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Patent Searching and Data


Title:
RESIN COMPOSITION AND COPPER FOIL WITH RESIN OBTAINED BY USING THE RESIN COMPOSITION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/001850
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a resin composition which enables to form an insulating resin layer having adequate flame retardancy, while exhibiting good adhesion to a copper foil for printed wiring board production. Also disclosed is a copper foil with resin. Specifically disclosed is a resin composition for forming an insulating layer for printed wiring board, which is characterized by having a base composition containing a bisphenol epoxy resin having an epoxy equivalent of not more than 200 which is in a liquid state at 25˚C as a component A, a linear polymer having a crosslinkable functional group as a component B, a crosslinking agent as a component C, 4,4'-diaminodiphenylsulfone or 2,2-bis(4-(4-aminophenoxy)phenyl)propane as a component D, a flame-retardant epoxy resin as a component E, and a polyfunctional epoxy resin as a component F.

Inventors:
SATO TETSURO (JP)
MATSUSHIMA TOSHIFUMI (JP)
MATSUNAGA TETSUHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/061529
Publication Date:
December 31, 2008
Filing Date:
June 25, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MITSUI MINING & SMELTING CO (JP)
SATO TETSURO (JP)
MATSUSHIMA TOSHIFUMI (JP)
MATSUNAGA TETSUHIRO (JP)
International Classes:
C08G59/56; C08G59/30; C08G59/32; H05K1/03
Foreign References:
JPH08193188A1996-07-30
JP2005213352A2005-08-11
JP2001181593A2001-07-03
JP2007099956A2007-04-19
JP2006328214A2006-12-07
JP2005132925A2005-05-26
JPH11186724A1999-07-09
JPH11186723A1999-07-09
JPH11279258A1999-10-12
JP2005314449A2005-11-10
JP2002128867A2002-05-09
Attorney, Agent or Firm:
YOSHIMURA, Katsuhiro (Patent Office Omiya F Bldg.,5-4, Sakuragicho 2-chome,Omiya-ku, Saitama-shi, Saitama 54, JP)
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Claims:
プリント配線板の絶縁層を形成するために用いる樹脂組成物であって、以下のA成分~F成分の各成分を含むことを特徴とするプリント配線板製造用の樹脂組成物。
A成分: エポキシ当量が200以下で、25℃で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂の群から選ばれる1種又は2種以上。
B成分: 架橋可能な官能基を有する線状ポリマー。
C成分: 架橋剤(但し、A成分がB成分の架橋剤として機能する場合には省略可。)。
D成分: 4,4’-ジアミノジフェニルスルホン又は2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン。
E成分: 難燃性エポキシ樹脂。
F成分: 多官能エポキシ樹脂。
前記B成分である架橋可能な官能基を有する線状ポリマーは、ポリビニルアセタール樹脂又はポリアミドイミド樹脂を用いる請求項1に記載のプリント配線板製造用の樹脂組成物。
前記C成分である架橋剤は、ウレタン系樹脂を用いる請求項1~請求項3のいずれかに記載のプリント配線板製造用の樹脂組成物。
前記E成分である難燃性エポキシ樹脂は、分子内に2以上のエポキシ基を備えるテトラブロモビスフェノールAからの誘導体として得られる化1に示す構造式を備える臭素化エポキシ樹脂、以下に示す化2に示す構造式を備える臭素化エポキシ樹脂の1種又は2種を混合して用いる請求項1~請求項3のいずれかに記載のプリント配線板製造用の樹脂組成物。

前記E成分である難燃性エポキシ樹脂は、分子内に2以上のエポキシ基を備える9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド誘導体であるリン含有エポキシ樹脂を用いる請求項1~請求項3のいずれかに記載のプリント配線板製造用の樹脂組成物。
前記E成分である難燃性エポキシ樹脂は、以下に示す化3~化5のいずれかに示す構造式を備えるリン含有エポキシ樹脂の1種又は2種を混合して用いる請求項1~請求項3のいずれかに記載のプリント配線板製造用の樹脂組成物。


F成分の多官能エポキシ樹脂としてオルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を添加した請求項1~請求項6のいずれかに記載のプリント配線板製造用の樹脂組成物。
樹脂組成物重量を100重量部としたとき、A成分が3重量部~20重量部、B成分が3重量部~30重量部、C成分が3重量部~10重量部(A成分がB成分の架橋剤として機能する場合には0重量部~10重量部)、D成分が5重量部~20重量部、F成分が3重量部~20重量部であり、
 樹脂組成物重量を100重量%としたとき、E成分由来の臭素原子を12重量%~18重量%の範囲含有するようにE成分の重量部を定めるものである請求項4に記載のプリント配線板製造用の樹脂組成物。
樹脂組成物重量を100重量部としたとき、A成分が3重量部~20重量部、B成分が3重量部~30重量部、C成分が3重量部~10重量部(A成分がB成分の架橋剤として機能する場合には0重量部~10重量部)、D成分が5重量部~20重量部、F成分が3重量部~20重量部であり、
 樹脂組成物重量を100重量%としたとき、E成分由来のリン原子を0.5重量%~3.0重量%の範囲含有するようにE成分の重量部を定めるものである請求項5及び請求項6に記載のプリント配線板製造用の樹脂組成物。
G成分として硬化促進剤を添加した請求項1~請求項9のいずれかに記載のプリント配線板製造用の樹脂組成物。
銅箔の片面に半硬化樹脂層を備えた樹脂付銅箔において、
 当該半硬化樹脂層は、請求項1~請求項10のいずれかに記載の樹脂組成物を用いて、5μm~100μmの平均厚さとして形成したことを特徴とするプリント配線板製造用の樹脂付銅箔。
前記銅箔は、その半硬化樹脂層の形成面が表面粗さ(Rzjis)が3.0μm以下の低粗度表面を備えるものを用いる請求項11に記載のプリント配線板製造用の樹脂付銅箔。
前記銅箔の半硬化樹脂層を形成する表面にシランカップリング処理層を備える請求項11又は請求項12に記載のプリント配線板製造用の樹脂付銅箔。
2枚の前記樹脂付銅箔の1種を用いて、それぞれの樹脂付銅箔の樹脂面同士を合わせて当接させ、圧力20kgf/cm 2 、温度180℃×1時間の条件で熱間プレス成形を行い銅張積層板とし、当該銅張積層板の両面にある銅箔層をエッチング除去して樹脂フィルムとし、この樹脂フィルムを動的粘弾性測定装置(DMA)で動的粘弾性を測定して得られる30℃における貯蔵弾性率が、3.0GPa未満となる半硬化樹脂層を備える請求項11~請求項13のいずれかに記載のプリント配線板製造用の樹脂付銅箔。
請求項11~請求項14のいずれかに記載のプリント配線板製造用の樹脂付銅箔の製造方法であって、
 以下の工程a、工程bの手順で樹脂層の形成に用いる樹脂ワニスを調製し、当該樹脂ワニスを銅箔の表面に塗布し、乾燥させることで5μm~100μmの平均厚さの半硬化樹脂膜を形成して樹脂付銅箔とすることを特徴とするプリント配線板製造用の樹脂付銅箔の製造方法。
工程a: 前記A成分、B成分、C成分(A成分がB成分の架橋剤として機能する場合には省略可)、D成分、E成分、F成分、G成分の内、A成分~F成分を必須成分とした樹脂組成物の重量を100重量%としたとき、E成分由来の臭素原子を12重量%~18重量%の範囲又はリン原子を0.5重量%~3.0重量%の範囲で含有するように各成分を混合して樹脂組成物とする。
工程b: 前記樹脂組成物を、有機溶剤を用いて溶解し、樹脂固形分量が25重量%~50重量%の樹脂ワニスとする。
前記工程aの樹脂組成物に、G成分として硬化促進剤を添加する請求項15に記載のプリント配線板製造用の樹脂付銅箔の製造方法。
請求項1~請求項10のいずれかに記載の樹脂組成物を用いて絶縁層を構成したことを特徴とするプリント配線板。
Description:
樹脂組成物及びその樹脂組成物 用いて得られる樹脂付銅箔

 本件出願に係る発明は、プリント配線板 絶縁層構成用の樹脂組成物及び樹脂付銅箔 びに樹脂付銅箔の製造方法等に関する。

 樹脂付銅箔は、プリント配線板製造の分 で、種々の使用目的の下で用いられてきた 例えば、特許文献1には、周辺の銅箔が露出 した余白部があるように樹脂を銅箔の表面に 形成した樹脂付銅箔を採用して、樹脂付銅箔 の裏面での打痕の発生を防止することが開示 され。樹脂付銅箔の形態をプレス加工時の打 痕の防止に用いている。

 また、特許文献2には、ビルドアッププリ ント配線板でビルドアップ層を形成するため 樹脂付銅箔をコア層に積層する製造方法にお いて、積層時コア層IVH近傍の銅箔凹みを抑え 、レジスト用ドライフィルムの密着性が良好 で気泡の発生が無く、結果として精細パター ンが精度良く得ることを目的として、コア層 IVHに樹脂付銅箔の樹脂層の樹脂成分を流入さ せ、影響の無い凹みに抑えるために、必要な 厚さの銅箔の樹脂付銅箔を用いることが開示 されている。

 その他、樹脂付銅箔は、その樹脂層に、 格材を用いないため耐マイグレーション性 優れ、ガラスクロスを骨格材として用いた リプレグと異なりクロス目が基板表面に浮 出すのを防止する用途等に用いられてきた 例えば、特許文献3には、高電圧で使用して も絶縁劣化の虞れが無く、しかもコストアッ プが充分に抑制できるようにしたプリント配 線板等の提供を目的として、ガラス繊維基板 材と配線層及び配線パターンの間に、ガラス 繊維を含んでいない絶縁膜を設け、配線層及 び配線パターンがガラス繊維基板材内にある ガラス繊維に接触することがないようにする にあたり、前記ガラス繊維を含まない絶縁膜 が、絶縁樹脂付銅箔の絶縁樹脂部分で形成さ れ、前記配線パターンが形成された銅箔層が 、この絶縁樹脂付銅箔の銅箔部分で形成され ていることを特徴とするプリント配線板を採 用することが開示されている。この結果、耐 マイグレーション性が向上し、絶縁層と配線 層及び配線パターンの接着強度が向上し、高 い信頼性と長寿命化を得ることができるとし ている。

 以上のことから理解できるように、樹脂 銅箔は、プリント配線板の形状起因の欠点 補う用途で使用されてきた。ところが近年 、その樹脂付銅箔を構成する銅箔のロープ ファイル化が要求されてきた。即ち、銅箔 樹脂層を形成する側の銅箔の表面粗さの低 製品が望まれてきた。銅箔をエッチング加 して回路を形成する際のエッチング精度を 上させ、ファインピッチ回路の形成を容易 出来るからである。また、高周波信号の伝 を行う場合に、伝送ロスの少ないプリント 線板を提供できるからである。

 このような要求に対して、銅箔の張り合 せ面に粗化処理を施していない無粗化銅箔 使用が行われるようになってきた。当初、 の無粗化銅箔は、FR-4グレードのプリプレグ 等の絶縁層構成材料に対して、加熱を行いプ レス加工して張り合わせられ銅張積層板に加 工して用いられていた。このような一般的な 方法で銅張積層板を製造すると、無粗化銅箔 とプリプレグ等の絶縁層構成材料との間での 密着安定性に関しての問題があった。

 そこで、特許文献4に開示しているように 、無粗化銅箔を樹脂付き銅箔の形で用いるこ とが提唱されてきた。この特許文献4には、 化銅箔を用いた場合と匹敵する引き剥し強 と、エッチング処理後に銅粒子が樹脂中に らない回路形成に優れた銅張積層板用銅箔 提供を目的として、無粗化銅箔に2層以上の 着層を設けてなる銅張積層板用銅箔におい 、前記接着層の1層目がポリビニルアセター ル樹脂100重量部にエポキシ樹脂 1~50未満重量 部を含有することを特徴とする銅張積層板用 銅箔が開示されている。

 また、樹脂付銅箔に対しては、その樹脂 に対する難燃化の要求も行われてきた。こ 要求に応えるため、本件出願人は、好適な 脂付銅箔として、特許文献5に開示の発明を 提案した。この特許文献5では、ハロゲン元 を含まず、且つ高い難燃性を有し、優れた 水性、耐熱性、および基材と銅箔との間の 好な引き剥がし強さを有する樹脂付き銅箔 提供することを目的として、窒素が5~25重量% であるエポキシ樹脂硬化剤を含むエポキシ系 樹脂と、熱硬化性を有するマレイミド化合物 とを含み、ハロゲン元素を含有しない組成を 有するものであることを特徴とする樹脂化合 物を樹脂付銅箔の樹脂層構成用に用いた。

 更に、特許文献6には、エッチング残やハ ローイング現象の原因となる銅箔の粗化処理 を行わなくても銅箔表面に強固に密着し、銅 箔と基材との高い接着性が図られ、かつ取扱 いに優れた接着剤および接着剤付き銅箔が開 示されている。この特許文献6に言う接着剤 、樹脂成分総量に対してエポキシ樹脂40~70重 量%、ポリビニルアセタール樹脂20~50重量%、 ラミン樹脂またはウレタン樹脂0.1~20重量%を 有し、該エポキシ樹脂の5~80重量%がゴム変 エポキシ樹脂であることを特徴とするもの ある。

特開平11-348177号公報

特開2001-24324号公報

特開2001-244589号公報

特開平11-10794号公報

特開2002-179772号公報

特開平08-193188号公報

 しかしながら、上記特許文献4に開示の発 明では、無粗化銅箔に2層以上の接着層を設 る必要があり、第1層の樹脂層を形成し、更 第2層の樹脂層を形成するため樹脂層の製造 工程が長くなり、生産コストが上昇すると共 に、生産性が低くなる。

 また、上記特許文献5に開示の発明では、 銅箔の樹脂層の形成面の粗度が低くなると、 硬化した樹脂層と銅箔との間の引き剥がし強 さが不十分となり、ファインピッチ回路形成 用の銅張積層板への使用には不満が残るもの であり、より一層の引き剥がし強さの向上お よび低粗度銅箔の使用可能な樹脂組成物が望 まれてきた。

 更に、近年は、無粗化銅箔を用いること 一般化しており、樹脂付銅箔の銅箔として 利用されている。係る場合、無粗化銅箔と 脂層との引き剥がし強さで0.6kgf/cm以上あれ 使用可能と言われてきたが、より一層の絶 樹脂基材との密着性の向上が望まれている この観点からのみ考えれば、上述の特許文 6に開示の樹脂組成は、粗化処理を行ってい ない銅箔表面でも強固に密着し、銅箔と基材 との高い接着性が図られる接着剤及び接着剤 付き銅箔が開示されている。ところが、特許 文献6に開示の接着剤として用いる樹脂組成 は難燃性が劣るため、プリント配線板用と ての使用が困難であった。

 以上のことから、本件発明は、この密着 向上の要求に応え、且つ、難燃性、耐吸湿 等の諸特性に優れた硬化樹脂層の形成が可 な樹脂組成物及び樹脂付銅箔の提供を目的 する。

 そこで、本件発明者等は、鋭意研究の結 、上述のような問題点を解決することので る樹脂組成物に想到した。以下、この本件 明の概要に関して述べる。

本件発明に係る樹脂組成物:本件発明に係 プリント配線板製造用の樹脂組成物は、プ ント配線板の絶縁層を形成するために用い 樹脂組成物であって、以下のA成分~F成分の 成分を含むことを特徴とする。

A成分: エポキシ当量が200以下で、25℃で液状 のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフ ノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD エポキシ樹脂の群から選ばれる1種又は2種以 上。
B成分: 架橋可能な官能基を有する線状ポリ ー。
C成分: 架橋剤(但し、A成分がB成分の架橋剤 して機能する場合には省略可。)。
D成分: 4,4’-ジアミノジフェニルスルホン又 2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プ パン。
E成分: 難燃性エポキシ樹脂。
F成分: 多官能エポキシ樹脂。

 本件発明に係るプリント配線板製造用の 脂組成物は、前記B成分である架橋可能な官 能基を有する線状ポリマーにポリビニルアセ タール樹脂、ポリアミドイミド樹脂を用いる ことが好ましい。

 本件発明に係るプリント配線板製造用の 脂組成物は、前記C成分である架橋剤にウレ タン系樹脂を用いることが好ましい。

 本件発明に係るプリント配線板製造用の 脂組成物は、前記E成分である難燃性エポキ シ樹脂として、分子内に2以上のエポキシ基 備えるテトラブロモビスフェノールAからの 導体として得られる化7に示す構造式を備え る臭素化エポキシ樹脂、化8に示す構造式を える臭素化エポキシ樹脂の1種又は2種を混合 して用いることが好ましい。

 本件発明に係るプリント配線板製造用の 脂組成物は、前記E成分である難燃性エポキ シ樹脂として、分子内に2以上のエポキシ基 備える9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフ ナントレン-10-オキサイド誘導体であるリン 有エポキシ樹脂を用いることが好ましい。

 本件発明に係るプリント配線板製造用の 脂組成物は、前記E成分である難燃性エポキ シ樹脂として、化10~化12のいずれかに示す構 式を備えるリン含有エポキシ樹脂の1種又は 2種を混合して用いることが好ましい。

 本件発明に係るプリント配線板製造用の 脂組成物は、F成分の多官能エポキシ樹脂と してオルトクレゾールノボラック型エポキシ 樹脂を用いることが好ましい。

 本件発明に係るプリント配線板製造用の 脂組成物は、樹脂組成物重量を100重量部と たとき、A成分が3重量部~20重量部、B成分が3 重量部~30重量部、C成分が3重量部~10重量部(A 分がB成分の架橋剤として機能する場合には 略可)、D成分が5重量部~20重量部、F成分が3 量部~20重量部であり、E成分由来の臭素原子 12重量%~18重量%の範囲含有するようにE成分 添加量を定めることが好ましい。

 本件発明に係るプリント配線板製造用の 脂組成物は、樹脂組成物重量を100重量部と たとき、A成分が3重量部~20重量部、B成分が3 重量部~30重量部、C成分が3重量部~10重量部(A 分がB成分の架橋剤として機能する場合には 略可)、D成分が5重量部~20重量部、F成分が3 量部~20重量部であり、樹脂組成物重量を100 量%としたとき、E成分由来のリン原子を0.5重 量%~3.0重量%の範囲含有するようにE成分の添 量を定めることが好ましい。

 更に、本件発明に係るプリント配線板製 用の樹脂組成物は、G成分として硬化促進剤 を添加することも好ましい。

本件発明に係る樹脂付銅箔の製造方法: 本 件出願に係る樹脂付銅箔の製造方法において 、以下の工程a、工程bの手順で樹脂層の形成 用いる樹脂ワニスを調製し、当該樹脂ワニ を銅箔の表面に塗布し、乾燥させることで 均厚さ5μm~100μmの半硬化樹脂膜として樹脂 銅箔とすることを特徴とするプリント配線 製造用の樹脂付銅箔の製造方法である。

工程a: 前記A成分、B成分、C成分(A成分がB成 の架橋剤として機能する場合には省略可)、D 成分、E成分、F成分、G成分の内、A成分~F成分 を必須成分とした樹脂組成物の重量を100重量 %としたとき、E成分由来の臭素原子を12重量%~ 18重量%の範囲又はリン原子を0.5重量%~3.0重量% の範囲で含有するように各成分を混合して樹 脂組成物とする。
工程b: 前記樹脂組成物を、有機溶剤を用い 溶解し、樹脂固形分量が25重量%~50重量%の樹 ワニスとする。

 そして、前記工程aの樹脂組成物に、G成 として硬化促進剤を添加することも好まし 。

 そして、ここで用いる前記銅箔は、その 硬化樹脂層の形成面が表面粗さ(Rzjis)が3.0μm 以下の低粗度表面を備えるものを用いること が好ましい。

 また、前記銅箔の半硬化樹脂層を形成す 表面にシランカップリング処理層を備える とが好ましい。

本件発明に係るプリント配線板: 本件出願 に係るプリント配線板は、上述の樹脂組成物 を用いて絶縁層を構成したことを特徴とする ものである。

 本件出願に係る樹脂組成物は、上述のA成 分、B成分、C成分(A成分がB成分の架橋剤とし 機能する場合には省略可)、D成分、E成分、F 成分、G成分の内、A成分~F成分を必須成分と 、G成分を必要に応じて添加した組成を備え 。そして、このときの各成分として、特性 成分及び適正な配合量を採用する。特に、D 成分である4,4’-ジアミノジフェニルスルホ 又は2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル )プロパンを用いる点に特徴を有する。この うな樹脂組成を採用することにより、無粗 銅箔とこの樹脂組成物とで構成した樹脂層 は、プレスして硬化させると、当該無粗化 箔と硬化樹脂層との間で、引き剥がし強さ して0.8kgf/cm以上のレベルに密着性が向上し 同時に難燃性、耐吸湿性等の諸特性に優れ 硬化樹脂層が得られる。従って、本件発明 係る樹脂組成物を用いて、銅箔の表面に半 化樹脂層を形成した樹脂付銅箔を製造する 、ファインピッチ回路の形成に用いる低粗 の銅箔の使用が積極的に可能で、高品質の 脂付き銅箔を得ることができる。

 以下、本件発明を実施するための最良の 態に関して、項目毎に述べることとする。

<樹脂組成物の形態>
 本件出願に係る樹脂組成物は、プリント配 板の絶縁層構成用に用いるものであり、銅 との密着性に優れ、硬化した後の硬化樹脂 は難燃性、耐吸湿性等の諸特性に優れたも になる。以下、本件出願に係る樹脂組成物 形成した絶縁樹脂層と銅箔との密着性を中 に述べる。そして、この樹脂組成物は、以 のA成分~F成分の各成分を含むことを特徴と る。以下、各成分ごとに説明する。

A成分: このA成分は、所謂ビスフェノール エポキシ樹脂である。そして、ビスフェノ ルA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エ キシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂 の群から選ばれる1種又は2種以上を混合して いることが好ましい。ここで、ビスフェノ ル系エポキシ樹脂を選択使用しているのは 25℃で液状のエポキシ樹脂で取り扱いが容 であり、半硬化状態の樹脂層を備える樹脂 銅箔を製造すると、樹脂付銅箔のソリ(カー 現象)の抑制効果が顕著に得られるからであ る。また、硬化後の樹脂膜と銅箔との良好な 密着性を得る事ができるからである。なお、 液状エポキシが高純度の場合には、過冷を受 けると常温に戻しても結晶化状態が維持され 、外観上は固形に見えるものもある。この場 合には、液状に戻して使用することが可能で あるため。ここで言う液状エポキシ樹脂に含 めて考える。更に、ここで25℃という温度を 記したのは、室温付近でという意味を明確 するためである。

 そして、エポキシ当量が200以下の場合に 、25℃の温度で液体状態を維持できるので 脂組成物の調製が容易で、樹脂付銅箔を製 したときのカール現象の抑制にも寄与でき 。ここで、エポキシ当量の下限値を明記し いないが、ビスフェノールF型の最小単位の ポキシ当量が最も小さいことを考えれば、 限値は150程度である。なお、ここで言うエ キシ当量とは、1グラム当量のエポキシ基を 含む樹脂のグラム数(g/eq)である。更に、上述 のビスフェノール系エポキシ樹脂であれば、 1種を単独で用いても、2種以上を混合で用い も構わない。しかも、2種以上を混合して用 いる場合には、その混合比に関しても特段の 限定はない。

 このビスフェノール系エポキシ樹脂は、 件発明で言う樹脂組成物を100重量部とした き、3重量部~20重量部の配合割合で用いられ る。当該エポキシ樹脂が3重量部未満の場合 は、硬化後の硬化樹脂層が脆くなり樹脂割 を生じやすくなる。一方、20重量部を越える と、室温で半硬化状態の樹脂面に粘着性を生 じるためハンドリング性に欠け、汚染性も大 きくなるため好ましくない。

B成分: このB成分は、架橋可能な官能基を する線状ポリマーである。ここで、架橋可 な官能基を有する線状ポリマーは、水酸基 カルボキシル基等のエポキシ樹脂の硬化反 に寄与する官能基を備えることが好ましい そして、この架橋可能な官能基を有する線 ポリマーは、沸点が50℃~200℃の温度の有機 剤に可溶であることが更に好ましい。ここ 言う官能基を有する線状ポリマーとして、 リビニルアセタール樹脂、フェノキシ樹脂 ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアミドイ ド樹脂等が使用できる。中でも、ポリビニ アセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂の 用が好ましい。樹脂ワニスに加工したとき 粘度調整が容易だからである。

 この架橋可能な官能基を有する線状ポリ ーは、樹脂組成物を100重量部としたとき、3 重量部~30重量部の配合割合で用いることが好 ましい。当該線状ポリマーが3重量部未満の 合には、熱間プレス時に樹脂流れが大きく り、絶縁樹脂層の厚さ制御が困難になる。 の結果、製造した銅張積層板の端部から樹 粉の発生が多く見られるようになり、粉塵 生防止の観点から好ましくない。一方、30重 量部を超えると、樹脂流れが小さくなるが、 製造した銅張積層板の絶縁層内にボイド等の 欠陥を生じやすくなる。

 また、ここで言う沸点が50℃~200℃の温度 有機溶剤に可溶であることが望ましいとし いるが、ここで言う有機溶剤とは、メタノ ル、エタノール、メチルエチルケトン、ト エン、プロピレングリコールモノメチルエ テル、ジメチルホルムアミド、ジメチルア トアミド、シクロヘキサノン、エチルセロ ルブ等の群から選ばれる1種の単独溶剤又は 2種以上の混合溶剤である。沸点が50℃未満の 場合には、加熱による溶剤の気散が著しく、 樹脂ワニスの状態から半硬化樹脂とする場合 に、良好な半硬化状態の樹脂層が得にくくな る。一方、沸点が200℃を超える場合には、半 硬化状態での残留溶剤量が多くなり、通常要 求される揮発速度を満足せず、工業生産性を 満足しない。

C成分: このC成分は、B成分と架橋反応を起 こさせるための架橋剤である。この架橋剤に は、ウレタン系樹脂を使用することが好まし い。この架橋剤を添加する場合には、A成分 B成分との混合量に応じて添加されるもので り、本来厳密にその配合割合を明記する必 性はないものと考える。しかしながら、樹 組成物を100重量部としたとき、10重量部以 の配合割合で用いる事が好ましい。10重量部 を超えて、ウレタン系樹脂であるC成分が存 すると、半硬化状態での樹脂層の耐吸湿性 劣化し、硬化後の樹脂層が脆くなるからで る。一方、このC成分を3重量部未満の配合割 合で用いると、上記A成分とB成分との混合量 考慮すると、架橋剤としての効果を十分に 揮しなくなる。従って、3重量部以上配合す ることが好ましい。

 しかし、C成分を省略することが出来る場 合もあり、C成分は必須の成分ではない。即 、A成分がB成分の架橋剤として機能する場合 には、C成分の添加を省略することができる より具体的に言えば、ポリアミドイミド樹 はエポキシ樹脂と架橋する性質があり、B成 にポリアミドイミド樹脂を用いる場合には ポリアミドイミドのアミンの部分がエポキ 樹脂と架橋するため架橋剤の添加が不要に る場合がある。そして、A成分がB成分の架 剤として機能していても、反応に十分な量 B成分が存在しない場合には、C成分を併用す ることも可能である。係る場合には、C成分 添加量は、樹脂組成物を100重量部としたと 、0重量部~10重量部の範囲で用いることが出 る。この範囲であれば、半硬化状態での樹 層の耐吸湿性、硬化後の樹脂層のフレキシ リティ等の特性に悪影響を与えないからで る。また、より好ましくは、A成分がB成分 架橋剤として機能する場合のC成分を、0重量 部~3重量部未満の配合割合で用いる。上述のA 成分及びB成分の配合量から判断して、C成分 3重量部を超えても顕著な樹脂特性の向上は 得られないからである。

D成分: このD成分は、エポキシ樹脂硬化剤 あり、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン又 は2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プ ロパンを用いる。本件発明に係る樹脂組成物 では、半硬化状態の樹脂層の無粗化銅箔の張 り合わせ面への密着性、内層回路を備えた内 層コア材へ当該樹脂付銅箔の樹脂層を張り合 わせる際の硬化した樹脂表面及び内層回路表 面への密着性を向上させるという観点から、 4,4’-ジアミノジフェニルスルホン又は2,2-ビ (4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン 選択的に用いる事が重要である。なお、エ キシ樹脂に対するエポキシ樹脂硬化剤の添 量は、反応当量からの計算量又は実験上得 れる最適量を採用することが好ましい。本 発明に係る樹脂組成物を100重量部として、 のエポキシ樹脂硬化剤を5重量部~20重量部の 囲で含有することが好ましい。エポキシ樹 硬化剤が5重量部未満の場合には、上記エポ キシ樹脂の最低限量を用いても十分に硬化し た樹脂層が得られにくくなる。一方、20重量 を超えてエポキシ樹脂硬化剤を添加すると 硬化剤としての量が過剰になり、且つ、硬 速度が速すぎて脆い硬化樹脂層となる。

E成分: このE成分は、難燃性エポキシ樹脂 あり、ハロゲン系の難燃性エポキシ樹脂及 ハロゲンフリー系の難燃性エポキシ樹脂の 方の使用が可能である。以下、これらを分 して説明する。

 ハロゲン系の難燃性エポキシ樹脂として 、所謂臭素化エポキシ樹脂を用いることが ましい。臭素化エポキシ樹脂とは、エポキ 骨格の中に臭素を含んだエポキシ樹脂の総 するものである。そして、本件出願に係る 脂組成物の臭素原子含有量を、樹脂組成物 量を100重量%としたとき、E成分由来の臭素 子が12重量%~18重量%の範囲となるようにする とができる臭素化エポキシ樹脂であれば、 ずれの使用も可能である。特に、分子内に2 以上のエポキシ基を備えるテトラブロモビス フェノールA又はそのテトラブロモビスフェ ールAの誘導体として得られるエポキシ樹脂 用いることが好ましい。臭素化エポキシ樹 の中でも、半硬化状態での樹脂品質の安定 に優れ、硬化した後においても、難燃性効 が高く、得られる樹脂硬化物の機械物性が 上するため好ましい。参考のために、テト ブロモビスフェノールAの構造式を、化6と て例示しておく。そして、化7には、テトラ ロモビスフェノールAからの誘導体として得 られるビスフェノール系臭素化エポキシ樹脂 の構造式を例示する。

 また、E成分の臭素化エポキシ樹脂として 、化8に示す構造式を備える化合物も好まし 。化7に示すビスフェノール系臭素化エポキ 樹脂と同様に、半硬化状態での樹脂品質の 定性に優れ、同時に高い難燃性の付与が可 であるため好ましい。

 そして、本件出願に係る樹脂組成物を構 するE成分は、1種類の臭素化エポキシ樹脂 単独で用いても、2種類以上の臭素化エポキ 樹脂を混合して用いても構わない。但し、E 成分の総量を考慮して、樹脂組成物重量を100 重量%としたとき、E成分由来の臭素原子が12 量%~18重量%の範囲となるように添加量を定め ることが好ましい。

 ここで臭素化エポキシ樹脂を用いる場合 樹脂組成物は、樹脂組成物重量を100重量%と したとき、E成分由来の臭素原子を12重量%~18 量%の範囲で含有するとしているのは、硬化 の樹脂層としての難燃性を確保する観点か である。当該臭素原子の含有量が12重量%未 の場合には、良好な難燃性を得ることが出 難くなる。一方、当該臭素原子の含有量が1 8重量%を超えて含有させても、硬化後の樹脂 の難燃性が向上せず、資源の無駄となる。 素化エポキシ樹脂は、その種類によりエポ シ骨格内に含有する臭素原子量が異なるた 、上述のように臭素原子の含有量を記載し 、E成分の添加量に代えた。

 次に、ハロゲンフリー系の難燃性エポキ 樹脂としては、所謂リン含有エポキシ樹脂 用いることが好ましい。リン含有エポキシ 脂とは、エポキシ骨格の中にリンを含んだ ポキシ樹脂の総称である。そして、本件出 に係る樹脂組成物のリン原子含有量を、樹 組成物重量を100重量%としたとき、E成分由 のリン原子を0.5重量%~3.0重量%の範囲とでき リン含有エポキシ樹脂であれば、いずれの 用も可能である。しかしながら、分子内に2 上のエポキシ基を備える9,10-ジヒドロ-9-オ サ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド 誘導体であるリン含有エポキシ樹脂を用いる ことが、半硬化状態での樹脂品質の安定性に 優れ、同時に難燃性効果が高いため好ましい 。参考のために、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホ スファフェナントレン-10-オキサイドの構造 を化9に示す。

 そして、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスフ フェナントレン-10-オキサイド誘導体である リン含有エポキシ樹脂を具体的に例示すると 、化10に示す構造式を備える化合物の使用が ましい。半硬化状態での樹脂品質の安定性 優れ、同時に難燃性効果が高いため好まし 。


 また、E成分のリン含有エポキシ樹脂とし て、化11に示す構造式を備える化合物も好ま い。化10に示すリン含有エポキシ樹脂と同 に、半硬化状態での樹脂品質の安定性に優 、同時に高い難燃性の付与が可能であるた 好ましい。

 更に、E成分のリン含有エポキシ樹脂とし て、化12に示す構造式を備える化合物も好ま い。化10及び化11に示すリン含有エポキシ樹 脂と同様に、半硬化状態での樹脂品質の安定 性に優れ、同時に高い難燃性の付与が可能で あるため好ましい。

 この9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフ ナントレン-10-オキサイドからの誘導体とし て得られるエポキシ樹脂は、9,10-ジヒドロ-9- キサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサ ドにナフトキノンやハイドロキノンを反応 せて、化13(HCA-NQ)又は化14(HCA-HQ)に示す化合物 とした後に、そのOH基の部分にエポキシ樹脂 反応させてリン含有エポキシ樹脂としたも が挙げられる。

 ここでリン含有エポキシ樹脂を用いる場 の樹脂組成物は、E成分としてのリン含有エ ポキシ樹脂の1種類を単独で用いても、2種類 上のリン含有エポキシ樹脂を混合して用い も構わない。但し、E成分としてのリン含有 エポキシ樹脂の総量を考慮して、樹脂組成物 重量を100重量%としたとき、E成分由来のリン 子を0.5重量%~3.0重量%の範囲となるように添 量を定めることが好ましい。リン含有エポ シ樹脂は、その種類によりエポキシ骨格内 含有するリン原子量が異なるため、上述の うにリン原子の含有量を記載して、E成分の 添加量に代えた。

F成分: このF成分は、多官能エポキシ樹脂 ある。ここで言う多官能エポキシ樹脂とは 例えば、トリスヒドロキシフェニルメタン エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エ キシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型 ポキシ樹脂等である。そして、このF成分に 関しては、樹脂組成物を100重量部としたとき 、3重量部~20重量部の配合割合で用いる事が ましい。F成分が3重量部未満の場合には、耐 熱特性を向上させ難い。一方、F成分が20重量 部を超えた場合、硬化樹脂が脆くなる。

 以上に述べてきたA成分~F成分で構成され 樹脂組成物は、ハロゲン系の難燃性樹脂組 物とハロゲンフリー系の難燃性樹脂組成物 に分別できる。以下、これらを具体的組成 して示しておく。

 本件発明に係るプリント配線板製造用の ロゲン系の難燃性樹脂組成物は、樹脂組成 重量を100重量部としたとき、A成分が3重量 ~20重量部、B成分が3重量部~30重量部、C成分 3重量部~10重量部(A成分がB成分の架橋剤とし 機能する場合には0重量部~10重量部とする事 も出来る。)、D成分が5重量部~20重量部、F成 が3重量部~20重量部であり、E成分由来の臭素 原子を12重量%~18重量%の範囲で含有するよう E成分の添加量を定めたものである。

 そして、本件発明に係るプリント配線板 造用のハロゲンフリー系の難燃性樹脂組成 は、樹脂組成物重量を100重量部としたとき A成分が3重量部~20重量部、B成分が3重量部~30 重量部、C成分が3重量部~10重量部(A成分がB成 の架橋剤として機能する場合には0重量部~10 重量部とする事も出来る。)、D成分が5重量部 ~20重量部、F成分が3重量部~20重量部であり、E 成分由来のリン原子を0.5重量%~3.0重量%の範囲 で含有するようにE成分の添加量を定めたも である。

 更に、本件発明に係るプリント配線板製 用の樹脂組成物は、G成分として硬化促進剤 を添加することも好ましい。従って、このG 分は、任意の添加成分である。そして、単 樹脂硬化を促進するだけであれば、硬化促 剤として機能するあらゆる化合物の使用が 能であるが、一般的な熱プレス条件を用い 、本樹脂系を硬化させるのにスムーズに進 させるという観点から、イミダゾール系の 化促進剤である2-メチルイミダゾール又は2- チル-4-メチルイミダゾールを用いることが ましい。

 以上、本件発明に係るプリント配線板製 用の樹脂組成物に関して述べてきたが、本 発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない限り おいて、他の成分の添加、追加配合が可能 あることを、念のために明記しておく。

<樹脂付銅箔の形態>
 本件出願に係るプリント配線板製造用の樹 付銅箔は、銅箔の片面に半硬化状態の樹脂 を備えたものである。そして、この樹脂層 上述の樹脂組成物を用いて、平均厚さ5μm~10 0μmの半硬化樹脂膜として形成したものであ 。このように上述の樹脂組成物を用いて形 した樹脂層は、銅箔との密着性に優れ、耐 特性にも優れる。

 ここで、当該樹脂層の平均厚さが5μm未満 の場合には、内層回路を備える内層コア材の 外層に対し、当該樹脂付銅箔を張り合わせる ときに、内層回路の形成する凹凸形状との張 り合わせが不可能になる。一方、当該樹脂層 の平均厚さが100μmを超えるものとしても問題 はないが、塗布して厚い樹脂膜を形成するこ とは困難で生産性に欠ける。しかも、樹脂層 を厚くすれば、プリプレグと比較して差異の 無いものとなり、樹脂付銅箔の形態の製品を 採用する意義が没却する。

 そして、銅箔には、電解法又は圧延法等 、その製造方法には拘泥せず、あらゆる製 方法の使用が可能である。そして、その厚 に関しても、特段の限定はない。また、こ 銅箔の樹脂層を形成する面には、粗化処理 必ずしも施す必要はない。上記樹脂組成物 、無粗化の銅箔を用いての樹脂付銅箔の製 に好適だからである。従って、粗化処理が れば、銅箔と樹脂層との密着性は向上する 、銅箔の表面に粗化処理を施さなくても問 がない。無粗化の銅箔の張り合わせ面は、 坦な表面であるため、ファインピッチ回路 形成能が向上する。更に、当該銅箔の表面 は、防錆処理を施しても構わない。防錆処 に関しては、公知の亜鉛、亜鉛系合金等を いた無機防錆、又は、ベンゾイミダゾール トリアゾール等の有機単分子被膜による有 防錆等を採用することが可能である。更に 当該銅箔の樹脂層を形成する最表面には、 ランカップリング処理層を備えることが好 しい。

 そして、ここで用いる前記銅箔の半硬化 脂層の形成面が表面粗さを数値をもって表 ば、Rzjisの値が3.0μm以下の低粗度表面を備 るものを用いることが好ましい。Rzjisの値が 3.0μm以下になると、エッチングファクターに 優れたファインピッチ回路の形成能が飛躍的 に高まるからである。

 また、特に粗化処理していない銅箔の場 、その張り合わせ面と樹脂層との濡れ性を 善し、基材樹脂にプレス加工したときの密 性を向上させるため、その張り合わせ面に ランカップリング剤層を設けることがより ましい。例えば、銅箔の粗化を行わずに、 錆処理を施し、シランカップリング剤処理 、エポキシ官能性シランカップリング剤、 レフィン官能性シラン、アクリル官能性シ ン、アミノ官能性シランカップリング剤又 メルカプト官能性シランカップリング剤等 々のものを用いることが可能であり、用途 応じて好適なシランカップリング剤を選択 用することで、引き剥がし強度が一層向上 る。

 ここで用いることの出来るシランカップ ング剤を、より具体的に明示しておくこと する。プリント配線板用にプリプレグのガ スクロスに用いられると同様のカップリン 剤を中心にビニルトリメトキシシラン、ビ ルフェニルトリメトキシラン、γ-メタクリ キシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリ ドキシプロピルトリメトキシシラン、4-グ シジルブチルトリメトキシシラン、γ-アミ プロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエ チル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン N-3-(4-(3-アミノプロポキシ)プトキシ)プロピ -3-アミノプロピルトリメトキシシラン、イ ダゾールシラン、トリアジンシラン、γ-メ カプトプロピルトリメトキシシラン等を用 ることが可能である。

 このシランカップリング剤層の形成は、 般的に用いられる浸漬法、シャワーリング 、噴霧法等、特に方法は限定されない。工 設計に合わせて、最も均一に銅箔とシラン ップリング剤を含んだ溶液とを接触させ吸 させることのできる方法を任意に採用すれ 良いのである。これらのシランカップリン 剤は、溶媒として25℃レベルの水に0.5~10g/l なるように溶解させる。シランカップリン 剤は、銅箔の表面に突きだしたOH基と縮合結 合することにより、被膜を形成するのであり 、いたずらに濃い濃度の溶液を用いても、そ の効果が著しく増大することはない。従って 、本来は、工程の処理速度等に応じて決めら れるべきものである。但し、0.5g/lを下回る場 合は、シランカップリング剤の吸着速度が遅 く、一般的な商業ベースの採算に合わず、吸 着も不均一なものとなる。また、10g/lを超え 濃度であっても、特に吸着速度が速くなる ともなく不経済となる。

 以上に述べてきた樹脂付銅箔の半硬化樹 層は、硬化反応後に、以下のようにして測 した場合に、3.0GPa未満の貯蔵弾性率を備え 低弾性特性を備えることが好ましい。この きの貯蔵弾性率とは、2枚の同種の樹脂付銅 箔を用いて、それぞれの樹脂付銅箔の樹脂面 同士を合わせて当接させ、所定の条件で熱間 プレス成形を行い銅張積層板とし、当該銅張 積層板の両面にある銅箔層をエッチング除去 して樹脂フィルムとし、この樹脂フィルムを 動的粘弾性測定装置(DMA)にて動的粘弾性を測 して得た、30℃における貯蔵弾性率である ここでの熱間プレス条件に関しては、実施 の中で後述する。この貯蔵弾性率が3.0GPa未 となると、硬化した樹脂層が良好なフレキ ビリティと弾性特性を備える。その結果、 件発明に係る樹脂付銅箔を用いて製造した リント配線板は、電子製品等に組み込まれ 後に、当該製品の意図せぬ落下による衝撃 輸送中の振動を受けた場合等でも、硬化し 樹脂層へのクラックが発生し難く、電子部 及び回路の損傷が起こりにくく、耐衝撃性 び耐振動性に優れる製品となる。

<樹脂付銅箔の製造方法の形態>
 本件出願に係る樹脂付銅箔の製造方法は、 初に以下の工程a、工程bの手順で樹脂ワニ を調製する。

 工程aでは、前記A成分、B成分、C成分(A成 がB成分の架橋剤として機能する場合には省 略可)、D成分、E成分、F成分、G成分の内、A成 分~F成分を必須成分とした樹脂組成物の重量 100重量%としたとき、E成分由来の臭素原子 12重量%~18重量%の範囲又はリン原子を0.5重量% ~3.0重量%の範囲で含有するように各成分を混 して樹脂組成物とする。このときの各成分 混合順序、混合手段等に特段の限定は無い 従って、公知のあらゆる混合手法を採用す ことが可能である。そして、これらの各成 に関しては、既に述べているので、ここで 説明は省略する。

 また、前記工程aでは、必要に応じて適当 量のG成分(硬化促進剤)を混合使用することも 好ましい。ここで言う硬化促進剤は、イミダ ゾール系の硬化促進剤である2-メチルイミダ ールを用いる。硬化促進剤は、銅張積層板 造の熱間プレス条件等の生産条件を考慮し 、製造者が任意に選択的に添加量を定める きものだが、敢えて記載するならば、本件 明に係る樹脂組成物100重量部に対して、G成 分を0.1重量部~1.5重量部程度となる。G成分が0 .1重量部未満の場合には、硬化速度を促進し ず、添加する意義が無いからである。一方 G成分を1.5重量部を超えた場合、硬化が促進 されすぎて、半硬化状態で安定した品質で長 期間保存することが困難になる。

 工程bでは、前記樹脂組成物を、有機溶剤 を用いて溶解し、樹脂固形分量が25重量%~50重 量%の樹脂ワニスとする。このときの有機溶 には、上述のように沸点が50℃~200℃の範囲 ある溶剤であることが好ましく、例えば、 タノール、エタノール、メチルエチルケト 、トルエン、プロピレングリコールモノメ ルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメ ルアセトアミド、シクロヘキサノン、エチ セロソルブ等の群から選ばれる1種の単独溶 又は2種以上の混合溶剤を用いることが好ま しい。上述と同様の理由からである。そして 、ここで樹脂固形分量を25重量%~50重量%の樹 ワニスとする。なお、樹脂固形分とは、樹 ワニスを加熱して揮発分を除去したときに 留する固形分のことである。ここに示した 脂固形分量の範囲が、銅箔の表面に塗布し ときに、最も膜厚を精度の良いものに制御 きる範囲である。樹脂固形分が25重量%未満 場合には、粘度が低すぎて、銅箔表面への 布直後に流れて膜厚均一性を確保しにくい これに対して、樹脂固形分が50重量%を越え と、粘度が高くなり、銅箔表面への薄膜形 が困難となる。なお、ここに具体的に挙げ 溶剤以外でも、本件発明で用いるすべての 脂成分を溶解することの出来るものであれ 使用が可能である。

 以上のようにして得られる樹脂ワニスを 銅箔の片面に塗布する場合には、特に塗布 法に関しては限定されない。しかし、目的 する厚さ分を精度良く塗布しなければなら いことを考えれば、形成する膜厚に応じた 布方法、塗布装置を適宜選択使用すればよ 。また、銅箔の表面に樹脂皮膜を形成した の乾燥は、樹脂溶液の性質に応じて半硬化 態とすることのできる加熱条件を適宜採用 ればよい。そして、この乾燥後に平均厚さ5 μm~100μmの半硬化樹脂層となり、本件発明に る樹脂付銅箔となる。

プリント配線板の形態: 本件出願に係るプ リント配線板は、上述の樹脂組成物を用いて 絶縁層を構成したことを特徴とするものであ る。即ち、本件発明に係る樹脂組成物を樹脂 ワニスとして、この樹脂ワニスを用いて樹脂 付銅箔を製造する。そして、この樹脂付銅箔 を用いて、内層コア配線板に張り合わせて多 層化した銅張積層板として、多層プリント配 線板に加工することができる。また、本件発 明に係る樹脂組成物を樹脂ワニスとして、こ の樹脂ワニスをガラスクロス、ガラス不織布 等の骨格材に含浸させプリプレグとして、公 知の方法で銅張積層板を製造し、プリント配 線板に加工することもできる。即ち、上記樹 脂組成物を用いることで、公知のあらゆる製 造方法でプリント配線板の製造が可能になる 。なお、本件発明に言うプリント配線板とは 、所謂片面板、両面板、3層以上の多層板を むものである。以下、実施例に関して説明 る。

 この実施例では、以下に述べる樹脂組成 を調製し、樹脂ワニスとして、この樹脂ワ スを用いて樹脂付銅箔を製造し、評価を行 た。

樹脂組成物の調製:以下のA成分~F成分を混 して、樹脂組成物を100重量%としたときの臭 原子の割合が15.1重量%である樹脂組成物を て、更にG成分を加えハロゲン系の樹脂組成 を調製した。ここでは、E成分である難燃性 エポキシ樹脂として、2種類の臭素化エポキ 樹脂を用いている。また、G成分の配合量は A成分~F成分を混合した樹脂組成物を100重量 として、これに対する添加量を表す。

A成分: 25℃で液状でエポキシ当量が188のビス フェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エポトー トYD-128、東都化成社製)/15重量部
B成分: 架橋可能な官能基を有する線状ポリ ーとしてのポリビニルアセタール樹脂(商品 :デンカブチラール5000A、電気化学工業社製) /10重量部
C成分: 架橋剤としてのウレタン樹脂(商品名: コロネートAPステーブル、日本ポリウレタン 業社製)/4重量部
D成分: 4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(商 品名:セイカキュアS、和歌山精化工業株式会 )/15重量部
E成分: 難燃性エポキシ樹脂としての臭素化 ポキシ樹脂1(商品名:エピクロン1121N-80M、大 本インキ化学工業社製)/30重量部
     難燃性エポキシ樹脂としての臭素化 ポキシ樹脂2(商品名:BREN-304、日本化薬社製)/2 0重量部
F成分: 多官能エポキシ樹脂としてのオルト レゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名: エピクロンN-680、大日本インキ化学工業社製) /6重量部
G成分: 硬化促進剤として2-メチルイミダゾー ル(商品名:2MZ、四国化成工業社製)/0.4重量部

樹脂ワニスの調製: 上記組成の樹脂組成物 を、メチルエチルケトンとジメチルホルムア ミドとの混合溶剤(混合比(体積比):メチルエ ルケトン/ジメチルホルムアミド=1/1)に溶解 、樹脂固形分量35重量%の樹脂ワニスを調製 た。

樹脂付銅箔の製造: 上述の樹脂ワニスを、 公称厚さ18μm(Rz=2.8μm)の電解銅箔の粗化面に 一に塗布し、風乾後、140℃×5分間の加熱処 を行い、半硬化状態の樹脂層を備えた樹脂 銅箔を得た。このときの樹脂層の平均厚さ 85μmとした。以下、評価内容の詳細に関して 述べる。

密着性評価: 当該樹脂付銅箔の樹脂層を、100 μm厚さのFR-4グレードのプリプレグの表面に 接させ、圧力20kgf/cm 2 、温度180℃×1時間の熱間プレス成形を行い銅 張積層板を製造した。そして、この銅張積層 板を、ワークサイズにカッティングして、エ ッチング法で10mm幅の引き剥がし強さ測定用 直線回路を形成した。その後、その試験用 直線回路を用いて、引き剥がし強さを測定 た。その結果を、後述する比較例1との対比 可能なように表1に示す。

硬化樹脂としての弾性率測定: 当該樹脂付銅 箔を2枚用いて、それぞれの樹脂付銅箔の樹 面同士を合わせて当接させ、圧力20kgf/cm 2 、温度180℃×1時間の条件で熱間プレス成形を 行い銅張積層板を製造した。その後、この銅 張積層板の両面にある銅箔層をエッチングし て溶解除去することで、樹脂フィルムを得た 。そして、この樹脂フィルムを用いて、動的 粘弾性測定装置(DMA)にて動的粘弾性を測定し 30℃における貯蔵弾性率(ヤング率と称する 合もある。以下、単に「弾性率」と称する )を求めた。

 この実施例では、以下に述べる樹脂組成 を調製し、樹脂ワニスとして、この樹脂ワ スを用いて樹脂付銅箔を製造し、評価を行 た。

樹脂組成物の調製:以下のA成分~F成分を混 して、樹脂組成物を100重量%としたときの臭 原子の割合が15.3重量%である樹脂組成物を て、更にG成分を加えハロゲン系の樹脂組成 を調製した。ここでは、E成分である難燃性 エポキシ樹脂として、2種類の臭素化エポキ 樹脂を用いている。また、G成分の配合量は A成分~F成分を混合した樹脂組成物を100重量 として、これに対する添加量を表す。

A成分: 25℃で液状でエポキシ当量が188のビス フェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エポトー トYD-128、東都化成社製)/15重量部
B成分: 架橋可能な官能基を有する線状ポリ ーとしてのポリビニルアセタール樹脂(商品 :デンカブチラール5000A、電気化学工業社製) /10重量部
C成分: 架橋剤としてのウレタン樹脂(商品名: コロネートAPステーブル、日本ポリウレタン 業社製)/4重量部
D成分: 2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニ ル)プロパン(商品名:BAPP、和歌山精化工業株 会社)/24重量部
E成分: 難燃性エポキシ樹脂としての臭素化 ポキシ樹脂1(商品名:エピクロン1121N-80M、大 本インキ化学工業社製)/10重量部
     難燃性エポキシ樹脂としての臭素化 ポキシ樹脂2(商品名:BREN-304、日本化薬社製)/3 0重量部
F成分: 多官能エポキシ樹脂としてのオルト レゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名: エピクロンN-680、大日本インキ化学工業社製) /7重量部
G成分: 硬化促進剤として2-エチル-4-メチルイ ミダゾール(商品名:2E4MZ、四国化成工業社製)/ 0.2重量部

 以下、実施例1と同様に、樹脂ワニスを調 製し、樹脂付銅箔を製造し、当該樹脂付銅箔 を用いて銅張積層板を製造した。そして、こ の銅張積層板を、ワークサイズにカッティン グして、引き剥がし強さ測定用の直線回路を 形成した。その後、その試験用の直線回路を 用いて、引き剥がし強さを測定した。その結 果を、後述する比較例1との対比が可能なよ に表1に示す。

 この実施例では、以下に述べる樹脂組成 を調製し、樹脂ワニスとして、この樹脂ワ スを用いて樹脂付銅箔を製造し、評価を行 た。

樹脂組成物の調製:以下のA成分~F成分を混 して、樹脂組成物を100重量%としたときのリ 原子の割合が1.0重量%である樹脂組成物を得 て、更にG成分を加えハロゲンフリー系の樹 組成物を調製した。ここでは、E成分である 燃性エポキシ樹脂として、以下に述べる合 方法で得られたリン含有エポキシ樹脂を用 ている。また、G成分の配合量は、A成分~F成 分を混合した樹脂組成物を100重量部として、 これに対する添加量を表す。

リン含有エポキシ樹脂の合成: ここでは、特 開平11-279258の合成例6を参考にして、リン含 エポキシ樹脂(E成分)を次のようにして合成 た。即ち、攪拌装置、温度計、冷却管、窒 ガス導入装置を備えた4つ口のガラス製セパ ブルフラスコに、141重量部の9,10-ジヒドロ-9 -オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサ イド(三光社製商品名HCA)と300重量部のエチル ロソルブとを入れ、加熱して溶解した。そ 後、96.3重量部の1,4-ナフトキノン(試薬)を反 応熱による昇温に注意しながら分割投入した 。このとき、1,4-ナフトキノンと9,10-ジヒドロ -9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキ イドとのモル比は、[1,4-ナフトキノン]/「9,1 0-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレ ン-10-オキサイド」=0.93であった。反応後、262 .7重量部のエポトート YDPN-638 (東都化成社製 フェノールノボラック型エポキシ樹脂)及び40 9.6重量部のYDF-170(東都化成社製ビスフェノー F型エポキシ樹脂)を入れ、窒素ガスを導入 つつ攪拌を行い、120℃まで加熱を行って溶 した。そして、0.24重量部のトリフェニルホ フィンを添加して130℃×4時間の反応を行わ た。このとき得られたリン含有エポキシ樹 のエポキシ当量は327.0g/eq、リン含有率は2.0 量%であった。ここで得られたリン含有エポ キシ樹脂を用いて、以下の樹脂組成物を
調製した。

A成分: 25℃で液状でエポキシ当量が188のビス フェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エポトー トYD-128、東都化成社製)/15重量部
B成分: 架橋可能な官能基を有する線状ポリ ーとしてのポリビニルアセタール樹脂(商品 :デンカブチラール5000A、電気化学工業社製) /10重量部
C成分: 架橋剤としてのウレタン樹脂(商品名: コロネートAPステーブル、日本ポリウレタン 業社製)/4重量部
D成分: 4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(商 品名:セイカキュアS、和歌山精化工業株式会 )/16重量部
E成分: 難燃性エポキシ樹脂として、上記の 法で合成したリン含有エポキシ樹脂/50重量
F成分: 多官能エポキシ樹脂としてのオルト レゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名: エピクロンN-680、大日本インキ化学工業社製) /5重量部
G成分: 硬化促進剤として2-メチルイミダゾー ル(商品名:2MZ、四国化成工業社製)/0.4重量部

 以下、実施例1と同様に、樹脂ワニスを調 製し、樹脂付銅箔を製造し、当該樹脂付銅箔 を用いて銅張積層板を製造した。そして、こ の銅張積層板を、ワークサイズにカッティン グして、引き剥がし強さ測定用の直線回路を 形成した。その後、その試験用の直線回路を 用いて、引き剥がし強さを測定した。その結 果を、後述する比較例2との対比が可能なよ に表2に示す。

 この実施例では、以下に述べる樹脂組成 を調製し、樹脂ワニスとして、この樹脂ワ スを用いて樹脂付銅箔を製造し、評価を行 た。

樹脂組成物の調製:以下のA成分~F成分を混 して、樹脂組成物を100重量%としたときのリ 原子の割合が1.0重量%である樹脂組成物を得 て、更にG成分を加えハロゲンフリー系の樹 組成物を調製した。ここでは、B成分の架橋 能な官能基を有する線状ポリマーとして、 下に述べる方法で合成したポリアミドイミ 樹脂を用いた。従って、ポリアミドイミド 脂はA成分のエポキシ樹脂と架橋するため、 C成分(架橋剤)を省略した。更に、E成分であ 難燃性エポキシ樹脂として、実施例3に述べ 合成方法で得られたリン含有エポキシ樹脂 用いている。また、G成分の配合量は、A成 ~F成分を混合した樹脂組成物を100重量部とし て、これに対する添加量を表す。

 この実施例で用いたポリアミドイミド樹 は、以下の方法で製造した。即ち、反応容 に、192gの無水トリメリット酸、211gのo-トリ ジンジイソシアネート、50gの4,4’-ジフェニ メタンジイソシアネート、365gのN-メチル-2- ロリドン(蒸留されたもの)を入れて混合し、 更に1LのN,N-ジメチルアセトアミドを入れて混 合し、窒素雰囲気下で攪拌しながら、70℃で 2時間、さらに100℃で約3時間反応させた。 の後、N,N-ジメチルアセトアミドを1L加え、 2時間かけて160℃まで昇温し、さらに160℃で 1時間攪拌して反応を停止することで、ポリ アミドイミド溶液を得た。このポリアミドイ ミド溶液を用いて、以下の樹脂組成を採用し た。

A成分: 25℃で液状でエポキシ当量が188のビス フェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エポトー トYD-128、東都化成社製)/15重量部
B成分: 架橋可能な官能基を有する線状ポリ ーとして、上述のポリアミドイミド樹脂/15 量部
D成分: 4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(商 品名:セイカキュアS、和歌山精化工業株式会 )/16重量部
E成分: 難燃性エポキシ樹脂として、実施例3 同様に合成したリン含有エポキシ樹脂/50重 部
F成分: 多官能エポキシ樹脂としてのオルト レゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名: エピクロンN-680、大日本インキ化学工業社製) /4重量部
G成分: 硬化促進剤として2-メチルイミダゾー ル(商品名:2MZ、四国化成工業社製)/0.4重量部

 以下、実施例1と同様に、樹脂ワニスを調 製し、樹脂付銅箔を製造し、当該樹脂付銅箔 を用いて銅張積層板を製造した。そして、こ の銅張積層板を、ワークサイズにカッティン グして、引き剥がし強さ測定用の直線回路を 形成した。その後、その試験用の直線回路を 用いて、引き剥がし強さを測定した。その結 果を、後述する比較例2との対比が可能なよ に表2に示す。

 この実施例では、以下に述べる樹脂組成 を調製し、樹脂ワニスとして、この樹脂ワ スを用いて樹脂付銅箔を製造し、評価を行 た。なお、この実施例5の樹脂組成は、A成 がB成分の架橋剤として機能する場合に相当 るため、C成分を用いない樹脂組成を採用し ている。

樹脂組成物の調製:以下のA成分~F成分(C成分 を除く)を混合して、樹脂組成物を100重量%と たときのリン原子の割合が1.0重量%である樹 脂組成物を得て、更にG成分を加えハロゲン リー系の樹脂組成物を調製した。ここでは B成分の架橋可能な官能基を有する線状ポリ ーとして、実施例4で述べた方法で合成した ポリアミドイミド樹脂を用いた。従って、ポ リアミドイミド樹脂はA成分のエポキシ樹脂 架橋するため、C成分(架橋剤)を省略した。 に、E成分である難燃性エポキシ樹脂として 実施例3に述べた合成方法で得られたリン含 有エポキシ樹脂を用いている。また、G成分 配合量は、A成分~F成分を混合した樹脂組成 を100重量部として、これに対する添加量を す。

A成分: 25℃で液状でエポキシ当量が165のビス フェノールF型エポキシ樹脂(商品名:エポトー トYDF-170、東都化成社製)/10重量部
B成分: 架橋可能な官能基を有する線状ポリ ーとして、実施例4で合成したポリアミドイ ド樹脂/14重量部
D成分: 2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニ ル)プロパン(商品名:BAPP、和歌山精化工業株 会社)/22重量部
E成分: 難燃性エポキシ樹脂として、実施例3 合成したリン含有エポキシ樹脂/50重量部
F成分: 多官能エポキシ樹脂としてのオルト レゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名: エピクロンN-680、大日本インキ化学工業社製) /4重量部
G成分: 硬化促進剤として2-エチル-4-メチルイ ミダゾール(商品名:2E4MZ、四国化成工業社製)/ 0.2重量部

 以下、実施例1と同様に、樹脂ワニスを調 製し、樹脂付銅箔を製造し、当該樹脂付銅箔 を用いて銅張積層板を製造した。そして、こ の銅張積層板を、ワークサイズにカッティン グして、引き剥がし強さ測定用の直線回路を 形成した。その後、その試験用の直線回路を 用いて、引き剥がし強さを測定した。その結 果を、後述する比較例1との対比が可能なよ に表1に示す。

比較例

[比較例1]
 この比較例1は、ハロゲン系樹脂組成物を用 いた上記実施例1及び実施例2との対比を行う めのものである。従って、実施例1で用いる 樹脂組成物の組成が異なるのみであり、その 他の樹脂ワニス調製、樹脂付銅箔の製造、当 該樹脂付銅箔を用いた銅張積層板製造は同様 である。従って、異なる樹脂組成物の組成に 関してのみ述べる。

a成分: 25℃で液状でエポキシ当量が188のビス フェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エポトー トYD-128、東都化成社製)/15重量部
b成分: 架橋可能な官能基を有する線状ポリ ーとしてのポリビニルアセタール樹脂(商品 :デンカブチラール5000A、電気化学工業社製) /10重量部
c成分: 架橋剤としてのウレタン樹脂(商品名: コロネートAPステーブル、日本ポリウレタン 業社製)/4重量部
d成分: エポキシ樹脂硬化剤としてのノボラ ク型フェノール樹脂(商品名:フェノライトTD- 2131、大日本インキ化学工業社製)/24重量部
e成分: 臭素化エポキシ樹脂1(商品名:エピク ン1121N-80M、大日本インキ化学工業社製)/10重 部
     臭素化エポキシ樹脂2(商品名:BREN-304、 日本化薬社製)/30重量部
f成分: 多官能エポキシ樹脂としてのオルト レゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名: エピクロンN-680、大日本インキ化学工業社製) /7重量部
g成分: 硬化促進剤として2-エチル-4-メチルイ ミダゾール(商品名:2E4MZ、四国化成工業社製)/ 0.2重量部

 以下、実施例1と同様に、樹脂ワニスを調 製し、樹脂付銅箔を製造し、当該樹脂付銅箔 を用いて銅張積層板を製造した。そして、こ の銅張積層板を、ワークサイズにカッティン グして、引き剥がし強さ測定用の直線回路を 形成した。その後、その試験用の直線回路を 用いて、引き剥がし強さを測定した。その結 果を、上記実施例1及び実施例2との対比が可 なように表1に示す。


[比較例2]
 この比較例2は、ハロゲンフリー系樹脂組成 物を用いた上記実施例3~実施例5との対比を行 うためのものである。従って、実施例3で用 る樹脂組成物の組成が異なるのみであり、 の他の樹脂ワニス調製、樹脂付銅箔の製造 当該樹脂付銅箔を用いた銅張積層板製造は 様である。従って、異なる樹脂組成物の組 に関してのみ述べる。

A成分: 25℃で液状でエポキシ当量が188のビス フェノールA型エポキシ樹脂(商品名:エポトー トYD-128、東都化成社製)/15重量部
B成分: 架橋可能な官能基を有する線状ポリ ーとしてのポリビニルアセタール樹脂(商品 :デンカブチラール5000A、電気化学工業社製) /10重量部
C成分: 架橋剤としてのウレタン樹脂(商品名: コロネートAPステーブル、日本ポリウレタン 業社製)/4重量部
D成分: エポキシ樹脂硬化剤(25%ジメチルホル アミド溶液として調製したジシアンジアミ (試薬)/4重量部(固形分換算)
E成分: 実施例3と同様の方法で合成したリン 有エポキシ樹脂/50重量部
F成分: 多官能エポキシ樹脂としてのオルト レゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名: エピクロンN-680、大日本インキ化学工業社製) /17重量部
G成分: 硬化促進剤として2-エチル-4-メチルイ ミダゾール(商品名:2E4MZ、四国化成工業社製)/ 0.2重量部

 以下、実施例1と同様に、樹脂ワニスを調 製し、樹脂付銅箔を製造し、当該樹脂付銅箔 を用いて銅張積層板を製造した。そして、こ の銅張積層板を、ワークサイズにカッティン グして、引き剥がし強さ測定用の直線回路を 形成した。その後、その試験用の直線回路を 用いて、引き剥がし強さを測定した。その結 果を、上記実施例3~実施例5との対比が可能な ように表2に示す。

<実施例と比較例との対比>
 ハロゲン系樹脂組成物を用いた実施例1及び 実施例2と比較例1とを対比すると、表1から明 らかなように、実施例1及び実施例2の場合に 、引き剥がし強さが0.9kgf/cmを超えており、 化処理を施した銅箔を用いた場合と比べて 、遜色のない密着性を示すことが分かる。 れに対して、比較例1の場合には、引き剥が し強さが0.4kgf/cmであり、実用上要求される密 着性を満足しないことが理解できる。

 また、同様にハロゲンフリー系樹脂組成 を用いた実施例3~実施例5と比較例2とを対比 すると、表2から明らかなように、実施例3の き剥がし強さが0.8kgf/cm、実施例4の引き剥が し強さが1.0kgf/cm、実施例5の引き剥がし強さ 1.0kgf/cmであり、粗化処理を施した銅箔を用 た場合と比べても、遜色のない密着性を示 ことが分かる。これに対して、比較例2の場 には、引き剥がし強さが0.5kgf/cmであり、実 例と比べて明らかに劣る。

 更に、実施例1~実施例5、比較例1、比較例 2の樹脂組成物で構成した絶縁樹脂層の弾性 (ヤング率)を対比する。これらの弾性率を表 3に示す。

 この表3から理解できるように、実施例1~ 施例5の弾性率は、2.6GPa~2.8GPaの範囲にあり 弾性率が3.0GPa未満となっている。これに対 、比較例1及び比較例2の弾性率は3.0GPa以上と なっている。従って、比較例に比べ、実施例 の樹脂組成物で構成した絶縁樹脂層は低弾性 であることが理解できる。このような低弾性 という性能を備える絶縁樹脂層を備えるプリ ント配線板は、耐衝撃性に優れる。従って、 このプリント配線板は、電子製品等に組み込 んだ後でも、当該製品の意図せぬ落下等で衝 撃を受けても、電子部品及び回路の損傷が少 なく耐衝撃性に優れる事になる。

 以上のことから理解できるように、本件 明に係る樹脂組成物の組成範囲に入る場合 は、銅箔と硬化した難燃性を備える樹脂層 が良好な密着性を示し、本件発明に係る技 思想の概念を逸脱した組成の場合には、銅 と硬化した樹脂層との間での良好な密着性 得られないことが理解できる。

 本件発明に係る樹脂組成物は、難燃性を えると共に、そこに張り合わせる銅箔との での良好な密着性を備える。従って、銅張 層板及びプリント配線板の絶縁層構成材料 して好適である。しかも、このときの銅箔 、無粗化の銅箔であっても十分に使用可能 ある。従って、エッチングファクターに優 たファインピッチ回路を形成するための銅 積層板の製造に好適である。しかも、この 脂組成物を用いて、銅箔の表面に樹脂層を 成することで、良好な品質の樹脂付銅箔の 供が可能となる。従って、この樹脂付銅箔 用いることで、耐マイグレーション性に優 、ファインピッチ回路を備え、高い信頼性 備える高品質のビルドアッププリント配線 等の提供も可能になる。