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Title:
POLYFUNCTIONAL DIMETHYLNAPHTHALENE FORMALDEHYDE RESIN, AND PROCESS FOR PRODUCTION THEREOF
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/063860
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a polyfunctional dimethylnaphthalene formaldehyde resin which is polyfunctional, which has high reactivity, and which is useful as a raw material to be modified. Specifically disclosed is a polyfunctional dimethylnaphthalene formaldehyde resin which is produced by reacting (1) one or more dimethylnaphthalene compounds each having one methyl group in each of two benzene rings contained in the naphthalene ring therein and selected from the group consisting of 1,5-dimethylnaphthalene, 1,6-dimethylnaphthalene, 2,6-dimethylnaphthalene, 1,7-dimethylnaphthalene, 1,8-dimethylnaphthalene and 2,7-dimethylnaphthalene with (2) formaldehyde in the presence of water and an acidic catalyst, and which, among the six hydrogen atoms directly bound to the naphthalene ring in the dimethylnaphthalene, the average number of hydrogen atoms substituted through the above-mentioned reaction is 1.8 to 3.5.

Inventors:
KITA SEIJI (JP)
OGIWARA MASASHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/070498
Publication Date:
May 22, 2009
Filing Date:
November 11, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBISHI GAS CHEMICAL CO (JP)
KITA SEIJI (JP)
OGIWARA MASASHI (JP)
International Classes:
C08G10/02; C08G14/067
Domestic Patent References:
WO2003055927A12003-07-10
Foreign References:
JPS4814792B11973-05-10
JPH02134332A1990-05-23
JPS6397614A1988-04-28
JPH0753653A1995-02-28
JPH07258519A1995-10-09
JPS5486593A1979-07-10
JPS61228013A1986-10-11
JPH1192543A1999-04-06
JP2006070000A2006-03-16
Other References:
T. NEMOTO ET AL.: "Synethesis and Properties of Organosoluble Poly(phenylenemethylene)s from Substituted Benzenes or Naphthalenes.", POLYMER JOURNAL, vol. 38, no. 12, 15 December 2006 (2006-12-15), pages 1278 - 1282, XP008133698
See also references of EP 2210907A4
Attorney, Agent or Firm:
OHTANI, Tamotsu (Bridgestone Toranomon Bldg. 6F.25-2, Toranomon 3-chom, Minato-ku Tokyo 01, JP)
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Claims:
 (1)ナフタレン環中の2つのベンゼン環双方にメチル基を各1個有する構造である、1,5-ジメチルナフタレン、1,6-ジメチルナフタレン、2,6-ジメチルナフタレン、1,7-ジメチルナフタレン、1,8-ジメチルナフタレンおよび2,7-ジメチルナフタレンからなる群から選択される1種または2種以上のジメチルナフタレンと
 (2)ホルムアルデヒド
を、水および酸性触媒の存在下に反応させて得られるジメチルナフタレンホルムアルデヒド樹脂であって、かつ、前記ジメチルナフタレン中のナフタレン環に直結した6つの水素原子の内、前記反応によって置換された水素原子数の平均値が1.8~3.5である多官能性ジメチルナフタレンホルムアルデヒド樹脂。
 前記成分(1)と(2)の使用割合[成分(1):成分(2)]が、モル比で1:1~1:6である、請求項1に記載の多官能性ジメチルナフタレンホルムアルデヒド樹脂。
 酸性触媒が硫酸またはパラトルエンスルホン酸である、請求項1または2に記載の多官能性ジメチルナフタレンホルムアルデヒド樹脂。
 ホルムアルデヒド、水および硫酸からなる成分中の硫酸の濃度が20~55質量%である、請求項3に記載の多官能性ジメチルナフタレンホルムアルデヒド樹脂。
 ホルムアルデヒド、水および酸性触媒からなる成分中のホルムアルデヒドの濃度が20~40質量%である、請求項1~4のいずれかに記載の多官能性ジメチルナフタレンホルムアルデヒド樹脂。
 ジメチルナフタレンとホルムアルデヒドとの反応において、さらに脂肪族アルコールを添加して反応させて得られる、請求項1~5のいずれかに記載の多官能性ジメチルナフタレンホルムアルデヒド樹脂。
 脂肪族アルコールが、メタノール、エタノールまたはイソプロパノールである、請求項6に記載の多官能性ジメチルナフタレンホルムアルデヒド樹脂。
 ジメチルナフタレンに混入している不純物由来の硫黄原子および窒素原子の、樹脂中における含量がそれぞれ0.5ppm以下である、請求項1~7のいずれかに記載の多官能性ジメチルナフタレンホルムアルデヒド樹脂。
 重量平均分子量(Mw)が200~2000である、請求項1~8のいずれかに記載の多官能ジメチルナフタレンホルムアルデヒド樹脂。
 フェノール類と、請求項1~9のいずれかに記載の多官能性ジメチルナフタレンホルムアルデヒド樹脂とを反応させて得られる、フェノール類変性ジメチルナフタレンホルムアルデヒド樹脂。
 重量平均分子量(Mw)が300~6000である、請求項10に記載のフェノール類変性ジメチルナフタレンホルムアルデヒド樹脂。
 1,3-ブタジエンとオルソキシレンまたはパラキシレンを強アルカリ触媒存在下で反応させる工程(A)、次いで環化させてテトラリン化合物を得る工程(B)および該テトラリン化合物を脱水素してナフタレン化合物を得る工程(C)を含む化学合成により、またはさらに工程(C)で得られたナフタレン化合物を異性化する工程(D)を含む化学合成により、1,5-ジメチルナフタレン、1,6-ジメチルナフタレン、2,6-ジメチルナフタレン、1,7-ジメチルナフタレン、1,8-ジメチルナフタレンおよび2,7-ジメチルナフタレンからなる群より選ばれる1種または2種以上のジメチルナフタレンを得る工程(I)と、
 前記工程(I)で得られたジメチルナフタレンと、ホルムアルデヒドとを、水および酸性触媒下に反応させる工程(II)
を有することにより、前記ジメチルナフタレン中のナフタレン環に直結した6つの水素原子の内、前記反応によって置換された水素原子数の平均値が1.8~3.5となる多官能性ジメチルナフタレンホルムアルデヒド樹脂の製造方法。
Description:
多官能性ジメチルナフタレンホ ムアルデヒド樹脂およびその製造方法

 本発明は、各種変性原料として有用な多 能性ジメチルナフタレンホルムアルデヒド 脂およびその製造方法に関するものである 本発明の多官能性ジメチルナフタレンホル アルデヒド樹脂は、フェノールおよびナフ ール等のフェノール類やポリオール類によ 変性させることにより、電気用絶縁材料、 ジスト用樹脂、半導体用封止樹脂、プリン 配線板用接着剤、電気機器・電子機器・産 機器等に搭載される電気用積層板およびプ プレグのマトリックス樹脂、ビルドアップ 層板材料、繊維強化プラスチック用樹脂、 晶表示パネルの封止用樹脂、塗料、各種コ ティング剤、接着剤等の広範な用途に用い ことができる。

 キシレン等の単環の芳香族炭化水素とホル アルデヒドを、硫酸等の酸触媒の存在下に 応させることにより、単環の芳香族炭化水 ホルムアルデヒド樹脂が得られることは古 からよく知られている(例えば、非特許文献 1参照)。また、ジメチルナフタレン異性体混 物や、ジメチルナフタレン異性体混合物と チルナフタレンとの混合物とホルムアルデ ドから、多環式芳香族炭化水素ホルムアル ヒド樹脂が得られることも知られている(例 えば、特許文献1参照)。
 近年、環境に対する意識の高まりから、リ 系難燃化剤や臭素系難燃化剤を使用せずと 難燃性に富む材料が望まれ、その一貫から 原料となる樹脂への多環芳香族骨格の導入 行われているが、通常、ナフタレン等の多 芳香族化合物は石炭等のコークス類から得 れるため、含硫黄化合物や含窒素化合物等 好ましくない不純物が混入しており、それ 原料として用いて得られる樹脂にも、硫黄 合物や含窒素化合物の混入が避けられない

 また、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹 は、そのままの形で使用されることもある 、熱硬化性樹脂素材用途等、種々の用途に 用するためには、さらにフェノール類、カ ボン酸類、ポリオール類等と変性反応を行 ことが多く、そのためには多官能性の樹脂 あることが好ましい。ここで、樹脂の多官 性を示す指標としては、樹脂の原料である 香族炭化水素の芳香環に直結した水素原子 内、樹脂を製造する際の反応によって置換 れた水素原子数の平均値(芳香環1つあたり 置換水素原子数の平均値)を利用することが きる。かかる平均の置換水素原子数は、得 れた樹脂を 1 H-NMRで測定して、キシレン類を原料とした場 は1.8~2.6ppm付近のメチルプロトンの積分値、 6.9ppm付近の芳香環に直結したプロトンの積分 値を利用して算出される数値であり、メチル ナフタレン系化合物を原料とした場合は、2.3 ~3.2ppm付近のメチルプロトンの積分値、6.8~8.2p pm付近の芳香環に直結したプロトンの積分値 利用して算出される数値である。
 しかしながら、ナフタレンおよびモノメチ ナフタレンを原料とする場合には、通常の 法では多官能性のナフタレンホルムアルデ ド樹脂を得ることが困難であり、界面反応 ような特殊な反応を行う必要があった(特許 文献2および3参照)。また、ジメチルナフタレ ンを原料とする場合でも、多官能性の樹脂を 得られない場合があることが判明した。

「高分子化」、井本稔監修、化学工業社 、1966年2月出版

特開昭54-86593号公報

特開昭61-228013号公報

特開平11-92543号公報

 本発明の目的は、多官能性で反応性に富 、好ましくは硫黄原子および窒素原子の樹 中における含量がそれぞれ0.5ppm以下である 官能性ジメチルナフタレンホルムアルデヒ 樹脂を提供することにある。

 本発明者らは鋭意検討を行った結果、原 のナフタレン化合物として、ナフタレン環 の2つのベンゼン環双方にメチル基を各1個 するジメチルナフタレンを用い、これとホ ムアルデヒドとを、水と酸性触媒の存在下 反応させて得られるジメチルナフタレンホ ムアルデヒド樹脂が、上記の目的を達成す ことを見出し、本発明に到達した。

 すなわち、本発明は、
[1](1)ナフタレン環中の2つのベンゼン環双方 メチル基を各1個有する構造である、1,5-ジメ チルナフタレン、1,6-ジメチルナフタレン、2, 6-ジメチルナフタレン、1,7-ジメチルナフタレ ン、1,8-ジメチルナフタレンおよび2,7-ジメチ ナフタレンからなる群から選択される1種ま たは2種以上のジメチルナフタレンと(2)ホル アルデヒドを、水および酸性触媒の存在下 反応させて得られるジメチルナフタレンホ ムアルデヒド樹脂であって、かつ、前記ジ チルナフタレン中のナフタレン環に直結し 6つの水素原子の内、前記反応によって置換 れた水素原子数の平均値が1.8~3.5である多官 能性ジメチルナフタレンホルムアルデヒド樹 脂、
[2]前記成分(1)と(2)の使用割合[成分(1):成分(2)] が、モル比で1:1~1:6である、上記[1]に記載の 官能性ジメチルナフタレンホルムアルデヒ 樹脂、
[3]酸性触媒が硫酸またはパラトルエンスルホ ン酸である、上記[1]または「2」に記載の多 能性ジメチルナフタレンホルムアルデヒド 脂、
[4]ホルムアルデヒド、水および硫酸からなる 成分中の硫酸の濃度が20~55質量%である、上記 [3]に記載の多官能性ジメチルナフタレンホル ムアルデヒド樹脂、
[5]ホルムアルデヒド、水および酸性触媒から なる成分中のホルムアルデヒドの濃度が20~40 量%である、上記[1]~[4]のいずれかに記載の 官能性ジメチルナフタレンホルムアルデヒ 樹脂、
[6]ジメチルナフタレンとホルムアルデヒドと の反応において、さらに脂肪族アルコールを 添加して反応させて得られる、上記[1]~[5]の ずれかに記載の多官能性ジメチルナフタレ ホルムアルデヒド樹脂、
[7]脂肪族アルコールが、メタノール、エタノ ールまたはイソプロパノールである、上記[6] に記載の多官能性ジメチルナフタレンホルム アルデヒド樹脂、
[8]ジメチルナフタレンに混入している不純物 由来の硫黄原子および窒素原子の、樹脂中に おける含量がそれぞれ0.5ppm以下である、上記 [1]~[7]のいずれかに記載の多官能性ジメチル フタレンホルムアルデヒド樹脂、
[9]重量平均分子量(Mw)が200~2000である、上記[1] ~[8]のいずれかに記載の多官能ジメチルナフ レンホルムアルデヒド樹脂、
[10]フェノール類と、上記[1]~[9]のいずれかに 載の多官能性ジメチルナフタレンホルムア デヒド樹脂とを反応させて得られる、フェ ール類変性ジメチルナフタレンホルムアル ヒド樹脂、
[11]重量平均分子量(Mw)が300~6000である、上記[1 0]に記載のフェノール類変性ジメチルナフタ ンホルムアルデヒド樹脂、および
[12]1,3-ブタジエンとオルソキシレンまたはパ キシレンを強アルカリ触媒存在下で反応さ る工程(A)、次いで環化させてテトラリン化 物を得る工程(B)および該テトラリン化合物 脱水素してナフタレン化合物を得る工程(C) 含む化学合成により、またはさらに工程(C) 得られたナフタレン化合物を異性化する工 (D)を含む化学合成により、1,5-ジメチルナフ タレン、1,6-ジメチルナフタレン、2,6-ジメチ ナフタレン、1,7-ジメチルナフタレン、1,8- メチルナフタレンおよび2,7-ジメチルナフタ ンからなる群より選ばれる1種または2種以 のジメチルナフタレンを得る工程(I)と、前 工程(I)で得られたジメチルナフタレンと、 ルムアルデヒドとを、水および酸性触媒下 反応させる工程(II)を有することにより、前 ジメチルナフタレン中のナフタレン環に直 した6つの水素原子の内、前記反応によって 置換された水素原子数の平均値が1.8~3.5とな 多官能性ジメチルナフタレンホルムアルデ ド樹脂の製造方法、
に関するものである。

 本発明の新規なジメチルナフタレンホル アルデヒド樹脂は耐熱性に優れ、公知のナ タレンホルムアルデヒド樹脂を超える多官 性を有しており、反応性に富み、各種変性 脂の原料として有用である。本発明によれ 、硫黄原子および窒素原子の樹脂中におけ 含量がそれぞれ0.5ppm以下のジメチルナフタ ンホルムアルデヒド樹脂を提供することも きる。

[多官能性ジメチルナフタレンホルムアルデ ド樹脂]
 本発明の多官能性ジメチルナフタレンホル アルデヒド樹脂は、上記の通り、
(1)ナフタレン環中の2つのベンゼン環双方に チル基を各1個有する構造である、1,5-ジメチ ルナフタレン、1,6-ジメチルナフタレン、2,6- メチルナフタレン、1,7-ジメチルナフタレン 、1,8-ジメチルナフタレンおよび2,7-ジメチル フタレンからなる群から選択される1種また は2種以上のジメチルナフタレン(以下、ナフ レン化合物と称することがある。)と
(2)ホルムアルデヒドを、
水および酸性触媒の存在下に反応させて得ら れるジメチルナフタレンホルムアルデヒド樹 脂である。

(ナフタレン化合物)
 本発明で原料として用いるナフタレン化合 は、オルソキシレンと1,3-ブタジエン、また はパラキシレンと1,3-ブタジエンを出発原料 して化学合成して得られる、ナフタレン環 の2つのベンゼン環双方にメチル基を各1個有 するジメチルナフタレンである。該ジメチル ナフタレンとしては、具体的には、1,5-ジメ ルナフタレン、1,6-ジメチルナフタレン、2,6- ジメチルナフタレン、1,7-ジメチルナフタレ 、1,8-ジメチルナフタレンおよび2,7-ジメチル ナフタレンであり、これらは1種を単独で使 してもよいし、2種以上を併用してもよい。 お、該ジメチルナフタレンには、1,5-ジエチ ルナフタレン、1,6-ジエチルナフタレン、2,6- エチルナフタレン、1,7-ジエチルナフタレン 、1,8-ジエチルナフタレン、2,7-ジエチルナフ レン等が混入していてもよいが、前記ナフ レン化合物に対して、20質量%以下であるこ が好ましく、5質量%以下であることがより ましい。

 1,5-ジメチルナフタレン、1,6-ジメチルナフ レンおよび2,6-ジメチルナフタレンからなる から選択される1種または2種以上のジメチ ナフタレンは、オルソキシレンと1,3-ブタジ ンを強アルカリ触媒の存在下で反応させて ルトトルイル-1-ペンテンを生成させ(工程A) 次いで環化させてテトラリン化合物を得(工 程B)、該テトラリン化合物を脱水素してナフ レン化合物を得(工程C)、必要に応じて異性 させて構造異性体を得(工程D)、適宜、蒸留 晶析等により分離・精製することにより得 ことができる。
 また、1,7-ジメチルナフタレン、1,8-ジメチ ナフタレンおよび2,7-ジメチルナフタレンか なる群から選択される1種または2種以上の メチルナフタレンは、パラキシレンと1,3-ブ ジエンを出発原料として、前記工程A~Cおよ 必要に応じて工程Dに準じて反応を行い、適 宜、蒸留や晶析等により分離・精製すること により得ることができる。

 前記工程A~Dは、公知の方法、例えば特開2006 -70000号公報に開示された方法を利用すること ができる。具体的な反応条件について、以下 に説明する。
(工程A)
 工程Aにおいては、ジメチルナフタレンの使 用量は、1,3-ブタジエンに対して好ましくは5 モル以上、より好ましくは8倍モル以上であ る。反応温度は、好ましくは約90~200℃であり 、より好ましくは100~180℃である。反応圧力 、好ましくは0.01~2MPaである。また、反応時 (滞留時間)は、通常、約0.1~10時間である。
 工程Aで使用する強アルカリ触媒としては、 ナトリウムとカリウムの混合物が好ましい。 工程Aでは、好ましくは水、アルコールまた これらの混合物を添加することによって反 混合液を急冷し、次いで、通常の有機化合 の公知の分離手段によって、目的とする生 物(アルケニル化物)を分離することができる 。
(工程B)
 工程Bの環化反応は、固体酸触媒の存在下に 実施することが好ましい。固体酸触媒として は、例えばH型、Y型、ベータ型、L型、モルデ ナイト等の結晶性アルミノシリケートが挙げ られる。これらの中でも、選択率の観点から は、シリカ/アルミナ比が1~100のH型モルデナ トが好ましい。
 環化反応の温度は、好ましくは約150~250℃で あり、より好ましくは170~230℃である。反応 力は、好ましくは約0.03~0.5MPaである。なお、 環化反応を気相状態で行うために希釈剤を用 いることも可能である。該希釈剤としては、 前記反応条件下で不活性であり、反応系を気 相状態に保ち得るものであれば特に制限はな く、例えば、窒素、二酸化炭素、水素、アル ゴン、ヘリウム等のガス状物;プロパン、ブ ン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の飽 炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キ シレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。 水は、反応混合物から除去されることが好ま しい。
(工程C)
 テトラリン化合物の脱水素は触媒の存在下 実施することが好ましく、該触媒としては 例えば、活性炭またはアルミナを担体とし 、白金触媒、パラジウム触媒、ニッケル触 、銅触媒が挙げられ、これらの中でも、白 触媒が好ましく、活性炭を担体とした白金 媒がより好ましい。
 脱水素反応の温度は、好ましくは約150~350℃ であり、より好ましくは200~300℃である。反 圧力は、好ましくは約0.03~0.5MPaである。
(工程D)
 2,6-ジメチルナフタレン、2,7-ジメチルナフ レンが必要な場合は、それぞれ1,6-ジメチル フタレン、1,7-ジメチルナフタレンを異性化 する。本異性化反応では、触媒としてアルミ ナおよび/またはシリカを含む固体触媒を使 し、好ましくはアルミナに対するシリカの ル比が100以上の、実質的に水素型から成る ルデナイトを用い、液相にて異性化する方 が好ましい。また、反応温度は270℃以下で ることが好ましい。
 異性化反応後、1,7-ジメチルナフタレンの場 合は、異性化後1,7-体と2,7-体の混合物になる 、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン ヘプタン等の飽和炭化水素、シクロペンタ 、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベ ゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化 素等の溶媒を利用して晶析を行うことによ 、融点の高い2,7-ジメチルナフタレンのみ高 純度で得られる。また、1,6-ジメチルナフタ ンの場合は、異性化後1,6-体と2,6-体の混合物 になるが、上記同様、飽和炭化水素、脂環式 炭化水素、芳香族炭化水素等の溶媒を利用し て晶析を行なうことにより、2,6-ジメチルナ タレンのみ高純度で得られる。
 なお、晶析後の異性体の混合物を含む母液 、再度異性化工程に付すことが好ましい。

 このようにキシレン類(オルソキシレン、 パラキシレン)と1,3-ブタジエンを出発原料と 、前記工程A~Cおよび必要に応じて工程Dを含 む工程によって化学合成することにより得ら れたジメチルナフタレン類を用いてナフタレ ンホルムアルデヒド樹脂を製造することによ り、多官能性で反応性に富み、かつ樹脂中に おける硫黄原子と窒素原子(いずれもジメチ ナフタレンに混入した不純物由来である。) 含量がいずれも0.5ppm以下である、新規なジ チルナフタレンホルムアルデヒド樹脂を得 ことができる。

 本発明で用いる原料のナフタレン化合物 、ナフタレン環中の2つのベンゼン環双方に メチル基を各1個有するジメチルナフタレン あることが重要である。本発明者らの詳細 検討により、無置換であるナフタレン;1-メ ルナフタレン等のモノメチルナフタレン;ナ タレン環の片方のベンゼン環のみにメチル が2つ置換されている1,2-ジメチルナフタレ 、1,3-ジメチルナフタレン、1,4-ジメチルナフ タレンおよび2,3-ジメチルナフタレンからな 群から選択される1種または2種以上のジメチ ルナフタレンを原料とした場合は、界面反応 のような特殊な反応形式を採用しない限り、 多官能性のナフタレンホルムアルデヒド樹脂 が得られないことが判明した(例えば、本明 書の比較例1および2参照。)。また、メチル が3つ以上置換したナフタレン化合物を用い 場合にも、ホルムアルデヒドとの反応点(ナ フタレン環に直結した水素原子数)が少なく り、多官能性のナフタレンホルムアルデヒ 樹脂を得ることができなかった。

 本発明のジメチルナフタレンホルムアル ヒド樹脂が有している多官能性とは、ジメ ルナフタレン中のナフタレン環に直結した6 つの水素原子の内、ジメチルナフタレンホル ムアルデヒド樹脂を製造する反応によって置 換された水素原子数の平均値(以下、「ジメ ルナフタレンホルムアルデヒド樹脂中のナ タレン環1つあたりの置換水素原子数の平均 」と換言することがある。)が1.8を超えてい ることである。

 本発明のジメチルナフタレンホルムアルデ ド樹脂中のナフタレン環1つあたりの置換水 素原子数の平均値は1.8~3.5、好ましくは2.0~3.5 より好ましくは2.0~3.3、さらに好ましくは2.5 ~3.0である。該樹脂中のナフタレン環1つあた の置換水素原子数の平均値が1.8未満である 第三成分との反応性に富んだ活性基(メチロ ール基やメトキシメチル基等)が少なくなり 第三成分との反応により得られる変性樹脂 取得量が少なくなるため、好ましくない。 に、該置換水素原子数の平均値が2.0以上で れば、第三成分との反応性が十分となり、 ましい。一方、該樹脂中のナフタレン環1つ たりの置換水素原子数の平均値が3.5を超え ことは技術的に困難である。
 本発明により得られるジメチルナフタレン ルムアルデヒド樹脂は多官能性であるから 活性水素を有するフェノール類、カルボン 類、ポリオール類等との高い反応性を有す と共に、取得量も多くなる。

(ホルムアルデヒド)
 ホルムアルデヒドとしては、工業的に入手 易なホルマリン、パラホルムアルデヒドお びトリオキサン等のホルムアルデヒドを発 する化合物等が例示できる。縮合反応させ 際のジメチルナフタレンとホルムアルデヒ のモル比は1:1~1:6、好ましくは1:1.5~1:6、より 好ましくは1:2~1:6、さらに好ましくは1:2.5~1:6 特に好ましくは1:2.5~1:5である。ジメチルナ タレンとホルムアルデヒドのモル比を前記 囲とすることで、得られるジメチルナフタ ンホルムアルデヒド樹脂の樹脂収率を比較 高く維持でき、且つ未反応で残るホルムア デヒドの量を少なくすることができる。

(ジメチルナフタレンホルムアルデヒド樹脂 製造方法)
 ナフタレン化合物とホルムアルデヒドとの 合反応は、水および酸性触媒の存在下に実 する。
 酸性触媒としては、硫酸、パラトルエンス ホン酸等が挙げられるが、一般的には硫酸 適当である。該酸性触媒の使用量としては 例えば、硫酸を使用する場合、ホルムアル ヒド、水および硫酸からなる成分中の硫酸 濃度が、好ましくは20~55質量%、より好まし は25~40質量%になるように調整する。硫酸の 度をこの範囲とすることで、適当な反応速 が得られ、さらに反応速度が大きいことに づく樹脂の粘度が高くなることを防ぐこと できる。一方、パラトルエンスルホン酸を 用する場合は、硫酸を使用する場合よりや 高い濃度、例えばホルムアルデヒド、水お びパラホルムアルデヒドからなる成分中の ラホルムアルデヒドの濃度を35~60質量%に調 して使用することが好ましい。

 また、原料成分中のホルムアルデヒド、 および硫酸からなる成分中のホルムアルデ ドの濃度は20~40質量%が好ましい。ホルムア デヒドの濃度を20~40質量%とすることで、実 上好ましい反応速度が得られる。

 ナフタレン化合物とホルムアルデヒドと 縮合反応は、通常、常圧で行われ、水の沸 である100℃で加熱して還流させながら行う ただし、反応温度は常温~100℃の範囲で適宜 選択すればよく、また、反応圧力は0.001~0.02MP a(ゲージ圧)程度、加圧してもよい。融点が100 ℃以上のジメチルナフタレンを原料とする場 合には、その融点以上の反応温度とするため に、0.01~0.02MPa(ゲージ圧)程度、加圧して反応 せることが好ましい。また、必要に応じて 縮合反応に不活性なエチルベンゼン等の芳 族炭化水素;ヘプタン、オクタン等の脂肪族 炭化水素溶媒を希釈溶媒として使用すること もできる。

 本縮合反応の反応時間は、通常、4~10時間 程度が好ましく、5~8時間がより好ましい。か かる反応時間とすることで、目的の性状を有 するジメチルナフタレンホルムアルデヒド樹 脂が経済的に、かつ工業的に有利に得られる 。

 また、本縮合反応は、必要に応じてメタ ール、エタノール、イソプロパノール等の 肪族低級アルコールを添加して加熱還流し もよい。脂肪族低級アルコールを添加して 応を行なうことにより、脂肪族低級アルコ ルがジメチルナフタレンホルムアルデヒド 脂の末端基として、すなわち繰り返し単位 造のナフタレン環に直結したメチロール基 部分的にアルコキシ基として取り込まれ、 分子量化して粘度を下げることが可能とな 。

 縮合反応後、必要に応じて、前記希釈溶 を添加した後、静置することにより二相分 させ、油相である樹脂相と水相を分離した 、さらに水洗を行うことにより酸性触媒を 全に除去し、添加した希釈溶媒および未反 の原料ジメチルナフタレンを、蒸留等の一 的方法で除去することにより、目的の性状 有する多官能性ジメチルナフタレンホルム ルデヒド樹脂が得られる。

(多官能性ジメチルナフタレンホルムアルデ ド樹脂の特性値)
 こうして得られる多官能性ジメチルナフタ ンホルムアルデヒド樹脂の重量平均分子量( Mw)は、好ましくは200~2000、より好ましくは300~ 1800、さらに好ましくは300~1700であり、分散度 (Mw/Mn)は、好ましくは1.1~3、より好ましくは1.1 ~2.8である。また、多官能性ジメチルナフタ ンホルムアルデヒド樹脂中の硫黄原子含量 よび窒素原子含量は、共に0.5ppm以下である

 また、このようにして得られたジメチル フタレンホルムアルデヒド樹脂は、以下の に、フェノール類等により変性させること 可能である。

[フェノール類変性ジメチルナフタレンホル アルデヒド樹脂]
 フェノール類変性ジメチルナフタレンホル アルデヒド樹脂は、上記の多官能性ジメチ ナフタレンホルムアルデヒド樹脂に、フェ ール類を添加し、酸性触媒の存在下で加熱 て縮合反応させることにより得られる。
 フェノール類としては、フェノール、クレ ール、4-t-ブチルフェノール、キシレノール 、プロピオニルフェノール等が挙げられる。 これらは1種を単独で使用してもよいし、2種 上を併用してもよい。

 ジメチルナフタレンホルムアルデヒド樹 とフェノール類との縮合反応は、通常常圧 て融点以上に加熱して還流させながら行う 、必要に応じて、加圧下で行うこともでき 。さらに、必要に応じて、本縮合反応に不 性な溶媒を使用することもできる。該溶媒 しては、例えばエチルベンゼン等の芳香族 化水素;ヘプタン、ヘキサン等の飽和脂肪族 炭化水素;シクロヘキサン等の脂環式炭化水 ;メチルイソブチルケトン等のケトン;ジオキ サン、ジブチルエーテル等のエーテル;2-プロ パノール等のアルコール;エチルプロピオネ ト等のカルボン酸エステル;酢酸等のカルボ 酸等が挙げられる。該溶媒を使用する場合 その使用量は、ジメチルナフタレンホルム ルデヒド樹脂およびフェノール類の合計量 対して、1~5倍質量であることが好ましい。

 本縮合反応で使用する酸性触媒としては 硫酸、パラトルエンスルホン酸等が挙げら る。該酸性触媒の使用量は、例えば、パラ ルエンスルホン酸を使用する場合、ジメチ ナフタレンホルムアルデヒド樹脂、フェノ ル類およびパラトルエンスルホン酸からな 成分中のパラトルエンスルホン酸の濃度と て、好ましくは0.0001~0.5質量%、より好まし は0.01~0.2質量%になるように調整する。パラ ルエンスルホン酸の濃度を上記範囲とする とで、好ましい反応速度が得られ、反応の 度が大きいことに起因する樹脂粘度の増加 防ぐことができる。

 反応時間に特に制限は無いが、通常、2~6 間程度が好ましい。この反応時間であれば フェノール類変性ジメチルナフタレンホル アルデヒド樹脂を経済的に、かつ工業的に 利に製造することができる。

 縮合反応終了後、必要に応じて、希釈溶 を添加した後、静置することにより二相に 離させ、油相である樹脂相と水相とを分離 た後、樹脂相を水洗することにより触媒を 全に除去し、添加した希釈溶媒および未反 のフェノール類を、蒸留等の一般的方法で 去することにより、フェノール類変性ジメ ルナフタレンホルムアルデヒド樹脂が得ら る。

(フェノール類変性ジメチルナフタレンホル アルデヒド樹脂の特性値)
 こうして得られる多官能性ジメチルナフタ ンホルムアルデヒド樹脂の重量平均分子量( Mw)は、好ましくは300~6000、より好ましくは500~ 1300、さらに好ましくは800~1200であり、分散度 (Mw/Mn)は、好ましくは1.1~3、より好ましくは1.1 ~2.5、さらに好ましくは1.1~2である。また、フ ェノール類変性ジメチルナフタレンホルムア ルデヒド樹脂中の硫黄原子含量および窒素原 子含量は、共に0.5ppm以下である。

 フェノール類変性ジメチルナフタレンホ ムアルデヒド樹脂を、例えば電気用絶縁材 、レジスト用樹脂、半導体用封止樹脂、プ ント配線板用接着剤、電気機器・電子機器 産業機器等に搭載される電気用積層板およ プリプレグのマトリックス樹脂、ビルドア プ積層板材料、繊維強化プラスチック用樹 、液晶表示パネルの封止用樹脂、塗料、各 コーティング剤、接着剤等に用いることに り、難燃性および耐熱性等の性能を具備さ ることができる。

 以下、本発明を実施例によりさらに詳細に 明するが、本発明は、これらの例によって んら限定されるものではない。
 各例において、ナフタレン環1つあたりの置 換水素原子数の平均値、分子量、窒素原子含 量および硫黄原子含量の測定は、以下の通り に行った。

(ナフタレン環1つあたりの置換水素原子数の 均値)
  1 H-NMR装置:「JNM-AL400型(400MHz)」(JEOL社製)
 溶媒:CDCl 3 (重クロロホルム)
 内部標準物質:テトラメチルシラン
 置換水素原子数の平均値の算出方法:上記溶 媒に樹脂を溶解し、 1 H-NMR測定を行なった。2.3~3.2ppm付近のジメチル ナフタレン構造のメチルプロトンの積分値を メチルプロトン数である6とした時の、6.8~8.2p pm付近のナフタレン環に直結したプロトンの 分値を算出し、その算出した値をジメチル フタレン構造のナフタレン環に直結した水 原子数である6から引いた値を、ナフタレン 環に直結した6つの水素原子の内、ナフタレ ホルムアルデヒド樹脂を製造する反応によ て置換された水素原子数の平均値(ナフタレ 環1つあたりの置換水素原子数の平均値)と た。
(分子量)
-ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定-
 装置:Shodex GPC-101型(昭和電工(株)製)
 カラム:LF-804×3
 溶離液:THF 1ml/min
 温度:40℃
(窒素原子含量)
 装置:微量全窒素分析装置「TN-100型」(三菱 学(株)製)
 測定方法:樹脂をキシレンに溶解した後、上 記装置にて測定した。なお、検出下限は0.5ppm である。
(硫黄原子含量)
 装置:イオンクロマトグラム「DX-500型」(DIONE X社製)
 測定方法:樹脂をキシレンに溶解し、酸水素 炎式硫黄原子(ハロゲン)定量装置(東科精機社 製「TSN-L型」)で燃焼処理(過水水溶液に吸収) た後、上記装置で測定した。なお、検出下 は0.5ppmである。

<製造例1>1,5-ジメチルナフタレンの製造
 工程A:オルソキシレン1000gと1,3-ブタジエン70 gを、酸化ジルコニウム系触媒の存在下に150 および常圧にて反応させ、反応終了後静置 、上層を取り出した。なお、前記酸価ジル ニウム系触媒は、次のようにして調製した つまり、水酸化カリウム5gを含有する水溶液 に酸化ジルコニウム粉末30gを加え、攪拌下50 で1時間含浸し、次いで減圧下に70℃で水を 去し、115℃で一晩乾燥した後、さらに空気 にて500℃で焼成した。こうして得られた触 10gを窒素雰囲気下に180℃で攪拌し、金属ナ リウム0.5gを加えた後、同温度で60分攪拌し 調製した。
 工程B:該上層を、シリカ/アルミナ比が15のH モルデナイト触媒「HSZ-600HOA」(東ソー(株)製 )の存在下に170℃および常圧にて反応させた
 工程C:引き続き、上記工程Bで得られた反応 合液を、1質量%白金/活性炭触媒にて280℃で 応させた。
 こうして得られた反応混合液を冷却し、析 した結晶をろ過し、洗浄した後、乾燥させ 1,5-ジメチルナフタレン(純度99.5%以上、硫黄 原子含量および窒素原子含量は共に0.5ppm以下 )を得た。

<製造例2>2,6-ジメチルナフタレンの製造
 製造例1で得られた1,5-ジメチルナフタレン 、ゼオライト「390HUA」(東ソー社製)を用いて 250℃にて異性化させることにより、2,6-ジメ ルナフタレン(純度99.5%以上、硫黄原子含量 よび窒素原子含量は共に0.5ppm以下)を得た。

<実施例1>
 ジムロート冷却管、温度計および撹拌翼を えた、底抜きが可能な内容積1Lのセパラブ フラスコに、製造例1で得られた1,5-ジメチル ナフタレン(三菱ガス化学(株)製)109.2g(0.7mol)と 40質量%ホルマリン水溶液(三菱ガス化学(株)製 )210.0g(ホルムアルデヒドとして2.8mol)、98質量% 硫酸(関東化学(株)製)92.6gを仕込み、窒素気流 中、常圧下、100℃で還流させながら撹拌し、 反応させた。7時間反応後、希釈溶媒として チルベンゼン180gを加え、静置後、下相の水 を除去した。さらに中和・水洗を行った後 エチルベンゼンおよび未反応の1,5-ジメチル ナフタレンを減圧下で留去することにより、 常温で固形の1,5-ジメチルナフタレンホルム ルデヒド樹脂120gを得た。
 得られた樹脂は、ナフタレン環1つあたりの 置換水素原子数の平均値が2.6であった。また 、GPC測定の結果、Mn:552、Mw:1121、Mw/Mn:2.03であ た。さらに、硫黄原子含量および窒素原子 量は共に0.5ppm以下であった。反応条件およ 得られた樹脂の物性を表1に示す。

<実施例2~5>
 実施例1において、表1に記す条件に変更し こと以外は、実施例1と同様に実験を行ない それぞれ、常温で固形の1,5-ジメチルナフタ レンホルムアルデヒド樹脂を得た。反応条件 および得られた樹脂の物性を表1に示す。

 表1中の注釈については、以下のとおりであ る。
*1 :ホルムアルデヒド
*2 :ジメチルナフタレン
*3 :ホルムアルデヒド、水および硫酸からなる 分中の硫酸の濃度
*4 :仕込んだ1,5-ジメチルナフタレン基準とした 得られた樹脂の収率

<実施例6>
 ジムロート冷却管、温度計および撹拌翼を えた、底抜きが可能な内容積1Lのセパラブ フラスコに、製造例2で得られた2,6-ジメチル ナフタレン(三菱ガス化学(株)製)109.2g(0.7mol)と 40質量%ホルマリン水溶液(三菱ガス化学(株)製 )210.0g(ホルムアルデヒドとして2.8mol)、98質量% 硫酸(関東化学(株)製)92.6gおよびエチルベンゼ ン240gを仕込み、窒素気流中、常圧下、100℃ 還流させながら撹拌し、反応させた。7時間 応後、静置し、下相の水相を除去した。さ に中和・水洗を行った後、溶媒として用い エチルベンゼンおよび未反応の2,6-ジメチル ナフタレンを減圧下で留去することにより、 常温では固形の2,6-ジメチルナフタレンホル アルデヒド樹脂110gを得た。反応条件および られた樹脂の物性を表2に示す。

<比較例1>
 ジムロート冷却管、温度計、撹拌翼を備え 、底抜きが可能な1Lセパラブルフラスコに 1-メチルナフタレン(和光純薬(株)製、硫黄原 子含量2200ppm、窒素原子含量3.9ppm)142.2g(1.0mol) 40質量%ホルマリン水溶液(三菱ガス化学(株) )150.0g(ホルムアルデヒドとして2.0mol)、98質量 %硫酸(関東化学(株)製)51.4gを仕込み、窒素気 中、常圧下、100℃で還流させながら撹拌し 応させた。5時間反応後、エチルベンゼン160g を加え、静置後、下相の水相を除去した。さ らに中和・水洗を行った後、希釈溶媒として 用いたエチルベンゼンおよび未反応の1-メチ ナフタレンを減圧下で留去することにより 常温では粘調な液体の1-メチルナフタレン ルムアルデヒド樹脂150gを得た。反応条件お び得られた樹脂の物性を表2に示す。

<実施例7>
 実施例6において、2,6-ジメチルナフタレン 代わりに、製造例2で得られた1,5-ジメチルナ フタレンを使用し、かつメタノールを添加し たこと以外は、実施例1と同様に実験を行い 常温では粘調な液体の1,5-ジメチルナフタレ ホルムアルデヒド樹脂100gを得た。反応条件 および得られた樹脂の物性を表2に示す。

<比較例2>
 実施例6において、2,6-ジメチルナフタレン 代わりに、1,4-ジメチルナフタレン(和光純薬 (株)製、硫黄原子含量1700ppm、窒素原子含量3.1 ppm)を使用したこと以外は、実施例1と同様に 験を行い、常温では粘調な液体の1,4-ジメチ ルナフタレンホルムアルデヒド樹脂85gを得た 。反応条件および得られた樹脂の物性を表2 示す。

 表2中の注釈については、以下のとおりであ る。
*1 :ホルムアルデヒド
*2 :ジメチルナフタレン
*3 :メチルナフタレン
*4 :ホルムアルデヒド、水および硫酸からなる 分中の硫酸の濃度
*5 :仕込んだジメチルナフタレンまたはメチル フタレン基準とした、得られた樹脂の収率

<実施例8>
 ジムロート冷却管、温度計および攪拌翼を 置した、内容積500mLの四つ口フラスコに、 素気流下で、実施例1で得られた1,5-ジメチル ナフタレンホルムアルデヒド樹脂90g、フェノ ール94.1gおよびパラトルエンスルホン酸0.36g 加え、185℃まで昇温し、4時間反応させた。 チルベンゼンを添加して希釈した後、中和 よび水洗を行い、溶媒および未反応のフェ ールを減圧下に除去し、フェノール変性1,5- ジメチルナフタレンホルムアルデヒド樹脂130 gを得た。
 ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定の結 、Mn:678、Mw:1130、Mw/Mn:1.66であり、また、水酸 基価は253mgKOH/gであった。反応条件および得 れた樹脂の物性を表3に示す。

<比較例3>
 実施例8において、実施例1で得られた1,5-ジ チルナフタレンホルムアルデヒド樹脂に代 て、比較例1で得られた1-メチルナフタレン ルムアルデヒド樹脂を使用したこと以外は 施例8と同様に実験を行い、フェノール変性 1-メチルナフタレンホルムアルデヒド樹脂105g を得た。
 ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定の結 、Mn:397、Mw:642、Mw/Mn:1.62であり、また、水酸 価は216mgKOH/gであった。反応条件および得ら れた樹脂の物性を表3に示す。

<実施例9>
 実施例8において、実施例1で得られた1,5-ジ チルナフタレンホルムアルデヒド樹脂に代 て、実施例6で得られた2,6-ジメチルナフタ ンホルムアルデヒド樹脂を使用したこと以 は実施例8と同様に実験を行い、フェノール 性2,6-ジメチルナフタレンホルムアルデヒド 樹脂130gを得た。
 ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定の結 、Mn:632、Mw:1045、Mw/Mn:1.65であり、また、水酸 基価は262mgKOH/gであった。反応条件および得 れた樹脂の物性を表3に示す。

<比較例4>
 実施例8において、実施例1で得られた1,5-ジ チルナフタレンホルムアルデヒド樹脂に代 て、比較例2で得られた1,4-ジメチルナフタ ンホルムアルデヒド樹脂を使用したこと以 は実施例8と同様に実験を行い、フェノール 性1,4-ジメチルナフタレンホルムアルデヒド 樹脂95gを得た。
 ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定の結 、Mn:357、Mw:532、Mw/Mn:1.49であり、また、水酸 価は191mgKOH/gであった。反応条件および得ら れた樹脂の物性を表3に示す。

 表3中の注釈については、以下の通りである 。
*1 :仕込んだ樹脂基準とした、得られたフェノ ル変性樹脂の収率

 本発明の多官能性ジメチルナフタレンホ ムアルデヒド樹脂は、フェノールおよびナ トール等のフェノール類、ポリオール類お びカルボン酸類により変性させることによ 、電気用絶縁材料、レジスト用樹脂、半導 用封止樹脂、プリント配線板用接着剤、電 機器・電子機器・産業機器等に搭載される 気用積層板およびプリプレグのマトリック 樹脂、ビルドアップ積層板材料、繊維強化 ラスチック用樹脂、液晶表示パネルの封止 樹脂、塗料、各種コーティング剤、接着剤 の広範な用途に利用可能である。