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Title:
PROCESS FOR PRODUCTION OF ETHYLENE-VINYL ALCOHOL COPOLYMER COMPOSITION, AND PROCESS FOR PRODUCTION OF ETHYLENE-VINYL ALCOHOL COPOLYMER PELLET
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/084510
Kind Code:
A1
Abstract:
A solution of an ethylene-vinyl alcohol copolymer in an alcohol having 4 or less carbon atoms is contacted with an aqueous solution containing at least one additive selected from a carboxylic acid compound, a boron compound and a phosphoric acid compound to cause the replacement of a part or the whole of the alcohol by water, thereby producing an ethylene-vinyl copolymer composition containing the additive. This process enables an alcohol in a solution of an ethylene-vinyl alcohol copolymer in the alcohol to be replaced by water efficiently, and also enables a thermal stabilizer to be contained in the solution uniformly.

Inventors:
FUJIMURA KEISUKE (JP)
BENIYA YASUFUMI (JP)
HARAO AKIO (JP)
NAGAO YOSHIHARU (JP)
OKAMOTO SHINJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/073331
Publication Date:
July 09, 2009
Filing Date:
December 22, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON SYNTHETIC CHEM IND (JP)
FUJIMURA KEISUKE (JP)
BENIYA YASUFUMI (JP)
HARAO AKIO (JP)
NAGAO YOSHIHARU (JP)
OKAMOTO SHINJI (JP)
International Classes:
B29B9/12; C08L29/04; C08J3/21; C08K3/32; C08K3/38; C08K5/09; C08K5/55
Domestic Patent References:
WO2004009313A12004-01-29
Foreign References:
JPH1180253A1999-03-26
JPH11152307A1999-06-08
JP2001011191A2001-01-16
JP2001098080A2001-04-10
JP2002080606A2002-03-19
JP2002121290A2002-04-23
JP2002284811A2002-10-03
JP2005538243A2005-12-15
JP2007063428A2007-03-15
Other References:
See also references of EP 2230274A4
Attorney, Agent or Firm:
SAITOH, Yukihiko et al. (2-7 Minamimorimachi 2-chome,Kita-ku, Osaka-sh, Osaka 54, JP)
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Claims:
 エチレン-ビニルアルコール共重合体の炭素数4以下のアルコール溶液を、カルボン酸化合物、ホウ素化合物、リン酸化合物から選ばれる少なくとも一種の添加剤の水溶液と接触させ、前記アルコールの一部または全部を水に置換することによって、前記添加剤を含有するモチ状のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物を回収することを特徴とするエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物の製造方法。
 容器内で攪拌しながら行うことを特徴とする請求項1記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物の製造方法。
 炭素数4以下のアルコールがメタノールであることを特徴とする請求項1または2記載のエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物の製造方法。
 請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法で得られたエチレン-ビニルアルコール共重合体組成物を押出機内で溶融混練し、吐出後、切断することを特徴とするエチレン-ビニルアルコール共重合体ペレットの製造方法。
Description:
エチレン-ビニルアルコール共重 合体組成物の製造方法、およびエチレン-ビ ルアルコール共重合体ペレットの製造方法

 本発明は、エチレン-ビニルアルコール共 重合体(以下、EVOHと略記する。)組成物の製造 方法およびEVOHペレットの製造方法に関し、 らに詳しくは、カルボン酸化合物、ホウ素 合物、リン酸化合物から選ばれるEVOHに熱安 性を付与する添加剤を含有するEVOH組成物の 製造方法およびエチレン-ビニルアルコール 重合体ペレットの製造方法に関する。

 EVOHは、透明性、酸素等のガスバリア性、 保香性、耐溶剤性、耐油性、機械強度などに 優れており、フィルム、シート、ボトルなど に成形され、食品包装材料、医薬品包装材料 、工業薬品包装材料、農薬包装材料等の各種 包装材料として広く用いられている。

 EVOHは、通常、エチレンと酢酸ビニルなどの 脂肪酸ビニルエステルとの共重合によって得 られるエチレン-ビニルエステル共重合体を アルカリ触媒の存在下、メタノールなどの ルコールを溶媒として、高温高圧下でケン して製造される。
 従来、ケン化工程で得られた高温高圧下のE VOHアルコール溶液は、常圧で安定なEVOHの水/ ルコール混合溶液とされ、水を主体とする 温の凝固浴中に押出し、ストランド状に析 させてから切断、ペレット化後乾燥されて 品とされていた。
 なお、かかる製造法で得られたEVOHペレット は多孔質であり、各種添加剤、特に熱安定化 剤を配合する場合には、かかるペレットをカ ルボン酸化合物、ホウ素化合物、リン酸化合 物などの熱安定化剤の水溶液中に浸漬し、こ れらをペレット内部に含浸して乾燥させる方 法が広く用いられている。

 しかしながら、かかるEVOHの製造法におい ては、EVOHの水/アルコール溶液を凝固浴中に し出してストランド化する際に凝固浴にア コールが流出し、さらにこれが空気中に揮 し、作業環境を悪化させる原因となるとい 問題点を有していた。

 そこで上記の問題を解決する方法として EVOHのアルコール溶液を装置に導入し、装置 内で水と接触させてアルコールと水を置換し EVOH含水組成物とする工程(工程1)、得られたEV OH含水組成物をペレット化する工程(工程2)、 かるペレットを乾燥する工程(工程3)、含水 が低減されたペレットを押出機で溶融混練 る工程(工程4)、押出機から吐出されたEVOHを 切断してペレットとする工程(工程5)、からな るEVOHペレットの製造方法(例えば、特許文献1 参照。)が提案された。

WO2004/009313号公報

 特許文献1に記載のEVOHペレットの製造方法 、EVOHのアルコール溶液から除去されたアル ールを開放状態にさらすことなく回収する とが可能であり、作業環境を悪化させるこ がない点で優れたものである。
 通常、EVOHには、溶融成形時の熱安定性を向 上させるため、カルボン酸化合物、ホウ素化 合物、リン酸化合物などの熱安定化剤が配合 されるが、かかる特許文献1においては、EVOH に熱安定化剤を含有させる方法として、工 2で得られたペレットを熱安定化剤の水溶液 中に浸漬し、これを含有させる方法と、工程 4の押出機での溶融混練工程時に熱安定化剤 添加する方法が開示されている。しかしな ら、特許文献1に記載の発明における工程2で 得られたペレットは凝固法で得られたもので はなく、多孔質ではないため、熱安定化剤が 充分にペレット中に含浸されず、その効果が 充分得られない場合があった。
 また、工程5の溶融混練時に配合する場合は 、溶融混練の初期段階ではまだ熱安定化剤が 充分に全体に行き渡っておらず、その際の熱 履歴によって得られたペレットが若干着色す る場合があった。

 すなわち本発明は、アルコールを開放状 にさらすことがないEVOHの製造方法であって 、熱安定化剤をEVOH中に均一に分散させるこ が可能で、熱安定性に優れ、着色が低減さ たEVOH組成物の製造方法およびEVOHペレットの 製造方法を提供することを目的とするもので ある。

 本発明者は、上記事情に鑑み、鋭意検討 た結果、EVOHの炭素数4以下のアルコール溶 を、カルボン酸化合物、ホウ素化合物、リ 酸化合物から選ばれる少なくとも一種の添 剤を含有する水溶液と接触させ、前記アル ールの一部または全部を水に置換するとと に、前記添加剤を含有させることを特徴と るEVOH組成物の製造方法によって上述の目的 達成されることを見出し、本発明を完成し 。

 すなわち本発明は、EVOHの製造法において 、エチレン-ビニルエステル共重合体をケン して得られるEVOHのアルコール溶液中に水を 触させ、かかるアルコール溶液中のアルコ ルを水に置換して、EVOHの水/アルコール混 溶液、あるいはさらに置換と脱水を進めてEV OH含水組成物とする工程において、水としてE VOHの熱安定化剤として働く添加剤の水溶液を 用いることで、かかる添加剤をEVOH中に効率 く含有させることを特徴とするものである

 本発明の製造方法を用いれば、熱安定化 を均一にEVOH中に含有させることが可能であ るため、着色が少ないペレットが得られ、そ の熱安定性も良好であり、溶融成形時にゲル やフィッシュアイの発生が極めて少ない。

 以下に記載する構成要件の説明は、本発明 実施態様の一例(代表例)であり、これらの 容に特定されるものではない。
 以下、本発明について詳細に説明する。

 まず、本発明に用いられるEVOHについて説明 する。
 本発明に用いられるEVOHは、エチレン構造単 位とビニルアルコール構造単位を主成分とし 、ケン化度によって若干量のビニルエステル 構造単位を含むものであり、通常、酢酸ビニ ルなどの脂肪酸ビニルエステルとエチレンを 共重合して得られたエチレン-ビニルエステ 共重合体をケン化して得られるものである

 EVOH中のエチレン含有量としては、通常2~80 ル%のものが用いられる。
 特に、EVOHに溶融成形性を求める場合には、 通常10~60モル%のものが用いられ、さらには20~ 55モル%、特に25~50モル%のものが好ましく用い られる。かかるエチレン含有量が少なすぎる と熱分解温度と融点が近くなりすぎ、良好な 溶融成形が困難になる傾向にあり、逆に多す ぎるとガスバリヤー性が低下する傾向にある 。

 また、EVOHを水溶性樹脂として使用する場合 には、かかるエチレン含有量が通常2~20モル% ものが用いられ、さらには3~10モル%のもの 好ましく用いられる。かかるエチレン含有 が多すぎると水溶性が低下する傾向にある かかる低エチレン含有量のEVOHは、水溶液と 、ガスバリア性塗膜形成用のコート剤など して有用である。
 また、EVOH中の酢酸ビニル成分のケン化度は 通常80モル%以上であり、ガスバリア性が必要 とされる場合には高ケン化度のものが好まし く、通常は95モル%以上、好ましくは98モル%以 上である。かかるケン化度が小さすぎるとガ スバリア性や耐湿性が低下する傾向にある。

 また、EVOHの重合度は、その用途に応じて適 宜選択すればよいが、溶融成形して使用する 場合には、通常、そのメルトフローレート(MF R)(210℃、荷重2160g)値として0.5~100g/10分であり さらには1~50g/10分、特には3~35g/10分のものが 好ましく用いられる。かかるMFRが小さすぎる と、溶融成形時に押出機内が高トルク状態と なって押出加工が困難になることがあり、逆 に大きすぎると、溶融成形によってえられる シートやフィルムの厚み精度を上げることが 難しくなる。
 かかるEVOHは、通常、脂肪酸ビニルエステル 化合物とエチレンを共重合して得られたエチ レン-ビニルエステル共重合体をケン化して られ、かかるエチレン-ビニルエステル共重 体は、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、バ ク重合などの公知の重合法によって得られ ものであり、中でも溶液重合が好ましく用 られる。

 かかる脂肪酸ビニルエステル系化合物とし はギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸 ニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イ 酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸 ニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビ ル等が挙げられるが、中でも経済的にみて 酸ビニルが好ましく用いられる。
 また、共重合体中にエチレンを導入する方 としては通常のエチレン加圧重合を行えば く、その導入量はエチレンの圧力によって 御することが可能であり、所望するエチレ 含有量により一概にはいえないが、通常は2 5~80kg/cm 2 の範囲から選択される。

 また、エチレンと脂肪酸ビニルエステル 合物以外に、EVOHに要求される特性を阻害し ない範囲で共重合可能なエチレン性不飽和単 量体を共重合していてもよく、かかる単量体 としては、プロピレン、1-ブテン、イソブテ 等のオレフィン類、3-ブテン-1-オール、4-ペ ンテン-1-オール、5-ヘキセン-1-オール、3,4-ジ ヒドロキシ-1-ブテン、5-ヘキセン-1,2-ジオー 等のヒドロキシ基含有α-オレフィン類や、 のエステル化物などの誘導体、例えば、3,4- アセトキシ-1-ブテン、アクリル酸、メタク ル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水) マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸 あるいはその塩あるいは炭素数1~18のモノま たはジアルキルエステル類、アクリルアミド 、炭素数1~18のN-アルキルアクリルアミド、N,N -ジメチルアクリルアミド、2-アクリルアミド プロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリ ルアミドプロピルジメチルアミンあるいはそ の酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミ 類、メタクリルアミド、炭素数1~18のN-アル ルメタクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリ アミド、2-メタクリルアミドプロパンスル ン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプ ピルジメチルアミンあるいはその酸塩ある はその4級塩等のメタクリルアミド類、N-ビ ルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、N-ビ ルアセトアミド等のN-ビニルアミド類、ア リルニトリル、メタクリルニトリル等のシ ン化ビニル類、炭素数1~18のアルキルビニル ーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテ 、アルコキシアルキルビニルエーテル等の ニルエーテル類、塩化ビニル、塩化ビニリ ン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭 ビニル等のハロゲン化ビニル類、トリメト シビニルシラン等のビニルシラン類、酢酸 リル、塩化アリル、アリルアルコール、ジ チルアリルアルコール、トリメチル-(3-アク リルアミド-3-ジメチルプロピル)-アンモニウ クロリド、アクリルアミド-2-メチルプロパ スルホン酸、ビニルエチレンカーボネート グリセリンモノアリルエーテル等が挙げら る。

 溶液重合に使用される溶媒としては、エ レンと脂肪酸ビニルエステル化合物、およ その重合生成物であるエチレン-ビニルエス テル共重合体を溶解するものであることが必 要であり、通常は炭素数が4以下のアルコー が用いられ、具体的には、メタノール、エ ノール、n-プロピルアルコール、イソプロピ ルアルコール、t-ブチルアルコールなどが挙 られ、特にメタノールが好ましい。

 得られた共重合体は、次いでケン化される であるが、かかるケン化にあたっては、上 で得られた共重合体が炭素数4以下のアルコ ール又は含水アルコールに溶解された状態で 、アルカリ触媒又は酸触媒を用いて行われる 。炭素数4以下のアルコールとしては、メタ ール、エタノール、プロパノール、tert-ブタ ノール等が挙げられるが、重合時に用いた溶 媒と同じにすると、溶媒置換の必要がなくな り、回収再利用の処理も併せて行えることか ら効果的であり、重合溶媒と同様のメタノー ルが特に好ましく用いられる。
 ケン化に使用される触媒としては、水酸化 トリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメ ラート、ナトリウムエチラート、カリウム チラート、リチウムメチラート等のアルカ 金属の水酸化物やアルコラートの如きアル リ触媒、硫酸、塩酸、硝酸、メタスルフォ 酸、ゼオライト、カチオン交換樹脂等の酸 媒が挙げられるが、通常は水酸化ナトリウ を用いることが多い。

 かかるケン化反応は、公知の方法で行うこ が可能であるが、鹸化時のアルカリ触媒量 低減できることや鹸化反応が高効率で進み い等の理由より、塔型装置を用い加熱加圧 で行なうことが好ましい。
 かかるケン化反応によって得られたEVOHのア ルコール溶液は、通常EVOH100重量部に対し、 素数4以下のアルコールを通常300重量部以上 特に400~900重量部含有するものである。

 かくして得られたEVOHのアルコール溶液は 、次いで、これに水を接触させ、かかるアル コールを水に置換して、EVOHの水/アルコール 合溶液とし、さらに必要に応じて置換と脱 を進めてEVOH含水組成物とされるわけである が、本発明の製造方法は、かかる工程におい て、水に代えてカルボン酸化合物、ホウ素化 合物、リン酸化合物なから選ばれる少なくと も一種の添加剤を含有する水溶液を用いるこ とによって、これらのEVOHに熱安定化効果を 与する添加剤を含有させることを特徴とす ものである。

 かかる工程は、通常、容器にEVOHのアルコー ル溶液と水を導入し、両者を接触させて行わ れるが、その方法としては連続式、回分式の いずれであってもよく、容器の形状も特に限 定されず、塔型、槽型などの公知の容器を用 いることができる。
 特に、かかる置換工程を、まず、塔型装置 行い、ついで槽型容器にて攪拌しながら行 ことによって、効率的にアルコールと水と 置換され、さらに効率的に含水量が低減さ て、低アルコール含有量、かつ、低含水量 EVOH組成物を得ることができる。
 以下、かかる塔型装置による方法と槽型容 により攪拌しながら行う方法を順次行う製 について、詳細に説明する。

 まず、塔型装置によるアルコール-水置換に ついて説明する。
 塔型装置としては、多孔板塔、泡鐘塔など 棚段塔や充填塔を挙げることができるが、 分子溶液のような粘度をもつ溶液の場合、 理効率の点で棚段塔が好ましく、中でも多 板塔が好ましく用いられる。棚段塔の場合 その段数は通常2~20段、特に5~15段のものが ましく用いられる。また、棚段塔以外の場 もこれと等価あるいはこれ以上の効率をも ものが用いられる。
 かかる塔型装置にEVOHのアルコール溶液と水 とが導入され、両者が接触することによって アルコールの一部が水に置換され、EVOHの水/ ルコール溶液、および水とアルコールの混 物が塔型装置から導出される。かかるEVOHの アルコール溶液と水との接触は、向流、並流 のいずれでも可能であるが、置換効率の点か ら向流で接触させることが好ましい。
 また、水としては熱水あるいは水蒸気が用 られ、特に水蒸気として装置中に導入され ことが好ましい。

 塔型装置へのEVOHのアルコール溶液、水の導 入位置、およびEVOHの水/アルコール混合溶液 水/アルコール混合物の導出位置は特に限定 されるものではないが、例えば、EVOHのアル ール溶液を塔上部から導入し、水蒸気を塔 部から導入して前記溶液と向流接触させ、 ルコール蒸気を水蒸気とともに塔上部から 出し、EVOHの水/アルコール溶液を塔下部から 導出する方法が好ましい。
 なお、棚段塔を用いる場合のEVOHアルコール 溶液の供給位置は、通常塔頂部よりも2~4段下 であり、かかる供給位置よりも上の段には水 を供給したり、水蒸気の導出量を調整したり して棚上に水層を形成することが、塔上部か ら導出される水とアルコールの混合蒸気中へ のEVOH等の飛沫の同伴を防ぎ、蒸気の移送管 凝縮器中の汚染を防止することができるた 好ましい。また、水蒸気の供給位置は、通 、塔底部であるが、それよりも1~2段上であ ても構わない。なお、かかる塔から導出さ たアルコールと水との混合蒸気は、凝縮器 どを用いて液化し、分離精製して再使用す ことが可能である。

 かかる水蒸気の導入量は、少なすぎると ルコールとの置換効率が悪く、逆に多すぎ とコスト面で不利となるので、EVOH溶液の導 入量に対して通常0.01~30倍(重量比)であり、よ り好適には0.05~10倍、さらには0.07~5倍である かかる水蒸気は前述の塔から導出されたア コールと水の混合蒸気を精製したものを再 用したものであってもよく、若干量のアル ールを含む混合蒸気であっても構わないが その含有量は水蒸気100重量部に対して10重量 部以下であり、水-アルコールの置換効率の 点からは、アルコールの含有量がより少な 、理想的には全く含まないものが好ましい

 塔型装置内の温度は、通常は40~160℃、より 適には60~150℃、さらには70~140℃である。か る温度が低すぎると、装置内でのEVOH溶液の 粘度が高くなり、置換効率が低下する場合が あり、逆に温度が高すぎると、EVOHが劣化す 傾向がある。
 塔型装置内の圧力は、通常は0~1MPaGであり、 より好ましくは0~0.6MPaG、さらに好ましくは0~0 .3MPaGである。かかる圧力が低すぎると置換効 率が低下し、また、高すぎると装置内の温度 が上昇してEVOHが熱劣化しやすくなる。

 かかる工程を経て、塔型装置から導出さ るEVOHの水/アルコール溶液は、EVOH100重量部 対するアルコールの含有量が10重量部以上 あることが好ましく、特に10~200重量部、さ に10~150重量部、殊に10~100重量部含有するも が好ましい。また、かかるEVOHの水/アルコー ル溶液中の水の含有量は、EVOH100重量部に対 て、50~200重量部であることが好ましく、特 60~150重量部、さらには70~100重量部含有する のが好ましい。かかるアルコールおよび水 含有量が多すぎると、次いで行われる攪拌 換工程に負担がかかるため好ましくない。 た、アルコールや水の含有量が少なすぎる 粘度が高くなって、塔型装置後半の置換効 が低下したり、塔型装置からの導出が困難 なる場合がある。

 かくして得られたEVOHの水/アルコール溶 は、次の段階にて、槽型容器中で攪拌しな ら水と接触させることにより、アルコール 水に置換され、アルコールの含有量が減少 るにしたがって、EVOH中の水が排出され、低 水量のEVOH含水組成物が得られる。

 ここで用いられる容器としては、攪拌装置 備えているものであれば、その形状は特に 定されないが、ジャケット等の温度調節手 を備えたものや、密閉して加圧状態にする とが可能であるものが望ましい。
 攪拌装置における攪拌翼の形状としては、 粘度となるEVOH組成物を攪拌できるものであ れば、どのようなものであっても構わないが 、例えば、パドル翼、ダブルヘリカルリボン 翼、アンカー翼、プロペラ翼、マックスブレ ンド翼などを挙げることができる。また、攪 拌は連続であっても、断続的におこなっても 構わない。

 かかる容器への水の供給は、連続的ある は断続的に行われ、熱水であっても水蒸気 あってもよく、その導入量は、少なすぎる アルコールとの置換効率が悪く、逆に多す ると容器からの導出速度がおいつかず、非 済的なので、容器に供給されたEVOH100重量部 に対して通常0~35重量部/hr、特に10~32重量部/hr 、さらには14~23重量部/hrである。なお、EVOHを 容器内に連続的に供給する場合には、EVOH100 量部/hrに対し、通常水を50~500重量部/hr供給 、特に100~400重量部/hr、さらに150~300重量部/hr の範囲が好ましく用いられる。

 なお、かかる容器内に供給された水は、 脂中から排出されたアルコールとともに容 外に導出されるが、その機構としては、容 の上部からオーバーフローさせる方法、あ いは水とアルコールの混合蒸気として導出 る方法などが挙げられ、その両方を併せて うことが好ましい。

 容器内の温度は通常は40~140℃、より好適に 60~120℃、さらには80~100℃である。かかる温 が低すぎると、系の流動性が低下し、次工 への移送が困難になる場合があり、逆に高 ぎると、EVOHが劣化する場合があるので好ま しくない。
 容器内の圧力は通常は常圧で行われるが、 圧状態にしてもよく、通常は0~1MPaG、特に0~0 .6MPaG、さらには0~0.3MPaGの圧力が好ましく用い られる。かかる圧力が高すぎると容器内の温 度が上昇してEVOHが熱劣化しやすくなる傾向 ある。

 こうして得られるEVOH組成物は、EVOH100重量 に対して好ましくは水を20~100重量部含有す ものであり、特に30~90重量部、さらには40~80 量部含有するものである。また、除去しき なかったアルコールを含有していても構わ 、その含有量は、EVOH100重量部に対して通常 10重量部未満である。
 かかるEVOH組成物中の水、およびアルコール の含有量は、上述の攪拌容器でのアルコール -水置換の各種条件によって制御することが 能であるが、通常は、攪拌容器中のEVOH組成 中のアルコールの含有量をモニターし、こ がEVOH100重量部に対して10重量部未満となっ 時点を終点とすることが好ましい。

 なお、かかる容器内攪拌による置換は塔 装置から得られるEVOHの水/アルコール溶液 連続して供給する連続式であっても、一定 毎に供給するバッチ式であってもよく、バ チ式の場合には一段階でも充分可能である 、容器を直列に並べ、複数段で行うことに り、滞留時間の調整や、樹脂分の微調整が 能となり、さらには、後述の添加剤の配合 容器毎に行うことができる点などから有用 ある。

 本発明の製造方法においては、上述の工程 おいて、水としてカルボン酸化合物、ホウ 化合物、リン酸化合物から選ばれる少なく も一種の添加剤の水溶液を用いるところに 徴がある。この、添加剤水溶液を用いた水- アルコール置換は、上述の塔型装置による方 法、槽型容器での攪拌による方法のいずれに も適用できるが、特に、後者への適用が効果 的である。
 この場合の、水溶液中における各化合物の 有量は、後述する最終的なEVOH中の好ましい 含有量となるように適宜設定すればよいが、 通常、カルボン酸化合物が10~500ppm、ホウ素化 合物が1~50ppm、リン酸化合物が10~50ppmの範囲か ら選定される。

 かかるカルボン酸化合物としては、通常は 素数が2~4のカルボン酸化合物が好ましく、 た、1価あるいは2価のものが好ましく用い れる。具体的には、シュウ酸、コハク酸、 息香酸、クエン酸、酢酸、プロピオン酸、 酸などが例示され、これらの中でも、コス 、入手の容易さなどの面から、酢酸および ロピオン酸が好ましく用いられる。
 本発明で得られるEVOHペレット中のカルボン 酸化合物の含有量は、少なすぎると溶融成形 時に着色が発生することがあり、また多すぎ ると溶融粘度が高くなることがあるので、通 常は10~5000ppmであり、特に30~3000ppm、さらに50~2 000ppmが好ましい範囲である。

 ホウ素化合物としては、ホウ酸、ホウ酸 ステル、ホウ酸塩などのホウ酸類、水素化 ウ素類などが挙げられ、これらに限定され ものではないが、特にホウ酸あるいはホウ 塩が好ましく用いられる。具体的には、ホ 酸類としては、オルトホウ酸、メタホウ酸 四ホウ酸などが挙げられ、ホウ酸エステル してはホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチ などが挙げられ、ホウ酸塩としては上記の 種ホウ酸類のアルカリ金属塩、アルカリ土 金属塩、ホウ砂などが挙げられる。これら 化合物の中でもオルトホウ酸(以下、単にホ ウ酸と記す。)が好ましい。本発明で得られ EVOHペレット中のホウ素化合物の含有量は、 常、ホウ素換算で10~3000ppmであり、特に50~200 0ppmが好ましい範囲として用いられる。かか ホウ素化合物の含有量が少なすぎると熱安 性の改善効果が少なく、また、多すぎると ル化の原因となったり、成形性不良となる 向がある。

 リン酸化合物としては、リン酸、亜リン酸 どの各種の酸やその塩などが例示される。 ン酸塩としては第一リン酸塩、第二リン酸 、第三リン酸塩のいずれの形で含まれてい もよく、そのカチオン種も特に限定される のではないが、アルカリ金属塩、アルカリ 類金属塩であることが好ましい。中でもリ 酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウ 、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二 リウムの形でリン酸化合物を添加すること 好ましい。本発明で得られるEVOHペレット中 のリン酸化合物の含有量は、通常、リン酸根 換算で1~1000ppmである。かかる範囲となるよう に添加することで、成形物の着色およびゲル やフィッシュアイの発生を抑制することでき 、かかる含有量が少なすぎると溶融成形時が 着色しやすくなる傾向が見られ、逆に多すぎ ると成形物のゲルやフィッシュアイが発生し やすくなる場合がある。
 なお、これらの添加剤は、それぞれ単独で いても良いが、併用することが好ましい実 態様である。

 かくして得られた、EVOH組成物は、従来法と 同様に凝固浴に押し出してストランド状に凝 固させ、これを切断してペレット化し、乾燥 後、製品とすることも可能であり、含水量が 少ないことから、効率的に処理できることが 期待される。
 しかしながら、本発明で得られたEVOH組成物 は、含水量が少ないという特徴を活かす方法 として、これを押出機に供給し、溶融混練し た後、該組成物を押出機から吐出し、切断し てペレット化することによって、容易にEVOH レットを得ることが好ましい実施態様であ 。

 かかる押出機としては単軸押出機や二軸 出機が挙げられるが、中でもスクリューの 転方向が同方向の二軸押出機が適度なせん により充分な混練が得られる点でより好ま い。かかる押出機のL/Dは、通常10~80であり 特に15~70、さらには15~60であるものが好まし 用いられる。かかるL/Dが小さすぎると、練 が不充分で吐出が不安定となる傾向があり 逆に大きすぎると過度のせん断を与えるこ により好ましくないせん断発熱を引き起こ 傾向がある。

 押出機のスクリュー回転数は、通常、10~4 00rpmであり、特に30~300rpm、さらには50~250rpmの 囲が好ましく用いられる。かかる回転数が さすぎると吐出が不安定となる傾向があり また、大きすぎると好ましくないせん断発 によって樹脂の劣化の原因と成る場合があ 。

 押出機内における樹脂温度は、通常は80~250 で行われる。特に、かかる押出工程におい 、EVOH組成物の含水率を極力低減させたい場 合には、120~250℃、好ましくは150~230℃の温度 囲で行われる。かかる樹脂温度が高すぎる EVOHが熱劣化しやすくなる傾向にあり、逆に 低すぎるとEVOHが充分に溶融状態とならず、 好な混練がなされないため、例えば、前工 で添加した添加剤の含有状態が均一になら かったり、押出が良好に行なわれなかった 、あるいは含水率の低減が不充分となり、 出後のストランドあるいはペレット中に水 が残存することにより、発泡の原因となる 合がある。
 また、EVOHの熱劣化を極力抑制するために、 含水量を維持しながら行いたい場合には、80~ 105℃、特に85~100℃、さらには90~100℃の樹脂温 度で行われる。
 かかる樹脂温度の調整方法は特に限定され いが、通常は、押出機内シリンダーの温度 適宜設定する方法が用いられる。

 かかる押出機での溶融混練においては、 水状態であるEVOHを溶融混練するため、押出 機の少なくとも一箇所から水あるいは水蒸気 を排出することが好ましい。かかる排出手段 としては、特に限定されるものではないが、 押出機のシリンダーに設けられた脱水孔、ベ ント口あるいは脱水スリットから排出する方 法が挙げられる。脱水スリットとしては、ウ ェッジワイヤー式脱水スリットやスクリーン メッシュ式脱水スリットが好適なものとして 挙げられ、ベント口としては、真空ベントや オープンベントが挙げられる。中でも、脱水 スリットは、水、水蒸気のいずれも排出する ことができ、樹脂の付着や漏出が少ないこと から好ましく用いられる。なお、かかる排出 手段は、複数用いてもよく、その場合には同 一の種類のものであっても、異なるものを組 み合わせて用いても良い。

 なお、前述の添加剤を押出機内で添加する とも可能である。かかる添加剤を添加する 合、押出機への添加位置は、EVOHが溶融状態 である位置であることが好ましく、1箇所ま は2箇所以上から押出機に添加することが好 しい。
 また、かかる添加剤の形態は特に限定され 、粉末状やペースト状、あるいは液体に分 させた状態や溶液として添加する方法を挙 ることができる。なかでも、溶液として添 する方法が、均一かつ定量的に添加できる め好ましく、かかる液体としては取扱いが 易で、安全であることから、水が好適であ 。

 押出機から吐出されたEVOH樹脂をペレット 化する方法は特に限定されないが、前記樹脂 組成物をダイスからストランド状に押出し、 冷却の後、適切な長さにカットする方法が用 いられる。かかる冷却の方法としては、特に 限定されないが、押し出された樹脂の温度よ りも低温に保持された液体に接触させる方法 や、冷風を吹き付ける方法が好ましく用いら れ、前述の液体としては水が好ましく用いら れる。かかるペレットの形状は通常、円筒状 であり、その大きさは、後に成形材料として 用いる場合の利便性の観点から、ダイスの口 径は2~6mmφ、ストランドのカット長さは1~6mm程 度が好適に用いられる。なお、押出機から吐 出されたEVOHがまだ溶融状態である間に、大 中あるいは水中でカットする方法も好適に いられる。

 かかる押出機による溶融混練で得られた レットは、押出機内で充分に水分が除去さ たものであれば、そのまま製品とすること できるが、その水分除去が不充分である場 には、乾燥工程に供することで余分な水分 除くことができる。かかる乾燥方法として 特に限定されないが、静置乾燥法、流動乾 法などが好適な方法として挙げられ、異な 乾燥方法による多段階の乾燥工程で行うこ も可能であり、特に、一段階目に流動乾燥 、二段階目に静置乾燥法で乾燥する方法が 調の点で好適である。

 なお、かかる押出機での溶融混練において 、前工程で得られたEVOH含水組成物として、 重合度、エチレン含有量、ケン化度などが異 なる二種以上のEVOH含水組成物をブレンドし 溶融成形することも可能である。また、他 各種可塑剤、滑剤、安定剤、界面活性剤、 剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、乾燥剤、 橋剤、金属塩、充填剤、各種繊維などの補 剤などを適量添加して溶融混練することも 能である。
 このようにして得られたEVOHペレットは、押 出成形、射出成形などの溶融成形によって、 フィルム、シート、カップ、ボトルなどの成 形体に成形され、食品、医薬品、工業薬品、 農薬などの包装用途に用いられる。

 以下に、本発明を実施例を挙げて説明する 、本発明はその要旨を超えない限り、実施 の記載に限定されるものではない。
 尚、例中、「部」、「%」とあるのは、断り のない限り重量基準を意味する。

〔実施例1〕
 上部にEVOH溶液供給管と水/アルコール排出 、頂部に蒸気排出管を有し、一方、下部に 溶液供給管、底部にEVOH抜出管を有する、加 ジャケットとパドル式攪拌翼を備えた密閉 容器を用いて実験を行った。
 まず、上部のEVOH溶液供給管より、エチレン 含有量29モル%、ケン化度99.5モル%のEVOH100重量 部に対し、水を75重量部、メタノールを75重 部、酢酸を0.3重量部、ホウ酸を0.1重量部含 するEVOH溶液を250重量部/hrで上部より供給し 酢酸を0.05%、リン酸ナトリウムを0.04%、リン 酸カルシウムを0.005%、ホウ酸を0.007%含有する 水溶液を250重量部/hrで下部より連続的に供給 し、攪拌しながら両者を連続的に接触させた 。容器上部から液状の水/アルコール混合物 オーバーフローで排出し、水/メタノール混 蒸気は上部配管から抜き出した。
 なお、容器内の温度は90~100℃となるように ャケットとコイルで調整し、圧力は0.05MPaG なるように上記抜き出し配管に備えたバル で調整した。
 容器底部より、モチ状となったEVOH含水組成 物を、容器内部での滞留時間が1~3時間となる ようにバルブで調整しながら取り出した。得 られたEVOH含水組成物はEVOH100重量部に対し、 を43重量部、メタノールを2重量部含有する のであった。

 得られたEVOH含水組成物を二軸押出機に連続 的に投入し、溶融混練を行った。EVOH含水組 物の単位時間あたりの投入量は4kg/hrであっ 。二軸押出機の仕様を以下に示す。
L/D      42
口径       30mmφ
スクリュー    同方向完全噛み合い型
回転数      90rpm
シリンダー温度  95℃
ダイス温度    95℃
ダイス口径    3.5mmφ
 かかる押出機から吐出されたEVOHをウォータ ーバスでストランド状に冷却後、切断してEVO Hペレットを得た。かかるペレットの含水率 18重量%であった。
 得られたペレットを窒素雰囲気下、115℃で 分が0.2%となるまで乾燥を行い、
その着色の程度を目視で観察したが、全く着 色は認められなかった。

〔実施例2〕
 エチレン含有量29モル%、ケン化度99.5モル% EVOH100重量部に対し、メタノールを400重量部 むEVOHメタノール溶液を、10段の棚段塔の塔 から2段目の棚板に80重量部/hrで連続的に供 、水蒸気を最下段の棚板から60重量部/hrで 続的に供給し、EVOHメタノール溶液と水蒸気 を棚段塔内で向流で接触させた。塔内の温 は108℃、塔内の圧力は0.2MPaGであった。かか る棚段塔の塔頂部からメタノール蒸気と水蒸 気を留去し、これらは凝縮器で凝縮し、水/ タノール混合溶液として回収した。また、 段塔の塔底部からは、EVOH100重量部に対し、 タノールを75重量部、水を75重量部含有する EVOHの水/メタノール混合溶液を連続的に抜き した。

 次に、このEVOHの水/メタノール混合溶液を 実施例1で用いたものと同様の容器に80重量 供給し、さらにホウ酸水溶液(3重量%)、酢酸 溶液(10重量%)、リン酸水溶液(80重量%)、リン 酸カルシウム水溶液(1重量%)を、各々、EVOH100 量部に対して0.01重量部、0.05重量部、0.05重 部、0.003重量部となるように添加し、さら 水蒸気をEVOH100重量部に対して60重量部/hr供 し、攪拌しながらEVOHの水/メタノール溶液と 水蒸気を接触させた。容器内の温度は100℃、 圧力は0.3MPaGであった。2時間後、モチ状とな たEVOH組成物(EVOH100重量部に対し、水43重量 、メタノールを3重量部含有)を得た。
 得られたEVOH組成物を実施例1と同様に二軸 出機を用いてペレット化し、同様に乾燥さ たところ、全く着色は認められなかった。

〔比較例1〕
 実施例1において攪拌を行わなかった以外は 同様にして操作を行ったところ、容器底部か ら導出されたEVOH組成物の水分量は35~50%の間 変動し、不均一であった。
 また、実施例1と同様に押出機によってペレ ット化し、同様の条件で乾燥したところ、得 られたペレットは部分的に黄色く着色してい た。

 本発明のEVOH組成物の製造方法は、エチレ ンと脂肪酸ビニルエステルの共重合物をケン 化して得られたEVOHのアルコール溶液から、 ルコールを開放状態にさらすことなく水に 換することが可能な製造方法において、熱 定化剤をEVOH中に均一に含有されることが可 な製造方法であって、かかる製造方法によ て得られたEVOH組成物は、押出機での熱履歴 によってペレットが着色することがない。