Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
PNEUMATIC TIRE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/047999
Kind Code:
A1
Abstract:
A pneumatic tire having sufficiently improved water discharge ability, driving stability, resistance to uneven wear, and quietness. The pneumatic tire (1) has in a tread (2) at least one circumferential groove (9) extending in the tire's circumferential direction. Inclined grooves are formed in a tread surface. Each inclined groove is composed of two or more small grooves (10) inclined in the same direction relative to the tire's circumferential direction with the respective inclination angles kept within the range from 10˚ to 60˚, and ends of the small grooves (10) are interconnected so that the inclined grooves have a zigzag pattern. Any cross-section of the tread (2) taken in the tire's lateral direction includes an inclined groove (11), and a part of the inclined groove (11) is open in the circumferential groove (9).

More Like This:
Inventors:
DOBASHI KENSUKE (JP)
ISHIGURO TOSHIYUKI (JP)
IWABUCHI SOTARO (JP)
FUJITA SHUNGO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/067668
Publication Date:
April 16, 2009
Filing Date:
September 29, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
BRIDGESTONE CORP (JP)
DOBASHI KENSUKE (JP)
ISHIGURO TOSHIYUKI (JP)
IWABUCHI SOTARO (JP)
FUJITA SHUNGO (JP)
International Classes:
B60C11/04; B60C5/00; B60C11/03
Domestic Patent References:
WO2005063507A12005-07-14
WO2004103737A12004-12-02
Foreign References:
JP2004345405A2004-12-09
JPH06199109A1994-07-19
JP2007161057A2007-06-28
JP2007161114A2007-06-28
JP2002029224A2002-01-29
JP2005161921A2005-06-23
JP2006069305A2006-03-16
JP2005161921A2005-06-23
JP2005162145A2005-06-23
Other References:
See also references of EP 2208622A4
Attorney, Agent or Firm:
SUGIMURA, Kenji et al. (3-2-1 Kasumigaseki, Chiyoda-k, Tokyo 13, JP)
Download PDF:
Claims:
 トレッド部に、タイヤ周方向に沿って延びる少なくとも1本のタイヤ周方向溝を有する空気入りタイヤにおいて、
 トレッド部踏面に、タイヤ周方向に対し同一方向に傾斜し、その傾斜角度が夫々10~60°の範囲内にある2本以上の小溝からなり、該小溝の端部を連結してジグザグ状に構成された複数の傾斜溝を形成し、周方向に隣接する2つの該傾斜溝は周方向に部分的にオーバーラップしており、該傾斜溝の一部は前記タイヤ周方向溝に開口していることを特徴とする空気入りタイヤ。
 前記トレッド部に、少なくとも2本のタイヤ周方向溝を有し、該タイヤ周方向溝によりリブ状陸部を区画形成し、該リブ状陸部に前記傾斜溝を形成してなる、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
 車両装着時に前記リブ状陸部がタイヤ赤道面よりも車両外側となるよう装着方向が指定された、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
 前記リブ状陸部の幅は、前記トレッド部の路面接地幅の20%以上である、請求項2又は3に記載の空気入りタイヤ。
 前記リブ状陸部におけるネガティブ率は20~40%である、請求項2~4のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
 前記傾斜溝を複数具え、該傾斜溝は異なる容積を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
 前記傾斜溝は、第一小溝と、該第一小溝の一方の端部に連結し、該第一小溝のタイヤ周方向に対する傾斜角度よりも小さな角度で傾斜する第二小溝と、該第一小溝の他方の端部に連結し、該第一小溝のタイヤ周方向に対する傾斜角度よりも小さな角度で傾斜する第三小溝とからなる、請求項1~6のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
 前記傾斜溝が周方向にオーバーラップしている部分のタイヤ周方向長さが、リブ状陸部の幅の10~150%の範囲内にある、請求項2~7のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
Description:
空気入りタイヤ

 この発明は、トレッド部に、タイヤ周方 に沿って延びる少なくとも1本のタイヤ周方 向溝を有する空気入りタイヤに関するもので あり、かかる空気入りタイヤの排水性、操縦 安定性、耐偏摩耗性及び静音性の向上を図る 。

 タイヤの性能向上に対する要求が高まる つれ、操縦安定性、乗り心地性、耐偏摩耗 、排水性、静音性など、従来の考え方では いに背反すると考えられてきた複数の性能 両立させる様々な手法が提案されてきた。

 例えば、特許文献1には、トレッド部に、 4本のタイヤ周方向溝を配設することにより タイヤ赤道面を含む中央陸部、トレッド端 含むショルダー陸部、及び、中央陸部とシ ルダー陸部との間に中間陸部を区画形成し おり、かかる中間陸部に、略タイヤ周方向 延びる小溝及び、タイヤ周方向に対し傾斜 て延びる小溝により構成された複数の傾斜 を具えており、かかる傾斜溝の一部はタイ 周方向溝に開口している空気入りタイヤが 示されている。この発明の空気入りタイヤ 、複数本のタイヤ周方向溝を具えており、 つ、中間陸部において略タイヤ周方向に延 る小溝を具えており、タイヤ負荷転動時に レッド上を流れる水の方向がタイヤ周方向 一致していることから、排水性が向上して る。また、かかる傾斜溝が部分的にタイヤ 方向溝に開口していることから、傾斜溝が 本のタイヤ周方向溝間を連通しているタイ に比べ、中間陸部の剛性が向上しており、 縦安定性が向上している。更に、中間陸部 に複数本の小溝を配設することにより、中 陸部の剛性の適正化を図られ、操縦安定性 び静音性が向上している。

 また、特許文献2には、トレッド部に、4 のタイヤ周方向溝を配設することにより、 イヤ赤道面を含む中央陸部、トレッド端を むショルダー陸部、及び、中央陸部とショ ダー陸部との間に中間陸部を区画形成して り、タイヤの車両装着姿勢にて、最も車両 側に位置しているタイヤ周方向溝からタイ 赤道面を横切って少なくともトレッド端に 口するまで延びる複数本の第一傾斜溝を配 し、かかる第一傾斜溝は、比較的溝幅の狭 細溝部と比較的溝幅の広い太溝部とを具え タイヤ周方向に対する延在角度が車両外側 ら車両内側に向かって漸増する延在形状を している空気入りタイヤが開示されている この発明のタイヤでは、複数本のタイヤ周 向溝を配設することにより、高性能タイヤ して最低限必要な排水性を確保しつつ、3列 陸部列を形成することにより、陸部剛性の 正化が図られ、ドライ路面及びウエット路 の双方での操縦安定性が向上している。ま 、傾斜溝を複数本配設することにより、ト ッド接地域内の水を効率良く車両内側に排 することが可能となり、特にコーナリング 行時の排水性が向上している。この際、傾 溝の、特に排水性に及ぼす影響が支配的な 分を太溝部で構成し、特に陸部剛性及びロ ドノイズの発生に及ぼす影響が支配的な部 を細溝部で構成することにより、排水性、 縦安定性及び静音性が向上している。

 更に、特許文献3には、トレッド部に、その 一端がタイヤ周方向溝に開口し、他端が陸部 内に終端する溝部である共鳴器を具え、かか る共鳴器は、タイヤ負荷転動時の路面接地面 内にて少なくとも1つ含まれている。この発 のタイヤでは、タイヤ負荷転動時に常に少 くとも1つの共鳴器が接地していることから タイヤ周方向溝から発生する気柱共鳴音を 効に低減して、静音性が向上している。ま 、共鳴器を設けることで、トレッド部にお るネガティブ率が大きくなり、排水性能も 上している。

特開2005-161921号公報

特開2005-162145号公報

国際公開第2004/103737号パンフレット

 しかし、特許文献1及び2に記載のタイヤ は、排水性、操縦安定性及び静音性は向上 てはいるものの、トレッド部の偏摩耗につ ては充分に考慮されておらず、偏摩耗の発 に起因して溝形状が変化して排水性、操縦 定性及び静音性が低下する虞がある。また 許文献3に記載のタイヤでは、共鳴器を構成 る溝の長さを充分に確保するために、リブ 陸部が実質的に分断された形状となってお 、かかる陸部内の剛性が位置によって大き 異なるので、陸部剛性が不均一となり、操 安定性が低下する。かかる剛性差に起因し 、剛性の異なるリブ状陸部が連続して路面 接地することで、振動が発生するので、操 安定性及び静音性が低下する。それらのこ から、排水性、操縦安定性及び静音性のみ らず、耐偏摩耗性も併せて向上させたタイ が望まれている。また、タイヤの更なる高 能化も望まれていることから、排水性、操 安定性及び静音性の更なる向上も併せて希 されている。

 したがって、この発明の目的は、トレッ 部の形状の適正化を図ることにより、排水 、操縦安定性、耐偏摩耗性及び静音性がよ 向上した空気入りタイヤを提供することに る。

 上記の目的を達成するため、この発明は トレッド部に、タイヤ周方向に沿って延び 少なくとも1本のタイヤ周方向溝を有する空 気入りタイヤにおいて、トレッド部踏面にタ イヤ周方向に対し同一方向に傾斜し、その傾 斜角度が夫々10~60°の範囲内にある2本以上の 溝からなり、小溝の端部を連結してジグザ 状に構成された複数の傾斜溝を形成し、周 向に隣接する2つの傾斜溝は周方向に部分的 にオーバーラップしており、傾斜溝の一部は タイヤ周方向溝に開口していることを特徴と する空気入りタイヤである。かかるタイヤは 、少なくとも1本のタイヤ周方向溝を有し、 た、各小溝が同一方向に延在し、その傾斜 度が10~60°の範囲内で傾斜しており、傾斜溝 折畳まれていることから、溝幅を同一とし ときの傾斜溝一本当たりの溝容積を大きく て、排水性を向上することが可能となる。 ちろん、溝幅を大きくし、傾斜溝の溝容積 大きくすることもできるが、そうすると、 レッド部にて傾斜溝を設けた領域とその他 領域との剛性差が大きくなり過ぎて、偏摩 を防止することができなくなる。また、隣 する傾斜溝を周方向に部分的にオーバーラ プさせることで、タイヤ負荷転動時にタイ 周方向にて傾斜溝が常に路面に接地するこ となり、周方向に常に傾斜溝が存在するの 、安定した排水性を確保することが可能と る。かかる傾斜溝のオーバーラップにより 傾斜溝が断続的に路面に接地する場合に比 、傾斜溝を設けた領域内における剛性差が じにくくなり、かかる剛性差に起因したタ ヤ負荷転動時の振動の発生が抑制され、静 性、操縦安定性を向上しつつも、偏摩耗の 生を抑制することが可能となる。更に、傾 溝の一部がタイヤ周方向溝に開口している とから、かかる開口している部分から、タ ヤ周方向溝に傾斜溝内の水が流れて、傾斜 における吸水と排水のサイクルが促進され ので、排水性を向上させることが可能とな 。また、傾斜溝の一端がタイヤ周方向溝に 口していることにより、かかる傾斜溝が共 器として機能し、タイヤ周方向溝から発生 る気柱管共鳴音を低減することが可能であ 。なお、傾斜溝が折畳み構造であることか 、傾斜溝の容積を必要に応じて調節するこ ができ、タイヤ周方向溝から発生する気柱 鳴音に対応させた容積に調節した共鳴器と ることが可能である。なお、ここでいう「 イヤ周方向に対し同一方向に傾斜」とは、 斜溝を構成する小溝が、タイヤ周方向をY軸 、タイヤ幅方向をX軸とした直交座標を仮定 たとき、タイヤ周方向と小溝とのなす角の ち鋭角が、第1象限及び第3象限にある関係、 または第2象限及び第4象限にある関係をいう のとし、「周方向に隣接する2つの該傾斜溝 は周方向に部分的にオーバーラップしており 」とは、トレッド部のいずれのタイヤ幅方向 断面で見ても、傾斜溝が必ず含まれている配 置をいうものとする。

 また、トレッド部に、少なくとも2本のタ イヤ周方向溝を有し、かかるタイヤ周方向溝 によりリブ状陸部を区画形成し、かかるリブ 状陸部に傾斜溝を形成してなることが好まし い。

 更に、車両装着時にリブ状陸部がタイヤ 道面よりも車両外側となるよう装着方向が 定されていることが好ましい。

 更にまた、リブ状陸部の幅は、トレッド の路面接地幅の20%以上であることが好まし 。この「リブ状陸部の幅」とは、次の規格 記載されている適用サイズにおける標準リ (または、“Approved Rim”、“Recommended Rim”) にタイヤを組み付け、次の規格に記載されて いる適用サイズにおける単輪の最大荷重(最 負荷能力)および最大荷重に対応する空気圧 適用した条件での接地状態において、タイ 幅方向断面にてリブ状陸部をトレッド部の リフェリに沿って測定した距離をいうもの する。また、「トレッド部の路面接地幅」 は、同様の条件での接地状態において、タ ヤ幅方向断面にて路面に接地しているトレ ド部をトレッド部のペリフェリに沿って測 した距離をいうものとする。そして、規格 は、タイヤが生産または使用される地域に 効な産業規格によって決められている。例 ば、アメリカ合衆国ではThe Tire and Rim Asso ciation Inc.の“Year Book”であり、欧州ではThe European Tyre and Rim Technical Organisationの“Stan dards Manual”であり、日本では日本自動車タ ヤ協会の“JATMA Year Book”にて規定されてい る。

 加えて、リブ状陸部におけるネガティブ は20~40%であることが好ましい。

 加えてまた、傾斜溝を複数具え、かかる 斜溝は異なる容積を有することが好ましい ここでいう「傾斜溝は異なる容積を有する とは、少なくとも2つの傾斜溝の容積が異な ることをいい、最大で全ての傾斜溝の容積が 異なることをいう。

 また、傾斜溝は、第一小溝と、第一小溝 一方の端部に連結し、第一小溝のタイヤ周 向に対する傾斜角度よりも小さな角度で傾 する第二小溝と、第一小溝の他方の端部に 結し、第一小溝のタイヤ周方向に対する傾 角度よりも小さな角度で傾斜する第三小溝 からなることが好ましい。

 更に、傾斜溝が周方向に部分的にオーバ ラップしている部分のタイヤ周方向長さが リブ状陸部の幅の10~150%の範囲内にあること が好ましく、より好ましくは30~80%の範囲内で ある。

 この発明によれば、トレッド部の形状の 正化を図ることにより、排水性、操縦安定 、耐偏摩耗性及び静音性がより向上した空 入りタイヤを提供することが可能となる。

この発明に従う代表的なタイヤのトレ ド部の部分展開図である。 この発明に従うその他のタイヤのトレ ド部の部分展開図である。 図2に示すタイヤのタイヤ幅方向断面図 である。 この発明に従うその他のタイヤのトレ ド部の部分展開図である。 この発明に従うその他のタイヤのトレ ド部の部分展開図である。 従来技術のタイヤのトレッド部の部分 開図である。 従来技術のタイヤのトレッド部の部分 開図である。 従来技術のタイヤのトレッド部の部分 開図である。 従来技術のタイヤのトレッド部の部分 開図である。 この発明に従うその他のタイヤのトレ ッド部の部分展開図である。

符号の説明

 1 タイヤ
 2 トレッド部
 3 サイドウォール部
 4 ビード部
 5 ビードコア
 6 カーカス
 7 ベルト層
 8 インナーライナ
 9 タイヤ周方向溝
 10 小溝
 11 傾斜溝
 12 第一小溝
 13 第二小溝
 14 第三小溝
 15 リブ状陸部
 CL タイヤ赤道面
 W1 リブ状陸部の幅
 W2 トレッド部の路面接地幅
 K 傾斜溝のタイヤ周方向溝に開口している 所

 以下、図面を参照しつつこの発明の実施 形態を説明する。図1はこの発明に従う代表 的な空気入りタイヤ(以下「タイヤ」という )のトレッド部の部分展開図である。図2は、 この発明に従うその他のタイヤのトレッド部 の部分展開図である。図3は図2に示すタイヤ 断面図である。図4及び5は、この発明に従 その他のタイヤのトレッド部の部分展開図 ある。

 この発明のタイヤ1は、慣例に従い、路面 に接地するトレッド部2と、このトレッド部2 両側部からタイヤ径方向内側に延びる一対 サイドウォール部3と、各サイドウォール部 3のタイヤ径方向内側に設けられ、リムに嵌 される一対のビード部4とで構成されている このタイヤ1の内部には、各ビード部4に埋 したビードコア5、5間にトロイド状に延びて タイヤ1の骨格構造をなす、例えばラジアル 造のカーカス6と、このカーカス6のクラウン 域の外周側に位置し、トレッド部2を補強す ベルト層7とが配設されている。タイヤ1の内 面側には空気不透過性のインナーライナ8が 設されている。

 また、図1に示すこの発明のタイヤ1のト ッド部2は、タイヤ周方向に沿って延びる1本 のタイヤ周方向溝9を有する。トレッド部2の 面には、同一方向、すなわちタイヤ周方向 対し第1象限及び第3象限に延在し、その傾 角度が夫々10~60°の範囲内にある3本の小溝10( 図示例では、第一~第三小溝12~14)からなり、 かる小溝10の端部を連結してジグザグ状に構 成された複数の傾斜溝11を形成する。周方向 隣接する2つの傾斜溝11は、周方向に部分的 オーバーラップしており、かかる傾斜溝11 一部はタイヤ周方向溝9に開口している。こ で、「ジグザグ状」とは隣接する小溝10に いて、その隣接する小溝10の端部同士が構成 する角が、90°以下の鋭角となっているもの する。かかるタイヤ1は、複数本のタイヤ周 向溝9を有していること、及び、各小溝10が 一方向に延在し、その傾斜角度が10~60°の範 囲内で傾斜しており、傾斜溝11が折畳まれて ることから、溝幅を同一としたときの傾斜 一本当たりの溝容積を大きくして、排水性 向上することが可能となる。もちろん、溝 を大きくすることで溝容積を大きくするこ もできるが、そうすると、トレッド部2にて 傾斜溝11を設けた領域とその他の領域との剛 差が大きくなり過ぎて、偏摩耗を防止する とができなくなる。これに対し、例えば、 溝10の角度範囲が10°未満の場合には、傾斜 11が充分に折畳まれないことから、ネガテ ブ率が充分に確保されずに、排水性が低下 る。一方、小溝10の角度範囲が60°を超える 合には、同一の傾斜溝11内における小溝10同 が接近し過ぎて、トレッド部2内に先端の細 い陸部部分ができ、剛性を充分に確保するこ とができずに操縦安定性が低下する虞がある 。また、周方向に隣接する2つの周方向溝12が 周方向にオーバーラップしていない場合には 、タイヤ負荷転動時に路面に傾斜溝11が接地 ない領域が発生し、排水性が低下してしま が、この発明のタイヤ1では周方向に隣接す る2つの傾斜溝11が周方向にオーバーラップし ており、いずれのタイヤ幅方向断面において も傾斜溝11が含まれていることから、傾斜溝1 1がタイヤ負荷転動時に常に路面に接地する ととなり、安定した排水性を確保すること 可能となる。また、かかるオーバーラップ より、傾斜溝11が断続的に路面に接地せずに 、常に接地することとなることことから、傾 斜溝11を設けた領域内の剛性差が生じにくく り、剛性差に起因したタイヤ負荷転動時の 動の発生を抑制し、静音性、操縦安定性を 上しつつも、偏摩耗の発生を抑制すること 可能となる。また、小溝10の角度範囲が60° 下とすることにより、傾斜溝11が同時に接 面に入らずに、同様に静音性を維持するこ が可能となる。更に、傾斜溝11の一部がタイ ヤ周方向溝9に開口している(開口している箇 を図中にて「K」で表示)ことから、かかる 口している部分から、傾斜溝11内の水がタイ ヤ周方向溝2に流れ込み、傾斜溝11内における 吸水及び排水のサイクルが促進されるので、 傾斜溝11がタイヤ周方向溝9に全く開口してい ない場合よりも、排水性を向上させることが 可能となる。更にまた、傾斜溝11の一端がタ ヤ周方向溝9に開口していることにより、か かる傾斜溝11が共鳴器として機能し、タイヤ 方向溝9から発生する気柱管共鳴音を低減さ せることが可能である。低減可能な気柱共鳴 音の共鳴周波数は共鳴器の容積に応じて異な る。傾斜溝11が折畳み構造であることから、 斜溝11の容積を必要に応じて調節すること でき、タイヤ周方向溝9から発生する気柱共 音に対応させた容積に調節した共鳴器とす ことが可能である。加えて、傾斜溝11を構 する小溝10の溝幅はその端部に向かって漸減 する形状であることから、傾斜溝11にて小石 砂利を噛み込んでしまっても、タイヤ負荷 動に伴い、噛み込んでしまった小石や砂利 タイヤ径方向外側への押圧が負荷され、か る小石や砂利が傾斜溝11から外れ易くなり 石噛み防止性能が向上する。なお、図1に示 ように、小溝10は湾曲した形状であるが、 溝10の端部同士を直線でつないだ仮想線が、 タイヤ周方向に対し、上記した角度範囲にて 傾斜していれば、上記した種々の効果が得ら れる。

 また、図2及び3に示すように、トレッド 2に、少なくとも2本、図示例では4本のタイ 周方向溝9を有し、かかるタイヤ周方向溝9は リブ状陸部15を区画形成し、かかるリブ状陸 15に傾斜溝11を形成してなることが好ましい 。なぜなら、リブ状陸部15に傾斜溝11を配設 ることにより、リブ状陸部15の剛性を制御し 、所期した性能を確保することが可能となる からである。また、傾斜溝11がリブ状陸部15 区画形成している2本のタイヤ周方向溝9間を 連通するように延在し、タイヤ周方向溝9に 口している場合には、リブ状陸部15の剛性が 低下して、タイヤ負荷転動時に溝形状が過剰 に変形する。かかる過剰な変形は、溝容積を 小さくし、排水性能を低下させるが、この発 明のタイヤ1のように、傾斜溝11をタイヤ周方 向溝9に部分的に開口させることで、リブ状 部15の剛性を充分に確保して、傾斜溝11の過 な変形に起因した溝容積の減少を抑制して 排水性能の有効に確保することが可能とな 。

 更に、車両装着時にリブ状陸部15がタイ 赤道面よりも車両外側となるよう装着方向 指定されていることが好ましい。なぜなら コーナリング走行時には、タイヤ赤道面CLよ りも車両外側にあるトレッド部領域の負荷荷 重が大きくなるので、コーナリング走行時の 排水性や操縦安定性を効果的に向上させるに は、タイヤ赤道面CLよりも車両外側に傾斜溝1 1を具えたリブ状陸部15を配置することが好ま しいからである。また、タイヤの車両装着時 に車両内側となる領域にあるトレッド部踏面 の曲率半径が、車両外側となる領域にあるト レッド部踏面の曲率半径よりも小さく、タイ ヤ1がネガティブキャンバにて装着されてい 場合には、車両外側となる領域にあるトレ ド部2における接地長がタイヤ幅方向外側程 さくなり、車両外側となる領域にあるトレ ド部2にタイヤ周方向溝9に対して傾斜角度 大きなラグ溝を設けると、パターンノイズ 悪化するので、車両外側に傾斜溝11を具えた リブ状陸部15を配置することが好ましいから ある。

 更にまた、リブ状陸部15の幅W1は、トレッ ド部2の路面接地幅W2の20%以上であることが好 ましい。なぜなら、リブ状陸部15の幅W1がト ッド部2の路面接地幅W2の20%未満の場合には リブ状陸部15の配設面積が小さくなり過ぎて 、リブ状陸部15に傾斜溝11を形成しても、傾 溝11の面積も併せて小さくなることから、傾 斜溝11の溝容積を充分に確保することができ に、排水性が有効に向上することができな 可能性があるからである。

 加えて、リブ状陸部15におけるネガティ 率は20~40%であることが好ましい。なぜなら リブ状陸部15のネガティブ率が40%を超える場 合には、溝容積が大きくなることにより排水 性能は向上するが、リブ状陸部15の剛性が低 し過ぎることから、リブ状陸部15の過剰な れ込み変形を引き起こし、操縦安定性能が 下する可能性があるからである。一方、リ 状陸部15のネガティブ率が20%未満の場合には 、溝容積が不足して、排水性を有効に向上す ることができない可能性があるからである。

 加えてまた、傾斜溝11を複数具え、かか 傾斜溝11は異なる容積を有することが好まし い。なぜなら、タイヤ周方向溝9から発生す 気柱共鳴音の周波数帯域が広域にわたって る場合に、複数の容積を有する傾斜溝11を設 けることにより、容積の異なる傾斜溝11が、 鳴周波数の異なる複数の共鳴器として機能 て、1種類の容積の傾斜溝11では有効に低減 きない気柱共鳴音を、広域にわたり低減さ られる可能性があるからである。

 また、傾斜溝11は、第一小溝12と、第一小 溝12の一方の端部に連結し、第一小溝12のタ ヤ周方向に対する傾斜角度よりも小さな角 で傾斜する第二小溝13と、第一小溝12の他方 端部に連結し、第一小溝12のタイヤ周方向 対する傾斜角度よりも小さな角度で傾斜す 第三小溝14とからなることが好ましい。なぜ なら、第一小溝12の傾斜角度よりも、第二小 13及び第三小溝14の傾斜角度が大きい場合に は、傾斜溝11を充分に折畳まれずに充分な傾 溝11の溝容積が確保されないことから、排 性能が低下し、かつ、リブ状陸部15を適度な 剛性まで低下させることができずに、パター ンノイズが大きくなり過ぎる可能性があるか らである。

 更に、傾斜溝11が周方向に部分的にオー ーラップしている部分のタイヤ周方向長さ 、リブ状陸部の幅W1の10~150%の範囲内にある とが好ましく、より好ましくは30~80%の範囲 である。なぜなら、傾斜溝11が周方向に部分 的にオーバーラップしている部分のタイヤ周 方向長さが、リブ状陸部の幅W1の150%を超える 場合には、傾斜溝11により(特にはタイヤ幅方 向に対する)リブ状陸部の剛性が低下して、 縦安定性が低下するからである。一方、傾 溝11が周方向に部分的にオーバーラップして いる部分のタイヤ周方向長さが、リブ状陸部 の幅W1の10%未満の場合には、ハンドル操作時 リブ状陸部にサイドフォースが負荷されて 接地形状が変わったときや、路面状態の変 により、接地圧分布が変わったとき等に発 の効果が得られないからである。

 なお、上述したところはこの発明の実施 態の一部を示したに過ぎず、この発明の趣 を逸脱しない限り、これらの構成を交互に み合わせたり、種々の変更を加えたりする とができる。例えば、図1及び2には略直線 の小溝10を示しているが、図示はしていない が、小溝10を曲線状とすることもできる。こ 場合、小溝10の両端を結んだ仮想直線の延 方向を小溝10の延在方向とし、タイヤ周方向 に対するかかる延在方向の角度を傾斜角度と する。また、図4に示すように、傾斜溝12のタ イヤ周方向溝9への開口位置を任意の位置に 更することもできる。更に、図5に示すよう 、5本の小溝10により傾斜溝11を構成するこ もできる。

 次に、従来のトレッドパターンを有する 来のタイヤ(従来例タイヤ1)、この発明に従 タイヤの傾斜溝の構成に類似した傾斜溝の 成を具えるタイヤ(比較例タイヤ1~3)及びこ 発明に従う傾斜溝の構成を具えるタイヤ(実 例タイヤ1及び2)を、タイヤサイズ205/55R16の 用車用ラジアルタイヤとして、夫々試作し 排水性、操縦安定性、耐偏摩耗性及び静音 に関し評価したので、以下に説明する。

 従来例タイヤ1、比較例タイヤ1~3は、夫々 図6~9に示すようなトレッドパターンを具えて おり、表1に示す諸元を有する。従来例タイ 1は、リブ状陸部にタイヤ周方向に延びる小 及び、タイヤ周方向に対し傾斜する小溝に り構成された複数の傾斜溝を具えており、 かる傾斜溝の一部はタイヤ周方向溝に開口 ており、周方向に隣接する2つの傾斜溝が周 方向にオーバーラップしている。比較例タイ ヤ1は、リブ状陸部に、タイヤ周方向に対し 本だけが逆方向に傾斜している3本の小溝に りジグザグ状に構成された複数の傾斜溝を えており、かかる傾斜溝の一部はタイヤ周 向溝に開口しており、周方向に隣接する2つ の傾斜溝が周方向にオーバーラップしていな い。比較例タイヤ2は、リブ状陸部に、タイ 周方向に対し同一方向に傾斜し、その傾斜 度が夫々10~60°の範囲内にある3本の小溝によ りジグザグ状に構成された複数の傾斜溝を具 えており、かかる傾斜溝の一部はタイヤ周方 向溝に開口しており、周方向に隣接する2つ 傾斜溝が周方向にオーバーラップしていな 。比較例タイヤ3は、リブ状陸部に、タイヤ 方向に対し同一方向に傾斜し、その傾斜角 が夫々10~60°の範囲内にある3本の小溝によ ジグザグ状に構成された複数の傾斜溝を具 ており、かかる傾斜溝の一部はタイヤ周方 溝に開口しており、周方向に隣接する2つの 斜溝が比較例タイヤよりも近い配置となっ いるが、周方向にオーバーラップしていな 。また、実施例タイヤ1及び2は、夫々図4及 10に示すようなトレッドパターンを具えて り、表1に示す諸元を有する。実施例タイヤ1 は、リブ状陸部に、タイヤ周方向に対し同一 方向に傾斜し、その傾斜角度が夫々25~80°の 囲内にある3本の小溝によりジグザグ状に構 された複数の傾斜溝を具えており、かかる 斜溝の一部はタイヤ周方向溝に開口してお 、周方向に隣接する2つの傾斜溝が周方向に オーバーラップしている。また、実施例タイ ヤ2は、リブ状陸部に、タイヤ周方向に対し 一方向に傾斜し、その傾斜角度が夫々25~80° 範囲内にある2本の小溝により構成された複 数の傾斜溝を具えており、かかる傾斜溝の一 部はタイヤ周方向溝に開口しており、周方向 に隣接する2つの傾斜溝が周方向にオーバー ップしている。なお、いずれのタイヤにお てもサイプが配されているが、これは、本 明の効果を奏するためのものでも、効果を 害するものでもない。

 これら各供試タイヤをサイズ6.5×16Jのリ に取り付けてタイヤ車輪とし、空気圧:230kPa( 相対圧)、フロントタイヤのタイヤ負荷荷重:4 .0kN、リアタイヤのタイヤ負荷荷重:3.1kNを適 した状態で、車両に装着し、各種評価に供 た。

 排水性は、プロのドライバーが上記車両 、水深10mmの濡れたサーキット路にて走行さ せて、ハイドロプレーニング現象が発生する 速度を比較することにより評価した。このと き、従来例タイヤ1の排水性を100として換算 、その他のタイヤを相対評価した。なお、 値が大きいほど排水性に優れていることを し、その評価結果は表2に示す。

 操縦安定性は、プロのドライバーが上記 両を、路面の乾燥したサーキット路にて時 60~180km/hで走行させて、フィーリングにより 評価した。このとき、従来例タイヤ1の操縦 定性を6として換算し、その他のタイヤを相 評価した。なお、数値が大きいほど操縦安 性に優れていることを示し、その評価結果 表2に示す。

 静音性は、プロのドライバーが上記車両 サーキット路にて時速60~120km/hにて走行させ て、フィーリングにより評価した。この時、 従来例タイヤ1の静音性を100として換算し、 の他のタイヤを相対評価した。なお、数値 大きいほど静音性に優れることを示し、そ 評価結果は表2に示す。

 耐偏摩耗性は、プロのドライバーが上記 両を一般道に10000km走行させて、ブロック陸 部内におけるヒールアンドトウ摩耗による摩 耗量を比較することにより評価した。なお、 摩耗量が小さいことは耐偏摩耗性に優れてい ることを示し、その評価結果は表2に示す。

 表2の結果から明らかなように、従来例タ イヤ1を基準としたとき、比較例タイヤ1は、 縦安定性及び静音性は同等であり、耐偏摩 性及び排水性が低下していた。また、比較 タイヤ2は、操縦安定性は同等であり、静音 性、耐偏摩耗性及び排水性が低下していた。 それに対し、実施例タイヤ1及び2は、操縦安 性、排水性、耐偏摩耗性及び静音性のいず もが有効に向上していた。

 以上のことから明らかなように、この発 により、排水性、操縦安定性、耐偏摩耗性 び静音性を充分に向上した空気入りタイヤ 提供することが可能となった。