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Patent Searching and Data


Title:
PIEZOELECTRIC THIN FILM RESONATOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/084578
Kind Code:
A1
Abstract:
A piezoelectric thin film resonator (101) comprises a substrate (11), an oscillatory portion (20) wherein a piezoelectric thin film is arranged between upper and lower electrodes, and portions (21a, 21b) which support the oscillatory portion (20) for the substrate (11). The supporting portions (21a, 21b) consist of arch portions (23a, 23b) for connection to the substrate (11), and bridge portions (22a, 22b) for connecting the arch portions (23a, 23b) and the oscillatory portion (20). With such an arrangement, a problem of contact of the oscillatory portion with the substrate due to the use of the piezoelectric thin film and a problem of deterioration in electrical characteristics due to routing of the wiring extending to an external electrode on a long supporting beam are eliminated, thereby resulting in a compact piezoelectric thin film resonator in which reliability is ensured.

Inventors:
ITO KOREKIYO (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/069955
Publication Date:
July 17, 2008
Filing Date:
October 12, 2007
Export Citation:
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Assignee:
MURATA MANUFACTURING CO (JP)
ITO KOREKIYO (JP)
International Classes:
H03H9/17; H01L41/09; H01L41/18; H03H3/02; H03H9/02
Foreign References:
JPH08186467A1996-07-16
JP2001127576A2001-05-11
JPH11145767A1999-05-28
Attorney, Agent or Firm:
KOMORI, Hisao (Noninbashi Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 11, JP)
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Claims:
 基板と、一対の電極間に圧電薄膜が配置された振動部と、前記基板と前記振動部とを互いに接続するとともに、前記基板と前記振動部との間に空隙部を設ける支持部とを備えた圧電薄膜共振子において、
 前記支持部は、前記基板と接続するアーチ状のアーチ部と、該アーチ部と前記振動部とを接続する橋部とからなる、圧電薄膜共振子。
 前記支持部は、前記振動部の対向する2つの辺の両方に接続される両持ち梁構造である、請求項1に記載の圧電薄膜共振子。
 前記支持部は、前記振動部の対向する2つの辺の一方に設けられる片持ち梁構造である、請求項1に記載の圧電薄膜共振子。
 前記アーチ部は、その一端のみが前記基板に接続される、請求項1~3のいずれかに記載の圧電薄膜共振子。
 前記振動部の膜の圧縮応力の大きさが、前記アーチ部の膜の圧縮応力の大きさに比べて小さい、請求項1~4のいずれかに記載の圧電薄膜共振子。
 前記アーチ部には、その両端から前記振動部の前記一対の電極の一方に向けて配線が施されている、請求項1または2に記載の圧電薄膜共振子。
 前記橋部は前記アーチ部に対して略垂直に延びる、請求項1~6のいずれかに記載の圧電薄膜共振子。
 前記橋部は前記アーチ部の頂点または頂点近傍から延びる、請求項1~7のいずれかに記載の圧電薄膜共振子。
 前記振動部の振動モードは拡がり振動モードまたは長さ振動モードである、請求項1~8のいずれかに記載の圧電薄膜共振子。
Description:
圧電薄膜共振子

 この発明は、基板、圧電薄膜を有する振 部、および基板上で振動部を支持する支持 を備える圧電薄膜共振子に関するものであ 。

 従来、機械的品質係数Qmが高く、共振周 数が1~10MHz程度の比較的低い周波数に設定で 、且つマイクロデバイスとして使用できる 度に小型化した拡がり振動型の圧電振動子 特許文献1に示されている。

 図1は特許文献1に開示されている拡がり 動型圧電振動子91の構成を示す図である。

 図1において、拡がり振動型圧電振動子91 、Si材料からなる基板92と、該基板92上に位 し、前後方向に対向して設けられたSi材料 らなる一対の支持部93,93と、各支持部93に対 する支持梁94,94を介して支持された振動部95 とを備えている。そして、振動部95は各支持 94によって基板92に対して上側に浮上した状 態で支持されている。

 一方、振動部95は、Si材料によって形成され 、振動板96と、該振動板96上に絶縁膜97を介し て設けられたZnOの圧電薄膜98と、該圧電薄膜9 8を上側表面と下側表面とにそれぞれ接触し 配設された上側電極99Aと下側電極100Aとから 成されている。さらに、上側電極99A,下側電 極100Aにそれぞれ導通し、外部からのリード 等を接続する端子部99B,100Bが支持部93,93に形 されている。また、下側電極100の端子部100B 上にはコンタクトホール100Cが形成されてい 。

特開平8-186467号公報

 図1に示した拡がり振動型圧電振動子は、 Siが基材(振動部のベース)となっていて、Siの 支持部93、ZnOの圧電薄膜98がそれぞれ3~10μmと いため、振動部の支持梁94部分の剛性が高 。このため、振動部95を構成する薄膜の応力 が支持梁94に集中しても、支持梁94は撓むこ がない。また、振動部95の基材もSiがベース なっているので、薄膜の応力が支持梁94に 中することにより振動部95も撓むことがない 。また、リフロー半田などの熱処理があった としても、各材料の線膨張係数の差からくる 応力に対して撓むことがない。

 特許文献1では、むしろ、支持部分の根元 の応力に着目していて、振動部95と支持梁94 の結合部分にウェットまたはドライによる 方性エッチングを施すことにより丸みを持 せることで、各支持部と振動部との結合部 に作用する応力集中を緩和することが開示 れている。

 しかし、AlN薄膜からなる圧電薄膜とSiO 2 薄膜による支持部とから振動部を構成した圧 電薄膜共振子においては、材料の剛性が低く 且つ薄いので、振動部を構成する薄膜の応力 により振動部および支持梁が変形し、振動部 が基板に接触するおそれが生じる。

 接触を防ぐためには、支持梁を長くして 動部と基板との間の空隙を広げることが考 られる。しかし、支持梁を長くすることで 子サイズが大きくなるばかりでなく、実用 な長さの範囲では支持部と垂直な方向の反 が解消されないため、振動部が上凸のとき 振動部の角が、振動部が下凸のときは振動 の腹が、それぞれ基板と接触するのを防ぐ とができない。また、支持梁が長く、振動 の反りも解消されていないため、CSPなどの 型低背パッケージに封入する際には、パッ ージの蓋と振動部との接触が発生する。さ に、支持梁に外部電極まで続く配線を引き すため、配線による電気抵抗が増大し、電 的特性が劣化するという問題も生じる。

 そこでこの発明の目的は、上述の問題を 消して特性劣化を回避し信頼性を確保した 型の圧電薄膜共振子を提供することにある

 前記課題を解決するために、この発明の圧 薄膜共振子は次のように構成する。
(1)基板と、一対の電極間に圧電薄膜が配置さ れた振動部と、前記基板と前記振動部とを互 いに接続するとともに、前記基板と前記振動 部との間に空隙部を設ける支持部とを備え、 前記支持部は、前記基板と接続するアーチ状 のアーチ部と、該アーチ部と前記振動部とを 接続する橋部とから構成する。

(2)前記支持部は、前記振動部の対向する2 の辺の両方に接続される両持ち梁構造とす 。

(3)前記支持部は、前記振動部の対向する2 の辺の一方に設けられる片持ち梁構造とす 。

(4)前記アーチ部は、その一端のみが前記基 板に接続された構造とする。

(5)前記振動部の膜の圧縮応力の大きさが、 前記アーチ部の膜の圧縮応力の大きさに比べ て小さいものとする。

(6)前記アーチ部には、その両端から前記振 動部の前記一対の励振電極の一方に向けて配 線が施されたものとする。

(7)前記橋部は前記アーチ部に対して略垂直 に延びるものとする。

(8)前記橋部は前記アーチ部の頂点または頂 点近傍から延びるものとする。

(9)前記振動部の振動モードは、拡がり振動 モードまたは長さ振動モードとする。

 この発明によれば次のような効果を奏する
(1)基板と前記振動部との間に空隙部を設ける 支持部を、基板と接続するアーチ状のアーチ 部と、該アーチ部と前記振動部とを接続する 橋部とから構成したことにより、支持部の基 板との接続部から振動部との接続部までの直 線的な距離を長くすることなく、振動部の反 りを低減し、且つ振動部と基板との間の空隙 部の高さを稼ぐことができ、振動部の膜の応 力がばらついて膜に反りが多少発生しても振 動部の角または腹が基板と接触するのを防ぐ ことができる。

 また小さな素子サイズで必要な空隙を得 ことが可能であり、全体に大型化すること ない。さらに、犠牲層の膜厚を薄くしても 動部と基板との間の空間を確保でき、基板 の接触を防げるので低コスト化できる。

(2)前記支持部を、前記振動部の対向する2 の辺の両方に接続される両持ち梁構造とす ことにより対称性が保たれ、振動部の線対 または点対称の振動モードに悪影響を与え ことなく、良好な電気的特性が得られる。

(3)前記支持部を、前記振動部の対向する2 の辺の一方に設けられる片持ち梁構造とす ことにより、伸びを抑制するものがなくな 、振動部の膜形成時に振動部の膜が圧縮応 によりアーチ部と同方向に撓む場合でも、 持ち梁構造に比べて振動部の撓みが少なく る。そのため、振動部と基板との間の空隙 容易に確保できる。

(4)前記アーチ部を、その一端のみが前記基 板に接続された構造とすることにより、橋部 とアーチ部の根元が基板に固定されず弾性状 態で保持されるので、振動漏れによる特性の 劣化をより効果的に抑制することができる。

(5)前記振動部の膜の圧縮応力の大きさが、 前記アーチ部の膜の圧縮応力の大きさに比べ て小さくすることにより、アーチ部の反りの 方が振動部の反りよりも大きくなって、振動 部の角または腹が基板に接触するのをより効 果的に防ぐことができる。

(6)前記アーチ部には、その両端から前記振 動部の前記一対の励振電極の一方に向けて配 線が施されたものとすることにより、電気抵 抗を減らすことができ、電気的特性の劣化を 最低限なものにできる。また、アーチ部に電 極の段差による構造上の膜の不連続部が発生 しないため、アーチ部の強度を増すことがで きる。

(7)前記アーチ部に対して前記橋部が略垂直 に延びるものとすることにより、最小限の素 子サイズで必要な空隙を得ることが可能であ り、全体に大型化することがない。

(8)アーチの頂点あるいはそれに近い部分か ら振動子を支持する橋が延びることにより、 ほぼ最大限の空隙が確保され、基板と振動子 の接触を防ぐことができる。

(9)前記振動部の振動モードは、拡がり振動 モードまたは長さ振動モードとすることによ り、アーチ部と橋部による支持構造の利点を 最も高めることができる。

特許文献1に示されている圧電薄膜共振 子の構成を示す斜視図である。 第1の実施形態に係る圧電薄膜共振子の 主要部の斜視図である。 同圧電薄膜共振子の主要部の平面図お び断面図である。 アーチ部の形成について示す図である 各部の膜構造の例を示す図である。 その他の膜構造の例を示す図である その他の膜構造の例を示す図である その他の膜構造の例を示す図である 第2の実施形態に係る圧電薄膜共振子の 主要部の平面図および断面図である。 第2の実施形態に係る別の圧電薄膜共 子の主要部の平面図および断面図である。 第3の実施形態に係る圧電薄膜共振子 主要部の斜視図である。 第4の実施形態に係る圧電薄膜共振子 主要部の斜視図である。 第5の実施形態に係る圧電薄膜共振子 主要部の斜視図である。 第6の実施形態に係る圧電薄膜共振子 主要部の平面図である。

符号の説明

 11-基板
 12,45,52,62-絶縁層
 13-下部電極
 14,43,54,64-圧電薄膜
 16,46,67-応力調整膜
 15-上部電極
 17,47,56,66-温度特性補償膜
 20-振動部
 21,25,27-支持部
 22-橋部
 23,24,26-アーチ部
 30-犠牲層
 31-空隙部
 100-構造体
 101,102,103-圧電薄膜共振子

 《第1の実施形態》
 第1の実施形態に係る圧電薄膜共振子につい て図2~図8を参照して説明する。
 図2は第1の実施形態に係る圧電薄膜共振子 主要部の斜視図である。また図3(A)はその上 図、図3(B)は図3(A)におけるB-B部分の断面図 図3(C)は図3(A)におけるC-C部分の断面図である 。

 圧電薄膜共振子101の主要部である構造体1 00は基板(素子ウエハ)11上に構成される。構造 体100は、振動部20と、この振動部20を基板11上 で空隙部31を設けるとともに支持する支持部2 1a,21bとを備えている。

 図2・図3では図示していないが、基板11の 上部には構造体100を覆うようにパッケージの 蓋を配置する。また、この図2・図3では単一 圧電薄膜共振子についてのみ示しているが 製造上は、基板(素子ウエハ)11上に多数の構 造体100を配列形成し、その上部に蓋体を重ね た後に、個々の圧電薄膜共振子に分割する。

 支持部21a,21bはアーチ状のアーチ部23a,23b 橋部22a,22bとでそれぞれ構成している。

 アーチ部23a,23bはそれぞれの両端部P,Pで基 板11上に接して、基板11上の膜(配線パターン) と連続している。但し、基板11上の配線パタ ンについては図示を省略している。橋部22a, 22bは、それによってアーチ部23a,23bと振動部20 とを接続している。

 橋部22a,22bはアーチ部23a,23bの頂点または 点近傍からアーチ部23a,23bに対して略垂直方 に延びるように形成している。

 振動部20は拡がり振動モードまたは長さ 動モードであり、橋部22a,22bはこの振動モー の振動を妨げない位置に設けている。

 図3に示すように、振動部20は、絶縁層12 下部電極13、圧電薄膜14、上部電極15、応力 整膜16、温度特性補償膜17をこの順に備えて る。アーチ部23aは、絶縁層12、圧電薄膜14、 上部電極15、温度特性補償膜17をこの順に備 ている。アーチ部23bは、絶縁層12、下部電極 13、圧電薄膜14、温度特性補償膜17をこの順に 備えている。

 基板11上には振動部20またはアーチ部23a,23 bと同様の膜を形成している。但し、上部電 15および下部電極13は圧電薄膜を挟むことな 引き出し電極として配線している。

 構造体100は、先ず基板11上の所定位置に 牲層30を形成し、その上部に図3に示した膜 順に形成し、その後に犠牲層30を除去するこ とによって構成する。

 図5(A)は振動部20・橋部22a,22bの膜構造、図5(B )はアーチ部23a,23bの膜構造についてそれぞれ している。絶縁層12はSiO 2 からなり、厚さ1.7μmで-180MPaの圧縮応力が作 している。この絶縁層12の上部の圧電薄膜14 AlNからなり、厚さ1.6μmで-80MPaの圧縮応力が 用している。振動部20の圧電薄膜14の上下に は上部電極15および下部電極13が存在するが 共に膜厚が薄く、応力の影響が小さいため この図5では図示を省略している。応力調整 16はAlNからなり、厚さ0.8μmで+100MPaの引っ張 応力が作用している。最上層の温度特性補 膜17はSiO 2 からなり、厚さ3.3μmで-180MPaの圧縮応力が作 している。

 図5(A)に示すように振動部・橋部は圧縮応 力が作用する圧電薄膜14と引っ張り応力が作 する応力調整膜16とで応力が相殺され、振 部の膜の圧縮応力の大きさがアーチ部の膜 圧縮応力の大きさに比べて小さい。そのた 振動部・橋部は大きく撓むことがなく、平 な状態を維持する。

 一方、図5(B)に示すようにアーチ部には図 5(A)の応力調整膜16が存在せず、アーチ部23a,23 bはいずれも圧縮応力が作用する絶縁層12、圧 電薄膜14、および温度特性補償膜17で構成し いる。そのため、犠牲層の除去後、アーチ は基板11の面方向に延び、それに伴い、基板 11に対し垂直方向に持ち上がってアーチ状と る。このとき、アーチ部を確実に上方向に らすために、アーチ部の膜の圧縮応力を上 部と下方部とで比べた場合、上方部の方が きくなるようにするとなお良い。その結果 図2に示したように振動部20は橋部22a,22bで支 持された状態で基板11上に空隙部31を介して 持されることになる。

 図4はアーチ部がアーチ状になる様子を示 している。図4(A)は犠牲層30除去前の状態、図 4(B)は犠牲層除去後の状態である。図4(A)のよ に、基板11上に犠牲層30を介してアーチ部の 膜構造体23″が形成されている状態ではその 構造体23″に圧縮応力が溜まっている。こ 状態で犠牲層30を除去すれば、空隙部31が形 されるとともに、膜構造体23″の圧縮応力 解放されて膜が伸び、アーチ状のアーチ部23 となる。

 図2・図3に示した構造によれば、振動部20 への電気的な配線はアーチ部23a,23bおよび橋 22a,22bを介して行うが、アーチ部23a,23bは基板 11に対してそれぞれ両端部P,Pで接しているた 、それら2箇所から並行して配線することに よって配線抵抗を減らすことができる。また そのことにより、アーチ部23a,23bに電極の段 が生じないので、その上に形成した膜にお て、電極の段差による膜の構造上の不連続 が生じることがなく、アーチ部23a,23bの機械 強度が増す。

 但し、基板上への配線パターンの引回し 都合上アーチ部の片方から配線するように てもよい。また、2本の支持部21a,21bのうち 方の支持部から上部電極15および下部電極13 の配線を行ってもよい。そのことにより外 電極の取り出しを基板の片側に寄せること でき、全体のチップサイズを縮小化が容易 なる。

 図6~図8は基板上に形成する各部の膜構造 他の例を示す断面図である。いずれの図に いても(A)は振動部・橋部の膜構造、(B)はア チ部の膜構造である。

 図6に示す例では圧電薄膜43はAlNからなり、 さ1.6μmで-80MPaの圧縮応力が作用する。振動 の圧電薄膜43の上下には上部電極および下 電極が存在するが、共に膜厚が薄く、応力 影響が小さいため、この図6では図示を省略 ている。絶縁層45はSiO 2 からなり、厚さ2.0μmで-180MPaの圧縮応力が作 する。応力調整膜46はAlNからなり、厚さ0.8μm で+100MPaの引っ張り応力が作用する。最上層 温度特性補償膜47はSiO 2 からなり、厚さ3.0μmで-180MPaの圧縮応力が作 する。

 振動部・橋部は、図6(A)に示すように圧縮 応力が作用する圧電薄膜43と引っ張り応力が 用する応力調整膜46との応力相殺によって きく撓むことがなく、平坦な状態を維持す 。一方、アーチ部は図6(B)に示すように図6(A) の応力調整膜46が存在せず、いずれも圧縮応 が作用する圧電薄膜43、絶縁層45、および温 度特性補償膜47で構成している。そのため、 牲層の除去後、アーチ部は基板11の面方向 延び、それに伴い、基板11に対し垂直方向に 持ち上がってアーチ状となる。

 図7に示す例では、振動部・橋部およびアー チ部のいずれも同じ膜構造を備えている。絶 縁層52はSiO 2 からなり、厚さ1.0μmで-180MPaの圧縮応力が作 する。この絶縁層52の上部の圧電薄膜54はAlN らなり、厚さ1.6μmで-80MPaの圧縮応力が作用 る。振動部の圧電薄膜54の上下には上部電 および下部電極が存在するが、共に膜厚が く、応力の影響が小さいため、この図7では 示を省略している。最上層の温度特性補償 56はSiO 2 からなり、厚さ4.0μmで-180MPaの圧縮応力が作 している。

 このように全ての膜が圧縮応力を有する であっても、振動部・橋部は犠牲層の除去 に基板11からは分離され、アーチ部が振動 ・橋部の膜の伸びを吸収するので圧縮応力 解放され、アーチ部のようには撓まない。 のとき、振動部の上方部と下方部との膜の び量を同程度になるように応力を調整して くことで、振動部の反りを最小限にできる したがって図2に示したものと同様の構造体1 00が構成できる。

 図8に示す例では、絶縁層62はSiO 2 からなり、厚さ1.7μmで-180MPaの圧縮応力が作 する。この絶縁層62の上部の圧電薄膜64はAlN らなり、厚さ1.6μmで+80MPaの引っ張り応力が 用する。振動部の圧電薄膜64の上下には上 電極および下部電極が存在するが、共に膜 が薄く、応力の影響が小さいため、この図8 は図示を省略している。温度特性補償膜66 SiO 2 からなり、厚さ3.3μmで-180MPaの圧縮応力が作 している。さらに応力調整膜67はAlNからなり 、厚さ0.8μmで-80MPaの圧縮応力が作用する。

 このようにアーチ部に引っ張り応力の膜 存在していても全体として圧縮応力が作用 ることにより、犠牲層の除去後、アーチ部 基板11の面方向に延び、それに伴い、基板11 に対し垂直方向に持ち上がってアーチ状とな る。

 なお、アーチ部の撓み量(高さ)はアーチ の長さおよび圧縮応力の強度によって設定 ることができる。

 《第2の実施形態》
 第2の実施形態に係る圧電薄膜共振子につい て図9・図10を参照して説明する。
 図9・図10はそれぞれ第2の実施形態に係る圧 電薄膜共振子の三面図である。両図において (A)は上面図、(B)は(A)におけるB-B部分の断面図 、(C)は(A)におけるC-C部分の断面図である。

 図9の圧電薄膜共振子102および図10の圧電 膜共振子103の基本的な構成は図3に示した圧 電薄膜共振子101と同様である。異なるのは、 圧力調整膜16の形成範囲である。図3に示した 例では、圧力調整膜16を、その端縁が橋部22 アーチ部23との境界に位置する範囲に形成し たが、図9の例では、圧力調整膜16を、その端 縁が橋部22に位置する範囲に形成している。 た、図10の例では、圧力調整膜16を、その端 縁がアーチ部23にまで広がる範囲に形成して る。

 図9の構造によれば、アーチ部にかかる応 力が非常に大きい(撓みが大きい)場合、応力 整膜の境界部を、アーチ部と橋部との境界 らおよびアーチ内部からずらして、橋内部 することで、アーチ部の強度を向上させる とができる。

 また、図10の構造によれば、橋部にかか 応力が非常に大きい(振動部の上下の応力が りあっているが、全体として0応力から大き くずれている)場合、応力調整膜の境界部を アーチ部と橋部との境界からおよび橋内部 らずらして、アーチ内部にすることで、橋 の強度を向上させることができる。

 《第3の実施形態》
 図11は第3の実施形態に係る圧電薄膜共振子 主要部の斜視図である。図2に示した圧電薄 膜共振子と異なるのはアーチ部24a,24bの形状 ある。
 図11において振動部20は支持部25a,25bによっ 、基板との間に所定の空隙層を設けて支持 ている。支持部25aは振動部20の一方の短辺中 央から引き出した橋部22aと一端が基板に接す るアーチ部24aとで構成している。同様に支持 部25bは振動部20の他方の短辺中央から引き出 た橋部22bと一端が基板に接するアーチ部24b で構成している。

 アーチ部24a,24bはそれぞれ一端Pのみで基 に接続するので犠牲層の除去後の圧縮応力 解放による撓みを利用することができない そのためアーチ部24a,24bの下部の犠牲層は予 アーチ状に形成しておく。

 なお、図11に示した例では2つのアーチ部2 4a,24bが基板から立ち上がって延びる方向が同 一方向になるようにしたが、互いに逆向きに 延びるようにアーチ部の基板への接続位置を 定めてもよい。

 《第4の実施形態》
 図12は第4の実施形態に係る圧電薄膜共振子 主要部の斜視図である。図2に示した圧電薄 膜共振子と異なるのはアーチ部26a,26bの形状 ある。この例ではアーチ部26a,26bをミアンダ 状としている。

 図12において振動部20は支持部27a,27bによ て、基板との間に所定の空隙層を設けて支 している。このような形状によってアーチ 26a,26bの弾性が増し、振動部20からの振動漏 による特性の劣化がさらに抑制できる。

 図12に示した例ではアーチ部をミアンダ 状としたが、アーチ部の基板への接続点P-P 間が最短距離で繋いだ円弧状とはならない うにパターン化すれば同様の効果が得られ 。

 《第5の実施形態》
 図13は第5の実施形態に係る圧電薄膜共振子 主要部の斜視図である。この圧電薄膜共振 は図2に示したものにおいて振動部20の一方 短辺の中央からのみ支持部21aで支持するよ にしたものに相当する。このような片持ち 構造とすれば支持部の基板上での占有面積 縮小化でき全体に小型化が図れる。また、 動部の片側が支持されていないので、図7の ように振動部とアーチ部とで膜構造を変えな くても、膜の上方部と下方部との応力を等し くしておけば、アーチ部は撓んだ状態を、且 つ振動部は平坦な状態を、それぞれ実現でき る。

 《第6の実施形態》
 これまでに示した各実施形態では、単一の 動部を備えた圧電薄膜共振子について示し が、この第6の実施形態では二つの振動部を 備えた圧電薄膜共振子について示す。

 図14は第6の実施形態に係る3つのタイプの 圧電薄膜共振子の主要部(基板上の構造体)の 面図である。これらはいずれも、二つの振 部と、それを支持する支持部を同一の犠牲 上に形成した後に犠牲層を除去することに って、二つの振動部を複数の支持部で支持 るようにしたものである。

 図14(A)(B)は、いずれも二つの振動部20a,20b 縦につないだ例、図14(C)は、二つの振動部20 a,20bを横につないだ例である。

 図14(A)の例では、二つの振動部20a,20bを橋 22cで連結するとともに、振動部20aとアーチ 23aとの間を橋部22aで連結し、振動部20bとア チ部23bとの間を橋部22bで連結している。ま 、図14(B)の例では、振動部20aを橋部22a,22cで ーチ部23a,23cにそれぞれ連結し、振動部20bを 橋部22b,22dでアーチ部23b,23cにそれぞれ連結し いる。

 図14(C)の例では、振動部20aを橋部22a,22bでア チ部23a,23bにそれぞれ連結し、振動部20bを橋 部22c,22dでアーチ部23a,23bにそれぞれ連結して る。
 なお、破線の楕円で囲んだ部分が基板との 続部である。

 図14に示した例では二つの振動部を連結 たが、同様にして三つ以上の振動部を連結 てもよい。

 このように、複数の振動部を備えること より、個別の圧電薄膜共振子を回路上でつ ぐ場合よりも省スペース化が図れる。また 電気的だけでなく、機械的にも結合するの 、設計上の自由度が高く、スプリアスの低 設計も可能である。

 なお、第1~第6のいずれの実施形態におい も、振動部20は平坦であり且つ基板にほぼ 行であることが望ましいが、少なくとも振 部20が基板に接触しなければよい。この発明 によれば、振動部20と基板11との間に十分な 隙部を形成することができるので、振動部20 は上方向に凸、下方向に凸またはその複合さ れた形状に多少撓んでいてもよい。また、基 板に対して多少非平行であってもよい。