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Title:
PROCESS FOR PRODUCING PRODUCT OF ASYMMETRIC-CATALYST MICHAEL REACTION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/044803
Kind Code:
A1
Abstract:
A process for producing a product of the asymmetric-catalyst Michael reaction. By the process, an α,ß-unsaturated aldehyde can be reacted with a nitroalkane such as nitromethane to obtain the corresponding Michael addition product in a high asymmetric yield. In the asymmetric-catalyst Michael reaction between an α,ß-unsaturated aldehyde and a nitroalkane, use is made of an asymmetric catalyst represented by the following general formula (3) or the enantiomers thereof. [In the formula, R4 and R5 each independently represents optionally substituted aryl, heteroaryl, cycloalkyl, heterocycloalkyl, cycloalkenyl, heterocycloalkenyl, alkyl, alkenyl, or alkynyl; R6 represents hydrogen, silyl, or alkyl; R7 represents a hydroxy-protecting group; and n is 0 or 1.]

Inventors:
HAYASHI YUJIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/067923
Publication Date:
April 09, 2009
Filing Date:
October 02, 2008
Export Citation:
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Assignee:
UNIV TOKYO SCI EDUC FOUND (JP)
HAYASHI YUJIRO (JP)
International Classes:
C07C201/12; C07C205/44; C07C227/04; C07C229/08; C07C229/34; A61K31/197; C07B53/00; C07B61/00
Foreign References:
JP2006151839A2006-06-15
JPH11506098A1999-06-02
Other References:
YUJIRO HAYASHI ET AL.: "86th Annual Meeting on Chemical Society of Japan in Spring-Koen Yokoshu II", 13 March 2006, pages: 1069
COREY E.J. ET AL., ORGANIC LETTERS, vol. 2, 2000, pages 4257 - 4259
OKINO TOMOTAKA ET AL., JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY, vol. 127, 2005, pages 119 - 125
BURK J. MARK ET AL., JOURNAL OF ORGANIC CHEMISTRY, vol. 68, 2003, pages 5731 - 5734
GOTOH HIROAKI ET AL., ORGANIC LETTERS, vol. 9, pages 5307 - 5309
Attorney, Agent or Firm:
SHOBAYASHI, Masayuki (25-8Higashi-ikebukuro 1-chome,Toshima-k, Tokyo 13, JP)
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Claims:
 下記一般式(1)で表されるα,β-不飽和アルデヒドと、下記一般式(2)で表されるニトロアルカンとを、下記一般式(3)で表される不斉触媒又はそのエナンチオマーの存在下で反応させ、下記一般式(4)で表される化合物又はそのエナンチオマーを得ることを特徴とする不斉触媒マイケル反応生成物の製造方法。
[式中、R 1 は、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルケニル基、アルコキシアルキニル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アルコキシカルボニルアルケニル基、アルコキシカルボニルアルキニル基、アシル基、アシルアルキル基、アシルアルケニル基、アシルアルキニル基、アミド基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクロアルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキルアルケニル基、シクロアルキルアルキニル基、ヘテロシクロアルキルアルキル基、ヘテロシクロアルキルアルケニル基、ヘテロシクロアルキルアルキニル基、シクロアルケニルアルキル基、シクロアルケニルアルケニル基、シクロアルケニルアルキニル基、ヘテロシクロアルケニルアルキル基、ヘテロシクロアルケニルアルケニル基、ヘテロシクロアルケニルアルキニル基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、ヘテロアリールアルキル基、ヘテロアリールアルケニル基、又はヘテロアリールアルキニル基を示し、R 2 ,R 3 は、それぞれ独立に水素原子又はアルキル基を示し、R 4 ,R 5 は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクロアルケニル基、アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を示し、R 6 は、水素原子、シリル基、又はアルキル基を示し、R 7 は、水酸基の保護基を示し、nは0又は1を示す。]
 上記一般式(3)において、R 4 ,R 5 が置換基を有していてもよいアリール基であり、R 6 がシリル基であることを特徴とする請求項1記載の不斉触媒マイケル反応生成物の製造方法。
 上記一般式(2)で表されるニトロアルカンがニトロメタンであることを特徴とする請求項1又は2記載の不斉触媒マイケル反応生成物の製造方法。
 下記構造式(5)で表される化合物とニトロメタンとを、下記一般式(3)で表される不斉触媒の存在下で反応させ、得られた下記構造式(6)で表される化合物を酸化して下記構造式(7)で表される化合物を得た後、該構造式(7)で表される化合物を還元して下記構造式(8)で表される医薬化合物を得ることを特徴とする医薬化合物の製造方法。
[式中、R 4 ,R 5 は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクロアルケニル基、アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を示し、R 6 は、水素原子、シリル基、又はアルキル基を示し、R 7 は、水酸基の保護基を示し、nは0又は1を示す。]
 下記構造式(9)で表される化合物とニトロメタンとを、下記一般式(3’)で表される不斉触媒の存在下で反応させ、得られた下記構造式(10)で表される化合物を酸化して下記構造式(11)で表される化合物を得た後、該構造式(11)で表される化合物を還元して下記構造式(12)で表される医薬化合物を得ることを特徴とする医薬化合物の製造方法。
[式中、R 4 ,R 5 は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクロアルケニル基、アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を示し、R 6 は、水素原子、シリル基、又はアルキル基を示し、R 7 は、水酸基の保護基を示し、nは0又は1を示す。]
 下記構造式(11)で表される化合物を還元して、下記構造式(12)で表される医薬化合物を得ることを特徴とする医薬化合物の製造方法。
Description:
不斉触媒マイケル反応生成物の 造方法

 本発明は、不斉触媒マイケル反応生成物 製造方法に関し、より詳細には、α,β-不飽 アルデヒドとニトロアルカンとから対応す マイケル付加体を得る不斉触媒マイケル反 生成物の製造方法に関する。また、本発明 、そのような不斉触媒マイケル反応が関与 た医薬化合物の製造方法に関する。

 マイケル反応は有機合成において重要な 素-炭素結合生成反応である。特に、少量の 不斉源から大量の光学活性体を得る不斉触媒 マイケル反応については、現在世界中で活発 に研究が行われている。このうち、電子不足 アルケンとニトロアルカンとの不斉触媒マイ ケル反応で得られるマイケル付加体は、医薬 品、農薬等の化合物の中間体となり得るため 、合成化学的に重要である。

 これまで、電子不足アルケンとしては、 ,β-不飽和ケトン、α,β-不飽和エステルを用 るものが大半であり、α,β-不飽和アルデヒ を用いるものは殆どなかった。これは、ア デヒドの反応性が高く、1,2-付加反応が競合 的に起こってしまうため、目的とするマイケ ル反応が困難であるためと考えられる。

 近年になり、有機触媒を用いた合成反応 開発が積極的に行われるようになり、α,β- 飽和アルデヒドを用いたマイケル反応につ ても報告されるようになっている(非特許文 献1~4参照)。

 例えば、非特許文献1~3には、ニトロアル ンを一旦対応するシリルニトロナートに誘 した後、相関移動触媒の存在下、α,β-不飽 アルデヒドと反応させる技術が開示されて る。しかしながら、この非特許文献1~3に記 された技術では、ニトロアルカンを対応す シリルニトロナートに誘導する必要がある 、単純で汎用性の高いニトロメタンを用い ことができなかった。

 また、非特許文献4には、イミダゾール骨格 を有する有機触媒を用いて、α,β-不飽和アル デヒドとニトロアルカンとを反応させる技術 が開示されている。しかしながら、この非特 許文献4に記載された技術では、ニトロメタ を用いた場合、不斉収率が47%eeと低かった。
Ooi, T.; Doda, K.; Maruoka, K.; J. Am. Chem.  Soc.; 2003, 125, p.9022 Ooi, T.;Morimoto, K.; Doda, K.; Maruoka, K.; Ch em. Lett.; 2004, 33, p.824 Ooi, T.; Doda, K.; Takeda, S.; Maruoka, K.; Te trahedron Lett.; 2006, 47, p.145 Hojabri, L.; Hartikka, A.; Moghaddam, F. M.; Ar vidsson, P. I.; Adv. Synth. Catal.; 2007, 349, p.740

 したがって、本発明は、α,β-不飽和アル ヒドとニトロメタン等のニトロアルカンと ら、対応するマイケル付加体を高い不斉収 で得ることが可能な不斉触媒マイケル反応 成物の製造方法を提供することを目的とす 。加えて、本発明は、そのような不斉触媒 イケル反応が関与した医薬化合物の製造方 を提供することを目的とする。

 本発明者は、上記課題を解決するために 意研究を重ねた。その結果、特定の触媒を いることにより上記課題が解決できること 見出し、本発明を完成するに至った。より 体的には、本発明は以下のようなものを提 する。

 (1) 下記一般式(1)で表されるα,β-不飽和ア デヒドと、下記一般式(2)で表されるニトロ ルカンとを、下記一般式(3)で表される不斉 媒又はそのエナンチオマーの存在下で反応 せ、下記一般式(4)で表される化合物又はそ エナンチオマーを得ることを特徴とする不 触媒マイケル反応生成物の製造方法。
[式中、R 1 は、置換基を有していてもよいアルキル基、 アルケニル基、アルキニル基、アルコキシア ルキル基、アルコキシアルケニル基、アルコ キシアルキニル基、アルコキシカルボニル基 、アルコキシカルボニルアルキル基、アルコ キシカルボニルアルケニル基、アルコキシカ ルボニルアルキニル基、アシル基、アシルア ルキル基、アシルアルケニル基、アシルアル キニル基、アミド基、シクロアルキル基、ヘ テロシクロアルキル基、シクロアルケニル基 、ヘテロシクロアルケニル基、アリール基、 ヘテロアリール基、シクロアルキルアルキル 基、シクロアルキルアルケニル基、シクロア ルキルアルキニル基、ヘテロシクロアルキル アルキル基、ヘテロシクロアルキルアルケニ ル基、ヘテロシクロアルキルアルキニル基、 シクロアルケニルアルキル基、シクロアルケ ニルアルケニル基、シクロアルケニルアルキ ニル基、ヘテロシクロアルケニルアルキル基 、ヘテロシクロアルケニルアルケニル基、ヘ テロシクロアルケニルアルキニル基、アリー ルアルキル基、アリールアルケニル基、アリ ールアルキニル基、ヘテロアリールアルキル 基、ヘテロアリールアルケニル基、又はヘテ ロアリールアルキニル基を示し、R 2 ,R 3 は、それぞれ独立に水素原子又はアルキル基 を示し、R 4 ,R 5 は、それぞれ独立に置換基を有していてもよ いアリール基、ヘテロアリール基、シクロア ルキル基、ヘテロシクロアルキル基、シクロ アルケニル基、ヘテロシクロアルケニル基、 アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル 基を示し、R 6 は、水素原子、シリル基、又はアルキル基を 示し、R 7 は、水酸基の保護基を示し、nは0又は1を示す 。]

 (2) 上記一般式(3)において、R 4 ,R 5 が置換基を有していてもよいアリール基であ り、R 6 がシリル基であることを特徴とする(1)記載の 不斉触媒マイケル反応生成物の製造方法。

 (3) 上記一般式(2)で表されるニトロアル ンがニトロメタンであることを特徴とする(1 )又は(2)記載の不斉触媒マイケル反応生成物 製造方法。

 (4) 下記構造式(5)で表される化合物とニト メタンとを、下記一般式(3)で表される不斉 媒の存在下で反応させ、得られた下記構造 (6)で表される化合物を酸化して下記構造式(7 )で表される化合物を得た後、該構造式(7)で される化合物を還元して下記構造式(8)で表 れる医薬化合物を得ることを特徴とする医 化合物の製造方法。
[式中、R 4 ,R 5 は、それぞれ独立に置換基を有していてもよ いアリール基、ヘテロアリール基、シクロア ルキル基、ヘテロシクロアルキル基、シクロ アルケニル基、ヘテロシクロアルケニル基、 アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル 基を示し、R 6 は、水素原子、シリル基、又はアルキル基を 示し、R 7 は、水酸基の保護基を示し、nは0又は1を示す 。]

 (5) 下記構造式(9)で表される化合物とニト メタンとを、下記一般式(3’)で表される不 触媒の存在下で反応させ、得られた下記構 式(10)で表される化合物を酸化して下記構造 (11)で表される化合物を得た後、該構造式(11 )で表される化合物を還元して下記構造式(12) 表される医薬化合物を得ることを特徴とす 医薬化合物の製造方法。
[式中、R 4 ,R 5 は、それぞれ独立に置換基を有していてもよ いアリール基、ヘテロアリール基、シクロア ルキル基、ヘテロシクロアルキル基、シクロ アルケニル基、ヘテロシクロアルケニル基、 アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル 基を示し、R 6 は、水素原子、シリル基、又はアルキル基を 示し、R 7 は、水酸基の保護基を示し、nは0又は1を示す 。]

 (6) 下記構造式(11)で表される化合物を還元 て、下記構造式(12)で表される医薬化合物を 得ることを特徴とする医薬化合物の製造方法 。

 本発明に係る不斉触媒マイケル反応生成 の製造方法によれば、α,β-不飽和アルデヒ とニトロメタン等のニトロアルカンとから 対応するマイケル付加体を高い不斉収率で ることが可能である。また、そのような不 触媒マイケル反応を利用することで、医薬 合物を効率的に製造することが可能である

発明を実施するための形態

[不斉触媒マイケル反応生成物の製造方法]
 本発明に係る不斉触媒マイケル反応生成物 製造方法は、下記一般式(1)で表されるα,β- 飽和アルデヒドと、下記一般式(2)で表され ニトロアルカンとを、下記一般式(3)で表さ る不斉触媒又はそのエナンチオマーの存在 で反応させ、下記一般式(4)で表される化合 又はそのエナンチオマーを得ることを特徴 するものである。

<一般式(1)で表されるα,β-不飽和アルデヒ >
 上記一般式(1)中、R 1 は、置換基を有していてもよいアルキル基、 アルケニル基、アルキニル基、アルコキシア ルキル基、アルコキシアルケニル基、アルコ キシアルキニル基、アルコキシカルボニル基 、アルコキシカルボニルアルキル基、アルコ キシカルボニルアルケニル基、アルコキシカ ルボニルアルキニル基、アシル基、アシルア ルキル基、アシルアルケニル基、アシルアル キニル基、アミド基、シクロアルキル基、ヘ テロシクロアルキル基、シクロアルケニル基 、ヘテロシクロアルケニル基、アリール基、 ヘテロアリール基、シクロアルキルアルキル 基、シクロアルキルアルケニル基、シクロア ルキルアルキニル基、ヘテロシクロアルキル アルキル基、ヘテロシクロアルキルアルケニ ル基、ヘテロシクロアルキルアルキニル基、 シクロアルケニルアルキル基、シクロアルケ ニルアルケニル基、シクロアルケニルアルキ ニル基、ヘテロシクロアルケニルアルキル基 、ヘテロシクロアルケニルアルケニル基、ヘ テロシクロアルケニルアルキニル基、アリー ルアルキル基、アリールアルケニル基、アリ ールアルキニル基、ヘテロアリールアルキル 基、ヘテロアリールアルケニル基、又はヘテ ロアリールアルキニル基を示す。

 本明細書において、単独で又は他の基の一 として用いられる「アルキル基」は、直鎖 であっても分岐鎖状であってもよい。アル ル基の炭素数に特に制限はないが、好まし は炭素数1~20、より好ましくは炭素数1~6であ る。アルキル基の例としては、メチル基、エ チル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n- チル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブ ル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘ シル基、n-ヘプチル基等が挙げられる。
 このアルキル基は、無置換であっても、1以 上の水素原子が置換基によって置換されてい てもよい。置換基としては、アルコキシ基、 アシル基、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ 基、シアノ基、チオール基、水酸基等が挙げ られる。

 本明細書において、単独で又は他の基の一 として用いられる「アルケニル基」は、直 状であっても分岐鎖状であってもよい。ア ケニル基の炭素数に特に制限はないが、好 しくは炭素数2~20、より好ましくは炭素数2~6 である。アルケニル基の例としては、ビニル 基、1-プロペニル基、アリル基、イソプロペ ル、1-ブテニル基、イソブテニル基等が挙 られる。
 このアルケニル基は、無置換であっても、1 以上の水素原子が置換基によって置換されて いてもよい。置換基としては、アルキル基の 置換基として上述した基が挙げられる。

 本明細書において、単独で又は他の基の一 として用いられる「アルキニル基」は、直 状であっても分岐鎖状であってもよい。ア キニル基の炭素数に特に制限はないが、好 しくは炭素数2~20、より好ましくは炭素数2~6 である。アルキニル基の例としては、エチニ ル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、イ プロピニル基、1-ブチニル基、イソブチニル 基等が挙げられる。
 このアルキニル基は、無置換であっても、1 以上の水素原子が置換基によって置換されて いてもよい。置換基としては、アルキル基の 置換基として上述した基が挙げられる。

 本明細書において、「アルコキシ基」は 上記アルキル基に酸素原子が結合した一価 基を示し、メトキシ基、エトキシ基、n-プ ポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基 、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、t-ブトキ シ基、n-ペントキシ基、イソペントキシ基、n -ヘキトキシ基、n-ヘプトキシ基等が挙げられ る。

 本明細書において、単独で又は他の基の一 として用いられる「アシル基」は、カルボ 酸から水酸基を除いた基を示す。アシル基 炭素数に特に制限はないが、好ましくは炭 数1~20、より好ましくは炭素数1~6である。ア シル基の例としては、ホルミル基、アセチル 基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチ リル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバ ロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、フ ロイル基等が挙げられる。
 このアシル基は、無置換であっても、1以上 の水素原子が置換基によって置換されていて もよい。置換基としては、アルキル基、アル コキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキ シカルボニル基、アルコキシカルボニルアル キル基、アルキルチオ基、ハロゲン原子、ア ミノ基、ニトロ基、シアノ基、チオール基、 水酸基等が挙げられる。

 本明細書において、「アミド基」は、ア ノ基の1つの水素原子が上記アシル基によっ て置換された基を示し、ホルミルアミド基、 アセトアミド基、プロピオンアミド基、ブチ ルアミド基、イソブチルアミド基、バレルア ミド基、イソバレルアミド基、ピバロイルア ミド基、ベンズアミド基、ナフトアミド基、 フルアミド基等が挙げられる。

 本明細書において、単独で又は他の基の一 として用いられる「シクロアルキル基」は 非芳香族の飽和環式炭化水素基を示す。シ ロアルキル基の炭素数に特に制限はないが 好ましくは炭素数3~10、より好ましくは炭素 数3~6である。シクロアルキル基の例としては 、シクロプロピル基、シクロブチル基、シク ロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘ プチル基等が挙げられる。
 このシクロアルキル基は、無置換であって 、1以上の水素原子が置換基によって置換さ れていてもよい。置換基としては、アルキル 基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、 アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボ ニルアルキル基、アシル基、アシルアルキル 基、アルキルチオ基、ハロゲン原子、アミノ 基、ニトロ基、シアノ基、チオール基、水酸 基等が挙げられる。

 本明細書において、単独で又は他の基の一 として用いられる「ヘテロシクロアルキル 」は、上記シクロアルキル基の環上の1以上 の炭素原子がヘテロ原子によって置換されて いる基を示す。ヘテロ原子としては、酸素原 子、窒素原子、及び硫黄原子が挙げられる。 ヘテロシクロアルキル基の例としては、テト ラヒドロフリル基、モルホリニル基、ピペラ ジニル基、ピペリジル基、ピロリジニル基等 が挙げられる。
 このヘテロシクロアルキル基は、無置換で っても、1以上の水素原子が置換基によって 置換されていてもよい。置換基としては、シ クロアルキル基の置換基として上述した基が 挙げられる。

 本明細書において、単独で又は他の基の一 として用いられる「シクロアルケニル基」 、非芳香族の不飽和環式炭化水素基を示す 環上の不飽和結合は1つであってもよく、2 上であってもよい。シクロアルケニル基の 素数に特に制限はないが、好ましくは炭素 3~10、より好ましくは炭素数3~6である。シク アルケニル基の例としては、シクロプロペ ル基、シクロブテニル基、シクロペンテニ 基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニ 基等が挙げられる。
 このシクロアルケニル基は、無置換であっ も、1以上の水素原子が置換基によって置換 されていてもよい。置換基としては、シクロ アルキル基の置換基として上述した基が挙げ られる。

 本明細書において、単独で又は他の基の一 として用いられる「ヘテロシクロアルケニ 基」は、上記シクロアルケニル基の環上の1 以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換さ れている基を示す。ヘテロ原子としては、酸 素原子、窒素原子、及び硫黄原子が挙げられ る。ヘテロシクロアルケニル基の例としては 、ジヒドロフリル基、イミダゾリル基、ピロ リニル基、ピラゾリニル基等が挙げられる。
 このヘテロシクロアルケニル基は、無置換 あっても、1以上の水素原子が置換基によっ て置換されていてもよい。置換基としては、 シクロアルキル基の置換基として上述した基 が挙げられる。

 本明細書において、単独で又は他の基の一 として用いられる「アリール基」は、芳香 炭化水素基を示し、2以上の環が縮合してい てもよい。アリール基の炭素数に特に制限は ないが、好ましくは炭素数5~14、より好まし は炭素数6~10である。アリール基の例として 、フェニル基、インデニル基、ナフチル基 フェナントリル基、アントリル基等が挙げ れる。
 このアリール基は、無置換であっても、1以 上の水素原子が置換基によって置換されてい てもよい。置換基としては、アルキル基、ア ルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコ キシカルボニル基、アルコキシカルボニルア ルキル基、アシル基、アシルアルキル基、ア ルキルチオ基、アルキレンジオキシ基、ハロ ゲン原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、 チオール基、水酸基等が挙げられる。

 本明細書において、単独で又は他の基の一 として用いられる「ヘテロアリール基」は 上記アリール基の環上の1以上の炭素原子が ヘテロ原子によって置換されている基を示す 。ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子 、及び硫黄原子が挙げられる。ヘテロアリー ル基の例としては、ピリジル基、ピラジニル 基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピロ リル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ト リアゾリル基、トリアジニル基、テトラゾリ ル基、オキサゾリル基、インドリジニル基、 インドリル基、イソインドリル基、インダゾ リル基、プリニル基、キノリジニル基、イソ キノリル基、キノリル基、フタラジニル基、 ナフチリジニル基、キノキサリニル基、オキ サジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾ リル基、ベンズイミダゾリル基、フリル基、 チエニル基等が挙げられる。
 このヘテロアリール基は、無置換であって 、1以上の水素原子が置換基によって置換さ れていてもよい。置換基としては、アリール 基の置換基として上述した基が挙げられる。

<一般式(2)で表されるニトロアルカン>
 上記一般式(2)中、R 2 ,R 3 は、それぞれ独立に水素原子又はアルキル基 を示す。アルキル基は、上記の定義通りであ る。
 このニトロアルカンとしては、R 2 ,R 3 がいずれも水素原子であるもの、すなわちニ トロメタンが、その汎用性の高さから好まし い。本発明に係る不斉触媒マイケル反応生成 物の製造方法によれば、このようにニトロメ タンを用いた場合であっても、高い不斉収率 でマイケル付加体を得ることができる。

<一般式(3)で表される不斉触媒>
 上記一般式(3)中、R 4 ,R 5 は、それぞれ独立に置換基を有していてもよ いアリール基、ヘテロアリール基、シクロア ルキル基、ヘテロシクロアルキル基、シクロ アルケニル基、ヘテロシクロアルケニル基、 アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル 基を示す。これらの基は、上記の定義通りで ある。
 これらの基は、無置換であっても、1以上の 水素原子が置換基によって置換されていても よい。置換基としては、ハロゲン原子、ハロ ゲン化アルキル基等の電子吸引性基が挙げら れるが、無置換である方が好ましい。

 また、上記一般式(3)中、R 6 は、水素原子、シリル基、又はアルキル基を 示す。
 本明細書において、「シリル基」は、H 3 Si-で表される基、又はこの基の1以上の水素 子がアルキル基、アリール基等によって置 された基を示す。シリル基の例としては、 リメチルシリル(TMS)基、トリエチルシリル(TE S)基、t-ブチルジメチルシリル(TBS)基、トリイ ソプロピルシリル(TIPS)基、t-ブチルジフェニ シリル(TBDPS)基等が挙げられる。

 また、上記一般式(3)中、R 7 は、水酸基の保護基を示し、nは0又は1を示す 。
 水酸基の保護基としては、アルキル基、ア チル基、シリル基等の通常用いられている 護基を用いることができる。
 n=1である場合、OR 7 基の置換位置は、3位又は4位のいずれであっ もよい。

 この不斉触媒としては、R 4 ,R 5 が置換基を有していてもよいアリール基であ り、R 6 がシリル基であるものが、その不斉収率の高 さから好ましい。

 この一般式(3)で表される不斉触媒は、プ リン又はその誘導体(3-ヒドロキシプロリン 4-ヒドロキシプロリン等)を出発原料として 造することができる((a)Gotoh, H.; Masui, R.; O gino, H.; Shoji, M.; Hayashi, Y.; Angew. Chem., Int.  Ed.; 2006, 45, p.6853、(b)Hayashi, Y.; Okano, T.;  Aratake, S.; Hazelard, D.; Angew. Chem., Int. Ed.; 2 007, 46, p.4922、(c)Gotoh, H.; Hayashi, Y.; Org. Let t.; 2007, 9, p.2859、等を参照)。

<反応条件等>
 上述したように、本発明に係る不斉触媒マ ケル反応生成物の製造方法は、上記一般式( 1)で表されるα,β-不飽和アルデヒドと、上記 般式(2)で表されるニトロアルカンとを、上 一般式(3)で表される不斉触媒又はそのエナ チオマーの存在下で反応させ、上記一般式( 4)で表される化合物又はそのエナンチオマー 得るものである。
 なお、上記一般式(3)で表される化合物を不 触媒として用いた場合には、上記一般式(4) 表される化合物が得られ、上記一般式(3)で される化合物のエナンチオマーを不斉触媒 して用いた場合には、上記一般式(4)で表さ る化合物のエナンチオマーが得られる。

 ニトロアルカンの使用量は、α,β-不飽和 ルデヒドに対して1~30当量であることが好ま しく、1~5当量であることがより好ましい。ま た、不斉触媒の使用量は、α,β-不飽和アルデ ヒドに対して0.01~1当量であることが好ましく 、0.05~0.3当量であることがより好ましい。

 この反応は、有機溶媒中で行ってもよく 無溶媒で行ってもよい。有機溶媒としては メタノール、ジクロロメタン、クロロホル 、ジエチルエーテル、酢酸エチル、ジメト シエタン(DME)、アセトン、アセトニトリル ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン(T HF)、ジメチルホルムアミド(DMF)等が挙げられ 。この中でも、メタノールが特に好ましい

 反応温度は、-20~100℃であることが好ましく 、0~40℃であることがより好ましい。反応温 が高過ぎると副反応が生じやすく、収率低 を招くことがある。一方、反応温度が低過 ると反応速度が低下する。
 反応時間は、用いるα,β-不飽和アルデヒド ニトロアルカン、不斉触媒等の条件に依存 るが、通常は2~120時間である。
 反応雰囲気は、特に限定されないが、不活 ガス雰囲気が好ましい。不活性ガスとして 、窒素、ヘリウム、アルゴン等を用いるこ ができる。

 反応に際しては、α,β-不飽和アルデヒド、 トロアルカン、不斉触媒に加えて、弱酸又 弱塩基である添加剤を加えるようにしても わない。このような添加剤を加えることで 反応速度を速めることができる。添加剤の としては、安息香酸、p-ニトロフェノール トリフルオロ酢酸、炭酸水素ナトリウム、 酸ナトリウム等が挙げられる。
 なお、上記一般式(1)で表されるα,β-不飽和 ルデヒドにおいて、R 1 がアルキル基、アリールアルキル基等である 場合には、反応が進行し過ぎる虞があるため 、添加剤を加えない方が好ましい。

[医薬化合物の製造方法]
 上述した不斉触媒マイケル反応生成物の製 方法を利用することで、種々の医薬化合物 製造することが可能である。

 例えば、下記構造式(5)で表される化合物 ニトロメタンとを、下記一般式(3)で表され 不斉触媒の存在下で反応させ、得られた下 構造式(6)で表される化合物を酸化して下記 造式(7)で表される化合物を得た後、該構造 (7)で表される化合物を還元することで、下 構造式(8)で表される医薬化合物を得ること できる。

 上記構造式(5)で表される化合物は、上記一 式(1)で表されるα,β-不飽和アルデヒドにお て、R 1 をp-クロロフェニル基としたものである。こ α,β-不飽和アルデヒドとニトロメタンとを 上記一般式(3)で表される不斉触媒の存在下 反応させることで、上記構造式(6)で表され 化合物が得られる。そして、この構造式(6) 表される化合物のアルデヒド基を酸化して 記構造式(7)で表される化合物を得た後、こ 構造式(7)で表される化合物のニトロ基をア ノ基に還元することにより、上記構造式(8) 表される医薬化合物が得られる。
 アルデヒド基の酸化、及びニトロ基の還元 は、従来公知の方法を使用することができ 。

 このようにして得られる上記構造式(8)で される医薬化合物は、バクロフェン(Baclofen) と称され、抗痙縮剤として公知である。

 従来、バクロフェンの製造方法としては幾 か知られているが、いずれも多段階の反応 必要とし、より効率的な製造法が望まれて た((a)Camps, P.; Munoz-Torrero, D.; Sanchez, L.; Te trahedron: Asymmetry; 2004, 15, p.2039、(b)Felluga, F. ; Gombac, V.; Pitacco, G.; Valentin, E.; Tetrahedron:  Asymmetry; 2005, 16, p.1341、(c)Armstrong, A.; Convi ne, N. J.; Popkin, M. E.; Synlett; 2006, p.1589、 を参照)。
 これに対して、上述した方法によれば、不 触媒マイケル反応により上記構造式(6)で表 れる化合物を得た後は、僅か2段階の反応で バクロフェンを得ることができる。

 また、下記構造式(9)で表される化合物と トロメタンとを、下記一般式(3’)で表され 不斉触媒の存在下で反応させ、得られた下 構造式(10)で表される化合物を酸化して下記 構造式(11)で表される化合物を得た後、該構 式(11)で表される化合物を還元することによ ても、下記構造式(12)で表される医薬化合物 を得ることができる。

 上記構造式(9)で表される化合物は、上記一 式(1)で表されるα,β-不飽和アルデヒドにお て、R 1 をイソブチル基としたものである。このα,β- 不飽和アルデヒドとニトロメタンとを、上記 一般式(3’)で表される不斉触媒の存在下で反 応させることで、上記構造式(10)で表される 合物が得られる。そして、この構造式(10)で される化合物のアルデヒド基を酸化して上 構造式(11)で表される化合物を得た後、この 構造式(11)で表される化合物のニトロ基をア ノ基に還元することにより、上記構造式(12) 表される医薬化合物が得られる。
 アルデヒド基の酸化、及びニトロ基の還元 は、従来公知の方法を使用することができ 。

 このようにして得られる上記構造式(12)で 表される医薬化合物は、プレガバリン(Pregabal in)と称され、抗てんかん剤として公知である 。

 従来、プレガバリンの製造方法としては幾 か知られているが、いずれも多段階の反応 必要とし、より効率的な製造法が望まれて た(Mita, T.; Sasaki, K.; Kanai, M.; Shibasaki, M.;  J. Am. Chem. Soc.; 2005, 127, p.514等を参照)。
 これに対して、上述した方法によれば、不 触媒マイケル反応により上記構造式(10)で表 される化合物を得た後は、僅か2段階の反応 プレガバリンを得ることができる。

 以下、本発明の実施例を説明するが、本 明の範囲はこれらの実施例に限定されるも ではない。

 本実施例では、以下の4種類の不斉触媒を 用いた。

 このうち、触媒3及びそのエナンチオマー ((S)-(-)-ジフェニル-2-ピロリジンメタノール) 、Aldrich社から購入した(製品番号382337,368199) また、触媒2は、文献(Li, K.; Zhou, Z.; Wang,  L.; Chen, Q.; Zhao, G.; Zhou, Q.; Tang, C.; Tetrahe dron : Asymmetry; 2003, 14, p.95)を参照して製造 た。触媒1は、下記反応式のようにして、(S) -(-)-ジフェニル-2-ピロリジンメタノールを出 原料として製造した。触媒1’も触媒1と同 にして、触媒3を出発原料として製造した。

<触媒1の製造>

 (S)-(-)-ジフェニル-2-ピロリジンメタノー (3.5g、13.9mmol)及びイミダゾール(3.8g、55.5mmol) 含むDMF(13.9ml)中に、TMSCl(5.1ml、41.7mmol)を0℃ て加えた。反応液を室温で17時間撹拌した後 、0℃のpH7.0のリン酸緩衝液を加えて反応を停 止させた。そして、有機物を酢酸エチルで3 抽出した後、有機層(酢酸エチル層)を無水硫 酸ナトリウムで乾燥させた。その後、有機層 を濾過し、溶媒を減圧留去した。残渣をフラ ッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチ :ヘキサン=1:7~1:3)で精製し、触媒1を収率93%で 得た。

1 H NMR(CDCl 3 ):δ-0.13(9H, s), 1.28-1.41(1H, m), 1.47-1.61(3H, m),  2.71-2.88(2H, m), 4.01(1H, d, J=7.0Hz), 7.14-7.28(6H,  m), 7.29-7.35(2H, d), 7.39-7.45(2H, m);
13 C NMR(CDCl 3 ):δ2.1, 25.0, 27.4, 47.1, 65.3, 83.1, 126.7, 126.9, 127.5, 128.4, 145.7, 146.7;
IR(neat):ν2954, 1491, 1446, 1250, 1072, 879, 839cm -1 ;
HRMS(FAB):[M+H] +  計算値C 20 H 28 ONSi:326.1940, 実測値:326.1967;
[α] D 33  -52.4(c=1.04, CHCl 3 ).

<試験例1>
 下記反応式に示すように、シンナムアルデ ドとニトロメタンとを、上記触媒1~3の存在 で反応させ、マイケル付加体を得た。

 上記反応は、特に明記しない限り、シン ムアルデヒド(0.6mmol)とニトロメタン(1.8mmol) を、室温(25℃)にて、触媒(0.06mmol、10mol%)及 安息香酸(0.12mmol、20mol%)を含む溶媒中で反応 せることにより行った。反応雰囲気はアル ンとした。結果を表1に示す。

 表1から分かるように、触媒1~3を用いるこ とにより高い不斉収率でマイケル付加体を得 ることができ、特に触媒1を用いたときの不 収率が高かった(エントリー1~5)。また、溶媒 としてはメタノールが最も好ましかった(エ トリー5~7)。

<試験例2>
 下記反応式に示すように、種々のα,β-不飽 アルデヒドとニトロメタンとを、上記触媒1 の存在下で反応させ、マイケル付加体を得た 。

 上記反応は、特に明記しない限り、α,β- 飽和アルデヒド(0.6mmol)とニトロメタン(1.8mmo l)とを、室温(25℃)にて、触媒1(0.06mmol、10mol%) び安息香酸(0.12mmol、20mol%)を含む溶媒中で反 応させることにより行った。反応雰囲気はア ルゴンとした。結果を表2に示す。

 表2から分かるように、Rがフェニル基の 合(エントリー1)のみならず、ナフチル基の 合(エントリー2)にも、良好な結果が得られ 。また、Rが3,4-メチレンジオキシフェニル基 、p-メトキシフェニル基のような電子リッチ 基の場合(エントリー3,4)のみならず、p-ブロ モフェニル基、p-クロロフェニル基、p-ニト フェニル基のような電子不足な基の場合(エ トリー5,6,8)にも、高い不斉収率が得られた Rがヘテロアリール基の場合にも良好な結果 が得られた(エントリー9)。Rがアルキル基の 合には、安息香酸を添加しなくても高い不 収率が得られた(エントリー11~13)。触媒1の添 加量は、α,β-不飽和アルデヒドに対して2mol% で減らすことができた(エントリー7)。

 以下、表2のエントリー1~13におけるマイ ル付加体の製造方法及び同定結果(NMR、IR、HR MS)を示す。

<(S)-4-ニトロ-3-フェニルブタナール(エント ー1)の製造>
 触媒1(19.5mg、0.06mmol、10mol%)及びシンナムア デヒド(79.2mg、0.6mmol)を含むメタノール(1.2ml) に、安息香酸(14.7mg、0.12mmol、10mol%)及びニト ロメタン(96μl、1.8mmol)を室温にて加えた。反 液を室温で18時間撹拌した後、NaHCO 3 の飽和水溶液を加えて反応を停止させた。そ して、有機物を酢酸エチルで抽出した後、有 機層(酢酸エチル層)を無水硫酸ナトリウムで 燥させた。その後、有機層を濾過し、溶媒 減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムク マトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:20~1: 6)で精製し、4-ニトロ-3-フェニルブタナール(1 04.3mg、0.54mmol)を収率90%で得た。

1 H NMR(CDCl 3 ):δ2.94(1H, dd, J=1.2, 2.0Hz), 2.96(1H, dd, J=1.2, 2 .0Hz), 4.08(1H, quint, J=7.2Hz), 4.62(1H, dd, J=7.6,  12.4Hz), 4.68(1H, dd, J=7.6, 12.4Hz), 7.20-7.40(5H, m) , 9.70(1H, s);
13 C NMR(CDCl 3 ):δ37.9, 46.4, 79.4, 127.4(2C), 128.1, 129.2(2C), 138 .1, 199.1;
IR(neat):ν3032, 1723, 1548, 1380, 765, 702cm -1 ;
HRMS(ESI):[M+Na] +  計算値C 10 H 11 NO 3 Na:216.0631, 実測値:216.0645;
[α] D 22  -23(c=0.71, CHCl 3 ).

 不斉収率は、GLC(Bodman Chiraldex γ-TAカラム、 40℃、10℃/分の勾配、60kPa)の結果から求めた T R 1=43.1分(minor),T R 2=44.7分(major)。

<(S)-3-(2-ナフチル)-4-ニトロブタナール(エン トリー2)の製造>
 シンナムアルデヒドの代わりに3-(2-ナフチ )プロペナールを用いたほかは、エントリー1 と同様にして3-(2-ナフチル)-4-ニトロブタナー ルを収率94%で得た。

1 H NMR(CDCl 3 ):δ2.99(1H, dd, J=7.6, 18.0Hz), 3.06(1H, dd, J=7.2,  18.0Hz), 4.25(1H, quint, J=6.8Hz), 4.70(1H, dd, J=7.6,  13.6Hz), 4.75(1H, dd, J=7.6, 13.2Hz), 7.34(1H, dd,  J=2.8, 9.2Hz), 7.43-7.54(2H, m), 7.69(1H, s), 7.89-7.8 9(3H, m), 9.72(1H, s);
13 C NMR(CDCl 3 ):δ38.1, 46.4, 55.2, 79.7, 114.5, 128.4(2C), 128.4(2C ), 126.6, 126.7, 127.8, 129.2, 132.9, 133.3, 135.4,  198.8;
IR(neat):ν1722, 1550, 1379, 821, 751cm -1 ;
HRMS(ESI):[M+Na] +  計算値C 14 H 13 NO 3 Na:266.0788, 実測値:266.0770;
[α] D 20  -34.3(c=1.6, CHCl 3 ).

 不斉収率は、得られた化合物をNaBH 4 により対応するアルコールに変換した後、Chi ralpac AS-Hカラムを用いたHPLC(ヘキサン/イソプ ロピルアルコール=10/1、流速1.0ml/分)の結果か ら求めた。T R 1=11.2分(major),T R 2=11.9分(minor)。

<(S)-3-(3,4-メチレンジオキシフェニル)-4-ニ ロブタナール(エントリー3)の製造>
 シンナムアルデヒドの代わりに3-(3,4-メチレ ンジオキシフェニル)プロペナールを用いた かは、エントリー1と同様にして3-(3,4-メチレ ンジオキシフェニル)-4-ニトロブタナールを 率80%で得た。

1 H NMR(CDCl 3 ):δ2.85-2.91(2H, m), 3.99(1H, quint, J=7.2Hz), 4.55(1H , dd, J=7.6, 12.4Hz), 4.62(1H, dd, J=7.2, 12.4Hz), 5 .94(2H, s), 6.65-6.71(2H, m), 6.75(1H, d, J=7.6Hz), 9 .68(1H, d, J=0.8Hz)
13 C NMR(CDCl 3 ):δ37.8, 46.5, 79.7, 101.3, 107.5, 108.8, 120.8, 131 .7, 147.3, 148.2, 199.1;
IR(neat):ν2904, 1722, 1555, 1505, 1489, 1444, 1380,  1249, 1038, 933, 815cm -1 ;
HRMS(ESI):[M+Na] +  計算値C 11 H 11 NO 5 Na:260.0529, 実測値:260.0544;
[α] D 28  -22(c=0.37, CHCl 3 ).

 不斉収率は、得られた化合物をNaBH 4 により対応するアルコールに変換した後、Chi ralpac AS-Hカラムを用いたHPLC(ヘキサン/イソプ ロピルアルコール=10/1、流速1.0ml/分)の結果か ら求めた。T R 1=24.2分(major),T R 2=45.8分(minor)。

<(S)-3-(4-メトキシフェニル)-4-ニトロブタナ ル(エントリー4)の製造>
 シンナムアルデヒドの代わりに3-(4-メトキ フェニル)プロペナールを用いたほかは、エ トリー1と同様にして3-(4-メトキシフェニル) -4-ニトロブタナールを収率88%で得た。

1 H NMR(CDCl 3 ):δ2.90(2H, d, J=7.6Hz), 3.78(3H, s), 4.02(1H, quint,  J=7.2Hz), 4.57(1H, dd, J=7.6, 12.4Hz), 4.64(1H, dd, J=7.6, 12.4Hz), 6.86(2H, d, J=8.8Hz), 7.14(2H, d, J= 8.4Hz), 9.69(1H, s);
13 C NMR(CDCl 3 ):δ37.3, 46.5, 55.2, 79.7, 114.5(2C), 128.4(2C), 129. 9, 159.2, 199.0;
IR(neat):ν2921, 2839, 1716, 1556, 1515, 1252, 1031,  833cm -1 ;
HRMS(ESI):[M+Na] +  計算値C 11 H 13 NO 4 Na:246.0733, 実測値:246.0737;
[α] D 28  -22(c=1.5, CHCl 3 ).

 不斉収率は、得られた化合物をNaBH 4 により対応するアルコールに変換した後、Chi ralpac AS-Hカラムを用いたHPLC(ヘキサン/イソプ ロピルアルコール=10/1、流速1.0ml/分)の結果か ら求めた。T R 1=17.6分(major),T R 2=22.3分(minor)。

<(S)-3-(4-ブロモフェニル)-4-ニトロブタナー (エントリー5)の製造>
 シンナムアルデヒドの代わりに3-(4-ブロモ ェニル)プロペナールを用いたほかは、エン リー1と同様にして3-(4-ブロモフェニル)-4-ニ トロブタナールを収率87%で得た。

1 H NMR(CDCl 3 ):δ2.94(2H, d, J=6.8Hz), 4.05(1H, quint, J=7.2Hz), 4. 59(1H, dd, J=7.6, 12.4Hz), 4.67(1H, dd, J=6.8, 12.4Hz ), 7.11(2H, d, J=8.4Hz), 7.47(2H, d, J=8.4Hz), 9.70(1 H, s);
13 C NMR(CDCl 3 ):δ37.3, 46.3, 79.0, 122.1, 129.1(2C), 132.3(2C), 137 .2, 198.3;
IR(neat):ν2922, 2847, 2736, 1715, 1556, 1488, 1378,  1074, 1011, 1113, 727, 532cm -1 ;
HRMS(ESI):[M+Na] +  計算値C 10 H 10 BrNO 3 Na:293.9736, 実測値:293.9717;
[α] D 28  -34(c=0.93, CHCl 3 ).

 不斉収率は、得られた化合物をNaBH 4 により対応するアルコールに変換した後、Chi ralpac ICカラムを用いたHPLC(ヘキサン/イソプ ピルアルコール=10/1、流速1.0ml/分)の結果か 求めた。T R 1=11.1分(minor),T R 2=11.7分(major)。

<(S)-3-(4-クロロフェニル)-4-ニトロブタナー (エントリー6,7)の製造>
 エントリー6では、シンナムアルデヒドの代 わりに3-(4-クロロフェニル)プロペナールを用 いたほかは、エントリー1と同様にして3-(4-ク ロロフェニル)-4-ニトロブタナールを収率83% 得た。
 エントリー7では、触媒1(24.3mg、2mol%)及び3-(4 -クロロフェニル)プロペナール(622mg、3.73mmol) 含むメタノール(1.85ml)中に、安息香酸(18.2mg 4mol%)及びニトロメタン(0.60ml、3当量)を室温 て加えた。反応液を室温で40時間撹拌した 、NaHCO 3 の飽和水溶液を加えて反応を停止させた。そ して、有機物を酢酸エチルで抽出した後、有 機層(酢酸エチル層)を無水硫酸ナトリウムで 燥させた。その後、有機層を濾過し、溶媒 減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムク マトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:20~1: 6)で精製し、3-(4-クロロフェニル)-4-ニトロブ ナール(680mg、2.99mmol)を収率80%で得た。

1 H NMR(CDCl 3 ):δ2.94(2H, d, J=6.8Hz), 4.06(1H, quint, J=6.8Hz), 4. 59(1H, dd, J=7.2, 12.0Hz), 4.67(1H, dd, J=7.2, 12.0Hz ), 7.18(2H, d, J=8.4Hz), 7.32(2H, d, J=9.2Hz), 9.71(1 H, s);
13 C NMR(CDCl 3 ):δ37.3, 46.3, 79.1, 128.8(2C), 129.4(2C), 134.0, 136 .7, 198.3;
IR(neat):ν1723, 1551, 1494, 1379, 1094, 1014, 829cm -1 ;
HRMS(ESI):[M+Na] +  計算値C 10 H 10 ClNO 3 Na:250.0241, 実測値:250.0229;
[α] D 28  -24(c=0.83, CHCl 3 ).

 不斉収率は、得られた化合物をNaBH 4 により対応するアルコールに変換した後、Chi ralpac ICカラムを用いたHPLC(ヘキサン/イソプ ピルアルコール=10/1、流速1.0ml/分)の結果か 求めた。T R 1=11.4分(minor),T R 2=12.1分(major)。

<(S)-4-ニトロ-3-(4-ニトロフェニル)ブタナー (エントリー8)の製造>
 シンナムアルデヒドの代わりに3-(4-ニトロ ェニル)プロペナールを用い、反応温度を4℃ としたほかは、エントリー1と同様にして4-ニ トロ-3-(4-ニトロフェニル)ブタナールを収率76 %で得た。

1 H NMR(CDCl 3 ):δ3.03(2H, d, J=6.8Hz), 4.21(1H, quint, J=7.2Hz), 4. 67(1H, dd, J=8.4, 12.8Hz), 4.75(1H, dd, J=13.2Hz), 7. 42(2H, d, J=8.8Hz), 8.20(2H, d, J=8.8Hz), 9.73(1H, s) ;
13 C NMR(CDCl 3 ):δ37.4, 46.1, 78.4, 124.3(2C), 128.6(2C), 145.7, 147 .6, 197.6;
IR(neat):ν3081, 2922, 2851, 1719, 1556, 1519cm -1 ;
HRMS(ESI):[M+Na] +  計算値C 10 H 10 N 2 O 5 Na:261.0482, 実測値:261.0489;
[α] D 28  -19(c=1.9, CHCl 3 ).

 不斉収率は、得られた化合物をNaBH 4 により対応するアルコールに変換した後、Chi ralcel OJ-Hカラムを用いたHPLC(ヘキサン/イソプ ロピルアルコール=10/1、流速1.0ml/分)の結果か ら求めた。T R 1=78.0分(major),T R 2=97.8分(minor)。

<(S)-3-(2-フリル)4-ニトロブタナール(エント ー9)の製造>
 シンナムアルデヒドの代わりに3-フリルプ ペナールを用いたほかは、エントリー1と同 にして3-(2-フリル)4-ニトロブタナールを収 82%で得た。

1 H NMR(CDCl 3 ):δ2.93(1H, dd, J=7.2, 18.0Hz), 3.01(1H, ddd, J=1.2, 7.2, 18.4Hz), 4.18(1H, quint, J=6.8Hz), 4.66(1H, dd, J=6.4, 12.4Hz), 4.71(1H, dd, J= 7.2, 12.8Hz), 6.18(1 H, d, J=2.8Hz), 6.31(1H, dd, J=2.0, 3.2Hz), 7.35(1H, d, J=1.2Hz), 9.76(1H, s);
13 C NMR(CDCl 3 ):δ31.7, 43.8, 76.9, 107.4, 110.5, 142.5, 151.0, 198 .5;
IR(neat):ν1724, 1555, 1376, 748cm -1 ;
HRMS(ESI):[M+Na] +  計算値C 8 H 9 NO 4 Na:206.0424, 実測値:206.0422;
[α] D 28  -23(c=0.27, CHCl 3 ).

 不斉収率は、GLC(Bodman Chiraldex γ-TAカラム、 40℃、10℃/分の勾配、60kPa)の結果から求めた T R 1=20.2分(minor),T R 2=20.7分(major)。

<(R)-3-(ニトロメチル)ヘプタナール(エント ー10,11)の製造>
 エントリー10では、シンナムアルデヒドの わりに2-ヘプテナールを用いたほかは、エン トリー1と同様にして3-(ニトロメチル)ヘプタ ールを収率53%で得た。
 エントリー11では、安息香酸を添加しなか たほかは、エントリー10と同様にして3-(ニト ロメチル)ヘプタナールを収率77%で得た。

1 H NMR(CDCl 3 ):δ0.90(3H, t, J= 6.8Hz), 1.25-1.38(4H, m), 1.38-1.47 (2H, m), 2.54-2.67(2H, m), 2.72(1H, quint, J=6.0Hz),  4.42-4.47(2H, m), 9.79(1H, s);
13 C NMR(CDCl 3 ):δ13.8, 22.5, 28.7, 31.2, 32.0, 45.3, 78.4, 199.9;
IR(neat):ν2931, 1725, 1551, 1382cm -1 ;
HRMS(ESI):[M+Na] +  計算値C 8 H 15 NO 3 Na:196.0944, 実測値:196.0942;
[α] D 28  -5.5(c=0.27, CHCl 3 ).

 不斉収率は、GLC(Bodman Chiraldex γ-TAカラム、 40℃、10℃/分の勾配、60kPa)の結果から求めた T R 1=14.3分(minor),T R 2=14.9分(major)。

<(R)-5-メチル-3-(ニトロメチル)ヘキサナール (エントリー12)の製造>
 シンナムアルデヒドの代わりに5-メチル-2- キセナールを用い、安息香酸を添加しなか たほかは、エントリー1と同様にして5-メチ -3-(ニトロメチル)ヘキサナールを収率68%で得 た。

1 H NMR(CDCl 3 ):δ0.90(3H, d, J=6.8Hz), 0.93(3H, d, J=6.8Hz), 1.23-1 .31(2H, m), 1.63(1H, septet, J=6.8Hz), 2.56(1H, dd, J =5.6, 18.4Hz), 2.66(1H, dd, J=6.8, 18.4Hz), 2.77(1H,  quint, J=6.4Hz), 4.41(1H, dd, J=6.4, 12.4Hz), 4.45(1H,  dd, J=7.6, 12.0Hz), 9.78(1H, s);
13 C NMR(CDCl 3 ):δ22.3(2C), 25.1, 29.9, 40.6, 45.5, 78.5, 200.0;
IR(neat):ν2959, 1725, 1551, 1384cm -1 ;
HRMS(ESI):[M+Na] +  計算値C 8 H 15 NO 3 Na:196.0944, 実測値:196.0934;
[α] D 28  -3.7(c=1.3, CHCl 3 ).

 不斉収率は、GLC(Bodman Chiraldex γ-TAカラム、 40℃、10℃/分の勾配、60kPa)の結果から求めた T R 1=20.2分(minor),T R 2=20.7分(major)。

<(R)-3-(ニトロメチル)-5-フェニルペンタナー ル(エントリー13)の製造>
 シンナムアルデヒドの代わりに5-フェニル-2 -ペンテナールを用い、安息香酸を添加しな ったほかは、エントリー1と同様にして3-(ニ ロメチル)-5-フェニルペンタナールを収率76% で得た。

1 H NMR(CDCl 3 ):δ1.77-1.88(2H, m), 2.65-2.86(5H, m), 4.56(2H, d, J= 5.6Hz), 7.23(2H, d, J=7.6Hz), 7.24-7.32(1H, m), 7.37(2 H, t, J=7.2Hz), 9.83(1H, s);
13 C NMR(CDCl 3 ):δ31.5, 32.8, 33.1, 45.2, 78.1, 126.3, 128.2(2C), 1 28.6(2C), 140.4, 199.7;
IR(neat):ν2938, 1723, 1550, 1384, 750.2, 701.0cm -1 ;
HRMS(ESI):[M+Na] +  計算値C 12 H 15 NO 3 Na:244.0944, 実測値:244.0935;
[α] D 28  -1.3(c=2.3, CHCl 3 ).

<試験例3>
 下記反応式に示すように、シンナムアルデ ドとニトロエタンとを、上記触媒1の存在下 で反応させ、マイケル付加体を得た。

 上記反応は、ニトロメタンの代わりにニ ロエタンを用いたほかは、試験例2のエント リー1と同様にして行い、文献((a)T. Ooi, K. Do da, K. Maruoka.; J. Am. Chem. Soc.; 2003, 125, p.90 22、(b)L. Hojabri, A. Hartikka, F. M. Moghaddam, P. I. Arvidsson.; Adv. Synth. Catal.; 2007, 349, p.740) に基づいて同定した。

 anti体について、不斉収率は、GLC(Bodman Chiral dex γ-TAカラム、40℃、10℃/分の勾配、60kPa)の 結果から求めた。T R 1=33.3分(major),T R 2=37.0分(minor)。[α] D 21  -25(c=0.39, CHCl 3 ),文献値[α] D 24  -21.4(c=0.66, CHCl 3 )。
 syn体について、不斉収率は、GLC(Bodman Chirald ex γ-TAカラム、40℃、10℃/分の勾配、60kPa)の 果から求めた。T R 1=33.3分(major),T R 2=37.0分(minor)。

 上記の結果から分かるように、ニトロメ ンの代わりにニトロエタンを用いた場合、 アステレオ選択性は1:1であったものの、高 エナンチオ選択性でマイケル付加体を得る とができた。

<試験例4>
 下記反応式に示すように、シンナムアルデ ドと2-ニトロプロパンとを、上記触媒1の存 下で反応させ、マイケル付加体を得た。

 上記反応は、ニトロメタンの代わりに2- トロプロパンを用い、溶媒を用いなかった かは、試験例2のエントリー1と同様にして行 い、文献(C. E. T. Mitchell, S. E. Brenner, J. Ga rcia-Fortanet, S. V. Ley.; Org. Biomol. Chem.; 2006, 4, p.2039)に基づいて同定した。

 不斉収率は、GLC(Bodman Chiraldex γ-TAカラム、 40℃、10℃/分の勾配、60kPa)の結果から求めた T R 1=35.8分(major),T R 2=36.7分(minor)。

 上記の結果から分かるように、ニトロメ ンの代わりに2-ニトロプロパンを用いた場 にも、高い不斉収率でマイケル付加体を得 ことができた。

<試験例5>
 下記反応式に示すように、下記構造式(5)で される化合物とニトロメタンとを、触媒1の 存在下で反応させ、得られた下記構造式(6)で 表される化合物を酸化して下記構造式(7)で表 される化合物を得た。この構造式(7)で表され る化合物を還元することで、下記構造式(8)で 表される医薬化合物(バクロフェン)を得るこ ができる。

 具体的に、上記構造式(6)で表される化合物 、試験例2のエントリー7と同様にして得た 構造式(6)で表される化合物(52.4mg、0.23mmol)、N aH 2 PO 3 ・2H 2 O(103.9mg、0.69mmol)、及び2-メチル-2-ブテン(0.13ml 、1.15mmol)を、t-ブタノール(0.35ml)及び水(0.12ml) の混合溶媒に溶解し、さらにNaClO 2 (41.6mg、0.46mmol)を添加した。この反応液を室 で10分間撹拌した後、pH7.0のリン酸緩衝液を えて反応を停止させた。そして、有機物を 酸エチルで3回抽出した後、有機層(酢酸エ ル層)を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。 の後、有機層を濾過し、溶媒を減圧留去し 。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ ー(酢酸エチル:ヘキサン=1:3)で精製し、上記 構造式(7)で表される化合物(53.8mg)を収率96%で た。分光データは文献(P. Camps, D. Munoz-Torre ro, L. Sanchez.; Tetrahedron Asymmetry; 2004, 15, p.2 039)と一致していた。

 この構造式(7)で表される化合物を、例え 文献(P. Camps, D. Munoz-Torrero, L. Sanchez.; Tetr ahedron Asymmetry; 2004, 15, p.2039)に記載されて るようにラネーニッケル触媒を用いて還元 ることで、上記構造式(8)で表されるバクロ ェンを得ることができる。

 このように、不斉触媒マイケル反応によ 上記構造式(6)で表される化合物を得た後は 僅か2段階の反応でバクロフェンを得ること ができる。

<試験例6>
 下記反応式に示すように、下記構造式(9)で される化合物とニトロメタンとを、触媒1’ の存在下で反応させ、得られた下記構造式(10 )で表される化合物を酸化して下記構造式(11) 表される化合物を得た後、該構造式(11)で表 される化合物を還元することで、下記構造式 (12)で表される医薬化合物(プレガバリン)を得 た。

 具体的に、上記構造式(10)で表される化合 物は、触媒1の代わりに触媒1’を用いたほか 、試験例2のエントリー12と同様にして得た そして、試験例5と同様にして、上記構造式 (11)で表される化合物(662.6mg)を収率79%で得た 上記構造式(11)で表される化合物の同定結果( NMR、IR、HRMS)を以下に示す。

1 H NMR(CDCl 3 ):δ0.90(6H, t, J=7.2Hz), 1.30(2H, dt, J=2.8, 7.2Hz), 1.61-1.72(1H, m), 2.51(2H, d, J=6.4Hz), 2.68(1H, quin t, J=6.8Hz), 4.45(1H, dd, J=6.0, 12.0Hz), 4.51(1H, dd , J=6.4, 12.0Hz);
13 C NMR(CDCl 3 ):δ22.2, 22.5, 25.0, 31.8, 35.6, 40.4, 78.5, 177.1;
IR(neat):ν3159, 2960, 1712, 1553, 1383cm -1 ;
HRMS(ESI):[M-H] 計算値C 8 H 14 NO 4 :188.0917, 実測値:188.0919;
[α] D 22  +6.3(c=0.69, MeOH).

 次いで、この構造式(11)で表される化合物 (68.1mg、0.36mmol)をメタノール(0.36ml)に溶解し、 さらに10% PD/C(20.4mg)を添加した。この反応液 水素雰囲気下、室温にて48時間撹拌した後 セライト濾過し、溶媒を減圧留去した。白 の残渣をヘキサンで洗浄し、上記構造式(12) 表されるプレガバリン(53.5mg)を収率93%で得 。化合物の同定は、文献((a)R. Andruszkiewicz an d R. B. Silverman; Synthesis; 1989, 12, p.953、(b)M.  J. Burk, P. D. De Koning, T. M. Grote, M. S. Ho ekstra, G. Hoge, R. A. Jennings, W. S. Kissel, T.  V. Le, I. C. Lennon, T. A. Mulhern, J. A. Ramsden,  R. A. Wade; J. Org. Chem.; 2003, 68, p.5731、(c)M . S. Hoekstra, D. M. Sobieray, M. A. Schwindt, T.  A. Muthern, T. M. Grote, B. K. Huckabee, V. S. Hen drickson, L. C. Flanklin, E. J. Granger, G. L. Karr ick; Org. Proc. Res. Dev.; 1997, 1, p.26)に基づい て行った。

 このように、不斉触媒マイケル反応によ 上記構造式(10)で表される化合物を得た後は 、僅か2段階の反応でプレガバリンを得るこ ができた。