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Patent Searching and Data


Title:
POLYMER COMPOUND, METHOD FOR PRODUCING THE SAME, AND COMPOSITION CONTAINING THE POLYMER COMPOUND
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/041527
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a polymer compound which enables to obtain high charge mobility when used in an organic transistor. A preferable mode of this polymer compound has a repeating unit represented by the following general formula (1). (1) (In the formula, R1 represents an alkyl group, an alkoxy group, an alkylthio group, an aryl group, an aryloxy group, an arylthio group, an arylalkyl group, an arylalkoxy group, an arylalkylthio group, a substituted silyl group, a substituted carboxyl group, a monovalent heterocyclic group, a cyano group or a fluorine atom; and l represents an integer of 2-8. In this connection, the plurality of R1's may be the same as or different from each other.)

Inventors:
OGUMA JUN (JP)
KOHIRO KENJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/067334
Publication Date:
April 02, 2009
Filing Date:
September 25, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO CHEMICAL CO (JP)
OGUMA JUN (JP)
KOHIRO KENJI (JP)
International Classes:
C08G61/10; C08G61/12; C09D11/00; C09D11/36; C09D11/38; C09D11/52; H01L29/786; H01L51/05; H01L51/30
Foreign References:
JP2000136379A2000-05-16
JP2006504814A2006-02-09
JPH0881546A1996-03-26
JP2007217312A2007-08-30
JP2004224835A2004-08-12
JP2007501883A2007-02-01
JPH0945478A1997-02-14
JPH05110069A1993-04-30
JP2004006476A2004-01-08
Other References:
SIRRINGHAUS, H. ET AL.: "Mobility enhancement in conjugated polymer field-effect transistors through chain alignment in a liquid-crystalline phase.", APPL PHYS LETT, vol. 77, no. 3, 2000, pages 406 - 408, XP012027066
MIKROYANNIDIS, J.A. ET AL.: "Luminescent monomer of substituted tetrastyrylpyrene and poly (p-phenylenevinylene) derivative with pyrene segments: Synthesis and photophysics", SYNTH MET, vol. 155, no. 1, 2005, pages 125 - 129, XP008133627
MIKROYANNIDIS, J.A. ET AL.: "Alternating Copolyfluorenevinyles with Polynuclear Aromatic Moieties: Synthesis, Photophysics, and Electroluminescence", J POLYM SCI PART A, vol. 45, no. 20, 2007, pages 4661 - 4670, XP008133628
APPLIED PHYSICS LETTERS, vol. 77, no. 3, 2000, pages 406 - 408
CHEM. REV., vol. 95, 1995, pages 2457
PROG. POLYM. SCI., vol. 17, no. 11, 1992, pages 53 - 1205
See also references of EP 2208745A4
Attorney, Agent or Firm:
HASEGAWA, Yoshiki et al. (Ginza First Bldg.10-6, Ginza 1-chom, Chuo-ku Tokyo 61, JP)
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Claims:
下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物。
[式中、R 1 は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、置換シリル基、置換カルボキシル基、1価の複素環基、シアノ基又はフッ素原子を表し、lは2~8の整数である。なお、複数のR 1 はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
前記式(1)で表される繰り返し単位が、下記一般式(2a)及び(2b)からなる群から選ばれる繰り返し単位である、請求項1記載の高分子化合物。
[式中、R 21 ~R 36 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、置換シリル基、置換カルボキシル基、1価の複素環基、シアノ基又はフッ素原子を表す。但し、R 21 ~R 28 のうちの少なくとも2つは水素原子以外の基であり、R 29 ~R 36 のうちの少なくとも2つは水素原子以外の基である。]
下記一般式(3)で表される繰り返し単位を更に有する、請求項1又は2記載の高分子化合物。
[式中、Xは、アリーレン基、2価の複素環基、金属錯体構造を有する2価の基、2価の芳香族アミン基、-CR 45 =CR 46 -で表される基(但し、R 45 及びR 46 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、フッ素原子、1価の複素環基又はシアノ基を表す)、又は、-C≡C-で表される基を表し、これらはそれぞれ置換基を有していてもよい。nは1~5の整数を表す。なお、Xが複数存在する場合、複数のXはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
前記式(2a)におけるR 22 とR 26 とが水素原子以外の同種の基である、及び/又は、前記式(2b)におけるR 32 とR 35 とが水素原子以外の同種の基である、請求項2又は3記載の高分子化合物。
前記式(2a)におけるR 21 、R 23 、R 24 、R 25 、R 27 及びR 28 が水素原子である、及び/又は、前記式(2b)におけるR 29 、R 30 、R 31 、R 33 、R 34 及びR 36 が水素原子である、請求項2~4のいずれか一項に記載の高分子化合物。
前記式(3)において、Xが2価の複素環基である、請求項3~5のいずれか一項に記載の高分子化合物。
前記式(3)において、nが2である、請求項3~6のいずれか一項に記載の高分子化合物。
前記式(3)で表される繰り返し単位が、下記一般式(4)で表される構造である、請求項3~7のいずれか一項に記載の高分子化合物。
[式中、R 41 ~R 44 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換シリル基、カルボキシル基、1価の複素環基、シアノ基又はフッ素原子を表す。]
下記一般式(5)で表される化合物を重合させる重合工程を有する、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物の製造方法。
[式中、R 1 は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、置換シリル基、置換カルボキシル基、1価の複素環基、シアノ基又はフッ素原子を表し、lは2~8の整数である。なお、複数のR 1 はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。Y 51 及びY 52 は、それぞれ独立に、重合可能な置換基である。]
前記式(5)で表される化合物が、下記一般式(6a)及び(6b)からなる群から選ばれる化合物である、請求項9記載の高分子化合物の製造方法。
[式中、R 21 ~R 36 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、置換シリル基、置換カルボキシル基、1価の複素環基、シアノ基又はフッ素原子を表す。但し、R 21 ~R 28 のうちの少なくとも2つは水素原子以外の基であり、R 29 ~R 36 のうちの少なくとも2つは水素原子以外の基である。Y 61 ~Y 64 は、それぞれ独立に、重合可能な置換基である。]
前記重合工程において、下記一般式(7)で表される化合物を更に重合させる、請求項9又は10記載の高分子化合物の製造方法。
[式中、Xは、アリーレン基、2価の複素環基、金属錯体構造を有する2価の基、又は、-C≡C-で表される基を表し、これらはそれぞれ置換基を有していてもよい。nは1~5の整数を表す。なお、Xが複数存在する場合、複数のXはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。Y 71 及びY 72 は、それぞれ独立に、重合可能な置換基である。]
請求項1~8のいずれか一項に記載の高分子化合物を含む組成物。
請求項1~8のいずれか一項に記載の高分子化合物と、溶媒と、を含有するインク組成物。
25℃における粘度が1~20mPa・sである、請求項13記載のインク組成物。
請求項1~8のいずれか一項に記載の高分子化合物を含む薄膜。
請求項15記載の薄膜からなる有機半導体層を備える有機トランジスタ。
Description:
高分子化合物及びその製造方法 並びに、この高分子化合物を含む組成物

本発明は、高分子化合物及びその製造方法 、この高分子化合物を含む組成物、インク組 成物及び薄膜、並びに、この薄膜を用いた有 機トランジスタに関する。

キャリア輸送層として機能する半導体層が 有機物によって構成される有機トランジスタ (有機薄膜トランジスタ)は、低コストで製造 能であることから、例えば、電子ペーパー フレキシブルディスプレイ等の用途に好適 あり、近年、注目されている。上述した半 体層(有機半導体層)を構成する有機物とし は、有機半導体材料が用いられる。

この有機半導体材料としては、製造工程を容 易化できることから、溶媒に溶解させ塗布す ることによって有機半導体層を形成すること ができる高分子化合物が検討されている。
例えば、フルオレンとビチオフェンの交互共 重合体からなる高分子化合物が提案されてい る(非特許文献1参照)。
APPLIED PHYSICS LETTERS, Vol.77, No.3, 2000,P.406 ~408.

有機トランジスタの特性は、有機半導体層 における電荷(電子やホール)の移動度に主に 存し、この電荷の移動度が高いほど有機ト ンジスタの特性が優れていることを意味す 。近年では、有機トランジスタの用途も多 化しており、従来にも増して高い電荷の移 度が得られることが求められている。しか ながら、上述したような従来の高分子化合 を用いた場合は、近年求められている高い 動度を十分に得ることは困難な傾向にあっ 。

そこで、本発明はこのような事情に鑑みて なされたものであり、高い電荷の移動度を得 ることができる高分子化合物を提供すること を目的とする。本発明はまた、この高分子化 合物の製造方法、この高分子化合物を含む組 成物、インク組成物及び薄膜、この薄膜を用 いた有機トランジスタ、並びに、この有機ト ランジスタを備える面状光源及び表示装置を 提供することを目的とする。

上記目的を達成するため、本発明の高分子化 合物は、下記一般式(1)で表される繰り返し単 位を有することを特徴とする。
[式中、R 1 は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチ オ基、アリール基、アリールオキシ基、アリ ールチオ基、アリールアルキル基、アリール アルコキシ基、アリールアルキルチオ基、置 換シリル基、置換カルボキシル基、1価の複 環基、シアノ基又はフッ素原子を表し、lは2 ~8の整数である。なお、複数のR 1 はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]

上記構造を有する高分子化合物は、上記式 (1)で表されるピレン構造を繰り返し単位とし て含んでおり、かかる構造は、極めて平面性 が高い共役構造である。したがって、本発明 の高分子化合物によれば、上述したフルオレ ンからなる構造を含む従来の高分子化合物に 比して、有機トランジスタに適用した場合に 高い電荷移動度を得ることができる。

本発明の高分子化合物において、上記式(1)で 表される繰り返し単位は、下記一般式(2a)及 (2b)からなる群から選ばれる繰り返し単位で ると好適である。これらの繰り返し単位を することで、より優れた電荷移動度が得ら 易くなる傾向にある。
[式中、R 21 ~R 36 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基 、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール 基、アリールオキシ基、アリールチオ基、ア リールアルキル基、アリールアルコキシ基、 アリールアルキルチオ基、置換シリル基、置 換カルボキシル基、1価の複素環基、シアノ 又はフッ素原子を表す。但し、R 21 ~R 28 のうちの少なくとも2つは水素原子以外の基 あり、R 29 ~R 36 のうちの少なくとも2つは水素原子以外の基 ある。]

また、本発明の高分子化合物は、下記一般式 (3)で表される繰り返し単位を更に有するもの であるとより好ましい。このような繰り返し 単位を更に有することで、更なる電荷移動度 の向上が可能となる。
[式中、Xは、アリーレン基、2価の複素環基、 金属錯体構造を有する2価の基、2価の芳香族 ミン基、-CR 45 =CR 46 -で表される基(但し、R 45 及びR 46 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基 、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール 基、アリールオキシ基、アリールチオ基、ア リールアルキル基、アリールアルコキシ基、 アリールアルキルチオ基、アリールアルケニ ル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置 換アミノ基、シリル基、置換シリル基、フッ 素原子、1価の複素環基又はシアノ基を表す) 又は、-C≡C-で表される基を表し、これらは それぞれ置換基を有していてもよい。nは1~5 整数を表す。なお、Xが複数存在する場合、 数のXはそれぞれ同一でも異なっていてもよ い。]

より具体的には、本発明の高分子化合物にお いて、上記式(2a)におけるR 22 とR 26 とが水素原子以外の同種の基である、及び/ は、上記式(2b)におけるR 32 とR 35 とが水素原子以外の同種の基であると、本発 明の効果を得る上で更に有効である。

また、上記式(2a)におけるR 21 、R 23 、R 24 、R 25 、R 27 及びR 28 が水素原子である、及び/又は、上記式(2b)に けるR 29 、R 30 、R 31 、R 33 、R 34 及びR 36 が水素原子であると一層好ましい。

上記式(3)で表される繰り返し単位としては 、Xが2価の複素環基であるものが好ましい。 た、上記式(3)においては、nが2であると更 好ましい。これらの条件を満たす式(3)で表 れる繰り返し単位を有することで、特に優 た電荷移動度が得られ易くなる傾向にある

より具体的には、特に好適な上記式(3)で表さ れる繰り返し単位としては、下記一般式(4)で 表される構造が挙げられる。ここで、下記式 (4)で表される構造においては、2つのチオフ ン環が、これらを結合している単結合を軸 回転可能である。したがって、下記式(4)で される構造としては、各チオフェン環が、 れぞれの硫黄原子を上記軸に対して反対側 有するように配置された構造も含まれる。
[式中、R 41 ~R 44 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基 、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール 基、アリールオキシ基、アリールアルキル基 、アリールアルコキシ基、置換シリル基、カ ルボキシル基、1価の複素環基、シアノ基又 フッ素原子を表す。]

また、本発明の高分子化合物の製造方法は、 上記本発明の高分子化合物を得るために好適 な方法であって、下記一般式(5)で表される化 合物を重合させる重合工程を有する、下記式 (1)で表される繰り返し単位を有する高分子化 合物の製造方法であることを特徴とする。
[式中、R 1 は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチ オ基、アリール基、アリールオキシ基、アリ ールチオ基、アリールアルキル基、アリール アルコキシ基、アリールアルキルチオ基、置 換シリル基、置換カルボキシル基、1価の複 環基、シアノ基又はフッ素原子を表し、lは2 ~8の整数である。なお、複数のR 1 はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。Y 51 及びY 52 は、それぞれ独立に、重合可能な置換基であ る。]

このような製造方法によれば、上記式(1)で 表される繰り返し単位を含む本発明の高分子 化合物を良好に得ることが可能となる。

また、本発明の高分子化合物の製造方法にお いては、上記式(5)で表される化合物が、下記 一般式(6a)及び(6b)からなる群から選ばれる少 くとも一方の化合物であるとより好ましい こうすれば、上記式(2a)及び/又は(2b)で表さ る繰り返し単位を含み、特に優れた電荷移 度が得られる高分子化合物を製造すること 可能となる。
[式中、R 21 ~R 36 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基 、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール 基、アリールオキシ基、アリールチオ基、ア リールアルキル基、アリールアルコキシ基、 アリールアルキルチオ基、置換シリル基、置 換カルボキシル基、1価の複素環基、シアノ 又はフッ素原子を表す。但し、R 21 ~R 28 のうちの少なくとも2つは水素原子以外の基 あり、R 29 ~R 36 のうちの少なくとも2つは水素原子以外の基 ある。Y 61 ~Y 64 は、それぞれ独立に、重合可能な置換基であ る。]

また、本発明の高分子化合物の製造方法にお いては、重合工程において、下記一般式(7)で 表される化合物を更に重合させることがより 好ましい。これにより、上記式(3)で表される 繰り返し構造を更に含む本発明の高分子化合 物が得られるようになる。
[式中、Xは、アリーレン基、2価の複素環基、 金属錯体構造を有する2価の基、又は、-C≡C- 表される基を表し、これらはそれぞれ置換 を有していてもよい。nは1~5の整数を表す。 なお、Xが複数存在する場合、複数のXはそれ れ同一でも異なっていてもよい。Y 71 及びY 72 は、それぞれ独立に、重合可能な置換基であ る。]

本発明はまた、上記本発明の高分子化合物 を含む組成物、特に、本発明の高分子化合物 と溶媒とを含有するインク組成物を提供する 。このような組成物(インク組成物)は、塗布 、必要に応じて乾燥等をさせることによっ 、本発明の高分子化合物を含む有機層の形 が可能であり、有機トランジスタの有機半 体層等を容易に形成することができる。

上記本発明のインク組成物は、25℃におけ 粘度が1~20mPa・sであると、上述した塗布に って均質な膜を良好に形成することができ 層形成に更に有効である。

本発明はまた、上記本発明の高分子化合物 を含む薄膜を提供する。このような薄膜は、 本発明の高分子化合物を含むことから、高い 電荷移動度を発揮することが可能であり、例 えば、有機半導体層に適用することによって 、高い特性を有する有機トランジスタを形成 することができる。すなわち、本発明は、上 記本発明の薄膜を備えており、これにより高 い移動度を有する有機トランジスタを提供す ることができる。

また、本発明は、本発明の有機トランジス タを備える面状光源及び表示装置を提供する 。これらは、本発明による高特性の有機トラ ンジスタを備えることから、面状光源又は表 示装置としても優れた特性を発揮することが できる。

本発明によれば、有機トランジスタの有機 半導体層として適用した場合に高い移動度を 発揮することができる高分子化合物及びその 製造方法を提供することが可能となる。また 、本発明によれば、かかる高分子化合物を含 み、上述した有機半導体層等の形成に有利な 組成物、特にインク組成物を提供することが 可能となる。さらに、本発明によれば、上記 本発明の高分子化合物を含む薄膜、並びに、 かかる薄膜を備えており、優れた移動度を発 揮し得る有機トランジスタを提供することも できる。そして、これらの有機トランジスタ は、液晶ディスプレイ、電子ペーパー、セグ メントタイプの表示素子、ドットマトリック スのフラットパネルディスプレイ等の表示素 子の駆動回路や、照明用としての曲面状や平 面状の面状光源のスイッチ回路として有用で ある。

さらに、本発明の高分子化合物は、各種の 有機溶媒に対する溶解性にも優れており、上 記の有機半導体層、薄膜や有機トランジスタ を作製する場合に、大面積で均一に、しかも 低コストでこれらを作製することが可能にな る。また組成物を作製する際も、均一性の高 いインク組成物を作製することが容易である 。

第1実施形態に係る有機薄膜トランジス タの模式断面図である。 第2実施形態に係る有機薄膜トランジス タの模式断面図である。 第3実施形態に係る有機薄膜トランジス タの模式断面図である。 第4実施形態に係る有機薄膜トランジス タの模式断面図である。 第5実施形態に係る有機薄膜トランジス タの模式断面図である。 第6実施形態に係る有機薄膜トランジス タの模式断面図である。 第7実施形態に係る有機薄膜トランジス タの模式断面図である。 好適な実施形態に係る太陽電池の模式 面図である。 第1実施形態に係る光センサの模式断面 図である。 第2実施形態に係る光センサの模式断 図である。 第3実施形態に係る光センサの模式断 図である。 実施例で作製した有機薄膜素子の模式 断面図である。 実施例で作製した有機薄膜素子の模式 断面図である。

符号の説明

1…基板、2…活性層、2a…活性層、3…絶縁 、4…ゲート電極、5…ソース電極、6…ドレ ン電極、7a…第1の電極、7b…第2の電極、8… 電荷発生層、10…ゲート電極、20…ゲート絶 膜、30…ソース電極、40…ドレイン電極、50 活性層、100,110,120,130,140,150,160…有機薄膜ト ンジスタ、200…太陽電池、300,310,320…光セン サ。

以下、本発明の好適な実施形態について説 明する。なお、以下の説明において、「繰り 返し単位」とは、高分子化合物中に1個以上 在する構造単位をいうこととする。また、 n価の複素環基」(nは1又は2である)とは、複 環式化合物(特に、芳香族性をもつ複素環式 合物)からn個の水素原子を除いてなる基を 味する。ここで、「複素環式化合物」とは 環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構 する元素として炭素原子以外に酸素原子、 黄原子、窒素原子、燐原子、硼素原子等の テロ原子を含むものをいう。

[高分子化合物]
 まず、本発明の高分子化合物の好適な実施 態について説明する。

本発明の高分子化合物は、上記式(1)で表さ れる繰り返し単位を含む。上記式(1)において は、置換基が結合していない2つの結合が、 の繰り返し単位との結合であることを示し いる。

上記式(1)におけるR 1 で表される基において、アルキル基は、直鎖 、分岐又は環状のいずれであってもよく、炭 素数が好ましくは1~24(以下、「C 1 ~C 24 」のように表記する)程度であり、より好ま くはC 6 ~C 22 であり、更に好ましくはC 8 ~C 18 である。アルキル基の具体例としては、メチ ル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基 ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブ ル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシ 基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オク ル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシ ル基、3,7-ジメチルオクチル基、ウンデシル 、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデ ル基、オクタデシル基、トリフルオロメチ 基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオ ブチル基、パーフルオロヘキシル基、パー ルオロオクチル基等が挙げられる。なかで 、高分子化合物の有機溶媒への溶解性と耐 性とのバランスを良好にする観点から、メ ル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基 、ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、ペン ル基、イソアミル基、ヘキシル基、オクチ 基、2-エチルヘキシル基、デシル基、3,7-ジ チルオクチル基、ウンデシル基、ドデシル 、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オク デシル基が好ましい。

アルコキシ基は、直鎖、分岐又は環状のいず れであってもよく、好ましくは炭素数がC 1 ~C 24 程度であり、より好ましくはC 6 ~C 22 である。アルコキシ基の具体例としては、メ トキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、 i-プロピルオキシ基、ブトキシ基、i-ブトキ 基、t-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキ シルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘ プチルオキシ基、オクチルオキシ基、2-エチ ヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシ オキシ基、3,7-ジメチルオクチルオキシ基、 ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、テ トラデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基 、オクタデシルオキシ基、トリフルオロメト キシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフ ルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシル基 、パーフルオロオクチル基、メトキシメチル オキシ基、2-メトキシエチルオキシ基、2-エ キシエチルオキシ基等が挙げられる。なか も、高分子化合物の有機溶媒への溶解性と 熱性とのバランスを良好にする観点からは ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2-エ チルヘキシルオキシ基、デシルオキシ基、3,7 -ジメチルオクチルオキシ基、ウンデシルオ シ基、ドデシルオキシ基、テトラデシルオ シ基、ヘキサデシルオキシ基、オクタデシ オキシ基が好ましい。

アルキルチオ基は、直鎖、分岐又は環状のい ずれであってもよく、炭素数が好ましくはC 1 ~C 24 程度であり、より好ましくはC 6 ~C 22 である。アルキルチオ基の具体例としては、 メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ 基、i-プロピルチオ基、ブチルチオ基、i-ブ ルチオ基、t-ブチルチオ基、ペンチルチオ基 、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、 ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2-エチル キシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ 、3,7-ジメチルオクチルチオ基、ウンデシル チオ基、ドデシルチオ基、テトラデシルチオ 基、ヘキサデシルチオ基、オクタデシルチオ 基、トリフルオロメチルチオ基等が挙げられ る。なかでも、高分子化合物の有機溶媒への 溶解性と耐熱性とのバランスを良好にする観 点からは、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基 、2-エチルヘキシルチオ基、デシルチオ基、3 ,7-ジメチルオクチルチオ基、ウンデシルチオ 基、ドデシルチオ基、テトラデシルチオ基、 ヘキサデシルチオ基、オクタデシルチオ基が 好ましい。

アリール基は、芳香族炭化水素から、水素原 子1個を除いた原子団であり、縮合環を有す ものや、独立したベンゼン環又は縮合環2個 上が直接又はビニレン等の基を介して結合 たものも含む。アリール基は、炭素数が好 しくはC 6 ~C 60 程度であり、より好ましくはC 6 ~C 48 であり、更に好ましくはC 6 ~C 20 であり、一層好ましくはC 6 ~C 10 である。なお、この炭素数には置換基の炭素 数は含まないこととする。

アリール基の具体例としては、フェニル基 、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントラセ ニル基、2-アントラセニル基、9-アントラセ ル基、1-テトラセニル基、2-テトラセニル基 5-テトラセニル基、1-ピレニル基、2-ピレニ 基、4-ピレニル基、2-ペリレニル基、3-ペリ ニル基、2-フルオレニル基、3-フルオレニル 基、4-フルオレニル基、1-ビフェニレニル基 2-ビフェニレニル基、2-フェナンスレニル基 9-フェナンスレニル基、6-クリセニル基、1- ロネニル基、2-フェニルフェニル基、3-フェ ニルフェニル基、4-フェニルフェニル基、4-( ントラン-9-イル)フェニル基、[1,1´]ビナフ レン-4-イル基、10-フェニルアントラセン-9- ル基、[9,9´]ビアントラセン-10-イル基等が挙 げられる。これらは、さらにアルキル基、ア ルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、 アシル基、N,N-ジアルキルアミノ基、N,N-ジア ールアミノ基、シアノ基、ニトロ基、塩素 子、フッ素原子等で置換されていてもよい

アリールオキシ基は、炭素数が好ましくはC 6 ~C 60 程度、より好ましくはC 7 ~C 48 である。アリールオキシ基の具体例としては 、フェノキシ基、C 1 ~C 18 アルコキシフェノキシ基(アルコキシ部分の 素数1~18である。以下、同様。)、C 1 ~C 18 アルキルフェノキシ基(アルキル部分の炭素 が1~18である。以下、同様。)、1-ナフチルオ シ基、2-ナフチルオキシ基、ペンタフルオ フェニルオキシ基等が挙げられる。高分子 合物の有機溶媒への溶解性と耐熱性とのバ ンスを良好にする観点からは、C 1 ~C 18 アルコキシフェノキシ基又はC 1 ~C 18 アルキルフェノキシ基が好ましい。

C 1 ~C 18 アルコキシフェノキシ基としては、具体的に は、メトキシフェノキシ基、エトキシフェノ キシ基、プロピルオキシフェノキシ基、i-プ ピルオキシフェノキシ基、ブトキシフェノ シ基、i-ブトキシフェノキシ基、t-ブトキシ フェノキシ基、ペンチルオキシフェノキシ基 、ヘキシルオキシフェノキシ基、シクロヘキ シルオキシフェノキシ基、ヘプチルオキシフ ェノキシ基、オクチルオキシフェノキシ基、 2-エチルヘキシルオキシフェノキシ基、ノニ オキシフェノキシ基、デシルオキシフェノ シ基、3,7-ジメチルオクチルオキシフェノキ シ基、ウンデシルオキシフェノキシ基、ドデ シルオキシフェノキシ基、テトラデシルオキ シフェノキシ基、ヘキサデシルオキシフェノ キシ基、オクタデシルオキシフェノキシ基等 が例示される。一方、C 1 ~C 18 アルキルフェノキシ基として具体的には、メ チルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、ジ メチルフェノキシ基、プロピルフェノキシ基 、1,3,5-トリメチルフェノキシ基、メチルエチ ルフェノキシ基、i-プロピルフェノキシ基、 チルフェノキシ基、i-ブチルフェノキシ基 t-ブチルフェノキシ基、ペンチルフェノキシ 基、イソアミルフェノキシ基、ヘキシルフェ ノキシ基、ヘプチルフェノキシ基、オクチル フェノキシ基、ノニルフェノキシ基、デシル フェノキシ基、ウンデシルフェノキシ基、ド デシルフェノキシ基、テトラデシルフェノキ シ基、ヘキサデシルフェノキシ基、オクタデ シルフェノキシ基等が例示される。

アリールチオ基は、炭素数が好ましくはC 3 ~C 60 程度である。アリールチオ基の具体例として は、フェニルチオ基、C 1 ~C 18 アルコキシフェニルチオ基、C 1 ~C 18 アルキルフェニルチオ基、1-ナフチルチオ基 2-ナフチルチオ基、ペンタフルオロフェニ チオ基等が挙げられる。なかでも、高分子 合物の有機溶媒への溶解性と耐熱性とのバ ンスを良好にする観点からは、C 1 ~C 18 アルコキシフェニルチオ基、C 1 ~C 18 アルキルフェニルチオ基が好ましい。

アリールアルキル基は、炭素数が好ましくは C 7 ~C 60 程度であり、より好ましくはC 7 ~C 48 である。アリールアルキル基の具体例として は、フェニル-C 1 ~C 18 アルキル基、C 1 ~C 18 アルコキシフェニル-C 1 ~C 18 アルキル基、C 1 ~C 18 アルキルフェニル-C 1 ~C 18 アルキル基、1-ナフチル-C 1 ~C 18 アルキル基、2-ナフチル-C 1 ~C 18 アルキル基等が挙げられる。高分子化合物の 有機溶媒への溶解性と耐熱性とのバランスを 良好にする観点からは、C 1 ~C 18 アルコキシフェニル-C 1 ~C 18 アルキル基、C 1 ~C 18 アルキルフェニル-C 1 ~C 18 アルキル基が好適である。

アリールアルコキシ基は、炭素数が好ましく はC 7 ~C 60 程度であり、より好ましくはC 7 ~C 48 である。アリールアルコキシ基の具体例とし ては、フェニルメトキシ基、フェニルエトキ シ基、フェニルブトキシ基、フェニルペンチ ロキシ基、フェニルヘキシロキシ基、フェニ ルヘプチロキシ基、フェニルオクチロキシ基 等のフェニル-C 1 ~C 18 アルコキシ基、C 1 ~C 18 アルコキシフェニル-C 1 ~C 18 アルコキシ基、C 1 ~C 18 アルキルフェニル-C 1 ~C 18 アルコキシ基、1-ナフチル-C 1 ~C 18 アルコキシ基、2-ナフチル-C 1 ~C 18 アルコキシ基等が挙げられる。高分子化合物 の有機溶媒への溶解性や耐熱性のバランス等 を良好にする観点からは、C 1 ~C 18 アルコキシフェニル-C 1 ~C 18 アルコキシ基、C 1 ~C 18 アルキルフェニル-C 1 ~C 18 アルコキシ基が挙げられる。

アリールアルキルチオ基は、炭素数が好まし くはC 7 ~C 60 程度、より好ましくはC 7 ~C 48 である。アリールアルキルチオ基の具体例と しては、フェニル-C 1 ~C 18 アルキルチオ基、C 1 ~C 18 アルコキシフェニル-C 1 ~C 18 アルキルチオ基、C 1 ~C 18 アルキルフェニル-C 1 ~C 18 アルキルチオ基、1-ナフチル-C 1 ~C 18 アルキルチオ基、2-ナフチル-C 1 ~C 18 アルキルチオ基等が挙げられる。高分子化合 物の有機溶媒への溶解性と耐熱性とのバラン スを良好にする観点からは、C 1 ~C 18 アルコキシフェニル-C 1 ~C 18 アルキルチオ基、C 1 ~C 18 アルキルフェニル-C 1 ~C 18 アルキルチオ基が好ましい。

置換シリル基としては、アルキル基、アリー ル基、アリールアルキル基及び1価の複素環 から選ばれる1、2又は3個の基で置換された リル基が挙げられる。置換シリル基の炭素 は、好ましくはC 1 ~C 60 程度であり、より好ましくはC 3 ~C 48 である。なお、シリル基の置換基であるアル キル基、アリール基、アリールアルキル基又 は1価の複素環基は、置換基を更に有してい もよい。置換シリル基の具体例としては、 リメチルシリル基、トリエチルシリル基、 リプロピルシリル基、トリ-i-プロピルシリ 基、ジメチル-i-プロピリシリル基、ジエチ -i-プロピルシリル基、t-ブチルシリルジメチ ルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘ キシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチル シリル基、オクチルジメチルシリル基、2-エ ルヘキシル-ジメチルシリル基、ノニルジメ チルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7 -ジメチルオクチルジメチルシリル基、ウン シルジメチルシリル基、ドデシルジメチル リル基、テトラデシルジメチルシリル基、 キサデシルジメチルシリル基、オクタデシ ジメチルシリル基、フェニル-C 1 ~C 18 アルキルシリル基、C 1 ~C 18 アルコキシフェニル-C 1 ~C 18 アルキルシリル基、C 1 ~C 18 アルキルフェニル-C 1 ~C 18 アルキルシリル基、1-ナフチル-C 1 ~C 18 アルキルシリル基、2-ナフチル-C 1 ~C 18 アルキルシリル基、フェニル-C 1 ~C 18 アルキルジメチルシリル基、トリフェニルシ リル基、トリ-p-キシリルシリル基、トリベン ジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、 t-ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェ ルシリル基等が例示される。

置換カルボキシル基としては、アルキル基、 アリール基、アリールアルキル基又は1価の 素環基で置換されたカルボキシル基が挙げ れる。置換カルボキシル基の炭素数は、好 しくはC 2 ~C 60 程度であり、より好ましくはC 2 ~C 48 である。置換カルボキシル基の具体例として は、メトキシカルボニル基、エトキシカルボ ニル基、プロポキシカルボニル基、i-プロポ シカルボニル基、ブトキシカルボニル基、i -ブトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニ ル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシ ロキシカルボニル基、シクロヘキシロキシカ ルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、 オクチルオキシカルボニル基、2-エチルヘキ ロキシカルボニル基、ノニルオキシカルボ ル基、デシロキシカルボニル基、3,7-ジメチ ルオクチルオキシカルボニル基、ウンデシル オキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボ ニル基、テトラデシルオキシカルボニル基、 ヘキサデシルオキシカルボニル基、オクタデ シルオキシカルボニル基、トリフルオロメト キシカルボニル基、ペンタフルオロエトキシ カルボニル基、パーフルオロブトキシカルボ ニル基、パーフルオロヘキシルオキシカルボ ニル基、パーフルオロオクチルオキシカルボ ニル基、フェノキシカルボニル基、ナフトキ シカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル 基等が挙げられる。なお、置換基であるアル キル基、アリール基、アリールアルキル基又 は1価の複素環基は、置換基を更に有してい もよいが、上述した置換カルボキシル基の 適な炭素数には、これらの置換基の炭素数 含まないこととする。

1価の複素環基は、炭素数が好ましくはC 4 ~C 60 程度、より好ましくはC 4 ~C 20 である。なお、1価の複素環基の炭素数には 置換基の炭素数は含まないこととする。1価 複素環基としては、具体的には、チエニル 、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、ピ リジル基、キノリル基、イソキノリル基、 リミジル基、トリアジニル基等が例示され 。なかでも、チエニル基、ピリジル基、キ リル基、イソキノリル基、ピリミジル基、 リアジニル基が好ましく、チエニル基、ピ ジル基、ピリミジル基、トリアジニル基が ましい。1価の複素環基は、さらにアルキル 基、アルコキシ基等の置換基を有していても よい。

本実施形態の高分子化合物において、上記式 (1)で表される繰り返し単位は、上記式(2a)又 (2b)で表される繰り返し単位であると好まし 。上記式(1)で表される繰り返し単位として 、これらの両方を有していてもよい。なお 上記式(2a)及び(2b)においては、置換基が結 していない2つの結合が、他の繰り返し単位 の結合であることを示している。上記式(2a) 及び(2b)中のR 21 ~R 36 で表される基としては、上記式(1)で表される R 1 で表される基として説明したものと同様の基 が好適な例として挙げられる。

上記式(2a)で表される繰り返し単位としては より具体的には、下記化学式で表されるも が挙げられる。なお、下記式で表される化 物においては、末端にMe等で表される置換基 が付されていない2つの結合が、他の繰り返 単位との結合に供される結合手であること 意味している。

また、上記式(2b)で表される繰り返し単位と ては、より具体的には、下記化学式で表さ るものが挙げられる。なお、下記式におい も、末端にMe等で表される置換基が付されて いない2つの結合が、他の繰り返し単位と結 される結合手であることを意味している。

高分子化合物の主鎖のパッキングを良好に して更に優れた移動度を得る観点から、上記 式(2a)又は(2b)で表される繰り返し単位は、複 の置換基を、当該繰り返し単位中の任意の つの軸に対して線対称となるか、重心に対 て点対称となるように有していることが好 しい。

このような観点からは、上記式(2a)において 、R 22 とR 26 とが水素原子以外の同種の基であると好まし く、上記式(2b)においては、R 32 とR 35 とが水素原子以外の同種の基であると好まし い。ここで、「同種の基」とは、例えば、ア ルキル基同士やアルコキシ基同士といった同 じ種類に分類される基であることを意味する 。これらの同種の基は、鎖長や分岐の位置、 置換基も同じである同一構造の基(同一の基) あるとより好ましい。

さらに、高分子化合物の主鎖のパッキングを より良好にするとともに、高分子化合物の平 面性を更に向上させて一層優れた移動度を得 る観点からは、上記式(2a)においては、R 21 、R 23 、R 24 、R 25 、R 27 及びR 28 が水素原子であると好ましく、上記式(2b)に いては、R 29 、R 30 、R 31 、R 33 、R 34 及びR 36 が水素原子であると好ましい。

これらの観点からは、上記式(2a)で表される り返し単位としては下記一般式(8a)で表され ものが、上記式(2b)で表される繰り返し単位 としては、下記一般式(8b)で表されるものが れぞれ好適である。下記式中のR 22 、R 26 、R 32 及びR 35 は、それぞれ上記と同義である。また、下記 式中、置換基が付されていない2つの単結合 、他の繰り返し単位と結合される結合であ ことを意味している。

特に、高分子化合物の主鎖のパッキング性や 平面性の向上に加え、高分子化合物の溶媒へ の溶解性を良好にする観点からは、上記式(8a )及び(8b)において、R 22 とR 26 、又は、R 32 とR 35 が、同一の鎖長や分岐を有するアルキル基、 アルコキシ基又はアルキルチオ基であると好 ましい。また、平面状の繰り返し単位を密に 重ね合わせることで、更に優れた移動度を得 る観点からは、直鎖アルキル基、アルコキシ 基、アルキルチオ基が好ましい。

さらに、高分子化合物の主鎖の間隔を一定に 保つことで規則的に配置するようにし、これ により更に優れた移動度を得る観点からは、 R 22 とR 26 、又は、R 32 とR 35 は、同一の鎖長を有する直鎖アルキル基であ ると特に好ましい。そして、優れた溶解性を 得る観点からは、これらの直鎖アルキル基の 炭素数がC 8 ~C 18 であると一層好ましい。

なお、上記式(2a)におけるR 22 とR 26 、又は、上記式(2b)におけるR 32 とR 35 は、それぞれ異なった基であってもよいが、 その場合は、良好なパッキング性や平面性を 得るために、R 22 とR 26 、又は、R 32 とR 35 がそれぞれ規則性をもって配置されているこ とが望ましい。このような構造としては、上 記式(2a)の場合は下記一般式(9a)が、上記式(2b) の場合は下記一般式(9b)が例示できる。式中 、R 21 ~R 36 はそれぞれ上記と同義であり、R 22 とR 26 、又は、R 32 とR 35 はそれぞれ異なる基である。

好適な実施形態の高分子化合物は、上記式 (1)で表される繰り返し単位、好ましくは上記 式(2a)及び/又は(2b)で表される繰り返し単位に 加えて、上記式(3)で表される繰り返し単位を 更に有するものであると好ましい。

上記式(3)で表される繰り返し単位において、 Xで表される基は、アリーレン基、2価の複素 基、金属錯体構造を有する2価の基、2価の 香族アミン基、-CR 45 =CR 46 -で表される基(但し、R 45 及びR 46 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基 、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール 基、アリールオキシ基、アリールチオ基、ア リールアルキル基、アリールアルコキシ基、 アリールアルキルチオ基、アリールアルケニ ル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置 換アミノ基、シリル基、置換シリル基、フッ 素原子、1価の複素環基又はシアノ基を表す) 又は、-C≡C-で表される基である。このうち 、まず、アリーレン基は、芳香族炭化水素か ら水素原子2個を除いた残りの原子団からな 基を意味し、独立したベンゼン環や縮合環 有するものを含む。アリーレン基は、炭素 が好ましくはC 6 ~C 60 程度であり、より好ましくはC 6 ~C 48 であり、更に好ましくはC 6 ~C 30 であり、一層好ましくはC 6 ~C 18 である。

アリーレン基の具体例としては、1,4-フェ レン基、1,3-フェニレン基、1,2-フェニレン基 等の非置換若しくは置換フェニレン基;1,4-ナ タレンジイル基、1,5-ナフタレンジイル基、 2,6-ナフタレンジイル基等の非置換若しくは 換ナフタレンジイル基;1,4-アントラセンジイ ル基、1,5-アントラセンジイル基、2,6-アント センジイル基、9,10-アントラセンジイル基 の非置換若しくは置換アントラセンジイル ;2,7-フェナントレンジイル基等の非置換若し くは置換フェナントレンジイル基;1,7-ナフタ ンジイル基、2,8-ナフタセンジイル基、5,12- フタセンジイル基等の非置換若しくは置換 フタセンジイル基;2,7-フルオレンジイル基 3,6-フルオレンジイル基等の非置換若しくは 換フルオレンジイル基;1,6-ピレンジイル基 1,8-ピレンジイル基、2,7-ピレンジイル基、4,9 -ピレンジイル基等の非置換若しくは一置換 レンジイル基;3,9-ペリレンジイル基、3,10-ペ レンジイル基等の非置換若しくは置換ペリ ンジイル基等が挙げられる。なかでも、好 しくは、非置換若しくは置換フェニレン基 非置換若しくは置換フルオレンジイル基で る。

また、2価の複素環基は、炭素数が好ましく C 4 ~C 60 程度、より好ましくはC 4 ~C 48 であり、更に好ましくはC 4 ~C 30 であり、一層好ましくはC 4 ~C 22 であり、とりわけ好ましくはC 4 ~C 12 であり、特に好ましくはC 4 である。この炭素数は、置換基の炭素数は含 まないこととする。2価の複素環基の具体例 しては、2,5-チオフェンジイル基等の非置換 しくは置換チオフェンジイル基;2,5-フラン イル基等の非置換若しくは置換フランジイ 基;2,5-セレノフェンジイル基等の非置換若し くは置換セレノフェンジイル基;2,5-ピロール イル基等の非置換若しくは置換ピロールジ ル基;2,5-ピリジンジイル基、2,6-ピリジンジ ル基等の非置換若しくは置換ピリジンジイ 基;2,5-チエノ[3,2-b]チオフェンジイル基、2,5- チエノ[2,3-b]チオフェンジイル基等の非置換 しくは置換チエノチオフェンジイル基;2,6-キ ノリンジイル基等の非置換若しくは置換キノ リンジイル基;1,4-イソキノリンジイル基、1,5- イソキノリンジイル基等の非置換若しくは置 換イソキノリンジイル基;5,8-キノキサリンジ ル基等の非置換若しくは置換キノキサリン イル基;4,7-ベンゾ[1,2,5]チアジアゾールジイ 基等の非置換若しくは置換ベンゾ[1,2,5]チア ジアゾールジイル基;4,7-ベンゾチアゾールジ ル基等の非置換若しくは置換ベンゾチアゾ ルジイル基;2,7-カルバゾールジイル基、3,6- ルバゾールジイル基等の非置換若しくは置 カルバゾールジイル基;3,7-フェノキサジン イル基等の非置換若しくは置換フェノキサ ンジイル基;3,7-フェノチアジンジイル基等の 非置換若しくは置換フェノチアジンジイル基 ;2,7-ジベンゾシロールジイル基等の非置換若 くは置換ジベンゾシロールジイル基;2,6-ベ ゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェンジイル基、2,6-ベ ンゾ[1,2-b:5,4-b’]ジチオフェンジイル基、2,6- ンゾ[2,1-b:3,4-b’]ジチオフェンジイル基、2,6 -ベンゾ[1,2-b:3,4-b’]ジチオフェンジイル基等 非置換若しくは置換ベンゾジチオフェンジ ル基等が挙げられる。なかでも、好ましく 、2,5-チオフェンジイル基等の非置換若しく は置換チオフェンジイル基;2,5-フランジイル 等の非置換若しくは置換フランジイル基;2,5 -ピロールジイル基等の非置換若しくは置換 ロールジイル基;2,5-チエノ[3,2-b]チオフェン イル基、2,5-チエノ[2,3-b]チオフェンジイル基 等の非置換若しくは置換チエノチオフェンジ イル基;2,6-キノリンジイル基等の非置換若し は置換キノリンジイル基;1,4-イソキノリン イル基;2,6-ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェン イル基、2,6-ベンゾ[1,2-b:5,4-b’]ジチオフェン ジイル基、2,6-ベンゾ[2,1-b:3,4-b’]ジチオフェ ジイル基、2,6-ベンゾ[1,2-b:3,4-b’]ジチオフ ンジイル基等の非置換若しくは置換ベンゾ チオフェンジイル基である。さらに好まし は、2,5-チオフェンジイル基等の非置換若し は置換チオフェンジイル基;2,5-チエノ[3,2-b] オフェンジイル基、2,5-チエノ[2,3-b]チオフ ンジイル基等の非置換若しくは置換チエノ オフェンジイル基であり、特に好ましくは 非置換の2,5-チオフェンジイル基、2,5-チエノ [3,2-b]チオフェンジイル基である。

2価の複素環基が置換基を有する場合、置 基としては、好ましくは、アルキル基、ア コキシ基、アルキルチオ基、アリール基、 リールオキシ基、アリールチオ基、アリー アルキル基、アリールアルコキシ基、アリ ルアルキルチオ基、置換シリル基、1価の複 環基、置換カルボキシル基、ニトロ基、シ ノ基及びフッ素原子から選ばれるものが挙 られる。なかでも、より好ましくは、アル ル基、アルコキシ基、アリール基、アリー オキシ基又は1価の複素環基であり、さらに 好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アル キルチオ基であり、特に好ましくはアルキル 基である。

さらに、Xで表される基のうち、金属錯体 造を有する2価の基とは、有機配位子と中心 属とを有する金属錯体における有機配位子 ら水素原子を2個除いてなる残りの原子団か らなる基を意味する。この金属錯体としては 、例えば、低分子の蛍光材料、燐光材料とし て公知の金属錯体、三重項発光錯体等が挙げ られる。

金属錯体における有機配位子の炭素数は、好 ましくはC 4 ~C 60 程度である。このような有機配位子の具体例 としては、8-キノリノール及びその誘導体、 ンゾキノリノール及びその誘導体、2-フェ ル-ピリジン及びその誘導体、2-フェニル-ベ ゾチアゾール及びその誘導体、2-フェニル- ンゾキサゾール及びその誘導体、ポルフィ ン及びその誘導体等が挙げられる。また、 属錯体の中心金属としては、例えば、アル ニウム、亜鉛、ベリリウム、イリジウム、 金、金、ユーロピウム、テルビウム等が挙 られる。

金属錯体構造を有する2価の基としては、具 的には、下記一般式(10a)~(10d)及び(11a)~(11c)で されるものが例示される。

上記式(10a)~(10d)及び(11a)~(11c)において、Rで される基は、それぞれ独立に、水素原子、 ルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基 アリール基、アリールオキシ基、アリール オ基、アリールアルキル基、アリールアル キシ基、アリールアルキルチオ基、アリー アルケニル基、アリールアルキニル基、ア ノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリ 基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキ 基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1 価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボ キシル基又はシアノ基を表し、複数のRはそ ぞれ同一でも異なっていてもよい。なお、 述した式(10a)~(10d)及び(11a)~(11c)で表される2価 の基が有している炭素原子は、上記の構造を 維持し得る範囲で窒素原子、酸素原子又は硫 黄原子と置き換えられていてもよく、またこ れらが有している水素原子はフッ素原子に置 換されていてもよい。

さらにまた、2価の芳香族アミン基は、構造 に芳香族アミン構造を有する2価の基であり 下記一般式(23a)~(23g)で表される基を例示す ことができる。なお、下記式中のRとしては 上記一般式(10a)~(10d)、(11a)~(11c)の場合と同様 の基が挙げられ、一つの基中に存在する複数 のRは、それぞれ同一でも異なっていてもよ 。

さらに、-CR 45 =CR 46 -で表される基において、R 45 及びR 46 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基 、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール 基、アリールオキシ基、アリールチオ基、ア リールアルキル基、アリールアルコキシ基、 アリールアルキルチオ基、アリールアルケニ ル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置 換アミノ基、シリル基、置換シリル基、フッ 素原子、1価の複素環基又はシアノ基である なかでも、水素原子、アルキル基、アリー 基、フッ素原子、シアノ基が好ましく、水 原子、アリール基、シアノ基がさらに好ま く、水素原子、シアノ基が特に好ましい。

上記式(3)で表される繰り返し単位における nは、1~5の整数であり、1~4の整数であると好 しく、1~3の整数であるとより好ましく、1又 2であると更に好ましく、2であると特に好 しい。nがこれらの好適な数値範囲であるほ 、高分子化合物からなる有機半導体層等の 荷注入性が良好となる傾向にある。

上記式(3)は、上述したような構造を有する 繰り返し単位であるが、かかる繰り返し単位 が複数のXを有している場合は、これらの複 のXは、それぞれ同一の構造であってもよく 異なる構造であってもよい。ただし、安定 た特性を得る観点からは、複数のXは同一の 構造を有するものであることがより好ましい 。

さらに、上記式(3)で表される繰り返し単位 は、上記式(4)で表される繰り返し単位である と特に好ましい。高分子化合物が上記式(4)で 表される繰り返し単位を含むことで、高分子 化合物からなる有機半導体層等の移動度のみ ならず電荷注入性も極めて良好となり、その 結果、更に優れた特性を有する有機トランジ スタ等を形成することが可能となる。

上記式(4)中、R 41 ~R 44 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基 、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール 基、アリールオキシ基、アリールアルキル基 、アリールアルコキシ基、置換シリル基、カ ルボキシル基、1価の複素環基、シアノ基又 フッ素原子である。良好な溶解性を得る観 からは、R 41 ~R 44 としては、アルキル基、アルコキシ基、アル キルチオ基、カルボキシル基が好ましく、な かでも隣接する繰り返し単位との立体障害を 小さくする観点から、アルキル基、アルコキ シ基が好ましい。さらに、主鎖のパッキング 性や平面性を向上させる観点から、アルキル 基が特に好ましい。

特に、式(4)で表される構造においては、チオ フェン環同士の平面性を向上させて、主鎖の パッキング性及び電荷移動度を高める観点か らは、R 42 及びR 43 は水素原子であることが好ましい。この場合 、式(4)で表される繰り返し単位としては、下 記一般式(24)で表される構造が好適である。 お、下記式(24)中のR 41 及びR 44 は、上記と同様である。

以上、好適な実施形態の高分子化合物が有 している繰り返し単位について説明したが、 本実施形態の高分子化合物においては、上記 式(1)で表される繰り返し単位を、当該高分子 化合物を構成している全繰り返し単位の合計 中、50~100モル%有していることが好ましく、50 ~90モル%有していることがより好ましく、50~80 モル%有していることが更に好ましく、約50モ ル%有していることが一層好ましい。このよ な割合で上記式(1)で表される繰り返し単位 含むことで、高分子化合物からなる有機半 体層等の電荷注入性や、高分子化合物の溶 性が良好となる傾向にある。なお、上記式(1 )で表される繰り返し単位として、上記式(2a) び(2b)で表される繰り返し単位の両方を含む 場合は、これらの合計が上述した割合となる 。この割合は、所望とする特性に応じて適宜 設定することができる。例えば、上記式(1)で 表される繰り返し単位が100モル%である高分 化合物は、蛍光特性や電界発光特性に優れ ため、これらの特性を利用した発光材料と て好適である。

また、高分子化合物が、上記式(1)で表され る繰り返し単位として、上記式(2a)及び(2b)で される繰り返し単位の両方を含む場合は、 れらの合計のモル数のうち、少ない方の繰 返し単位の割合が、好ましくは10モル%以下 より好ましくは5モル%以下、更に好ましく 1モル%以下、一層好ましくは0.05モル%以下で ることが好ましい。こうすることで、高分 化合物の主鎖の配向性が極めて良好となり より優れた移動度や電荷注入性が得られる うになる。

さらに、上述した好適な割合のように、高 分子化合物における上記式(1)で表される繰り 返し単位の割合が100モル%ではない場合は、 記式(1)で表される繰り返し単位以外の繰り し単位は、上記式(3)で表される繰り返し単 であると特に好ましい。こうすれば、極め 優れた電荷注入性が得られ易くなる。すな ち、特に好適な場合は、高分子化合物は、 記式(1)で表される繰り返し単位と、上記式(3 )で表される繰り返し単位を1:1(モル比)で有す る共重合体となる。

本実施形態の高分子化合物が複数種類の繰 り返し単位を有する場合、その重合様式は特 に限定されず、いかなる共重合体であっても よい。例えば、ブロック共重合体、ランダム 共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体 のいずれであってもよい。ただし、高分子化 合物による電荷注入性、電荷移動度、主鎖の パッキング、溶媒への溶解性等の特性を良好 に得る観点からは、上記式(1)で表される繰り 返し単位(好ましくは上記式(2a)及び/又は(2b) 繰り返し単位)と、上記式(3)で表される繰り し単位とが交互に結合した構造を有してい ことが好ましい。特に、このような構造の 合が90%以上であるものが好ましく、99%以上 あるものがより好ましく、99.5%以上である のが更に好ましく、99.9%以上であるものが一 層好ましい。

より具体的には、本実施形態の高分子化合 物としては、電荷注入性、電荷移動度、主鎖 のパッキング、溶媒への溶解性等の特性を更 に向上させる観点からは、上記式(8a)及び/又 (8b)で表される繰り返し単位と、上記式(3)で 表される繰り返し単位とが交互に結合した構 造を有するものが好ましい。なかでも、この ような構造において、上記式(8a)及び(8b)で表 れる繰り返し単位ののうちのいずれか一方 みを有しており、特に、上記式(8a)の繰り返 し単位のみを有していると、上述した特性が 極めて良好に得られるようになる傾向にある 。

また、本実施形態の高分子化合物は、ゲルパ ーミエーションクロマトグラフィー(以下、 GPC」という)によるポリスチレン換算の数平 分子量(Mn)が、好ましくは1×10 3 ~1×10 8 程度であり、より好ましくは1×10 4 ~1×10 6 である。また、ポリスチレン換算の重量平均 分子量(Mw)は、好ましくは1×10 3 ~1×10 8 程度であり、成膜性の観点及び素子を形成し た場合の特性向上の観点から、より好ましく は1×10 4 ~5×10 6 であり、更に好ましくは1×10 4 ~5×10 5 であり、特に好ましくは1.5×10 4 ~5×10 5 である。

なお、本実施形態の高分子化合物は、その 末端基として、当該高分子化合物の製造時に 有していたような重合活性基を有していると 、高分子化合物を有機トランジスタ等の有機 半導体層の移動度等の特性や寿命が低下する 可能性があるので、末端基は安定な基である ことが好ましい。このような末端基としては 、主鎖と共役結合しているものが好ましく、 例えば、炭素-炭素結合を介してアリール基 は複素環基と結合している構造が挙げられ 。具体的には、特開平9-45478号公報の化10に 載された置換基等が末端基として例示でき 。さらに、電化注入性、電荷移動度を高め 観点からは、高分子化合物は、共役系高分 であることが好ましい。

[高分子化合物の製造方法]
 次に、上述した構造を有する高分子化合物 製造方法の好適な実施形態について説明す 。

高分子化合物は、上記式(5)で表される化合物 (原料化合物)を重合させる重合工程によって 造することができ、これにより、上記式(1) 表される繰り返し単位を有する高分子化合 が良好に得られる。より具体的には、上記 (2a)及び/又は(2b)で表される繰り返し単位を する高分子化合物を製造する場合には、上 式(5)で表される原料化合物として、上記式( 6a)及び/又は(6b)で表される原料化合物を用い 。なお、上記式(5)、(6a)及び(6b)中のR 1 及びR 21 ~R 36 は、上記式(1)、(2a)又は(2b)におけるこれらの と同義であり、好適な基としても上記と同 のものが挙げられる。また、上記式(5)中のl も上記と同義である。

また、本実施形態の高分子化合物の製造方 法においては、上記式(7)で表される原料化合 物を更に重合させてもよい。こうすれば、上 記式(1)で表される繰り返し単位(好ましくは 記式(2a)及び/又は(2b)で表される繰り返し単 )に加えて、上記一般式(3)で表される繰り返 単位を更に有する高分子化合物を得ること できる。なお、上記式(7)中のXは、上記式(3) におけるXと同義であり、好適な構造として 上記と同様のものが挙げられる。また、上 式(7)中のnも上記と同義である。

これらの上記式(5)、(6a)、(6b)及び(7)で表さ る原料化合物によれば、上述した好適な実 形態の高分子化合物を良好に得られること ら、これらの化合物は、上述した構成を有 る高分子化合物の合成に用いる原料化合物 して極めて有用なものである。

ここで、上記式(5)、(6a)、(6b)及び(7)で表され 原料化合物における、Y 51 、Y 52 、Y 61 ~Y 64 、Y 71 及びY 72 は、それぞれ重合可能な置換基(以下、「重 性置換基」という)であり、これらは、高分 化合物の製造において重合させる原料化合 の組み合わせに応じて設定される。すなわ 、上記式(5)(好ましくは上記式(6a)及び/又は( 6b))で表される原料化合物のみを重合させる 合には、当該化合物同士が重合反応を生じ るような重合性置換基の組み合わせとし、 記式(7)で表される原料化合物を更に重合さ る場合には、これらの化合物同士が互いに 合反応を生じ得るような重合性官能基の組 合わせとする。重合性官能基の組み合わせ 適宜設定することで、得られる高分子化合 の重合様式(ブロック共重合、交互共重合等) を所望に調整することもできる。

ここで、Y 51 、Y 52 、Y 61 ~Y 64 、Y 71 及びY 72 で表される重合性官能基としては、具体的に は、ハロゲン原子、下記一般式(12a)で表され スルホネート基、メトキシ基、ホウ酸エス ル残基、ホウ酸残基(すなわち、-B(OH) 2 で表される基)、下記一般式(12b)で表される基 、下記一般式(12c)で表される基、下記一般式( 12d)で表される基等が挙げられる。これらは 生じさせる重合反応に応じて適宜決定する とが好ましい。これらの重合性官能基によ て生じる重合反応は、縮合重合反応である
[式中、R 121 及びR 122 は、それぞれ独立に、置換基を有していても よいアルキル基又は置換基を有していてもよ いアリール基を表し、X A は、ハロゲン原子を表す。]

ここで、上述した重合性官能基又はX A で表される基としてのハロゲン原子としては 、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げら れる。

上記式(12a)で表されるスルホネート基として 、例えば、メタンスルホネート基、トリフ オロメタンスルホネート基、フェニルスル ネート基、4-メチルフェニルスルホネート 等が挙げられる。また、ホウ酸エステル残 としては、例えば、下記の化学式で表され 基が挙げられる。

さらに、上記式(12d)で表される基としては、 えば、トリメチルスタナニル基、トリエチ スタナニル基、トリブチルスタナニル基等 挙げられる。なお、Y 51 、Y 52 、Y 61 ~Y 64 、Y 71 及びY 72 で表される重合性官能基としてのアルキル基 及びアリール基、上記式(12a)、(12d)におけるR 121 、R 122 としてのアルキル基又はアリール基としては 、上記式(1)におけるR 1 として例示したアルキル基又はアリール基と 同様のものが例示でき、好適な例も同様であ る。

なかでも、Y 51 、Y 52 、Y 61 ~Y 64 、Y 71 及びY 72 で表される重合性官能基としては、原料であ る化合物の合成の容易さや取り扱い易さ等の 観点から、ハロゲン原子、ホウ酸エステル残 基、ホウ酸残基が好適である。

本実施形態の高分子化合物の製造において は、上記式(5)(好ましくは上記式(6a)及び/又は (6b))で表される原料化合物と上記式(7)で表さ る原料化合物を適切に組み合わせ、必要に じて適切な触媒や塩基の存在下で縮合重合 せることが好ましい。なお、かかる反応に しては、これらの原料化合物は、予め合成 て単離したものを用いてもよく、反応系中 調製したものをそのまま用いてもよい。

上記反応に用いる触媒としては、例えば、 パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフ ン)]、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジ ラジウム、パラジウムアセテート等のパラ ウム錯体、ニッケル[テトラキス(トリフェ ルホスフィン)]、[1,3-ビス(ジフェニルホスフ ィノ)プロパン]ジクロロニッケル、[ビス(1,4- クロオクタジエン)]ニッケル等のニッケル 体等の遷移金属錯体や、これらの遷移金属 体と、トリフェニルホスフィン、トリ(o-ト ル)ホスフィン)、トリ(o-メトキシフェニル) スフィン、トリ(t-ブチル)ホスフィン)、トリ シクロヘキシルホスフィン、ジフェニルホス フィノプロパン、トリ-t-ブチルホスホニウム テトラフルオロボレート、ビピリジル等の配 位子とからなる触媒等が挙げられる。触媒は 、予め合成したものを用いてもよいし、反応 系中で調製したものをそのまま用いてもよい 。また、触媒としては、1種を単独で用いて よく、2種以上を併用してもよい。

触媒を用いる場合、その使用量は特に限定 されないが、例えば、上記式(5)及び(7)で表さ れる化合物のモル数の合計に対し、遷移金属 化合物の量として、0.00001~3モル当量用いるこ とが好ましく、0.00005~0.5モル当量用いること より好ましく、0.0001~0.2モル当量用いること がさらに好ましい。

一方、上述した塩基としては、例えば、炭 酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム 、フッ化カリウム、フッ化セシウム、リン酸 三カリウム等の無機塩基や、フッ化テトラブ チルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモ ニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、水 酸化テトラブチルアンモニウム等の有機塩基 が挙げられる。これらの塩基を用いる場合、 その使用量は特に限定されないが、上記式(5) 及び(7)で表される化合物のモル数の合計に対 し、0.5~20モル当量であると好ましく、1~10モ 当量であるとより好ましい。

上述した縮合重合反応は、溶媒の存在下で 行ってもよく、特に必要ない場合は溶媒の非 存在下で行ってもよいが、反応効率等を良好 にするためには、溶媒の存在下で行なうこと がより好ましい。好適な溶媒は、原料化合物 の種類や、生じさせる重合反応の種類に応じ て異なるが、例えば、トルエン、キシレン、 メシチレン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオ サン、ジメトキシエタン、N,N-ジメチルアセ アミド、N,N-ジメチルホルムアミド等の有機 溶媒が挙げられる。副反応を抑制する観点か らは、溶媒としては、脱酸素処理を施された ものを用いることが望ましい。溶媒は、1種 単独で用いてもよく、2種以上を併用しても い。溶媒を用いる場合、その使用量は、上 式(5)や(7)で表される原料化合物の合計の濃 が、好ましくは0.1~90質量%、より好ましくは 1~50質量%、更に好ましくは2~30質量%となる量 好適である。

また、縮合重合における好適な反応温度は 、特に限定されないが、好ましくは-100℃~200 であり、より好ましくは-80℃~150℃であり、 さらに好ましくは0℃~120℃である。さらに、 応時間は、反応温度等の条件にもよるが、1 時間以上であると好ましく、2~500時間である より好ましい。

さらに、縮合重合反応は、脱水条件下で行 うこともできる。例えば、上述した重合性官 能基が、上記式(12b)で表される基である場合 、脱水条件下で行うことが望ましい。

これらの縮合重合反応としては、具体的に は、Suzuki反応により重合する方法(ケミカル  レビュー(Chem.Rev.),第95巻,2457頁(1995年))、Grignar d反応により重合する方法(共立出版、高分子 能材料シリーズ第2巻、高分子の合成と反応 (2)、432~433頁)、山本重合法により重合する方 (プログレッシブ ポリマー サイエンス(Prog .Polym.Sci.),第17巻,1153~1205頁,1992年)等が挙げら る。

特に、縮合重合反応は、上記式(5)(好まし は上記式(6a)及び/又は(6b))で表される原料化 物と、上記式(7)で表される原料化合物とを いずれか一方の原料化合物の重合性官能基 ハロゲン原子であり、他方の原料化合物の 合性官能基がホウ酸残基又はホウ酸エステ 残基である組み合わせで用い、これらの原 化合物間でSuzuki重合を生じさせることによ 行うことが特に好ましい。こうすれば、上 式(1)(好ましくは上記式(2a)及び/又は(2b))で される繰り返し単位と、上記式(3)で表され 繰り返し単位を交互に有する高分子化合物 良好に得られるようになる。

そして、特に好ましくは、上記式(5)で表され る原料化合物としては、下記一般式(13a)及び/ 又は(13b)で表される化合物が好適である。こ らを用いることで、上記式(1)で表される繰 返し単位として、上記式(8a)及び/又は(8b)で される繰り返し構造を有する高分子化合物 得られるようになる。なお、式中のR 22 、R 26 、R 32 、R 35 、Y 61 ~Y 64 は、いずれも上記と同義である。

なお、上述した縮合重合後には、公知の後 処理を行うことができる。後処理としては、 例えば、メタノール等の低級アルコールに縮 合重合で得られた反応溶液を加えて析出した 沈殿を、濾過、乾燥する方法が挙げられる。 このような後処理によって、高分子化合物が 良好に得られるが、高分子化合物の純度が低 い場合には、再結晶、ソックスレー抽出器に よる連続抽出、カラムクロマトグラフィー等 の通常の方法にて精製を更に行ってもよい。

[組成物]
 次に、上述したような高分子化合物を含む 発明の組成物の好適な実施形態について説 する。

本実施形態の組成物は、上述した好適な実 施形態の高分子化合物と、正孔輸送材料、電 子輸送材料、発光材料といった特定の機能を 付与し得る添加材料を含む。このような組成 物は、例えば、電荷輸送材料や発光材料とし て適用することができる。本実施形態の組成 物において、高分子化合物と添加材料との含 有比率は、所望の機能に応じて適宜決定する ことができる。例えば、発光材料を用いる場 合は、組成物全体の質量を100質量部としたと き、高分子化合物の量が20~99質量部であると ましく、40~95質量部であるとより好ましい

本実施形態の組成物は、組成物全体のポリス チレン換算の数平均分子量が、10 3 ~10 8 程度であると好ましく、10 4 ~10 6 であるとより好ましい。また、ポリスチレン 換算の重量平均分子量は、10 3 ~10 8 程度であると好ましく、成膜性や得られる素 子の発光効率を向上させる観点からは、1×10 4 ~5×10 6 であるとより好ましい。なお、平均分子量と は、組成物をGPCで分析することにより求めた 値をいうこととする。

[インク組成物]
 上述した実施形態の高分子化合物は、溶媒 組み合わせることでインク組成物とするこ もできる。すなわち、好適な実施形態のイ ク組成物は、高分子化合物と溶媒とを含む のである。このようなインク組成物は、上 した添加材料の添加により特定の機能が付 された組成物を含んでいてもよい。かかる 施形態のインク組成物は、印刷法等に有用 あり、所望の薄膜等の形成を良好に行なう とができるものである。

本実施形態のインク組成物において、高分 子化合物の割合は、インク組成物100質量部に 対して、1~99.9質量部であると好ましく、60~99. 5質量部であるとより好ましく、80~99.0質量部 あると更に好ましい。また、インク組成物 粘度は、印刷法の種類に応じて適宜変更可 であるが、インクジェットプリント法等の 溶液が吐出装置を経由するものの場合には 吐出時の目詰まりや飛行曲がりを防止する め、25℃において、1~20mPa・sの範囲であるこ とが好ましい。

本実施形態のインク組成物は、高分子化合 物、溶媒や所定の機能を付与するための添加 材料のほか、所望の特性に応じて、安定剤、 増粘剤(粘度を高めるための高分子量の化合 や貧溶媒)、粘度を下げるための低分子量の 合物、界面活性剤(表面張力を下げるための もの)、酸化防止剤等を含んでいてもよい。

ここで、増粘剤として用いられる高分子量 の化合物は、高分子化合物と同じ溶媒に可溶 性であり、しかも発光や電荷輸送等の特性を 阻害しないものであることが好ましい。例え ば、高分子量のポリスチレン、高分子量のポ リメチルメタクリレート等が挙げられる。こ れらの高分子量の化合物は、ポリスチレン換 算の重量平均分子量が50万以上であることが ましく、100万以上であることがより好まし 。

また、インク組成物中の固形分に対し、増 粘剤として貧溶媒を少量添加することによっ て、インク組成物の粘度を高めることが可能 となる。増粘剤として貧溶媒を添加する場合 は、溶液中の固形分が析出しない範囲で、溶 媒の種類と添加量を選択すればよい。例えば 、保存時の安定性も考慮すると、貧溶媒の量 は、インク組成物全体の質量100質量部に対し て、50質量部以下であることが好ましく、30 量部以下であることが更に好ましい。

さらに、酸化防止剤を添加すれば、インク 組成物の保存安定性を向上させることができ る。酸化防止剤としては、高分子化合物と同 じ溶媒に可溶であり、しかも発光や電荷輸送 等の特性を阻害しないものが好ましい。例え ば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防 止剤等が挙げられる。

インク組成物に含まれる溶媒としては、特 に制限されないが、溶液中の固形成分を溶解 又は均一に分散できるものが好ましい。この ような溶媒としては、クロロホルム、塩化メ チレン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロ エタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼ ン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジ オキサン、アニソール等のエーテル系溶媒、 トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶 媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン 、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-へプタン、n-オ タン、n-ノナン、n-デカン等の脂肪族炭化水 素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、 シクロヘキサノン、ベンゾフェノン、アセト フェノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢 酸ブチル、エチルセルソルブアセテート、安 息香酸メチル、酢酸フェニル等のエステル系 溶媒、エチレングリコール、エチレングリコ ールモノブチルエーテル、エチレングリコー ルモノエチルエーテル、エチレングリコール モノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プ ロピレングリコール、ジエトキシメタン、ト リエチレングリコールモノエチルエーテル、 グリセリン、1,2-ヘキサンジオール等の多価 ルコール及びその誘導体、メタノール、エ ノール、プロパノール、イソプロパノール シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒 ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系 媒、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホ ムアミド等のアミド系溶媒が例示される。 れらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2 種以上を併用してもよい。

なかでも、溶媒としては、高分子化合物等 の溶解性や、成膜した際の均一性、粘度特性 等の観点から、芳香族炭化水素系溶媒、エー テル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、エステ ル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましく、具体的 には、トルエン、キシレン、エチルベンゼン 、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、 n-プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン n-ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、s- ブチルベンゼン、n-ヘキシルベンゼン、シク ヘキシルベンゼン、1-メチルナフタレン、 トラリン、アニソール、エトキシベンゼン シクロヘキサン、ビシクロヘキシル、シク ヘキセニルシクロヘキサノン、n-ヘプチルシ クロヘキサン、n-ヘキシルシクロヘキサン、 カリン、安息香酸メチル、シクロヘキサノ 、2-プロピルシクロヘキサノン、2-ヘプタノ ン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2-オクタノ ン、2-ノナノン、2-デカノン、ジシクロヘキ ルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノ がより好ましい。

溶媒は、良好な成膜性や素子特性等を得る 観点から、2種類以上を組み合わせて用いる とが好ましく、2~3種類を組み合わせて用い ことがより好ましく、2種類を組み合わせて いることが特に好ましい。

2種類の溶媒を組み合わせる場合は、その ちの1種類の溶媒は25℃において固体状態の のであってもよい。良好な成膜性を得る観 からは、1種類の溶媒は沸点が180℃以上であ ことが好ましく、200℃以上であることがよ 好ましい。また、好適な粘度を得る観点か 、2種類の溶媒のいずれも、60℃において1重 量%以上の芳香族重合体を溶解し得ることが ましく、2種類の溶媒のうちの少なくも1種類 の溶媒は、25℃において1重量%以上の芳香族 合体が溶解し得ることが好ましい。

また、インク組成物中に2種類以上の溶媒 含まれる場合は、良好な粘度及び成膜性を る観点から、沸点が最も高い溶媒が、イン 組成物に含まれる全溶媒の重量の40~90重量% まれることが好ましく、50~90重量%含まれる とがより好ましく、65~85重量%含まれること さらに好ましい。

例えば、インク組成物が2種類の溶媒を含 場合、その組み合わせとしては、粘度及び 膜性の観点から、アニソール及びビシクロ キシルの組み合わせ、アニソール及びシク ヘキシルベンゼンの組み合わせ、キシレン びビシクロヘキシルの組み合わせ、キシレ 及びシクロヘキシルベンゼンの組み合わせ メシチレン及びメチルベンゾエートの組み わせ等が挙げられる。

なお、インク組成物に含まれる高分子化合 物の種類は1種類に限定されず、上述した好 な高分子化合物を2種類以上含んでいてもよ 。この場合、組み合わせる高分子化合物は 得られる薄膜等による特性を低下させない 囲で選択することが望ましい。

本実施形態のインク組成物は、その他、水 、金属やその塩を質量基準で1~1000ppmの範囲で 含んでいてもよい。金属の具体例としては、 リチウム、ナトリウム、カルシウム、カリウ ム、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛 、クロム、マンガン、コバルト、白金、イリ ジウム等が挙げられる。また、インク組成物 には、ケイ素、リン、フッ素、塩素、臭素等 が質量基準で1~1000ppmの範囲で含まれていても よい。

[薄膜]
 次に、上述したような高分子化合物を含む 発明の薄膜の好適な実施形態について説明 る。

本実施形態の薄膜は、上述した高分子化合 物を含むものであり、高分子化合物のみから 構成される薄膜と、上述した実施形態のよう な組成物から構成される薄膜との両方を含む 。このような本実施形態の薄膜は、有機半導 体薄膜、発光性薄膜、導電性薄膜等として適 用可能である。

まず、有機半導体薄膜は、電子輸送性又はホ ール輸送性を有する薄膜である。有機半導体 薄膜としては、例えば、電子移動度又は正孔 移動度のいずれか大きい方が、10 -5 cm 2 /Vs以上であることが好ましく、10 -3 cm 2 /Vs以上であることがより好ましく、10 -1 cm 2 /Vs以上であることがさらに好ましい。例えば 、SiO 2 等の絶縁膜とゲート電極とを形成したSi基板 に有機半導体薄膜を形成し、Au等でソース 極とドレイン電極を形成することにより、 機トランジスタとすることができる。

本実施形態の有機半導体薄膜は、本発明の 高分子化合物を単独で含むものであってもよ く、2種類以上を組み合わせて含むものであ てもよい。また、有機半導体薄膜の電子輸 性又はホール輸送性を高めるため、本発明 高分子化合物以外に、電子輸送性又はホー 輸送性を有する低分子化合物や高分子化合 を更に混合して用いることもできる。

ホール輸送性材料としては、公知のものが 使用でき、ピラゾリン誘導体、アリールアミ ン誘導体、スチルベン誘導体、トリアリール ジアミン誘導体、オリゴチオフェン及びその 誘導体、ポリビニルカルバゾール及びその誘 導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖若し くは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキ サン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、 ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロー ル及びその誘導体、ポリアリーレンビニレン 及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及 びその誘導体等が例示される。

また、電子輸送性材料としては公知のものが 使用でき、オキサジアゾール誘導体、アント ラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノ ン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘 導体、アントラキノン及びその誘導体、テト ラシアノアンスラキノジメタン及びその誘導 体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシア ノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン 誘導体、又は8-ヒドロキシキノリン及びその 導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘 体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポ フルオレン及びその誘導体、C 60 等のフラーレン類及びその誘導体等が例示さ れる。

また、有機半導体薄膜は、薄膜中で吸収した 光により電荷を発生させるために、電荷発生 材料を含んでいてもよい。電荷発生材料とし ては公知のものが使用でき、アゾ化合物及び その誘導体、ジアゾ化合物及びその誘導体、 無金属フタロシアニン化合物及びその誘導体 、金属フタロシアニン化合物及びその誘導体 、ペリレン化合物及びその誘導体、多環キノ ン系化合物及びその誘導体、スクアリリウム 化合物及びその誘導体、アズレニウム化合物 及びその誘導体、チアピリリウム化合物及び その誘導体、C 60 等のフラーレン類及びその誘導体が例示され る。

さらに、有機半導体薄膜は、種々の機能を 発現させるために必要な材料を含んでいても よい。例えば、吸収した光により電荷を発生 させる機能を増感するためのため増感剤、安 定性を増すための安定化剤、UV光を吸収する めのUV吸収剤等が挙げられる。

有機半導体薄膜は、さらに、機械的特性を 高めるため、上記以外の高分子化合物を高分 子バインダーとして含んでいてもよい。高分 子バインダーとしては、電子輸送性又はホー ル輸送性を極度に阻害しないものが好ましく 、また可視光に対する吸収が強くないものが 好ましく用いられる。

高分子バインダーとしては、ポリ(N-ビニル カルバゾール)、ポリアニリン及びその誘導 、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリ(p- ェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ(2,5 -チエニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ ーボネート、ポリアクリレート、ポリメチ アクリレート、ポリメチルメタクリレート ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロ サン等が例示される。

このような有機半導体薄膜の膜厚は、1nm~10 0μm程度であると好ましく、2nm~1000nmであると り好ましく、3nm~500nmであると更に好ましく 5nm~200nmであると一層好ましい。

有機半導体薄膜の製造方法は特に制限され ないが、本発明の高分子化合物や、必要に応 じて混合する電子輸送性材料又はホール輸送 性材料、高分子バインダー等を含む溶液(例 ば、上述した実施形態のインク組成物)を用 て成膜を行う方法が例示される。また、高 子化合物がオリゴマーである場合には、真 蒸着法による薄膜形成も適用することがで る。

有機半導体薄膜の形成に用いる溶液用の溶 媒としては、高分子化合物や、これと混合す る電子輸送性材料又はホール輸送性材料、或 いは高分子バインダーを溶解させ得るもので あれば特に制限はない。例えば、トルエン、 キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリ ン、ビシクロヘキシル、n-ブチルベンゼン、s ec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン等の 飽和炭化水素系溶媒、四塩化炭素、クロロ ルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、 ロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタ 、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロ ヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモ クロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素 溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン トリクロロベンゼン等のハロゲン化不飽和 化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、テト ヒドロピラン等のエーテル類系溶媒等が挙 られる。高分子化合物は、その構造や分子 にもよるが、通常、これらの溶媒に0.1質量% 以上溶解させることができる。

溶液を用いて成膜を行う方法としては、ス ピンコート法、キャスティング法、マイクロ グラビアコート法、グラビアコート法、バー コート法、ロールコート法、ワイアーバーコ ート法、ディップコート法、スプレーコート 法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オ フセット印刷法、インクジェット印刷法、デ ィスペンサー印刷法等の塗布法が適用できる 。なかでも、スピンコート法、フレキソ印刷 法、インクジェット印刷法、ディスペンサー 印刷法が好ましい。

なお、有機半導体薄膜を製造する際には、 高分子化合物を配向させる工程を行ってもよ い。この工程により、高分子化合物が配向し た状態で含まれる有機半導体薄膜が得られ、 このような有機半導体薄膜は、主鎖分子又は 側鎖分子が一方向に並ぶので、電子移動度又 はホール移動度が高いものとなる。

有機半導体薄膜における高分子化合物を配 向させる方法としては、液晶の配向手法とし て知られている方法を用いることができる。 なかでもラビング法、光配向法、シェアリン グ法(ずり応力印加法)や引き上げ塗布法が、 向手法として簡便かつ有用で利用しやすく ラビング法、シェアリング法がより好まし 。

上述した実施形態の有機半導体薄膜は、電 子輸送性又はホール輸送性を有することから 、電極から注入された電子若しくはホール、 又は光吸収により発生した電荷を輸送制御す ることができる。したがって、このような特 性により、有機エレクトロルミネッセンス素 子、有機トランジスタ、有機太陽電池、光セ ンサ等種々の有機薄膜素子に用いることがで きる。特に、有機半導体薄膜をこれらの有機 薄膜素子に用いる場合は、配向処理によって 配向させたものを用いることが、より電子輸 送性又はホール輸送性の向上に寄与するため 、好ましい。

また、上述の如く、本発明の高分子化合物 を含む薄膜としては、有機半導体薄膜以外に 、発光性薄膜や導電性薄膜が挙げられる。こ れらも、本発明の高分子化合物のみから構成 されてもよく、所定の機能性を付与する添加 材料と組み合わせによって構成されてもよい 。

例えば、発光性薄膜としては、良好な素子 の輝度や発光電圧等を得る観点から、発光の 量子収率が30%以上であるものが好ましく、50% 以上であるものがより好ましく、60%以上であ るものがさらに好ましく、70%以上であるもの が特に好ましい。

また、導電性薄膜としては、表面抵抗が1K /□以下であるものが好ましく、100ω/□以下 あるものがより好ましく、10ω/□以下であ ものがさらに好ましい。導電性薄膜には、 イス酸、イオン性化合物等をドープするこ ができ、これにより、電気伝導度を更に高 ることもできる。

これらの薄膜も、高分子化合物や添加材料 を溶媒に溶解又は分散させた溶液(インク組 物等)を用いて形成することができる。例え 、スピンコート法、キャスティング法、マ クログラビアコート法、グラビアコート法 バーコート法、ロールコート法、ワイアー ーコート法、ディップコート法、スプレー ート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷 、オフセット印刷法、インクジェットプリ ト法、キャピラリ-コート法、ノズルコート 法等により作製することができる。なかでも 、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフ セット印刷法、インクジェットプリント法が 好ましく、インクジェットプリント法が特に 好ましい。

このように溶液を用いて薄膜を作製する場 合は、溶液に含まれる本発明の高分子化合物 のガラス転移温度が高いことから、100℃以上 の温度でベークすることが可能であり、130℃ の温度でベークしたとしても素子特性の低下 を小さくできる。また、高分子化合物の種類 によっては、160℃以上の温度でベークするこ ともできる。

[有機トランジスタ]
 次に、本発明の高分子化合物からなる薄膜 備える有機トランジスタ(有機薄膜トランジ スタ)の好適な実施形態について説明する。

以下に説明する実施形態の有機薄膜トラン ジスタは、上述した本発明の有機半導体薄膜 からなる有機半導体層を活性層として備える ものである。具体的には、有機薄膜トランジ スタは、ソース電極及びドレイン電極、これ らの間の電流経路となる有機半導体層(活性 )、この電流経路を通る電流量を制御するゲ ト電極を備えており、電界効果型、静電誘 型等が例示できる。

有機薄膜トランジスタのうち、電解効果型 有機薄膜トランジスタは、ソース電極及びド レイン電極、これらの間の電流経路となる有 機半導体層(活性層)、電流経路を通る電流量 制御するゲート電極、並びに、活性層とゲ ト電極との間に配置される絶縁層を備える とが好ましい。特に、ソース電極及びドレ ン電極が、有機半導体層(活性層)に接して けられており、さらに有機半導体層に接し 絶縁層を挟んでゲート電極が設けられてい ことが好ましい。

また、静電誘導型有機薄膜トランジスタは 、ソース電極及びドレイン電極、これらの間 の電流経路となる有機半導体層、並びに電流 経路を通る電流量を制御するゲート電極を有 し、このゲート電極が有機半導体層中に設け られていることが好ましい。特に、ソース電 極、ドレイン電極及び有機半導体層中に設け られたゲート電極が、有機半導体層に接して 設けられていることが好ましい。この場合の ゲート電極の構造としては、ソース電極から ドレイン電極へ流れる電流経路が形成され、 かつゲート電極に印加した電圧で電流経路を 流れる電流量が制御できる構造であればよく 、例えば、くし形電極が例示される。

図1は、第1実施形態に係る有機薄膜トラン スタ(電界効果型有機薄膜トランジスタ)の 式断面図である。図1に示す有機薄膜トラン スタ100は、基板1と、基板1上に所定の間隔 もって形成されたソース電極5及びドレイン 極6と、ソース電極5及びドレイン電極6を覆 ようにして基板1上に形成された活性層2と 活性層2上に形成された絶縁層3と、ソース電 極5とドレイン電極6との間の絶縁層3の領域を 覆うように絶縁層3上に形成されたゲート電 4とを備えるものである。

図2は第2実施形態に係る有機薄膜トランジ タ(電界効果型有機薄膜トランジスタ)の模 断面図である。図2に示す有機薄膜トランジ タ110は、基板1と、基板1上に形成されたソ ス電極5と、ソース電極5を覆うようにして基 板1上に形成された活性層2と、ソース電極5と 所定の間隔をもって活性層2上に形成された レイン電極6と、活性層2及びドレイン電極6 に形成された絶縁層3と、ソース電極5とドレ イン電極6との間の絶縁層3の領域を覆うよう 絶縁層3上に形成されたゲート電極4とを備 るものである。

図3は第3実施形態に係る有機薄膜トランジ タ(電界効果型有機薄膜トランジスタ)の模 断面図である。図3に示す有機薄膜トランジ タ120は、基板1と、基板1上に形成されたゲ ト電極4と、ゲート電極4を覆うようにして基 板1上に形成された絶縁層3と、ゲート電極4が 下部に形成されている絶縁層3の領域を一部 うように、絶縁層3上に所定の間隔をもって 成されたソース電極5及びドレイン電極6と ソース電極5とドレイン電極6との間の絶縁層 3の領域を覆うように絶縁層3上に形成された 性層2とを備えるものである。

図4は第4実施形態に係る有機薄膜トランジ タ(電界効果型有機薄膜トランジスタ)の模 断面図である。図4に示す有機薄膜トランジ タ130は、基板1と、基板1上に形成されたゲ ト電極4と、ゲート電極4を覆うようにして基 板1上に形成された絶縁層3と、ゲート電極4が 下部に形成されている絶縁層3の領域を一部 うように絶縁層3上に形成されたソース電極5 と、ソース電極5の領域を一部覆うようにし 絶縁層3上に形成された活性層2と、ゲート電 極4が下部に形成されている絶縁層3の領域を 部覆うように、ソース電極5と所定の間隔を 持って絶縁層3上に形成されたドレイン電極6 を備えるものである。

図5は第5実施形態に係る有機薄膜トランジ タ(静電誘導型有機薄膜トランジスタ)の模 断面図である。図5に示す有機薄膜トランジ タ140は、基板1と、基板1上に形成されたソ ス電極5と、ソース電極5上に形成された活性 層2と、活性層2上に所定の間隔をもって複数 成されたゲート電極4と、ゲート電極4の全 を覆うようにして活性層2上に形成された活 層2a(活性層2aを構成する材料は、活性層2と 一でも異なっていてもよい)と、活性層2a上 形成されたドレイン電極6とを備えるもので ある。

図6は第6実施形態に係る有機薄膜トランジ タ(電界効果型有機薄膜トランジスタ)の模 断面図である。図6に示す有機薄膜トランジ タ150は、基板1と、基板1上に形成された活 層2と、活性層2上に所定の間隔を持って形成 されたソース電極5及びドレイン電極6と、ソ ス電極5とドレイン電極6との間の活性層2の 域を覆うようにして活性層2上に形成された 絶縁層3と、ソース電極5が下部に形成されて る絶縁層3の領域とドレイン電極6が下部に 成されている絶縁層3の領域とをそれぞれ一 覆うように、絶縁層3上に形成されたゲート 電極4とを備えるものである。

図7は第7実施形態に係る有機薄膜トランジ タ(電界効果型有機薄膜トランジスタ)の模 断面図である。図7に示す有機薄膜トランジ タ160は、基板1と、基板1上に形成されたゲ ト電極4と、ゲート電極4を覆うようにして基 板1上に形成された絶縁層3と、ゲート電極4が 下部に形成されている絶縁層3の領域を覆う うに形成された活性層2と、ゲート電極4が下 部に形成されている活性層2の領域を一部覆 ように絶縁層3上に形成されたソース電極5と 、ゲート電極4が下部に形成されている活性 2の領域を一部覆うように、ソース電極5と所 定の間隔をもって絶縁層3上に形成されたド イン電極6とを備えるものである。

第1~第7実施形態に係る有機薄膜トランジス タにおいては、活性層2及び/又は活性層2aは 本発明の高分子化合物を含む有機半導体薄 から構成されており、ソース電極5とドレイ 電極6の間の電流通路(チャネル)となる。ま 、ゲート電極4は、電圧を印加することによ り活性層2及び/又は活性層2aにおける電流通 (チャネル)を通る電流量を制御する。以下、 これらの実施形態の有機薄膜トランジスタの 構成や製造方法について更に説明する。

上述した有機薄膜トランジスタのうち、電 界効果型有機薄膜トランジスタは、公知の方 法、例えば、特開平5-110069号公報記載の方法 より製造することができる。また、静電誘 型有機薄膜トランジスタは、公知の方法、 えば、特開2004-006476号公報記載の方法によ 製造することができる。

基板1は、有機薄膜トランジスタとしての 性を阻害しなければよく、ガラス基板、フ キシブルなフィルム基板、プラスチック基 等を適用することができる。また、第3、4、 7実施形態のようなゲート電極4が基板1と接す る構造を有する電界効果型有機薄膜トランジ スタにおいては、シリコンなどの導電性基板 を用いることにより、基板にゲート電極の役 割を持たせることもできる。

活性層2は、溶液(インク組成物)を用いて印 刷法等を行うことにより形成することが製造 上有利であり好ましい。したがって、活性層 2の形成は、上記で説明した有機半導体薄膜 製造方法を応用し、活性層2を形成させる下 層の上に有機半導体薄膜を形成することで うことが好ましい。

活性層2に接する絶縁層3としては、電気の絶 性が高い材料であればよく、公知のものを いることができる。例えばSiOx、SiNx、Ta 2 O 5 、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ ビニルフェノール、有機ガラス等からなるも のが挙げられる。低電圧化の観点からは、誘 電率の高い材料を用いることが好ましい。

絶縁層3の上に活性層2を形成する場合は、絶 層3と活性層2の界面特性を改善する観点か 、絶縁層3表面をシランカップリング剤等の 面処理剤で処理して表面改質した後に活性 2を形成することも可能である。この表面処 理剤としては、長鎖アルキルクロロシラン類 、長鎖アルキルアルコキシシラン類、フッ素 化アルキルクロロシラン類、フッ素化アルキ ルアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラ ザン等のシリルアミン化合物等が挙げられる 。表面処理剤で処理する前には、絶縁層3表 をオゾンUV、O 2 プラズマで処理しておいてもよい。

上記構成を有する有機薄膜トランジスタを 作製した後には、素子を保護するために、有 機薄膜トランジスタ上に保護膜を形成するこ とが好ましい。これにより、有機薄膜トラン ジスタが大気から遮断されることになり、こ れにより有機薄膜トランジスタの特性の低下 を抑えることができる。また、保護膜の形成 によって、例えば有機薄膜トランジスタの上 に駆動する表示デバイスを形成するときの影 響を低減することもできる。

保護膜を形成する方法としては、有機薄膜 トランジスタを、UV硬化樹脂、熱硬化性樹脂 無機のSiONx膜等でカバーする方法等が挙げ れる。大気との遮断を効果的に行う観点か は、有機薄膜トランジスタの作製後、保護 を形成するまでの工程を大気に曝すことな (例えば、乾燥した窒素雰囲気中、真空中等) 行うことが好ましい。

[その他の有機薄膜素子]
 本発明の高分子化合物を含む有機半導体薄 は、上述した有機トランジスタ以外にも、 種の有機薄膜素子における有機半導体層と て適用することができる。

例えば、まず、太陽電池への応用が挙げら れる。

図8は、好適な実施形態に係る太陽電池の 式断面図である。図8に示す太陽電池200は、 板1と、基板1上に形成された第1の電極7aと 第1の電極7a上に形成された本発明の有機半 体薄膜からなる活性層2と、活性層2上に形成 された第2の電極7bとを備えるものである。

本実施形態に係る太陽電池においては、第 1の電極7a及び第2の電極7bの一方に透明又は半 透明の電極を用いる。電極材料としては、ア ルミニウム、金、銀、銅、アルカリ金属、ア ルカリ土類金属等の金属又はそれらの半透明 導電膜、透明導電膜を用いることができる。 高い開放電圧を得るためには、それぞれの電 極として、仕事関数の差が大きくなるように 選ばれることが好ましい。活性層2(有機半導 薄膜)中には光感度を高めるためにキャリア 発生剤、増感剤等を添加して用いることがで きる。基材1としては、シリコン基板、ガラ 基板、プラスチック基板等を用いることが きる。

次に、有機半導体薄膜の光センサへの応用 を説明する。

図9は、第1実施形態に係る光センサの模式 面図である。図9に示す光センサ300は、基板 1と、基板1上に形成された第1の電極7aと、第1 の電極7a上に形成された本発明の有機半導体 膜からなる活性層2と、活性層2上に形成さ た電荷発生層8と、電荷発生層8上に形成され た第2の電極7bとを備えるものである。

図10は、第2実施形態に係る光センサの模式 断面図である。図10に示す光センサ310は、基 1と、基板1上に形成された第1の電極7aと、 1の電極7a上に形成された電荷発生層8と、電 発生層8上に形成された本発明の有機半導体 薄膜からなる活性層2と、活性層2上に形成さ た第2の電極7bとを備えるものである。

図11は、第3実施形態に係る光センサの模式 断面図である。図11に示す光センサ320は、基 1と、基板1上に形成された第1の電極7aと、 1の電極7a上に形成された本発明の有機半導 薄膜からなる活性層2と、活性層2上に形成さ れた第2の電極7bとを備えるものである。

第1~第3実施形態に係る光センサにおいては 、第1の電極7a及び第2の電極7bの一方に透明又 は半透明の電極を用いる。電荷発生層8は光 吸収して電荷を発生する層である。電極材 としては、アルミニウム、金、銀、銅、ア カリ金属、アルカリ土類金属等の金属又は れらの半透明膜、透明導電膜を用いること できる。活性層2(有機半導体薄膜)中には、 感度を高めるためにキャリア発生剤、増感 等を添加して用いてもよい。また、基材1と ては、シリコン基板、ガラス基板、プラス ック基板等を用いることができる。

[有機トランジスタを備える電子機器]
 上述した本発明の有機トランジスタは、各 の電子機器における駆動回路等に適用可能 ある。本発明の有機トランジスタが適用さ る電子機器としては、例えば、コンピュー 、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビ ーション、ビデオカメラのビューファイン ー等の表示装置に用いられる表示素子や、 晶表示装置のバックライト用や照明用の面 光源が挙げられる。また、フレキシブルな 機トランジスタであれば、曲面状の面状光 や表示素子にも適用できる。

以下、本発明を実施例により更に詳細に説 明するが、本発明はこれらの実施例に限定さ れるものではない。

[数平均分子量及び重量平均分子量の測定]
 以下の実施例において、高分子化合物等の 子量は、島津製作所製GPC(商品名:LC-10Avp)ま はGPCラボラトリー製GPC(商品名:PL-GPC2000)を用 た測定に基づいて、ポリスチレン換算の数 均分子量を求めることにより測定した。ま 、LC-10Avpにて測定する場合、高分子化合物 約0.5重量%の濃度となるようにテトラヒドロ ランに溶解させ、GPCに50μL注入した。この 、GPCの移動相としては、テトラヒドロフラ を用い、0.6mL/分の流速で流した。カラムは TSKgel SuperHM-H(東ソー製)2本と、TSKgel SuperH2000 (東ソー製)1本とを直列に繋げた。検出器には 、示差屈折率検出器(島津製作所製、商品名:R ID-10A)を用いた。

一方、PL-GPC2000にて測定する場合は、高分 化合物を約1重量%の濃度となるようにo-ジク ロベンゼンに溶解させた。GPCの移動相とし は、o-ジクロロベンゼンを用い、測定温度14 0℃で、1mL/分の流速で流した。カラムは、PLGE L 10μm MIXED-B(PLラボラトリー製)を3本直列で げた。

[原料化合物の合成]
(合成例1:1,6-ジドデシルピレンの合成)
 1000ml三つ口フラスコに、1,6-ジブロモピレン 8.5g(23.6mmol)及び脱水THF520mlを入れ、これを-78 に冷却し、さらにn-ブチルリチウム(1.6Mのヘ サン溶液)37.36mlをガスタイトシリンジで滴 した。-78℃のまま2時間撹拌した後、ブロモ デカン14.71gを更に滴下した。滴下終了後、 温まで戻し、約5時間反応させた。得られた 反応液を水にゆっくりと注いで反応を停止さ せ、ヘキサンで有機層を抽出した後、有機層 を3回水洗した。得られた有機層を濃縮し、 キサンを展開溶媒としたシリカゲルカラム 2回精製することにより、下記化学式(14)で表 される1,6-ジドデシルピレン2.75gを得た。得ら れた化合物を質量分析装置により分析したと ころ、次のような結果が得られた。
MS(APCI(+)):(M+H) + :539

(合成例2:1,6-ジブロモ-3,8-ジドデシルピレンの 合成)
 アルゴン置換した300ml三つ口フラスコに、 成例1で得られた1,6-ジドデシルピレン2.7g(5.01 mmol)及びクロロホルム200mlを入れ、室温で撹 し溶解させた。この溶液に、臭素1.602g(10.02mm ol)をクロロホルム20mlに溶解して得られた溶 を、室温で約1時間かけて滴下した。8時間撹 拌後、得られた溶液に飽和チオ硫酸ナトリウ ム水溶液100mlを加えて反応を終了し、そのま 室温で撹拌したところ、固体が析出した。 出した固体(不溶物)を濾過し、回収した。 れをクロロホルムで再結晶した後、析出し 結晶をクロロホルム-THF混合溶媒で熱濾過し 再結晶することにより、下記化学式(15)で表 される1,6-ジブロモ-3,8-ジドデシルピレン2.35g 白色結晶として得た。得られた化合物を 1 H-NMRで分析した結果、次のような結果が得ら た。
1 H-NMR(300MHz/CDCl 3 ):δ8.45(2H,d)、8.26(2H,d)、8.14(2H,s)、3,29(4H,t)、1.81 (4H,m)、1.31~1.26(36H,m)、0.88(6H,t)

(合成例3:1,6-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジ キサボロラン-2-イル)-3,8-ジドデシルピレン 合成)
 アルゴン置換した100ml四つ口フラスコに、 素雰囲気下で、合成例2で得られた1,6-ジブロ モ-3,8-ジドデシルピレンを1.87g(2.68mmol)、ビス ナコレートジボロンを1.50g(5.91mmol)、Pd(dppf) 2 Cl 2 を0.13g(0.16mmol)、1,1-ジフェニルホスフィノフ ロセン(dppf)を0.09g(0.16mmol)、酢酸カリウムを3. 48g(35.4mmol)、1,4-ジオキサンを23mlそれぞれ添加 し、110℃に加熱、撹拌した。9時間後、反応 をセライトろ過し、溶媒を除去した。残っ 固体をトルエンに溶かして活性炭を加え、80 ℃で30分撹拌した。この混合液をセライトで ろ過し、溶媒を除去した後、ヘキサンに再 解させて再度活性炭処理した。そして、ろ を再結晶することにより、下記化学式(16)で 表される1,6-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジ キサボロラン-2-イル)-3,8-ジドデシルピレン 0.38gを白色結晶として得た。得られた化合 を質量分析装置により分析したところ、次 ような結果が得られた。
MS(APCI(+)):(M+H) + :791

[高分子化合物の合成]
(実施例1)
 窒素置換した50ml三つ口フラスコに、合成例 3で得られた1,6-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2- ジオキサボロラン-2-イル)-3,8-ジドデシルピレ ンを0.34g(0.43mmol)、5,5’-ジブロモ-2,2’-ビチオ フェンを0.14g(0.43mmol)、Pd(PPh 3 ) 2 Cl 2 を0.215mg、トリカプリリルメチルアンモニウ クロリド(商品名:Aliquat336、Aldrich製)を0.05g、 よびトルエンを5.4mlそれぞれ添加し、105℃ 加熱しつつ、炭酸ナトリウム水溶液(2M/L)0.79m lを滴下した。滴下終了後、5時間加熱還流し フェニルホウ酸11mgを加え、さらに3時間加 還流した。続いてN,N-ジエチルジチオカルバ ド酸ナトリウム三水和物0.25g及び水を加え 90℃で5時間撹拌した。

それから、水層を除去した後、有機層を熱水 で3回、3重量%酢酸で3回、さらに熱水で3回洗 した。さらに、溶媒を除去した後、o-ジク ロベンゼンに再溶解し、シリカゲル-アルミ カラムを通した後、300mlのメタノールに加 た。析出した沈殿をろ過して回収し、減圧 燥した。得られた高分子化合物の重量は0.2g あった。またポリスチレン換算の数平均分 量は1.3×10 4 であり、重量平均分子量は2.9×10 4 であった。

(比較例1)
 アルゴン置換した1000mlセパラブルフラスコ 、2,7-ビス(1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-9,9 -ジオクチルフルオレンを18.5g(35.0mmol)、5,5’- ブロモ-2,2’-ビチオフェンを11.72g(36.2mmol)、P d(OAc) 2 を7.5mg、P(o-tol) 3 を49.9mg、トリカプリリルメチルアンモニウム クロリド(商品名:Aliquat336、Aldrich製)を4.0g及び メシチレンを300mlそれぞれ添加し、15分間ア ゴンバブリングした。次いで、あらかじめ55 ℃に加熱したオイルバスにこの容器を入れ、 撹拌しつつ炭酸ナトリウム水溶液(2M/L)60mlを 下した。滴下終了後、95℃に加熱し、8時間 熱還流した後、フェニルホウ酸2gとTHF40mlを え、さらに8時間加熱還流した。

この混合液にメシチレン700mlを加えて希釈し 後、7.5重量%N,N-ジエチルジチオカルバミド ナトリウム三水和物水溶液200mlを加え、85℃ 3時間撹拌した。水層を除去した後、300mlの 水で3回、3重量%酢酸で3回、さらに熱水で3 洗浄した。得られた溶液をシリカゲル-アル ナカラムを通した後、メタノール3000mlに加 た。析出した沈殿をろ過して回収し、減圧 燥した。得られた高分子化合物の重量は6.65 gであった。またポリスチレン換算の数平均 子量は4.1×10 4 であり、重量平均分子量は6.9×10 4 であった。

(比較例2)
 窒素置換した200ml三つ口フラスコに、2,7-ビ (1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-9,9-ジオクチ ルフルオレンを2.33g(4.4mmol)、1,6-ジブロモピレ ンを0.62g(1.7mmol)、5,5’-ジブロモ-2,2’-ビチオ ェンを0.84g(2.6mmol)、Pd(PPh 3 ) 2 Cl 2 を6.0mg、トリカプリリルメチルアンモニウム ロリド(商品名:Aliquat336、Aldrich製)を0.7gおよ トルエンを33mlそれぞれ加え、105℃に加熱し つつ、炭酸ナトリウム水溶液(2M/L)10mlを滴下 た。滴下終了後、1時間加熱還流し、フェニ ホウ酸60mgを加え、さらに3時間加熱還流し 。続いて、N,N-ジエチルジチオカルバミド酸 トリウム三水和物1.0gと水16mlを加え、90℃で 3時間撹拌した。

得られた混合液から水層を除去した後、有機 層を熱水で3回、3重量%酢酸で3回、さらに熱 で3回洗浄した。この溶液をメタノール860ml 加えた。析出した沈澱をろ過して回収し、 圧乾燥した。溶媒を除去した後、トルエン 再溶解し、シリカゲル-アルミナカラムを通 た後、860mlのメタノールに加えた。析出し 沈殿をろ過して回収し、減圧乾燥した。得 れた高分子化合物の重量は1.45gであった。ま た、ポリスチレン換算の数平均分子量は9.3×1 0 4 であり、重量平均分子量は3.4×10 5 であった。

[トランジスタ特性の測定]
 以下、実施例1及び比較例1~2で得られた各高 分子化合物を用いた場合のトランジスタ特性 を、それぞれ図12に示す有機薄膜素子を作製 て測定した。

(実施例2)
 まず、ゲート電極となる高濃度にドーピン されたn-型シリコン基板10の表面を熱酸化し 、200nmのシリコン酸化膜20を形成した。次に フォトリソ工程により熱酸化膜上にチャネ 長20μm、チャネル幅2mmのソース電極30、ドレ ン電極40(熱酸化膜側から、クロム、金の順) を作製した。こうして得られた基板を十分洗 浄した後、ヘキサメチレンジシラザン(HMDS)を 用いて、スピンコート法により基板の表面を シラン処理した。それから、実施例1の高分 化合物をオルトジクロロベンゼンに溶解し 0.5重量%の溶液を調製し、メンブランフィル ーでろ過した後、これを上記の表面処理を った基板上にスピンコート法により塗布し 。これにより、約60nmの実施例1の高分子化 物を含む有機半導体薄膜(活性層50)を形成し 。

作製した有機薄膜素子について、ゲート電圧 Vgを0~-60V、ソース・ドレイン間電圧Vsdを0~-60V 変化させた条件でトランジスタ特性を測定 た。その結果、伝達特性でVg=-60V、Vsd=-60Vに いてドレイン電流34μAが得られた。また、 の特性から電界効果移動度は2.6×10 -2 cm 2 /Vs、電流のオン・オフ比は1×10 5 と算出された。

(比較例3)
 活性層50の形成に、比較例1の高分子化合物 トルエンに溶解して得られた0.5重量%の溶液 を用いたこと以外は、実施例2と同様にして 機薄膜素子を作製した。

得られた有機薄膜素子について、ゲート電圧 Vgを0~-60V、ソース・ドレイン間電圧Vsdを0~-60V 変化させた条件でトランジスタ特性を測定 た。その結果、伝達特性でVg=-60V、Vsd=-60Vに いてドレイン電流値は0.55μAであり、実施例 2と比較して低いことが判明した。また、電 効果移動度は1.1×10 -3 cm 2 /Vsであり、電流のオン・オフ比は1×10 3 であり、いずれも実施例2と比較して低かっ 。

(比較例4)
 活性層50の形成に、比較例2の高分子化合物 オルトジクロロベンゼンに溶解して得られ 0.5重量%の溶液を用いたこと以外は、実施例 2と同様にして有機薄膜素子を作製した。

得られた有機薄膜素子について、ゲート電圧 Vgを0~-60V、ソース・ドレイン間電圧Vsdを0~-60V 変化させた条件でトランジスタ特性を測定 た。その結果、良好なトランジスタ動作が 認されたが、伝達特性でVg=-60V、Vsd=-60Vにお てドレイン電流1.6μAが得られ、実施例2と比 較して低いことが判明した。また、この特性 から電界効果移動度は8.8×10 -4 cm 2 /Vs、電流のオン・オフ比は1×10 4 と算出され、いずれも実施例2と比較して低 った。

[原料化合物の合成]
(合成例4;1,6-ジオクタデシルピレンの合成)
 1000ml三つ口フラスコに1,6-ジブロモピレン8.5 g(23.6mmol)と脱水THF520mlを入れ、これを-78℃に 却し、さらにn-ブチルリチウム(1.6Mのヘキサ 溶液)37.36mlをガスタイトシリンジで滴下し 。-78℃のまま2時間撹拌した後、ブロモオク デカン19.68g(59.0mmol)を滴下した。滴下終了後 、室温まで戻し、約8時間反応させた。得ら た反応液を水にゆっくりと注いで反応を停 させ、トルエンで有機層を抽出し、有機層 2回水洗した。得られた有機層を濃縮し、ヘ サンで再結晶することにより、下記式(17)で 表される1,6-ジオクタデシルピレン1.90gを得た 。得られた化合物を質量分析装置により分析 したところ、次のような結果が得られた。
MS(APCI(+)):(M+H) + :707

(合成例5;1,6-ジブロモ-3,8-ジオクタデシルピレ ンの合成)
 アルゴン置換した200ml三つ口フラスコに、 成例4で得られた1,6-ジオクタデシルピレン1.9 g(2.69mmol)とクロロホルム55mlを入れ、室温で撹 拌し溶解させた。そこへ、臭素0.859g(5.37mmol) クロロホルム20mlに溶解して得られた溶液を 室温で滴下した。8時間撹拌後、さらに臭素 0.215g(1.34mmol)クロロホルム溶液を滴下し、3時 反応させた。得られた溶液に飽和チオ硫酸 トリウム水溶液100mlを加えて反応を終了し そのまま室温で撹拌したところ固体が析出 た。析出した固体(不溶物)を濾過、回収した 。これをクロロホルム-THF混合溶媒で熱濾過 再結晶することにより、下記式(18)で表され 1,6-ジブロモ-3,8-ジオクタデシルピレン1.75g 白色結晶として得た。

(合成例6;1,6-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジ キサボロラン-2-イル)-3,8-ジオクタデシルピ ンの合成)
 アルゴン置換した100ml四つ口フラスコに、 素雰囲気下で、合成例5で得られた1,6-ジブロ モ-3,8-ジオクタデシルピレンを1.75g(2.02mmol)、 スピナコレートジボロンを1.13g(4.45mmol)、Pd(d ppf) 2 Cl 2 を0.10g(0.12mmol)、1,1-ジフェニルホスフィノフ ロセン(dppf)を0.07g(0.12mmol)、酢酸カリウムを2. 62g(26.7mmol)、1,4-ジオキサンを17mlそれぞれ添加 し、125℃に加熱、撹拌した。9時間後、反応 をセライトろ過し、溶媒を除去した。残っ 固体をヘキサンとトルエンの混合溶媒に溶 して活性炭を加え、90℃で約3時間撹拌した この混合液をセライトで熱ろ過し、溶媒を 去した後、ヘキサンで再結晶することによ 、下記式(19)で表される1,6-ビス(4,4,5,5-テトラ メチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3,8-ジ クタデシルピレンの1.02gを白色結晶として得 た。得られた化合物を質量分析装置により分 析したところ、次のような結果が得られた。
MS(APCI(+)):(M+H) + :959

[高分子化合物の合成]
(実施例3)
 窒素置換した50ml三つ口フラスコに、合成例 6で得られた1,6-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2- ジオキサボロラン-2-イル)-3,8-ジオクタデシル ピレンを0.34g(0.35mmol)、5,5’-ジブロモ-2,2’-ビ チオフェンを0.11g(0.35mmol)、Pd(PPh 3 ) 2 Cl 2 を0.173mg、トリカプリリルメチルアンモニウ クロリド(商品名:Aliquat336、Aldrich製)を0.04g、 よびトルエンを5.4mlそれぞれ添加し、105℃ 加熱しつつ、炭酸ナトリウム水溶液(2M/L)0.64m lを滴下した。滴下終了後、8時間加熱還流し フェニルホウ酸11mgを加え、さらに3時間加 還流した。続いてN,N-ジエチルジチオカルバ ド酸ナトリウム三水和物0.25gと水を加え、90 ℃で5時間撹拌した。

それから、水層を除去後、有機層を熱水で3 、3重量%酢酸で3回、さらに熱水で3回洗浄し 。有機層をシリカゲル-アルミナカラムに通 した後、300mlのメタノールに加えた。析出し 沈殿をろ過して回収し、減圧乾燥した。得 れた高分子化合物の重量は0.26gであった。 たポリスチレン換算の数平均分子量は1.3×10 4 、重量平均分子量は2.8×10 4 であった。

[トランジスタ特性の測定]
 以下、実施例3及び比較例1で得られた各高 子化合物を用いた場合のトランジスタ特性 、それぞれ図12又は13に示す有機薄膜素子を 製して測定した。

(実施例4)
 実施例3で得られた高分子化合物を用い、実 施例2と同様にして図12に示す構造を有する有 機薄膜素子を作製した。

作製した有機薄膜素子について、ゲート電圧 Vgを0~-60V、ソース・ドレイン間電圧Vsdを0~-60V 変化させた条件でトランジスタ特性を測定 た。その結果、伝達特性でVg=-60V、Vsd=-60Vに いてドレイン電流値は3.5μAとなった。また 電界効果移動度は4.2×10 -3 cm 2 /Vs、電流のオン・オフ比は6×10 4 と算出された。このように、実施例3の高分 化合物は、良好な特性を示した。

(実施例5)
 ゲート電極となる高濃度にドーピングされ n-型シリコン基板(ゲート電極10)の表面を熱 化し、200nmのシリコン酸化膜(ゲート絶縁膜2 0)を形成した。この基板をアセトンで10分間 音波洗浄した後、オゾンUVを30分間照射した その後、窒素を満たしたグローブボックス で、ヘキサメチレンジシラザン(HMDS)用い、1 5時間浸漬することにより、基板表面をシラ 処理した。それから、実施例3で得られた高 子化合物をトルエンに溶解して0.5重量%の溶 液を調製し、メンブランフィルターでろ過し た後、これを上記の表面処理を行った基板上 にスピンコート法により塗布し、塗布膜を形 成した。次に、この基板を、窒素を満たした グローブボックス中で100℃、30分熱処理して 上記塗布膜から実施例3で得られた高分子化 合物を含む有機半導体薄膜(活性層50)を形成 せた。さらに、メタルマスクを用いた真空 着法により、有機半導体薄膜上にチャネル 20μm、チャネル幅2mmのソース電極30、ドレイ 電極40(有機半導体薄膜側から、フラーレン 金の順で積層されたもの)を作製して、図13 示す構造を有する有機薄膜素子を得た。

作製した有機薄膜素子について、ゲート電圧 Vgを0~-60V、ソース・ドレイン間電圧Vsdを0~-60V 変化させた条件でトランジスタ特性を測定 た。その結果、伝達特性でVg=-60V、Vsd=-60Vに いてドレイン電流15μAが得られた。また、 の特性から電界効果移動度は0.011cm 2 /Vs、電流のオン・オフ比は2×10 4 と算出された。

(比較例5)
 活性層50の形成に、比較例1の高分子化合物 クロロホルムに溶解して得られた0.5重量%の 溶液を用いたこと以外は、実施例5と同様に て図13に示す構造を有する有機薄膜素子を作 製した。

得られた有機薄膜素子について、ゲート電圧 Vgを0~-60V、ソース・ドレイン間電圧Vsdを0~-60V 変化させた条件でトランジスタ特性を測定 た。その結果、良好なトランジスタ動作が 認されたが、伝達特性でVg=-60V、Vsd=-60Vにお てドレイン電流13μAが得られ、実施例5と比 して低いことが判明した。また、この特性 ら電界効果移動度は8.2×10 -3 cm 2 /Vs、電流のオン・オフ比は1×10 4 と算出され、いずれも実施例5と比較して低 った。

[高分子化合物の合成]
(実施例6)
 窒素置換した100mL三口フラスコに、合成例2 得られた1,6-ジブロモ-3,8-ジドデシルピレン0 .52g(0.74mmol)、2,5-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2 -ジオキサボロラン-2-イル)チエノ[3,2-b]チオフ ェン0.29g(0.74mmol)、トリス(ジベンジリデン)ジ ラジウム(0)13.6mg(0.02mmol)、トリ-t-ブチルホス ホニウムテトラフルオロボレート17.2mg(0.06mmol )、及び、あらかじめ30分間窒素バブリングし た脱水THF15mlを加え、60℃で撹拌しつつ2mol/Lの 炭酸カリウム水溶液1.12mlを滴下した。滴下終 了後、3時間加熱還流し、フェニルホウ酸10.5m gと脱水THF4mlを加え、さらに17時間撹拌した。 続いてN,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナト ウム三水和物0.25gと水を加え、75℃で4時間撹 拌した。

次いで、溶媒を除去し、1,2-ジクロロベンゼ を加えて140℃で撹拌した後、水層を除去し 。有機層を熱水で1回、3重量%酢酸で2回、さ に熱水で2回洗浄した。有機層をシリカゲル -アルミナカラムに通した後、300mlのメタノー ルに加えた。析出した沈殿をろ過して回収し 、減圧乾燥した。得られた高分子化合物の数 平均分子量は4.2×10 3 、重量平均分子量は5.9×10 3 であった。

[トランジスタ特性の測定]
(実施例7)
 ゲート電極となる高濃度にドーピングされ n-型シリコン基板(ゲート電極10)の表面を熱 化し、200nmのシリコン酸化膜(ゲート絶縁膜2 0)を形成した。この基板をアセトンで10分間 音波洗浄した後、オゾンUVを30分間照射した その後、窒素を満たしたグローブボックス で、オクタデシルトリクロロシラン(ODTS)の クタン希釈液を用いて、15時間浸漬するこ により基板表面をシラン処理した。それか 、実施例6で得られた高分子化合物をオルト クロロベンゼンに溶解して0.5重量%の溶液を 調製し、メンブランフィルターでろ過した後 、これを上記の表面処理を行った基板上にス ピンコート法により塗布し、塗布膜を形成し た。次に、この基板を、窒素を満たしたグロ ーブボックス中で140℃、30分熱処理して、上 塗布膜から実施例6で得られた高分子化合物 を含む有機半導体薄膜(活性層50)を形成させ 。さらに、メタルマスクを用いた真空蒸着 により、有機半導体薄膜上にチャネル長20μm 、チャネル幅2mmのソース電極30、ドレイン電 40(有機半導体薄膜側から、フラーレン、金 順で積層されたもの)を作製して、図13に示 構造を有する有機薄膜素子を得た。

作製した有機薄膜素子について、ゲート電圧 Vgを0~-60V、ソース・ドレイン間電圧Vsdを0~-60V 変化させた条件でトランジスタ特性を測定 た。その結果、伝達特性でVg=-60V、Vsd=-60Vに いてドレイン電流23μAが得られた。また、 の特性から電界効果移動度は0.033cm 2 /Vs、電流のオン・オフ比は1×10 6 と算出された。

[原料化合物の合成]
(合成例7;1,6-ジテトラデシルピレンの合成)
 アルゴン置換した2000ml三つ口フラスコに9- ラビシクロ[3,3,1]ノナン(0.5mol/Lテトラヒドロ ラン溶液)805ml(402mmol)と1-テトラデセン79.1g(40 2mmol)を入れ、85℃で約3時間加熱還流した後、 室温まで冷却し、一晩撹拌した。この溶液に 、1,6-ジブロモピレン14.5g(40.3mmol)、[1,1’-ビス (ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロ パラジウム1.973g(2.42mmol)、あらかじめ30分間ア ルゴンバブリングした2mol/L水酸化ナトリウム 水溶液120ml、及び、脱水THF150mlを加え、5.5時 加熱還流した。攪拌を停止して水層を除去 、室温まで冷却した。これにより析出した 晶をろ過して回収して、イソプロパノール 洗浄し、さらにセライトで熱ろ過した。そ て、溶媒を除去し、THFで再結晶することに り、下記化学式(20)で表される1,6-ジテトラデ シルピレン14.8gを白色固体として得た。得ら た化合物を質量分析装置により分析したと ろ、次のような結果が得られた。
MS(APCI(+)):M + :595

(合成例8;1,6-ジブロモ-3,8-テトラデシルピレン の合成)
 アルゴン置換した1000ml三つ口フラスコに、 成例7で得られた1,6-ジテトラデシルピレン1. 46g(24.5mmol)とクロロホルム350mlを入れ、室温で 約15分間撹拌した。この溶液に、臭素2.8ml(54.0 mmol)をクロロホルム50mlに溶かして滴下した。 次いで、室温で約8時間撹拌した後、飽和チ 硫酸ナトリウム水溶液を加えて反応を停止 た。クロロホルムで有機層を抽出し、2回水 した後、溶媒を除去した。それから、THFを えて熱時ろ過し、室温まで冷却した。これ より析出した結晶を回収し、真空乾燥する とにより、目的物である下記化学式(21)で表 される1,6-ジブロモ-3,8-ジテトラデシルピレン 15.9gを白色結晶として得た。得られた化合物 質量分析装置により分析したところ、次の うな結果が得られた。
MS(APCI(+)):M + :753

[高分子化合物の合成]
(実施例8)
 窒素置換した100mL三口フラスコに、合成例8 得られた1,6-ジブロモ-3,8-ジテトラデシルピ ン0.52g(0.68mmol)、2,5-ビス(4,4,5,5-テトラメチル -1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)チエノ[3,2-b]チ オフェン0.27g(0.68mmol)、トリス(ジベンジリデ )ジパラジウム(0)12.5mg(0.01mmol)、トリ-t-ブチル ホスホニウムテトラフルオロボレート15.9mg(0. 06mmol)、及び、あらかじめ30分間窒素バブリン グした脱水THF15mlを加え、60℃で撹拌しながら 、2mol/Lの炭酸カリウム水溶液1.10mlを滴下した 。滴下終了後、5時間加熱還流した後、フェ ルホウ酸10.5mgと脱水THF4mlを加えて、一晩撹 した。続いてN,N-ジエチルジチオカルバミド ナトリウム三水和物0.31gと水を加え、75℃で 3時間撹拌した。

次いで、溶媒を除去し、1,2-ジクロロベンゼ を加えて140℃で撹拌した後、水層を除去し 。有機層を熱水で1回、3重量%酢酸で2回、さ に熱水で2回洗浄した。有機層をシリカゲル -アルミナカラムに通した後、300mlのメタノー ルに加えた。析出した沈殿をろ過して回収し 、減圧乾燥した。得られた高分子化合物の数 平均分子量は4.8×10 3 、重量平均分子量は6.2×10 3 であった。

[トランジスタ特性の測定]
(実施例9)
 実施例8で得られた高分子化合物を用い、実 施例7と同様にして図13に示す構造を有する有 機薄膜素子を作製した。

作製した有機薄膜素子について、ゲート電圧 Vgを0~-60V、ソース・ドレイン間電圧Vsdを0~-60V 変化させた条件でトランジスタ特性を測定 た。その結果、伝達特性でVg=-60V、Vsd=-60Vに いてドレイン電流値は5.4μAとなった。また 電界効果移動度は6.6×10 -3 cm 2 /Vs、電流のオン・オフ比は1×10 5 と算出された。

[トランジスタ特性の測定]
(比較例6)
 活性層50の形成に、比較例1の高分子化合物 クロロホルムに溶解して得られた0.5重量%の 溶液を用いたこと以外は、実施例7と同様に て図13に示す構造を有する有機薄膜素子を作 製した。

得られた有機薄膜素子について、ゲート電圧 Vgを0~-60V、ソース・ドレイン間電圧Vsdを0~-60V 変化させた条件でトランジスタ特性を測定 た。その結果、良好なトランジスタ動作が 認されたが、伝達特性でVg=-60V、Vsd=-60Vにお てドレイン電流5.0μAが得られ、実施例6、7 比較して低いことが判明した。また、この 性から電界効果移動度は4.8×10 -3 cm 2 /Vs、電流のオン・オフ比は1×10 4 と算出され、いずれも実施例6、7と比較して かった。

[原料化合物の合成]
(合成例9;1,6-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジ キサボロラン-2-イル)ピレンの合成)
 窒素雰囲気下、1,6-ジブロモピレン2.0g(5.56mmo l)、ビスピナコレートジボロン3.09g(12.2mmol)、 クロロビス(ジフェニルホスフィノフェロセ ン)パラジウム0.27g(0.33mmol)、酢酸カリウム7.20g (73.3mmol)、1,1-ジフェニルホスフィノフェロセ 0.19g(0.33mmol)、及び、脱水ジオキサン47mlを200 ml三つ口フラスコに入れ、約10時間加熱還流 た。反応液をセライトでろ過した後、熱し トルエンで不溶物を洗浄した。ろ液を濃縮 、再びヘキサンを加えて加熱洗浄した後、 ろ過した。ろ液に活性炭を加えて脱色処理 した後、セライトろ過した。得られた無色 明のろ液を濃縮した後、減圧乾燥して、下 化学式(22)で表される1,6-ビス(4,4,5,5-テトラメ チル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピレン0.29 gを白色固体として得た。得られた化合物を 1 H-NMRで分析した結果、次のような結果が得ら た。
1 H-NMR(300MHz/CDCl 3 )δ9.08(2H,d)、8.56(2H,d)、8.48(2H,s)、8.21(4H,m)、1.49( 24H,m)

[高分子化合物の合成]
(比較例7)
 窒素置換した50mL三口フラスコに、合成例9 得られた1,6-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジ オキサボロラン-2-イル)ピレン0.20g(0.43mmol)、5, 5’-ジブロモ-4,4’-ジドデシルチオフェン0.28g (0.43mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフ ン)パラジウム0.22mg(3.06μmol)、トリカプリリ メチルアンモニウムクロリド(商品名:Aliquat3 36、Aldrich製)49.4mg(0.12mmol)、及び、トルエン15ml を加え、55℃で撹拌しつつ2mol/Lの炭酸カリウ 水溶液0.79mlを滴下した。滴下終了後、105℃ 昇温して4.5時間加熱還流し、フェニルホウ 30.0mgと脱水THF2mlを加え、95℃で3時間撹拌し 。続いてN,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナ トリウム三水和物0.25gと水を加え、6時間撹拌 した。

次いで、得られた混合液から水層を除去した 後、有機層を熱水で1回、2重量%酢酸で1回、 らに熱水で1回洗浄した。有機層をメタノー に加え、析出した固体を回収し、減圧乾燥 た。この固体をo-ジクロロベンゼンに再度 解させ、シリカゲル-アルミナカラムに通し 後、300mlのメタノールに加えた。析出した 殿をろ過して回収し、減圧乾燥した。得ら た高分子化合物の数平均分子量は1.2×10 3 、重量平均分子量は1.4×10 3 であった。

[トランジスタ特性の測定]
(比較例8)
 比較例7で得られた高分子化合物を用い、実 施例7と同様にして図13に示す構造を有する有 機薄膜素子を作製した。

作製した有機薄膜素子について、ゲート電 圧Vgを0~-60V、ソース・ドレイン間電圧Vsdを0~-6 0Vに変化させた条件でトランジスタ特性を測 した。その結果、伝達特性でドレイン電流 ほとんど観測されず、電界効果移動度およ 電流のオン・オフ比は算出することが出来 かった。