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Title:
RAW MATERIAL CHARCOAL COMPOSITION FOR NEGATIVE ELECTRODE MATERIAL OF LITHIUM ION SECONDARY BATTERY AND METHOD FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/060891
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a raw material charcoal composition which is used as a raw material for a negative electrode material of lithium ion secondary batteries. This raw material charcoal composition is characterized in that when the composition is graphitized in an inert gas atmosphere at 2,800˚C, the ratio between the crystallite size Lc(002) and the lattice constant co(002) of the (002) plane as determined by x-ray diffraction analysis, namely Lc(002)/co(002), is not more than 180, and the ratio between the crystallite size La(110) and the lattice constant ao(110) of the (110) plane as determined by x-ray diffraction analysis, namely La(110)/ao(110), is not more than 1,500.

Inventors:
TANO TAMOTSU (JP)
OYAMA TAKASHI (JP)
HASHISAKA HIROMITSU (JP)
SAKAMOTO AKIO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/070192
Publication Date:
May 14, 2009
Filing Date:
November 06, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON OIL CORP (JP)
TANO TAMOTSU (JP)
OYAMA TAKASHI (JP)
HASHISAKA HIROMITSU (JP)
SAKAMOTO AKIO (JP)
International Classes:
H01M4/587; C01B31/02; C10B57/04; C10G9/00
Domestic Patent References:
WO2005027242A12005-03-24
Foreign References:
JP2003297357A2003-10-17
JP2006066334A2006-03-09
JP2006252817A2006-09-21
JPH0963584A1997-03-07
JPH1036108A1998-02-10
JP3056519B22000-06-26
JPH0424831B21992-04-28
Other References:
YOKONO, SANADA: "Characterization of Pitch, II. Chemical structure", CARBON, 1981, pages 73 - 81
Attorney, Agent or Firm:
HASEGAWA, Yoshiki et al. (Ginza First Bldg. 10-6, Ginza 1-chome, Chuo-k, Tokyo 61, JP)
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Claims:
 リチウムイオン二次電池の負極材料の原料となる原料炭組成物の製造方法であって、
 水素化脱硫処理を経て得られ且つ硫黄分含有量0.6質量%以下、窒素分含有量0.3質量%以下、芳香族指数0.1以上である第1の重質油と、芳香族指数0.3以上、初留点150℃以上である第2の重質油とを含有する原料油組成物を調製する第1工程と、
 得られる原料炭組成物が下記条件(A)を満たすように、前記原料油組成物をコーキング処理する第2工程と、
を備えることを特徴とする製造方法。
(A)不活性ガス雰囲気下、2800℃の温度で前記原料炭組成物を黒鉛化処理したとき、X線回折によって求められる002面における結晶子サイズLc(002)と格子定数co(002)の比(Lc(002)/co(002))が180以下であり且つ110面における結晶子サイズLa(110)と格子定数ao(110)の比(La(110)/ao(110))が1500以下である。
 前記第1の重質油は、硫黄分含有量1質量%以上の重質油を、水素分圧5MPa以上の条件下で水素化脱硫処理して得られたものであることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
 前記第2工程で得られる前記原料炭組成物は、硫黄分の含有量が0.4質量%以下であり且つ窒素分の含有量が0.3質量%以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の製造方法。
 前記原料油組成物の全質量100質量部に対して、前記第1の重質油の含有量が10~50質量部であり、前記第2の重質油の含有量が50~90質量部であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
 リチウムイオン二次電池負極材料の原料となる原料炭組成物であって、
 不活性ガス雰囲気下、2800℃の温度で黒鉛化処理されると、X線回折によって求められる002面における結晶子サイズLc(002)と格子定数co(002)の比(Lc(002)/co(002))が180以下であり且つ110面における結晶子サイズLa(110)と格子定数ao(110)の比(La(110)/ao(110))が1500以下となることを特徴とする原料炭組成物。
 硫黄分の含有量が0.4質量%以下であり且つ窒素分の含有量が0.3質量%以下であることを特徴とする、請求項5に記載の原料炭組成物。
Description:
リチウムイオン二次電池負極材 用原料炭組成物及びその製造方法

 本発明は、リチウムイオン二次電池の負 材料の原料となる原料炭組成物及びその製 方法に関する。

 リチウムイオン二次電池は、従来の二次 池であるニッケルカドミウム電池、ニッケ 水素電池、鉛電池に比較し、軽量であり且 高い入出力特性を有することから、近年、 気自動車やハイブリッド車用の電源として 待されている。二次電池の電極を構成する 物質には炭素材料が用いられており、二次 池の性能を高めるべく、炭素材料について れまでに種々の検討がされている(例えば、 特許文献1,2を参照)。

 リチウムイオン二次電池の負極材料として 用される炭素材料は、一般に黒鉛系と非晶 系に大別される。黒鉛系炭素材料は、非晶 系炭素材料と比較し、単位体積あたりのエ ルギー密度が高いという利点がある。従っ 、コンパクトでありながら大きい充電放電 量が要求される携帯電話やノート型パソコ 用のリチウムイオン二次電池においては、 極材料として黒鉛系炭素材料が一般に用い れている。黒鉛は炭素原子の六角網面が規 正しく積層した構造を有しており、充放電 際には六角網面のエッジ部でリチウムイオ の挿入離脱反応が進行する。

特許第3056519号公報

特公平4-24831号公報

 しかしながら、リチウムイオン二次電池 負極材料として黒鉛系炭素材料を使用した 合、上述のように単位体積あたりのエネル ー密度を高くできるもののハイブリッド車 どの自動車分野に適用するには高速充放電 性、特に高速充電特性の点で改善の余地が った。これは、黒鉛系炭素材料は結晶性の いことから、それをリチウムイオン二次電 の負極に用いた場合、炭素層における溶媒 リチウムイオンの拡散が制限されることが 因と考えられる。

 本発明は、このような実情に鑑みてなさ たものであり、リチウムイオン二次電池の れた高速充電放電特性を達成するのに有用 リチウムイオン二次電池負極材料用原料炭 成物及びその製造方法を提供することを目 とする。

 充放電容量が大きく且つ高速充電放電特 に優れたリチウムイオン二次電池を製造す には、負極材料として用いる炭素材料の結 構造を極めて発達したものとすると共にそ 炭素層内に溶媒和リチウムイオンの拡散経 が多数並ぶように形成する必要がある。す わち、炭素層面の発達と、より多くの炭素 ッジ面の形成とが必要である。

 本発明者らは、上記のような優れた結晶 造を具備する炭素材料について、結晶構造 生成機構に着目して検討を行った。例えば ニードルコークスは、重質油を高温処理す ことによって熱分解及び重縮合反応が起き メソフェーズと呼ばれる液晶球体が生成し これらが合体してバルクメソフェーズと呼 れる大きな液晶が中間性生物として生成す 過程を経て製造される。本発明者らは、炭 材料の製造に使用する原料油組成物及び原 炭組成物が結晶構造に与える影響について 広い検討を行った。

 上記検討の結果、本発明者らは、上記要 性能を満足するリチウムイオン二次電池を るためには、良好なバルクメソフェーズを 成する重質油と、このバルクメソフェーズ 重縮合して炭化及び固化する際に炭素層内 リチウムイオンの拡散経路を形成するのに 与するガスを生じ得る重質油とを混合した 料油組成物から原料炭組成物を製造するこ が有用であるとの知見を得た。かかる知見 基づき、得られる原料炭組成物の好適な特 について種々の評価試験を行ったところ、2 800℃の温度で黒鉛化処理した場合に、所定の 特性を具備する炭素材料となるものが負極材 料の原料炭組成物として好適であることを見 出し、本発明を完成させた。

 すなわち、本発明は、リチウムイオン二次 池の負極材料の原料となる原料炭組成物の 造方法であって、水素化脱硫処理を経て得 れ且つ硫黄分含有量0.6質量%以下、窒素分含 有量0.3質量%以下、芳香族指数0.1以上である 1の重質油と、芳香族指数0.3以上、初留点150 以上である第2の重質油とを含有する原料油 組成物を調製する第1工程と、得られる原料 組成物が下記条件(A)を満たすように、上記 料油組成物をコーキング処理する第2工程と を備えることを特徴とする。
(A)不活性ガス雰囲気下、2800℃の温度で原料 組成物を黒鉛化処理したとき、X線回折によ て求められる002面における結晶子サイズLc(0 02)と格子定数co(002)の比(Lc(002)/co(002))が180以下 であり且つ110面における結晶子サイズLa(110) 格子定数ao(110)の比(La(110)/ao(110))が1500以下で る。

 本発明によれば、得られる原料炭組成物 更なる熱処理によって炭化固化する際のガ 発生源となる飽和分を含む水素化脱硫処理 (第1の重質油)と、例えば、流動接触分解処 によって得られ、良好なバルクメソフェー 生成に寄与する重質油(第2の重質油)とを含 する原料油組成物を用いることによって、 チウムイオン二次電池の優れた高速充電放 特性を達成するのに有用な原料炭組成物を 定的に製造することができる。

 本発明においては、第1の重質油として、 硫黄分含有量1質量%以上の重質油を、水素分 5MPa以上の条件下で水素化脱硫処理し、硫黄 分含有量が0.6質量%以下となったものを用い ことが好ましい。このような条件における 素化脱硫処理を行うことで、炭化固化する のガス発生源となる飽和分を十分に含む重 油を得ることができる。

 第2工程を経て得られる原料炭組成物は、 以下の条件を満たすことが好ましい。すなわ ち、原料炭組成物は、硫黄分の含有量が0.4質 量%以下であり且つ窒素分の含有量が0.3質量% 下であることが好ましい。このことにより 原料炭組成物を負極材料として使用するた に熱処理を施し、この原料炭組成物が炭化 び黒鉛化する際の脱ガスを抑制することが きる。その結果、結晶の配向性の乱れによ 結晶欠陥の発生を十分に低減でき、結晶構 が極めて発達した炭素材料を得ることがで る。

 リチウムイオン二次電池の負極材料とし 優れた性能を発揮し得る原料炭組成物を安 的に得る観点から、原料油組成物の全質量1 00質量部に対して、第1の重質油の含有量が10~ 50質量部であり、第2の重質油の含有量が50~90 量部であることが好ましい。

 また、本発明は、リチウムイオン二次電 負極材料の原料となる原料炭組成物であっ 、不活性ガス雰囲気下、2800℃の温度で黒鉛 化処理されると、X線回折によって求められ 002面における結晶子サイズLc(002)と格子定数c o(002)と比(Lc(002)/co(002))が180以下であり且つ110 における結晶子サイズLa(110)と格子定数ao(110 )の比(La(110)/ao(110))が1500以下となることを特 とする原料炭組成物を提供する。

 本発明に係る原料炭組成物を用いてリチ ムイオン二次電池の負極材料を製造するこ によって、リチウムイオン二次電池の大き 充放電容量及び優れた高速充電放電特性の 方を高水準に達成し得る。なお、本発明に る原料炭組成物は、リチウムイオン二次電 負極用の炭素材料としてそのまま用いても いが、原料炭素組成物に対して熱処理を更 施して得られた炭素材料をリチウムイオン 次電池負極用の炭素材料(活物質)として用 ることが好ましい。

 本発明に係る原料炭組成物を熱処理して られる炭素材料の結晶構造を極めて発達し ものとする観点から、原料炭組成物は硫黄 の含有量が0.4質量%以下であり且つ窒素分の 含有量が0.3質量%以下であることが好ましい

 本発明によれば、リチウムイオン二次電 の優れた高速充電放電特性を達成するのに 用なリチウムイオン二次電池負極材料用原 炭組成物及びその製造方法が提供される。

 以下、本発明の好適な実施形態について 細に説明する。

(リチウムイオン二次電池負極材料用原料炭 成物)
 本実施形態に係るリチウムイオン二次電池 極材料原料炭組成物は、2800℃での黒鉛化処 理が施されると、X線回折によって求められ 特性が所定の条件を満たすものである。こ で、2800℃での黒鉛化処理とは、高純度アル ンガス雰囲気下、毎分15℃程度で昇温し、28 00℃での熱処理を1分以上行うものをいう。本 実施形態に係る原料炭組成物を熱処理した炭 素材料は、リチウムイオン二次電池用の負極 材料として優れた性能を発揮する。

 本実施形態に係る原料炭組成物は2800℃で の黒鉛化処理が施されると、X線回折によっ 求められる002面における結晶子サイズLc(002) 格子定数co(002)の比(Lc(002)/co(002))が180以下と る。Lc(002)/co(002)の値は、175以下であること 好ましく、170以下であることがより好まし 。Lc(002)/co(002)の値が180を超える原料炭組成 は、結晶子に占める六角網面のエッジ面の 合が不足していると考えられる。従って、 放電の際にエッジ部からのリチウムイオン 挿入離脱反応が制約され、このような原料 組成物を用いて製造された材料で負極が構 されたリチウムイオン二次電池は、充放電 量の低く且つ高速充電特性が不十分となる

 また、本実施形態に係る原料炭組成物は2 800℃での黒鉛化処理が施されると、X線回折 よって求められる110面における結晶子サイ La(110)と格子定数ao(110)の比(La(110)/ao(110))が1500 以下となる。La(110)/ao(110)の値は、1400以下で ることが好ましく、1300以下であることがよ 好ましい。La(110)/ao(110)の値が1500を超える原 料炭組成物は、結晶子に占める六角網面のエ ッジ面の割合が不足していると考えられる。 従って、充放電の際にエッジ部からのリチウ ムイオンの挿入離脱反応が制約され、このよ うな原料炭組成物を用いて負極が構成された リチウムイオン二次電池は、充放電容量の低 く且つ高速充電特性が不十分となる。

 原料炭組成物の硫黄分含有量は、全質量 準で0.4質量%以下であることが好ましく、0.3 質量%以下であることがより好ましい。また 原料炭組成物の窒素分含有量は、全質量基 で0.3質量%以下であることが好ましく、0.2質 %以下であることがより好ましい。原料炭組 成物の硫黄分及び窒素分の含有量が上記の上 限値を超えると、原料炭組成物を更に熱処理 した際に、脱ガスによって結晶の配向性に乱 れが生じて結晶欠陥が発生しやすくなる。こ こで、原料炭組成物の硫黄分及び窒素分の含 有量は、JIS M 8813に従って測定される値を意 味する。

 なお、本実施形態においては、2800℃にお ける黒鉛化処理後の原料炭組成物の格子定数 及び結晶子サイズは、日本学術振興会第117委 員会において制定された「人造黒鉛の格子定 数および結晶子の大きさ測定法」に従いX線 折法によって求められた値を意味し、具体 には、以下のようにして求めたものである

 すなわち、試料粉末(2800℃で黒鉛化処理 た原料炭組成物)に内部標準試料を10mass%混合 したものをガラス製試料ホルダーに充填し、 グラファイトモノクロメーターにより単色化 したCuKα線を線源としX線回折図形を得る。こ の回折図形のピーク位置は重心法(回折線の 心位置を求め、これに対応する2θ値でピー の位置を求める方法)により求め、標準物質 高純度シリコン粉末の回折ピークを用いて 正する。

 より具体的には、測定データにスムージン 処理及びバックグラウンドの除去を行った 、吸収補正、偏光補正、Lorentz補正を施し、 シリコン標準試料のピーク位置及び半価幅を 用いて試料のピークに対して補正を行い格子 定数と結晶子サイズを学振法に従い求めた。 結晶子サイズは、補正ピーク半価幅から下記 のScherrerの式を用いて計算した。なお、測定 び解析は、3回ずつ実施した。
   L=Kλ/β O COSθ B 式中、Lは結晶子サイズサイズ(nm);Kは定数(=1.0 );λは波長(=0.15406nm);θ B はブラッグ角;β O は半価幅(補正値)をそれぞれ示す。

 本実施形態に係る原料炭組成物を2800℃で 黒鉛化処理して得られたものは、X線回折パ ーンを比較すると、構造が極めて黒鉛に近 のが特徴である。

(第1及び第2の重質油)
 次に、原料炭組成物の製造に用いる第1の重 質油及び第2の重質油について説明する。

 第1の重質油は、水素化脱硫処理によって 得られる重質油であり、第1の重質油の全質 基準で硫黄分0.6質量%以下、窒素分0.3質量%以 下であり且つ芳香族指数0.1以上である。

 第1の重質油の硫黄分含有量は、0.6質量% 下であるが、0.5質量%以下であることが好ま い。硫黄分含有量が0.6質量%を超えると硫黄 分によって早期コーキングが誘引される。そ うすると、原料炭組成物は結晶性の低い構造 となり、原料炭組成物に対して更に炭化黒鉛 化処理を施しても炭素六角網平面の発達が不 十分となる。その結果、リチウムイオンを取 り込んだ黒鉛層間化合物の形態で貯蔵可能な リチウムイオンの量が不十分となり、充放電 特性に優れた負極炭素材料を得ることが困難 となる。また、第1の重質油の硫黄分が0.6質 %を超えると原料炭組成物に残存する硫黄分 多くなり、原料炭組成物を炭化黒鉛化する 程で硫黄分が揮発する際にパッフィングと ばれる膨張が生じ、負極炭素材料の強度が 十分となるおそれがある。このようなパッ ィングの発生を抑制する点からも硫黄分の 有量が十分に低減された第1の重質油を用い ることが好ましい。

 第1の重質油の窒素分含有量は、0.3質量% 下であるが、0.2質量%以下であることが好ま い。窒素分含有量が0.3質量%を超えると原料 炭組成物中に残存する窒素分が多くなり、原 料炭組成物を炭化黒鉛化する過程で窒素分が 揮発する際に、硫黄分が多い場合と同様、結 晶欠陥が生じて負極炭素材料の強度低下を引 き起こすおそれがある。

 第1の重質油の芳香族指数は、0.1以上であ るが、0.15以上であることが好ましい。第1の 質油の芳香族指数が0.1未満であると、原料 組成物の収率が不十分となる。なお、第1の 重質油に含まれる飽和分の含有量は、40質量% 以上であることが好ましく、55質量%以上であ ることがより好ましく、60質量%以上であるこ とが更に好ましい。他方、飽和分の含有量の 上限は、85質量%であることが好ましく、80質 %であることがより好ましい。

 第1の重質油を得る水素化脱硫処理の条件 について説明する。第1の重質油を得るため 水素化脱硫処理は、硫黄分1質量%以上の重質 油を、水素分圧が5MPa以上、好ましくは8MPa以 、より好ましくは10MPa以上の条件で行われ 。なお、水素分圧が上記下限値未満である 、水素化が不十分となりやすく、リチウム オン二次電池負極材料用の原料炭組成物の 料油として有効な重質油を得ることが困難 なる傾向となる。

 水素化脱硫処理における水素分圧以外の条 は、特に制限されないが、各種条件を以下 ように設定することが好ましい。すなわち 水素化脱硫処理時の全圧は、好ましくは6~25 MPa、より好ましくは10~22MPa;水素化脱硫の温度 は、好ましくは300~500℃、より好ましくは350~4 50℃であり;水素/油比は、好ましくは400~3000NL/ L、より好ましくは500~1800NL/Lであり;液空間速 (LHSV)は、好ましくは0.1~3h -1 、より好ましくは0.15~1.0h -1 、更に好ましくは0.15~0.75h -1 である。

 水素化脱硫処理に用いる触媒(水素化脱硫 触媒)としては、Ni-Mo触媒、Co-Mo触媒、あるい 両者を組合せた触媒などが挙げられ、これ は市販品を用いてもよい。

 第1の重質油の原料油として用いられる重 質油は、硫黄分含有量が1質量%以上であるこ が好ましく、例えば、原油、原油の蒸留に り得られる常圧蒸留残油又は減圧蒸留残油 ビスブレーキング油、タールサンド油、シ ールオイル、並びにこれらの混合油等が挙 られる。これらの中でも、常圧蒸留残留及 減圧蒸留残油が好ましく用いられる。

 第2の重質油は、流動接触分解処理によっ て得られる重質油であり、初留点150℃以上で あり且つ芳香族指数0.3以上である。

 第2の重質油の初留点は、150℃以上である が、170℃以上であることが好ましい。初留点 が150℃未満であると原料炭組成物の収率が不 十分となる。

 第2の重質油の芳香族指数は、0.3以上であ るが、0.4以上であることが好ましい。芳香族 指数が0.3未満であると、原料炭組成物の収率 が不十分となる。また、芳香族指数の上限は 、第1の重質油との共炭化(コーキング)時の馴 染みの観点から、0.9であることが好ましく、 0.8であることがより好ましい。

 第2の重質油は、当該重質油の全質量基準 で硫黄分の含有量が0.5質量%以下であること 好ましく、0.4質量%以下であることがより好 しく、0.3質量%以下であることが更に好まし い。また、第2の重質油は、当該重質油の全 量基準で窒素分の含有量が0.2質量%以下であ ことが好ましく、0.15質量%以下であること より好ましく、0.1質量%以下であることが更 好ましい。第2の重質油の硫黄分及び窒素分 の含有量が上記のように所定値以下であるこ とが好ましい理由は、第1の重質油に係る理 と同様である。

 第2の重質油を得る流動接触分解処理の条 件について説明する。ここで、「流動接触分 解処理」とは、固体酸触媒などを用いて高沸 点留分を分解する処理を意味する。この処理 に用いられる流動接触分解装置はFCC(Fluidized  Catalytic Cracking)とも呼ばれる。

 第2の重質油を得るための流動接触分解処 理は、初留点150℃以上、芳香族指数が0.3以上 の重質油を得ることが可能なものであれば特 に制限されないが、例えば反応温度480~550℃ 全圧100~300kPa、触媒/油比1~20、接触時間1~10秒 することが好ましい。

 また、流動接触分解処理に用いられる触 としては、例えば、シリカ・アルミナ触媒 ゼオライト触媒、あるいはこれらの触媒に 金(Pt)などの金属を担持したものなどが挙げ られる。これらの触媒は市販品を用いてもよ い。

 第2の重質油の原料油としては、流動接触分 解処理によって初留点150℃以上、芳香族指数 が0.3以上の重質油を得ることが可能なもので あれば特に制限されないが、15℃における密 が0.8g/cm 3 以上である炭化水素油が好ましい。このよう な原料油としては、常圧蒸留残油、減圧蒸留 残油、シェールオイル、タールサンドビチュ ーメン、オリノコタール、石炭液化油、及び これらを水素化精製した重質油などが挙げら れる。

 なお、重質油の硫黄分及び窒素分の含有 は、JIS K2541及びJIS K2609に従ってそれぞれ 定される値を意味する。また、重質油の芳 族指数は、Knight法によって求められた値を 味し、物質中の芳香族炭素の分率を示すも である(「ピッチのキャラクタリゼーション II.化学構造」横野、真田(炭素、1981,No105,p73~8 1)を参照)。重質油に含まれる飽和分の含有量 は、薄層クロマトグラフを用いて測定される 値を意味する。重質油の初留点は、JIS K2254 従って測定される値を意味する。

(原料炭組成物の製造方法)
 次に、原料炭組成物の製造方法について説 する。本実施形態に係る原料炭組成物の製 方法は、得られる原料炭組成物のX線回折に よって求められる特性が上述の条件(不活性 ス雰囲気下、2800℃の温度で黒鉛化処理した き、002面における結晶子サイズLc(002)と格子 定数co(002)の比(Lc(002)/co(002))が180以下であり且 つ110面における結晶子サイズLa(110)と格子定 ao(110)の比(La(110)/ao(110))が1500以下)を満たすよ うに、水素化脱硫処理油の残渣油(第1の重質 )と、流動接触分解油の残渣油(第2の重質油) とを混合して原料油組成物を調製する工程( 1工程)と、この原料油組成物をコーキング処 理する工程(第2工程)とを備える。本実施形態 に係る製造方法によれば、第1の重質油と第2 重質油とが上記のように混合された原料油 成物をコーキング処理することによって、 チウムイオン二次電池負極材料として優れ 特性を発揮し得る原料炭組成物を安定的に ることができる。

 原料油組成物を調製するに際し、第1の重 質油と第2の重質油との混合比は、上述の条 を満たす原料炭組成物が得られるならば、 に制限されないが、リチウムイオン二次電 負極用の炭素材料として優れた性能を発揮 得る原料炭組成物を安定的に得る観点から 原料油組成物100質量部に対して、第1の重質 の含有量が10~50質量部であることが好まし 、20~50質量部であることがより好ましい。他 方、原料油組成物100質量部に対して、第2の 質油の含有量が50~90質量部であることが好ま しく、50~80質量部であることがより好ましい また、同様の観点から、原料油組成物100質 部に対して、第1及び第2の重質油の含有量 合計が60~100質量部であることが好ましく、70 ~100質量部であることがより好ましい。

 なお、原料油組成物に含まれる第1及び第 2の重質油以外の成分としては、低硫黄減圧 油、脱硫減圧軽油などを挙げることができ 。

 原料油組成物をコーキング処理して原料 組成物を得る方法としては、ディレードコ キング法が好ましい。より具体的には、デ レードコーカーで加圧下、原料油組成物を 処理する。ディレードコーカーの圧力及び 度はそれぞれ300~800kPa、400~600℃とすること 好ましい。

 コーキング処理によって得られた原料炭 成物(石油生コークス)は、リチウムイオン 次電池負極材料としてそのまま用いてもよ が、原料炭組成物を更に熱処理したものを チウムイオン二次電池負極材料として用い ことが好ましい。具体的には、リチウムイ ン二次電池負極用炭素材料として、原料炭 成物を不活性ガス雰囲気下で、1200~1500℃で 焼して得られる炭素材料(か焼炭)、あるいは 、原料炭組成物又はか焼炭を更に2000~3000℃で 熱処理して人造黒鉛化された炭素材料を用い ることが好ましい。

 なお、上記実施形態においては、第2の重 質油として流動接触分解処理によって得られ る重質油を使用する場合を例示したが、芳香 族指数及び初留点に係る条件を満たすもので あれば、これに限定されるものではない。例 えば、第2の重質油として流動接触分解処理 よって得られる重質油の代わりに、エチレ タールを用いてもよい。エチレンタールと 、エチレン、プロピレン等のオレフィン類 製造するナフサの熱分解装置の塔底部で得 れるものである。例えば、エチレンタール 、その代表的な管式加熱炉プロセス、いわ るスチームクラッキング法において、ナフ をスチームと共に加熱分解炉に導入し、760~9 00℃程度の温度で加熱分解して得られる炭化 素類を急冷した後、これを精留塔に導入し その塔底部から得ることができる。

(リチウム二次電池)
 次に、本発明に係る原料炭組成物から得ら るリチウムイオン二次電池負極用炭素材料 用いたリチウム二次電池について説明する

 リチウムイオン二次電池用負極の製造方 としては特に限定されず、例えば、本実施 態に係る原料炭組成物を熱処理して得た炭 材料、バインダー、必要に応じて導電助剤 有機溶媒を含む混合物を加圧成形して得ら る。また他の方法としては、原料炭組成物 熱処理して得た炭素材料、バインダー、導 助剤等を有機溶媒中でスラリー化し、該ス リーを集電体上に塗布した後、乾燥して得 れる。なお、原料炭組成物を熱処理して得 炭素材料を、以下、場合により単に「炭素 料」という。

 上記バインダーとしては、ポリフッ化ビ リデン、ポリテトラフルオロエチレン、SBR( スチレンーブタジエンラバー)等を挙げるこ ができる。バインダーの使用量は、炭素材 100質量部に対して1~30質量部が適当であるが 3~20質量部程度が好ましい。

 上記導電助剤としては、カーボンブラッ 、グラファイト、アセチレンブラック、又 導電性を示すインジウム-錫酸化物、又は、 ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニ レンビニレン等の導電性高分子を挙げること ができる。導電助剤の使用量は、炭素材料100 質量部に対して1~15質量部が好ましい。

 上記有機溶媒としては、ジメチルホルム ミド、N-メチルピロリドン、イソプロパノ ル、トルエン等を挙げることができる。

 炭素材料、バインダー、必要に応じて導 助剤、有機溶媒を混合する方法としては、 クリュー型ニーダー、リボンミキサー、万 ミキサー、プラネタリーミキサー等の公知 装置を用いることができる。該混合物は、 ール加圧、プレス加圧することにより成形 れるが、このときの圧力は100~300MPa程度が好 ましい。

 リチウムイオン二次電池用負極の他の製 法としては、炭素材料、バインダー、導電 剤等を有機溶媒中でスラリー化し、該スラ ーを集電体上に塗布したのち、乾燥する方 が挙げられる。

 上記集電体の材質及び形状については、 に限定されず、例えば、アルミニウム、銅 ニッケル、チタン、ステンレス鋼等を、箔 、穴開け箔状、メッシュ状等にした帯状の のを用いればよい。また、多孔性材料、例 ばポーラスメタル(発泡メタル)やカーボン ーパーなども使用可能である。

 上記負極材スラリーを集電体に塗布する 法としては、特に限定されないが、例えば メタルマスク印刷法、静電塗装法、ディッ コート法、スプレーコート法、ロールコー 法、ドクターブレード法、グラビアコート 、スクリーン印刷法など公知の方法が挙げ れる。塗布後は、必要に応じて平板プレス カレンダーロール等による圧延処理を行う

 また、シート状、ペレット状等の形状に 形された負極材スラリーと集電体との一体 は、例えば、ロール、プレス、もしくはこ らの組み合わせ等、公知の方法により行う とができる。

 本実施形態に係るリチウムイオン二次電 負極用炭素材料を用いたリチウムイオン二 電池は、例えば、上記のようにして製造し リチウムイオン二次電池用負極と正極とを パレータを介して対向して配置し、電解液 注入することにより得ることができる。

 正極に用いる活物質としては、特に制限は く、例えば、リチウムイオンをドーピング はインターカレーション可能な金属化合物 金属酸化物、金属硫化物、又は導電性高分 材料を用いればよく、例えば、コバルト酸 チウム(LiCoO 2 )、ニッケル酸リチウム(LiNiO 2 )、マンガン酸リチウム(LiMnO 2 )、及びこれらの複酸化物(LiCo X Ni Y Mn Z O 2 、X+Y+Z=1)、リチウムマンガンスピネル(LiMn 2 O 4 )、リチウムバナジウム化合物、V 2 O 5 、V 6 O 13 、VO 2 、MnO 2 、TiO 2 、MoV 2 O 8 、TiS 2 、V 2 S 5 、VS 2 、MoS 2 、MoS 3 、Cr 3 O 8 、Cr 2 O 5 、オリビン型LiMPO 4 (M:Co、Ni、Mn、Fe)、ポリアセチレン、ポリアニ リン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ アセン等の導電性ポリマー、多孔質炭素等及 びこれらの混合物を挙げることができる。

 セパレータとしては、例えば、ポリエチ ン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを 成分とした不織布、クロス、微孔フィルム はそれらを組み合わせたものを使用するこ ができる。なお、作製するリチウムイオン 次電池の正極と負極が直接接触しない構造 した場合は、セパレータを使用する必要は い。

 リチウム二次電池に使用する電解液及び 解質としては公知の有機電解液、無機固体 解質、高分子固体電解質が使用できる。好 しくは、電気伝導性の観点から有機電解液 好ましい。

 有機電解液としては、ジブチルエーテル エチレングリコールモノメチルエーテル、 チレングリコールモノエチルエーテル、エ レングリコールモノブチルエーテル、ジエ レングリコールモノメチルエーテル、エチ ングリコールフェニルエーテル等のエーテ ;N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルム アミド、N-エチルホルムアミド、N,N-ジエチル ホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジ メチルアセトアミド、N-エチルアセトアミド N,N-ジエチルアセトアミド等のアミド;ジメ ルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄化 物;メチルエチルケトン、メチルイソブチル トン等のジアルキルケトン;テトラヒドロフ ラン、2-メトキシテトラヒドロフラン等の環 エーテル;エチレンカーボネート、ブチレン カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメ チルカーボネート、メチルエチルカーボネー ト、プロピレンカーボネート、ビニレンカー ボネート等のカーボネート;γ-ブチロラクト ;N-メチルピロリドン;アセトニトリル、ニト メタン等の有機溶媒を挙げることができる なかでも、エチレンカーボネート、ブチレ カーボネート、ジエチルカーボネート、ジ チルカーボネート、メチルエチルカーボネ ト、プロピレンカーボネート、ビニレンカ ボネート、γ-ブチロラクトン、ジエトキシ タン、ジメチルスルホキシド、アセトニト ル、テトラヒドロフラン等を好ましい例と て挙げることができ、特に好ましい例とし 、エチレンカーボネート、プロピレンカー ネート等のカーボネート系非水溶媒を挙げ ことができる。これらの溶媒は、単独で又 2種以上を混合して使用することができる。

 これらの溶媒の溶質(電解質)には、リチウ 塩が使用される。一般的に知られているリ ウム塩にはLiClO 4 、LiBF 4 、LiPF 6 、LiAlCl 4 、LiSbF 6 、LiSCN、LiCl、LiCF 3 SO 3 、LiCF 3 CO 2 、LiN(CF 3 SO 2 ) 2 等がある。

 高分子固体電解質としては、ポリエチレ オキサイド誘導体及び該誘導体を含む重合 、ポリプロピレンオキサイド誘導体及び該 導体を含む重合体、リン酸エステル重合体 ポリカーボネート誘導体及び該誘導体を含 重合体等が挙げられる。

 なお、上記以外の電池構成上必要な部材 選択についてはなんら制約を受けるもので ない。

 リチウムイオン二次電池の構造は、特に 定されないが、通常、正極及び負極と、必 に応じて設けられるセパレータとを、扁平 巻状に巻回して巻回式極板群としたり、こ らを平板状として積層して積層式極板群と 、これら極板群を外装体中に封入した構造 するのが一般的である。リチウムイオン二 電池は、例えば、ぺーパー型電池、ボタン 電池、コイン型電池、積層型電池、円筒型 池などとして使用される。

 本実施形態に係るリチウムイオン二次電 負極用炭素材料を用いたリチウムイオン二 電池は、従来の炭素材料を用いたリチウム オン二次電池と比較して、急速充放電特性 優れ、自動車用、具体的にはハイブリッド 動車用、プラグインハイブリッド自動車用 電気自動車用に使用することができる。

 以下、実施例及び比較例に基づき本発明 更に具体的に説明するが、本発明は以下の 施例に何ら限定されるものではない。

(実施例1)
(1)負極炭素材料の作製
 硫黄分4.0質量%の常圧蒸留残油を、Ni-Mo触媒 存在下、水素分圧8MPaで水素化脱硫し、硫黄 分含有量0.31質量%、窒素分含有量0.22質量%、 香族指数0.2の水素化脱硫油(第1の重質油)を た。一方、脱硫減圧軽油(硫黄分500質量ppm、1 5℃における密度0.88g/cm 3 )を流動接触分解し、芳香族指数0.4、初留点20 0℃、硫黄分0.24質量%、窒素分0.11質量%の流動 触分解残油(第2の重質油)を得た。

 上記の水素化脱硫油と流動接触分解残油 を1:3(質量比)で混合し、その混合物をディ ードコーカー装置に導入しコークス化処理 、硫黄分0.29質量%、窒素分0.14質量%の原料炭 成物を得た。次いで、当該原料炭組成物を ータリーキルンに導入して1500℃でか焼し、 炭素材料を得た。得られた炭素材料を粉砕し て平均粒子径25μmの炭素微粒子材料Aを得た。

 上記の原料炭組成物に対して2800℃の温度 での黒鉛化処理を施し、黒鉛化処理後の特性 について評価を行った。得られた黒鉛化物(28 00℃処理品)の特性を表1に示す。なお、格子 数、結晶子サイズは日本学術振興会第117委 会において制定された「人造黒鉛の格子定 および結晶子の大きさ測定法」に従いX線回 法により測定した。

(2)負極材料の充放電評価
(a)負極の作製
 負極の活物質として炭素微粒子材料A(処理 度:1500℃)、導電材としてアセチレンブラッ (AB)、バインダーとしてポリフッ化ビニリデ (PVDF)を80:10:10(質量比)の割合でN-メチル-2-ピ リドン中で混合し、スラリーを作製した。 スラリーを銅箔上に塗布し、ホットプレー で10分間乾燥したのち、ロールプレスでプ ス成形した。
(b)評価用電池の作製
 負極(30×50mm)として上記の組成物、正極(30×5 0mm)としてニッケル酸リチウム、電解液とし エチレンカーボネート(EC)/メチルエチルカー ボネート(MEC)混合液(EC/MEC質量比:3/7、溶質:LiPF 6 (1M体積モル濃度)、及びセパレータとしてポ エチレン微孔膜を用いた。
(c)高速充放電レート特性の評価
 上記電池の高速(10C)充放電特性の測定結果 表1に示す。本実施例で作製した電池は、10C 高速充電を行ったとき、充電容量は170mAh/g あり、高速充電特性に極めて優れていた。

(実施例2)
 負極の活物質として、炭素微粒子材料A(処 温度:1500℃)の代わりに、炭素微粒子材料Aを 素ガス雰囲気下、2400℃で30分間熱処理して た炭素微粒子材料B(処理温度:2400℃)を用い ことの他は、実施例1と同様にして評価用電 を作製した。実施例1と同様の操作で高速充 放電特性を評価した結果を、表1に示す。本 施例で作製した電池は、10Cの高速充電を行 たとき、充電容量は260mAh/gであり、高速充電 特性に極めて優れていた。

(比較例1)
 水素化脱硫油と流動接触分解残油とを併用 て原料油組成物を調製する代わりに、実施 1において用いた流動接触分解残油と同様の 重質油(芳香族指数0.4、初留点200℃、硫黄分0. 24質量%、窒素分0.11質量%)のみを原料油組成物 として用いたことの他は、実施例1と同様に て原料炭組成物(硫黄分0.31質量%、窒素分0.19 量%)を得た。次いで、当該原料炭組成物を ータリーキルンに導入して1500℃でか焼し、 素材料を得た。得られた炭素材料を粉砕し 平均粒子径25μmの炭素微粒子材料Cを得た。 して、不活性ガス雰囲気下、2800℃の温度で 炭素微粒子材料Cの黒鉛化処理を更に行った 表1に2800℃における黒鉛化処理後の黒鉛化物 (2800℃処理品)の特性を示す。

 また、炭素微粒子材料Aの代わりに炭素微 粒子材料Cを負極の活物質として用いたこと 他は実施例1と同様にして評価用電池を作製 た。そして、実施例1と同様の操作で高速充 放電特性を評価した結果を、表1に示す。本 較例で作製した電池は、10Cの高速充電を行 たとき、充電容量は100mAh/gであり、実施例1,2 で作製した電池と比較して劣っていた。

(比較例2)
 負極の活物質として、炭素微粒子材料C(処 温度:1500℃)の代わりに、炭素微粒子材料Cを 素ガス雰囲気下、2400℃で30分間熱処理して た炭素微粒子材料D(処理温度:2400℃)を用い ことの他は、比較例1と同様にして評価用電 を作製した。実施例1と同様の操作で高速充 放電特性を評価した結果を、表1に示す。本 較例で作製した電池は、10Cの高速充電を行 たとき、充電容量は100mAh/gであり、実施例1,2 に比較して劣っていた。

(比較例3)
 負極の活物質として、炭素微粒子材料A(処 温度:1500℃)の代わりに、天然黒鉛を用いた との他は、実施例1と同様にして評価用電池 作製した。実施例1と同様の操作で高速充放 電特性を評価した結果を、表1に示す。本比 例で作製した電池は、10Cの高速充電を行っ とき、充電容量は10mAh/g以下であり、実施例1 ,2に比較して著しく劣っていた。

 本発明によれば、リチウムイオン二次電 の優れた高速充電放電特性を達成するのに 用なリチウムイオン二次電池負極材料用原 炭組成物及びその製造方法が提供される。