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Title:
POLYOLEFIN MICROPOROUS MEMBRANE BASE FOR NONAQUEOUS SECONDARY BATTERY SEPARATOR, METHOD FOR PRODUCING THE SAME, NONAQUEOUS SECONDARY BATTERY SEPARATOR AND NONAQUEOUS SECONDARY BATTERY
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/149895
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a nonaqueous secondary battery separator, which is excellent in heat resistance, shutdown characteristics, membrane resistance and handling properties. Specifically disclosed is a polyolefin microporous membrane used for a nonaqueous secondary battery separator, wherein at least one side of a polyolefin microporous membrane is covered and integrated with a heat-resistant porous layer. This polyolefin microporous membrane is characterized by having (A) a film thickness of 5-20 μm, (B) a porosity of 35-50% and (C) an air permeability per unit thickness (JIS P8117) of 10-30 second/100 cc·μm. This polyolefin microporous membrane is further characterized in that (D) assuming that the air permeability (JIS P8117) is X second/100 cc and the membrane resistance when the polyolefin microporous membrane is impregnated with an electrolyte solution is Y ohm·cm2, Y/X is within the range of from 1 x 10-3 ohm cm2/(second/100 cc) to 1 x 10-2 ohm cm2/(second/100 cc).

Inventors:
NISHIKAWA SATOSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/060281
Publication Date:
December 11, 2008
Filing Date:
June 04, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TEIJIN LTD (JP)
NISHIKAWA SATOSHI (JP)
International Classes:
B29C48/305; H01M50/414; H01M50/429; H01M50/434; H01M50/449; H01M50/457; H01M50/489
Foreign References:
JP2006111712A2006-04-27
JP2001023602A2001-01-26
JP2002069221A2002-03-08
JPH11158304A1999-06-15
JP2007125821A2007-05-24
JPH11123799A1999-05-11
JP2000248093A2000-09-12
JP2000108249A2000-04-18
JP2006054127A2006-02-23
JP2000100408A2000-04-07
JP2001023600A2001-01-26
JP2001266949A2001-09-28
JP2002190291A2002-07-05
JP2003040999A2003-02-13
JP2004349146A2004-12-09
JP2002355938A2002-12-10
JP2005209570A2005-08-04
JP2006027024A2006-02-02
JP2006289657A2006-10-26
JP2006307193A2006-11-09
JP2006273987A2006-10-12
JP2001023602A2001-01-26
JP2003059477A2003-02-28
Other References:
See also references of EP 2169742A4
Attorney, Agent or Firm:
MIHARA, Hideko (2-1 Kasumigaseki 3-chom, Chiyoda-ku Tokyo 13, JP)
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Claims:
 ポリオレフィン微多孔膜の少なくとも一方の表面に耐熱性多孔質層が被覆され一体化されている非水系二次電池用セパレータに用いるポリオレフィン微多孔膜であって、
 (A)膜厚が5~20μmであり、
 (B)空孔率が35~50%であり、
 (C)単位厚み当りの透気度(JIS P8117)が10~30秒/100cc・μmであり、かつ、膜全体の透気度(JIS P8117)が400秒/100cc以下であり、
 (D)透気度(JIS P8117)をX秒/100cc、前記ポリオレフィン微多孔膜に電解液を含浸させたときの膜抵抗をYohm・cm 2 としたとき、Y/X=1×10 -3 ~1×10 -2 ohm・cm 2 /(秒/100cc)である
 ことを特徴とする非水系二次電池セパレータ用ポリオレフィン微多孔膜基材。
 MD方向およびTD方向の少なくともいずれか一方の105℃における熱収縮率が20~40%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の非水系二次電池セパレータ用ポリオレフィン微多孔膜基材。
 突刺強度が300g以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の非水系二次電池セパレータ用ポリオレフィン微多孔膜基材。
 前記ポリオレフィンはポリエチレンであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の非水系二次電池セパレータ用ポリオレフィン微多孔膜基材。
 大気圧における沸点が200℃以上の溶媒(A)および200℃未満の溶媒(B)からなる混合溶媒に、主としてポリオレフィンからなるポリオレフィン組成物を1~35重量%溶解させた溶液を調整し、当該溶液を前記ポリオレフィン組成物の融点以上かつ融点+60℃以下の温度でダイより押出し、冷却してゲル状組成物を形成し、前記ゲル状組成物から前記溶媒(B)を除去した後、延伸し、次いで前記溶媒(A)を除去し、アニールすることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の非水系二次電池セパレータ用ポリオレフィン微多孔膜基材の製造方法。
 前記ポリオレフィン組成物100重量部に対し前記溶媒(A)を50重量部以上用いることを特徴とする請求項5に記載の非水系二次電池セパレータ用ポリオレフィン微多孔膜基材の製造方法。
 前記ポリオレフィンはポリエチレンであることを特徴とする請求項5または6に記載の非水系二次電池セパレータ用ポリオレフィン微多孔膜基材の製造方法。
 前記溶媒(A)はパラフィン、パラフィン油、鉱油、ひまし油、テトラリン、エチレングリコールおよびグリセリンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項5~7のいずれかに記載の非水系二次電池セパレータ用ポリオレフィン微多孔膜基材の製造方法。
 前記溶媒(B)はデカリン、トルエン、キシレン、炭素数9~11のアルカン、ジエチルトリアミン、エチルジアミン、ジメチルスルホキシドおよびヘキサンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項5~8のいずれかに記載の非水系二次電池セパレータ用ポリオレフィン微多孔膜基材の製造方法。
 前記アニールの処理温度が100~125℃であることを特徴とする請求項5~9のいずれかに記載の非水系二次電池セパレータ用ポリオレフィン微多孔膜基材の製造方法。
 請求項1~4のいずれかに記載の非水系二次電池セパレータ用ポリオレフィン微多孔膜基材と、当該基材の少なくとも一方の表面に形成され、融点200℃以上の耐熱性樹脂よりなる耐熱性多孔質層と、を備えたことを特徴とする非水系二次電池用セパレータ。
 前記耐熱性樹脂が全芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミドおよびセルロースからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項11に記載の非水系二次電池用セパレータ。
 前記耐熱性樹脂がメタ型芳香族ポリアミドであることを特徴とする請求項12に記載の非水系二次電池用セパレータ。
 前記耐熱性多孔質層に無機フィラーが含有されていることを特徴とする請求項11~13のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
 前記無機フィラーが金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物、炭酸塩および硫酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項14に記載の非水系二次電池用セパレータ。
 前記無機フィラーがアルミナであることを特徴とする請求項15に記載の非水系二次電池用セパレータ。
 前記耐熱性多孔質層が、前記耐熱性樹脂を溶剤に溶解して塗工液を得て、この塗工液を前記ポリオレフィン微多孔膜基材の少なくとも一方の面に塗工し、これを凝固、水洗、乾燥することで前記ポリオレフィン微多孔膜基材上に一体化されたものであることを特徴とする請求項11~16のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
 前記塗工液が無機フィラーの分散されたスラリーであることを特徴とする請求項17に記載の非水系二次電池用セパレータ。
 正極と、負極と、これら電極の間に設けられたセパレータと、非水系の電解液とを備えた非水系二次電池であって、
 前記セパレータは請求項11~18のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータであることを特徴とする非水系二次電池。
 
Description:
非水系二次電池セパレータ用ポ オレフィン微多孔膜基材、その製造方法、 水系二次電池セパレータおよび非水系二次 池

 本発明は非水系二次電池セパレータ用ポ オレフィン微多孔膜基材、その製造方法、 水系二次電池セパレータおよび非水系二次 池に関するものである。

 リチウムイオン二次電池に代表される非 系二次電池は高エネルギー密度であり、携 電話やノートパソコンといった携帯用電子 器の主電源として広範に普及している。こ リチウムイオン二次電池はさらなる高エネ ギー密度化が求められているが、安全性の 保が技術的な課題となっている。

 リチウムイオン二次電池の安全性確保に いてセパレータの役割は重要であり、高強 かつシャットダウン機能を有するという観 から、現状ではポリオレフィン微多孔膜、 にポリエチレン微多孔膜が用いられている ここで、シャットダウン機能とは、電池の 度が上昇したときに微多孔膜の孔が閉塞し 電流を遮断する機能を言い、この機能によ 電池の発熱が抑制され、電池の熱暴走が防 される。

 リチウムイオン二次電池は年々高エネル ー密度化がなされており、安全性確保のた シャットダウン機能に加えて耐熱性も要求 れてきている。しかしながら、シャットダ ン機能はポリエチレンの溶融による孔の閉 をその作動原理としているので耐熱性と相 するものである。従来、ポリエチレンの分 量、結晶構造等で耐熱性を改善する提案も るが、いずれも十分な耐熱性を得るに至っ いない。また、ポリプロピレンをブレンド たり、積層したりする技術も提案されてい が、これらの系の耐熱性も十分ではないの 現状である。

 別途、耐熱性とシャットダウン機能を両 するために十分な耐熱性を有するポリマー らなる多孔質層とポリエチレン微多孔膜を 層させたセパレータが特許文献1、2などに 案されている。これらの系における耐熱性 孔質層の形態は大きく2つに大別される。そ 1つは耐熱性ポリマーからなる不織布や紙を 積層させるものであり、具体的には特許文献 1、2にその技術が開示されている。もう1つは 湿式凝固法で耐熱性ポリマーからなる多孔質 層を積層させたものであり、具体的には特許 文献3~14にその技術が開示されている。

 特許文献1はポリフェニレンサルファイド 不織布とポリエチレン微多孔膜を積層させた ものであり、特許文献2はアラミド紙とポリ チレン微多孔膜を積層させたものである。 れら不織布や紙をポリエチレン微多孔膜と 層させた系は高温において短絡を防止する 果はあるものの、耐熱性多孔質層の孔径が きいため十分にシャットダウンされた状態( パレータが高抵抗の状態)を高温において維 持することが困難である。これは、耐熱性多 孔質層の孔の中ではポリエチレン微多孔膜が 局所的にメルトダウンしているためであり、 このような観点で十分な耐熱性があるとは言 いがたい。また、不織布や紙は繊維から構成 されているので現状技術において薄膜化が困 難であり、非水系二次電池用セパレータへの 適用は困難である。

 特許文献3~14は耐熱性多孔質層をポリエチ レン微多孔膜上へ湿式凝固法により成形した 技術の開示例である。これらの技術では概ね 現状のリチウムイオン二次電池に用いられて いるポリエチレン微多孔膜を基材として用い ているが、十分な耐熱性を付与するためにポ リエチレン微多孔膜上に湿式凝固法で耐熱性 多孔質層を形成すると、シャットダウン特性 の低下(シャットダウン温度の高温シフト及 シャットダウン時の抵抗値低下)が起こった 、またはセパレータの膜抵抗の増加が顕著 なりレート特性の低下が起こったりすると う課題があった。

 このような課題が発生する要因は特許文 15に記載されているように、耐熱性多孔質 を形成するために用いる塗工液が基材の孔 入り込むことが主要な要因である。つまり 耐熱性多孔質層を形成するために用いる塗 液が基材表面側の孔に入り込むために、基 の孔の閉塞を原理とする基材のシャットダ ン機能が害され、耐熱性多孔質層との界面 おいて基材に目詰まりが発生することによ セパレータの膜抵抗の増加を引き起こして まうものと考えられる。特許文献15では塗工 液を塗工し湿式凝固法にて多孔化する前に基 材に予め溶剤を含浸させて耐熱性ポリマーに よる基材の孔の目詰まりを防止する技術が開 示されているが、この方法は煩雑であり好ま しいものではない。また、実施例を見ても良 好なシャットダウン特性が得られているとは 言いがたい。

 別途、上記のような目詰まりが起こらな ような構成が特許文献16で開示されている これは、低温収縮微多孔膜(シャットダウン 能をもつ層)と高温収縮微多孔膜(耐熱層)を 着しないで単純積層するセパレータの構成 ある。これは2種類の機能分離したセパレー タの単純積層なのでこれら2種類のセパレー には接合界面は存在しない。従って、良好 シャットダウン機能を実現することが可能 かつ抵抗を適切に下げることも可能である 考えられる。しかし、少なくとも2枚のセパ ータを電池製造時に同時にハンドリングす 必要があり、電池の製造が煩雑になるとい 課題がある。また、機能分離されているセ レータが接着していないため高温時には低 熱収縮微多孔膜はメルトダウン(破膜)して まう。高温収縮微多孔膜があり正負極の短 はその膜の強度を適切なものとすれば回避 能と考えられるが、シャットダウン状態を 持することはできないという課題がある。

特開2000-108249

特開2006-054127

特開2000-100408

特開2001-023600

特開2001-266949

特開2002-190291

特開2003-040999

特開2004-349146

特開2002-355938

特開2005-209570

特開2006-027024

特開2006-289657

特開2006-307193

特開2006-273987

特開2001-023602

特開2003-059477

 耐熱性とシャットダウンを両立したセパ ータの構成は前述のように多くの系が提案 れている。ハンドリング性を考えた場合、 質的には1枚のセパレータで相反する機能が 実現されている系が好ましく、任意に厚みを 制御するという観点ではポリオレフィン微多 孔膜上に耐熱性多孔質層を湿式凝固法にて成 形する手法が最も好ましいと考えられる。し かしながら、一様にこの系はシャットダウン 機能が低下したり、もしくは膜抵抗が高くな ったりという課題があり、実用的なものを得 ることが現状の技術レベルでは困難であった 。そこで本発明は上記課題を解決することを 目的とする。

 上述したように従来技術では現状のリチウ イオン二次電池に用いられているようなポ オレフィン微多孔膜に耐熱性多孔質層を被 するというものであり、特定の基材構成に 目した技術提案はほとんどない。そこで、 発明者は、ポリオレフィン微多孔膜に耐熱 多孔質層被覆したセパレータについて詳細 検討したところ、このセパレータでは基材 なるポリオレフィン微多孔膜の物性が極め 重要であることがわかった。そして、特定 構成のポリオレフィン微多孔膜を適用した 合に上記課題を解決できることを見出し本 明に至った。すなわち本発明の要旨は以下 通りである。
(1) ポリオレフィン微多孔膜の少なくとも一 の表面に耐熱性多孔質層が被覆され一体化 れている非水系二次電池用セパレータに用 るポリオレフィン微多孔膜であって、
 (A)膜厚が5~20μmであり、
 (B)空孔率が35~50%であり、
 (C)単位厚み当りの透気度(JIS P8117)が10~30秒/1 00cc・μmであり、かつ、膜全体の透気度(JIS P8 117)が400秒/100cc以下であり、
 (D)透気度(JIS P8117)をX秒/100cc、前記ポリオレ フィン微多孔膜に電解液を含浸させたときの 膜抵抗をYohm・cm 2 としたとき、Y/X=1×10 -3 ~1×10 -2 ohm・cm 2 /(秒/100cc)である
 ことを特徴とする非水系二次電池セパレー 用ポリオレフィン微多孔膜基材。
(2) MD方向およびTD方向の少なくともいずれか 一方の105℃における熱収縮率が20~40%の範囲で あることを特徴とする上記(1)に記載の非水系 二次電池セパレータ用ポリオレフィン微多孔 膜基材。
(3) 突刺強度が300g以上であることを特徴とす る上記(1)または(2)に記載の非水系二次電池セ パレータ用ポリオレフィン微多孔膜基材。
(4) 前記ポリオレフィンはポリエチレンであ ことを特徴とする上記(1)~(3)のいずれかに記 載の非水系二次電池セパレータ用ポリオレフ ィン微多孔膜基材。
(5) 大気圧における沸点が200℃以上の溶媒(A) よび200℃未満の溶媒(B)からなる混合溶媒に 主としてポリオレフィンからなるポリオレ ィン組成物を1~35重量%溶解させた溶液を調 し、当該溶液を前記ポリオレフィン組成物 融点以上かつ融点+60℃以下の温度でダイよ 押出し、冷却してゲル状組成物を形成し、 記ゲル状組成物から前記溶媒(B)を除去した 、延伸し、次いで前記溶媒(A)を除去し、ア ールすることを特徴とする上記1~4のいずれ に記載の非水系二次電池セパレータ用ポリ レフィン微多孔膜基材の製造方法。
(6) 前記ポリオレフィン組成物100重量部に対 前記溶媒(A)を50重量部以上用いることを特 とする上記(5)に記載の非水系二次電池セパ ータ用ポリオレフィン微多孔膜基材の製造 法。
(7) 前記ポリオレフィンはポリエチレンであ ことを特徴とする上記(5)または(6)に記載の 水系二次電池セパレータ用ポリオレフィン 多孔膜基材の製造方法。
(8) 前記溶媒(A)はパラフィン、パラフィン油 鉱油、ひまし油、テトラリン、エチレング コールおよびグリセリンからなる群より選 れる少なくとも1種であることを特徴とする 上記(5)~(7)のいずれかに記載の非水系二次電 セパレータ用ポリオレフィン微多孔膜基材 製造方法。
(9) 前記溶媒(B)はデカリン、トルエン、キシ ン、炭素数9~11のアルカン、ジエチルトリア ミン、エチルジアミン、ジメチルスルホキシ ドおよびヘキサンからなる群より選ばれる少 なくとも1種であることを特徴とする上記(5)~( 8)のいずれかに記載の非水系二次電池セパレ タ用ポリオレフィン微多孔膜基材の製造方 。
(10) 前記アニールの処理温度が100~125℃であ ことを特徴とする上記(5)~(9)のいずれかに記 の非水系二次電池セパレータ用ポリオレフ ン微多孔膜基材の製造方法。
(11) 上記(1)~(4)のいずれかに記載の非水系二 電池セパレータ用ポリオレフィン微多孔膜 材と、当該基材の少なくとも一方の表面に 成され、融点200℃以上の耐熱性樹脂よりな 耐熱性多孔質層と、を備えたことを特徴と る非水系二次電池用セパレータ。
(12) 前記耐熱性樹脂が全芳香族ポリアミド、 ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホ ン、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリ エーテルイミドおよびセルロースからなる群 より選ばれる少なくとも1種であることを特 とする上記(11)に記載の非水系二次電池用セ レータ。
(13) 前記耐熱性樹脂がメタ型芳香族ポリアミ ドであることを特徴とする上記(12)に記載の 水系二次電池用セパレータ。
(14) 前記耐熱性多孔質層に無機フィラーが含 有されていることを特徴とする上記(11)~(13)の いずれかに記載の非水系二次電池用セパレー タ。
(15) 前記無機フィラーが金属酸化物、金属窒 化物、金属炭化物、金属水酸化物、炭酸塩お よび硫酸塩からなる群より選ばれる少なくと も1種であることを特徴とする上記(14)に記載 非水系二次電池用セパレータ。
(16) 前記無機フィラーがアルミナであること を特徴とする上記(15)に記載の非水系二次電 用セパレータ。
(17) 前記耐熱性多孔質層が、前記耐熱性樹脂 を溶剤に溶解して塗工液を得て、この塗工液 を前記ポリオレフィン微多孔膜基材の少なく とも一方の面に塗工し、これを凝固、水洗、 乾燥することで前記ポリオレフィン微多孔膜 基材上に一体化されたものであることを特徴 とする上記(11)~(16)のいずれかに記載の非水系 二次電池用セパレータ。
(18) 前記塗工液が無機フィラーの分散された スラリーであることを特徴とする上記(17)に 載の非水系二次電池用セパレータ。
(19) 正極と、負極と、これら電極の間に設け られたセパレータと、非水系の電解液とを備 えた非水系二次電池であって、前記セパレー タは上記(11)~(18)のいずれかに記載の非水系二 次電池用セパレータであることを特徴とする 非水系二次電池。

 本発明のポリオレフィン微多孔膜基材の 成は、ポリオレフィン微多孔膜基材の表面 湿式凝固法にて耐熱性多孔質層を形成した 水系二次電池用セパレータにおいて、耐熱 とシャットダウン機能を維持しつつ低抵抗 するのに有効である。これは耐熱性多孔質 とポリオレフィン微多孔膜基材との界面を れらの特性が好適となるように制御できる とが主たる要因であり、このため、ポリオ フィン微多孔膜基材と耐熱性多孔質層との 面が2つ存在するようなポリオレフィン微多 孔膜基材の両面に耐熱性多孔質層を形成した 構成に特に有効である。

[非水系二次電池セパレータ用ポリオレフィ 微多孔膜基材]
 本発明の非水系二次電池セパレータ用ポリ レフィン微多孔膜基材(以下、ポリオレフィ ン微多孔膜基材と適宜称す)は、その少なく も一方の表面に耐熱性多孔質層が被覆され 体化されることで、非水系二次電池用セパ ータとして好適に用いられる。このような リオレフィン微多孔膜基材は次の構成要素(A )~(D)を備えていることを特徴とする。
  (A)膜厚が5~20μmであること。
  (B)空孔率が35~50%であること。
  (C)単位厚み当りの透気度(JIS P8117)が10~30秒 /100cc・μmであり、かつ、膜全体の透気度(JIS  P8117)が400秒/100cc以下であること。
  (D)透気度(JIS P8117)をX秒/100cc、ポリオレフ ン微多孔膜基材に電解液を含浸させたとき 膜抵抗をYohm・cm 2 としたとき、Y/X=1×10 -3 ~1×10 -2 ohm・cm 2 /(秒/100cc)であること。好ましくはY/X=3×10 -3 ~1×10 -2 ohm・cm 2 /(秒/100cc)であること。さらに好ましくはY/X=5 10 -3 ~1×10 -2 ohm・cm 2 /(秒/100cc)であること。

 上記構成要素(C)(D)における透気度Xは以下の 式1で与えられる。
  X=K(τ 2 ・L)/(ε・d)…(式1)
 ここで、Kは測定由来の比例定数であり、τ 曲路率、Lは膜厚、εは空孔率、dは平均孔径 である。また、膜抵抗Yは以下の式2で与えら る。
  Y=ρ・τ 2 ・L/ε…(式2)
 ここで、ρはセパレータに含浸させた電解 の比抵抗である。上記式1および式2よりY/Xは 以下の式3のようになる。
  Y/X=(ρ/K)・d…(式3)

 これより、Y/Xはポリオレフィン微多孔膜の 径dに比例したパラメータとなる。ここで本 発明におけるY/Xの範囲は、プロピレンカーボ ネートとエチレンカーボネートが1対1の重量 で混合された溶媒中にLiBF 4 を1M溶解させた電解液を用いて、20℃で膜抵 Yを測定したことにより得たものである。こ はポリオレフィン微多孔膜の孔径dの好適な 範囲を意味していることになる。従来の一般 的なリチウムイオン二次電池用セパレータで あるポリオレフィン微多孔膜は、このY/Xが1× 10 -2 ~1×10 -1 ohm・cm 2 /(秒/100cc)の範囲にあり、本発明のポリオレフ ィン微多孔膜基材はこれらに比べ孔径が小さ いことが特徴である。
 ここで、20℃における当該電解液の比抵抗ρ は2.66×10 2 ohm・cmであり、Kは0.0778秒/100ccである。よって 、ρ/K=3.4×10 3 ohm・cm/(秒/100cc)となる。従って、平均孔径dは 3.0~30nmと計算され、好ましくは10~30nmと計算さ れ、さらに好ましくは15~30nmと計算される。

 従来、ポリオレフィン微多孔膜基材の孔径 測定する手法は、水銀ポロシメーター法、 ームポロシメーター法等が用いられている しかし、水銀ポロシメーター法は水銀を圧 する際の変形が悪影響を及ぼしてしまうた 、微多孔膜の孔径が小さくなる程、この手 によりポリオレフィン微多孔膜基材の孔径 的確に測定することは困難である。また、 ームポロシメーター法では、任意の孔のネ キングされた最も狭い部分をその孔の孔径 してしまうため、これもポリオレフィン微 孔膜基材の孔径を的確に測定することは困 である。一方、本発明のように膜抵抗Xと透 気度Yとの比で孔径dを算定する手法であれば 測定の際にポリオレフィン微多孔膜基材の が変形することなく、かつ実際の平均的な 径dを正当に評価できるため、電池セパレー タとしての物性を的確に把握することができ る。本発明者は、このような理由からこのパ ラメータに着目し、検討した結果、Y/Xが1×10 -3 ~1×10 -2 ohm・cm 2 /(秒/100cc)の範囲にあるポリオレフィン微多孔 膜であれば、耐熱性多孔質層が被覆される非 水系二次電池用セパレータの基材として好適 であることを見出した。

 さらに、本発明のポリオレフィン微多孔膜 材の空孔率は35~50%の範囲であることが特徴 ある。ポリオレフィン微多孔膜基材の膜抵 は上記式2からも分かるように空孔率に依存 し、空孔率が大きいほど膜抵抗は小さくなる ため好ましい。ここで、従来のリチウムイオ ン二次電池用セパレータであるポリオレフィ ン微多孔膜においても、その空孔率は概ね30~ 50%の範囲に特定されているが、前述した孔径 に比例するパラメータY/Xが1×10 -2 ~1×10 -1 ohm・cm 2 /(秒/100cc)の範囲にある。この範囲においては 、空孔率が大きくなるほど孔径が大きくなる と言うように、Y/Xと空孔率の間には正の相関 がある。すなわち、例えば、空孔率が50%程度 の場合にはY/Xは1×10 -1 ohm・cm 2 /(秒/100cc)となり、空孔率30%程度の場合にはY/X は1×10 -2 ohm・cm 2 /(秒/100cc)となる。一方、本発明のようにY/Xが 1×10 -3 ~1×10 -2 ohm・cm 2 /(秒/100cc)の範囲にある場合は、空孔率35~50%の 範囲においては、Y/Xと空孔率の相関が小さい 。したがって、本発明のポリオレフィン微多 孔膜基材は、従来のリチウムイオン二次電池 用セパレータであるポリオレフィン微多孔膜 とは構成が異なることが明らかであって、耐 熱性多孔質層が被覆される非水系二次電池用 セパレータの基材として好適である。より簡 潔に述べると、本発明のポリオレフィン微多 孔膜基材は、従来のリチウムイオン二次電池 用セパレータであるポリオレフィン微多孔膜 に比べ、孔径が小さく空孔率は同等レベルを 維持していると言える。

 上記式2からも分かるように空孔率は膜抵 抗の主要な変動因子であり、リチウムイオン 二次電池のセパレータに適用することを考え ると、空孔率は35~50%の範囲が好ましい。空孔 率が35%より低くなると、セパレータの膜抵抗 が大きくなり電池の放電特性、充電特性が悪 化し好ましくない。また、空孔率が50%を超え るものは、孔径に依存するパラメータY/Xが本 発明の範囲となるようにポリオレフィン微多 孔膜を作ることが困難である。これは一般に 空孔率が高いものを得るためには孔径を大き くする必要があるためである。さらに空孔率 が50%を超えるものは引張強度や突刺強度の低 下を招き機械物性的な観点からも好ましくな い。また、良好なシャットダウン特性も得ら れなくなる。

 上記のような空孔率35~50%の範囲であっても Y/Xが1×10 -2 ohm・cm 2 /(秒/100cc)より大きくなると、すなわち孔径が 大きくなると、シャットダウン温度が高温側 にシフトしたり、シャットダウン時の抵抗値 が減少すると言った、シャットダウン特性に 好ましくない影響を与える。さらに、耐熱性 多孔質層を被覆した際、セパレータの抵抗値 の増加が顕著となり、好ましくない。これら の不具合は、孔径が大きすぎる場合、耐熱性 多孔質層がポリオレフィン微多孔膜の孔へ入 り込み、目詰まりが起こる等の要因でポリオ レフィン微多孔膜基材と耐熱性多孔質層との 界面が良好に形成されないことに起因するも のと考えられる。一方、Y/Xが1×10 -3 ohm・cm 2 /(秒/100cc)よりも小さい場合は、電解液が該ポ リオレフィン微多孔膜の孔に浸透し難いとい う不具合がある。

 本発明のポリオレフィン微多孔膜基材の 厚は5~20μmの範囲が好適であり、特に10~15μm 範囲がさらに好適である。膜厚が5μmより薄 くなると、十分な引張物性、突刺強度を得る ことが困難となり、非水系二次電池用セパレ ータ基材として適用困難である。また、膜厚 が20μmを超えると本基材を用いた非水系二次 池用セパレータが従来のセパレータである リオレフィン微多孔膜に比べ膜厚が厚くな すぎ、電池のエネルギー密度の低下を招き ましくない。

 本発明のポリオレフィン微多孔膜基材の 気度(JIS P8117)は、膜全体においては400秒/100 cc以下であり、かつ単位厚み当りで10~30秒/100c c・μmであるものが好適である。本発明のポ オレフィン微多孔膜基材の場合、膜全体に ける透気度が400秒/100ccを超えるかまたは単 厚み当りで30秒/100cc・μmを超えると、セパレ ータの膜抵抗の増加を招き、好ましい放電特 性、充電特性が得られないという不具合が生 じる。単位厚みで10秒/100cc・μmより低いこと 、本発明のポリオレフィン微多孔膜基材の うな構成の場合、実質的にあり得ない。

 本発明のポリオレフィン微多孔膜基材は 刺強度が300g以上であることが好ましい。突 刺強度が300gより低いと電池の正負極間の短 を防止するのに強度的に十分でなく、製造 留まりが上がらないなどの不具合が生じる

 本発明のポリオレフィン微多孔膜基材に いては、MD方向およびTD方向の少なくともい ずれか一方の105℃における熱収縮率が20~40%の 範囲であることが好ましい。本発明のポリオ レフィン微多孔膜基材は、耐熱性多孔質層を 被覆することを前提にした基材であるため、 一般的なリチウムイオン二次電池用セパレー タであるポリオレフィン微多孔膜のように熱 収縮率を顕著に抑制する必要がない。何故な らば、耐熱性多孔質層を被覆することで十分 に熱収縮率を抑制することが可能だからであ る。それを考慮しても、MD方向またはTD方向 熱収縮率が40%を超えると被覆したセパレー において熱収縮が課題となり好ましくない

 MD方向およびTD方向の少なくともいずれか 一方の105℃における熱収縮率が20%以上である 場合、次のような観点から好ましい。先ず、 シャットダウン特性が良くなる点が挙げられ る。耐熱性多孔質層で被覆された場合、これ に束縛されることでポリオレフィン微多孔膜 の孔の閉塞が抑制される。これがシャットダ ウン特性の高温シフトまたはシャットダウン 時の抵抗値の減少といった現象を引き起こす 要因である。一般的なリチウムイオン二次電 池セパレータのポリオレフィン微多孔膜は、 105℃における熱収縮率がMD方向およびTD方向 もに少なくとも10%以下となるように、アニ ル工程等により調整されている。このよう ポリオレフィン微多孔膜を耐熱性多孔質層 被覆されたセパレータへ適用すると、前述 たような要因でシャットダウン特性への悪 響が顕著である。本発明のように収縮率が いものを用いると、耐熱性多孔質層で被覆 れても孔閉塞が十分に起こり良好なシャッ ダウン特性が得られるため、好ましい。

 次に生産性の向上が挙げられる。アニー 工程等の熱収縮を抑制する工程は煩雑であ 生産性を低下させる要因の1つである。本発 明のポリオレフィン微多孔膜基材の場合、熱 収縮を顕著に抑制する必要はないので、アニ ール工程などを大幅に簡素化でき、従来のも のに比べ生産性の観点で有利である。

 本発明のポリオレフィン微多孔膜基材に いて適用するポリオレフィン組成物は、主 してポリオレフィンを含む組成物であれば ずれでも用いることができるが、ポリエチ ンやポリプロピレン、ポリメチルペンテン これらを組合せたもの等からなる組成物が げられる。特に、高密度ポリエチレンを含 組成物、または、高密度ポリエチレンと超 分子量ポリエチレンの混合物を含む組成物 好適である。ポリエチレンの分子量は重量 均分子量で50万~500万のものが好適であり、 量平均分子量100万以上の超高分子量ポリエ レンを少なくとも1重量%含むポリエチレン 組成物が特に好ましい。さらに、重量平均 子量100万以上の超高分子量ポリエチレンを10 ~90重量%含むポリエチレン組成物は好適であ 。また、前述した物性を逸脱しない範疇で 切に低分子量ポリオレフィンワックスやオ ゴマー、またα-ポリオレフィン等を共重合 たポリエチレン共重合体、ポリプロピレン 含有しても構わない。特に、低分子量ポリ レフィンワックスやオリゴマー、α―ポリオ レフィン共重合体等を適切にブレンドすると 、基材そのもののシャットダウン温度が顕著 に低温化するため、好ましい。

[ポリオレフィン微多孔膜基材の製造方法]
 本発明のポリオレフィン微多孔膜基材は、 気圧における沸点が200℃以上の溶媒(A)およ 200℃未満の溶媒(B)からなる混合溶媒に、主 してポリオレフィンを含むポリオレフィン 成物を1~35重量%溶解させた溶液を調整し、 記溶液をポリオレフィン組成物の融点以上 つ融点+60℃以下の温度でダイより押出し、 却してゲル状組成物を形成し、前記ゲル状 成物から溶媒(B)を除去した後、延伸し、次 で溶媒(A)を除去し、アニールすることで製 できる。

 ポリオレフィン組成物については上記で べた通りであるが、その融点は110℃~150℃で あることが好ましく、特にポリエチレン組成 物が好ましい。

 ポリオレフィン組成物と混合溶媒により リオレフィン溶液を調整する。ポリオレフ ン溶液の濃度は1~35重量%が好ましく、より ましくは10~30重量%である。ポリオレフィン 液の濃度が1重量%未満では、冷却ゲル化して 得られるゲル状組成物が溶媒で高度に膨潤さ れているため変形し易く、取り扱いに支障を きたす場合がある。一方、35重量%以上では押 出しの際の圧力が高くなるため吐出量が低く なり生産性が上げられない場合がある。また 、押出し工程での配向が進み、延伸性や均一 性が確保できなくなる場合がある。

 ここで、ポリオレフィン組成物100重量部 対し溶媒(A)を50重量部以上用いることが好 しく、さらには溶媒(A)を100重量部以上用い ことが好ましい。ポリオレフィン組成物100 量部に対して溶媒(A)が50重量部未満であると 、形成される孔が大きくなりすぎるという不 具合があり、本発明のポリオレフィン微多孔 膜基材を得ることが困難となる。

 溶媒(A)と溶媒(B)の混合比は、溶媒(A)が5~95 重量%かつ溶媒(B)が5~95重量%であり、さらには 溶媒(A)が10~60重量%かつ溶媒(B)が40~90重量%であ ることが好ましい。

 溶媒(A)は沸点200℃以上が好ましく、溶媒( B)は沸点200℃未満が好ましく、さらに溶媒(A) 溶媒(B)とのそれぞれの沸点の差としては15 以上が好ましく、さらに好ましくは25℃以上 、より好ましくは35℃以上である。溶媒(B)の 点が200℃以上であると、後述するゲル状成 物を成形した後に乾燥する工程において適 に溶媒(B)を除去することが困難となり、本 明の特徴とするような物性をもつポリオレ ィン微多孔膜基材を得ることが困難となる また、溶媒(A)の沸点が200℃未満であると、 記の乾燥工程において溶媒(A)も除去されて まい不適切である。このように、上記乾燥 程において溶媒(B)のみを適切に除去するこ が本発明ポリオレフィン微多孔膜基材を得 上で重要な点であるので、当然、溶媒(A)と 媒(B)の沸点は適切な範囲内においてある程 離れていた方が好ましい。

 また、溶媒(A)および溶媒(B)には、ポリオ フィン溶液が製造され処理される温度で溶 (A)と溶媒(B)とが混和可能であり、それによ て均質の溶液を得ることができるものを選 する。

 溶媒(A)としては、大気圧における沸点が2 00℃以上であり、かつ、該ポリオレフィン組 物を十分に溶解できるものであれば特に限 されない。以下、溶媒の大気圧における沸 を括弧内に記すが、溶媒(A)の好ましい例と ては、例えば、17個以上の炭素原子を有す パラフィン(>300℃)、パラフィン油(230~300℃ )、鉱油(~300℃)、ひまし油(200℃)、テトラリン (206℃)、エチレングリコール(>300℃)、グリ リン(290℃)等が挙げられる。中でも17個以上 の炭素原子を有するパラフィンが特に好まし い。

 溶媒(B)としては、大気圧における沸点が2 00℃未満であり、かつ、該ポリオレフィン組 物を十分に溶解できるものであれば特に限 されない。以下、溶媒の大気圧における沸 を括弧内に記すが、溶媒(B)の好ましい例と ては、例えば、トルエン(110℃)、キシレン(1 38~144℃)、9~11個の炭素原子を有するアルカン( 151~196℃)、デカリン(187~196℃)、ヘキサン(69℃) 、ジエチルトリアミン(107℃)、エチルジアミ (116℃)、ジメチルスルホキシド(189℃)等が挙 げられる。中でもデカリンが特に好ましい。

 該ポリオレフィン溶液(懸濁液)は一軸押 機、好ましくは二軸押出機で混練し、増粘 た流体をポリオレフィン組成物の融点以上 つ融点+60℃以下の温度でTダイもしくはIダイ で押し出し、チルロールまたは冷却浴に通過 させ、ゲル化温度以下に急冷してゲル化する ことが好ましい。該ポリオレフィン溶液を押 し出す温度が融点未満となると粘度が高く押 し出しが困難となったり、部分的にゲルが発 生し均一性を確保することが困難となる。ま た、該ポリオレフィン溶液の押し出し温度が 融点+60℃を超えると溶媒(B)が発泡しゲル状物 が気泡を含むという問題が生じたりするため 好ましくない。

 次いで、このゲル状成形物より溶媒(B)を 去する。脱溶媒処理は、加熱等により蒸発 せ除去する方法などが挙げられる。溶媒(B) 除去することにより、ゲル状成形物中に含 れる溶媒量がスラリー中に含まれる溶剤(B) 量に対して10~80重量%になることが好ましい

 溶媒(B)を加熱により除去するときの加熱 度は50~100℃であることが好ましく、さらに 70~90℃であることが好ましい。これより溶 (B)は概ねゲル状成形物中から除去される。

 ゲル状成形物中の溶剤(A)の量は5~95重量% あることが好ましい。5重量%未満では、延伸 成形物中に形成される微細孔の孔径が本発明 の範囲から逸脱して大きくなるため、好まし くない。一方、95重量%を越えると、延伸に伴 って多量の溶媒が滲み出してしまう等の取り 扱い上の問題が生じるため、好ましくない。

 溶媒(B)を除いた後、延伸処理を行う。延 処理は、ゲル状成形物を加熱し、通常のテ ター法、ロール法、圧延法もしくはこれら 方法の組み合わせによって所定の倍率で二 延伸する。二軸延伸は、同時または逐次の ちらであってもよい。また、縦多段延伸や3 、4段延伸することもできる。

 延伸温度は、90℃以上ポリオレフィン組 物の融点未満であることが好ましく、さら 好ましくは100~120℃である。延伸温度がポリ レフィン組成物の融点以上となる場合は、 ル状成形物が溶解するために延伸できない また、延伸温度が90℃未満の場合は、ゲル 成形物の軟化が不十分で延伸において破膜 易く高倍率の延伸が困難となる場合がある

 また、延伸倍率は、ゲル状成形物の厚さ よって異なるが、一軸方向で少なくとも2倍 以上、好ましくは4~20倍で行う。

 延伸後の微多孔膜は、抽出溶剤に浸漬し 溶媒(A)を抽出する。抽出溶剤としてはベン ン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン デカリン、テトラリンなどの炭化水素、塩 メチレン、四塩化炭素、メチレンクロダイ などの塩素化炭化水素、三フッ化エタンな のフッ化炭化水素、ジエチルエーテル、ジ キサン等のエーテル類などの易揮発性のも を用いることができる。これらの溶剤はポ オレフィン組成物の溶解に用いた溶媒に応 て適宜選択し、単独もしくは混合して用い ことができる。溶媒の抽出により、ポリオ フィン微多孔膜中の溶媒を1重量%未満にま 除去する。

 しかる後に、適切にアニール処理を行う このアニール処理によって、得られるポリ レフィン微多孔膜基材の透気度、孔径、空 率、熱収縮挙動をコントロールすることが 能となる。処理条件は、本発明のポリオレ ィン微多孔膜基材が得られるような適切な 件に設定すればよい。このような観点から 例えばポリエチレン微多孔膜基材の場合、 ニール温度は100~125℃が好適である。アニー ル温度が100℃未満であると、該ポリエチレン 微多孔膜基材が張力フリーとなったとき、常 温においても顕著に収縮する挙動が確認され ることがあり、このような場合は取り扱いが 困難となる。また、アニール温度が125℃を超 えると、熱収縮が抑制されすぎたり、空孔率 が低下したり、孔径が小さくなりすぎたり、 孔中で目詰まりが生じることで膜抵抗が顕著 に高くなるといった不具合が生じることがあ り好ましくない。

[電池用セパレータ]
 本発明の非水系二次電池用セパレータは、 述したポリオレフィン微多孔膜基材と、当 基材の少なくとも一方の表面に形成され、 点200℃以上の耐熱性樹脂よりなる耐熱性多 質層と、を備えたことを特徴とする。

 ここで、耐熱性樹脂の融点は示差走査熱 測定(DSC)や示差熱解析(DTA)といった手法によ り決定できる。なお、分解温度が融点より低 いため実質的に上記の手法において融点が認 められない樹脂も、その分解温度が200℃以上 である場合は融点が200℃以上であるとみなす ことができるので、このような樹脂も本発明 における耐熱性樹脂に含まれる。また、該耐 熱性樹脂の分子量は多孔質層を成形可能な範 疇であれば特に限定されない。

 このような耐熱性樹脂の好適な例として 、例えば全芳香族ポリアミド、ポリイミド ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリケ ン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイ ドおよびセルロースからなる群より選ばれ 少なくとも1種が挙げられるが、特に湿式凝 固法で良好な多孔質層を形成することができ る点でメタ型芳香族ポリアミドが好ましい。 さらにメタ型芳香族ポリアミドとしてはポリ メタフェニレンイソフタルアミドが好ましい 。

 さらに好ましい形態としては該耐熱性多 質層に無機フィラーが含有されているもの ある。無機フィラーを適切に添加すること 、シャットダウン特性を向上させたり、ポ オレフィン組成物の融点を超える高温領域 の熱収縮率を抑制したり、膜抵抗を低減さ たり、摩擦係数を低減させたりすることが きる。無機フィラーの材質、粒子径および 加量は求める効果によって異なるため一概 は言えないが、無機フィラーの材質として ましい例はアルミナ、ジルコニア、イット ア、セリア、マグネシア、チタニア、シリ などの金属酸化物、炭化アルミニウム、炭 チタン、炭化タングステン等の金属炭化物 窒化ホウ素、窒化アルミニウム等の金属窒 物、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの の類、水酸化アルミニウム、水酸化マグネ ウム等の金属水酸化物等が挙げられる。こ 中でも特にアルミナが好適である。

 これら無機フィラーの粒子径は平均粒子 が0.01~1.00μmの範囲が好ましい。平均粒子径 0.01μmより小さいと塗工スラリーの粘度が高 すぎたり、該耐熱性多孔質層が脆くなったり して成形することが困難となる。また、1.00μ mより大きいと塗工層の薄膜化が困難となり ましくない。平均粒子径のさらに好適な範 は0.50~1.00μmであり、平均粒子系がこの範囲 あると、前述した無機フィラーの添加効果 高いレベルで両立し引き出すことが可能と る。

 該無機フィラーの添加量は、耐熱性多孔 層中の耐熱性樹脂と無機フィラーの合計の 積に対して、50~75体積%の範囲が特に好適で る。この範囲では、前述した無機フィラー 添加効果がより高度なレベルで得られる。 なわち、高温における熱収縮を高度に抑制 、シャットダウン機能を高機能化すること 可能となり、さらに摩擦係数を低減させハ ドリング良好なセパレータにもなる。

 本発明の非水系二次電池用セパレータで 耐熱性多孔質層はポリオレフィン微多孔膜 材の少なくとも一方の表面に形成されてい ことを特徴とするが、特に好ましい形態は リオレフィン微多孔膜基材の両面に耐熱性 孔質層が形成されている形態である。ポリ レフィン微多孔膜基材の片面のみに耐熱性 孔質層を形成した場合はカールの問題から ンドリング性が課題となることがある。ポ オレフィン微多孔膜基材の両面へ耐熱性多 質層を形成した場合はハンドリング性が良 であるだけでなく、耐久性も良好となり好 しい。

 本発明の非水系二次電池用セパレータの 厚は10~25μmの範囲が好適であり、特に10~20μm 以下の範囲が好ましい。膜厚が25μmを超える エネルギー密度の観点から実用的に問題が じ、10μmより薄いと強度が不十分となり正 極の短絡を防止するというセパレータ本来 機能に支障が生じる。また、このような厚 の非水系二次電池用セパレータを得るため は、該耐熱性多孔質層の厚みは2~10μmの範囲 好ましく、特に4~8μmの範囲が好適である。 こで、ポリオレフィン微多孔膜基材の両面 耐熱性多孔質層を形成した場合は、表裏に 成された耐熱性多孔質層の合計の厚みを耐 性多孔質層の厚みとする。耐熱性多孔質層 厚みが2μmより薄いと十分な耐熱性を確保す ることが困難となり好ましくない。

 本発明の非水系二次電池用セパレータの 孔率は、30~80%の範囲が好適であり、特に50~7 0%の範囲が好ましい。空孔率が80%を超えると 分な耐熱性を確保することが困難となり好 しくない。また、30%より低くなると膜抵抗 高くなり十分な放電性を確保することがで ない。

 本発明の非水系二次電池用セパレータの透 度(JIS P8117)は450秒/100cc以下の範囲が好まし 、400秒/100cc以下が特に好ましい。透気度が4 50秒/100ccを超えると放電性に支障をきたすこ があり好ましくない。
 また、本発明のセパレータの透気度(JIS P811 7)からポリオレフィン微多孔膜基材の透気度( JIS P8117)を差し引いた値の絶対値を透気度差 称した場合、この透気度差は150秒/100cc以下 あることが好ましく、100秒/100cc以下であれ さらに好ましい。この透気度差は耐熱性多 質層の透過性といった尺度になるだけでな 、ポリオレフィン微多孔膜基材と耐熱性多 質層との界面がどの程度良好な透過性を有 ているかという尺度にもなる。この値が150 /100ccを超えると該界面が良好な透過性を有 ていない可能性が極めて高く、このような 合は該界面がイオン移動の律速となり放電 が著しく低下することもあり好ましくない

 本発明における非水系二次電池用セパレー において、膜抵抗は1~5ohm・cm 2 が好ましい。ここで膜抵抗とは、プロピレン カーボネートとエチレンカーボネートを重量 比で1:1の混合溶媒にLiBF 4 を1M溶解した電解液を用い、20℃で測定され 値である。
 セパレータの目付は、膜厚および空孔率を 記の範囲となるように調整した結果定まる のであるが、概ね5~20g/m 2 が好ましい。なお、目付けは構成材料の比重 によって大きく異なる値となり一概に定めら れるものではないため、本発明は上記の範囲 に制限されるものではない。
 セパレータの熱収縮率はMD方向、TD方向とも に1~30%が好ましく、さらに1~20%が好ましい。 こで熱収縮率とは、サンプルを張力なしで17 5℃にて熱処理したときのサンプル寸法の減 率をいう。

 前述した構成のセパレータは非水系二次 池のセパレータとして好適に用いることが 能である。一般に、非水系二次電池はいず も正極と負極とがセパレータを介して接合 れたものが電解液を含み、これが外装に封 された構成となっている。

 負極としてはリチウム金属箔、負極活物 がバインダーにより結着され集電体上に成 されたものが挙げられる。負極活物質とし はリチウムを吸蔵することができる黒鉛、 ードカーボンなどの炭素系粉末及び繊維、 チウムと合金化が可能なアルミニウム、ス 、シリコンなどが挙げられる。バインダー ポリフッ化ビニリデン、カスボキシメチル ルロースなどが挙げられる。集電体は銅箔 一般的である。

 正極は正極活物質がバインダーにより結 され集電体上に成形されたものが一般的で る。正極活物質はコバルト酸リチウム、ニ ケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、リ 酸鉄リチウムなどが挙げられる。バインダ はポリフッ化ビニリデンが一般的であり、 電体はアルミ箔が一般的である。

 電解液はリチウム塩が非水溶媒に溶解した 成となっている。リチウム塩としてはLiPF 6 、LiBF 4 、LiClO 4 などが挙げられ、現状はLiPF 6 が一般的である。非水溶媒はカーボネート系 溶媒が一般的であり、プロピレンカーボネー ト、エチレンカーボネート、ジメチルカーボ ネート、ジエチルカーボネート、エチルメチ ルカーボネート、γ―ブチロラクトンなどが 体的に挙げられ、これら単独または混合し 用いている。

 外装はステンレス製の缶、アルミ製の缶 アルミラミネートフィルムパックなどが挙 られる。また電池の形状はボタン型、円筒 、角型などいずれの系において本発明のセ レータは適用可能である。

[非水系二次電池用セパレータの製造方法]
 前述した本発明の非水系二次電池用セパレ タにおいて、該耐熱性多孔質層は、該耐熱 樹脂を溶剤に溶解し塗工液を得て、この塗 液を該ポリオレフィン微多孔膜基材の少な とも一方の面に塗工し、これを凝固、水洗 乾燥することでポリオレフィン微多孔膜上 一体化形成する。この方法で耐熱性多孔質 を形成する場合、ポリオレフィン微多孔膜 材の構成は極めて重要である。前述したよ に、本発明のポリオレフィン微多孔膜基材 高空孔率であるにも関らずその孔径は小さ 。このような基材を適用することで、ポリ レフィン微多孔膜上に耐熱性多孔質層を湿 凝固法にて被覆形成した電池用セパレータ ついての一般的な課題、すなわちシャット ウン特性およびイオン透過性の低下を大幅 改善することができる。この効果は、特に 面に耐熱性多孔質層を被覆する場合におい 顕著である。

 該塗工液には耐熱性樹脂を溶媒に溶解し ものを適用する。ここで、該溶媒は、耐熱 樹脂を良好に溶解する良溶媒と耐熱性樹脂 対して貧溶媒に相当する溶媒とを組み合わ たものが適切であり、このような溶媒を選 することでミクロ相分離構造を形成させ好 な多孔質層を形成することができる。

 該良溶媒は、N-メチルピロリドン、ジメ ルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、 メチルスルホキシドなどが挙げられる。ま 、貧溶媒として好適なものは、水、メタノ ル、エタノールといったアルコール類、ブ ンジオール、ヘキサンジオールといったジ ール類、エチレングリコール、トリプロピ ングリコール、ポリプロピレングリコール いったグリコール類が挙げられる。尚、こ ら良溶媒と貧溶媒の混合比は溶媒の組み合 せにより好適に選定される。

 該耐熱性多孔質層に無機フィラーを添加 る場合は、前記塗工溶液に無機フィラーを 散させたスラリーを適用すればよい。

 該塗工液をポリオレフィン微多孔膜基材 塗工する方法は、ナイフコーター、ダイコ ター、グラビアコーター、マイヤーバーコ ター、リバースロールコーターなどの塗工 式が好ましい。ポリオレフィン微多孔膜基 の両面に耐熱性多孔質層を形成する場合は 塗工液が凝固される前にポリオレフィン微 孔膜基材の表裏面に該塗工液を塗工した方 、生産性が高く好適である。ポリオレフィ 微多孔膜基材の両面に塗工液を塗工する方 としては、2本の対峙したマイヤーバー、リ バースロール、ダイなど間にポリオレフィン 微多孔膜基材を通し、両面同時に塗工液を塗 工する方法が好適である。

 塗工液を塗工したポリオレフィン微多孔 基材は凝固されるが、凝固の方法としては 工液に用いた溶媒と水からなる凝固液中に 漬する方法が生産性の観点から好ましい。 固浴の組成は塗工液の組成にあわせて好適 ものを選定すればよく、特に限定されるも ではないが、概ね重量比で塗工液に用いた 媒:水=20~60:80~40の範囲が好適である。

 凝固後、凝固液を除去するために水洗を い、この水を乾燥することで本発明の非水 二次電池用セパレータを得ることができる

<ポリエチレン微多孔膜基材>
 本実施例において、ポリエチレン微多孔膜 材の各種物性の測定方法は以下の通りであ 。
[膜厚]
 接触式の膜厚計(ミツトヨ社製)にて、サン ルについて20点測定し、これを平均すること で求めた。ここで、接触端子は底面が直径0.5 cmの円柱状のものを用い、接触端子に1.2kg/cm 2 の荷重が印加されるような条件で測定した。
[透気度]
 透気度(秒/100cc)はJIS P8117に従い測定した。 た、単位厚み当たりの透気度は測定された 気度(秒/100cc)を膜厚(μm)で割ることで求めた 。
[空孔率]
 ポリエチレン微多孔膜基材を10cm×10cmに切り 出し重量を測定する。重量を面積で割ること で目付(g/m 2 )を求める。目付を膜厚で割ることで、ポリ チレン微多孔膜基材の嵩密度d 1 (g/cm 3 )を求める。ポリエチレンの真密度をd 0 として、空孔率ε(%)はε=(1-d 1 /d 0 )×100より算出した。
[膜抵抗]
 サンプルを2.6cm×2.0cmのサイズに切り出した 切り出したサンプルを、非イオン性界面活 剤(花王社製;エマルゲン210P)を3重量%溶解し メタノール溶液に浸漬し、風乾した。厚さ2 0μmのアルミ箔を、2.0cm×1.4cmに切り出しリー タブを付けた。このアルミ箔を2枚用意して アルミ箔間に切り出したセパレータを、ア ミ箔が短絡しないように挟んだ。電解液に 、プロピレンカーボネートとエチレンカー ネートが1対1の重量比で混合された溶媒中 LiBF 4 を1M溶解させたものを用い、この電解液を上 セパレータに含浸させた。これをアルミラ ネートパック中に、タブがアルミパックの に出るようにして減圧封入した。このよう セルを、アルミ箔中にセパレータが1枚、2 、3枚となるようにそれぞれ作製した。この ルを20℃の恒温槽中に入れ、交流インピー ンス法で、振幅10mV、周波数100kHzにてこのセ の抵抗を測定した。測定されたセルの抵抗 を、セパレータの枚数に対してプロットし このプロットを線形近似し、傾きを求めた この傾きに、電極面積である2.0cm×1.4cmを乗 て、セパレータ1枚当たりの膜抵抗(ohm・cm 2 )を求めた。
[熱収縮率]
 ポリエチレン微多孔膜基材を18cm(MD方向)×6cm (TD方向)に切り出す。TD方向を2等分する線上 上部から2cm、17cmの箇所(点A、点B)に印をする 。また、MD方向を2等分する線上に左から1cm、 5cmの箇所(点C、点D)に印をする。これにクリ プをつけ(クリップをつける場所はMD方向の 部2cm以内の箇所)105℃に調整したオーブンの につるし、無張力下で30分間熱処理をする 2点AB間、CD間の長さを熱処理前後で測定し、 以下の式4,5から熱収縮率を求めた。
 MD方向熱収縮率={(熱処理前のABの長さ-熱処 後のABの長さ)/熱処理前のABの長さ}×100…(式4 )
 TD方向熱収縮率={(熱処理前のCDの長さ-熱処 後のCDの長さ)/熱処理前のCDの長さ}×100…(式5 )
[突刺強度]
 カトーテック社製KES-G5ハンディー圧縮試験 を用いて、針先端の曲率半径0.5mm、突刺速 2mm/secの条件で突刺試験を行い、最大突刺荷 を突刺強度とした。ここでサンプルはφ11.3m mの穴があいた金枠(試料ホルダー)にシリコン ゴム製のパッキンも一緒に挟み固定した。

[実施例1]
 ポリエチレンパウダーとしてTicona社製のGUR2 126(重量平均分子量415万、融点141℃)とGURX143( 量平均分子量56万、融点135℃)を用いた。GUR21 26とGURX143を1:9(重量比)となるようにして、ポ エチレン濃度が30重量%となるように流動パ フィン(松村石油研究所社製;スモイルP-350P; 点480℃)とデカリンの混合溶媒中に溶解させ 、ポリエチレン溶液を作製した。該ポリエチ レン溶液の組成はポリエチレン:流動パラフ ン:デカリン=30:45:25(重量比)である。このポ エチレン溶液を148℃でダイから押し出し、 浴中で冷却してゲル状テープ(ベーステープ) を作製した。該ベーステープを60℃で8分、95 で15分乾燥し、該ベーステープを縦延伸、 延伸と逐次行う2軸延伸にて延伸した。ここ 、縦延伸は5.5倍、延伸温度は90℃、横延伸 延伸倍率11.0倍、延伸温度は105℃とした。横 伸の後に125℃で熱固定を行った。次にこれ 塩化メチレン浴に浸漬し、流動パラフィン デカリンを抽出した。その後、50℃で乾燥 、120℃でアニール処理することでポリエチ ン微多孔膜を得た。得られたポリエチレン 多孔膜の物性を表1に示す。

[実施例2]
 ポリエチレンパウダーとしてTicona社製のGUR2 126(重量平均分子量415万、融点141℃)とGURX143( 量平均分子量56万、融点135℃)を用いた。GUR21 26とGURX143を3:7(重量比)となるようにして、ポ エチレン濃度が25重量%となるように流動パ フィン(松村石油研究所社製;スモイルP-350P; 点480℃)とデカリンの混合溶媒中に溶解させ 、ポリエチレン溶液を作製した。該ポリエチ レン溶液の組成はポリエチレン:流動パラフ ン:デカリン=25:37.5:37.5(重量比)である。この リエチレン溶液を148℃でダイから押し出し 水浴中で冷却してゲル状テープ(ベーステー プ)を作製した。該ベーステープを60℃で8分 95℃で15分乾燥し、該ベーステープを縦延伸 横延伸と逐次行う2軸延伸にて延伸した。こ こで、縦延伸は5.5倍、延伸温度は90℃、横延 は延伸倍率11.0倍、延伸温度は105℃とした。 横延伸の後に125℃で熱固定を行った。次にこ れを塩化メチレン浴に浸漬し、流動パラフィ ンとデカリンを抽出した。その後、50℃で乾 し、120℃でアニール処理することでポリエ レン微多孔膜を得た。得られたポリエチレ 微多孔膜の物性を表1に示す。

[実施例3]
 ポリエチレンパウダーとしてTicona社製のGUR2 126(重量平均分子量415万、融点141℃)とGURX143( 量平均分子量56万、融点135℃)を用いた。GUR21 26とGURX143を5:5(重量比)となるようにして、ポ エチレン濃度が21重量%となるように流動パ フィン(松村石油研究所社製;スモイルP-350P; 点480℃)とデカリンの混合溶媒中に溶解させ 、ポリエチレン溶液を作製した。該ポリエチ レン溶液の組成はポリエチレン:流動パラフ ン:デカリン=21:31.5:47.5(重量比)である。この リエチレン溶液を148℃でダイから押し出し 水浴中で冷却してゲル状テープ(ベーステー プ)を作製した。該ベーステープを60℃で8分 95℃で15分乾燥し、該ベーステープを縦延伸 横延伸と逐次行う2軸延伸にて延伸した。こ こで、縦延伸は5.5倍、延伸温度は90℃、横延 は延伸倍率11.0倍、延伸温度は105℃とした。 横延伸の後に125℃で熱固定を行った。次にこ れを塩化メチレン浴に浸漬し、流動パラフィ ンとデカリンを抽出した。その後、50℃で乾 し、120℃でアニール処理することでポリエ レン微多孔膜を得た。得られたポリエチレ 微多孔膜の物性を表1に示す。

[実施例4]
 ポリエチレンパウダーとしてTicona社製のGUR2 126(重量平均分子量415万、融点141℃)とGURX143( 量平均分子量56万、融点135℃)を用いた。GUR21 26とGURX143を7:3(重量比)となるようにして、ポ エチレン濃度が17重量%となるように流動パ フィン(松村石油研究所社製;スモイルP-350P; 点480℃)とデカリンの混合溶媒中に溶解させ 、ポリエチレン溶液を作製した。該ポリエチ レン溶液の組成はポリエチレン:流動パラフ ン:デカリン=17:51:32(重量比)である。このポ エチレン溶液を148℃でダイから押し出し、 浴中で冷却してゲル状テープ(ベーステープ) を作製した。該ベーステープを60℃で8分、95 で15分乾燥し、該ベーステープを縦延伸、 延伸と逐次行う2軸延伸にて延伸した。ここ 、縦延伸は5.5倍、延伸温度は90℃、横延伸 延伸倍率11.0倍、延伸温度は105℃とした。横 伸の後に125℃で熱固定を行った。次にこれ 塩化メチレン浴に浸漬し、流動パラフィン デカリンを抽出した。その後、50℃で乾燥 、120℃でアニール処理することでポリエチ ン微多孔膜を得た。得られたポリエチレン 多孔膜の物性を表1に示す。

[実施例5]
 ポリエチレンパウダーとしてTicona社製のGUR2 126(重量平均分子量415万、融点141℃)とGURX143( 量平均分子量56万、融点135℃)を用いた。GUR21 26とGURX143を3:7(重量比)となるようにして、ポ エチレン濃度が25重量%となるように流動パ フィン(松村石油研究所社製;スモイルP-350P; 点480℃)とデカリンの混合溶媒中に溶解させ 、ポリエチレン溶液を作製した。該ポリエチ レン溶液の組成はポリエチレン:流動パラフ ン:デカリン=21:31.5:47.5(重量比)である。この リエチレン溶液を148℃でダイから押し出し 水浴中で冷却してゲル状テープ(ベーステー プ)を作製した。該ベーステープを60℃で8分 95℃で15分乾燥し、該ベーステープを縦延伸 横延伸と逐次行う2軸延伸にて延伸した。こ こで、縦延伸は5.5倍、延伸温度は90℃、横延 は延伸倍率11.0倍、延伸温度は105℃とした。 横延伸の後に125℃で熱固定を行った。次にこ れを塩化メチレン浴に浸漬し、流動パラフィ ンとデカリンを抽出した。その後、50℃で乾 し、120℃でアニール処理することでポリエ レン微多孔膜を得た。得られたポリエチレ 微多孔膜の物性を表1に示す。

<非水系二次電池用セパレータ>
 本実施例において、非水系二次電池用セパ ータの各種物性の測定方法は以下の通りで る。
[塗工量]
 ポリエチレン微多孔膜基材の目付と同様の 法にて作製した非水系二次電池用セパレー の目付を測定する。ポリエチレン微多孔膜 材の目付を非水系二次電池用セパレータの 付から引いた値を塗工量とした。
[膜厚]
 ポリエチレン微多孔膜基材と同様の方法に 測定した。
[透気度]
 JIS P8117に従い測定した。
[膜抵抗]
 ポリエチレン微多孔膜基材と同様の方法に 測定した。
[熱収縮率]
 処理温度を175℃とした以外はポリエチレン 多孔膜基材と同様の方法で測定した。
[シャットダウン(SD)特性]
 まず、セパレータをφ19mmに打ち抜き、非イ ン性界面活性剤(花王社製;エマルゲン210P)の 3重量%メタノール溶液中に浸漬して風乾する そしてセパレータに電解液を含浸させSUS板( φ15.5mm)に挟んだ。電解液には、プロピレンカ ーボネートとエチレンカーボネートが1対1の 量比で混合された溶媒中に、LiBF 4 を1M溶解させたものを用いた。これを2032型コ インセルに封入した。コインセルからリード 線をとり、熱電対を付けてオーブンの中に入 れた。昇温速度1.6℃/分で昇温させ、同時に 幅10mV、1kHzの周波数の交流を印加することで セルの抵抗を測定した。セルの抵抗が10 4 ohm・cm 2 以上となったときシャットダウンが起こった と判断し、そのときの温度をシャットダウン 温度とした。また、シャットダウン特性は、 シャットダウンが起こり、200℃までセルの抵 抗が10 3 ohm・cm 2 以上を維持した場合において○と判断した。 シャットダウン(SD)が起こらない場合や、200 に到達する前にセルの抵抗が10 3 ohm・cm 2 未満となった場合は×と判断した。

[実施例6~10]
 メタ型全芳香族ポリアミドであるコーネッ ス(登録商標;帝人テクノプロダクツ社製)と 均粒子径0.6μmのアルミナ(昭和電工社製;AL-16 0SG-3)が重量比15:85となるように調整し、これ をコーネックスが5.5重量%となるようにジメ チルアセトアミド(DMAc)とトリプロピレングリ コール(TPG)が重量比50:50となっている混合溶 に混合し、塗工液を作製した。マイヤーバ を2本対峙させ、その間に塗工液適量のせた 実施例1~5で作製したポリエチレン微多孔膜 材を塗工液がのっているマイヤーバー間を 過させて、当該基材の表裏面に塗工液を塗 した。ここでマイヤーバー間のクリアラン は20μm、マイヤーバーの番手は2本とも#6を いた。これを重量比で水:DMAc:TPG=50:25:25で40℃ となっている凝固液中に浸漬し、次いで水洗 ・乾燥を行い、該ポリエチレン微多孔膜基材 の表裏面に耐熱性多孔質層を形成した。得ら れた実施例6~10に係る非水系二次電池用セパ ータの物性を表2に示す。

[実施例11~15]
 メタ型全芳香族ポリアミドであるコーネッ ス(登録商標;帝人テクノプロダクツ社製)が6 .0重量%となるようにジメチルアセトアミド(DM Ac)とトリプロピレングリコール(TPG)が重量比6 0:40となっている混合溶媒に混合し塗工液を 製した。マイヤーバーを2本対峙させ、その に塗工液適量のせた。実施例1~5で作製した リエチレン微多孔膜を塗工液がのっている イヤーバー間を通過させてポリエチレン微 孔膜の表裏面に塗工液を塗工した。ここで イヤーバー間のクリアランスは20μm、マイ ーバーの番手は2本とも#6を用いた。これを 量比で水:DMAc:TPG=50:30:20で40℃となっている凝 固液中に浸漬し、次いで水洗・乾燥を行い、 該ポリエチレン微多孔膜の表裏面に耐熱性多 孔質層を形成した。得られた実施例11~15に係 非水系二次電池用セパレータの物性を表2に 示す。

[比較例1~4]
 比較基材として表1に示すリチウムイオン二 次電池セパレータ用ポリエチレン微多孔膜A( 化成ケミカルズ社製;品番SV781)、B(東燃化学 製;品番E16MMS)、C(東燃化学社製;品番F12BMS)、D (旭化成ケミカルズ社製;品番NR312)を用いた。 れらの比較基材A~Dの物性は表1に示した通り である。比較基材A~Dの表裏面に実施例6~10と 様の方法で耐熱性多孔質層を形成した。た し、比較基材A及びBについてはマイヤーバー 間のクリアランスを30μmとした。得られた比 例1~4に係る非水系二次電池用セパレータの 性を表2に示す。

[比較例5~8]
 表1に示した物性を有する比較基材A~Dの表裏 面に実施例11~15と同様の方法で耐熱性多孔質 を形成した。ただし、比較基材A及びBにつ てはマイヤーバー間のクリアランスを30μmと した。得られた比較例5~8に係る非水系二次電 池用セパレータの物性を表2に示す。

 
 

 
 

 本発明によればシャットダウン特性に優れ 耐熱性が高く、膜抵抗が低い非水系二次電 用セパレータが得られるので、非水系二次 池の性能を向上させかつ安全性を確保する に有効である。