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Patent Searching and Data


Title:
PNEUMATIC TIRE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/017165
Kind Code:
A1
Abstract:
A run-flat tire (1) in which turbulence generation projections (20) are arranged on the surfaces of tire's side sections (3) so as to extend in the radial direction of the tire and to be spaced in the circumferential direction of the tire. The tire (1) satisfies the relationship of Si > So, where Si is the sum of the areas of side walls of all projections (20) located on the inner side, in the radial direction of the tire, of the tire's maximum width position Wmax and So is the sum of the areas of side walls of all projections (20) located on the outer side, in the radial direction of the tire, of the tire's maximum width position Wmax.

Inventors:
TSURUTA MAKOTO
YAMAGUCHI MASASHI
MIYASAKA ATSUSHI
Application Number:
PCT/JP2008/063692
Publication Date:
February 05, 2009
Filing Date:
July 30, 2008
Export Citation:
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Assignee:
BRIDGESTONE CORP (JP)
TSURUTA MAKOTO
YAMAGUCHI MASASHI
MIYASAKA ATSUSHI
International Classes:
B60C17/00; B60C13/00
Domestic Patent References:
WO2007032405A12007-03-22
WO2007032405A12007-03-22
Foreign References:
JPH02147418A1990-06-06
JPH04238703A1992-08-26
JPH08282218A1996-10-29
JP2007176304A2007-07-12
JP2008068716A2008-03-27
JP2008222007A2008-09-25
Other References:
See also references of EP 2181865A4
Attorney, Agent or Firm:
MIYOSHI, Hidekazu et al. (2-8 Toranomon 1-chome,Minato-k, Tokyo 01, JP)
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Claims:
 タイヤサイド部の表面に、タイヤ径方向に沿って延在され、且つタイヤ周方向に沿って間隔を隔てて配置された複数の乱流発生用突条を備える空気入りタイヤであって、
 タイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向内側に位置する全ての前記乱流発生用突条の側壁面積の総和をSiとし、
 前記タイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向外側に位置する全ての前記乱流発生用突条の側壁面積の総和をSoとしたときに、
 Si>Soの関係を満足することを特徴とする空気入りタイヤ。
 前記タイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向内側に位置する前記乱流発生用突条の数が、前記タイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向外側に位置する前記乱流発生用突条の数よりも多いことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
 前記タイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向内側に位置する前記乱流発生用突条は、タイヤ周方向に沿って等間隔に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
 前記タイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向内側に位置し、タイヤ周方向に沿って等間隔に配置された前記乱流発生用突条は、各乱流発生用突条の前記タイヤサイド部表面からの最大高さをhとし、互いに隣接する乱流発生用突条の最大高さhとなる位置同士の間隔をpとしたときに、
 1.0≦p/h≦50.0の関係を満足することを特徴とする請求項3に記載の空気入りタイヤ。
 前記タイヤサイド部表面の前記タイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向外側に位置する領域で前記乱流発生用突条が形成されない部分の最大範囲は、タイヤ回転軸を中心とする90°の範囲以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
 タイヤ径方向内側における前記乱流発生用突条の端部、又は、タイヤ径方向外側における前記乱流発生用突条の端部の少なくとも一方は、前記端部に向けて高さが漸次低くなるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
 前記乱流発生用突条の前記端部における上面は、前記タイヤサイド部の表面に対して傾斜する傾斜面で形成されていることを特徴とする請求項6に記載の空気入りタイヤ。
 前記傾斜面の接線と前記タイヤサイド部の表面とのなす角度は、10~40度であることを特徴とする請求項7に記載の空気入りタイヤ。
 前記タイヤサイド部表面からの前記乱流発生用突条の最大高さは、1mm~5mmであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
 前記タイヤサイド部は、タイヤ径方向の断面形状が三日月形状の補強ゴムを備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
Description:
空気入りタイヤ

 本発明は、放熱機能を有する空気入りタ ヤに関する。

 一般に、空気入りタイヤのタイヤ温度の 昇は、材料物性の変化といった経時的変化 促進したり、高速走行時にはトレッドの破 などの原因になり、耐久性の観点から好ま くない。特に、乗用車においてパンク走行 (内圧0kPa走行時)のランフラットタイヤにお ては、耐久性を向上させるためにタイヤ温 を低減させることが大きな課題となってい 。例えば、三日月形補強ゴムを有するラン ラットタイヤでは、パンク走行時に補強ゴ に径方向の変形が集中してこの部分が非常 高温に達し、耐久性に多大な影響を与える

 このようなタイヤ温度低減手段としては タイヤ構成部材(例えば、カーカス層)の歪 低減や歪み抑制を目的とした補強部材の使 により発熱を抑制するという手段がある。 かし、この補強部材の使用によって意図し い故障の発生や、特に、ランフラットタイ では通常内圧走行時の縦バネ(縦方向への弾 )を高めて乗り心地を悪化させるといった通 常性能への影響がある。このため、通常性能 を損なわない新たなタイヤ温度低減手段が求 められていた。

 その新たなタイヤ温度低減手段として、 イヤサイド部にタイヤ径方向に沿って乱流 生用突条を形成することで、タイヤ表面に ける流速の速い乱流を発生若しくは促進さ て、冷却効果を向上させたものがある(国際 公開第2007/032405号パンフレット)。タイヤを構 成するゴムは熱伝導性の悪い材料であるため 、放熱面積を拡大させて冷却効果を狙うより も、乱流発生を促進することによる冷却効果 の方が有効であることが知られている。

 しかしながら、タイヤサイド部表面の全 に亘って乱流発生用突条を高密度で配置す と、ややタイヤ重量が重くなることや、乱 発生用突条により空気抵抗がやや大きくな 転がり抵抗が増大することが判った。

 そこで、本発明の目的は、タイヤサイド の温度低減効果を高く維持しつつ、タイヤ 量や転がり抵抗の増大を抑制できる空気入 タイヤを提供することにある。

 本発明の第1の特徴は、タイヤサイド部( イヤサイド部3)の表面に、タイヤ径方向に沿 って延在され、且つタイヤ周方向に沿って間 隔を隔てて配置された複数の乱流発生用突条 (乱流発生用突条20)を備える空気入りタイヤ( ンフラットタイヤ1)であって、タイヤ最大 位置(Wmax)よりもタイヤ径方向内側に位置す 全ての前記乱流発生用突条の側壁面積の総 をSiとし、前記タイヤ最大幅位置よりもタイ ヤ径方向外側に位置する全ての前記乱流発生 用突条の側壁面積の総和をSoとしたときに、S i>Soの関係を満足することを要旨とする。

 かかる特徴によれば、Si>Soの関係を満 することによって、乱流発生用突条がタイ 径方向外側よりもタイヤ径方向内側に重点 に配置され、タイヤサイド部の温度低減効 を高く維持しつつ、タイヤ重量や転がり抵 の増大を抑制できる。

 本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特 に係り、前記タイヤ最大幅位置よりもタイ 径方向内側に位置する前記乱流発生用突条 数が、前記タイヤ最大幅位置よりもタイヤ 方向外側に位置する前記乱流発生用突条の よりも多いことを要旨とする。

 本発明の第3の特徴は、本発明の第1又は2 特徴に係り、前記タイヤ最大幅位置よりも イヤ径方向内側に位置する前記乱流発生用 条は、タイヤ周方向に沿って等間隔に配置 れていることを要旨とする。

 本発明の第4の特徴は、本発明の第3の特 に係り、前記タイヤ最大幅位置よりもタイ 径方向内側に位置し、タイヤ周方向に沿っ 等間隔に配置された前記乱流発生用突条は 各乱流発生用突条の前記タイヤサイド部表 からの最大高さをhとし、互いに隣接する乱 発生用突条の最大高さhとなる位置同士の間 隔をpとしたときに、1.0≦p/h≦50.0の関係を満 することを要旨とする。

 本発明の第5の特徴は、本発明の第1乃至4 特徴に係り、前記タイヤサイド部表面の前 タイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向外側 位置する領域で前記乱流発生用突条が形成 れない部分の最大範囲は、タイヤ回転軸を 心とする90°の範囲以下であることを要旨と する。

 本発明の第6の特徴は、本発明の第1乃至5 特徴に係り、タイヤ径方向内側における前 乱流発生用突条の端部、又は、タイヤ径方 外側における前記乱流発生用突条の端部の なくとも一方は、前記端部に向けて高さが 次低くなるように形成されていることを要 とする。

 本発明の第7の特徴は、本発明の第6の特 に係り、前記乱流発生用突条の前記端部に ける上面は、前記タイヤサイド部の表面に して傾斜する傾斜面で形成されていること 要旨とする。

 本発明の第8の特徴は、本発明の第7の特 に係り、前記傾斜面の接線と前記タイヤサ ド部の表面とのなす角度は、10~40度であるこ とを要旨とする。

 本発明の第9の特徴は、本発明の第1乃至8 特徴に係り、前記タイヤサイド部表面から 前記乱流発生用突条の最大高さは、1mm~5mmで あることを要旨とする。

 本発明の第10の特徴は、本発明の第1乃至9 の特徴に係り、前記タイヤサイド部は、タイ ヤ径方向の断面形状が三日月形状の補強ゴム (サイドウォール補強層8)を備えることを要旨 とする。

図1は、第1実施形態に係るランフラッ の側面図である。 図2は、図1のII-II断面を示す要部断面図 である。 図3は、第1実施形態に係る乱流発生用 条をタイヤ周方向で切断した断面説明図で る。 図4は、タイヤ最大幅位置を挟んでタイ ヤ径方向内側に位置する乱流発生用突条とタ イヤ径方向外側に位置する乱流発生用突条の 配置例を示す要部斜視図である。 図5は、内側突条および外側突条の配置 パターンの他の例を示す図であり、当該パタ ーンで乱流発生用突条が形成されたランフラ ットタイヤの側面図である。 図6は、図5に示したパターンで乱流発 用突条が形成されたランフラットタイヤの 部斜視図である。 図7は、内側突条および外側突条の配置 パターンのさらに他の例を示す図であり、当 該パターンで乱流発生用突条が形成されたラ ンフラットタイヤの側面図である。 図8は、図7に示したパターンで乱流発 用突条が形成されたランフラットタイヤの 部斜視図である。 図9は、内側突条および外側突条の配置 パターンのさらに他の例を示す図であり、当 該パターンで乱流発生用突条が形成されたラ ンフラットタイヤの側面図である。 図10は、内側突条および外側突条の配 パターンのさらに他の例を示す図であり、 該パターンで乱流発生用突条が形成された ンフラットタイヤの側面図である。 図11は、p/hと熱伝達率との関係を示す である。 図12は、(p-w)/wと熱伝達率との関係を示 す図である。 図13は、第2実施形態に係るランフラッ トタイヤの側面図である。 図14は、図13のIII-III断面における要部 面図である。 図15(a)は、本発明の実施の形態に係る ンフラットタイヤの乱流発生用突条の外側 部を示す要部斜視図、図15(b)は、乱流発生 突条の変形例1を示す要部斜視図である。 図16は、乱流発生用突条タイヤ周方向 切断した状態の乱流発生メカニズムを示す 明図である。 図17は、乱流発生用突条の変形例2を示 す側面図である。 図18は、乱流発生用突条の変更例3を示 すランフラットタイヤの側面図である。

[第1実施形態]
 以下、第1実施形態に係る空気入りタイヤの 詳細を図面に基づいて説明する。

 図1~図4は、第1実施形態に係る空気入りタ イヤとしてのランフラットタイヤ1およびそ 要部を示している。図1はランフラットタイ 1の側面図、図2は図1のII-II断面を示す要部 面図、図3は乱流発生用突条をタイヤ周方向 切断した断面説明図、図4はタイヤ最大幅位 置を挟んでタイヤ径方向内側に位置する乱流 発生用突条とタイヤ径方向外側に位置する乱 流発生用突条の配置例を示す要部斜視図であ る。

〈ランフラットタイヤの概略構成〉
 図1および図2に示すように、ランフラット イヤ1は、路面と接触するトレッド部2と、タ イヤ両側のタイヤサイド部3と、それぞれの イヤサイド部3の開口縁に沿って設けられた ード部4と、を備えて大略構成されている。

 なお、タイヤサイド部3は、正規内圧時に おけるトレッド最外位置2aからビード部4の最 もタイヤ径方向内側に位置するビード内端4a でのタイヤ高さTHに対して、ビード内端4aか ら90%の位置P1と、リムR及びビード部4が接触 る最もタイヤ径方向外側である接触外端P2と の範囲を示す。

 図1に示すように、タイヤサイド部3の外 表面には、複数の乱流発生用突条20が、タイ ヤ径方向に沿って延在し、且つタイヤ周方向 に沿って間隔を隔てて配置されている。ここ で、乱流発生用突条20は、ランフラットタイ 1の回転時にタイヤサイド部3の外周表面に 流を発生させる、若しくはタイヤサイド部3 外周表面における乱流を促進させるための 尺状の突起である。

 図2に示すように、ビード部4は、タイヤ イド部3の開口部の縁部に沿って周回するよ に設けられた、ビードコア6Aおよびビード ィラー6Bを備えている。ビードコア6Aとして 、具体的にスチールコードなどが用いられ いる。

 また、図2に示すように、ランフラットタ イヤ1は、タイヤの骨格となるカーカス層7を している。タイヤサイド部3に位置するカー カス層7の内側(タイヤ幅方向内側)には、補強 ゴムとしてのサイドウォール補強層8が設け れている。このサイドウォール補強層8は、 イヤ幅方向断面において三日月形状のゴム トックによって形成されている。

 カーカス層7のタイヤ径方向外側には、複 数層のベルト層(スチールベルト補強層9,10、 方向補強層11)が設けられている。周方向補 層11のタイヤ径方向外側には、路面と接地 る上記トレッド部2が設けられている。

〈乱流発生用突条の構成〉
 第1実施形態のように、三日月形補強ゴムで なるサイドウォール補強層8が設けられたタ ヤサイド部3を有するランフラットタイヤ1に おいては、特にタイヤサイド部3の温度を低 させることが、耐久性向上の観点から有効 なる。

 そこで、第1実施形態のランフラットタイ ヤ1では、上述したように、タイヤサイド部3 外側表面に複数の乱流発生用突条20を突設 て乱流を発生させる若しくは乱流を促進す ことによって、このタイヤサイド部3におけ 冷却効果を高めるようにしている。

 複数の乱流発生用突条20は、図1に示すよ に、タイヤサイド部3の外側表面に、タイヤ 回転軸を中心として放射状に配置されている 。各乱流発生用突条20のそれぞれは、長手方 がタイヤ径方向に沿うように延在している 各乱流発生用突条20のそれぞれは、タイヤ 方向に隣り合う乱流発生用突条20との間には 間隔が設けられている。この乱流発生用突条 20のタイヤ周方向の断面は、図3に示すように 、矩形状に形成されている。

 ここで、図3を用いて乱流の発生のメカニ ズムを説明する。ランフラットタイヤ1の回 に伴い、乱流発生用突条20が形成されていな いタイヤサイド部3に接触していた空気の流 S1が乱流発生用突条20でタイヤサイド部3から 剥離されて乱流発生用突条20を乗りこえる。 のとき、この乱流発生用突条20の背面側に 、空気の流れが滞留する部分(領域)S2が生じ 。

 そして、空気の流れS1は、次の乱流発生 突条20との間の底部に再付着して、次の乱流 発生用突条20で再び剥離される。このとき、 気の流れS1と次の乱流発生用突条20との間に は、空気の流れが滞留する部分(領域)S3が生 る。

 ここで、乱流S1が接触する領域上の速度 配(速度)を速くすることが冷却効果を高める ために優位となると考えられる。つまり、タ イヤサイド部3の外側表面に乱流発生用突条20 を突設し、流速の速い空気の流れS1と滞留部 S2,S3を生じさせて、タイヤサイド部3の外側 面において乱流の発生を促進させることに って、タイヤサイド部3の冷却効果が高めら れる。

 乱流発生用突条20は、以上のように、ラ フラットタイヤ1の回転時にタイヤサイド部3 の外側表面に乱流を発生若しくは促進させて 、タイヤサイド部4における冷却効果を高め ためのものである。特に、第1実施形態では 図1、図2および図4に示すように、この乱流 生用突条20を、タイヤ最大幅位置Wmaxを基準 してタイヤ径方向内側に位置する乱流発生 突条(以下、内側突条20aという。)と、タイ 最大幅位置Wmaxを基準としてタイヤ径方向外 に位置する乱流発生用突条(以下、外側突条 20bという。)とに区分し、外側突条20bと比較 て内側突条20aの方が多く配置される構成と ている。

 これは、ランフラットタイヤ1の回転時に おける遠心力の影響でタイヤ径方向の内側か ら外側へと向かう空気の流れが生じ、タイヤ 径方向内側に設けた乱流発生用突条20がタイ 径方向外側における放熱にも寄与する。こ により、乱流発生用突条20をタイヤ径方向 側に重点的に配置した方が、タイヤサイド 3表面の全域における冷却効果をより効率良 高めることができる。また、タイヤ径方向 側の乱流発生用突条20を減らすことで走行 抗の低減の効果も期待できるという知見に づくものである。

 ここで、乱流発生用突条20の機能として 、タイヤサイド部3表面から立ち上がった側 面による作用が支配的であることから、こ では、乱流発生用突条20の多さを表現する 法として、この乱流発生用突条20の側壁面を タイヤ径方向から見たときの投影面積である 側壁面積の総和を用いる。すなわち、第1実 形態のランフラットタイヤ1においては、タ ヤ最大幅位置Wmaxよりもタイヤ径方向内側に 位置する全ての内側突条20aの側壁面積の総和 をSiとし、タイヤ最大幅位置Wmaxよりもタイヤ 径方向外側に位置する全ての外側突条20bの側 壁面積の総和をSoとしたときに、Si>Soの関 を満足する構成としている。具体的には、 えば、全ての内側突条20aの側壁面積の総和Si に対して、全ての外側突条20bの側壁面積の総 和Soが、30~80%の範囲となるようにしている。

 全ての内側突条20aの側壁面積の総和Siを ての外側突条20bの側壁面積の総和Soよりも大 きくする具体的手法としては、例えば、内側 突条20aの数を、外側突条20bの数よりも多くす ることが考えられる。この場合、タイヤサイ ド部3の外周表面において、タイヤ最大幅位 Wmaxよりもタイヤ径方向外側に配置される外 突条20bの数が少なくなる。このため、外側 条20bが配置されないスペースを有効利用し 、例えば文字や記号などのタイヤに必要な 字情報やデザインを付することが可能とな 。

 また、第1実施形態のランフラットタイヤ 1では、タイヤサイド部3の外側表面に形成さ る乱流発生用突条20のうち、特に内側突条20 aについては、タイヤ周方向に沿って等間隔 配置される構成としている。内側突条20aは 上述したように、タイヤサイド部3の外側表 の温度低減に非常に重要な機能を果たすも である。そこで、第1実施形態では、特にこ の内側突条20aについては適正な間隔で規則的 に配置するようにしており、これにより、タ イヤサイド部3の外側表面における周方向全 に亘って乱流を発生させる、若しく乱流の 進を図れるようにして、タイヤサイド部3の 度を効率的に低減できるようにしている。

 なお、外側突条20bについては、必ずしも 間隔で規則的に配置しなくとも、上述した 心力の影響でタイヤ径方向外側に向かう空 の流れにより、十分な温度低減効果が得ら と考えられるが、外側突条20bについても周 向に沿って等間隔に配置される構成とすれ 、周方向全域に亘ってばらつきを生じさせ に均一に温度低減を図ることが可能となる

 ここで、タイヤサイド部3の外側表面にお ける温度低減を効果的に図るためには、タイ ヤ周方向に沿って等間隔で配置される内側突 条20aの間隔および高さを適正な状態とするこ とが特に重要である。

 タイヤ周方向に隣り合う内側突条20a同士 間隔が、内側突条20aとの高さとの関係で過 に狭い状態となっていると、内側突条20aの 用で発生した乱流がタイヤサイド部3表面に うまくぶつかる(再付着する)ことができずに タイヤサイド部3表面における温度低減効果 が低くなる。逆に、タイヤ周方向に隣り合う 内側突条20a同士の間隔が、内側突条20aとの高 さとの関係で過度に広い状態となっていると 、内側突条20aの作用で発生した乱流で冷やせ ない領域が発生して、タイヤサイド部3表面 おける温度低減効果が不十分となる。

 このような観点から、第1実施形態では、 タイヤ周方向に沿って等間隔で配置される内 側突条20aの間隔と高さとの関係を以下のよう に規定することで、タイヤサイド部3の外側 面における温度低減効果が十分に発揮され ようにしている。

 すなわち、図4に示すように、各内側突条 20aのタイヤサイド部3表面からの最大高さをh し、互いに隣接する内側突条20aの最大高さh となる位置同士の間隔をpとしたときに、1.0 p/h≦50.0の関係を満足する構成としている。

 これは、内側突条20aの適正な間隔と高さ ついての検討を行った中で、p/hの値が1.0よ 小さいと隣り合う内側突条20a同士の間隔が くなりすぎてタイヤサイド部3表面の温度低 減効果が急激に低下する。また、p/hの値が50. 0より大きいと逆に隣り合う内側突条20a同士 間隔が広くなりすぎてタイヤサイド部3表面 温度低減効果が急激に低下する。このため 1.0≦p/h≦50.0の関係を満足する構成とするこ とで、タイヤサイド部3表面における温度低 効果を十分に発揮できるようにしたもので る。

 ところで、第1実施形態のランフラットタ イヤ1では、上述したように、外側突条20bと 較して内側突条20aの方が多く配置される構 としているが、タイヤサイド部3の外側表面 おけるタイヤ径方向外側の領域で、外側突 20bが形成されない部分の範囲が大きすぎる 、その部分では温度低減効果が全く得られ い状態となることが懸念される。

 タイヤ径方向外側の領域における外側突 20bの配置と温度低減効果との関係を検討し ところ、外側突条20bが形成されない範囲が 周の1/4、すなわちタイヤ回転軸を中心とす 90°の範囲を超えると、その部分で温度低減 効果が得られなくなることが判明した。

 そこで、第1実施形態では、タイヤサイド 部3の外側表面におけるタイヤ径方向外側の 域で、外側突条20bが形成されない部分の最 範囲が、タイヤ回転軸を中心とする90°の範 以下となるように、外側突条20bを配置する うにしている。これにより、タイヤ径方向 側の領域においても、外側突条20bを設けた とによる走行抵抗の増大を極力抑制しなが 、所望の温度低減効果を得ることができる

 第1実施形態のランフラットタイヤ1にお て、乱流発生用突条20(内側突条20aおよび外 突条20b)は、上述したように周方向の断面が 形状に形成されているが、タイヤ径方向の 端部においても同じ断面形状となる矩形ブ ックとすると、成型の際に製造上ベアなど 発生しやすく、形状不良や外観不良となる 能性が高い。

 そこで、乱流発生用突条20(内側突条20aお び外側突条20b)は、図4に示すように、タイ 径方向の両端部において高さが漸次低くな ように形成されていることが望ましい。こ により、成型の際に製造上ベアなどの発生 抑制でき、形状不良や外観不良になる可能 を低くすることができる。

 また、第1実施形態のランフラットタイヤ 1において、乱流発生用突条20(内側突条20aお び外側突条20b)のタイヤサイド部表面からの 大高さは、1mm~5mmの範囲とすることが望まし い。

 第1実施形態のランフラットタイヤ1を特 乗用車で使用することを考えた場合、乱流 生用突条20(内側突条20aおよび外側突条20b)の 大高さが1mmより低い場合は乱流の発生若し は促進の効果が小さくなる。一方、乱流発 用突条20の最大高さが5mmより高い場合は乱 発生用突条20の可撓性が高まり剛性が低下し て乱流の発生若しくは促進の効果が低下する とともに走行抵抗が大きくなる。

 乱流発生用突条20の最大高さを1mm~5mmの範 内とすれば、乗用車用のタイヤとして使用 る場合でも適用できるようにしている。乱 発生によるタイヤサイド部3の温度低減を効 果的に実現できるとともに、走行抵抗を抑え ることができる。

〈変形例〉
 第1実施形態のランフラットタイヤ1におい は、タイヤサイド部3の外側表面に形成され 乱流発生用突条20を、タイヤ最大幅位置Wmax 基準としてタイヤ径方向内側に位置する内 突条20aと、タイヤ最大幅位置Wmaxを基準とし てタイヤ径方向外側に位置する外側突条20bと に区分し、外側突条20bと比較して内側突条20a の方が多く配置される構成としている。しか し、内側突条20aおよび外側突条20bの具体的な 配置パターンとしては、図1および図4で例示 たようなパターン以外にも、様々なバリエ ションが考えられる。

 例えば、図5および図6に示すように、タ ヤサイド部3の外側表面のビード部4に隣接す る位置に円環状の連結部20cを配置し、タイヤ 回転軸を中心として放射状に配置された複数 の内側突条20aを、そのタイヤ径方向の内側の 端部において円環状の連結部20cで連結して一 体化したパターンとしてもよい。

 また、図7および図8に示すように、複数 内側突条20aをそのタイヤ径方向の内側の端 において円環状の連結部20cで連結して一体 することに加え、さらに、外側突条20bを内 突条20aのタイヤ径方向の外側の端部と連続 せて、内側突条20aと外側突条20bの全てを一 化したパターンとしてもよい。

 さらにまた、図9、図10に示すように、外 突条20bをタイヤ周方向に沿って均等ではな 離散的に配置したパターンとしてもよい。 だし、このように外側突条20bが離散的に配 されるパターンとする場合は、上述したよ に、外側突条20bが形成されない部分の最大 囲をタイヤ回転軸を中心とする90°の範囲以 下となるようにすることが望ましい。

〈作用・効果〉
 タイヤ温度低減手段としての乱流発生用突 20の効果的な配置を究明するために、タイ 回転時の空気の流れを詳細に解析した。こ 結果、空気の流れは、タイヤ回転方向とは 向きにタイヤ周方向に沿って発生すると共 、タイヤ回転に伴う遠心力の影響により、 イヤ径方向内側(リムと接触する開口縁側)か らタイヤ径方向外側(トレッド部2側)に向かう 流れも発生していることが判った。

 そして、このような空気の流れの解析結 をもとに、乱流発生用突条20のタイヤ径方 位置の適正な配置を検討した結果、個々の 流発生用突条20の側壁面積(乱流発生用突条20 のタイヤサイド部3表面から立ち上がる側壁 の面積であり、ここでは、特に側壁面をタ ヤ周方向から見たときの投影面積を側壁面 という。)を同じにした場合、乱流発生用突 20をタイヤ径方向外側よりもタイヤ径方向 側に重点的に配置した方が、タイヤサイド 3の温度低減を図る上でより効果的であるこ が判った。その理由は、以下の通りである

 すなわち、タイヤ径方向内側に乱流発生 突条20を配置することで、タイヤ回転中の 気の流れの上流部分で乱流促進による冷却 果が発生し、タイヤ径方向内側のタイヤサ ド部3表面の温度は低下する。その温度低下 たタイヤサイド部3表面を通過して冷却され た空気が、遠心力の影響でタイヤ径方向外側 を通過することになるため、タイヤ径方向外 側のタイヤサイド部3表面も温度が低下する

 一方、タイヤサイド部3表面のタイヤ径方 向外側だけに乱流発生用突条20を配置した場 は、タイヤ径方向内側では乱流促進効果が いため全く温度低下が発生せず、タイヤ径 向外側のみしか冷却効果が発生しないこと 判った。

 つまり、同じ側面積を有する乱流発生用 条20であれば、同じ数の乱流発生用突条20を 配置する場合に、タイヤ径方向内側に重点的 に乱流発生用突条20を配置することが温度低 には効果的であることが判った。

 また、走行抵抗に関しては、流速に依存 ることが知られていることから空気の流れ 速いタイヤ径方向外側(流速は、半径×角速 であるためタイヤ径方向外側の方が速い)に 乱流発生用突条20を配置すると、走行抵抗が きくなることが判った。

 これらの検討結果から、タイヤサイド部3 表面をタイヤ最大幅位置Wmaxを基準にタイヤ 方向内側とタイヤ径方向外側とで区分した 合、タイヤ径方向内側に乱流発生用突条20の 数を多く配置することが好ましいことが判っ た。一方、空気の流れの速いタイヤ径方向外 側では、乱流発生用突条20の数が少なくても 乱流が発生し、タイヤサイド部3の温度低減 効果を図ることができる。

 つまり、空気の流れの遅いタイヤ径方向 側では、乱流発生用突条20の数を多く配置 る。一方、空気の流れの速いタイヤ径方向 側では、乱流発生用突条20の数がタイヤ径方 向内側に位置する乱流発生用突条20よりも少 く配置する。これにより、タイヤサイド部3 全体の温度低減効果が高くなる。

 ここで、乱流発生用突条20の多さを表現 る方法としては、乱流の発生メカニズムと 行抵抗の発生メカニズムとに着目すると、 流発生用突条20の側壁面積(乱流発生用突条20 のタイヤサイド部3表面から立ち上がる側壁 をタイヤ周方向から見たときの投影面積)の 和で表すことが有効である。これにより、 イヤサイド部3の温度低減効果を高く維持し つつ、タイヤ重量や転がり抵抗の増大を抑制 できる。

 また、タイヤ径方向内側に位置する乱流 生用突条20の数を、タイヤ径方向外側に位 する乱流発生用突条20の数よりも多くする形 態とすることで、Si>Soの関係を満足するよ にしており、タイヤ径方向外側に配置する 流発生用突条20の数が少なくなるため、乱 発生用突条20を配置しないスペースに、文字 や記号などのタイヤに必要な文字情報やデザ インを付することが可能となる。

 また、タイヤ最大幅位置Wmaxよりもタイヤ 径方向内側に配置された乱流発生用突条20は タイヤサイド部3表面の温度低減に非常に重 要な機能を果たすことから、乱流発生用突条 20を適正な間隔で規則的に配置するようにし おり、これにより乱流の発生や乱流の促進 周方向全域に亘って図ることができ、タイ サイド部表面の温度を効率的に低減させる とができる。

 また、タイヤ最大幅位置Wmaxよりもタイヤ 径方向内側に位置する乱流発生用突条20を適 な間隔および高さで配置することが重要で ることから、各乱流発生用突条20の最大高 をh、隣接する乱流発生用突条20の最大高さh なる位置同士の間隔をpとしたときに、p/hが 2~24の範囲となるようにhとpの関係を規定して いる。これにより、タイヤサイド部表面の温 度低減効果をさらに高めることができる。

 また、乱流発生用突条20が形成されない 分の最大範囲をタイヤ回転軸を中心とする90 °の範囲以下とすることで、タイヤ径方向外 においても所望の温度低減効果が得られる うにしている。つまり、タイヤ径方向外側 領域において、乱流発生用突条20による走 抵抗の増大を極力抑制しながら、所望の温 低減効果を得ることができる。

 また、タイヤ径方向内側における乱流発 用突条20の端部、又は、タイヤ径方向外側 おける乱流発生用突条20の端部の少なくとも 一方が、端部に向けて高さが漸次低くなるよ うに形成されていることにより、乱流発生用 突条20を成型する際に、製造上ベアなどの発 を抑制でき、形状不良や外観不良になる可 性を低くすることができる。

 また、乱流発生用突条20の最大高さを1mm~5mm 範囲内とすることで、乗用車用のタイヤに 効に適用できるようにしている。これによ 、特に乗用車用のタイヤにおいて乱流の発 や乱流の促進による温度低減を効果的に実 できるとともに、走行抵抗を抑えることが きる
 さらに、タイヤサイド部に三日月形状の補 ゴムを備えるランフラットタイヤでは特に イヤサイド部での温度低減が求められるこ から、このようなランフラットタイヤに適 してタイヤサイド部での温度低減効果が得 れるようにしている。これにより、ランフ ットタイヤの補強ゴムを有するタイヤサイ 部の温度を効果的に低減させて耐久性を高 ることができるとともに、タイヤ重量や転 り抵抗の増大を抑制できる。

〈実施例A〉
 本発明の効果を確認すべく、下記表1に示す パラメータで実施例1~7のランフラットタイヤ と、比較例1~3のランフラットタイヤとをそれ ぞれ試作し、これらの試作品について以下の 条件で耐久ドラム試験を行って、それぞれの 耐久性と転がり抵抗を評価した。評価結果を 下記表1に合わせて示している。

 なお、比較例1は、乱流発生用突条20が無 ランフラットタイヤを示す。比較例2は、内 側突条20aの側壁面積の総和と外側突条20bの側 壁面積の総和が等しいランフラットタイヤを 示す。比較例3は、内側突条20aの側壁面積の 和よりも外側突条20bの側壁面積の総和の方 大きいランフラットタイヤを示す。

 また、実施例1~7は、外側突条20bの側壁面 の総和よりも内側突条20aの側壁面積の総和 方が大きいランフラットタイヤを示す。各 施例ごとに、内側突条20aの側壁面積の総和 対する外側側壁20bの側壁面積の総和の割合 変化させている。

 また、実施例1~7と比較例2および比較例3 ランフラットタイヤでは、外側突条20bが形 されない部分の最大範囲の割合(タイヤ径方 外側の全体の領域に対する割合)も変化させ ている。なお、実施例1~7と比較例2および比 例3において、内側突条20aおよび外側突条20b 最大高さhは2mmで統一させている。また、内 側突条20aの最大高さhに対する幅pの割合(p/h) 12で統一させている。

 実施例1~7および比較例1~3のランフラット イヤのその他の設定条件は以下の通りであ 。

タイヤサイズ:285/50R20
使用リム:8JJ×20
(耐久力試験)内圧:0kPa
荷重:9.8kN
速度:90km/h
 このような条件で耐久ドラム試験での故障 での耐久距離を指数化した。

(転がり抵抗)
内圧:230kPa
荷重:10.3kN
 このような条件でドラムにおける転がり抵 値を確認した。

 表1に示した比較例1の評価結果とその他 評価結果から分かるように、ランフラット イヤは乱流発生用突条20を設けることで耐久 性が大幅に向上する。これは、乱流発生用突 条20の作用で乱流の発生が促進されることで イヤサイド部3における冷却性能が向上し、 タイヤサイド部3の温度低減が図られること よるものである。

 また、比較例3の評価結果と実施例1~7の評 価結果とを対比すると明らかなように、乱流 発生用突条20のうち、タイヤ最大幅位置より 内側に位置する内側突条20aの側壁面積の総 を、タイヤ最大幅位置よりも外側に位置す 外側突条20bの側壁面積の総和よりも大きく ることで、タイヤサイド部3の温度低減効果 がより向上し、耐久性がさらに向上すること が判る。

 また、比較例2の評価結果と実施例1~7の評 価結果とを対比すると明らかなように、乱流 発生用突条20のうちで、特に外側突条20bを少 くすることにより、転がり抵抗を小さくす ことができ、走行抵抗を低減させることが 能となる。

 なお、実施例1~7の評価結果の対比から、 側突条20aの側壁面積の総和に対する外側突 20bの側壁面積の総和の割合を大きくすると 度低減効果が高まって耐久性は向上する反 、転がり抵抗が若干増加する傾向にあるこ が判る。

 したがって、内側突条20aの側壁面積の総 に対する外側突条20bの側壁面積の総和の割 は、両者の兼ね合いから最適な値とするこ が望ましい。また、外側突条20bが形成され い部分の最大範囲の割合が大きくなると温 低減効果が若干低下することで耐久性が若 劣ることになるので、外側突条20bを多くす ことによる転がり抵抗の増加との兼ね合い 考慮しながら、外側突条20bが形成されない 分の最大範囲はできるだけ小さくすること 望ましい。

 次に、タイヤ周方向に等間隔で配置され 内側突条20aの最大高さhに対する間隔pの割 であるp/hのパラメータを変えたものと、内 突条20aの幅pと間隔wとの割合である(p-w)/wの ラメータを変えたものとを用いて実施した 伝達率測定試験の結果を図11および図12に示 。

 図11および図12のグラフの縦軸は、タイヤ 表面に貼り付けたヒータに定電圧を印加して 一定の熱量を発生させ、タイヤを回転させた ときのタイヤ表面の温度を測定して求めた熱 伝達率である。すなわち、この熱伝達率が大 きいということは、冷却効果が高いことを表 している。ここでは、乱流発生用突条20が無 ランフラットタイヤの熱伝達率を100として る。

 なお、この熱伝達率測定試験は、以下の 件で行った。

タイヤサイズ:285/50R20
使用リム:8JJ×20
内圧:0kPa
荷重:0.5kN
速度:90km/h
 図11に示す結果から、p/hが1.0から50.0の範囲 で熱伝達率が高くなっており、p/hをこの範 内に設定することによって、耐久性が向上 ることが判る。

 また、図12に示す結果から、(p-w)/wが1.0か 100.0の範囲で熱伝達率が高くなっており、(p -w)/wをこの範囲内に設定することによって、 久性が向上することが判る。

[第2実施形態]
 次に、第2実施形態に係る空気入りタイヤの 詳細を図面に基づいて説明する。なお、第2 施形態に係るランフラットタイヤ1の概略構 については、上述した第1実施形態と同様で あるため、説明は省略する。

 図13~図16は、第2実施形態に係る空気入り イヤとしてのランフラットタイヤ1およびそ の部分を示している。図13はランフラットタ ヤ1の側面図、図14は図13のIII-III断面を示す 部断面図、図15(a)は乱流発生用突条のタイ 径方向の外側端部を示す要部斜視図、図15(b) は乱流発生用突条のタイヤ径方向の外側端部 の変形例1を示す要部斜視図、図16は乱流発生 用突条による乱流発生メカニズムを示す説明 図である。

〈乱流発生用突条の構成〉
 第2実施形態のように、三日月形補強ゴムで なるサイドウォール補強層8が設けられたタ ヤサイド部3を有するランフラットタイヤ1に おいて、タイヤサイド部3の温度を低減させ ことが耐久性向上の観点から有効になる。

 図13および図14に示すように、乱流発生用 突条20は、タイヤサイド部3においてタイヤ径 方向に沿って細長く延伸するように形成され ている。図16に示すように、この乱流発生用 条20のタイヤ周方向の断面は、矩形状に形 されている。

 図13および図14に示すように、乱流発生用 突条20のタイヤ径方向の外側端部21は、タイ サイド部3のタイヤ径方向外側に形成される ッヂや文字など(図示省略する)を形成する 域Aの最もタイヤ径方向内側の位置よりもタ ヤ径方向内側に位置する領域(以下、非接地 領域と称する。)B内に位置するように配置さ ている。

 図14および図15(a)に示すように、外側端部 21における上面(タイヤ側面側から見える面)21 Aは、タイヤサイド部3の表面に対して傾斜す 傾斜面で形成されている。この上面21Aは、 縁にてタイヤサイド部3の表面と面一になる ようにタイヤサイド部3の表面に連続してい 。

 図15(a)に示すように、上面21A(傾斜面)の接 線とタイヤサイド部3の表面とのなす最大角 θ1は、10~40度になるように設定されている。 最大角度θ1が10度よりも小さいと、乱流発生 突条20のタイヤ径方向に対する長さが短い とと同等となり、冷却向上効果があまり期 できない。また、最大角度θ1が40度よりも大 きいと、製造時においてモールドで生タイヤ を加硫する際に、乱流発生用突条20の外側端 21に欠けやもげが発生してしまうことがあ 。

 また、乱流発生用突条20のタイヤ径方向 内側端部22は、ビード部4より隆起したタイ サイド部3の表面に面一になるように滑らか 連続するように形成されている。この内側 部22の上面22Aの接線とタイヤサイド部3の表 とのなす最大角度も、10~40度になるように 定されている。

 本実施の形態では、図16に示すように、 いに隣接する乱流発生用突条20同士は所定の 間隔pに設定され、乱流発生用突条20の高さh 幅wも同じ寸法に設定されている。なお、上 間隔pとは、互いに隣接する乱流発生用突条 20の延在方向の中央部分におけるタイヤ周方 の幅を二等分した点同士の間の距離とする 上記高さhとは、乱流発生用突条20の延在方 の中央に位置する部分の高さとする。上記 wとは、乱流発生用突条20の延在方向の中央 位置する部分の幅とする。

 ここで、乱流発生用突条20において、上 高さhと上記間隔pと幅wとの間に、1.0≦p/h≦50 .0の関係があり、且つ1.0≦(p-w)/w≦100.0の関係 満足するように設定している。好ましくは 乱流発生用突条20の間隔pと高さhの比の値(p/ h)は2.0≦p/h≦24.0、更に好ましくは、10.0≦p/h 20.0の範囲に規定している。なお、高さhは、 1≦h≦5mmの範囲に設定されている。また、幅w は、0.5≦w≦5mmの範囲に設定されている。

 上記のようにp/hで規定される空気の流れ( 乱流)は、間隔pを細かく刻み過ぎると、即ち 隔pを狭くすると、乱流発生用突条20同士の の部分に空気の流れが入り込まず、間隔pを 広げすぎると乱流発生用突条20の形状加工が い場合と同等となってしまうため、上記し 数値範囲に設定することが好ましい。

 なお、(p-w)/wは、間隔pに対する突部部分 幅wの割合を示すものであり、これが小さす ることは冷却を向上させたい面の面積に対 る乱流発生用突条の表面積の割合が等しく ることと同様である。乱流発生用突条20は ムでなり表面積増加による冷却向上効果が まり期待できないため、(p-w)/wの最小値は1.0 規定している。(p-w)/wは、1.0≦(p-w)/w≦100.0の 範囲に設定されている。

 第2実施形態では、パンク走行時(内圧0kPa 行時)の劣化の発生が他の部分に比較してタ イヤサイド部3に起こり易いにランフラット イヤ1に対して、乱流発生用突条20を設けた とにより、この乱流発生用突条20で発生した 空気の乱流でタイヤサイド部3の冷却を促進 せることができる。

 これは、タイヤを構成するゴムは熱伝導 の悪い材料であるため、放熱面積を拡大し 冷却を促進させるよりも、乱流の発生を促 させて乱流を直接タイヤサイド部に当てる とによる冷却効果が大きくなるからである このときに、非接地領域B内に形成された乱 流発生用突条20の外側端部21は、路面と接触 ないため、乱流発生用突条20が破壊されるこ となく、冷却効果を維持させることができる 。

 次に、図16を用いて乱流の発生のメカニ ムを説明する。ランフラットタイヤ1の回転 伴い、乱流発生用突条20が形成されていな タイヤサイド部3に接触していた空気の流れS 1が乱流発生用突条20でタイヤサイド部3から 離されて乱流発生用突条20を乗りこえる。こ のとき、この乱流発生用突条20の背面側には 空気の流れが滞留する部分(領域)S2が生じる 。

 そして、空気の流れS1は、次の乱流発生 突条20との間の底部に再付着して、次の乱流 発生用突条20で再び剥離される。このとき、 気の流れS1と次の乱流発生用突条20で再び剥 離との間には、空気の流れが滞留する部分( 域)S3が生じる。ここで、乱流S1が接触する領 域上の速度勾配(速度)を速くすることが冷却 を高めるために優位となると考えられる。

〈変形例1〉
 図15(b)は、第2実施形態に係るランフラット イヤ1における乱流発生用突条20の外側端部2 1の変形例1を示す要部斜視図である。図15(b) 示すように、乱流発生用突条20のタイヤ径方 向の外側端部21は、図15(a)に示した外側端部21 と同様に漸次高さが低く設定されているが、 上面21Aはタイヤサイド部3の表面とは面一に ならずに低い高さh1を有する端面21Bを有する 。上面21Aの接線とタイヤサイド部の表面との なす最大角度θ1は、上記実施の形態と同様に 、40度以下になるように設定されている。

 この変形例1においては、端面21Bの高さh1 低いため、モールド成型時に空気がタイヤ 方向内側に抜けやすく欠けやもげの発生を 制できる。

〈変形例2〉
 図17は、乱流発生用突条20の外側端部21の変 例2を示す要部斜視図である。この変形例2 は、外側端部21が端縁側より順次、緩斜面部 21aと急斜面部21bとから構成されている。緩斜 面部21aの上面の接線(略タイヤ径方向の接線) タイヤサイド部3の表面との角度θは10~40度 設定されている。

 モールド成型時には、緩斜面部21aで欠け もげの発生を抑制することができる。また 急斜面部21bを有するため、乱流発生用突条2 0の端部近傍での高さを確保でき、乱流発生 伴う冷却効果を乱流発生用突条20の外側端部 近傍でも奏することができる。

〈変更例3〉
 図18は、乱流発生用突条20の変形例3を示す ンフラットタイヤ1Aの側面図である。この変 更例3に係るランフラットタイヤ1Aの特徴は、 図18に示すように、長い乱流発生用突条20と 短い乱流発生用突条30とが、タイヤ周方向に 沿って交互に配置されている。

 長い乱流発生用突条20は、上述した構成 ある。短い乱流発生用突条30の内側端部32は 乱流発生用突条20の内側端部22と同様に、ビ ード部4より隆起したタイヤサイド部3の表面 面一になるように滑らかに連続するように 成されている。この内側端部32の上面32Aの 線とタイヤサイド部3の表面とのなす最大角 も、10~40度になるように設定されている。

 この変更例3に係るランフラットタイヤ1A よれば、長い乱流発生用突条20と短い乱流 生用突条30とがタイヤ径方向に沿って交互に 配置されているため、乱流の発生を複雑にす ることにより冷却効果の向上が期待できる。

 そして、短い乱流発生用突条30の外側端 31は、長い乱流発生用突条20の略半分程度の さであり、端縁に向けて漸次高さhが低くな るように傾斜して形成され、端縁にてその上 面31Aがタイヤサイド部3の表面と面一になる うにタイヤサイド部3の表面に連続している この上面31Aの接線とタイヤサイド部3の表面 とのなす最大角度も、10~40度になるように設 されている。

(作用・効果)
 一般的に、タイヤサイド部3に細長い直方体 形状の乱流発生用突条20を突設したランフラ トタイヤ1を作製した場合、以下のような不 具合が発生する。すなわち、乱流発生用突条 20の長手方向の端部が切り立った角張った形 であるため、モールド(金型)で生タイヤを 硫する際に、角部に逃げ場を失った空気が まりゴムが十分に流れ込めずベア不良が多 することがあった。

 このように角張った端部でベア不良が発 する理由は、乱流発生用突条20の外側端部 面から法線方向で高い位置にときにあるこ や、端面が切り立っているためゴムの流れ 向が端部に向かう方向であることの二つの 由が重なっているからである。

 通常、ベア不良の発生を防止するため、 気を逃がすベントホールをモールドに形成 る手法がある。しかし、上記乱流発生用突 20は幅寸法が1mm程度であるため、モールド ベントホールを加工することが困難である

 そこで、第2実施形態では、第1実施形態 作用・効果に加え、乱流発生用突条20におけ るタイヤ径方向外側に位置する外側端部がタ イヤサイド部3の表面へ向かうように高さが 次減少しているため、モールドで生タイヤ 加硫する際に、乱流発生用突条20の欠けやも げの発生が少なく、ベアも発生しにくくなる 。このため、乱流発生用突条20による冷却効 を奏する、良好な空気入りタイヤを製造す ことができる。

 また、乱流発生用突条20におけるタイヤ 方向外側に位置する外側端部21がタイヤサイ ド部3の表面へ向かうように高さが漸次減少 てタイヤサイド部3の表面と面一になってい ため、製造時においてモールドで生タイヤ 加硫する際に、モールド内の空気がタイヤ 方向外側へ抜けやすくなり、乱流発生用突 20の欠けやもげの発生が少なく、ベアも発 しにくくなる。

 また、外側端部21の上面21Aの接線がタイ サイド部3の表面となす角度を10~40度にした とにより、加硫に際して乱流発生用突条20の 欠けやもげの発生が少なく、ベアも発生しに くくなり、乱流発生用突条20の冷却効果を奏 ることができる。つまり、モールド内の空 をタイヤ径方向外側へ逃がしやすくなり、 流発生用突条20が加硫時に形状が損なわれ ことを防止できる。

 また、乱流発生用突条20の外側端部21の上 面21Aがタイヤサイド部3の表面に面一になる め、モールドで生タイヤを加硫する際に、 ールド内の空気を逃がす穴であるベントホ ル(図示省略)のある部分へ逃がしやすくなり 、乱流発生用突条20に加硫時にきちんと熱が わず未加硫になることを防止できる。また 本発明によれば、外側端部がタイヤ走行に い損傷されることを抑制できる。

 また、端部が緩斜面部であるため、欠け もげの発生を抑制でき、また急斜面部を有 るため、乱流発生用突条20の端部近傍での さを確保でき、乱流発生に伴う冷却効果を 流発生用突条20の端部近傍でも奏し得るよう にした。

 また、乱流発生用突条20のタイヤ径方向 内側端部22の上面22あがビード部4から隆起し た表面(タイヤサイド部3の表面)に滑らかに連 なるため、モールドで生タイヤを加硫する際 に、乱流発生用突条20の内側端部22の欠けや げの発生が少なく、ベアも発生しにくくな 。

 また、非接地領域Bが、リッヂ加工領域( 字形成領域も含む)Aのタイヤ径方向内側端部 よりもタイヤ径方向内側の領域や、文字部の タイヤ径方向の最も内側の位置よりもタイヤ 径方向内側の領域であるため、リッヂ加工領 域や文字部を干渉することなく欠けやもげの ない乱流発生用突条20を形成できる。

 さらに、タイヤ径方向の断面形状が三日 形状の補強ゴムを備えるランフラットタイ において、乱流発生用突条20の欠けやもげ 発生が少なく、ベアも発生しにくくするこ ができ、発熱耐久性の高いタイヤを製造す ことができる。

〈実施例B〉
 次に、実施例Bについて説明する。従来例、 比較例10~13、実施例10~14では、以下の条件で 久ドラム試験およびモールド成型後のベア 良の発生の有無を調べた。なお、耐久ドラ 試験の結果(耐久性評価)は、故障発生までの 耐久距離を指数化したものである。この結果 を、表2に示す。

 なお、従来例は、乱流発生用突条20が無 ランフラットタイヤを示す。比較例10は、乱 流発生用突条20の外側端部21Aの漸減角度θが70 度の場合を示す。比較例11は、漸減角度が45 の場合を示す。比較例12は、漸減角度が30度 あるが外側端部21の高さが0.5mmの場合を示す 。比較例13は、漸次角度が30度であるが外側 部21の高さが7mmである場合を示す。実施例10~ 14および比較例10~13は、p/hを12に設定した場合 を示す。

 なお、ランフラットタイヤの設定条件は 下の通りである。

タイヤサイズ:285/50R18
使用リム:8.0JJ×20
(耐久力試験)
内圧:0kPa
荷重:9.8kN
速度:90km/h
 このような条件で耐久ドラム試験での故障 での耐久距離を指数化した。

(ベア不良評価)
 ランフラットタイヤの乱流発生用突条の外 でのベア不良発生有無で判断した。表2に示 すように、比較例10,11では外側端部21の漸減 度が40度を超えているため、ベア不良が全周 に見られたが、実施例10~14では漸減角度が40 以下であるため、全周亘りベア不良が発生 ていない。また、比較例12,13では、外側端部 21の高さhが1~5mmの範囲外であるため、乱流発 効果若しくは乱流促進効果が低く耐久性が 下していることが判る。

(その他の実施の形態)
 上述した実施の形態の開示の一部をなす論 および図面はこの発明を限定するものであ と理解すべきではない。この開示から当業 には様々な代替実施の形態、実施例および 用技術が明らかとなろう。

 例えば、上述した実施の形態では、乱流 生用突条20の形状が細長い直方体形状とし が、タイヤ周方向の断面形状が台形状や他 形状であってもよい。また、乱流発生用突 20は、ほぼタイヤ径方向に沿って延在されて いるが、タイヤ径方向に対して斜めに傾斜し た角度を有するように配置してもよい。

 また、乱流発生用突条20,30は、その幅寸 がタイヤ径方向外側に向けて漸次狭くなる うに形成してもよい。この場合も、モール 成型時にゴムをタイヤ径方向外側へ押しや 作用が働くため、空気をタイヤ径方向外側 押し出してベア不良が生じることを抑制す 効果がある。

 また、上述した実施の形態では、空気入 タイヤとしてランフラットタイヤへの適用 例示したが、オフザロードラジアル(ORR)タ ヤ、トラックバスラジアルタイヤ(TBR)などの 他のタイプのタイヤに適用できることは勿論 である。

産業上の利用の可能性

 以上のように、本発明に係る空気入りタ ヤは、タイヤサイド部の温度低減効果を高 維持しつつ、タイヤ重量や転がり抵抗の増 を抑制できるため、空気入りタイヤの製造 術などにおいて有用である。




 
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