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Title:
POLYBUTYLENE TEREPHTHALATE RESIN COMPOSITION AND THIN MOLDED ARTICLE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/081571
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a polybutylene terephthalate resin composition exhibiting excellent mechanical strength and impact strength, while having improved fluidity (melt fluidity). The polybutylene terephthalate resin composition hardly suffers from warping deformation. Specifically disclosed is a polybutylene terephthalate resin composition which is obtained by blending, per 100 parts by weight of a polybutylene terephthalate resin (A), 40-140 parts by weight of glass fibers (B) having a flat cross section and 0.05-5 parts by weight of a glycerol fatty acid ester (C) which is composed of glycerol and/or a dehydration condensation product thereof and a fatty acid having 12 or more carbon atoms and has a hydroxyl number as measured by the process mentioned in the description of not less than 200.

Inventors:
WAKATSUKA SEI (JP)
AMANO HIROYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/003906
Publication Date:
July 02, 2009
Filing Date:
December 24, 2008
Export Citation:
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Assignee:
WINTECH POLYMER LTD (JP)
WAKATSUKA SEI (JP)
AMANO HIROYUKI (JP)
International Classes:
C08L67/02; C08J5/00; C08K13/04
Domestic Patent References:
WO2007037450A12007-04-05
Foreign References:
JPS52155657A1977-12-24
JPH10237318A1998-09-08
JPH07309999A1995-11-28
JPH02173047A1990-07-04
JPS63317548A1988-12-26
Attorney, Agent or Firm:
FURUYA, Satoshi et al. (Floor 2-17-8, Nihonbashi-Hamacho,Chuo-k, Tokyo 07, JP)
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Claims:
(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、
(B)扁平な断面形状を有するガラス繊維40~140重量部、
(C)グリセリン及び/又はその脱水縮合物と炭素数12以上の脂肪酸とからなり、本文記載の方法により測定した水酸基価が200以上のグリセリン脂肪酸エステル0.05~5重量部
を配合してなるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
 (A)ポリブチレンテレフタレート樹脂が、イソフタル酸変性ポリエステルを含有するポリブチレンテレフタレートであり、全ジカルボン酸成分に対するイソフタル酸の含有率が5~30モル%である請求項1記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
 (A)ポリブチレンテレフタレート樹脂が、5~30モル%イソフタル酸変性ポリブチレンテレフタレートである請求項1記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
 (B)扁平な断面形状を有するガラス繊維が、長さ方向に直角の断面の長径(断面の最長の直線距離)と短径(長径と直角方向の最長の直線距離)の比が1.3~10の間にあるものである請求項1~3の何れか1項記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
 (B)扁平な断面形状を有するガラス繊維が、平均断面積100~300マイクロ平方メートルのあるものである請求項1~4の何れか1項記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
 (C)グリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸が、ラウリン酸、ステアリン酸又はベヘニン酸である請求項1~5の何れか1項記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
 ISO11443に準拠した温度260℃での剪断速度1000sec -1 における溶融粘度の測定値が200Pa・s以下である請求項1~6の何れか1項記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
 シリンダー温度260℃、金型温度80℃における射出成形において1mm厚みでの流動長が120mm以上である請求項1~7の何れか1項記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる薄肉成形品。
 成形品の一部に1mm以下の厚みの部位を有する請求項8記載の薄肉成形品。
 スイッチ、コンデンサー、コネクター、集積回路(IC)、リレー、抵抗器、発光ダイオード(LED)、コイルボビン、電子機器、携帯端末、ECU、各種センサー、パワーモジュール、ギア部品及びそれらの周辺機器又はそのハウジング又はシャーシである請求項8又は9記載の薄肉成形品。
Description:
ポリブチレンテレフタレート樹 組成物及び薄肉成形品

 本発明は、機械的強度、衝撃強度、流動性 優れ、そり変形の少ないポリブチレンテレ タレート樹脂組成物及び薄肉成形品に関す 。更に詳しくは、その優れた特徴を活かし スイッチ、コンデンサー等の電気・電子部 等の成形品に最適なポリブチレンテレフタ ート樹脂組成物及び薄肉成形品に関する。
背景技術

 結晶性熱可塑性ポリエステル樹脂、例え ポリアルキレンテレフタレート樹脂等は機 的性質、電気的性質、その他物理的・化学 特性に優れ、かつ、加工性が良好であるが えにエンジニアリングプラスチックとして 動車、電気・電子部品等の広汎な用途に使 されている。

 かかる結晶性熱可塑性ポリエステル樹脂 、単独でも種々の成形品に用いられている 、利用分野によってはその性質、特に機械 性質を改善する目的で、様々な強化剤、添 剤を配合することが行われてきた。そして 高い機械的強度、剛性の要求される分野に いては、ガラス繊維、カーボン繊維等に代 される繊維状の強化剤を用いることが周知 ある。

 しかしながら、一般的な繊維状強化剤を む結晶性熱可塑性ポリエステル樹脂は、機 的強度、衝撃強度は改善されるが、射出成 等の成形加工時の固化過程で発生する収縮 方性が大きくなることにより、成形品のそ 変形が著しく大きくなるという問題がある このため、一般的な繊維状強化剤を含むポ ブチレンテレフタレート樹脂は、薄肉の板 成形品への応用は困難とされていた。

 これらの問題を解決する方法として、変 ポリブチレンテレフタレート樹脂にポリカ ボネート(特開平9-291204号公報)等の非晶性異 種ポリマーを配合することが提案されている 。しかしながら、ポリカーボネートを配合す る方法では、著しく流動性が低下するととも に、衝撃強度が低下する問題があり、薄肉成 形品への適応は困難であった。

 また、強化ガラス繊維として扁平な断面 持つガラス繊維を使用することが提案され いるが(特開平7-309999号公報、特開2004-248487 公報)、高い機械的強度、高い衝撃強度を得 ためにガラス繊維の充填量を増量する必要 あり、これにより流動性が著しく低下し薄 成形品を成形できないという問題があった

 流動性を改善するため、ポリブチレンテ フタレート樹脂に流動性改良剤を添加する とも知られている。例えば、流動性改良剤 して、特定の芳香族多塩基酸エステルを混 した樹脂組成物が開示されている(特開昭61- 85467号公報)。しかし、この文献に記載の樹脂 組成物では、流動性改良剤を添加しない場合 に比べて、機械的強度が低下する傾向がある 。

 以上のように、公知のポリブチレンテレフ レート樹脂組成物では、そり変形が少なく 高強度、高衝撃を示す組成物は流動性が乏 く、薄肉の板状成形品への応用は極めて困 な状況にあった。
発明の開示

 本発明の目的は、機械的強度および衝撃 度に優れ、そり変形も少なく、且つ流動性( 溶融流動性)が向上したポリブチレンテレフ レート樹脂組成物及びその成形品を提供す ことにある。

 本発明者等は上記課題を解決するため鋭意 討を行った結果、ポリブチレンテレフタレ ト樹脂に、扁平な断面形状を有するガラス 維と特定のグリセリン脂肪酸エステルとを 用配合することにより、上記目的を達成し る樹脂組成物が得られることを見出し、本 明を完成するに至った。
即ち、本発明は
(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部 に対して、
(B)扁平な断面形状を有するガラス繊維40~140重 量部、
(C)グリセリン及び/又はその脱水縮合物と炭 数12以上の脂肪酸とからなり、本文記載の方 法により測定した水酸基価が200以上のグリセ リン脂肪酸エステル0.05~5重量部
を配合してなるポリブチレンテレフタレート 樹脂組成物、およびそれからなる薄肉成形品 である。

 本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂 成物は、機械的強度および衝撃強度に優れ そり変形も少なく、且つ流動性(溶融流動性 )に優れる本発明のポリブチレンテレフタレ ト樹脂組成物は、その特性から薄肉成形品 適用可能であり、各種電子機器の筐体等に しており、特にスイッチ、コンデンサー、 ネクター、集積回路(IC)、リレー、抵抗器、 光ダイオード(LED)、コイルボビン、電子機 、携帯端末、ECU、各種センサー、パワーモ ュール、ギア部品及びそれらの周辺機器又 そのハウジング又はシャーシ等の成形品に 適である。
発明の詳細な説明

 以下、順次本発明の樹脂材料の構成成分に いて詳しく説明する。
(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂
 ポリブチレンテレフタレート樹脂とは、テ フタル酸(テレフタル酸またはそのエステル 形成誘導体)と、炭素数4のアルキレングリコ ル(1,4-ブタンジオールまたはそのエステル 成誘導体)を少なくとも重合成分とする熱可 性樹脂である。本発明の(A)ポリブチレンテ フタレート樹脂とは、ポリブチレンテレフ レートホモポリマーに限らず、イソフタル 変性ポリブチレンテレフタレート、イソフ ル酸変性ポリエステルを含有するポリブチ ンテレフタレートも含まれ、そり変形の面 らは、イソフタル酸変性ポリブチレンテレ タレート、イソフタル酸変性ポリエステル 含有するポリブチレンテレフタレートが好 しく使用できる。

 イソフタル酸変性ポリブチレンテレフタ ートとは、アルキレングリコール成分が1,4- ブタンジオールまたはそのエステル形成誘導 体であり、テレフタル酸またはそのエステル 形成誘導体と共にイソフタル酸またはそのエ ステル形成誘導体(ジメチルエステルの如き 級アルコールエステル等)をコモノマーユニ トとして導入した共重合体である。

 また、イソフタル酸変性ポリエステルと 、テレフタル酸またはそのエステル形成誘 体と、炭素数2~4のアルキレングリコール、 に好ましくは、エチレングリコール、トリ チレングリコール、1,4-ブタンジオールまた はそのエステル形成誘導体を重縮合反応させ て得られるポリエステルを主成分とし、これ にイソフタル酸またはそのエステル形成誘導 体(ジメチルエステルの如き低級アルコール ステル等)をコモノマーユニットとして導入 た共重合体である。

 イソフタル酸変性ポリブチレンテレフタ ート、イソフタル酸変性ポリエステルのイ フタル酸コモノマーユニットの導入量は5~30 モル%が好ましく、より好ましくは10~30モル% 特に好ましくは10~20モル%である。導入量は5 ル%未満では、結晶性が高いため、低そり効 果が低い可能性がある。また、導入量が30モ %を超えると、本来のポリブチレンテレフタ レートの優位点である強度および熱安定性の 低下が大きく、且つ結晶化が著しく低下、遅 延されることで、成形サイクルの低下、離型 性の低下を引き起こし、実用的に用いられな い問題を生じるおそれがある。尚、ベース樹 脂として、ポリブチレンテレフタレートとイ ソフタル酸変性ポリエステルの混合物を使用 する場合には、全ジカルボン酸成分に対する イソフタル酸の含有率が5~30モル%にあること 好ましい。

 ベース樹脂としてのポリブチレンテレフ レートは、本発明の効果を阻害しない範囲 、共重合可能なモノマー(以下、単に共重合 性モノマーと称する場合がある)と共重合さ た共重合体として用いることができる。共 合性モノマーとしては、例えば、テレフタ 酸、イソフタル酸を除くジカルボン酸成分 炭素数2~4のアルキレングリコール以外のジ ール、オキシカルボン酸成分、ラクトン成 等が挙げられる。共重合性モノマーは、1種 は2種以上組み合わせて使用できる。

 ジカルボン酸(又はジカルボン酸成分又はジ カルボン酸類)としては、脂肪族ジカルボン (例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン 、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸 セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ド カンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボ 酸、ダイマー酸などのC 4~40 ジカルボン酸、好ましくはC 4~14 ジカルボン酸)、脂環式ジカルボン酸成分(例 ば、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ ソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、 イミック酸などのC 8~12 ジカルボン酸)、テレフタル酸を除く芳香族 カルボン酸成分(例えば、フタル酸、2,6-ナフ タレンジカルボン酸などのナフタレンジカル ボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4 -ジフェノキシエーテルジカルボン酸、4,4’- ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’-ジ ェニルメタンジカルボン酸、4,4’-ジフェニ ケトンジカルボン酸などのC 8~16 ジカルボン酸)、またはこれらの反応性誘導 (例えば、低級アルキルエステル(ジメチルフ タル酸、などのフタル酸のC 1~4 アルキルエステルなど)、酸クロライド、酸 水物などのエステル形成可能な誘導体)など 挙げられる。さらに、必要に応じて、トリ リット酸、ピロメリット酸などの多価カル ン酸又はそのエステル形成誘導体(アルコー ルエステルなど)などを併用してもよい。こ ような多官能性化合物を併用すると、分岐 のポリブチレンテレフタレート樹脂を得る ともできる。

 ジオール(又はジオール成分又はジオール類 )には、例えば1,4-ブタンジオールを除く脂肪 アルカンジオール[例えば、アルカンジオー ル(例えば、エチレングリコール、トリメチ ングリコール、プロピレングリコール、ネ ペンチルグリコール、ヘキサンジオール(1,6- ヘキサンジオールなど)、オクタンジオール(1 ,3-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール ど)、デカンジオールなどの低級アルカンジ ール、好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C 2~12 アルカンジオール、さらに好ましくは直鎖状 又は分岐鎖状C 2~10 アルカンジオールなど);(ポリ)オキシアルキ ングリコール(例えば、複数のオキシC 2~4 アルキレン単位を有するグリコール、例えば 、ジエチレングリコール、ジプロピレングリ コール、ジテトラメチレングリコール、トリ エチレングリコール、トリプロピレングリコ ール、ポリテトラメチレングリコールなど) ど]、脂環族ジオール(例えば、1,4-シクロヘ サンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノ ル、水素化ビスフェノールAなど)、芳香族 オール[例えば、ハイドロキノン、レゾルシ ール、ナフタレンジオールなどのジヒドキ C 6~14 アレーン;ビフェノール(4,4'-ジヒドキシビフ ニルなど);ビスフェノール類;キシリレング コールなど]、及びこれらの反応性誘導体(例 えば、アルキル、アルコキシ又はハロゲン置 換体などのエステル形成性誘導体など)など 挙げられる。さらに、必要に応じて、グリ リン、トリメチロールプロパン、トリメチ ールエタン、ペンタエリスリトールなどの リオール又はそのエステル形成性誘導体を 用してもよい。このような多官能性化合物 併用すると、分岐状のポリブチレンテレフ レート樹脂を得ることもできる。

 なお、共重合体において、共重合性モノ ーの割合は、例えば、0.01~30モル%程度の範 から選択でき、通常、1~30モル%、好ましくは 3~25モル%、さらに好ましくは5~20モル%(例えば 5~15モル%)程度である。また、ホモポリエス ル(ポリブチレンテレフタレート)と共重合 (コポリエステル)とを組み合わせて使用する 場合、ホモポリエステルとコポリエステルと の割合は、共重合性モノマーの割合が、全単 量体に対して0.1~30モル%(好ましくは1~25モル% さらに好ましくは5~25モル%)程度となる範囲 あり、通常、前者/後者=99/1~1/99(重量比)、好 しくは95/5~5/95(重量比)、さらに好ましくは90 /10~10/90(重量比)程度の範囲から選択できる。

 なお、(A)ポリブチレンテレフタレート樹 の固有粘度(IV)は、何れも1.0dL/g以下である とが好ましく、さらに好ましくは0.9dL/g以下 ある。異なる固有粘度を有するポリブチレ テレフタレート樹脂又は変性ポリエステル ブレンドすることによって、例えば固有粘 1.2dL/gと0.8dL/gのポリブチレンテレフタレー 樹脂をブレンドすることによって、1.0dL/g以 の固有粘度を実現してもよい。なお、固有 度(IV)は、例えば、O-クロロフェノール中、 度35℃の条件で測定できる。このような範 の固有粘度を有するポリブチレンテレフタ ート樹脂を使用すると、十分な靱性の付与 溶融粘度の低減とを効率よく実現しやすい 固有粘度が大きすぎると、成形時の溶融粘 が高くなり、場合により成形金型内で樹脂 流動不良、充填不良を起こす可能性がある

 本発明で用いられる(B)扁平な断面形状を するガラス繊維とは、長さ方向に直角の断 の長径(断面の最長の直線距離)と短径(長径 直角方向の最長の直線距離)の比が1.3~10、好 ましくは1.5~8、特に好ましくは2~5の間にある ラス繊維である。具体的な形状としては、 楕円形、略長円形、略まゆ形等である。

 (B)扁平な断面形状を有するガラス繊維は 機械的強度、衝撃強度に優れ、そり変形を 制するとともに成形性にも優れる。

 又、扁平な断面形状を有するガラス繊維 、その平均断面積が100~300マイクロ平方メー トルのものが好ましい。100マイクロ平方メー トルより小さい場合、機械的強度、衝撃強度 が十分でなく、300マイクロ平方メートルを超 える場合には、射出成形時のゲート詰まりや 、金型や成形機の摩耗の問題を生じる。

 本発明において用いられる(B)扁平な断面 状を有するガラス繊維の配合量は、(A)ポリ チレンテレフタレート樹脂100重量部に対し 40~140重量部、好ましくは50~120重量部である 配合量が40重量部未満では機械的強度、衝 強度が低く、また140重量部を超えると流動 が著しく悪化する。

 (B)扁平な断面形状を有するガラス繊維の 用にあたっては、必要ならば収束剤又は表 処理剤を使用することが望ましい。この例 示せば、エポキシ系化合物、アクリル系化 物、イソシアネート系化合物、シラン系化 物、チタネート系化合物等の官能性化合物 いずれも好ましく用いられる。これ等の化 物は予め表面処理又は収束処理を施して用 るか、又は材料調製の際同時に添加しても い。また、併用される官能性表面処理剤の 用量は、充填剤に対し0~10重量%、好ましく 0.01~5重量%である。

 かかるガラス繊維(B)としては、Aガラス、 Eガラス、ジルコニア成分含有の耐アルカリ ラス組成や、チョップドストランド、ロー ングガラス等の配合時のガラス繊維の形態 問わず、使用可能である。

 本発明に用いる(B)扁平な断面形状を有す ガラス繊維は、溶融ガラスを吐出するため 使用するブッシングとして、長円形、楕円 、矩形、スリット状等の適当な孔形状を有 るノズルを用いて紡糸することにより調製 れる。又、各種の断面形状(円形断面を含む )を有する近接して設けられた複数のノズル ら溶融ガラスを紡出し、紡出された溶融ガ スを互いに接合して単一のフィラメントと ることにより調製できる。

 次に本発明で用いる(C)グリセリン脂肪酸 ステルは、グリセリン及び/又はその脱水縮 合物と炭素数12以上の脂肪酸とからなり、後 の方法により測定した水酸基価が200以上の 肪酸エステルである。通常、ポリブチレン レフタレート樹脂に流動性改良剤等を添加 ると、流動性を向上できても、ポリブチレ テレフタレート樹脂そのものが有する機械 強度や靱性等の特性の低下を避けることが きない。本発明では特定のグリセリン脂肪 エステル(C)を使用することにより、前記特 を高いレベルで保持しつつポリブチレンテ フタレート樹脂組成物の流動性を効率よく 上できる。

 (C)グリセリン脂肪酸エステルは、それ自 公知の方法で製造することができ、市販品 使用してもよく、後記の方法により測定し 水酸基価が200以上になるようにエステル化 調整したものであり、好ましくは250以上の 酸基価を有するものである。水酸基価が200 満では流動性の改良効果が少なく好ましく い。

 グリセリン脂肪酸エステルのエステルを 成する炭素数12以上の脂肪酸としては、ラ リン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステ リン酸、ベヘニン酸、モンタン酸等が挙げ れ、好ましくは炭素数12~32の脂肪酸、特に好 ましくは炭素数12~22の脂肪酸が使用され、ラ リン酸、ステアリン酸又はベヘニン酸が特 好ましい。炭素数12未満のものでは耐熱性 低下することがあり好ましくなく、炭素数 32を超えるものは流動性の改良効果が少なく 好ましくない。

 好ましいグリセリン脂肪酸エステルを例 すると、グリセリンモノステアレート、グ セリンモノベヘネート、ジグリセリンモノ テアレート、トリグリセリンモノステアレ ト、テトラグリセリンステアリン酸部分エ テル、デカグリセリンラウリン酸部分エス ル等が挙げられる。

 (C)グリセリン脂肪酸エステルの配合量は (A)ポリブチレンテレフタレート樹脂100重量 に対して0.05~5重量部、好ましくは0.5~3重量 である。(C)グリセリン脂肪酸エステルの配 量が0.05重量部未満では流動性の向上効果が 分に得られない場合があり、5重量部を超え ると成形に伴ってガス発生量が多くなり、成 形品の外観を損ねたり、金型汚れを生じるお それがある。

 なお、本発明の樹脂組成物には、必要に じて、本発明の効果を損なわない範囲で他 樹脂を含んでいてもよい。他の樹脂として 、ポリブチレンテレフタレート樹脂以外の リエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレー ト、ポリトリメチレンテレフタレート等)、 リオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂 ポリアミド系樹脂、ポリアセタール、ポリ リーレンオキシド、ポリアリーレンサルフ イド、フッ素樹脂等が例示される。また、 クリロニトリル-スチレン樹脂、アクリロニ リル-ブタジエン-スチレン樹脂、エチレン- チルアクリレート樹脂等の共重合体も例示 れる。これら他の樹脂は単独で又は2種以上 組み合わせてもよい。

 また、本発明の樹脂組成物には、種々の 加剤(安定剤、成形性改善剤等)を添加して よい。添加剤としては、例えば、各種安定 (酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等)核 剤(結晶化核剤)、難燃剤、滑剤、離型剤、帯 防止剤、染・顔料等の着色剤、分散剤等が げられる。

 特に、ポリブチレンテレフタレートと、 ルキレングリコール成分が異なる変性ポリ ステルを併用する場合は、エステル交換抑 のためにリン系安定剤を添加することが好 しい。用いられるリン系安定剤としては、 えば有機ホスファイト系、ホスフォナイト 化合物およびリン酸金属塩等である。具体 を示すと、ビス(2,4-ジ-t-4メチルフェニル)ペ ンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2, 4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチル ェニル)-4,4’-ビフェニレンホスフォナイト またリン酸金属塩としては、第一リン酸カ シウム、第一リン酸ナトリウムの1水和物等 が挙げられる。

 なお、本発明の樹脂組成物には、必要に じて、本発明の効果を損なわない範囲で他 強化用充填剤を添加することができる。他 強化用充填剤としては、本発明で規定した 外のガラス繊維、ミルドガラスファイバー ガラスビーズ、ガラスフレーク、シリカ、 ルミナ繊維、ジルコニア繊維、チタン酸カ ウム繊維、カーボン繊維、黒鉛、珪酸カル ウム、珪酸アルミニウム、カオリン、タル 、クレー等の珪酸塩、酸化鉄、酸化チタン 酸化亜鉛、酸化アンチモン、アルミナ等の 属酸化物、カルシウム、マグネシウム、亜 等の金属の炭酸塩や硫酸塩、さらには炭化 素、窒化珪素、窒化硼素等が例示され、有 充填剤としては、高融点の芳香族ポリエス ル繊維、液晶性ポリエステル繊維、芳香族 リアミド繊維、フッ素樹脂繊維、ポリイミ 繊維等が例示される。

 本発明の組成物の調製は、従来の樹脂組成 調製法として一般に用いられる設備と方法 より容易に調製される。例えば、各成分を 合した後、1軸又は2軸の押出機により練込 出してペレットを調製し、しかる後成形す 方法、一旦組成の異なるペレットを調製し そのペレットを所定量混合して成形に供し 形後に目的組成の成形品を得る方法、成形 に各成分の1又は2以上を直接仕込む方法等、 何れも使用できる。また、樹脂成分の一部を 細かい粉体としてこれ以外の成分と混合し添 加することは、これらの成分の均一配合を行 う上で好ましい方法である。 本発明の樹脂 成物の流動性は、一定のピストンフロー剪 速度下の条件のもとでの溶融粘度を指標と て反映させることができる。例えば、本発 の樹脂組成物の溶融粘度は、ISO11443に準拠 た温度260℃での剪断速度1000sec -1 において、200Pa・s以下、好ましくは170Pa・s以 下、さらに好ましくは150Pa・s以下(例えば、50 ~150Pa・s程度)とすることもできる。測定結果 、上記のようにPa・s単位で得られるが、数 の低いほうが溶融時の流動性に優れ、成形 の流動性に優れるとされる。

 なお、一般には、流動性の指標として、A STM D-1238で235℃、荷重2160gの条件で測定する ルトインデックスが用いられるが、メルト ンデックスの測定は一定荷重下での測定と り、樹脂によりピストンの剪断速度は異な てくる。これに対し、一定のピストンフロ の下での溶融粘度測定指標のほうが、実際 射出成形が一定のピストンフローで行われ ことを考慮すると、実際の流動特性により い指標であると考えられるため、本発明で このような一定剪断速度条件における溶融 度を流動性の指標とする。

 本発明の樹脂組成物は、前記のように溶 流動性に優れているため、成形加工性が良 であり、機械的強度や耐熱性の高い成形体 は成形品を製造するのに有用である。

 特に、厚みの薄い部位が存在する成形品 製造するのに好適である。例えば、通常の リブチレンテレフタレート樹脂の射出成形 の製造条件であるシリンダー温度260℃、金 温度80℃での射出成形において1mm以下の厚 の部位を有する射出成形品の成形が可能と る。例えば、100tの型締め力を有し、スクリ ー径がφ30mmの射出成形機で射出速度67mm/秒 の成形が可能である。

 1mm厚みでの流動長が120mm以上であること 求められる場合があり、本発明の樹脂組成 であれば120mm以上の流動長も可能となる。

 成形品の一部に1mm以下の厚みの部位を有 る薄肉成形品としては、スイッチ、コンデ サー、コネクター、集積回路(IC)、リレー、 抵抗器、発光ダイオード(LED)、コイルボビン 電子機器、携帯端末、ECU、各種センサー、 ワーモジュール、ギア部品及びそれらの周 機器又はそのハウジング又はシャーシ等が 示される。

 樹脂を金型に充填するための成形法として 、射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー 形、真空成形、回転成形、ガスインジェク ョンモールディング等が適用可能であるが 射出成形が一般的である。
実施例

 以下実施例により本発明をさらに詳しく 明するが、本発明はこれらに限定されるも ではない。

実施例1~7、比較例1~6
 各樹脂組成物を表1、2に示す混合比率でド イブレンドし、30mmφのスクリューを有する2 押出機((株)日本製鋼製)を用いて、シリンダ ー設定温度250℃で溶融混練したのちペレット 化し、試験片を作成し、各評価を行った。結 果を表1、2に示す。

 また、使用した成分の詳細、物性評価の測 法は以下の通りである。
(A)ポリエステル樹脂
 (A-1)ポリブチレンテレフタレート(固有粘度I V=0.69dL/g、ウィンテックポリマー(株)製)
 (A-2)イソフタル酸変性ポリエチレンテレフ レート(イソフタル酸12.0モル%変性、固有粘 IV=0.80dL/g、(株)ベルポリエステルプロダクツ )
 (A-3)イソフタル酸変性ポリブチレンテレフ レート(固有粘度IV=0.65dL/g)
 テレフタル酸と1,4-ブタンジオールとの反応 において、テレフタル酸の一部(12.5モル%)に えて、共重合成分としてのジメチルイソフ ル酸12.5モル%を用いた変性ポリブチレンテレ フタレート
(B)ガラス繊維
 (B-1) ;扁平な断面形状を有するガラス繊維( 径・短径比:4、平均断面積196μm 2 、日東紡(株)製)
 (B '-1) ;一般的な円形断面形状を有するガ ス繊維(長径・短径比:1、平均断面積133μm 2 、日本電気ガラス(株)製)
(C)グリセリン脂肪酸エステル
 (C-1)グリセリンモノステアレート(水酸基価3 30、花王(株)製「エレクトロストリッパーTS-5 )
 (C-2)グリセリンモノベヘネート(水酸基価300 理研ビタミン(株)製「リケマールB-100」)
 (C-3)トリグリセリンステアリン酸部分エス ル(水酸基価280、理研ビタミン(株)製「リケ ールAF-70」)
 (C-4)デカグリセリンラウリン酸部分エステ (水酸基価600、理研ビタミン(株)製「ポエムL- 021」)
 (C'-1)グリセリントリステアレート(水酸基価 87、理研ビタミン(株)製「ポエムS-95」)
 尚、(C)グリセリン脂肪酸エステルの水酸基 は、油化学協会法2,4,9,2-71水酸基価(ピリジ ・無水酢酸法)により測定した。

 また、実施例7については、表中の組成に 更に第一リン酸カルシウムを0.15重量部添加 ている。

<引張強さ>
 得られたペレットを140℃で3時間乾燥後、成 形機シリンダー温度260℃、金型温度80℃で、 出成形により引張試験片を作製し、ISO-527( 験片厚み4mm)に準じて測定した。
<シャルピー衝撃強さ>
 得られたペレットを140℃で3時間乾燥後、成 形機シリンダー温度260℃、金型温度80℃で、 出成形によりシャルピー衝撃試験片を作製 、ISO-179(試験片厚み4mm)に準じて測定した。
<溶融粘度>
 得られたペレットを140℃で3時間乾燥後、キ ャピログラフ1B(東洋精機製作所社製)を用い 、ISO11443に準拠して、炉体温度260℃、キャピ ラリーφ1mm×20mmLにて、剪断速度1000sec -1 にて測定した。数値の低いほうが溶融時の流 動性に優れ、成形時の流動性に優れる。
<流動性>
 下記基準で厚さ1mmの流動長さを測定した。
評価成形品;厚さ1mm×幅20mmのスパイラルフロ
成形機;FANUC S2000i-100B(スクリュー径φ30mm)
シリンダー温度;260-260-260-230℃
金型温度;80℃
射出圧力;98MPa 
射出速度;67mm /秒
<そり変形>
 下記基準で平板の平面度を測定した。
評価成形品;50mm×50mm×厚さ1mmの平板
成形機;FANUC ROBOSHOTα-100Ia
シリンダー温度;260-260-240-220℃
金型温度;80℃
射出圧力;69MPa
平面度測定機;CNC画像測定機クイックビジョ QVH404(ミツトヨ社製)
 平面度測定法は平板上の9点(縦横3×3点)にて 測定した。