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Patent Searching and Data


Title:
POSITIVE ELECTRODE ACTIVE MATERIAL FOR LITHIUM SECONDARY BATTERY, METHOD FOR PRODUCTION THEREOF, AND LITHIUM SECONDARY BATTERY
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/014158
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a positive electrode active material for a lithium secondary battery, which can prevent the occurrence of gelatinization during kneading with a binder resin in the production of a positive electrode material, and which has excellent coatability. Specifically disclosed is a positive electrode active material for a lithium secondary battery, which comprises a lithium composite oxide represented by the general formula (1) and a Ca atom contained in the lithium composite oxide, wherein the ratio of (a) the intensity of a CaO-derived diffraction peak appearing at 2θ = 37.4 ± 0.2° to (b) the intensity of a diffraction peak appearing at 2θ = 18.7 ± 0.2° (i.e., a (b/a) ratio) is 10 to 150 as measured by the X-ray diffraction analysis of the positive electrode active material using a Cu-Kα line as the line source. LixNi1-y-zCoyMezO2 (1) wherein Me represents a metal element having an atomic number of 11 or higher excluding Co and Ni; and x, y and z meet the requirements expressed by the following formulae: 0.98 ≤ x ≤ 1.20, 0 < y ≤ 0.5, and 0 < z ≤ 0.5, provided that y + z < 1.

Inventors:
FUKUCHI MINORU (JP)
AWANO HIDEKAZU (JP)
ANBE YUUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/063230
Publication Date:
January 29, 2009
Filing Date:
July 24, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON CHEMICAL IND (JP)
FUKUCHI MINORU (JP)
AWANO HIDEKAZU (JP)
ANBE YUUKI (JP)
International Classes:
H01M4/505; C01G53/04; H01M4/525
Domestic Patent References:
WO2004092073A12004-10-28
Foreign References:
JP2004111076A2004-04-08
JP2006310181A2006-11-09
JP2007027100A2007-02-01
JPH04106875A1992-04-08
JP2006286240A2006-10-19
JP2007128719A2007-05-24
JPH1081521A1998-03-31
JPH1081520A1998-03-31
JPH1029820A1998-02-03
JP2002201028A2002-07-16
Other References:
See also references of EP 2178138A4
MIZUSHIMA ET AL., MATERIAL RESEARCH BULLETIN, vol. 15, 1980, pages 783 - 789
Attorney, Agent or Firm:
NIPPON CHEMICAL INDUSTRIAL CO., LTD (Kameido Koto-k, Tokyo 15, JP)
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Claims:
 下記一般式(1)
(式中、MeはCo及びNi以外の原子番号11以上の金属元素を示す。xは0.98≦x≦1.20、yは0<y≦0.5、zは0<z≦0.5を示し、但しy+z<1を示す。)で表されるリチウム複合酸化物に、Ca原子を含有させてなる正極活物質であって、該正極活物質を線源としてCu-Kα線を用いてX線回折分析したときに、(a)CaOに由来する2θ=37.4±0.2°の回折ピークに対する(b)2θ=18.7±0.2°の回折ピークの強度比(b/a)が10~150であることを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質。
 前記正極活物質がニッケル、コバルト及びMe原子を含む化合物と、リチウム化合物及びカルシウム化合物とを混合し、該混合物を焼成して生成されたものである請求項1記載のリチウム二次電池用正極活物質。
 前記Ca原子の含有量が正極活物質に対して0.04~2.1重量%である請求項1又は2記載のリチウム二次電池用正極活物質。
 前記MeがMn原子又はAl原子である請求項1乃至3のいずれかの項に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
 ニッケル、コバルト及びMe(MeはCo及びNi以外の原子番号11以上の金属元素を示す。)原子を含む化合物と、リチウム化合物及びカルシウム化合物とを混合し、該混合物を焼成してCa原子を含有する正極活物質を製造する方法において、前記カルシウム化合物として、燐酸カルシウム、水酸化カルシウム、燐酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、次亜燐酸カルシウム、亜燐酸カルシウムの群から選ばれる1種又は2種以上のカルシウム化合物を用い、該カルシウム化合物の添加量をニッケル、コバルト及びMe原子を含む化合物中のNi原子、Co原子及びMe原子の総量(M)に対するカルシウム化合物中のCa原子がモル比(Ca/M)で0.001~0.05にすることを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
 ニッケル、コバルト及びMe原子を含む化合物が、該ニッケル、コバルト及びMe原子を全て含む複合水酸化物である請求項5記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
 カルシウム化合物が燐酸カルシウム又は水酸化カルシウムである請求項5又は6記載のリチウム二次電池正極活物質の製造方法。
 請求項1乃至4の何れか1項に記載のリチウム二次電池用正極活物質を用いたことを特徴とするリチウム二次電池。
Description:
リチウム二次電池用正極活物質 その製造方法及びリチウム二次電池

 本発明はリチウム二次電池用正極活物質 その製造方法及び特にサイクル特性、安全 に優れたリチウム二次電池に関するもので る。

 近年、家庭電器においてポータブル化、 ードレス化が急速に進むに従い、ラップト プ型パソコン、携帯電話、ビデオカメラ等 小型電子機器の電源としてリチウムイオン 次電池が実用化されている。このリチウム オン二次電池については、1980年に水島等に よりコバルト酸リチウムがリチウムイオン二 次電池の正極活物質として有用であるとの報 告(「マテリアル リサーチブレティン」vol15, P783-789(1980)〕)がなされて以来、リチウム系複 合酸化物に関する研究開発が活発に進められ ており、これまで多くの提案がなされている 。

 コバルト酸リチウムは合成が比較的容易で かつ電気特性に優れているため、最も早く らリチウム二次電池用正極材として検討さ てきたが、原料のコバルト(Co)が希産で高価 なうえ、0.7電子以上充電すると結晶性の低下 や電解液の分解が生じるため大容量化には適 さないといった欠点がある。一方、LiNiO 2 はコバルトに比べて安価であるといった有利 な点はあるが、電池の正極材として使用中に 欠陥を生じやすく、そのため電池の安定性に 欠けるなど容量特性はCo系に劣ると考えられ いた。このため、できるだけ化学量論的比 近いLiNiO 2 およびニッケル(Ni)の一部を他の遷移金属で 換したリチウム複合酸化物やその合成法が 討されている(例えば、特許文献1~2参照)。

 しかしながら、LiNiO 2 やニッケル(Ni)の一部を他の遷移金属で置換 たリチウム複合酸化物はバインダー樹脂と 混練の際にゲル化し易くなり、混練や塗布 に問題があり、これはアルカリ源となるLi源 が多量に残存することが原因と考えられてい る。

 本出願人らは、この問題を解決すべく先にL iNi x Co y Mn z O 2 の粒子表面をフッ素化処理することを提案し た(下記特許文献3~4)。

特開平04-106875号公報

国際公開第2004/092073号パンフレット

特開2006-286240号公報

特開2007-128719号公報

 本発明者らは、更にNi系のリチウム複合酸 物において、バインダー樹脂との混練の際 ゲル化や塗布性を改善すべく鋭意研究を重 る中で、ニッケル、コバルト及びこれら以 の遷移金属原子等を含む化合物と、リチウ 化合物及びカルシウム化合物とを混合し、 混合物を焼成してCa原子を含有させてなる正 極活物質を製造する方法において、特定のカ ルシウム化合物を用い、該カルシウム化合物 の添加量を特定範囲に規定した混合物を焼成 することにより、生成されたCa原子を含む正 活物質は、該粒子表面にCa原子を含み、該 極活物質をX線回折分析したときに、Ca原子 由来するCaOの回折ピークを有し、残存するLi 源のLi 2 CO 3 が低減され、更に、該正極活物質を用いたリ チウム二次電池は、特にサイクル特性、安全 性に優れたものになることを見出し本発明を 完成するに到った。

 即ち、本発明の目的は、ニッケル系のリ ウム複合酸化物において、正極材を製造す 際のバインダー樹脂との混練の際のゲル化 抑制し、塗布性に優れるリチウム二次電池 正極活物質及びその製造方法を提供するこ にある。

 また、本発明の目的は、上記の正極活物 を用いた、サイクル特性、電池使用中のガ 発生を低減する安全性に優れたリチウム二 電池を提供することにある。

 本発明が提供しようとする第1の発明は、 下記一般式(1)

(式中、MeはCo及びNi以外の原子番号11以上の 金属元素を示す。xは0.98≦x≦1.20、yは0<y≦0 .5、zは0<z≦0.5を示し、但しy+z<1を示す。) で表されるリチウム複合酸化物に、Ca原子を 有させてなる正極活物質であって、該正極 物質を線源としてCu-Kα線を用いてX線回折分 析したときに、(a)CaOに由来する2θ=37.4±0.2°の 回折ピークに対する(b)2θ=18.7±0.2°の回折ピー クの強度比(b/a)が10~150であることを特徴とす リチウム二次電池用正極活物質である。

 また、本発明が提供しようとする第2の発 明は、ニッケル、コバルト及びMe(MeはCo及びNi 以外の原子番号11以上の金属元素を示す。)原 子を含む化合物と、リチウム化合物及びカル シウム化合物とを混合し、該混合物を焼成し てCa原子を含有する正極活物質を製造する方 において、前記カルシウム化合物として、 酸カルシウム、水酸化カルシウム、燐酸水 カルシウム、炭酸カルシウム、次亜燐酸カ シウム、亜燐酸カルシウムの群から選ばれ 1種又は2種以上のカルシウム化合物を用い 該カルシウム化合物の添加量をニッケル、 バルト及びMe原子を含む化合物中のNi原子、C o原子及びMe原子の総量(M)に対するカルシウム 化合物中のCa原子がモル比(Ca/M)で0.001~0.05にす ることを特徴とするリチウム二次電池用正極 活物質の製造方法である。

 また、本発明が提供しようとする第3の発 明は、前記第1の発明のリチウム二次電池用 極活物質を用いたことを特徴とするリチウ 二次電池である。

実施例3で得られた正極活物質のX線回 図である。 比較例1で得られた正極活物質のX線回 図である。 Li 2 CO 3 の中和滴定曲線の一例を示す図である。

 以下、本発明をその好ましい実施形態に基 き説明する。
 本発明に係るリチウム二次電池用正極活物 は、下記一般式(1)

(式中、MeはCo及びNi以外の原子番号11以上の 金属元素を示す。xは0.98≦x≦1.20、yは0<y≦0 .5、zは0<z≦0.5を示し、但しy+z<1を示す。) で表されるリチウム複合酸化物に、Ca原子を 有させてなる正極活物質であって、該正極 物質を線源としてCu-Kα線を用いてX線回折分 析したときに、(a)CaOに由来する2θ=37.4±0.2°の 回折ピークに対する(b)2θ=18.7±0.2°の回折ピー クの強度比(b/a)が10~150であることを特徴とす 。また、(a)2θ=37.4±0.2°の回折ピークはCaOに 属し(200)面に相当する。

 かかる構成からなる本発明のリチウム二 電池用正極活物質は、正極材を製造する際 バインダー樹脂との混練の際のゲル化を抑 し、塗布性に優れ、更に、該正極活物質を いたリチウム二次電池に、特に優れたサイ ル特性、安全性を付与することができる。

 また、本発明のリチウム二次電池用正極活 質は、後述する製造方法により不可逆的にN i原子の一部がCa原子に置換される場合も許容 されるものである。
 本発明において、Ca原子を含有させる前記 般式(1)で表されるリチウム複合酸化物の式 のMeは、Co及びNi以外の原子番号11以上の金属 元素を示し、好ましい金属元素としては、Mn Al、Mg、Ti、Fe、Zrから選ばれる1種又は2種以 が好ましい。特に本発明において、MeはMn原 子又は/及びAl原子がリチウム二次電池の安全 性を向上させる点から特に好ましい。

 また、一般式(1)中のxは0.98≦x≦1.20であり 、特にxが1.0以上1.1以下の範囲であるとリチ ム二次電池の初期放電容量が高くなる傾向 あることから特に好ましい。

 また、式中のyは0<y≦0.5であり、特にyが0 り大きく0.4以下の範囲であるとリチウム二 電池の安全性の点から特に好ましい。
 また、式中のzは0<z≦0.5であり、特に式中 のzが0より大きく0.4以下の範囲であるとリチ ム二次電池の初期放電容量が高くなる傾向 あることから特に好ましい

 上記のyとzの合計の値は、y+z<1であり、好 ましくはy+zは0.1~0.7、特に好ましくは0.2であ 。
 更に、本発明のCa原子を含有する正極活物 は、該正極活物質を線源としてCu-Kα線を用 てX線回折分析したときに、(a)CaOに由来する2 θ=37.4±0.2°の回折ピークに対する(b)2θ=18.7±0.2 °の回折ピークの強度比(b/a)が10~150、好まし は50~130の範囲内にあることが構成上の重要 特徴である。

 本発明の正極活物質において、回折ピーク 強度比(b/a)を当該範囲とすることにより、 存するLi 2 CO 3 を低減することができ、尚且つ該正極活物質 を用いたリチウム二次電池は初期放電容量が 高く、優れたサイクル特性を示す。一方、前 記回折ピークの強度比(b/a)が150を超えるとリ ウム二次電池において十分なサイクル特性 得られなくなり、一方、該強度比(b/a)が10未 満ではリチウム二次電池において十分な初期 放電容量が得られないからである。

 本発明の正極活物質において、Ca原子の 有量は正極活物質に対して0.04~2.1重量%、好 しくは0.4~1.3重量%とすることが好ましい。こ の理由はCa原子の含有量が0.04重量%未満では チウム二次電池において十分なサイクル特 が得られなくなる傾向があり、一方、Ca原子 の含有量が2.1重量%を超えるとリチウム二次 池において十分な初期放電容量が得られに い傾向があるためである。

 また、前記Ca原子を含有する正極活物質は ニッケル、コバルト及びMe原子を含む化合物 と、リチウム化合物及びカルシウム化合物と を混合し、該混合物を焼成して生成されたも のあると、反応によりLi源から生成し、正極 物質中に残存するLi 2 CO 3 の含有量を低減でき、また、該正極活物質を 用いたリチウム二次電池において、特にサイ クル特性、安全性が向上する点で好ましい。 正極活物質中に残存するLi 2 CO 3 は電池使用中のガス発生の原因となるので可 及的に低減されていることが好ましい。

 更に、本発明の正極活物質は、遊離のアニ ン量が1.0重量%以下、好ましくは0.5重量%以 とすることが好ましい。この理由は遊離の ニオン量が1.0重量%を超え
ると正極板を合成する際に粘度の上昇等のト ラブルが生じる傾向があるからである。なお 、該遊離のアニオンは、多くの場合は、原料 のカルシウム化合物に由来する。アニオンと しては、燐酸イオン、亜燐酸イオン、次亜燐 酸イオン等が挙げられる。

 本発明にかかる正極活物質の他の粒径は レーザー法粒度分布測定法から求められる 均粒径が1~30μm、好ましくは5~25μmであり、 均粒径が該範囲内にあると均一な厚さの塗 の形成が可能となるため好ましい。好まし は7~15μmであると、該正極活物質を用いたリ ウム二次電池としてサイクル特性及び安全 の観点で性能的にバランスのとれたものに る。

 また、本発明に係る正極活物質は、BET比表 積が0.05~2m 2 /g,好ましくは0.15~1.0m 2 /gである。BET比表面積が該範囲内にあると、 全性が良好であるため好ましい。

 次いで、本発明のリチウム二次電池用正極 物質の製造方法について説明する。
 本発明のリチウム二次電池用正極活物質の 造方法は、ニッケル、コバルト及びMe原子 含む化合物と、リチウム化合物及びカルシ ム化合物とを混合し、該混合物を焼成してCa 原子を含有させてなる正極活物質を製造する 方法において、前記カルシウム化合物として 、燐酸カルシウム、水酸化カルシウム、燐酸 水素カルシウム、炭酸カルシウム、次亜燐酸 カルシウム、亜燐酸カルシウムの群から選ば れる1種又は2種以上のカルシウム化合物を用 、該カルシウム化合物の添加量をニッケル コバルト及びMe原子を含む化合物中のNi原子 、Co原子及びMe原子の総量(M)に対するカルシ ム化合物中のCa
原子とのモル比(Ca/M)で0.001~0.05にすることを 徴とするものである。

 前記第1の原料となるニッケル、コバルト 及びMe原子を含む化合物は、例えば、これら 複合水酸化物、複合オキシ水酸化物、複合 酸塩又は複合酸化物が好ましく用いられる 前記の複合水酸化物は、例えば共沈法によ て調製することができる。具体的には、前 ニッケル、コバルト及びMe原子を含む水溶 と、錯化剤の水溶液と、アルカリの水溶液 を混合することで、複合酸化物を共沈させ ことができる(特開平10-81521号公報、特開平10 -81520号公報、特開平10-29820号公報、2002-201028 公報等参照。)。また、複合オキシ水酸化物 用いる場合には、前述の共沈操作に従い複 水酸化物の沈殿を得た後、反応液に空気を き込み複合酸化物の酸化を行えばよい。ま 、複合酸化物を用いる場合には、共沈操作 従い複合水酸化物の沈殿を得た後、これを えば200~500℃で加熱処理することにより複合 酸化物を得ることができる。また、複合炭酸 塩を用いる場合には、前述の共沈操作と同様 に前記ニッケル、コバルト及びMe原子を含む 溶液と、錯化剤の水溶液を調製し、前記ア カリ水溶液を炭酸アルカリ又は炭酸水素ア カリの水溶液としてこれを混合することで 合炭酸塩を得ることができる。また、この ッケル、コバルト及びMe原子を含む化合物 レーザー光散乱法から求められる平均粒径 1~30.0μm、好ましくは5.0~25.0μmであると反応性 が良好であるため特に好ましい。

 更に、前記ニッケル、コバルト及びMe原 を含む化合物の好ましい組成は前述した一 式(1)で表されるリチウム複合酸化物の式中 yとzのモル比である。また、前記ニッケル、 コバルト及びMe原子を含む化合物は市販品で ってもよい。

 前記第2の原料のリチウム化合物は、例え ば、リチウムの酸化物、水酸化物、炭酸塩、 硝酸塩及び有機酸塩等が挙げられ、この中、 水酸化リチウムが第1の原料のニッケル、コ ルト及びMe原子を含む化合物との反応性の観 点から特に好ましく用いられる。また、この リチウム化合物はレーザー光散乱法から求め られる平均粒径が1~100μm、好ましくは5~80μmで あると反応性が良好であるため特に好ましい 。

 前記第3の原料のカルシウム化合物は、本発 明の正極活物質において、残存するLi 2 CO 3 を低減する成分である。該カルシウム化合物 は燐酸カルシウム、水酸化カルシウム、燐酸 水素カルシウム、炭酸カルシウム、次亜燐酸 カルシウム、亜燐酸カルシウムであり、これ らの中、燐酸カルシウム、水酸化カルシウム が残存するLi 2 CO 3 の低減効果が高く、更に該正極活物質を用い たリチウム二次電池において、優れたサイク ル特性及び安全性を付与できる点で好ましい 。該カルシウム化合物の物性等は制限される ものではないが、レーザー光散乱法より求め られる平均粒径が1~30μm、好ましくは5~10μmで ると反応性が良好で、且つ残存するLi 2 CO 3 の量の低減効果が顕著になるため、特に好ま しい。

 なお、前記第1~第3の原料のニッケル、コ ルト及びMe原子を含む化合物、リチウム化 物及びカルシウム化合物は、高純度の正極 物質を製造するために、可及的に不純物含 量が少ないものが好ましい。

 本発明のリチウム二次電池用正極活物質 、前記第1の原料のニッケル、コバルト及び Me原子を含む化合物、第2の原料のリチウム化 合物及び第3の原料のカルシウム化合物から る混合物を焼成し、カルシウム化合物の添 量を特定範囲にすることにより得ることが きる。

 反応操作は、まず、原料の記第1の原料のニ ッケル、コバルト及びMe原子を含む化合物、 2の原料のリチウム化合物及び第3の原料の ルシウム化合物を所定量混合する。
 混合は、乾式又は湿式のいずれの方法でも いが、製造が容易であるため乾式が好まし 。乾式混合の場合は、原料が均一に混合す ようなブレンダー等を用いることが好まし 。

 また、上記した第1の原料と第3の原料の配 割合は、第1の原料のニッケル、コバルト及 Me原子を含む化合物中のニッケル、コバル 及びMe原子の合計量(M)に対する第3の原料の ルシウム化合物中のカルシウム原子(Ca)の割 は、モル比(Ca/M)で0.001~0.05、好ましくは0.005~ 0.03である。本発明において、前記Ca原子の配 合量を当該範囲とすることにより、残存する Li 2 CO 3 が0.5重量%以下、好ましくは0.4重量%以下、特 好ましくは0.3重量%以下まで低減され、該正 極活物質を用いたリチウム二次電池は特に優 れたサイクル特性及び安全性に優れたものが 得られる。一方、Ca原子のモル比(Ca/M)が0.001 満ではリチウム二次電池において、良好な イクル特性が得られなくなり、Ca原子のモル 比(Ca/M)が0.05を超えるとリチウム二次電池に いて、初期放電容量が低下するから好まし ない。

 第1の原料のニッケル、コバルト及びMe原 を含む化合物中のニッケル、コバルト及びM e原子の合計量(M)に対する第2の原料のリチウ 化合物中のリチウム原子(Li)の割合は、モル 比(Li/M)で0.98~1.2、好ましくは1.0~1.1とすること が望ましい。本発明において、前記Li原子の 合量を当該範囲とすることにより、該正極 物質を用いたリチウム二次電池において高 電容量で、且つサイクル特性に優れたもの 得られ、一方、Li原子のモル比が0.98未満で リチウム二次電池において、急激に初期放 容量が低下する傾向があり、Li原子のモル が1.2を超えるとリチウム二次電池において イクル特性が低下する傾向があるため好ま くいない。

 次いで、前記原料が均一混合された混合 を焼成する。本発明において焼成は、水を 成するものを焼成する場合は、大気中又は 素雰囲気中で、多段焼成で行うことが好ま く、原料中に含まれる水分が消失する約200~ 400℃の範囲でゆっくり焼成した後、更に700~90 0℃に急速に昇温し1~30時間焼成することが好 しい。また、本発明において、焼成は所望 より何度行ってもよい。或いは、粉体特性 均一にする目的で、一度焼成したものを粉 し、次いで再焼成を行ってもよい。

 焼成後、適宜冷却し、必要に応じ粉砕する 、本発明の正極活物質が得られる。なお、 要に応じて行われる粉砕は、焼成して得ら る正極活物質がもろく結合したブロック状 ものである場合等に適宜行うが、正極活物 の粒子自体は下記特定の平均粒径、BET比表 積を有する。即ち、得られるCaを含有する 極活物質は、平均粒径が1~30μm、好ましくは5 ~25μmであり、BET比表面積が0.05~2.0m 2 /g、好ましくは0.15~1.0m 2 /gである。

 かくして得られる本発明の正極活物質は 記粉体特性を有するものであることに加え Ca原子の含有量が正極活物質に対して0.04~2.1 重量%、好ましくは0.4~1.3重量%で、該正極活物 質を線源としてCu-Kα線を用いてX線回折分析 たときに、(a)CaOに由来する2θ=37.4±0.2°に回 ピークに対する(b)2θ=18.4°付近の回折ピーク 強度比(b/a)が10~150、好ましくは50~130の範囲 にあり、更に本発明の好ましい実施形態に れば遊離のアニオンの含有量が1.0重量%以下 好ましくは0.5重量%以下である。

 本発明に係るリチウム二次電池は、上記 チウム二次電池用正極活物質を用いるもの あり、正極、負極、セパレータ、及びリチ ム塩を含有する非水電解質からなる。正極 、例えば、正極集電体上に正極合剤を塗布 燥等して形成される。正極合剤は上記の正 活物質、導電剤、結着剤、及び必要により 加されるフィラー等からなる。本発明に係 リチウム二次電池は、正極に上記の正極活 質が均一に塗布されている。このため本発 に係るリチウム二次電池は、特に負荷特性 サイクル特性の低下が生じ難い。

 正極合剤に含有される正極活物質の含有量 、70~100重量%、好ましくは90~98重量%が望まし い。
 正極集電体としては、構成された電池にお て化学変化を起こさない電子伝導体であれ 特に制限されるものでないが、例えば、ス ンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、チタ 、焼成炭素、アルミニウムやステンレス鋼 表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀を 面処理させたもの等が挙げられる。これら 材料の表面を酸化して用いてもよく、表面 理により集電体表面に凹凸を付けて用いて よい。また、集電体の形態としては、例え 、フォイル、フィルム、シート、ネット、 ンチングされたもの、ラス体、多孔質体、 泡体、繊維群、不織布の成形体などが挙げ れる。集電体の厚さは特に制限されないが 1~500μmとすることが好ましい。

 導電剤としては、構成された電池におい 化学変化を起こさない電子伝導材料であれ 特に限定はない。例えば、天然黒鉛及び人 黒鉛等の黒鉛、カーボンブラック、アセチ ンブラック、ケッチェンブラック、チャン ルブラック、ファーネスブラック、ランプ ラック、サーマルブラック等のカーボンブ ック類、炭素繊維や金属繊維等の導電性繊 類、フッ化カーボン、アルミニウム、ニッ ル粉等の金属粉末類、酸化亜鉛、チタン酸 リウム等の導電性ウィスカー類、酸化チタ 等の導電性金属酸化物、或いはポリフェニ ン誘導体等の導電性材料が挙げられ、天然 鉛としては、例えば、鱗状黒鉛、鱗片状黒 及び土状黒鉛等が挙げられる。これらは、1 種又は2種以上組み合わせて用いることがで る。導電剤の配合比率は、正極合剤中、1~50 量%、好ましくは2~30重量%である。

 結着剤としては、例えば、デンプン、ポリ ッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、 ルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプ ピルセルロース、再生セルロース、ジアセ ルセルロース、ポリビニルピロリドン、テ ラフロオロエチレン、ポリエチレン、ポリ ロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンタ ポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブ ジエンゴム、フッ素ゴム、テトラフルオロ チレン-ヘキサフルオロエチレン共重合体、 テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプ ピレン共重合体、テトラフルオロエチレン- ーフルオロアルキルビニルエーテル共重合 、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピ レン共重合体、フッ化ビニリデン-クロロト フルオロエチレン共重合体、エチレン-テト フルオロエチレン共重合体、ポリクロロト フルオロエチレン、フッ化ビニリデン-ペン タフルオロプロピレン共重合体、プロピレン -テトラフルオロエチレン共重合体、エチレ -クロロトリフルオロエチレン共重合体、フ 化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン- トラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビ リデン-パーフルオロメチルビニルエーテル- テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン -アクリル酸共重合体またはその(Na + )イオン架橋体、エチレン-メタクリル酸共重 体またはその(Na + )イオン架橋体、エチレン-アクリル酸メチル 重合体またはその(Na + )イオン架橋体、エチレン-メタクリル酸メチ 共重合体またはその(Na + )イオン架橋体、ポリエチレンオキシドなど 多糖類、熱可塑性樹脂、ゴム弾性を有する リマー等が挙げられ、これらは1種または2種 以上組み合わせて用いることができる。なお 、多糖類のようにリチウムと反応するような 官能基を含む化合物を用いるときは、例えば 、イソシアネート基のような化合物を添加し てその官能基を失活させることが好ましい。 結着剤の配合比率は、正極合剤中、1~50重量% 好ましくは5~15重量%である。

 フィラーは正極合剤において正極の体積 張等を抑制するものであり、必要により添 される。フィラーとしては、構成された電 において化学変化を起こさない繊維状材料 あれば何でも用いることができるが、例え 、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレ ィン系ポリマー、ガラス、炭素等の繊維が いられる。フィラーの添加量は特に限定さ ないが、正極合剤中、0~30重量%が好ましい

 負極は、負極集電体上に負極材料を塗布 燥等して形成される。負極集電体としては 構成された電池において化学変化を起こさ い電子伝導体であれば特に制限されるもの ないが、例えば、ステンレス鋼、ニッケル 銅、チタン、アルミニウム、焼成炭素、銅 ステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル チタン、銀を表面処理させたもの及びアル ニウム-カドミウム合金等が挙げられる。ま た、これらの材料の表面を酸化して用いても よく、表面処理により集電体表面に凹凸を付 けて用いてもよい。また、集電体の形態とし ては、例えば、フォイル、フィルム、シート 、ネット、パンチングされたもの、ラス体、 多孔質体、発砲体、繊維群、不織布の成形体 などが挙げられる。集電体の厚さは特に制限 されないが、1~500μmとすることが好ましい。

 負極材料としては、特に制限されるもので ないが、例えば、炭素質材料、金属複合酸 物、リチウム金属、リチウム合金、ケイ素 合金、錫系合金、金属酸化物、導電性高分 、カルコゲン化合物、Li-Co-Ni系材料等が挙 られる。炭素質材料としては、例えば、難 鉛化炭素材料、黒鉛系炭素材料等が挙げら る。金属複合酸化物としては、例えば、Sn p (M 1 ) 1-p (M 2 ) q O r (式中、M 1 はMn、Fe、Pb及びGeから選ばれる1種以上の元素 を示し、M 2 はAl、B、P、Si、周期律表第1族、第2族、第3族 及びハロゲン元素から選ばれる1種以上の元 を示し、0<p≦1、1≦q≦3、1≦r≦8を示す。) 、Li x Fe 2 O 3 (0≦x≦1)、Li x WO 2 (0≦x≦1)等の化合物が挙げられる。金属酸化 としては、GeO、GeO 2 、SnO、SnO 2 、PbO、PbO 2 、Pb 2 O 3 、Pb 3 O 4 、Sb 2 O 3 、Sb 2 O 4 、Sb 2 2O 5 、Bi 2 O 3 、Bi 2 O 4 、Bi 2 O 5 等が挙げられる。導電性高分子としては、ポ リアセチレン、ポリ-p-フェニレン等が挙げら れる。

 セパレータとしては、大きなイオン透過 を持ち、所定の機械的強度を持った絶縁性 薄膜が用いられる。耐有機溶剤性と疎水性 らポリプロピレンなどのオレフィン系ポリ ーあるいはガラス繊維あるいはポリエチレ などからつくられたシートや不織布が用い れる。セパレーターの孔径としては、一般 に電池用として有用な範囲であればよく、 えば、0.01~10μmである。セパレターの厚みと しては、一般的な電池用の範囲であればよく 、例えば5~300μmである。なお、後述する電解 としてポリマーなどの固体電解質が用いら る場合には、固体電解質がセパレーターを ねるようなものであってもよい。

 リチウム塩を含有する非水電解質は、非 電解質とリチウム塩とからなるものである 非水電解質としては、非水電解液、有機固 電解質、無機固体電解質が用いられる。非 電解液としては、例えば、N-メチル-2-ピロ ジノン、プロピレンカーボネート、エチレ カーボネート、ブチレンカーボネート、ジ チルカーボネート、ジエチルカーボネート γ-ブチロラクトン、1,2-ジメトキシエタン、 トラヒドロキシフラン、2-メチルテトラヒ ロフラン、ジメチルスルフォキシド、1,3-ジ キソラン、ホルムアミド、ジメチルホルム ミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニ ロメタン、蟻酸メチル、酢酸メチル、リン トリエステル、トリメトキシメタン、ジオ ソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホ ン、3-メチル-2-オキサゾリジノン、1,3-ジメ ル-2-イミダゾリジノン、プロピレンカーボ ート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、 エチルエーテル、1,3-プロパンサルトン、プ ロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等の 非プロトン性有機溶媒の1種または2種以上を 合した溶媒が挙げられる。

 有機固体電解質としては、例えば、ポリ チレン誘導体、ポリエチレンオキサイド誘 体又はこれを含むポリマー、ポリプロピレ オキサイド誘導体又はこれを含むポリマー リン酸エステルポリマー、ポリホスファゼ 、ポリアジリジン、ポリエチレンスルフィ 、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニ デン、ポリヘキサフルオロプロピレン等の オン性解離基を含むポリマー、イオン性解 基を含むポリマーと上記非水電解液の混合 等が挙げられる。

 無機固体電解質としては、Liの窒化物、ハ ゲン化物、酸素酸塩、硫化物等を用いるこ ができ、例えば、Li 3 N、LiI、Li 5 NI 2 、Li 3 N-LiI-LiOH、LiSiO 4 、LiSiO 4 -LiI-LiOH、Li 2 SiS 3 、Li 4 SiO 4 、Li 4 SiO 4 -LiI-LiOH、P 2 S 5 、Li 2 S又はLi 2 S-P 2 S 5 、Li 2 S-SiS 2 、Li 2 S-GeS 2 、Li 2 S-Ga 2 S 3 、Li 2 S-B 2 S 3 、Li 2 S-P 2 S 5 -X、Li 2 S-SiS 2 -X、Li 2 S-GeS 2 -X、Li 2 S-Ga 2 S 3 -X、Li 2 S-B 2 S 3 -X、(式中、XはLiI、B 2 S 3 、又はAl 2 S 3 から選ばれる少なくとも1種以上)等が挙げら る。

 更に、無機固体電解質が非晶質(ガラス)の 合は、リン酸リチウム(Li 3 PO 4 )、酸化リチウム(Li 2 O)、硫酸リチウム(Li 2 SO 4 )、酸化リン(P 2 O 5 )、硼酸リチウム(Li 3 BO 3 )等の酸素を含む化合物、Li 3 PO 4-x N 2x/3 (xは0<x<4)、Li 4 SiO 4-x N 2x/3 (xは0<x<4)、Li 4 GeO 4-x N 2x/3 (xは0<x<4)、Li 3 BO 3-x N 2x/3 (xは0<x<3)等の窒素を含む化合物を無機固 電解質に含有させることができる。この酸 を含む化合物又は窒素を含む化合物の添加 より、形成される非晶質骨格の隙間を広げ リチウムイオンが移動する妨げを軽減し、 にイオン伝導性を向上させることができる

 リチウム塩としては、上記非水電解質に溶 するものが用いられ、例えば、LiCl、LiBr、Li I、LiClO 4 、LiBF 4 、LiB 10 Cl 10 、LiPF 6 、LiCF 3 SO 3 、LiCF 3 CO 2 、LiAsF 6 、LiSbF 6 、LiB 10 Cl 10 、LiAlCl 4 、CH 3 SO 3 Li、CF 3 SO 3 Li、(CF 3 SO 2 ) 2 NLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カル ボン酸リチウム、四フェニルホウ酸リチウム 、イミド類等の1種または2種以上を混合した が挙げられる。

 また、非水電解質には、放電、充電特性 難燃性を改良する目的で、以下に示す化合 を添加することができる。例えば、ピリジ 、トリエチルホスファイト、トリエタノー アミン、環状エーテル、エチレンジアミン n-グライム、ヘキサリン酸トリアミド、ニ ロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染 、N-置換オキサゾリジノンとN,N-置換イミダ リジン、エチレングリコールジアルキルエ テル、アンモニウム塩、ポリエチレングル ール、ピロール、2-メトキシエタノール、三 塩化アルミニウム、導電性ポリマー電極活物 質のモノマー、トリエチレンホスホンアミド 、トリアルキルホスフィン、モルフォリン、 カルボニル基を持つアリール化合物、ヘキサ メチルホスホリックトリアミドと4-アルキル ルフォリン、二環性の三級アミン、オイル ホスホニウム塩及び三級スルホニウム塩、 スファゼン、炭酸エステル等が挙げられる また、電解液を不燃性にするために含ハロ ン溶媒、例えば、四塩化炭素、三弗化エチ ンを電解液に含ませることができる。また 高温保存に適性を持たせるために電解液に 酸ガスを含ませることができる。

 本発明に係るリチウム二次電池は、電池 能、特にサイクル特性に優れたリチウム二 電池であり、電池の形状はボタン、シート シリンダー、角、コイン型等いずれの形状 あってもよい。

 本発明に係るリチウム二次電池の用途は 特に限定されないが、例えば、ノートパソ ン、ラップトップパソコン、ポケットワー ロ、携帯電話、コードレス子機、ポータブ CDプレーヤー、ラジオ、液晶テレビ、バッ アップ電源、電気シェーバー、メモリーカ ド、ビデオムービー等の電子機器、自動車 電動車両、ゲーム機器等の民生用電子機器 挙げられる。

 本発明に係る正極活物質において、残存す Li源のLi 2 CO 3 量が低減できる効果は明らかではないが、特 定のカルシウム化合物を用いて、原料混合物 と一緒に焼成することにより、原料となるリ チウム化合物の反応性が向上するか、或いは 残存するLi 2 CO 3 を効率よく分解するためと考えられる。

 以下、本発明を実施例により詳細に説明す が、本発明はこれらに限定されるものでは い。
 <ニッケル、コバルト及びMe原子を含む化 物>
 本発明の実施例においては、ニッケル、コ ルト及びMe原子を含む化合物として、下記 表1に示す組成の市販のニッケル、コバルト びマンガン原子を含む複合水酸化物(田中化 学研究所製)を用いた。なお、平均粒径はレ ザー法粒度分布測定方法により求めた。

 <添加化合物>
 添加化合物のカルシウム化合物及びバリウ 化合物は表2に示す諸物性を有するものを使 用した。なお、平均粒径はレーザー法粒度分 布測定方法により求めた。

注)Ca 3 (PO 4 ) 2 及びCa(OH) 2 は純正化学社製のものを使用した。BaHPO 4 及びBa(OH) 2 ・8H 2 Oは関東化学社製のものを使用した。
 実施例1~3及び比較例1~5
 表3に示すニッケル、コバルト及びマンガン 原子を含む複合水酸化物、水酸化リチウム1 塩(平均粒径;74μm)及び前記燐酸カルシウムと を表3に示す量添加し、十分乾式で混合して これら原料の均一混合物を得た。次いで300 まで1時間で昇温、2時間保持、850℃まで5時 で昇温、7時間保持し大気中で焼成した。焼 終了後、冷却して得られた焼成物を粉砕、 級してLi 1.03 Ni 0.8 Co 0.1 Mn 0.1 O 2 にCa原子を含有させた正極活物質を得た。

 なお、燐酸カルシウムを添加しないものを 較例1、比較例4及び比較例5とした。
 実施例4~7
表3に示すニッケル、コバルト及びマンガン 子を含む複合水酸化物、水酸化リチウム1水 (平均粒径;74μm)及び前記水酸化カルシウム を表3に示す量添加し、十分乾式で混合して これら原料の均一混合物を得た。次いで300 まで1時間で昇温、2時間保持、850℃まで5時 で昇温、7時間保持し大気中で焼成した。焼 成終了後、冷却して得られた焼成物を粉砕、 分級してLi 1.03 Ni 0.8 Co 0.1 Mn 0.1 O 2 にCa原子を含有させた正極活物質を得た。

 比較例6~8
 表4に示すニッケル、コバルト及びマンガン 原子を含む複合水酸化物、水酸化リチウム1 塩(平均粒径;74μm)及び前記バリウム化合物と を表4に示す量添加し、十分乾式で混合して これら原料の均一混合物を得た。次いで300 まで1時間で昇温、2時間保持、850℃まで5時 で昇温、7時間保持し大気中で焼成した。焼 終了後、冷却して得られた焼成物を粉砕、 級してLi 1.03 Ni 0.8 Co 0.1 Mn 0.1 O 2 にBa原子を含有させた正極活物質を得た。

 実施例10及び比較例9
 前記ニッケル、コバルト及びアルミニウム 子を含む複合水酸化物、水酸化リチウム1水 塩(平均粒径;74μm)及び前記カルシウム化合物 を表5に示す量添加し、十分乾式で混合して 、これら原料の均一混合物を得た。次いで300 ℃まで1時間で昇温、2時間保持、850℃まで5時 間で昇温、7時間保持し大気中で焼成した。 成終了後、冷却して得られた焼成物を粉砕 分級してLi 1.01 Ni 0.82 Co 0.15 Al 0.03 O 2 にCa原子を含有させた正極活物質を得た。

 また、カルシウム化合物を添加していな ものを比較例9とした。

 <正極活物質の物性評価>
 実施例1~10及び比較例1~9で得られた正極活物 質について、平均粒径、BET比表面積、残存Li 2 CO 3 含有量、線源としてCu-Kα線を用いてX線回折 析し、(a)CaOに由来する2θ=37.4±0.2°の回折ピ クに対する(b)2θ=18.7±0.2°の回折ピークの強 比(b/a)を求めた。なお、平均粒径はレーザー 法粒度分布測定方法により求め、その結果を 表6に示す。なお、残存Li 2 CO 3 含有量は下記のように測定した。

 また、実施例3で得られた正極活物質のX 回折図を図1に示す。図1の(a)の2θ=37.4±0.2°の 回折ピークの強度は435、(b)の2θ=18.7±0.2°の回 折ピークの強度は18110であり、強度比(b/a)は42 である。

 また、比較例1で得られた正極活物質のX線 折図を図2に示す。図2の(a)の2θ=37.4±0.2°の回 折ピークの強度は検出できなかった。
(1)X線回折分析の条件
 線源:Cu-Kα線
 電圧:40kV
 電流:40mA
 Step size:0.042354°
 Time/Step:0.5s
(2)残存Li 2 CO 3 含有量の評価
 正極活物質試料5g及び純水100gをビーカーに り取りマグネットスタラーを用いて5分間分 散させる。次いで該分散液をろ過し、得られ たろ液30mlを0.1N塩酸で滴定して第1終点(pH8.3;(a )ml)、第2終点(pH4.5;(b)ml)を求め、下記計算式で 算出した。なお、中和滴定曲線の一例を図3 示す。

 Li 2 CO 3 含有量={純水量(g)/ろ液量(g)}×2×(b/1000)×(塩酸 定液の規定度×ファクター)×(1/2)×(Li 2 CO 3 の分子量)×(100/試料量(g)
=(100/30)×2×(b/1000)×0.1×0.5×73.812×(100/5)
(3)Ca含有量の評価
 ICP発光分析方法により求めた。

(注)表中の「-」はCaO由来の2θ=37.4±0.2°の回折 ピークが検出されたなったことを示す。
 <リチウム二次電池の評価>
 (1)リチウム二次電池の作成
 実施例1~10及び比較例1~9で得られたリチウム 遷移金属複合酸化物91重量%、黒鉛粉末6重量% ポリフッ化ビニリデン3重量%を混合して正 剤とし、これをN-メチル-2-ピロリジノンに分 散させて混練ペーストを調製した。該混練ペ ーストをアルミ箔に塗布したのち乾燥、プレ スして直径15mmの円盤に打ち抜いて正極板を た。

 この正極板を用いて、セパレーター、負 、正極、集電板、取り付け金具、外部端子 電解液等の各部材を使用してリチウム二次 池を製作した。このうち、負極は金属リチ ム箔を用い、電解液にはエチレンカーボネ トとメチルエチルカーボネートの1:1混練液1 リットルにLiPF6 1モルを溶解したものを使用 た。

 (2)電池の性能評価
 作製したリチウム二次電池を室温で下記条 で作動させ、下記の電池性能を評価した。
 <サイクル特性の評価>
 正極に対して定電流電圧(CCCV)充電により1.0C で5時間かけて、4.3Vまで充電した後、放電レ ト0.2Cで2.7Vまで放電させる充放電を行い、 れらの操作を1サイクルとして1サイクル毎に 放電容量を測定した。このサイクルを20サイ ル繰り返し、1サイクル目と20サイクル目の れぞれの放電容量から、下記式により容量 持率を算出した。なお、1サイクル目の放電 容量を初期放電容量とした。結果を表7に示 。

 容量維持率(%)=(20サイクル目の放電容量/1サ クル目の放電容量)×100
 (3)塗料安定性の評価
 実施例1~10及び比較例1~7で得られたリチウム 遷移金属複合酸化物91重量%、黒鉛粉末6重量% ポリフッ化ビニリデン3重量%を混合して正 剤とし、これをN-メチル-2-ピロリジノンに分 散させて混練ペーストを調製した。この混錬 ペーストを、45度に傾斜したガラス板(横40cm× 長さ50cm)の上部に10gを落とし、ゲル化の指標 なる流動性について下記に沿って評価した その結果を表7に併記した。

 塗料安定性の評価基準
 ◎:ガラス板から混練ペーストが20秒以内に ラス板の端から流れ落ちた。
 ○:ガラス板から混練ペーストが20秒以上で ラス板の端から流れ落ちた。
 ×:ガラス板の端まで混練ペーストが到達せ 途中で流動性を失った。

 表7の結果より、本発明の正極活物質は、 塗料安定性に優れ、初期放電が実用的なレベ ルの160(mAH/g)以上で、容量維持率も90%以上で イクル特性にも優れていることが分かる。 れに対して比較例1~2及び比較例4~9の正極活 質は塗料安定性が悪く、また比較例3のもの 塗料安定性は優れているが容量維持率が90% 下回り、サイクル特性に問題があることが かる。

 本発明に係る正極活物質は、ニッケル系 リチウム複合酸化物において、正極材を製 する際のバインダー樹脂との混練の際のゲ 化を抑制し、塗布性に優れているので、サ クル特性、電池使用中のガス発生を低減す 安全性に優れたリチウム二次電池に利用す ことができる。