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Patent Searching and Data


Title:
POLYESTER-BASED MASKING SHEET
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/142272
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a polyester-based masking sheet having a base material and an adhesive layer established on said base material.  Said adhesive layer includes polyester resin, obtained by the polycondensation of dicarboxylic acid of vegetable origin and diol of vegetable origin in proportions of from 1.01 to 1.40 mol diol hydroxyl group per 1.00 mol dicarboxylic acid carboxyl group, and tackifier in an amount of from 10 to 50 parts by weight per 100 parts by weight of said polyester resin. The adhesive layer is crosslinked with a crosslinking agent and has a gel fraction from 40 to 90%.

Inventors:
YOSHIE SATOMI
TAKAHIRA HITOSHI
Application Number:
PCT/JP2009/059375
Publication Date:
November 26, 2009
Filing Date:
May 21, 2009
Export Citation:
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Assignee:
NITTO DENKO CORP (JP)
YOSHIE SATOMI
TAKAHIRA HITOSHI
International Classes:
C09J7/38; C09J11/08; C09J167/02; C09J175/04
Foreign References:
JP2008013593A2008-01-24
JPS63132986A1988-06-04
JPS6250378A1987-03-05
JP2007191656A2007-08-02
JP2007308626A2007-11-29
JPH10158596A1998-06-16
JPH02151427A1990-06-11
JP2008133679A2008-06-12
Other References:
See also references of EP 2280048A4
Attorney, Agent or Firm:
HASHIMOTO Kimihide et al. (JP)
Kimihide Hashimoto (JP)
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Claims:
 基材、および
 前記基材上に設けられ、植物由来のジカルボン酸と植物由来のジオールとをジカルボン酸に含まれるカルボキシル基1.00モルに対しジオールに含まれる水酸基が1.01~1.40モルとなる割合で縮合重合させて得られるポリエステル樹脂と、前記ポリエステル樹脂100重量部に対し10~50重量部となる量の粘着付与剤とを含有し、架橋剤により架橋処理され、ゲル分率が40~90%である粘着剤層
 を含むポリエステル系マスキングシート。
 植物由来のジカルボン酸がダイマー酸であり、植物由来のジオールがダイマージオールである請求項1に記載のポリエステル系マスキングシート。
 粘着付与剤が植物由来の材料を主成分としたものである請求項1または2に記載のポリエステル系マスキングシート。
 粘着付与剤が、ロジン系樹脂もしくはテルペン系樹脂から選ばれる少なくとも1つである請求項1~3のいずれかに記載のポリエステル系マスキングシート。
 架橋剤がポリイソシアネート化合物である請求項1~4のいずれかに記載のポリエステル系マスキングシート。
 架橋剤の含有量が、ポリエステル樹脂100重量部に対して2~13重量部である請求項1~5のいずれかに記載のポリエステル系マスキングシート。
 ポリエステル樹脂の重量平均分子量が、1万~20万である請求項1~6のいずれかに記載のポリエステル系マスキングシート。
 基材が、多孔性の基材である請求項1~7のいずれかに記載のポリエステル系マスキングシート。
Description:
ポリエステル系マスキングシー

 本発明は、基材上に粘着剤層を有するマ キングシートに関し、より詳しくは粘着剤 の有効成分として地球環境にやさしい植物 来材料を原料成分としたポリエステル樹脂 使用したポリエステル系マスキングシート 関する。

 マスキングシートは、被着体に貼り付け 使用されたのちは、剥離されて廃棄処理さ る。これまで、この種のマスキングシート は粘着剤層の有効成分として石油由来であ アクリル系の材料が主に用いられてきた(特 許文献1)。

日本国特開平10-158596号公報

 上記従来のマスキングシートは、石油由来 料のため、石油枯渇のおそれがあり、また 用後の廃棄処理に二酸化炭素を排出してい 。つまり、石油枯渇や産廃時の二酸化炭素 出の点より地球環境への配慮はなされてい かった。
 昨今、化石資源の枯渇や地球の温暖化対策 して環境への配慮が求められ、再生可能な 料である植物由来材料の使用が推奨され始 ている。

 本発明は、このような事情に照らし、粘 剤層の有効成分として、化石資源(石油資源 を含む)を用いず、化石資源の枯渇や二酸化 素排出の問題のない、地球環境にやさしい 物由来材料を用いたバイオマスマスキング ートを提供すること、また、被着体および 背面に対する粘着力を維持しつつも、高速 巻き戻す際の負担を軽減することを可能と 、さらに高温で使用した場合も糊残りや汚 なく剥離することが可能である、高性能の イオマスマスキングシートを提供すること 課題とする。

 本発明者らは、上記の課題に対し、鋭意 討した結果、基材上に化石資源の枯渇に影 されない植物由来材料を原料成分としたポ エステル樹脂を有効成分とし、これに粘着 与剤を含ませ、架橋剤により架橋処理して ル分率を適正範囲に設定した粘着剤層を設 ることにより、被着体および自背面に対す 粘着力を維持しつつも、高速でテープを巻 戻す際の負担を軽減でき、また高温で使用 た場合も糊残りや汚染なく剥離でき、剥離 た廃棄物は上記植物由来材料により二酸化 素排出の問題のない、地球環境にやさしい 性能のバイオマスマスキングシートとなる とを見出し、本発明を完成した。

 すなわち、本発明は、以下の(1)~(8)に関する 。
(1)基材、および
 前記基材上に設けられ、植物由来のジカル ン酸と植物由来のジオールとをジカルボン に含まれるカルボキシル基1.00モルに対しジ オールに含まれる水酸基が1.01~1.40モルとなる 割合で縮合重合させて得られるポリエステル 樹脂と、前記ポリエステル樹脂100重量部に対 し10~50重量部となる量の粘着付与剤とを含有 、架橋剤により架橋処理され、ゲル分率が4 0~90%である粘着剤層
 を含むポリエステル系マスキングシート。
(2)植物由来のジカルボン酸がダイマー酸であ り、植物由来のジオールがダイマージオール である(1)に記載のポリエステル系マスキング シート。
(3)粘着付与剤が植物由来の材料を主成分とし たものである(1)または(2)に記載のポリエステ ル系マスキングシート。
(4)粘着付与剤が、ロジン系樹脂もしくはテル ペン系樹脂から選ばれる少なくとも1つであ (1)~(3)のいずれかに記載のポリエステル系マ キングシート。
(5)架橋剤がポリイソシアネート化合物である (1)~(4)のいずれかに記載のポリエステル系マ キングシート。
(6)架橋剤の含有量が、ポリエステル樹脂100重 量部に対して2~13重量部である(1)~(5)のいずれ に記載のポリエステル系マスキングシート
(7)ポリエステル樹脂の重量平均分子量が、1 ~20万である(1)~(6)のいずれかに記載のポリエ テル系マスキングシート。
(8)基材が、多孔性の基材である(1)~(7)のいず かに記載のポリエステル系マスキングシー 。
 なお、本発明における「ポリエステル系マ キングシート」には、通常幅広のシート状 だけでなく、通常幅狭のテープ状物も含ま 、その他、ラベル状物などの各種形態のマ キング製品が包含されるものである。

 このように、本発明は、基材上に、植物由 材料を原料成分としたポリエステル樹脂を 効成分とし、これに粘着付与剤を加えて、 橋剤により架橋処理して特定範囲のゲル分 を有する粘着剤層を設けたことにより、化 資源の枯渇に影響されず、使用後廃棄処理 る場合に植物由来材料を用いているため二 化炭素を排出してもカーボンニュートラル 実現できる、地球環境にやさしいポリエス ル系マスキングシートを提供できる。また のマスキングシートは、高性能のマスキン シートとして、被着体および自背面に対す 粘着力を維持しつつも、高速で巻き戻す際 負担を軽減することを可能とし、さらに高 で使用した場合も糊残りや汚染なく剥離す ことが可能である。
 また、このポリエステル系マスキングシー は、上記のポリエステル樹脂を有効成分と た粘着剤の調製に際し、D相乳化〔水と多価 アルコールを含んだ界面活性剤相(D相)に油成 分としての上記樹脂を分散させてO/D型のゲル エマルションとし、このゲルエマルションに 水を加えてO/W型のエマルションとする〕など によりエマルション化することが可能であり 、これによりVOC(Voratile Organic Compounds)対策も 可能で、脱有機溶剤化にも寄与することがで きる。

 本発明におけるポリエステル樹脂は、原料 分(モノマー成分)として植物由来のジカル ン酸と植物由来のジオールとを使用し、こ らの原料成分を縮合重合させることにより られるものである。
 上記の縮合重合は、常法により、有機溶剤 使用して行ってもよいし、減圧下無溶剤で ってもよい。縮合重合反応に際して、テト -n一ブチルチタネート、テトライソプロピ チタネート、三酸化アンチモン、ブチルス オキシドなどの金属化合物などの適宜の触 を用いて行うことができる。

 植物由来のジカルボン酸としては、植物由 であれば特に限定されないが、ヒマシ油由 のセバシン酸やオレイン酸などからつくら るダイマー酸などが挙げられる。このよう ジカルボン酸は2種以上を併用することもで きる。
 また、植物由来のジオールとしては、植物 来であれば特に限定されないが、ヒマシ油 ら誘導される脂肪酸エステルやオレイン酸 どからつくられるダイマージオールなどが げられる。このようなジオールは2種以上を 併用することもできる。
 なお、植物由来のジカルボン酸と植物由来 ジオールとは別に、植物由来でないジカル ン酸やジオールを併用することもできる。 だし、これら植物由来でないジカルボン酸 ジオールは、原料成分全体の30重量%以下、 ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10 量%以下、最も好ましくは5重量%以下である がよい。

 ジカルボン酸とジオールとの縮合重合は、 カルボン酸に含まれるカルボキシル基1.00モ ルに対して、ジオールに含まれる水酸基が1.0 1~1.40モル、特に1.02~1.30モルとなる割合で反応 させるのが望ましい。
 水酸基が1.01モルより少ないと、縮合重合し て得られるポリエステル樹脂の分子末端の水 酸基が少なくなり、架橋剤による架橋処理が 難しくなり、ゲル分率を適正範囲に調整しに くくなる。また、水酸基が1.40モルより多く ると、分子量が低くなり架橋剤による架橋 理でゲル化させるのが難しくなる。
 このような縮合重合により得られるポリエ テル樹脂は、重量平均分子量(Mw)が、通常1 ~20万の範囲にあるのが望ましい。

 本発明においては、上記のポリエステル樹 を粘着剤の有効成分として、これに粘着付 剤とさらに架橋剤を配合して、粘着剤を調 する。
 粘着剤の調製は、有機溶剤を用いて行って よいし、無溶剤下で行ってもよい。また、 に乳化分散させたエマルション型の粘着剤 してもよく、乳化分散を容易とするため、D 相乳化によるエマルション化を利用してもよ い。
 D相乳化では、水と多価アルコールを含んだ 界面活性剤相(D相)に油成分として上記樹脂を 分散させてO/D型のゲルエマルションとし、こ のゲルエマルションに水を加えてO/W型のエマ ルションとする。粘着付与剤や架橋剤は上記 樹脂と一緒に添加してもよいし、上記エマル ションを得たのちに配合してもよい。D相乳 によれば、VOC対策が可能となり、脱有機溶 化に寄与することができる。

 粘着付与剤には、従来公知のものを広く使 することができるが、植物由来の材料を主 分としたものが望ましい。このような粘着 与剤としては、例えば、ロジン系樹脂やテ ペン系樹脂などが挙げられる。上記粘着付 剤は、単独で、又は2種以上を組み合わせて 使用することができる。
 ロジン系樹脂には、ロジン、重合ロジン、 添ロジン、ロジンエステル、重合ロジンエ テル、水添ロジンエステル、ロジンフェノ ル樹脂などがある。また、テルペン系樹脂 は、テルペン樹脂、テルベンフェノール樹 、芳香族変性テルペン樹脂などがある。

 粘着付与剤の量は、ポリエステル樹脂100重 部に対し、10~50重量部が好ましく、特に好 しくは15~45重量部であるのがよい。
 粘着付与剤の量が50重量部より多いと、粘 力が高くなりすぎ高温保持後の再剥離に際 糊残りや汚染の問題があり、また再剥離が しくなる。また、粘着付与剤の量が10重量部 より少ないと、自背面に対する粘着力が低く なり、ロール状にした際に剥がれが起きるな どの不具合を生じやすい。

 架橋剤には、ポリエステル樹脂の分子内に まれる官能基(カルボキシル基、水酸基など )と反応して上記樹脂を架橋構造化しうる多 能性化合物が用いられる。
 このような架橋剤としては、従来公知のも を使用することができる。例えば、多価イ シアヌレート、多官能性イソシアネート化 物、多官能性メラミン化合物、多官能性エ キシ化合物、多官能性オキサゾリン化合物 多官能性アジリジン化合物、金属キレート 合物などを挙げることができる。これらの 橋剤の申でも、汎用性のある多価イソシア レートや多官能性イソシアネート化合物が ましい。

 多価イソシアヌレートとしては、ヘキサ チレンジイソシアネートのポリイソシアネ ト体を挙げることができる。例えば、市販 として、商品名「コロネートHX」(日本ポリ レタン社製)、商品名「コロネートHK」(日本 ポリウレタン社製)、商品名「コロネート2096 (日本ポリウレタン社製)、商品名「デュラ ートTPA-100」(旭化成ケミカルズ社製)などが げられる。

 多官能性イソシアネート化合物としては、 子中に少なくとも3個以上(3官能)のイソシア ネート基を有する化合物であることが必要で あるが、必要に応じて2個(2官能)のものを併 することもできる。
 具体的には、脂肪族ポリイソシアネート類 脂環族ポリイソシアネート類、芳香族ポリ ソシアネート類およびこれらの二量体や三 体を挙げることができる。

 脂肪族ポリイソシアネート類としては、1 ,2-テトラメチレンジイソシアネート、1,3-テ ラメチレンジイソシアネート、1,4-テトラメ レンジイソシアネートなどのテトラメチレ ジイソシアネート;1,2-ヘキサメチレンジイ シアネート、1,3-ヘキサメチレンジイソシア ート、1,4-ヘキサメチレンジイソシアネート 、1,5-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,6- キサメチレンジイソシアネート、2,5-ヘキサ メチレンジイソシアネートなどのヘキサメチ レンジイソシアネート;その他、1,2-エチレン イソシアネート、2-メチル-1,5-ペンタンジイ ソシアネート、3-メチル-1,5-ペンタンジイソ アネート、リジンジイソシアネートなどを げることができる。

 脂環族ポリイソシアネート類としては、1 ,2-シクロペンチルジイソシアネート、1,3-シ ロペンチルジイソシアネートなどのシクロ ンチルジイソシアネート;1,2-シクロヘキシル ジイソシアネート、1,3-シクロヘキシルジイ シアネート、1,4-シクロヘキシルジイソシア ートなどのシクロヘキシルジイソシアネー ;イソホロンジイソシアネート、ノルボネン ジイソシアネート、水素添加トリレンジイソ シアネート、水素添加キシリレンジイソシア ネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシ アネート、水素添加テトラメチルキシレンジ イソシアネート、4,4´-ジシクロヘキシルメタ ンジイソシアネートなどを挙げることができ る。

 芳香族ポリイソシアネート類としては、2 ,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレン イソシアネート、1,4-キシリレンジイソシア ート、1,3-キシリレンジイソシアネート、4,4 ´-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4´- ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2´-ジ フェニルメタンジイソシアネート、4,4´-ジフ ェニルエーテルシイソシアネート、2-ニトロ フェニル-4,4´-ジイソシアネート、2,2´-ジフ ェニルプロパン-4,4´-ジイソシアネート、3,3´ -ジメチルジフェニルメタン-4,4´-ジイソシア ート、4,4´-ジフェニルプロパンジイソシア ート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フ ェニレンジイソシアネート、ナフチレン-1,4- イソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシ ネート、3,3´-ジメトキシジフェニル-4,4´-ジ ソシアネートなどを挙げることができる。

 ポリイソシアネート類の二量体や三量体 しては、ジフェニルメタンジイソシアネー の二量体や三量体、トリメチロールプロパ とトリレンジイソシアネートとの反応生成 、トリメチロールプロパンとヘキサメチレ ジイソシアネートとの反応生成物、ポリメ レンポリフェニルソシアネート、ポリエー ルポリイソシアネート、ポリエステルポリ ソシアネートなどの重合物などを挙げるこ ができる。これらは、市販品を使用するこ もでき、例えば、トリメチロールプロパン トリレンジイソシアネートの三量体付加物 して、商品名「コロネートL」(日本ポリウ タン社製)や、トリメチロールプロパンとヘ サメチレンジイソシアネートの三量体付加 として、商品名「コロネートHL」(日本ポリ レタン社製)などを挙げることができる。

 多官能性メラミン化合物としては、メチル メチロールメラミン、ブチル化ヘキサメチ ールメラミンなどを挙げることができる。
 多官能性エポキシ化合物としては、ジグリ ジルアニリン、グリセリンジグリシジルエ テルなどを挙げることができる。

 架橋剤の量は、架橋処理後のゲル分率が特 範囲となるように、架橋剤の種類に応じて 宜選択することができる。
 例えば、ポリイソシアネート化合物では、 リエステル樹脂(原料成分であるジカルボン 酸とジオールとの合計量)100重量部あたり、2~ 13重量部とするのが好ましく、特に好ましく 2~12重量郡である。このような便用量とする ことにより、適度な架橋結合が形成されて、 粘着力と保持性(凝集力)とを両立する、すぐ た粘着特性が得られ、透明性などにも好結 が得られやすい。
 なお、ゲル分率を効率良く得るため、架橋 と共に適宜の触媒を用いることができる。 えば、テトラ-n-ブチルチタネート、テトラ ソプロピルチタネート、ブチルスズオキシ 、ジオクチルスズジラウレートなどが用い れる。

 本発明においては、このように調製され 粘着剤を基材上に塗布し、通常60~120℃の温 で基材の種類に応じた所定時間乾燥して、 た、この乾燥と同時またはその後に架橋処 して、基材上に厚さが通常5~100μm、好まし は10~80μmの範囲にある架橋処理した粘着剤層 を有するポリエステル系マスキングシートを 得る。

 このポリエステル系マスキングシートにお て、架橋処理した粘着剤層は、ゲル分率が4 0~90%、好ましくは60~80%であるのがよい。
 上記のゲル分率が90%より高いと、架橋密度 高くなりすぎて粘着力が低くなり固定が難 くなる。また、上記のゲル分率が40%より低 と、凝集力不足により固定が難しくなり、 た糊残りや汚染が発生しやすい。

 粘着剤層を設ける基材には、クラフト紙、 レープ紙、和紙などの繊維状物質からなる 、スフモス、ポリエステルなどからなる布 ポリスチレン、ポリプロピレンなどからな プラスチックフィルムなどが用いられる。
 これらの中でも、手で簡単に切れる(作業性 )、また粘着剤を吹き付けた際の粘着剤とテ プ背面との密着性の点から、多孔性の基材 あるのが望ましい。多孔性の基材となりう 材料としては、上記の繊維状物質からなる 材、特に叩解された木材パルプあるいはこ ら1種以上の合成短繊維を混抄してなる多孔 薄葉紙材が好ましく、このような紙材から る和紙が強度、伸びなどにすぐれる点で好 しい。

 上記の合成短繊維の材質には、例えば、ポ ビニルアルコール(例えばビニロン)、ポリ ミド(例えばナイロン)、ポリエステル、ポリ エチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、 ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ アクリロニトリルなどがある。
 特に、強度や伸度の向上、適度な剛性を付 できる点から、紙材に混抄される合成短繊 がビニロンであり、その混抄率が5%以上、 ましくは5~70%、さらに好ましくは15~50%である 多孔性薄葉紙材が好適に使用される。中でも 、このような多孔性薄葉紙材からなる和紙が 本発明の基材として最も好ましい。

 多孔性薄葉紙材の坪量は、特に限定されな が、通常15~80g/m 2 、好ましくは25~50g/m 2 であるのがよい。
 また、例えば、日本国特開平2-151427号公報 記載のように、和紙などの基材にゴムおよ /または合成樹脂を含浸させることにより、 離時に裂けや破断を防止することができる 上記のゴムや合成樹脂には、例えば、ブチ ゴム、天然ゴム、スチレン、ブタジエンゴ 、アクリル酸エステル共重合体などが用い れる。

 本発明のポリエステル系マスキングシー は、23℃におけるSUS板に対する粘着カが1.5~8 .0N/20mmであり、特に好ましくは2.0~7.0N/20mmであ る。上記の粘着力が1.5N/20mm未満では、被着体 に対する粘着力が十分でなく使用中に剥離す るおそれがある。また、上記の粘着カが8.0N/2 0mmを超えると、粘着力が強すぎ剥離する際に 糊残りや基材が破れるおそれがある。なお、 SUS板に対する粘着カは、実施例に記載の測定 方法により定義される。

 また、本発明のポリエステル系マスキン シートは、23℃での粘着剤層と自背面との 着力、つまり自背面粘着力が1.5N/20mm以上で り、特に好ましくは2.0N/20mm以上である。上 の自背面粘着力が1.5N/20mm未満であると、重 貼り特性が悪くなり、剥がれたりずれ落ち りなどの不具合が生じやすい。なお、自背 粘着力は、実施例に記載の測定方法により 義される。

 さらに、本発明のポリエステル系マスキン シートは、23℃における自背面高速剥離粘 力、いわゆる巻き戻し力が1.0~8.0N/20mmであり 特に好ましくは2.0~7.0N/20mmである。
 上記の巻き戻し力が1.0N/20mm未満では、巻き し力が小さすぎて所定長さ以上に巻き戻っ り、何かの拍子で自重によりテープが巻き る現象が生じやすい。また、上記の巻き戻 力が8.0N/20mmを超えると、巻き戻し力が大き ぎて作業性が悪く、また巻き戻し時にテー が切れるなどの不具合が生じやすい。なお 自背面高速剥離粘着力は、実施例に記載の 定方法により定義される。

 本発明のポリエステル系マスキングシート 、自背面定荷重剥離試験(実施例参照)にお て落下せず、そのずれ距離が60mm以下という 能を備えている。本試験で落下すると巻き し力が軽すぎ、作業性に劣るという不具合 ある。
 また、本発明のポリエステル系マスキング ートは、高温(例えば130℃)で保持した場合 も、糊残りや汚染なく再剥離できるという 能を備えている。

 本発明のポリエステル系マスキングシート 、上記の諸性能を有していることにより、 動車の塗装時のマスキング時に使用される スキング用テープ、養生用テープ、保護フ ルムテープなどとして有用であり、その他 マスキングシートとして知られる各種の用 に有利に利用することができる。
 これらの用途目的で使用したのち、被着体 ら剥離したマスキングシートは、粘着剤層 植物由来材料からなるため、これを廃棄処 した場合二酸化炭素を排出してもカーボン ュートラルを実現でき、地球環境に悪影響 及ぼすことはない。

 つぎに、本発明の実施例を記載して、よ 具体的に説明する。なお、以下において、 とあるのは重量部を意味する。また、以下 実施例および比較例で使用したポリエステ 樹脂A~Eは、下記の方法で製造したものであ 。

<ポリエステル樹脂Aの製造>
 三つ口セパラブルフラスコに攪拌機、温度 、真空ポンプを付し、これにダイマー酸(商 品名「プリポール1009」Mw567 ユニケマ社製)110 .7g、ダイマージオール(商品名「プリポール20 33」Mw537 ユニケマ社製)100g、触媒としてチタ テトライソプロポキシド(キシダ化学社製)0. 532gを仕込み、減圧雰囲気で撹拌しながら200 まで昇温し、この温度を保持した。約3時間 応を続けてポリエステル樹脂Aを得た。重量 平均分子量Mwは3万であった。なお、上記のダ イマー酸とダイマージオールとの使用量は、 ダイマー酸に含まれるカルボキシル基1.00モ に対して、ダイマージオールに含まれる水 基が0.95モルとなる割合であった。

<ポリエステル樹脂Bの製造>
 ダイマー酸の使用量を104.9gに変更し、ダイ ージオールの使用量は100gのままとした以外 は、ポリエステル樹脂Aの場合と同様にして ポリエステル樹脂Bを得た。重量平均分子量M wは8.5万であった。なお、上記のダイマー酸 ダイマージオールとの使用量は、ダイマー に含まれるカルボキシル基1.00モルに対して ダイマージオールに含まれる水酸基が1.01モ ルとなる割合であった。

<ポリエステル樹脂Cの製造>
 ダイマー酸の使用量を100.9gに変更し、ダイ ージオールの使用量は100gのままとした以外 は、ポリエステル樹脂Aの場合と同様にして ポリエステル樹脂Cを得た。重量平均分子量M wは5.5万であった。なお、上記のダイマー酸 ダイマージオールとの使用量は、ダイマー に含まれるカルボキシル基1.00モルに対して ダイマージオールに含まれる水酸基が1.05モ ルとなる割合であった。

<ポリエステル樹脂Dの製造>
 ダイマー酸の使用量を88.3gに変更し、ダイ ージオールの使用量は100gのままとした以外 、ポリエステル樹脂Aの場合と同様にして、 ポリエステル樹脂Dを得た。重量平均分子量Mw は2万であった。なお、上記のダイマー酸と イマージオールとの使用量は、ダイマー酸 含まれるカルボキシル基1.00モルに対して、 イマージオールに含まれる水酸基が1.20モル となる割合であった。

<ポリエステル樹脂Eの製造>
 ダイマー酸の使用量を73.1gに変更し、ダイ ージオールの使用量は100gのままとした以外 、ポリエステル樹脂Aの場合と同様にして、 ポリエステル樹脂Eを得た。重量平均分子量Mw は1万であった。なお、上記のダイマー酸と イマージオールとの使用量は、ダイマー酸 含まれるカルボキシル基1.00モルに対して、 イマージオールに含まれる水酸基が1.45モル となる割合であった。

実施例1
 ポリエステル樹脂C100部に、架橋剤としてヘ キサメチレンジイソシアネート(商品名「TPA-1 00」、旭化成ケミカルズ社製)2部、粘着付与 として重合ロジンエステル〔商品名「リカ ックPCJ」、(株)理化ファインテク 徳島製〕2 0部を配合し、粘着剤を調製した。
 これを、坪量30g/m 2 の紙基材(日本紙パピリア社製「AC-30G」)に乾 後の厚さが40μmとなるように塗布し、100℃ 3分乾燥した。
 乾燥後、剥離処理を施したポリエチレンテ フタレート(PET)シートの剥離処理面を貼り わせ、エージングを50℃で5日問実施し、架 処理した粘着剤層を有するポリエステル系 スキングシートを作製した。

実施例2
 架橋剤の配合量をポリエステル樹脂C100部に 対し4部とした以外は、実施例1と同様にして 着剤を調製し、ポリエステル系マスキング ートを作製した。

実施例3
 架橋剤の配合量をポリエステル樹脂C100部に 対し10部とした以外は、実施例1と同様にして 粘着剤を調製し、ポリエステル系マスキング シートを作製した。

実施例4
 ポリエステル樹脂C100部に代え、ポリエステ ル樹脂B100部を使用した以外は、実施例2と同 にして粘着剤を調製し、ポリエステル系マ キングシートを作製した。

実施例5
 ポリエステル樹脂C100部に代え、ポリエステ ル樹脂D100部を使用した以外は、実施例2と同 にして粘着剤を調製し、ポリエステル系マ キングシートを作製した。

実施例6
 粘着付与剤の配合量をポリエステル樹脂C100 部に対し10部とした以外は、実施例2と同様に して粘着剤を調整し、ポリエステル系マスキ ングシートを作製した。

実施例7
 粘着付与剤の配合量をポリエステル樹脂C100 部に対し40部とした以外は、実施例2と同様に して粘着剤を調製し、ポリエステル系マスキ ングシートを作製した。

比較例1
 粘着付与剤を配合しなかった以外は、実施 2と同様にして粘着剤を調製し、ポリエステ ル系マスキングシートを作製した。

比較例2
 粘着付与剤の配合量をポリエステル樹脂C100 部に対し60部とした以外は、実施例2と同様に して粘着剤を調製し、ポリエステル系マスキ ングシートを作製した。

比較例3
 ポリエステル樹脂C100部に代え、ポリエステ ル樹脂A100部を使用した以外は、実施例2と同 にして粘着剤を調製し、ポリエステル系マ キングシートを作製した。

比較例4
 ポリエステル樹脂C100部に代え、ポリエステ ル樹脂E100部を使用した以外は、実施例2と同 にして粘着剤を調製し、ポリエステル系マ キングシートを作製した。

比較例5
 架橋剤の配合量をポリエステル樹脂C100部に 対し1部とした以外は、実施例1と同様にして 着剤を調製し、ポリエステル系マスキング ートを作製した。

比較例6
 架橋剤の配合量をポリエステル樹脂C100部に 対し15部とした以外は、実施例1と同様にして 粘着剤を調製し、ポリエステル系マスキング シートを作製した。

 以上の実施例1~7および比較例1~6の各ポリ ステル系マスキングシートに関し、粘着剤 のゲル分率、SUS板粘着力、自背面粘着力、 背面高速剥離試験、自背面定荷重剥離試験 よび高温剥離試験を、下記の方法により測 し、これらの結果を、下記の表1~表4にまと て示した。なお、各表には、使用した粘着 の組成(ポリエステル樹脂の種類および原料 成分の水酸基/カルボキシル基比、ポリエス ル樹脂、粘着付与剤および架橋剤の使用部 )を併記した。

<粘着剤層のゲル分率>
 測定片として粘着付与剤を配合せずにその は各実施例および比較例と同様のサンプル 作製した厚さ50μmのシートを5cm×5cm角に切り 出した。
 切り出したサンプルを、重さがわかってい ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートで み重量を秤量し、トルエン中に23℃で7日間 置して、サンプル中のゾル分を抽出した。 の後、130℃で2時間乾燥し、乾燥後の重量を 秤量した。ゲル分率は、下記の式にて算出し た。
 ゲル分率(%)=〔(乾燥後の重量-PTEFシート重量 )/(乾燥前の重量-PTFEシート重量)〕×100

<SUS板粘着力>
 ポリエステル系マスキングシート(幅20mmに ット)の粘着剤層面をSUS304板に2kgローラー1往 復にて粘着させ、引張圧縮試験機(ミネベア 製「TG-1kN」)にて、180°ピール接着力(粘着力) (N/20mm)(剥離速度:300mm/分、温度:23±2℃、湿度:6 5±5%RH)を測定した。

<自背面粘着力>
 ポリエステル系マスキングシートの粘着剤 面をSUS304板に貼り合わせ固定し、その基材 (自背面)に同じくポリエステル系マスキン シート(幅20mmにカット)の粘着剤層面を2kgロ ラー1往復にて粘着させ、30分置いたのち、 張圧縮試験機(ミネベア社製「TG-1kN」)にて、 180°ピール接着力(粘着力)(N/20mm)(剥離速度:300m m/分、温度:23±2℃、湿度:65±5%RH)を測定した。

<自背面高速剥離試験>
ポリエステル系マスキングシートの粘着剤層 面をSUS304板に貼り合わせ固定し、その基材面 (自背面)に同じくポリエステル系マスキング ート(幅20mmにカット)の粘着剤層面を2kgロー ー1往復にて粘着させ、30分置いたのち、引 圧縮試験機(ミネベア社製「TG-1kN」)にて、18 0°ピール接着力(粘着力)(N/20mm)(剥離速度:30m/ 、温度:23±2℃、湿度:65±5%RH)を測定した。

<自背面定荷重剥離試験>
 ポリエステル系マスキングシートの粘着剤 面をSUS304板に貼り合わせ固定し、その基材 (自背面)に同じくポリエステル系マスキン シート(幅20mm、長さ300mmにカット)の粘着剤層 面を500gローラー1往復にて粘着させ、30分置 たのち、40℃の条件下で30gの重りを直角にぶ ら下げ、1時間後、初期より剥離が進んだ距 を測定した。初期の接着部分の長さは200mmで ある。

<高温剥離試験>
 ポリエステル系マスキングシートを幅20mmに 切り出し、その粘着剤層面をアルミニウム板 に貼り合わせ、130℃の条件下で1時間エージ グする。サンプルを取り出し、放置冷却後 手で剥離を行い、糊残りや汚染などの有無 観察した。なお、剥離を行った際、糊残り 汚染などがない場合を“A”、糊残りや汚染 見られた場合を“B”と評価した。

 なお、上記の表3,4中、「測定不能」とは 「比較例1」では自背面に対する粘着力が低 すぎるために高速剥離試験において正確な値 が得られない状態を、「比較例4,5」では凝集 破壊により正確な値が得られない状態を、「 比較例6」では貼り合わせの時点で被着体か 剥がれ、測定ができない状態を、それぞれ している。

 以上の結果から明らかなように、実施例1~7 各ポリエステル系マスキングシートは被着 および自背面に対する粘着力を維持しつつ 、高速でテープを巻き戻す際の負担を軽減 ることができ、さらに高温剥離試験で糊残 や汚染などを生じることなく再剥離できる これに対して、比較例1~6の各ポリエステル マスキングシートは上記いずれかの特性に り、すべての特性を満足させることができ い。
 また、実施例1~7の各ポリエステル系マスキ グシートは、上記優れた特性に加えて粘着 層が植物由来であるため焼却処理してもCO 2 の増加の抑制を期待でき、地球環境にやさし いバイオマスマスキングシートとしての特徴 を有している。

 本発明を特定の態様を参照して詳細に説明 たが、本発明の精神と範囲を離れることな 様々な変更および修正が可能であることは 当業者にとって明らかである。
 なお、本出願は、2008年5月21日付けで出願さ れた日本特許出願(特願2008-133679)に基づいて り、その全体が引用により援用される。
 また、ここに引用されるすべての参照は全 として取り込まれる。

 本発明によれば、基材上に、植物由来材 を原料成分としたポリエステル樹脂を有効 分とし、これに粘着付与剤を加えて、架橋 により架橋処理して特定範囲のゲル分率を する粘着剤層を設けたことにより、化石資 の枯渇に影響されず、使用後廃棄処理する 合に植物由来材料を用いているため二酸化 素を排出してもカーボンニュートラルを実 できる、地球環境にやさしいポリエステル マスキングシートが提供される。




 
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