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Patent Searching and Data


Title:
PROCESS FOR PRODUCING POLYMER FOR SEMICONDUCTOR LITHOGRAPHY
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/078410
Kind Code:
A1
Abstract:
A process for producing a polymer for semiconductor lithography. It is effective in extremely reducing differences among polymer production lots. The process for producing a polymer for semiconductor lithography comprises the step (P) of heating a polymerizable monomer and a polymerization initiator in a solvent to polymerize the monomer. It is characterized in that the polymerization pressure in the step (P) is regulated by regulating the liquid level in a container (W0) which is disposed in a line extending from the polymerization tank to the air and is capable of liquid enclosure.

Inventors:
YAMAGISHI TAKANORI (JP)
KATO ICHIRO (JP)
YAMAGUCHI SATOSHI (JP)
OSAKI KOUZO (JP)
SHIBATA YASUO (JP)
MAGARA ISAO (JP)
OMORI HIDEKI (JP)
IUCHI KENSUKE (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/001447
Publication Date:
July 03, 2008
Filing Date:
December 20, 2007
Export Citation:
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Assignee:
MARUZEN PETROCHEM CO LTD (JP)
YAMAGISHI TAKANORI (JP)
KATO ICHIRO (JP)
YAMAGUCHI SATOSHI (JP)
OSAKI KOUZO (JP)
SHIBATA YASUO (JP)
MAGARA ISAO (JP)
OMORI HIDEKI (JP)
IUCHI KENSUKE (JP)
International Classes:
C08F2/00; C08F12/14; C08F20/10; C08F220/28; G03F7/039; H01L21/027
Foreign References:
JPS60164200U1985-10-31
JPH06192182A1994-07-12
JP2004269855A2004-09-30
JP2006176573A2006-07-06
Attorney, Agent or Firm:
THE PATENT CORPORATE BODY ARUGA PATENT OFFICE (3-6 Nihonbashiningyocho 1-chome,Chuo-ku, Tokyo 13, JP)
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Claims:
 重合性単量体と重合開始剤を溶媒中で加熱して重合する工程(P)を含む半導体リソグラフィー用重合体の製造方法であって、工程(P)において、重合槽から大気に通じる間に設けた液封が可能な構造を有する容器(W0)内の液面レベルを調節することによって、工程(P)における重合圧力を調節することを特徴とする、半導体リソグラフィー用重合体の製造方法。
 工程(P)において、重合槽から大気に通じる間に設けた液封が可能な構造を有する容器(W0)内に液封部(W)を形成させ、液封部(W)の重合槽側と大気側の液面レベル差によって、重合槽側に液面レベル差による差圧を加えることを特徴とする、請求項1に記載の半導体リソグラフィー用重合体の製造方法。
 液封部(W)の重合槽側に、圧力調整用の気体を導入する、請求項1又は2に記載の半導体リソグラフィー用重合体の製造方法。
 工程(P)が、重合性単量体と重合開始剤を、加熱した溶媒中に滴下する工程を含む、請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体リソグラフィー用重合体の製造方法。
 工程(P)における重合温度を、重合溶媒として含まれる成分の初留点以上とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体リソグラフィー用重合体の製造方法。
 工程(P)における重合圧力を、工程(P)を実施する場所における年間平均大気圧以上とする請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体リソグラフィー用重合体の製造方法。
 重合性単量体が、水酸基を有する単量体(A)、水酸基を、アルカリ現像液への溶解を抑制すると共に酸の作用で解離する基で保護した構造を有する単量体(B)、ラクトン構造を有する単量体(C)、及び環状エーテル構造を有する単量体(D)から選ばれる少なくとも1種以上を含む、請求項1乃至6のいずれかに記載の半導体リソグラフィー用重合体の製造方法。
 単量体(A)が、式(A1)
{式(A1)中、R 10 は水素原子、又は、フッ素原子が置換しても良い炭素数1~4の炭化水素基を表し、R 11 は単結合、又は、フッ素原子が置換しても良い炭素数1~4の2価の炭化水素基を表し、iは1又は2の整数を表す。}、
式(A2)
{式(A2)中、R 12 は水素原子、又は、フッ素原子が置換しても良い炭素数1~4の炭化水素基を表し、R 13 はフッ素原子、酸素原子又は硫黄原子を含んでも良い炭素数2~12の2~4価の炭化水素基を表し、R 14 は単結合、又は、フッ素原子が置換しても良い炭素数1~4の2価の炭化水素基を表し、jは1~3の整数を表す。}、
式(A3)
{式(A3)中、R 15 は水素原子、又は、フッ素原子が置換しても良い炭素数1~4の炭化水素基を表し、R 16 は酸素原子又は硫黄原子を含んでも良い炭素数6~12の2価の脂環炭化水素基を表し、kは0又は1の整数を表す。}
から選ばれる少なくとも1種以上の構造を含む、請求項7に記載の半導体リソグラフィー用重合体の製造方法。
 単量体(B)が、単量体(A)の水酸基を、式(b1)
{式(b1)中、oは式(b1)としての結合部位を表し、R 23 及びR 24 はそれぞれ独立して炭素数1~4の炭化水素基を表し、R 25 は炭素数1~12の炭化水素基を表す。R 25 はR 23 又はR 24 と結合して環を形成しても良い。}
又は(b2)
{式(b2)中、oは式(b2)としての結合部位を表し、R 26 及びR 27 はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~4の炭化水素基を表し、R 28 は炭素数1~12の炭化水素基を表す。R 26 は、R 27 又はR 28 と結合して環を形成しても良い。}
から選ばれる少なくとも1種以上のアルカリ現像液への溶解を抑制すると共に酸の作用で解離する基で保護した構造を含む、請求項7又は8に記載の半導体リソグラフィー用重合体の製造方法。
 単量体(C)が、式(C1)
[式(C1)中、R 30 は水素原子、又は、フッ素原子が置換しても良い炭素数1~4の炭化水素基を表し、R 31 は式(c)
 {式(c)中、R 32 ~R 39 のいずれか1つは、R 31 としての結合部位を有する単結合を表し、残りのR 32 ~R 39 は、水素原子、炭素数1~4の炭化水素基又はアルコキシ基を表すか、
或いは、R 32 ~R 39 のいずれか1つは、R 31 としての結合部位を有し、他のR 32 ~R 39 のいずれか1つ又は2つと結合して炭素数5~15の脂環を形成する、酸素原子又は硫黄原子を含んでも良い炭素数3~12の炭化水素基を表し、残りのR 32 ~R 39 は、いずれか1つ又は2つが前記炭素数5~15の脂環を形成するための単結合を表し、その他のR 32 ~R 39 は、水素原子、炭素数1~4の炭化水素基又はアルコキシ基を表す。mは0又は1の整数を表す。}
{式(c)中、R 32 ~R 39 は、いずれか1つが、R 31 としての結合部位を有する単結合を表し、残りのR 32 ~R 39 は、水素原子、又は、炭素数1~4の炭化水素基若しくはアルコキシ基を表すか、又は、いずれか1つが、R 31 としての結合部位を有し、他のR 32 ~R 39 のいずれか1つ又は2つと結合して炭素数5~15の脂環を形成する、酸素原子若しくは硫黄原子を含んでも良い炭素数3~14の炭化水素基を表し、残りのR 32 ~R 39 は、いずれか1つ又は2つが前記炭素数5~15の脂環を形成するための単結合を表し、その残りは、水素原子、又は、炭素数1~4の炭化水素基若しくはアルコキシ基を表す。mは0又は1の整数を表す。}
で表されるラクトン構造含有基を表す。]
で表される構造を含む、請求項7乃至9のいずれかに記載の半導体リソグラフィー重合体の製造方法。
 単量体(D)が、式(D1)
{式(D1)中、R 40 は水素原子、又は、フッ素原子が置換しても良い炭素数1~4の炭化水素基を表し、R 41 は3~6員環の環状エーテル構造を含む炭素数3~7の炭化水素基を表す。}
で表される構造を含む、請求項7乃至10のいずれかに記載の半導体リソグラフィー用重合体の製造方法。
Description:
半導体リソグラフィー用重合体 製造方法

 本発明は、半導体の製造に使用されるリ グラフィー用重合体の製造方法に関する。 に詳しくは、半導体の製造のリソグラフィ 工程に用いられる、レジスト膜や、レジス 膜の上層若しくは下層に形成される反射防 膜、ギャップフィル膜、トップコート膜等 、薄膜形成に用いられる重合体の製造方法 関する。

 半導体素子の製造においては、集積度を増 させるために、リソグラフィーによる、よ 微細なパターン形成が求められている。微 化の手法の一つとして、波長の短い放射線( 光)源(本明細書では光も放射線の一種と見な て説明する)の使用が不可欠であり、従来か ら用いられているg線、i線に加え、フッ化ク プトン(KrF)エキシマレーザー(波長248nm)やフ 化アルゴン(ArF)エキシマレーザー(波長193nm) いった遠紫外線が量産で導入されている。 た、フッ素ダイマー(F 2 )エキシマレーザー(157nm)や極紫外線(EUV)、電 線(EB)等を放射線源として用いるリソグラフ ー技術についても研究が行われている。

 これらリソグラフィーにおいては、基板 パターンを転写するためのレジスト膜が使 される。また、必要に応じてレジスト膜の 層もしくは下層に種々の薄膜が使用される これらの薄膜は、それぞれの目的の機能を する重合体と添加剤を有機溶剤に溶解した 成物溶液を調製し、スピンコーティングな の方法で基板に塗布した後、必要に応じて 熱して、溶媒を除去したり硬化させたりし 形成される。

 レジスト膜は、放射線照射部が現像液に 解するポジ型、放射線未照射部が現像液に 解するネガ型に別れる。また、放射線の作 で現像液に対する溶解性が変化する化合物 、アルカリ現像液に可溶な重合体をバイン ーとして含んでなるタイプや、放射線の作 で酸を発生する化合物(以下、「感放射線性 酸発生剤」と言うことがある。)と、酸の作 でアルカリ現像液に対する溶解性が変化す 重合体をバインダーとして含んでなるタイ 等が知られている。特に後者を化学増幅型 ジストといい、中でも化学増幅ポジ型レジ トは微細加工用として特に好ましく用いら ている。

 レジスト膜の上層もしくは下層に用いら る薄膜では、高反射基板表面(レジスト膜の 下層)やレジスト膜表面(レジスト膜の上層)に 塗布し、レジスト膜界面での反射を抑え、定 在波を抑制して微細なレジストパターンを正 確に形成するための反射防止膜や、パターン が形成された基板に更にレジストパターンを 形成する際に、該基板表面(レジスト膜や反 防止膜の下層)に塗布し、該基板表面のギャ プを埋めて平坦化するギャップフィル膜、 浸フォトリソグラフィーにおいて、レジス 膜への液浸液の進入やレジスト膜からの感 射線性酸発生剤等の溶出を抑制するために ジスト膜の上層に塗布するトップコート膜 が知られている。

 上記薄膜を形成するための組成物溶液の中 、リソグラフィー用重合体は、それぞれの 膜の機能を発現するために必要な、光学的 化学的、物理的性質が求められる重要な構 要素であり、盛んに研究されている。
 例えば、KrFエキシマレーザーを用いる化学 幅ポジ型レジストでは、ヒドロキシスチレ 由来の構成単位と、ヒドロキシスチレン由 のフェノール水酸基をアセタール構造や4級 炭化水素基等の酸解離性溶解抑制基で保護し た構成単位、若しくは、(α-アルキル)アクリ 酸由来のカルボキシル基をアセタール構造 4級炭化水素基等の酸解離性溶解抑制基で保 護した構成単位等を有する共重合体(特許文 1~4等参照)等が知られている。又、ドライエ チング耐性や、露光前後のアルカリ現像液 対する溶解速度の差を向上させるため、脂 式炭化水素基を酸解離性溶解抑制基とした 成単位を有する共重合体(特許文献5~6等参照 )が知られている。

 ArFエキシマレーザーを用いる化学増幅ポ 型レジストでは、193nmの波長に対する吸光 数が高いヒドロキシスチレン由来の構成単 を有さない共重合体が検討され、半導体基 等に対する密着性を高めたり、リソグラフ ー溶剤やアルカリ現像液への溶解性を調整 たりするための極性基として、ラクトン構 を構成単位に有する共重合体(特許文献7~10等 参照)が知られている。

 反射防止膜では、248nmや193nmの波長に対す る吸光係数や屈折率を高めるための官能基と して、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラ セン環等の芳香環を有する構成単位を含み、 必要に応じてレジスト膜と混合を避けるため 、硬化剤などと反応して硬化可能なアミノ基 、アミド結合、ヒドロキシル基、エポキシ基 等の反応性官能基を有する構成単位とを含む 重合体(例えば、特許文献11~14等参照)が知ら ている。

 ギャップフィル膜では、狭いギャップに れ込むための適度な粘度を有し、レジスト や反射防止膜と混合を避けるため、硬化剤 どと反応して硬化可能な反応性官能基を有 る構成単位を含む重合体が知られており、 体的にはヒドロキシスチレン由来の構成単 を含み、必要に応じてスチレン、アルキル( メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メ )アクリレート等の重合性単量体由来の構成 単位を含む重合体(例えば、特許文献15等参照 )が知られている。

 液浸リソグラフィーにおけるトップコー 膜では、カルボキシル基を有する繰り返し 位を含む共重合体(特許文献16等参照)や、水 酸基が置換したフッ素含有基を有する繰り返 し単位を含む共重合体(特許文献17等参照)等 知られている。

 パターンが微細化するにつれ、重合体の製 ロット間における性能差を小さくする要求 高まっている。特に、重合体の質量平均分 量(以下、「Mw」と言うことがある)が異なる と、リソグラフィー膜を形成したときに、そ の膜厚や、必要な露光エネルギー、アルカリ 現像液への溶解速度等のリソグラフィー特性 が異なってしまい、一定のリソグラフィーパ ターンが形成できない等の問題があった。こ のため、Mwの製造ロット間差を極めて小さく きる重合体の製造方法が求められていた。

特開昭59-045439号公報

特開平05-113667号公報

特開平10-026828号公報

特開昭62-115440号公報

特開平09-073173号公報

特開平10-161313号公報

特開平09-090637号公報

特開平10-207069号公報

特開2000-026446号公報

特開2001-242627号公報

特開2000-313779号公報

特開2001-27810号公報

特開2001-192411号公報

特開2001-226324号公報

特開2003-57828号公報

特開2006-193687号公報

特開2006-243308号公報

 本発明は前記の背景技術に鑑みてなされ ものであり、その目的は、半導体リソグラ ィーにおいて使用されるレジスト膜や、レ スト膜の上層又は下層に形成される反射防 膜、ギャップフィル膜、カバーコート膜等 薄膜形成に用いられる、半導体リソグラフ ー用重合体の製造方法であって、該重合体 製造ロット間差を極めて小さくできる半導 リソグラフィー用重合体の製造方法を提供 ることにある。

 本発明者らは上記課題を解決するため、鋭 検討した結果、上記課題は、重合体を特定 方法で製造することによって解決できるこ を見出し、本発明を完成するに至った。
 すなわち、本発明は、重合性単量体と重合 始剤を溶媒中で加熱して重合する工程(P)を む半導体リソグラフィー用重合体の製造方 であって、工程(P)において、重合槽から大 に通じる間に設けた液封が可能な構造を有 る容器(W0)内の液面レベルを調節することに よって、工程(P)における重合圧力を調節する ことを特徴とする、半導体リソグラフィー用 重合体の製造方法を提供するものである。

 本発明の製造方法により、Mwの製造ロッ 間差が極めて小さい半導体リソグラフィー 重合体を製造できる。これにより、製造ロ トが変わっても、一定した膜厚やリソグラ ィー特性を有するリソグラフィー膜を形成 きる。このため、高精度のリソグラフィー ターンを安定して形成でき、高集積半導体 子を高い歩留まりで製造することができる

液封槽(W0)取り付け位置の例を示す図で ある。 液封槽(W0)取り付け位置の例を示す図で ある。 液封槽(W0)取り付け位置の例を示す図で ある。 液封槽(W0)取り付け位置の例を示す図で ある。 図1で取り付けた液封槽(W0)の構造例を す図である。 図2で取り付けた液封槽(W0)の構造例を す図である。 図3で取り付けた液封槽(W0)の構造例を す図である。 図4で取り付けた液封槽(W0)の構造例を す図である。 液封槽(W0)の液封液を外部循環型にした ときの付帯機器の取り付け例を示す図である 。

符号の説明

  W0:液封槽
  W1:気体導入口
  W2:気体排出口
  W3:液封液導入口
  W4:液封液排出口
  V1:蒸気ライン
  V2:凝縮器
  V3:気液分離槽
  V4:還流ライン
  V5:排気ライン

 本発明の製造方法は、重合性単量体と重 開始剤を溶媒中で加熱して重合する工程(P) 含み、該工程における重合圧力を、重合槽 大気との間に設けた液封部の液封高により 節する方法である。工程(P)の好ましい方法 して、単量体と重合開始剤、必要に応じて 鎖移動剤を、加熱した溶媒に滴下して重合 せる方法が好ましく、重合温度を、重合溶 として含まれる成分の初留点以上とするこ が好ましい。必要に応じて、重合体の極性 を保護したり、保護基を脱離させたりと言 た重合体の極性基を他の極性基に変換する 程(Q)、重合体から、単量体、重合開始剤等 未反応物やオリゴマー等の低分子量成分等 不要物を除去する工程(R)、低沸点不純物を 去したり、溶媒を次工程若しくはリソグラ ィーに適した溶媒に置換したりする工程(S) 半導体の形成に好ましくない金属不純物を 減する工程(T)、マイクロゲル等のパターン 陥の原因となる物質を低減する工程(U)等を み合わせることもできる。以下、本発明を に詳しく説明する。

1.工程(P)
(1)単量体
 本発明で用いる重合性単量体は、公知の重 性単量体の中から、目的とするリソグラフ ー膜に必要な機能を有する繰り返し単位を える重合性単量体を選択して用いる。好ま くは、水酸基を有する単量体(A)、アルカリ 像液への溶解を抑制すると共に酸の作用で 離する基(以下、「酸解離性溶解抑制基」と 言うことがある)で水酸基を保護した構造を する単量体(B)、ラクトン構造を有する単量 (C)、環状エーテル構造を有する単量体(D)か 選ばれる少なくとも1種以上の単量体を選択 る。必要に応じて、アルカリ現像液への溶 を抑制すると共に酸の作用に安定な構造(以 下、「酸安定性溶解抑制構造」と言うことが ある)を有する単量体(E)等を含むことができ 。
 例えば、化学増幅ポジ型レジスト膜に用い 場合、単量体(A)及び単量体(C)から選ばれる なくとも1種以上と、単量体(B)を必ず含み、 必要に応じて、単量体(E)を含むことができる 。ネガ型レジスト膜に用いる場合、単量体(A) 及び単量体(D)から選ばれる少なくとも1種以 を必ず含み、必要に応じて、単量体(C)及び 量体(E)から選ばれる少なくとも1種以上を含 ことができる。反射防止膜や液浸用トップ ート膜に用いる場合、単量体(A)及び単量体( D)から選ばれる少なくとも1種以上を必ず含み 、必要に応じて、単量体(B)、単量体(C)、及び 単量体(E)から選ばれる少なくとも1種以上を むことができる。

(1-A)単量体(A)
 単量体(A)は、水酸基を有する単量体であり 基板や下地膜への密着性を高めたり、リソ ラフィー溶媒やアルカリ現像液への溶解性 制御したり、硬化剤と反応して架橋構造を 成したりする働きをする繰り返し単位を与 る。水酸基としては、ハロゲンが置換して 良い、直鎖状、分岐状、環状の炭化水素基 カルボニル基、スルホニル基等に置換した 酸基を挙げることができる。具体的には、 ェノール性水酸基、アルコール性水酸基、 ルオロアルコール性水酸基、カルボキシル 、スルホ基等を挙げることができ、好まし は、フェノール性水酸基、アルコール性水 基、フルオロアルコール性水酸基、カルボ シル基である。

 単量体(A)の構造としては、式(A1)乃至(A3) 表される構造が特に好ましい。

 式(A1)中、R 10 は水素原子、又は、フッ素原子が置換しても 良い炭素数1~4の炭化水素基を表し、具体的に は、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロ ル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル 、トリフルオロメチル基等の炭素数1~4のフ 素原子が置換しても良いアルキル基を挙げ ことができ、好ましくは、水素原子、メチ 基、トリフルオロメチル基である。R 11 は単結合、又は、フッ素原子が置換しても良 い炭素数1~4の2価の炭化水素基を表し、具体 には、単結合、メチレン基、1,1-エチレン基 2,2-プロピレン基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ -2,2-プロピレン基、1,1,1-トリフルオロ-2-トリ ルオロメチル-2,3-プロピレン基等のフッ素 子が置換もよい炭素数1~4のアルキレン基を げることができ、好ましくは、単結合、1,1,1 ,3,3,3-ヘキサフルオロ-2,2-プロピレン基、1,1,1- トリフルオロ-2-トリフルオロメチル-2,3-プロ レン基であり、特に好ましくは単結合であ 。iは1又は2の整数を表す。

 式(A2)中、R 12 は水素原子、又は、フッ素原子が置換しても 良い炭素数1~4の炭化水素基を表し、具体的に は、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロ ル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル 、トリフルオロメチル基等の炭素数1~4のフ 素原子が置換しても良いアルキル基を挙げ ことができ、好ましくは、水素原子、メチ 基、トリフルオロメチル基である。R 13 はフッ素原子、酸素原子又は硫黄原子を含ん でも良い炭素数2~12の2~4価の炭化水素基を表 、具体的には、エチレン基、イソプロピレ 基等の炭素数2~4の直鎖状若しくは分岐状の 和炭化水素基と、シクロヘキサン環、ノル ルナン環、7-oxa-ノルボルナン環、7-thia-ノル ルナン環、アダマンタン環、テトラシクロ[ 4.4.0.1 2,5 .1 7,10 ]ドデカン環等を有する酸素原子又は硫黄原 を含んでも良い炭素数5~12の飽和脂環炭化水 基を挙げることができ、好ましくは、シク ヘキサン環、ノルボルナン環、アダマンタ 環である。R 14 は単結合、又は、フッ素原子が置換しても良 い炭素数1~4の2価の炭化水素基を表し、具体 には、単結合、メチレン基、1,1-エチレン基 2,2-プロピレン基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ -2,2-プロピレン基、1,1,1-トリフルオロ-2-トリ ルオロメチル-2,3-プロピレン基等のフッ素 子が置換しても良い炭素数1~4のアルキレン を挙げることができ、好ましくは、単結合 1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2,2-プロピレン基、 1,1,1-トリフルオロ-2-トリフルオロメチル-2,3- ロピレン基である。R 13 がアダマンチル基、R 14 が単結合である組合せが特に好ましい。jは1~ 3の整数を表す。

 式(A3)中、R 15 は水素原子、又は、フッ素原子が置換しても 良い炭素数1~4の炭化水素基を表し、具体的に は、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロ ル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル 、トリフルオロメチル基等のフッ素原子が 換しても良い炭素数1~4のアルキル基を挙げ ことができ、好ましくは、水素原子、メチ 基、トリフルオロメチル基である。R 16 は、酸素原子若しくは硫黄原子を含んでも良 い炭素数6~12の2価の脂環炭化水素基を表し、 体的には、ノルボルナン環、7-oxa-ノルボル ン環、7-thia-ノルボルナン環、テトラシクロ [4.4.0.1 2,5 .1 7,10 ]ドデカン環等を有する酸素原子又は硫黄原 を含んでも良い飽和脂環炭化水素基を挙げ ことができ、好ましくはノルボルナン環、 トラシクロ[4.4.0.1 2,5 .1 7,10 ]ドデカン環である。kは0又は1の整数を表す

 以下に、単量体(A)の具体的な例を挙げる 、本発明を限定するものではない。単量体( A)の中から、1種類、又は異なる構造の複数種 類を選択して用いることができる。

(1-B)単量体(B)
 単量体(B)は、水酸基を酸解離性溶解抑制基 保護して形成した構造を有する単量体であ 、アルカリ現像液に対する重合体の溶解性 変化させる働きをする繰り返し単位を与え 。好ましい例として、式(A1)乃至(A3)で表さ る構造の水酸基を、式(b1)又は(b2)で表される 酸解離性溶解抑制基で保護した構造を挙げる ことができる。

 式(b1)中、oは式(b1)としての結合部位を表し R 23 及びR 24 はそれぞれ独立して炭素数1~4の炭化水素基を 表し、具体的には、メチル基、エチル基、n- ロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブ ル基等の炭素数1~4のアルキル基を挙げるこ ができる。R 15 は炭素数1~12の炭化水素基を表し、具体的に 、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プ ピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、シクロペ ンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル 基、トリシクロ[5.2.1.0 2,6 ]デカニル基、アダマンチル基、テトラシク [4.4.0.1 2,5 .1 7,10 ]ドデカニル基等の炭素数1~12の直鎖、分岐鎖 は環状のアルキル基を挙げることができる 尚、R 25 はR 23 又はR 24 と結合して環、具体的にはシクロペンタン環 、シクロヘキサン環、ノルボルナン環、トリ シクロ[5.2.1.0 2,6 ]デカン環、アダマンタン環、テトラシクロ[4 .4.0.1 2,5 .1 7,10 ]ドデカン環等の炭素数5~12の飽和脂環を形成 ても良い。
 特に、R 25 に、又は、R 25 がR 23 若しくはR 24 と結合して、飽和脂環、具体的にはシクロペ ンタン環、シクロヘキサン環、ノルボルナン 環、トリシクロ[5.2.1.0 2,6 ]デカン環、アダマンタン環、テトラシクロ[4 .4.0.1 2,5 .1 7,10 ]ドデカン環等が含まれると、リソグラフィ 前後でのアルカリ現像液に対する溶解性の が大きく、微細パターンを描くのに好まし 。

 式(b2)中、oは式(b2)としての結合部位を表し R 26 及びR 27 はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~4の 炭化水素基を表し、具体的には、水素原子、 メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロ ル基、n-ブチル基、i-ブチル基等の炭素数1~4 アルキル基を挙げることができる。R 28 は炭素数1~12の炭化水素基を表し、具体的に メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロ ル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基 2-エチルヘキシル基、シクロペンチル基、 クロヘキシル基、ノルボルニル基、トリシ ロ[5.2.1.0 2,6 ]デカニル基、アダマンチル基、テトラシク [4.4.0.1 2,5 .1 7,10 ]ドデカニル基等の炭素数1~12の直鎖、分岐鎖 は環状のアルキル基を挙げることができる 尚、R 26 は、R 27 又はR 28 と結合して環を形成しても良く、R 26 がR 27 と結合した環の具体例として、シクロペンタ ン環、シクロヘキサン環、ノルボルナン環、 トリシクロ[5.2.1.0 2,6 ]デカン環、アダマンタン環、テトラシクロ[4 .4.0.1 2,5 .1 7,10 ]ドデカン環等を、又、R 26 がR 28 と結合した環の具体例として、ヒドロフラン 環、ヒドロピラン環等をそれぞれ挙げること ができる。

 以下に、単量体(B)の具体的な例を挙げる 、本発明を限定するものではない。単量体( B)の中から、1種類、若しくは異なる構造の複 数種類を選択して用いることができる。

(1-C)単量体(C)
 単量体(C)は、ラクトン構造を有する単量体 あり、基板や下地膜への密着性を高めたり リソグラフィー溶媒やアルカリ現像液への 解性を制御したりする働きをする繰り返し 位を与える。好ましい例として、式(C1)で表 される構造を挙げることができる。

式(C1)中、R 30 は水素原子、又は、フッ素原子が置換しても 良い炭素数1~4の炭化水素基を表し、具体的に は、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロ ル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル 、トリフルオロメチル基等の炭素数1~4のア キル基を挙げることができ、好ましくは、 素原子、メチル基、トリフルオロメチル基 ある。R 31 は式(c)で表されるラクトン構造含有基を表す 。

 {式(c)中、R 32 ~R 39 のいずれか1つは、R 31 としての結合部位を有する単結合を表し、残 りのR 32 ~R 39 は、水素原子、炭素数1~4の炭化水素基又はア ルコキシ基を表すか、
或いは、R 32 ~R 39 のいずれか1つは、R 31 としての結合部位を有し、他のR 32 ~R 39 のいずれか1つ又は2つと結合して炭素数5~15の 脂環を形成する、酸素原子又は硫黄原子を含 んでも良い炭素数3~12の炭化水素基を表し、 りのR 32 ~R 39 は、いずれか1つ又は2つが前記炭素数5~15の脂 環を形成するための単結合を表し、その他の R 32 ~R 39 は、水素原子、炭素数1~4の炭化水素基又はア ルコキシ基を表す。mは0又は1の整数を表す。 }
 脂環の具体例としては、シクロペンタン環 シクロヘキサン環、ノルボルナン環、7-oxa- ルボルナン環、7-thia-ノルボルナン環、テト ラシクロ[4.4.0.1 2,5 .1 7,10 ]ドデカン環等、好ましくは、ノルボルナン 、7-oxa-ノルボルナン環を挙げることができ 。炭素数1~4の炭化水素基の具体例としては メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロ ル基、n-ブチル基、i-ブチル基等を挙げるこ とができ、炭素数1~4のアルコキシ基の具体例 としては、メトキシ基、エトキシ基等を挙げ ることができる。
 また、mは0又は1の整数を表す。
 R 32 ~R 39 のいずれか1つがR 31 としての結合部位を有する単結合を表し、残 りのR 32 ~R 39 は、水素原子、又は、炭素数1~4の炭化水素基 若しくはアルコキシ基を表するラクトン構造 の特に好ましい例として、γ-ブチロラクトン 構造、δ-バレロラクトン構造を挙げることが できる。R 32 ~R 39 のいずれか1つがR 31 としての結合部位を有し、他のR 32 ~R 39 のいずれか1つ又は2つと結合して炭素数5~15の 脂環を形成する、酸素原子若しくは硫黄原子 を含んでも良い炭素数3~14の炭化水素基を表 、残りのR 32 ~R 39 は、水素原子、又は、炭素数1~4の炭化水素基 若しくはアルコキシ基を表するラクトン構造 の特に好ましい例として、1,3-シクロヘキサ カルボラクトン構造、2,6-ノルボルナンカル ラクトン構造、7-oxa-2,6-ノルボルナンカルボ ラクトン構造、4-oxa-トリシクロ[5.2.1.0 2,6 ]デカン-3-オン構造を挙げることができる。

 以下に、単量体(C)の具体的な例を挙げる 、本発明を限定するものではない。単量体( C)の中から、1種類、若しくは異なる構造の複 数種類を選択して用いることができる。

(1-D)単量体(D)
 単量体(D)は、環状エーテル構造を有する単 体であり、基板や下地膜への密着性を高め り、リソグラフィー溶媒やアルカリ現像液 の溶解性を制御したり、硬化剤と反応して 橋構造を形成したりする働きをする繰り返 単位を与える。好ましい例として、式(D1)で 表される構造を挙げることができる。

 式(D1)中、R 40 は水素原子、又は、フッ素原子が置換しても 良い炭素数1~4の炭化水素基を表し、具体的に は、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロ ル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル 、トリフルオロメチル基等の炭素数1~4のア キル基を挙げることができ、好ましくは、 素原子、メチル基、トリフルオロメチル基 ある。R 41 は3乃至6員環の環状エーテル構造を含む炭素 3~7の炭化水素基を表し、具体的には、エポ シ環、オキセタン環、テトラヒドロフラン 、テトラヒドロピラン環を有する炭化水素 であり、より具体的にはグリシジル基、オ セタニルメチル基、テトラヒドロフラニル チル基、テトラヒドロピラニルメチル基等 挙げることができ、特に好ましくはグリシ ル基である。

 以下に、単量体(D)の具体的な例を挙げる 、本発明を限定するものではない。単量体( D)の中から、1種類、若しくは異なる構造の複 数種類を選択して用いることができる。

(1-E)単量体(E)
 単量体(E)は、酸安定性溶解抑制構造を有す 単量体であり、リソグラフィー溶媒やアル リ現像液への溶解性、薄膜の屈折率や光線 過率等の光学特性等を制御する働きをする り返し単位を与える。好ましい例として、 (A1)、式(A2)及び式(A3)で表される単量体の水 基の水素原子と酸安定性溶解抑制基が置換 た、それぞれ単量体(E1)、単量体(E2)及び単 体(E3)を挙げることができる。

 単量体(E1)乃至(E3)の酸安定性溶解抑制基と ては、水酸基の水素原子と置換して酸素原 と結合する炭素が1~3級炭素である炭素数1~12 炭化水素基、又は、1-アダマンチル基が結 した構造を挙げることができ、具体的には メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロ ル基、n-ブチル基、i-ブチル基、シクロペン チル基、シクロヘキシル基、2-ノルボルニル 、2-イソボルニル基、8-トリシクロ[5.2.1.0 2,6 ]デカニル基、1-アダマンチル基、2-アダマン ル基、4-テトラシクロ[4.4.0.1 2,5 .1 7,10 ]ドデカニル基等の炭素数1~12の直鎖、分岐鎖 は環状のアルキル基を挙げることができる

 また、もう一つの好ましい例として、式( E4)で表される単量体(E4)を挙げることができ 。

 式(E4)中、R 60 は水素原子、又は、フッ素原子が置換しても 良い炭素数1~4の炭化水素基を表し、具体的に は、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロ ル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル 、トリフルオロメチル基等のフッ素原子が 換しても良い炭素数1~4のアルキル基を挙げ ことができ、好ましくは、水素原子、メチ 基、トリフルオロメチル基である。R 61 は水素原子、又は、R 62 と結合する単結合又は炭素数1~4の炭化水素基 であり、具体的には、水素原子、単結合、メ チレン基、エチレン基、イソプロピレン基等 を挙げることができる。R 62 は炭素数6~14の芳香族炭化水素基であり、具 的にはベンゼン環、ナフタレン環、アント セン環等を挙げることができる。

 以下に、単量体(E)の具体的な例を挙げる 、本発明を限定するものではない。単量体( E)の中から、1種類、又は異なる構造の複数種 類を選択して用いることができる。

(2)重合開始剤
 重合開始剤は、重合開始剤として公知のも を用いることができる。好ましくは、アゾ 合物、過酸化物等のラジカル重合開始剤で る。アゾ化合物の具体例として、2,2’-アゾ ビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2- チルブチロニトリル)、ジメチル-2,2’-アゾ スイソブチレート、1,1’-アゾビス(シクロヘ キサン-1-カルボニトリル)、4,4’-アゾビス(4- アノ吉草酸)等を挙げることができる。過酸 化物の具体例として、デカノイルパーオキサ イド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイ ルパーオキサイド、ビス(3,5,5-トリメチルヘ サノイル)パーオキサイド、コハク酸パーオ サイド、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルへ サノエート、tert-ブチルパーオキシピバレー ト、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2- チルヘキサノエート等を挙げることができ 。取り扱いの安全性から、アゾ化合物が特 好ましい。これらは単独若しくは混合して いることができる。重合開始剤の使用量は 目的とするMw、原料である単量体、重合開 剤、連鎖移動剤、及び溶媒の種類や組成比 重合温度や滴下方法等の製造条件に応じて 択することができる。

(3)連鎖移動剤
 連鎖移動剤は、連鎖移動剤として公知のも を、必要に応じて用いることができる。中 もチオール化合物が好ましく、公知のチオ ル化合物の中から幅広く選択することがで る。具体的には、t-ドデシルメルカプタン メルカプトエタノール、メルカプト酢酸、 ルカプトプロピオン酸等を挙げることがで る。連鎖移動剤の使用量は、目的とするMw、 原料である単量体、重合開始剤、連鎖移動剤 、及び溶媒の種類や組成比、重合温度や滴下 方法等の製造条件に応じて選択することがで きる。なお、連鎖移動剤は、単量体と混合し て滴下しても良く、重合開始剤と混合して滴 下しても良く、予め加熱する溶媒中に溶解し て使用しても良い。

(4)溶媒
 溶媒は、単量体、重合開始剤、連鎖移動剤 更には重合して得られた重合体を溶解させ 化合物であれば特に制限されず、単独又は2 種以上を混合して用いることができる。但し 、単量体よりも低沸点の化合物を少なくとも 1種類以上使用することが好ましい。また、 合圧力における初留点が重合温度以下とな ように、溶媒成分を単独又は組み合わせて いると、重合反応による発熱を溶媒成分の 化潜熱で吸収でき、重合温度を安定に維持 きる。このため、重合温度の製造ロット間 を小さくでき、その結果、Mwの製造ロット間 差を小さくできるため、特に好ましい。

 溶媒に用いることができる化合物の具体 としては、アセトン、メチルエチルケトン メチルイソアミルケトン、メチルアミルケ ン、シクロヘキサノン等のケトン類;メタノ ール、エタノール、イソプロパノール等のア ルコール類;エチレングリコールモノメチル ーテル、エチレングリコールモノエチルエ テル、エチレングリコールモノブチルエー ル、プロピレングリコールモノメチルエー ル、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール等のエ ーテルアルコール類;前記エーテルアルコー 類と酢酸等とのエステル化合物であるエー ルエステル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢 ブチル、プロピオン酸メチル、3-メトキシ ロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸 エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ-ブチロ ラクトン等のエステル類;テトラヒドロフラ 、1,4-ジオキサン、エチレングリコールジメ ルエーテル、ジエチレングリコールジメチ エーテル等のエーテル類;トルエン、キシレ ン等の芳香族炭化水素類;N,N-ジメチルホルム ミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;ジ チルスルホキシド、アセトニトリル等を挙 ることができる。

(5)重合体の構造
 本発明で得られる重合体(以下、重合体には 、共重合体を含む)の、各繰り返し単位の組 は、半導体リソグラフィーに使用する薄膜 目的によって異なる。例えば、化学増幅ポ 型レジスト膜に用いる場合、繰り返し単位(A )と繰り返し単位(C)を合わせて20~95モル%、好 しくは30~90モル%、より好ましくは40~85モル% 繰り返し単位(B)が5~80モル%、好ましくは10~70 ル%、より好ましくは15~60モル%、繰り返し単 位(E)が0~50モル%、好ましくは0~40モル%、より ましくは0~30モル%の範囲である。ネガ型レジ スト膜に用いる場合、繰り返し単位(A)と繰り 返し単位(D)を合わせて50~100モル%、好ましく 60~100モル%、より好ましくは70~100モル%、繰り 返し単位(C)が0~50モル%、好ましくは0~40モル% より好ましくは0~30モル%、繰り返し単位(E)が 0~50モル%、好ましくは0~40モル%、より好まし は0~30モル%の範囲である。
 反射防止膜や液浸用トップコート膜に用い 場合、繰り返し単位(A)と繰り返し単位(D)を わせて5~80モル%、好ましくは10~70モル%、よ 好ましくは15~60モル%、繰り返し単位(B)が0~50 ル%、好ましくは0~40モル%、より好ましくは0 ~30モル%、繰り返し単位(C)が0~50モル%、好まし くは0~40モル%、より好ましくは0~30モル%、繰 返し単位(E)が0~95モル%、好ましくは10~90モル% 、より好ましくは20~85モル%の範囲である。

 本発明で得られる重合体の末端構造は、 合開始剤や連鎖移動剤として用いた化合物 来の構造を含む。例えばラジカル重合の場 、ラジカル重合開始剤から発生するラジカ 構造を重合開始末端として含む。連鎖移動 を用いる場合は、連鎖移動剤から発生する ジカル構造を重合開始末端として含む。溶 や単量体等に連鎖移動する場合は、溶媒や 量体から発生するラジカル構造を重合開始 端として含む。停止反応が再結合停止の場 は両末端に重合開始末端を含むことができ 不均化停止の場合は片方に重合開始末端を もう片方に単量体由来の末端構造を含むこ ができる。重合停止剤を用いる場合は、一 の末端に重合開始末端を、もう片方の末端 重合停止剤由来の末端構造を含むことがで る。これらの開始反応及び停止反応は、一 の重合反応の中で複数発生する場合があり その場合、複数の末端構造を有する重合体 混合物となる。

 本発明で得られる重合体の質量平均分子 (Mw)は、高すぎるとレジスト溶剤やアルカリ 現像液への溶解性が低くなり、一方、低すぎ るとレジストの塗膜性能が悪くなることから 、1,000~50,000の範囲内であることが好ましく、 1,500~30,000の範囲内であることがより好ましく 、2,000~20,000の範囲内であることが特に好まし い。又、分子量分布(Mw/Mn)が1.0~5.0の範囲内で ることが好ましく、1.0~3.0の範囲内であるこ とがより好ましく、1.2~2.5の範囲内であるこ が特に好ましい。

(6)重合方法
 本発明の重合方法は、単量体と重合開始剤 更に必要に応じて連鎖移動剤を溶媒中で加 する、いわゆる溶液重合である。特に好ま くは、ラジカル重合開始剤を用いるラジカ 溶液重合である。単量体と、重合開始剤の 給方法としては、(P1):単量体を重合開始剤 共に、必要に応じて溶媒に溶解し、加熱し 溶媒中に滴下して重合させる混合滴下法、(P 2):単量体と重合開始剤をそれぞれ必要に応じ て溶媒に溶解し、加熱した溶媒中に別々に滴 下して重合させるいわゆる独立滴下法、(P3): 量体を重合開始剤と共に溶媒に溶解し、そ まま加熱して重合させる一括昇温法等を選 できる。しかし、(P3)一括昇温法は、昇温速 度を製造ロット間で一定にすることが難しい ため、昇温速度のばらつきによるMwのロット 差を抑えることが難しい。(P1)混合滴下法、 及び(P2)独立滴下法は、昇温工程が無く、重 温度のばらつきによるMwのロット間差が小さ いため好ましい。

 (P1)混合滴下法及び(P2)独立滴下法におい 、加熱した溶媒に、予め単量体の一部を含 せても良い。また、単量体組成や重合開始 濃度、連鎖移動剤濃度の異なる複数の液を 下して、例えば、滴下時間と共に滴下する 量体の組成や、単量体、重合開始剤及び連 移動剤の組成比等を変化させても良い。

 (P1)混合滴下法は重合系内に滴下する前の 滴下液貯槽内において、未反応単量体が高濃 度の状態で低濃度のラジカルと接触する機会 があるため、パターン欠陥発生原因のひとつ である分子量10万以上の高分子量体(ハイポリ マー)が生成しやすい傾向がある。これに比 て、(P2)独立滴下法は、滴下液貯槽で重合開 剤と共存しないこと、重合系内に滴下した も未反応単量体濃度が低い状態を保つこと ら、ハイポリマーが生成しない。従って、 発明の重合方法としては(P2)独立滴下法が特 に好ましい。

 (P2)独立滴下法において、単量体溶液及び 開始剤溶液は、重合槽の直前で予備混合する ことも可能であるが、滴下されるまでの間に ハイポリマーが生成する可能性があるため、 別々の貯槽から各々独立して滴下することが 特に好ましい。単量体溶液と開始剤溶液の供 給速度は、所望の分子量分布を有する重合体 が得られるように、それぞれ独立して設定す ることができる。二液の供給速度をどちらか 一方あるいは両方とも変化させることで、狭 分散から多分散まで広範な分子量分布を持つ 重合体を再現性良く得ることも可能である。 例えば、反応前期の開始剤溶液の供給量を減 らし、反応後期に開始剤溶液の供給量を増加 させた場合、ラジカル濃度が低い反応前期に 比較的分子量の高い重合体が生成するので、 多分散の重合体を得ることができる。各供給 速度は無段階もしくは段階的に変化させるこ とができる。

 (P1)混合滴下法及び(P2)独立滴下法におけ 、反応槽内に初期に張り込む重合溶媒(以下 初期張り溶媒と言うことがある)の量は、攪 拌が可能な最低量以上であればよいが、必要 以上に多いと、供給できる単量体溶液量が少 なくなり、生産効率が低下するため好ましく ない。通常は、最終仕込み量(即ち、初期張 溶媒と、滴下する単量体溶液及び開始剤溶 の総量)に対して、例えば容量比で1/30以上、 好ましくは1/20~1/2、特に好ましくは1/10~1/3の 囲から選択する。なお、初期張り溶媒に単 体の一部を予め混合しても良い。

 (P1)混合滴下法及び(P2)独立滴下法におい 、重合系内に低温の単量体溶液を滴下する 、局所的に低温で、単量体濃度が高く、ラ カル濃度が低い環境が発生し、ハイポリマ が生成する可能性があるため好ましくない このため、単量体溶液は予備加熱して供給 ることが好ましい。

 単量体溶液を予備加熱する方法としては 単量体溶液を貯槽内若しくは重合系内に供 する直前で熱交換器等により加温する方法 挙げられる。予備加熱の温度は25℃以上が ましく、30℃以上がより好ましい。但し、単 量体溶液を貯槽内で予備加熱する場合は、加 熱状態で長時間保持することになるため、温 度が高いとハイポリマーが生成する可能性が ある。このため、貯槽内での予備加熱する場 合は、好ましくは50℃以下、より好ましくは4 0℃以下とする。なお、開始剤溶液も予備加 することが可能であるが、温度が高すぎる 重合開始剤が供給前に分解してしまうので 通常、40℃以下、好ましくは30℃以下、より ましくは25℃以下とする。

 単量体溶液の滴下時間は、短時間である 分子量分布が広くなりやすいことや、一度 大量の溶液が滴下されるため重合液の温度 下が起こることから好ましくない。逆に、 時間であると重合体に必要以上の熱履歴が かること、生産性が低下することから好ま くない。従って、通常0.5~24時間、好ましく 1~12時間、特に好ましくは2時間から8時間の 囲から選択する。又、二液の供給開始順序 特に制限はないが、ハイポリマーの生成を けるためには、二液同時又は開始剤溶液を に供給することが好ましく、重合開始剤が 合系内で分解してラジカルが発生するのに 定の時間が必要であるため、開始剤溶液を 量体溶液よりも先に供給することが特に好 しい。

 滴下終了後は、一定時間温度を維持する 、若しくは更に昇温する等して熟成を行い 残存する未反応単量体を反応させることが ましい。熟成時間は長すぎると時間当たり 生産効率が低下すること、重合体に必要以 の熱履歴がかかることから好ましくない。 って、通常12時間以内、好ましくは6時間以 、特に好ましくは1~4時間の範囲から選択す 。

 滴下液中の単量体、及び重合開始剤の濃 は、生産性の面で言えば高い方が好ましい 特に重合性単量体若しくは重合開始剤が液 の場合は、溶媒に溶解することなく、その ま供給することも可能であるが、重合性単 体若しくは重合開始剤が粘調な液体や、固 である場合は、溶媒に溶解して用いる必要 ある。重合性単量体若しくは重合開始剤を 媒に溶解して用いる場合、濃度が高すぎる 溶液粘度が高くなって操作性が悪い。また 重合性単量体又は重合開始剤が固体である 合は析出したり、重合系内での拡散に時間 かかったりしてハイポリマーが生成しやす 場合がある。従って、供給操作に問題のな 粘度範囲で、各単量体及び重合開始剤が十 に溶解し、且つ、供給中に析出せず、重合 内で拡散し易い濃度を選択することが好ま い。具体的な濃度は、各溶液の溶質と溶媒 組合せ等により異なるが、通常、全単量体 合計濃度及び重合開始剤濃度が、例えば各 5~60質量%、好ましくは10~50質量%の範囲とな ように調製する。

 重合温度は、溶媒、単量体、連鎖移動剤 の沸点、重合開始剤の半減期温度等によっ 適宜選択することができる。低温では重合 進みにくいため生産性に問題があり、又、 要以上に高温にすると、単量体及び重合体 安定性の点で問題がある。従って、好まし は40~120℃、特に好ましくは60~100℃の範囲を 択する。また、重合圧力における溶媒成分 初留点以上となる温度を設定すると、重合 応による発熱を溶媒成分の気化潜熱で吸収 き、重合温度を安定に維持できる。このた 、重合温度の製造ロット間差を小さくでき その結果、Mwの製造ロット間差を小さくで るため、特に好ましい。

 重合圧力は、適宜設定することができる 但し、重合圧力が変化すると、圧縮や膨張 溶媒等の蒸発量の変化等によって重合温度 変化してしまう。この結果、得られる重合 のMwが変化してしまうため、重合圧力は一 に保つ必要がある。ラジカル重合開始剤を いる場合、ラジカルが発生する際に、アゾ の場合は窒素が、過酸化物径の場合は酸素 発生する。これらの系内で発生する気体を 去しないと反応中に圧力が上昇してしまう いう問題がある。これらの系内で発生した 体を除去しやすく、且つ圧力の制御が容易 あることから、重合系は、液封部以外は開 系とし、重合圧力を大気圧近傍とすること 好ましい。

 本発明は、後述する液封高の制御によっ 、特に大気が低気圧の状態の時に、重合圧 を補正することで、重合温度の振れ幅を抑 ることができ、得られる重合体の製造ロッ 間差を抑制できる。重合圧力は、工程(P)を 施する場所における年間平均大気圧以上に 定することが好ましい。例えば、気象庁の 測データによると、2005年11月~2006年10月まで の1年間の千葉県千葉市の気圧は、平均1011hPa 最高1030hPa、最低987hPa、平均プラス3σが1031hP a、平均マイナス3σが990hPaである。平均気圧 比較すると、最高気圧がプラス1.9%、最低気 がマイナス2.3%、3σが2.0%である。液封部を けず、開放系として大気圧と均圧で重合す 場合、重合圧力の振れ幅は、これと同等に る。重合圧力を、液封高の制御によって、 低重合圧力を平均気圧に設定した場合、重 圧力の振れ幅を少なくとも1/2以下に抑える とができる。

(7)液封部(W)
 本発明では、重合槽と大気との間に液封部( W)を設け、重合槽側(以下、「一次側」という ことがある。)と大気側(以下、「二次側」と うことがある。)の液面レベルの差(以下、 ヘッド差」と言うことがある。)を調節し、 次側の気体に対してヘッド差による差圧を えることによって、工程(P)の重合圧力を調 する。一次側の気体としては、重合系の気 や原料中の溶存気体、重合開始剤が分解し 発生する気体等があり、重合温度に加熱す ことによって体積が増加する。必要に応じ 、一次側に窒素や空気等の調圧用気体を導 することもできる。これらの一次側気体に してヘッド差による差圧を加え、余剰の気 がある場合は、二次側に排出することがで る。

 液封部(W)は、重合槽から大気に通じるま の間のいずれかに設ける必要がある。具体 には、重合槽で発生した蒸気を凝縮器に導 ための蒸気ライン(V1)、蒸気を冷却して液体 に戻すための凝縮器(V2)、凝縮した液体を気 と分離するための気液分離槽(V3)、凝縮した 体を重合槽に戻すための還流ライン(V4)、及 び液体から分離した気体を大気に導くための 排気ライン(V5)から選ばれる1以上に設けるこ ができる。好ましくは、凝縮器(V2)、気液分 離槽(V3)及び排気ライン(V5)から選ばれる1以上 であり、特に好ましくは排気ライン(V5)であ 。なお、凝縮器(V2)と気液分離槽(V3)、又、蒸 発ライン(V1)と還流ライン(V4)は兼ねることが きる。

 液封部(W)を蒸気ライン(V1)、凝縮器(V2)、 液分離槽(V3)、又は還流ライン(V4)のいずれか に設ける場合は、液封液を重合槽で一旦気化 した後に凝縮した重合溶媒とすることが好ま しい。液封部(W)を排気ライン(V5)に設ける場 は、水、有機溶媒、流動パラフィンやシリ ーンオイル等の液体を用いることができ、 全面から水を用いることが特に好ましい。

 液封部(W)は、気体導入口(W1)と気体排出口 (W2)を有し、気体導入口(W1)が液封液面より下 位置することが可能な構造を有する容器(以 下、「液封槽(W0)」と言うことがある。)内で 成できる。液封槽(W0)は、更に液封液導入口 (W3)を、気体導入口(W1)と兼ねるか又は独立し 設けることができ、加えて、液封液排出口( W4)を設けることができる。また、液封槽(W0) 、凝縮器(V2)、又は気液分離槽(V3)と兼ねるこ とができる。

 ヘッド差は、液封槽(W0)に液封液を導入し て形成した液封部(W0)に一次側の気体を導入 る操作によって生じさせることができ、液 液導入口(W1)の高さ及び液封液量のいずれか は両方を変更する操作によって、調節する とができる。機構が簡便であること、制御 容易であることから、液封液量によって調 する方法が好ましい。液封液量は、液封液 入口(W3)からの液封液の導入、及び、液封液 排出口(W4)からの液封液の排出のいずれか又 両方によって調節することができる。

 液封部(W)は、大気圧が目標とする重合圧 より低く、加圧する必要がある場合に、そ 分のヘッド差を確保する。必要なヘッド差 、以下の計算式に基づいて決定することが きる。

H L =(P P -P A )×10/G L   …式(1)

 ここで、式(1)中、H L はヘッド差(mm)を、P P は目標とする重合圧力(hPa)を、P A は大気圧(hPa)を、G L は液封液の比重(g/ml)を表す。例えば、目標と する重合圧力が1013hPa、大気圧が1000hPa、液封 が水(比重=1g/ml)の場合、液封高は130mmである 。なお、大気圧が、目標とする重合圧力より も高い場合は、気体導入口を高い位置に変更 したり、液封液量を減らしたりして液封を解 除し、ヘッド差をゼロとすることが好ましい 。

 ヘッド差の調節方法として、特に好まし は、液封槽(W0)にヘッド差測定用の液面レベ ル計を備え付け、大気圧センサーの測定値と 連動させ、液封液導入弁又は液封液導入用ポ ンプと、液封液排出弁を作動させて、自動制 御とする。

2.工程(Q)
 工程(Q)は、工程(P)と同時に、若しくは工程( P)の後、重合体の極性基を保護したり、脱保 したりして、重合体の極性基を別の極性基 変換する工程である。例えば、重合体の極 基(A)若しくは極性基(B)の一部若しくは全部 酸解離性溶解抑制基で保護して極性基(C)を 入する工程(Q1)や、重合体の極性基(C)の一部 若しくは全部を脱保護して極性基(A)若しくは 極性基(B)を導入する工程(Q2)等を挙げること できる。

 工程(Q1)においては、アルカリ可溶性基を 有する重合体を、溶媒に溶解した状態で、触 媒存在下、エノールエーテルやハロゲン化ア ルキルエーテル等を反応させて、酸解離性溶 解抑制基を導入する。工程(Q2)においては、 解離性溶解抑制基を有する重合体を、溶媒 溶解した状態で、触媒存在下、加熱して酸 離性溶解抑制基を解離させ、アルカリ可溶 基を導入する。

 工程(Q1)及び工程(Q2)に用いる触媒は、上 反応を達成できる公知の触媒であれば特に 限されないが、好ましくは、塩酸、硫酸、p- トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、強 酸性イオン交換樹脂等の水中25℃でのpKaが1以 下の強酸である。溶媒は、工程(P)で例示した 溶媒が好ましい。但し、工程(Q1)においては 水やアルコールなどの水酸基を有する溶媒 、エノールエーテルやハロゲン化アルキル ーテルと反応してしまうため、極力避ける 要がある。

3.工程(R)
 工程(R)は、工程(P)を経て得られた重合体に まれる、単量体や重合開始剤等の未反応物 オリゴマー等の低分子量成分を、溶媒に抽 して除去する工程である。その方法として 例えば、(R1):貧溶媒を加えて重合体を沈殿 せた後、溶媒相を分離する方法、(R1a):(R1)に いて貧溶媒を加え、重合体を洗浄した後、 媒相を分離する方法、(R1b):(R1)に続いて良溶 媒を加え、重合体を再溶解させ、更に貧溶媒 を加えて重合体を再沈殿させた後、溶媒相を 分離する方法、(R2):貧溶媒を加えて貧溶媒相 良溶媒相の二相を形成し、貧溶媒相を分離 る方法、(R2a):(R2)に続いて貧溶媒を加え、良 溶媒相を洗浄した後、貧溶媒相を分離する方 法等が挙げられる。尚、(R1a)、(R1b)、(R2a)は繰 り返しても良いし、それぞれ組み合わせても 良い。

 貧溶媒は、重合体が溶解しにくい溶媒で れば特に制限されないが、例えば、水やメ ノール、イソプロパノール等のアルコール 、ヘキサン、ヘプタン等の飽和炭化水素類 を用いることができる。又、良溶媒は、重 体が溶解しやすい溶媒であれば特に制限さ ないが、重合溶媒として例示した化合物を げることができる。これらの溶媒は、単独 しくは2種以上の混合溶媒として用いること ができる。製造工程の管理上、重合溶媒と同 じものが好ましい。

4.工程(S)
 工程(S)は、重合体溶液に含まれる低沸点不 物を除去したり、溶媒を次工程若しくはリ グラフィーに適した溶媒に置換したりする 程である。重合体溶液を、減圧下で加熱し がら濃縮し、必要に応じて溶媒を追加して に濃縮する工程(S1)、重合体溶液を、減圧下 で加熱しながら、必要に応じて濃縮した後、 次工程若しくはリソグラフィー組成物として 好ましい溶媒を供給しながら初期の溶媒と供 給した溶媒を留去させ、必要に応じて更に濃 縮して、溶媒を次工程若しくはリソグラフィ ー組成物として好ましい溶媒に置換する工程 (S2)等によって行うことができる。

 この工程(S)は、例えばリソグラフィー組 物が工程(P)や工程(R)を経て得られた溶媒と なったり、リソグラフィー組成物に好まし ない不純物が存在したりする場合に実施す もので、リソグラフィー組成物を調合する 程(U)に先立ち、実施することが好ましい。

 工程(S)を経ず、減圧乾燥によって一旦固 として析出させた後、別の溶媒に溶解する ともできるが、この操作では、固体中に不 物や溶媒が残留しやすいこと、又、重合体 対して必要以上の熱履歴を与える必要があ ことから好ましくない。

 工程(S)の温度は、重合体が変質しない温 であれば特に制限されないが、通常100℃以 が好ましく、80℃以下がより好ましく、更 好ましくは70℃以下、特に好ましくは60℃以 である。溶媒を置換する際に、後から供給 る溶媒の量は、少なすぎると低沸点化合物 十分に除去できず、多すぎると置換に時間 かかり、重合体に必要以上に熱履歴を与え ため好ましくない。通常、仕上がり溶液の 媒として必要な量の1.05倍~10倍、好ましくは 1.1倍~5倍、特に好ましくは1.2倍~3倍の範囲か 選択できる。

5.工程(T)
 工程(T)は、半導体リソグラフィーとして好 しくない金属分を低減する工程である。金 は、原料や副資材、機器、その他環境から 混入することがあり、この量が半導体形成 おける許容値を超えることがあるので、必 に応じて実施する。この工程(T)は、工程(R) おいて、極性溶媒を貧溶媒とする場合、金 分を低減できる場合があり、この場合は工 (R)と兼ねることができる。それ以外の方法 して、カチオン交換樹脂と接触させる工程( T1)、カチオン交換樹脂と、アニオン交換樹脂 若しくは酸吸着樹脂の混合樹脂と接触させる 工程(T2)、ポリアミドポリアミンエピクロロ ドリンカチオン樹脂などの正のゼータ電位 有する物質を含むフィルターに通液させる 程(T3)等を選択することができる。これらの 程は組み合わせて実施することができる。 程(T3)で用いるフィルターとしては、キュノ 社製ゼータプラス40QSH、ゼータプラス020GN、 レクトロポアIIEF等が例示できる。

6.工程(U)
 工程(U)は、パターン欠陥の原因となるため ましくないハイポリマー等のマイクロゲル 、有機溶媒に溶解した重合体をフィルター 通液させて低減する工程である。フィルタ の濾過精度は、0.2μm以下、好ましくは0.1μm 下、特に好ましくは0.05μm以下であることが 好ましい。フィルターの材質は、ポリエチレ ン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポ リアミド、ポリエステル、ポリアクリロニト リルなどの極性基含有樹脂、フッ化ポリエチ レンなどのフッソ含有樹脂を挙げることがで き、特に好ましくはポリアミドである。ポリ アミド系フィルターの例としては、日本ポー ル製のウルチプリーツP-ナイロン66、ウルチ アN66、キュノ製のフォトシールド、エレク ロポアIIEFなどを挙げることができる。ポリ チレン系フィルターとしては、日本インテ リス製のマイクロガードプラスHC10、オプチ マイザーD等を挙げることができる。これら フィルターはそれぞれ単独で用いても2種類 上を組み合わせて用いても良い。

7.リソグラフィー組成物
 上記方法で得られた重合体は、乾燥固体を1 種又は2種以上のリソグラフィー溶媒に溶解 るか、又は、リソグラフィー溶媒に溶解し 重合体溶液を必要に応じて同種又は異種の ソグラフィー溶媒で希釈すると共に、目的 するリソグラフィー組成物に必要な添加剤 添加することによって、リソグラフィー組 物に仕上げることができる。

 リソグラフィー溶媒は、リソグラフィー 成物を構成する各成分を溶解し、均一な溶 とすることができるものであればよく、リ グラフィー溶媒として公知のものの中から 意のものを1種又は2種以上の混合溶媒とし 用いることができる。通常、工程(P)の反応 媒、工程(R)の良溶媒として例示された溶媒 中から、重合体以外の組成物の溶解性、粘 、沸点、リソグラフィーに用いられる放射 の吸収等を考慮して選択することができる 具体的には、メチルアミルケトン、シクロ キサノン、乳酸エチル(EL)、γ-ブチロラクト 、PGMEA等を挙げることができ、中でも、PGMEA が好ましく、PGMEAと他の極性溶剤との混合溶 は特に好ましい。レジスト組成物中に含ま るレジスト溶媒の量は特に制限されないが 通常、基板等に塗布可能な濃度であり、膜 に応じて適当な粘度となるように適宜設定 れる。一般的にはレジスト組成物の固形分 度が2~20質量%、好ましくは5~15質量%の範囲内 となるように用いられる。

 リソグラフィー組成物に仕上げるための 加剤として、化学増幅型レジスト組成物の を以下に記す。化学増幅型レジスト組成物 場合、感放射線性酸発生剤(X){以下、成分(X) という}、放射線に暴露されない部分への酸 拡散を防止するための含窒素有機化合物等 酸拡散抑制剤(Y){以下、成分(Y)という}、必要 に応じてその他添加剤(Z){以下、成分(Z)とい }を添加して仕上げることができる。

 成分(X)は、これまで化学増幅型レジスト の感放射線性酸発生剤として提案されてい ものから適宜選択して用いることができる このような例として、ヨードニウム塩やス ホニウム塩等のオニウム塩、オキシムスル ネート類、ビスアルキル又はビスアリール ルホニルジアゾメタン類等のジアゾメタン 、ニトロベンジルスルホネート類、イミノ ルホネート類、ジスルホン類等を挙げるこ ができ、中でも、フッ素化アルキルスルホ 酸イオンをアニオンとするオニウム塩が特 好ましい。これらは単独で用いても良いし 2種以上を組み合わせて用いても良い。成分 (X)は、重合体100質量部に対して通常0.5~30質量 部、好ましくは1~10質量部の範囲で用いられ 。

 成分(Y)は、これまで化学増幅型レジスト の酸拡散抑制剤として提案されているもの ら適宜選択することができる。このような として、含窒素有機化合物を挙げることが き、第一級~第三級のアルキルアミン若しく はヒドロキシアルキルアミンが好ましい。特 に第三級アルキルアミン、第三級ヒドロキシ アルキルアミンが好ましく、中でもトリエタ ノールアミン、トリイソプロパノールアミン が特に好ましい。これらは単独で用いても良 いし、2種以上を組み合わせて用いても良い 成分(Y)は、重合体100重量部に対して通常0.01~ 5.0質量部の範囲で用いられる。

 その他の添加剤{成分(Z)}としては、酸発 剤の感度劣化防止やレジストパターンの形 、引き置き安定性等の向上を目的とした有 カルボン酸類やリンのオキソ酸類、レジス 膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗 性を向上させるための界面活性剤、溶解抑 剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーショ 防止剤、染料等、レジスト用添加剤として 用されている化合物を必要に応じて適宜添 することができる。有機カルボン酸の例と ては、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コ ク酸、安息香酸、サリチル酸等を挙げるこ ができ、これらは単独若しくは2種以上を混 して用いることができる。有機カルボン酸 、重合体100質量部に対して0.01~5.0質量部の 囲で用いられる。

 次に、実施例を挙げて本発明を更に説明 るが、本発明はこれら実施例に限定される のではない。なお、下記の例においては使 される略号は以下の意味を有する。

単量体
単量体O:3-ヒドロキシ-1-アダマンチルメタク レート…前記(A203)
単量体M:2-メチル-2-アダマンチルメタクリレ ト…前記(B3107)
単量体N:5-メタクリロイルオキシ-2,6-ノルボル ナンカルボラクトン…前記(C151)

繰り返し単位
O: 単量体Oから誘導される繰り返し単位
M: 単量体Mから誘導される繰り返し単位
N: 単量体Nから誘導される繰り返し単位

重合開始剤
MAIB:ジメチル-2,2’-アゾビスイソブチレート

溶媒
MEK:  メチルエチルケトン
THF:  テトラヒドロフラン
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテ ルアセテート
EL:   乳酸エチル

(1)重合体のMw、Mw/Mnの測定(GPC)
GPCにより測定した。分析条件は以下の通りで ある。
装 置: 東ソー製GPC8220
検出器: 示差屈折率(RI)検出器
カラム: 昭和電工製KF-804L(×3本)
試 料: 重合体約0.02gを、テトラヒドロフラ 約1mlに溶解した。GPCへの注入量は60μlとした 。

(2)重合体の繰り返し単位組成及び末端組成の 測定( 13 C-NMR)
装 置: Bruker製AV400
試 料: 重合体の粉体約1gとCr(acac) 2  0.1gを、MEK0.5g、重アセトン1.5gに溶解した。
測 定: 試料を内径10mmガラス製チューブに入 れ、温度40℃、スキャン回数10000回の条件で 定した。

実施例1
 千葉県市原市五井南海岸に、熱媒供給用外 缶、攪拌機、単量体滴下槽、開始剤滴下槽 蒸気ライン(V1)、凝縮器(V2)、気液分離槽(V3) 還流ライン(V4)、排気ライン(V5)を備え、排 ライン(V5)に調圧用窒素ガス導入管と液封槽( W0)を備えた内容量200Lのグラスライニング製 合槽を準備した。液封槽(W0)は、気体導入口( W1)、気体排出口(W2)、液封液導入口(W3)及び液 液排出口(W4)に加え、大気圧センサー、液面 レベル計、液封液導入用ポンプ、液封液排出 弁を備え、大気圧センサーと液面レベル計か らの信号に応じて液封液導入用ポンプ及び液 封液排出弁を作動させ、必要量の液封液を液 封液貯槽からくみ上げ、過剰量を液封液貯槽 に戻すことで必要なヘッド差を確保する仕組 みとした。液封液には水を用いた。

 この重合槽を窒素でパージし、窒素雰囲 に保った状態で、MEK 30.0kgを仕込み、更に 窒素導入管から微量の窒素を導入して空気 流入を遮断した。液封器に液封液を導入し 上記システムによって液封高を制御し、重 槽内を1013hPa以上に保った。

 外套缶と攪拌機を備えた内容量200Lのグラ スライニング製単量体滴下槽にMEK 70.0kg、単 体N 17.7kg、単量体M 18.8kg、単量体O 8.5kgを 込んで槽内を窒素雰囲気とし、外套缶に30±2 ℃の温水を流しながら撹拌して溶解させ、均 一な「単量体溶液」を調製した。攪拌機を備 えた内容量20Lのポリエチレン製開始剤滴下槽 に、MEK 5.0kg、MAIB 2.5kgを仕込み、容器ごと30 2℃に保った温水槽に漬けながら撹拌して溶 させ、均一な「開始剤溶液」を調製した。

 重合槽の外套缶に、83.0±0.5℃に制御した 水を流しながら撹拌して、重合槽内のMEKを7 9.5℃に昇温し、1013hPa以上に保った。単量体 解槽の外套缶に30±1℃の温水を流し続け、単 量体溶液の温度を滴下終了まで30±1℃に保っ 。開始剤溶解槽は温水槽から取り出して、 量器に備え付け、滴下終了まで約23℃の室 を保った。この状態を維持しながら、単量 溶液と開始剤溶液を、それぞれ別々に、一 速度で4時間かけて重合槽に滴下した。滴下 は、重合槽内を撹拌しながら、外套缶には8 3.0±0.5℃に制御した温水を流し続けた。滴下 了後、更に、重合槽内を撹拌しながら、外 缶には83.0±0.5℃に制御した温水を流し続け 2時間熟成した。重合圧力は、液封による圧 力調整システムにより、熟成終了まで1013hPa 上に保った。熟成終了後、外套缶に約20℃の 冷却水を流して冷却し、室温まで冷却した。

 外套缶、攪拌機、ポリエステル製のろ布を ったろ過床、ろ過床下部にバルブ付き抜き し管を備え付けた精製ろ過槽に、15℃のメ ノール750kgを投入し、外套缶に15±1℃のブラ ンを流しながら撹拌し、その状態を維持し 。ここに、重合液を滴下して重合体を析出 せ、更に30分間撹拌した後、撹拌を継続し がら、ろ過床の下部の液抜き出しバルブを 放し、ろ液を排出してウエットケーキを得 。ろ過床下部の液抜き出しバルブを閉じ、 製ろ過槽に15℃のメタノール750kgを投入し、1 5℃に保ちながら30分間撹拌した後、撹拌を継 続しながら、ろ過床下部の液抜き出しバルブ を開放し、ろ液を排出してウエットケーキを 得る操作を2回実施した。得られたウエット ーキから数g抜き取り、60℃以下で1時間減圧 燥して乾燥粉体とし、 13 C-NMRを用いて、重合体の繰り返し単位組成比 求めた。

 残りのウエットケーキは、ろ過床下部の 抜き出しバルブを閉じ、MEK 200kgを投入して 溶解した後、液抜き出しバルブを開放して精 製ろ過槽から抜き出した。この溶液を、外套 缶と攪拌機、凝縮器を備え付けた溶媒置換槽 に投入し、撹拌しながら減圧し、外套缶に55 1℃の温水を流して加熱した。MEK等の軽質分 一部留去させた後、PGMEAを投入しながら軽 分とPGMEAの一部を留去させ、重合体を25質量% 含むPGMEA溶液を得た。得られたPGMEA溶液をGPC 分析したところ、重合体のMwは8120、Mw/Mnは1.6 3であった。

 同様にして、合計10バッチを生産し、結 を表1にまとめた。なお、重合体のMwは、GPC 定の日間誤差を避けるため、製造バッチ毎 続けて1バッチ目の重合体も測定し、その差 比較した。

比較例
 液封部(W)を有する圧力調整システムによる 力制御を行わず、大気圧と均圧にして重合 た他は実施例1と同様にして、合計10バッチ 産した。結果を表2にまとめた。
なお、重合体のMwは、GPC測定の日間誤差を避 るため、製造バッチ毎に続けて、実施例1の 1バッチ目の重合体も測定し、その差で比較 た。