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Title:
POLYFLUOROALKADIENE MIXTURE AND METHOD OF MANUFACTURE THEREFOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/151109
Kind Code:
A1
Abstract:
A polyfluoroalkadiene mixture represented by the general formula CF3(CF2)nCF=CH(CF2)m+1CH=CH2 [Ia] and the general formula CF3(CF2)n+1CH=CF(CF2)mCH=CH2 [Ib] (wherein n is an integer from 0 to 5 and m is an integer from 0 to 6) is obtained and manufactured as a mixed fraction of products [Ia] and [Ib] by causing an organic basic compound to react with a polyfluoroalkayl iodide represented by the general formula CF3(CF2)n+1CH2(CF2)m+1(CH2CH2)I [II]. This polyfluoroalkadiene mixture is a compound in which the number of CF2 groups linked to a perfluoroalkyl group is 5 or less, and is effectively used as a copolymeric monomer in the manufacture of resinoid- or elastomer-inclusive fluorine-based copolymers that are the active ingredient in finishing agents, such as a water repellants and mold release agents, etc.

Inventors:
SATO KATSUYUKI (JP)
MURATA SEIICHIRO (JP)
IKEDA AKIHIKO (JP)
MURAI DAISUKE (JP)
MAEDA MITSURU (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/060731
Publication Date:
December 17, 2009
Filing Date:
June 12, 2009
Export Citation:
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Assignee:
UNIMATEC CO LTD (JP)
SATO KATSUYUKI (JP)
MURATA SEIICHIRO (JP)
IKEDA AKIHIKO (JP)
MURAI DAISUKE (JP)
MAEDA MITSURU (JP)
International Classes:
C07C21/19; C07C17/25; C08F214/18; C08F236/20
Foreign References:
JP2003246757A2003-09-02
JP2003221406A2003-08-05
Other References:
See also references of EP 2284145A4
Attorney, Agent or Firm:
YOSHIDA Toshio et al. (JP)
Toshio Yoshida (JP)
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Claims:
 一般式
   CF 3 (CF 2 ) n CF=CH(CF 2 ) m+1 CH=CH 2             〔Ia〕
および一般式
   CF 3 (CF 2 ) n+1 CH=CF(CF 2 ) m CH=CH 2             〔Ib〕
(ここで、nは0~5の整数であり、mは0~6の整数である)で表わされるポリフルオロアルカジエン混合物。
 一般式
   CF 3 (CF 2 ) n+1 CH 2 (CF 2 ) m+1 (CH 2 CH 2 )I            〔II〕
(ここで、nは0~5の整数であり、mは0~6の整数である)で表わされるポリフルオロアルキルアイオダイドに有機塩基性化合物を反応させ、生成物〔Ia〕および〔Ib〕の混合物留分として取得することを特徴とする請求項1記載のポリフルオロアルカジエン混合物の製造法。
 有機塩基性化合物がポリフルオロアルキルアイオダイドに対し1.95~2.5のモル比で用いられた請求項2記載のポリフルオロアルカジエン混合物の製造法。
 有機塩基性化合物が含窒素有機塩基性化合物である請求項2記載のポリフルオロアルカジエン混合物の製造法。
 含窒素有機塩基性化合物が1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕-7-ウンデセンである請求項4記載のポリフルオロアルカジエン混合物の製造法。
 含フッ素有機溶媒中で反応が行われる請求項4記載のポリフルオロアルカジエン混合物の製造法。
 含窒素有機塩基性化合物がトリエチルアミンである請求項4記載のポリフルオロアルカジエン混合物の製造法。
 テトラヒドロフラン溶媒中で反応が行われる請求項7記載のポリフルオロアルカジエン混合物の製造法。
 含フッ素エラストマーの共重合性単量体として用いられる請求項1記載のポリフルオロアルカジエン混合物。
 請求項9記載のポリフルオロアルカジエン混合物を共重合性単量体としてフッ素化オレフィン単量体と共重合反応させた含フッ素共重合体であるパーオキサイド架橋可能な含フッ素エラストマー。
 ポリフルオロアルカジエン混合物を共重合させた含フッ素共重合体がフッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン系共重合体である請求項10記載のパーオキサイド架橋可能な含フッ素エラストマー。
 フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン系共重合体がフッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体またはフッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-パーフルオロ(低級アルキルビニルエーテル)共重合体である請求項11記載のパーオキサイド架橋可能な含フッ素エラストマー。
Description:
ポリフルオロアルカジエン混合 およびその製造法

 本発明は、ポリフルオロアルカジエン混合 およびその製造法に関する。さらに詳しく 、C 6 以下パーフルオロアルキル基を有する化合物 であって、撥水撥油剤等の有効成分である含 フッ素共重合体の製造時に共重合性単量体と して用いられるポリフルオロアルカジエン混 合物およびその製造法に関する。

 パーフルオロアルキルアルコールのアクリ 酸誘導体、例えばCF 3 (CF 2 ) 7 CH 2 CH 2 OCOCH=CH 2 は、繊維用撥水撥油剤合成モノマーとして多 量に使用されている。また、そのアクリレー トの原料となるパーフルオロアルキルアルコ ールは、界面活性剤等として広く使用されて いる(特許文献1参照)。

 このように、パーフルオロアルキル基を構 単位として有する化合物は、繊維、金属、 ラス、ゴム、樹脂等の表面にこれを適用す ことによって、表面改質性、撥水撥油性、 汚性、離型性、レベリング性などを向上さ る効果のあることが一般に知られている。 の中でも、パーフルオロアルキル基の炭素 がC 8 ~C 12 である化合物(テロマー化合物)が上記の如き ましい性能を最も発現し易いので、C 8 のテロマー化合物が特に好んで使用されてい る。

 一方で、特にC 8 ~C 12 のパーフルオロアルキル基を有するテロマー 化合物は、環境中で生物的に分解され、生体 濃縮性、環境濃縮性の比較的高い化合物に変 化することが報告されており、処理工程での 暴露、廃棄物、処理基材等からの環境への放 出、拡散などが懸念されている。また、パー フルオロアルキル基の炭素数が14以上の化合 では、それの物理化学的性状から取扱いが 常に困難であり、殆ど使用はされていない が実情である。

 さらに、C 8 以上のパーフルオロアルキル基を有するテロ マー化合物にあっては、それの製造プロセス において、生体濃縮性の高いパーフルオロオ クタン酸類の発生や混入が避けられない。

 そのため、このようなテロマー化合物を製 している各社は、それの製造からの撤退やC 6 以下のパーフルオロアルキル基を有する化合 物への代替などを進めているが、パーフルオ ロアルキル基の炭素数が6以下の化合物では 処理基材表面での配向性が著しく低下し、 た融点、ガラス転移点等がC 8 化合物と比べて著しく低いため、温度、湿度 、応力、有機溶剤等の使用環境条件に大きな 影響を受け、そこに求められる十分な性能が 得られず、また耐久性などにも影響が出てく るようになる。

特公昭63-22237号公報

特開平10-130341号公報

特開昭63-308008号公報

特公昭58-4728号公報

特公昭54-1585号公報

 本発明の目的は、パーフルオロアルキル基 連続したCF 2 基の数が5以下の化合物であって、撥水撥油 、離型剤等の表面処理剤の有効成分となる 脂状またはエラストマー状含フッ素共重合 の製造に際し、共重合性単量体として有効 用いられるポリフルオロアルカジエン混合 およびその製造法を提供することにある。

 本発明によって、一般式
   CF 3 (CF 2 ) n CF=CH(CF 2 ) m+1 CH=CH 2             〔Ia〕
および一般式
   CF 3 (CF 2 ) n+1 CH=CF(CF 2 ) m CH=CH 2             〔Ib〕
(ここで、nは0~5の整数であり、mは0~6の整数で ある)で表わされるポリフルオロアルカジエ 混合物が提供される。かかるポリフルオロ ルカジエン混合物は、一般式
   CF 3 (CF 2 ) n+1 CH 2 (CF 2 ) m+1 (CH 2 CH 2 )I            〔II〕
(ここで、nは0~5の整数であり、mは0~6の整数で ある)で表わされるポリフルオロアルキルア オダイドに有機塩基性化合物を反応させ、 成物〔Ia〕および〔Ib〕の混合物留分として 得することによって製造される。

 本発明に係るポリフルオロアルカジエン 合物は、環境中へ放出されたときそれが容 にオゾン分解などされて、環境濃縮性、生 蓄積性の低い化合物へと分解され易い不飽 構造を有し、またその製造工程でパーフル ロアルキルカルボン酸等の環境負荷物質を 成させない。

 このような環境面ですぐれている本発明の リフルオロアルカジエン混合物は、C 8 テロマーと比較してC 6 以下のテロマーでは発現できないあるいは不 足している表面改質性、撥水撥油性、防汚性 、離型性、レベリング性などの性能面をも改 善できる含フッ素共重合体製造用の共重合性 単量体として、有効に使用することができる 。

 また、ポリフルオロアルカジエン混合物 フッ素化オレフィン単量体に共重合させて られた含フッ素共重合体は、含フッ素エラ トマーとしてパーオキサイド架橋が可能で る。

 本発明にかかるポリフルオロアルカジエン 合物は、一般式
   CF 3 (CF 2 ) n CH 2 (CF 2 ) m+1 (CH 2 CH 2 )I            〔II〕
       n:0~5
       m:0~6
で表わされるポリフルオロアルキルアイオダ イドに有機塩基性化合物を反応させ、脱HI化 応させると共に、-CF 2 CH 2 CF 2 -結合を脱HF化反応させることにより、生成物 〔Ia〕と〔Ib〕との混合物として製造される

 ここで化合物〔Ia〕および〔Ib〕の混合物と して形成されるのは、脱HI化反応と共に行わ る脱HF化反応において、メチレン鎖CH 2 のH原子とこれと前後の位置に結合している ルオロメチレン鎖CF 2 のいずれか一方のF原子との引き抜きが、前 で等価的に生ずるためである。また、生成 たポリフルオロアルカジエン混合物は、脱HF 化反応が等価的であるため、生成物〔Ia〕と Ib〕の生成割合はほぼ半々となる。これら 生成物〔Ia〕と〔Ib〕とは、極めて類似した 造異性体であるため、それぞれを分離して 定することはできないが、同等の反応性を するため、混合物のままそれを他の物質の 成原料として用いることができる。

 出発原料物質となるポリフルオロアルキ アイオダイドは、例えばn=3、m+1=5または3の 合物の場合、後記参考例に示される如き方 で得られる。

 また、ポリフルオロアルキルアイオダイド 、末端ヨウ素化ポリフルオロアルカンにエ レンを付加反応させることにより得られる 末端ヨウ素化ポリフルオロアルカンとして 、例えば次のような化合物が挙げられる。
   CF 3 (CF 2 )(CH 2 CF 2 )I
   CF 3 (CF 2 ) 2 (CH 2 CF 2 )I
   CF 3 (CF 2 ) 3 (CH 2 CF 2 )I
   CF 3 (CF 2 ) 4 (CH 2 CF 2 )I
   CF 3 (CF 2 )(CH 2 CF 2 )(CF 2 CF 2 )I
   CF 3 (CF 2 )(CH 2 CF 2 )(CF 2 CF 2 ) 2 I
   CF 3 (CF 2 ) 2 (CH 2 CF 2 )(CF 2 CF 2 )I
   CF 3 (CF 2 ) 2 (CH 2 CF 2 )(CF 2 CF 2 ) 2 I

 ポリフルオロアルキルアイオダイド
   CF 3 (CF 2 ) n+1 CH 2 (CF 2 ) m+1 (CH 2 CH 2 )I            〔II〕
すなわち
   CH 3 (CF 2 ) n+1 (CH 2 CF 2 )(CF 2 CF 2 ) p (CH 2 CH 2 )I   (ただし、m=2p)
は、一般式
   CF 3 (CF 2 ) n+1 (CH 2 CF 2 )(CF 2 CF 2 ) p I             〔A〕
で表わされる末端ヨウ素化化合物にエチレン を付加反応させることにより製造される。

 エチレンの付加反応は、上記化合物〔A〕 に過酸化物開始剤の存在下で加圧エチレンを 付加反応させることにより行われ、その付加 数は反応条件にもよるが、1以上、好ましく 1である。なお、反応温度は用いられる開始 の分解温度にも関係するが、反応は一般に 80~120℃で行われ、低温で分解する過酸化物 始剤を用いた場合には80℃以下での反応が 能である。過酸化物開始剤としては、第3ブ ルパーオキサイド、ジ(第3ブチルシクロヘ シル)パーオキシジカーボネート、ジセチル ーオキシジカーボネート等が、上記化合物 A〕に対して約1~5モル%の割合で用いられる

 ポリフルオロアルカンアイオダイド〔II〕 有機塩基性化合物を反応させ、脱ハロゲン 水素化反応させることにより、1-位の脱HI化 応およびパーフルオロアルキル基側のCH 2 基とそれに隣接する2つのCF 2 基のいずれかとの間の脱HF化反応が生じ、ポ フルオロアルカジエン〔Ia〕および〔Ib〕の 混合物を生成させる。

 有機塩基性化合物としては、例えばジエ ルアミン、トリエチルアミン、ピリジンま はその誘導体、ジエタノールアミン、トリ タノールアミン、1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0 -7-ウンデセン、ジアザビシクロノネン等の 窒素有機塩基性化合物、ナトリウムメトキ ド、ナトリウムエトキシド、カリウムメト シド等の1価金属アルコキシドが挙げられ、 好ましくは求核性の低い含窒素有機塩基性化 合物、特に好ましくは1,8-ジアザビシクロ〔5. 4.0〕-7-ウンデセンが用いられる。

 これらの有機塩基性化合物は、ポリフルオ アルカンアイオダイド〔II〕に対してモル で約0.1~10、好ましくは0.95~3.5、さらに好まし くは1.95~2.5の割合で用いられる。さらに好ま いモル比である1.95~2.5の割合で、1,8-ジアザ シクロ〔5.4.0〕-7-ウンデセンが含フッ素有 溶媒中で用いられた場合あるいはトリエチ アミンがテトラヒドロフラン溶媒中で用い れた場合には、専らポリフルオロアルカジ ン混合物〔Ia〕、〔Ib〕が、75%前後の収率で 成する。他の場合には生成物〔Ia〕、〔Ib〕 と共に、C 4 F 9 CH 2 (CF 2 ) 4 CH=CH 2 等が副生するが、これらの副生成物とは分留 による分離が可能である。有機塩基性化合物 の使用割合がこれよりも少ないと、所望の脱 ハロゲン化水素反応が円滑に進行せず、一方 これよりも多い使用割合で用いられると、有 機塩基性化合物の除去が困難となるばかりで はなく、副反応を誘発するなどの問題が生じ 、廃棄物量が増加することになる。

 脱ハロゲン化水素化反応は、無溶媒でも われるが、反応効率、発熱制御の観点から 水または有機溶媒の存在下で行うことが好 しい。有機溶媒としては、メタノール、エ ノール、プロパノール、イソプロパノール のアルコール類、ジエチルエーテル、1,4-ジ オキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル 類、アセトン、メチルエチルケトン、メチル イソブチルケトン等のケトン類、トルエン、 シクロヘキサン等の芳香族または脂環式炭化 水素類、アセトニトリル、N,N-ジメチルホル アミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメ チルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミ 、N-メチル-2-ピロリドン等の非プロトン性極 性溶媒、HCFC-225等のハイドロクロロフルオロ ーボン、ハイドロフルオロエーテル(例えば 、3M社製品ノベックHFE)等の含フッ素有機溶媒 が用いられる。

 水または有機溶媒は、ポリフルオロアル ンアイオダイド〔II〕に対して容積比で約0. 1~100、好ましくは約1~10、さらに好ましくは3~6 の割合で用いられる。ただし、溶媒量を多く しても反応効率に影響がみられないため、3~6 の容量比で用いることが好ましい。

 脱ハロゲン化水素化反応は、約-20~100℃、 好ましくは約-10~80℃で行われる。これよりも 高い温度では、副反応が進行し、構造不明な 副生成物が多量に発生する。反応圧力につい ては、減圧下、大気圧下、加圧下のいずれで もよく、反応装置の簡便性からは大気圧下で 行うことが好ましい。

 反応終了後静置分相する場合には、分液 れた有機層を水洗などにより有機塩基性化 物を除去した後、定法にしたがって蒸留な による精製を行い、目的物であるポリフル ロアルカジエン混合物を得ることができる 極性溶媒を用いるなどして静置分相しない 合には、溶媒を減圧下で留去した後、静置 相する場合と同様な処理が行われる。

 このようにして得られるポリフルオロアル ジエン混合物は、例えば一般式
   CX 2 =CXY
で表わされるフッ素化オレフィン単量体と共 重合させて含フッ素エラストマーを形成させ る。ここで、
   X:H、F
   Y:H、F、C n F 2n+1 (n:1~3)、O〔CF(Z)CF 2 O〕 m C n F 2n+1 (Z:F、CF 3 、n:1~3
     、m:0~5)
であり、X、Yは同一または異なり、その少な とも一つはF原子または含フッ素基である。

 ポリフルオロアルカジエン混合物が共重合 れる、上記一般式で示されるフッ素化オレ ィン単量体としては、例えばフッ化ビニリ ン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフル ロプロピレン、低級アルキルが炭素数1~3の ーフルオロ(低級アルキルビニルエーテル) 一般式CF 2 =CFO〔CF(CF 3 )CF 2 O〕 n CF 3 (n:1~5)で表わされるパーフルオロビニルエー ル等の少くとも一種が用いられ、具体的に フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン 重合体、フッ化ビニリデン-テトラフルオロ エチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合 、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレ -パーフルオロ(低級アルキルビニルエーテ )等のフッ化ビニリデン-テトラフルオロエチ レン系共重合体が好ましい含フッ素エラスト マーとして挙げられる。

 これらの含フッ素エラストマー中に約1.5モ %以下、好ましくは約0.02~0.5モル%の割合(仕 み全単量体に対して約5重量%以下、好ましく は約0.1~2重量%の割合)で共重合されるポリフ オロアルカジエン混合物は、それぞれが反 性の異なる2種類の不飽和結合を有する2官能 性単量体であり、ポリフルオロアルカジエン を共重合させない含フッ素エラストマーある いはポリフルオロアルカジエンの代りに一般 式CF 2 =CF〔OCF 2 CF(CF 3 )〕 m OCF 2 CF 2 O〔CF(CF 3 )CF 2 O〕 n CF=CF 2 (ただし、m+nは0~8の整数である)で表わされる の2官能性単量体を共重合させた含フッ素エ ラストマーと比較して、加硫物性および耐圧 縮永久歪特性にすぐれた含フッ素エラストマ ー架橋物を与えることができる。

 含フッ素エラストマー中に多官能性不飽 単量体を共重合させると、架橋物の耐圧縮 久歪特性が改善されることは従来から知ら ているが、この特性が改善される反面で、 橋物の加硫物性、特に破断時伸び特性の低 が避けられないという問題がみられる。こ 問題は、多官能性不飽和単量体の不飽和官 性基間の構造の変更(鎖長の調整)により改 させる可能性が考えられるが、耐圧縮永久 特性と加硫物性、特に伸び特性とは、トレ ドオフの関係にあり、これら両者の特性を 時に満足させることはできないが、本発明 係るポリフルオロアルカジエンの共重合は 得られる含フッ素エラストマーのこれら両 の特性の両立を可能としている。

 かかるポリフルオロアルカジエン混合物 共に、臭素基含有またはヨウ素基含有不飽 単量体化合物、好ましくは臭素基含有不飽 単量体化合物を、フルオロエラストマー中 5モル%以下、好ましくは約1モル%共重合させ ることができ、それによって得られるフルオ ロエラストマーの架橋特性、具体的には破断 時伸び、破断強度、耐圧縮永久歪特性などを さらに改善させることができる。

 臭素基含有不飽和単量体化合物としては、 えば臭化ビニル、2-ブロモ-1,1-ジフルオロエ チレン、パーフルオロアリルブロマイド、4- ロモ-1,1,2-トリフルオロブテン-1、4-ブロモ-3 ,3,4,4-テトラフルオロブテン-1、4-ブロモ-1,1,3, 3,4,4-ヘキサフルオロブテン-1、ブロモトリフ オロエチレン、4-ブロモ-3-クロロ-1,1,3,4,4-ペ ンタフルオロブテン-1、6-ブロモ-5,5,6,6-テト フルオロヘキセン-1、4-ブロモパーフルオロ テン-1、3,3-ジフルオロアリルブロマイド等 臭素化ビニル化合物または臭素化オレフィ を用いることができるが、好ましくは次の 般式で表わされるような臭素基含有ビニル ーテルが用いられる。
    BrRf-O-CF=CF 2
        BrRf:臭素基含有パーフルオロアル キル基
かかる臭素基含有ビニルエーテルとしては、 例えば BrCF 2 CF 2 OCF=CF 2 、BrCF 2 (CF 2 ) 2 OCF=CF 2 、BrCF 2 (CF 2 ) 3 OCF=CF 2 、CF 3 CFBr(CF 2 ) 2 OCF=CF 2 、BrCF 2 (CF 2 ) 4 OCF=CF 2 等が用いられる。

 また、ヨウ素含有不飽和単量体化合物と ては、ヨードトリフルオロエチレン、1,1-ジ フルオロ-2-ヨードエチレン、パーフルオロ(2- ヨードエチルビニルエーテル)、ヨウ化ビニ 等が用いられる。

 これらの臭素基含有またはヨウ素基含有不 和単量体化合物に代えて、あるいはそれと に、一般式R(Br) n (I) m  (ここで、Rは炭素数2~6の飽和フルオロ炭化 素基または飽和クロロフルオロ炭化水素基 あり、n、mは0.1または2であり、かつm+nは2で る)で表わされる含臭素および/またはヨウ 化合物を用い、これらの化合物の存在下で リフルオロアルカジエンと他のフッ素化オ フィン単量体との共重合反応を行うことが きる。これらの含臭素および/またはヨウ素 合物は周知の化合物であり、例えば特許文 2~5に記載されている。

 また、かかる化合物を用いることにより、 れらの化合物が連鎖移動剤として作用し、 成する含フッ素共重合体の分子量を調節す 働きをなし、また連鎖移動反応の結果とし 分子末端に臭素および/またはヨウ素原子が 結合した含フッ素共重合体が得られ、これら の部位は硬化部位を形成される。すなわち、 連鎖移動剤として、公知の一般式IC n F 2n Iで表わされるヨウ化物、例えばI(CF 2 ) 4 Iや一般式IC n F 2n Brで表わされるハロゲン化物、例えばIC(CF 2 ) 4 Br、I(CF 2 ) 2 Brを併せ用いた場合には、ハロゲン原子が分 末端に結合してなおラジカル的に活性な状 であるため、パーオキサイド架橋可能な架 点として利用できる利点もみられる。

 共重合反応は、水性乳化重合法または水 けん濁重合法によって行われる。水性乳化 合法では、水溶性過酸化物を単独であるい それと水溶性還元性物質とを組み合せたレ ックス系のいずれをも、反応開始剤系とし 用いることができる。水溶性過酸化物とし は、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カ ウム、過硫酸ナトリウム等が、また水溶性 元性物質としては、例えば亜硫酸ナトリウ 、亜硫酸水素ナトリウム等が用いられる。 の際、生成した水性乳化液の安定化剤とし 、pH調節剤(緩衝剤)、例えばリン酸一水素ナ トリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸 一水素カリウム、リン酸二水素カリウム等も 用いられる。

 乳化重合反応は、一般式 RfCOOM
          Rf:フルオロアルキル基
            パーフルオロアルキル基
            フルオロオキシアルキル基
            パーフルオロオキシアルキ ル基など
           M:アンモニウム塩、アルカリ 金属
で表わされる乳化剤の存在下で行われる。乳 化剤の使用量は、水に対して約0.1~20重量%、 ましくは約0.2~2重量%である。

 上記一般式で表わされる乳化剤としては、 のようなものが例示される。
  C 5 F 11 COONH 4                 C 5 F 11 COONa
  C 6 F 13 COONH 4                 C 6 F 13 COONH 4 Na
  C 6 HF 12 COONH 4                 C 6 HF 12 COONH 4 Na
  C 6 H 2 F 11 COONH 4                C 6 H 2 F 11 COONH 4 Na
  C 7 F 15 COONH 4                 C 7 F 15 COONH 4 Na
  C 7 HF 14 COONH 4                C 7 HF 14 COONH 4 Na
  C 7 H 2 F 13 COONH 4                C 7 H 2 F 13 COONH 4 Na
  C 8 F 17 COONH 4                 C 8 F 17 COONH 4 Na
  C 8 HF 16 COONH 4               C 8 HF 16 COONH 4 Na
  C 8 H 2 F 15 COONH 4                C 8 H 2 F 15 COONH 4 Na
  C 9 F 19 COONH 4                 C 9 F 19 COONH 4 Na
  C 9 HF 18 COONH 4                C 9 HF 18 COONH 4 Na
  C 9 H 2 F 17 COONH 4               C 9 H 2 F 17 COONH 4 Na
  C 3 F 7 OCF(CF 3 )COONH 4             C 3 F 7 OCF(CF 3 )COONH 4 Na
  C 3 F 7 OCF(CF 3 )CF 2 OCF(CF 3 )COONH 4      
  C 3 F 7 OCF(CF 3 )CF 2 OCF(CF 3 )COONH 4 Na
  C 3 F 7 O〔CF(CF 3 )CF 2 O〕 2 CF(CF 3 )COONH 4  
  C 3 F 7 O〔CF(CF 3 )CF 2 O〕 2 CF(CF 3 )COONH 4 Na
  C 3 F 7 O〔CF(CF 3 )CF 2 O〕 3 CF(CF 3 )COONH 4  
  C 3 F 7 O〔CF(CF 3 )CF 2 O〕 3 CF(CF 3 )COONH 4 Na

 分子量の調節は、共重合速度と開始剤量と 関係を調整して行うことも可能であるが、 鎖移動剤、例えばC 4 ~C 6 炭化水素類、アルコール類、エーテル類、エ ステル類、ケトン類、有機ハロゲン化物等を 使用することによっても、容易に行うことが できる。

 反応温度および反応圧力については、用 られる開始剤の分解温度や求められる共重 体の共重合組成によっても異なるが、エラ トマー状共重合体を得るためには、約0~100 、好ましくは約40~80℃、約0.8~4.5MPa・G、好ま くは約0.8~4.2MPa・Gという反応条件が一般に いられる。

 このようにして得られる含フッ素エラス マーは、共重合体中にパーオキサイド架橋 基として作用するフルオロオレフィンアイ ダイド混合物由来のヨウ素等を有している で、有機過酸化物によってパーオキサイド 橋される。パーオキサイド架橋に用いられ 有機過酸化物としては、例えば2,5-ジメチル -2,5-ビス(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5- ジメチル-2,5-ビス(第3ブチルパーオキシ)ヘキ ン-3、ベンゾイルパーオキシド、ビス(2,4-ジ クロロベンゾイル)パーオキシド、ジクミル ーオキシド、ジ第3ブチルパーオキシド、第3 ブチルクミルパーオキシド、第3ブチルパー キシベンゼン、1,1-ビス(第3ブチルパーオキ )-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメ ルヘキサン-2,5-ジヒドロキシパーオキシド、 α,α´-ビス(第3ブチルパーオキシ)-p-ジイソプ ピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイ ルパーオキシ)ヘキサン、第3ブチルパーオキ イソプロピルカーボネート等が使用される

  これらの有機過酸化物が用いられるパ オキサイド架橋法では、通常共架橋剤とし 多官能性不飽和化合物、例えばトリ(メタ)ア リルイソシアヌレート、トリ(メタ)アリルシ ヌレート、トリアリルトリメリテート、N,N -m-フェニレンビスマレイミド、ジアリルフ レート、トリス(ジアリルアミン)-s-トリアジ ン、亜リン酸トリアリル、1,2-ポリブタジエ 、エチレングリコールジアクリレート、ジ チレングリコールジアクリレート等が、よ すぐれた加硫特性、機械的強度、圧縮永久 特性などを得る目的で併用される。

  また、目的によっては、架橋助剤とし 2価金属の酸化物または水酸化物、例えばカ シウム、マグネシウム、鉛、亜鉛等の酸化 または水酸化物を用いることもできる。こ らの化合物は、受酸剤としても作用する。

  パーオキサイド架橋系に配合される以 の各成分は、一般に含フッ素エラストマー10 0重量部当り有機過酸化物が約0.1~10重量部、 ましくは約0.5~5重量部の割合で、共架橋剤が 約0.1~10重量部、好ましくは約0.5~5重量部の割 で、また架橋助剤が約15重量部以下の割合 それぞれ用いられ、含フッ素エラストマー 成物を形成する。組成物中には、上記各成 に加えて、従来公知の充填剤、補強剤、可 剤、滑剤、加工助剤、顔料などを適宜配合 ることもできる。

  パーオキサイド架橋は、前記各成分を ール混合、ニーダー混合、バンバリー混合 溶液混合など一般に用いられている混合法 よって混合した後、加熱することによって われる。加熱は、一般には約100~250℃で約1~12 0分間程度行われるプレス加硫および約150~300 で0~30時間程度行われるオーブン加硫(二次 硫)によって行われる。

 次に、実施例について本発明を説明する

 参考例1
 攪拌機および温度計を備えた容量1200mlのオ トクレーブに、
  CF 3 (CF 2 ) 3 (CH 2 CF 2 )(CF 2 CF 2 ) 2 I (99GC%)
603g(0.99モル)およびジ第3ブチルパーオキサイ 7g(0.05モル)を仕込み、真空ポンプでオート レーブを脱気した。内温を80℃迄加熱したと ころで、エチレンを逐次的に導入し、内圧を 0.5MPaとした。内圧が0.2MPa迄下がったら、再び エチレンを導入して0.5MPaとし、これをくり返 した。内温を80~115℃に保ちながら、約3時間 けてエチレン41g(1.45モル)を導入した。内温50 ℃以下で内容物を回収し、
  CF 3 (CF 2 ) 3 (CH 2 CF 2 )(CF 2 CF 2 ) 2 (CH 2 CH 2 )I (98GC%)
すなわち
  C 4 F 9 CH 2 (CF 2 ) 5 CH 2 CH 2 I
637g(収率98.8%)を得た。

 実施例1
 冷却コンデンサ、熱電対およびマグネット 拌子を備えた容量50mlのガラス製反応器に、 上記参考例1で得られた3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,10,10 ,11,11,12,12,12-ノナデカフルオロ-1-ヨードドデ ンC 4 F 9 CH 2 (CF 2 ) 5 CH 2 CH 2 I 5g(7.8ミリモル)を含フッ素有機溶媒(旭硝子 品AK-225)15mlに溶解させた溶液として仕込み 氷冷した後、内温を0~10℃の範囲に保ちなが 、1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕-7-ウンデセン DBU〕2.6g(17.2ミリモル)を滴下した。滴下終了 後、約0℃で約1時間攪拌し、次いで室温条件 で約23時間攪拌を継続した(全反応時間24時 )。

 反応終了後、水20mlを用いた洗浄を2回、そ 後飽和食塩水による洗浄を1回行い、得られ 反応生成物溶液を無水硫酸マグネシウムで 水・乾燥させた。反応溶媒を減圧下で留去 た後、残留物を減圧蒸留により精製し、蒸 温68~70℃/1kPaの留分を2.8g(収率77%)得た。得ら れた留分の構造を 19 F-NMRおよび 1 H-NMRで確認し、生成物Aと生成物Bとの重量比 48:52の混合物であることを確認した。
  生成物A:3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,10,10,11,11,12,12,12- クタデカ
       フルオロドデカ-1,8-ジエン
       CF 3 CF 2 CF 2 CF=CHCF 2 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 CH=CH 2
  生成物B:3,3,4,4,5,5,6,6,7,9,9,10,10,11,11,12,12,12- クタデカ
       フルオロドデカ-1,7-ジエン
       CF 3 CF 2 CF 2 CF 2 CH=CFCF 2 CF 2 CF 2 CF 2 CH=CH 2
   1 H-NMR:TMS
   生成物Aδ=5.81(1H:-CF=C H -)、5.79(1H:-CF 2 -C H =)、5.97(2H:=C H 2 )
   生成物Bδ=5.81(1H:-C H =CF-)、5.79(1H:-CF 2 -C H =)、5.97(2H:=C H 2 )
   19 F-NMR:CFCl 3
   生成物Aδ=-79.95(3F:C F 3 -)、-108.35(2F:=CHC F 2 -)、-111.34(1F:
        -C F =)、-112.34(2F:-C F 2 CH=)、-117.4~126.3(10F:-C F 2 -)
   生成物Bδ=-80.20(3F:C F 3 -)、-108.35(2F:=CHC F 2 -)、-109.81(1F:
        =C F -)、-112.34(2F:-C F 2 CH=)、-117.4~126.3(10F:-C F 2 -)

 実施例2
 実施例1において、DBUの使用量を1.3g(8.5ミリ ル)に変更して反応させ、前記留分である生 成物A-生成物B(重量比48:52)混合物1.2g(収率33%) よび蒸気温76~77℃/1kPaの留分である下記生成 C 0.6g(純度98%、収率15%)を得た。
  生成物C:3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,9,9,10,10,11,11,12,12,12- ノナデカ
       フルオロ-1-ドデセン
       CF 3 CF 2 CF 2 CF 2 CH 2 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 CF 2 CH=CH 2
   1 H-NMRδ=2.90(2H:-C H 2 -)、5.79(1H:-CF 2 -C H =)、5.97(2H:=C H 2 )
   19 F-NMRδ=-82.02(3F:CF 3 -)、-113.04(4F:-C F 2 CH 2 -)、-114.79(2F:
       -CF 2 CH=)、-121.9~-128.2(10F:-C F 2 -)

 実施例3
 実施例1において、DBUの代りにトリエチルア ミン1.8g(17.3ミリモル)を用い、全反応時間を48 時間として反応させると、前記留分である生 成物A-生成物B(重量比49:51)混合物2.0g(収率55%) よび前記留分である生成物C 1.0g(収率26%)が られた。

 実施例4
 実施例3において、溶媒を含フッ素有機溶媒 からテトラヒドロフラン15mlに変更し、また 応温度を50℃、全反応時間を24時間に変更し 反応させ、前記留分の生成物A-生成物B(重量 比49:51)混合物2.7g(収率74%)を得た。

 参考例2
 攪拌機および温度計を備えた容量1200mlのオ トクレーブに、
  CF 3 (CF 2 ) 3 (CH 2 CF 2 )(CF 2 CF 2 )I (99GC%)
509g(0.99モル)およびジ第3ブチルパーオキサイ 6.7g(0.05モル)を仕込み、真空ポンプでオート クレーブを脱気した。内温を80℃迄加熱した ころで、エチレンを逐次的に導入し、内圧 0.5MPaとした。内圧が0.2MPa迄下がったら、再 エチレンを導入して0.5MPaとし、これをくり した。内温を80~115℃に保ちながら、約3時間 かけてエチレン38g(1.35モル)を導入した。内温 50℃以下で内容物を回収し、
  CF 3 (CF 2 ) 3 (CH 2 CF 2 )(CF 2 CF 2 )(CH 2 CH 2 )I (98GC%)
すなわち
  C 4 F 9 CH 2 (CF 2 ) 3 CH 2 CH 2 I
530g(収率96%)を得た。

 実施例5
 冷却コンデンサ、熱電対およびマグネット 拌子を備えた容量50mlのガラス製反応器に、 上記参考例2で得られた3,3,4,4,5,5,7,7,8,8,9,9,10,10 ,10-ペンタデカフルオロ-1-ヨードデカンC 4 F 9 CH 2 (CF 2 ) 3 CH 2 CH 2 I 5g(9.3ミリモル)を含フッ素有機溶媒(旭硝子 品AK-225)15mlに溶解させた溶液として仕込み 氷冷した後、内温を0~10℃の範囲に保ちなが 、1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕-7-ウンデセン DBU〕3.0g(19.7ミリモル)を滴下した。滴下終了 後、約0℃で約1時間攪拌し、次いで室温条件 で約23時間攪拌を継続した(全反応時間24時 )。

 反応終了後、水20mlを用いた洗浄を2回、そ 後飽和食塩水による洗浄を1回行い、得られ 反応生成物溶液を無水硫酸マグネシウムで 水・乾燥させた。反応溶媒を減圧下で留去 た後、残留物を減圧蒸留により精製し、蒸 温53~55℃/1kPaの留分を2.5g(収率66%)得た。得ら れた留分の構造を 19 F-NMRおよび 1 H-NMRで確認し、生成物Dと生成物Eとの重量比 47:53の混合物であることを確認した。
  生成物D:3,3,4,4,5,5,7,8,8,9,9,10,10,10-テトラデ フルオロデカ-
       1,6-ジエン
       CF 3 CF 2 CF 2 CF=CHCF 2 CF 2 CF 2 CH=CH 2
  生成物E:3,3,4,4,5,7,7,8,8,9,9,10,10,10-テトラデ フルオロデカ-
       1,5-ジエン
       CF 3 CF 2 CF 2 CF 2 CH=CFCF 2 CF 2 CH=CH 2
   1 H-NMR:TMS
   生成物Dδ=5.81(1H:-C H =CF-)、5.79(1H:-CF 2 -C H =)、5.97(2H:=C H 2 )
   生成物Eδ=5.82(1H:-C H =CF-)、5.79(1H:-CF 2 -C H =)、5.97(2H:=C H 2 )
   19 F-NMR:CFCl 3
   生成物Dδ=-80.23(3F:C F 3 -)、-107.80(2F:=CHC F 2 -)、-111.34(1F:
        -C F =)、-112.42(2F:-C F 2 CH=)、-116.7~128.2(6F:-C F 2 -)
   生成物Eδ=-79.97(3F:C F 3 -)、-108.35(2F:=CHC F 2 -)、-111.34(1F:
        =C F -)、-112.42(2F:-C F 2 CH=)、-116.7~128.2(6F:-C F 2 -)

 実施例6
 (1) 攪拌機を備えた容量30Lのステンレス鋼 反応器を真空にした後、
    水                     13kg
    C 7 F 15 COONH 4                  39g
    Na 2 HPO 4 ・12H 2 O                26g
    CBr 2 =CHF                   26g
    ICF 2 CF 2 Br                  24g
    実施例5で得られたジエン混合物       45g
      C 3 F 7 CF=CHCF 2 CF 2 CF 2 CH=CH 2  (47モル%)
      C 4 F 9 CH=CFCF 2 CF 2 CH=CH 2   (53モル%)
を仕込み、その後
    テトラフルオロエチレン〔TFE〕        490g (13モル%)
    フッ化ビニリデン〔VdF〕          1180g (47モル%)
    ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕      2330g (40モル%)
を仕込み、70℃に昇温した。昇温後の圧力は 3.88MPa・Gであった。なお、ジエン混合物は 重合反応開始時および分添混合ガスの分添 程中に計20回に分けて添加した。

 次いで、過硫酸アンモニウム24gを水500g中 に溶解させた重合開始剤水溶液を反応器中に 圧入し、重合反応を開始させた。重合反応の 進行に伴って、反応器内の圧力が減少するた め、圧力を3.75~3.85MPa・Gを維持するように、TF E/VdF/HFP(モル百分率16.4/62.2/21.4)混合ガスを反 器中に分添し、分添混合ガス量が合計10.2kg なった時点で分添を止め(反応開始後約10時 )、約30~50分間のエージングを行った。その きの反応器中の圧力は、1.8MPa・Gであった。

 反応終了後、反応混合物を反応器中から り出し、塩化カルシウム水溶液を用いて凝 することによって、含フッ素エラストマーA を得た。得られた含フッ素エラストマーAの 重合組成をNMR分析法によって測定すると、Vd F/TFE/HFP(モル百分率67.1/16.0/16.9)共重合体であ た。

 (2) 上記含フッ素エラストマーA              100重量部
   MTカーボンブラック                  20 〃 
   酸化亜鉛                       5 〃 
   トリアリルイソシアヌレート(日本化成 品TAIC M60)  5 〃 
   有機過酸化物(日本油脂製品パーヘキサ25 B40)     3.5 〃 
を、オープンロールを用いて混練し、混合物 を180℃で10分間プレス加硫し、次いで230℃で2 2時間オーブン加硫(二次加硫)した。加硫物に ついて、硬度(ISO 48に対応するJIS K6253準拠) 引張特性(ISO 37に対応するJIS K6251準拠)およ 圧縮永久歪(ASTM Method-B/P-24 Oリング;200℃、7 0時間)をそれぞれ測定した。

 実施例7
 (1) 攪拌機を備えた容量30Lのステンレス鋼 反応器を真空にした後、
    水                    15.5kg
    C 7 F 15 COONH 4                  71g
    Na 2 HPO 4 ・12H 2 O                51g
    ICF 2 CF 2 CF 2 CF 2 I                45g
    実施例5で得られたジエン混合物       45g
      C 3 F 7 CF=CHCF 2 CF 2 CF 2 CH=CH 2  (47モル%)
      C 4 F 9 CH=CFCF 2 CF 2 CH=CH 2   (53モル%)
を仕込み、その後
    テトラフルオロエチレン〔TFE〕        210g (8モル%)
    フッ化ビニリデン〔VdF〕          1140g (70モル%)
    パーフルオロ(メチルビニルエーテル) FMVE〕 930g (22モル%)
を仕込み、80℃に昇温した。昇温後の圧力は 3.11MPa・Gであった。なお、ジエン混合物は 重合反応開始時および分添混合ガスの分添 程中に計20回に分けて添加した。

 次いで、過硫酸アンモニウム0.8gを水500g に溶解させた重合開始剤水溶液を反応器中 圧入し、重合反応を開始させた。重合反応 進行に伴って、反応器内の圧力が減少する め、圧力を3.0~2.9MPa・Gを維持するように、TFE /VdF/FMVE(モル百分率9.0/73.0/18.0)混合ガスを反応 器中に分添し、分添混合ガス量が合計7.2kgと った時点で分添を止め(反応開始後約4時間) 約120分間のエージングを行った。そのとき 反応器中の圧力は、1.2MPa・Gであった。

 反応終了後、反応混合物を反応器中から り出し、塩化カルシウム水溶液を用いて凝 することによって、含フッ素エラストマーB を得た。得られた含フッ素エラストマーBの 重合組成をNMR分析法によって測定すると、Vd F/TFE/FMVE(モル百分率72.8/9.0/18.2)共重合体であ た。

 (2) 上記含フッ素エラストマーB              100重量部
   MTカーボンブラック                  30 〃 
   酸化亜鉛                       6 〃 
   トリアリルイソシアヌレート(日本化成 品TAIC M60) 6.7 〃 
   有機過酸化物(日本油脂製品パーヘキサ25 B40)     1.3 〃 
を、オープンロールを用いて混練し、混合物 を180℃で10分間プレス加硫し、次いで220℃で2 2時間オーブン加硫(二次加硫)した。加硫物に ついて、硬度、引張特性および圧縮永久歪を それぞれ測定した。

 比較例1
 実施例1において、ジエン混合物が共重合反 応に用いられなかった。得られた含フッ素エ ラストマーCの共重合組成は、VdF/TFE/HFP(モル 分率67.0/16.0/17.0)共重合体であった。この含 ッ素エラストマーCを用いての加硫も、実施 6と同様に行われた。

 比較例2
 実施例7において、ジエン混合物の代りに、
    CF 2 =CFOCF 2 CF 2 OCF=CF 2               34g
が用いられた。得られた含フッ素エラストマ ーDの共重合組成は、VdF/TFE/FMVE(モル百分率73.2 /9.0/17.8)共重合体であった。この含フッ素エ ストマーDを用いての加硫も、実施例7と同様 に行われた。

 比較例3
 実施例7において、ジエン混合物が共重合反 応に用いられなかった。得られた含フッ素エ ラストマーEの共重合組成は、VdF/TFE/FMVE(モル 分率73.0/9.0/18.0)共重合体であった。この含 ッ素エラストマーEを用いての加硫も、実施 7と同様に行われた。

 以上の実施例6~7および比較例1~3で測定され 結果は、次の表に示される。




 
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