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Title:
REFRIGERATION CYCLE DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/047898
Kind Code:
A1
Abstract:
A refrigeration cycle device (100) has a first compressor (101), a second compressor (102) placed parallel to the first compressor (101), a heat radiator (103) for cooling a refrigerant compressed by the compressors (101, 102), an expander (104) for recovering power while expanding the refrigerant whose heat is radiated by the heat radiator (103), an evaporator (105) for evaporating the refrigerant expanded by the expander (104), a rotating shaft (123) for interconnecting the first compressor (101) and the expander (104) so that the power recovered by the expander (104) is used by the first compressor (101), and a controller (112) for performing control including a step for gradually increasing the flow rate of the refrigerant in a defrosting operation where frost adhering to the evaporator (105) is melted by high temperature refrigerant caused to flow to the evaporator (105).

Inventors:
YAKUMARU YUICHI
TANIGUCHI KATSUJI
HONMA MASAYA
Application Number:
PCT/JP2008/002846
Publication Date:
April 16, 2009
Filing Date:
October 08, 2008
Export Citation:
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Assignee:
PANASONIC CORP (JP)
YAKUMARU YUICHI
TANIGUCHI KATSUJI
HONMA MASAYA
International Classes:
F25B47/02; F25B1/00; F25B11/02
Domestic Patent References:
WO2006035934A12006-04-06
Foreign References:
JP2004212006A2004-07-29
JP2006242491A2006-09-14
JP2002081714A2002-03-22
JP2005147610A2005-06-09
JP2001116371A2001-04-27
JP2004212006A2004-07-29
Other References:
See also references of EP 2196751A4
Attorney, Agent or Firm:
KAMADA, Koichi (UMEDA PLAZA BLDG.ANNEX, 4-3-25, Nishitenma,Kita-ku, Osaka-sh, Osaka 47, JP)
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Claims:
 容積型の第1圧縮機と、
 冷媒回路において前記第1圧縮機に対して並列に設けられ、前記第1圧縮機とは独立して回転数を制御可能な容積型の第2圧縮機と、
 前記第1および第2圧縮機で圧縮された冷媒を冷却する放熱器と、
 前記放熱器で放熱した冷媒を膨張させつつ動力を回収する容積型の膨張機と、
 前記膨張機で膨張した冷媒を蒸発させる蒸発器と、
 前記膨張機による回収動力が前記第1圧縮機で使用されるように前記第1圧縮機と前記膨張機とを連結している回転軸と、
 前記蒸発器に高温の冷媒を流すことによって前記蒸発器に付着した霜を溶かす除霜運転において、前記第1圧縮機の出口における冷媒の流量と前記第2圧縮機の出口における冷媒の流量との合計を霜の解凍に応じて増やすステップを含む制御を行うコントローラと、
 を備えた、冷凍サイクル装置。
 前記除霜運転の開始後、前記第1圧縮機および前記第2圧縮機から選ばれる少なくとも一方の回転数を連続的または段階的に上げることによって冷媒の流量を増やす、請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
 前記除霜運転の開始後、前記第1圧縮機および前記第2圧縮機から選ばれる少なくとも一方の回転数を2~20Hz/分のレートで上げる、請求項2に記載の冷凍サイクル装置。
 前記除霜運転の開始後、前記第1圧縮機の回転数を回転数Lで保持するとともに、前記第2圧縮機の回転数を前記回転数Lよりも低い回転数Nから連続的または段階的に上げることによって冷媒の流量を増やす、請求項2に記載の冷凍サイクル装置。
 前記回転数Lが前記第1圧縮機の最大回転数である、請求項4に記載の冷凍サイクル装置。
 前記除霜運転の開始後、前記第2圧縮機の回転数を回転数Lで保持するとともに、前記第1圧縮機の回転数を前記回転数Lよりも低い回転数Nから連続的または段階的に上げることによって冷媒の流量を増やす、請求項2に記載の冷凍サイクル装置。
 前記回転数Lが前記第2圧縮機の最大回転数である、請求項6に記載の冷凍サイクル装置。
 前記コントローラは、前記蒸発器の出口における冷媒の温度が設定値を上回ることを条件として前記除霜運転を終了する、請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
 前記第1圧縮機の入口における冷媒の温度を検出する第1温度センサと、
 前記第1圧縮機の出口における冷媒の温度を検出する第2温度センサと、
 前記膨張機の入口における冷媒の温度を検出する第3温度センサと、
 前記膨張機の出口における冷媒の温度を検出する第4温度センサと、をさらに備え、
 前記除霜運転を開始して所定時間が経過するまでの期間において、前記第2圧縮機の回転数を連続的または段階的に上げる一方、
 前記コントローラが行なう制御には、前記所定時間の経過後、前記第1温度センサ、前記第2温度センサ、前記第3温度センサおよび前記第4温度センサの検出結果に基づいて、前記除霜運転中の前記第1圧縮機の出口における冷媒の目標吐出温度を算出し、前記第2温度センサによる検出温度が前記目標吐出温度に近づくように前記第2圧縮機の回転数を制御するステップがさらに含まれる、請求項4に記載の冷凍サイクル装置。
Description:
冷凍サイクル装置

 本発明は、冷凍サイクル装置に関する。 に、冷媒から動力回収を行うための膨張機 備えた冷凍サイクル装置の除霜運転に関す 。

 図9に示すように、膨張機4と圧縮機3を軸で 結し、膨張機4で得られた動力を圧縮機3の 動に利用してCOP(coefficient of performance)の向 を図る冷凍サイクル装置が知られている(特 2001-116371号公報)。この冷凍サイクル装置に ると、膨張機と圧縮機とが軸で連結されて るので、膨張機の入口における冷媒の密度 e と圧縮機の入口における冷媒の密度ρ c との比(ρ e c )が常に一定となる(密度比一定の制約)。その ため、設計上の理想条件から外れた運転条件 ではCOPが芳しくない。

 この問題を受けて、図10に示すように、 張機23、第1圧縮機21および第2圧縮機22を備え た冷凍サイクル装置が提案されている(特開20 04-212006号公報)。第1圧縮機21と膨張機23とが軸 で連結されており、第1圧縮機21に並列に第2 縮機22が設けられている。この冷凍サイクル 装置によると、第2圧縮機22の回転数を制御す ることによって密度比一定の制約を回避でき るため、COPを常時高く維持できる。

 ところで、冷凍サイクル装置に不可欠な 転モードの1つとして、除霜運転がある。外 気温度が0℃に近づくと蒸発器に霜が付着し め、蒸発器での熱交換効率が極端に低下す ため、高温の冷媒を蒸発器に流すことによ て霜を溶かす。この除霜運転でのサイクル( 下、除霜サイクルともいう)は次の通りであ る。

 図11は、膨張機で動力回収を行う冷凍サ クル装置(図9および図10)の除霜運転時のモリ エル線図である。冷媒は、点a1→点b1で圧縮 によって圧縮され、放熱器に流入する。放 器が水-冷媒熱交換器の場合、放熱器に流入 る水の流量をゼロにするので、点b1からエ タルピの変化はほとんどないまま膨張機に 媒が流入する。その後、冷媒は膨張機で減 され、蒸発器の入口(点c1)に移動する。膨張 で動力が回収されるので、点c1での冷媒の ンタルピは、点b1での当該冷媒のエンタルピ よりも小さい。蒸発器に流入した冷媒は、蒸 発器を加熱することで霜を溶かしたのち、圧 縮機の入口(点a1)に戻る。

 次に、膨張弁を用いた従来の冷凍サイク 装置の除霜運転時のモリエル線図を図12に す。冷媒は、点a2→点b2で圧縮機によって圧 され、放熱器に流入する。点b2で膨張弁に 入した冷媒は、エンタルピの変化を伴わず 圧され、蒸発器の入口(点c2)に移動する。蒸 器に流入した冷媒は、蒸発器を加熱するこ で霜を溶かしたのち、圧縮機の入口(点a2)に 戻る。

 図11および図12に示す除霜サイクルにおいて 、蒸発器が獲得する熱量は、蒸発器の入口と 出口との間のエンタルピ差に等しい。除霜運 転時も動力回収を行なうため、膨張機を用い た除霜サイクルでのエンタルピ差δh 1 は、膨張弁を用いた除霜サイクルでのエンタ ルピ差δh 2 よりも小さい。そのため、膨張機を用いた除 霜サイクルは、膨張弁を用いた除霜サイクル よりも長い除霜時間を必要とする。

 上記事情に鑑み、本発明は、膨張機を用 た除霜サイクルの除霜時間を短縮すること 目的とする。

 すなわち、本発明は、
 容積型の第1圧縮機と、
 冷媒回路において前記第1圧縮機に対して並 列に設けられ、前記第1圧縮機とは独立して 転数を制御可能な容積型の第2圧縮機と、
 前記第1および第2圧縮機で圧縮された冷媒 冷却する放熱器と、
 前記放熱器で放熱した冷媒を膨張させつつ 力を回収する容積型の膨張機と、
 前記膨張機で膨張した冷媒を蒸発させる蒸 器と、
 前記膨張機による回収動力が前記第1圧縮機 で使用されるように前記第1圧縮機と前記膨 機とを連結している回転軸と、
 前記蒸発器に高温の冷媒を流すことによっ 前記蒸発器に付着した霜を溶かす除霜運転 おいて、前記第1圧縮機の出口における冷媒 の流量と前記第2圧縮機の出口における冷媒 流量との合計を霜の解凍に応じて増やすス ップを含む制御を行うコントローラと、
 を備えた、冷凍サイクル装置を提供する。

 消費電力の増大に目をつむれば、圧縮機 回転数を限界まで上げて冷媒の流量を増や ば除霜時間も短くなると考えられる。図10 示す冷凍サイクル装置を例に挙げると、除 運転において、第1圧縮機21および第2圧縮機2 2を設計上の最大回転数(例えば70Hz)で駆動す 。第1圧縮機21とともに膨張機23の回転数も上 がるので、膨張機23の入口における冷媒の密 は回転数に比例して高くならないものの、 媒回路における冷媒の流量(循環量)は確実 増える。したがって、除霜時間もそれなり 短くなる。現に、膨張弁を用いた従来の冷 サイクル装置では、除霜運転において、圧 機の回転数を最大回転数に保持するのが通 となっている。

 しかし、第1圧縮機および第2圧縮機を最大 転数で駆動すると冷媒の流量は最大になる のの、除霜時間は最短にならない。なぜな 、除霜時間の長短には、冷媒の流量だけで く、冷媒が蒸発器に与える熱量も関係して るからである。具体的には、図11に示すモリ エル線図において、エンタルピ差δh 1 が大きく、かつ流量も大きい除霜サイクルが ベストで、除霜時間を最も短くできる。エン タルピ差δh 1 が大きい理想的な除霜サイクルで運転するに は、除霜サイクルの高低圧差を小さくする、 言い換えれば、圧縮機の回転数を適度に落と せばよい。しかし、圧縮機の回転数を落とす と、冷媒の流量も減少するので除霜時間が長 くなる。つまり、冷媒の流量と冷媒が蒸発器 に与える熱量とは、ある意味、トレードオフ の関係にある。

 そうだとすれば、冷媒の流量と冷媒が蒸 器に与える熱量とのバランスが取れた除霜 イクルを予め調べ、その除霜サイクルで除 運転を行なえばよいと考えられる。ところ 、都合の悪いことに、霜が溶けるのに応じ 冷凍サイクル装置の状態が変化し、理想的 除霜サイクルが高圧-高エンタルピ側にシフ トする。そのため、効率的な除霜運転を行な うためには、冷凍サイクル装置の状態の経時 変化を考慮に入れる必要がある。

 こうした知見に基づいて、本発明者らは 意検討を進めた。その結果、除霜運転にお て、第1圧縮機の出口における冷媒の流量と 第2圧縮機の出口における冷媒の流量との合 を霜の解凍に応じて増やすことによって、 1および第2圧縮機の回転数を最大回転数に保 持する場合よりも除霜時間を短くできるとい う事実を突き止めた。

 本発明の主要な考え方は次の通りである。 ず、除霜運転の初期には、圧縮機の入口に ける冷媒の圧力(図11では点a1の圧力)と膨張 の入口における冷媒の圧力(図11では点b1の 力)との差がなるべく小さく、エンタルピ差 h 1 が大きく、かつ流量も適度に大きいサイクル で除霜運転を行なう。そして、除霜が進むに つれて冷媒の流量を増やすことで、冷凍サイ クル装置の状態の経時変化に対処する。

 このようにすれば、除霜運転の開始から 了まで効率的なサイクルでの除霜運転が可 となり、第1および第2圧縮機の回転数を除 運転の開始から終了まで最大回転数に保持 る場合よりも短い時間で除霜運転を終える とが可能になる。しかも、消費電力も低減 きる。

本発明の一実施形態にかかる冷凍サイ ル装置の構成図 図1に示す冷凍サイクル装置の除霜運転 時のモリエル線図 除霜運転時の第1および第2圧縮機の回 数制御を示すタイムチャート(Aパターン) 除霜運転時の第1および第2圧縮機の回 数制御を示すタイムチャート(Bパターン) 除霜運転時の第1および第2圧縮機の回 数制御を示すタイムチャート(Cパターン) 除霜運転時の第1および第2圧縮機の回 数制御を示すタイムチャート(Dパターン) 除霜運転の制御フローチャート 除霜運転の他の制御フローチャート 膨張機を用いた従来の冷凍サイクル装 を示す構成図 膨張機を用いた従来の他の冷凍サイク ル装置を示す構成図 膨張機を用いた従来の冷凍サイクル装 置の除霜運転時のモリエル線図 膨張弁を用いた従来の冷凍サイクル装 置の除霜運転時のモリエル線図

 本発明の冷凍サイクル装置の一実施形態 ついて、図面を参照しながら説明する。

 図1に示すように、本実施形態の冷凍サイ クル装置100は、冷媒を圧縮する第1圧縮機101 、冷媒回路において第1圧縮機101に対して並 に設けられた第2圧縮機102と、第1圧縮機101 よび第2圧縮機102で圧縮された冷媒を冷却す 放熱器103と、冷媒を減圧および膨張させる 張機104と、膨張機104で膨張した冷媒を加熱 る蒸発器105とを備えている。これらの機器 配管で接続されることによって冷媒回路が 成されている。第1圧縮機101および第2圧縮 102のそれぞれに冷媒が導かれるように、蒸 器105の下流側で冷媒回路が分岐している。 縮された冷媒の全量が放熱器103に流入する うに、放熱器103の上流側で冷媒回路が合流 ている。冷媒回路には、二酸化炭素やハイ ロフルオロカーボン等の冷媒が充填されて る。

 例えば、冷凍サイクル装置100が給湯機に 用される場合、放熱器103が水-冷媒熱交換器 であり、蒸発器105がフィンチューブ熱交換器 である。冷凍サイクル装置100が空調機に適用 される場合、放熱器103および蒸発器105の両者 がフィンチューブ熱交換器である。

 第1圧縮機101、第2圧縮機102および膨張機10 4は、それぞれ、スクロール型、ロータリ型 レシプロ型等の容積型流体機械で構成され いる。冷媒が膨張時に開放するエネルギー 、膨張機104によって動力の形で回収される 膨張機104による回収動力が第1圧縮機101で使 されるように、第1圧縮機101と膨張機104とが 回転軸123によって連結されている。第1圧縮 101と膨張機104との間には、回転軸123を駆動 るためのモータ110が配置されている。回転 123で連結されているため、本実施形態では 第1圧縮機101の回転数と膨張機104の回転数と 常に等しい。他方、第2圧縮機102には、専用 のモータ111が接続されている。モータ110とモ ータ111とは別々に回転数を制御可能である。 言い換えれば、第1圧縮機101の回転数と第2圧 機102の回転数とを独立して制御可能である これにより、密度比一定の制約を回避でき 。

 第1圧縮機101、モータ110、回転軸123および 膨張機104は、共通の密閉容器(図示せず)内に 容されている。このタイプの流体機械は、 えば国際公開2006/035934号パンフレットに開 されている。同様に、第2圧縮機102およびモ タ111も共通の密閉容器(図示せず)内に収容 れている。

 冷凍サイクル装置100は、さらに、運転を 御する手段としてのコントローラ112と、モ タ110に給電する第1インバータ125と、モータ 111に給電する第2インバータ127とを備えてい 。具体的に、コントローラ112には、A/D変換 路、入出力回路、演算回路、記憶装置等を むDSP(Digital Signal Processor)が用いられる。コ トローラ112は、インバータ125,127を制御する ことによって、モータ110,111の回転数、すな ち、第1圧縮機101および第2圧縮機102の回転数 を制御する。

 冷媒回路には、第1圧縮機101の入口におけ る冷媒の温度を検出する第1温度センサ106と 第1圧縮機101の出口における冷媒の温度を検 する第2温度センサ107と、膨張機104の入口に おける冷媒の温度を検出する第3温度センサ10 8と、膨張機104の出口における冷媒の温度を 出する第4温度センサ109と、蒸発器105内の伝 管の表面温度を検出する着霜温度センサ120 、蒸発器105の周囲の外気温度を検出する外 温度センサ121とが設けられている。これら 温度センサには、サーミスタや熱電対など 温度検出素子を使用できる。各温度センサ 信号はコントローラ112に入力される。

 第1圧縮機101の設計上の押しのけ容積と、 第2圧縮機102の設計上の押しのけ容積とは、 なっていてもよいが、等しい方が有利であ 。第1圧縮機101と第2圧縮機102とに共通の流体 機械を用いることによって、コストを低減で きるからである。なお、「押しのけ容積」と は、吸入完了時の閉じ込め容積のことである 。

 なお、膨張機104をバイパスする回路を設 たり、放熱器103と膨張機104との間に予膨張 を設けたりしてもよい(図示省略)。

 次に、冷凍サイクル装置100の除霜運転に いて説明する。

 本実施形態において、「除霜運転」とは 第1圧縮機101および第2圧縮機102で圧縮した 媒を実質的に冷却せずに膨張機104で減圧し 蒸発器105に流すことによって、蒸発器105に 着した霜や氷を溶かす非定常運転のことで る。具体的には、放熱器103に流入する水ま は空気の量をゼロにする、給湯機における ポンプや空調機におけるファンを停止する とによって、冷媒が実質的に冷却されずに 張機104へと流れる。

 なお、放熱器103をバイパスする回路に冷 を流すホットガスバイパス方式、または、 媒回路に設けた四方弁によって冷媒を逆流 せる四方弁切り替え方式を採用してもよい

 図2は、本実施形態の冷凍サイクル装置の 除霜運転時のモリエル線図である。図2に示 3つのサイクル(除霜サイクル)は、それぞれ 除霜運転開始時のサイクルP1、除霜運転中間 時のサイクルP2および除霜運転終了時のサイ ルP3を模式的に表している。

 除霜運転開始時のサイクルP1を例に挙げ と、点A1→点B1で冷媒は圧縮機101,102によって 圧縮され、放熱器103に流入する。放熱器103で 熱交換しないので、点B1が膨張機104の入口で 冷媒の状態に対応する。冷媒は膨張機104で 圧され、蒸発器105の入口(点C1)に移動する。 点B1と点C1とのエンタルピ差δHが膨張機104の 収動力に対応する。蒸発器105に流入した冷 は、蒸発器105を加熱することで霜を溶かし 後、圧縮機101,102の入口(点A1)に戻る。点C1と A1とのエンタルピ差δhが蒸発器105に与えら る熱量に対応する。これらの説明は、中間 のサイクルP2および終了時のサイクルP3でも じである。

 本実施形態では、除霜運転において、第1圧 縮機101の出口における冷媒の流量と第2圧縮 102の出口における冷媒の流量との合計を霜 解凍に応じて徐々に増やす。除霜運転が進 につれて、冷凍サイクル装置100の各部にお る冷媒の温度が上昇し、これに伴って、サ クルはモリエル線図の右方向にシフトし、 イクルの高圧および低圧が共に上昇する(P1 P2→P3)。膨張機104の入口における冷媒の密度 ρ e と圧縮機101,102の入口における冷媒の密度ρ c との比(ρ e c )は、次第に大きくなる。サイクルP1,P2,P3に関 して、圧縮機101,102の入口における冷媒の密 をρ A1 A2 A3 、膨張機の入口における冷媒の密度をρ B1 B2 B3 とすると、(ρ B1 A1 )<(ρ B2 A2 )<(ρ B3 A3 )の関係が成り立つ。

 仮に、除霜運転の開始直後から終了まで 縮機101,102を最大回転数で駆動すると、冷媒 の密度比が変化しえないので、膨張機104が押 しのけるべき冷媒の流量不足が次第に顕著と なり、理想的なサイクルから大きく外れたサ イクルでの運転を強いられる。これに対し、 本実施形態では、第1圧縮機101の出口におけ 冷媒の流量と第2圧縮機102の出口における冷 の流量との合計を徐々に増やすことで、膨 機104が押しのけるべき冷媒の流量不足を解 ないし補てんできる。

 第1圧縮機101の出口における冷媒の流量と第 2圧縮機102の出口における冷媒の流量との合 を徐々に増やすために、本実施形態では次 制御を行う。
・除霜運転の開始後、第1圧縮機101の回転数 徐々に上げる(Aパターン)
・除霜運転の開始後、第2圧縮機102の回転数 徐々に上げる(Bパターン)

 なお、本明細書において「流量を徐々に やす」とは、流量を連続的に増やしてもよ し、段階的に増やしてもよいことを意味す 。同様に、「回転数を徐々に上げる」とは 回転数を連続的に上げてもよいし、段階的 上げてもよいことを意味する。

 第1圧縮機101の回転数を徐々に上げるAパ ーンを図3に、第2圧縮機102の回転数を徐々に 上げるBパターンを図4に示す。比較例として 第2圧縮機102の回転数を徐々に下げるCパタ ンを図5に、第1圧縮機101および第2圧縮機102 回転数を除霜開始から除霜終了まで最大に るDパターンを図6に示す。

 図3~図6において、時間Rは除霜開始時間、 時間Sおよび時間Vは第1圧縮機101または第2圧 機102の回転数が一定になる時間、時間Ta~Tdは 除霜終了時間、時間Uは第2圧縮機102の回転数 下がり始める時間を表している。第1圧縮機 101の回転数がHz1で示され、第2圧縮機102の回 数がHz2で示されている。回転数Lは、第1圧縮 機101および第2圧縮機102の設計上の最大回転 で、例えば70~90Hzである。回転数Mは、第1圧 機101および第2圧縮機102の定格回転数または の近傍の回転数で、例えば50~70Hzである。回 転数Nは、定格回転数よりも低い回転数で、 えば20~50Hzである。除霜運転に入る直前にお て、第2圧縮機102が停止して第1圧縮機101の が動いている場合もあるので、回転数Nはゼ であってもよい。ただし、L、M、Nの値は冷 サイクル装置の仕様、用途、使用環境等に じて定められるもので、上記の範囲に限定 れない。

 一例として、Aパターンにおいて、第1圧 機101の回転数を2~20Hz/分(または4~15Hz/分)のレ トで上げるとよい。同様に、Bパターンにお いて、第2圧縮機102の回転数を2~20Hz/分(または 4~15Hz/分)のレートで上げるとよい。この程度 ゆっくりしたレートで各圧縮機を加速する とで、除霜時間を確実に短縮でき、消費電 も低減できる。なお、別の視点から見ると 蒸発器105の出口における冷媒の温度が2~4℃/ 分のレートで上がるように制御を行ってもよ い。

 また、除霜時間を予測して除霜運転の開 から終了に至るまで加速を継続してもよい 、途中で加速を止めてもよい。つまり、所 回転数まである程度ゆっくりしたレートで 転数を上げた後、除霜運転の終了までその 定回転数を保持してもよい。例えばAパター ンでは、時間R(除霜開始)から時間Sまで第1圧 機101の加速を行い、時間Sから時間Ta(除霜終 了)まで第1圧縮機101の回転数をMで保持してい る。同様に、Bパターンでは、時間R(除霜開始 )から時間Sまで第2圧縮機102の加速を行い、時 間Sから時間Tb(除霜終了)まで第2圧縮機102の回 転数をMで保持している。さらに、各圧縮機10 1,102の回転数を単調に(連続的に)上げてもよ し、段階的に上げてもよい。

 図1に示す冷凍サイクル装置(給湯機用)を 製し、各パターンにしたがって除霜運転を ない、除霜に要した時間(除霜時間)と消費 力とを調べた。まず、蒸発器105を気温2℃の 境におき、冷凍サイクル装置を定格(第1圧 機101:60Hz、第2圧縮機:60Hz)で運転した。そし 、蒸発器105内の伝熱管の表面温度が-6℃にな った時点から30分後に除霜運転を開始した。 発器105の出口における冷媒の温度が10℃に した時点を除霜終了時とした。冷凍サイク 装置の具体的な構成は以下の通りである。

<<冷凍サイクル装置の構成>>
加熱能力:9kw
第1圧縮機:スクロール型
第2圧縮機:スクロール型
膨張機:ロータリ型
放熱器:水-冷媒熱交換器(除霜運転中は水の流 入を停止)
蒸発器:フィンチューブ熱交換器
冷媒:二酸化炭素

 結果を表1に示す。表1において、「除霜 間」および「消費電力」はBパターンの値を1 00としたときの相対比で示されている。時間( R)(S)(T)(U)(V)は、それぞれ、図3~図6に示された 間に対応している。

 図2を参照して説明したように、除霜運転 が進むにつれて、膨張機104の入口における冷 媒の密度と圧縮機101,102の入口における冷媒 密度との比は大きくなる。一方の圧縮機の 転数をできるだけ高くし、他方の圧縮機の 転数を徐々に上げることにより、密度比の 化に対応して効率の良い運転を行なえる。

 Aパターンは、除霜運転の開始後、第2圧 機102の回転数を最大回転数Lに保持するとと に、第1圧縮機101の回転数を最大回転数Lよ も低い回転数Nから徐々に上げる制御パター である。Aパターンでは、除霜運転開始時の 膨張機104の回転数が低いため、冷媒の循環量 が低下し、除霜時間もやや長くなった。しか し、Bパターンほどではないが、Aパターンで 一定の効果が得られた。

 Bパターンは、除霜運転の開始後、第1圧 機101の回転数を最大回転数Lに保持するとと に、第2圧縮機102の回転数を最大回転数Lよ も低い回転数Nから徐々に上げる制御パター である。Bパターンによると、最も短い時間 で除霜が終わり、消費電力も最も少なかった 。この理由として、(i)除霜開始時のサイクル の高低圧差が比較的小さいため、冷媒が膨張 機104で失うエンタルピも少なく、蒸発器105を 加熱するための熱量δhを除霜初期から十分に 確保できること、(ii)除霜開始時から第1圧縮 101の回転数が高く、冷媒の循環量を十分に 保できることが挙げられる。

 Cパターンは、第1圧縮機101の回転数を最 回転数Lで保持し、第2圧縮機102の回転数を徐 々に下げる制御パターンである。Cパターン よると、最も長い除霜時間を要した。除霜 始時のサイクルの低圧が低すぎることが原 に挙げられる。

 Dパターンは、第1圧縮機101の回転数およ 第2圧縮機102の回転数を共に高い回転数に保 する制御パターンである。Dパターンによる と、AパターンおよびBパターンよりも長い除 時間を要し、消費電力も最も多かった。除 開始時のサイクルの低圧が低すぎること、 凍サイクル装置の状態の経時変化に対応で ていないことが原因に挙げられる。

 なお、AパターンとBパターンとの組み合 せとして、除霜運転の開始後、第1圧縮機101 回転数および第2圧縮機102の回転数を徐々に 上げる制御パターンも考えられる。冷媒の流 量を十分に確保できるのであれば、この制御 パターンも有効である。

 以上に説明したように、第1圧縮機101およ び第2圧縮機102から選ばれる少なくとも一方 回転数を徐々に上げることによって冷媒の 量を徐々に増やせば、除霜時間の短縮およ 消費電力の低減を図れる。好ましくは、第1 縮機101の回転数を最大回転数Lで保持すると ともに、第2圧縮機102の回転数を当該第2圧縮 102の定格回転数よりも低い回転数Nから徐々 に上げることである。

 次に、図7に示す制御フローチャートを参 照して、Bパターンの制御についてさらに説 する。図4に示すBパターンにおいて、第2圧 機102の回転数Hz2を時間tの関数f(t)+Nで表す(N: 期回転数)。

 除霜運転の開始条件の成立に応じて、コ トローラ112は、図7に示す制御を行なう。除 霜運転の開始条件は特に限定されない。一例 では、外気温度が所定温度以下で、蒸発器105 内の伝熱管の表面温度が所定の要除霜温度以 下になった時点から所定時間経過後に除霜運 転を開始する。例えば、外気温度センサ121に よる検出温度が0~5℃、着霜温度センサ120によ る検出温度が-5~-2℃になった時点(またはその 時点から所定時間経過後)で除霜運転を開始 る。

 まず、ステップ201で、第1圧縮機101の回転 数Hz1をL、第2圧縮機102の回転数Hz2をf(t)+Nにセ トする。第2圧縮機102の回転数Hz2の最大値を Mとする。L、M、Nは、それぞれ、図4中に示す 転数である。次に、ステップ202では、蒸発 105の出口における冷媒の温度Teoutと、設定 Tem(例えば10℃)とを比較する。Teout>Temの場 に霜が十分に溶けたと判断し、除霜運転を 了する。Teout≦Temの場合は除霜が不十分で ると判断し、ステップ201に戻って第2圧縮機1 02の回転数を上げる。

 蒸発器105の出口における冷媒の温度Teout 基づいて、除霜できたかどうかを確実に判 できる。なお、温度Teoutは、第1圧縮機101の 口における冷媒の温度に略等しいので、第1 度センサ106より取得できる。蒸発器105の出 付近に温度センサを別途設けてもよい。除 運転終了後は、第1圧縮機101および第2圧縮 102の回転数を定格回転数にセットし、通常 給湯運転(放熱器103への水の流入)を再開する 。

 以上のように、第2圧縮機102の回転数を徐 々に上げることによって、除霜時間の短縮お よび消費電力の低減を図れる。

 次に、図8に示す制御フローチャートを参 照して、図4のBパターンをさらに発展させた 御について説明する。図8に示す制御による と、除霜運転時のCOPの更なる改善および圧縮 機の部品温度の過昇を防止できる。

 まず、ステップ301で、第1圧縮機101の回転 数Hz1をL、第2圧縮機102の回転数Hz2をf(t)+Nにセ トする。この点は、図7のステップ201と同じ である。次に、ステップ302では、除霜運転が 安定したかどうかを判断する。具体的には、 除霜開始から所定時間(例えば5分)が経過した かどうかを判断する。所定時間が経過してい る場合にはステップ303に移る。所定時間が経 過していない場合にはステップ301に戻る。な お、第2圧縮機102の回転数Hz2がこの所定時間 に回転数Mに達するように、第2圧縮機102の加 速度を決めてもよい。

 次に、ステップ303では、第1圧縮機101の入 口における冷媒の温度Td(第1圧縮機101の吸入 度)、第1圧縮機101の出口における冷媒の温度 Ts(第1圧縮機101の吐出温度)、膨張機104の入口 おける冷媒の温度Tj、膨張機104の出口にお る冷媒の温度Tk、第1圧縮機101の回転数Hz1お び第2圧縮機102の回転数Hz2を検出する。温度T d,Ts,Tj,Tkは、それぞれ、第1~第4温度センサ106~1 09から取得できる。回転数Hz1,Hz2は、コントロ ーラ112自身が管理しているデータである。

 次に、ステップ304に移り、上記検出値から 媒の密度比(ρ e c )を算出する。密度ρ c は、第1圧縮機101の入口における冷媒の密度 あり、密度ρ e は、膨張機104の入口における冷媒の密度であ る。算出した密度比(ρ e c )に基づき、コントローラ112に予め記憶され いる相関式や数値データのテーブル等を利 することにより、第1圧縮機101の目標吐出温 Tsmを求める。

 ステップ305では、実際の吐出温度Tsと目標 出温度Tsmとを比較する。Ts>Tsmの場合は、 イクルの高圧が高すぎると判断する。この 合は、膨張機104の入口における冷媒の密度ρ e が高くなるようにバランスしようとしている ため、ステップ306で第2圧縮機102の回転数を げて、膨張機104の入口における冷媒の流量 落とす。これにより、第1圧縮機101の吐出温 Tsおよびサイクルの高圧が下がる。

 他方、Td≦Tsmの場合は、サイクルの高圧が すぎると判断する。この場合は、膨張機104 入口における冷媒の密度ρ e が低くなるようにバランスしようとしている ため、ステップ307で第2圧縮機102の回転数を げて、膨張機104の入口における冷媒の流量 増やす。これにより、第1圧縮機101の吐出温 Tsおよびサイクルの高圧が上がる。

 ステップ308では、蒸発器105の出口におけ 冷媒の温度Teoutと、設定値Tem(例えば10℃)と 比較する。本実施形態では、温度Teoutは、 1圧縮機101の吸入温度Tdに略等しい。Teout>Te mの場合に霜が十分に溶けたと判断し、除霜 転を終了する。Teout≦Temの場合は除霜が不十 分であると判断し、ステップ303に戻る。

 以上のように、除霜運転を開始して所定時 が経過するまでの期間において、第2圧縮機 102の回転数を徐々に上げる。除霜運転開始か ら所定時間が経過した後、密度比(ρ e c )に基づいて、第1圧縮機101の目標吐出温度Tsm 算出し、実際の吐出温度Tsが目標吐出温度Ts mに近づくように第2圧縮機102の回転数を制御 る。これにより、より高いCOPを達成できる また、圧縮機101,102の部品温度の過昇を防止 できるので、冷凍サイクル装置100の信頼性が 高まる。

 なお、本実施形態では、第1圧縮機101の回 転数および/または第2圧縮機102の回転数を徐 に上げることによって、冷媒の循環量を徐 に増やしている。しかし、冷媒の循環量を 々に増やす方法は、回転数を上げること以 にもある。例えば、第1圧縮機101および/ま は第2圧縮機102として、押しのけ容積が可変 圧縮機を用いることが考えられる。回転数 徐々に上げる代わりに、押しのけ容積を徐 に増やす制御を実施することにより、冷媒 循環量を徐々に増やすことができる。さら 、回転数を上げる制御と押しのけ容積を増 す制御とを併用しても同じ結果が得られる

 本発明の冷凍サイクル装置は、給湯機、 調機、床暖房装置、浴室乾燥機、融雪装置 ど、蒸発器への着霜が考えられる様々な用 に適用できる。