Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
POLARIZATION GLASS, OPTICAL ISOLATOR AND METHOD FOR MANUFACTURING POLARIZATION GLASS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/130966
Kind Code:
A9
Abstract:
Provided is a polarization glass which contains shape-anisotropic metal particles orientationally dispersed in a glass base material. In the concentration distribution of the metal particles, in a traveling direction of polarizing light, the concentration is substantially zero at vicinities of surfaces on one side and the other side of the glass base material, gradually increases toward the other side of the glass base material from the one side, and the concentration is within a prescribed range in the glass base material, then, gradually reduces toward the other side.

Inventors:
YONEDA YOSHITAKA (JP)
MIURA MICHIYORI (JP)
YOKOYAMA SEIICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/056048
Publication Date:
April 22, 2010
Filing Date:
March 26, 2009
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
HOYA CANDEO OPTRONICS CORP (JP)
YONEDA YOSHITAKA (JP)
MIURA MICHIYORI (JP)
YOKOYAMA SEIICHI (JP)
International Classes:
G02B5/30; C03B23/037; C03B23/203; C03B32/00; C03C21/00; G02B27/28
Attorney, Agent or Firm:
ANIYA, Setuo et al. (JP)
Ani store Setsuo (JP)
Download PDF:
Claims:
 ガラス基体中に配向分散された形状異方性金属粒子を含む偏光ガラスであって、前記金属粒子濃度が、偏光作用を示す光の進行方向において、前記ガラス基体の一方の側の表面近傍及び他方の側の表面近傍ではほぼゼロであり、前記ガラス基体の一方の側から他方の側へ向かうにしたがって次第に増加していき、前記ガラス基体内で所定の範囲の大きさになり、次に他方の側に向かうに従って次第に減少する分布を有することを特徴とする偏光ガラス。
 前記金属粒子が、金属銀微粒子または金属銅微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の偏光ガラス。
 前記形状異方性金属粒子を含む層の厚さが合計で20μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の偏光ガラス。
 全体の厚さが、50μm以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の偏光ガラス。
 中心波長が1.31μmである波長域の光及び中心波長が1.55μmである波長域の光の、一方または両方に対する消光比が30dB以上である請求項1~4のいずれかに記載の偏光ガラス。
 請求項1~5のいずれか1項に記載の偏光ガラスを用いたことを特徴とする光アイソレーター。
 ファラデー回転素子及び少なくとも一つの偏光子を構成部品として含む光アイソレーターであって、前記偏光子として請求項1~5のいずれか1項に記載の偏光ガラスを用いたことを特徴とする光アイソレーター。
 ガラス基体中に配向分散された形状異方性金属粒子を含む偏光ガラスを製造する偏光ガラスの製造方法であって、
 前記形状異方性金属粒子濃度が表面付近で高く、内部方向に減少してゆく濃度分布を有する金属粒子含有層を少なくとも一主表面に有する偏光ガラス2枚を、前記互いの金属粒子の配向方向が一致するように前記金属粒子含有層を有する主表面を対向させて密着させ、他方の非密着主表面に金属粒子層がある場合にはその金属粒子含有層を取り除くことによって、
 前記金属粒子濃度が、偏光作用を示す光の進行方向において、前記ガラス基体の一方の側の表面近傍及び他方の側の表面近傍ではほぼゼロであり、前記ガラス基体の一方の側から他方の側へ向かうにしたがって次第に増加していき、前記ガラス基体内で所定の範囲の大きさになり、次に他方の側に向かうに従って次第に減少する分布を有する偏光ガラスを製造することを特徴とする偏光ガラスの製造方法。
 ガラス基板の主表面にイオン交換法により金属イオンを導入し、金属イオン濃度がガラス表面付近で高く、内部方向に減少してゆく濃度分布を有する金属イオン含有層を有する金属イオン含有ガラス基板を作製し、
 前記金属イオン含有ガラス基板を加熱することによって、金属粒子を生成させて金属粒子濃度がガラス基板表面付近で高く、内部方向に減少してゆく濃度分布を有する金属粒子含有層を有する金属粒子含有ガラス基板を作製し、
 前記金属粒子含有ガラス基板を2枚用意し、該ガラス基板の金属粒子生成面をお互いに密着させた後、加熱延伸することにより、前記金属粒子を一方向に配向された形状異方性金属粒子に形成させることによって、
 偏光作用を示す光の進行方向において、前記ガラス基体の一方の側の表面近傍及び他方の側の表面近傍ではほぼゼロであり、前記ガラス基体の一方の側から他方の側へ向かうにしたがって次第に増加していき、前記ガラス基体内で所定の範囲の大きさになり、次に他方の側に向かうに従って次第に減少する分布を有する偏光ガラスを製造することを特徴とする偏光ガラスの製造方法。
 
 
Description:
偏光ガラス、光アイソレーター よび偏光ガラスの製造方法

 本発明は、例えば、光通信などに利用さ る小型光アイソレーター、光スイッチもし は電気磁気センサー等の重要な構成部品の つである偏光子として用いられる偏光ガラ 、光アイソレーターおよび偏光ガラスの製 方法に関する。

 ガラス中に形状異方性を有する金属微粒 、例えば、銀粒子や銅粒子が配向・分散さ たガラスは、その金属の光吸収波長帯が入 偏光方向によって異なるために偏光子にな ことが知られている。なお、ここで、形状 方性とは、縦寸法と横寸法とが異なること いい、配向とは、多数の形状異方性粒子の 手方向がそろって特定の方向を向いている とをいい、分散とは、形状異方性粒子が互 に分離して配置されていることをいう。

 上述のような偏光ガラスとしては、例え 、ガラス基板の両主表面に、イオン交換処 を施し、両主表面からガラス中にAgイオン 導入した後、熱処理によってAgコロイド微粒 子を形成し、引き続きガラス基板を延伸し、 Ag微粒子に形状異方性を与えて偏光ガラスと るものである(非特許文献1参照)。この偏光 ラスは、比較的製造が容易であり、製造コ トを低減できるので、注目されてきている

K.J.Berg GlassSci.Technol.68 C1 (1995), P554

 ところで、上述の従来の偏光ガラスにあ ては、イオン交換によって生成する銀粒子 存在する領域がガラス表面近くの極く薄い に限定される。しかも、さらに延伸を加え ことで、ガラスの厚みは縮小され、全体の さが200μmの偏光ガラスにおいては、通常表 から3~5μm程度の極く薄い層に延伸された銀 子が存在することになる。図5は従来の偏光 ガラスの説明図であって図5(a)が従来の偏光 ラスの部分断面図であり図5(b)が従来の偏光 ラスの偏光作用を行う光の進行方向におけ Ag粒子の濃度分布を示す図である。図5に示 れるように、従来の偏光ガラス10は、ガラ 基体としてのガラス基板12の両主表面近傍の 領域14に、形状異方性を有する銀の微粒子13 配向して分散されているものである。Ag粒子 の濃度分布は、図5(b)に示されるように、ガ ス基板12の表面近傍で高く、内部になるにつ れ濃度が減少してゆく減衰曲線を描くのが一 般的である。

 このような偏光ガラスを用いて光アイソ ーターを作製すると、以下のような欠点が ることが判明した。以下、この点について 明する。図6は従来の偏光ガラスを用いて光 アイソレータを構成した場合の作用説明図で ある。図6において、光アイソレータ100は、 いの偏光軸が45度傾けられた2枚の偏光ガラ 10a,10bの間にファラデーローテータとしての ーネット結晶20を配置し、このガーネット 晶20を、2つの永久磁石30a,30bで挟み、その磁 下に置くようにしたものである。なお、偏 ガラス10a,10bは、ガラス基板の両主表面近傍 に、図5に示されるような分布を有する形状 方性の銀粒子が一方向に配向されて分散さ ているものである。

 いま、光アイソレータ100の図中左方に配 されたLD光源40からの光が光アイソレータ100 を通過して図中右方に配置された光ファイバ 50に至る場合を考える。LD光源40から出射され た光は、直交する光成分a,bを有するが、光ア イソレータ100の偏光ガラス10aを通過すると、 光成分a,bのうち、金属の延伸方向に平行な光 成分aを吸収し、垂直方向の光成分bのみを有 る光を透過する。この透過した光成分bの光 (直線偏光)は、ガーネット結晶20を通過する に偏波面が45度ファラデー回転して光成分c 有する光になる。光成分cの光は、偏光ガラ 10aに対して45度偏光軸が傾けられた偏光ガ ス10bをそのまま透過して、光ファイバ50に入 射され、伝送される。

 このとき、光ファイバ内での断線等の故 により、伝送光が戻ってきた場合、光の直 偏波が崩れて光成分d1,d2等を有する光にな て、偏光ガラス10bに入射する。この入射し 光のうち、この偏光ガラス10bを通過できる は、上述の光成分cに対してその偏波面が同 である成分eを有する光(直線偏光)のみであ 。この光成分eの光は、ガーネット結晶20に 射してそれを通過すると、その偏波面が45 回転させられて光成分fの光になる。光成分f は、その偏波面が前記偏光ガラス10aの偏光軸 と直交することになるので、本来ならほぼ完 全に吸収されることになる。これによって、 光ファイバ50からの戻り光がLD光源に戻るの ほぼ阻止されることになるはずである。LD光 源に戻り光が入射すると、光出力がゆらぎ不 安定となるので、光アイソレーターは、LD光 への戻り光の防止として利用され、信頼性 高い光通信には欠かせないものとなってい 。

 しかしながら、本願発明者の研究によれ 、上記偏光ガラスを用いた光アイソレータ 、偏光ガラスの性能等から予想されるアイ レーションに比較して、実際に得られるア ソレーションがかなり小さいことが判明し 。そこで、この原因を究明したところ、以 の事実が判明した。以下、この点を説明す 。図6において、上述の通り、戻り光である 光成分fは、その偏波面が前記偏光ガラス10a 偏光軸と直交することになるので、本来な 偏光ガラス10aによってほぼ完全に吸収され はずである。ところが、偏光ガラス10aのガ ネット結晶20に貼り合わせた側の表面では、 銀粒子の濃度がが高い為に本来プラズマ吸収 されるべき光である成分fの光の一部が、反 してしまい、光ファイバ50側の偏光ガラス10b に向かってガーネット結晶20内を光αとして 播する。この時光αは、ガーネット結晶20内 伝播する間に偏波面が45度回転させられ、 成分gの光となって偏光ガラス10bにいたる。 して、偏光ガラス10bも、表面近傍で銀粒子 濃度が高いので、成分gの光αの一部が反射 れて光βとなってガーネット結晶20内を伝播 する。光βもガーネット結晶20内を伝播する に偏波面が45度回転させられ、成分hの光と って再度偏光ガラス10aにいたる。ここで、 分hの偏波面は、上述の成分bの偏波面と同じ であって、偏光ガラス10aを通過できる偏波で あるため、この成分hの光は偏光ガラス10aを のまま通過して、LD光源にそのまま入射して しまうことになり、これによって、アイソレ ーション性能を悪化させてしまうことになる 。

 なお、上述のような偏光ガラス10a,10bの表 面反射は、偏光ガラス10a,10bの金属濃度が表 で高いことによる反射光なので、偏光ガラ 10a,10bの両主表面に反射防止膜(ARコート)を施 しても、本質的に改善されない。また、LD光 40からの出射光が、最初に偏光ガラス10a,に 射する際の反射光は、偏光ガラス10a、ガー ット結晶20、偏光ガラス10bよりなる一体型 アイソレータ100を少し傾けることで、光源 直接戻ることを防ぐことができる。しかし がら、光ファイバ50等への伝送光が戻り光と なって戻ってきた場合には、偏光ガラス等を 傾けていてもその戻り光を防ぐことはできな いので、光アイソレータ100のアイソレーショ ンが低いことに起因する戻り光が光源に入射 されることになる。

 このような偏光ガラスを使用した光アイソ ーターにおいて、その性能指数を示すアイ レーション(Iso:dB)は、次の式で算出される
     Iso(dB)=-10Log{R n +10 (-X/10) }・・・(1)
 ここで、Rは偏光ガラスの吸収方向の直線偏 光の反射率を、nは反射回数を、Xは偏光ガラ での反射率Rが0のときのアイソレーターのIs o(dB)を表す。図6に示されるように、戻り光は 、合計2回反射されるので、R 2 分だけ反射が0のときのアイソレーションか 劣化することになる。例えば、Xが40dBあった としても、反射率Rが3%あれば、(1)式よりIsoは 30dBと計算される。

 図7は偏光ガラスの吸収方向の直線偏光の 反射率Rとアイソレーション(Iso:dB)との関係を 示す図である。図においては、偏光ガラスで の反射率Rが0のときのアイソレーターのIso(dB) Xが40dB、35dB、32dBの場合について示している この図から明らかなように、表面で形状異 性金属微粒子の濃度が高い偏光ガラスを用 て、光アイソレーターを作製した場合、反 率の影響が無視できなくなり、反射率が0の きのアイソレーションが40dBあっても、反射 率が3%を超えると、光アイソレーター仕様の 限であるアイソレーション30dB以上を下回り 、性能の低下を招いてしまう。

 さらに、両主表面に金属微粒子含有層を するガラス板を延伸して偏光ガラスを作製 る製造方法では、形状異方性金属粒子を含 層厚が数μmと薄いので、延伸後の偏光ガラ シート厚さを研磨等で目標厚さに揃えよう したとき、研磨により金属微粒子部分がな なってしまうので、偏光ガラスの厚さを所 値に調整することが難しいという問題もあ た。偏光ガラスの厚さが揃っていないと、 えば光アイソレーターを多数組み上げる際 、ガーネット膜の両側に偏光ガラスを貼り わせた一体型のアイソレーターの厚さが揃 ず、これを収容するホルダーのサイズが一 とならず、ホルダーの大量生産ができない いう、生産上の大きな障害がある。

 本発明は、上述の背景のもとでなされた のであり、比較的簡単に製造が可能でしか 表面反射の問題等のない偏光ガラス、光ア ソレーターおよび偏光ガラスの製造方法を 供することを目的とする。

 上述の課題を解決するための手段は、以下 通りである。
(1)ガラス基体中に配向分散された形状異方性 金属粒子を含む偏光ガラスであって、前記金 属粒子濃度が、偏光作用を示す光の進行方向 において、前記ガラス基体の一方の側の表面 近傍及び他方の側の表面近傍ではほぼゼロで あり、前記ガラス基体の一方の側から他方の 側へ向かうにしたがって次第に増加していき 、前記ガラス基体内で所定の範囲の大きさに なり、次に他方の側に向かうに従って次第に 減少する分布を有することを特徴とする偏光 ガラス。
(2)前記金属粒子が、金属銀微粒子または金属 銅微粒子であることを特徴とする(1)に記載の 偏光ガラス。
(3)前記形状異方性金属粒子を含む層の厚さが 合計で20μm以下であることを特徴とする(1)又 (2)に記載の偏光ガラス。
(4)全体の厚さが、50μm以下であることを特徴 する(1)~(3)のいずれかに記載の偏光ガラス。
(5)中心波長が1.31μmである波長域の光及び中 波長が1.55μmである波長域の光の、一方また 両方に対する消光比が30dB以上である(1)~(4) いずれかに記載の偏光ガラス。
(6)(1)~(5)のいずれか1に記載の偏光ガラスを用 たことを特徴とする光アイソレーター。
(7)ファラデー回転素子及び少なくとも一つの 偏光子を構成部品として含む光アイソレータ ーであって、前記偏光子として(1)~(5)のいず か1に記載の偏光ガラスを用いたことを特徴 する光アイソレーター。
(8)ガラス基体中に配向分散された形状異方性 金属粒子を含む偏光ガラスを製造する偏光ガ ラスの製造方法であって、
 前記形状異方性金属粒子濃度が表面付近で く、内部方向に減少してゆく濃度分布を有 る金属粒子含有層を少なくとも一主表面に する偏光ガラス2枚を、前記互いの金属粒子 の配向方向が一致するように前記金属粒子含 有層を有する主表面を対向させて密着させ、 他方の非密着主表面に金属粒子層がある場合 にはその金属粒子含有層を取り除くことによ って、
 前記金属粒子濃度が、偏光作用を示す光の 行方向において、前記ガラス基体の一方の の表面近傍及び他方の側の表面近傍ではほ ゼロであり、前記ガラス基体の一方の側か 他方の側へ向かうにしたがって次第に増加 ていき、前記ガラス基体内で所定の範囲の きさになり、次に他方の側に向かうに従っ 次第に減少する分布を有する偏光ガラスを 造することを特徴とする偏光ガラスの製造 法。
(9)ガラス基板の主表面にイオン交換法により 金属イオンを導入し、金属イオン濃度がガラ ス表面付近で高く、内部方向に減少してゆく 濃度分布を有する金属イオン含有層を有する 金属イオン含有ガラス基板を作製し、
 前記金属イオン含有ガラス基板を加熱する とによって、金属粒子を生成させて金属粒 濃度がガラス基板表面付近で高く、内部方 に減少してゆく濃度分布を有する金属粒子 有層を有する金属粒子含有ガラス基板を作 し、
 前記金属粒子含有ガラス基板を2枚用意し、 該ガラス基板の金属粒子生成面をお互いに密 着させた後、加熱延伸することにより、前記 金属粒子を一方向に配向された形状異方性金 属粒子に形成させることによって、
 偏光作用を示す光の進行方向において、前 ガラス基体の一方の側の表面近傍及び他方 側の表面近傍ではほぼゼロであり、前記ガ ス基体の一方の側から他方の側へ向かうに たがって次第に増加していき、前記ガラス 体内で所定の範囲の大きさになり、次に他 の側に向かうに従って次第に減少する分布 有する偏光ガラスを製造することを特徴と る偏光ガラスの製造方法。

 本発明によれば、ガラス表面にイオン交 法により金属イオンを導入し、これを加熱 ることによって、金属粒子を生成させ、こ を加熱延伸するという比較的簡単な方法を いて作製した場合でも、表面反射が問題に らない偏光ガラスを得ることが可能になる また、表面近傍には形状異方性粒子がほと ど存在しないので、表面近傍を、研磨、エ チング等の手段で落とすことにより、偏光 ラスを所定の厚さに調整することが容易に 能になる。さらに、偏光作用を示す光の進 方向(厚さ方向)における中央部分での形状 方性金属粒子を含有する層厚が合計で10μm以 内と薄いので、偏光特性を損なわずに偏光ガ ラスの厚さを50μm以下の薄い偏光ガラスを作 することも容易である。

 図1は本願発明の実施の形態1にかかる偏 ガラスの説明図であって図1(a)が本実施の形 1にかかる偏光ガラスの部分断面図であり図 1(b)が本実施の形態1にかかる偏光ガラスの偏 作用を行う光の進行方向における銀等の金 粒子の濃度分布を示す図である。図1に示さ れるように、本実施の形態1に係る偏光ガラ 1は、ガラス基体としてのガラス基板2中に、 形状異方性を有する金属微粒子3が配向して 散されているものである。この金属微粒子3 寸法は、長手方向が50~210nm、長手方向と直 する方向が、10~30nm程度である。

 前記金属微粒子3は、図に示されるように長 手方向が偏光作用を受ける光Lの進行方向(厚 方向)に対して直交する方向を向いているも のである。また、図1(b)に示されるように、 光作用を行う光の進行方向における金属粒 の濃度分布は、ガラス基板2の一方の側の表 近傍及び他方の側の表面近傍ではほぼゼロ あり、前記ガラス基板2の一方の側から他方 の側へ向かうにしたがって次第に増加してい き、前記ガラス基板2のほぼ中央部近傍で最 になり、次に他方の側に向かうに従って次 に減少する分布を有している。中央部近傍 おける濃度は、1×10 8 ~1×10 12  個/mm 3 程度であればよい。偏光ガラス1の厚さt1は、 0.03~0.6mm、金属粒子の存在する領域4の厚さt2 、5~30μmである。

 図2は実施の形態1にかかる偏光ガラス1の 造工程の説明図である。以下、図2を参照に しながら実施の形態1にかかる偏光ガラス1の 造工程を説明する。まず、図5に示される従 来の偏光ガラス10を2枚作製する(図2(a)参照)。 次に、2枚の偏光ガラス10同士を形状異方性金 属粒子の配向が一致するように互いの表面を 対向し密着させる(図2(b)参照)。次いで、密着 されていない表面近傍にある金属微粒子含有 層14を研磨やエッチング等で取り除く(図2(c) 照)。これにより、実施の形態1にかかる偏光 ガラス1を得ることができる。

 ここで、従来の偏光ガラス10に、形状異 性金属粒子の長手方向に平行な直線偏波を 射すると、表面付近での高濃度の金属の存 により、比較的高い反射率が生じ、反射光 発生する。これは、ガラス表面の金属微粒 濃度が高くなっているので、鏡による反射 似て、高い反射率を示すと考えられる。こ に対して、本実施の形態にかかる偏光ガラ 1では、表面での金属による反射はなく、直 偏波は偏光ガラス1の内部に入射してゆき、 緩やかな金属微粒子濃度の増加に伴い、反射 率は次第に増加するが、金属微粒子のプラズ マ吸収で直線偏波の強度も除々に減少してゆ くので、高濃度の金属含有箇所(接合面)に達 ても、その反射光強度は従来型と比べて弱 ものとなる。

 図3は実施の形態2にかかる偏光ガラスの 明図であって図3(a)が実施の形態2にかかる偏 光ガラスの部分断面図であり図3(b)が実施の 態2にかかる偏光ガラスの偏光作用を行う光 進行方向における金属粒子の濃度分布を示 図である。図3に示されるように、この実施 の形態2に係る偏光ガラス1も上述の実施の形 1に係る偏光ガラスと同様に、イオン交換法 を用いて両主表面近傍に形状異方性金属粒子 層を形成させた従来の偏光ガラスを2枚密着 せて作製したものであるが、その用いる2枚 偏光ガラスが、上記実施の形態1の場合と異 なるものである。

 すなわち、この実施の形態2で用いる2枚 偏光ガラスは、最表面での形状異方性金属 子濃度を2段イオン交換法などで比較的低く 、最表面から数μm内部で形状異方性金属粒 濃度が最高となり、そこから内部にかけて 々に濃度が低下してゆく偏光ガラスで、金 微粒子濃度分布の変化が、最表面から金属 粒子濃度の最高箇所にいたるまでの変化よ 、金属微粒子濃度の最高箇所から内部方向 該濃度が実質的にゼロとなる箇所にいたる での変化のほうが緩やかになっているもの ある。この実施の形態にかかる偏光ガラス 、金属粒子の濃度分布の変化が緩やかであ ので、さらに光の反射を小さく抑えること 可能になる。

 以下、実施例によって本発明をより具体的 説明する。
(実施例1)
 硝酸ナトリウムと硝酸銀をwt%で2:1に混合し 溶融塩を450℃に加熱し、厚さ2mmの市販の白 ガラスを50時間浸漬し、ガラス中のナトリ ムと溶融塩中の銀イオンをイオン交換した 続いて、このイオン交換した白板ガラスを 650℃で10時間熱処理し、約45μmの球形の銀微 子を析出させた。白板ガラスの両表面から さ30μmにわたり、この銀微粒子が確認され 。

 続いて、この銀微粒子を析出させたガラ 板を、約700℃に加熱して延伸した。得られ ガラステープは、厚さ0.2±0.03mmで銀を含有 ている層は、両表面から3μmの深さだった。 のガラステープから延伸方向に平行に10mm角 に切り出したガラス片を試料(C)とした(従来 偏光ガラスに対応)。

 2枚の試料(C)の延伸方向を正確に揃えて銀 含有層同士を低融点ガラスを介して加熱密着 させた。さらに、このガラス片の貼り合わせ をしなかった2面の表面を研磨で均等に落と 、厚さを0.2mmtとし、試料(A)とした(実施の形 1の偏光ガラスに対応)。試料(A)は、研磨に り、ガラス両表面の銀含有層は完全に除去 れ、厚さの中央部分の貼り合わせた部分に 含有層を有するだけとなった。また厚さ精 は、0.2±0.002mmだった。

 また、試料(C)の一つの主表面を研磨して 粒子が含まれる層を除去し、この片面研磨 厚さを0.1mmtとしたガラス片を2枚作成した。 このガラス片2枚を、延伸方向を正確に揃え 銀含有層同士を低融点ガラスを介して加熱 着させ、試料(B)とした(実施の形態2の偏光ガ ラスに対応)。試料(B)は、研磨により、ガラ 両表面の銀含有層は完全に除去され、厚さ 中央部分の貼り合わせた部分に銀含有層を するだけとなった。また厚さ精度は、0.2±0.0 05mmだった。

 次に、1.31μmのLD光源を用いて、ガラス試料( A)、(B)、(C)の消光比を測定した。消光比は、 式で表わされる。
  消光比=-10Log(Pout/Pin)  〔dB〕
 通常の反射率が0.15%程度の偏光ガラスで、 光比が45dB以上あっても、ガーネット結晶の 転角の精度や2枚の偏光ガラスの貼り合わせ 精度によって、光アイソレーターのアイソレ ーションは35dB程度になるのが一般的である

 次に、試料(A)、(B)、(C)の反射率を測定し 結果を示す。図4は試料(A)、(B)、(C)の反射率 の測定に用いた測定系を示す図である。図4 示されるように、光源65からの光は、グラン トンプソンプリズム61を通して一方向の直線 波に変換され、無偏光分波器62を通して測 試料64に入射される。ここで、反射光がある 場合には、反射光は再び無偏光分波器62に入 し、検出器63の方向Cに回折し、検出器63に って検出される。

 はじめに、Al(アルミニウム)をコートした反 射板をマッチングオイル66を介して測定試料6 4の配置位置に置き、検出器63に入射される反 射光強度を測定する。次に測定する偏光ガラ ス(測定試料)64を入射する直線偏波を吸収す 向き(延伸方向と平行)にマッチングオイル66 介して測定試料64の配置位置に置き、透過 bが最小になる角度での反射光を測定する。 こでマッチングオイル66は、材質の屈折率 による反射の影響を無くす働きをしている はじめに測定したAlコート反射板の反射光強 度P(Al)に対する、各偏光ガラス試料の反射光P (g)の割合から反射率Rを次式によって算出し 。
 R=P(g)/P(Al)

 その後、試料(A)、(B)、(C)をそれぞれ2枚と45 偏波面が回転するガーネット結晶、永久磁 を用いて、光アイソレーターを組み上げ、 れぞれのアイソレーション値を測定した。 れらの結果を、上記測定した試料(A)、(B)、( C)の反射率とともに表1に示す。

(実施例2)
 実施例1と同様にイオン交換し、熱処理して 銀微粒子を析出させたガラス板2枚を、銀微 子を含有する層同士を、低融点ガラスを介 て加熱密着させた。このガラス板を約710℃ 加熱延伸して、厚さ0.4±0.05mmのガラステープ を得た。このガラステープから延伸方向に平 行に10mm角に切り出し、両表面を均等に研磨 て、厚さ0.2mmtに仕上げ、試料(D)とした。試 (D)は、研磨により、ガラス両表面の銀含有 は完全に除去され、厚さの中央部分の貼り わせた部分に銀含有層を約6μmの厚さで有す だけとなった。また試料(D)の厚さ精度は、0 .2±0.002mmだった。

 実施例1と同様に、試料(D)の消光比、反射率 、を測定し、2枚の試料(D)を用いて、実施例1 同様に光アイソレーターを作製し、アイソ ーションを測定した。これらの結果を後述 表2に示す。上記ガラステープから延伸方向 に平行に5mm角に切り出し、両表面を均等に研 磨して、厚さ30μmに仕上げ、試料(E)とした。 料(E)の厚さ精度は、30±8μmだった。また、 料(E)と同様に、研磨によりガラス両表面の 含有層は完全に除去され、厚さの中央部分 貼り合わせた部分に銀含有層を約6μmの厚さ 有するだけだった。
 試料(E)の消光比と反射率を実施例1と同様に 測定し、2枚の試料(E)を用いて、実施例1と同 に光アイソレーターを作製し、アイソレー ョンを測定した。結果を後述する表2に示す 。

(実施例3)
 厚さ1.5mmの白板を実施例1と同様にイオン交 し、このガラス板2枚を、イオン交換面同士 を対向させ、平坦なアルミナ板に載せ、約2Kg のセラミック板の重しをしながら、650℃で10 間の熱処理をした。2枚のガラス板は融着さ れており、ガラス板厚は、2.8mmtだった。この 融着ガラス板の両表面では、深さ30μmにわた 、約50μmのほぼ球形の銀微粒子が析出して た。またこの融着ガラス板の厚さの中央部 では、厚さ約60μmにわたり、約45μmのほぼ球 の銀微粒子が析出していた。

 続いて、この銀微粒子を析出させた融着 ラス板を、約710℃に加熱して延伸した。得 れたガラステープは、厚さ0.28±0.03mmだった このガラステープから延伸方向に平行に10mm 角に切り出し、フッ酸水溶液のエッチング液 に浸漬し、両表面を均等にエッチングして、 厚さ0.2mmtに仕上げ、試料(F)とした。試料(F)は 、エッチングにより、ガラス両表面の銀含有 層は完全に除去され、厚さの中央部分の融着 した部分に銀含有層を約6μmの厚さで有する けとなった。また試料(F)の厚さ精度は、0.2± 0.01mmだった。実施例1と同様に、消光比、反 率、を測定し、2枚の試料(F)を用いて、実施 1と同様に光アイソレーターを作製し、アイ ソレーションを測定した。結果を後述する表 2に示す。

(実施例4)
 厚さ1.1mmの白板の片表面にCr膜を厚さ0.5μmの 厚さで蒸着した後、該白板を実施例1と同様 イオン交換した。続いて、イオン交換面を 酸テープでマスキングし、Cr膜のみを硫酸と フッ酸の混酸で剥離した後、耐酸テープを取 り、イオン交換面同士を対向させ、実施例3 同様に熱処理して、2枚のガラスを融着する と同時に銀微粒子を析出させた。この融着 ラス板の厚さは、2.0mmtで、両表面では、銀 粒子は全く析出していなかった。またこの 着ガラス板の厚さの中央部分では、厚さ約6 0μmにわたり、約45μmのほぼ球形の銀微粒子が 析出していた。

 次に、この銀微粒子を析出させた融着ガ ス板を、約700℃に加熱して延伸した。得ら たガラステープは、厚さ0.2±0.03mmだった。 のガラステープから延伸方向に平行に10mm角 切り出し、試料(G)とした。試料(G)は、厚さ 中央部分の融着した部分に銀含有層を約6μm の厚さで有するだけだった。実施例1と同様 、消光比、反射率、を測定し、2枚の試料(G) 用いて、実施例1と同様に光アイソレーター を作製し、アイソレーションを測定した。結 果を後述する表2に示す。

(実施例5)
 硝酸ナトリウムと硝酸銀をwt%で4:1に混合し 溶融塩を480℃に加熱し、厚さ2mmの市販の白 ガラスを150時間浸漬し、ガラス中のナトリ ムと溶融塩中の銀イオンをイオン交換した 続いて、このイオン交換した白板ガラスを 400℃の硝酸ナトリウムの溶融塩中に70時間 漬し、ガラス表面近くの銀イオン濃度を低 させた後、水素雰囲気下で620℃の温度で10時 間熱処理し、約50μmの球形の銀微粒子を析出 せた。白板ガラスの両表面から深さ90μmに たり、この銀微粒子が確認された。続いて この銀微粒子を析出させたガラス板を、約70 0℃に加熱して延伸した。得られたガラステ プは、厚さ0.2±0.03mmで銀を含有している層は 、両表面から9μmの深さだった。銀粒子濃度 、最表面から3μm内部の箇所で最大となり、 れから内部方向にかけて除々に該濃度は減 し、最表面から9μmの箇所で銀濃度は実質的 にゼロになった。

 このガラステープから延伸方向に平行に1 0mm角に切り出したガラス片を試料(I)とした。 試料(I)の一つの主表面を研磨で落とし、片面 研磨で厚さを0.1mmtとしたガラス片を2枚作成 た。このガラス片2枚を、延伸方向を正確に えて銀含有層同士をUV光硬化型樹脂を使用 て密着させ、試料(H)とした。試料(H)は、研 により、ガラス両表面の銀含有層は完全に 去され、厚さの中央部分の貼り合わせた部 に銀含有層を有するだけとなった。また厚 精度は、0.2±0.003mmだった。実施例1と同様に 試料(H)、(I)の消光比、反射率、を測定した また、2枚の試料(H)と2枚の試料(I)を用いて 実施例1と同様にそれぞれ光アイソレーター 作製し、アイソレーションを測定した。結 を表2に示す。

 本発明は、例えば、光通信などに利用さ る小型光アイソレーター、光スイッチもし は電気磁気センサー等の重要な構成部品の つである偏光子として利用することができ 。

本願発明の実施の形態1にかかる偏光ガ ラスの説明図であって図1(a)が本実施の形態1 かかる偏光ガラスの部分断面図であり図1(b) が本実施の形態1にかかる偏光ガラスの偏光 用を行う光の進行方向における銀等の金属 子の濃度分布を示す図である。 実施の形態1にかかる偏光ガラス1の製 工程の説明図である。 実施の形態2にかかる偏光ガラスの説明 図であって図3(a)が実施の形態2にかかる偏光 ラスの部分断面図であり図3(b)が実施の形態 2にかかる偏光ガラスの偏光作用を行う光の 行方向における金属粒子の濃度分布を示す である。 試料(A)~(I)の反射率の測定に用いた測定 系を示す図である。 従来の偏光ガラスの説明図であって図5 (a)が従来の偏光ガラスの部分断面図であり図 5(b)が従来の偏光ガラスの偏光作用を行う光 進行方向におけるAg粒子の濃度分布を示す図 である。 従来の偏光ガラスを用いて光アイソレ タを構成した場合の作用説明図である。 偏光ガラスの吸収方向の直線偏光の反 率Rとアイソレーションとの関係を示す図で ある。

符号の説明

1 偏光ガラス
2 ガラス基板
3 金属微粒子
4 金属微粒子の存在する領域