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Title:
POLYMER COMPOSITE MATERIAL, APPARATUS FOR PRODUCING THE SAME AND METHOD OF PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/136314
Kind Code:
A9
Abstract:
It is intended to provide a technique for making a biomass-origin dispersion phase of a polymer composite material, wherein the dispersion phase is formed in a synthetic polymer matrix, highly microscopic and homogeneous. An apparatus (10) for producing a polymer composite material characterized by comprising: a cylinder (13) in which a supply area (A) for supplying the main component of the synthetic polymer as described above and an excessive water-containing component originating in a biomass as described above is provided in the upstream side while a discharge unit (17) is provided in the downstream side; a screw (15) which axially rotates within the cylinder (13), which has been set to a kneading temperature (Tz) at which the synthetic polymer melts, and extrudes the kneaded matter comprising the main component and the excessive water-containing matter as described above toward the discharge unit (17); and a dehydration unit (40) by which the water contained in the kneaded matter is removed under setting pressures (Pa, Pb, Pc) being lower than the saturated vapor pressure (Pz) at the kneading temperature (Tz) employed in the cylinder (13) but higher than atmospheric pressure.

Inventors:
OHNO TAKASHI (JP)
SHIRAISHI NOBUO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/057775
Publication Date:
November 05, 2009
Filing Date:
April 22, 2008
Export Citation:
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Assignee:
AGRI FUTURE JOETSU CO LTD (JP)
OHNO TAKASHI (JP)
SHIRAISHI NOBUO (JP)
International Classes:
B29B7/80; B09B3/00; C08J3/22; C08L3/00; C08L23/00; C08L91/06; C08L101/00
Attorney, Agent or Firm:
ISONO, Michizo (JP)
Michizo Isono (JP)
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Claims:
 合成高分子及びバイオマス由来成分が混合してなる高分子複合材料の製造装置において、
 前記バイオマス由来成分の過剰含水物が少なくとも含まれる混練物を設定された混練温度で混練する混練手段と、
 前記混練温度における飽和蒸気圧よりも低くかつ大気圧よりも高い設定圧力で前記混練物を脱水する脱水手段と、
 脱水された前記混練物を取り出す取出手段とを、含むことを特徴とする高分子複合材料の製造装置。
 請求項1に記載の高分子複合材料の製造装置において、
 前記混練手段は、
 前記合成高分子の主剤及び前記バイオマス由来成分の過剰含水物を投入する投入手段が上流側に設けられ前記取出手段が下流側に設けられているシリンダと、
 前記混練温度に設定されている前記シリンダの内部で軸回転し前記混練物を前記投入手段から前記取出手段へ向かって押し出すスクリューとを、有し、
 前記脱水手段は、
 前記シリンダの内部及びその外部を隔てるとともに前記混練物のうち含まれる水分を選択的に濾過する濾過板と、
 前記濾過板により濾過された水分を気化させる気化空間を形成するとともに大気を遮断する遮断壁と、
 前記気化空間の気圧を前記設定圧力に設定する調圧手段とを、有することを特徴とする高分子複合材料の製造装置。
 請求項2に記載の高分子複合材料の製造装置において、
 前記過剰含水物、液状試薬又は水が前記投入手段よりも下流側に設けられている圧入手段から圧入されることを特徴とする高分子複合材料の製造装置。
 請求項1に記載の高分子複合材料の製造装置において、
 前記混練手段は、
 前記合成高分子の主剤及び前記バイオマス由来成分の過剰含水物を投入する投入手段並びに前記取出手段が設けられるケーシングと、
 密閉空間にされ前記混練温度に設定された前記ケーシングの内部で回転し前記混練物を混練するローターとを、有し、
 前記脱水手段は、
 前記密閉空間の気圧を前記設定圧力に設定する調圧手段を、有することを特徴とする高分子複合材料の製造装置。
 請求項4に記載の高分子複合材料の製造装置において、
 前記ケーシングの内部及び外部を隔てるとともに前記混練物のうち含まれる水分を選択的に濾過する濾過板と、
 前記濾過板を介して前記密閉空間に連通する気化空間が形成されるとともに前記調圧手段が設けられている遮断壁とを、有することを特徴とする高分子複合材料の製造装置。
 合成高分子及びバイオマス由来成分が混合してなる高分子複合材料の製造方法において、
 前記バイオマス由来成分の過剰含水物が少なくとも含まれる混練物を設定された混練温度で混練する混練工程と、
 前記混練温度における飽和蒸気圧よりも低くかつ大気圧よりも高い設定圧力で混練物を脱水する脱水工程と、
 脱水された混練物を取り出す取出工程とを、含むことを特徴とする高分子複合材料の製造方法。
 請求項6に記載の高分子複合材料の製造方法において、
 前記バイオマス由来成分はデンプン質系バイオマスに由来するものであって、このデンプン質系バイオマスを過剰含水物にする水を注水する注水工程を含むことを特徴とする高分子複合材料の製造方法。
 請求項6に記載の高分子複合材料の製造方法において、
 前記バイオマス由来成分はバイオマスを機械的に微粒子化したものであって、その集合体に水を含浸させて過剰含水物にする含水工程を含むことを特徴とする高分子複合材料の製造方法。
 請求項6に記載の高分子複合材料の製造方法において、
 前記混練工程では前記バイオマス由来成分の過剰含水物及び相溶化剤を混練し、
 前記脱水工程を経てから前記合成高分子の主剤を混合しさらに混練することを特徴とする高分子複合材料の製造方法。
 請求項6に記載の製造方法により得られるバイオマス由来成分が分散した高分子複合材料。
 請求項10に記載のバイオマス由来成分が分散した高分子複合材料を成形して得られる成形品。
 第1合成高分子とバイオマス由来成分とを主構成要素にする高分子複合材料のバイオマス濃厚体であって、第2合成高分子を配合し前記バイオマス由来成分の濃度を希釈して製造される複合材料の原料であることを特徴とする高分子複合材料のバイオマス濃厚体。
 請求項12に記載の高分子複合材料のバイオマス濃厚体において、
 前記第1合成高分子は、鎖状炭化水素の主鎖の炭素数10から100の範囲に含まれるワックスが含まれていることを特徴とする高分子複合材料のバイオマス濃厚体。
 請求項12に記載の高分子複合材料のバイオマス濃厚体において、
 前記第1合成高分子は、シングルサイト触媒により合成されたオレフィン系樹脂を主成分にすることを特徴とする高分子複合材料のバイオマス濃厚体。
 請求項12に記載の高分子複合材料のバイオマス濃厚体において、
 前記バイオマス由来成分はデンプン由来のアミロース、アミロペクチン又はこれらの分解物を主成分とするものであって、
 デンプンを酵素分解したアミラーゼ又はその熱変性物が混入していることを特徴とする高分子複合材料のバイオマス濃厚体。
 請求項12に記載の高分子複合材料のバイオマス濃厚体において、
 アルカリ金属塩が配合されていることを特徴とする高分子複合材料のバイオマス濃厚体。
 請求項12に記載の高分子複合材料のバイオマス濃厚体において、
 前記バイオマス由来成分は、飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸又はこれらの誘導体でエステル化されていることを特徴とする高分子複合材料のバイオマス濃厚体。
 請求項12に記載の高分子複合材料のバイオマス濃厚体と、前記第2合成高分子とを混合し、共に混練する工程を含むことを特徴とする高分子複合材料の製造方法。
Description:
高分子複合材料、その製造装置 びその製造方法

 本発明は、合成高分子及びバイオマス由 成分が混合してなる高分子複合材料に関連 る技術分野に属し、特にそのような高分子 合材料を製造する製造装置及びその製造方 に関するものである。

 ここで、バイオマス(生物資源)とは、太陽 エネルギーによって、成長する動物や植物 うち再生可能な有機性資源を指す。
 具体的には、リグノセルロース又はセルロ スを主成分とする草木質系バイオマス(木材 工業およびパルプ工業等の廃棄物である間伐 材・建築解体材等、農業廃棄物である稲ワラ ・さやガラ・籾ガラ等)、アミロース又はア ロペクチンを主成分とするデンプン質系バ オマス(米、小麦、とうもろこし、馬鈴薯、 藷、タピオカ等)、甲殻類動物に由来するキ チン(又はキトサン)質系バイオマス(蟹ガラ、 蝦ガラ等)が挙げられる。

 現在、これらバイオマスに由来する成分と 成高分子とを複合化させることにより、化 資源から生産される合成高分子の使用量を 減させ地球環境の保全に貢献したり、従来 ない新機能を発現したりする高分子複合材 を創出する研究が進められている。そのよ な高分子複合材料にあっては、合成高分子 母相にバイオマス由来成分をいかにして微 にかつ均一に分散させるかが重要な検討課 となっている。
 しかし、バイオマスは、分子間の強固な水 結合に基づく高い結晶性を有するとともに 次元架橋等の高次構造を有している。また 械的に粉砕された場合であってもバイオマ の粉末は凝集しやすい性質を有している。 のため、バイオマス由来成分を合成高分子 母相に微細にかつ均一に分散させることは 般に容易でない。

 前記した課題に対する従来技術として、前 デンプン質系バイオマスにあっては、これ 含水処理を行った後に、合成高分子の主剤 ともに加熱混練することにより、デンプン を糊化(α化)させ母相に微細に均一に分散さ せる技術が公知となっている(例えば、特許 献1)。
 また、草木質系バイオマスやキチン質系バ オマスにあっては、高圧ホモゲナイザー等 用いて、これらバイオマスを水溶媒中で微 化し均質な懸濁液を作製する。そして、こ 懸濁液を、合成高分子の主剤とともに加熱 練することにより、バイオマス由来成分を 相に微細に均一に分散させる技術が公知と っている(例えば、特許文献2)。

特開2006-21502号公報

特開2006-289164号公報

 しかし、以上述べた従来技術では、混練 理中に微細に均一に分散したバイオマス由 成分が、大気圧開放により急激になされる 水工程において、部分的に再凝集する現象 避けられない問題があった。このため、前 した従来技術により製造された高分子複合 料は、母相に対する分散相の微細化・均一 の達成度が不十分であるといえる。

 本発明は、前記した問題を解決すること 課題とし、合成高分子の母相におけるバイ マス由来成分の分散相を高度に微細化、均 化した高分子複合材料を製造する技術を提 することを目的とする。

 前記課題を解決するために本発明は、合 高分子及びバイオマス由来成分が混合して る高分子複合材料を製造する製造装置にお て、前記バイオマス由来成分の過剰含水物 少なくとも含まれる混練物を設定された混 温度で混練する混練手段と、前記混練温度 おける飽和蒸気圧よりも低くかつ大気圧よ も高い設定圧力で前記主剤及び前記過剰含 物を含む混練物を脱水する脱水手段と、脱 された前記混練物を取り出す取出手段とを 含むことを特徴とする。

 本発明により、合成高分子の母相におけ バイオマス由来成分の分散相を高度に微細 、均一化した高分子複合材料を製造する技 が提供される。

(a)は本発明に係る高分子複合材料の製 装置の第1実施形態を示す回転軸に沿う縦断 面図であり、(b)はその脱水手段の部分を拡大 して示す部分断面図であり、(c)はこの脱水手 段の機能説明をするのに利用する水の状態図 である。 (a)は本発明に係る高分子複合材料の製 装置の第2実施形態を示す回転軸に沿う縦断 面図であり、(b)は第3実施形態を示す回転軸 沿う縦断面図である。 (a)から(c)は第4実施形態を示す高分子複 合材料の製造装置の回転軸に直交する縦断面 図である。

符号の説明

 10,10’,10”,60 製造装置
 12  ホッパ(投入手段)
 13  シリンダ
 14  注入口
 15,15’,15” スクリュー
 16  フライト
 17  取出手段
 20  圧入手段
 30  強制減圧装置
 40(40a,40b,40c,40d,40e) 脱水手段
 41  濾過板
 42  遮断壁
 45  調圧手段
 50,62 混練手段
 63  ケーシング
 65  ロータ
 67  取出手段
 61,68 開閉手段
 A   原料投入区間
 B   混練区間
 C1  加圧脱水区間(脱水区間)
 C2  常圧脱水区間(脱水区間)
 C3  減圧脱水区間(脱水区間)
 D   再加圧区間
 P0  大気圧
 Pz  混練温度における飽和蒸気圧
 Px(Pa,Pb,Pc,Pd,Pe) 設定圧力
 Tz  混練温度
 V   気化空間
 W   混練空間(密閉空間)

 以下本発明の実施の形態について図面を参 しつつ説明する。
(第1実施形態)
 図1(a)は本発明に係る高分子複合材料の製造 装置10(以下、単に「製造装置」という)の第1 施形態を示す縦断面図である。
 この製造装置10は、投入手段12(ホッパ)と、 練手段50と、脱水手段40と、強制減圧装置30 を、含んで構成されている。ここで混練手 50は、駆動手段11と、シリンダ13と、スクリ ー15とを含んだ構成である。

 このように製造装置10が構成されたことに り、投入手段12により高分子複合材料の原材 料が投入されると、この原材料は、シリンダ 13の内部で軸回転するスクリュー15により混 されるとともに、脱水手段40及び強制減圧装 置30により脱水処理されて、取出手段17から 分子複合材料の溶融体となって取り出され ことになる。
 なお、この高分子複合材料の溶融体は、取 手段17に設けられ小さな穴が十数ヶ所空い いるダイ(図示略)を通って、束状に放出され る。さらに、冷却バスを通過して凝固した後 にペレタイザー(図示略)に引込まれ米粒状の レットにカットされる。

 駆動手段11は、スクリュー15の一端に接続し て、このスクリュー15を軸回転させるもので って、高分子複合材料の原材料を混練する 力源である。なお図1においてスクリュー15 、一本のみ表示されているが、製造装置10 、このような一軸のものに限定されるもの はなく、二本以上のスクリュー15が並列して 構成される多軸のものである場合も含まれる 。
 このように、多軸で構成される製造装置10 あって駆動手段11は、設置される複数のスク リュー15のそれぞれを軸回転させる。なおこ 場合、複数のスクリュー15のそれぞれの軸 転の方向及び速度については任意設定事項 ある。

 投入手段12は、高分子複合材料の原材料で る合成高分子の主剤及びバイオマス由来成 の過剰含水物を、シリンダ13の内部に投入す るものである。この投入されるものの分量並 びに配合率は、合成高分子とバイオマス由来 成分の過剰含水物とをそれぞれ供給する供給 部12a,12bによって任意に設定することができ 。
 さらに、この投入手段12には、バイオマス 来成分がデンプン質系バイオマスに由来す ものである場合、このバイオマス由来成分 後記するように糊化するのに必要な水分が 水され過剰含水物になるための注水手段が けられている場合がある。

 ここで合成高分子として製造装置10に投入 れるものとして、加熱により溶融する熱可 性樹脂や、加熱により硬化する熱硬化性樹 のいずれも採用することができる。
 熱可塑性高分子の主剤として採用すること できるものとしては、ペレット状に成形さ た、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリ チレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン -酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-アクリ 酸エチル共重合体(EEA)等のポリオレフィン系 の樹脂が好適である。
 またこれらに限定されることなく、その他 ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリエチレンテ レフタレート樹脂(PET)、アクリル・ブチレン スチレン(ABS)等、加熱により熱流動する性 を有し一般に押出成形が可能なものであれ 、特に制限無く用いることができる。さら 、これら熱可塑性樹脂は、二種以上混合し 使用してもよい。

 一方、熱可塑性高分子の主剤として、ポ 乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、 ポリカプロラクトン(PCL)等の生分解性を具備 たものを用いれば、その全てが土に還元さ る性質を有し、環境保全の観点から好適な 分子複合材料が得られる。また、テグラノ ン(商標)や、マクロテク・リサーチ社(米国) のECMマスターバッチ(商品名)等の生分解性を 与する添加剤が付与されているポリオレフ ン樹脂を用いても同様に環境保全の観点か 好適である。

 熱硬化性高分子として採用することができ ものとしては、エポキシ樹脂、フェノール 脂、不飽和ポリエステル樹脂、ユリア樹脂 メラミン樹脂、ポリイミド、ジアリルフタ ート、アルキド等の各種公知の熱硬化性樹 が挙げられる。
 これら熱硬化性高分子は、公知の硬化剤を 剤に添加して、所定の形状を保持して、硬 温度に設定して重合反応させることにより 形品にすることができるものである。なお これら熱硬化性高分子の主剤は、重合反応 の単量体が低分子量化合物であるために、 体、固体、半固体の性状を取り得るが、少 くとも温度を上げれば流動状態を示すもの ある。
 よって、硬化温度よりも低い温度に設定さ た混練温度で、熱硬化性高分子の主剤とバ オマス由来成分とが混練されることになる

 これら熱硬化性高分子のなかでも、アルキ 樹脂は、多価アルコールと多塩基酸とが縮 重合してなる合成高分子であって、この多 基酸は、混練中にバイオマス由来成分の表 のヒドロキシ基(-OH)ともエステル結合する このために、合成高分子とバイオマス由来 分とは界面の親和性が良好になるので、微 でかつ均一な分散構造が得られる。
 このような多価アルコールとして、プロピ ングリコール、グリセリン、トリメチロー プロパン、ペンタエリトリトール等が挙げ れる。
 多塩基酸としては無水フタル酸、無水マレ ン酸、アジピン酸等が挙げられる。
 また硬化剤として、有機過酸化物(ベンゾイ ールペルオキシド、ジクミルペルオキシド等 )が挙げられる。

 また、前記した多価アルコールに代えて ポキシドを採用してもよい。この場合、エ キシドが混練されるとその3員環が開裂して 周囲の水分子が付加して二価の多価アルコー ルとなり、前記した場合と同様のアルキド樹 脂が合成される。また混練時に未反応のエポ キシドは、その後、硬化温度に設定して成形 品にする際に、3員環が開環重合してエポキ 樹脂になる。

 混練工程における多塩基酸を投入するタイ ングとしては、多価アルコール(又はエポキ シド)の投入よりも先行させて、バイオマス 来成分の表面と化学反応(エステル化)させる ことを優先させることが望ましい。これによ り、バイオマス由来成分の表面が改質されて 、合成高分子に対する親和性の向上がさらに 期待できるからである。このように、混練工 程の前段階でバイオマス由来成分の過剰含水 物と多塩基酸の一部とを化学反応させて表面 改質してから、多塩基酸の残部と多価アルコ ール(又はエポキシド)を投入して混練する。
 なお、硬化剤を投入するタイミングは、混 工程の前半・後半及び脱水工程の前後いず の場合もありうるが実験的に最適条件が導 れる。

 ワックスとして採用することができるも としては、常温で固体であり、加熱すると 成高分子の主剤よりも低温で溶融しかつ低 度である有機化合物である。このワックス( C)は、天然物から抽出されるものであったり 工業的に合成されるものであったりするが 有機化合物中の鎖状炭化水素の主鎖の炭素 が10から100の範囲に含まれるものであるこ が望ましい。

 ワックスは、混練工程において合成高分 の主剤よりも先行して溶融し、水と混合液 を形成する。このため、混練物の粘性が低 し、混練手段50の負担が軽減するとともに 練性が向上する。さらに先行して溶融した ックスは、バイオマス由来成分に吸着し、 のバイオマス由来成分が、合成高分子の主 の溶融体中に拡散するのを促進する。

 この炭素数が10よりも小さいと、溶融した ックスは混練温度で気化しやすくなり、脱 工程において水とともに外部に排出されて まう。
 また炭素数が100よりも大きいと、溶融した ックスの粘度が大きくなり、水との混合液 が形成されにくくなり、混練性の向上に貢 できない。

 ワックスのうち天然物から抽出されるも としては、飽和脂肪酸が挙げられる。飽和 肪酸とは、鎖状炭化水素の1価のカルボン酸 であって、CH3(CH2)nCOOHの示性式で示される化 物であって、本発明に適用されるものはnが9 以上であるものが好ましい。

 この飽和脂肪酸は、その末端に位置するカ ボキシル基(COOH)が親水基であって、鎖状炭 水素の部分(CH3(CH2)n)が疎水基(親油基)となっ ている。
 このために溶融した飽和脂肪酸は、その疎 基が中心になり親水基が外側を向いて水と 面を成し、水との混合液相を形成しやすい また水との混合液相中、飽和脂肪酸は、球 ミセルを形成しているので、脱水工程にお て水に付随して外部に排出されにくい特徴 有している。

 そして、水との混合液相における飽和脂肪 の球状ミセルは、混練により微細化して混 物の全体に一様に拡散するととになる。球 ミセルの表面に位置する飽和脂肪酸のカル キシル基(COOH)は、バイオマス由来成分に接 すると、その表面のヒドロシル基(OH)と、エ ステル反応して化学結合する(化学吸着する)
 このような化学反応により、バイオマス由 成分は、その表面が飽和脂肪酸によって化 修飾されて、親水性が解消し親油性が向上 ることとなる。これにより、バイオマス由 成分が合成高分子の主剤の連続相中に拡散 やすい好都合な性質を備えることになる。

 一方、ワックスのうち工業的に合成される のとしては、メタロセン触媒に代表される ングルサイト触媒により重合されたオレフ ン樹脂(特にプロピレン系、エチレン系)が げられる。
 具体例としては、プロピレン又はエチレン モノマーの単独重合体、これらモノマーと -オレフィンとの共重合体が挙げられる。な 、α-オレフィンとしては、エチレン、1-ブ ン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペ テン、1-ヘプテン、1-オクテンなどが挙げら 、共重合体はブロック共重合体、ランダム 重合体、ランダムブロック共重合体の何れ あってもよい。
 なお、ワックスは、二種以上の前記した有 化合物を混合して使用してもよい。

 シングルサイト触媒により重合されたオレ ィン樹脂のワックスは、チグラー・ナッタ 媒に代表されるマルチサイト触媒による場 と比較して、側鎖の分岐、分子量、結晶粒 の分布が均一化している。
 シングルサイト触媒により重合されたオレ ィン樹脂のワックスによれば、天然ワック よりも分子量が大きいにもかかわらず溶融 度が低いために、良好な混練性を維持して 水工程で水の効率的な排出に貢献する。

 これらワックスの配合量は、前記合成高分 及び前記バイオマス由来成分の合計量100重 部に対し、1から20重量部の範囲に含まれる が望ましい。
 ワックスの配合量が1重量部よりも少ない場 合、混練性の向上効果が認められなく、脱水 工程における水の効率的な排出効果も認めら れない。
 一方、ワックスの配合量が20重量部よりも い場合、製造される高分子複合材料の平均 子量が低下することとなり成形品の機械的 質が低下することになる。

 バイオマス由来成分の過剰含水物として採 することができるものとしては、水に所定 間浸漬させた後に水切りした生米、芯や表 を取り除き大きさを適当に揃えて刻む程度 簡単な処理を行ったトウモロコシ、馬鈴薯 甘藷等のデンプン系の穀物が挙げられる。
 これらデンプン系の穀物は、所定量以上の 分の存在下で一般的な混練温度Tz(100~200℃) 置かれると、水分子が入り込んで結晶構造 崩れる糊化が起こる。このように糊化した ンプン(バイオマス由来成分)は、分子鎖相互 間の水素結合の束縛から解放されているので 、溶融している熱可塑性高分子中に微細に均 一に分散されやすい性質を備えることとなる 。
 また、前記したように投入手段12に注水手 が設けられていれば、これらのデンプン系 穀物を製造装置10に投入すると同時に、デン プンを糊化させるのに必要な水分を補給する 注水を適宜行って、過剰含水物を調整する場 合もある。

 次に、バイオマス由来成分の過剰含水物 して採用することができるものとして、リ ノセルロース又はセルロースを主成分とす 草木質系バイオマスや、蟹ガラ及び蝦ガラ のキチン質系バイオマス等を水中で微細化 せてなる懸濁液が挙げられる。このような 濁液は、前記した特許文献2に挙げられるよ うな高圧ホモゲナイザーを用いてバイオマス を水中で物理的に粉砕させる場合の他、化学 的な処理を行うことにより形成させる方法も とり得る。なおここで過剰含水物とは、前記 した通りバイオマスに水分が人為的に加えら れて構成されるもののほか、元来水分を固有 に含むバイオマスそのものも指し、混練工程 で最終的に脱水される水分が含有されるもの であれば全て対象になる。

 例えば、バイオマスとして木材を採用する 合は、この木材を機械的に粉砕する前処理 施して、最大径が数mm程度のサイズの粒状 はチップ状にする場合がある。もちろん、 材をそれ以下のサイズの微粒子の集合体に ても適宜採用される。なお、そのような微 子の集合体として、バイオマスから化学的 程を経て抽出される繊維質体も含まれるこ とする。
 これら、木材の微粉末体は、人為的に水分 加えなくても吸湿作用により、十数wt%から 十wt%の水分を含有する過剰含水物であると える。このような木材の微粉末体(または籾 ガラ等)は、乾燥処理等の特別な工程を経る となくそのまま製造装置10に投入することが できる。
 このように、バイオマスが、数mm程度の最 径のサイズを有していることの効果は、そ 含水量が多い場合であっても、投入手段12か らバイオマス原料を製造装置10に投入するに し、目詰まりが回避されることが挙げられ 。

 一方、バイオマスのサイズがそれ以下の微 子の集合体であって、吸湿による含水量が くて投入手段12が目詰まりする場合は、逆 、その集合体に水を人為的に含浸させて含 量をさらに増加させることによりこの目詰 りを回避することができる。
 このように、水分が元来含有されているバ オマスの過剰含水物に水をさらに含浸させ ことにより、前記した目詰まりを回避させ 効果以外に、飛散しやすい微粒子の集合体 取り扱いが簡便化し生産効率が向上する効 が得られる。
 さらに、微粒子の集合体は、内包する空気 水に置換された後に、合成高分子と混練さ ることになる。これにより、製造される高 子複合材料は、残留する気泡が減少し欠陥 少なくなる効果が得られる。

 なお、投入手段12に対し、合成高分子とバ オマス由来成分との相溶性を向上させる相 化剤をさらに送入させる場合もある。この 溶化剤は、例えば、飽和カルボン酸、不飽 カルボン酸またはその誘導体が用いられる また、合成高分子を不飽和カルボン酸また その誘導体で変性させたものを使用するこ もできる。
 このほか、無機・有機物質を問わず、シリ や繊維状の物質等を添加し、これら添加剤 分を高分子複合材料中に微分散させること 可能である。

 シリンダ13は、投入手段12を備える原料投 入区間Aを最上流とし取出手段17を備える部分 を最下流として、この最上流と最下流との間 が、少なくとも混練区間B、脱水区間C(C1,C2,C3) 、再加圧区間Dに分類されるよう構成されて る。また、シリンダ13の周囲には、その内部 を混練温度Tz(図1(c)参照)に設定するためのヒ タ(図示せず)が設けられている。

 混練区間Bは、投入手段12から投入された 合成高分子の主剤、バイオマス由来成分の 剰含水物、及び相溶化剤を、所定の圧力と 練温度Tzとで混練する区間である。これに りバイオマス由来成分は、混練物中で微細 し、適宜相溶化剤と化学反応することによ て合成高分子との親和性が付与され、混練 中に均一に分散することになる。

 脱水区間Cは、さらに加圧脱水区間C1、常圧 水区間C2、減圧脱水区間C3に分類することが でき、これらにはそれぞれ少なくとも1つ以 の脱水手段40(図1(b)参照)が設けられている。
 ここで、加圧脱水区間C1は、混練物に含ま る水分を、図1(c)に示されるように、その混 温度Tzにおける飽和蒸気圧Pzよりも低くかつ 大気圧P0よりも高い設定圧力Pa,Pbで脱水する 分である。
 このような設定圧力Pa,Pbで脱水処理される とにより、混練物は、含水量を急激ではな 徐々に低減させながら、さらに混練される とになる。これにより、混練物中で微細化 て分散したバイオマス由来成分は、再凝集 ることが抑制されつつさらに、微細化、分 化が進行することとなる。

 常圧脱水区間C2は、加圧脱水区間C1を通過 した混練物に含まれる水分を、図1(c)に示さ るように、大気圧P0に近い設定圧力Pc,Pdで脱 する部分である。このような設定圧力Pc,Pd 脱水処理されることにより、含水量が低減 た混練物は、さらに含水量を徐々に低減し つさらに混練されることになる。これによ 、混練物中で微細化して分散したバイオマ 由来成分は、再凝集することが抑制されつ さらに、微細化、分散化が進行することと る。

 減圧脱水区間C3は、常圧脱水区間C2を通過し た混練物に含まれる水分を、図1(c)に示され ように、強制減圧装置30によって大気圧P0よ も低い設定圧力Peで脱水する部分である。 のような設定圧力Peで脱水処理されることに より、混練物に含まれる水分はほとんど除去 されることになる。
 なお減圧脱水区間C3が接続する真空トラッ 31は、気化した蒸気を冷却して液体に戻し、 強制減圧装置30に高温の飽和水蒸気が強制減 装置30に入るのを防止してその劣化を抑制 るものである。
 このように、混練物に付与される圧力を、 水区間Cにおいて、混練温度Tzにおける飽和 気圧Pzから段階的に引き下げて脱水するこ により、バイオマス由来成分の再凝集を抑 しつつ、その微細化、分散化を促進させる とができる。

 再加圧区間Dは、脱水処理の終了した混練 物を継続して混練するとともに、再加圧して 取出手段17から取り出されるに必要な圧力を 与する部位である。これにより、バイオマ 由来成分が微細に分散している高分子複合 料の溶融体が取出手段17から取り出される とになる。

 スクリュー15は、その軸周りに螺旋状の ライト16が形成されているものであって、軸 回転することにより、フライト16が圧力を付 して混練物を、シリンダ13の上流から下流 向けて押し出すものである。

 脱水手段40は、図1(b)の部分断面図で示され ように、濾過板41と、遮断壁42と、調圧手段 45とを、含んで構成されるものである。
 このように構成される脱水手段40は、調圧 段45により混練温度Tzにおける飽和蒸気圧Pz りも低くかつ大気圧P0よりも高い任意の設定 圧力Px(x=a,b,c,d,e)を、シリンダ13内の混練物に 与するものである。これにより脱水手段40 、混練物に含まれる水分を、急激ではなく 々に脱水していくことが可能になる。

 濾過板41は、シリンダ13の壁面に設けられ た開口を閉じるように配置され、シリンダ13 内部及びその外部を隔てるとともに混練物 うち含まれる水分を選択的に濾過するもの ある。このような濾過板41の構成としては 板面に多数の孔を設けられ、その板面がシ ンダ13の内壁面に沿って固定されるものが挙 げられる。

 遮断壁42は、濾過板41により濾過された水 分を気化させる気化空間Vを形成するととも この気化空間Vを大気から遮断するものであ 。このような遮断壁42の構成としては、有 の容体がその開口とシリンダ13に設けた開口 とを略一致するように固定され、さらに濾過 板41を当接してこれが固定されるようにする のが挙げられる。

 調圧手段45は、気化空間Vの気圧を計測する 力計43と、気化空間Vから遮断壁42を通過し 大気側に放出される気体(水蒸気)に流動抵抗 を可変して付与する絞り弁44とから構成され 気化空間Vの気圧を所定の設定圧力Px(x=a,b,c,d ,e)に設定するものである。
 この絞り弁44の絞り量を適宜調節すること より、気化空間Vの気圧を、混練温度Tzにお る飽和蒸気圧Pzから大気圧P0までの間の任意 値に設定することができる。つまり、絞り 44を完全に閉塞すれば気化空間Vの気圧は、 の飽和蒸気圧Pzに設定され、絞り弁44を完全 に開放すればから大気圧P0に設定されること なる。さらに矯正減圧装置30に接続して気 空間Vの気圧を大気圧P0以下に設定すること できる。

 なお、この調圧手段45は、シリンダ13に設け られている複数個の脱水手段40においてその 定圧力Pxが取出手段17に近くなる程小さく設 定されていること(Pa>Pb>Pc)が、バイオマ 由来成分の再凝集が抑制する上で望ましい とはすでに述べたとおりである。
 また設定圧力Pxは、投入された液状試薬が 化して排出されないように、水分が優先的 排出されるように適宜設定される。
 そして、シリンダ13に複数設けられている 水手段40のうち最下流に位置するものを大気 圧P0よりも低圧な設定圧力Pe(P0>Pe)にするこ で、取出手段17から押し出される混練物の 水をより完全にすることができる。

(製造装置の動作説明)
 次に図1(a)並びに図1(b)及び水の状態図であ 図1(c)を参照して製造装置10の動作並びに脱 手段40の機能説明を行う。
 製造装置10の内部に、合成高分子の主剤、 イオマス由来成分の過剰含水物及びその他 要な成分(ワックス、相溶化剤等)が、投入手 段12を通じて投入され、設定された混練温度 混練手段50により混練される。すると、活 化した水がバイオマスの分子鎖間に侵入し その分子間結合を緩くする。さらに、混練 付与される機械エネルギーにより、バイオ スが開裂して微細化が進行する。

 さらに、溶融したワックスは、水と低粘 の混合液相を形成し混練物全体の粘性を低 させ混練性を向上させるとともにバイオマ 由来成分の表面に吸着する。またカルボキ ル基を有するその他の化合物(相溶化剤、脂 肪酸、多塩基酸等)は、下記式(3)に示す脱水 応(エステル反応)によって、バイオマス由来 成分の表面(R´)のヒドロシル基(OH)をエステル 結合を有する置換基に置換する。これにより 、バイオマス由来成分の親水性が低下して水 分との結びつきが弱まり、次の脱水工程にお いて効率の良い脱水が実現される。

 シリンダ13に設けられたもののうち最上流 位置する脱水手段40aに到達した混練物は、 クリュー15から付与される圧力により、濾過 板41に押し付けられて、含まれる水分が選択 にこの濾過板41を通過して気化空間Vに溜ま 。この気化空間Vに溜まった水分は混練温度 Tzであるところ、その飽和蒸気圧Pzより低い 力Paに設定されている気化空間Vにおいて、 の溜まった水分は気化することになる。こ 気化した水分(水蒸気)は調圧手段45の絞り弁4 4を通過して大気に放出されることになる。
 この脱水手段40aでは、設定圧力Paと大気圧P0 との差圧が小さいために、混練物の脱水が急 激にされることはなく、含水量が低減した状 態となって混練されながら下流の脱水手段40b に押し出される。

 次の脱水手段40bにおいても、同様に、飽和 気圧Pzより低い圧力Pbに設定されている気化 空間Vにおいて溜まった水分は気化して大気 放出されることになる。
 以下、このように、下流側に設けられてい 脱水手段40(40c,40d,40e)において同様の動作が り返されて、混練物は段階的に徐々に脱水 実行しつつ混練されるためにバイオマス由 成分の再凝集が抑制されることになる。

 そして、脱水が完了した混練物は、バイオ ス由来成分が分散した高分子複合材料の溶 体として、取出手段17から取り出されると もに、ペレタイザー(図示略)等により米粒状 のペレット等(高分子複合材料組成物)に成形 れる。
 このペレットは、再加熱して溶融させてか 、金型に注入してバルク状の成形品とした 、延伸加工(例えばインフレーション法、カ レンダー加工法、T-ダイ法、吹き込み法等)し てフィルム状の成形品としたり、発泡させて 発泡成形品としたりして、一般的な高分子加 工成形品を製造するための原料として適用す ることができる。
 なおこのように、ペレットの成形を経由せ に、取出手段17から押し出される高分子複 材料の溶融体からそのような成形品を直接 造してもよい。

 以上の実施形態は本発明を説明するため 一例であり、本発明は前記した実施形態に 定されるものでなく、発明の要旨の範囲内 種々の変形が可能である。例えば、製造装 10は、加圧脱水区間C1が少なくとも設けられ ていれば、特に常圧脱水区間C2及び減圧脱水 間C3を設ける必要が無い場合がある。これ 、混練温度Tzにおいては、大気圧P0よりも高 圧力で充分に脱水する(水分を気化させる) とが可能であることが図1(c)の水の状態図か 充分に裏付けられるからである。

 また、図示されているシリンダ13の区分(A,B, C1,C2,C3,D)は例示であって、これらの区分の間 他の区分を設けること(例えば、常圧脱水区 間C2と減圧脱水区間C3との間に混練区間Bを設 ること、原料投入区間Aを複数設けること等 )は適宜可能である。
 そのような、他の具体的な適用例について 示する。投入手段12からは、バイオマス(木 の粉砕物又は籾ガラの未処理物等)と、相溶 化剤とを、投入して第1の原料投入区間Aで両 を混練する。この原料投入区間Aで、バイオ マスは、さらに粉砕されて微粒子化するとと もにその表面に相溶化剤を吸着させて、後に 投入される合成高分子に対する親和性を向上 させる。

 次に、第2の原料投入区間(図示せず)におい 、合成高分子の主剤及びその他必要な試薬 投入し、バイオマスと共に混練する。これ より、バイオマス由来成分が合成高分子の 続相に微細にかつ均一に分散していくこと なる。
 なお製造装置10の構成として、脱水区間C1,C2 ,C3は、第1の原料投入区間Aと第2の原料投入区 間(図示せず)との中間工程に位置する場合、 2の原料投入区間(図示せず)の後工程に位置 る場合の、いずれの場合も取り得る。さら 、混練区間Bが、任意区間の中間に追加され る場合も取り得る。

(第2実施形態)
 次に図2(a)に示す縦断面図を参照して、本発 明に係る高分子複合材料の製造装置の第2実 形態を説明する。なお、図2(a)において図1と 同一又は相当する部分は、同一符号で示し、 すでにした記載を援用して、詳細な説明を省 略する。

 第2実施形態の製造装置10’は、高分子複合 料の原料として用いられるバイオマス由来 分の過剰含水物として、懸濁液のような含 量が多く流動性の高いものが採用される場 に適切なものである。
 そのような製造装置10’において特徴的な 成は、このバイオマス由来成分の過剰含水 をシリンダ13の内部に圧入する圧入手段20と 軸径が変化しているスクリュー15’とを採 する点にある。そして、高分子複合材料の 料が投入される区間は、合成高分子の主剤 投入される主剤投入区間A1と、その下流に設 けられバイオマス由来成分の過剰含水物の懸 濁液が投入される懸濁液投入区間A2とに分割 て構成される。

 圧入手段20は、シリンダ13の懸濁液投入区間 A2に設けられている注入口14を介して接続さ るものであって、バイオマス由来成分の過 含水物が充填されている液溜21と、この液溜 21からバイオマス由来成分の過剰含水物をシ ンダ13に注入する駆動力を与えるモータ22と 、この注入されるバイオマス由来成分の過剰 含水物の逆流を防止する逆止弁24と、シリン 13に注入されるバイオマス由来成分の過剰 水物の注入量を調節する絞り弁25とを含んで 構成されている。
 なお、この注入口14の近傍のシリンダ13の内 部は、合成高分子の混練物が加圧された状態 にあるので、圧入手段20は、それよりも大き 圧力でバイオマス由来成分の過剰含水物を 入させる必要がある。また、圧入された過 含水物が混練物の温度を下げないように、 入手段20には、過剰含水物を加熱する加熱 段を適宜設けてもよい。

 仮に、このような流動性の高いバイオマ 由来成分の過剰含水物を、第1実施形態の製 造装置10のように合成高分子と混合してシリ ダ13に投入するとなると、投入手段12の内部 で両者が分離して、バイオマス由来成分の配 合比率が変動して混練物に配合比率のむらが 生じることが懸念される。しかし、第2実施 態の製造装置10’のように、流動性の高いバ イオマス由来成分の過剰含水物を下流側に設 けた注入口14から圧入することにより、常に 定比率でむらなくバイオマス由来成分を混 物に投入することが可能になる。

 そして圧入手段20から圧入されるものは、 記したバイオマス由来成分の過剰含水物に 定されるものではなく、例えば前記したよ な、多塩基酸、多価アルコール、有機過酸 物のような混練工程において配合される種 の液状試薬が圧入される場合もある。
 また圧入手段20は、図2に示されるように単 配置に限定されるものでなく目的に応じて 数配置される場合があり、また配置される 置も脱水手段40の上流に配置されることに 定されるものでなく、その下流に配置され 場合もある。前記したような液状試薬は、 水が充分に行われた後に、混練物に圧入さ ることが望ましい場合があるからである。

 次に、スクリュー15’は、加圧脱水区間C1 又は常圧脱水区間C2に設けられている脱水手 40(40a,40b,40c,40d)の設置部位において、その軸 径が上流側よりも太径に形成されている。こ のようにスクリュー15’が構成されることに り、混練物は上流側よりもさらに加圧され こととなり、含有する水分が除去されて混 物の容積が減少してもこの混練物に付与さ る圧力は少なくとも維持されることになる

 さらにスクリュー15’は、減圧脱水区間C3 に設けられている脱水手段40(40e)の設置部位 おいて、その軸径が上流側よりも細径に形 されている。このようにスクリュー15’が構 成されることにより、混練物はこの区間にお いてスクリュー15’から混練物に付与されて る圧力は解除(減圧)されることになり、さ に混練物は大気圧P0より低圧にさらされて脱 水が促進されることになる。

 さらにスクリュー15’は、脱水区間C1,C2,C3 を通過した再加圧区間Dにおいて、その軸径 上流側よりも太径に形成されている。この うにスクリュー15’が構成されることにより 、脱水された混練物はこの区間において再加 圧されて取出手段17から取り出されることに る。

 また、前記した第2実施形態の説明において は、投入手段12からシリンダ13の内部には合 高分子の主剤が投入され、圧入手段20からシ リンダ13の内部にバイオマス由来成分を含む 濁液が投入される例を示した。
 第2実施形態における他の適用例として、投 入手段12からは合成高分子の主剤及びデンプ 質系バイオマス(生米等)がシリンダ13の内部 に投入されることとして、圧入手段20を注水 段としてシリンダ13の内部に水を注水する 合もある。
 この場合、圧入手段20は、流量並びに温度 調節機能を有する一般的な給湯手段を用い ことができる。そして、デンプン質系バイ マス(生米等)は、合成高分子の主剤とともに 混練されつつ、注水された水を吸水して過剰 含水物になってから糊化する。

(第3実施形態)
 次に図2(b)に示す縦断面図を参照して、本発 明に係る高分子複合材料の製造装置の第3実 形態を説明する。なお、図2(b)において図1及 び図2(a)と同一又は相当する部分は、同一符 で示し、すでにした記載を援用して、詳細 説明を省略する。

 第3実施形態の製造装置10”は、第2実施形態 の場合と同様に、高分子複合材料の原料とし て用いられるバイオマス由来成分の過剰含水 物として、懸濁液のように含水量が多く流動 性の高いものを採用する場合に適切なもので ある。
 そして製造装置10”において特徴的な構成 、フライト16のピッチが変化しているスクリ ュー15”を採用する点にある。
 このようにスクリュー15の下流に向うに従 フライト16のピッチが狭く変化すると混練物 に付与される圧力は増大し、逆にピッチが広 く変化すると混練物に付与される圧力は減少 することになる。

 そこでスクリュー15”は、加圧脱水区間C1又 は常圧脱水区間C2に設けられている脱水手段4 0(40a,40b,40c,40d)の設置部位において、フライト 16のピッチが上流側よりも狭く形成すること する。そしてスクリュー15”は、減圧脱水 間C3に設けられている脱水手段40(40e)の設置 位において、フライト16のピッチが上流側よ りも広く形成されている。
 このようにスクリュー15”が構成されるこ により、混練物は、第2実施形態の場合と同 要領で、脱水手段40が設けられている位置 加圧又は減圧されることになり、その脱水 段階的に促進されることになる。

(第4実施形態)
 次に図3に示す断面図を参照して、本発明に 係る高分子複合材料の製造装置の第4実施形 を説明する。前記した図1及び図2の製造装置 10は、原料の投入工程、混練工程、混練物の 出工程がそれぞれ寸断されることなく同時 進行し連続的に高分子複合材料を製造する 続式のものであった。これに対し、第4実施 形態に係る製造装置60は、原料の投入工程、 練工程、混練物の取出工程がそれぞれ順繰 に繰り返され断続的に高分子複合材料を製 するバッチ式のものである。

 この製造装置60は、投入手段12(ホッパ)と、 練手段62と、脱水手段40とを、含んで構成さ れている。ここで混練手段62は、駆動手段(図 示せず)と、ケーシング63と、ロータ65とを含 だ構成である。
 また図3(a)~(c)は、ロータ65の回転軸に直交す る断面であって、その長手方向に沿って異な る(それぞれ投入手段12、脱水手段40、取出手 67を含む)製造装置60の断面図を示している
 なお、図3において図1と同一又は相当する 分は、同一符号で示し、すでにした記載を 用して、詳細な説明を省略する。

 混練手段62は、ケーシング63と、ロータ65と 構成に含み、投入された合成高分子の主剤 バイオマス由来成分の過剰含水物及びその のものを設定した混練温度で撹拌して混練 、微細にかつ均一な高分子複合材料にする のである。
 ケーシング63は、合成高分子の主剤及びバ オマス由来成分の過剰含水物を投入する投 手段12並びに混練物を外部に取り出す取出手 段67が設けられている。
 この投入手段12は、第1開閉手段61を介して ーシング63内部の混練空間Wと連通しており この第1開閉手段61を「開状態」にすると投 手段12から混練空間Wに合成高分子の主剤や イオマス由来成分の過剰含水物を投入する とができるようになっている。一方、第1開 手段61を「閉状態」にすると混練空間Wと投 手段12との間を行き交う気体の流れも遮断 れる。

 取出手段67は、第2開閉手段68を介してケー ング63の混練空間Wと連通しており、この21開 閉手段61を「開状態」にすると混練空間Wにあ る混練物が取り出せることができるようにな っている。一方、第2開閉手段68を「閉状態」 にすると混練空間Wと取出手段67との間を行き 交う気体の流れも遮断される。
 このように、第1開閉手段61及び第2開閉手段 68を「閉状態」にすると混練空間Wは密閉空間 になり、混練空間Wは、設定された混練温度Tz における飽和蒸気圧Pz(>P0:大気圧)に保持さ ることになる(図1(c)参照)。

 ロータ65は、密閉空間にされ混練温度に 定されたケーシング63の混練空間Wで回転し 練物を混練するものである。このロータ65は 、図3中、互いに回転方向が逆方向である二 の回転体が、投入手段12からの投入物を巻き 込むようにかつ取出手段67へ混練物を押し出 ように回転するものが例示されているが、 のような実施形態に限定されるものでなく 知のものを適用することができる。

 脱水手段40は、図3(b)に示されるように、ケ シング63に穿設された混練空間Wの開口に設 られ、密閉空間の圧力を調節し、この調節 れた圧力により混練物の脱水を実行するも である。
 濾過板41は、ケーシング63の混練空間W及び 部を隔てるとともに混練物のうち含まれる 分を選択的に濾過するものである。
 遮断壁42は、濾過板41を介して混練空間Wに 通する気化空間Vが形成されるとともに調圧 段45が設けられている。
 調圧手段45は、密閉空間にされた混練空間W 気圧を調節して設定圧力に設定するもので って、圧力計43及び絞り弁44を備える。

 なお図3(b)の脱水手段40は、図1(b)と同じもの が示されているが、本実施形態の製造装置60 いては、混練空間Wの上部も連通する気化空 間Vと同じ役割を果たしている。このために 濾過板41及び遮断壁42を設けずに、ケーシン 63に直接調圧手段45を設ける構成も取り得る 。
 また、図3で図示されていないが、製造装置 60において、圧入手段20(図2参照)が設けられ 構成も取り得る。

(製造装置の動作説明)
 次に図3を参照して製造装置60の動作説明を う。
 第1開閉手段61を「開状態」とし第2開閉手段 68を「閉状態」とし、製造装置60の内部に、 成高分子の主剤、バイオマス由来成分の過 含水物及びその他必要な成分(ワックス、相 化剤等)を、投入手段12を通じて投入する。 して、第1開閉手段61を「閉状態」にして投 物を混練温度に設定し混練手段62により混 する。

 そして、適時、調圧手段45を動作させて混 空間Wにある水分を水蒸気にして外部に放出 せたり、図示しない圧入手段20(図2参照)か 必要な液状試薬を投入したりする。また必 に応じて強制減圧装置30(図1(a)参照)により、 混練空間Wを大気圧よりも減圧し、脱水を完 にする。
 次に第2開閉手段68を「開状態」とし混練空 W内の混練物を取出手段67から取り出す。以 の工程を繰り返すことにより、高分子複合 料を量産する。

 以上述べた高分子複合材料の製造装置10,1 0’,10”,60で混練される合成高分子の主剤と ては、熱可塑性高分子及び熱硬化性高分子 いずれも適用することができるものである また、これら合成高分子の主剤に適宜添加 れる試薬(熱硬化性高分子の硬化剤を含む)に ついては、その種類、性状、添加方法につい て公知のものを採用することができる。さら にそのような試薬を主剤に混合する手段は、 例示した実施形態に限定されるものでなく、 事例に応じて最適な手段が採用される。

 また合成高分子の主剤、バイオマス由来成 の過剰含水物及びその他必要な成分(ワック ス、相溶化剤等)が、投入手段12から投入され る順番並びに脱水を実施するタイミング及び 回数についても任意である。
 つまり、前記した成分を全て一機に投入し 混練・脱水して取り出す場合の他、例えば バイオマス由来成分の過剰含水物及び相溶 剤を、先行して投入し混練・脱水した後に 合成高分子の主剤を投入して混練して混練 を取り出す場合も取り得る。

<高分子複合材料のバイオマス濃厚体につ て>
 バイオマス由来成分が高比率に配合されて る高分子複合材料のバイオマス濃厚体が予 用意されていれば、これを合成高分子と共 混練し、バイオマス由来成分の濃度を任意 希釈して樹脂成形品を製造することができ 。
 またこのような製造方法によれによれば、 分を介在させずにバイオマス由来成分が均 分散した複合材料を量産することができる さらに、前記したような脱水手段40を備え 特殊な製造装置10を必要とせずに、一般的な 成形装置でバイオマス複合材料を簡便に量産 することができる。
 また、バイオマス由来成分は単体で放置す と、表面酸化により、合成高分子との親和 が低下するが、この濃厚物に成形しておけ 、バイオマス由来成分の粒子は、合成高分 に被覆されているので、酸化等の材質劣化 進行しにくい。

 以下、そのように希釈して使用するのに 適な高分子複合材料のバイオマス濃厚体(以 下、単に「濃厚体」という)について説明を う。なお、このバイオマス濃厚体に含まれ 合成高分子を第1合成高分子とし、後で希釈 るのに用いる合成高分子を第2合成高分子と 定義する。

 第1合成高分子として採用することができる 合成樹脂としては、特に限定はないが、プロ ピレン系樹脂及びエチレン系樹脂のオレフィ ン樹脂が好適に用いられる。
 これらプロピレン系樹脂及びエチレン系樹 の重合様式は、特に限定されるものでなく 重合度も、モノマーの結合数が10から100未 のオリゴマー(ワックス)、100を超えるポリマ ーの両方を含むこととする。
 そして、第1合成高分子は、バイオマス由来 成分が均一かつ微細な分散相を形成する複合 材料を製造するために、分子設計の自由度が 高いシングルサイト触媒による重合様式を採 用し、後記する融解温度特性を有する重合度 で合成されることが望ましい。

 この濃厚体を構成する第1合成高分子が具備 すべき特性の一つとして、濃厚体を製造する 混練温度において、良好な流動特性を備えて いること挙げられる。
 第1合成高分子に採用され得る前記した熱可 塑性樹脂のうち結晶性高分子であるものにつ いては、示差走査熱量計(DSC;Differential Scanning  Calorimetry)により測定される融解温度を、流 特性を評価する指標にすることができる。

 つまり、結晶性高分子の温度を連続的に変 させるとともに、結晶が融解して固体から 体に変化する際の転移熱をDSCにより検出す ことにより、任意温度における第1合成高分 子の固体-液体比率を知ることができる。
 そして、任意温度において、液体比率が高 程、全部液体の場合は融解ピークが低温に るものほど、低粘性で流動性に優れると一 にいえる。
 なお、熱可塑性樹脂のうち非晶性高分子に いては、結晶性高分子のような融解現象は 測されないので、DSCにより測定されるガラ 転移温度が流動特性を評価する指標として い得る。

 結晶性高分子であるプロピレン系樹脂を主 分にする第1合成高分子においては、DSCで測 定される融解温度が50℃から150℃の範囲に含 れることが望ましい。
 結晶性高分子であるエチレン系樹脂を主成 にする第1合成高分子においては、DSCで測定 される融解温度が50℃から120℃の範囲に含ま ることが望ましい。

 ここで、融解温度とは、JISK7121で定められ 融解開始温度Timから融解終了温度Temまでの 度範囲を指す。
 この第1合成高分子の融解開始温度Timが規定 した前記温度範囲の下限(50℃)未満であると ると、第1合成高分子は一般的使用温度(常温 )において部分的に融解することになり、最 製品であるバイオマス複合材料の表面がべ つき感を有する場合がある。
 また第1合成高分子の融解終了温度Temが規定 した前記温度範囲の上限よりも高温であると すると、一般的な同系統の合成樹脂の混練温 度において、未融解な部分が残存する場合が あり、最終製品であるバイオマス複合材料が 内部欠陥を包含する場合がある。

 このように規定された温度範囲の融解温度 有するために第1合成高分子は、前記したシ ングルサイト触媒により重合されたオレフィ ン樹脂(プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂) あることが望ましい。
 なぜならば、これら結晶性高分子の融解温 は、その高分子の一次構造と密接な関係を している為、一次構造を精密に制御するこ ができるシングルサイト触媒による重合は 都合であるからである。そのような、精密 御された一次構造を実現することができる は、このシングルサイト触媒が、重合反応 関わる部分が単一の性質を有するため重合 応が均一化する為と考えられている。

 シングルサイト触媒により合成される場 は、チグラー・ナッタ触媒に代表されるマ チサイト触媒による場合と比較して、等側 の分岐が少なく、分子量、結晶粒径の分布 均一化したオレフィン樹脂が重合される。 のため、DSC測定による融解温度が規定した 囲に含まれる任意の温度範囲であって融解 ークの形状がシャープであるオレフィン樹 (第1合成高分子)が得られる。

 ここで、第1合成高分子が、鎖状炭化水素 の主鎖の炭素数10から100の範囲に含まれるワ クスを含む場合について考察する。このワ クスは、工業的に合成される合成樹脂であ たり、天然物から抽出される天然樹脂であ たりし、いずれも常温で固体であり加熱し 溶融すると第2合成高分子よりも低粘度を示 すものである。このため、このワックスが配 合されている濃厚体と第2合成高分子とを混 して混練すると、ワックス成分が先行して 融することになる。すると、混練物の粘性 低下して混練装置の負担が低減するととも 混練性が向上しバイオマス由来成分が第2合 高分子の連続相中に均一でかつ微細に分散 ていくことになる。

 ここで、ワックスの主鎖の炭素数が10より 小さいと、ワックスの融点が低温となり常 で液体を示し、製造されるバイオマス樹脂 表面がべたつき感を有することになる。
 またワックスの主鎖の炭素数が100よりも大 いと、ワックスの融点が高温となり溶融粘 が大きくなる。すると、第2合成高分子の連 続相に対するバイオマス由来成分の分散性が 低下することになる。

 ワックスとして、天然樹脂のものとしては 和脂肪酸が挙げられる。
 飽和脂肪酸とは、鎖状炭化水素の1価のカル ボン酸であって、CH3(CH2)nCOOHの示性式で示さ る化合物であって、本発明に適用されるも はnが9以上であるものが好ましい。

 この飽和脂肪酸は、その末端に位置するカ ボキシル基(COOH)が親水基であって、鎖状炭 水素の部分(CH3(CH2)n)が疎水基(親油基)となっ ている。
 このために飽和脂肪酸は、末端のカルボキ ル基(COOH)が、バイオマス由来成分(R)の表面 ヒドロシル基(OH)と、下記式に示す脱水反応 (エステル反応)により化学結合(化学吸着)す ことになる。

 このような化学反応により、バイオマス 来成分は、その表面のヒドロシル基(OH)が飽 和脂肪酸によって化学修飾されて、親水性が 解消し親油性が向上することとなる。これに より、バイオマス由来成分の分散相が第2合 高分子の連続相中に拡散しやすい好都合な 質を備えることになる。

 合成樹脂のワックスとしては、前記したシ グルサイト触媒により重合されたオレフィ 樹脂が好適である。これによれば、同様の 点(又は溶融粘度)を有する天然樹脂のワッ スと対比した場合、長鎖であるがゆえに硬 が高い特徴を有するため、機械的特性の優 たバイオマス樹脂の複合材料を得ることが きる。
 また、シングルサイト触媒により重合され オレフィン樹脂のワックスは、同程度の硬 を有する他の合成ワックス(チグラー・ナッ タ触媒法、高圧法等)と対比した場合、低融 でかつ低粘度である特徴を具備している。

 濃厚体を構成するバイオマス由来成分と ては、グルコースがα-1,4グルコシド結合に って直鎖状に結合したアミロース又はα-1,4 ルコシド結合とα-1,6グルコシド結合の両者 直鎖を枝に持つアミロペクチンを主成分と るデンプン質系バイオマス、リグノセルロ ス又はセルロースを主成分とする草木質系 イオマス、甲殻類動物に由来するキチン(又 はキトサン)質系バイオマス(蟹ガラ、蝦ガラ )が挙げられる。

 濃厚体を製造するにあたり、これらデンプ 質系バイオマスの前処理としては、芯や表 を取り除き大きさを適当に揃えて刻んだり 糊化に必要な水分の追加をしたりする程度 簡単な処理で十分である。このような簡単 処理をしたデンプン質系バイオマスと、第1 合成高分子とを共に混練すると、その過程に おいて含有する水分によりデンプンが糊化し 微細化し第1合成高分子中に均一に分散して くことになる。
 なおこの含有する水分は濃厚体を製造する 練工程の後工程において混練装置に設けら ている脱水手段から排出されることになる
 また濃厚体の原料として適用されるデンプ 質系バイオマスは、このような簡単な前処 を実施した穀物に限定されるものではなく 予め公知方法で糊化させた穀物(非晶構造を 取るデンプン)や、これら穀物からアミロー 又はアミロペクチンの成分を公知の方法で 出させたものを原料としてもよい。

 またデンプン由来のバイオマス由来成分を 用する場合において、その微細化を促進す ために、濃厚体の製造時において、アミラ ゼを添加する場合がある。
 このアミラーゼは、分子量約55,000の酵素で り、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、グルコ ミラーゼがあり、いずれも工業的に大量生 されるものである。
 α-アミラーゼは、デンプンのα-1,4グルコシ 結合を不規則に切断して多糖又はオリゴ糖 加水分解し、β-アミラーゼは、デンプンを 端からブドウ糖2個単位で切断し、麦芽糖に 分解し、グルコアミラーゼは、糖鎖の非還元 末端のα-1,4グルコシド結合を切断してブドウ 糖に分解する。
 さらに、イソアミラーゼ、プルラナーゼは 糖類の分岐部分であるα-1,4グルコシド結合 選択的に切断する。

 このなかでα-アミラーゼが、デンプン由来 バイオマス由来成分の微細化を促進させる 点において好適である。また、イソアミラ ゼ、プルラナーゼは、バイオマス由来成分 低分子量化を防ぐために好適である。
 ところで、α-アミラーゼの酵素活性は、水 イオン指数pH5~pH7、温度40℃~80℃の範囲で、 く維持されるものである。
 従って、濃厚体を製造するにあたり、アミ ーゼがデンプン質系バイオマスに投入され タイミングは、デンプン質系バイオマスが 練装置に投入される前、同時、後のいずれ 場合も取り得るが、アミラーゼの酵素活性 失われない条件が維持されることが必要で る。

 特に、デンプン質系バイオマスが混練装置 投入されると同時又は後にアミラーゼが投 される場合は、混練温度が酵素活性が失わ ない範囲に設定する必要がある。この場合 、投入される第1合成高分子も、酵素活性が 失われない温度範囲で充分に流動する程度に 融解温度が低いことが望まれる。
 アミラーゼの活性条件の範囲を外れるとア ラーゼの酵素は変性して失活し、特に高温 おいては、アミラーセの活性の低下速度が 激に早くなる。一例を示すと、70℃で20分放 置した場合の残存活性が90%であるのに対し、 75℃で20分放置した場合の残存活性が50%まで 下するといった報告例がある。
 なお、アミラーゼの添加量は、デンプン質 バイオマス100重量部に対して、0.001~5重量部 であることが望ましい。ここで、アミラーゼ の添加量が0.001重量部未満である場合は、デ プンの分解速度が遅くなり、5重量部よりも 多い場合は、デンプンの分解が促進されすぎ てバイオマス由来成分が低分子量化して好ま しくない。

 デンプン質系バイオマスがアミラーゼの酵 活性によって分解されれば、糊化反応も促 されることとなり、共に混練される第1合成 高分子中にバイオマス由来成分が微細に均一 に分散していくことになる。
 このように、デンプンを酵素分解させた後 α-アミラーゼは、不要なものであるがこれ 選択的に取り除く手段がないので、そのま 濃厚体中に混入させておいたり、混練温度 高温にして熱変性させ活性を殺した状態で 入させておいたりしてもよい。

 一方、草木質系バイオマスを原料とするも として、具体的には、木材工業およびパル 工業等の廃棄物である間伐材・建築解体材 、農業廃棄物である稲ワラ・さやガラ、故 、粉砕処理した木片、木粉、鋸屑、カンナ 、竹粉、バガス、果実殻粉、木綿、人絹(レ ーヨン)等を挙げることが出来る。また、こ らの形状には別に制限なく、繊維状、粉末 のものが使用できる。
 また、これら草木質系バイオマス及びキチ 質系バイオマスを、高圧ホモゲナイザーを いて水中で物理的に粉砕させたり、化学処 により水中で微細化させたりして懸濁液状 したものも適宜利用することができる。

 また、これらバイオマス由来成分同士の凝 を緩和するために、濃厚体の製造時におい 、アルカリ金属塩を添加する場合がある。
 アルカリ金属塩の種類は特に限定されるも ではないが、炭酸リチウム、炭酸ナトリウ 、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカ 金属炭酸塩、さらに、炭酸バリウム、炭酸 ルシウム、炭酸ストロンチウム等のアルカ 土類金属塩が挙げられる。

 これらアルカリ金属塩が添加されると、濃 体の製造時において、アルカリ金属イオン バイオマス由来成分の親和性によりバイオ ス由来成分間の凝集力が弱まり、バイオマ 由来成分の第1合成高分子に対する分散性が 高まることなる。
 また濃厚体の製造後、貯蔵中に、微細化し バイオマス由来成分が再凝集することが防 される。また、濃厚体と第2合成高分子とを 混合させる際に、第2合成高分子中における 厚体の流動性が向上し分散しやすくなる。

 なお、アルカリ金属塩の添加量は、バイ マス由来成分100重量部に対して、0.001~5重量 部であることが望ましい。ここで、アルカリ 金属塩の添加量が0.001重量部未満である場合 、バイオマス由来成分の凝集力が弱まるこ がなく、5重量部よりも多い場合は、バイオ マス由来成分の粘度が下がりすぎて第1合成 分子との混練性が低下して好ましくない。

 なお濃厚体の製造時においては、第1合成 樹脂と共に混練されるバイオマスは、デンプ ン質系に限らず草木質系やキチン質系であっ ても、充分な水分の存在により、第1合成樹 の連続相中への分散が促進される事は、す に述べたとおりである。このため、バイオ ス由来成分の分散性を向上させる目的で原 となるバイオマスに水分を追加して混練装 に投入する場合がある。

 また濃厚体を製造するにあたり、飽和カル ン酸、不飽和カルボン酸又はこれらの誘導 等の相溶化剤も共に混練させてバイオマス 来成分をエステル化させる場合がある。
 そのような飽和カルボン酸としては、無水 ハク酸、コハク酸、無水フタル酸、フタル 、無水テトラヒドロフタル酸、無水アジピ 酸等が挙げられる。不飽和カルボン酸とし は、マレイン酸、無水マレイン酸、無水ナ ック酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シ ラコン酸、無水シトラコン酸、ソルビン酸 アクリル酸等が挙げられる。
 不飽和カルボン酸の誘導体としては、前記 飽和カルボン酸の金属塩、アミド、イミド エステル等を使用することができる。

 またこれら相溶化剤を導入するタイミン としては、バイオマス由来成分と第1合成高 分子とほぼ同時に混練装置に投入する場合や 、混練装置に投入する前に予めバイオマス由 来成分を相溶化剤によりエステル化させてお く前処理を実施する場合や、混練装置に投入 する前に予め第1合成高分子を不飽和カルボ 酸またはその誘導体で変性させておく前処 を実施する場合がある。

 前記した相溶化剤がバイオマス由来成分 作用すると、その表面の水酸基がエステル に置換されることにより(エステル化)、一 に親水性を示すバイオマス由来成分と、一 に疎水性を示す合成樹脂との界面における 親和性が改善される。これにより、バイオ ス由来成分は、第1合成高分子との親和性が 上するために濃厚体内で凝集することがな 、後に配合される第2合成高分子との親和性 も向上するために、混練される複合材料にバ イオマス由来成分がに高速に微細に均一分散 していくことになる。さらに混練体の流動特 性も向上し複合材料の諸性質を向上させる。

 濃厚体において、バイオマス由来成分及び 1合成高分子の配合比率としては、バイオマ ス由来成分100重量部に対して、第1合成高分 が5~100重量部であることが好ましい。
 第1合成高分子が5重量部未満であると、微 化したバイオマス由来成分の表面の全てを 1合成高分子で濡らすことができない。そう ると、濃厚体に第2合成高分子を配合して混 練する際に、バイオマス由来成分と第2合成 分子との相溶性が低下する場合があり、複 材料中におけるバイオマス由来成分の均一 散が阻害されることになる。
 第1合成高分子が100重量部よりも多いと、相 対的に配合される第2合成高分子の分量が低 する。そうすると、第1合成高分子よりも相 的に高粘性でかつ空間占有率の低い第2合成 高分子は、バイオマス由来成分の拡散が鈍い ことになり、バイオマス由来成分の均一分散 が阻害されることになる。

(濃厚体の製造方法)
 濃厚体を加熱混練して製造する製造装置と ては、例えばニーダー、バンバリーミキサ 、1軸もしくは2軸の押出機などが挙げられ 。これら製造装置には、一般的に具備され 構成の他に、混練体に包含される水分を脱 する脱水手段を具備する必要がある。
 この脱水手段は、混練体が混練される製造 置の内部が高温・高圧の密閉状態になって ることから、この内部に連通する開閉自在 大気開放路を設ければそのような脱水手段 して機能することになる。
 さらに脱水手段として、製造装置の内部を 気圧よりも減圧することができる強制減圧 置をさらに設けることができれば、混練体 包含される水分の脱水がより効率的に実行 れる。

 このような濃厚体の製造装置の原材料投入 に、所定の前処理を行ったバイオマス、第1 合成高分子、適宜相溶化剤、アルカリ金属塩 及び水分を直接投入する。また原料とするバ イオマスがデンプン由来のものであれば、適 宜アミラーゼも投入する。
 そして、混練ゾーンが所定温度になるよう 設定し所定時間かけて混練し、第1合成高分 子中にバイオマス由来成分が微細に分散して いる状態を形成する。
 このようにバイオマスと水とが共に混練さ ると、活性化した水がバイオマスの分子鎖 に侵入してその分子間結合を緩くする。さ に、混練で付与される機械エネルギーによ 、バイオマスが破砕して微細化が進行する さらに、溶融した第1合成高分子(ワックス) 水と混合液相を形成しバイオマスの表面に 着しバイオマスの親油性が向上する。
 そして、この状態から脱水手段の大気開放 を開けば、混練体に含まれる水分が圧力差 より大気中に放出される。さらに、強制減 装置を動作させて確実に脱水させてもよい

 最後に、濃厚体の製造装置の取出口から取 出した濃厚体の混練体を、公知の造粒装置 通過させて造粒(ペレット化)する。
 このようにして製造された高分子複合材料 バイオマス濃厚体のペレットは、微細化さ たバイオマス由来成分が第1合成高分子に対 して高比率で配合されているものである。ま たこのようにバイオマス由来成分が高比率で 配合されている濃厚体は、第1合成高分子中 の分散促進剤として機能する水分を減量さ て製造することができる。これにより、脱 手段により排出される水分も少量ですみ濃 体の生産性を低下させることはない。

(第2合成高分子について)
 濃厚体に配合される第2合成高分子について は、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂である場 合も取り得ることとし、第1合成高分子と親 性が良好なものであれば特に限定されない
 ただし、濃厚体と第2合成高分子とを混練し てバイオマス複合材料にした際に、この複合 材料におけるバイオマス由来成分の良好な分 散性及びその他の諸特性を確保するために、 第1合成高分子と第2合成高分子とは次式の関 を有していることが望ましい(但し、共に結 晶性高分子である場合に限る)。
 T1≦T2…(2)

 ここでT1は第1合成高分子のDSC測定による融 ピーク温度Tpm、T2は濃厚体に配合される第2 成高分子の融解ピーク温度Tpmを示す。ここ 融解ピーク温度Tpmとは、DSC測定による融解 ークの頂点の温度を指す(JISK7121参照)。
 ところで、結晶性高分子である合成樹脂のD SC測定による融解ピークは、一般に、その頂 の温度Tpmを中心として対称形であるわけで ない。しかし、混練温度は、第2合成高分子 が充分に融解する温度に設定されるものであ って、この設定温度で濃厚体と第2合成高分 とが混練されれば、第2合成高分子が固体か 溶融体になる前に、第1合成高分子が先行し て融解し、溶融体となって、混練体の全体に 均一に行き渡ることになる。

 さらに、第2合成高分子よりも融解ピーク温 度Tpmが低い第1合成高分子の方が(T1<T2)、一 に、混練温度における粘度が小さいといっ 流動特性を有するものである。このため、 練初期においては、固体の第2合成高分子の ペレットの隙間に低粘度の濃厚体の溶融体が 先行して充填されるために、混練装置の内部 流動抵抗を低減させる効果も得られ、複合材 料の成形性・生産性の向上にも貢献する。
 また、T1=T2である場合は、実質的に第1合成 分子と第2合成高分子とは同じ合成樹脂であ ることを意味しており、混練される物同士の 親和性が極めて良好な状態が実現される。こ れにより、バイオマス由来成分が複合材料の 全体に均一に分散するとともに、複合材料の 成形性・生産性が向上する。

(複合材料の製造方法1;第2合成高分子が熱可 性樹脂である場合)
 前記した濃厚体の製造方法により製造され 濃厚体のペレットに、熱可塑性樹脂である 2合成高分子を配合し、共に混練装置により 混練する。用いられる混練装置は、汎用のニ ーダー、ミキシングロール、バンバリーミキ サー、1軸もしくは2軸の押出機などが挙げら る。

 熱可塑性樹脂である第2合成高分子と濃厚 体とを混練する工程において、最終的に製造 される複合材料の総重量に対するワックスの 重量占有率が0.5から30重量%の範囲に含まれる ようにこのワックスを追加する場合がある。 これにより、混練物の粘性が低下して混練装 置の負担が低減するとともに混練性が向上し バイオマス由来成分が第2合成高分子の連続 中に均一でかつ微細に分散していくことに る。

 ワックスの重量占有率が0.5重量%よりも少な い場合、微細化したバイオマス由来成分の表 面をワックスで濡らすことができない。そう すると、親水性であるバイオマスの分散相を 疎水性である合成樹脂の連続相に均一に拡散 させることが困難になる。
 一方、ワックスの配合量が30重量%よりも多 場合、製造される複合材料を構成する合成 脂成分の平均分子量が低下することとなり の機械的性質が低下することになる。

 さらにこれらの混練装置から、複合材料 溶融体を、射出成形、押出成形、ブロー成 、インフレーション成形等の各種熱可塑性 脂の成形装置に導いて、従来から熱可塑性 脂を用いて加工される各種製品、埋立によ 土に還元されることを目的とする各種製品 例えば家電製品、農林水産業用資材、土木 建築資材、野外レジャー用ディスポーザブ 製品、包装用フィルム、ゴミ袋、砂漠・荒 などで用いる植林用素材、釣り糸、魚網、 装フィルム、紙おむつ等の衛生製品、文具 容器、トレー、雑貨等を製造することがで る。

(複合材料の製造方法2;第2合成高分子が熱硬 性樹脂である場合)
 前記した濃厚体の製造方法により製造され 濃厚体と、熱硬化性樹脂である第2合成高分 子とを混合し、一般的に用いられる熱硬化性 樹脂の成形装置に投入し、バイオマス複合材 料を製造することができる。
 用いられる成形装置は、圧縮成形機、射出 形機、トランスファ成形機等が具体的に挙 られ、従来から熱硬化性樹脂を用いて製造 れる各種製品、車部品、電気部品、電子部 等を製造することができる。

 圧縮成形機を用いて複合材料を製造する 合は、濃厚体と熱硬化性樹脂(第2合成高分 )との混合物を硬化温度に設定された金型の 部(キャビティ)に入れて、プレスして硬化 せる。この場合、加温により高分子複合材 のバイオマス濃厚体が流動化し、第2合成高 子の粒子の隙間を充填する。その後、第2合 成高分子の硬化反応が進行することとなり、 バイオマス由来成分が均一かつ微細に分散し たバイオマス複合材料を得る。

 射出成形機又はトランスファ成形機を用い 複合材料を製造する場合は、濃厚体と熱硬 性樹脂(第2合成高分子)との混合物を、硬化 度よりも低温である流動温度に設定し、流 化させる。そして、この流動化した混合物( 濃厚体+第2合成高分子)を硬化温度に設定され た金型に圧入し、硬化させる。
 なお、バイオマス由来成分の分散相の微細 ・均一化を図るために、流動状態にある混 物を充分に撹拌することが望ましい。

 もしくは、第2合成高分子に混合する前に濃 厚体のペレットをミキサー等を用いて粉砕処 理してもよい。この場合、粉砕されたバイオ マス由来成分の表面は新生面であるので、熱 硬化性樹脂との親和性も高く、均一な分散相 が得られやすくなる。
 この場合、濃厚体のペレットは、複合材料 成形時に粉砕処理により微粒子化されるこ を前提に、所定大きさ(通常、米粒から豆粒 の大きさ)で外気に接する表面積が小さくな ように成形されるわけである。
 このことは、前記したように粉砕して微粒 化されるバイオマス由来成分の新生面が広 確保されることのみならず、濃厚体の表面 化による発熱を抑制し、長期保存に耐えう 貯蔵安定性が付与されることになる。

 なお、前記した濃厚体の製造工程又は複 材料の製造工程において、消臭剤として平 粒径50ミクロン以下のシリカパウダーを投 したり、埋立処分する際の分解を促進させ 公知の生分解性付与剤を投入したりする場 がある。

 このように、濃厚体を利用することによ 、一般的な混練装置を用いて、バイオマス 来成分の分散相を合成樹脂の連続相に微細 かつ均一に分散させることができ、バイオ ス複合材料を簡便に量産することができる