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Title:
PREGROUTED PC PRESTRESSING STEEL AND METHOD OF PC WORKING
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/054489
Kind Code:
A1
Abstract:
A pregrouted PC prestressing steel having multiple PC prestressing steel strands, a resin composition layer provided so as to enclose the PC prestressing steel strands and a sheath covering the periphery of the resin composition layer, characterized in that the resin composition layer consists of a thermoplastic resin composition. The pregrouted PC prestressing steel is limitless in the storable period and renders any precise process control unnecessary. Further, there is disclosed a method of PC working characterized by including the steps of (1) embedding the pregrouted PC prestressing steel in concrete, (2) after concrete curing, heating the resin composition to thereby soften the same, (3) stressing the PC prestressing steel strands after the step (2); and (4) allowing the resin composition layer after the step (3) to cool to thereby harden the same.

Inventors:
SUGAWARA JUN (JP)
MIZOGUCHI AKIRA (JP)
NATORI KOICHIRO (JP)
SAITO MASANORI (JP)
KONO MASAKAZU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/069323
Publication Date:
April 30, 2009
Filing Date:
October 24, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO ELECTRIC INDUSTRIES (JP)
SUMITOMO SEI STEEL WIRE CORP (JP)
SUGAWARA JUN (JP)
MIZOGUCHI AKIRA (JP)
NATORI KOICHIRO (JP)
SAITO MASANORI (JP)
KONO MASAKAZU (JP)
International Classes:
E04C5/08; E04C5/10; E04C5/12; E04G21/12
Foreign References:
JPH07158209A1995-06-20
JPH04169644A1992-06-17
Attorney, Agent or Firm:
JODAI, Tetsuji et al. (3-32 Higashikoraibashi, Chuo-k, Osaka-shi Osaka 39, JP)
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Claims:
 複数のPC鋼線材と、前記PC鋼線材を収納するように配された樹脂組成物層と、前記樹脂組成物層の外周を覆うシースを有するプレグラウトPC鋼材であって、前記樹脂組成物層が熱可塑性樹脂組成物よりなることを特徴とするプレグラウトPC鋼材。
 前記熱可塑性樹脂組成物の150℃における粘度が1000Pa・s以下であり、95℃における粘度が15,000Pa・s以上であり、かつ95℃における粘度を[η95]とし、150℃における粘度を[η150]としたときのlog[η95]/log[η150]が、1.5以上であることを特徴とする請求項1に記載のプレグラウトPC鋼材。
 前記熱可塑性樹脂組成物が、ダイマー酸ポリアミド樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプレグラウトPC鋼材。
 前記熱可塑性樹脂組成物が、さらにフィラーを含有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のプレグラウトPC鋼材。
 さらに、前記樹脂組成物層を加熱する加熱手段を有し、前記加熱手段が、前記シース内に設けられ、通電により発熱する発熱体であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のプレグラウトPC鋼材。
 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のプレグラウトPC鋼材をコンクリート中に埋設する工程1、前記コンクリートが硬化した後、前記樹脂組成物層を加熱して軟化させる工程2、工程2の後前記PC鋼線材を緊張する工程3、及び、工程3の後前記樹脂組成物層を放冷して固化する工程4を有することを特徴とするPC施工方法。
Description:
プレグラウトPC鋼材及びPC施工方 法

 本発明は、PC(プレストレストコンクリー )ポストテンション工法等のPC施工方法にお て使用されるプレグラウトPC鋼材、及びこ プレグラウトPC鋼材を用いたPC施工方法に関 る。

 PCポストテンション工法とは、コンクリ ト内に埋設したシース中にPC鋼線材を挿入し 、コンクリートの硬化後にPC鋼線材を緊張さ て緊張力を加え、その反力によりコンクリ トに圧縮応力を与える工法であり、引張強 が弱いというコンクリートの欠点を補うも である。

 このPCポストテンション工法においては PC鋼線材とコンクリート間を一体化するため やPC鋼線材の防錆、防食のために、PC鋼線材 セメントミルクや樹脂組成物等のグラウト で覆われる。従って、シース中にPC鋼線材を 挿入しさらにPC鋼線材をグラウト材で覆うグ ウト作業を作業現場で行う必要があったが このグラウト作業は煩雑であり、コストア プ要因となっていた。

 作業現場でのグラウト作業を不要にする め、前記の方法の代わりにプレグラウトPC 材を用いる方法が知られており実施されて る。プレグラウトPC鋼材とは、予め、PC鋼線 をシース内に配置し、さらにシース内に樹 組成物等からなるグラウト材を充填し、PC 線材をグラウト材で覆ってなるPC鋼材であり 、このプレグラウトPC鋼材をコンクリート内 埋設して用いることにより作業現場におけ グラウト作業が不要となる。

 従来のプレグラウトPC鋼材のグラウト材用 樹脂組成物としては、PC鋼線材の緊張後、一 定期間内に硬化する硬化性樹脂組成物が用い られており、種々のプレグラウト用硬化性樹 脂組成物が提案されている。例えば、特許文 献1においてはエポキシ樹脂組成物が提案さ 、又特許文献2においては湿気硬化型樹脂組 物が提案されている。

特公平8-11791号公報

特開2000-281967号公報

 PCポストテンション工法における緊張作 を可能にするためには、緊張作業が完了す まではプレグラウト用硬化性樹脂組成物は 硬化状態、すなわちPC鋼材の緊張作業が可能 な程度に硬化性樹脂組成物の粘度が低く保た れた状態が維持される必要がある。しかし、 従来のプレグラウト用硬化性樹脂組成物は製 造後の時間経過による粘度増加が比較的大き く、そのため、輸送期間、保管期間に厳しい 制限があった。

 又、従来のプレグラウトPC鋼材はコンク ートに埋設後、その硬化に伴う水和発熱に されることが避けられないため、この際に 化性樹脂の増粘が促進される。そのため、 ンクリート打設後から緊張作業完了までの 間に関しては、詳細な施工スケジュールの 理が必要であった。

 国内での施工に関しては、上記、製造か 緊張完了までに至る詳細なスケジュール管 を実施することが通常は可能ではあるもの 、施工中の事故による工事の中断等により 最悪の場合、既にコンクリートに埋設した レグラウトPC鋼材が緊張不能になる可能性 考えられる。そこで、このような詳細スケ ュール管理の緩和が可能なプレグラウトPC鋼 材の開発が望まれていた。

 又、海外での適用については、主に輸出 手続きによる輸送期間の長期化、及び海外 は比較的多い大幅な施工スケジュールの遅 に伴う保管期間の長期化が避けられず、事 上、上記のような詳細スケジュール管理は 可能である。そのため、プレグラウトPC鋼 に対する潜在的需要は小さくないものの、 レグラウトPC鋼材の輸出ができない状況であ った。

 本発明は、上記の問題点に鑑みてなされ もので、保管期間等の詳細なスケジュール 理が不要なプレグラウトPC鋼材、及びこの レグラウトPC鋼材を用いたPCポストテンショ 工法等のPC施工方法を提供することを課題 する。

 本発明者は、前記課題を達成するために 意研究を行った結果、プレグラウトPC鋼材 グラウト材用の樹脂組成物層を、加熱によ 軟化する熱可塑性樹脂組成物により形成す ことにより、前記の課題を達成できること 見いだし、本発明を完成した。

 すなわち本発明は、その請求項1において 、複数のPC鋼線材と、前記PC鋼線材を収納す ように配された樹脂組成物層と、前記樹脂 成物層の外周を覆うシースを有するプレグ ウトPC鋼材であって、前記樹脂組成物層が熱 可塑性樹脂組成物よりなることを特徴とする プレグラウトPC鋼材、を提供する。

 本発明のプレグラウトPC鋼材のグラウト である樹脂組成物層は、熱可塑性樹脂組成 からなることを特徴とする。この熱可塑性 脂組成物は、PCポストテンション工法におい てPC鋼材が通常さらされる温度においては、P C鋼線材とコンクリート間を一体化するため 必要な硬度を有するとともに、加熱される とにより軟化(液状化)し、PC鋼線材の緊張作 が可能な低い粘度にすることができるもの ある。従って、プレグラウトPC鋼材を長期 保管した後であっても、加熱により樹脂組 物層を軟化し、PC鋼線材の緊張を可能にする ことができるので、プレグラウトPC鋼材の保 期間の制限はなく、これを用いたPCポスト ンション工法では細かな工程管理も不要と る。

 前記熱可塑性樹脂組成物としては、PC鋼 材の緊張を容易に可能にするため、加熱に り軟化(液状化)し易い性質を有するとともに 、放冷により固化した後は硬度が高く、PC鋼 材やシースとの付着力に優れるとの性質を することが求められる。具体的には、室温~ コンクリートの固化の際に達すると考えられ る最高の温度である95℃の範囲では固体状態 保ち、かつ、120℃~150℃では軟化し、PC鋼線 の緊張作業が可能な低い粘度の液状となる のが好ましい。さらに、昇温により粘度が 激に低下する樹脂が好ましい。

 中でも、150℃における粘度が1000Pa・s以下 であり、95℃における粘度が15,000Pa・s以上で り、かつ95℃における粘度を[η95]とし、150 における粘度を[η150]としたときのlog[η95]/log [η150]が1.5以上である熱可塑性樹脂組成物が ましく用いられる。請求項2に記載の発明は この熱可塑性樹脂組成物を用いることを特 とする請求項1に記載のプレグラウトPC鋼材 ある。なお、95℃では固体状態となり粘度 測定ができないとき(装置の測定限界以上)は 、log[η95]は∞とする。従って、log[η95]/log[η15 0]は1.5以上となる。

 この熱可塑性樹脂組成物は、150℃におけ 粘度が1000Pa・s以下であるため、押出加工と いう簡便な手法を用いてPC鋼線材の被覆を行 、PC鋼材を製造することができる。

 log[η95]/log[η150]が、1.5以上とは、95℃から 150℃までの昇温で粘度が急激に低下する(即 、冷却により粘度が急激に上昇する。)こと 示している。2.0以上であるとより好ましい このように、この熱可塑性樹脂組成物は、 度の低下により粘度が急激に上昇するとと に、95℃における粘度が15,000Pa・s以上であ ので、放冷後の硬度は大きくシースやPC鋼線 材との間の付着力に優れ、PC鋼線材とコンク ート間を一体化するために充分な硬度が得 れる。

 前記熱可塑性樹脂組成物を構成する熱可 性樹脂としては、ダイマー酸ポリアミド樹 、結晶性ポリエステル樹脂、石油樹脂、フ ノール樹脂、ロジン変性物、エチレン酢ビ 脂等を例示することができる。中でも、鋼 との接着性、熱安定性、粘度等の面より、 イマー酸ポリアミド樹脂が好ましく使用で る(請求項3)。ここで、ダイマー酸ポリアミ 樹脂とは、ダイマー酸とジアミンを縮合し 樹脂であり、ダイマー酸とは、トール油脂 酸に代表される炭素数18程度の不飽和脂肪 を2量体化した重合脂肪酸である。さらに、 イマー酸の代わりに、前記不飽和脂肪酸を3 量体化した重合脂肪酸であるトリマー酸等を 用いることも可能である。

 請求項4に記載の発明は、前記熱可塑性樹 脂組成物が、さらにフィラーを含有すること を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれ に記載のプレグラウトPC鋼材である。前記 可塑性樹脂組成物には、熱可塑性樹脂の他 、硬度発現、粘度調整、チクソ性調整等の めに、各種のフィラーを配合することがで るが、このフィラーを配合した態様に該当 る。

 好ましいフィラーとしては、例えば、炭 カルシウム、タルク、酸化カルシウム、沈 性硫酸バリウム、シリカ、アエロジル(超微 粒子無水二酸化ケイ素、日本アエロジル社商 品名)等を挙げることができる。フィラーの 合量の範囲は特に限定されず、粘度と硬度 関係を考慮して、適宜決定される。

 本発明のプレグラウトPC鋼材を構成するPC 鋼線材としては、従来のプレグラウトPC鋼材 用いられているPC鋼線材と同様なものを用 ることができる。具体的には、鋼線、鋼棒 であり、特に、鋼線を複数本撚り合わせた のが用いられる。その太さや本数、その強 、撚り合わせ状態等も、従来のプレグラウ PC鋼材におけるPC鋼線材と同様である。PC鋼 材間に発熱体(ニクロム線等)を設ける場合は 、PC鋼線材と発熱体を束ねて一緒に撚り合わ てもよい。

 樹脂組成物層の厚さとしては、20μm以上 あることが好ましい。この厚みが20μm未満に なると、緊張時にPC鋼材とシースとの間の縁 りが十分でなくなり、摩擦係数が大きくな 充分な緊張を行えなくなる。

 PC鋼線材の外周は、前記樹脂組成物層に り被覆されるが、被覆層は、さらに他の層 含んでいてもよい。例えば、PC鋼線材の表面 が、前記樹脂組成物層で被覆され、その外側 に他の層が形成されてもよいし、PC鋼線材の 面に他の層が形成され、その外側に前記樹 組成物層が形成されてもよい。

 本発明のプレグラウトPC鋼材を構成する ース(外皮層)としても、従来のプレグラウト PC鋼材に使用されているシースと同様なもの 使用でき、樹脂製のシースや金属製のシー を例示することができる。ただし、樹脂製 シースの場合は、熱可塑性樹脂組成物を軟 するための加熱に耐える耐熱性を有するも でなければならない。このようなシースを 成する樹脂としては、ポリエチレン、ポリ ロピレン、ナイロン、ポリエチレンテレフ レート等が例示される。金属シースの場合 通電により発熱体とすることもでき、また 伝導層とすることもできる。シース表面に 、コンクリートとの固定を確実にするため ましくは凹凸が形成されている。

 前記樹脂組成物層を軟化するための加熱 、PC鋼材の内部又は外部に設けられた加熱 段により行うことができる。樹脂組成物層 加熱する方法としては、PC鋼材の外部、すな わちシースの外部に加熱手段を設けて加熱す る方法、シースに加熱手段を設けて樹脂組成 物層を加熱する方法、シースの内部のPC鋼線 間に加熱手段を設けて加熱する方法、PC鋼 材とシースの間、特に樹脂組成物層内に加 手段を設けて加熱する方法、等が挙げられ 。加熱の効率の点からは、シースの内部、 に樹脂組成物層内に加熱手段を設ける方法 好ましい。

 加熱手段としては、特に限定はされない 、温度制御の簡便性等より、通電により発 する電気抵抗線、例えばニクロム線や炭化 素発熱体等の線材やニクロムや炭素等から 成される面状ヒータが好ましい。又、PC鋼 材に直接通電して発熱させる方法や、シー が金属製の場合にはシースに通電して発熱 せる方法も考えられる。

 樹脂組成物層内に加熱手段を設けて加熱 る方法としては、具体的には、予め樹脂組 物層にニクロム線等の発熱体を配設してお 、通電発熱させる方法を例示することがで る。シースの外部に加熱手段を設けて加熱 る方法としては、具体的には、プレグラウ PC鋼材の外周に、面状ヒータ等を配して加 する方法も例示できる。

 請求項5に記載の発明は、さらに、前記樹 脂組成物層を加熱する加熱手段を有し、前記 加熱手段が、前記シース内に設けられ、通電 により発熱する発熱体であることを特徴とす る請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の レグラウトPC鋼材である。このプレグラウ PC鋼材は、加熱手段の位置やその形態が前記 の好ましい態様に該当する場合である。発熱 体の数やシース内でのより具体的位置は、樹 脂組成物層の構成等により適宜決定すればよ い。

 本発明のプレグラウトPC鋼材であって、PC 鋼線材間又はPC鋼線材の外周部に発熱体(ニク ロム線)を設けるものは、例えば、PC鋼線材間 又はPC鋼線材の外周に絶縁被覆した発熱体を 設したものを、シース内に挿入し、その後 シース内に加熱溶融した熱可塑性樹脂組成 を押出し、PC鋼線材等を押出被覆する方法 より製造することができる。又、PC鋼線材を シース内に挿入した後、さらに、その外周部 に発熱体を挿入し、その後、熱可塑性樹脂組 成物の押出しをしてもよい。

 このようにして得られる本発明のプレグ ウトPC鋼材は、その長さ方向に垂直な断面 おいて、中心部にPC鋼線材(通常、複数本の 線を撚り合わせたもの)があり、その周囲が 可塑性樹脂組成物からなる樹脂組成物層を む被覆層で被覆され、さらにその周囲がシ スで被覆されている。PC鋼線材が、さらに ースにより覆われる結果、その防食がより 全なものとなる。

 このようにして得られる本発明のプレグ ウトPC鋼材は、PCポストテンション工法等の PC施工方法で使用することができる。請求項6 に記載の発明は、このPC施工方法であり、請 項1ないし請求項5のいずれかに記載のプレ ラウトPC鋼材をコンクリート中に埋設する工 程1、前記コンクリートが硬化した後、前記 脂組成物層を加熱して軟化させる工程2、工 2の後前記PC鋼線材を緊張する工程3、及び、 工程3の後前記樹脂組成物層を放冷して固化 る工程4を有することを特徴とする。

 すなわち、このPC施工方法では、硬化前 コンクリート内に前記本発明のプレグラウ PC鋼材を埋設し、コンクリートがある程度硬 化した段階で、PC鋼線材を緊張する。緊張時 は、緊張が円滑に行われるように、樹脂組 物層は、前記のような加熱手段により加熱 れ軟化している。

 一方緊張後は、加熱を止め自然放冷する とにより樹脂組成物層は硬化し、この硬化 よりPC鋼線材とコンクリートの一体化が達 され、PC鋼線材の反力によりコンクリートに 圧縮応力を与える。この硬化(固化)は、従来 プレグラウトPC鋼材のグラウト材の硬化に べてはるかに迅速であるので、短期間での 工を可能とする。

 さらに、本発明のプレグラウトPC鋼材で 、万一不具合が生じた際に、プレグラウトPC 鋼材のPC鋼線材の交換も可能であり、この点 も好ましい。即ち、出来上がったプレグラ トPC鋼材の樹脂組成物層を加熱して軟化す ことにより、PC鋼線材(及び樹脂組成物層)の き抜きが可能になり、この引き抜き後に他 PC鋼線材及び別途防食被覆層を挿入する方 により、PC鋼線材等を交換することができる 。この際に挿入する防食被覆層は、目的に応 じた硬化性樹脂組成物を選択することもでき るが、これに限る必要は無く、防錆グリス、 乾燥窒素、気化防錆剤、熱可塑性樹脂組成物 等を選択することも可能である。

 本発明のプレグラウトPC鋼材は、保管期 の制限はなく、これを用いたPCポストテンシ ョン工法等のPC施工方法では細かな工程管理 不要となる。又、緊張後は、加熱を止め自 放冷することにより樹脂組成物層が固化し PC鋼線材とコンクリートの一体化が、従来 プレグラウトPC鋼材のグラウト材の硬化に比 べてはるかに迅速に達成されるので、このプ レグラウトPC鋼材を用いたPC施工方法では短 間での施工が可能となる。

 さらに、本発明のプレグラウトPC鋼材で 、プレグラウトPC鋼材のPC鋼線材の交換も可 でリペア性に優れ、又、リサイクルも容易 ある。

 次に、本発明を実施するための最良の形 につき、以下に実施例により説明するが、 発明の範囲は、この実施例のみに限定され ものではない。

 表1に示す処方で、製造例1~6の熱可塑性樹脂 組成物を得た。なお、表中のニューマイドは 、ハリマ化成社製のダイマー酸ポリアミド樹 脂である。
 軟化開始温度
  ニューマイド#850: 96℃
  ニューマイド#945: 69℃
 アミン価(KOH-mg/g)
  ニューマイド#850: 0.6
  ニューマイド#945: 9.0
 酸価(KOH-mg/g)
  ニューマイド#850: 4.3
  ニューマイド#945: 1.0
 粘度(mPa・s/200℃)
  ニューマイド#850: 2000mPa・s
  ニューマイド#945: 3300mPa・s
 又、フィラーとしては炭酸カルシウムを用 、樹脂に添加、混合した。

 得られた熱可塑性樹脂組成物の粘度ηを 95℃及び150℃で測定し、log[η95]/log[η150]を算 した。なお、粘度の測定は、E型粘度計(レ ロジ社製、MR-300VII型)を用いて行った。

 又、コンクリートと鋼材との間で十分な付 強度を生じるに必要な樹脂組成物層の硬度( ショアD硬度 20°以上)を確認するために、JIS K-7215に規定する方法に準拠して、ショアD硬 を測定した。
 各測定結果を、表1に併せて示す。

 製造例1~6で用いたダイマー酸ポリアミド 脂の代わりに、以下の製造例に示す他の樹 を用い、熱可塑性樹脂組成物を得、その粘 ηを、製造例1~6と同様にして、95℃及び150℃ で測定し、log[η95]/log[η150]を算出した。その 果を以下に示す。

製造例7
 樹脂: ポリエステル樹脂(結晶性)(東洋紡社 、バイロンGA3200)、(フィラー無し)
  95℃粘度:  15,400Pa・s
  150℃粘度: 108Pa・s
  log[η95]/log[η150]:2.15

製造例8
 樹脂: フェノール樹脂(昭和高分子社製、シ ョウノールCKM1737)、(フィラー無し)
  95℃粘度:  17,400Pa・s
  150℃粘度: 49Pa・s
  log[η95]/log[η150]:2.51

製造例9
 樹脂:ロジン変性物(ハリマ化成社製、ハリ ックAS-5)(フィラー無し)
  95℃粘度:  8755Pa・s
  150℃粘度: 127Pa・s
  log[η95]/log[η150]:1.87

 製造例1~9で得られた熱可塑性樹脂組成物 、いずれも、150℃における粘度が1000Pa・s以 下であり、log[η95]/log[η150]が、1.5以上である 中でも、製造例1~5、製造例7及び8の樹脂で 、95℃における粘度が15,000Pa・s以上である。 従って、これらの熱可塑性樹脂組成物を用い てプレグラウトPC鋼材の樹脂組成物層を形成 れば、保管期間に制限がなく、細かな工程 理も不要とするプレグラウトPC鋼材を得る とができる。