Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
PROCESS FOR PRODUCING OPTICAL FILM AND OPTICAL FILM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/119328
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided are: a process for producing an optical film through successive biaxial stretching in which a thermoplastic resin film is stretched in the machine direction and then stretched in the transverse direction; and an optical film produced by the process. The optical film is reduced in bowing and thickness unevenness and has satisfactory optical properties. The process for optical-film production comprises a machine-direction stretching step in which a continuous thermoplastic resin film is stretched in the lengthwise direction and a transverse-direction stretching step in which the film is subsequently stretched in the width direction. The process is characterized in that when the thermoplastic resin film is stretched in the lengthwise direction in the machine-direction stretching step, both edges of the thermoplastic resin film have a higher temperature than a central part thereof.

Inventors:
HAGIWARA TATUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/054754
Publication Date:
October 01, 2009
Filing Date:
March 12, 2009
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
KONICA MINOLTA OPTO INC (JP)
HAGIWARA TATUKI (JP)
International Classes:
B29C55/14; G02B5/30; G02F1/1335; G02F1/13363; B29L7/00; B29L11/00
Foreign References:
JP2004018784A2004-01-22
JP2003322722A2003-11-14
JP2003057444A2003-02-26
JP2005111919A2005-04-28
Download PDF:
Claims:
長尺状の熱可塑性樹脂フィルムを2本の搬送ロール間で長手方向に延伸する縦延伸工程と、該縦延伸工程の後に前記熱可塑性樹脂フィルムを幅方向に延伸する横延伸工程と、を有する光学フィルムの製造方法において、
前記縦延伸工程において、幅方向における前記熱可塑性樹脂フィルムの両端部の温度が、幅方向における前記熱可塑性樹脂フィルムの中央部の温度よりも高いことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
前記縦延伸工程において、前記両端部の温度が、前記中央部の温度よりも1℃~20℃高いことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の光学フィルムの製造方法。
前記縦延伸工程において、前記両端部の温度が、前記中央部の温度よりも5℃~15℃高いことを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載の光学フィルムの製造方法。
前記縦延伸工程において、前記熱可塑性樹脂フィルムが、前記2本の搬送ロール間に配置された赤外線ヒータにより加温され、
該赤外線ヒータにおける前記熱可塑性樹脂フィルムの搬送方向上流側の端部と、
前記2本の搬送ロールのうち前記熱可塑性樹脂フィルムの搬送方向下流側のロールに前記熱可塑性樹脂フィルムが接する位置との距離が、50mm以上300mm以下であることを特徴とする請求の範囲第1項から第3項の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
前記両端部と前記赤外線ヒータとの距離が、前記中央部と前記赤外線ヒータとの距離より短いことを特徴とする請求の範囲第4項に記載の光学フィルムの製造方法。
前記縦延伸工程において、前記熱可塑性樹脂フィルムが、前記両端部から前記中央部に向けて熱風を吹き付ける熱風送風機により加温されることを特徴とする請求の範囲第4項又は第5項に記載の光学フィルムの製造方法。
前記縦延伸工程における前記両端部の温度と前記中央部の温度との差は、前記縦延伸工程及び前記横延伸工程を経た後の熱可塑性樹脂フィルムのボーイング量により調整されることを特徴とする請求の範囲第6項に記載の光学フィルムの製造方法。
前記縦延伸工程の後の前記熱可塑性樹脂フィルムの膜厚が20μm以上150μm以下であることを特徴とする請求の範囲第4項から第7項の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
前記縦延伸工程において、前記熱可塑性樹脂フィルムの幅が1500mm以上4000mm以下であることを特徴とする請求の範囲第4項から第8項の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
前記熱可塑性樹脂フィルムが、熱溶融性フィルムであることを特徴とする請求の範囲第4項から第9項の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
前記熱可塑性樹脂フィルムが、セルロースエステルフィルムであることを特徴とする請求の範囲第1項から第10項の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
請求の範囲第1項から第11項の何れか1項に記載の光学フィルムの製造方法によって製造されたことを特徴とする光学フィルム。
Description:
光学フィルムの製造方法及び光 フィルム

 本発明は、光学フィルムの製造方法及び 学フィルムに関するものである。

 近年、液晶表示装置の薄型軽量化、大型 面化、高精細化の開発が進んでいる。それ 伴って、液晶表示装置の視野角改善やコン ラスト改善に使用される光学フィルム(位相 差補償フィルム)への広幅化、薄膜化、高品 化の要求は、急速に高まってきている。

 光学フィルムが液晶表示装置の視野角や ントラストを適切に改善するためには、高 度に制御されたフィルム面内およびフィル 厚み方向のリタデーションや配向角の均一 、フィルム膜厚の均一性などが要求される 上記フィルムのリタデーションや配向角、 厚を高精度に制御し、付与する方法として 、縦横の逐次延伸からなる逐次二軸延伸が 般的に用いられている。

 縦延伸としては、図10に示すように加熱 90内でフィルム91を加熱し軟化させつつ、送 側駆動ロール99の回転速度に対し出口の引 りロール92の回転速度を上げフィルム91を延 するオーブン加熱延伸法がある。

 また、図11に示すように低速ローラ93と高 速ローラ94との間の実質延伸スパン(ヒータの 熱可塑性樹脂フィルム搬送方向上流側の端部 と、下流側の搬送ロールに接する位置との距 離)を短くし、実質延伸スパン内でヒータ95、 96によりフィルム91を加熱・軟化させて延伸 るロール延伸法がある。

 一般に、フィルムを引取り方向に引き伸 すと幅方向にフィルムの収縮(以降、ネッキ ングと称す)が生じる。

 オーブン加熱延伸法の場合、フィルムの 熱媒体が空気や輻射によるため加熱ゾーン 長く、フィルムがロールに束縛されないフ ーな状態も長くなりネッキングは非常に大 くなるが、膜厚は比較的均一になる。しか 、ネッキングによる幅の収縮が大きく、近 の広幅化の要求には十分に対応できていな 。

 一方、ロール延伸法の場合は、実質延伸 パンを短くしているので、フィルムがロー に束縛されないフリーな状態が短く、ネッ ングを小さくすることができ、近年の広幅 への要求に対して好ましい方法である。し し、ネッキングを抑える反面、両端部の厚 が厚くなるという問題が発生する。図12に ール延伸法を用いたときのフィルム幅方向 厚み変化を模式的に示す。このフィルム端 の厚膜の部分は、製品品質上から好ましく いのでトリミングにより排除されるが、そ でも中央部が薄く、両端部が厚いという課 は残り、光学フィルムの品質低下を招いて る。

 また、横延伸としては、図13に示すよう フィルム91の端部を把持したクリップが無端 レール97に沿って走行しながら幅方向に広が ことによって行うテンター方式が用いられ 。しかし、このような横延伸を行うと、図1 3に示すように延伸前にフィルムに描いた直 (L1)が横延伸後に弓状の曲線(L2)に変形すると いう、いわゆるボーイングという現象が発生 する。フィルムにこのようなボーイングが発 生するとフィルム面内およびフィルム厚み方 向のリタデーションや配向角がその幅方向に 対して変化し、最終製品における物性の均一 性が損なわれる。

 このように縦延伸と横延伸を行う逐次二 延伸においては、延伸後のフィルムの膜厚 均一性の確保、ボーイング対策などを行い フィルム面内およびフィルム厚み方向のリ デーションや、配向角の均一性を得ること 課題となっている。

 このような課題を解消するために、従来よ 様々な対処法が提案されている。例えば特 文献1には、延伸後、テンター出口までの工 程をガラス転移温度以下の温度に保持する方 法が提案されている。この特許文献1によれ 、ボーイングを低減でき、良好な光学特性 得ることができるとしてる。

特開2006-51804号公報

 しかしながら、特許文献1の発明でも、近 年の光学フィルムに要求される光学特性を得 られるほどにボーイングを低減することがで きていない。

 本発明の目的は、上記従来技術の課題に みてなされたものであり、熱可塑性樹脂フ ルムを縦延伸した後横延伸をする逐次二軸 伸において、ボーイングが少なく、且つ厚 ムラの抑制された良好な光学特性を有する 学フィルムを製造し得る光学フィルムの製 方法、及び該方法によって製造された光学 ィルムを提供しようとすることにある。

 本発明者は、上記の点に鑑み鋭意研究を ねた結果、縦延伸工程において、フィルム 幅方向の温度を変化させることで、中央部 膜厚減少を抑え、且つ、あえて縦延伸後の ィルムにボーイングを発生させてその後に 延伸工程を行うことで、横延伸工程で発生 るボーイングと縦延伸工程で発生したボー ングとを相殺させ、2軸延伸後のフィルムの 膜厚の均一化とボーイングの抑制の両方を改 善でき、優れた光学特性を有する光学フィル ムを製造し得ることを見出し、本発明を完成 するに至ったものである。

 本発明の上記目的は以下の手段により達 される。

 1.
長尺状の熱可塑性樹脂フィルムを2本の搬送 ール間で長手方向に延伸する縦延伸工程と 該縦延伸工程の後に前記熱可塑性樹脂フィ ムを幅方向に延伸する横延伸工程と、を有 る光学フィルムの製造方法において、
前記縦延伸工程において、幅方向における前 記熱可塑性樹脂フィルムの両端部の温度が、 幅方向における前記熱可塑性樹脂フィルムの 中央部の温度よりも高いことを特徴とする光 学フィルムの製造方法。

 2.
前記縦延伸工程において、前記両端部の温度 が、前記中央部の温度よりも1℃~20℃高いこ を特徴とする前記1に記載の光学フィルムの 造方法。

 3.
前記縦延伸工程において、前記両端部の温度 が、前記中央部の温度よりも5℃~15℃高いこ を特徴とする前記1または2に記載の光学フィ ルムの製造方法。

 4.
前記縦延伸工程において、前記熱可塑性樹脂 フィルムが、前記2本の搬送ロール間に配置 れた赤外線ヒータにより加温され、
該赤外線ヒータにおける前記熱可塑性樹脂フ ィルムの搬送方向上流側の端部と、
前記2本の搬送ロールのうち前記熱可塑性樹 フィルムの搬送方向下流側のロールに前記 可塑性樹脂フィルムが接する位置との距離 、50mm以上300mm以下であることを特徴とする 記1から3の何れか1項に記載の光学フィルム 製造方法。

 5.
前記両端部と前記赤外線ヒータとの距離が、 前記中央部と前記赤外線ヒータとの距離より 短いことを特徴とする前記4に記載の光学フ ルムの製造方法。

 6.
前記縦延伸工程において、前記熱可塑性樹脂 フィルムが、前記両端部から前記中央部に向 けて熱風を吹き付ける熱風送風機により加温 されることを特徴とする前記4又は5に記載の 学フィルムの製造方法。

 7.
前記縦延伸工程における前記両端部の温度と 前記中央部の温度との差は、前記縦延伸工程 及び前記横延伸工程を経た後の熱可塑性樹脂 フィルムのボーイング量により調整されるこ とを特徴とする前記6に記載の光学フィルム 製造方法。

 8.
前記縦延伸工程の後の前記熱可塑性樹脂フィ ルムの膜厚が20μm以上150μm以下であることを 徴とする前記4から7の何れか1項に記載の光 フィルムの製造方法。

 9.
前記縦延伸工程において、前記熱可塑性樹脂 フィルムの幅が1500mm以上4000mm以下であること を特徴とする前記4から8の何れか1項に記載の 光学フィルムの製造方法。

 10
前記熱可塑性樹脂フィルムが、熱溶融性フィ ルムであることを特徴とする前記4から9の何 か1項に記載の光学フィルムの製造方法。

 11.
前記熱可塑性樹脂フィルムが、セルロースエ ステルフィルムであることを特徴とする前記 1から10の何れか1項に記載の光学フィルムの 造方法。

 12.
前記1から11の何れか1項に記載の光学フィル の製造方法によって製造されたことを特徴 する光学フィルム。

 本発明の光学フィルムの製造方法によれ 、延伸後のフィルムの膜厚が均一で、ボー ングを抑制することができ、フィルム全面 おいて優れた光学特性を有する光学フィル を製造することができる。

本発明の光学フィルムの製造方法にお る縦延伸工程及び横延伸工程の一実施形態 ある延伸装置の側面図と断面図の概略図で る。 本発明の光学フィルムの製造方法にお る縦延伸後のフィルム幅方向の膜厚分布を す概略図である。 本発明に係る縦延伸及び横延伸後のフ ルムのボーイングの様子を示す概略図であ 。 本発明に係る縦延伸の際に、フィルム 方向から熱風を送風している様子を示す概 図である。 本発明の光学フィルムの製造方法の第 の実施形態を示す概略図である。 図1の製造装置の流延ダイから冷却ロー ル部分を拡大した概略図である。 図1の製造装置の縦延伸装置の詳細を示 す概略図である。 縦延伸工程におけるフィルムの延伸状 を示す模式図である。 本発明の光学フィルムの製造方法の第 の実施形態を示す概略図である。 ゾーン延伸装置を説明するための概略 図である。 ロール延伸法を説明するための概略図 である。 縦延伸の際に発生するネッキングを説 明するための概略図である。 横延伸するためのテンター方式と横延 伸の際に発生するボーイング現象を説明する ための概略図である。

符号の説明

 1 押出し機
 2 フィルター
 3 スタチックミキサー
 4、50 流延ダイ
 5 第1冷却ロール(冷却用第1回転体)
 6 タッチロール(押圧用第2回転体)
 7 第2冷却ロール(冷却用第3回転体)
 8 第3冷却ロール(冷却用第4回転体)
 P1 フィルムが最初に第1冷却ロール表面に 触した点
 P2 フィルムがタッチロール表面に接触した 点
 9、52 剥離ロール
 10 縦延伸装置
 11、13 搬送ロール
 15 赤外線ヒータ
 16 反射板
 17 フィルム
 19 スリッター
 20 横延伸装置
 21 第1延伸前予熱ロール
 22 第2延伸前予熱ロール
 23 第3延伸前予熱ロール
 24 第4延伸前予熱ロール
 25 延伸・予熱ロール
 26 ニップロール
 27 延伸・冷却ロール
 28 ニップロール
 29 第1延伸後冷却ロール
 30 第2延伸後冷却ロール
 31 第3延伸後冷却ロール
 32 上部加熱ヒータ
 33 下部加熱ヒータ
 41 ガイドロール
 42 ガイドロール
 51 流延用ベルト
 40 乾燥装置
 52 バックロール
 53 エンボスリング
 60 巻取り装置
 S 実質延伸スパン
 F 光学フィルム(元巻き)

 以下、本発明を実施するための最良の形 について、図面を参照して説明するが、本 明はこれらに限定されるものではない。

  本発明の光学フィルムの製造方法にお ては、長尺状の熱可塑性樹脂フィルムを2本 搬送ロール間で長手方向に延伸する縦延伸 程と、該縦延伸工程の後に熱可塑性樹脂フ ルムを幅方向に延伸する横延伸工程とを有 、縦延伸工程において、幅方向における前 熱可塑性樹脂フィルムの両端部の温度が、 方向における熱可塑性樹脂フィルムの中央 の温度よりも高いものである。

 図1(a)、(b)に本発明に係る縦延伸工程及び 横延伸工程の一実施形態である延伸装置の側 面図と断面図を示す。縦延伸装置10は近接し 第1の搬送ロール11と第2の搬送ロール13との で行うロール延伸方式であり、ニップロー 12、14、前記2本の搬送ロール間に配置され 赤外線ヒータ15、反射板16とを備えている。 尺用の熱可塑性樹脂フィルム17は、搬送ロ ル11、13と搬送ロール11,13に押圧しているニ プロールとによって、挟持され搬送される 第2の搬送ロール13は第1の搬送ロール11より 速に回転し、搬送ロール11、13間の赤外線ヒ タ15により加温、軟化されたフィルムを搬 方向に縦延伸する。縦延伸されたフィルム17 は、つぎに横延伸装置20より横延伸される。

 本実施形態の縦延伸装置10においては、 1(b)に示すように赤外線ヒータ15と熱可塑性 脂フィルム17との距離は、フィルム幅方向に おいて、フィルム端部との距離d1に対して、 央部との距離d2が長くなるように設定して る。このようにすることで、縦延伸する際 フィルムの幅方向両端部の温度が中央部の 度よりも高くなっている。フィルム幅方向 端部の温度が中央部の温度よりも高いこと 、縦延伸後のフィルムの膜厚を幅方向に均 にすることができる。なお、フィルムの両 部とは、フィルムの全体幅の両端から内側 それぞれ10%までの領域を示し、フィルムの 央部とは、中央の10%の領域を示す。

 また、本発明に係る縦延伸工程で熱可塑 樹脂フィルムを長手方向に延伸する際、フ ルム幅方向のフィルム端部の温度をフィル 中央部より1℃~20℃高くして長手方向に延伸 することが好ましい。この範囲に温度を設定 すことにより、縦延伸後のフィルム膜厚をよ り均一にすることができる。また、より好ま しくは、5℃~15℃の範囲高くすることである この範囲高くすることにより、膜厚のみな ず光学物性(リタデーション)が均一になり、 より好ましい。

 図2に縦延伸後のフィルム幅方向の膜厚分 布を示す。従来、フィルムの幅方向の温度を 変化させない場合は、両端部に比べ中央部が hの厚さだけ薄くなっていたが、本発明では 両端の厚膜となる部分を除く製品として使 る有効幅において、均一な膜厚とすること できる。

 また、本発明の縦延伸の際にフィルムの 方向両端部の温度が中央部の温度よりも高 ことで、縦延伸後のボーイングと、つぎに う横延伸時に発生するボーイングとを相殺 せるように調整でき、二軸延伸後のボーイ グ量を抑制し、均一な膜厚の光学フィルム 作成することができる。

 フィルム幅方向のフィルム端部の温度を ィルム中央部より1℃~20℃高くして長手方向 に延伸した場合、縦延伸後、及び横延伸後の フィルムのボーイングの様子を図3に模式的 示す。熱可塑性樹脂フィルムの表面に基準 Laを描き、本発明に係る縦延伸を行うと、延 伸後のボーイングはLbのように中央部が先行 たようにBの量だけ膨らむ。このフィルムを つぎの横延伸装置で延伸すると、ボーイング を抑制した膜厚の均一な光学フィルムを製造 することができる。

 このように縦延伸後のフィルムにボーイ グを発生させ、横延伸後にボーイングの抑 された光学フィルムを作成する場合、二軸 伸後のボーイング量を測定して、その測定 果をもとに、縦延伸時のフィルム幅方向の 度分布を制御することが好ましい。このよ な制御を行うことでより、精密に均一な膜 で、ボーイングの少ない光学フィルムを製 することができる。

 また、本発明に係る縦延伸の際のフィル 幅方向のフィルム温度を変化させる手段と ては、図4に示す熱風送風機80を用いること 好ましい。熱風送風機80により、フィルム 部を加温することにより、フィルム幅方向 温度分布を滑らかにすることができる。

 また、縦延伸工程における熱可塑性樹脂 ィルムの幅方向両端部の温度と中央部の温 との差は、二軸延伸後のフィルムのボーイ グ量により調整するのがより好ましい。こ ようにすることで、より均一な膜厚とボー ングの抑制された光学フィルムを製造する とができる。

 また、本発明に係る縦延伸装置のロール 伸方式においては、赤外線ヒータにおける 可塑性樹脂フィルムの搬送方向上流側の端 と、2本の搬送ロールのうち熱可塑性樹脂フ ィルムの搬送方向下流側のロールに熱可塑性 樹脂フィルムが接する位置との距離(以後、 質延伸スパンという。図1(a)参照。)は、50mm 上、300mm以下が好ましい。実質延伸スパンを 50mm未満とするには、ヒーターなどの加熱装 の設置スペースが限られ、また、小さなロ ル径が要求されるため、大きな延伸応力が せず、生産速度アップの障害になるので、 ましくない。また、実質延伸スパンが300mmを 超えると、縦延伸に伴う幅収縮量が大きくな り、製品にできる有効幅が狭くなり、好まし くない。

 以下、本発明による光学フィルムの製造 法について、詳しく説明する。

 本発明における光学フィルムの製造方法 おいて、延伸前の熱可塑性樹脂フィルムの 膜方法としては、樹脂溶液を流延して製膜 る溶液流延製膜法や溶融樹脂を流延して製 する溶融流延製膜法を用いて製膜するのが ましい。

 本発明による光学フィルムの主材料は、 造が容易であること、偏光膜との接着性が いこと、光学的に透明であることなどが好 しい要件として挙げられる。

 上記の性質を有する熱可塑性樹脂フィル であれば、特に限定はないが、例えば、セ ロースジアセテートフィルム、セルロース リアセテートフィルム、セルロースアセテ トブチレートフィルム、セルロースアセテ トプロピオネートフィルム等のセルロース ステル系フィルム、ポリエステル系フィル 、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリ ート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテ ルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレ テレフタレート、ポリエチレンナフタレー 等のポリエステルフィルム、ポリエチレン ィルム、ポリプロピレンフィルム、セロフ ン、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビ ルアルコールフィルム、エチレンビニルア コールフィルム、シンジオタクティックポ スチレン系フィルム、ポリカーボネートフ ルム、シクロオレフィン系ポリマーフィル 、ゼオネックス(商品名、日本ゼオン社製)、 ゼオノア(商品名、日本ゼオン社製)、ポリメ ルペンテンフィルム、ポリエーテルケトン ィルム、ポリエーテルケトンイミドフィル 、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィル 、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリ ートフィルム、アクリルフィルムまたはガ ス板等を挙げることができる。中でも、セ ロースエステル系フィルム、シクロオレフ ンポリマーフィルム、ポリカーボネート系 ィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホ ンを含む)系フィルムが好ましく、本発明に いては、特に、セルロースエステル系樹脂 ィルム、または環状オレフィン系付加重合 を80%以上含有する樹脂フィルムであるのが 製造上、コスト面、透明性、接着性等の観 から好ましく用いられる。

 本発明の光学フィルムを構成する材料は これらの樹脂、必要により安定化剤、可塑 、紫外線吸収剤、滑り剤としてのマット剤 リタデーション制御剤が含まれる。これら 材料は、目的とする光学フィルムの要求特 により適宜選択される。

 本発明の光学フィルムの材料としてセル ース樹脂を用いる場合、そのセルロース樹 は、セルロースエステルの構造を有し、脂 酸アシル基、置換もしくは無置換の芳香族 シル基の中から少なくともいずれかの構造 含む、セルロースの単独または混合酸エス ル(以下、単に「セルロース樹脂」という) あり、非晶性のものである。「非晶性」と 、不規則な分子配置で結晶とはならずに固 となっている物質を意味しており、原料時 結晶状態を表わしたものである。

 以下、本発明の使用に有用なセルロース 脂について例示するが、これらに限定され ものではない。

 本発明の光学フィルムを構成するセルロ ス樹脂は、セルロースエステルの構造を有 、脂肪酸アシル基、置換もしくは無置換の 香族アシル基の中から少なくともいずれか 構造を含む、セルロースの単独または混合 エステル(以下、単に「セルロース樹脂」と いう)であり、非晶性のものである。「非晶 」とは、不規則な分子配置で結晶とはなら に固体となっている物質を意味しており、 料時の結晶状態を表したものである。

 以下、本発明の使用に有用なセルロース 脂について例示するがこれらに限定される のではない。

 セルロース樹脂が芳香族アシル基を含む場 、芳香族環がベンゼン環であるとき、ベン ン環の置換基の例としてハロゲン原子、シ ノ、アルキル基、アルコキシ基、アリール 、アリールオキシ基、アシル基、カルボン ミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、 ラルキル基、ニトロ、アルコキシカルボニ 基、アリールオキシカルボニル基、アラル ルオキシカルボニル基、カルバモイル基、 ルファモイル基、アシルオキシ基、アルケ ル基、アルキニル基、アルキルスルホニル 、アリールスルホニル基、アルキルオキシ ルホニル基、アルキルスルホニルオキシ基 びアリールオキシスルホニル基、-S-R、-NH-CO -OR、-PH-R、-P(-R) 2 、-PH-O-R、-P(-R)(-O-R)、-P(-O-R) 2 、-PH(=O)-R-P(=O)(-R) 2 、-PH(=O)-O-R、-P(=O)(-R)(-O-R)、-P(=O)(-O-R) 2 、-O-PH(=O)-R、-O-P(=O)(-R) 2 -O-PH(=O)-O-R、-O-P(=O)(-R)(-O-R)、-O-P(=O)(-O-R) 2 、-NH-PH(=O)-R、-NH-P(=O)(-R)(-O-R)、-NH-P(=O)(-O-R) 2 、-SiH 2 -R、-SiH(-R) 2 、-Si(-R) 3 、-O-SiH 2 -R、-O-SiH(-R) 2 及び-O-Si(-R) 3 が含まれる。上記Rは脂肪族基、芳香族基ま はヘテロ環基である。

 置換基の数は、1個~5個、好ましくは1個~4 、より好ましくは1個~3個、さらにより好ま くは1個または2個である。さらに、芳香族 に置換する置換基の数が2個以上の時、互い 同じでも異なっていてもよいが、また、互 に連結して縮合多環化合物(例えばナフタレ ン、インデン、インダン、フェナントレン、 キノリン、イソキノリン、クロメン、クロマ ン、フタラジン、アクリジン、インドール、 インドリンなど)を形成してもよい。

 置換基としては、ハロゲン原子、シアノ アルキル基、アルコキシ基、アリール基、 リールオキシ基、アシル基、カルボンアミ 基、スルホンアミド基及びウレイド基が好 しく、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基 アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル 及びカルボンアミド基がより好ましく、ハ ゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキ 基及びアリールオキシ基がさらに好ましく ハロゲン原子、アルキル基及びアルコキシ が最も好ましい。

 上記ハロゲン原子には、フッ素原子、塩 原子、臭素原子及びヨウ素原子が含まれる 上記アルキル基は、環状構造あるいは分岐 有していてもよい。アルキル基の炭素原子 は、1~20であることが好ましく、1~12である とがより好ましく、1~6であることがさらに ましく、1~4であることが最も好ましい。

 上記アルキル基の例には、メチル、エチ 、プロピル、イソプロピル、ブチル、t-ブ ル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル び2-エチルヘキシルが含まれる。

 上記アルコキシ基は、環状構造あるいは 岐を有していてもよい。アルコキシ基の炭 原子数は、1~20であることが好ましく、1~12 あることがより好ましく、1~6であることが らに好ましく、1~4であることが最も好まし 。アルコキシ基は、さらに別のアルコキシ で置換されていてもよい。アルコキシ基の には、メトキシ、エトキシ、2-メトキシエト キシ、2-メトキシ-2-エトキシエトキシ、ブチ オキシ、ヘキシルオキシ及びオクチルオキ が含まれる。

 上記アリール基の炭素原子数は、6~20であ ることが好ましく、6~12であることがさらに ましい。アリール基の例には、フェニル及 ナフチルが含まれる。

 上記アリールオキシ基の炭素原子数は、6 ~20であることが好ましく、6~12であることが らに好ましい。上記アリールオキシ基の例 は、フェノキシ及びナフトキシが含まれる

 上記アシル基の炭素原子数は、1~20である ことが好ましく、1~12であることがさらに好 しい。上記アシル基の例には、ホルミル、 セチル及びベンゾイルが含まれる。

 上記カルボンアミド基の炭素原子数は、1 ~20であることが好ましく、1~12であることが らに好ましい。上記カルボンアミド基の例 は、アセトアミド及びベンズアミドが含ま る。

 上記スルホンアミド基の炭素原子数は、1 ~20であることが好ましく、1~12であることが らに好ましい。上記スルホンアミド基の例 は、メタンスルホンアミド、ベンゼンスル ンアミド及びp-トルエンスルホンアミドが含 まれる。

 上記ウレイド基の炭素原子数は、1~20であ ることが好ましく、1~12であることがさらに ましい。上記ウレイド基の例には、(無置換) ウレイドが含まれる。

 上記アラルキル基の炭素原子数は、7~20で あることが好ましく、7~12であることがさら 好ましい。アラルキル基の例には、ベンジ 、フェネチル及びナフチルメチルが含まれ 。

 上記アルコキシカルボニル基の炭素原子 は、1~20であることが好ましく、2~12である とがさらに好ましい。アルコキシカルボニ 基の例には、メトキシカルボニルが含まれ 。

 上記アリールオキシカルボニル基の炭素 子数は、7~20であることが好ましく、7~12で ることがさらに好ましい。アリールオキシ ルボニル基の例には、フェノキシカルボニ が含まれる。

 上記アラルキルオキシカルボニル基の炭 原子数は、8~20であることが好ましく、8~12 あることがさらに好ましい。アラルキルオ シカルボニル基の例には、ベンジルオキシ ルボニルが含まれる。

 上記カルバモイル基の炭素原子数は、1~20 であることが好ましく、1~12であることがさ に好ましい。カルバモイル基の例には、(無 換)カルバモイル及びN-メチルカルバモイル 含まれる。

 上記スルファモイル基の炭素原子数は、2 0以下であることが好ましく、12以下であるこ とがさらに好ましい。スルファモイル基の例 には、(無置換)スルファモイル及びN-メチル ルファモイルが含まれる。上記アシルオキ 基の炭素原子数は、1~20であることが好まし 、2~12であることがさらに好ましい。

 上記アシルオキシ基の例には、アセトキ 及びベンゾイルオキシが含まれる。

 上記アルケニル基の炭素原子数は、2~20で あることが好ましく、2~12であることがさら 好ましい。アルケニル基の例には、ビニル アリル及びイソプロペニルが含まれる。

 上記アルキニル基の炭素原子数は、2~20で あることが好ましく、2~12であることがさら 好ましい。アルキニル基の例には、チエニ が含まれる。

 上記アルキルスルホニル基の炭素原子数 、1~20であることが好ましく、1~12であるこ がさらに好ましい。

 上記アリールスルホニル基の炭素原子数 、6~20であることが好ましく、6~12であるこ がさらに好ましい。

 上記アルキルオキシスルホニル基の炭素 子数は、1~20であることが好ましく、1~12で ることがさらに好ましい。

 上記アリールオキシスルホニル基の炭素 子数は、6~20であることが好ましく、6~12で ることがさらに好ましい。

 上記アルキルスルホニルオキシ基の炭素 子数は、1~20であることが好ましく、1~12で ることがさらに好ましい。

 本発明で使用するセルロース樹脂におい 、セルロースの水酸基部分の水素原子が脂 族アシル基との脂肪酸エステルであるとき 脂肪族アシル基は炭素原子数が2~20で具体的 にはアセチル、プロピオニル、ブチリル、イ ソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサ ノイル、オクタノイル、ラウロイル、ステア ロイル等が挙げられる。

 本発明において前記脂肪族アシル基とは らに置換基を有するものも包含する意味で り、置換基としては上述の芳香族アシル基 おいて、芳香族環がベンゼン環であるとき ベンゼン環の置換基として例示したものが げられる。

 光学フィルムとして位相差フィルムを製 する場合は、セルロース樹脂としてセルロ スアセテート、セルロースプロピオネート セルロースブチレート、セルロースアセテ トプロピオネート、セルロースアセテート チレート、セルロースアセテートフタレー 、及びセルロースフタレートから選ばれる なくとも1種を使用することが好ましい。

 これらの中で特に好ましいセルロース樹 は、セルロースアセテート、セルロースプ ピオネート、セルロースブチレート、セル ースアセテートプロピオネートやセルロー アセテートブチレートが挙げられる。

 混合脂肪酸エステルであるセルロースア テートプロピオネートやセルロースアセテ トブチレートは、炭素原子数2~4のアシル基 置換基として有し、アセチル基の置換度をX とし、プロピオニル基またはブチリル基の置 換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に たすものが好ましい。置換度とは、アシル に置換された水酸基の数をグルコース単位 示した数値と定義する。

 式(I)  2.6≦X+Y≦3.0
 式(II)  0≦X≦2.5
 特にセルロースアセテートプロピオネート 好ましく用いられ、中でも1.9≦X≦2.5であり 、0.1≦Y≦0.9であることが好ましい。上記ア ル基で置換されていない部分は通常水酸基 して存在している。これらは公知の方法で 成することができる。

 本発明で用いられるセルロース樹脂の原 セルロースは、木材パルプでも綿花リンタ でもよく、木材パルプは針葉樹でも広葉樹 もよいが、針葉樹の方がより好ましい。製 の際の剥離性の点からは綿花リンターが好 しく用いられる。これらから作られたセル ース樹脂は適宜混合して、あるいは単独で 用することができる。

 本発明で用いられるセルロース樹脂はフ ルムにしたときの輝点異物が少ないもので ることが好ましい。輝点異物とは、2枚の偏 光板を直交に配置し(クロスニコル)、この間 セルロースエステルフィルムを配置して、 方の光源側の偏光板の透過軸に偏光板保護 ィルムの遅相軸が平行に位置するとき他方 偏光板の外側の面に垂直な位置で観察した き光が漏れてくる原因となる異物を意味す 。このとき評価に用いる偏光板は輝点異物 ない保護フィルムで構成されたものである とが望ましく、偏光子の保護にガラス板を 用したものが好ましく用いられる。輝点異 はセルロース樹脂に含まれる水酸基のエス ル化部分が未反応であることがその原因の1 つと考えられ、輝点異物の少ないセルロース 樹脂を用いることと、加熱溶融したセルロー ス樹脂を濾過することによって異物を除去し 、輝点異物を低減することができる。また、 フィルム膜厚が薄くなるほど単位面積当たり の輝点異物数は少なくなり、フィルムに含ま れるセルロース樹脂の含有量が少なくなるほ ど輝点異物は少なくなる傾向がある。

 輝点の個数としては、面積250mm 2 当たり、偏光クロスニコル状態で認識される 大きさが5~50μmの輝点が、フィルムを観察時 として300個以下、50μm以上の輝点が0個であ ことが好ましい。さらに好ましくは、5~50μm 輝点が200個以下である。

 輝点が多いと、液晶ディスプレイの画像 重大な悪影響を及ぼす。位相差フィルムを 光板保護フィルムとして機能させた場合、 の輝点の存在は複屈折の乱れの要因であり 画像に及ぼす悪影響は大きなものとなる。

 輝点異物を溶融濾過によって除去する場 、輝点異物の除去工程を含め、連続して溶 流延の製膜工程を実施できる。

 熱溶融による輝点異物の濾過工程を含む 融流延製膜法は、後述の可塑剤とセルロー 樹脂を組成物とした場合、可塑剤が添加し い系と比較して、熱溶融温度を低下させる 点から、そして輝点異物の除去効率の向上 熱分解の回避の観点から好ましい方法であ 。また、後述する他の添加剤として紫外線 収剤、やマット材も適宜混合したものを同 に濾過することもできる。

 濾材としては、ガラス繊維、セルロース 維、濾紙、四フッ化エチレン樹脂などのフ 素樹脂等の従来公知のものが好ましく用い れるが、特にセラミックス、金属等が好ま く用いられる。絶対濾過精度としては50μm 下、好ましくは30μm以下、より好ましくは10 m以下、さらに好ましくは5μm以下のものが用 いられる。これらは適宜組み合わせて使用す ることもできる。濾材はサーフェースタイプ でもデプスタイプでも用いることができるが 、デプスタイプの方が比較的目詰まりしにく く好ましい。

 別の実施態様では、加熱してフィルム構 材料を溶融する前に、該構成材料の少なく もセルロース樹脂においては、該材料の合 後期の過程や沈殿物を得る過程の少なくと いずれかにおいて、一度、溶液状態として 様に濾過工程を経由して輝点異物を除去す こともできる。このとき、好ましくはセル ース樹脂に安定化剤が存在することが好ま く、また後述する可塑剤、あるいはその他 添加剤として紫外線吸収剤、マット剤等と に溶媒に溶解させた後、溶媒を除去し乾燥 ることによってセルロース樹脂を主体とし フィルム構成材料の固形分を得るようにし もよい。

 また、上記溶液状態とするために該構成 料の溶媒への溶解の過程で-20℃以下に冷却 た工程を介することもできる。セルロース 脂への安定化剤、可塑剤、その他添加剤の ずれか一種以上の添加を行うときは、本発 に用いるセルロース樹脂の合成(調製)工程 程において、特に限定はないが該樹脂の合 (調製)工程後期までに少なくとも一度溶液状 態で輝点異物や不溶物を濾別するために濾過 を行い、その後他の添加剤の添加を行い、溶 媒の除去または酸析によって固形分を分離し て乾燥してもよく、ペレット化するときに粉 体混合したフィルム構成材料を得てもよい。

 フィルム構成材料のセルロース樹脂以外 構成材料を該樹脂と均一に混合することは 加熱時の溶融性において均一な溶融性を与 ることに寄与できる。

 セルロース樹脂以外の高分子材料やオリ マーを、適宜選択してセルロース樹脂と混 してもよい。このような高分子材料やオリ マーはセルロース樹脂と相溶性に優れるも が好ましく、フィルムにしたときの全可視 (400nm~800nm)に渡り透過率が80%以上、好ましく は90%以上、さらに好ましくは92%以上が得られ るようにする。セルロース樹脂以外の高分子 材料やオリゴマーの少なくとも1種以上を混 する目的は、加熱溶融時の粘度制御やフィ ム加工後のフィルム物性を向上するために う意味を含んでいる。この高分子材料やオ ゴマーは、その他添加剤としての概念とし 捉えてもよい。

 可塑剤としては、特に限定しないが、リ 酸エステル系では、トリフェニルホスフェ ト、トリクレジルホスフェート、クレジル フェニルホスフェート、オクチルジフェニ ホスフェート、ジフェニルビフェニルホス ェート、トリオクチルホスフェート、トリ チルホスフェート等、フタル酸エステル系 は、ジエチルフタレート、ジメトキシエチ フタレート、ジメチルフタレート、ジオク ルフタレート、ジブチルフタレート、ジ-2- チルヘキシルフタレート等、グリコール酸 ステル系では、トリアセチン、トリブチリ 、ブチルフタリルブチルグリコレート、エ ルフタリルエチルグリコレート、メチルフ リルエチルグリコレート、ブチルフタリル チルグリコレート等を使用するのが好まし 。

 上記の可塑剤は、必要に応じて、2種類以 上を併用しても良い。この場合、リン酸エス テル系の可塑剤の使用比率を50%以下とするこ とが、結果として、セルロースエステル系樹 脂フィルムの加水分解を引き起こしにくく、 耐久性に優れるため、好ましい。

 リン酸エステル系の可塑剤比率は、少な 方がさらに好ましく、フタル酸エステル系 グリコール酸エステル系の可塑剤だけを使 することが、特に好ましい。

 さらに、吸水率ならびに水分率を特定の 囲内にするために好ましい可塑剤の添加量 しては、セルロースエステル系樹脂に対す 質量%で、3~30質量%であり、より好ましくは1 0~25質量%、さらに好ましくは15~25質量%である ここで、可塑剤の添加量が30質量%を超える 、セルロースエステル系樹脂フィルムの機 強度・寸法安定性が劣化するので、好まし ない。

 酸化防止剤としては、ヒンダードフェノ ル系の化合物が適当であり、その具体例と ては、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ペンタ エリスリチル-テトラキス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル- 4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ト リエチレングリコール-ビス〔3-(3-t-ブチル-5- チル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート 〕、1,6-ヘキサンジオール-ビス〔3-(3,5-ジ-t-ブ チル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート 、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3 ,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2,2- チオ-ジエチレンビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒ ロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタ デシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニ )プロピオネート、1,3,5-トリメチル-2,4,6-ト ス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベ ゼン及びトリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキ ベンジル)-イソシアヌレイト等を挙げること ができる。とくに2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾー 、ペンタエリスリチル-テトラキス〔3-(3,5-ジ -t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネ ト〕及びトリエチレングリコール-ビス〔3-(3 -t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プ ピオネート〕が好ましい。また例えば、N,N -ビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニ ル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジ 系の金属不活性剤やトリス(2,4-ジ-t-ブチルフ ェニル)フォスファイト等のリン系加工安定 を併用してもよい。これらの化合物の添加 は、その効果を得るために、セルロースエ テル系樹脂に対し、質量割合で1ppm~1.0%が好 しく、10~1000ppmがとくに好ましい。

 セルロースエステル系樹脂フィルムには 紫外線吸収剤を添加することが好ましい。 こで、紫外線吸収剤としては、液晶の劣化 止の点より波長370nm以下の紫外線の吸収能 優れ、かつ良好な液晶表示性の点より波長40 0nm以上の可視光の吸収が可及的に少ないもの が、好ましく用いられる。

 特に、波長370nmでの紫外線の透過率が10% 下であることが好ましく、より好ましくは 透過率が5%以下、更により好ましくは2%以下 ある。

 用いる紫外線吸収剤としては、例えばオ シベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリア ール系化合物、サリチル酸エステル系化合 、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリ ート系化合物、ニッケル錯塩系化合物など 挙げられるが、これらに限定されない。

 本発明においては、これら紫外線吸収剤 1種以上を用いていることが好ましく、異な る2種以上の紫外線吸収剤を含有してもよい

 好ましく用いられる紫外線吸収剤は、ベ ゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフ ノン系紫外線吸収剤等である。不要な着色 より少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸 剤をセルロースエステル系樹脂フィルムに 加するという態様が特に好ましい。

 紫外線吸収剤の添加方法は、アルコール メチレンクロライド、ジオキソランなどの 機溶媒に紫外線吸収剤を溶解してからドー に添加するか、または直接ドープ組成中に 加してもよい。無機粉体のように有機溶剤 溶解しないものは、有機溶剤とセルロース ステル系樹脂中にデゾルバーやサンドミル 使用し、分散してからドープに添加する。

 紫外線吸収剤の使用量は、セルロースエ テル系樹脂に対する質量%で、0.1~2.5質量%、 ましくは、0.5~2.0質量%、より好ましくは0.8~2 .0質量%である。紫外線吸収剤の使用量が2.5質 量%を超えると、セルロースエステル系樹脂 ィルムの透明性が悪くなる傾向があり、好 しくない。

 また、セルロースエステル系樹脂フィル には、フィルム同士の張り付きを防止した 、滑り性を付与したりして、ハンドリング やすくするために、マット剤として微粒子 添加してもよい。

 微粒子の種類としては、無機化合物でも 機化合物でもよい。無機化合物の微粒子の としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、 化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化 等の微粒子が挙げられる。この中では、ケ 素原子を含有する化合物であることが好ま く、特に二酸化ケイ素微粒子が好ましい。 酸化ケイ素微粒子としては、例えばアエロ ル株式会社製のAEROSIL-200、200V、300、R972、R97 2V、R974、R976、R976S、R202、R812,R805、OX50、TT600 RY50、RX50、NY50、NAX50、NA50H、NA50Y、NX90、RY200S RY200、RX200、R8200、RA200H、RA200HS、NA200Y、R816 R104、RY300、RX300、R106などが挙げられる。こ らのうち、分散性や粒径を制御する点では AEROSIL-200V、R972Vが好ましい。

 フィルム中での微粒子の平均粒径は、滑 性付与と透明性確保の観点から50nm~2μmが良 。好ましくは、100nm~1000nm、さらに好ましく 、100nm~500nmである。フィルム中での平均粒 は、断面写真を撮影して観察することで確 できる。

 微粒子の場合は、1次粒径、溶媒に分散し た後の粒径、フィルムに添加された後の粒径 が変化する場合が多く、重要なのは、最終的 にフィルム中で微粒子がセルロースエステル 系樹脂と複合し凝集して形成される粒径をコ ントロールすることである。

 微粒子の添加量は、セルロースエステル 樹脂フィルム中に対して、0.02~0.5質量%、好 しくは、0.04~0.3質量%である。

 本発明の光学フィルムの製造方法を溶融 延製膜法で行う場合について説明する。

 図5は、本発明の光学フィルムの製造方法 を溶融流延製膜法をもちいて実施する装置の 第一の実施形態の概略フローシートであり、 図6は、流延ダイから冷却ロール部分の拡大 である。

 図6は、フィルムが最初に第1冷却ロール( 却用第1回転体)5の表面に接触した点(P1)と、 フィルムがタッチロール(押圧用第2回転体)6 表面に接触した点(P2)が異なっている実施形 を示しているが、場合によっては、フィル が最初に第1冷却ロール(冷却用第1回転体)5 表面に接触した点(P1)と、フィルムがタッチ ール(押圧用第2回転体)6の表面に接触した点 (P2)が同一の場合もある。

 本実施形態においては、セルロース樹脂 の樹脂を含むフィルム材料を混合して樹脂 合物を得た後、押出し機1を用いて、流延ダ イ4から第1冷却ロール5上に溶融押し出し、第 1冷却ロール5に外接させるとともに、タッチ ール6によりフィルム状溶融物を第1冷却ロ ル5表面に所定の圧力で押圧する。さらに、 2冷却ロール7、及び第3冷却ロール8の合計3 の冷却ロールに順に外接させて冷却固化し 剥離ロール9によって剥離する。剥離された ィルム17は、縦延伸装置10と横延伸装置20に りフィルムの縦(搬送方向)及び横(幅手方向) に延伸した後、巻取り装置60により巻き取ら る。

 流延ダイ4から押し出されたフィルム(樹 混合物)は冷却機能を有する少なくとも2つの 回転体で冷却、面矯正される。流延ダイ4か 押し出されたフィルムが最初に接触する回 体を第1回転体、2番目に接触する回転体を第 2回転体と定義する。すなわち、第1冷却ロー 5が第1回転体に相当し、タッチロール6が第2 回転体に相当する。ただし、第1回転体、及 第2回転体はロールに限定されるものではな 、ドラムやベルトなどでもよい。

 第1冷却ロール5の温度は、樹脂混合物の ラス転移温度(Tg)以下、添加剤の融点以上に 定するのが、好ましい。

 ここで、タッチロール6は、フィルムに対 して第1冷却ロール(冷却用第1回転体)5の反対 より第1冷却ロール5の方向にフィルムを挟 する目的の回転体である。

 タッチロール6の表面は金属であることが 好ましく、厚みは1mmから10mmである。好まし は2mm~6mmである。第2回転体の表面は、クロム メッキなどの処理が施されており、面粗さと しては0.2S以下が好ましい。ロール表面が平 であるほど、得られるフィルムの表面も平 にできる。

 挟圧工程において、タッチロール6が、周 面に金属薄板が被覆された弾性ロールよりな るものであることが好ましい。

 すなわち、タッチロール6の圧力が不均一 になると、フィルムに配向ムラが発生し、こ れがクロスニコル下では明暗のムラになって しまう。均一な圧力でフィルムを面矯正する ためには、上記のような周面に金属薄板が被 覆された弾性タッチロールが好ましい。

 タッチロール6の表面の金属の材質は、平 滑で、適度な弾性があり、耐久性があること が求められる。炭素鋼、ステンレス、チタン 、電鋳法で製造されたニッケルなどが好まし く用いることができる。さらにその表面の硬 度をあげたり、樹脂との剥離性を改良するた め、ハードクロムメッキや、ニッケルメッキ 、非晶質クロムメッキなどや、セラミック溶 射等の表面処理を施すことが好ましい。表面 加工した表面はさらに研磨し、上述した表面 粗さとすることが好ましい。

 タッチロール6は、金属製外筒と内筒との 2重構造になっており、その間に冷却流体を せるように空間を有する二重筒の構成であ 。

 内筒は、炭素鋼、ステンレス、アルミニ ム、チタンなどの軽量で剛性のある金属製 筒であることが好ましい。内筒に剛性をも せることで、ロールの回転ぶれを抑えるこ ができる。内筒の肉厚は、外筒の2~10倍とす ることで十分な剛性が得られる。内筒にはさ らにシリコーン、フッ素ゴムなどの樹脂製弾 性材料が被覆されていてもよい。

 冷却流体を流す空間の構造は、ロール表 の温度を均一に制御できるものであればよ 、例えば幅手方向に行きと戻りが交互に流 るようにしたり、スパイラル状に流れるよ にすることでロール表面の温度分布の小さ 温度制御ができる。冷却流体は、特に制限 なく、使用する温度域に合わせて、水やオ ルを使用できる。

 第2回転体であるタッチロール6は、中央 の外径が両端部の外径よりも大きい太鼓型 設定される。タッチロールは、その両端部 加圧手段でフィルムに押圧するのが一般的 あるが、この場合、タッチロールが撓むた 、端部にいくほど強く押圧されてしまう現 がある。ロールを太鼓型にすることで高度 均一な押圧が可能となる。

 第2回転体であるタッチロール6の直径は 200mmから500mmの範囲であることが好ましい。 ッチロール6の有効幅は、挟圧するフィルム 幅よりも広い必要がある。タッチロール6の 央部の半径と端部の半径との差(以下、クラ ニング量と呼ぶ)により、フィルムの中央部 に発生するスジなどのむらを防止することが できる。クラウニング量は、50~300μmの範囲が 好ましい。

 第1冷却ロール5とタッチロール6とは、フ ルムを挟圧するように、フィルムの平面に して反対側の位置に設置する。第1冷却ロー ル5とタッチロール6とは、フィルムと面で接 しても、線で接触してもかまわない。

 本実施形態による光学フィルムの製造方 において、溶融押し出しの条件は、他のポ エステルなどの熱可塑性樹脂に用いられる 件と同様にして行うことができる。材料は め乾燥させておくことが好ましい。真空ま は減圧乾燥機や除湿熱風乾燥機などで水分 1000ppm以下、好ましくは200ppm以下に乾燥させ ることが望ましい。

 例えば熱風や真空または減圧下で乾燥し セルロースエステル系樹脂を押出し機1を用 いて、押し出し温度200~300℃程度で溶融し、 ーフディスクタイプのフィルター2などで濾 し、異物を除去する。

 供給ホッパー(図示略)から押出し機1へ導 する際は、真空下または減圧下や不活性ガ 雰囲気下にして、酸化分解等を防止するこ が好ましい。

 可塑剤などの添加剤を予め混合しない場 は、押出し機の途中で練り込んでもよい。 一に添加するために、スタチックミキサー3 などの混合装置を用いることが好ましい。

 セルロース樹脂等の樹脂と、その他必要 より添加される安定化剤等の添加剤は、溶 する前に混合しておくことが好ましい。混 は、混合機等により行ってもよく、また、 記したようにセルロース樹脂等の樹脂調製 程において混合してもよい。混合機を使用 る場合は、V型混合機、円錐スクリュー型混 合機、水平円筒型混合機等、一般的な混合機 を用いることができる。

 上記のようにフィルム構成材料を混合し 後に、その混合物を押出し機1を用いて直接 溶融して製膜するようにしてもよいが、一旦 、フィルム構成材料をペレット化した後、該 ペレットを押出し機1で溶融して製膜するよ にしてもよい。また、フィルム構成材料が 融点の異なる複数の材料を含む場合には、 点の低い材料のみが溶融する温度で一旦、 わゆるおこし状の半溶融物を作製し、半溶 物を押出し機1に投入して製膜することも可 である。フィルム構成材料に熱分解しやす 材料が含まれる場合には、溶融回数を減ら 目的で、ペレットを作製せずに直接製膜す 方法や、上記のようなおこし状の半溶融物 作ってから製膜する方法が好ましい。

 押出し機1は、市場で入手可能な種々の押 出し機を使用可能であるが、溶融混練押出し 機が好ましく、単軸押出し機でも2軸押出し でも良い。フィルム構成材料からペレット 作製せずに、直接製膜を行う場合、適当な 練度が必要であるため2軸押出し機を用いる とが好ましいが、単軸押出し機でも、スク ューの形状をマドック型、ユニメルト型、 ルメージ等の混練型のスクリューに変更す ことにより、適度の混練が得られるので、 用可能である。フィルム構成材料として、 旦、ペレットやおこし状の半溶融物を使用 る場合は、単軸押出し機でも2軸押出し機で も使用可能である。

 押出し機1内および押し出した後の冷却工 程は、窒素ガス等の不活性ガスで置換するか 、あるいは減圧することにより、酸素の濃度 を下げることが好ましい。

 押出し機1内のフィルム構成材料の溶融温 度は、フィルム構成材料の粘度や吐出量、製 造するシートの厚み等によって好ましい条件 が異なるが、一般的には、フィルム(樹脂混 物)のガラス転移温度Tgに対して、Tg以上、Tg+ 100℃以下、好ましくはTg+10℃以上、Tg+90℃以 である。押出し時の溶融粘度は、10~100000ポ ズ、好ましくは100~10000ポイズである。また 押出し機1内でのフィルム構成材料の滞留時 は短い方が好ましく、5分以内、好ましくは 3分以内、より好ましくは2分以内である。滞 時間は、押出し機1の種類、押し出す条件に も左右されるが、材料の供給量やL/D、スクリ ュー回転数、スクリューの溝の深さ等を調整 することにより短縮することが可能である。

 押出し機1のスクリューの形状や回転数等 は、フィルム構成材料の粘度や吐出量等によ り適宜選択される。本実施形態において押出 し機1でのせん断速度は、1/秒~10000/秒、好ま くは5/秒~1000/秒、より好ましくは10/秒~100/秒 ある。押出し機1としては、一般的にプラス チック成形機として市販されている押出し機 を使用することができる。

 押出し機1から押し出されたフィルム構成 材料は、流延ダイ4に送られ、流延ダイ4から ィルム状に押し出される。

 押出し機1から吐出される溶融物は、流延 ダイ4に供給される。流延ダイ4はシートやフ ルムを製造するために用いられるものであ ば特に限定はされない。流延ダイ4の材質と しては、ハードクロム、炭化クロム、窒化ク ロム、炭化チタン、炭窒化チタン、窒化チタ ン、超鋼、セラミック(タングステンカーバ ド、酸化アルミ、酸化クロム)などを溶射も くはメッキし、表面加工としてバフ、#1000 手以降の砥石を用いるラッピング、#1000番手 以上のダイヤモンド砥石を用いる平面切削( 削方向は樹脂の流れ方向に垂直な方向)、電 研磨、電解複合研磨などの加工を施したも などがあげられる。

 流延ダイ4のリップ部の好ましい材質は、 流延ダイ4と同様である。またリップ部の表 精度は0.5S以下が好ましく、0.2S以下がより好 ましい。

 本実施形態においては、溶融させた樹脂 合物を押し出し機にとりつけた流延ダイ4か らフィルム状樹脂に押し出し、押し出された フィルム状樹脂を少なくとも2つの回転体に 着させて成形して引き取る工程を有する。

  図5と図6に示すように、フィルムが最初 に第1冷却ロール5表面に接触してからタッチ ール6表面に接触するまでの温度低下は20℃ 内が望ましい。フィルムが最初に第1冷却ロ ール5表面に接触してからタッチロール6表面 接触するまでの温度低下が大きすぎると、 均一な収縮により膜厚のむらが大きくなっ しまう。またフィルムがタッチロール6に接 触した時点の温度が低すぎると、フィルムの 粘度の高さのため、タッチロール6より挟圧 てもフィルムの平面性や膜厚ムラの矯正が 分できなくなる。

 第1冷却ロール5、タッチロール6に好まし 材質は、炭素鋼、ステンレス鋼などが挙げ れる。また、表面精度は高くすることが好 しく、表面粗さとして0.3S以下、より好まし くは0.1S以下とする。

 タッチロール6は、押圧手段により、フィ ルムを第1冷却ロール5に押し付けることが好 しい。このときのタッチロール6がフィルム を押し付ける線圧は、油圧ピストン等によっ て調整でき、好ましくは0.1~100N/mm、より好ま くは1~50N/mmである。

 また第1冷却ロール5、もしくはタッチロ ル6はフィルムとの接着の均一性を高めるた にロールの両端の直径を細くしたり、フレ シブルなロール面を持たせることもできる

 流延ダイ4の開口部(リップ)から第1冷却ロ ール5までの部分を70kPa以下に減圧させると、 上記のダイラインの矯正効果がより大きく発 現する。好ましくは減圧は50kPa以上70kPa以下 ある。流延ダイ4のリップから第1冷却ロール 5までの部分の圧力を70kPa以下に保つ方法とし ては、特に制限はないが、流延ダイ4からロ ル周辺を耐圧部材で覆い、減圧するなどの 法がある。このとき、吸引装置は、装置自 が昇華物の付着場所にならないようヒータ で加熱するなどの処置を施すことが好まし 。吸引圧が小さすぎると昇華物を効果的に 引できないため、適当な吸引圧とする必要 ある。

 流延ダイ4から溶融状態のフィルム状のセ ルロースエステル系樹脂を、第1冷却ロール5 第2冷却ロール7、及び第3冷却ロール8に順次 密着させて搬送しながら冷却固化させ、セル ロースエステル系樹脂フィルム17を得る。

 図5に示す本発明の実施形態では、第3冷 ロール(冷却用第4回転体)8から剥離ロール9に よって剥離した冷却固化されたフィルム17は 縦延伸装置10に導入されて、搬送方向(MD方 )にロール延伸される。

 図7に、縦延伸装置10の詳細を示す。同図 おいて、ガイドロール41によって縦延伸装 10に導入されたフィルム17は、第1延伸前予熱 ロール21、第2延伸前予熱ロール22、第3延伸前 予熱ロール23、および第4延伸前予熱ロール24 経て、延伸・予熱ロール25に至り、ニップ ール26により上から押圧されながら移送され て、延伸・冷却ロール27に巻き掛けられる。

 延伸・予熱ロール25と延伸・冷却ロール27 との間には、上部加熱ヒータ32および下部加 ヒータ33が配置されている。延伸・冷却ロ ル27に巻き掛けられたフィルム17は、そこで ップロール28により上から押圧されながら 送され、ここで縦延伸される。さらに、フ ルム17は、第1延伸後冷却ロール29、第2延伸 冷却ロール30、第3延伸後冷却ロール31を経て 、ガイドロール42により縦延伸装置10の外部 搬出される。

 この縦延伸装置10における縦延伸工程に いて、挟圧後の未延伸フィルム17を、同フィ ルム17の長手方向に、1.01倍以上、3.0倍以下に 延伸するものである。

 本発明の実施形態においては、上部加熱 ータ32および下部加熱ヒータ33は、赤外線ヒ ータを用い、図4に示すようにフィルム両端 からは、熱風送風機80により送風している。 加熱ヒータ32、33とフィルム表面との距離を 定とし、熱風送風機80でフィルム両端部を加 熱することで、縦延伸する際のフィルム中央 部に比べ端部の温度が高く設定することがで きる。

 また、熱風送風機80の熱風温度、送風量 、可変することができる。横延伸装置20で延 伸した後のフィルムのボーイング量、フィル ムの膜厚ムラの測定量を基にして、縦延伸時 の熱風送風機80を調整することで、横延伸後 フィルム膜厚を均一にし、且つ横延伸時の ーイング量を縦延伸時に生じるボーイング で相殺させることができる。

 本発明の光学フィルムの製造方法におい は、縦延伸工程におけるフィルム延伸方式 、近接して配置された2本の搬送ロール25,27 で行われるロール延伸方式であり、図8に示 すように、ヒータ32,33の加熱により昇温・軟 した挟圧後の未延伸フィルムを縦延伸する 実質延伸スパンSは、50mm以上、300mm以下とす るものであり、この実質延伸スパンSをクリ するためには、オーブン加熱方式ではなく 近接した2本のロール25,27間で縦延伸するロ ル延伸方式が有利である。

 ここで、縦延伸装置10におけるロール延 について、詳しく説明する。

 まず、ロール延伸とは、低速ロール群(21~ 25)と、高速ロール群(27~31)の周速度差によっ フィルム17を縦延伸する方法で、フィルム17 低速ロール群(21~25)で予熱され、低速ロール 群(21~25)と高速ロール群(27~31)の間に設けられ ヒーター32,33によって延伸温度まで急激に められて縦延伸し、高速ロール群(27~31)で冷 され、次工程へと搬送される。

 低速ロール群(21~25)の予熱ロールの本数は 、擦り傷の観点から少ない方が望ましいが、 フィルム17の予熱温度に応じて本数を選択す ばよく、1本以上、20本以下、好ましくは2本 以上、15本以下のロールを使用する。

 予熱ロール群の上限温度は、原則として 熱ロール間で縦延伸させないこと、粘着故 などが出ないことを考慮して、フィルム17 ガラス転移温度(Tg)以下、好ましくは(Tg-5)℃ 下である。

 予熱ロール群による昇温速度は、熱膨張 シワが入らないことを考慮して、各ロール 入り側と出側でのフィルム温度差が80℃以 、好ましくは50℃以下となるようにするのが 好ましい。

 高速ロール群(27~31)の冷却ロールの本数は 、冷却する温度に応じて本数を選択すればよ く、1本以上、15本以下、好ましくは2本以上 10本以下のロールを使用する。

 冷却ロール群の上限温度は、急冷しすぎ いことを考慮して、フィルムのガラス転移 度(Tg)以下、好ましくは(Tg-5)℃以下である。

 冷却ロール群による降温速度は、熱収縮 シワが入らないこと、各ロールの入り側と 側でのフィルム温度差が100℃以下となるよ にするのが好ましい。

 予熱ロール群および冷却ロール群のロー 径は、ロール強度、接触面積(伝熱・すべり )の観点から、100mmφ以上、400mmφ以下、好まし くは150mmφ以上、300mmφ以下である。特に、延 ロール25,27は、実質延伸スパンSを短くする めに、250mmφ以下が好ましい。

 ところで、フィルムが滑って傷ついたり ロール間で縦延伸されることを防止するた に、熱膨張や熱収縮に応じてドローをかけ 。ロールのドローは、隣り合うロール間で5 %以下、好ましくは1%以下である。

 ここで、ロールのドローとは、低速側の ールの周速度V1と、高速側のロールの周速 V2の比で、(V2-V1)/V1×100(%)のことである。

 予熱ロール群および冷却ロール群におけ ロールの駆動は、上記ロールのドローを制 するために、それぞれが駆動ロールである とが好ましいが、一部であれば、補助駆動 ール、フリーロールを使用してもよい。

 減速機には遊星ローラーやロールギアな が好適に用いられる。またダイレクトドラ ブ方式を使用することもでき、これらはシ テムに応じて適宜選択すればよい。

 予熱ロール群および冷却ロール群におけ ロール表面粗度は、目的に応じてロール材 および粗度を変更すれば良い。例えば、高 でフィルムに接触するロールやすべり防止 ためには、表面粗度0.5S以下、好ましくは0.2 S以下の鏡面ロールを使用し、張力カットや り付き防止のためには、表面粗度1.0S以上の 面の粗いロールを使用するのが好ましい。

 予熱ロール群および冷却ロール群におけ ロール表面材質は、例えばハードクロム(H-C r)、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ク ム等やこれらの複合物を表面加工したセラ ックス、シリコン、フッ素、クロロブレン のゴム、テフロン(登録商標)等の樹脂を使 する。

 予熱ロール群および冷却ロール群におけ ロールの配置・間隔は、ロール間での縦延 防止、フィルムの放冷防止のため、狭い方 良い。各ロール間で、ロール剥離から次の ールに着地するまでの距離は、200mm以下、 ましくは100mm以下である。

 また、ニップロール26,28の直径は、特に 制はないが、ヒーター設置32,33のスペース確 保のため、延伸ロール群より小さいことが好 ましい。

 ニップロール26,28の材質は、弾性変形し すいシリコンゴム、フッ素ゴム、クロロブ ンゴム等のゴムロールや、フッ素樹脂等の 脂ロールが好適に用いられる。

 ニップロール26,28の位置は、フィルムが 離/着地する位置で押さえることが好ましい また、ニップロール26,28の圧力は、フィル を圧着できること、フィルムにキズがつか いことなどの観点から、0.1~50N/mm、好ましく 0.5~20N/mmである。

 また、ニップロールはフィルムのキズ防 のためフィルム端部だけをニップしてもよ 、幅収縮抑制の観点からロールを太鼓型に たり、フィルム幅手方向に対してある角度 もって配置しても良い。

 つぎに、ヒーター32,33の種類としては、 リーン、高効率、省スペースであることな から、例えば、赤外線ヒーター、ハロゲン ンプヒーター、セラミックヒーターなど放 型熱源が望ましく、樹脂の吸収特性に応じ 選択すればよい。

 ヒーター32,33の本数は、ヒーター能力、 延伸・予熱温度、搬送速度、膜厚、熱伝導 などから計算すれば良く、通常、1~12本、好 しくは1~8本使用する。

 ヒーター32,33の高さは、効率アップのた 、フィルムに接触しない範囲で、なるべく ィルムの近くであるのが、好ましい。例え 5~100mm、好ましくは10~50mmである。

 ヒーター32,33の出力は、延伸温度、昇温 度などを考慮して、適宜出力値を調整すれ よい。

 また、中央部のフィルムの温度を両端部 フィルムの温度よりも1~20℃低くするには、 両端部からの熱風送風機の温度と送風量を制 御すればいい。また、熱風送風機を用いない 場合は、ヒータ32、33とフィルムとの距離を 央部で広くし、両端部で狭くするように制 すればよい。

 延伸温度は、フィルムのガラス転移温度T g-20℃以上、融点Tm以下であり、好ましくはTg 上、Tg+100℃以下、より好ましくはTg+10℃以 、Tg+80℃以下である。

 縦延伸速度は、3000%/min以上、75000%/min以下 であり、好ましくは5000%/min以上、50000%/min以 である。

 ここで、縦延伸速度(%/min)は、つぎのよう にして定義される。すなわち、低速側延伸ロ ールの周速度をV1、高速側延伸ロールの周速 をV2、実質延伸スパンをSとすると、下記初 で表わされる。

   縦延伸速度(%/min)=〔(V2-V1)/S〕×100
 また、縦延伸ロールの間隔は、フィルムが ールに保持されていない区間は短いほど幅 縮が抑えられる。ここで、ロールの中心同 の間の距離が、400mm以下、好ましくは300mm以 下である。

 縦延伸装置10における予熱・延伸・冷却 ールのクリーニング装置は、1本でも複数本 も良く、インラインあるいはオフラインに けても良いし、場合によっては、設置しな てもよい。清掃手段としては、不織布を押 付けて汚れを拭き取る方法など、公知のロ ル清掃手段が好適に用いられる。

 ついで、縦延伸後のフィルムは、横延伸 置(テンター)20に導き、そこでフィルム17を 方向(幅手方向)に延伸する。この横延伸に り、フィルム中の分子が配向される。

 なお、図5に示す本発明の実施形態では、 第3冷却ロール8から剥離ロール9によって剥離 した冷却固化された挟圧未延伸フィルム17は 引き続き縦延伸装置10に導入されて、搬送 向にロール延伸される、いわゆるオンライ (またはインライン)で縦延伸される場合を示 したが、これに限定されず、冷却固化された 挟圧未延伸フィルム17を一旦ロール状に巻き り、その後、いわゆるオフラインで、巻き ールから未延伸フィルム17を繰り出して縦 伸装置10に導き、搬送方向(MD方向)にロール 伸する場合もある。

 横延伸(横延伸)する場合、2つ以上に分割 れた延伸領域で温度差を1~50℃の範囲で順次 昇温しながら横延伸すると、幅方向の厚さ及 び光学的な分布が低減でき、好ましい。

 フィルムを幅手方向に延伸する方法は、 知のテンターなどを好ましく用いることが きる。延伸方向を幅手方向とすることで、 光フィルムとの積層がロール形態で実施で るので好ましい。幅手方向に延伸すること 、セルロースエステル系樹脂フィルムから る光学フィルムの遅相軸は幅手方向になる

 一方、偏光フィルムの透過軸も、通常、 手方向である。偏光フィルムの透過軸と光 フィルムの遅相軸とが平行になるように積 した偏光板を液晶表示装置に組み込むこと 、液晶表示装置の表示コントラストを高く ることができるとともに、良好な視野角が られるのである。

 本実施形態の製造方法で光学フィルムを 造すると、中心線平均粗さ(Ra)が、0.1μm以下 、さらには0.05μm以下の光学フィルムが得ら る。また、幅手方向(フィルム全幅)の膜厚変 動は平均膜厚に対して±3%以内、さらには±2% 内である。「平均膜厚」とはネッキングに り厚膜となっている両端部(ミミ)を除いた ィルム全幅の厚みの平均値を意味している フィルムの表面粗さ、および膜厚変動は既 の方法で測定することが可能である。例え フィルムの表面粗さに関しては、表面粗さ でフィルム表面を5mm程度測定し、中心線平 粗さ(Ra)として比較する方法がある。また、 厚変動は膜厚計にて測定を行い、標準偏差 求めたり、平均膜厚に対しての変動幅で比 することが可能である。

 フィルム構成材料によってガラス転移温 (Tg)が異なるが、Tgはフィルムを構成する材 種及び構成する材料の比率を異ならしめる とにより制御できる。光学フィルムとして 相差フィルムを作製する場合、Tgは120℃以 、好ましくは135℃以上とすることが好まし 。液晶表示装置においては、画像の表示状 において、装置自身の温度上昇、例えば光 由来の温度上昇によって該フィルムの温度 境が変化する。このとき該フィルムの使用 境温度よりも該フィルムのTgが低いと、延伸 によってフィルム内部に固定された分子の配 向状態に由来するリタデーション値及びフィ ルムとしての寸法形状に大きな変化を与える こととなる。該フィルムのTgが高過ぎると、 ィルム構成材料をフィルム化するとき温度 高くなるために加熱するエネルギー消費が くなり、またフィルム化するときの材料自 の分解、それによる着色が生じることがあ 、従って、Tgは250℃以下が好ましい。

 また横延伸工程には、公知の熱固定処理 冷却、緩和処理を行ってもよく、目的とす 光学フィルムに要求される特性を有するよ に適宜調整すればよい。

 位相差フィルムを製造する場合には、液 表示装置の視野角拡大のために必要な機能 物性を付与するために、上記横延伸工程、 固定処理は適宜選択して行われる。すなわ 、光学フィルムとして位相差フィルムを製 し、さらに偏光板保護フィルムの機能を複 させる場合、屈折率制御をおこなう必要が じるが、その屈折率制御は横延伸操作によ 行うことが可能であり、また横延伸操作が ましい方法である。以下、その横延伸方法 ついて説明する。

 位相差フィルムの横延伸工程において、 ルロース樹脂の1方向に1.0~3.0倍及びフィル 面内にそれと直交する方向に1.01~3.1倍横延伸 することで、必要とされるリタデーションRo びRtを制御することができる。ここで、Roと は、面内リタデーションを示し、面内の長手 方向(MD)の屈折率と幅方向(TD)の屈折率との差 厚みを乗じたもの、Rtとは、厚み方向リタ ーションを示し、面内の屈折率〔長手方向(M D)と幅方向(TD)の平均〕と厚み方向の屈折率と の差に厚みを乗じたものである。

 横延伸は、例えばフィルムの長手方向(流 延・搬送する方向)及びそれとフィルム面内 直交する方向、すなわち、幅手方向に対し 、逐次または同時に行うことができる。こ とき少なくとも1方向に対しての延伸倍率が さ過ぎると十分な位相差が得られず、大き ぎると横延伸が困難となりフィルム破断が 生してしまう場合がある。

 互いに直交する2軸方向に延伸することは 、フィルムの屈折率nx、ny、nzを所定の範囲に 入れるために有効な方法である。ここで、nx は長手(MD)方向の屈折率、nyとは幅手(TD)方向 の屈折率、nzとは厚み方向の屈折率である。

 幅方向に延伸する場合、幅方向で屈折率 分布が生じることがある。この分布は、テ ター法を用いた場合に現れることがあり、 ィルムを幅方向に延伸したことで、フィル 中央部に収縮力が発生し、端部は固定され いることにより生じる現象で、いわゆるボ イング現象と呼ばれるものと考えられる。 かし、本発明によれば、縦延伸の際にフィ ム幅方向の温度を変更でき、両端部の温度 中央部より高くすることで、縦延伸時に、 一な膜厚と、ボーイングを発生させること できる。この縦延伸時のボーイングは、横 伸時に発生するボーイングと相殺し、実質 ーイングの抑制された光学フィルムを作成 ることができる。

 また、互いに直行する2軸方向に延伸する ことにより、得られるフィルムの膜厚変動が さらに減少できる。位相差フィルムの膜厚変 動が大き過ぎると位相差のムラとなり、液晶 ディスプレイに用いたとき着色等のムラが問 題となることがある。

 セルロース樹脂フィルムの膜厚変動は、 3%、さらに±1%の範囲とすることが好ましい 以上のような目的において、互いに直交す 2軸方向に延伸する方法は有効であり、互い 直交する2軸方向の延伸倍率は、それぞれ最 終的には長手方向に1.0~3.0倍、幅方向に1.01~3.1 倍の範囲とすることが好ましく、長手方向に 1.01~2.7倍、幅方向に1.05~2.8倍に範囲で行うこ が必要とされるリタデーション値を得るた により好ましい。

 長手方向に偏光子の吸収軸が存在する場 、幅方向に偏光子の透過軸が一致すること なる。長尺状の偏光板を得るためには、位 差フィルムは、幅方向に遅相軸を得るよう 延伸することが好ましい。

 応力に対して、正の複屈折を得るセルロー 樹脂を用いる場合、上述の構成から、幅方 に延伸することで、位相差フィルムの遅相 が幅方向に付与することができる。この場 、表示品質の向上のためには、位相差フィ ムの遅相軸が、幅方向にあるほうが好まし 、目的とするリタデーション値を得るため は、下記式、
  (幅方向の延伸倍率)>(長手方向の延伸倍 )
の条件を満たすことが必要である。

 横延伸後、フィルム17の端部をスリッタ 19により製品となる幅にスリットして裁ち落 とした後、エンボスリング53及びバックロー 52よりなるナール加工装置によりナール加 (エンボッシング加工)をフィルム両端部に施 し、巻取り装置60によって巻き取ることによ 、光学フィルム(元巻き)F中の貼り付きや、 り傷の発生を防止する。

 ナール加工の方法は、凸凹のパターンを 面に有する金属リングを加熱や加圧により 工することができる。なお、フィルム両端 のクリップの把持部分は通常、変形してお 、フィルム製品として使用できないので、 除されて、原料として再利用される。

 次に、本発明の第二の実施形態としての 学フィルムの製造方法を溶液流延製膜法で う場合について説明する。

 図9に、本発明に係る光学フィルムの製造 方法を用いた光学フィルムの製造装置の第二 の実施形態を示すが、本発明はこれに限定す るものではない。予め調液された熱可塑性樹 脂溶液を流延ダイ50より流延用ベルト51上に 延し、ウェブ(金属支持体上にドープを流延 た以降の残留溶媒を含むフィルムをウェブ 言う)を形成し、剥離後、縦延伸装置10によ 縦延伸される。縦延伸されたフィルム17は 横延伸装置20(テンター)により横延伸される 縦横の二軸に延伸されたフィルムは乾燥装 40により乾燥され、巻き取りロール60により 巻きとられる。縦延伸装置10においては、フ ルムの温度をフィルム幅方向に変化させる うにしている。

 本実施形態の光学フィルムの製造方法に いて用いるフィルム構成材料は、上記のセ ロースエステル系樹脂、可塑剤、紫外線吸 剤、マット剤等の添加剤と同様のものを使 することができる。

 本実施形態において、セルロースエステ 系樹脂の溶剤としては、例えばメタノール エタノール、n-プロピルアルコール、iso-プ ピルアルコール、n-ブタノールなどの低級 ルコール類、シクロヘキサンジオキサン類 メチレンクロライドのような低級脂肪族炭 水素の塩化物類などを用いることができる

 溶剤比率としては例えば、メチレンクロ イド70~95質量%、その他の溶剤は30~5質量%が ましい。また、ドープ中のセルロースエス ル系樹脂の濃度は、10~50質量%が好ましい。 剤を添加しての加熱温度は、使用溶剤の沸 以上で、かつ該溶剤が沸騰しない範囲の温 が好ましく、例えば60℃以上、80~110℃の範囲 に設定するのが好適である。また、圧力は設 定温度において、溶剤が沸騰しないように定 められる。

 溶解後は、セルロースエステル系樹脂の ープを冷却しながら容器(溶解釜)から取り すか、または容器からポンプ等で抜き出し 、熱交換器などで冷却し、これを製膜に供 る。

 溶液流延製膜法による光学フィルムの製 方法の一般的な点は、例えば米国特許2,492,9 78号公報、同2,739,070号公報、同2,739,069号公報 同2,492,977号公報、同2,336,310号公報、同2,367,6 03号公報、同2,607,704号公報、英国特許64,071号 報、同735,892号公報、特公昭45-9074号公報、 49-4554号公報、同49-5614号公報、同60-27562号公 、同61-39890号公報、同62-4208号公報等に記載 方法を、参考にすることができる。

 本実施形態の光学フィルムの製造方法は ドープ調製工程、流延工程、乾燥工程、及 巻取り工程を具備するものである。

 まず、セルロース誘導体を含むドープの 製方法は、セルロースエステル系樹脂に対 る良溶媒を主とする有機溶媒に、溶解釜中 該セルロースエステル系樹脂を攪拌しなが 溶解し、ドープを形成する。

 セルロースエステル系樹脂の溶解には、 圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方 、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、 開平9-95544号公報、特開平9-95557号公報、ま は特開平9-95538号公報に記載のような冷却溶 法で行う方法、特開平11-21379号公報に記載 ような高圧で行う方法等の種々の溶解方法 用いることができるが、特に主溶媒の沸点 上で加圧して行う方法が好ましい。

 溶剤を添加しての加熱温度は、使用溶剤 沸点以上で、かつ該溶剤が沸騰しない範囲 温度が好ましく、例えば60℃以上、80~110℃ 範囲に設定するのが好適である。また、圧 は設定温度において、溶剤が沸騰しないよ に定められる。ドープ中のセルロースエス ル系樹脂の濃度は、10~35質量%であるのが好 しい。

 セルロースエステル系樹脂と溶剤のほか 必要な可塑剤、紫外線吸収剤、マット剤等 添加剤は、予め溶剤と混合し、溶解または 散してからセルロースエステル系樹脂の溶 前の溶剤に投入しても、セルロースエステ 系樹脂溶解後のドープへ投入しても良い。

 溶解釜(加圧容器)の種類は、特に問うと ろではなく、所定の圧力に耐えることがで 、加圧下で加熱、攪拌ができればよい。加 容器には、そのほか、圧力計、温度計など 計器類を適宜配設する。加圧は、窒素ガス どの不活性気体を圧入する方法や、加熱に る溶剤の蒸気圧の上昇によって行ってもよ 。加熱は外部から行うことが好ましく、例 ばジャケットタイプのものは温度コントロ ルが容易で好ましい。

 本発明において、セルロースエステル系 脂フィルム中に異物が少ない方が好ましい 異物には偏光クロスニコル状態で認識され 異物と、フィルム表面に突出する微粒子の 集物による異物などがある。

 偏光クロスニコル状態で認識される異物 は、2枚の偏光板を直行(クロスニコル)状態 し、その間にセルロースエステル系樹脂フ ルムを置いて測定されるものをいう。この うな異物は、偏光クロスニコル状態では、 視野中で、異物の箇所のみ光って観察され ので、容易にその大きさと個数を識別する とができる。

 上記の異物の少ないセルロースエステル系 脂フィルムを得るには、特に手段を選ばな が、セルロースエステル系樹脂を溶媒に溶 したドープ組成物を以下のような濾紙を用 て濾過することで達成できる。この場合、 紙の種類としては、濾水時間が20sec以上の 紙を用い、かつ、濾過圧力を16kg/cm 2 以下で濾過して製膜することが好ましい。よ り好ましくは、30sec以上の濾紙を用いかつ濾 圧力を12kg/cm 2 以下、さらに好ましくは、40sec以上の濾紙を いかつ濾過圧力を10kg/cm 2 以下で濾過することである。また、上記濾紙 は、2枚以上重ねて用いるとより好ましい。 た、濾過圧力は、濾過流量と濾過面積を適 選択することで、コントロールできる。

 本発明においては、上記のようにして作 した流延用ドープを、流延ダイ50によって 持体51上に流延する。

 流延ダイ50としては、ダイの口金部分の リット形状を調整でき、膜厚を均一にしや い加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コ トハンガーダイやTダイ等があり、いずれも ましく用いられる。また、キャスト工程に ける支持体51には、ステンレス鋼製の回転 動ベルトもしくは同ドラムを鏡面仕上げし 支持体が使用される。キャスト工程の支持 の温度は、一般的な温度範囲0℃~溶剤の沸点 未満の温度で、流延することができるが、5~3 0℃の支持体上に流延する方が、ドープをゲ 化させ剥離限界時間をあげられるため、好 しく、5~15℃の支持体上に流延することが、 らに好ましい。ここで、剥離限界時間とは 透明で平面性の良好なフィルムを連続的に られる流延速度の限界において、流延され ドープが支持体上にある時間をいう。剥離 界時間は、短い方が生産性に優れていて、 ましい。

 支持体51上の乾燥工程では、流延したド プを一旦ゲル化させた後、流延から剥離ロ ルによって剥離するまでの時間を100%とした き、流延から30%以内にドープ温度を40~70℃ することで、溶剤の蒸発を促進し、それだ 早く支持体上から剥離することができ、さ に剥離強度が増すため好ましく、30%以内に ープ温度を55~70℃にすることがより好ましい 。その後、この温度を20%以上維持することが 好ましく、さらにこの温度を40%以上維持する ことが好ましい。

 支持51体上での乾燥は、残留溶媒量60~150 量%で支持体から剥離ロールによって剥離す ことが、支持体からの剥離強度が小さくな ため好ましく、80~120質量%がより好ましい。 剥離するときのドープの温度は0~30℃にする とが剥離時のベース強度をあげることがで 、剥離時のベース破断を防止できるため好 しく、5℃~20℃がより好ましい。

 溶液流延製膜法によるセルロースエステ フィルムの製造において、残留溶媒量は、 式で表わされる。

   残留溶媒量(質量%)={(M-N)/N}×100
 ここで、Mはウェブ(フィルム)の任意時点で 質量、Nは質量Mのものを115℃で1時間加熱処 したときのフィルム質量である。

 支持体51より剥離ロール52によって剥離し たフィルム17を縦延伸工程として、縦延伸装 10により縦延伸する。この縦延伸を行う際 フィルムの温度は、フィルムの幅方向に変 させている。また、好ましくは、フィルム 部をフィルム中央部より1~20℃高くなるよう する。このようにすることで縦延伸時に発 するフィルムのネッキングに伴い、中央部 膜厚が薄くなる減少を抑え、図2に示すよう に均一な膜厚のフィルムを製造できる。また 、縦延伸時に発生するボーイングと、つぎの 横延伸時に発生するボーイングを相殺するよ うにすることができ、均一な光学特性を得る ことができる。

 縦延伸工程、横延伸工程については、第 の実施形態で詳しく述べたのでここでは省 する。

 乾燥装置40におけるフィルムを乾燥させ 手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外 、加熱ロール、マイクロ波等で行う。簡便 の点で熱風で行うのが好ましい。乾燥温度 40~150℃の範囲で3~5段階の温度に分けて、段 高くしていくことが好ましく、80~140℃の範 で行うことが、寸法安定性を良くするため さらに好ましい。

 乾燥後のフィルム中の残留溶媒量が3質量 %以下、好ましくは1質量%以下となってから、 セルロースエステル系樹脂フィルムとして巻 取り機によってロール状に巻き取り、残留溶 媒量を0.5質量%以下にすることにより寸法安 性の良好なフィルムを得ることができる。

 使用する巻取り機は、一般的に使用され いるものでよく、定テンション法、定トル 法、テーパーテンション法、内部応力一定 プログラムテンションコントロール法など 巻き取り方法で巻き取ることができる。

 なお、第一の実施形態で行った横延伸後 ナール加工を施す工程、及びフィルム端部 厚膜部を切除するスリッター加工工程を巻 取り工程の前に行っても良い。

 以上のように第一及び第二の実施形態で 造した光学フィルムを位相差フィルムとし 用い、この位相差フィルムを偏光板保護フ ルムとする場合、該保護フィルムの厚さは 10~500μmが好ましい。特に、下限は20μm以上 好ましくは35μm以上である。上限は150μm以下 、好ましくは120μm以下である。特に好ましい 範囲は35~90μmである。位相差フィルムが厚い 、偏光板加工後の偏光板が厚くなり過ぎ、 ート型パソコンやモバイル型電子機器に用 る液晶表示においては、特に薄型軽量の目 に適さない。一方、位相差フィルムが薄い 、位相差フィルムとしてのリタデーション 発現が困難となり、加えてフィルムの透湿 が高くなり、偏光子を湿度から保護する能 が低下してしまうために好ましくない。

 本発明が対象とする光学フィルムは、液晶 ィスプレイ、プラズマディスプレイ、有機E Lディスプレイ等の各種ディスプレイ、特に 液晶ディスプレイに用いられる機能フィル のことであり、偏光板保護フィルム、位相 フィルム、反射防止フィルム、輝度向上フ ルム、視野角拡大等の光学補償フィルム等 特に位相差フィルムを含むものである。(液 表示装置)
 本発明の光学フィルムによって構成される 相差フィルムを含む偏光板は、通常の偏光 と比較して高い表示品質を発現させること でき、特にマルチドメイン型の液晶表示装 、より好ましくは複屈折モードにるマルチ メイン型の液晶表示装置への使用に適して る。

 マルチドメイン化は、画像表示の対称性 向上にも適しており、種々の方式が報告さ ている「置田、山内:液晶,6(3),303(2002)」。該 液晶表示セルは、「山田、山原:液晶,7(2),184(2 003)」にも示されており、これらに限定され 訳ではない。

 本発明の光学フィルムを用いた偏光板は 垂直配向モードに代表されるMVA(Multi-domain V ertical Alignment)モード、特に4分割されたMVAモ ド、電極配置によってマルチドメイン化さ た公知のPVA(Patterned Vertical Alignment)モード 電極配置とカイラル能を融合したCPA(Continuous  Pinpensated Alignment)モードに効果的に用いる とができる。また、OCB(Optical Compensated Bend) ードへの適合においても光学的に二軸性を するフィルムの提案が開示されており「T.Mi yashita,T.Uchida:J.SID,3(1),29(1995)」、本発明の光学 フィルムを用いた偏光板によって表示品質効 果を発現することができる。

 本発明の光学フィルムを用いた偏光板に って表示品質効果を発現できれば、液晶モ ド、偏光板の配置は限定されるものではな 。

 表示セルの表示品質は、人の観察におい 左右対称であることが好ましい。従って、 示セルが液晶表示セルである場合、実質的 観察側の対称性を優先してドメインをマル 化することができる。ドメインの分割は、 知の方法を採用することができ、2分割法、 より好ましくは4分割法によって、公知の液 モードの性質を考慮して決定できる。

 液晶表示装置は、カラー化及び動画表示 の装置としても応用されつつあり、本発明 光学フィルムにより表示品質が改良され、 ントラストの改善や偏光板の耐性が向上し ことにより、疲れにくく忠実な動画像表示 可能となる。

 液晶表示装置は、本発明の光学フィルム よって構成される位相差フィルムを含む偏 板を、液晶セルに対して、一枚配置するか あるいは液晶セルの両側に二枚配置する。 のとき偏光板に含まれる位相差フィルム側 液晶表示装置の液晶セルに面するように用 ることで、表示品質の向上に寄与できる。

 偏光板において、偏光子からみて位相差 ィルムとは反対側の面には、セルロース誘 体の偏光板保護フィルムが用いられ、汎用 TACフィルムなどを用いることができる。液 セルから遠い側に位置する偏光板保護フィ ムは、表示装置の品質を向上する上で、他 機能性層を配置することも可能である。

 本発明による光学フィルムは、例えば反 防止、防眩、耐擦傷、ゴミ付着防止、輝度 上などの機能を府よしてもよい。偏光板表 に貼付してもよいが、これらに限定される のではない。

 一般に位相差フィルムでは、上述のリタ ーション値としてRo、Rtの変動が少ないこと が、安定した光学特性を得るために求められ ている。特に、複屈折モードの液晶表示装置 は、これらの変動が画像のムラを引き起こす 原因となることがある。

 溶液流延法による方法によって製造され フィルムは、該フィルム中のごく微量に残 した有機溶媒量の揮発に依存してリタデー ョン値が変動することがある。このフィル は長尺の巻物の状態で製造、保管、輸送さ 、偏光板製造業者等によって偏光板に加工 れる。従って巻物の巻きの中に行くほど、 留溶媒が存在し、揮発性が鈍化することが る。このため巻き外から巻き内、及び幅手 向では両端から中心にかけて微量な残留溶 の濃度差が発生し、これらが引き金となっ リタデーション値の経時的な変化と変動を き起こすことがあった。

 一方、溶融流延法によってフィルムを製 する場合、揮発させるための溶媒が存在し い。このため、リタデーション値の経時的 変化と変動がより少ないロール状の光学フ ルムが得られる。

 溶融流延法により製造されるフィルムは セルロース樹脂等の樹脂を主体として構成 れるため、セルロース樹脂等の樹脂固有の ン化を活用してアルカリ処理工程を活用す ことができる。これは、偏光子を構成する 脂がポリビニルアルコールであるとき、従 の偏光板保護フィルムと同様に完全ケン化 リビニルアルコール水溶液を用いて位相差 ィルムと貼合することができる。このため 、従来の偏光板加工方法が適用できる点で り優れており、特に長尺状であるロール偏 板が得られる点で優れている。

 また、本発明により特に流延ダイ出口の ィルム(ウェブ)幅が1500mm以上、4000mm以下の 幅の流延ダイ4を用いてフィルムを製造する 合において、平面性の高いフィルムを製造 ることができる効果を得る。

 流延ダイ出口のフィルム(ウェブ)幅が1500m m以上の場合、延伸等を行った後の光学フィ ムとして2000mmを超える幅の製品を取ること 可能である。本発明が特に平面性の高いフ ルムを得る効果を発揮するのは、流延ダイ 口のフィルム(ウェブ)幅が1500mm~4000mmの範囲 特に1700mm~4000mmの範囲である。4000mmを超える 延幅のフィルムはその後の搬送工程等での 定性が低くなることが推測され実用的では い。

 位相差フィルム製造に際し、延伸の前及 /又は後で帯電防止層、ハードコート層、易 滑性層、接着層、防眩層、バリアー層等の機 能性層を塗設してもよい。この際、コロナ放 電処理、プラズマ処理、薬液処理等の各種表 面処理を必要に応じて施すことができる。

 製膜工程において、カットされたフィル 両端のクリップ把持部分は、粉砕処理され 後、あるいは必要に応じて造粒処理を行っ 後、同じ品種のフィルム用原料としてまた 異なる品種のフィルム用原料として再利用 てもよい。

 前述の可塑剤、紫外線吸収剤、マット剤 の添加物濃度が異なるセルロース樹脂等の 脂を含む組成物を共流延して、積層構造の 学フィルムを作製することもできる。例え スキン層/コア層/スキン層といった構成の 学フィルムを作ることができる。例えばマ ト剤は、スキン層に多く、またはスキン層 みに入れることができる。可塑剤、紫外線 収剤はスキン層よりもコア層に多く入れる とができ、コア層のみに入れてもよい。ま 、コア層とスキン層で可塑剤、紫外線吸収 の種類を変更することもでき、例えばスキ 層に低揮発性の可塑剤及び/又は紫外線吸収 を含ませ、コア層に可塑性に優れた可塑剤 あるいは紫外線吸収性に優れた紫外線吸収 を添加することもできる。スキン層とコア のガラス転移温度が異なっていても良く、 キン層のガラス転移温度よりコア層のガラ 転移温度が低いことが好ましい。このとき スキンとコアの両者のガラス転移温度を測 し、これらの体積分率より算出した平均値 上記ガラス転移温度Tgと定義して同様に扱 こともできる。また、溶融流延時のセルロ スエステルを含む溶融物の粘度もスキン層 コア層で異なっていても良く、スキン層の 度>コア層の粘度でも、コア層の粘度≧ス ン層の粘度でもよい。

 本発明の光学フィルムは、寸度安定性が 温度23℃、湿度55%RHに24時間放置したフィル の寸法を基準としたとき、温度80℃、湿度90 %RHにおける寸法の変動値が±2.0%未満であり、 好ましくは1.0%未満であり、さらに好ましく 0.5%未満である。

 本発明の光学フィルムを位相差フィルム して偏光板の保護フィルムに用いる際に、 相差フィルム自身に上記の範囲以上の変動 有すると、偏光板としてのリタデーション 絶対値と配向角が当初の設定とずれるため 、表示品質の向上能の減少あるいは表示品 の劣化を引き起こすことがある。

 本発明の光学フィルムを位相差フィルム して偏光板の保護フィルムに用いる場合、 光板の作製方法は特に限定されず、一般的 方法で作製することができる。得られた位 差フィルムをアルカリ処理し、ポリビニル ルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸 て作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリ ニルアルコール水溶液を用いて、偏光子の 面に偏光板保護フィルムを貼り合わせる方 があり、少なくとも片面に本発明の偏光板 護フィルムである位相差フィルムが偏光子 直接貼合する。

 上記アルカリ処理の代わりに、特開平6-94 915号公報、特開平6-118232号公報に記載されて るような易接着加工を施して偏光板加工を ってもよい。

 偏光板は偏光子及びその両面を保護する 護フィルムで構成されており、さらに該偏 板の一方の面にプロテクトフィルムを、反 面にセパレートフィルムを貼合して構成す ことができる。プロテクトフィルム及びセ レートフィルムは偏光板出荷時、製品検査 等において偏光板を保護する目的で用いら る。この場合、プロテクトフィルムは、偏 板の表面を保護する目的で貼合され、偏光 を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いら る。また、セパレートフィルムは液晶板へ 合する接着層をカバーする目的で用いられ 偏光板を液晶セルへ貼合する面側に用いら る。

 光学フィルムの製造方法として、溶融流延 を用いた場合の実施例、比較例を以下に示 。
実施例1~7、比較例1
(樹脂混合物)
 セルロースアセテートプロピオネート            89質量%
  (アセチル基置換度1.4、プロピオニル基置 度1.35、
   数平均分子量60000)
 トリメチロールプロパントリベンゾエート           9質量%
  (可塑剤、融点85℃)
 酸化防止剤(IRGANOX XP 420/FD)   0.25質量%
  (チバ・ジャパン社製)
 紫外線吸収剤                       1.6質量%
  (TINUVIN 928、チバ・ジャパン社製、融点115 )
 マット剤(シリカ微粒子)                0.15質量%
  (シーホスターKEP-30:日本触媒株式会社製、 平均粒径0.3μm)
 なお、セルロースアセテートプロピオネー のアセチル基、プロピオニル基、ブチリル 等のアシル基の置換度の測定は、ASTM-D817-96 規定の方法に準じて測定した。

 上記材料をV型混合機で30分混合した後、 トランドダイを取り付けた2軸押出し機を用 いて窒素雰囲気下で230℃で溶融させ、長さ4mm 、直径3mmの円筒形のペレットを作成した。得 られたペレットのガラス転位点(Tg)は、135℃ あった。

 上記ペレットを100℃で5時間乾燥させ、含 水率100ppmとし、図5に示すTダイ4を取り付けた 単軸押出し機1に該ペレットを供給して製膜 行った。溶融物には、樹脂以外の添加剤が11 %質量含まれていた。

 単軸押出し機1は、スクリュー径90mm、L/D=3 0、押出し量が140kg/hとなるようにスクリュー 回転数を調整した。材料供給口付近より窒 ガスを封入して、押出し機1内を窒素雰囲気 に保った。押出し機1およびTダイ4は、温度を 240℃に設定した。Tダイ4はコートハンガータ プで、幅が1900mm、内壁にハードクロムメッ を施しており、面粗度0.1Sの鏡面に仕上げら れている。Tダイ4のリップ間隙は2mmに設定し 。

 図6に示すように、Tダイ4から出たフィル を、ロール幅2400mmのクロムメッキ鏡面の第1 冷却ロール(冷却用第1回転体)5上に落下させ 同時に100℃に温度調整されたロール幅2400mm タッチロール(押圧用第2回転体)6によりフィ ムを押圧した。

 このとき、第1冷却ロール(冷却用第1回転 )5の表面温度を、樹脂のガラス転移温度(Tg=1 35℃)以下、添加剤の融点(可塑剤の融点85℃、 及び紫外線吸収剤の融点115℃)以上である120 に設定した。また、タッチロール(押圧用第2 回転体)6は、5N/mmの線圧でフィルムを押圧し 。

 第1冷却ロール(冷却用第1回転体)5とタッ ロール(押圧用第2回転体)6に押圧されたフィ ムは、引き続いて第2冷却ロール(冷却用第3 転体)7、及び第3冷却ロール(冷却用第4回転 )8の合計3本の冷却ロールに順に外接させて 却固化し、剥離ロール9によって剥離する。

 タッチロール6で狭圧した未延伸フィルム 17の膜厚は、ネッキングに伴う端部厚膜部各1 00mmを除く製品相当幅1500mmの平均膜厚が200μm なるように、流延ダイボルトでリップ間隙 調整した。この未延伸フィルム17を、一旦、 ロール状に巻き取った。

 なお、未延伸フィルム17の幅は、1700mmで った。

 その後、ロール状のフィルム17を繰り出 、図7に示す縦延伸装置10において、縦延伸 行った。同図において、ガイドロール41によ って縦延伸装置10に導入された挟圧未延伸フ ルム17は、第1延伸前予熱ロール21、第2延伸 予熱ロール22、第3延伸前予熱ロール23、お び第4延伸前予熱ロール24を経て、延伸・予 ロール25に至り、ニップロール26により上か 押圧されながら移送されて、延伸・冷却ロ ル27に巻き掛けられる。延伸・予熱ロール25 と延伸・冷却ロール27との間には、上部加熱 ータ32および下部加熱ヒータ33を配置し、実 施例1~5においては、図4に示すようにフィル 両端部より熱風送風機80により熱風を送風し た。比較例1としては、実施例1~7における熱 送風機80を設けなかった他は、実施例1~7と同 様の設定にした。

 延伸・冷却ロール27に巻き掛けられたフ ルム17は、そこでニップロール28により上か 押圧されながら移送され、ここで縦延伸さ る。さらに、フィルム17は、第1延伸後冷却 ール29、第2延伸後冷却ロール30、第3延伸後 却ロール31を経て、ガイドロール42により縦 延伸装置10の外部に搬出させた。

 下記の表1に、予熱・延伸・冷却ロールの 番号、ロール用途、ロール径(mm)、材質、粗 、およびロール温度(℃)をまとめて記載した 。なお、ロールの材質において、「H-Cr」と 、ハードクロムを意味する。

 また、ヒーター32,33には、ハロゲンヒー を用い、能力は、50kWとし、出力は設定延伸 度になるように調節した。ヒーター32,33の さは、フィルム面から30mmとしてフィルム幅 向に均一に設定し、ニップロール26,28の圧 は、2N/mmとした。

 熱風送風機80からは、風量及び熱風温度 調整して、フィルム幅方向の両端部と中央 の温度差を表2のようにし、実施例1~7とした なお、フィルムの両端部及び中央部の温度 測定方法は、アピステ社製の赤外線サーモ ラフィーFSV-7000Sを用い、図3の赤外線ヒータ 15付近に設置して、両端部をそれぞれ5等分し 、それぞれの中央の位置を測定した。また、 中央部も5等分し、それぞれの中央の位置を 定した。両端部の測定値の平均を両端部の 度、中央部の測定値の平均を中央部の温度 して、両端部の温度から中央部の温度を引 た差を温度差として算出した。

 この縦延伸装置10における延伸工程にお て、挟圧後の未延伸フィルム17を長手方向に 、2.0倍に延伸した。また、実質有効スパンは 、100mmとした。

 縦延伸後、図13に示す横延伸装置として ンター装置を用いた。横延伸時の延伸倍率 、2.0倍とした。以上のようにして実施例1~7 び比較例1の光学フィルムを製造した。

 縦延伸及び横延伸後のフィルムの評価
 つぎに、実施例1~7及び比較例1において延伸 したセルロースアセテートプロピオネートフ ィルムについて、延伸後の膜厚偏差(μm)を接 式膜厚計を用い、フィルムの全幅において1 0mm間隔で測定し、端部の急激な膜厚変化を除 いた範囲で、最大膜厚と最小膜厚の偏差を評 価した。偏差が2μm以下を◎、2μmを越えて5μm 以下を○、5μmを越えるものを×とした。膜厚 偏差が、5μmを越えると、視野角やコントラ トが変化し、製品の品質レベルとして用い ことができない。

 また、縦延伸前のフィルムに図3に示すよ うに基準線Laを描き、横延伸後のボーイング Bを測定し、50mm以下を◎、50mmを越え80mm以下 を○、80mmを越えるものを×として評価した。 ボーイング量が80mmを越えるとフィルムのリ デーションや配向角が不均一となり、製品 品質レベルとして用いることができない。

 また、幅手方向に100mm間隔でリタデーシ ンを測定し、その偏差が2nmを◎、2nmを超え 5nm以下をを○、5nmを超えるものを×として評 価した。リタデーションの偏差が5nmを越える とクロスニコルで観察したとき明暗の模様が 見えてしまい、製品の品質レベルとして用い ることができない。

 評価結果を表2に示す。

 表2の結果より、実施例1~7と比較例1とを べると、縦延伸工程において、熱可塑性樹 フィルムの温度をフィルム幅方向に変化さ ることにより、膜厚偏差及びボーイング量 改善できることがわかる。また、実施例1~7 比べると、フィルム幅方向のフィルム端部 温度をフィルム中央部より1℃~20℃高くして 手方向に延伸することが好ましいことが分 る。更に、5℃~15℃の範囲高くすることが、 膜厚のみならずリタデーションが均一になり 、より好ましいことが分かる。