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Patent Searching and Data


Title:
PREGROUTED PC STEEL AND METHOD OF PC POST-TENSION CONSTRUCTION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/020176
Kind Code:
A1
Abstract:
A pregrouted PC steel having multiple PC steel wires, a resin composition layer provided so as to accommodate the PC steel wires and a sheath covering the periphery of the resin composition layer. The pregrouted PC steel is characterized in that it has means for heating the resin composition layer, and that the resin composition layer satisfies the requirements that when the viscosity after storage at 25°C for 30 days is referred to as η 30D and the viscosity before storage as η 0D, the value of log(η 30D)/log(η 0D) be 1.10 or less and that upon heating at 150°C for 4 hr, it harden within 6 months. Further, there is disclosed a method of PC post-tension construction using the pregrouted PC steel.

Inventors:
SUGAWARA JUN (JP)
MIZOGUCHI AKIRA (JP)
NATORI KOICHIRO (JP)
NIKI TOSHIHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/064202
Publication Date:
February 12, 2009
Filing Date:
August 07, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO ELECTRIC INDUSTRIES (JP)
SUMITOMO SEI STEEL WIRE CORP (JP)
SUGAWARA JUN (JP)
MIZOGUCHI AKIRA (JP)
NATORI KOICHIRO (JP)
NIKI TOSHIHIKO (JP)
International Classes:
E04C5/08; E04G21/12
Foreign References:
JPH07158209A1995-06-20
JPS6431873A1989-02-02
Attorney, Agent or Firm:
JODAI, Tetsuji et al. (3-32 Higashikoraibashi,Chuo-ku, Osaka-shi, Osaka 39, JP)
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Claims:
 複数のPC鋼線材と、前記PC鋼線材を収納するように配された樹脂組成物層と、前記樹脂組成物層の外周を覆うシースを有するプレグラウトPC鋼材であって、前記樹脂組成物層を加熱する加熱手段を有し、かつ前記樹脂組成物層が、
 25℃において30日間保存後の粘度をη30Dとし、保存前の粘度をη0Dとしたときのlog(η30D)/log(η0D)が1.10以下である、及び、
 150℃で4時間加熱されることにより6月以内に硬化する、との条件を充足することを特徴とするプレグラウトPC鋼材。
 前記樹脂組成物層は、エポキシ樹脂及び潜在性硬化剤を含有することを特徴とする請求項1に記載のプレグラウトPC鋼材。
 請求項1又は請求項2に記載のプレグラウトPC鋼材をコンクリート型枠内に配設し、前記型枠内にコンクリートを打設し、前記コンクリートが所定強度を発現した後に、前記PC鋼線材を緊張させ、前記樹脂組成物層を前記加熱手段により加熱し、前記樹脂組成物層を6月以内で硬化させる工程を含むことを特徴とするPCポストテンション工法。
Description:
プレグラウトPC鋼材及びPCポスト テンション工法

 本発明は、PC(プレストレストコンクリー )ポストテンション工法において使用される プレグラウトPC鋼材に関する。

 PCポストテンション工法とは、コンクリ ト内に埋設したシース中にPC鋼線材を挿入し 、コンクリートの硬化後にPC鋼線材を緊張さ て緊張力を加え、その反力によりコンクリ トに圧縮応力を与える工法であり、引張強 が弱いというコンクリートの欠点を補うも である。

 このPCポストテンション工法においては PC鋼線材とコンクリートとを一体化するため 、又PC鋼線材の防錆、防食のために、PC鋼線 はセメントミルクや樹脂組成物等のグラウ 材で覆われる。従って、シース中にPC鋼線材 を挿入しさらにPC鋼線材をグラウト材で覆う ラウト作業を作業現場で行う必要があった 、このグラウト作業は煩雑でありコストア プ要因となっていた。

 作業現場でのグラウト作業を不要にする め、前記のようなPC鋼材の代わりに、プレ ラウトPC鋼材を用いる方法が知られており実 施されている。プレグラウトPC鋼材とは、予 PC鋼線材をシース内に配置し、さらにシー 内に樹脂組成物等からなるグラウト材を充 し、PC鋼線材をグラウト材で覆ってなるPC鋼 であり、このプレグラウトPC鋼材をコンク ート内に埋設して用いることにより作業現 におけるグラウト作業が不要となる。

 従来のプレグラウトPC鋼材のグラウト材用 樹脂組成物としては、PC鋼線材の緊張後、一 定期間内に硬化する硬化性の樹脂組成物が用 いられ、種々の硬化性樹脂組成物が提案され ている。例えば、特許文献1においてはエポ シ樹脂組成物が提案されている。

特公平8-11791号公報

 PCポストテンション工法における緊張作 を可能にするためには、緊張作業が完了す まではプレグラウト用硬化性樹脂組成物は 硬化状態、すなわちPC鋼材の緊張作業が可能 な程度に硬化性樹脂組成物の粘度が低く保た れた状態を維持することが必要である。しか し、従来のプレグラウト用硬化性樹脂組成物 は製造後の時間経過による粘度増加が比較的 大きいため、輸送期間、保管期間に厳しい制 限があった。また、プレグラウトPC鋼材はコ クリートに埋設後にその硬化に伴う水和発 に曝されることが避けられないため、この に硬化性樹脂組成物の増粘が促進されるこ が知られている。そのため、コンクリート 設後から緊張作業完了までの時間に関して 、詳細な施工スケジュールの管理が必要で った。

 国内での施工に関しては、上記、製造か 緊張完了までに至る詳細スケジュール管理 実施することが可能ではあったものの、施 中の事故による工事の中断等が発生した際 は、最悪の場合、既にコンクリートに埋設 たプレグラウトPC鋼材が緊張不能になるこ も可能性として考えられ、このような詳細 スケジュール管理を軽減することが可能な レグラウトPC鋼材の開発が望まれていた。ま た、海外での使用については、主に輸出入手 続きによる輸送期間の長期化、及び海外に時 々ある大幅な施工スケジュールの遅延に伴う 保管期間の長期化が避けられず、事実上、上 記のような詳細なスケジュール管理が不可能 である。そのため、プレグラウトPC鋼材に対 る潜在的需要は小さくないものの、プレグ ウトPC鋼材の輸出ができない状況があった

 本発明は、上記の問題点に鑑みてなされ もので、保管期間等の詳細なスケジュール 理の軽減が可能なプレグラウトPC鋼材、及 このプレグラウトPC鋼材を用いたPCポストテ ション工法を提供することを課題とする。

 本発明者は、前記課題を達成するために 意研究を行った結果、プレグラウトPC鋼材 加熱手段を設け、かつ、グラウト材用の樹 組成物層を、常温では長期間硬化しないが 高温に加熱することで硬度発現に至る期間 短縮することが可能な樹脂層とすることに り、前記の課題を達成できることを見いだ 、本発明を完成した。

 すなわち本発明は、その請求項1において、
 複数のPC鋼線材と、前記PC鋼線材を収納する ように配された樹脂組成物層と、前記樹脂組 成物層の外周を覆うシースを有するプレグラ ウトPC鋼材であって、前記樹脂組成物層を加 する加熱手段を有し、かつ前記樹脂組成物 が、
 25℃において30日間保存後の粘度をη30Dとし 保存前の粘度をη0Dとしたときのlog(η30D)/log( η0D)が1.10以下である、及び、
 150℃で4時間加熱されることにより6月以内 硬化する、との条件を充足することを特徴 するプレグラウトPC鋼材を、提供する。

 本発明のプレグラウトPC鋼材は、樹脂組 物層を加熱する加熱手段を有することを特 とする。加熱手段としては、特に限定はさ ないが、温度制御の簡便性等より、通電に り発熱する電気抵抗線、例えば、周知のニ ケル、クロム、マンガン、鉄の合金からな ニクロム線や炭化珪素発熱体(非金属発熱体) 等の線材発熱体や、ニクロムや炭素等から形 成される面状ヒータ(メッシュ状、ラダー状 )が好ましい。又、PC鋼線材に直接通電して 熱させる方法や、金属製のシースに通電し 発熱させる方法も考えられる。

 加熱手段により樹脂組成物層を加熱する 法としては、シースやその外部に加熱手段( 発熱体)を設け樹脂組成物層の外部より加熱 る方法、シースの内部のPC鋼線材間やPC鋼線 とシースの間、特に樹脂組成物層内に加熱 段を設けて加熱する方法等が挙げられる。 熱の効率の点からは、シースの内部、特に 脂組成物層内に加熱手段を設ける方法が好 しい。

 具体的には、予め樹脂組成物層にニクロ 線等の発熱体を配設しておき、通電発熱さ る方法を例示することができる。さらに、 レグラウトPC鋼材の外周に、面状ヒータ等 配して加熱する方法も例示できる。

 本発明のプレグラウトPC鋼材は、さらに、 脂組成物層が、常温では流動性がありかつ 期間硬化しないが、高温で加熱することに り硬度発現に至る時間が短縮し、所定の期 内に硬化することを特徴とする。より具体 には、当該樹脂組成物層は、
(1)25℃において30日間保存後の粘度をη30Dとし 、保存前の粘度をη0Dとしたときのlog(η30D)/log (η0D)が1.10以下である、及び、
(2)150℃で4時間加熱されることにより6月以内 硬化する、
との条件を充足する。

 25℃において30日間保存後の粘度をη30Dと 、保存前の粘度をη0Dとしたときのlog(η30D)/l og(η0D)が1.10以下との条件を充足する樹脂組成 物層は、常温(プレグラウトPC鋼材が、施工前 の保管中等の間にさらされる温度)では長期 硬化しないものである。その結果、海外でPC ポストテンション工法を実施する場合等で必 要なプレグラウトPC鋼材の長期保管を可能に る。又、これを用いたPCポストテンション 法では詳細なスケジュール管理を軽減する とが可能になる。

 又、プレグラウトPC鋼材は、硬化前のコ クリート内に埋設され、コンクリートの硬 後に緊張が行われる。コンクリートの硬化 際には、その硬化に伴う水和発熱に曝され コンクリート内が100℃に近くの高温になる 合があり、熱硬化性の樹脂組成物が早期硬 しやすくなり、その結果緊張が不可能にな ことも考えられる。しかし、25℃において30 間保存後の粘度をη30Dとし、保存前の粘度 η0Dとしたときのlog(η30D)/log(η0D)が1.10以下と 条件を充足する樹脂組成物層は、100℃に近 の高温に加熱されても短期間では硬化しな ので、このような問題を防ぐことができコ クリートの硬化後にPC鋼線材を緊張させる とができる。

 一方、150℃で4時間加熱されることにより 6月以内に硬化するとの条件を充足する樹脂 成物層は、高温(例えば100℃以上)に加熱する ことにより、短い期間で硬度を発現し硬化す るものである。樹脂組成物層が短い期間で硬 化することにより、PC鋼線材とコンクリート 一体化を短い期間で達成することができ施 期間の短縮を可能にする。

 なお、「150℃で4時間加熱されることによ り6月以内に硬化」とは、150℃で4時間加熱し 後室温で放置しても6月以内に硬化すること を意味する。硬化するとは、コンクリートと 鋼材との間の一体化に必要な硬度となること を意味し、通常、樹脂組成物層のショアD硬 が20Dに到達することを意味する。前記の条 を充足する樹脂組成物層の中でも、さらに 150℃の加熱で4時間以内に硬化する」との条 を充足するものが好ましい。この条件を充 することにより、施工期間をより短縮する とができる。

 実際の施工においては、後述のように、 脂組成物層の加熱温度は100~150℃が好ましい 。従って、緊張の作業後は前記加熱手段によ り樹脂組成物層は100℃を超える高温に加熱さ れる。即ち樹脂組成物層は、100℃以下では硬 化しにくく、一方100℃を超える高温に加熱さ れることで硬度発現に至る時間が短縮する樹 脂からなる。

 本発明のプレグラウトPC鋼材を構成する 数のPC鋼線材としては、従来のプレグラウト PC鋼材と同様なものを用いることができる。 体的には、鋼線、鋼棒等であり、特に、鋼 を複数本撚りあわせたものが用いられる。 の太さや本数、その強度、撚りあわせ状態 も、従来のプレグラウトPC鋼材におけるPC鋼 線材と同様である。PC鋼線材間に発熱体(ニク ロム線等)を設ける場合は、PC鋼線材と発熱体 を束ねて一緒に撚りあわせてもよい。

 前記樹脂組成物層は、PC鋼線材を収納す ように配される。即ち、PC鋼線材の外周は、 前記樹脂組成物層により被覆されるように設 けられる。樹脂組成物層の厚さとしては、20 m以上であることが好ましい。この厚みが20μ m未満になると、緊張時にPC鋼材とシースとの 間の縁切りが十分でなくなり、摩擦係数が大 きくなり充分な緊張を行えなくなる。

 PC鋼線材の外周には、前記樹脂組成物層 外に、さらに他の層が設けられていてもよ 。例えば、PC鋼線材の表面が他の層で被覆さ れ、その外側に前記樹脂組成物層が形成され てもよい。

 本発明のプレグラウトPC鋼材を構成する ースも、従来のプレグラウトPC鋼材に使用さ れているシースと同様なものが使用でき、樹 脂製のシースや金属製のシースを例示するこ とができる。ただし、樹脂製のシースの場合 は、熱硬化性樹脂の加熱に耐える耐熱性を有 するものでなければならない。このようなシ ースを形成する樹脂としては、ポリエチレン 、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン テレフタレート等が例示される。金属シース の場合、通電により加熱手段(発熱体)とする ともできる。シース表面には、コンクリー との固定を確実にするため好ましくは凹凸 形成されている。

 本発明のプレグラウトPC鋼材であって、PC 鋼線材間又はPC鋼線材の外周部に発熱体(ニク ロム線)を設けるものは、例えば、PC鋼線材間 又はPC鋼線材の外周に絶縁被覆した発熱体を 設したものを、シース内に挿入し、その後 シース内に、流動性のある熱硬化性樹脂を 出し、PC鋼線材等を被覆する方法により製 することができる。又、PC鋼線材をシース内 に挿入した後、さらに、その外周部に発熱体 を挿入し、その後、熱硬化性樹脂の押出しを してもよい。

 このようにして得られる本発明のプレグ ウトPC鋼材は、その長さ方向に垂直な断面 おいて、中心部にPC鋼線材(通常、複数本の 線を撚り合わせたもの)があり、その周囲が 硬化性樹脂組成物からなる樹脂組成物層で 覆され、さらにその周囲がシースで被覆さ ている。PC鋼線材が、さらにシースにより われる結果、その防食がより完全なものと る。

 請求項2に記載の発明は、前記樹脂組成物 層は、エポキシ樹脂及び潜在性硬化剤を含有 することを特徴とする請求項1に記載のプレ ラウトPC鋼材である。

 エポキシ樹脂としては、例えばビスフェ ールAジグリシジルエーテル、ビスフェノー ルFジグリシジルエーテル、ノボラック樹脂 リシジルエーテル、テトラグリシジルアミ ジフェニルメタン等を挙げることができる エポキシの硬化は発熱反応であるので、プ グラウトPC鋼材の断面内に一箇所で急速に硬 化が開始すると、その周辺のある程度の範囲 の硬化が加速される。

 潜在性硬化剤とは、エポキシ樹脂の硬化剤 あって、低温(常温)では硬化作用を示さず 高温等にすると硬化作用を示す硬化剤であ 、ジヒドラジド類、ジフェニルジアミノス ホン、ジシアンジアミド、イミダゾールお びその誘導体、及びBF 3 ・アミノ錯体等を挙げることができる。中で も、ジシアンジアミドが潜在性硬化剤として 好適に用いられる。潜在性硬化剤としては、 例示されたような硬化剤の一種を用いてもよ いが二種以上の組合せでもよい。

 さらに、潜在性硬化剤は、その硬化作用 増大させるためや硬化温度を制御するため 硬化促進剤を併用してもよい。硬化促進剤 しては、イミダゾール系、有機リン系、ア ン系等を挙げることができる。ジシアンジ ミドと併用される硬化促進剤としては、イ ダゾール系化合物を例示することができる 潜在性硬化剤の組成割合は、所定の硬化速 、硬化温度を得るように設定される。さら 、所定の硬化速度、硬化温度を得るために 前記硬化促進剤の含有割合を適宜に調整す 。樹脂組成物には、必要に応じて希釈剤、 填剤、増粘剤等を配合することもできる。

 このようにして得られる本発明のプレグ ウトPC鋼材は、PCポストテンション工法で使 用することができる。請求項3に記載のPCポス トテンション工法は、請求項1又は2に記載の レグラウトPC鋼材をコンクリート型枠内に 設し、前記型枠内にコンクリートを打設し 前記コンクリートが所定強度を発現した後 、前記PC鋼線材を緊張させ、前記樹脂組成物 層を前記加熱手段により加熱し、前記樹脂組 成物層を6月以内で硬化させる工程を含むこ を特徴とするPCポストテンション工法である 。

 このPCポストテンション工法では、硬化 のコンクリート内に前記本発明のプレグラ トPC鋼材を埋設し、コンクリートが硬化した 段階でPC鋼線材を緊張する。これらの点は、 来のPCポストテンション工法と同様である 又、PC鋼線材の両端は定着具で定着させるが 、この点も同様である。

 本発明のPCポストテンション工法は、前 PC鋼線材を緊張させた後、前記樹脂組成物層 を、前記加熱手段により、樹脂組成物層の硬 度が短期間で発現するように加熱することを 特徴とする。ここで、硬度が発現する期間は 、所望の施工期間により変動し具体的には限 定されないが、通常6月以内である。即ち、 ましくは、前記樹脂組成物層は、前記加熱 段により、樹脂組成物層が6月以内に20Dの硬 を発現するものとなるように加熱される。 の加熱により樹脂組成物層は短期間(例えば 、6月以内)で硬化し、この硬化によりPC鋼線 とコンクリート間は一体化して、緊張力を えたPC鋼線材の反力によりコンクリートに圧 縮応力を与える。本発明のPCポストテンショ 工法によれば、樹脂組成物層の硬化、即ちP C鋼線材とコンクリート間の一体化は短期間 達成されるので、施工期間の短縮を可能と る。

 樹脂組成物層を短期間で硬化するものと るための加熱温度は、100℃以上が好ましく より好ましくは120℃ないし150℃である。前 のように、コンクリートの硬化時にはコン リート内が100℃近くになる場合もあるので 樹脂組成物層は100℃未満では硬化しにくい のが用いられる。このような樹脂組成物層 硬化を短期間で達成できるようにするため は100℃以上の加熱が必要となるが、硬度発 に至る時間をより短縮するためにはが120℃ 上が好ましい。

 一方、加熱温度が高すぎる場合は、揮発 分からのガス発生、鋼材の強度低下、樹脂 変性、シースが樹脂製の場合はシース材の 形を招くおそれがあるので、150℃以下が好 しい。なお、寒冷地での施工の場合等、硬 の際に達するコンクリート内の温度が100℃ りはるかに低い場合は、より低温での加熱 よっても短期間で硬化する樹脂組成物層を いることも可能であり、この場合より低い 熱温度としてもよい。

 樹脂組成物層を短期間で硬化するものと るために必要な加熱時間は、樹脂の種類や 熱温度等により変動するが、樹脂組成物層 、150℃で4時間加熱されることにより6月以 に硬化するとの条件を満たすので、加熱温 が150℃の場合、通常4時間程度の加熱でよい ただし、より長い加熱時間とすることによ 、樹脂組成物層が硬化する期間、しいては 工期間をさらに短縮できる。加熱温度が150 より低い場合は、より長い加熱時間が求め れ、一方、加熱温度が150℃より高い場合は より短い加熱時間でよい。又、加熱温度を げる、又は加熱時間を長くする、ことによ 硬度が発現する期間を短縮でき、施工期間 短縮を達成することができる。

 本発明のプレグラウトPC鋼材は、従来の レグラウトPC鋼材と比べて、保管期間が非常 に長く、海外での施工にも十分対応できるも のであるので、PCポストテンション工法に用 ることにより、細かな工程管理を軽減でき 。従って、本発明のPCポストテンション工 では細かな工程管理が軽減できる。又、緊 後のPC鋼材とコンクリートとの一体化を短期 間で達成することができ、施工期間を短縮が 可能である。

本発明のプレグラウトPC鋼材の部分切 欠き斜視図(a)及び断面図(b)である。

符号の説明

1     PC鋼材
1a    PC鋼線材
1b    PC鋼撚り線材
2     樹脂組成物層
3     シース
4     発熱体

 以下、本発明の実施形態について図面を 照して説明するが、実施形態は例示であり 本発明はこの実施形態に限定されるもので ない。

 図1は、実施形態のプレグラウトPC鋼材の 分切り欠き斜視図(図1(a))、及び断面図(図1(b ))である。図示のように、この実施形態のプ グラウトPC鋼材Aは、断面視では複数(図示で は7本)のPC鋼線材を用いたPC鋼材1を中心とし このPC鋼材1の外周に樹脂組成物層2を介在さ 、さらにその周りをシース3で囲んで形成さ れている。そしてPC鋼線材は、中心のPC鋼線 1aの周りを、複数のPC鋼線材(以後、PC鋼撚り 材1bと言う。)で囲み、かつPC鋼撚り線材1bを 長さ方向に撚り合わせてPC鋼材1を形成し、PC 材1とシース3との間の樹脂組成物層2内又は の樹脂組成物層2の外周付近に、複数本の発 熱体(加熱手段)4が配設されている。

 PC鋼線材1a、PC鋼撚り線材1bとしては、例え 素線径5mmφ、強度レベル2200N/mm 2 の高強度鋼撚り線材の4本(芯線を含む)と、素 線径5mmφ、強度レベル600N/mm 2 の低強度鋼撚り線材の3本を用い、6本のPC鋼 り線材1bは、上記高強度鋼撚り線材と低強度 鋼撚り線が互いに隣り合うように配置された 異種混合PC鋼撚り線の配置構成とすることが きる。ただし、異種混合PC鋼撚り線以外のPC 鋼線を採用しても良い。

 樹脂組成物層2は、PC鋼材1の製造過程で上 記シース3の内側に予め充填されるため、現 でのグラウト作業を不要にする。この樹脂 成物層2は、後述の実施例に示されるような ポキシ樹脂及び潜在性硬化剤からなる樹脂 成物からなる。

 シース3は、例えば、ポリエチレンを含む 樹脂材からなる。前記の例示のような他の樹 脂からなるシースや金属製のシースを代わり に用いることもできる。このシース3は、発 体4への通電時に絶縁、保温効果を有するほ 、樹脂組成物層2の漏出防止の機能もある。 その外周は凹凸形状に形成されているため、 コンクリートとの高い付着強度が得られる。

 発熱体4は、樹脂組成物層2中にPC鋼材1の さ方向に沿ってPC鋼材1とは平行にかつ非接 状に、複数本(6本)配置されている。但し、 脂組成物層2の表面、あるいはその表面と層 の両方に配置してもよい。又、発熱体4は、 各PC鋼撚り線材1bの撚りと平行、即ち撚りに って捻るように配置してもよい。この発熱 4には、通電することにより発熱する線状の 熱式発熱体が用いられている。

 プレグラウトPC鋼材Aには、発熱体4に必要 な電力を送電できるように通電装置(図示さ ていない。)が使用される。この通電装置は 上述したように、通電時の発熱がその表面 少なくとも100℃以上、好ましくは120℃~150℃ に加熱し得るに十分な電力を送電できるもの とする。この場合、複数の発熱体4の両端に 通電装置の接続線の接続プラグ(図示されて ない。)がそれぞれ接続される。

 下記のエポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進 、増粘剤、添加剤(炭酸カルシウム、酸化カ ルシウム)を用いて、表1に示す処方で、実施 1~7、比較例1~3の樹脂組成物を得た。

[エポキシ樹脂]
 エピコート828(商品名、ジャパンエポキシレ ジン社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)
 エピコート1002(商品名、ジャパンエポキシ ジン社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)
[硬化剤]
 潜在性硬化剤:ジシアンジアミド(表中、DICY 示す。)
 湿気硬化型硬化剤:エピキュアH3(商品名、ジ ャパンエポキシレジン社製、ケチミン系)
[硬化促進剤]
 2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾ ール:2PHZ-PW(商品名、四国化成工業社製)
 2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’ )]-エチル-s-トリジアン:2MZ-A(商品名、四国化 工業社製)

[増粘剤]
 アエロジル(商品名、日本アエロジル社製)
[添加剤]
 炭酸カルシウム:ホワイトンP-30(商品名、白 工業社製)
 酸化カルシウム:ミクロライム(商品名、入 産業社製)

 得られた樹脂組成物を25℃において30日間 保存したときの、保存前の粘度をη0Dとし保 後の粘度をη30Dとし、log(η30D)/log(η0D)を算出 た。なお、粘度の測定は、E型粘度計(レオ ジ社製、MR-300VII型)を用いて行った。

 又、得られた樹脂組成物を表1、表2に記 の温度、時間で加熱し、加熱した直後、及 加熱後6月放置した後の硬化状態を測定した 硬化状態の測定では、JIS K-7215に準拠して ョアD硬度を測定し、コンクリートと鋼材と 間の一体化に必要な樹脂組成物層の硬度(シ ョアD硬度 20D以上)となったものを硬化とし この硬度に達しないもの、硬化が観測され いものを未硬化とした。

 各測定結果を、表1に併せて示す。なお、 表中の組成は、エポキシ樹脂100重量部に対す る重量部を示す。

 さらに、得られた樹脂組成物の保存安定 を評価するために、200℃で1分加熱しその後 40℃で4月放置した後の粘度を測定した。この 測定は、プレグラウトPC鋼材の製造において 例えばポリエチレン(シース)被覆の際に、 脂組成物層が200℃程度で1分程度加熱される 合があるが、このような場合でのプレグラ トPC鋼材の保存安定性を評価するために行 たものである。測定結果は、30000Pa・s以下を 良好とし、表1、表2の「保存安定性」の欄に した。なお、硬化が進み粘度が測定不可能 場合は、「保存安定性」の欄に「硬化」と した。

 表1、2に示されているように、実施例1~7 樹脂組成物は、log(η30D)/log(η0D)が1.10以下と 条件を充足する。従って、この樹脂組成物 用いたプレグラウトPC鋼材は、常温(プレグ ウトPC鋼材が、施工前の保管中等の間にさら される温度)での長期保管が可能であり、又 の樹脂組成物は、コンクリートの水和発熱 より100℃近くの高温に加熱されても短期間 は硬化しないものである。

 一方、比較例2の樹脂組成物は、25℃で30 以内に硬化し、従ってlog(η30D)/log(η0D)が1.10 下との条件を充足しない。又、比較例3の樹 組成物は、25℃で30日後に粘度上昇が見られ 、log(η30D)/log(η0D)が1.10以下との条件を充足し ない。従って、これらの樹脂組成物を用いた プレグラウトPC鋼材は、常温での長期保管が 難であるので、判定を×として、表2に示し 。

 実施例1~7では、潜在性硬化剤とイミダゾ ル系の硬化促進剤を用いたが、比較例2では 潜在性硬化剤とトリアジン系の硬化促進剤を 用い、又、比較例3では従来の湿気硬化型硬 剤を使用している。以上の結果からエポキ 樹脂と、特定の潜在性硬化剤と硬化促進剤 併用することが好ましいと考えられる。

 表1、2に示されているように、実施例1、3 、5の樹脂組成物は、150℃、2~4時間の加熱で 化する。従って、この樹脂組成物によりプ グラウトPC鋼材の樹脂組成物層を形成し、PC 材緊張後に加熱手段により加熱することに り樹脂組成物層を迅速に硬化することがで 、施工期間を短縮することができる。前記 ように、この樹脂組成物を用いたプレグラ トPC鋼材は、室温での長期保管も可能との 徴も有しており、従って、特に好適なプレ ラウトPC鋼材である。そこで、これらの判定 を◎として表1、2に示した。

 硬化剤及び硬化促進剤の配合量が少ない 施例2では、150℃、4時間の加熱を行っても 熱直後は硬化しない。又、加熱温度は150℃ あるものの加熱時間が2時間の実施例4、加熱 温度が120℃の実施例6でも、加熱直後は硬化 ない。しかし、これらは加熱後の常温での 置で6月以内に樹脂組成物の硬化が確認され いる。従って、これらは150℃、4時間の加熱 を行えば6月以内に硬化するものであり、本 明のプレグラウトPC鋼材を形成することがで きる樹脂組成物である。そこで、これらの判 定を○として表1、2に示した。一方、硬化促 剤を使用していない比較例1は、150℃、4時 加熱でも未硬化であり、さらにその後6月常 で放置しても未硬化であった。従ってプレ ラウトPC鋼材への使用は困難である。そこ 、これらの判定を×として表1に示した。

 加熱温度が120℃の実施例7でも、加熱直後 は硬化しないが、常温で放置して6月以内に 脂組成物の硬化が確認されている。従って 前記の実施例6等と同様に、本発明のプレグ ウトPC鋼材を形成することができる樹脂組 物である。さらに、実施例7の樹脂組成物は 200℃で1分加熱しその後40℃で4月放置した後 の粘度上昇が小さく、保存安定性が良好との 特徴を有する。そこで、これらの判定を◎と して、表2に示した。実施例7は、メチルカル トールを用いていない例である。この結果 り、保存安定性向上のためには、メチルカ ビトール等の溶媒を用いない方が好ましい 考えられる。