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Title:
POLYPROPYLENE RESIN LAMINATE FILM AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/028044
Kind Code:
A1
Abstract:
A polypropylene resin laminate film that excels in antiblocking property, exhibiting appropriate slidability, and that when reeled in roll form, minimizes wrinkling of the film roll, ensuring appropriate processability in bag making process or printing process. The polypropylene resin laminate film is one comprising a base layer composed mainly of a polypropylene resin produced according to a vapor phase technique and, superimposed on both front and back surfaces of the base layer, seal layers composed mainly of a polypropylene resin produced according to a vapor phase technique, wherein regulation is made so that the haze value, air escapeindex and dynamic friction coefficient measured in an atmosphere of 40°C satisfy given requirements.

Inventors:
KAWAI KENJI (JP)
OHGI HIROKAZU (JP)
NOSE KATSUHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/066605
Publication Date:
March 05, 2009
Filing Date:
August 28, 2007
Export Citation:
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Assignee:
TOYO BOSEKI (JP)
KAWAI KENJI (JP)
OHGI HIROKAZU (JP)
NOSE KATSUHIKO (JP)
International Classes:
B32B27/32; B29C48/08; C08J5/18
Foreign References:
JP2005297544A2005-10-27
JPH0858040A1996-03-05
JP2003237827A2003-08-27
JPS62265336A1987-11-18
JPS59124911A1984-07-19
JPS5237659Y11977-08-26
JPH08281769A1996-10-29
JPH08187763A1996-07-23
JP2007283743A2007-11-01
JP2005040995A2005-02-17
JP2003291282A2003-10-14
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Claims:
 ポリプロピレン系樹脂を主体とする基層の表裏両面にポリオレフィン系樹脂を主体とするシール層が積層されており、厚みが10μm以上70μm未満であり、かつ、ヘイズ値が0.4%以上5.0%以下であるポリプロピレン系樹脂積層フィルムであって、
 基層およびシール層を構成するポリプロピレン系樹脂が気相法によって形成されたものであり、かつ、下記式(1),(2)を満たすことを特徴とするポリプロピレン系樹脂積層フィルム。
(1)40℃の雰囲気下で測定した動摩擦係数が0.2以上1.1以下であること
(2)フィルムを2枚重ねて減圧したときにフィルム間から空気が抜け切るまでの時間である空気抜け指数が1.8秒以上10.0秒以下であること
 少なくとも基層が2軸延伸されたものであることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂積層フィルム。
 積層フィルム全層中に15mg/kg以上150mg/kg未満のAlが含まれていることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂積層フィルム。
 基層が、プロピレン-エチレン共重合体によって形成されており、そのプロピレン-エチレン共重合体におけるエチレン含有量が0.5重量%以上1.5重量%未満であることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂積層フィルム。
 積層フィルムの全層に対するシール層の厚みの比率が1/60~1/3であることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂積層フィルム。
 基層およびシール層に防曇剤が添加されていることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂積層フィルム。
 50℃の温水を入れた容器の開口部を覆わせた状態で5℃の雰囲気下で30分間放置してから室温の雰囲気下に取り出した後の露の付着面積が全体の1/4以下であることを特徴とする請求項6に記載のポリプロピレン系樹脂積層フィルム。
 刃先角度を60度に調整し刃先設定温度を390℃に調整した溶断シール機を用いて、刃先温度370℃で120袋/分のショット速度にてフィルムの溶断シール袋を作成した場合の不良率が5%以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂積層フィルム。
 140℃で1秒間、1kg/cm の圧力を加えてシール層同士を熱融着させた後に、それらの熱融着部分を180度剥離させたときの強度が、1.5N/15mm 以上6.0N/15mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂積層フィルム。
 シール層表面の濡れ張力が35mN/m以上45mN/m以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂積層フィルム。
 シール層を形成する樹脂が、メルトフローレートを1.5g/10分以上9.0g/10分に調整したもの、あるいはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂積層フィルム。
 シール層を形成するポリオレフィン系樹脂層中に、平均粒径が1.0μm以上12.0
μm未満で細孔容積が1.0ml/g以上2.0ml/g未満の無機系微粒子が添加されていることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂積層フィルム。
 防曇剤が、ポリオキシエチレンアルキルアミン型防曇剤、ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステル型防曇剤、脂肪酸グリセリンエステル型防曇剤の内の少なくとも2種以上を併用したものであることを特徴とする請求項6に記載のポリプロピレン系樹脂積層フィルム。
 積層フィルム全層中の防曇剤量が0.2重量%以上1.5重量%未満であることを特徴とする請求項6に記載のポリプロピレン系樹脂積層フィルム。
 請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂積層フィルムを製造するための製造方法であって、
 ポリプロピレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂を複数の押出機から共押出法により溶融押し出しすることにより、未延伸のポリプロピレン系樹脂積層シートを形成するフィルム化工程と、
 そのフィルム化工程で得られる未延伸のポリプロピレン系樹脂積層シートを縦方向および横方向に二軸延伸する二軸延伸工程とを含んでおり、
 下記要件(a)~(c)を満たすことを特徴とするポリプロピレン系樹脂フィルムの製造方法。
(a)前記フィルム化工程が、無機系微粒子を添加して1回造粒したプロピレン-エチレン共重合体と、無機系微粒子を添加して2回造粒したプロピレン-エチレン共重合体と、ポリプロピレン系樹脂とによってシール層を形成するものであること
(b)前記フィルム化工程が、プロピレン-エチレン共重合体によって基層を形成するものであるとともに、そのプロピレン-エチレン共重合体におけるエチレン含有量を0.5重量%以上1.5重量%未満に調整したものであること
(c)前記二軸延伸工程が、縦方向および横方向に二軸延伸した後に熱固定を行うものであるとともに、前記熱固定の温度を160℃以上170℃未満に調整したものであること
 前記フィルム化工程における造粒を100rpm以上500rpm以下の回転速度で回転させた回転体により行うことを特徴とする請求項15に記載のポリプロピレン系樹脂フィルムの製造方法。
 ポリプロピレン系樹脂を主体とする基層の表裏両面にポリオレフィン系樹脂を主体とするシール層が積層されており、厚みが10μm以上70μm未満であり、かつ、ヘイズ値が0.4%以上5.0%以下であるポリプロピレン系樹脂積層フィルムであって、
 基層およびシール層を構成するポリプロピレン系樹脂が気相法によって形成されたものであるとともに、
 第1の押出機から溶融押し出しされた基層形成用の樹脂と、第2の押出機から溶融押し出しされたシール層形成用の樹脂とをTダイ内において積層させることによって、基層とその基層より幅の狭いシール層とを積層した未延伸の積層樹脂シートを作製した後に、その作製された未延伸の樹脂積層シートを二軸延伸することによって形成されたものであり、
 下記式(1),(2)を満たすことを特徴とするポリプロピレン系樹脂積層フィルム。(1)40℃の雰囲気下で測定した動摩擦係数が0.2以上1.1以下であること
(2)フィルムを2枚重ねて減圧したときにフィルム間から空気が抜け切るまでの時間である空気抜け指数が1.8秒以上10.0秒以下であること
 前記Tダイとして、シール層形成用の樹脂の通過部分の左右両端縁にディスタンスピースを組み込んだTダイを利用したことを特徴とする請求項17に記載のポリプロピレン系
樹脂積層フィルム。
Description:
ポリプロピレン系樹脂積層フィ ム、およびその製造方法

 本発明は、包装用のフィルムに関するも であり、特に、防曇性を有し、かつ、滑り 、耐ブロッキング性および透明性が良好で り、野菜、根菜、果実、草花、花木、きの 類、魚、肉等の高い鮮度が要求される植物 たは動物類からなる生鮮品(以下、これらを 生鮮品と称する)を包装するのに適したフィ ムに関するものである。

 ポリオレフィン系樹脂からなるフィルム 、食品をはじめとする種々の物品の包装用 材として広く使用されている。特に、ポリ ロピレンのフィルムは、機械的な特性、透 性、光沢等の光学的性質、ガスバリア性、 臭性等の食品衛生性等が優れていることか 、食品包装用の分野を中心に広く用いられ いる。しかしながらポリプロピレン系樹脂 ィルムは、耐ブロッキング性に劣り、フィ ムを重ねるとフィルムが互いに密着する現 (いわゆるブロッキング現象)を起こし易く 包装等の作業性を著しく低下させることが る、という欠点を有している。

 それゆえ、ポリプロピレン系樹脂フィル のブロッキングを防止する方法として、フ ルム中にいわゆるアンチブロッキング剤と て、二酸化珪素に代表される無機系の微粉 、あるいは架橋高分子等の有機系の微粒子 配合する方法や、脂肪酸アマイド等の滑り を併わせて配合する方法が考案されている

 また、高い防曇性を備えたポリプロピレ 系樹脂フィルムを製袋加工する際に、ポリ ロピレン系樹脂を主体とした基層の表面に ポリオレフィン系樹脂を主体としたシール を積層する方法が用いられている。また、 のようにプロピレン系樹脂からなる基層上 ポリオレフィン系樹脂からなるシール層を 層する場合には、加工された袋が十分な強 を発現するように、低融点のポリオレフィ 系樹脂をシール層形成用の樹脂として用い ことが多く、そのように低融点のポリオレ ィン系樹脂を用いることが、フィルムの滑 やブロッキング性を一層悪化させる要因と っていた。そのような不具合を解消する方 としては、シール層形成用の樹脂中に、所 の粒径の有機ポリマー微粒子と無機系微粒 等の不活性微粒子とを添加する方法が提案 れている(特許文献1)。

特開2003-237827号公報

 一方、ポリプロピレン樹脂は、従来、い ゆる溶媒法が利用され、三塩化チタン-有機 アルミニウム化合物等の活性のあまり高くな い触媒の存在下にプロピレンを重合すること によって得られていたが、ポリオレフィンの 重合触媒の改良が進められて、いくつかの高 活性触媒が開発され、その結果、いわゆる気 相法を利用して、より安価で効率的にポリプ ロピレン樹脂を得ることができるようになっ た。ところが、上記した気相法により高活性 触媒を使用して得られるポリプロピレン樹脂 は、平均粒子径が大きく、粒径分布が狭く、 微粉含有量が少ないものであることに起因し て、特許文献1のようなポリプロピレン系樹 フィルムを製造するために無機系微粒子を 脂に添加する際に、その無機系微粒子の分 性を悪くしてしまうという不具合がある。

 それゆえ、かかる不具合を解消すべく、 定の大きさの粒子径および見かけ比重を有 る無機系微粒子を利用することにより、気 法によって得られるポリプロピレン系樹脂 における無機系微粒子の分散性を向上させ 技術が開発されている(特許文献2)。

特開平8-81591号公報

フィルムの空気抜け速さを測定する装 の断面を示す説明図である。 未延伸の樹脂積層シートの断面を示す 明図である。

 しかしながら、特許文献2の方法では、利 用できる無機系微粒子が比較的に大きな粒子 径を有し、見かけ比重が大きく、細孔容積の 小さいものに限定されてしまう。したがって 、必ずしも耐ブロッキング性に優れたポリプ ロピレン系樹脂フィルムが得られないし、良 好な滑り性を発現させることができないため 、フィルムをロール状に巻き取ったときにフ ィルムロールに皺が入り易くなってしまう。 また、そのように皺が入ったフィルムロール を用いて製袋加工したり印刷加工したりする と、不良率が高くなってしまう。

 本発明の目的は、上記従来のポリプロピ ン系樹脂フィルムにおける問題点を解消し 気相法によって安価に効率的に製造される リプロピレン系樹脂からなり、耐ブロッキ グ性に優れており、滑り性が良好であり、 ール状に巻き取ったときにフィルムロール 皺が入りにくく、製袋加工時や印刷加工時 おける加工性の良好なポリプロピレン系樹 フィルムを提供することにある。また、そ ようなポリプロピレン系樹脂フィルムを安 、かつ、効率的に製造することが可能な製 方法を提供することにある。

 かかる本発明の内、請求項1に記載された発 明の構成は、ポリプロピレン系樹脂を主体と する基層の表裏両面にポリオレフィン系樹脂 を主体とするシール層が積層されており、厚 みが10μm以上70μm未満であり、かつ、ヘイズ が0.4%以上5.0%以下であるポリプロピレン系樹 脂積層フィルムであって、基層およびシール 層を構成するポリプロピレン系樹脂が気相法 によって形成されたものであり、かつ、下記 式(1),(2)を満たすことを特徴とするポリプロ レン系樹脂積層フィルム。
(1)40℃の雰囲気下で測定した動摩擦係数(以下 、μH40という)が0.2以上1.1以下であること
(2)フィルムを2枚重ねて減圧したときにフィ ム間から空気が抜け切るまでの時間である 気抜け指数(以下、ARという)が1.8秒以上10.0秒 以下であること

 請求項2に記載された発明の構成は、請求 項1に記載された発明において、少なくとも 層が2軸延伸されたものであることにある。

 請求項3に記載された発明の構成は、請求 項1に記載された発明において、積層フィル 全層中に15mg/kg以上150mg/kg未満のAlが含まれて いることにある。

 請求項4に記載された発明の構成は、請求 項1に記載された発明において、基層が、プ ピレン-エチレン共重合体によって形成され おり、そのプロピレン-エチレン共重合体に おけるエチレン含有量が0.5重量%以上1.5重量% 満であることにある。

 請求項5に記載された発明の構成は、請求 項1に記載された発明において、積層フィル の全層に対するシール層の厚みの比率が1/60~ 1/3であることにある。

 請求項6に記載された発明の構成は、請求 項1に記載された発明において、基層および ール層に防曇剤が添加されていることにあ 。

 請求項7に記載された発明の構成は、請求 項6に記載された発明において、50℃の温水を 入れた容器の開口部を覆わせた状態で5℃の 囲気下で30分間放置してから室温の雰囲気下 に取り出した後の露の付着面積が全体の1/4以 下であることにある。

 請求項8に記載された発明の構成は、請求 項1に記載された発明において、刃先角度を60 度に調整し刃先設定温度を390℃に調整した溶 断シール機を用いて、刃先温度370℃で120袋/ のショット速度にてフィルムの溶断シール を作成した場合の不良率が5%以下であること にある。

 請求項9に記載された発明の構成は、請求項 1に記載された発明において、140℃で1秒間、1 kg/cm 2 の圧力を加えてシール層同士を熱融着させた 後に、それらの熱融着部分を180度剥離させた ときの強度が、1.5N/15mm 以上6.0N/15mm以下であ ことにある。

 請求項10に記載された発明の構成は、請 項1に記載された発明において、シール層の 面の濡れ張力が35mN/m以上45mN/m以下であるこ にある。

 請求項11に記載された発明の構成は、請 項1に記載された発明において、シール層を 成する樹脂が、メルトフローレートを1.5g/10 分以上9.0g/10分に調整したもの、あるいはそ らの混合物であることにある。

 請求項12に記載された発明の構成は、請 項1に記載された発明において、シール層を 成するポリオレフィン系樹脂層中に、平均 径が1.0μm以上12.0μm未満、細孔容積が1.0ml/g 上2.0ml/g未満の無機系微粒子が添加されてい ことにある。

 請求項13に記載された発明の構成は、請 項6に記載された発明において、防曇剤が、 リオキシエチレンアルキルアミン型防曇剤 ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸 ステル型防曇剤、脂肪酸グリセリンエステ 型防曇剤の内の少なくとも2種以上を併用し たものであることにある。

 請求項14に記載された発明の構成は、請 項6に記載された発明において、積層フィル 全層中の防曇剤量が0.2重量%以上1.5重量%未 であることにある。

 請求項15に記載された発明の構成は、請求 1に記載のポリプロピレン系樹脂積層フィル を製造するための製造方法であって、ポリ ロピレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂を 数の押出機から共押出法により溶融押し出 することにより、未延伸のポリプロピレン 樹脂積層シートを形成するフィルム化工程 、そのフィルム化工程で得られる未延伸の リプロピレン系樹脂積層シートを縦方向お び横方向に二軸延伸する二軸延伸工程とを んでおり、下記要件(a)~(c)を満たすことにあ る。
(a)前記フィルム化工程が、無機系微粒子を添 加して1回造粒したプロピレン-エチレン共重 体と、無機系微粒子を添加して2回造粒した プロピレン-エチレン共重合体とポリプロピ ン系樹脂とによってシール層を形成するも であること
(b)前記フィルム化工程が、プロピレン-エチ ン共重合体によって基層を形成するもので るとともに、そのプロピレン-エチレン共重 体におけるエチレン含有量を0.5重量%以上1.5 重量%未満に調整したものであること
(c)前記二軸延伸工程が、縦方向および横方向 に二軸延伸した後に熱固定を行うものである とともに、前記熱固定の温度を160℃以上170℃ 未満に調整したものであること

 請求項16に記載された発明の構成は、請 項15に記載された発明において、前記フィル ム化工程における造粒を100rpm以上500rpm以下の 回転速度で回転させた回転体により行うこと にある。

 請求項17に記載された発明の構成は、ポリ ロピレン系樹脂を主体とする基層の表裏両 にポリオレフィン系樹脂を主体とするシー 層が積層されており、厚みが10μm以上70μm未 であり、かつ、ヘイズ値が0.4%以上5.0%以下 あるポリプロピレン系樹脂積層フィルムで って、基層およびシール層を構成するポリ ロピレン系樹脂が気相法によって形成され ものであるとともに、第1の押出機から溶融 し出しされた基層形成用の樹脂と、第2の押 出機から溶融押し出しされたシール層形成用 の樹脂とをTダイ内において積層させること よって、基層とその基層より幅の狭いシー 層とを積層した未延伸の積層樹脂シートを 製した後に、その作製された未延伸の樹脂 層シートを二軸延伸することによって形成 れたものであり、下記式(1),(2)を満たすこと ある。
(1)40℃の雰囲気下で測定した動摩擦係数が0.2 上1.1以下であること
(2)フィルムを2枚重ねて減圧したときにフィ ム間から空気が抜け切るまでの時間である 気抜け指数が1.8秒以上10.0秒以下であること

 請求項18に記載された発明の構成は、請 項17に記載された発明において、前記Tダイ して、シール層形成用の樹脂の通過部分の 右両端縁にディスタンスピースを組み込ん Tダイを利用したことにある。

 本発明のポリプロピレン系樹脂積層フィ ムは、気相法によって得られるポリプロピ ン系樹脂を利用して製造することができる め、安価かつ効率的に製造することができ 。また、耐ブロッキング性に優れており、 り性が良好であり、ロール状に巻き取った きにフィルムロールに皺が入りにくく、製 加工時や印刷加工時における加工性が良好 ある。さらに、添加された防曇剤が表面に リードアウトし易いため防曇性に優れてお 、かつ、透明性にも優れている。したがっ 、本発明のポリプロピレン系樹脂積層フィ ムは、野菜等の生鮮品の包装用途に好適に いることができる。

 一方、本発明のポリプロピレン系樹脂積 フィルムの製造方法によれば、上記の如く 防曇性に優れ、透明性が高く、製袋加工時 印刷加工時の加工性が良好なポリプロピレ 系樹脂積層フィルムを、安価かつ効率的に 造することが可能となる。

 本発明のポリプロピレン系樹脂積層フィ ムにおいて、主として基層の形成に用いら るポリプロピレン系樹脂としては、アルミ ウム、マグネシウム、チタンおよびハロゲ を必須成分とする固体触媒成分、有機アル ニウム化合物成分および電子供与性化合物 分からなる触媒を用いて実質的に液状媒体 非存在下に気相重合で得られるポリプロピ ン系樹脂を挙げることができる。

 また、本発明のポリプロピレン系樹脂積 フィルムのシール層(ヒートシール層)を形 するのに適したポリオレフィン系樹脂とし は、基層を形成するポリプロピレン系樹脂 融点より低い融点を有するポリオレフィン 樹脂からなり、たとえば、エチレン・ブテ -1共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン -1共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体 エチレン・アクリル酸共重合体を金属イオ により架橋したアイオノマー、ポリプロピ ン、ポリブテン-1、ブテン・エチレン共重 体、プロピレン・エチレン共重合体、プロ レン・ブテン-1共重合体、プロピレン・エチ レン・ブテン-1共重合体、プロピレン・ペン ン共重合体等の1種または2種以上を用いる とができる。その中でも好ましいのは、プ ピレンとエチレンおよび炭素数4以上のα-オ フィンとのランダム共重合体であって、融 が140℃以下となるように配合したものであ が、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹 、ポリカーボネート系樹脂等を、フィルム 特性を害さない範囲で用いることもできる また、紫外線吸収剤、酸化防止剤、静電防 剤等を任意に配合することもできる。また 樹脂の重合方法としては、経済性を考慮し 、基層に用いる樹脂と同ように気相重合に る方法を挙げることができる。

 本発明のポリプロピレン系樹脂積層フィ ムは、シール層表面が防曇性を有すること 必要である。すなわち、本発明のポリプロ レン系樹脂積層フィルムの如く包装用途に いられるフィルムの場合には、包装体の内 の曇り現象を防止して商品価値を高めるば りでなく、曇りの進行によって形成される 滴による包装体の内容物の水腐れを防止す 上でも防曇性はきわめて重要な特性である そのようにシール層表面に防曇性を発現さ る方法としては、生鮮品に接する側のシー 層表面に、保存期間や流通期間において防 剤を表出(ブリードアウト)させる方法を好 に用いることができる。また、そのように 存期間や流通期間中にシール層表面に防曇 をブリードアウトさせるためには、フィル 製造時(原料樹脂の溶融押出し時)に、基層を 形成する樹脂、シール層を形成する樹脂の少 なくとも一方に防曇剤を配合しておく方法を 採用することができる。そのように原料樹脂 の溶融押出し時に基層形成樹脂やシール層形 成樹脂中に防曇剤を配合する方法を採用する と、フィルムの表面に防曇剤を塗布する方法 に比べて寒暖の気温変化を伴うような流通期 間において安定的に防曇性を持続発揮するこ とができるので好ましい。

 また、原料樹脂の溶融押出し時に基層形 樹脂やシール層形成樹脂中に防曇剤を配合 る方法を採用する場合には、基層形成樹脂 よびシール層形成樹脂の両方に防曇剤を配 すると、防曇剤のスムーズなブリードアウ が長期間に亘って持続されるので好ましい なお、基層形成樹脂のみに防曇剤を配合し 場合であっても、基層形成樹脂中の防曇剤 保存期間や流通期間中にシール層を介して ール層表面に順次ブリードアウトするため 次第にシール層表面が防曇性を有するよう なる。加えて、流通過程で長期的に優れた 曇性を接続させるためには、包装体の内容 の作用により発生した曇りを防止すること よって表面の防曇剤が流されても、内部の 曇剤が即効的かつ持続的に次々とシール層 面にブリードアウトして、シール層表面が 曇性を有する状態になることが必要である したがって、本発明における防曇特性の設 に当たっては、表面防曇剤の拭き取り後の 発現性を考慮することが好ましい。

 本発明において使用する防曇剤としては ポリオキシエチレンアルキルアミン型、ポ オキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エス ル型、脂肪酸グリセリンエステル型を併用 ることが好ましく、ポリオキシエチレンア キルアミン型としては、ポリオキシエチレ ラウリルアミン、ポリオキシエチレン牛脂 ミン、ポリオキシエチレンステアリルアミ 、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポ オキシエチレン牛脂プロピレンジアミン、 リオキシエチレンステアリルプロピレンジ ミン、ポリオキシエチレンN-シクロヘキシ アミン、ポリオキシエチレンメタキシレン アミンを例示することができる。また、ポ オキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エス ル型の代表例としては、上記ポリオキシエ レンアルキルアミン型の代表例と次に示す 肪酸とがエステル結合したものを挙げるこ ができる。ステアリン酸、ベヘニン酸、ラ リン酸、オレイン酸、パルルミチン酸、椰 脂肪酸、牛脂脂肪酸、菜種脂肪酸、ヒマシ 肪酸、ミリスチル酸。さらに、脂肪酸グリ リンエステル型としては、ミリスチン酸モ グリセライド、モノステアリン酸モノグリ ライド、モノイソステアリン酸モノグリセ イド、モノオレイン酸モノグリセライド、 ノオリーブ油モノグリセライド、ジオレイ 酸モノグリセライド、ジステアリン酸モノ リセライド、モノウンデシレン酸モノグリ ライド等を挙げることができる。

 また、上記3種類の防曇剤に加え、その他 の防曇剤を添加しても良く、そのような防曇 剤としては、モノステアリン酸ジグリセライ ド、モノイソステアリン酸ジグリセライド、 モノオレイン酸ジグリセライド、ジオレイン 酸ジグリセライド、トリイソステアリン酸ジ グリセライドらに代表されるポリグリセリン 脂肪酸エステル型等を挙げることができる。

 本発明において防曇性を発揮するのに好 しい防曇剤量としては、フィルムの内部お び外面を併せて、0.2から1.5重量%の範囲で防 曇剤が存在することが好ましく、0.3から1.2重 量%であるとより好ましく、0.5から1.0重量%の 囲であるとさらに好ましい。防曇剤の量が0 .2重量%未満であると、十分な防曇効果を発揮 しないため、好ましくなく、反対に、防曇剤 の量が1.5重量%を越えると、防曇剤が飽和状 となり、経済的に好ましくない上に、フィ ム表面に多量の防曇剤が移行してしまい、 ィルム表面が粉を噴いた状態となり、外観 低下させることとなるため、好ましくない

 一方、本発明のポリプロピレン系樹脂積 フィルムには、耐ブロッキング性を向上さ る目的や滑り性を向上させる目的で、シー 層を形成する樹脂中に無機系微粒子を添加 る必要がある。かかる無機系微粒子として 、平均粒子径が1.0~12.0μm、好ましくは1.3~4.0 m、かつ細孔容積1.0~2.0ml/g、好ましくは1.25~1.8 0ml/g のものを用いることができる。平均粒 径、細孔容積のいずれかがこの範囲を外れ と、良好な耐ブロッキング性、滑り性が得 れなくなる。すなわち、平均粒子径が1.0μm 満では、フィルムの耐ブロッキング性が不 する上に、μH40を0.2以上1.1以下の範囲内に調 整しにくくなるため好ましくなく、反対に、 12.0μmを越えると、外観、透明性が悪化する で好ましくない。また、細孔容積が2.0ml/gを えると、樹脂との混練りの際の分散が悪く り、1.0ml/g未満では、耐傷付き性が悪化する のに加え、添加重量当たりの粒子数が少なく なり、同量の粒子数量を添加しようとする際 に結果的に添加量を増やす必要があり、透明 性を悪くするため、好ましくない。無機系微 粒子としては、二酸化珪素、珪酸マグネシウ ム、珪酸アルミニウム、炭酸カルシウム、酸 化マグネシウム等を好適に用いることができ る。それらの無機系微粒子の中でも、特に、 平均粒子径が1.5~4.0μm、細孔容積が1.0~2.0ml/gの 二酸化珪素を好適に用いることができる。ま た、基層やシール層を形成する樹脂に対する 無機系微粒子の配合量は、樹脂100重量部に対 して0.05~0.60重量部とするのが好ましい。0.05 量部未満では、耐ブロッキング性が不足し 0.60重量部を越えると、分散性が悪化して、 観、透明性の悪化を引き起こすので好まし ない。無機系微粒子の配合量は、耐ブロッ ング性と分散性の点から、0.10~0.40重量部が り好ましい。平均粒子径が1.5~4.0μmで細孔容 積が1.0~2.0ml/gの二酸化珪素を、0.10~0.40重量部 配合量となるように使用するのが特に好ま い。なお、無機系微粒子の細孔容積は、BET 式に基づくJIS-K-1150の方法等の公知の方法に よって測定することができる。また、細孔容 積の測定装置としては、カンタクローム社製 オートソーブ1や島津製作所製高速比表面積/ 孔分布測定装置アサップ2400等を好適に用い ることができる。

 さらに、本発明のポリプロピレン系樹脂 層フィルムは、内容物を視認し易いように ヘイズ値が0.4%以上5.0%以下となるように調 することが必要である。ヘイズ値が5.0%を越 ると、生鮮品の包装用途に用いる場合に透 性が不十分なものとなるので好ましくない また、ヘイズ値の下限は、0.8%以上であると 好ましく、1.0%以上であると特に好ましい。 た、ヘイズ値の上限は、4.0%以下であると好 しく、3.5%以下であると特に好ましい。なお 、ヘイズ値は低いほど好ましいが、樹脂への アンチブロッキング剤の添加が不可欠である ことを考慮すると、0.4%未満のポリプロピレ 系樹脂フィルムを得ることは、実質上不可 であると考えられる。

 さらに、本発明のポリプロピレン系樹脂 層フィルムは、積層フィルム全層中に15mg/kg 以上150mg/kg未満のAlが含まれていることが好 しい。一般的にポリプロピレンの重合では 助触媒として有機アルミニウム化合物を使 しており、溶媒法等の従来の重合方法では 触媒の除去工程にて有機アルミニウム化合 は除去されるのに対して、本発明で用いる 相法重合により得られたポリプロピレン原 においては、触媒の失活が行われるのみで るので、原料内には、Alが存在することにな る。すなわち、積層フィルム中にAlが存在す ということは、気相法重合により得られた リプロピレン原料を使用して製造された積 フィルムであることを意味する。気相法重 により得られたポリプロピレン原料は、溶 法原料により得られたポリプロピレン原料 比べ、触媒、アタクチックポリプロピレン 除去工程、その除去に必要な溶媒の回収工 を必要としないので、エネルギー消費の面 おいて経済的な原料であるということがで 、その原料を使用して製造された積層フィ ムも地球環境にやさしい、経済的なフィル といえる。また、より好ましいAlの含有量 、積層フィルム全層対して20mg/kg以上80mg/kg未 満である。なお、積層フィルム全層中に含ま れるAlの量は、所定量(約1.0g)の試料を乾式分 して酸で処理した後にプラズマ発光分析に って測定する方法等によって求めることが きる。

 加えて、本発明のポリプロピレン系樹脂 層フィルムは、シール層を形成する樹脂が メルトフローレートを1.5g/10分以上9.0g/10分 調整したもの、あるいはそれらの混合物で ると好ましい。そのようにメルトフローレ トが調整された樹脂、あるいはそれらの混 物を、シール層形成用の樹脂として用いる とによって、後述する造粒によるフィルム 動摩擦係数(μH40)やARの値の調整が容易なも となる。

 また、ポリプロピレン系樹脂フィルムは 連続的に製造してミルロールとして巻き取 た場合に、物性が安定するまでに非常に時 がかかる(通常の約40℃の雰囲気にてエージ グした場合には、12時間程度、物性の不安 な状態が継続する)。それゆえ、そのように 造後のフィルムの物性が長時間に亘って安 しないことに起因して、巻き締まりが起こ たりすることにより、フィルムロールに皺 入り易い。

 本発明の発明者らは、上記の知見から、 ージング中にフィルムロールに皺が入らな ようにするためには、通常考えられている うに摩擦係数のみをコントロールするので 不十分であり、巻き取られたフィルム同士( フィルムの表面と裏面)が適度に滑り合うこ と、巻き取られたフィルム同士の間から適 な早さで空気が抜けることとが同時に満た れることが不可欠であると推測した。また 巻き取られたフィルム同士の滑り具合は、 性が安定したフィルム(エージング後のフィ ム)の40℃における動摩擦係数(すなわち、μH 40)によって見積ることができ、巻き取られた フィルム同士の間からの空気の抜け易さは、 物性が安定したフィルムのAR(空気抜け指数) 値によって見積ることができるのではない と推測した。そして、それらの推論に基づ 、エージング中における皺の入り度合いと 物性が安定したフィルムのμH40およびARの値 の関係について鋭意検討した結果、物性が 定したフィルムにおいて、μH40およびARの値 が所定の範囲内にある場合には、エージング 中にフィルムロールに皺が生じていないこと を突き止めた。しかしながら、本発明のポリ プロピレン系樹脂積層フィルムのように低い ヘイズ値(すなわち、高い透明性)が要求され フィルムにおいては、添加する滑剤の種類 量が大幅に制限されるため、滑剤の種類や を単純に調整するだけでは、μH40およびARの 値を所望する範囲にコントロールするのは不 可能であり、滑剤の樹脂中への分散度合いの コントロールが必要であると考えられた。そ れゆえ、本発明の発明者らが、滑剤の樹脂中 への分散度合いを考慮しつつ試行錯誤した結 果、後述する方法(0053段落~0064段落参照)によ 、多量の滑剤を用いることなく、所望する イズ値、所望するμH40、所望するARの値を同 時に満足するポリプロピレン系樹脂フィルム を得ることができることを見出し、本件発明 を案出するに至った。

 すなわち、本発明のポリプロピレン系樹 積層フィルムは、40℃の雰囲気下で測定し 動摩擦係数(すなわち、μH40)が0.2以上1.1以下 あることが必要である。μH40が0.2未満であ と、フィルム同士が滑りすぎ、ロール状に き取った後に、巻きずれが生じるので好ま くなく、反対に、μH40が1.1を越えると、滑り 性が悪く、ロール状に巻き取った後に、フィ ルムロールに皺が入り易くなるので好ましく ない。なお、μH40の下限は、0.3以上であると ましく、0.35以上であると特に好ましい。ま た、μH40の上限は、1.0以下であると好ましく 0.95以下であると特に好ましい。

 さらに、本発明のポリプロピレン系樹脂 層フィルムは、フィルムを2枚重ねて減圧し たときにフィルム間から空気が抜け切るまで の時間である空気抜け指数(すなわち、AR)が1. 8秒以上10.0秒以下であることが必要である。 リプロピレン系樹脂積層フィルムをロール に巻き取ってフィルムロールとする際には 一定量の空気を巻き込みながら巻き取るこ が好ましい。巻き込み量が少ないと、ブロ キングをし易くなる上に、本発明の如きポ プロピレン系樹脂積層フィルムの場合には そのガラス転移点がマイナス領域のため、 温でも寸法変化を起こすことから、重なり ったフィルム同士が追従して寸法変化を起 すため、皺が発生することとなるので好ま くない。特に、延伸フィルムでは、延伸し 際の応力が残っている方向に皺が入り易く る。一方、巻き込み空気が多すぎると、重 り合ったフィルムが個々に自由に変形する め、フィルムにタルミが発生したり、フィ ムの流れ方向に対して垂直な方向に皺が発 したりするため好ましくない。そして、AR 値が1.8秒を下回ると、巻き込み空気がすぐ なくなってしまうため、フィルム同士がブ ッキングしたり、延伸時の残留応力により 品フィルムロールに皺が発生したりするの 好ましくなく、反対に、ARの値が10.0秒を上 ると、巻き込み空気がいつまでも保持され ため、フィルムにタルミが発生したり、製 フィルムロールにおいてフィルムの流れ方 に対して垂直な方向に皺が発生したりする め好ましくない。なお、ARの値の下限は、2.0 秒以上であると好ましく、2.5秒以上であると 特に好ましい。また、ARの値の上限は、9.0秒 下であると好ましく、8.0秒以下であると特 好ましい。

 また、本発明のポリプロピレン系樹脂積層 ィルムは、140℃で1秒間、1kg/m の圧力を加えてシール層同士を熱融着させた 後に、それらの熱融着部分を180度剥離させた ときの強度(いわゆるシール強度)が、1.5N/15mm 上6.0N/15mm未満であると好ましい。シール強 が1.5N/15mm未満であると、包装用途に用いた 合に袋が簡単に開きすぎるものとなるので ましくなく、反対に、シール強度が6.0N/15mm 上であると、包装用途に用いた場合に袋が きにくいものとなるので好ましくない。な 、シール強度の下限は、2.0N/15mm以上である 好ましく、3.0N/15mm以上であると特に好まし 。また、シール強度の上限は、5.0N/15mm未満 あると好ましく、4.0N/15mm未満であると特に ましい。

 一方、本発明のポリプロピレン系樹脂積 フィルムは、印刷性および防曇剤による防 効果の発現性の観点から、シール層の表面 濡れ張力が35mN/m以上45mN/m以下に調整されて ることが必要である。また、シール層の表 の濡れ張力の下限は、37mN/m以上であると好 しく、反対に、シール層の表面の濡れ張力 上限は、43mN/m以下であるとより好ましい。 れ張力が35mN/m未満であるとフィルム表面の 曇効果の発現性が不良となるので好ましく く、反対に、濡れ張力が45mN/mを上回るとブ ッキングや壁壊が生じ易くなるので好まし ない。

 次に本発明のポリプロピレン系樹脂積層フ ルムの好ましい製造方法について説明する 未延伸フィルムの形成は、結晶性ポリプロ レンを主体とする基層形成用樹脂とポリオ フィンを主体とするシール層形成用樹脂を れぞれ別の押出し機に供給し、加熱溶融し ろ過フィルターを通した後、220~320℃の温度 でT型ダイス内で基層形成用樹脂とシール層 成用樹脂とを積層した後、スリット状のT型 イス出口より、溶融押出しし、冷却固化せ めることによって連続的な未延伸フィルム 形成するのが好ましい。このとき、ドラム の引取り機(チルロール)上に樹脂を落下さ 、チルロールに接触する面とは反対側の面 らエアーナイフによって風を当てると、未 伸シートとチルロールとの密着性が増し、 面が平滑で厚みの均一な未延伸シートが得 れるので好ましい。この際のエアーナイフ 風圧は、700~2200mmH 2 O
の範囲とするのが好ましい。風圧が低いと、 未延伸シートとチルロールとの密着が不均一 になるので好ましくなく、反対に、風圧が高 いと、未延伸シートがばたつきチルロールと の密着が不均一になるので好ましくない。ま た、上記の如く溶融押出しする際の樹脂温度 は、樹脂劣化が発生しない温度範囲であって 230~290℃程度の温度範囲であることが好まし 、270~280℃程度の温度範囲であるとより好ま い。

 また、溶融押出しする際の結晶性ポリプ ピレンを主体とする基層形成用樹脂とポリ レフィンを主体とするシール層形成用樹脂 樹脂温度は、それぞれの樹脂に明確な融点 存在する場合には、その融点より60℃以上 い温度であると好ましく、70℃以上高く熱劣 化には至らない温度であるとより好ましい。 樹脂温度がそのような温度範囲内であると、 溶融押出し時におけるポリオレフィン系樹脂 の分子量分布に依存する溶融変形の緩和時間 分布の影響を少なくすることができるため、 未延伸フィルムの厚み斑を低減することがで きる。また、チルロール温度は、30℃以下の 度に調整されていると好ましく、20℃以下 調整されているとより好ましい。溶融押出 する際の樹脂温度が低く、チルロール温度 高いと、樹脂の結晶化が進み易く、フィル 表面が肌荒れ状態となり厚みむらが発生し くなるので好ましくない。

 上記の如く未延伸フィルムを形成した後 は、その未延伸フィルムを二軸延伸するこ によって、二軸配向せしめる。延伸方法と ては、逐次二軸延伸方法、または同時二軸 伸方法を用いることができる。逐次二軸延 方法としては、未延伸フィルムを90~140℃の 度に加熱し、長手方向に3~7倍延伸した後、 却してから、テンター式延伸機に導き、130~ 175℃の温度に加熱し、幅方向に7~12倍に延伸 た後、所定の温度で熱固定(熱処理)して幅方 向に2~15%、好ましくは4~10%緩和させ、冷却し 後に巻き取る方法を採用することができる そのように延伸後に緩和しながら熱固定す ことにより、ポリオレフィン系樹脂の分子 分布に依存する溶融変形の歪みが解消され ため、フィルム全幅に亘って積層フィルム 熱収縮性等の物性が安定し、その結果、ヒ トシール時のシール部の収縮、寸法変化が なくなり、ひいてはシール部の変形がない 栄えの良い包装体を得ることが可能となる なお、好ましい熱固定方法については後述 る。

 基層に積層されるシール層の厚みの比率 、特に限定されるものではないが、通常、 層フィルムの全層(基層およびシール層)に して、1/60~1/3(基層の両面にシール層を積層 るときはその合計厚み)であることが好まし 、1/50~1/5であるとより好ましく、1/30~1/10で ると特に好ましい。シール層の厚み比率が 1/60より小さいと、製袋加工したときのシー 強度が不十分となり、包装体としての信頼 が欠けることになるので好ましくない。ま 、シール層の厚み比率が、1/3より大きいと 基層部分の割合が小さいことに起因して積 フィルム全体に所謂“腰”がなくなり、内 物を充填した後の包装体の形状が不安定で 品価値に欠けるものとなるので好ましくな 。また、積層フィルムの厚みは、特に限定 れるものではないが、高い防曇性を有する 装用フィルムとして好適な10~70μm程度の範 内において適宜定めることができる。なお 積層フィルムのより好ましい厚みの範囲は 15~60μmである。

 また、本発明のポリプロピレン系樹脂積 フィルムは、主として野菜等の生鮮食料品 包装する用途に用いられるものであるため 良好な溶断シール性を有しているのが好ま い。具体的には、刃先角度を60度に調整し 先設定温度を390℃に調整した溶断シール機 用いて、刃先温度(刃先の実温度)370℃で120袋 /分のショット速度にてフィルムの溶断シー 袋を作成する場合に、形成される溶断シー 袋1000枚当たりの不良率(溶着状態および切断 状態に不具合が生じたものの割合)が5%以下で あると好ましくい。また、不良率は、4%以下 あるとより好ましく、3%以下であると一層 ましく、2%以下であるとさらに好ましく、4% 下であると特に好ましい。

 さらに、本発明のポリプロピレン系樹脂 層フィルムは、片方または両方の表面にコ ナ放電処理や、火炎処理等の表面処理を施 ことができる。なお、好ましいコロナ放電 理の方法については後述する。

 また、本発明のポリプロピレン系樹脂積層 ィルムを得るためには、製造時に以下の(1)~ (4)の手段を講じることが必要である。かかる 手段を講じることにより、防曇性、透明性、 耐ブロッキング性、滑り性が良好で、ロール 状に巻き取ったときに皺が入りにくいフィル ムを得ることが可能となる。また、以下の(5) の手段を講じることにより、長尺なフィルム を安定して製造することが可能となる。
(1)シール層形成樹脂中の無機系微粒子の分散 条件の調整
(2)基層形成樹脂におけるエチレン含有量の調 整
(3)横延伸後の熱固定条件の調整
(4)コロナ放電処理条件の調整
(5)積層樹脂シートの形状の調整
以下、上記した各手段について順次説明する 。

(1)シール層形成樹脂中の無機系微粒子の分散 条件の調整
 本発明のポリプロピレン系樹脂積層フィル の製造においては、シール層を形成するポ オレフィン系樹脂中に無機系微粒子を添加 る際に、粉末の無機系微粒子を押出機内に 加して混練りするのではなく、予めポリオ フィン系樹脂中に高濃度の無機系微粒子を 加したマスターバッチポリマーチップを作 し、そのマスターチップを、無機系微粒子 含まないポリオレフィン系樹脂でブレンド 釈する方法を採用する必要がある。

 また、シール層を形成するマスターチッ は、ポリオレフィン系樹脂に無機系微粒子 添加してミキサーやブレンダー等で撹拌し 後、その混合物を押出機内に投入して、混 りし溶融押出ししてペレット状に形成した に、無機系微粒子を含まないポリオレフィ 系樹脂のチップと混合して利用する必要が る(以下、上記の如く、樹脂に無機系微粒子 を添加して撹拌した後に押出機内に投入して 混練りし溶融押出ししてペレット状に形成す る工程を造粒工程という)。

 さらに、シール層を形成するマスターチ プとしては、混練り工程を1回のみ施したも の(1度造粒チップ)と、混練り工程を2回繰り したもの(2度造粒チップ)とを併用する必要 ある。また、そのように1度造粒チップと2度 造粒チップとを併用する場合には、1度造粒 ップと2度造粒チップとの混合比は、1:9~9:1の 範囲内に調整するのが好ましい。さらに、1 造粒チップと2度造粒チップとを併用する際 は、1度造粒チップの形成時に添加する無機 系微粒子の粒子径と、2度造粒チップの形成 に添加する無機系微粒子の粒子径とをでき だけ近づけるのが好ましい。すなわち、1度 粒チップと2度造粒チップとを併用する際に は、1度造粒チップの形成時に添加する無機 微粒子の粒子径と、2度造粒チップの形成時 添加する無機系微粒子の粒子径との差を2.0 m未満にするのが好ましい。

 シール層の形成時に、1.5μm未満の小さい 子径の無機系微粒子が添加された2度造粒チ ップのみを使用すると、μH40が増大して滑り が悪化して、ロール状に巻き取ったときに ィルムロールに皺が発生し易くなるので好 しくない。なお、そのようにフィルムロー に皺が発生すると、フィルムロールの保管 に巻き締まり、フィルム間に巻き込まれる アーが少なくなることに起因して、防曇剤 ブリードアウトしにくくなり、フィルムの 曇性が悪化する。また、フィルムロールに が発生すると、溶断して製袋加工(ラミネー ト加工)する際に、きれいに製袋できず、形 される袋の見栄えが悪化する。また、1.5μm 上の大きな粒子径の無機系微粒子が添加さ た1度造粒チップのみを使用すると、ARの値 極端に小さくなり、上記と同様にフィルム に巻き込まれるエアーが少なくなるため、 ィルムロールの保管時に重なり合ったフィ ム同士が追従して変形することでフィルム ールに皺が発生し易くなるので好ましくな 。また、上記と同様に防曇剤がブリードア トしにくくなり、フィルムの防曇性が悪化 ることとなる。さらに、1.5μm未満の小さな 子径の無機系微粒子が添加された1度造粒チ プのみを使用すると、無機系微粒子の分散 不足により、フィルムにフィッシュアイが 成されて外観不良となるので好ましくない 加えて、シール層を形成するマスターチッ としては、無機粒子を添加した1度造粒チッ プおよび2度造粒チップの他に、溶断シール 度を悪化させない範囲内で、有機系微粒子 添加した造粒チップを併用することも可能 ある。

 また、上記の如く混練りを行う場合には 押出機のスクリュー等の回転体の回転速度 100rpm以上500rpm以下に調整するのが好ましく 250rpm以上450rpm以下に調整するとより好まし 、270rpm以上430rpm以下に調整すると特に好ま い。加えて、上記の如く2度造粒する際に、 1度目の造粒における回転体の回転速度を2度 の造粒における回転体の回転速度より高く るのが好ましい。

(2)基層形成樹脂におけるエチレン含有量の調 整
 本発明のポリプロピレン系樹脂積層フィル の製造においては、上述したように、基層 形成するポリプロピレン系樹脂として、ポ プロピレンを主成分とした各種のポリプロ レン系樹脂を用いることができるが、その でも、ポリプロピレンとエチレンとが共重 したものあるいはその変性物を利用するの 好ましい。また、そのような共重合体や変 物の中でも、エチレンの含有率が0.5重量%以 上1.5重量%未満である樹脂を用いるのが好ま い。かかる樹脂を用いることによって、基 に添加された防曇剤がブリードアウトし易 なり、ポリプロピレン系樹脂フィルムの防 性(後述する初期防曇性および防曇持続性)が 格段に向上する。

 基層を構成する共重合体中のエチレンの 有量が1.5重量%以上となると、フィルムが軟 化して滑りにくくなり、μH40が増大すること なる。また、ARの値が増大して、巻き取ら たフィルム同士の間から空気が抜けにくく り、フィルムロールに皺が発生し易くなる さらに、フィルムが熱負けし易くなり、ヘ ズ値が増大して透明性が低下する。反対に エチレンの含有量が0.5重量%未満となると、 曇剤がブリードアウトしにくくなり、良好 防曇性が得られなくなる上、融着部分に粘 がなくなったり、融着部分の形崩れが生じ りして、良好なシール強度が得られなくな たり、製袋加工時における溶断シール性が 化したりするので好ましくない。

(3)横延伸後の熱固定条件の調整
 また、本発明のポリプロピレン系樹脂積層 ィルムは、上記したように、共押出法によ 、基層上にシール層を積層させて形成した 延伸フィルムを、縦・横二軸に延伸した後 熱固定することによって製造される。かか 二軸延伸フィルムの製造において、通常の リプロピレン系樹脂フィルムの製造の場合 は、融点をやや下回る155℃以上160未満の温 条件で熱固定されるのが通常であるが、本 明のフィルムを得るためには、160℃以上170 未満という通常よりもきわめて高い温度で 固定処理を行う必要がある。そのように高 温度で熱固定処理を行うことにより、フィ ムの収縮応力が除去され、ロール状に巻き った後の経時変化が抑制され、皺の発生が わめて低いレベルに低減される。それゆえ 皺の発生による防曇剤のブリードアウト不 が起こらず、フィルムの防曇性の悪化とい 事態が発生しない。また、皺の発生に起因 た製袋加工や印刷加工における加工性の悪 という事態が発生しない。

 熱固定処理の温度が170℃を上回ると、フ ルム表面が溶融して、熱負け、肌荒れが起 り、μH40が低下して滑り易くなり、フィル 間の空気が抜け易くなる(ARが小さくなる)も の、フィルムの透明性や外観が不良となり 使用に耐えられなくなるので好ましくない 反対に、熱固定処理の温度が160℃を下回る 、徐冷となり易く、表面再結晶化時に球晶 成長して透明性悪くなる上、フィルムの収 応力が大きくなり、経時変化が大きくなり 保管時にフィルムロールに皺が入り易くな ので好ましくない。

(4)コロナ放電処理条件の調整
 本発明のポリプロピレン系樹脂積層フィル の製造においては、フィルムの表面に、所 の条件でコロナ放電処理を施すことが必要 ある。すなわち、コロナ放電処理は、公知 各種の方法を採用することができるが、フ ルムの幅方向に懸架されたアルミニウム製 ータイプ等の電極によって、二軸延伸後の ィルムの表面に施されるのが好ましく、フ ルムと電極との間隔を1~3mmに調整した上で 15~45W/m /minの処理電力で行うのが好ましい。そして コロナ放電後のフィルム表面の濡れ特性を35 mN/m以上45mN/mの範囲に調整する必要がある。

 コロナ放電処理の度合いが弱いと、内部 滑剤等の添加剤が外部へブリードアウトし くくなり、滑り性が悪くなる(μH40が増大す )上、空気が抜けにくくなる(ARの値が増大す る)。さらに、製袋加工時に、二つ折りした ィルム同士の滑りが悪化したり、製袋加工 とフィルムとの摩擦が増大したりして、見 えの良い溶断シール袋ができなくなること ある。また、内部の防曇剤も外部へブリー アウトしにくくなるため、良好な防曇性を 現させるのが困難となる。また、コロナ放 処理の度合いを強くすると、フィルム表面 荒らされて(コロナ放電処理に起因した表面 凸が形成されて)、上記したような不具合が 解消され、滑り性が良好なものとなる(μH40が 低下する)上、空気が抜け易くなる(ARの値が 少する)が、コロナ放電処理の度合いが極端 強くなると、フィルム表面のいわゆる“肌 れ”がひどくなり、その“肌荒れ”に起因 て透明性が低くなる(ヘイズが増大する)上 添加された防曇剤等のブリードアウトの速 が極端に早くなり、多量の防曇剤の存在に って経時的に透明性が悪化する事態を招来 ることもある。加えて、フィルム表面の添 剤や樹脂が劣化して、低分子量物質となる め、べたつき易くなり、ブロッキングし易 なる。この際、接合したフィルム同士を剥 す際に片側の防曇剤が剥離することによっ 防曇性が低下することもある。したがって 十分な防曇性および透明性を発現させ、良 な溶断シール性を発現させつつ、μH40および ARの値を所望する範囲内にコントロールため は、適度な強さでコロナ放電処理をするの 好ましく、そのためには、上記した態様に ってコロナ放電処理を施すことが効果的で る。

(5)積層樹脂シートの形状の調整
 本発明のポリプロピレン系樹脂積層フィル の製造においては、共押出法を利用した積 樹脂シートの形成に際し、第1の押出機から 溶融押し出しされた基層形成用の樹脂と、第 2の押出機から溶融押し出しされたシール層 成用の樹脂とをTダイ内において積層させる 要があるが、その溶融樹脂の積層の際に、T ダイ内におけるシール層形成用の樹脂の通過 部分を基層より狭くすることにより、Tダイ 出口から、基層とその基層より幅の狭いシ ル層とを積層した積層樹脂シートを形成す のが好ましい。具体的な手段としては、Tダ 内におけるシール層形成用の樹脂の通過部 の左右両端縁にディスタンスピースを組み み、Tダイの出口から、基層とその基層より 幅の狭いシール層とを積層した積層樹脂シー トを形成するのが好ましい。

 上記技術について詳細に説明すると、製 ロールを製造する際の問題点として、製膜 のフィルム端部に、本発明の積層樹脂フィ ムの如く低融点の樹脂が積層されている場 には、横延伸時のテンターのクリップにフ ルムが粘着するため、延伸後にテンターク ップからフィルムが離れる際にフィルムが けてしまう、という問題が発生する場合が る。特に、高速で製膜する際は、その問題 顕著となる傾向がある。また、フィルムを 続して生産する場合は、テンターのクリッ の噛代の部分をカットし、粉砕して、押出 の原料ポッパーへ戻す工程が実施されるこ が多いが、その際に、噛代部分に低融点の 料が積層されていると、その噛代部分が粘 して、カット、粉砕機への供給、粉砕が困 となり、当該噛代部分が塊となり、供給が きなくなる等の問題が生じる。それゆえ、 出機より供給した樹脂をTダイ内で積層する 際に、Tダイの両端にディスタンスピースを 入して、表面層に積層される低融点樹脂が クリップの噛代となるフィルムの両端部に 層されないようにすることによって、上記 題の発生を低減することができ、安定して 品ロールを連続的に製造することが可能と るのである。

 以下に、本明細書中において用いた特性 の測定方法を示す。

[40℃における動摩擦係数(μH40)]
 所定の大きさに切断したフィルム(移動フィ ルム)を、下面をフラットに形成した1500gの扁 平な直方体状の取付治具に、シール層が外側 になるように巻き付け、取付治具の下面(縦× 横=7cm×5cm)を移動フィルムで覆わせる。一方 取付治具に比べて十分に大きく切断した他 フィルム(固定フィルム)を、一部(20cmの長さ 亘る部分)が40℃に加熱された水平な基台上 、シール層が上向きになるように貼り付け 。しかる後、移動フィルムを取り付けた取 治具を固定フィルム上に載置して、移動フ ルムのシール層と固定フィルムのシール層 を接合させ、その状態で、駆動装置を利用 て取付治具を2.5m/分の速度で引っ張り、基 の加熱部分上を通過させる。そして、加熱 分の通過時の動摩擦係数をμH40として算出す る。なお、測定用のフィルムは、23℃、65RH% 雰囲気下において12時間以上に亘ってエージ ングし、測定自体も23℃、65RH%の雰囲気下に 行う。また、測定は、試料を取り替えて5回 り返し行い、その平均値をμH40として算出 る。

[空気抜け指数(エアーリーケージ:AR)]
 フィルムの空気抜け速さは、図1に示す装置 を用いて測定する。すなわち、フィルム4を リング状の台盤1上に置いた後、リング状の ィルム押さえ2をフィルム4の上から台盤1に せ、張力をかけた状態でフィルム4を固定す る。次いで、フィルム押さえ2上に別のフィ ム5を置き、そのフィルム5上にさらに別のリ ング状のフィルム押さえ8を載せ、ネジ3を用 てフィルム押さえ8,2、および台盤1を固定す る。ここで、フィルム押さえ2は、上面に円 の溝孔2a、その溝孔2aの一部とフィルム押さ 2の外側部分とが連通する孔2c、および溝孔2 aの一部とフィルム押さえ2の内側部分とが連 する細孔2dを備える。なお、2枚のフィルム4 ,5は、いずれも、ロール状に巻き取ったとき 外側になる面が上側になるように設置する

 上述の如くフィルムがセットされた後に 、細孔2cにパイプ7を介して接続された真空 ンプ6を作動させることにより、フィルム5 、溝孔2aに吸い付けられて、張力が加わった 状態となる。さらに、フィルム4およびフィ ム5の重なり合ったフィルム重なり部Xもまた 、フィルム押さえ2内の細孔2dを介して減圧さ れるので、フィルム4およびフィルム5はその なり合った部分X間で、外周部から密着し始 める。密着状態は、フィルム重なり部Xの上 から干渉縞を観察することによって把握し る。そして、フィルム重なり部Xの外周に干 縞が生じてから、フィルム重なり部Xの全面 に干渉縞が拡がり、干渉縞の動きが止まるま での時間(秒)を測定し、この時間(秒)を「空 抜け指数」とする。なお、測定は、2枚のフ ルム試料を取り替えて5回繰り返し行い、そ の平均値をAR値として算出する。

[ヘイズ値]
 得られた二軸配向フィルムを所定の大きさ 切断し、JIS K7136に準拠し、ヘ
イズメータ(日本電色工業株式会社製、300A)を 用いて測定する。なお、測定は試料を取り替 えて5回繰り返し行い、その平均値を求める

[初期防曇性]
 次の順序でフィルムの防曇性を測定する。
(1)500mLの上部開口容器に50℃の温水を300mL入れ る。
(2)フィルムの防曇性測定面を内側にしてフィ ルムで容器開口部を密閉する。
(3)5℃の冷室中に放置した後に、室温(約23℃) に取り出し、フィルム測定面の露付着状況 下記の6段階で評価する。なお、測定は、フ ィルム試料を取り替えて5回繰り返し行い、 の平均の等級を初期防曇性とする(たとえば 5回測定したときの各等級が、6,6,5,4,4の場合 には、5級とする)。
評価6級:全面露なし(付着面積=0)
評価5級:若干の露付着(付着面積1/5まで)
評価4級:多少の露付着(付着面積1/4まで)
評価3級:約1/2の露付着(付着面積2/4まで)
評価2級:ほとんど露付着(付着面積3/4まで)
評価1級:全面露付着(付着面積3/4以上)

[防曇持続性]
 次の順序でフィルムの防曇性を測定する。
(1)500mLの上部開口容器に50℃の温水を300mL入れ る。
(2)フィルムの防曇性測定面を内側にしてフィ ルムで容器開口部を密閉する。
(3)5℃の冷室中に放置する。
(4)5℃の冷室に放置12時間後、30℃の環境に移 、12時間放置する。
(5)(4)の操作を2日間に亘って繰り返した後、 ィルム測定面の露付着状況を下記の6段階で 価する。なお、測定は、試料を取り替えて5 回繰り返し行い、その平均の等級を防曇持続 性とする(たとえば、5回測定したときの各等 が、6,6,5,4,4の場合には、5級とする)。
評価6級:全面露なし(付着面積=0)
評価5級:若干の露付着(付着面積1/5まで)
評価4級:多少の露付着(付着面積1/4まで)
評価3級:約1/2の露付着(付着面積2/4まで)
評価2級:ほとんど露付着(付着面積3/4まで)
評価1級:全面露付着(付着面積3/4以上)

[溶断シール性]
 溶断シール機(共栄印刷機械材料(株)製:PP500  サイドウェルダー)を用いて、下記の条件 てフィルムの溶断シール袋(200mm×300mm)を作 する。そして、作製された溶断シール袋1000 当たりの不良率を溶断シール性として求め 。条件:溶断刃;刃先角度60度、刃先設定温度 390℃、刃先実温度:370℃
ショット数;120袋/分

[ヒートシール強度]
 製品取り幅×長さ方向500mmのサンプルをサン プリングして、これを幅方向に3等分し、そ ぞれの中央部より、幅方向50mm×長さ方向250mm の大きさのサンプルをサンプリングし、この サンプルをシール面が合わさるように二つ折 りにして、ヒートシール温度140℃、圧力1kg/cm 、ヒートシール時間1秒の条件で、熱板シー を行い、15mm幅の試験片を作製する。この試 片の180度剥離強度を測定し、ヒートシール 度(N/15mm)とする。なお、測定は、二軸延伸 ィルム試料を取り替えて5回繰り返し行い、 の平均値を算出する。

[濡れ張力]
 JIS-K-6768法に準じて23℃65%RHの雰囲気下で測 する。なお、測定は、二軸延伸フィルム試 を取り替えて5回繰り返し行い、その平均値 算出する。

[メルトフローレイト (MFR)]
 JIS K7210にしたがって条件-14の方法で測定す る。なお、測定は、原料樹
脂試料を取り替えて5回繰り返し行い、その 均値を算出する。

[エチレン含有量]
 なお、プロピレン-エチレン共重合体中のエ チレン含有量は、高分子分析ハンドブック(19 95年、紀伊国屋書店発行)の第615~617頁に記載 れた方法により、13C-NMRスペクトル法によっ 決定する。なお、同書の256頁「(i)ランダム 重合体」の項記載の方法によってIRスペク ル法で決定することも可能である。

[無機系微粒子の平均粒子径]
 コールター・カウンターマルチサイザーで 量分布を測定し、50%径で表示したものを平 粒子径とする。なお、二軸延伸フィルムか 画像処理によって平均粒子径を求めたり、 られたフィルムを酸等で処理した後の残渣 ら平均粒子径を求めたりすることも可能で る。

[無機系微粒子の細孔容積]
 BET方式に基づくJIS-K-1150の方法によって測定 した。

[製品フィルムロールの皺]
 ロール状に巻き取られたポリプロピレン系 脂フィルムを40℃の雰囲気下で12時間に亘っ てエージングした後、そのフィルムロールを 目視して、以下の基準によって皺の有無を判 定する。
○・・皺なし
△・・皺のない部分もあるが、製品の収率が 悪い
×・・全体的に皺が発生

 以下、実施例によって本発明を詳細に説 するが、本発明は、かかる実施例の態様に ら限定されるものではなく、本発明の趣旨 逸脱しない範囲で、適宜変更することが可 である。実施例および比較例で使用した原 チップA~Gの性状、組成、造粒条件、実施例 よび比較例におけるシール層の組成等を表1 ,2に示す。

[アンチブロッキング剤マスターバッチの作 ]
 プロピレン-エチレン共重合体粉末であるRW1 40EG(住友化学社製、エチレン含有量4.0重量%、 メルトフローレート5.0g/10分)に、イルガノッ ス1010(チバ・スペシャリティ-ケミカルズ社 )を0.15重量部、イルガホス168(チバ・スペシ リティ-ケミカルズ社製)を0.15重量部、無機 微粒子としてサイリシア350(富士シリシア化 学社製、二酸化珪素粉末;平均粒子径1.8μm、 孔容積1.60ml/g)を2.0重量部配合して、トータ 重量20kgとし、115Lのスーパーミキサーにて、 羽根先端の周速度20m/secにて5分間混合した。

 次いで混合原料を、45mmφの2軸押出機(ス リュー径43mmφ L/D;19.5)を用いて、スクリュー の回転数、フィーダーの回転数を、それぞれ 300rpm、20rpmに調整した条件下で、1回のみ造粒 してペレットAを得た。また、同じ混合原料 、ペレットAと同じ条件で造粒(1回目の造粒) た後に、同じ2軸押出機を用いて、スクリュ ーの回転数、フィーダーの回転数を、それぞ れ220rpm、20rpmに調整した条件下で、再度造粒( 2回目の造粒)してペレットBを得た。一方、同 じ混合原料を、同じ2軸押出機を用いて、ス リューの回転数、フィーダーの回転数を、 れぞれ220rpm、20rpmに調整した条件下で、1回 み造粒してペレットCを得た。さらに、同じ 合原料を、ペレットCと同じ条件下で造粒(1 目の造粒)した後に、同じ2軸押出機を用い 、1回目の造粒と同じ条件下で造粒(2回目の 粒)することによってペレットDを得た。また 、混合原料の調整時において、無機系微粒子 を、それぞれ、サイリシア310P(富士シリシア 学社製、二酸化珪素粉末;平均粒子径1.4μm) サイリシア420(富士シリシア化学社製、二酸 珪素粉末;平均粒子径1.9μm細孔容積1.25ml/g)に 変更し、ペレットAと同じ条件で1回のみ造粒 ることによってペレットE,Fを得た。さらに 混合原料の調整時において、無機系微粒子 代わりに有機系微粒子(住友化学社製 CS18; 均粒子径1.8μmのポリマービーズ)を添加し、 レットAと同じ条件で1回のみ造粒すること よってペレットGを得た。なお、上記ペレッ A~Gの造粒の際には、フィルタメッシュ構成 50メッシュ/100メッシュ/50メッシュとし、第1 ~第4のシリンダ、アダプタ、ダイの温度を、 れぞれ200℃、210℃、220℃、220℃、220℃、220 に調整した(表1参照)。

[実施例1]
<シール層の作成>
 アンチブロッキング剤マスターバッチとし 、ペレットAを2.5重量%、ペレットBを12.3重量 %、ベース原料としてFSX66E8(気相法により製造 された住友化学社製のポリプロピレン系樹脂 、エチレン含有量2.5重量%、ブテン-1含有量7.0 重量%、メルトフローレート3.5g/10分)を68.7重 %、BH180EL-2(気相法により製造された住友化学 社製のポリプロピレン系樹脂、ブテン-1含有 25.0重量%、メルトフローレート3.0g/10分)を16. 0重量%、モノステアリン酸モノグリセライド 0.4重量%、エルカ酸アミドを0.1重量%を115mmφ 押出機(L/D;29)内で溶融混合してヒートシー 層とした。

<基層の作成>
 FS2011DG3(気相法により製造された住友化学社 製のポリプロピレン系樹脂、エチレン含有量 0.9重量%、メルトフローレート2.5g/10分)を97.89 量%、S131(気相法により製造された住友化学 製のポリプロピレン系樹脂、エチレン含有 5.0重量%、メルトフローレート1.7g/10分)を1.26 重量%、モノステアリン酸モノグリセライド 0.10重量%、ポリオキシエチレン(2)ステアリル アミンモノステアリン酸エステルを0.60重量% ポリオキシエチレン(2)ステアリルアミンを0 .15重量%をタンデム押出機(第1段175mmφ、L/D;17 第2段
220mmφ、L/D;20)内で溶融混合して基層とした。

<フィルムの作成>
 上記した基層形成用の樹脂およびシール層 成用の樹脂を、それぞれ、押出機内にて溶 させ、その状態のまま、基層の吐出量1980kg/ H、シール層の吐出量126kg/Hの供給量にて、260 にコントロールされた3層Tダイ(マルチマニ ールド型、リップ幅900mm、リップギャップ2. 4mm)内で積層して押し出した。その際に、ダ ス内におけるシール層形成用樹脂の通過部 の左右両端に、幅50mmのディスタンスピース 入れ、基層の左右両端にシール層が積層さ ないようにした。そのようにして押し出し 溶融樹脂を、20℃のキャスティングロール 、エアーナイフにて風速1050mmAqで吹き付け、 58.8m/分の速度で引き取り、冷却固化すること によって、積層樹脂シートを得た。なお、得 られた積層樹脂シートは、図2の如く、基層 幅よりもシール層の幅が約50mm程度狭いもの あった。得られたシートは、連続して、そ ぞれ108℃から130℃まで順番に加熱したロー にて予備過熱後、131℃に過熱したロール間 、それぞれのロール速度を65.44m/分と242.12m/ とに調整して速度差を付けることで、3.7倍 縦延伸をした後、130℃に加熱したロールに 緩和させた。そして、縦延伸されたシート 、引き続き167.5℃のオーブン内にて241.4m/分 速度で予備加熱後、155℃にて変形速度1.39m/ の速さで10.7倍に横延伸し、さらに165℃の環 境下で熱固定しながら4.5秒間で8%緩和させ、4 0℃の環境下で1.5秒間冷却することによって シール層0.8μm、基層18.4μm、シール層0.8μmの に積層されたトータル20μmの2種3層フィルム を連続的に作製した。しかる後、そのように 連続的に作製されるフィルムの表面に、フィ ルム表面の濡れ張力が39mN/mとなるようにコロ ナ放電処理を施し、コロナ放電処理後のフィ ルムを、絶対湿度 8g/kgDryAir以上となるよう コントロールした環境下で、巻き取り速度24 1.4m/分にて巻き取ることによって、幅方向6240 mm、流れ方向29000mの巻き取りフィルムロール 得た。さらに、巻き取ったフィルムロール 12時間、40℃の環境下に保管し、自然緩和を 行った後、幅方向600mm、流れ方向4000mのサイ にスリットして製品フィルムロールを70本得 た。得られた製品フィルムロールは、皺がな く、印刷、製袋等の加工が良好に実施できる ものであった。そして、得られた製品フィル ムロールを構成するフィルムの特性を上記し た方法によって評価した。評価結果を表3に す。また、得られたフィルムロールから所 量(約1.0g)のフィルム試料を切り出し、その ィルム試料を乾式分解して酸で処理した後 、プラズマ発光分析によってAl含有量を測定 したところ、Alの含有量は34mg/kgであった。

[実施例2]
 実施例1において、シール層を作成する際、 ペレットAの代わりにペレットCを使用した以 は、実施例1と同様にして製品フィルムロー ルを得た。得られた製品フィルムロールは、 実施例1と同様に皺がなく、印刷、製袋等の 工が良好に実施できるものであった。そし 、得られた製品フィルムロールを構成する ィルムの特性を実施例1と同様の方法によっ 評価した。評価結果を表3に示す。

[実施例3]
 実施例1において、シール層を作成する際、 ペレットAの代わりにペレットGを使用し、ペ ットBの一部をペレットFに置き換えた。そ 以外は、実施例1と同様にして製品フィルム ールを得た。得られた製品フィルムロール 、実施例1と同様に皺がなく、印刷、製袋等 の加工が良好に実施できるものであった。そ して、得られた製品フィルムロールを構成す るフィルムの特性を実施例1と同様の方法に って評価した。評価結果を表3に示す。

[実施例4]
 実施例1において、基層形成用の押出機の吐 出量およびシール層形成用の押出機の吐出量 をそれぞれ調整することにより、二軸延伸後 の2種3層フィルムのシール層の厚みを0.6μmに 更するとともに、基層の厚みを18.8μmに変更 した(すなわち、0.6μmのシール層、18.8μmの基 、0.6μmのシール層が順に積層されたトータ 20μmの2種3層フイルムとした)。それ以外は 実施例1と同様にして製品フィルムロールを た。得られた製品フィルムロールは、実施 1と同様に皺がなく、印刷、製袋等の加工が 良好に実施できるものであった。そして、得 られた製品フィルムロールを構成するフィル ムの特性を実施例1と同様の方法によって評 した。評価結果を表3に示す。

[実施例5]
 ヒートシール層を形成する際に、アンチブ ッキング剤マスターバッチとして、ペレッ Aを5.0重量%、ペレットBを10.0重量%、ベース 料としてFSX66E8を68.5重量%、BH180EL-2を16.0重量% 、モノステアリン酸モノグリセライドを0.4重 量%、エルカ酸アミドを0.1重量%を実施例1と同 じ115mmφの押出機内で溶融混合した。それ以 は、実施例1と同様にして製品フィルムロー を得た。得られた製品フィルムロールは、 施例1と同様に皺がなく、印刷、製袋等の加 工が良好に実施できるものであった。そして 、得られた製品フィルムロールを構成するフ ィルムの特性を実施例1と同様の方法によっ 評価した。評価結果を表3に示す。

[実施例6]
 ヒートシール層を形成する際に、アンチブ ッキング剤マスターバッチとして、ペレッ Aを1.2重量%、ペレットBを17.5重量%、ベース 料としてFSX66E8を64.8重量%、BH180EL-2を16.0重量% 、モノステアリン酸モノグリセライドを0.4重 量%、エルカ酸アミドを0.1重量%を実施例1と同 じ115mmφの押出機内で溶融混合した。それ以 は、実施例1と同様にして製品フィルムロー を得た。得られた製品フィルムロールは、 施例1と同様に皺がなく、印刷、製袋等の加 工が良好に実施できるものであった。そして 、得られた製品フィルムロールを構成するフ ィルムの特性を実施例1と同様の方法によっ 評価した。評価結果を表3に示す。

[実施例7]
 実施例1において、基層形成用の押出機の吐 出量およびシール層形成用の押出機の吐出量 をそれぞれ調整することにより、二軸延伸後 の2種3層フィルムのシール層の厚みを1.0μmに 更するとともに、基層の厚みを23.0μmに変更 した(すなわち、1.0μmのシール層、23.0μmの基 、1.0μmのシール層が順に積層されたトータ 25μmの2種3層フイルムとした)。それ以外は 実施例1と同様にして製品フィルムロールを た。得られた製品フィルムロールは、実施 1と同様に皺がなく、印刷、製袋等の加工が 良好に実施できるものであった。そして、得 られた製品フィルムロールを構成するフィル ムの特性を実施例1と同様の方法によって評 した。評価結果を表3に示す。

[実施例8]
 実施例1において、基層形成用の押出機の吐 出量およびシール層形成用の押出機の吐出量 をそれぞれ調整することにより、二軸延伸後 の2種3層フィルムのシール層の厚みを1.4μmに 更するとともに、基層の厚みを37.2μmに変更 した(すなわち、1.4μmのシール層、37.2μmの基 、1.4μmのシール層が順に積層されたトータ 40μmの2種3層フイルムとした)。それ以外は 実施例1と同様にして製品フィルムロールを た。得られた製品フィルムロールは、実施 1と同様に皺がなく、印刷、製袋等の加工が 良好に実施できるものであった。そして、得 られた製品フィルムロールを構成するフィル ムの特性を実施例1と同様の方法によって評 した。評価結果を表3に示す。

[実施例9]
 実施例1において、基層形成用の押出機の吐 出量およびシール層形成用の押出機の吐出量 をそれぞれ調整することにより、二軸延伸後 の2種3層フィルムのシール層の厚みを1.0μmに 更するとともに、基層の厚みを38.0μmに変更 した(すなわち、1.0μmのシール層、38.0μmの基 、1.0μmのシール層が順に積層されたトータ 40μmの2種3層フイルムとした)。それ以外は 実施例1と同様にして製品フィルムロールを た。得られた製品フィルムロールは、実施 1と同様に皺がなく、印刷、製袋等の加工が 良好に実施できるものであった。そして、得 られた製品フィルムロールを構成するフィル ムの特性を実施例1と同様の方法によって評 した。評価結果を表3に示す。

[実施例10]
 実施例1において、基層形成用の押出機の吐 出量およびシール層形成用の押出機の吐出量 をそれぞれ調整することにより、二軸延伸後 の2種3層フィルムのシール層の厚みを1.4μmに 更するとともに、基層の厚みを47.2μmに変更 した(すなわち、1.4μmのシール層、47.2μmの基 、1.4μmのシール層が順に積層されたトータ 50μmの2種3層フイルムとした)。それ以外は 実施例1と同様にして製品フィルムロールを た。得られた製品フィルムロールは、実施 1と同様に皺がなく、印刷、製袋等の加工が 良好に実施できるものであった。そして、得 られた製品フィルムロールを構成するフィル ムの特性を実施例1と同様の方法によって評 した。評価結果を表3に示す。

[比較例1]
 実施例1において、シール層を作成する際、 ペレットAの代わりにペレットBを用い、ペレ トBの合計配合量を14.8重量%とした。それ以 は、実施例1と同様にして製品フィルムロー ルを得た。得られた製品フィルムロールは、 皺が入り、印刷、製袋等の加工に不具合が生 じるものであった。そして、得られた製品フ ィルムロールを構成するフィルムの特性を実 施例1と同様の方法によって評価した。評価 果を表3に示す。

[比較例2]
 実施例1において、シール層を作成する際、 ペレットBの代わりにペレットAを用い、ペレ トAの合計配合量を14.8重量%とした以外は、 施例1と同様にして製品フィルムロールを得 た。得られた製品フィルムロールは、皺が入 り、印刷、製袋等の加工に不具合が生じるも のであった。そして、得られた製品フィルム ロールを構成するフィルムの特性を実施例1 同様の方法によって評価した。評価結果を 3に示す。

[比較例3]
 実施例1において、シール層を作成する際、 ペレットBの代わりにペレットEを使用した以 は、実施例1と同様にしてフィルムロールの 作製を試みた。ところが、無機系微粒子の分 散不良による異物が多数発生したため、評価 に値するフィルムサンプルを得ることができ なかった。

[比較例4]
 実施例1において、シール層を作成する際、 ペレットAの代わりに、ペレットCを用い、ペ ットBの代わりにペレットDを用いた以外は 実施例1と同様にして製品フィルムロールを た。得られた製品フィルムロールは、皺が り、印刷、製袋等の加工に不具合が生じる のであった。そして、得られた製品フィル ロールを構成するフィルムの特性を実施例1 と同様の方法によって評価した。評価結果を 表3に示す。

[比較例5]
 実施例1において、フィルムの横延伸後の熱 固定の条件を、171℃の環境下で4.5秒間8%の緩 を実施するものに変更した以外は、実施例1 と同様にして製品フィルムロールを得た。そ して、得られた製品フィルムロールを構成す るフィルムの特性を実施例1と同様の方法に って評価した。評価結果を表3に示す。

[実施例のフィルムの効果]
 表3から、実施例のフィルムは、μH40、AR、 イズ値が本発明の条件を満たしているため 防曇性、透明性が良好であり、フィルムロ ルに皺が発生せず、溶断シール性が良好で ることが分かる。これに対して、比較例1の ィルムは、μH40が大きく、本発明の条件を たしておらず、フィルムロールに皺が発生 、溶断シール性がきわめて不良であり、比 例2,4のフィルムは、ARの値が小さく、本発明 の条件を満たしておらず、フィルムロールに 皺が発生し、溶断シール性が不良であり、比 較例5のフィルムは、透明性が悪く、ヘイズ において本発明の条件を満たしておらず、 装時に内容物が鮮明に見えないものであっ 。

 本発明のポリプロピレン系樹脂積層フィ ムは、上記の如く優れた特性を有している で、生鮮品の包装用途に好適に用いること できる。

符号の説明

 1・・台盤、2,8・・フィルム押さえ、2a・ 溝孔、2c・・孔、2d・・細孔、3・・ネジ、4, 5・・フィルム、6・・真空ポンプ、7・・パイ プ、X・・フィルム重なり部。