらにより短い露光時間で 十分であり得る。
 架橋は、オキセタン官能基無しでは進行し い。従って、本発明は、さらに、照射を光 発生物質の吸収帯外で、好ましくは、オニ ム化合物の吸収極大よりも少なくとも80nm長 い、特に好ましくは少なくとも100nm長い波長 おいて行うことを特徴とする。

 架橋のもう一つの方法は、酸化剤の添加に る架橋反応の直接の酸化的開始である。適 な酸化剤は、例えば、ニトロソニウム塩、 リアリールアンモニウムフリーラジカルカ オンの塩、または例えば、揮発性化合物若 くは易溶性の化合物のような、その反応生 物を、架橋後フィルムから容易に除去する とができる他の酸化剤、またはその反応生 物が不活性であり、且つ有機薄膜トランジ タの作動中、フィルムにおける不利な影響 有さない酸化剤である。容易に取り扱えるN O化合物は、例えば、NO(BF 4 )またはNO(SbF 6 )である。トリス(4-ブロモフェニルアンモニ ム)塩は、安定なフリーラジカルカチオンの である。添加される酸化剤は、オキセタン の架橋が開始されることを可能にする。架 は、オキセタン官能基無しでは進行しない

 上記架橋方法は、従来技術に従って(照射が 、光酸発生物質の吸収帯において行われる) 誘起される架橋に対して、以下の利点を提 する。
1)架橋を、従来技術に従って可能であるもの りも、より穏やかな条件下で行うことがで る。プロトンを遊離し且つ架橋を開始する めに、光酸発生物質の場合には、より高いU V放射が必要である一方で、本発明による方 の場合における反応を、有意により低いエ ルギー(=より長い波長)の光で開始すること できる。とりわけ、光化学的に不安定であ アミノ基を有する有機化合物について(この とは、今日までのところ必要とされるUV放 の場合において、殆どのアミノ基を有する 機化合物にも当てはまる。)、上記架橋方法 、高エネルギーUV放射による層における副 応および分解を実質的に回避するために、 らかな利点を提供する。
2)架橋は、従来技術に従う場合と比較して、 り迅速且つ効率的に進行する。それによっ 、架橋を、これまでと比較してより短い時 で行うことができ、これは、より短い露光 間のために、材料を保護し、副反応を低減 せる。加えて、より短い架橋時間は、工業 生産方法における明らかな利点を示す。従 て、デバイスの構造化は、非常に効率的で り、これまでと比べてより短い時間で同様 可能である。
3)より少ない光酸発生物質の添加を伴う本発 による方法により架橋される層は、それで なお、溶媒に対するより良好な耐性を有す 。従って、これらは、一方ではより良好に 造化されると同時に、他方では、順に重ね 複数の層の適用も改善される。

 以下に前記アミノ基含有低分子化合物の 体的な構造式を示すがこれに制限されるも ではない。

 これらチャネル制御層が含有する非晶質 機化合物の好ましい例として挙げたアミン 有機化合物は,たとえば非特許文献C. W. Tang  and S. A. VanSlyke, Appl. Phys. Lett. 51, 913 (19 87).に見られるように有機EL素子の正孔注入層 や正孔輸送層として用いられることがある。 有機ELではアミン化合物の層を電流が流れる ,本発明の有機TFTでは電流はチャネル制御層 に沿って有機半導体層を流れるためまったく 異なるデバイスである。実際,これらアミン 合物を有機半導体層として用いた場合には 界効果移動度が著しく小さい値であると,た えば非特許文献T. P. I. Saragi, T. Fuhrmann-Lie ker and J. Salbeck, "Comparison of Charge Transport  in Thin Films of Spiro-Linked Compounds and Their Co rresponding Parent Compounds", Advanced Functional Mate rials 16,966(2006)などでよく知られている。

(チャネル制御層の積層)
 チャネル制御層は、上記架橋又は非架橋の オン化ポテンシャルが5.8eV未満の非晶質有 化合物を含有する1層のみから成っていても く、または複数の層から成っていてもよい ,特に好ましくは少なくとも1層が架橋され 得られた非晶質有機化合物を含有する。

(チャネル制御層の膜厚)
 本発明の有機TFTにおけるチャネル制御層の 厚は特に制限されず、チャネル制御層と有 半導体層との界面を平滑化するために必要 膜厚があればよい。好ましくは膜厚1nm~100nm あり、5nm~50nmであると更に好ましい。これ 膜厚が厚すぎるとゲート電圧によってキャ アを蓄積する効果が小さくなり、薄すぎる 有機半導体との界面の平滑性が足りず、チ ネル内にキャリアトラップが形成される恐 があるためである。

(チャネル制御層の形成方法)
 チャネル制御層の形成方法は特に限定され ことはなく、有機半導体層の形成方法とし 公知の方法を適用できる。例えば、分子線 着法(MBE法)、真空蒸着法、化学蒸着、材料 溶媒に溶かした溶液のディッピング法、ス ンコーティング法、キャスティング法、バ コート法、ロールコート法等の印刷、塗布 及びベーキング、エレクトロポリマライン ーション、分子ビーム蒸着、溶液からのセ フ・アセンブリ、及びこれらの組合せた手 により形成される。
 ここで、材料の非晶性が保持されることを 慮する必要がある。本発明の第二の有機TFT おける特に好ましい成膜法は、チャネル制 層の分子量が1000以上と大きいために溶液プ ロセス、即ち、ディッピング法、スピンコー ティング法、キャスティング法、バーコート 法、ロールコート法,インクジェット,グラビ 印刷,凸版印刷,平版,凹版等の印刷、塗布法 好ましい。これらの方法を用いると平滑性 高い薄膜を得ることができる。また必要に じて架橋剤や重合開始剤を溶液に混合して き光や熱により架橋や重合することも好ま い。

(有機半導体層)
 本発明で用いられる有機半導体としては特 制限を受けるものではない。一般に開示さ ているような、有機TFTに用いられる有機半 体を用いることができる。
以下に具体例を示す。

(有機半導体層に使用される材料)
 高い移動度が得られるため、通常、結晶性 材料が用いられる。具体的には、次のよう 材料を例示することができる。
(1)ナフタレン、アントラセン、テトラセン、 ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン等の、 置換基のついてもよいアセン類、例として1,4 -ビススチリルベンゼン、1,4-ビス(2-メチルス リル)ベンゼン、1,4-ビス(3-メチルスチリル) ンゼン(4MSB)、1,4-ビス(4-メチルスチリル)ベ ゼン、ポリフェニレンビニレンなどC 6 H 5 -CH=CH-C 6 H 5 で表されるスチリル構造を有する化合物、こ のような化合物のオリゴマーやポリマー。
(2)以下に示すチオフェン環を含む化合物
(ア)α-4T、α-5T、α-6T、α-7T、α-8Tの誘導体等の 置換基を有してもよいチオフェンオリゴマー
(イ)ポリヘキシルチオフェン、ポリ(9,9-ジオ チルフルオレニル-2,7-ジイル-コ-ビチオフェ )等のチオフェン系高分子等のチオフェン系 高分子
(ウ)ビスベンゾチオフェン誘導体、α,α’-ビ (ジチエノ[3,2-b:2’,3’-d]チオフェン)、ジチ ノチオフェン-チオフェンのコオリゴマー、 ペンタチエノアセン等の縮合オリゴチオフェ ン特にチエノベンゼン骨格またはジチエノベ ンゼン骨格を有する化合物、ジベンゾチエノ ベンゾチオフェン誘導体が好ましい。
(3)また、セレノフェンオリゴマー、無金属フ タロシアニン、銅フタロシアニン、鉛フタロ シアニン、チタニルフタロシアニン、白金ポ ルフィリン、ポルフィリン、ベンゾポルフィ リンなどのポルフィリン類、テトラチアフル バレン(TTF)及びその誘導体、ルブレン及びそ 誘導体などが挙げられる。

(n型有機TFTを構成する有機半導体)
 本発明の有機TFTの場合、n型有機TFTであると 、特に大きな移動度および更に優れた高温安 定性が得られる。n型有機TFTに用いられる有 半導体としては、nチャネル駆動能を有する 機半導体が好ましく、具体的には以下の化 物を挙げることができる。
(1)アセン類、無金属フタロシアニン、銅フタ ロシアニン、フッ素化銅フタロシアニン、鉛 フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、 白金ポルフィリン、ポルフィリン、ベンゾポ ルフィリンなどのポルフィリン類、ルブレン 、ポリフェニレンビニレンなどの両極輸送性 化合物。
(2)以下に示すp型半導体を母骨格とし、これ に対してF、CF 3 、C 2 F 5 等のフッ素、フルオロアルキル基が付加した 化合物。
 ナフタレン、アントラセン、テトラセン、 ンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン等の置 基のついてもよいアセン類、例として1,4-ビ ススチリルベンゼン、1,4-ビス(2-メチルスチ ル)ベンゼン、1,4-ビス(3-メチルスチリル)ベ ゼン(4MSB)、1,4-ビス(4-メチルスチリル)ベンゼ ン、ポリフェニレンビニレンなどC 6 H 5 -CH=CH-C 6 H 5 で表されるスチリル構造を有するオリゴマー 、ポリマー、α-4T、α-5T、α-6T、α-7T、α-8Tの 導体等の置換基を有してもよいチオフェン リゴマーポリヘキシルチオフェン、ポリ(9,9- ジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル-コ-ビチ フェン)等のチオフェン系高分子等のチオフ ン系高分子ビスベンゾチオフェン誘導体、 ,α’-ビス(ジチエノ[3,2-b:2’,3’-d]チオフェ )、ジチエノチオフェン-チオフェンのコオリ ゴマー、ペンタチエノアセン等の縮合オリゴ チオフェン特にチエノベンゼン骨格またはジ チエノベンゼン骨格を有する化合物、ジベン ゾチエノベンゾチオフェン誘導体、セレノフ ェンオリゴマー、無金属フタロシアニン、銅 フタロシアニン、フッ素化銅フタロシアニン 、鉛フタロシアニン、チタニルフタロシアニ ン、白金ポルフィリン、ポルフィリン、ベン ゾポルフィリンなどのポルフィリン類、テト ラチアフルバレン(TTF)及びその誘導体。
(3)単独でn型半導体として知られているもの テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、11,11,12,12- トラシアノナフト-2,6-キノジメタン(TCNNQ)ら キノイドオリゴマー、C60、C70、PCBM等のフラ レン類、N,N’-ジフェニル-3,4,9,10-ペリレン トラカルボン酸ジイミド、N,N’-ジオクチル- 3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(C8 -PTCDI)、NTCDA、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボ シルジイミド(NTCDI)等のテトラカルボン酸類 。

(有機半導体層の膜厚及び成膜方法)
 本発明の有機TFTにおける有機半導体層の膜 は、特に制限されることはないが、通常、0 .5nm~1μmであり、2nm~250nmであると好ましい。こ の範囲であると、大きな移動度と高温条件で の優れた安定性が得られる。
 有機半導体層の形成方法は特に限定される とはなく公知の方法を適用でき、例えば、 子線蒸着法(MBE法)、真空蒸着法、化学蒸着 材料を溶媒に溶かした溶液のディッピング 、スピンコーティング法、キャスティング 、バーコート法、ロールコート法等の印刷 塗布法及びベーキング、エレクトロポリマ インゼーション、分子ビーム蒸着、溶液か のセルフ・アセンブリ、及びこれらの組合 た手段により、前記したような有機半導体 の材料で形成される。有機半導体層の結晶 を向上させて、電界効果移動度を向上させ ため、気相からの成膜(蒸着、スパッタ等)を 用いる場合は成膜中の基板温度を高温で保持 する方法を採用することができる。その温度 は50~250℃が好ましく、70~150℃であるとさらに 好ましい。また、成膜方法に関わらず成膜後 にアニーリングを実施することで、素子の性 能向上を図ることができる。アニーリングの 温度は50~200℃が好ましく、70~200℃であるとさ らに好ましく、時間は10分~12時間が好ましく 1~10時間であるとさらに好ましい。ただし、 チャネル制御層の非晶質が保たれるようなア ニーリング条件を採用する必要がある。

(チャネル制御層および有機半導体層に用い れる有機化合物の純度)
 また、本発明の有機薄膜トランジスタにお る、上記チャネル制御層に用いられる非晶 有機化合物や有機半導体層に用いられる有 半導体としては、純度の高いものを用いる とにより電界効果移動度やオン/オフ比の向 上を図ることができる。したがってこれらは 必要に応じて、カラムクロマトグラフィー、 再結晶、蒸留、昇華などの手法により精製を 加えることが望ましい。好ましくはこれらの 精製方法を繰り返し用いたり、複数の方法を 組み合わせたりすることにより純度を向上さ せることが可能である。さらに精製の最終工 程として昇華精製を少なくとも2回以上繰り すことが望ましい。これらの手法を用いる とによりHPLCで測定した純度90%以上の材料を いることが好ましく、さらに好ましくは95% 上、特に好ましくは99%以上の材料を用いる とにより、有機TFTの電界効果移動度やオン/ オフ比を高め、本来材料の持っている性能を 引き出すことができる。

(基板)
 本発明の有機TFTにおける基板は、有機TFTの 造を支持する役目を担うものである。材料 してはガラスの他、金属酸化物や窒化物な の無機化合物、プラスチックフィルム(PET,PE S,PC)や金属基板又はこれら複合体や積層体な も用いることが可能である。また、基板以 の構成要素により有機TFTの構造を十分に支 し得る場合には、基板を使用しないことも 能である。また、基板の材料としてはシリ ン(Si)ウエハが用いられることが多い。この 場合、Si自体をゲート電極兼基板として用い ことができる。また、Siの表面を酸化し、Si O 2 を形成して絶縁層として活用することも可能 である。この場合、基板兼ゲート電極のSi基 にリード線接続用の電極として、Auなどの 属層を成膜することもある。

(電極)
 本発明の有機TFTにおける、ゲート電極、ソ ス電極及びドレイン電極の材料としては、 電性材料であれば特に限定されず、白金、 、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、ア チモン鉛、タンタル、インジウム、パラジ ム、テルル、レニウム、イリジウム、アル ニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリ デン、タングステン、酸化スズ・アンチモ 、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドー 酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グ ッシーカーボン、銀ペースト及びカーボン ースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウ 、マグネシウム、カリウム、カルシウム、 カンジウム、チタン、マンガン、ジルコニ ム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム-カリウ 合金、マグネシウム/銅混合物、マグネシウ ム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混 物、マグネシウム/インジウム混合物、アル ミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウ /アルミニウム混合物等が用いられる。

 前記電極の形成方法としては、例えば、 着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、大 圧プラズマ法、イオンプレーティング、化 気相蒸着、電着、無電解メッキ、スピンコ ティング、印刷又はインクジェット等の手 により形成される。また、必要に応じてパ ーニングする方法としては、上記の方法を いて形成した導電性薄膜を、公知のフォト ソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形 する方法、アルミニウムや銅などの金属箔 に熱転写、インクジェット等により、レジ トを形成しエッチングする方法がある。こ ようにして形成された電極の膜厚は電流の 通さえあれば特に制限はないが、好ましく 0.2nm~10μm、さらに好ましくは4nm~300nmの範囲 ある。この好ましい範囲内であれば、膜厚 薄いことにより抵抗が高くなり電圧降下を じることがない。また、厚すぎないため膜 成に時間がかからず、保護層や有機半導体 など他の層を積層する場合に、段差が生じ ことが無く積層膜が円滑にできる。

 本発明の有機TFTにおいて、上記とは異な ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極お びその形成方法としては、上記の導電性材 を含む、溶液、ペースト、インク、分散液 どの流動性電極材料を用いて形成する方法 採用することができる。この場合、導電性 リマー、又は白金、金、銀、銅を含有する 属微粒子を含む流動性電極材料を用いるこ が好ましい。また、溶媒や分散媒体として 、有機半導体への悪影響を抑制するため、 を60質量%以上、好ましくは90質量%以上含有 る溶媒又は分散媒体であることが好ましい 金属微粒子を含有する分散物としては、例 ば、公知の導電性ペーストなどを用いても いが、通常粒子径が0.5nm~50nm、1nm~10nmの金属 粒子を含有する分散物であると好ましい。 の金属微粒子の材料としては、例えば、白 、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫 アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パ ジウム、テルル、レニウム、イリジウム、 ルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、 リブデン、タングステン、亜鉛等を用いる とができる。これらの金属微粒子を、主に 機材料からなる分散安定剤を用いて、水や 意の有機溶剤である分散媒中に分散した分 物を用いて電極を形成するのが好ましい。 のような金属微粒子の分散物の製造方法と ては、ガス中蒸発法、スパッタリング法、 属蒸気合成法などの物理的生成法や、コロ ド法、共沈法などの、液相で金属イオンを 元して金属微粒子を生成する化学的生成法 挙げられ、好ましくは、特開平11-76800号公 、同11-80647号公報、同11-319538号公報、特開200 0-239853号公報等に示されたコロイド法、特開2 001-254185号公報、同2001-53028号公報、同2001-35255 号公報、同2000-124157号公報、同2000-123634号公 などに記載されたガス中蒸発法により製造 れた金属微粒子の分散物である。

 これらの金属微粒子分散物を用いて直接イ クジェット法によりパターニングしても良 、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレ ションなどにより形成しても良い。また凸 、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷 でパターニングする方法も用いることがで る。前記電極を成形し、溶媒を乾燥させた 、必要に応じて100℃~300℃、好ましくは150℃ ~200℃の範囲で形状様に加熱することにより 金属微粒子を熱融着させ、目的の形状を有 る電極パターンを形成する。
 さらに、上記とは別のゲート電極、ソース 極及びドレイン電極の材料として、ドーピ グ等で導電率を向上させた公知の導電性ポ マーを用いることもできる。例えば、導電 ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電 ポリチオフェン(ポリエチレンジオキシチオ フェンとポリスチレンスルホン酸の錯体など )、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)と リスチレンスルホン酸の錯体などを好適に いることができる。これらの材料によりソ ス電極とドレイン電極の有機半導体層との 触抵抗を低減することができる。これらの 成方法もインクジェット法によりパターニ グしても良く、塗工膜からリソグラフやレ ザーアブレーションなどにより形成しても い。また凸版、凹版、平版、スクリーン印 などの印刷法でパターニングする方法も用 ることができる。

 特にソース電極及びドレイン電極を形成す 材料は、前述した例の中でも有機半導体層 の接触面において電気抵抗が少ないものが ましい。この際の電気抵抗は、すなわち電 制御デバイスを作製したとき電界効果移動 と対応しており、大きな移動度を得る為に 出来るだけ抵抗が小さいことが必要である これは一般に電極材料の仕事関数と有機半 体層のエネルギー準位との大小関係で決ま 。
 電極材料の仕事関数(W)をa、有機半導体層の イオン化ポテンシャルを(Ip)をb、有機半導体 の電子親和力(Af)をcとすると、以下の関係 を満たすことが好ましい。ここで、a,b及びc いずれも真空準位を基準とする正の値であ 。

 p型有機TFTの場合には、b-a<1.5eV(式(I))であ ことが好ましく、さらに好ましくはb-a<1.0 eVである。有機半導体層との関係において上 関係が維持できれば高性能なデバイスを得 ことができるが、特に電極材料の仕事関数 できるだけ大きいことものを選ぶことが好 しく、仕事関数4.0eV以上であることが好ま く、さらに好ましくは仕事関数4.2eV以上であ る。
 金属の仕事関数の値は、例えば化学便覧  礎編II-493頁(改訂3版 日本化学会編 丸善株 会社発行1983年)に記載されている4.0eV又はそ 以上の仕事関数をもつ有効金属の前記リス から選別すれば良く、高仕事関数金属は、 としてAg(4.26,4.52,4.64,4.74eV),Al(4.06,4.24,4.41eV),Au (5.1,5.37,5.47eV),Be(4.98eV),Bi(4.34eV),Cd(4.08eV),Co(5.0eV) ,Cu(4.65eV),Fe(4.5,4.67,4.81eV),Ga(4.3eV),Hg(4.4eV),Ir(5.42, 5.76eV),Mn(4.1eV),Mo(4.53,4.55,4.95eV),Nb(4.02,4.36,4.87eV), Ni(5.04,5.22,5.35eV),Os(5.93eV),Pb(4.25eV),Pt(5.64eV),Pd(5.5 5eV),Re(4.72eV),Ru(4.71eV),Sb(4.55,4.7eV),Sn(4.42eV),Ta(4.0, 4.15,4.8eV),Ti(4.33eV),V(4.3eV),W(4.47,4.63,5.25eV),Zr(4.05e V)である。これらの中でも、貴金属(Ag,Au,Cu,Pt) ,Ni,Co,Os,Fe,Ga,Ir,Mn,Mo,Pd,Re,Ru,V,Wが好ましい。金 以外では、ITO、ポリアニリンやPEDOT:PSSのよ な導電性ポリマー及び炭素が好ましい。電 材料としてはこれらの高仕事関数の物質を1 又は複数含んでいても、仕事関数が前記式( I)を満たせば特に制限を受けるものではない

 n型有機TFTの場合にはa-c<1.5eV(式(II))である ことが好ましく,さらに好ましくはa-c<1.0eV ある。有機半導体層との関係において上記 係が維持できれば高性能なデバイスを得る とができるが、特に電極材料の仕事関数は きるだけ小さいものを選ぶことが好ましく 仕事関数4.3eV以下であることが好ましく、さ らに好ましくは仕事関数3.7eV以下である。
 低仕事関数金属の具体例としては、例えば 学便覧 基礎編II-493頁(改訂3版 日本化学会  丸善株式会社発行1983年)に記載されている 4.3eV又はそれ以下の仕事関数をもつ有効金属 前記リストから選別すれば良く、Ag(4.26eV),Al (4.06,4.28eV),Ba(2.52eV),Ca(2.9eV),Ce(2.9eV),Cs(1.95eV),Er(2 .97eV),Eu(2.5eV),Gd(3.1eV),Hf(3.9eV),In(4.09eV),K(2.28),La(3 .5eV),Li(2.93eV),Mg(3.66eV),Na(2.36eV),Nd(3.2eV),Rb(4.25eV), Sc(3.5eV),Sm(2.7eV),Ta(4.0,4.15eV),Y(3.1eV),Yb(2.6eV),Zn(3.6 3eV)等が挙げられる。これらの中でも、Ba,Ca,Cs ,Er,Eu,Gd,Hf,K,La,Li,Mg,Na,Nd,Rb,Y,Yb,Znが好ましい。 極材料としてはこれらの低仕事関数の物質 1種又は複数含んでいても、仕事関数が前記 (II)を満たせば特に制限を受けるものではな い。n型有機TFTにおいて、Auを用いることもで きる。
 ただし、低仕事関数金属は、大気中の水分 酸素に触れると容易に劣化してしまうので 必要に応じてAgやAuのような空気中で安定な 金属で被覆することが望ましい。被覆に必要 な膜厚は10nm以上必要であり、膜厚が熱くな ほど酸素や水から保護することができるが 実用上、生産性を上げる等の理由から1um以 にすることが望ましい。

(バッファ層)
 また、本実施の有機薄膜トランジスタでは 例えば、キャリアの注入効率を向上させる 的で、有機半導体層とソース電極及びドレ ン電極との間に、バッファ層を設けても良 。バッファ層としてはn型有機薄膜トランジ スタに対しては有機EL素子の陰極に用いられ いるLiF、Li 2 O、CsF、NaCO 3 、KCl、MgF 2 、CaCO 3 などのアルカリ金属、アルカリ土類金属イオ ン結合を持つ化合物が望ましい。また、Alqな ど有機ELで電子注入層、電子輸送層として用 られる化合物を挿入しても良い。
 p型有機薄膜トランジスタに対してはFeCl 3 、TCNQ、F 4 -TCNQ、HATなどのシアノ化合物、CFxやGeO 2 、SiO 2 、MoO 3 、V 2 O 5 、VO 2 、V 2 O 3 、MnO、Mn 3 O 4 、ZrO 2 、WO 3 、TiO 2 、In 2 O 3 、ZnO、NiO、HfO 2 、Ta 2 O 5 、ReO 3 、PbO 2 などのアルカリ金属、アルカリ土類金属以外 の金属酸化物、ZnS、ZnSeなどの無機化合物が ましい。これらの酸化物は多くの場合、酸 欠損を起こし、これが正孔注入に好適であ 。更にはTPDやNPDなどのアミン系化合物やCuPc ど有機EL素子において正孔注入層、正孔輸 層として用いられる化合物でもよい。また 上記の化合物二種類以上からなるものが望 しい。
 バッファ層はキャリアの注入障壁を下げる とにより閾値電圧を下げ、有機TFTを低電圧 動させる効果がある。また、移動度を高め 効果もある。バッファ層は電極と有機半導 層との間に薄く存在すればよく、その厚み 0.1nm~30nm、好ましくは0.3nm~20nmである。

(絶縁体層)
 本発明の有機TFTにおける絶縁体層の材料と ては、電気絶縁性を有し薄膜として形成で るものであるのなら特に限定されず、金属 化物(珪素の酸化物を含む)、金属窒化物(珪 の窒化物を含む)、高分子、有機低分子など 室温での電気抵抗率が10ωcm以上の材料を用い ることができ、特に、比誘電率の高い無機酸 化物膜が好ましい。
 無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化ア ミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸 スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウム トロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バ ウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン 鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チ ン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウ 、ランタン酸化物、フッ素酸化物、マグネ ウム酸化物、ビスマス酸化物、チタン酸ビ マス、ニオブ酸化物,チタン酸ストロンチウ ムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビス マス、五酸化タンタル、タンタル酸ニオブ酸 ビスマス、トリオキサイドイットリウム及び これらを組合せたものが挙げられ、酸化ケイ 素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化 チタンが好ましい。
 また、窒化ケイ素(Si 3 N 4 、SixNy(x、y>0))、窒化アルミニウム等の無機 窒化物も好適に用いることができる。

 さらに、絶縁体層は、アルコキシド金属を む前駆物質で形成されていても良く、この 駆物質の溶液を、例えば基板に被覆し、こ を熱処理を含む化学溶液処理をすることに り絶縁体層が形成される。
 前記アルコキシド金属における金属として 、例えば、遷移金属、ランタノイド、又は 族元素から選択され、具体的には、バリウ (Ba)、ストロンチウム(Sr)、チタン(Ti)、ビス ス(Bi)、タンタル(Ta)、ジルコン(Zr)、鉄(Fe)、 ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉛(Pb)、ランタン (La)、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム (K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシ ム(Fr)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、 ルシウム(Ca)、ニオブ(Nb) 、タリウム(Tl)、 銀(Hg)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、 カンジウム(Sc)及びイットリウム(Y)等が挙げ られる。また、前記アルコキシド金属におけ るアルコキシドとしては、例えば、メタノー ル、エタノール、プロパノール、イソプロパ ノール、ブタノール、イソブタノール等を含 むアルコール類、メトキシエタノール、エト キシエタノール、プロポキシエタノール、ブ トキシエタノール、ペントキシエタノール、 ヘプトキシエタノール、メトキシプロパノー ル、エトキシプロパノール、プロポキシプロ パノール、ブトキシプロパノール、ペントキ シプロパノール、ヘプトキシプロパノールを 含むアルコキシアルコール類等から誘導され るものが挙げられる。

 本発明において、絶縁体層を上記したよう 材料で構成すると、絶縁体層中に分極が発 しやすくなり、有機TFT動作の閾電圧を低減 ることができる。また、上記材料の中でも 特に、Si 3 N 4 、SixNy、SiONx(x、y>0)等の窒化ケイ素で絶縁 層を形成すると、分極がいっそう発生しや くなり、閾電圧をさらに低減させることが きる。
 有機化合物を用いた絶縁体層としては、ポ イミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリ クリレート、光ラジカル重合系、光カチオ 重合系の光硬化性樹脂、アクリロニトリル 分を含有する共重合体、ポリビニルフェノ ル、ポリビニルアルコール、ノボラック樹 、及びシアノエチルプルラン等を用いるこ もできる。その他、ワックス、ポリエチレ 、ポリクロロピレン、ポリエチレンテレフ レート、ポリオキシメチレン、ポリビニル ロライド、ポリフッ化ビニリデン、ポリメ ルメタクリレート、ポリサルホン、ポリカ ボネート、ポリイミドシアノエチルプルラ 、ポリ(ビニルフェノール)(PVP)、ポリ(メチ メタクレート)(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、 ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン、ポリア リルアミド、ポリ(アクリル酸)、ノボラック 樹脂、レゾール樹脂、ポリイミド、ポリキシ リレン、エポキシ樹脂に加え、プルランなど の高い誘電率を持つ高分子材料を使用するこ とも可能である。

 絶縁体層の材料として、特に好ましいのは 水性を有する有機化合物であり、撥水性を することにより絶縁体層とチャネル制御層 の相互作用を抑え、チャネル制御層が本来 有している非晶質性を保持できるので、チ ネル制御層の機能を発揮し素子性能を向上 せることができる。このような例としては Yasudaら Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 42 (2003) pp.66 14-6618に記載のポリパラキシリレン誘導体やJa nos Veres ら Chem. Mater., Vol. 16 (2004) pp. 4543 -4555に記載のものが挙げられる。
 また、図2及び図5に示すようなトップゲー 構造を用いるときに、このような有機化合 を絶縁体層の材料として用いると、有機半 体層に与えるダメージを小さくして成膜す ことができるため有効な方法である。

 前記絶縁体層は、前述したような無機又は 機化合物材料を複数用いた混合層であって 良く、これらの積層構造体であっても良い この場合、必要に応じて誘電率の高い材料 撥水性を有する材料を混合したり、積層し りすることによりデバイスの性能を制御す こともできる。
 また、前記絶縁体層は、陽極酸化膜、又は 陽極酸化膜を構成として含んでも良い。陽 酸化膜は封孔処理されることが好ましい。 極酸化膜は、陽極酸化が可能な金属を公知 方法により陽極酸化することにより形成さ る。陽極酸化処理可能な金属としては、ア ミニウム又はタンタルを挙げることができ 陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、 知の方法を用いることができる。陽極酸化 理を行なうことにより、酸化被膜が形成さ る。陽極酸化処理に用いられる電解液とし は、多孔質酸化皮膜を形成することができ ものならばいかなるものでも使用でき、一 には、硫酸、燐酸、蓚酸、クロム酸、ホウ 、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等 るいはこれらを2種類以上組み合わせた混酸 又はそれらの塩が用いられる。陽極酸化の処 理条件は使用する電解液により種々変化する ので一概に特定し得ないが、一般的には、電 解液の濃度が1~80質量%、電解液の温度5~70℃、 電流密度0.5~60A/cm 2 、電圧1~100ボルト、電解時間10秒~5分の範囲が 適当である。好ましい陽極酸化処理は、電解 液として硫酸、リン酸又はホウ酸の水溶液を 用い、直流電流で処理する方法であるが、交 流電流を用いることもできる。これらの酸の 濃度は5~45質量%であることが好ましく、電解 の温度20~50℃、電流密度0.5~20A/cm 2 で20~250秒間電解処理するのが好ましい。
 絶縁体層の厚さとしては、層の厚さが薄い 有機半導体に印加される実効電圧が大きく るので、素子自体の駆動電圧、閾電圧を下 ることができるが、逆にソースーゲート間 リーク電流が大きくなるので、適切な膜厚 選ぶ必要があり、通常10nm~5μm、好ましくは5 0nm~2μm、さらに好ましくは100nm~1μmである。

 前記絶縁体層の形成方法としては、真空 着法、分子線エピタキシャル成長法、イオ クラスタービーム法、低エネルギーイオン ーム法、イオンプレーティング法、CVD法、 パッタリング法、特開平11-61406号公報、同11 -133205号公報、特開2000-121804号公報、同2000-1472 09号公報、同2000-185362号公報に記載の大気圧 ラズマ法などのドライプロセスや、スプレ コート法、スピンコート法、ブレードコー 法、デイップコート法、キャスト法、ロー コート法、バーコート法、ダイコート法な の塗布による方法、印刷やインクジェット どのパターニングによる方法などのウェッ プロセスが挙げられ、材料に応じて使用で る。ウェットプロセスは、無機酸化物の微 子を、任意の有機溶剤又は水に必要に応じ 界面活性剤などの分散補助剤を用いて分散 た液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆 、例えば、アルコキシド体の溶液を塗布、 燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる

(有機TFTの形成プロセス)
 本発明の有機TFTを形成する方法としては、 に限定されず公知の方法によれば良いが、 望の素子構成に従い、基板投入、ゲート電 形成、絶縁体層形成、チャネル制御層形成, 有機半導体層形成、ソース電極形成、ドレイ ン電極形成までの一連の素子作製工程を全く 大気に触れることなく形成すると、大気との 接触による大気中の水分や酸素などによる素 子性能の阻害を防止できるため好ましい。や むをえず、一度大気に触れさせなければなら ないときは、有機半導体層成膜以後の工程は 大気に全く触れさせない工程とし、有機半導 体層成膜直前には、有機半導体層を積層する 面(例えば素子Bの場合は絶縁層に一部ソース 極、ドレイン電極が積層された表面)を紫外 線照射、紫外線/オゾン照射、酸素プラズマ アルゴンプラズマ等で清浄化・活性化した 、有機半導体層を積層することが好ましい また,p型TFT材料の中には一旦大気に触れさせ ,酸素等を吸着させることにより性能が向上 るものもあるので,材料によっては適宜大気 触れさせる。
 さらに、例えば、大気中に含まれる酸素、 などの有機半導体層に対する影響を考慮し 有機トランジスタ素子の外周面の全面又は 部に、ガスバリア層を形成しても良い。ガ バリア層を形成する材料としては、この分 で常用されるものを使用でき、例えば、ポ ビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコ ール共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビ ニリデン、ポリクロロトリフロロエチレンな どが挙げられる。さらに、前記絶縁体層で例 示した、絶縁性を有する無機物も使用できる 。

実施例1-1(第一の有機TFTの製造)
 有機薄膜トランジスタを以下の手順で作製 た。まず、Si基板(P型比抵抗1ωcmゲート電極 用)を熱酸化法にて表面を酸化させ、基板上 に300nmの熱酸化膜を作製して絶縁体層とした さらに基板の一方に成膜したSiO 2 膜をドライエッチングにて完全に除去した後 、スパッタ法にてクロムを20nmの膜厚で成膜 、さらにその上に金(Au)を100nmスパッタにて 膜し取り出し電極とした。この基板を、中 洗剤、純水、アセトン及びエタノールで各30 分超音波洗浄し、さらにオゾン洗浄を行った 。
 次に、上記基板を真空蒸着装置(ULVAC社製、E X-400)に設置し、絶縁体層上に第一の有機TFTに 用いるものとして挙げた前記化合物(2)(Ip=5.44e V Tg=126℃)を0.05nm/sの蒸着速度で10nm膜厚のチ ネル制御層として成膜した。次いで、PTCDI-C1 3(下図)を0.05nm/sの蒸着速度で50nm膜厚の有機半 導体層として成膜した。最後に金属マスクを 通して金を50nmの膜厚で成膜することにより 互いに接しないソース電極及びドレイン電 を、間隔(チャンネル長L)が75μmになるように 形成した。そのときソース電極とドレイン電 極の幅(チャンネル幅W)は5mmとなるように成膜 して有機薄膜トランジスタを作製した(図6参 )。

 得られた有機薄膜トランジスタのゲート電 に0~100Vのゲート電圧を印加し、ソース-ドレ イン間に電圧を印加して電流を流した。この 場合、電子が有機半導体層のチャンネル領域 (ソース-ドレイン間)に誘起され、p型トラン スタとして動作する。その結果、電流飽和 域でのソース-ドレイン電極間の電流のオン/ オフ比は3×10 5 であった。また、電子の電界効果移動度μを 記式(A)より算出したところ8.3×10 -2 cm 2 /Vsであった。
     I D =(W/2L)・Cμ・(V G -V T ) 2   (A)
 式中、I D はソース-ドレイン間電流、Wはチャンネル幅 Lはチャンネル長、Cはゲート絶縁体層の単 面積あたりの電気容量、V T はゲート閾値電圧、V G はゲート電圧である。
 さらにこの有機TFTを真空下100℃中に500時間 存しておいたところ移動度は4.3×10 -2 cm 2 /Vsと依然として高い値を保っていた。

実施例1-2(第一の有機TFTの製造)
 実施例1-1において、有機半導体層の材料と て、チャネル制御層として化合物(2)の代わ に化合物(24)(5.69eV Tg=157℃)を使った以外は く同様にして素子を作製した。

実施例1-3(第一の有機TFTの製造)
 実施例1-1において,有機半導体としてPTCDI-C13 の代わりにC60(フラーレン)を使った以外は全 同様にして素子を作製した。この有機半導 はn型として用いられる。トランジスタ特性 を第1表に示す。

比較例1-1(有機TFTの製造)
 チャネル制御層を用いなかった以外は実施 1-1と全く同様に有機TFTを作製したが結果を 1に示す。

比較例1-2(有機TFTの製造)
 化合物(2)の代わりにTCTA(下図 Ip=5.80eV Tg=151 )を用いた以外は実施例1-1と全く同様に有機 TFTを作製した。結果を表1に示す。

比較例1-3(有機TFTの製造)
 化合物(2)の代わりにNPD(下図 Ip=5.45eV Tg=95℃ )を用いた以外は実施例1-1と全く同様に有機TF Tを作製した。結果を表1に示す。

 表1よりIpが5.8未満のチャネル制御層を設 たものは移動度が向上し、特にTgが100℃以 であると100℃の高温保存での保存安定性が 上することが明確になった。比較例1-3では 期の移動度は高いが高温保存で大きく低下 た。

実施例2-1(第二の有機TFTの製造)
 有機薄膜トランジスタを以下の手順で作製 た。まず、Si基板(P型比抵抗1ωcmゲート電極 用)を熱酸化法にて表面を酸化させ、基板上 に300nmの熱酸化膜を作製して絶縁体層とした さらに基板の一方に成膜したSiO 2 膜をドライエッチングにて完全に除去した後 、スパッタ法にてクロムを20nmの膜厚で成膜 、さらにその上に金(Au)を100nmスパッタにて 膜し取り出し電極とした。この基板を、中 洗剤、純水、アセトン及びエタノールで各30 分超音波洗浄し、さらにオゾン洗浄を行った 。
 次に、絶縁体層上に下記式で示される繰り し単位を有する高分子非晶質有機化合物(TFB 、イオン化ポテンシャル(Ip)=5.31eV、重量平均 子量:30,000)をキシレンに0.6質量%溶解させ,ス ピンコーターを用い回転数1500rpmで30秒間成膜 し,180℃30分間乾燥させ20nm膜厚のチャネル制 層を成膜した。

 次いで、上記TFBまで成膜した基板を真空 着装置(ULVAC社製、EX-400)に設置し、下記式で 示されるPTCDI-C13を0.05nm/sの蒸着速度で50nm膜厚 の有機半導体層として成膜した。最後に金属 マスクを通して金を50nmの膜厚で成膜するこ により、互いに接しないソース電極及びド イン電極を、間隔(チャンネル長L)が75μmにな るように形成した。そのときソース電極とド レイン電極の幅(チャンネル幅W)は5mmとなるよ うに成膜して有機薄膜トランジスタを作製し た(図6参照)。

 得られた有機薄膜トランジスタのゲート電 に0~100Vのゲート電圧を印加し、ソース-ドレ イン間に電圧を印加して電流を流した。この 場合、電子が有機半導体層のチャンネル領域 (ソース-ドレイン間)に誘起され、n型トラン スタとして動作する。その結果、電流飽和 域でのソース-ドレイン電極間の電流のオン/ オフ比は5×10 5 であった。また、電子の電界効果移動度μを 記式(A)より算出したところ8.3×10 -2 cm 2 /Vsであった。
     I D =(W/2L)・Cμ・(V G -V T ) 2   (A)
 式中、I D はソース-ドレイン間電流、Wはチャンネル幅 Lはチャンネル長、Cはゲート絶縁体層の単 面積あたりの電気容量、V T はゲート閾値電圧、V G はゲート電圧である。さらにこの有機TFTを50 で200時間保存しておいたところ移動度は4.3 10 -2 cm 2 /Vsと依然として高い値を保っていた。

実施例2-2(第二の有機TFTの製造)
 実施例2-1において、有機半導体層の材料と てPTCDI-C13の代わりに下記式で示されるPCBMを 用いた以外はまったく同様にして有機薄膜ト ランジスタを作製した。
 PCBM層はPCBMを10mg/mlの濃度でクロロフォルム 溶解させ、スピンコーターを用い回転数2000 rpmで60秒間成膜し,120℃で0分間乾燥させ100nm膜 厚の有機半導体層を成膜した。結果を表2に す。

実施例2-3(第二の有機TFTの製造)
 実施例2-1において、有機半導体層の材料と てPTCDI-C13の代わりにC60を用い、チャネル制 層としてTFBの代わりに下記式(i)で示される 晶質有機化合物(Ip=5.29eV、分子量:1355.71)を使 った以外は全く同様にして有機薄膜トランジ スタを作製した。結果を表2に示す。

実施例2-4(第二の有機TFTの製造)
 実施例2-1において、有機半導体層の材料と てPTCDI-C13の代わりにC60を用い、チャネル制 層としてTFBの代わりに下記式(ii)で示される 非晶質有機化合物(Ip=5.16eV、分子量:1820.43)を った以外は全く同様にして素子を作製した

実施例2-5(第二の有機TFTの製造)
 実施例2-1において,TFBの代わりに下記式(iii) 示される低分子化合物の光架橋体(Ip=5.45eV、 重量平均分子量:100,000)を用い,有機半導体と てPTCDI-C13の代わりにPCBMを使った以外は全く 様にして素子を作製した。PCBMの成膜方法は 実施例2-2と同様である。

 上記式(iii)で示される低分子化合物の光架 は以下のようにして行った。上記式(iii)で示 される低分子化合物のTHF溶液(4質量%)2gと{4-[(2 -ヒドロキシテトラデシル)オキシ]フェニル} ェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチ ン酸塩のクロロフォルム溶液(0.1質量%)2gを開 始材として混合しスピンコーターを用い適量 滴下し回転数1500rpmで30秒間成膜した。その後 4Wチューブ(UV-A、365nm)を有する標準的なUVハン ドランプを用い基材と露光源との間隔は5cmに 設定して3秒露光した。架橋プロセスを完結 るために、膜を100℃ で約1分間状態調節し 。その後スピンコーターにおいて、適切な 媒量で滴らせることにより、THFを膜に滴下 1500rpmで30秒間スピンコーターですすぎ処理 2度行い,更に80℃15分乾燥させた。
このプロセス工程を、不活性ガス下で行なっ た。トランジスタ特性を第1表に示す。

実施例2-6(第二の有機TFTの製造)
 実施例2-1において,TFBの代わりに上記式(iii) 示される低分子化合物の酸化剤架橋体(Ip=5.4 5eV、重量平均分子量:80,000)を用いた以外は全 同様にして素子を作製した。上記式(iii)で される低分子化合物の酸化剤架橋は以下の うにして行なった。低分子化合物のTHF溶液(4 質量%)2gニトロソニウムヘキサフルオロアン モン酸塩(NO + SbF 6 - )のクロロフォルム溶液(0.012質量%)2gを混合し ピンコーターを用い適量滴下し回転数1500rpm で30秒間成膜し,100℃30分間乾燥させた後,クロ ロフォルムを膜に滴下し1500rpmで30秒間スピン コーターですすぎ処理を2度行い,更に80℃15分 乾燥させた。
このプロセス工程を、不活性ガス下で行なっ た。トランジスタ特性を表2に示す。

実施例2-7
 実施例2-1において,TFBの代わりに上記式(iV) 示される繰り返し単位を持つ高分子化合物(I p=5.50eV、重量平均分子量:120,000)を用いた以外 全く同様にして素子を作製した。トランジ タ特性を表2に示す。

比較例2-1
 チャネル制御層を用いなかった以外は実施 2-1と全く同様に有機TFTを作製した。結果を 2に示す。

比較例2-2
 TFBの代わりに下記式で示されるNPD(Ip=5.45eV、 分子量:588.74)を用いた以外は実施例2-2と全く 様に有機TFTを作製した。PCBMを塗布で成膜す るとチャネル制御層NPDはPCBM塗布作業で侵食 れた,PCBM膜も不均一となりFET特性を示さなか った。結果を表2に示す。

 表2よりIpが5.8未満のチャネル制御層を設 たものは移動度が向上し、分子量1000以上の 化合物を用いると保存安定性が向上すること が明確になった。

 以上詳細に説明したように、本発明の有 TFTは、高い移動度と高い保存安定性を有す ため、トランジスタとして有用である。