Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
PROCESS FOR CHARGING LIQUEFIED AMMONIA, PROCESS FOR PRODUCTION OF NITRIDE CRYSTALS, AND REACTOR FOR GROWTH OF NITRIDE CRYSTALS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/044651
Kind Code:
A1
Abstract:
A process for charging liquefied ammonia by conducting successively the feeding step of feeding gaseous ammonia to a condenser, the liquefaction step of liquefying the gaseous ammonia in the condenser, and the charging step of feeding the ammonia liquefied in the condenser to a container to charge the container with liquefied ammonia, wherein between the liquefaction step and the charging step, the cooling step of feeding ammonia liquefied in the condenser to the container to cool the container with the latent heat due to vaporization of the liquefied ammonia and the cycling step of feeding gaseous ammonia formed by the vaporization of liquefied ammonia in the cooling step to the condenser are carried out.

Inventors:
KATOU YUUICHI (JP)
WATANABE TAKAO (JP)
HIRUTA KAZUNORI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/067172
Publication Date:
April 09, 2009
Filing Date:
September 24, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
MITSUBISHI CHEM CORP (JP)
KATOU YUUICHI (JP)
WATANABE TAKAO (JP)
HIRUTA KAZUNORI (JP)
International Classes:
B01J3/02; C30B29/38; F17C6/00; F25B45/00; G05D7/06
Foreign References:
JP2005008444A2005-01-13
JPH07243712A1995-09-19
JP2003044146A2003-02-14
JP2001271998A2001-10-05
JP2005289797A2005-10-20
JPH09273837A1997-10-21
Other References:
R. DWILINSKI ET AL., ACTA PHYSICA POLONICA A, vol. 88, 1995, pages 833
KOLIS ET AL., J. CRYSTAL GROWTH, vol. 222, 2001, pages 431
CHEN ET AL., J. CRYSTAL GROWTH, vol. 209, 2000, pages 208
Attorney, Agent or Firm:
SIKs & Co. (Kyobashi-Nisshoku Bldg.8-7, Kyobashi 1-chom, Chuo-ku Tokyo 31, JP)
Download PDF:
Claims:
 凝縮器にガスアンモニアを供給する供給工程と、
 前記凝縮器において前記ガスアンモニアを液化アンモニアにする液化工程と、
 前記凝縮器において生じた液化アンモニアを容器に供給し、前記容器内に液化アンモニアを充填する充填工程と、を順に実施する液化アンモニアの充填方法において、
 さらに前記液化工程と前記充填工程の間において下記の工程群(A)を実施するか、前記充填工程の後に下記の工程群(B)を実施するか、あるいは、これらの両方の工程群を実施することを特徴とする液化アンモニアの充填方法。
[工程群(A)]
 前記凝縮器において生じた液化アンモニアを容器に供給し、前記液化アンモニアの気化による潜熱によって前記容器を冷却する冷却工程と、
 前記冷却工程において液化アンモニアの気化によって生じたガスアンモニアを前記凝縮器に供給する循環工程
[工程群(B)]
 前記容器への液化アンモニアの出入りを停止した状態で、前記アンモニア充填装置内に存在する総アンモニア量M1と前記容器以外の前記アンモニア充填装置内に存在するアンモニア量M2を求める計測工程と、
 前記計測工程において求めたM1とM2の差(M1-M2)と、容器内への液化アンモニア予定充填量(MC)との差(M1-M2-MC)に相当する量の液化アンモニアを前記容器から排出する充填量調整工程
 前記容器は、前記液化アンモニアが供給される供給口と、前記ガスアンモニアを容器外に排出する排出口とを有することを特徴とする請求項1に記載の液化アンモニアの充填方法。
 前記容器は、前記液化アンモニアを供給し且つ前記ガスアンモニアを容器外に排出するための送通口を1つ有することを特徴とする請求項1または2に記載の液化アンモニアの充填方法。
 凝縮器にガスアンモニアを供給する供給工程と、
 前記凝縮器において前記ガスアンモニアを液化アンモニアにする液化工程と、
 前記凝縮器において生じた液化アンモニアを容器に供給し、前記液化アンモニアの気化による潜熱によって前記容器を冷却する冷却工程と、
 前記冷却工程において液化アンモニアの気化によって生じたガスアンモニアを前記凝縮器に供給する循環工程と、
 前記凝縮器において生じた液化アンモニアを前記容器に供給し、前記容器内に液化アンモニアを充填する充填工程と、
を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の液化アンモニアの充填方法。
 前記供給工程において、質量流量計によって前記ガスアンモニアの供給量を計測することを特徴とする請求項4に記載の液化アンモニアの充填方法。
 前記供給工程において、前記質量流量計によって計測した計測値に応じて、前記ガスアンモニアの供給量を調整することを特徴とする請求項5に記載の液化アンモニアの充填方法。
 余剰のガスアンモニアを系外に排出する排出工程を有することを特徴とする請求項4~6のいずれか1項に記載の液化アンモニアの充填方法。
 前記排出工程において、質量流量計によって前記ガスアンモニアの排出量を計測することを特徴とする請求項7に記載の液化アンモニアの充填方法。
 前記液化工程における前記凝縮器による前記ガスアンモニアの液化速度が、前記冷却工程における前記液化アンモニアの気化速度よりも速いことを特徴とする請求項4~8のいずれか1項に記載の液化アンモニアの充填方法。
 前記凝縮器にガスアンモニアを供給する供給工程と、
 前記凝縮器において前記ガスアンモニアを液化アンモニアにする液化工程と、
 前記凝縮器において生じた液化アンモニアを前記容器に供給して、前記容器内に液化アンモニアを充填する充填工程と、
 前記容器への液化アンモニアの出入りを停止した状態で、前記アンモニア充填装置内に存在する総アンモニア量M1と前記容器以外の前記アンモニア充填装置内に存在するアンモニア量M2を求める計測工程と、
 前記計測工程において求めたM1とM2の差(M1-M2)と、容器内への液化アンモニア予定充填量(MC)との差(M1-M2-MC)に相当する量の液化アンモニアを前記容器から排出する充填量調整工程と、
を含むことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の液化アンモニアの充填方法。
 前記アンモニア充填装置内に存在する総アンモニア量M1を、前記アンモニア充填装置に供給した総アンモニア量(Min)と、前記アンモニア充填装置から排出された総アンモニア量(Mout)とを計測し、それらの差(Min-Mout)を計算することにより求めることを特徴とする請求項10に記載の液化アンモニアの充填方法。
 前記容器以外の前記アンモニア充填装置内に存在するアンモニア量M2を、前記アンモニア充填装置の前記容器以外の領域に存在するアンモニアを前記アンモニア充填装置外に排出しながら計測することを特徴とする請求項10または11に記載の液化アンモニアの充填方法。
 前記アンモニア充填装置が、装置内へのガスアンモニア導入量を計測するための第1質量流量計を備えていることを特徴とする請求項10~12のいずれか1項に記載の液化アンモニアの充填方法。
 前記第1質量流量計によって、前記アンモニア充填装置に供給した総アンモニア量(Min)を計測することを特徴とする請求項13に記載の液化アンモニアの充填方法。
 前記アンモニア充填装置が、装置外へのガスアンモニア排出量を計測するための第2質量流量計を備えていることを特徴とする請求項10~14のいずれか1項に記載の液化アンモニアの充填方法。
 前記第2質量流量計によって、前記アンモニア充填装置から排出した総アンモニア量(Mout)を計測することを特徴とする請求項15に記載の液化アンモニアの充填方法。
 前記第2質量流量計によって、前記充填量調整工程において前記容器から排出したアンモニア量を計測することを特徴とする請求項15または16に記載の液化アンモニアの充填方法。
 前記充填工程において、前記凝縮器において生じた液化アンモニアを前記容器に供給しながら前記液化アンモニアの気化による潜熱によって前記容器の冷却も行うことを特徴とする請求項10~17のいずれか1項に記載の液化アンモニアの充填方法。
 前記気化により生じたガスアンモニアを前記アンモニア充填装置外に排出することを特徴とする請求項18に記載の液化アンモニアの充填方法。
 前記気化により生じたガスアンモニアを前記凝縮器に循環させることを特徴とする請求項18に記載の液化アンモニアの充填方法。
 前記循環を行っている間は前記アンモニア充填装置内にガスアンモニアを新たに供給しないことを特徴とする請求項20に記載の液化アンモニアの充填方法。
 原料を備えた容器に請求項1~21のいずれか1項に記載の液化アンモニアの充填方法によって液化アンモニアを充填するアンモニア充填工程と、
 前記アンモニア充填工程において液化アンモニアを充填した前記容器を昇温し、窒化物結晶を生成する結晶化工程と、
を含むことを特徴とする窒化物結晶の製造方法。
 前記結晶化工程において少なくとも前記容器内を20~500MPaに保持することを特徴とする請求項22に記載の窒化物結晶の製造方法。
 前記結晶化工程において少なくとも前記容器内を150~800℃に昇温することを特徴とする請求項22または23に記載の窒化物結晶の製造方法。
 前記容器内に少なくとも1種類のハロゲン原子を含む添加物を添加する工程を含むことを特徴とする請求項22~24のいずれか一項に記載の窒化物結晶の製造方法。
 耐圧性を有し、密閉可能な窒化物結晶成長用反応容器であって、
 バルブを有する少なくとも2つの送通手段を有することを特徴とする窒化物結晶成長用反応容器。
Description:
液化アンモニアの充填方法、窒 物結晶の製造方法、および、窒化物結晶成 用反応容器

 本発明は液化アンモニアの充填方法、並 に、これを利用した窒化物結晶の製造方法 特に窒化ガリウムに代表される周期表第13 元素(以下「第13族元素」という)窒化物の高 質な塊状結晶の製造方法に関する。また、 発明は前記窒化物結晶の製造方法を実施す ために用いる窒化物結晶成長用容器にも関 る。

 窒化ガリウム(GaN)は、発光ダイオードお びレーザーダイオード等の電子素子に適用 れる物質として有用である。この窒化ガリ ム結晶の製造方法としては、現在サファイ または炭化ケイ素等のような基板上にMOCVD(Me tal-Organic Chemical Vapor Deposition)法による気相 ピタキシャル成長を行う方法が最も一般的 ある。しかし、この方法ではGaNの格子定数 熱膨張係数が異なる基板上にGaN結晶をヘテ エピタキシャル成長させるため、得られるG aN結晶に転位や格子欠陥が発生しやすく、青 レーザー等で応用可能な品質を得ることが 難であるという問題があった。

 そこで、近年、前記方法に代わる、ホモエ タキシャル基板用の高品質な窒化ガリウム 塊状単結晶の新しい製造技術の確立が強く まれている。かかる新しい窒化ガリウム結 の製造方法の一つとして、アンモニアを溶 とした窒化物の溶液成長方法(いわゆる、ア モノサーマル法)が提案されている。R. Dwilins kiらは、100~500MPaの高圧下、超臨界状態のアン モニアを溶媒とし、結晶化のための鉱化剤と してKNH 2 を用い、窒化ガリウム結晶を得ている(非特 文献1参照)。また、Kolisらは、240MPaの高圧下 超臨界状態のアンモニアを溶媒とし結晶化 ための鉱化剤としてKNH 2 およびKIを用い、窒化ガリウム結晶を得てい (非特許文献2参照)。また、Chenらは、Ptでラ ニングした反応容器を用いて、約200MPaの高 下、超臨界状態のアンモニアを溶媒とし、 晶化のための鉱化剤としてNH 4 Clを用い、窒化ガリウム結晶を得ている(非特 許文献3参照)。

 これら窒化ガリウム結晶の製造方法にお ては、耐圧性の反応容器(例えばオートクレ ーブ等)をまず冷却し、冷却後にアンモニア 充填することが行われている。反応容器へ アンモニアの充填方法としては、例えば、 応容器を外部から液体窒素、ドライアイス りメタノール等の冷媒によって冷却し、ガ アンモニアを凝縮しながら充填する方法が る(例えば、特許文献1および2参照)。しかし これらの冷却方法は、充填精度が低くいと う問題がある。また、大型の反応容器へ適 しようとすると、熱容量の大きな圧力容器 体を容器外部から冷却するため、冷却設備 移動型の設備等に対するコストの点で不利 なる。

 また、液化アンモニアを直接容器に充填 る方法も知られている(例えば、非特許文献 4参照)。この方法によれば、充填の際に液化 ンモニアが気化する際の潜熱により、容器 冷却することができる。このため、容器を め冷却する必要がなく、室温でアンモニア 充填も可能である。しかし、液体のアンモ アを直接充填すると、アンモニア中に存在 る不純物のため、アンモニアの純度が悪く ってしまう。

 また、プランジャーポンプによってアンモ アを充填する方法も知られている。しかし 高圧設備が必要となり、充填精度を高める とが難しい。さらに、ポンプや配管から不 物がアンモニア中に混入する可能性が高く 充填したアンモニアの純度を高めることが 難である。

特開2005-289797号公報

特開平9-273837号公報 R. Dwilinski etal., ACTA PHYSICA POLONICA A Vol .88(1995) 833頁 Kolis etal., J. Crystal Growth 222 (2001) 431 Chen etal., J. Crystal Growth 209 (2000) 208頁 下光太郎著、「液安有機化学」技報堂(19 57年)

 上述のように、従来のアンモニアの充填 法は、大型の反応容器に適用した際にエネ ギーや費用面で改善点が多くあった。特に アモノサーマル法を用いた窒化物結晶の製 方法においては、大型炉にも容易に適用す ことができ、充填精度が高いことが求めら る。

 アモノサーマル法を用いた窒化物結晶の 造方法においては、例えば、内容積が110リ トルで12tを超えるような大型の炉が用いら ることがある。大型炉の場合には、圧力容 となる炉の移動が困難であり、冷却槽によ 冷却にも向いていない。また、大型炉の場 には、炉自体の熱容量が大きくなり、冷却 は大きなエネルギーが必要となる。このよ な大型炉を用いた場合にも、安全に、高純 のアンモニアを精度よく、また効率的に充 する方法が求められている。

 また、窒化物結晶の製造方法においては 反応容器へのアンモニアの充填精度が重要 なる。これは、窒化物結晶の結晶育成圧力 、アンモニアの充填率と温度とで決定され ためであり、例えば、充填率が1%変わると 結晶の育成圧力は約4.5MPaも変化してしまう このため、アンモニアを精度良く充填でき ければ反応容器内の到達圧力を予測するこ が難しくなり、運転条件の適正化などが困 になる。

 これらの諸問題を解決すべく、本発明は 高純度のアンモニアを高い精度で充填する とができる液化アンモニアの充填方法、並 に、これを利用した窒化物結晶の製造方法 および、該窒化物結晶の製造方法に用いら る窒化物結晶成長用反応容器を提供するこ を目的とする。

 上記の課題は、以下の本発明により達成さ る。
[1] 凝縮器にガスアンモニアを供給する供給 程と、
 前記凝縮器において前記ガスアンモニアを 化アンモニアにする液化工程と、
 前記凝縮器において生じた液化アンモニア 容器に供給し、前記容器内に液化アンモニ を充填する充填工程と、を順に実施する液 アンモニアの充填方法において、
 さらに前記液化工程と前記充填工程の間に いて下記の工程群(A)を実施するか、前記充 工程の後に下記の工程群(B)を実施するか、 るいは、これらの両方の工程群を実施する とを特徴とする液化アンモニアの充填方法
[工程群(A)]
 前記凝縮器において生じた液化アンモニア 容器に供給し、前記液化アンモニアの気化 よる潜熱によって前記容器を冷却する冷却 程と、
 前記冷却工程において液化アンモニアの気 によって生じたガスアンモニアを前記凝縮 に供給する循環工程
[工程群(B)]
 前記容器への液化アンモニアの出入りを停 した状態で、前記アンモニア充填装置内に 在する総アンモニア量M1と前記容器以外の 記アンモニア充填装置内に存在するアンモ ア量M2を求める計測工程と、
 前記計測工程において求めたM1とM2の差(M1-M2 )と、容器内への液化アンモニア予定充填量(M C)との差(M1-M2-MC)に相当する量の液化アンモニ アを前記容器から排出する充填量調整工程
[2] 前記容器は、前記液化アンモニアが供給 れる供給口と、前記ガスアンモニアを容器 に排出する排出口とを有することを特徴と る[1]に記載の液化アンモニアの充填方法。
[3] 前記容器は、前記液化アンモニアを供給 且つ前記ガスアンモニアを容器外に排出す ための送通口を1つ有することを特徴とする [1]または[2]に記載の液化アンモニアの充填方 法。
[4] 凝縮器にガスアンモニアを供給する供給 程と、
 前記凝縮器において前記ガスアンモニアを 化アンモニアにする液化工程と、
 前記凝縮器において生じた液化アンモニア 容器に供給し、前記液化アンモニアの気化 よる潜熱によって前記容器を冷却する冷却 程と、
 前記冷却工程において液化アンモニアの気 によって生じたガスアンモニアを前記凝縮 に供給する循環工程と、
 前記凝縮器において生じた液化アンモニア 前記容器に供給し、前記容器内に液化アン ニアを充填する充填工程と、
を含むことを特徴とする[1]~[3]のいずれか一 に記載の液化アンモニアの充填方法。
[5] 前記供給工程において、質量流量計によ て前記ガスアンモニアの供給量を計測する とを特徴とする[4]に記載の液化アンモニア 充填方法。
[6] 前記供給工程において、前記質量流量計 よって計測した計測値に応じて、前記ガス ンモニアの供給量を調整することを特徴と る[5]に記載の液化アンモニアの充填方法。
[7] 余剰のガスアンモニアを系外に排出する 出工程を有することを特徴とする[4]~[6]のい ずれか1項に記載の液化アンモニアの充填方 。
[8] 前記排出工程において、質量流量計によ て前記ガスアンモニアの排出量を計測する とを特徴とする[7]に記載の液化アンモニア 充填方法。
[9] 前記液化工程における前記凝縮器による 記ガスアンモニアの液化速度が、前記冷却 程における前記液化アンモニアの気化速度 りも速いことを特徴とする[4]~[8]のいずれか 1項に記載の液化アンモニアの充填方法。
[10] 前記凝縮器にガスアンモニアを供給する 供給工程と、
 前記凝縮器において前記ガスアンモニアを 化アンモニアにする液化工程と、
 前記凝縮器において生じた液化アンモニア 前記容器に供給して、前記容器内に液化ア モニアを充填する充填工程と、
 前記容器への液化アンモニアの出入りを停 した状態で、前記アンモニア充填装置内に 在する総アンモニア量M1と前記容器以外の 記アンモニア充填装置内に存在するアンモ ア量M2を求める計測工程と、
 前記計測工程において求めたM1とM2の差(M1-M2 )と、容器内への液化アンモニア予定充填量(M C)との差(M1-M2-MC)に相当する量の液化アンモニ アを前記容器から排出する充填量調整工程と 、
を含むことを特徴とする[1]~[9]のいずれか一 に記載の液化アンモニアの充填方法。
[11] 前記アンモニア充填装置内に存在する総 アンモニア量M1を、前記アンモニア充填装置 供給した総アンモニア量(Min)と、前記アン ニア充填装置から排出された総アンモニア (Mout)とを計測し、それらの差(Min-Mout)を計算 ることにより求めることを特徴とする[10]に 記載の液化アンモニアの充填方法。
[12] 前記容器以外の前記アンモニア充填装置 内に存在するアンモニア量M2を、前記アンモ ア充填装置の前記容器以外の領域に存在す アンモニアを前記アンモニア充填装置外に 出しながら計測することを特徴とする[10]ま たは[11]に記載の液化アンモニアの充填方法
[13] 前記アンモニア充填装置が、装置内への ガスアンモニア導入量を計測するための第1 量流量計を備えていることを特徴とする[10]~ [12]のいずれか1項に記載の液化アンモニアの 填方法。
[14] 前記第1質量流量計によって、前記アン ニア充填装置に供給した総アンモニア量(Min) を計測することを特徴とする[13]に記載の液 アンモニアの充填方法。
[15] 前記アンモニア充填装置が、装置外への ガスアンモニア排出量を計測するための第2 量流量計を備えていることを特徴とする[10]~ [14]のいずれか1項に記載の液化アンモニアの 填方法。
[16] 前記第2質量流量計によって、前記アン ニア充填装置から排出した総アンモニア量(M out)を計測することを特徴とする[15]に記載の 化アンモニアの充填方法。
[17] 前記第2質量流量計によって、前記充填 調整工程において前記容器から排出したア モニア量を計測することを特徴とする[15]ま は[16]に記載の液化アンモニアの充填方法。
[18] 前記充填工程において、前記凝縮器にお いて生じた液化アンモニアを前記容器に供給 しながら前記液化アンモニアの気化による潜 熱によって前記容器の冷却も行うことを特徴 とする[10]~[17]のいずれか1項に記載の液化ア モニアの充填方法。
[19] 前記気化により生じたガスアンモニアを 前記アンモニア充填装置外に排出することを 特徴とする[18]に記載の液化アンモニアの充 方法。
[20] 前記気化により生じたガスアンモニアを 前記凝縮器に循環させることを特徴とする[18 ]に記載の液化アンモニアの充填方法。
[21] 前記循環を行っている間は前記アンモニ ア充填装置内にガスアンモニアを新たに供給 しないことを特徴とする[20]に記載の液化ア モニアの充填方法。
[22] 原料を備えた容器に[1]~[21]のいずれか1項 に記載の液化アンモニアの充填方法によって 液化アンモニアを充填するアンモニア充填工 程と、
 前記アンモニア充填工程において液化アン ニアを充填した前記容器を昇温し、窒化物 晶を生成する結晶化工程と、
を含むことを特徴とする窒化物結晶の製造方 法。
[23] 前記結晶化工程において少なくとも前記 容器内を20~500MPaに保持することを特徴とする [22]に記載の窒化物結晶の製造方法。
[24] 前記結晶化工程において少なくとも前記 容器内を150~800℃に昇温することを特徴とす [22]または[23]に記載の窒化物結晶の製造方法 。
[25] 前記容器内に少なくとも1種類の添加物 添加する工程を含むことを特徴とする[22]~[24 ]のいずれか1項に記載の窒化物結晶の製造方 。
[26] 前記添加物が少なくとも1種類のハロゲ 原子を含むことを特徴とする[25]に記載の窒 物結晶の製造方法。
[27] 前記原料中の酸素含有量が5質量%以下で ることを特徴とする[22]~[26]のいずれか1項に 記載の窒化物結晶の製造方法。
[28] 前記原料中に窒化ガリウムを含有するこ とを特徴とする[22]~[27]のいずれか1項に記載 窒化物結晶の製造方法。
[29] 前記容器内に少なくとも1種類の種結晶 設置し、前記結晶化工程においてアンモニ に溶解した前記原料が前記種結晶上に析出 ることを特徴とする[22]~[28]のいずれか1項に 載の窒化物結晶の製造方法。
[30] 耐圧性を有し、密閉可能な窒化物結晶成 長用反応容器であって、
 バルブを有する少なくとも2つの送通手段を 有することを特徴とする窒化物結晶成長用反 応容器。

 本発明によれば、高純度のアンモニアを い精度で充填することができる液化アンモ アの充填方法、並びに、これを利用した窒 物結晶の製造方法、および、該窒化物結晶 製造方法に用いられる窒化物結晶成長用反 容器を提供することができる。

本発明に用いられる液化アンモニア充 装置を示す概略図である。 バルブV1~V5、マスフローコントローラMF C1、MFC2およびセンサ6の電気的な構成を示す ロック図である。 循環法の供給工程時におけるバルブの 閉状態を示す概略図である。 循環法の循環冷却工程時におけるバル の開閉状態を示す概略図である。 調整工程の前におけるバルブの開閉状 を示す概略図である。 調整工程時におけるバルブの開閉状態 示す概略図である。 本発明の液化アンモニアの充填方法を 明するための流れ図である。 フロー法の供給工程時におけるバルブ 開閉状態を示す概略図である。 本発明の窒化物結晶の製造方法で用い れるオートクレーブの概略図である。 図 、1はアンモニアボンベ、2はコンデンサー、 3はオートクレーブ、4はアンモニア供給口、5 はアンモニア排出口、6はセンサ、7はアンモ ア除去塔、8は制御部、9は電気炉、10は熱電 対、3Aは結晶育成部、3Bは原料充填部を表す

 以下において、本発明の窒化物結晶の製 方法と製造装置について詳細に説明する。 下に記載する構成要件の説明は、本発明の 表的な実施態様に基づいてなされることが るが、本発明はそのような実施態様に限定 れるものではない。なお、本明細書におい 「~」を用いて表される数値範囲は、「~」 前後に記載される数値を下限値および上限 として含む範囲を意味する。

(1)本発明の液化アンモニアの充填方法の特徴 と応用
 本発明の液化アンモニアの充填方法は、凝 器にガスアンモニアを供給する供給工程と 前記凝縮器において前記ガスアンモニアを 化アンモニアにする液化工程と、前記凝縮 において生じた液化アンモニアを容器に供 し、前記容器内に液化アンモニアを充填す 充填工程とを順に必須工程として実施する 化アンモニアの充填方法である。その特徴 、前記凝縮器において生じた液化アンモニ を容器に供給し、前記液化アンモニアの気 による潜熱によって前記容器を冷却する冷 工程と、前記冷却工程において液化アンモ アの気化によって生じたガスアンモニアを 記凝縮器に供給する循環工程からなる工程 (A)を、前記液化工程と前記充填工程の間に いて実施するか;あるいは、前記容器への液 化アンモニアの出入りを停止した状態で、前 記アンモニア充填装置内に存在する総アンモ ニア量M1と前記容器以外の前記アンモニア充 装置内に存在するアンモニア量M2を求める 測工程と、前記計測工程において求めたM1と M2の差(M1-M2)と、容器内への液化アンモニア予 定充填量(MC)との差(M1-M2-MC)に相当する量の液 アンモニアを前記容器から排出する充填量 整工程からなる工程群(B)を前記充填工程の に実施するか;あるいは、これら工程群(A)と 工程群(B)をともに実施することにある。工程 群(A)と工程群(B)は両方とも実施することが最 も好ましい。

(1-1)工程群(A)を実施する充填方法の特徴
 本発明の液化アンモニアの充填方法では、 ず、容器を冷却するために、凝縮器にガス ンモニアを供給して液化アンモニアを生成 、これを容器に供給する。前記液化アンモ アは容器内で気化し、その潜熱によって前 容器が冷却される。工程群(A)を実施する充 方法では、容器内の気化によって生じたガ アンモニアは、再度凝縮器に供給される。 程群(A)を実施する充填方法では、このよう 一定量のアンモニアを系内で循環させて、 器を内側から冷却するため、少ないアンモ ア量で効率的に容器を冷却することができ 点に特徴がある。
 容器がアンモニアの沸点(常圧で約-33℃)以 にまで冷却されると、容器内で液化アンモ アが気化しなくなるため、容器内に液化ア モニアが充填され始める。尚、容器に充填 れるアンモニアは、元々前記供給工程にお て気体として供給されていることから、液 アンモニアを直接容器に充填する場合に比 て、H 2 O、CO、金属などの不純物が少ない。このため 、本発明の液化アンモニアの充填方法によれ ば、高純度のアンモニアを充填することがで きる。

 また、本発明の液化アンモニアの充填方 によれば、供給工程においてまず、一定量 ガスアンモニアを凝縮器に供給して、該凝 器において生成した液化アンモニアを蓄積 る。そして、蓄積したアンモニアを循環さ ることで容器を冷却し、最終的に液化した ンモニアを充填する。前記供給工程におい は、質量流量計によって、前記ガスアンモ アの供給量を計測するようにシステムを構 することができる。これにより、ガスアン ニアの圧力や温度に影響を受けることなく 系内に供給されるアンモニア量を計測する とができる。また、質量流量計によって計 した計測値に応じて、前記ガスアンモニア 供給量を調整することができる。

 前記冷却工程においては、凝縮器におけ 前記ガスアンモニアの液化速度が、前記液 アンモニアの気化速度よりも速いことが好 しい。これは、例えばシェルアンドチュー タイプの凝縮器(熱交換器)をマスフローコ トローラMFC1とオートクレーブの間に取り付 ることにより達成することができる。

(1-2)工程群(B)を実施する充填方法の特徴
 工程群(B)を実施する充填方法では、まず、 縮器にガスアンモニアを供給して液化アン ニアを生成し、これを容器に供給する。容 に充填されるアンモニアは、元々凝縮器に 体として供給されていることから、液化ア モニアを直接容器に充填する場合に比して H 2 O、CO、金属などの不純物が少ない。このため 、工程群(B)を実施する場合も、高純度のアン モニアを充填することができる。

 工程群(B)を実施する場合は、容器内に液 アンモニアを充填した後の計測工程におい 、アンモニア充填装置内に存在する総アン ニア量M1と前記容器以外の前記アンモニア 填装置内に存在するアンモニア量M2を求める 。この計測は、凝縮器に供給するガスアンモ ニア量(アンモニア充填装置に供給するガス ンモニア)を制御・計測することができる第1 質量流量計と、アンモニア充填装置から装置 外へ排出するガスアンモニア量を制御・計測 することができる第2質量流量計とを用いて 好ましく実施することができる。質量流量 を用いれば、ガスアンモニアの圧力や温度 影響を受けることなく、アンモニア量を計 することができる。

 アンモニア充填装置内に存在する総アン ニア量M1は、アンモニア充填装置に供給し 総アンモニア量(Min)と、アンモニア充填装置 から排出された総アンモニア量(Mout)とを各質 量流量計で計測し、それらの差(Min-Mout)を計 することにより求めることができる。また 容器以外のアンモニア充填装置内に存在す アンモニア量M2は、容器へガスアンモニアを 充填した後に容器のバルブを閉めて、アンモ ニア充填装置の容器以外の領域(すなわち、 管内や凝集器内)に残存しているアンモニア ガスアンモニアとしてすべて吸引排気しな ら第2質量流量計により好ましく計測するこ とができる。

 工程群(B)を実施する場合は、計測工程の に、M1とM2の差(M1-M2)と、容器内への液化ア モニア予定充填量(MC)との差(M1-M2-MC)に相当す る量の液化アンモニアを前記容器から排出す る充填量調整工程を実施する。この工程は、 容器から第2質量流量計を経由してアンモニ 充填装置外へ排出されるガスアンモニア量 (M1-M2-MC)になるように、あらかじめ第2質量流 量計を設定しておくことにより好ましく実施 することができる。このようにして、工程群 (B)を実施することにより、容器に精度良くガ スアンモニアを充填することができる。

(1-3)本発明の液化アンモニアの充填方法の応
 工程群(A)または工程群(B)の少なくとも一方 実施する本発明の液化アンモニアの充填方 は、窒化物結晶の製造方法に好適に用いる とができる。具体的には、耐圧性の容器(オ ートクレーブ)を用い、アモノサーマル法を 用した窒化物結晶の製造方法に好適に利用 ることができる。本発明の液化アンモニア 充填方法を利用した本発明の窒化物結晶の 造方法は、原料を備えた容器に本発明の液 アンモニアの充填方法によって液化アンモ アを充填するアンモニア充填工程と、前記 ンモニア充填工程において液化アンモニア 充填した前記容器を昇温し、窒化物結晶を 成する結晶化工程と、を含む。本発明の窒 物結晶の製造方法によれば、本発明の液化 ンモニアの充填方法を利用することで、効 よく容器を冷却し、高純度のアンモニアを い精度で充填することができることから、 化物結晶を生成する際の、結晶育成圧力を 度よく制御することができる。これにより 容器内の到達圧力を制御することもでき、 転条件の適正化や装置および工程の安全性 向上させることができる。

(2)液化アンモニアの充填方法の実施態様
(2-1)液化アンモニア充填装置
 以下、図を用いて、本発明の液化アンモニ の充填方法を用いた窒化物結晶の製造方法 ついて説明する。尚、本発明はこの形態に 定されるものでない。図1は、本発明に用い られる液化アンモニア充填装置を示す概略図 である。図1に示すように、液化アンモニア 填装置は、アンモニアボンベ1と、コンデン ー(凝縮器)2と、耐圧性を有するオートクレ ブ(反応容器)3と、を備えて構成される。オ トクレーブ3には、アンモニア供給口4と、 ンモニア排出口5と、オートクレーブ内の温 および/または圧力を測定するためのセンサ 6と、が設けられている。更に、図1に示され 液化アンモニア充填装置には、アンモニア 系外に排出するためのアンモニア除去塔7が 設けられている。

 アンモニアボンベ1には、液化アンモニア が充填されている。アンモニアボンベ1から 、ガスアンモニアが系内へ供給される。図1 示すように、アンモニアボンベ1と、コンデ ンサー2との間には、マスフローコントロー (質量流量計)MFC1が備えられている。マスフ ーコントローラは、温度および圧力を考慮 た質量測定装置であり、熱拡散作用を利用 ることにより、ガスアンモニアの温度およ 圧力の変動にかかわらず、ガスアンモニア 流量を測定したり積算したりすることがで る。また、マスフローコントローラMFC1の開 を調整することにより、ガスアンモニアの 量調整を行うこともできる。このため、マ フローコントローラMFC1を、必要とされるガ スアンモニア量を供給した時点で閉状態にす るように予め設定しておくことができる。マ スフローコントローラとしては、流量精度が 高いものを用いるのが好ましく、例えば、流 量精度が±1%のものを用いることが好ましい このようなマスフローコントローラとして 、例えば、コフロック社製のMODEL 3200を用い ることができる。

 アンモニアボンベ1と、コンデンサー2と 間には、オンオフ弁であるバルブV1が設けら れており、バルブを開状態にすることにより コンデンサー2にガスアンモニアを供給する とができる。

 コンデンサー2は、マスフローコントロー ラMFC1およびバルブV1を介して、アンモニアボ ンベ1から供給される気体状のガスアンモニ を凝縮し、液化アンモニアとする装置であ 。通常、アンモニアボンベ1等のボンベには 水分、油分、金属などのアンモニアよりも 発度の低い不純物が含まれている。このた 、一旦気化してガスアンモニアとすること 、系内に持ち込まれるアンモニアの純度を めることができる。

 コンデンサー2としては一般に気体を凝縮 して液化するために用いられる凝縮器を用い ることができる。コンデンサー2では、例え 熱交換器により気体を冷却し凝縮して液化 ることができる。このとき、圧力を高くす ば液化が容易になる。

 また、コンデンサー2とオートクレーブ3 の間にはコントロール弁であるバルブV2が備 えられており、バルブ開閉の程度を制御する ことにより、アンモニア供給口4からオート レーブ3に供給される液化アンモニア量を調 することができる。

 オートクレーブ3には、原料が備えられて おり、本発明の液化アンモニアの充填方法に よって、冷却された後、液化アンモニアが充 填される。更に、液化アンモニアを充填した 後、昇温され、その内部において窒化物結晶 が生成される。尚、オートクレーブ3および れに備えられる原料等の詳細については、 述する。本発明では、原料が備えられてい い容器にガスアンモニアを充填してもよい

 オートクレーブ3には、コンデンサー2に り液化アンモニアが供給されるアンモニア 給口4と、オートクレーブ3内で生成したガス アンモニアを排出するためのアンモニア排出 口5と、2つの開口部を有している。また、オ トクレーブ3には、オートクレーブ3内の温 および/または圧力をモニタリングすること できるセンサ6が備えられている。

 図1に示すように、オートクレーブ3のア モニア排出口5に接続されている管は途中、 スアンモニアを再び液化してオートクレー 3に供給するためにコンデンサー2に繋がる と、ガスアンモニアを系外に排出するため アンモニア除去塔7とに繋がる管とに分かれ いる。オートクレーブ3とアンモニア除去塔 7との間には、バルブV3、バルブV4およびマス ローコントローラMFC2とが備えられており、 再びガスアンモニアをオートクレーブ3に供 するためにコンデンサー2に繋がる管にはバ ブV5が備えられている。アンモニア除去塔7 しては、公知のアンモニア除去塔を適宜適 することができる。

 バルブV3はコントロール弁であり、その開 の程度を制御することによりオートクレー 3から排出されるガスアンモニアの流量を調 することができる。それによって、バルブV 3から先の系内の圧力を制御することができ 。圧力を制御する必要がないとき等は、全 状態にしておくこともできる。また、バル V4はオンオフ弁であり、開状態にすることに よってマスフローコントローラMFC2を通して 外へガスアンモニアを排出することができ 。更に、マスフローコントローラMFC2は、バ ブV4を通過し、アンモニア除去塔7へと排出 れるガスアンモニアの流量を調整したり、 定・積算したりすることができる。このた 、マスフローコントローラMFC2を、所定量の ガスアンモニアが排出された時点で閉状態に するように予め設定しておくことができる。 マスフローコントローラMFC2としては、上述 マスフローコントローラMFC1と同様の装置を いることができる。
 バルブV5は、他のバルブV1、V4と連動し、そ 開閉により、オートクレーブ3を冷却するた めにアンモニアが系内を循環させるようにす ることができる。ここで、図2に示すように 各バルブV1、V4、V5、マスフローコントロー MFC1、MFC2およびセンサ6は、それぞれ制御部8 電気的に接続されている。図2は、バルブV1 V4、V5、マスフローコントローラMFC1、MFC2お びセンサ6の電気的な構成を示すブロック図 である。

 図2に示すように、制御部8には、バルブV1、 V4、V5が接続されており、制御部8から発信さ る信号に従って各バルブの開閉が調整でき ように構成されている。また、制御部8には 、マスフローコントローラMFC1、MFC2およびセ サ6(特に圧力センサ)が接続されており、各 置において測定された測定値を取り込むこ ができるとともに、これらの測定値に応じ 、各バルブの開閉を制御できるように構成 れている。例えば、センサ6の圧力値がある 規定値を超えた場合にバルブV4とマスフロー ントローラMFC2を開状態にして系内の圧力が 高くなり過ぎないように制御している。
 制御部8に接続されていないバルブV2とV3は 動弁(例えばニードル弁)とし、容器内への液 化アンモニアの滴下や容器からのガスアンモ ニアの排出の制御が急激にならないように手 動制御している。ただし、制御部8に、バル V1~V5のすべてを接続させたり、センサ6の温 センサとしての測定値を利用して制御した することも可能である。これらの改変は、 業者に自明の範囲内で適宜行うことができ 。

(2-2)工程群(A)を実施する充填方法の実施態様
 本発明の液化アンモニアの充填方法は、ま 、ガスアンモニアを凝縮器2に供給する供給 工程と、凝縮器2においてガスアンモニアを 化する液化工程と、液化アンモニアの気化 熱によってオートクレーブ3を冷却する冷却 程およびオートクレーブ3内で発生したカス アンモニアを再び液化するためにコンデンサ ー2に供給する循環工程とからなりたつ循環 却工程と、冷却されたオートクレーブ3に液 アンモニアを充填する充填工程と、から構 される。充填工程中においては、冷却工程 よび/または循環工程が同時に並行すること がある。以下の説明において単に充填工程を 言う場合は、冷却工程および/または循環工 が同時に並行する場合も含むものとする。
 以下、各工程について図を用いて説明する

 図3を用いて、供給工程におけるアンモニ アの流通経路について説明する。図3は、供 工程時におけるバルブの開閉状態を示す概 図である。図3に示すように供給工程におい は、少なくともバルブV2とバルブV4とが閉め られている状態となっている。供給工程にお いては、始め閉じられていたバルブV1とマス ローコントローラMFC1を開くことにより、ア ンモニアボンベ1から排出されたガスアンモ アが、図3中のAで示される流れに従ってコン デンサー2に供給される。また、ガスアンモ アは図3中のA’で示される流れに従ってバル ブV5およびバルブV3を通してオートクレーブ3 にも導かれる。系内が定常状態になった後 、図3中のAで示される流れがガスアンモニ の主たる流路となる。供給工程におけるガ アンモニアの供給量は、予めマスフローコ トローラMFC1に設定しておき、所定の供給量 供給した時点で閉状態となるようにしてお ことができる。なお、供給工程におけるガ アンモニアの流速は、コンデンサー2の液化 能力以下に抑えることが好ましい。ガスアン モニアの流速も、マスフローコントローラMFC 1により調整することができる。

 コンデンサー2に供給されたガスアンモニ アは、コンデンサー2中で凝縮され、液化ア モニアとなり、バルブV2とコンデンサー2と 間(図3におけるB)に蓄積される。液化アンモ アの蓄積は、マスフローコントローラMFC1に よって計測している流量が、予め定められた 値に達するまで続けられる。この際、蓄積さ れる液化アンモニア量は、結晶の育成に必要 な量の他、充填調整量および配管残存量を考 慮して定めることができる。

 次に、図4を用いて、循環冷却工程(冷却工 および循環工程)におけるアンモニアの流通 路について説明する。図4は、循環冷却工程 時におけるバルブの開閉状態を示す概略図で ある。制御部8により、供給工程を終了し循 冷却工程へ移行すると判断された場合には バルブV1とバルブV4とが閉状態とされ、バル V3およびV5が開状態とされる。また、バルブ V2は、循環冷却工程の開始前には閉じられて る。循環冷却工程においては、まず、バル V2を徐々に開き、アンモニア供給口4から液 アンモニアをオートクレーブ3内に供給する 。この際、系内の圧力が0.2MPaG以下になるよ にバルブV2の開閉状態を制御するのが好まし い。
 オートクレーブ3に供給された液化アンモニ アは、すぐに気化し、その潜熱よってオート クレーブ3が徐々に冷却される。このように 本発明の液化アンモニアの充填方法によれ 、オートクレーブ(反応容器)3を内側から冷 することで、効率的にオートクレーブ3を冷 することができる。

 オートクレーブ3において、液化アンモニ アの気化によって生じたガスアンモニアは、 アンモニア排出口5より排出され、図4におい Cで示される流れに従って、バルブV5を通過 ながらコンデンサー2に供給される。コンデ ンサー2に供給されたガスアンモニアは再び 化され、再びオートクレーブ3に供給される このように、コンデンサー2側からオートク レーブ3への液化アンモニアの供給と、オー クレーブ3側からコンデンサー2へのガスアン モニアの供給とがバランスよく繰り返される 。このアンモニアの循環により、オートクレ ーブ3が冷却される。

 オートクレーブ3が、充填圧力におけるア ンモニアの沸点にまで冷却されると、オート クレーブ3内に液化アンモニアが充填されは める。即ち、循環冷却工程から充填工程へ 移行される。アンモニアの沸点は、具体的 は、オートクレーブ3内の圧力が0.1MPaGの場合 には約-19℃であり、0.2MPaGの場合には、約-9℃ となる。オートクレーブ3の温度が-10℃程度 まで冷却されると、アンモニアの蒸気圧が がり、液化工程において蓄積されたアンモ アの大部分がオートクレーブ3に充填される このため、オートクレーブ3内の充填圧力を 0.2MPaと設定したときには、オートクレーブ3 温度が-10℃となったことを確認し、バルブV2 およびV3を閉状態として、アンモニアの充填 完了することができる。

 このように、工程群(A)を実施する本発明 よれば、少ないアンモニア量で容器(オート クレーブ3)を冷却することができると共に、 純度のアンモニアを高い精度で充填するこ ができる。また、本発明の液化アンモニア 充填方法によれば、内側より容器を冷却す ため、冷却効率に優れている。尚、本発明 液化アンモニアの充填方法においては、低 でアンモニアの充填を行うことができるこ から、オートクレーブが設備耐圧程度の耐 性を有する程度であっても実施可能であり 安全面においてもメリットを有する。

(2-3)工程群(B)を実施する充填方法の実施態様
 工程群(B)を実施する本発明の液化アンモニ の充填方法では、アンモニアの充填精度を めるために、充填工程の後に計測工程と充 量調整工程を実施する。
 計測工程では、図5に示すように、バルブV1 V2、V3とマスフローコントローラMFC1を閉状 とし、バルブV4、V5とマスフローコントロー MFC2を開状態として、Dの流れにしたがって スアンモニアを排出する。ガスアンモニア 排出を完全に行うために、マスフローコン ローラMFC2排出側から真空ポンプにより吸引 る。吸引はマスフローコントローラMFC2の流 量が下がってから行ってもよい。ガスアンモ ニアの排出量はマスフローコントローラMFC2 計測し、コンデンサー2および配管に残って たアンモニア量(すなわち、オートクレーブ 3以外のアンモニア充填装置内に存在するア モニア量M2)とする。オートクレーブ3以外の ンモニア充填装置内に存在するアンモニア M2は、アンモニア充填装置の温度やチラー 度などの影響を受けやすく変動しやすいも であるため、充填工程における液化アンモ アの充填量は、この変動分を勘案した量に 定することが好ましい。なお、充填工程ま にアンモニア充填装置内に供給した総アン ニア量は、マスフローコントローラMFC1の通 ガスアンモニア量を確認することにより知 ことができ、これをアンモニア充填装置内 存在する総アンモニア量M1とすることがで る。

 次に、充填量調整工程では、計測工程で られたM1とM2の値を用いて、M1-M2を計算する とによりオートクレーブ3内に充填されてい る液化アンモニア量を得る。その量と予定充 填量(MC)との差(M1-M2-MC)がオートクレーブ3内に 過剰に充填されている液化アンモニア量とな るため、充填量調整工程において(M1-M2-MC)に 当する液化アンモニアをオートクレーブ3か 排出する。厳密には、マスフローコントロ ラMFC1とバルブV1との間に存在するガスアン ニア量をM1-M2-MCからさらに差し引いた量を ートクレーブ3から排出すべきであるが、マ フローコントローラMFC1とバルブV1との間に 在するガスアンモニア量は、マスフローコ トローラMFC1とバルブV1との間の距離を短く ることにより実質的に無視することができ 。あるいは、マスフローコントローラMFC1と バルブV1との間に存在するガスアンモニア量 あらかじめ見積もっておき、M1-M2-MCからそ 量をさらに差し引いた量をオートクレーブ3 ら排出するようにしてもよい。このような 変も本発明の範囲内に含まれる。

 図6は、充填量調整工程時におけるバルブ の開閉状態を示す概略図である。充填量調整 工程へ移行する際には、バルブV1、V2、V5とマ スフローコントローラMFC1を閉状態とし、バ ブV3、V4とマスフローコントローラMFC2を開状 態とする。すると、オートクレーブ3中のガ アンモニアが、図6に示すEの流れに従って、 アンモニア除去塔7に排出し、水に吸収され 収される。制御部8は、マスフローコントロ ラMFC2によって系外に排出されるガスアンモ ニア量を計測し、予め設定した過剰量のアン モニア(M1-M2-MC)を排出したと制御部8が判断し 際には、バルブV3およびV4を閉じて調整工程 を終了する。

 工程群(B)を実施する本発明の充填方法では 工程群(A)のいわゆる循環法を実施しなくて よい。例えば、循環法の代わりにフロー法 工程群(B)と組み合わせて実施することが可 である。フロー法では、充填工程のバルブ 閉状態が循環工程と異なるが、供給工程、 化工程、計測工程および充填量調整工程は 環法と同じである。
 図8は、フロー法の充填工程におけるバルブ 開閉状態を示す図である。フロー法の充填工 程では、液化アンモニアをオートクレーブ3 に供給してその気化潜熱によってオートク ーブ3を冷却し、液化アンモニアを充填する ともに、オートクレーブ3内で発生したガス アンモニアをアンモニア充填装置外へ排出さ せる。すなわち、充填工程では、バルブV3お びV4、マスフローコントローラMFC2を開状態 して排出ラインを確保してから、バルブV2 徐々に開いて、アンモニア供給口4から液化 ンモニアをオートクレーブ3内に供給する。

 オートクレーブ3に供給された液化アンモニ アは、すぐに気化し、その潜熱よってオート クレーブ3が徐々に冷却される。オートクレ ブ3において、液化アンモニアの気化によっ 生じたガスアンモニアは、アンモニア排出 5より排出され、図8に示される流れに従っ 、バルブV4、マスフローコントローラMFC2を 過してアンモニア除去塔7に導かれる。マス ローコントローラMFC1とバルブV1およびV2は 供給工程と液化工程であらかじめ開状態に っているため、これらを経由してアンモニ 供給口4から液化アンモニアが連続的にオー クレーブ3内に供給される。このとき、マス フローコントローラMFC1とマスフローコント ーラMFC2を同じ流速に保っておき、バルブV2 コンデンサー2との間に蓄積される液化アン ニア量を常に一定量に維持しておくことが ましい。オートクレーブ3は、充填圧力にお けるアンモニアの沸点にまで冷却されると、 オートクレーブ3内に液化アンモニアが充填 れはじめる。予定充填量(MC)よい多い量が充 されたところで、バルブV2およびV3を閉状態 として、アンモニアの充填を完了する。
 充填後は、循環法と同様にして計測工程お び充填量調整工程を行う。ただし、アンモ ア充填装置内に存在する総アンモニア量M1 、マスフローコントローラMFC1で計測される ンモニア充填量からマスフローコントロー MFC2で計測されるアンモニア排出量を差し引 くことにより得られる。

 このように、工程群(B)を実施する本発明 充填方法によれば、高純度のアンモニアを い精度で充填することができる。また、本 明の液化アンモニアの充填方法によれば、 側より容器を冷却するため、冷却効率に優 ている。本発明の液化アンモニアの充填方 においては、低圧でアンモニアの充填を行 ことができることから、オートクレーブが 備耐圧程度の耐圧性を有する程度であって 実施可能であり、安全面においてもメリッ を有する。さらに、工程群(B)を工程群(A)の 環法と組み合わせて実施すれば、少ないア モニア量で容器(オートクレーブ3)を冷却す ことができて効率がよい。また、工程群(B) フロー法と組み合わせて実施すれば、簡易 操作により容易に充填することができる。

(2-4)フローチャートによる説明
 本発明の液化アンモニアの充填方法の流れ 好ましい一例について図7を用いて説明する 。図7は、本発明の液化アンモニアの充填方 を説明するための流れ図である。まず、制 部8は、供給工程および液化工程において液 アンモニアを蓄積するために、各バルブを 給工程の配置(少なくともバルブV2およびV4 閉状態)に調整する。制御部8は、各バルブの 調整後、バルブV1の開閉により、徐々にコン ンサー2にガスアンモニアを供給する(ステ プS100)。
 次いで、制御部8は、マスフローコントロー ラMFC1により測定したガスアンモニアの供給 が設定値に達しているか否かを判断する(ス ップS101)。制御部8が、未だガスアンモニア 供給量が設定値に達していないと判断した 合には(ステップS101否定)、ステップS100の処 理を繰り返し、コンデンサー2にガスアンモ アを供給し続ける。一方、制御部8が、ガス ンモニアの供給量が設定値に達したと判断 た場合には(ステップS101肯定)、ステップS102 へと移行し、各バルブを循環冷却工程の配置 (バルブV1およびV4が閉状態、バルブV2、V3、V5 開状態)に切り替える(ステップS102)。尚、バ ルブV2は、循環冷却工程の開始前には閉じら ている。

 循環冷却工程においては、アンモニアを循 させ、液化アンモニアの気化潜熱を利用し オートクレーブ3を冷却する(ステップS103)。 次いで、オートクレーブ3がアンモニアの沸 にまで冷却されると、アンモニアの気化が まり、オートクレーブ3中に液化アンモニア 充填される(ステップS104)。このとき、オー クレーブ3の冷却と液化アンモニアの充填が 同時に進行してもよい。制御部8は、所望の 填量に達した後(例えば、オートクレーブ3の 温度が-10℃になったと判断した場合)、バル V2およびバルブ3を閉じて、充填工程を終了 る。充填工程完了後、バルブV1~V3を閉状態と して、マスフローコントローラMFC2排出側か 真空ポンプで吸引し、配管内やコンデンサ 内に残存しているアンモニア量を計測する その計測量と、マスフローコントローラMFC1 よびMFC2の計測量に基づいて、オートクレー ブ3から排出すべきアンモニア量が計算され その量がマスフローコントローラMFC2に設定 れる。各バルブを制御して充填量調整工程 配置(バルブV1、V2およびV5が閉状態、バルブ V3およびV4が開状態)とし、オートクレーブ3内 の余剰のアンモニアをアンモニア除去塔7よ 排出する(ステップS105)。

(3)窒化物結晶の製造方法
 次に、本発明の窒化物結晶の製造方法で用 られる原料、溶媒、容器および本発明で得 れる窒化物結晶について適宜図面を参照し がら説明する。
 図9は、本発明の窒化物結晶の製造方法で用 いられるオートクレーブの概略図である。図 9に示されるオートクレーブは、図1等に用い れているオートクレーブ3と同様のものを表 し、同様の部材については同様の符号を付し 、その説明を省略する。図9に示すように、 ートクレーブ3は、結晶育成部3Aと、原料充 部3Bとを備え、図1等では省略されていが、 気炉9によって周りを囲われている。本発明 液化アンモニアの充填方法に用いられるオ トクレーブ(窒化物結晶成長用反応容器)3は 耐圧性を有する密閉可能な容器あって、更 、バルブを有する少なくとも1つの送通手段 (送通口)を有する。好ましいのは、送通手段( 送通口)が1つまたは2つである場合である。1 の送通手段を有するオートクレーブを用い 場合は、オートクレーブ内に還流状態を形 することにより、液化アンモニアの充填と スアンモニアの排出を良好に行うことがで る。還流状態を形成するためには、送通口 内径が大きいことが好ましい。また、2つの 通手段(アンモニア供給口4およびアンモニ 排出口5)を有するオートクレーブを用いる場 合は、オートクレーブ内に還流状態が形成さ れていなくても、液化アンモニアの充填とガ スアンモニアの排出を同時に行うことができ る。特に送通口の内径が小さい場合は、2つ 送通手段を有するオートクレーブを用いる とが好ましい。

 オートクレーブ3の構造について説明する 。オートクレーブは、通常、蓋体と容体のよ うに分離されており、ガスケット等を用いて 封止されている。また、熱電対等を挿入する ための凹部を有していてもよい。

 オートクレーブ3は昇温反応中に超臨界溶 媒(例えば、超臨界アンモニア)の超高圧に相 する圧力に耐え得るものであることが好ま い。オートクレーブを形成する材料として 、耐圧性を有し、耐浸食性を有するもので れば特に制限はなく用いることができる。 に、高温高圧に耐え、かつ、アンモニアに する高い耐浸食性を示すNi系の合金、ステ イト(デロロ・ステライト・カンパニー・イ コーポレーテッドの登録商標)等のCo系合金 用いることが好ましく、Ni系の合金を用い ことが特に好ましい。具体的な材料として 、Inconel625(Inconelはハンティントン アロイズ  カナダ リミテッドの登録商標。以下同じ) Nimonic90(Nimonicはスペシャル メタルズ ウィ ン リミテッドの登録商標。以下同じ)、RENE 41等が挙げられる。

 これらの合金の組成比率は、オートクレ ブ内の溶媒の温度・圧力の条件およびオー クレーブ内に含まれる前記各種の鉱化剤お びそれらの反応物との反応性および/または 酸化力・還元力、pHの条件に従い、適宜選択 ればよい。これらをオートクレーブの内面 構成する材料として用いる方法としては、 ートクレーブ自体をこれらの合金を用いて 造する方法や、内筒として薄膜を形成して ートクレーブ内に設置する方法でもよく、 意のオートクレーブ3の材料の内面にメッキ 処理を施す方法でもよい。

 オートクレーブ3の耐浸食性をより向上さ せるため、貴金属の優れた耐浸食性を利用し て、貴金属をオートクレーブ3の内表面にラ ニングまたはコーティングしてもよい。ま 、オートクレーブの材質自体を貴金属とす こともできる。前記貴金属としてはPt、Au、I r、Ru、Rh、Pd、Ag、Osならびにこれらの貴金属 主成分とする合金が挙げられ、中でも優れ 耐浸食性を有するPtを用いることが好まし 。

 オートクレーブの内表面を貴金属でライ ングまたはコーティングする場合、内表面 てをライニングまたはコーティングするこ が困難である場合には、オートクレーブの 部の一部および/または下部の一部にライニ ングまたはコーティングすることができない 部分が存してもよい。

 オートクレーブは、所要に応じて、内部 バッフル板を設置され、GaN多結晶窒化物等 らなる原料を充填した原料充填部3BとGaN等 種結晶を配置する結晶成長部3Aとに区画され る。尚、本発明におけるオートクレーブとし ては、特開2005-289797号公報に記載されるよう 、貴金属によって形成された容器を耐熱性 容器に収納した形態のオートクレーブを用 てもよい。

 本発明で用いられる窒化物結晶の製造原 は、通常、窒化物の多結晶粉末原料(以下「 多結晶原料」という)であり、好ましくは窒 ガリウムを含有する原料である。多結晶原 は、完全な窒化物である必要はなく、条件 よっては、メタル状態(すなわちゼロ価)の金 属成分を含有することもできる。メタル状金 属成分を含有可能な理由は定かではないが、 反応系に微量の酸素が混入した場合に、メタ ル状金属成分が、窒素含有溶媒中で酸素が拡 散するのを防止する酸素トラップ剤のような 役割を果たしていると推測される。また、メ タル状金属成分の含有量は特に制限はないが 、多すぎると窒化物結晶成長時のメタル成分 の酸化に伴うアンモニアからの水素の発生が 無視できなくなることを考慮して含有量を決 定することが好ましい。

 原料となる多結晶原料の製造方法は特に 限されない。例えば、アンモニアガスを流 させた容器内で、金属またはその酸化物も くは水酸化物をアンモニアと反応させるこ により生成した窒化物多結晶を用いること できる。また、より反応性の高い金属化合 原料として、ハロゲン化物、アミド化合物 イミド化合物、ガラザンなどの共有結合性M -N結合を有する化合物などを用いることがで る。さらに、Gaなどの金属を高温高圧で窒 と反応させて作製した窒化物多結晶(例えばG aN)を用いることもできる。

 前記多結晶原料は、これを結晶成長させ 高品質な結晶を得るために、できるだけ水 酸素の混入を回避すべきである。そのため 、多結晶原料中の酸素含有量は、通常5質量 %以下、好ましくは2質量%以下、特に好ましく は0.5質量%以下である。多結晶原料への酸素 混入しやすさは、水分との反応性または吸 能との関連がある。多結晶原料の結晶性が いほど表面等にNH基などの活性基が多く存在 し、それが水と反応して一部酸化物や水酸化 物が生成する可能性があるためである。この ため、多結晶原料としては、通常、できるだ け結晶性が高いものを使用することが望まし く、該結晶性は粉末X線回折の半値幅で見積 ることができる。好ましい多結晶原料は、(1 00)の回折線(ヘキサゴナル型窒化ガリウムで 2θ=約32.5°)の半値幅が、通常0.25°以下、好ま しくは0.20°以下、さらに好ましくは0.17°以下 である。

 多結晶原料の1次粒子の粒径は、平均粒径 1~100μmの範囲であることが好ましい。粒径が さいものほど比表面積が大きくなり、溶媒 の溶解速度が大きくなるので好ましいが、 径が小さすぎると、粒子が熱対流より反応 の結晶育成部に輸送され、種結晶を用いた 合は種結晶上に付着するおそれがある。

 また、平均粒径の異なる2種の多結晶原料 を用いることにより、小さい粒径の多結晶原 料による速い溶解速度と、大きい粒径の遅い 溶解速度のものがオートクレーブ内に混在す ることによりGa(含有)イオンなどの結晶育成 への供給切れを抑止し、その結果、特に種 晶を用いた場合に、種結晶の溶出という塊 単結晶の育成上の不利益を抑止することも きる。

 多結晶原料の形状は、特に限定されるも ではないが、溶媒への溶解均一性を考慮し 場合、通常、2次粒子の形状として球状であ ることが好ましい。また、充填量を稼ぐため 、または熱対流による粒子の移動を防ぐため に、多結晶原料の形状をペレット状やブロッ ク状にすることもできる。

 多結晶原料は、通常、鉱化剤と呼ばれる 加物と混合した後で溶液成長に基づく結晶 工程に供される。鉱化剤は、多結晶原料の 媒への溶解性を高めることができる添加物 ある。鉱化剤は、1種類を用いるほか、必要 に応じて共鉱化剤としてもう1種類を共存さ たり、2種類以上を混合して用いたりするこ 可能である。多結晶原料と鉱化剤の添加量 比は、例えば、GaNの場合、鉱化剤/Gaモル比 して、通常0.001~10の範囲で、原料、鉱化剤 の添加物の種類および目的とする結晶の大 さなどを考慮して適宜選択できる。

 鉱化剤は、通常、ハロゲン原子またはア カリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属 含む化合物である。中でも、鉱化剤はアン ニウムイオンやアミドなどの形で窒素原子 含むものが好ましい。ハロゲン原子を含む 化剤の例としては、ハロゲン化アンモニウ 、ハロゲン化水素、アンモニウムヘキサハ シリケート、およびヒドロカルビルアンモ ウムフルオリドや、ハロゲン化テトラメチ アンモニウム、ハロゲン化テトラエチルア モニウム、ハロゲン化ベンジルトリメチル ンモニウム、ハロゲン化ジプロピルアンモ ウム、およびハロゲン化イソプロピルアン ニウムなどのアルキルアンモニウム塩、フ 化アルキルナトリウムのようなハロゲン化 ルキル金属等が例示される。

 また、アルカリ金属、アルカリ土類金属 希土類金属を含む鉱化剤としては、アルカ 金属メタル、アルカリ土類金属メタル、ハ ゲン化アルカリ、アルカリ土類、希土類の ロゲン化物などが挙げられる。アルカリ、 ルカリ土類、希土類の炭酸塩のようなオキ 酸塩も使用可能であるが、生成する結晶が 素を含まないようにする観点からは、アン ニウムイオンやアミドなどの形で窒素原子 含むものを鉱化剤として使用することが好 しい。窒化物結晶への不純物の混入を防ぐ め、必要な場合は鉱化剤を精製、乾燥する とが行われる。鉱化剤の純度は、通常95%以 、好ましくは98%以上、さらに好ましくは99% 上、得に好ましくは99.5%以上である。鉱化 が含む水や酸素はできるだけ少なくするこ が望ましく、好ましくは1000ppm以下であり、 らに好ましくは100ppm以下である。

 アルカリ金属等と窒素原子を含む鉱化剤の 体例としては、ナトリウムアミド(NaNH 2 )、カリウムアミド(KNH 2 )、リチウムアミド(LiNH 2 )、リチウムジエチルアミド((C 2 H 5 ) 2 NLi)等のアルカリ金属アミドや、Mg(NH 2 ) 2 などのアルカリ土類金属アミド、La(NH 2 ) 3 などの希土類アミド、Li 3 N、Mg 3 N 2 、Ca 3 N 2 、Na 3 N等の窒化アルカリ金属または窒化アルカリ 類金属、NaN 3 等のアジド化合物、窒化亜鉛(Zn 3 N 2 )等が挙げられる。その他、NH 2 NH 3 Clのようなヒドラジン類の塩、炭酸アンモニ ム((NH 4 ) 2 CO 3 )、カルバミン酸アンモニウム(NH 2 COONH 4 )が挙げられる。

 このうち、好ましくはハロゲン原子を含 添加物(鉱化剤)であるハロゲン化アルカリ アルカリ土類のハロゲン化物、ハロゲン化 ンモニウム、ハロゲン化水素であり、さら 好ましくはハロゲン化アルカリ、ハロゲン アンモニウムであり、特に好ましくはハロ ン化アンモニウムである。これらの添加物 、超臨界状態のアンモニア溶媒への溶解性 高く、またアンモニア中において窒化能を し、かつPt等の貴金属に対する反応性が小さ い。これらの添加物は、1種類を用いてもよ し、2種類以上の化合物を組み合わせて用い もかまわない。これらの添加物を用いるこ によって原料の溶解が促進され、反応条件 適切なコントロールにより、短期間に高品 なサイズの大きい窒化物の塊状結晶が得ら る。

 本発明では、前記のように混合された多 晶原料と鉱化剤等の添加物は、オートクレ ブ3内に充填されるが、特に必要でなければ 、多結晶原料と1種類以上の鉱化剤等の添加 を別々にオートクレーブ3内に充填してもか わない。原料や鉱化剤等の添加物の種類に っては、オートクレーブ3を密閉した後に、 アンモニア供給口4等から気体、液体や溶媒 溶かした状態でオートクレーブ3内に充填す こともできる。

 多結晶原料や鉱化剤等の添加物が吸湿し すい等の理由がある場合、多結晶原料およ 鉱化剤は、充填する前に加熱脱気するなど て十分乾燥することが望ましい。さらに、 解性の高い鉱化剤と多結晶原料を混合充填 る場合には、酸素や水分を極力排除した雰 気下で速やかに行うことが望ましい。例え 、不活性ガスを満たした容器または部屋内 おいて、容器の内部を不活性ガスで十分置 した後に、分解性の高い鉱化剤と多結晶原 を充填することができる。

 多結晶原料と鉱化剤等の添加物を混合し オートクレーブ3内に充填した後、または別 々にオートクレーブ3に充填した後、オート レーブ3を密閉する。その後、オートクレー 3を加熱脱気することも好適に用いられる。 また、オートクレーブ3中に酸素や水分を選 的に吸収するスキャベンジャーの役割を果 す物質(例えば、チタンなどの金属片)を混合 しておくことも好適に用いられる。

 原料、鉱化剤等の添加物は、通常、図9に 示すように、オートクレーブ3の下部に設け れた原料充填部3Bに収まるように充填される 。オートクレーブ3の下部とオートクレーブ3 上部との間に温度差を与えることにより、 解した結晶をオートクレーブ3の上部の結晶 育成部3Aに析出させることができるためであ 。このように、原料の溶解析出過程を経て 晶を得ることにより、純度の高い高品質で 晶性の高い塊状結晶を得ることが可能とな 。

 本発明では、さらにオートクレーブ3上部 の結晶育成部3Aに種結晶を設置することによ 、単結晶の生成を促進させ、より大きな単 晶を得ることができる。種結晶の装填は通 、原料、鉱化剤等の添加物を充填すると同 または充填した後に行われ、通常、オート レーブ3の内側の表面を構成する貴金属と同 様の貴金属製の治具に種結晶が固定される。 必要な場合には、オートクレーブ3に装填し 後、加熱脱気することも有効に用いられる

 種結晶は、目的とする窒化物の単結晶を用 ることが望ましいが、必ずしも目的と同一 窒化物でなくてもよく、場合によっては酸 物単結晶を用いてもよい。但し、その場合 は、目的の窒化物と一致し、もしくは適合 た格子定数、結晶格子のサイズパラメータ 有する種結晶であるか、またはヘテロエピ キシー(すなわち若干の原子の結晶学的位置 の一致)を保証するよう配位した単結晶材料 もしくは多結晶材料片から構成されている 結晶を用いる必要がある。種結晶の具体例 しては、例えば窒化ガリウム(GaN)の場合、GaN の単結晶の他、AlN等の窒化物単結晶、酸化亜 鉛(ZnO)の単結晶、炭化ケイ素(SiC)の単結晶、 リウム酸リチウム(LiGaO 2 )、二ホウ化ジルコニウム(ZrB 2 )等が挙げられる。

 種結晶は、アンモニア溶媒への溶解度お び鉱化剤との反応性を考慮して決定するこ ができる。例えば、GaNの種結晶としては、M OCVD法やHVPE法でサファイア等の異種基板上に ピタキシャル成長させた後に剥離させて得 単結晶、金属GaからNaやLi、Biをフラックス して結晶成長させて得た単結晶、LPE法を用 て得たホモ/ヘテロエピタキシャル成長させ 単結晶、本発明法を含む溶液成長法に基づ 作製された単結晶およびそれらを切断した 晶などを用いることができる。

 本発明の液化アンモニアの充填方法によ て充填されるアンモニアの純度は通常99.9% 上、好ましくは99.99%以上、さらに好ましく 99.999%以上、特に好ましくは99.9999%以上であ 。アンモニアは、一般に水との親和性が高 ため、アンモニア溶媒をオートクレーブ3内 充填する場合、水に由来する酸素をオート レーブ3内に持ち込みやすく、それが原因と なって生成する結晶の混入酸素量が多くなり 、ひいては窒化物の結晶性が悪化するおそれ がある。そのような観点から、アンモニア溶 媒に含まれる水や酸素の量はできるだけ少な くすることが望ましく、好ましくは1000ppm以 であり、さらに好ましくは100ppm以下であり 特に好ましくは10ppm以下である。

(4)窒化物結晶の製造方法の実施態様
 次に、本発明の窒化物結晶の製造方法にお る手順について説明する。
 本発明では、原料、鉱化剤等の添加物(必要 に応じて種結晶)等をオートクレーブ3内に充 した後、本発明のアンモニアの充填方法に りアンモニアを充填する(アンモニア充填工 程)。

 アンモニア溶媒をオートクレーブ3内に充 填した後、バルブV2およびV3を閉じてオート レーブ3を密閉した後、アンモニア充填設備 配管を取り外す。オートクレーブ3を密閉す ることは、空気中からの水や酸素の混入を防 ぐために重要である。特にアンモニア溶媒を オートクレーブ3内に充填した後にオートク ーブ3が開放された状態にあると、アンモニ の放出により充填率が変化してしまい、ア モニア溶媒の大きい潜熱によりオートクレ ブ3が冷却されて空気中の水が凝縮しやすい うえ、安全上の問題もある。

 以上のような操作で、オートクレーブ3内 に原料、鉱化剤等の添加物とアンモニアを充 填した後、図9に示す熱電対10を有する電気炉 9などを用いてオートクレーブ3を加熱昇温す (結晶化工程)。

 ここで、オートクレーブ3内のアンモニア 溶媒は、窒化物結晶合成中や育成中に亜臨界 状態、さらには超臨界状態にすること好まし い。超臨界流体は、その臨界温度以上で維持 される濃ガスを意味し、臨界温度とは圧力に よってそのガスが液化させられ得ない温度で ある。超臨界流体は一般的には、粘度が低く 、液体よりも容易に拡散されるが、液体と同 様の溶媒和力を有する。アンモニア溶媒の物 性は、水熱合成(育成)法において溶媒として われる水とは異なり、明らかにされている はいえないため、亜臨界状態または超臨界 態で原料等の溶解や窒化物結晶の生成、溶 析出が促進される理由は確定できないが、 において知られているイオン積の概念を窒 含有溶媒に当てはめれば、温度上昇に伴っ イオン積が増大し、水における加水分解に 当する加安分解のような作用が増大するこ が寄与していると考えられる。

 超臨界状態で溶媒を用いる場合、反応混 物は、一般に溶媒の臨界点よりも高い温度 保持する。アンモニア溶媒の場合、臨界点 臨界温度132℃、臨界圧力11.35MPaである。反 混合物は、一定の容積の容器内に封入され いるので、温度上昇は流体の圧力を増大さ る。一般に、T>Tc(1つの溶媒の臨界温度)お びP>Pc(1つの溶媒の臨界圧力)であれば、流 体は超臨界状態にある。

 実際、溶媒中の窒化物多結晶原料の溶解 は、亜臨界状態と超臨界状態との間で極め 異なるので、超臨界条件では、窒化物結晶 十分な成長速度が得られる。反応時間は、 に鉱化剤または共鉱化剤の反応性および熱 学的パラメータ、すなわち温度および圧力 数値に依存する。窒化物結晶合成中あるい 育成中、耐圧性容器3内は5MPa~2GPa程度の圧力 範囲で保持され、オートクレーブ3内も耐圧 容器3内と同等の圧力で保持される。圧力は 温度およびオートクレーブ3の容積に対する 溶媒体積の充填率によって適宜決定される。 本来、オートクレーブ3内の圧力は、温度と 填率によって一義的に決まるものではある 、実際には、原料、鉱化剤などの添加物、 ートクレーブ3内の温度の不均一性、および 容積の存在によって多少異なる。

 アンモニア溶媒の場合、高温ではその解 平衡が窒素と水素に大きく傾いているため 高温ではそれによる圧力の変化が無視でき くなるおそれがある。一般にその解離反応 、金属成分によって触媒されるものであり 原料や鉱化剤等の添加物の種類によっては 衡に到達する可能性もある。本発明では、 ートクレーブ3内の温度範囲を、下限として 通常150℃以上、好ましくは200℃以上、特に好 ましくは300℃以上、上限として通常800℃以下 、好ましくは700℃以下、特に好ましくは650℃ 以下の範囲とすることが望ましい。またオー トクレーブ3内の圧力範囲(すなわちオートク ーブ3内の圧力範囲)は、下限として通常20MPa 以上、好ましくは30MPa以上、特に好ましくは5 0MPa以上、上限として通常500MPa以下、好まし は400MPa以下、特に好ましくは200MPa以下に保 することが望ましい。

 前記のオートクレーブ3の温度範囲、圧力 範囲を達成するためのオートクレーブ3への ンモニア溶媒の注入の割合、すなわち充填 は、オートクレーブ3のフリー容積、すなわ 、オートクレーブ3に多結晶原料、および種 結晶を用いる場合には、種結晶とそれを設置 する構造物の体積をオートクレーブ3の容積 ら差し引いて残存する容積、また水熱育成 によるバルク単結晶製品の製造に関する業 に公知のバッフル板を設置する場合には、 らにそのバッフル板の体積をオートクレー 3の容積から差し引いて残存する容積のアン ニアの標準状態での液体密度(標準状態で気 体の場合は沸点における液体密度)を基準と て、通常20~95%、好ましくは30~90%、さらに好 しくは40~85%とする。

 以上の説明したようなオートクレーブ3内 での窒化物結晶の溶液成長反応は、熱電対10 有する電気炉9などを用いてオートクレーブ 3を加熱昇温することにより、オートクレー 3内をアンモニアの亜臨界状態または超臨界 態に保持することにより行われる。加熱の 法、所定の反応温度への昇温速度に付いて 特に限定されないが、通常、数時間から数 かけて行われる。必要に応じて、多段の昇 を行ったり、温度域において昇温スピード 変えたりすることもできる。

 オートクレーブ3の内部方向への温度勾配 は、オートクレーブ3の形状や納める電気炉9 形状およびその位置関係に代表される加熱 保温状況により異なる。反応温度は、熱電 10用にオートクレーブ3内部方向への温度勾 を推測し、あるいは外挿してオートクレー 3内部の温度から推定できる。同様に、オー トクレーブ3の上下方向の温度も、オートク ーブ3の形状や納める電気炉9の形状、および その位置関係に代表される加熱、保温状況に より異なる。よって、オートクレーブ3の外 の上下で温度を数点測定し、かつ各位置で オートクレーブ3内部の温度を推定した上で 度制御を行うことが望ましい。

 所定の温度に達した後の反応時間につい は、窒化物結晶の種類、用いる原料、鉱化 の種類、製造する結晶の大きさや量によっ も異なるが、通常、数時間から数百日とす ことができる。反応中、反応温度は一定に てもよいし、徐々に昇温または降温させる ともできる。所望の結晶を生成させるため 反応時間を経た後、降温させる。降温方法 特に限定されないが、ヒーターの加熱を停 してそのまま炉内にオートクレーブ3を設置 したまま放冷してもかまわないし、オートク レーブ3を電気炉9から取り外して空冷しても まわない。必要であれば、冷媒を用いて急 することも好適に用いられる。また、降温 の結晶の偏析出や特定の鉱化剤等の添加物 よっては、その偏析出を防ぐために、オー クレーブ3を、部分的に温度差をつけて冷却 したり、部分的に微加熱しながら冷却したり することもできる。

 オートクレーブ3外面の温度、あるいはオー トクレーブ3内部の温度が所定温度以下にな た後、オートクレーブ3を開栓する。このと の所定温度は特に限定はなく、通常、-80℃~ 200℃、好ましくは-33℃~100℃である。
 オートクレーブ3内温度が十分高い場合は、 アンモニア溶媒はガスとして移動し、水など に吸収される。このとき移動時間を短くする ためにオートクレーブ3を再度加熱すること 好ましい。また、移動させる側の容器内を などで満たすことなく冷却することも好ま い。水などの溶媒に吸収させる方法を用い かった場合には、回収したアンモニア溶媒 再使用することが容易となる。

 さらに必要に応じて、真空状態にするな してオートクレーブ3内のアンモニア溶媒を 十分に除去した後、乾燥し、オートクレーブ 3の蓋等を開けて生成した窒化物結晶および 反応の原料や鉱化剤等の添加物を取り出す とができる。

 以上、本発明の製造方法については、窒化 多結晶を原料にした場合を例に説明したが 原理的には窒化物多結晶を原料としなくて 、それに類した化合物または準じた化合物 ならびにそれらに転化し得る前駆体を原料 して前記方法を実施することは可能である そのような化合物または前駆体としては、 でに製造原料で列挙したガラザンなどの共 結合性M-N結合を有する化合物、Ga(NH 2 ) 3 などの金属アミド、KGa(NH 2 ) 4 などのアルカリ金属アミド、金属イミド、GaC l 3 などのハロゲン塩、ハロゲン化物アンモニア 付加物、アンモニウムハロガレートなどハロ 金属塩などが挙げられる。また、酸素不純物 の混入を避ける意味においては、積極的に用 いるべきではないが、水酸化物や酸化物、オ キソ酸塩などを使用することもできる。

 前記窒化物多結晶そのものではない原料 用いて、塊状窒化物結晶を得ようとする場 には、窒化物合成と窒化物の窒素含有溶媒 の溶解析出を同時に行うことが必要になる め、より厳密な反応条件のコントロールが められる。それが非常に難しく、またより きな塊状結晶を得たいとする場合は、多段 分けた製造方法を好適に用いることができ 。すなわち、本発明によって上述したよう 窒化物多結晶原料に類したまたは準じた化 物、ならびにそれらに転化し得る前駆体を 料にして、最初にある反応条件によって多 晶窒化物を製造し、その後、多結晶窒化物 原料として、同様に本発明製造方法によっ 塊状窒化物結晶を育成する。このような原 を用いる場合は、この多段に分けた方法に って塊状窒化物結晶の製造は容易になる。 の時、多段に分けた反応は同一の容器でア モニアなど除去せずにそのまま行ってもよ し、同一または別のアンモニアや鉱化剤に れ替えて行ってもよい。合成された窒化物 結晶原料を一度取り出して、洗浄などの処 などを施した後、同じ容器または別の容器 充填し窒化物結晶を育成してもかまわない その際、先述したように種結晶を設置する とも好適に用いることができる。

 本発明の窒化物結晶の製造方法により、製 される窒化物結晶の遷移金属不純物の混入 酸化物換算で通常0.1質量%以下に抑制できる 。本発明により得られた塊状窒化物結晶は、 必要な場合、塩酸(HCl)、硝酸(HNO 3 )等で洗浄することができる。また、生成し 結晶および未反応の原料や鉱化剤等の添加 を取り除いた後の容器も、必要な場合も同 に洗浄することができる。

 洗浄された窒化物結晶はさらにその方位 よって、特定の結晶面に対して垂直にスラ スし、さらに必要な場合には、エッチング 研磨を施し、窒化物自立単結晶基板として 品化することができる。得られた窒化物単 晶基板は不純物が少なく、結晶性も高いた に格子欠陥や転位密度が低くなると共に不 物準位の形成もなく、VPEやMOCVD等で各種デ イスを製造するにあたり、特にホモエピタ シャル成長用基板として優れている。特に 窒化ガリウムの場合、ホモエピタキシャル 長用の高品質な単結晶基板の工業的な製造 知られていない。サファイア上にバッファ 層等を介してVPE等の方法でエピタキシャル 長させた後に、サファイアやバッファー層 除去しても窒化ガリウム単結晶の自立基板 製造可能だが、窒化ガリウムと格子定数、 膨張係数が異なる基板上での、いわゆるヘ ロエピタキシャル成長であるために、得ら る窒化ガリウムに格子欠陥が発生しやすく その点において本発明により製造された窒 ガリウム結晶は、格子欠陥や転位密度等の 点からも優れている。

 さらに、本発明により製造された窒化物 晶やそれを切断、スライス、エッチング、 磨したものは、アンモニア溶媒を用いる溶 成長法も含めた各種の溶液成長法や昇華法 メルト成長法に用いる種結晶としても不純 が少なく結晶性が高いために優れている。

 以下に実施例と比較例を挙げて本発明の 徴をさらに具体的に説明する。以下の実施 に示す材料、使用量、割合、処理内容、処 手順、処理装置等は、本発明の趣旨を逸脱 ない限り適宜変更することができる。した って、本発明の範囲は以下に示す具体例に り限定的に解釈されるべきものではない。

(充填例1)
 図1に示す液化アンモニア充填装置を用いて 充填例1を行った。バルブV1、V4、V5は電磁弁( ンオフ弁)であり、図2に示す制御部8により 動制御した。バルブV2、V3はニードル弁であ り、手動制御した。オートクレーブ3は、内 が100mmで5.61kgの液化アンモニアを充填するこ とができる内容積を有している。オートクレ ーブには白金が内張りされているが、中には 原料は入れなかった。
 まず、系内の空気を取り除くため、バルブV 1、マスフローコントローラMFC1を閉止し、バ ブV2~V5およびマスフローコントローラMFC2を 状態とし、MFC2排出側から真空ポンプにより 吸引して系内全体を真空状態にした。アンモ ニア仕込み量は、充填率50%(2.805kg)になるアン モニア量と充填率調整用のアンモニア量(0.695 kg)とを合計した3.500kgとした。マスフローコ トローラMFC1を仕込み量3.500kg、仕込み流速50N L/minに設定し、バルブV2とバルブV4を閉め、バ ルブV1とマスフローコントローラMFC1を開くこ とにより、アンモニアボンベ1から排出され ガスアンモニアを図3中のAで示される流れに 従ってコンデンサー2に供給した。同時に、 スアンモニアを、図3中のA’で示される流れ に従ってバルブV5およびバルブV3を通してオ トクレーブ3内に導いた。このとき、実際に スフローコントローラMFC1を経由して供給し たガスアンモニア量は3.4998kgであった。コン ンサー2に供給したガスアンモニアは、コン デンサー2中で凝縮されて液化アンモニアと り、バルブV2とコンデンサー2との間(図3にお けるB)に蓄積された。

 次いで、バルブV1とバルブV4を閉状態、バ ルブV3とV5を開状態にしたうえで、バルブV2を 徐々に開き、アンモニア供給口4から液化ア モニアをオートクレーブ3内に供給した。こ とき、系内の圧力は0.2MPa以下になるように 整した。オートクレーブ3に供給した液化ア ンモニアは、すぐに気化し、その潜熱よって オートクレーブ3が徐々に冷却された。オー クレーブ3において、液化アンモニアの気化 よって生じたガスアンモニアを、アンモニ 排出口5より排出し、図4においてCで示され 流れに従って、バルブV5を通過しながらコ デンサー2に供給した。コンデンサー2に供給 したガスアンモニアは再び液化され、蓄積さ れた。蓄積された液化アンモニアを再びオー トクレーブ3に供給することによりアンモニ を循環させた。

 オートクレーブ3の内容積の50%(2.805kg)を若 干超える量に相当する液化アンモニアが充填 されたころを見計らって、バルブV2とV3を閉 た。充填率調整の前工程として、コンデン ー2および配管に残存したアンモニア量を測 するため、バルブV1とV2とV3およびマスフロ コントローラMFC1を閉状態、バルブV4とV5と スフローコントローラMFC2を開状態とし、図5 のDの流れに従ってアンモニア除去塔7に排出 水に吸収させた。この時、系外に排出した スアンモニア量をマスフローコントローラM FC2により計量したところ0.5111kgであった。マ フローコントローラMFC1を経由して供給した 実際の供給量(3.4998kg)から充填率50%分(2.805kg) コンデンサーおよび配管内の残存分(0.5111kg) 差し引き、充填率調整に必要なアンモニア を算出(0.1837kg)し、マスフローコントローラ MFC2に設定した。次に、バルブV1、V2、V5およ マスフローコントローラMFC1を閉状態、V3、V4 およびマスフローコントローラMFC2を開状態 して、設定値のアンモニア量をアンモニア 去塔7に排出した。最後にバルブV1とV2とV3を 状態、バルブV4とバルブV5とMFC2を開状態に て、マスフローコントローラMFC2排出側から 引して図6のEの流れに従って配管内のアン ニアをガスアンモニアとして除去した。こ までにマスフローコントローラMFC2を通過し ガスアンモニアの流量は0.6952kgであった。

 オートクレーブ3内に充填された液化アンモ ニアは、(マスフローコントローラMFC1を通過 たガスアンモニアの流量)-(マスフローコン ローラMFC2を通過したガスアンモニアの流量 )で計算される。マスフローコントローラMFC1 マスフローコントローラMFC2で測定された流 量値から求められる充填量は2.8046kgで、充填 49.99%であり、充填率の誤差は0.01%であった なお、マスフローコントローラの計測値は れぞれ±1%の誤差を含んでいるため、下記式 よりオートクレーブ3内に充填された液化ア ンモニア量は厳密には2.8046kg±0.042kgと計算さ る。
 (3.4998±0.035)-(0.6952±0.007)=2.8046±0.042

(充填例2)
 アンモニアボンベ1から系内に供給するガス アンモニア供給量とオートクレーブ3内の液 アンモニア充填率を表1に示す通りに変更し 、充填例1と同じ方法にしたがってオートク レーブ3内に液化アンモニアを目標充填率20% 充填した。誤差は、表1に示す通りであった

(充填例3)
 充填例1と同じ液化アンモニア充填装置を用 いて、いわゆるフロー法により目標充填率50% で液化アンモニアをオートクレーブ3内に充 した。
 まず、系内の空気を取り除くため、バルブV 1、マスフローコントローラMFC1を閉止し、バ ブV2~V5およびマスフローコントローラMFC2を 状態とし、MFC2排出側から真空ポンプにより 吸引して系内全体を真空状態にした。アンモ ニア仕込み量は、充填率50%(2.805kg)になるアン モニア量と充填率調整用のアンモニア量(0.695 kg)とを合計した3.500kgとした。マスフローコ トローラMFC1を仕込み量3.500kg、仕込み流速50N L/minに設定し、バルブV2とバルブV4を閉め、バ ルブV1とマスフローコントローラMFC1を開くこ とにより、アンモニアボンベ1から排出され ガスアンモニアを図3中のAで示される流れに 従ってコンデンサー2に供給した。同時に、 スアンモニアを、図3中のA’で示される流れ に従ってバルブV5およびバルブV3を通してオ トクレーブ3内に導いた。コンデンサー2に供 給したガスアンモニアは、コンデンサー2中 凝縮されて液化アンモニアとなり、バルブV2 とコンデンサー2との間(図3におけるB)に蓄積 れた。

 次に、MF1およびMF2の流速を50NL/minに設定 アンモニア充填を開始した。バルブV1、V2、V 3、V4とMF1、MF2を開状態、バルブV5を閉状態に て、図8で示される流れに従ってアンモニア を流通させた。すなわち、まずアンモニアボ ンベ1から排出されたガスアンモニアをコン ンサー2に供給した。コンデンサー2に供給し たガスアンモニアは、コンデンサー2中で凝 されて液化アンモニアとなり、バルブV2とコ ンデンサー2との間(図3におけるB)に蓄積され 。蓄積された液化アンモニアを、開状態に っているバルブV2を通してアンモニア供給 4からオートクレーブ3内に供給した。このと き、系内の圧力は0.2MPa以下になるように調整 した。オートクレーブ3に供給した液化アン ニアは、すぐに気化し、その潜熱によって ートクレーブ3が徐々に冷却された。オート レーブ3において、液化アンモニアの気化に よって生じたガスアンモニアは、アンモニア 排出口5より排出し、アンモニア除去塔7に排 し水に吸収させた。

 オートクレーブ3の内容積の50%(2.805kg)を若干 超える量に相当する液化アンモニアが充填さ れたころを見計らって、バルブV2とバルブV3 閉じた。この時のマスフローコントローラMF C1およびマスフローコントローラMFC2の積算値 は、それぞれ13.2200kgおよび9.7199kgであったた 、この時点で系内には3.5000kgのアンモニア 残っている。充填率調整の前工程として、 ンデンサーおよび配管に残存したアンモニ 量を測定するため、バルブV1とV2とV3および スフローコントローラMF1を閉状態、バルブV4 とV5とマスフローコントローラMF2を開放状態 し、図5のDの流れに従ってアンモニア除去 に排出し水に吸収させた。この時、系外に 出したアンモニア量をマスフローコントロ ラMFC2により計量(0.3499kg)した。系内残存量(3. 5000kg)から充填率50%分(2.805kg)とコンデンサー よび配管内の残存分(0.3499kg)を差し引き、充 率調整に必要なアンモニア量を算出(0.3450kg) し、マスフローコントローラMFC2に設定した 次に、バルブV1、V2、V5およびMF1を閉状態、V3 、V4およびマスフローコントローラMFC2を開状 態にして、設定値のアンモニア量をアンモニ ア除去塔7に排出した。最後にバルブV1とV2とV 3を閉状態、バルブV4とV5とマスフローコント ーラMFC2を開状態にして、MFC2排出側から吸 して配管内のアンモニアをガスアンモニア して除去した。このときマスフローコント ーラMFC2を通過したガスアンモニアの流量は0 .3499kgであった。
 充填例1と同じ方法により充填率と誤差を計 算した結果は、表1に示す通りであった。

(充填例4~6)
 充填例1~3と同じ装置を用いて、充填例1~3と じ方法により、オートクレーブ3の内容積が 目標充填率を若干超える量に相当する液化ア ンモニアが容器に充填されたころを見計らっ てバルブ2とバルブ3を閉じる工程まで行い、 こで容器への液化アンモニアの充填を終了 た。
 充填例1と同じ方法により充填率と誤差を計 算した結果は、表1に示す通りであった。

(窒化ガリウム単結晶を成長例)
 図9に示すオートクレーブ3内の原料充填部3B に鉱化剤として十分に乾燥した粉体のNH 4 Cl(純度99.999%)を充填し、結晶育成部3Aのバッ ル板上に窒化ガリウムの種結晶を入れて蓋 閉じた。次いで、図1の液化アンモニア充填 置を組み立て、上記各充填例と同じ方法に りそれぞれ液化アンモニアをオートクレー 3内に充填した。

 続いて、オートクレーブ3を上下に2分割さ たヒーターで構成された電気炉9内に収納す 。オートクレーブの下部外面の温度が490℃ 、上部外面の温度が450℃になるように温度 をつけながら24時間かけて昇温し、オート レーブの下部外面の温度が490℃に、上部外 の温度が450℃に達した後、その温度でさら 240時間保持する。その後、ヒーターによる 熱を止め、オートクレーブ3の下部外面温度 室温になるまでおよそ3日間かけて電気炉9 で自然放冷する。その後、まずオートクレ ブに付属したアンモニア排出口5に通じるバ ブを開放し、オートクレーブ3内のNH 3 を取り除く。その後、一旦アンモニア排出口 5に通じるバルブを閉じ、真空ポンプに通ず ように操作し、バルブを再び開放し、オー クレーブ3のNH 3 をほぼ完全に除去する。これによって、オー トクレーブ3内に窒化ガリウム単結晶の成長 確認される。

 本発明の方法により液化アンモニアを充 した場合は、温度制御することにより到達 た圧力を精度よく見積もることができるた 、適正な運転条件で効率よく窒化ガリウム 結晶を成長させることができる。これに対 て、本発明外の方法により液化アンモニア 充填した場合は、到達圧力の見積精度が悪 ため、運転条件を適正化させることが困難 、効率よく窒化ガリウム単結晶を成長させ ことが容易ではない。

 本発明の充填方法によれば、冷却装置を 要とすることなく、不純物が少ない液化ア モニアを高い精度で安価に容器に充填する とができる。また、本発明により液化アン ニアを充填した容器を用いて窒化物結晶を 長させれば、温度制御により到達する圧力 精度よく見積もることができるため、適正 条件で効率よく結晶を成長させることがで る。したがって、本発明は産業上の利用可 性が高い。