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Title:
POLYBUTYLENE TEREPHTHALATE RESIN COMPOSITION AND THIN MOLDED ARTICLE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/050859
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a polybutylene terephthalate resin composition which is free from problems such as bleeding and improved in fluidity (melt fluidity), while maintaining characteristics such as mechanical strength and toughness. Specifically disclosed is a polybutylene terephthalate resin composition wherein 0.05-5 parts by weight of a glycerin fatty acid ester (C), which is composed of glycerin and/or a dehydration condensation product thereof and a fatty acid having 12 or more carbon atoms and has a hydroxyl number of not less than 200 as measured by a method mentioned in the description, is blended per 100 parts by weight of a composition which is composed of 50-90% by weight of a polybutylene terephthalate resin (A) and 10-50% by weight of an inorganic filler (B).

Inventors:
YAMADA SHINYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/002824
Publication Date:
April 23, 2009
Filing Date:
October 07, 2008
Export Citation:
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Assignee:
WINTECH POLYMER LTD (JP)
YAMADA SHINYA (JP)
International Classes:
C08J5/04; C08L67/02; C08K3/00; C08K5/053; C08K5/103; C08K7/14
Foreign References:
JPH04351657A1992-12-07
JPH04120162A1992-04-21
JPH06184410A1994-07-05
JP2000035509A2000-02-02
JP2007234260A2007-09-13
JP2005194300A2005-07-21
JPH1149937A1999-02-23
JPH06184410A1994-07-05
Other References:
See also references of EP 2177567A4
Attorney, Agent or Firm:
FURUYA, Satoshi et al. (2-17-8 Nihonbashi-Hamach, Chuo-ku Tokyo 07, JP)
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Claims:
ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)50~90重量%と無機充填剤(B)10~50重量%とからなる組成物100重量部に対して、グリセリン及び/又はその脱水縮合物と炭素数12以上の脂肪酸とからなり、本文記載の方法により測定した水酸基価が200以上のグリセリン脂肪酸エステル(C)0.05~5重量部を配合してなるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
グリセリン脂肪酸エステル(C)を構成する脂肪酸がラウリン酸、ステアリン酸又はベヘニン酸である請求項1記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
無機充填剤(B)がガラス繊維である請求項1又は2記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
温度260℃での剪断速度1000sec -1 における溶融粘度の測定値が130Pa・s以下である請求項1~3の何れか1項記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
シリンダー温度260℃、金型温度65℃における射出成形において0.5mm厚みでの流動長が40mm以上である請求項1~4の何れか1項記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる薄肉成形品。
成形品の一部に0.5mm以下の厚みの部位を有する請求項5記載の薄肉成形品。
スイッチ、コンデンサー、コネクター、集積回路(IC)、リレー、抵抗器、発光ダイオード(LED)、コイルボビン及びそれらの周辺機器又はハウジングである請求項6記載の薄肉成形品。
Description:
ポリブチレンテレフタレート樹 組成物及び薄肉成形品

 本発明は、流動性に優れるポリブチレン レフタレート樹脂組成物及び薄肉成形品に する。更に詳しくは、優れた流動性を有し スイッチ、コンデンサー、コネクター、集 回路(IC)、リレー、抵抗器、発光ダイオード (LED)、コイルボビン及びその周辺機器、ハウ ング等の電気・電子部品等の射出成形品に したポリブチレンテレフタレート樹脂組成 及び薄肉成形品に関する。

 ポリブチレンテレフタレート樹脂は、優 た機械的特性、電気的特性、耐熱性、耐候 、耐水性、耐薬品性及び耐溶剤性を有する め、エンジニアリングプラスチックとして 自動車部品、電気・電子部品などの種々の 途に広く利用されている。かかるポリブチ ンテレフタレート樹脂は、単独でも種々の 形品に用いられているが、利用分野によっ は、その性質、特に機械的性質を改善する 的で、例えばガラス繊維のような無機充填 を配合することが知られている。

 しかしながら、ガラス繊維のような無機 填剤を含む組成物は、機械的強度、剛性等 高いが、肉厚の薄い、板状あるいは箱形の 形品、例えばマイクロスイッチケース、小 コイルボビン、薄肉コネクター、ディスク ートリッジシャッター等においては、強化 の配合による流動性の低下による成形不良( 成形品金型への充填不足)、同じく樹脂の流 の不均一に基づく、そり発生の増大等の問 があり、流動性の改良された材料が望まれ いた。

 ポリブチレンテレフタレート樹脂の流動 を改良する手法としては、例えば、特許文 1には、粘度(数平均分子量)の異なるポリブ レンテレフタレートを所定の割合でブレン したポリブチレンテレフタレート樹脂組成 が開示されている。この文献には、前記樹 組成物は、成形体の耐繰り返し疲労性を改 し、且つ溶融状態において高流動性を有す ことが記載されている。しかし、この文献 樹脂組成物では、樹脂の伸度等において、 粘度ポリブチレンテレフタレートを単独で 用する場合に比べて劣る。

 また、流動性を向上させるため、ポリブ レンテレフタレート樹脂に流動性改良剤を 加することも知られている。例えば、特許 献2には、主としてポリテトラメチレンテレ フタレートからなる熱可塑性ポリエステル樹 脂に、流動性改良剤として特定の芳香族多塩 基酸エステルを混合した樹脂組成物が開示さ れている。しかし、この文献に記載の樹脂組 成物では、流動性改良剤を添加しない場合に 比べて、やや機械的強度が低下する傾向があ る。

 その他、流動性を改良するために、樹脂 流動性改良剤が用いられることも一般的で るが、このような樹脂用流動性改良剤の使 は、染み出しや成形品表面層剥離の懸念が る上、機械的強度の低下は避けることがで ない。

 一方、特許文献3には、主としてグリセリン 及びペンタエリスリトールより選ばれた多価 アルコールと炭素数12以上の脂肪酸とからな 脂肪酸エステルを含んでなる組成物が開示 れている。この文献には、前記樹脂組成物 、成形加工性、特に射出成形時のペレット い込み性に優れ、且つ優れた成形性を有す ことが記載されているが、かかる樹脂組成 の流動性については何ら記載されていない

特開平5-179114号公報(特許請求の範囲、段 落[0005])

特開昭61-85467号公報(特許請求の範囲)

特開平4-120162号公報(特許請求の範囲)

 本発明の目的は、染み出し等の問題がな 、機械的強度、靱性等の特性を保持しつつ 流動性(溶融流動性)が向上したポリブチレ テレフタレート樹脂組成物及びその成形品 提供することにある。

 本発明者らは上記課題を解決するため鋭 検討を行った結果、ポリブチレンテレフタ ート樹脂と無機充填剤と、特定のグリセリ 脂肪酸エステルとを組み合わせることによ 、染み出し等を生じることなく、上記目的 達成し得るポリブチレンテレフタレート樹 組成物が得られることを見出し、本発明を 成するに至った。

 即ち本発明は、ポリブチレンテレフタレ ト樹脂(A)50~90重量%と無機充填剤(B)10~50重量% からなる組成物100重量部に対して、グリセ ン及び/又はその脱水縮合物と炭素数12以上 脂肪酸とからなり、本文記載の方法により 定した水酸基価が200以上のグリセリン脂肪 エステル(C)0.05~5重量部を配合してなるポリ チレンテレフタレート樹脂組成物及びその 形品である。

 本発明のポリブチレンテレフタレート樹 組成物は、機械的強度、靱性に優れ、且つ 融成形時の流動性に優れる。本発明のポリ チレンテレフタレート樹脂組成物は、その 性からスイッチ、コンデンサー、コネクタ 、集積回路(IC)、リレー、抵抗器、発光ダイ オード(LED)、コイルボビン及びその周辺機器 ハウジング等の電気・電子部品に好適であ 。

[ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物]
(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂
 ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)とは、 レフタル酸(テレフタル酸またはそのエステ ル形成誘導体)と、及び炭素数4のアルキレン リコール(1,4 -ブタンジオール)又はそのエ テル形成誘導体を少なくとも重合成分とす 熱可塑性樹脂である。

 このようなベース樹脂としてのポリブチ ンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)としては、 チレンテレフタレートを主成分として[例え 50重量%以上(例えば55~100重量%)、好ましくは6 0重量%以上(例えば65~100重量%)、更に好ましく 70重量%以上(例えば75~100重量%)程度]含むホモ ポリエステル(ポリブチレンテレフタレート) はコポリエステル(ブチレンテレフタレート 系共重合体又はポリブチレンテレフタレート コポリエステル)等が挙げられる。

 コポリエステル(ブチレンテレフタレート 系共重合体又は変性PBT樹脂)における前記共 合可能なモノマー(以下、単に共重合性モノ ーと称する場合がある)としては、テレフタ ル酸を除くジカルボン酸成分、1,4-ブタンジ ールを除くジオール、オキシカルボン酸成 、ラクトン成分等が挙げられる。共重合性 ノマーは、1種で又は2種以上組み合わせて使 用できる。

 ジカルボン酸(又はジカルボン酸成分又はジ カルボン酸類)としては、脂肪族ジカルボン (例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン 、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸 セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ド カンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボ 酸、ダイマー酸などのC 4~40 ジカルボン酸、好ましくはC 4~14 ジカルボン酸)、脂環式ジカルボン酸成分(例 ば、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ ソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、 イミック酸などのC 8~12 ジカルボン酸)、テレフタル酸を除く芳香族 カルボン酸成分(例えば、フタル酸、イソフ ル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などのナ フタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジ ルボン酸、4,4’-ジフェノキシエーテルジカ ボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボ ン酸、4,4’-ジフェニルメタンジカルボン酸 4,4’-ジフェニルケトンジカルボン酸などのC 8~16 ジカルボン酸)、またはこれらの反応性誘導 (例えば、低級アルキルエステル(ジメチルフ タル酸、ジメチルイソフタル酸(DMI)などのフ ル酸又はイソフタル酸のC 1~4 アルキルエステルなど)、酸クロライド、酸 水物などのエステル形成可能な誘導体)など 挙げられる。さらに、必要に応じて、トリ リット酸、ピロメリット酸などの多価カル ン酸又はそのエステル形成誘導体(アルコー ルエステルなど)などを併用してもよい。こ ような多官能性化合物を併用すると、分岐 のポリブチレンテレフタレート樹脂を得る ともできる。

 ジオール(又はジオール成分又はジオール類 )には、例えば1,4 -ブタンジオールを除く脂 族アルカンジオール[例えば、アルカンジオ ル(例えば、エチレングリコール、トリメチ レングリコール、プロピレングリコール、ネ オペンチルグリコール、ヘキサンジオール(1, 6-ヘキサンジオールなど)、オクタンジオール (1,3-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール など)、デカンジオールなどの低級アルカン オール、好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C 2~12 アルカンジオール、さらに好ましくは直鎖状 又は分岐鎖状C 2~10 アルカンジオールなど);(ポリ)オキシアルキ ングリコール(例えば、複数のオキシC 2~4 アルキレン単位を有するグリコール、例えば 、ジエチレングリコール、ジプロピレングリ コール、ジテトラメチレングリコール、トリ エチレングリコール、トリプロピレングリコ ール、ポリテトラメチレングリコールなど) ど]、脂環族ジオール(例えば、1,4-シクロヘ サンジオール、1,4
-シクロヘキサンジメタノール、水素化ビス ェノールAなど)、芳香族ジオール[例えば、 イドロキノン、レゾルシノール、ナフタレ ジオールなどのジヒドキシC 6~14 アレーン;ビフェノール(4,4'-ジヒドキシビフ ニルなど);ビスフェノール類;キシリレング コールなど]、及びこれらの反応性誘導体(例 えば、アルキル、アルコキシ又はハロゲン置 換体などのエステル形成性誘導体など)など 挙げられる。さらに、必要に応じて、グリ リン、トリメチロールプロパン、トリメチ ールエタン、ペンタエリスリトールなどの リオール又はそのエステル形成性誘導体を 用してもよい。このような多官能性化合物 併用すると、分岐状のポリブチレンテレフ レート樹脂を得ることもできる。

 前記ビスフェノール類としては、ビス(4-ヒ ロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、 1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(ビスフ ェノールAD)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル) ロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プ パン(ビスフェノールA)、2,2-ビス(4-ヒドロキ -3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒ ロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキ シフェニル)-3-メチルブタン、2,2-ビス(4-ヒド キシフェニル)ヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロ シフェニル)-4-メチルペンタンなどのビス(ヒ ドロキシアリール)C 1~6 アルカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シ ロペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル )シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリ ル)C 4~10 シクロアルカン、4,4’-ジヒドロキシジフェ ルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニル ルホン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスル フィド、4,4’-ジヒドロキシジフェニルケト 、及びこれらのアルキレンオキサイド付加 が例示できる。アルキレンオキサイド付加 としては、ビスフェノール類(例えば、ビス ェノールA、ビスフェノールAD、ビスフェノ ルF)のC 2~3 アルキレンオキサイド付加体、例えば、2,2- ス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパ ン、ジエトキシ化ビスフェノールA(EBPA)、2,2- ス[4-(2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]プ パン、ジプロポキシ化ビスフェノールAなど 挙げられる。アルキレンオキサイド(エチレ ンオキサイド、プロピレンオキサイドなどの C 2~3 アルキレンオキサイド)の付加モル数は、各 ドロキシ基に対して1~10モル、好ましくは1~5 ル程度である。

 オキシカルボン酸(又はオキシカルボン酸成 分又はオキシカルボン酸類)には、例えば、 キシ安息香酸、オキシナフトエ酸、ヒドロ シフェニル酢酸、グリコール酸、オキシカ ロン酸などのオキシカルボン酸又はこれら 誘導体などが含まれる。ラクトンには、プ ピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラ トン、カプロラクトン(例えば、ε-カプロラ トンなど)などのC 3~12 ラクトンなどが含まれる。

 これらの共重合性モノマーのうち、好まし はジオール類[C 2~6 アルキレングリコー
ル(エチレングリコール、トリメチレングリ ール、プロピレングリコール、ヘキサンジ ールなどの直鎖状又は分岐鎖状アルキレン リコールなど)、繰り返し数が2~4程度のオキ アルキレン単位を有するポリオキシC 2~4 アルキレングリコール(ジエチレングリコー など)、ビスフェノール類(ビスフェノール類 又はそのアルキレンオキサイド付加体など)] ジカルボン酸類[C 6~12 脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸、ピメリン 、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸 ど)、カルボキシル基がアレーン環の非対称 置に置換した非対称芳香族ジカルボン酸、1 ,4-シクロヘキサンジメタノールなど]などが げられる。

 これらの化合物のうち、芳香族化合物、 えば、ビスフェノール類(特にビスフェノー ルA)のアルキレンオキサイド付加体、及び非 称芳香族ジカルボン酸[フタル酸、イソフタ ル酸及びその反応性誘導体(ジメチルイソフ ル酸(DMI)などの低級アルキルエステル)など] どが好ましい。

 ポリブチレンテレフタレート樹脂として 、ホモポリエステル(ポリブチレンテレフタ レート)及び/又は共重合体(ポリブチレンテレ フタレートコポリエステル)が好ましく、ポ ブチレンテレフタレート樹脂は、共重合性 ノマーの割合(変性量)が、通常、45モル%以下 (例えば、0~45モル%程度)、好ましくは35モル% 下(例えば、0~35モル%程度)、さらに好ましく 30モル%以下(例えば、0~30モル%程度)のホモ又 はコポリエステル(特にホモポリエステル)で ってもよい。

 なお、共重合体において、共重合性モノ ーの割合は、例えば、0.01~30モル%程度の範 から選択でき、通常、1~30モル%、好ましくは 3~25モル%、さらに好ましくは5~20モル%(例えば 5~15モル%)程度である。また、ホモポリエス ル(ポリブチレンテレフタレート)と共重合 (コポリエステル)とを組み合わせて使用する 場合、ホモポリエステルとコポリエステルと の割合は、共重合性モノマーの割合が、全単 量体に対して0.1~30モル%(好ましくは1~25モル% さらに好ましくは5~25モル%)程度となる範囲 あり、通常、前者/後者=99/1~1/99(重量比)、好 しくは95/5~5/95(重量比)、さらに好ましくは90 /10~10/90(重量比)程度の範囲から選択できる。

 なお、ポリブチレンテレフタレート樹脂 固有粘度(IV)は、1.0dL/g以下であることが好 しく、さらに好ましくは0.9dL/g以下であって よい。異なる固有粘度を有するポリブチレ テレフタレート樹脂をブレンドすることに って、例えば固有粘度1.2dL/gと0.8dL/gのポリ チレンテレフタレート樹脂をブレンドする とによって、1.0dL/g以下の固有粘度を実現し もよい。なお、固有粘度(IV)は、例えば、O- ロロフェノール中、温度35℃の条件で測定 きる。このような範囲の固有粘度を有する リブチレンテレフタレート樹脂を使用する 、十分な靱性の付与と溶融粘度の低減とを 率よく実現しやすい。固有粘度が大きすぎ と、成形時の溶融粘度が高くなり、場合に り成形金型内で樹脂の流動不良、充填不良 起こす可能性がある。

 なお、ポリブチレンテレフタレート樹脂は 市販品を使用してもよく、テレフタル酸又 その反応性誘導体と1,4-ブタンジオールと必 要により共重合可能なモノマーとを、慣用の 方法、例えばエステル交換、直接エステル化 法等により共重合(重縮合)することにより製 したものを使用してもよい。
(B)無機充填剤
 無機充填剤(B)としては、例えばガラス繊維 グラファイト繊維、シリカ繊維、アルミナ 維、ボロン繊維、長石、チタン酸カリウム ィスカー、ホウ酸カリウムウィスカー等の 維状充填剤;マイカ、ガラスフレーク等の板 状充填剤;並びにシリカ、ガラスビーズ、ガ スフレーク、ガラスバブル、カオリン、ワ ストナイト、珪酸カルシウム、炭酸カルシ ム等の粉粒状充填剤が挙げられる。これら 1種類を用いてもよく、2種以上を併用しても よい。組成物の機械的強度、耐熱性及び寸法 安定性からガラス繊維が特に好ましく用いら れる。

 無機充填剤(B)は、必要により表面処理し ものであってもよい。表面処理に使用され 化合物の例を示せば、エポキシ系化合物、 ソシアネート系化合物、シラン系化合物、 タネート系化合物等の官能性化合物である これらの化合物は、予め無機充填剤に表面 理して用いてもよく、材料調製の際に添加 てもよい。

 本発明の樹脂組成物において、無機充填剤( B)の割合は、ポリブチレンテレフタレート樹 (A)と無機充填剤(B)の合計に対して10~50重量% 好ましくは10~40重量%である。10重量%未満だ 十分な機械的強度が得られない場合があり また、50重量%を超えると十分な流動性が得 れない場合がある。
(C)グリセリン脂肪酸エステル
 本発明の特色は、ポリブチレンテレフタレ ト樹脂と特定のグリセリン脂肪酸エステル を組み合わせる点にある。通常、ポリブチ ンテレフタレート樹脂に流動性改良剤等を 加すると、流動性を向上できても、ポリブ レンテレフタレート樹脂そのものが有する 械的強度等の特性の低下を避けることがで ない。本発明では特定のグリセリン脂肪酸 ステルを使用することにより、前記特性を いレベルで保持しつつポリブチレンテレフ レート樹脂組成物の流動性を効率よく向上 きる。また、無機充填剤と組み合わせるこ により、樹脂組成物又はその成形品の強度 は剛性を向上でき、このような強度又は剛 の向上効果もまた、グリセリン脂肪酸エス ルの使用によっても低下することがないた 、機械的強度の保持と、流動性の向上とを ランスよく両立させることができる。

 グリセリン脂肪酸エステル(C)は、グリセ ン及び/又はその脱水縮合物と炭素数12以上 脂肪酸とからなるエステルである。エステ を構成する炭素数12以上の脂肪酸としては ラウリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、 テアリン酸、ベヘニン酸、モンタン酸等が げられ、好ましくは炭素数12~32の脂肪酸、特 に好ましくは炭素数12~22の脂肪酸が使用され ラウリン酸、ステアリン酸又はベヘニン酸 特に好ましい。炭素数12未満のものでは耐 性が低下することがあり好ましくなく、炭 数が32を超えるものは流動性の改良効果が少 なく好ましくない。

 本発明で用いられるグリセリン脂肪酸エ テル(C)は、それ自体公知の方法で製造する とができる。本発明で用いられるグリセリ 脂肪酸エステル(C)は、後記の方法により測 した水酸基価が200以上になるようにエステ 化を調整したものであり、好ましくは250以 の水酸基価を有するものである。水酸基価 200未満では流動性の改良効果が少なく好ま くない。

 好ましいエステルを例示すると、グリセ ンモノステアレート、グリセリンモノベヘ ート、ジグリセリンモノステアレート、ト グリセリンモノステアレート、テトラグリ リンステアリン酸部分エステル、デカグリ リンラウリン酸部分エステル等が挙げられ 。

 グリセリン脂肪酸エステル(C)の配合量は ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)50~90重 %と無機充填剤(B)10~50重量%とからなる組成物1 00重量部に対して0.05~5重量部、好ましくは0.5~ 3重量部である。グリセリン脂肪酸エステル(C )の配合量が0.05重量部未満では流動性の向上 果が十分に得られない場合があり、5重量部 を超えると成形に伴ってガス発生量が多くな り、成形品の外観を損ねたり、金型汚れを生 じるおそれがある。

 なお、本発明の樹脂組成物には、必要に じて、本発明の効果を損なわない範囲で他 樹脂(熱可塑性樹脂等)、種々の添加剤を含 でいてもよい。他の樹脂としては、ポリブ レンテレフタレート樹脂以外のポリエステ 樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレ 系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネ ト、ポリアセタール、ポリアリーレンオキ ド、ポリアリーレンサルファイド、フッ素 脂等が例示される。また、アクリロニトリ -スチレン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエ ン-スチレン樹脂、エチレン-エチルアクリレ ト樹脂等の共重合体も例示される。これら の樹脂は単独で又は2種以上組み合わせても よい。

 また、添加剤としては、有機充填剤(例え ば、高融点の芳香族ポリエステル繊維、液晶 性ポリエステル繊維、芳香族ポリアミド繊維 、フッ素樹脂繊維、ポリイミド繊維等)、安 剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等) 、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、熱可塑性 エラストマー、着色剤(染料や顔料等)、潤滑 、可塑剤、滑剤、離型剤、結晶核剤等が例 される。また、本発明の樹脂組成物におい は、燃焼時の滴下防止剤(ドリッピング防止 剤)としてポリテトラフルオロエチレン等の ッ素系化合物を使用してもよい。これらの 加剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用 れる。

 本発明のポリブチレンテレフタレート樹 組成物は、粉粒体混合物や溶融混合物(ペレ ット等)であってもよい。特に、本発明の樹 組成物は、溶融流動性に優れているため、 成分[ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)、 機充填剤(B)、グリセリン脂肪酸エステル(C) よび必要より配合されるその他の成分]を溶 融混合物(溶融混練物)として効率よく得るこ ができる。また、本発明の樹脂組成物は、 合物(例えば、粉粒体又は溶融混合物)の形 でそのまま成形体の製造に供してもよい。

 そして、このような本発明の樹脂組成物の 動性は、一定のピストンフロー剪断速度下 条件のもとでの溶融粘度を指標として反映 せることができる。例えば、本発明の樹脂 成物の溶融粘度は、温度260℃での剪断速度1 000sec -1 において、160Pa・s以下、好ましくは150Pa・s以 下、さらに好ましくは130Pa・s以下(例えば、50 ~130Pa・s程度)とすることもできる。特にポリ チレンテレフタレート樹脂(A)と無機充填剤( B)からなる組成物100重量%中、無機充填剤(B)が 30重量%以下である場合、130Pa・s以下でないと 流動性が不足する場合がある。測定結果は、 上記のようにPa・s単位で得られるが、数値の 低いほうが溶融時の流動性に優れ、成形時の 流動性に優れるとされる。

 なお、一般には、流動性の指標として、ASTM  D-1238で235℃、荷重2160gの条件で測定するメ トインデックスが用いられるが、メルトイ デックスの測定は一定荷重下での測定とな 、樹脂によりピストンの剪断速度は異なっ くる。これに対し、一定のピストンフロー 下での溶融粘度測定指標のほうが、実際の 出成形が一定のピストンフローで行われる とを考慮すると、実際の流動特性により近 指標であると考えられるため、本発明では のような一定剪断速度条件における溶融粘 を流動性の指標とする。
[成形体]
 本発明の樹脂組成物は、前記のように溶融 動性に優れているため、成形加工性が良好 あり、機械的強度や耐熱性の高い成形体又 成形品を製造するのに有用である。

 特に、厚みの薄い部位が存在する成形品 製造するのに好適である。例えば、通常の リブチレンテレフタレート樹脂の射出成形 の製造条件であるシリンダー温度260℃、金 温度65℃における射出成形において、0.5mm以 下の厚みの部位を有する射出成形品の成形が 可能となる。

 0.5mm厚みでの流動長が40mm以上であること 求められる場合があり、本発明の樹脂組成 であれば40mm以上の流動長も可能となる。

 成形品の一部に0.5mm以下の厚みの部位を する薄肉成形品としては、コネクター、ス ッチ、コンデンサー、集積回路(IC)、リレー 抵抗器、発光ダイオード(LED)、コイルボビ 及びそれらの周辺機器又はハウジングが例 される。

 成形体(又は成形品)は、各成分[ポリブチ ンテレフタレート樹脂(A)、無機充填剤(B)、 リセリン脂肪酸エステル(C)および必要より 合されるその他の成分]で構成された前記樹 脂組成物を慣用の方法で成形することにより 製造できる。例えば、本発明の成形体は、i) 成分を混合した後、押出機(一軸又は二軸押 出機)により混練押出してペレットを調製し しかる後成形する方法、ii)一旦組成の異な ペレット(マスターバッチ)を調製し、そのペ レットを所定量混合(希釈)して成形に供し、 形後に目的組成の成形品を得る方法、iii)成 形機に各成分の1又は2以上を直接仕込む方法 、何れも使用できる。また、樹脂成分の一 を細かい粉体としてこれ以外の成分と混合 添加することは、これらの成分の均一配合 行う上で好ましい方法である。また、上述 た充填剤等は、任意の時期に添加し、所望 組成物を得ることも可能である。

 成形体は、射出成形以外にも、前記ポリ チレンテレフタレート樹脂組成物を溶融混 し、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、真 成形、回転成形、ガスインジェクションモ ルディング等の慣用の成形方法により容易 成形でき、効率良く成形品を得ることがで る。特に射出成形が好ましい。

 以下実施例により本発明をさらに詳しく 明するが、本発明はこれらに限定されるも ではない。

実施例1~10、比較例1~6
 各樹脂組成物を表1、2に示す混合比率でド イブレンドし、30mmφのスクリューを有する2 押出機((株)日本製鋼製)を用いて、250℃で溶 融混練したのちペレット化し、試験片を作成 し、各評価を行った。結果を表1、2に示す。

 また、使用した成分の詳細、物性評価の測 法は以下の通りである。
・(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂
 (A-1)ポリブチレンテレフタレート(固有粘度I V=0.69dL/g、ウィンテックポリマー(株)製)
 (A-2) ポリブチレンテレフタレート(固有粘 IV=0.875dL/g、ウィンテックポリマー(株)製)
・(B)無機充填剤
 ガラス繊維(日本電気硝子(株)製「ECS03T187」)
・(C)グリセリン脂肪酸エステル
 (C-1)グリセリンモノステアレート(水酸基価3 30、花王(株)製「エレクトロストリッパーTS-5 )
 (C-2)グリセリンモノベヘネート(水酸基価300 理研ビタミン(株)製「リケマールB-100」)
 (C-3)トリグリセリンステアリン酸部分エス ル(水酸基価280、理研ビタミン(株)製「リケ ールAF-70」)
 (C-4)デカグリセリンラウリン酸部分エステ (水酸基価600、理研ビタミン(株)製「ポエムL- 021」)
 (C-5)グリセリンモノ12ヒドロキシステアレー ト(水酸基価420、理研ビタミン(株)製「リケマ ールHC-100」)
 (C-6)グリセリントリステアレート(水酸基価8 7、理研ビタミン(株)製「ポエムS-95」)
(D)他の樹脂
 アクリロニトリル-スチレン樹脂(ダイセル 学工業(株)製「セビアンJD」)
<水酸基価>
 油化学協会法2,4,9,2-71水酸基価(ピリジン・ 水酢酸法)により測定した。
<溶融粘度>
 得られたペレットを140℃で3時間乾燥後、キ ャピログラフ1B(東洋精機製作所社製)を用い 、炉体温度260℃、キャピラリーφ1mm×20mmLに 、剪断速度1000sec -1 にて測定した。数値の低いほうが溶融時の流 動性に優れ、成形時の流動性に優れる。
<引張強さ、伸び>
 得られたペレットを140℃で3時間乾燥後、成 形温度260℃、金型温度80℃で、射出成形によ ISO3167引張試験片を作製した。得られた試験 片についてISO527-1、2に定められている評価基 準に従い評価した。
<薄肉流動性>
 得られたペレットを140℃で3時間乾燥後、厚 み0.5mm、幅5mmのバーフロー成形品を成形し、 の流動長により判断した。射出条件は、シ ンダー温度260℃、金型温度65℃、射出速度70 mm/sで、保圧力2水準(50Mpa、100MPa)にて評価した 。