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Patent Searching and Data


Title:
PERMANENT MAGNET TYPE ROTATOR AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/123251
Kind Code:
A1
Abstract:
A permanent magnet type rotator which comprises a rotor (100), a stator (200), and permanent magnets (12) disposed on one of the rotor (100) and stator (200). The permanent magnets (12) each is an R-Fe-B type sintered rare-earth magnet which contains a light rare-earth element RL (at least one of Nd and Pr) as the main rare-earth element R. Each magnet partially includes high-coercivity parts (12a) where a heavy rare-earth element RH (at least one member selected from the group consisting of Dy, Ho, and Tb) has been diffused in a higher concentration than in the other part.

Inventors:
NATSUMEDA MITSUTOSHI (JP)
TAKAYAMA YOSHINORI (JP)
SHIMIZU MOTOHARU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/055582
Publication Date:
October 16, 2008
Filing Date:
March 25, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HITACHI METALS LTD (JP)
NATSUMEDA MITSUTOSHI (JP)
TAKAYAMA YOSHINORI (JP)
SHIMIZU MOTOHARU (JP)
International Classes:
H02K1/27; H02K15/03
Domestic Patent References:
WO2006064848A12006-06-22
Foreign References:
JPH08340651A1996-12-24
JPH05135976A1993-06-01
JPS57148566A1982-09-13
JPH08340651A1996-12-24
US5383978A1995-01-24
JP2006303436A2006-11-02
Other References:
See also references of EP 2131474A4
Attorney, Agent or Firm:
OKUDA, Seiji (10th Floor Osaka Securities Exchange Bldg., 8-16, Kitahama 1-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 41, JP)
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Claims:
 ロータおよびステータと、
 前記ロータおよびステータの一方に設けられた複数の永久磁石と、
を備える永久磁石式回転機であって、
 前記永久磁石は、軽希土類元素RL(NdおよびPrの少なくとも1種)を主たる希土類元素Rとして含有するR-Fe-B系希土類焼結磁石であり、重希土類元素RH(Dy、Ho、およびTbからなる群から選択された少なくとも1種)が他の部分よりも相対的に高い濃度で拡散された高保磁力部を部分的に備えている永久磁石式回転機。
 前記高保磁力部に含まれる重希土類元素RHの濃度は、前記永久磁石の表面から内部に向かって低下する濃度勾配を有している請求項1に記載の永久磁石式回転機。
 前記永久磁石内において、前記高保磁力部は前記高保磁力部以外の部分と一体化している請求項2に記載の永久磁石式回転機。
 前記高保磁力部は、各永久磁石において永久磁石式回転機の動作時に最も強く減磁界が作用する部分を含む領域に形成されている請求項3に記載の永久磁石式回転機。
 前記永久磁石は、軽希土類元素RLを主たる希土類元素Rとして含有するR 2 Fe 14 B
型化合物結晶粒を主相として有しており、
 前記高保磁力部に含まれる重希土類元素RHは、前記R 2 Fe 14 B型化合物結晶粒の粒界において前記R 2 Fe 14 B型化合物結晶粒内部よりも相対的に高い濃度で分布している請求項4に記載の永久磁石式回転機。
 軽希土類元素RL(NdおよびPrの少なくとも1種)を主たる希土類元素Rとして含有するR-Fe-B系希土類焼結磁石であって、重希土類元素RH(Dy、Ho、およびTbからなる群から選択された少なくとも1種)が他の部分よりも相対的に高い濃度で拡散された高保磁力部を部分的に備えているR-Fe-B系希土類焼結磁石からなる複数の永久磁石を用意する工程と、
 前記複数の永久磁石をロータおよびステータの一方に設ける工程と、
を含む永久磁石式回転機の製造方法。
 前記複数の永久磁石を用意する工程は、
 軽希土類元素RLを主たる希土類元素Rとして含有するR-Fe-B系希土類焼結磁石を用意する工程と、
 前記R-Fe-B系希土類焼結磁石の表面における特定領域から重希土類元素RH(Dy、Ho、およびTbからなる群から選択された少なくとも1種)を内部に拡散して高保磁力部を形成する工程と、
を含む請求項6に記載の永久磁石式回転機の製造方法。
Description:
永久磁石式回転機およびその製 方法

 本発明は、R 2 Fe 14 B型化合物結晶粒(Rは希土類元素)を主相とし 有するR-Fe-B系希土類焼結磁石を備える永久 石式回転機に関している。

 R 2 Fe 14 B型化合物を主相とするR-Fe-B系の希土類焼結 石は、永久磁石の中で最も高性能な磁石と て知られており、ハードディスクドライブ ボイスコイルモータ(VCM)や、ハイブリッド車 搭載用モータ等の各種回転機や家電製品等に 使用されている。R-Fe-B系希土類焼結磁石を回 転機等に使用する場合、高温での使用環境に 対応するため、耐熱性に優れ、高い保磁力(H cJ )を有することが要求される。

 しかしながら、残留磁束密度(B r )と保磁力(H cJ )とは、一般に相反する特性であり、永久磁 全体の保磁力を向上させようとした場合、 対的に永久磁石全体の残留磁束密度が低下 てしまうという問題がある。

 DyやTbなどの重希土類元素RHでNdなどの軽希 類元素RLの一部を置換した組成の合金を用い て保磁力(H cJ )を向上させることも行われているが、従来 手法では、やはり残留磁束密度(B r )の低下は避けられない。なお、DyやTbなどの 希土類元素RHは希少な金属であるため、で る限りその使用量は抑えることが望ましい

 このような問題に対して、特許文献1や特許 文献2は、回転機に用いられる永久磁石につ て、回転機の作動時における温度上昇およ 電気子反作用等により大きな減磁界(反磁界) が作用する部分の保磁力(H cJ )を選択的に向上させることを開示している この技術によれば、保磁力(H cJ )を特別に高めた永久磁石が他の永久磁石に して接着剤等によって接合されている。

特開昭57-148566号公報

特開平8-340651号公報

 特許文献1または特許文献2に開示されて る発明は、永久磁石全体としての残留磁束 度の低下を抑制するという点で、一定の効 を奏すると考えられるが、保磁力を向上さ た部分は、それ以外の部分と比較して残留 束密度が大きく低下する。そのため、高保 力部で急激に残留磁束密度が変化し、モー 等に使用した場合は、回転トルクの減少、 ルクリップルの増加に伴う振動の発生、ま はそれらに伴う騒音等の問題がある。

 本発明は上記課題を解決するためになさ たものであり、その目的とするところは、 少な金属である重希土類元素RHの使用量を えつつ、従来のものよりも回転トルクが減 することなく、振動や騒音を抑えた減磁界 強い永久磁石式回転機を提供することにあ 。

 本発明の永久磁石式回転機は、ロータお びステータと、前記ロータおよびステータ 一方に設けられた複数の永久磁石とを備え 永久磁石式回転機であって、前記永久磁石 、軽希土類元素RL(NdおよびPrの少なくとも1 )を主たる希土類元素Rとして含有するR-Fe-B系 希土類焼結磁石であり、重希土類元素RH(Dy、H o、およびTbからなる群から選択された少なく とも1種)が他の部分よりも相対的に高い濃度 拡散された高保磁力部を部分的に備えてい 。

 好ましい実施形態において、前記高保磁 部に含まれる重希土類元素RHの濃度は、前 永久磁石の表面から内部に向かって低下す 濃度勾配を有している。

 好ましい実施形態において、前記高保磁 部と前記高保磁力部以外の部分とが、前記 久磁石内で一体化している。

 好ましい実施形態において、前記高保磁 部は、各永久磁石において永久磁石式回転 の動作時に最も強く減磁界が作用する部分 含む領域に形成されている。

 好ましい実施形態において、前記永久磁石 、軽希土類元素RLを主たる希土類元素Rとし 含有するR 2 Fe 14 B型化合物結晶粒を主相として有しており、 記高保磁力部に含まれる重希土類元素RHは、 前記R 2 Fe 14 B型化合物結晶粒の粒界において前記R 2 Fe 14 B型化合物結晶粒内部よりも相対的に高い濃 で分布している。

 本発明による永久磁石式回転機の製造方 は、軽希土類元素RL(NdおよびPrの少なくとも 1種)を主たる希土類元素Rとして含有するR-Fe-B 系希土類焼結磁石であって、重希土類元素RH( Dy、Ho、およびTbからなる群から選択された少 なくとも1種)が他の部分よりも相対的に高い 度で拡散された高保磁力部を部分的に備え いるR-Fe-B系希土類焼結磁石からなる複数の 久磁石を用意する工程と、前記複数の永久 石をロータおよびステータの一方に設ける 程とを含む。

 好ましい実施形態において、前記複数の 久磁石を用意する工程は、軽希土類元素RL 主たる希土類元素Rとして含有するR-Fe-B系希 類焼結磁石を用意する工程と、前記R-Fe-B系 土類焼結磁石の表面における特定領域から 希土類元素RH(Dy、Ho、およびTbからなる群か 選択された少なくとも1種)を内部に拡散し 高保磁力部を形成する工程とを含む。

 本発明によれば、R-Fe-B系希土類焼結磁石 全体ではなく、モータ等の作動時に大きな 磁界が作用するような特定部分に対して選 的に重希土類元素RHが拡散されているため 残留磁束密度の低下を抑制しつつ、保磁力 向上させることができる。その結果、従来 術に比べて、回転トルクの減少を招くこと く、振動や騒音を抑えることが可能になる また、重希土類元素RHの使用量も抑えること ができる。

(a)は、本発明による永久磁石式回転機 実施形態を示す図であり、(b)は、その断面 式図である。 (a)は、本実施形態の主要部を示す図で り、(b)は、本実施形態で使用する永久磁石 構成を示す図である。 ステータ200のコイルによって発生する 場(磁束)を模式的に示している。 本実施形態における永久磁石12の製造 法を説明するための図である。 (a)は、本発明に使用される永久磁石12 構成を示す図であり、(b)は、複合磁石50の構 成を示す図である。 実施例と比較例2について「減磁開始温 度増加率」と「B/A」との関係を示すグラフで ある。 高保磁力部、ベース磁石、および高保 力磁石片について、「パーミアンス係数」 「減磁開始温度」との関係を示すグラフで る。 実施例と比較例について「トルク減少 」と「B/A」との関係を示すグラフである。 永久磁石12について、B/A=0、10、20、30、 40、50%の場合における「トルク減少率」と「 磁開始温度上昇幅δT」との関係を示すグラ である。 永久磁石12について、B/A=0、10、20、30 40、50%の場合における「Dyの含有量」を示す ラフである。 (a)から(d)は、永久磁石12における高保 力部12aの様々な形態を示す斜視図である。 (a)および(b)は、永久磁石12において、D yが拡散された高保磁力部121と、Tbが拡散され た高保磁力部122の配置例を示す斜視図である 。

符号の説明

  10  ロータコア
  12  永久磁石
  12a 高保磁力部
  12b 低保磁力部
  20  ステータコア
  24  ティース部
  26  スロット
  50  複合磁石(比較例2)
  52  ベース磁石
  54  高保磁力磁石片
 100  ロータ
 121  Dyが拡散された高保磁力部
 122  Tbが拡散された高保磁力部
 200  ステータ

 以下、本発明による永久磁石式回転機の 施形態を説明する。本実施形態における永 磁石式回転機は、8極12スロットの3相ブラシ レスモータであるが、本発明の回転機の構成 は、このようなモータに限定されない。

 まず、図1を参照する。図1には、本実施 態におけるモータの主たる構成要素である ータ100およびステータ200が示されている。

 本実施形態におけるロータ100は、ロータ ア10と、ロータコア10の外周面に円周方向に 沿って等間隔で配列された8個の永久磁石12と を備えている。ロータコア10の軸中心に設け れた回転軸(不図示)が軸受け(不図示)などに よって回転自在に支持される。ロータコア10 、例えば、珪素が添加された無方向性電磁 板を積層して形成される。永久磁石12の詳 は後述する。

 一方、ステータ200は、珪素が添加された 方向性電磁鋼板などを積層して形成された テータコア20を備えている。ステータコア20 は、リング状の基部22と、当該基部22から回 軸方向に突出する12本のティース部24とを有 ている。ティース部24の間に形成されたス ット26には、ステータ200に回転磁界を形成す るためのコイル(不図示)が巻回されている。 実施形態におけるコイルの巻回数は1つのテ ィース部24について例えば250ターンである。 のコイルに励磁電流を流すことにより、ロ タ100およびステータ200を貫く磁路が形成さ る。本実施形態におけるコイルは、3相Y(ス ー)結線により、不図示の制御回路に結合さ れるが、1つの相について4つのティース部24 直列的に接続される。

 次に、本実施形態における永久磁石12の 成を説明する。

 本実施形態の永久磁石12は、軽希土類元 RL(NdおよびPrの少なくとも1種)を主たる希土 元素Rとして含有するR-Fe-B系希土類焼結磁石 ある。特徴的な点は、図2(a)および図2(b)に すように、重希土類元素RH(Dy、Ho、およびTb らなる群から選択された少なくとも1種)が他 の部分よりも相対的に高い濃度で拡散された 高保磁力部12aを備えていることにある。本明 細書では、永久磁石12のうち、高保磁力部12a 外の部分を低保磁力部12bと称する場合があ 。

 永久磁石12は、軽希土類元素RLを主たる希土 類元素Rとして含有するR 2 Fe 14 B
型化合物結晶粒を主相として有しているが、 高保磁力部12aに含まれる重希土類元素RHは、R 2 Fe 14 B型化合物結晶粒の粒界においてR 2 Fe 14 B型化合物結晶粒内部よりも相対的に高い濃 で分布している。このため、残留磁束密度Br の低下が抑制され、効率的に保磁力が高めら れている。これは、軽希土類元素RLを主たる 土類元素Rとして含有するベース磁石の表面 から、重希土類元素RHが粒界拡散によって内 に移動したためである。この結果、高保磁 部12aに含まれる重希土類元素RHの濃度は、 久磁石12の表面から内部に向かって低下する 濃度勾配を有している。

 このような永久磁石12において、高保磁 部12aは、高保磁力部12a以外の部分(低保磁力 12b)と一体化しており、1つの磁石内部にお て一体的に形成されている。後述するよう 、高保磁力部12aは、永久磁石式回転機の動 時に各永久磁石12において最も強く減磁界が 作用する部分を含む領域に形成されている。

 次に、図3を参照しながら、永久磁石12の ち、最も強く減磁界が作用する部分を説明 る。図3は、ステータ200のコイルによって発 生する磁場(磁束)を模式的に示している。ロ タ100は、図の右側から左側に回転して行く のとする。簡単のため、図3では、ロータ100 の円周表面領域の一部を抽出し、平坦なもの として記載している。また、図3では、3個の 久磁石12のみを記載している。

 図3に示す位置では、永久磁石12の左上端 には、ティース部24から出た磁束が侵入し 吸引力が生じている。一方、永久磁石12の右 上端部では、コイルの磁界が永久磁石12にお る磁化方向とは反対の方向を向くため、反 力が生じる。ロータ100の回転に伴ってステ タ200のコイルを流れる電流の向きが反転す ため、すべての永久磁石12の左上端部には 引力が生じ、右上端部には反発力が発生す ことになる。こうして、ロータ100に回転力 付与される。

 ロータ100の回転方向が一定の場合、永久 石12における一方の端部に常に減磁界(反発 )が作用することになる。ロータ100が反対方 向にも回転させられる場合は、回転の向きに 応じて永久磁石12のどちらか一方の端部に反 力が形成されることになる。

 したがって、最も強い減磁界(反発力)が 用する部分に優先的に高保磁力部12aを設け ばよく、弱い減磁界しか作用しない領域、 よび、減磁界が作用しない領域には高保磁 部12aを設ける必要がない。

 このため、図3の破線部に囲まれた領域に 含まれる永久磁石の特定部分に選択的にDyな の重希土類元素RHを拡散することにより、 の部分の保磁力を相対的に高めている。す わち、両方向にロータ100を回転させる場合 、図2に示す永久磁石12のように、その両端 の各々に高保磁力部12aを設ける必要があり ロータ100の回転方向が一定の場合は、その 転方向に応じて一方の端部に高保磁力部12a 形成すればよい。

 以下、本実施形態における永久磁石12の 造方法を説明する。

 [原料合金]
 まず、25質量%以上40質量%以下の軽希土類元 RLと、0.6質量%~1.6質量%のB(硼素)と、残部Feお よび不可避的不純物とを含有する合金を用意 する。Bの一部はC(炭素)によって置換されて てもよいし、Feの一部(50原子%以下)は、他の 移金属元素(例えばCoまたはNi)によって置換 れていてもよい。この合金は、種々の目的 より、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Ga、 Zr、Nb、Mo、Ag、In、Sn、Hf、Ta、W、Pb、およびBi からなる群から選択された少なくとも1種の 加元素Mを0.01~1.0質量%程度含有していてもよ 。

 上記の合金は、原料合金の溶湯を例えば トリップキャスト法によって急冷して好適 作製され得る。以下、ストリップキャスト による急冷凝固合金の作製を説明する。

 まず、上記組成を有する原料合金をアル ン雰囲気中において高周波溶解によって溶 し、原料合金の溶湯を形成する。次に、こ 溶湯を1350℃程度に保持した後、単ロール法 によって急冷し、例えば厚さ約0.3mmのフレー 状合金鋳塊を得る。こうして作製した合金 片を、次の水素粉砕前に例えば1~10mmの大き のフレーク状に粉砕する。なお、ストリッ キャスト法による原料合金の製造方法は、 えば、米国特許第5、383、978号明細書に開示 されている。

 [粗粉砕工程]
 上記のフレーク状に粗く粉砕された合金鋳 を水素炉の内部へ収容する。次に、水素炉 内部で水素脆化処理(以下、「水素粉砕処理 」と称する場合がある)工程を行う。水素粉 後の粗粉砕合金粉末を水素炉から取り出す 、粗粉砕粉が大気と接触しないように、不 性雰囲気下で取り出し動作を実行すること 好ましい。そうすれば、粗粉砕粉が酸化・ 熱することが防止され、磁石の磁気特性の 下が抑制できるからである。

 水素粉砕によって、希土類合金は0.1mm~数m m程度の大きさに粉砕され、その平均粒径は50 0μm以下となる。水素粉砕後、脆化した原料 金をより細かく解砕するとともに冷却する とが好ましい。比較的高い温度状態のまま 料を取り出す場合は、冷却処理の時間を相 的に長くすれば良い。

 [微粉砕工程]
 次に、粗粉砕粉に対してジェットミル粉砕 置を用いて微粉砕を実行する。本実施形態 使用するジェットミル粉砕装置にはサイク ン分級機が接続されている。ジェットミル 砕装置は、粗粉砕工程で粗く粉砕された希 類合金(粗粉砕粉)の供給を受け、粉砕機内 粉砕する。粉砕機内で粉砕された粉末はサ クロン分級機を経て回収タンクに集められ 。こうして、0.1~20μm程度(典型的には3~5μm)の 微粉末を得ることができる。このような微粉 砕に用いる粉砕装置は、ジェットミルに限定 されず、アトライタやボールミルであっても よい。粉砕に際して、ステアリン酸亜鉛など の潤滑剤を粉砕助剤として用いてもよい。

 [プレス成形]
 本実施形態では、上記方法で作製された磁 粉末に対し、例えばロッキングミキサー内 潤滑剤を例えば0.3wt%添加・混合し、潤滑剤 合金粉末粒子の表面を被覆する。次に、上 の方法で作製した磁性粉末を公知のプレス 置を用いて配向磁界中で成形する。印加す 磁界の強度は、例えば1.5~1.7テスラ(T)である 。また、成形圧力は、成形体のグリーン密度 が例えば4~4.5g/cm 3 程度になるように設定される。

 [焼結工程]
 上記の粉末成形体に対して、650~1000℃の範 内の温度で10~240分間保持する工程と、その 、上記の保持温度よりも高い温度(例えば1000 ~1200℃)で焼結を更に進める工程とを順次行う ことが好ましい。焼結時、特に液相が生成さ れるとき(温度が650~1000℃の範囲内にあるとき )、粒界相中のRリッチ相が融け始め、液相が 成される。その後、焼結が進行し、焼結磁 体が形成される。焼結後、寸法調整のため 研削を行っても良い。

 [拡散工程]
 次に、こうして作製された焼結磁石体の特 領域(磁石体の一部)に重希土類元素RHを効率 良く拡散浸透させて、焼結磁石体の一部に高 保磁力部を形成する。

 以下、図4を参照しながら、本実施形態に おける重希土類元素RHの拡散工程を詳細に説 する。図4には、上記の工程で作成された焼 結磁石体120と、重希土類元素RHのバルク体(RH ルク体)40との配置例を示している。RHバル 体40は、例えばDyからなる金属薄板である。

 図4に示す例では、高融点金属材料からな る処理室(不図示)の内部において、焼結磁石 120とRHバルク体40とが所定間隔をあけて対向 するように配置されている。図4の例では、 数の焼結磁石体120およびRHバルク体40を支持 る部材45を用いている。このような支持部 は、例えばNb製の網を用いて作製され得る。 焼結磁石体120およびRHバルク体40を保持する 成は、上記の例に限定されず、任意である

 本実施形態では、焼結磁石体120の特定部 に対して優先的に重希土類元素RHを導入す ため、焼結磁石体120の両端部に近接するよ にRHバルク体40を配置している。高保磁力部 形成するべき部分以外の領域に重希土類元 RHが拡散されると、重希土類元素RHを無駄に 使用することになるため、非拡散領域には高 融点金属膜などからなるマスク層を設けても よい。ただし、図4に示すように、焼結磁石 120の端部にRHバルク体40を近接させることに り、特別のマスク層を設けることなく、焼 磁石体の一部に高保磁力部を容易に形成す ことができる。

 重希土類元素RHの拡散を行うためには、 図示の加熱装置による加熱を行うことによ 、処理室の温度を上昇させる。このとき、 理室の温度を、例えば700℃~1000℃、好ましく は850℃~950℃の範囲に調整する。この温度領 では、Dyなどの重希土類金属RHの蒸気圧は僅 であり、ほとんど気化しないが、焼結磁石 120とRHバルク体40とを接触させることなく、 近接配置させることにより、焼結磁石体120の 表面に毎時数μm(例えば0.5~5μm/Hr)の低いレー で重希土類金属を析出させることが可能で る。しかも、焼結磁石体120の温度をRHバルク 体40の温度と同じかそれよりも高い適切な温 範囲内に調節することにより、気相から析 した重希土類金属RHを、そのまま焼結磁石 120の内部に深く拡散させることができる。 の温度範囲は、RH金属が焼結磁石体120の粒界 相を伝って内部へ拡散する好ましい温度領域 であり、RH金属のゆっくりとした析出と磁石 内部への急速な拡散が効率的に行われるこ になる。

 本実施形態では、RHバルク体40の気化・昇 華を抑制しつつ、焼結磁石体120の表面に飛来 した重希土類元素RHを速やかに焼結磁石体120 内部に拡散させる。このためには、焼結磁 体120とRHバルク体40の間隔を1mm~300mmに設定す ればよい。この間隔は、50mm以下であること 好ましく、20mm以下であることがより好まし 、10mm以下であることが更に好ましい。この ような距離で離れた状態を維持できれば、焼 結磁石体120とRHバルク体40との配置関係は、 下でも左右でも、また互いが相対的に移動 るような配置であってもよい。

 本実施形態では、RH金属の気化量は少な が、焼結磁石体120とRHバルク体40とが非接触 つ至近距離に配置されるため、気化したRH 属が焼結磁石体表面に効率よく析出し、処 室内の壁面などに付着することが少ない。 らに、処理室内の壁面がNbなどの耐熱合金や セラミックなどRHと反応しない材質で作製さ ていれば、壁面に付着したRH金属は再び気 し、最終的には焼結磁石体表面に析出する このため、貴重資源である重希土類元素RHの 無駄な消費を抑制することができる。

 熱処理時における処理室内は不活性雰囲 であることが好ましい。「不活性雰囲気」 は、真空、または不活性ガスで満たされた 態を含むものとする。また、「不活性ガス は、例えばアルゴン(Ar)、ヘリウム(He)など 希ガスであるが、RHバルク体および焼結磁石 体との間で化学的に反応しないガスであれば 、「不活性ガス」に含まれ得る。不活性ガス の圧力は、大気圧よりも低い値を示すように 減圧される。処理室内の雰囲気圧力が大気圧 に近いと、RHバルク体から焼結磁石体の表面 供給されにくくなるが、この圧力が充分に い場合は、RH金属の拡散量(保磁力の向上度) は圧力に大きくは影響しない。これは、拡散 量が磁石表面から内部への拡散速度によって 律速されるためである。拡散量は、圧力より も焼結磁石体の温度に敏感である。

 焼結磁石体の表面(特定領域)に飛来し、析 したRH金属は、雰囲気の熱および磁石界面に おけるRH濃度の差を駆動力として、粒界相中 磁石内部に向かって拡散する。このとき、R 2 Fe 14 B相中の軽希土類元素RLの一部が、磁石表面か ら拡散浸透してきた重希土類元素RHによって 換される。その結果、R 2 Fe 14 B相の外殻部に重希土類元素RHが濃縮された層 が形成される。

 このようなRH濃縮層の形成により、主相外 部の結晶磁気異方性が高められ、保磁力H cJ が向上することになる。すなわち、少ないRH 属の使用により、磁石内部の奥深くにまで 希土類元素RHを拡散浸透させ、主相外殻部 みにおいて軽希土類元素RLを重希土類元素RH 置換することができるため、残留磁束密度B rの低下を抑制しつつ、磁石体の一部(高保磁 部)で保磁力H cJ を向上させることが可能になる。

 なお、上記の拡散工程は、焼結磁石体の 面状況に敏感ではなく、拡散工程の前に焼 磁石体の表面にAl、Zn、またはSnからなる膜 形成されていてもよい。Al、Zn、およびSnは 低融点金属であり、しかも、少量であれば 石特性を劣化させず、また上記の拡散の障 ともならないからである。

 RHバルク体40は、一種類の元素から構成さ れている必要はなく、重希土類元素RHおよび 素X(Nd、Pr、La、Ce、Al、Zn、Sn、Cu、Co、Fe、Ag およびInからなる群から選択された少なく も1種)の合金を含有していてもよい。このよ うな元素Xは、粒界相の融点を下げるため、 希土類元素RHの粒界拡散を促進する効果が期 待できる。このような合金のバルク体とNd焼 磁石とを離間配置した状態で真空熱処理す ことにより、重希土類元素RHおよび元素Xを 石表面上に蒸着するとともに、優先的に液 となった粒界相(Ndリッチ相)を介して磁石内 部へ拡散させることができる。

 本実施例では、図5(a)に示す形状の永久磁石 12を用いる。永久磁石12の両端部には、上記 実施形態について説明した方法により焼結 石体の一部にDyが拡散されている。具体的に は、以下の表1に示す組成のベース磁石(焼結 石体)を用意し、その両端部(特定領域)に0.36 mass%のDyを拡散して高保磁力部12aを形成して る。ベース磁石の保磁力H cJ は1700kA/m、残留磁束密度B r は1.276T(テスラ)であり、高保磁力部12aの保磁 H cJ は2024kA/m、残留磁束密度B r は1.264Tに設定している。このように、Dyが拡 することによって高保磁力部12aの保磁力H cJ はベース磁石の保磁力H cJ に比べて300kA/m程度増加しているが、残留磁 密度B r の低下は0.012Tに抑制されている。

 本実施例における永久磁石12の寸法は、 ータ100の半径が14.5mmとして設計されている すなわち、永久磁石12の底面の曲率半径は14. 5mm、上面の曲率半径は7mm、回転軸方向サイズ は30mm、最大厚さは2.5mmに設定されている。な お、永久磁石12の形状およびサイズは、上記 例に限定されないことは言うまでも無い。

 図5(a)に示すように、永久磁石12が回転軸( ロータ中心軸)に対して形成する角度をA°、1 の高保磁力部12a(Dyを拡散させた特定領域)が 中心軸に対して有する角度をB°とする。

 実施例の永久磁石では、B/Aが0%を超え、 つ50%以下の大きさを有している。なお、B/A=0 %の磁石(比較例1)では、Dyが拡散されておらず 、高保磁力部12aが設けられていない公知の磁 石に相当する。このような比較例1の磁石は Dyの拡散が行われる前の「ベース磁石」と同 一の磁石特性を有しており、その特性は実施 例における低保磁力部12bの磁石特性と同様で ある。なお、低保磁力部12bにも、Dyが含まれ いるが、高保磁力部12aにおけるDyに比べて 濃度であり、また、低保磁力部12bのDyは、焼 結工程前の粉末合金中に既に添加されていた ものである。

 本実施例では、ベース磁石の特定領域に して選択的に外部からDyを拡散させ、それ よってベース磁石内の一部分に高保磁力部12 aを一体的に形成しているが、2種類の磁石を 合させた比較例2についても検討した。この 比較例2は、図5(b)に示すように、2つの高保磁 力磁石片54をベース磁石52の両端に接着剤で 合した複合磁石50である。ベース磁石52は、 施例におけるベース磁石と同じ磁石材料か 形成されており、その両端部をカットした 状を有している点で実施例のベース磁石と 異なっている。比較例2における高保磁力磁 石片54は、以下の表2に示す組成を有している 。

 高保磁力磁石片54の保磁力H cJ は2024kA/m、残留磁束密度B r は1.225
Tである。このように、高保磁力磁石片54の保 磁力H cJ は、高保磁力部12aの保磁力H cJ に等しいが、残留磁束密度B r は、高保磁力部12aに比べて0.039T低下し、ベー ス磁石52に比べて0.051T低下している。高保磁 磁石片54におけるDyは、拡散によって導入さ れたものではなく、原料合金粉末中に添加さ れていたものである。このため、Dyを焼結磁 体の特定表面領域から部分的に拡散した場 に比べ、残留磁束密度B r の低下が顕著である。

 なお、図5(b)では、複合磁石50が回転軸に して形成する角度をA°、1つの高保磁力磁石 片54が中心軸に対して有する角度をB°に設定 ている。B/A=0%の場合、ベース磁石(比較例1) 等しくなり、B/A=50%の場合は、全体が表2の 成を有する高保磁力磁石として機能するこ になる。

 図6は、図5の実施例および複合磁石(比較例2 )について、「減磁開始温度増加率」と「B/A との関係を示すグラフである。グラフのデ タは、B/A=0%のベース磁石(比較例1)における 磁開始温度(130℃)を基準値として、計算機シ ミュレーションによって求めたものである。 計算に際しては、図1を参照しながら説明し モータの構成に基づき、電流位相角βを0°、 励磁電流を10A/mm 2 とした。なお、高保磁力部12aにおける現実の Dyの濃度には勾配が存在するが、計算を簡単 するため、高保磁力部12a内でDyの濃度は一 (0.36mass%)であると仮定している。

 図6から分かるように、B/Aが大きくなるほど 減磁温度増加率が高くなる。B/Aが同じである 場合、実施例と複合磁石(比較例2)との間で減 磁温度増加率の差異は小さい。これは、実施 例における高保磁力部12aの保磁力H cJ と複合磁石50における高保磁力磁石片54の保 力H cJ とが同じ大きさを有するように設計されてお り、その減磁温度も、ほぼ等しいためである 。

 図7は、高保磁力部、ベース磁石、および 高保磁力磁石片について、「パーミアンス係 数」と「減磁開始温度」との関係を示すグラ フである。図7から分かるように、実施例に ける高保磁力部と、複合磁石(比較例2)にお る高保磁力磁石片との間では、減磁特性の 異を無視できる。一方、ベース磁石(比較例1 )の減磁特性は、高保磁力部に比べて劣って る。

 図6に示されるように、B/Aが大きいほど減磁 開始温度増加率が高くなる理由は、保磁力H cJ の高い部分、すなわち減磁開始温度の高い部 分が磁石中に占める割合が高くなるほど、磁 石全体としての減磁開始温度が増加するため である。

 なお、B/Aが40%以上に増加すると、減磁開 温度の増加が飽和することが図6から分かる 。これは、永久磁石12のうち、減磁界が形成 れないような部分にまで高保磁力部12aを設 る意義のないことを示している。このため 高保磁力部12aは永久磁石12の80%以下の領域 部分的に設けておけば充分である。

 高保磁力部12aは、Dyの拡散によって保磁力H cJ を高めた部分であり、前述のようにDyによる 留磁束密度B r の僅かな低下が発生している。ただし、本実 施例では、Dyが粒界拡散によって高保磁力部 12a中に広がっており、R 2 Fe 14 B型化合物結晶粒(主相)の内部深くには拡散し ていない。このため、Dyによる主相の磁化低 は生じず、残留磁束密度B r の低下が抑制されている。一方、比較例2で 、高保磁力磁石片54における主相の内部にDy 存在しており、その結果として残留磁束密 B r の低下が、より大きい。残留磁束密度B r が低下すると、モータのトルク減少が引き起 こされる。そして、残留磁束密度B r の低下が大きくなるほど、モータのトルク減 少率が大きくなる。

 図8は、図5の実施例および複合磁石(比較 2)について、「トルク減少率」と「B/A」と 関係を示すグラフである。トルクの基準値 、Dyが拡散される前のベース磁石を用いた場 合のトルク値である。図8から明らかなよう 、B/Aの増加にしたがって、トルク減少率が きくなる(トルクが大きく減少する)。ただし 、実施例では、複合磁石(比較例2)に比べて、 トルク減少率が相対的に小さく抑制されてい る。これは、上述したように、Dyを磁石表面 らの拡散によって導入することにより、高 磁力磁石片に比べて残留磁束密度Brの低下 抑制できるからである。

 図9は、永久磁石12について、B/A=0、10、20 30、40、50%の場合における「トルク減少率」 と「減磁開始温度上昇幅δT」との関係を示す グラフである。B/Aの増加に伴って、減磁温度 上昇幅δTは大きくなるが、トルクが減少する 割合が増大している。前述のように、B/Aを40% 以上にする意義はない。

 図10は、永久磁石12について、B/A=0、10、20 、30、40、50%の場合における「Dyの含有量」を 示すグラフである。前述の通り、実施例は複 合磁石(比較例2)と減磁特性の差異がほとんど 無いにもかかわらず、Dyの含有量は大きく削 できていることが分かる。

 このように本実施例では、図4を参照しつ つ説明した方法により、永久磁石12の一部にD yを拡散しているため、残留磁束密度の低下 抑制する効果が得られる。しかしながら、 発明は、このような方法でDyを拡散する場合 に限定されない。

 上述の他、本発明と比較すると、高保磁力 石片をベース磁石に固着した複合磁石には 以下の欠点があり、実用化に問題がある。
 1)複合磁石では、高保磁力磁石片をベース 石に固着するための組立工程が必要となる 精度の高い組立を行おうとすると、製造コ トが増大する。
 2)高保磁力磁石片とベース磁石との間で形 および寸法を高精度で整合させる必要があ 、各磁石の加工が困難になる。また、寸法 ズレや合わせズレが発生すると、コギング ルクやトルクリップルの増加などの悪影響 ある。
 3)複合磁石では、接着層などの非磁性層が 石中に存在するため、磁気特性が劣化し、 ギングトルクやトルクリップルの増加など 悪影響がある。

 以上説明してきた実施形態および実施例で 、永久磁石12の両端部に高保磁力部12aを設 ているが、本発明は、このような場合に限 されない。永久磁石式回転機の構造や運転 件によって、高保磁力部12aを形成する領域 適宜選択できる。例えば、図11(a)に模式的に 示すように、高保磁力部12aは、永久磁石12の 方の端部のみに設けたり、図11(b)に示すよ に、永久磁石12の上面領域(ステータと対向 る側)のみに設けたりしてもよい。更に、図1 1(c)に示すように、高保磁力部12aは永久磁石12 の四隅に形成されていてもよいし、図11(d)に すように、永久磁石12の上面全体に広がっ いても良い。重要な点は、モータの動作時 相対的に大きな減磁界が作用する一部の領 に重希土類元素RHが拡散され、それによって 高保磁力化が求められる部分の保磁力H cJ を他の部分に比べて優先的に高めることにあ る。なお、減磁は、減磁界の大きさだけでは なく、温度にも依存するため、減磁界の強度 が小さくとも、高温化しやすい部分は高保磁 力化しておくことが好ましい。なお、永久磁 石に対して、Dyなどを拡散する技術について 、特開2006-303436号に開示されているような の方法を使用しても良い。

 なお、本発明の永久磁石式回転機におけ 永久磁石は、重希土類元素RH(Dy、Ho、および Tbからなる群から選択された少なくとも1種) 他の部分よりも相対的に高い濃度で拡散さ た高保磁力部を部分的に備えているが、こ 高保磁力部12aは、図12(a)および図12(b)に示さ るように、例えばDyのみが拡散された高保 力部121と、Tbが拡散された高保磁力部122が組 み合わせられたものであってもよい。

 図12(a)および図12(b)に示す例では、永久磁 石12のうち、特に減磁が生じやすい領域に、T bが拡散された高保磁力部122が形成されてい 。Tbは、Dyよりも保磁力向上効果が高いが、 留磁束密度低下の程度も相対的に大きい。 のため、Tbは、最も減磁しやすい領域のみ 選択的に導入することが好ましい。なお、 磁界が相対的に小さい領域には、Dyを拡散し ておけばよい。

 このように高保磁力部12aの内部構成は一 である必要はなく、その最適な内部構成や 置は、減磁界の分布に応じて適切に決定す ことが好ましい。永久磁石12をモータに組 込んだときのトルクを最大限に高めるため は、永久磁石12を実際にモータに組み込み、 減磁界の影響を測定し、それによって高保磁 力部12aの内部構成や位置を決定すればよい。 また、シミュレーションによる磁場解析を行 い、最も減磁しやすい部分を求めても良い。

 DyおよびTbの拡散は、前述した方法によっ て行ってもよいが、Tbについては、スパッタ やスプレイ法などの薄膜堆積技術を用いて 久磁石の表面にTb膜を堆積した後、Tb膜から 永久磁石の内部に拡散することが好ましい。

 本発明によれば、自由度の高い設計が可 となり、また、希少で高価な重希土類元素R Hを有効に利用することが可能になる。

 なお、上記の実施形態および実施例では 図4に示すようなRHバルク体40から気相的に 希土類元素RHを焼結磁石体の表面の一部領域 に供給しつつ、磁石体の内部に拡散している が、本発明における高保磁力部の形成方法は 、このような方法に限定されない。焼結磁石 体の両端部に重希土類元素RHの膜または粉末 スパッタ法やスプレイ法によって堆積し、 の膜または粉末から焼結磁石体の特定領域 部に重希土類元素RHを拡散させてもよい。 だし、本発明の好ましい実施形態として説 したDyの拡散工程は、残留磁束密度Brの低下 抑制することができ、しかも、Dyを効率的 使用するため、本発明における永久磁石の 造に最も適していると考えられる。

 本発明の永久磁石式回転機は、耐熱性に れ、高温での使用環境に対応できるため、 搭載用モータ等の各種回転機や家電製品等 好適に使用され得る。