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Title:
PROCESSES FOR PRODUCING MODIFIED CARBON-SOURCE OIL AND FOR PRODUCING CARBON MATERIAL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/108056
Kind Code:
A1
Abstract:
A process for producing a modified carbon-source oil at a low treatment cost; and a process for producing a carbon material. A hundred parts by mass of a carbon-source oil comprising either or both of a coal-derived heavy oil and a petroleum-derived heavy oil is mixed with at least 0.01 part by mass of an aqueous alkali solution. At least the resultant solid matter is removed therefrom to thereby produce a modified carbon-source oil. The modified carbon-source oil is used as a raw material to produce a carbon material. Furthermore, a carbon-source oil comprising either or both of a coal-derived heavy oil and a petroleum-derived heavy oil and containing, incorporated therein, the solid matter generated in the process for producing a modified carbon-source oil is used as a raw material to produce a carbon material.

Inventors:
YAMANO MATSUKI (JP)
KAWANO YOICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/000200
Publication Date:
September 12, 2008
Filing Date:
February 12, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON STEEL CHEMICAL CARBON C (JP)
YAMANO MATSUKI (JP)
KAWANO YOICHI (JP)
International Classes:
C10G19/02; C01B31/02; C10B57/04
Foreign References:
JPH06157015A1994-06-03
JPS6076592A1985-05-01
JPS5523112A1980-02-19
Attorney, Agent or Firm:
UCHIDA, Masaru (Kamiogi 1-chomeSuginami-k, Tokyo 43, JP)
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Claims:
 石炭系重質油および石油系重質油のうちから選ばれるいずれかひとつまたは双方からなる炭素原料油100質量部に対してアルカリ水溶液0.01質量部以上を混合し、生成する固形分を少なくとも除去することを特徴とする改質された炭素原料油の製造方法。
 請求項1記載の改質された炭素原料油の製造方法により得られる炭素原料油を原材料に用いることを特徴とする炭素材の製造方法。
 請求項1記載の改質された炭素原料油の製造方法において生成する固形分を配合した、石炭系重質油および石油系重質油のうちから選ばれるいずれかひとつまたは双方からなる炭素原料油を原材料に用いることを特徴とする炭素材の製造方法。
Description:
改質された炭素原料油および炭 材の製造方法

 本発明は、改質された炭素原料油および 素材の製造方法に関する。

 石炭系(コールタール系)重質油や石油系 質油(以下、これらをまとめて炭素原料油と うことがある。)は、例えば、バインダーピ ッチ、カーボンブラック、ピッチコークスあ るいは炭素電極等の炭素材料や炭素製品(以 、これらをまとめて炭素材ということがあ 。)の原材料として用いられている。

 炭素原料油中には、有機溶剤(以下、単に 溶剤という。)であるキノリンやトルエンに 溶な成分(以下、キノリンに不溶な成分をQI 、トルエンに不溶な成分をTI分ということが ある。)が含まれている。これらの溶剤に不 な成分は、炭素原料油の用途により有効に 用することもあるが、除去が必要な場合も る。

 炭素原料油からQI分を除去する方法につい は、芳香族系溶媒と脂肪族系溶媒を炭素原 油に添加することにより、QI分を固形物質( 形分)として沈降させて除去する方法が周知 ある。
 QI分を固形物質として沈降・除去して得ら る上澄み油は、さらに蒸留することで改質 れた炭素原料油となり、上記炭素材の原材 として好適に用いられている。

 しかしながら、芳香族系溶媒と脂肪族系 媒を炭素原料油に添加する上記した従来の 素原料油の改質方法は、高価な芳香族溶媒 脂肪族溶媒を使用し、また、溶媒を除去す ための蒸留処理が必要であり、多大な処理 ストを要する。

 本発明は、上記の課題に鑑みてなされた のであり、処理コストの安価な改質された 素原料油の製造方法および炭素材の製造方 を提供することを目的とする。

 本発明に係る改質された炭素原料油の製 方法は、石炭系重質油および石油系重質油 うちから選ばれるいずれかひとつまたは双 からなる炭素原料油100質量部に対してアル リ水溶液0.01質量部以上を混合し、生成する 固形分を少なくとも除去することを特徴とす る。

 また、本発明に係る炭素材の製造方法は 上記の改質された炭素原料油の製造方法に り得られる改質された炭素原料油を原材料 用いることを特徴とする。

 また、本発明に係る炭素材の製造方法は 上記の改質された炭素原料油の製造方法に いて生成する固形分を配合した、石炭系重 油および石油系重質油のうちから選ばれる ずれかひとつまたは双方からなる炭素原料 を原材料に用いることを特徴とする。

 本発明に係る炭素原料油の製造方法は、石 系重質油および石油系重質油のうちから選 れるいずれかひとつまたは双方からなる炭 原料油100質量部に対してアルカリ水溶液0.01 質量部以上を混合し、生成する固形分を少な くとも除去するため、安価な処理コストで改 質された炭素原料油を得ることができる。
 また、本発明に係る炭素材の製造方法は、 記の改質された炭素原料油を原材料に用い または、生成する固形分を原材料の一部に いるため、炭素材の製造コストを低減する とができる。

 本発明の実施の形態について、以下に説 する。

 本実施の形態に係る炭素原料油の製造方 は、石炭系重質油および石油系重質油のう から選ばれるいずれかひとつまたは双方か なる炭素原料油100質量部に対してアルカリ 溶液0.01質量部以上を混合し、生成する固形 分を少なくとも除去する。

 炭素原料油は、石炭系重質油や石油系重質 を用いることができる。
 石炭系重質油として、石炭を乾留して得ら るコールタール、コールタールを分留・熱 理して得られるピッチもしくはその副生油 またはピッチをコーキングする時に発生す カーボンブラック用原料油等を挙げること できる。一方、石油系重質油として、原油 熱分解油または熱分解油の分留品等を挙げ ことができる。これらの炭素原料油は、1種 単独でまたは2種類以上の混合物の状態で使 することができる。

 アルカリ水溶液は、その種類を特に限定す ものではないが、NaOH、KOH、Ca(OH) 2 、Mg(OH) 2 等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属( 義のアルカリ土類金属)の水酸化物、Na 2 CO 3 、K 2 CO 3 等のアルカリ金属の炭酸化物、あるいはまた NH 4 (OH)等の無機アルカリ水溶液を好適に使用す ことができる。

 アルカリ水溶液は、炭素原料油100質量部 対して0.01質量部以上を配合する。アルカリ 水溶液の配合比率が0.01質量部より少ないと 固形物質の析出が不十分となる。一方、ア カリ水溶液の配合比率の上限は特にないが 100質量部を超える量を配合しても固形物質 析出効果は目立って向上しない。

 アルカリ水溶液のアルカリ濃度は、特に 定するものではないが、好ましくは、1質量 %以上、より好ましくは10質量%以上とする。

 炭素原料油とアルカリ水溶液の混合は、 素原料油が流動性を有する状態にある限り 温度条件を特に限定するものではないが、 温~250℃の温度範囲で行うことが好ましく、 60℃~200℃の温度範囲で行うことがより好まし い。炭素原料油は、通常、流動性を有する状 態にあるが、粘度が高い等の理由でそのまま では効率的な混合に必要な十分な流動性を確 保できない場合は、適宜加温して流動性を付 与する。

 炭素原料油とアルカリ水溶液の混合時間 、使用する炭素原料油の種類等に応じて適 設定することができるが、およそ5分以上程 度とすることが好ましく、かつ、それで十分 である。

 ここで、炭素原料油とアルカリ水溶液の 合手段は、適宜選択して用いることができ 例えば、公知の一般的工業手段の中から動 攪拌やスタティックミキサー等を用いるこ ができる。また、例えば、炭素原料油かア カリ水溶液のうちの一方の液流に向けて他 を噴霧、噴射する方法や、炭素原料油およ アルカリ水溶液の両者を対向して噴霧、噴 して衝突させる方法等であってもよく、こ らの方法の場合は、狭義の混合の概念から れて、いうならば接触、あるいは接触混合 あるが、本実施の形態では、これらも混合 一形態に含む。

 炭素原料油とアルカリ水溶液の混合によっ 生成する固形分(固形物質)を炭素原料油か 分離・除去する手段は、適宜選択して用い ことができ、例えば、公知の一般的工業手 の中から静置分離、遠心分離、ろ過分離等 用いることができる。
 これにより、固形分が除去されて、改質さ た炭素原料油が得られる。
 ここで、アルカリ水溶液の使用量が、改質 れた炭素原料油の品質や炭素原料油を原材 に用いて製造する炭素材の品質に影響しな 程度に少ない場合は、ことさら改質された 素原料油とアルカリ水溶液を分離する必要 ないが、アルカリ水溶液の使用量が相対的 多い場合は、例えば静置分離等の適宜の手 により改質された炭素原料油からアルカリ 溶液を除去することが好ましい。

 以上説明した本実施の形態に係る改質し 炭素原料油の製造方法によれば、芳香族系 媒と脂肪族系溶媒を用いる従来の方法に代 てアルカリ水溶液を用いることで、安価な 理コストで改質された炭素原料油を得るこ ができる。

 ところで、例えばコールタール1質量部に、 例えば1N-NaOH水溶液3質量部を作用させて、例 ば2時間撹拌等して、アルカリ水溶液に可溶 な成分を取り除く方法が開示されている(特 平06-157015号公報)。この方法によれば、ピッ 中の酸素含有量を減らすことで、同一軟化 において高い炭素収率を示すとされている
 以上の本実施の形態の説明から明らかなよ に、本実施の形態と上記の技術は、その目 、作用効果が相違し、発明の構成も相違す 、別個の技術思想による技術であることは うまでもない。

 つぎに、本実施の形態に係る炭素材の製造 法は、上記の改質された炭素原料油の製造 法により得られる改質された炭素原料油を 材料に用いる。
 ここで、炭素材は、本実施の形態の改質さ た炭素原料油を原材料として製造されるも である限り特に限定するものではないが、 質した炭素原料油をディレードコーカーに り処理して得られるピッチコークス、改質 た炭素原料油を必要に応じて分留・熱処理 て分子量分布を調整して得られるバインダ ピッチや含浸ピッチを挙げることができ、 らにはこれらの炭素材を原料に用いて得ら る黒鉛電極等の炭素製品を挙げることがで る。なお、バインダーピッチや含浸ピッチ 、改質された炭素原料油をそのまま用いる ともでき、この場合、バインダーピッチや 浸ピッチ自体が改質された炭素原料油の一 様である。
 これにより、原材料として安価な処理コス で得られる本実施の形態の改質された炭素 料油を用いることで、炭素材の製造コスト 低減することができる。

 また、上記とは別の本実施の形態に係る炭 材の製造方法は、上記の改質された炭素原 油の製造方法において生成する固形分を配 した、石炭系重質油および石油系重質油の ちから選ばれるいずれかひとつまたは双方 らなる炭素原料油を原材料に用いる。
 ここで、炭素材は、本実施の形態の固形分 原材料の一部として製造されるものである り特に限定するものではないが、ピッチコ クス、バインダーピッチや含浸ピッチ、カ ボンブラックを挙げることができ、さらに これらの炭素材を原料に用いて得られる黒 電極等の炭素製品を挙げることができる。
 これにより、炭化歩留や易黒鉛化性の向上 た炭素材を安価な製造コストで得ることが きる。
 なお、上記2つの本実施の形態に係る炭素材 の製造工程において、原材料として用いる原 料油や中間製品等に含まれる固形分を除去す ることが望ましい場合、本実施の形態に係る 改質した炭素原料油の製造方法を好適に用い ることができる。

 実施例を挙げて、本発明をさらに説明す 。なお、本発明は、以下に説明する実施例 限定されるものではない。

 〔実施例1〕
 カーボンブラック用の炭素原料油100質量部 対して、48質量%の炭酸カリウム水溶液を0.15 質量部添加(配合)した。混合温度は120℃で、 拌による混合時間は20分とした。混合液(油) を静置後、析出した固形物質をデカンテーシ ョンで取り除き上澄み油を得た。固形物質は 、炭素原料油100質量部に対して0.5質量部析出 した。
 炭素原料油中のQI分はtrace、TI分は0.8質量%で あり、改質された炭素原料油である上澄み油 中のQI分はtrace、TI分は0.4質量%であった。
 なお、上記の上澄み油100質量部に対して、4 8質量%の炭酸カリウム水溶液を0.15質量部添加 した。混合温度は120℃で、攪拌による混合時 間は20分とした。混合液(油)を静置したが、 形物質は析出せず、固形物質が析出するの 必要な混合時間が先の処理における混合時 で十分であることが確認できた。

 〔参考例〕
  実施例1と同じカーボンブラック用の炭素 料油100質量部に対して、48質量%の炭酸カリ ム水溶液を0.005質量部添加した。混合温度 120℃で、攪拌による混合時間は20分とした。 混合液(油)を静置したが、固形物質は析出し いなかった。

 〔実施例2〕
 実施例1と同じカーボンブラック用の炭素原 料油100質量部に対して、48%質量の炭酸カリウ ム水溶液を50質量部添加した。混合温度は120 で、攪拌による混合時間は20分とした。混 液(油)を静置した後、固形物質をデカンテー ションで除去した。固形物質は、炭素原料油 100質量部に対して0.5質量部析出した。
 炭素原料油中のQI分はtrace、TI分は0.8質量%で あり、改質された炭素原料油である上澄み油 中のQI分はtrace、TI分は0.4質量%であった。

 〔実施例3〕
 実施例1と同じカーボンブラック用の炭素原 料油100質量部に対して、48質量%の炭酸カリウ ム水溶液を0.15質量部添加した。混合温度は25 0℃で、攪拌による混合時間は20分とした。混 合液(油)を静置した後、固形物質をデカンテ ションで除去した。固形物質は、炭素原料 100質量部に対して0.1質量部析出した。
 炭素原料油中のQI分はtrace、TI分は0.8質量%で あり、改質された炭素原料油である上澄み油 中のQI分はtraceであり、TI分は0.7質量%であっ 。

 〔実施例4〕
 実施例1と同じカーボンブラック用の炭素原 料油100質量部に対して、48質量%の炭酸カリウ ム水溶液を0.15質量部添加した。混合温度は20 0℃で、攪拌による混合時間は20分とした。混 合液(油)を静置した後、固形物質をデカンテ ションで除去した。固形物質は、炭素原料 100質量部に対して0.4質量部析出した。
 炭素原料油中のQI分はtrace、TI分は0.8質量%で あり、改質された炭素原料油である上澄み油 中のQI分はtrace、TI分は0.5質量%であった。

 〔実施例5〕
 実施例1と同じカーボンブラック用の炭素原 料油100質量部に対して、24質量%の炭酸カリウ ム水溶液を0.3質量部添加した。混合温度は120 ℃で攪拌による混合時間は20分とした。混合 (油)を静置した後、固形物質をデカンテー ョンで除去した。固形物質は、炭素原料油10 0質量部に対して0.5質量部析出した。
 炭素原料油中のQI分はtrace、TI分は0.8質量%で あり、改質された炭素原料油である上澄み油 中のQI分はtraceであり、TI分は0.4質量%であっ 。

 〔実施例6〕
 コールタールを分留して得られるピッチを 素原料油として用い、ピッチ100質量部に対 て、48質量%のNaOH水溶液を1質量部添加した 混合温度は170℃で、攪拌による混合時間は20 分とした。混合液(油)を静置した後、固形物 をデカンテーションで取り除き上澄み油を た。固形物質は、ピッチ100質量部に対して8 質量部析出した。
 炭素原料油中のQI分は6質量%、TI分は15質量% あり、改質された炭素原料油である上澄み 中のQI分はtrace、TI分は14質量%であった。

 〔実施例7〕
 実施例6と同じピッチから製造した含浸ピッ チを炭素原料油として用い、含浸ピッチ100質 量部に対して、48質量%のKOH水溶液を10質量部 加した。混合温度は150℃で攪拌による混合 間は20分とした。その後、遠心分離機で固 物質を取り除いた。固形物質は、含浸ピッ 100質量部に対して1質量部析出した。
 炭素原料油としての含浸ピッチ中のQI分はtr ace、TI分は10質量%であり、固形物質を除去し 含浸ピッチ中のQI分はtrace、TI分は9質量%あ た。

 〔比較例〕
 コールタールを分留して得られるピッチ(QI :6質量%)を炭素原料油として用い、ピッチ100 質量部に対して、ベンゼン400質量部、n-ヘキ ン500質量部を加え、100℃で混合し、20分攪 した。混合液を静置した後、固形物質をデ ンテーションで取り除き上澄み油を得た。 形物質は、ピッチ100質量部に対して12質量部 析出した。