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Patent Searching and Data


Title:
RESIN COMPOSITION, AND MOLDED ARTICLE PRODUCED FROM THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/102536
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a resin composition comprising a polylactic acid resin (A), a polycarbonate resin (B) and a methyl methacrylate copolymer (C). The ratio between the components (A) and (B) (i.e., a A/B ratio) is 40/60 to 80/20 by mass. The ratio between a melt flow rate of the component (A) (MFRA) to that of the component (B) (MFRB) (i.e., a MFRA/MFRB ratio) is less than 10 at 240˚C and under load of 21.2 N. The component (C) is a copolymer of methyl methacrylate and a (meth)acrylate ester and has a weight average molecular weight (Mw) of 500,000 or greater. The content of the component (C) is 0.1 to 20 parts by mass relative to 100 parts by mass of the total amount of the components (A) and (B).

Inventors:
ITO AKIRA
UEDA KAZUE
MATSUMOTO TATSUYA
MASAKI TATSUNORI
YAMAMURA KIYOHIKO
Application Number:
PCT/JP2008/000252
Publication Date:
August 28, 2008
Filing Date:
February 19, 2008
Export Citation:
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Assignee:
UNITIKA LTD (JP)
ITO AKIRA
UEDA KAZUE
MATSUMOTO TATSUYA
MASAKI TATSUNORI
YAMAMURA KIYOHIKO
International Classes:
C08K5/1515; C08L67/04; C08K5/29; C08K5/353; C08L33/14; C08L69/00
Domestic Patent References:
WO2006097979A12006-09-21
WO2005075564A12005-08-18
Foreign References:
JPH07109413A1995-04-25
JP2006241209A2006-09-14
JP2006182994A2006-07-13
JP2006111858A2006-04-27
JPH07109413A1995-04-25
JP2005048067A2005-02-24
US2999835A1961-09-12
US3028365A1962-04-03
US3334154A1967-08-01
US4131575A1978-12-26
Other References:
See also references of EP 2113532A4
Attorney, Agent or Firm:
ITAGAKI, Takao (4th Floor10-10, Nishi-Hommachi 1-chome,Nishi-k, Osaka-shi Osaka 05, JP)
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Claims:
 ポリ乳酸樹脂(A)と、ポリカーボネート樹脂(B)と、メタクリル酸メチル系共重合体(C)とを含有し、
 ポリ乳酸樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)との質量比率(A/B)が、40/60~80/20であり、
 240℃、21.2N荷重におけるポリ乳酸樹脂(A)のメルトフローレート(MFR A )とポリカーボネート樹脂(B)のメルトフローレート(MFR B )との比(MFR A /MFR B )が10未満であり、
 メタクリル酸メチル系共重合体(C)がメタクリル酸メチルと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体であり、
 メタクリル酸メチル系共重合体(C)の重量平均分子量(Mw)が500,000以上であり、
 メタクリル酸メチル系共重合体(C)の含有量が、ポリ乳酸樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)との合計100質量部に対して0.1~20質量部であることを特徴とする樹脂組成物。
 メタクリル酸メチル系共重合体(C)が、メタクリル酸メチルとアクリル酸ブチルとの共重合体であることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
 エポキシ基含有添加剤(D)を含有し、その含有量が、ポリ乳酸樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)との合計100質量部に対して0.5~30質量部であることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
 カルボジイミド、エポキシ、オキサゾリンよりなる群から選ばれた官能基を少なくとも1単位以上含有する反応性化合物(E)を含有し、その含有量が、ポリ乳酸樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)との合計100質量部に対して0.01~5質量部であることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
 コアシェル型グラフト共重合体(F)を含有し、その含有量が、ポリ乳酸樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)との合計100質量部に対して0.1~30質量部であることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
 請求項1から5までのいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形加工して得られたものであることを特徴とする成形体。
 ポリ乳酸樹脂(A)と、ポリカーボネート樹脂(B)とを含有し、
 ポリ乳酸樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)との質量比率(A/B)が、40/60~80/20であり、
 240℃、21.2N荷重におけるポリ乳酸樹脂(A)のメルトフローレート(MFR A )とポリカーボネート樹脂(B)のメルトフローレート(MFR B )との比(MFR A /MFR B )が10以上であることを特徴とする樹脂組成物。
 エポキシ基含有添加剤(D)を含有し、その含有量が、ポリ乳酸樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)との合計100質量部に対して0.5~30質量部であることを特徴とする請求項7記載の樹脂組成物。
 カルボジイミド、エポキシ、オキサゾリンよりなる群から選ばれた官能基を少なくとも1単位以上含有する反応性化合物(E)を含有し、その含有量が、ポリ乳酸樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)との合計100質量部に対して0.01~5質量部であることを特徴とする請求項7記載の樹脂組成物。
 請求項7から9までのいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形加工して得られた成形体であって、前記成形体の表面から深さ5μmまでの範囲において、ポリ乳酸樹脂(A)中にポリカーボネート樹脂(B)が島状に粒子分散し、成形体の断面において観察される分散粒子断面の長さが0.1μm以上であることを特徴とする成形体。
Description:
樹脂組成物及びそれから得られ 成形体

 本発明は樹脂組成物及びそれから得られ 成形体に関し、特に、ポリ乳酸樹脂とポリ ーボネート樹脂とを含有する樹脂組成物及 それから得られる成形体に関する。

 近年、環境問題の高まりから、ポリ乳酸 代表される生分解性を有する各種の脂肪族 リエステルが注目されている。

 ポリ乳酸は、比較的融点の高い樹脂であ が、ガラス転移温度(Tg)が低いため、射出成 形に際しては、結晶性を制御するために、金 型温度や成形サイクル時間等の操業条件が限 定されるという問題がある。このため、耐熱 性を発現させるためには技術的制約を伴う。 さらに、ポリ乳酸は、耐衝撃性や耐久性(耐 水分解性)も十分とはいえない。

 ポリ乳酸以外の他の生分解性脂肪族ポリ ステルであるポリエチレンサクシネート、 リブチレンサクシネート、ポリグリコール 等も、耐熱性、耐衝撃性、耐久性が十分と いえない。

 上記のように生分解性脂肪族ポリエステ は、成形用材料として使用する場合に物性 生産面の制約を受ける。このため、それ単 で使用することは難しいと考えられるよう なってきている。

 一方、生分解性脂肪族ポリエステルに他 非生分解性の樹脂を混合して性能向上を図 ても、生分解性樹脂がポリ乳酸のように植 由来であれば、これが広く使用されること よって石油由来の樹脂の使用を低減するこ となり、結果として石油資源の節約に貢献 きるため環境に好ましいとする考え方が浸 してきている。

 上記のような生分解性脂肪族ポリエステ 樹脂の不足する性能を補うために、耐熱性 耐衝撃性に優れたポリカーボネート樹脂と アロイが提案されている。

 例えば、JP-7-109413Aには、ポリ乳酸樹脂と 香族ポリカーボネート樹脂とからなる樹脂 成物が開示されている。この樹脂組成物は 耐熱性、耐衝撃性の点では、ポリ乳酸単独 比べ実用的なレベルまで向上している。し しながら、得られる材料は真珠光沢を有す ため均一な外観が得られず、このため使用 囲が限定されてしまうという問題がある。

 JP-2005-048067Aには、ポリカーボネート樹脂 ポリ乳酸とからなる樹脂組成物にコアシェ 型のグラフト重合体などの衝撃改良剤を配 することで、樹脂組成物の耐衝撃性の改善 図るとともに、真珠光沢を低減することが 示されている。しかしながら、これによる 観の改善効果は、十分満足できるものでは い。

 本発明は、上記課題を解決するものであ 、石油系製品への依存度が低く、耐熱性、 衝撃性、耐久性に加えて、表面外観に優れ 、樹脂組成物及びそれから得られる成形体 提供することを課題とする。

 本発明者らは、上記課題を解決するため 鋭意研究を重ねた結果、特定の溶融粘度比 ポリ乳酸樹脂とポリカーボネート樹脂とか なる樹脂組成物に、メタクリル酸メチル系 重合体を添加することで上記課題を解決す ことを見出し、本発明に達した。

 すなわち本発明の要旨は、下記の通りで る。

 (1)ポリ乳酸樹脂(A)と、ポリカーボネート樹 (B)と、メタクリル酸メチル系共重合体(C)と 含有し、
 ポリ乳酸樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B) の質量比率(A/B)が、40/60~80/20であり、
 240℃、21.2N荷重におけるポリ乳酸樹脂(A)の ルトフローレート(MFR A )とポリカーボネート樹脂(B)のメルトフロー ート(MFR B )との比(MFR A /MFR B )が10未満であり、
 メタクリル酸メチル系共重合体(C)がメタク ル酸メチルと(メタ)アクリル酸エステルと 共重合体であり、
 メタクリル酸メチル系共重合体(C)の重量平 分子量(Mw)が500,000以上であり、
 メタクリル酸メチル系共重合体(C)の含有量 、ポリ乳酸樹脂(A)とポリカーボネート樹脂( B)との合計100質量部に対して0.1~20質量部であ ことを特徴とする樹脂組成物。

 (2)メタクリル酸メチル系共重合体(C)が、 タクリル酸メチルとアクリル酸ブチルとの 重合体であることを特徴とする(1)の樹脂組 物。

 (3)エポキシ基含有添加剤(D)を含有し、そ 含有量が、ポリ乳酸樹脂(A)とポリカーボネ ト樹脂(B)との合計100質量部に対して0.5~30質 部であることを特徴とする(1)または(2)の樹 組成物。

 (4)カルボジイミド、エポキシ、オキサゾ ンよりなる群から選ばれた官能基を少なく も1単位以上含有する反応性化合物(E)を含有 し、その含有量が、ポリ乳酸樹脂(A)とポリカ ーボネート樹脂(B)との合計100質量部に対して 0.01~5質量部であることを特徴とする(1)から(3) までのいずれかの樹脂組成物。

 (5)コアシェル型グラフト共重合体(F)を含 し、その含有量が、ポリ乳酸樹脂(A)とポリ ーボネート樹脂(B)との合計100質量部に対し 0.1~30質量部であることを特徴とする(1)から( 4)までのいずれかの樹脂組成物。

 (6)上記(1)から(5)までのいずれかの樹脂組 物を成形加工して得られたものであること 特徴とする成形体。

 (7)ポリ乳酸樹脂(A)と、ポリカーボネート樹 (B)とを含有し、
 ポリ乳酸樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B) の質量比率(A/B)が、40/60~80/20であり、
 240℃、21.2N荷重におけるポリ乳酸樹脂(A)の ルトフローレート(MFR A )とポリカーボネート樹脂(B)のメルトフロー ート(MFR B )との比(MFR A /MFR B )が10以上であることを特徴とする樹脂組成物 。

 (8)エポキシ基含有添加剤(D)を含有し、そ 含有量が、ポリ乳酸樹脂(A)とポリカーボネ ト樹脂(B)との合計100質量部に対して0.5~30質 部であることを特徴とする(7)の樹脂組成物

 (9)カルボジイミド、エポキシ、オキサゾ ンよりなる群から選ばれた官能基を少なく も1単位以上含有する反応性化合物(E)を含有 し、その含有量が、ポリ乳酸樹脂(A)とポリカ ーボネート樹脂(B)との合計100質量部に対して 0.01~5質量部であることを特徴とする(7)の樹脂 組成物。

 (10)上記(7)から(9)までのいずれかの樹脂組 成物を成形加工して得られた成形体であって 、前記成形体の表面から深さ5μmまでの範囲 おいて、ポリ乳酸樹脂(A)中にポリカーボネ ト樹脂(B)が島状に粒子分散し、成形体の断 において観察される分散粒子断面の長さが0. 1μm以上であることを特徴とする成形体。

 本発明によれば、石油系製品への依存度 低く、耐熱性、耐衝撃性、耐久性に加えて 外観が優れた樹脂組成物が得られる。この 脂組成物は、各種の成形体として種々の用 に好適に利用することができる。

実施例21の成形体の表面及びその近傍 断面の拡大画像を示す図である。 比較例8の成形体の表面及びその近傍の 断面の拡大画像を示す図である。

 以下、本発明を詳細に説明する。

 本発明の樹脂組成物の第1のアスペクトは、 ポリ乳酸樹脂(A)と、ポリカーボネート樹脂(B) と、メタクリル酸メチル系共重合体(C)とを含 有し、ポリ乳酸樹脂(A)とポリカーボネート樹 脂(B)との質量比率(A/B)が、40/60~80/20であり、24 0℃、21.2N荷重におけるポリ乳酸樹脂(A)のメル トフローレート(MFR A )とポリカーボネート樹脂(B)のメルトフロー ート(MFR B )との比(MFR A /MFR B )が10未満であり、メタクリル酸メチル系共重 合体(C)がメタクリル酸メチルと(メタ)アクリ 酸エステルとの共重合体であり、メタクリ 酸メチル系共重合体(C)の重量平均分子量(Mw) が500,000以上であり、メタクリル酸メチル系 重合体(C)の含有量が、ポリ乳酸樹脂(A)とポ カーボネート樹脂(B)との合計100質量部に対 て0.1~20質量部であることを特徴とする。

 本発明の樹脂組成物の第2のアスペクトは、 ポリ乳酸樹脂(A)と、ポリカーボネート樹脂(B) とを含有し、ポリ乳酸樹脂(A)とポリカーボネ ート樹脂(B)との質量比率(A/B)が、40/60~80/20で り、240℃、21.2N荷重におけるポリ乳酸樹脂(A) のメルトフローレート(MFR A )とポリカーボネート樹脂(B)のメルトフロー ート(MFR B )との比(MFR A /MFR B )が10以上であることを特徴とする。

 本発明の樹脂組成物に使用されるポリ乳 樹脂(A)としては、ポリ(L-乳酸)、ポリ(D-乳酸 )、これらの混合物、これらの共重合体、こ らのステレオコンプレックスなどを挙げる とができる。ポリ乳酸樹脂(A)は、公知の溶 重合法により、あるいは必要に応じてさら 固相重合法を併用して、製造される。また ポリグルコール酸、ポリカプロラクトン、 リブチレンサクシネート、ポリエチレンサ シネートなどの他のポリエステルを少量使 するのであれば、これらの他のポリエステ との混合物や共重合体を用いることもでき 。しかし、機械的強度や耐熱性の観点から ポリ(L-乳酸)を主体としたものであることが ましい。

 ポリ(L-乳酸)を主体とするポリ乳酸は、光 学純度によってその融点が異なる。本発明に おいては、成形体の機械的強度や耐熱性を考 慮すると、その融点が160℃以上であることが 望ましい。ポリ(L-乳酸)を主体とするポリ乳 において、融点を160℃以上とするためには D-乳酸成分の割合を約3モル%未満とすればよ 。

 本発明に使用されるポリ乳酸樹脂(A)には 架橋ないし分岐構造が導入されていてもよ 。架橋ないし分岐構造の導入方法としては 有機過酸化物を添加する方法、有機過酸化 とラジカル重合性化合物を併用する方法、 射線を照射する方法、多官能性開始剤の存 下で製造する方法等が挙げられる。

 過酸化物としては、ジブチルパーオキサ ド、ビス(ブチルパーオキシ)ジイソプロピ ベンゼン等が挙げられる。ラジカル重合性 合物としては、グリシジルメタクリレート エチレングリコールジメタクリレート、ジ チレングリコールジメタクリレート、ポリ チレングリコールジメタクリレート等が挙 られる。多官能性開始剤としては、エチレ -ビニルアルコール共重合体、ポリビニルア コール部分鹸化物、セルロースジアセテー 等が挙げられる。

 本発明の樹脂組成物に使用されるポリ乳 樹脂(A)の分子量は特に限定されないが、そ 指標となる240℃、荷重21.2Nにおけるメルト ローレート(MFR)が1~300g/10分の範囲であれば、 樹脂(A)を好ましく使用することができるさら に好ましくは、5~250g/10分の範囲である。メル トフローレートが300g/10分を超える場合には 溶融粘度が低すぎて、成形体の機械的強度 耐熱性が劣る場合がある。一方、メルトフ ーレートが1g/10分未満の場合は、成形加工時 の負荷が高くなりすぎ、操業性が低下する場 合がある。

 本発明の樹脂組成物に使用されるポリカ ボネート樹脂(B)は、ビスフェノール類残基 位とカーボネート残基単位とを含むもので る。

 ビスフェノール類としては、例えば2,2-ビ ス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス( 3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン 2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル) プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シ ロヘキサン、1,1-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロ シフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒ ロキシフェニル)デカン、1,4-ビス(4-ヒドロキ シフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ ェニル)シクロドデカン、4,4″-ジヒドロキ ジフェニルエーテル、4,4″-ジチオジフェノ ル、4,4″-ジヒドロキシ-3,3″-ジクロロジフ ニルエーテル、4,4″-ジヒドロキシ-2,5-ジヒ ロキシジフェニルエーテル等が挙げられる その他にも米国特許明細書第2,999,835号、第3 ,028,365号、第3,334,154号および第4,131,575号に記 されているジフェノールが使用できる。こ らは単独で使用してもよいし、あるいは2種 類以上混合して使用してもよい。

 カーボネート残基単位を導入する為の前 物質としては、例えばホスゲン、あるいは フェニルカーボネート等が挙げられる。

 本発明に使用されるポリカーボネート樹 は、その極限粘度が0.30~0.64の範囲にあるこ が好ましい。0.64を上回ると、樹脂組成物の 溶融粘度が高くなり、混練押出し及び射出成 形が困難になる傾向にある。0.30を下回ると 得られる成形体の衝撃強度が不足する傾向 ある。

 本発明の樹脂組成物においては、ポリ乳 樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)の質量比 (A/B)は、40/60~80/20であることが必要である。 好ましくは50/50~75/25であり、より好ましくは5 5/45~70/30である。ポリ乳酸樹脂(A)の質量比率 40%未満であると、天然物由来の原料の比率 小さくなり、このため石油等の枯渇資源の 約に貢献できるとはいいがたくなる。反対 80質量%を超えると、得られる樹脂組成物の 熱性・耐衝撃性などの物性が十分でなくな 。

 本発明の樹脂組成物における、メタクリル メチル系共重合体(C)を含有する第1のアスペ クトにおいては、240℃、荷重21.2Nにおけるポ 乳酸樹脂(A)のメルトフローレート(MFR A )と、同条件におけるポリカーボネート樹脂(B )のメルトフローレート(MFR B )との比(MFR A /MFR B )は、10未満であることが必要である。8以下 あることが好ましく、5以下であることがよ 好ましい。この第1のアスペクトにおいては 、MFR比(MFR A /MFR B )が10以上の場合は、耐熱性や耐衝撃性などの 物性が低下する。

 本発明の樹脂組成物における、メタクリル メチル系共重合体(C)を含有しない第2のアス ペクトにおいては、240℃、荷重21.2Nにおける リ乳酸樹脂(A)のメルトフローレート(MFR A )と、同条件におけるポリカーボネート樹脂(B )のメルトフローレート(MFR B )との比(MFR A /MFR B )が10以上であることが必要である。20以上で ることが好ましく、40以上であることがよ 好ましい。この第2のアスペクトにおいては MFR比(MFR A /MFR B )が10未満の場合には真珠光沢が発現し外観が 悪化する。なお、MFR比(MFR A /MFR B )は600以下であることが好ましい。600を超え と、耐熱性や耐衝撃性などの物性が低下す ことがある。

 本発明において、メルトフローレートの 定温度として240℃を採用するのは、この温 が、本発明の樹脂組成物の製造におけるポ 乳酸樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)の溶 混練温度に近いとの理由による。

 本発明の樹脂組成物に使用されるメタク ル酸メチル系共重合体(C)は、メタクリル酸 チルと(メタ)アクリル酸エステルとの共重 体である。すなわち、共重合体(C)は、メタ リル酸メチルとアクリル酸エステルとから る単量体混合物を、またはメタクリル酸メ ルと、メタクリル酸メチルを除くメタクリ 酸エステルとからなる単量体混合物を、共 合させることによって、得られる共重合体 ある。

 アクリル酸エステルとしては、炭素数が1 ~18のアルキル基を有するものが好ましい。そ のアクリル酸エステルのアルキル基は、直鎖 状でも分岐があるものでもよく、環状のアル キル基でもよい。具体的には、直鎖状のアル キル基を有するアクリル酸エステルとしては 、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ア クリル酸n-ブチル、アクリル酸ラウリル、ア リル酸ステアリル等が挙げられる。分岐が るアルキル基を有するアクリル酸エステル しては、アクリル酸2-エチルヘキシル等が げられる。環状のアルキル基を有するアク ル酸エステルとしては、アクリル酸シクロ キシル等が挙げられる。アルキル基の炭素 が18個を超えると、単量体の重合性が低下し て共重合が困難になる場合がある。

 メタクリル酸メチルを除くメタクリル酸 ステルとしては、炭素数が2~18のアルキル基 を有するものが好ましい。そのメタクリル酸 エステルのアルキル基は、直鎖状でも分岐が あるものでもよく、環状のアルキル基でもよ い。具体的には、直鎖状のアルキル基を有す るメタクリル酸エステルとしては、メタクリ ル酸エチル、メタクリル酸n-ブチル、メタク ル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、 タクリル酸トリデシル等が挙げられる。分 があるアルキル基を有するメタクリル酸エ テルとしては、メタクリル酸i-ブチル、メ クリル酸t-ブチル、メタクリル酸2-エチルヘ シル等が挙げられる。環状のアルキル基を するメタクリル酸エステルとしては、メタ リル酸シクロヘキシル等が挙げられる。ア キル基の炭素数が18個を超えると、単量体 重合性が低下して共重合が困難になる場合 ある。

 共重合体(C)を構成する単量体成分中にお るメタクリル酸メチル成分の割合は、70~90 量%が好ましく、より好ましくは80~90質量%で る。この範囲から外れると、外観改善効果 十分に得られないおそれがある。

 共重合体(C)は、その特性を大きく損なわ い限りにおいて、他種の単量体を共重合し いてもよい。他種の単量体としては、スチ ン、α-メチルスチレン、クロルスチレン、 ニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物; アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の シアン化ビニル化合物;酢酸ビニル等のビニ エステル;無水マレイン酸等のジカルボン酸 水物等;さらにジビニルベンゼン、メタクリ ル酸アリル等の多官能性単量体が挙げられる 。本発明においては、これらは目的に応じて 単独で用いてもよいしあるいは2種以上を併 してもよい。

 共重合体(C)は、テトラヒドロフランを溶 液とするゲル浸透クロマトグラフィにより 定し、標準ポリスチレン換算して求めた重 平均分子量(Mw)が、500,000以上であることが 要である。800,000以上であることが好ましい 共重合体(C)の重量平均分子量(Mw)が500,000未 では、外観改善効果が十分に得られない。

 共重合体(C)を得るための重合方法として 、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法等 挙げられる、中でも、乳化重合法の適用が も好ましい。

 本発明の樹脂組成物において、共重合体( C)の含有量は、ポリ乳酸樹脂(A)とポリカーボ ート樹脂(B)の合計100質量部に対して、0.1~20 量部であることが必要である。1~10質量部で あることが好ましく、2~5質量部であることが さらに好ましくい。共重合体(C)の含有量が0.1 質量部未満であると、外観改善効果が不十分 であり、20質量部を超える場合は、耐熱性が 下する。

 本発明の樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂(A) ポリカーボネート樹脂(B)の相溶化促進を目 として、エポキシ基含有添加剤(D)を含有し もよい。エポキシ基含有添加剤(D)としては エポキシ基を含有していれば特に限定され いが、エポキシ化合物をグラフトまたは共 合した高分子化合物が好ましい。

 エポキシ化合物をグラフト重合(以下、「 -g-」で表す)または共重合(以下、「/」で表す )した高分子化合物としては、エチレン/グリ ジルメタクリレート共重合体、エチレン/グ リシジルメタクリレート/酢酸ビニル共重合 、エチレン/グリシジルメタクリレート/アク リル酸メチル共重合体、エチレン/グリシジ メタクリレート共重合体-g-ポリメチルメタ リレート、エチレン/グリシジルメタクリレ ト共重合体-g-アクリロニトリル/スチレン共 重合体、エチレン/グリシジルメタクリレー 共重合体-g-ポリスチレンなどが挙げられる

 エポキシ基含有添加剤(D)の含有量は、ポ 乳酸樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)の合 100質量部に対して0.5~30質量部であることが ましく、1~20質量部であることがより好まし く、3~15質量部であることがさらに好ましい 含有量が0.5質量部未満であると、ポリ乳酸 脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)との相溶化 果が不十分である。その含有量が30質量部を 超える場合は、耐熱性が低下する傾向となる 。

 本発明の樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂(A) 末端基を封鎖して耐湿熱性を向上させるこ を目的として、カルボジイミド、エポキシ オキサゾリンよりなる群から選ばれた官能 を少なくとも1単位以上含有する反応性化合 物(E)を含有してもよい。中でもカルボジイミ ド化合物が好ましい。

 カルボジイミド化合物の具体例としては N,N″-ジ-2,6-ジイソプロピルフェニルカルボ イミド、N,N″-ジ-o-トリルカルボジイミド、 N,N″-ジフェニルカルボジイミド、N,N″-ジオ チルデシルカルボジイミド、N,N″-ジ-2,6-ジ チルフェニルカルボジイミド、N-トリル-N″ -シクロヘキシルカルボジイミド、N,N″-ジ-2,6 -ジ-tert-ブチルフェニルカルボジイミド、N-ト リル-N″-フェニルカルボジイミド、N,N″-ジ-p -ニトロフェニルカルボジイミド、N,N″-ジ-p- ミノフェニルカルボジイミド、N,N″-ジ-p-ヒ ドロキシフェニルカルボジイミド、N,N″-ジ- クロヘキシルカルボジイミド、N,N″-ジ-p-ト リルカルボジイミド、p-フェニレン-ビス-ジ-o -トリルカルボジイミド、p-フェニレン-ビス- シクロヘキシルカルボジイミド、ヘキサメ レン-ビス-ジシクロヘキシルカルボジイミ 、4,4″-ジシクロヘキシルメタンカルボジイ ド、エチレン-ビス-ジフェニルカルボジイ ド、N,N″-ベンジルカルボジイミド、N-オク デシル-N″-フェニルカルボジイミド、N-ベン ジル-N″-フェニルカルボジイミド、N-オクタ シル-N″-トリルカルボジイミド、N-シクロ キシル-N″-トリルカルボジイミド、N-フェニ ル-N″-トリルカルボジイミド、N-ベンジル-N -トリルカルボジイミド、N,N″-ジ-o-エチルフ ェニルカルボジイミド、N,N″-ジ-p-エチルフ ニルカルボジイミド、N,N″-ジ-o-イソプロピ フェニルカルボジイミド、N,N″-ジ-p-イソプ ロピルフェニルカルボジイミド、N,N″-ジ-o- ソブチルフェニルカルボジイミド、N,N″-ジ- p-イソブチルフェニルカルボジイミド、N,N″- ジ-2,6-ジエチルフェニルカルボジイミド、N,N -ジ-2-エチル-6-イソプロピルフェニルカルボ ジイミド、N,N″-ジ-2-イソブチル-6-イソプロ ルフェニルカルボジイミド、N,N″-ジ-2,4,6-ト リメチルフェニルカルボジイミド、N,N″-ジ-2 ,4,6-トリイソプロピルフェニルカルボジイミ 、N,N″-ジ-2,4,6-トリイソブチルフェニルカ ボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミ 、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチル ルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド t-ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジ-β -ナフチルカルボジイミド、ジ-t-ブチルカル ジイミド、芳香族ポリカルボジイミドなど 挙げられる。さらに、これらの化合物の重 体を挙げることができる。これらカルボジ ミド化合物は、単独で使用してもよいが、2 以上を組み合わせて使用してもよい。本発 では、芳香族カルボジイミド、特にN,N″-ジ -2,6-ジイソプロピルフェニルカルボジイミド およびこれら化合物の重合体が望ましく用 られる。そのほかにも、シクロ環を有した ルボジイミド化合物、特に4,4″-ジシクロヘ キシルメタンカルボジイミド、およびこれら の化合物の重合体が特に好ましく用いられる 。

 エポキシ化合物の具体例としては、エチ ングリコールジグリシジルエーテル、ポリ チレングリコールジグリシジルエーテル、 ロピレングリコールジグリシジルエーテル ポリプロピレングリコールジグリシジルエ テル、ポリブタジエンジグリシジルエーテ 、ネオペンチルグリコールジグリシジルエ テル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエ ーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリ シジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジ ルエーテル、N-グリシジルフタルイミド、水 ビスフェノールA―ジグリシジルエーテル、 ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペン タエリスリトールポリグリシジルエーテル、 グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリ グリセロールポリグリシジルエーテル、トリ メチルプロパンポリグリシジルエーテル、2- チルヘキシルグリシジルエーテル、フェニ グリシジルエーテル、フェニル(ポリエチレ ングリコール)グリシジルエーテル、フェニ (ポリプロピレングリコール)グリシジルエー テル、p-tert-ブチルフェニルグリシジルエー ル、ジグリシジル-o-フタレート、ジグリシ ルテレフタレート、ジブロモフェニルグリ ジルエーテル、エポキシ化植物油などが挙 られる。これらエポキシ化合物は、単独で 用してもよいが、2種以上を組み合わせて使 してもよい。中でも、エチレングリコール グリシジルエーテル、あるいはポリエチレ グリコールジグリシジルエーテルが特に好 しい。

 オキサゾリン化合物の具体例としては、2 -メチル-2-オキサゾリン、2-エチル-2-オキサゾ リン、2-フェニル-2-オキサゾリン、2-イソプ ペニル-2-オキサゾリン、2,4-ジメチル-2-オキ ゾリンのようなモノオキサゾリン化合物;2 2″-(1,3-フェニレン)ビス(2-オキサゾリン)の うなビスオキサゾリン化合物;オキサゾリン を側鎖に有するポリマーなどが挙げられる これらオキサゾリン化合物は、単独で使用 てもよいが2種以上を組み合わせて使用して もよい。中でも2,2″-(1,3-フェニレン)ビス(2- キサゾリン)が特に好ましい。

 反応性化合物(E)の含有量は、ポリ乳酸樹 (A)とポリカーボネート樹脂(B)の合計100質量 に対して0.01~5質量部であることが好ましく 0.1~3質量部であることがより好ましい。含 量が0.01質量部未満であると、耐湿熱性を向 させる実質的な効果が見られない傾向が生 る。一方、5質量部を超えると、耐熱性が低 下する傾向が生じる。

 本発明の樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂(A) ポリカーボネート樹脂(B)の耐衝撃性改善を 的としてコアシェル型グラフト共重合体(F) 含有してもよい。コアシェル型グラフト共 合体(F)とは、コアがゴム弾性を有する重合 成分から構成され、シェルが熱可塑性を有 る重合体成分から構成されたグラフト共重 体である。

 グラフト共重合体のゴム質の種類は、特 限定されるものではなく、ゴム弾性を有す 重合体成分から構成されるものであればよ 。例えば、アクリル成分、シリコーン成分 スチレン成分、ニトリル成分、共役ジエン 分、ウレタン成分、エチレンプロピレン成 などを重合させた重合体から構成されるゴ が挙げられる。

 アクリル成分としては、アクリル酸エチ 単位やアクリル酸ブチル単位など、シリコ ン成分としては、ジメチルシロキサン単位 フェニルメチルシロキサン単位など、スチ ン成分としては、スチレン単位やα-メチル チレン単位など、ニトリル成分としては、 クリロニトリル単位やメタクリロニトリル 位など、共役ジエン成分としては、ブタン エン単位やイソプレン単位などが、それぞ 挙げられる。

 これらの成分を2種以上組み合わせて共重 合させたものから構成されるゴムも好ましい 。例えば、(1)アクリル成分およびシリコーン 成分を共重合、複合化した成分から構成され るゴム、(2)アクリル成分およびスチレン成分 を共重合した成分から構成されるゴム、(3)ア クリル成分および共役ジエン成分を共重合し た成分から構成されるゴム、(4)アクリル成分 およびシリコーン成分およびスチレン成分を 共重合した成分から構成されるゴムなどが挙 げられる。また、これらの成分の他に、ジビ ニルベンゼン単位、アリルアクリレート単位 またはブチレングリコールジアクリレート単 位などの架橋性成分を共重合し架橋させたゴ ムも好ましい。

 本発明においては、コアシェル型グラフ 共重合体(F)を構成するゴム成分は、ブタジ ン系ゴム、アクリル系ゴム、シリコーン系 ム、シリコーンアクリル系ゴムであること 好ましい。

 ブタジエン系ゴムは、1,3-ブタジエン単量 体単位のみからなる重合体、若しくは1,3-ブ ジエン単量体単位と、これと共重合可能な1 以上のビニル系単量体単位からなる重合体 ある。共重合可能な1種類以上のビニル系単 量体単位の含有量は、ブタジエン系ゴム重合 体中50質量%以下であることが好ましい。

 1,3-ブタジエンと共重合可能なビニル系単 量体としては、スチレン、α-メチルスチレン 等の芳香族ビニル化合物;メチルメタクリレ ト、エチルメタクリレート等のメタクリル アルキルエステル;エチルアクリレート、n- チルアクリレート等のアクリル酸アルキル ステル;アクリロニトリル、メタクリロニト ル等の不飽和ニトリル;メチルビニルエーテ ル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテ ル;塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化 ニル;塩化ビニリデン、臭化ビニリデン等の ロゲン化ビニリデン;グリシジルアクリレー ト、グリシジルメタクリレート、アリルグリ シジルエーテル、エチレングリコールグリシ ジルエーテル等のグリシジル基を有するビニ ル系単量体等が挙げられる。

 また、上記以外に、ジビニルベンゼン、 ビニルトルエン等の芳香族多官能ビニル化 物;エチレングリコールジメタクリレート、 1,3-ブタンジオールジアクリレート等の多価 ルコール;トリメタクリル酸エステル、トリ クリル酸エステル、アクリル酸アリル、メ クリル酸アリル等のカルボン酸アリルエス ル;ジアリルフタレート、ジアリルセバケー ト等のジアリル化合物;トリアリルトリアジ 等のトリアリル化合物などの架橋性単量体( 橋剤)を用いることができる。これらは、単 独で、又は2種以上を混合して用いることが きる。

 アクリル系ゴムとしては、主構成単位の クリル酸エステル50~100質量%と、これと共重 合可能なビニル系単量体50~0質量%とを含有す ものが挙げられる。

 アクリル系ゴムを構成するアクリル酸エ テルとしては、アルキル基の炭素数が2~8で るアクリル酸アルキルエステル、例えばエ ルアクリレート、n-ブチルアクリレート、2- エチルヘキシルアクリレート等が挙げられる 。

 アクリル系ゴムを構成するビニル系単量 としては、例えば、スチレン、α-メチルス レン等の芳香族ビニル;メチルメタクリレー ト、エチルメタクリレート等のメタクリル酸 アルキルエステル;アクリロニトリル、メタ リロニトリル等の不飽和ニトリル;メチルビ ルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビ ルエーテル;塩化ビニル、臭化ビニル等のハ ロゲン化ビニル;塩化ビニリデン、臭化ビニ デン等のハロゲン化ビニリデン;グリシジル クリレート、グリシジルメタクリレート、 リルグリシジルエーテル、エチレングリコ ルグリシジルエーテル等のグリシジル基を するビニル系単量体などが挙げられる。

 シリコーンアクリル系ゴムとしては、ポ オルガノシロキサンとアルキル(メタ)アク レートゴムとを含有するゴムが挙げられる このゴムは、どのような方法で製造されて よいが、乳化重合法で製造されたものが最 である。ポリオルガノシロキサンには特に 限はないが、ビニル重合性官能基を含有す ポリオルガノシロキサンが好ましい。

 ポリオルガノシロキサンの製造に用いら るジメチルシロキサンとしては、3員環以上 のジメチルシロキサン系環状体が挙げられ、 3~7員環のものが好ましい。具体的にはヘキサ メチルシクロトリシロキサン、オクタメチル シクロテトラシロキサン、デカメチルシクロ ペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキ サシロキサン等が挙げられ、これらは単独で または二種以上混合して用いられる。

 一方、コアシェル型グラフト共重合体(F) シェルは、熱可塑性を有する重合体成分か 構成されたものである。シェルを構成する 合体成分は、そのガラス転移温度が、コア 構成する重合体成分のそれより高いことが ましい。

 シェルを構成する重合体としては、不飽 カルボン酸アルキルエステル系単位、グリ ジル基含有ビニル系単位、脂肪族ビニル系 位、芳香族ビニル系単位、シアン化ビニル 単位、マレイミド系単位、不飽和ジカルボ 酸系単位、その他のビニル系単位などから ばれる少なくとも1種以上の単位を含有する 重合体が挙げられる。中でも、不飽和カルボ ン酸アルキルエステル系単位、グリシジル基 含有ビニル系単位を含有する重合体が好まし い。

 不飽和カルボン酸アルキルエステル系単 としては、特に限定されるものではないが メタクリル酸アルキルエステルが好ましく 用される。具体的には、メタクリル酸メチ 、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プ ピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸 t-ブチル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタク ル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸シクロ ヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタク リル酸オクタデシル、メタクリル酸フェニル 、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸クロ ロメチル、メタクリル酸2-クロロエチル、メ クリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル 3-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2,3,4,5,6 -ペンタヒドロキシヘキシル、メタクリル酸2, 3,4,5-テトラヒドロキシペンチル、アクリル酸 アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエ チル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、 メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタク リル酸フェニルアミノエチル、メタクリル酸 シクロヘキシルアミノエチルなどが挙げられ る。中でも、樹脂への分散性を向上する効果 が大きいという観点から、メタクリル酸メチ ル、メタクリル酸n-ブチルを好ましく使用す ことができる。これらの単位は、単独ない 2種以上を用いることができる。

 グリシジル基含有ビニル系単位としては 特に限定されるものではないが、メタクリ 酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、イ コン酸ジグリシジル、アリルグリシジルエ テル、スチレン-4-グリシジルエーテル、4- リシジルスチレンなどが挙げられる。中で 、耐衝撃性を向上する効果が大きいという 点から、メタクリル酸グリシジルを好まし 使用することができる。これらの単位は、 独ないし2種以上を用いることができる。

 脂肪族ビニル系単位としては、エチレン プロピレン、ブタジエンなどを挙げること できる。芳香族ビニル系単位としては、ス レン、α-メチルスチレン、1-ビニルナフタ ン、4-メチルスチレン、4-プロピルスチレン 4-シクロヘキシルスチレン、4-ドデシルスチ レン、2-エチル-4-ベンジルスチレン、4-(フェ ルブチル)スチレン、ハロゲン化スチレンな どを挙げることができる。シアン化ビニル系 単位としては、アクリロニトリル、メタクリ ロニトリルまたはエタクリロニトリルなどを 挙げることができる。マレイミド系単位とし ては、マレイミド、N-メチルマレイミド、N- チルマレイミド、N-プロピルマレイミド、N- ソプロピルマレイミド、N-シクロヘキシル レイミド、N-フェニルマレイミド、N-(p-ブロ フェニル)マレイミドまたはN-(クロロフェニ ル)マレイミドなどを挙げることができる。 飽和ジカルボン酸系単位としては、マレイ 酸、マレイン酸モノエチルエステル、イタ ン酸、フタル酸などを挙げることができる その他のビニル系単位としては、アクリル ミド、メタクリルアミド、N-メチルアクリル アミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N- ロピルメタクリルアミド、N-ビニルジエチ アミン、N-アセチルビニルアミン、アリルア ミン、メタアリルアミン、N-メチルアリルア ン、p-アミノスチレン、2-イソプロペニル- キサゾリン、2-ビニル-オキサゾリン、2-アク ロイル-オキサゾリン、2-スチリル-オキサゾ ンなどを挙げることができる。これらの単 は単独ないし2種以上を用いることができる

 コアシェル型グラフト共重合体(F)の含有 は、ポリ乳酸樹脂(A)とポリカーボネート樹 (B)の合計100質量部に対して0.1~30質量部であ ことが好ましく、0.5~20質量部であることが り好ましい。含有量が0.1質量部未満である 、耐衝撃性の改善効果が見られない、一方 30質量部を超えると、耐熱性が低下する傾 にある。

 本発明の樹脂組成物の製造方法としては 一般的な押出機を用いて、ポリ乳酸樹脂(A) ポリカーボネート樹脂(B)を溶融混練する方 が挙げられる。混合均一性を高める点から 二軸押出機を使用することが好ましい。

 樹脂組成物に共重合体(C)、エポキシ基含 添加剤(D)、反応性化合物(E)、コアシェル型 ラフト共重合体(F)を含有させる場合に、こ らの添加方法としては、原料樹脂とドライ レンドしてホッパーから投入する、押出機 中からフィーダー等により添加する、可塑 など液体に溶解または分散させて液添加す 等、種々の方法を採ることができる。

 本発明の樹脂組成物には、機械的強度や 熱性の向上を目的として、ガラス繊維を使 してもよい。その配合量は、樹脂組成物100 量部に対し、1~50質量部であることが好まし い。ガラス繊維は通常のガラス繊維で十分で あり、樹脂との密着性を高めるために表面処 理を施してもよい。添加の方法としては、押 出し機において、ホッパーから、あるいはサ イドフィーダーを用いて混練の途中から、そ れぞれ添加することができる。または、ガラ ス繊維をマスターバッチ加工することで、成 形時にベース樹脂で希釈して使用することも できる。

 本発明の樹脂組成物には、その特性を大 く損なわない限りにおいて、顔料、熱安定 、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、 剤、離型剤、帯電防止剤、充填材、結晶核 等を添加することができる。

 熱安定剤や酸化防止剤としては、たとえ ヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒ ダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、 ルカリ金属のハロゲン化物が挙げられる。

 難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、リ 系難燃剤、無機系難燃剤が使用できる。中 も、環境を配慮した場合、非ハロゲン系難 剤の使用が望ましい。非ハロゲン系難燃剤 しては、リン系難燃剤、水和金属化合物(水 酸化アルミ、水酸化マグネシウム)、N含有化 物(メラミン系、グアニジン系)、無機系化 物(硼酸塩、Mo化合物)が挙げられる。

 無機充填材としては、タルク、炭酸カル ウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カル ウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸 ルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸 グネシウム、ガラスバルーン、カーボンブ ック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオ イト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金 ウイスカー、セラミックウイスカー、チタ 酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、 素繊維等が挙げられる。

 有機充填材としては、澱粉、セルロース 粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の 天然に存在するポリマーやこれらの変性品 挙げられる。

 無機結晶核剤としては、タルク、カオリ 等が挙げられる。有機結晶核剤としては、 ルビトール化合物、安息香酸およびその化 物の金属塩、燐酸エステル金属塩、ロジン 合物等が挙げられる。

 本発明の樹脂組成物にこれらを混合する 法は、特に限定されない。

 本発明の樹脂組成物は、射出成形、ブロ 成形、押出成形、インフレーション成形、 よびシート加工後の真空成形、圧空成形、 空圧空成形等の成形方法により、各種成形 とすることができる。とりわけ、射出成形 を採ることが好ましく、一般的な射出成形 のほか、ガス射出成形法、射出プレス成形 等も採用できる。本発明の樹脂組成物に適 た射出成形条件の一例を挙げれば、シリン 温度を、ポリ乳酸樹脂(A)の融点または流動 始温度以上、好ましくは180~260℃、より好ま しくは190~250℃の範囲とするのが適当である 成形温度が低すぎると、成形品にショート 発生するなど操業性が不安定になったり、 負荷に陥ったりしやすい。逆に成形温度が すぎると、樹脂組成物が分解して、得られ 成形体の強度が低下したり、着色したりす 等の問題が発生しやすい。

 本発明の樹脂組成物は、結晶化を促進さ ることにより、その耐熱性を高めることが きる。このための方法としては、例えば、 出成形時に金型内での冷却にてポリ乳酸樹 成分の結晶化を促進させる方法がある。そ 場合には、金型温度をポリ乳酸樹脂成分の 晶化温度±20℃で所定時間保った後、ポリ乳 酸樹脂成分のガラス転移温度以下に冷却する ことが好ましい。また、成形後に結晶化を促 進させる方法としては、直接ポリ乳酸樹脂成 分のガラス転移温度以下に冷却した後、再度 、ポリ乳酸樹脂成分の結晶化温度±20℃で熱 理することを、好ましい方法として挙げる とができる。

 本発明の第2のアスペクトにおいては、成形 体は、その表面から深さ5μmまでの範囲にお て、ポリ乳酸樹脂(A)中にポリカーボネート 脂(B)が島状に粒子分散し、成形体の断面に いて観察される分散粒子断面の長さが0.1μm 上であることが好ましい。同分散粒子断面 長さが0.5μm以上であることがより好ましい 一般的にプラスチックの成形体には、スキ 層と呼ばれる表層部と、コア層と呼ばれる キン層よりも内層部が存在する。スキン層 、冷たい金型に高温の溶融樹脂を急速に充 し冷却させるために発現し、樹脂流れ方向 配向がおきやすい部分である。そのため、 形品の表層部では島成分が細かく引きちぎ れ、内層部の島成分の形態と大きく異なる 合がある。この表層部と内層部との不均一 造が外観不良を引き起こす原因と考えられ 。このため、島成分の形態を制御すること よって、成形品の外観不良を改善すること できるのである。つまり、メタクリル酸メ ル系共重合体(C)を含有しない場合は、ポリ 酸樹脂(A)の240℃、荷重21.2Nにおけるメルトフ ローレート(MFR A )と、ポリカーボネート樹脂(B)の同条件にお るメルトフローレート(MFR B )の比(MFR A /MFR B )を10以上とすることで、成形体の表面から深 さ5μmまでの範囲においてポリ乳酸樹脂(A)中 ポリカーボネート樹脂(B)が島状に粒子分散 、成形体の断面において観察される分散粒 断面の長さが0.1μm以上となって、その外観 向上する。なお、成形体中のポリカーボネ ト樹脂(B)成分の大きさの確認は、成形体断 を透過型電子顕微鏡で観察することによっ 、行うことができる。

 本発明の樹脂組成物を用いた成形体とし は、次のものを挙げることができる。第一 、まず押出成形法によりシート状、発泡シ ト状、パイプ状に加工し、これらを、クレ ットカード等のカード類、下敷き、クリア ァイル、ストロー、農業・園芸用・工業用 質/軟質パイプまたはパイプカバー等に応用 することができる。さらにこれらのシート類 に、真空成形、圧空成形、真空圧空成形等の 深絞り成形や、うち抜き成形などを行うこと で、食品用容器、農業・園芸・工業用容器、 各種雑貨、ブリスターパック容器、プレスス ルーパック容器、折りたたみ式緩衝材、各種 建材、各種パッキン、仕切り板や標識、掲示 板、自動車内装材、マネキン、靴底、帽子の つば、各種心材などを製造することができる 。

 射出成形法により製造される成形体の形 は、特に限定されない。その具体例として 、皿、椀、鉢、箸、スプーン、フォーク、 イフ、お盆等の食器関連物や、流動体用容 (乳製品や清涼飲料水や酒類等のための飲料 用コップ及び飲料用ボトル;醤油、ソース、 ヨネーズ、ケチャップ、食用油等の調味料 一時保存容器;シャンプー、リンス等の容器; 化粧品用容器;農薬用容器等)や、容器用キャ プや、定規、筆記具、クリアケース、CDケ ス、いす等の事務用品や、コンテナーなど 種収納容器や、台所用三角コーナー、ゴミ 、洗面器、歯ブラシ、櫛、ハンガー等の日 品や、ファスナー・ボタンなどの服飾関連 や、植木鉢、育苗ポット等の農業・園芸用 材や、プラモデル等の各種玩具類や、エア ンパネル、冷蔵庫トレイ、パソコン、パソ ン周辺機器、携帯電話、AV機器などの各種筐 体等の電化製品用樹脂部品や、バンパー、イ ンパネ、ドアトリム等の自動車用樹脂部品や 、さお・ルアーなどのつり用品や、各種ラケ ット・プロテクターなどのスポーツ用品や、 各種建材などが挙げられる。

 本発明の樹脂組成物及びそれから得られ 成形体は、外観が優れているため、特にこ まで外観不良で使えなかった分野への展開 可能となる。

 以下、本発明を実施例によりさらに具体 に説明する。ただし、本発明は下記の実施 のみに限定されるものではない。

 下記の実施例及び比較例の評価に用いた 定法は、次のとおりである。

 (1)メルトフローレート(MFR):
 JIS K7210に従い、240℃、21.2N(2.16kg)の荷重で 定した。単位はg/10分である。

 (2)極限粘度(IV):
 フェノール/1,1,2,2-テトラクロロエタン混合 媒(質量比6/4)を用い、温度20℃で測定した。

 (3)分子量:
 示差屈折率検出器を備えたゲル浸透クロマ グラフィ(GPC)装置(島津製作所社製)を用い、 テトラヒドロフランを溶出液として40℃で測 し、標準ポリスチレン換算で求めた。なお テトラヒドロフランに溶けにくいサンプル 、少量のクロロホルムに溶解後、テトラヒ ロフランで希釈して、測定した。

 (4)熱変形温度(DTUL):
 ASTM規格D-648に従い、荷重0.45MPaで測定した。

 (5)IZOD衝撃強度:
 ASTM規格D-256に従い、ノッチ(V字型切込み)付 試験片を用いて測定した。

 (6)曲げ弾性率・曲げ強度:
 ASTM規格D-790に従い、変形速度2mm/分で荷重を かけて、測定した。

 (7)耐湿熱性:
 上記(6)で用いた曲げ強度試験片を、温度60 、湿度95%RHの環境下で500時間処理した後、曲 げ強度を測定して、強度保持率を評価した。

 (8)外観:
 射出成形した試験片の表面を目視観察した 外観ムラがなく均一できれいな場合を○と 価し、外観ムラがある場合を×と評価した

 (9)ポリカーボネート樹脂(B)の分散粒子観察:
 射出成形した試験片をエポキシ樹脂に包埋 、超ミクロトーム(Reicher-Nissei社製、型番「U LTRACUT N」)を用いて、射出成形片の断面の薄 試料を作製した。この試料について、透過 電子顕微鏡(日本電子社製、型番「JEM-200CX」 を用い、射出成形片の表層部から20μmの深さ での断面について、測定倍率5000倍にて画像 を得た。

 この画像を観察して、成形体の表面から さ5μmまでの範囲においてポリ乳酸樹脂(A)中 にポリカーボネート樹脂(B)が島状に粒子分散 し、かつ分散粒子断面の長さが0.1μm以上であ る場合を○と評価した。一方、島状に分散し ていない、あるいは分散粒子断面の長さが0.1 μm未満である場合を×と評価した。

 下記の実施例及び比較例に用いた原料は 次の通りである。なお、MFR値のカッコ内は 定温度である。

 [ポリ乳酸樹脂(A)]
 ・PLA-1:NatureWorks社製、品名「4032D」、重量平 均分子量(MW)180,000、融点170℃、MFR(240℃)18g/10
 ・PLA-2:NatureWorks社製、品名「6201D」、重量平 均分子量(MW)160,000、融点168℃、MFR(240℃)48g/10
 ・PLA-3:NatureWorks社製、品名「6251D」、重量平 均分子量(MW)100,000、融点168℃、MFR(240℃)177g/10
 [ポリカーボネート樹脂(B)]
 ・PC-1:住友ダウ社製、品名「200-30」、極限 度0.44、MFR(240℃)5g/10分
 ・PC-2:住友ダウ社製、品名「1080DVD」、極限 度0.38、MFR(240℃)13g/10分
 ・PC-3:住友ダウ社製、品名「200-13」、極限 度0.49、MFR(240℃)1.6g/10分
 ・PC-4:住友ダウ社製、品名「200-3」、極限粘 度0.53、MFR(240℃)0.4g/10分
 [メタクリル酸メチル系共重合体(C)]
 ・MMA-1:メタクリル酸メチル/アクリル酸ブチ ル共重合体(三菱レイヨン社製品名「メタブ ンP-531A」)、重量平均分子量(MW)=2,240,000
 ・MMA-2:メタクリル酸メチル/アクリル酸ブチ ル共重合体(三菱レイヨン社製品名「メタブ ンP-551A」)、重量平均分子量(MW)=960,000
 ・MMA-3:メタクリル酸メチル/アクリル酸ブチ ル共重合体(三菱レイヨン社製品名「メタブ ンP-570A」)、重量平均分子量(MW)=200,000
 [エポキシ基含有添加剤(D)]
 ・BF:エチレン/グリシジルメタクリレート共 重合体(住友化学社製、品名「ボンドファー ト2C」)
 ・MD:エチレン/グリシジルメタクリレート共 重合体-g-ポリメタクリル酸メチル(日本油脂 製、品名「モディパーA4200」)
 [反応性化合物(E)]
 ・CDI:N,N″-ジ-2,6-ジイソプロピルフェニルカ ルボジイミド(バイエル社製、品名「スタバ ゾールI」)
 ・EPX:p-t-ブチルフェニルグリシジルエーテ (ナガセ化成社製、品名「デナコールEX-146」)
 ・OXZ:2,2″-m-フェニレンビス(2-オキサゾリン )(東京化成工業社製)
 [コアシェル型グラフト共重合体(F)]
 ・CS-C:ブタジエン系ゴム(三菱レイヨン社製 品名「メタブレンC-223A」)
 ・CS-S:シリコーンアクリル系ゴム(三菱レイ ン社製、品名「メタブレンS-2001」)
 実施例1
 池貝社製二軸押出機、型番PCM-30(ダイス直径 4mm×3孔)を用い、押出温度240℃、スクリュー 転数150rpm、吐出量100g/分にて、ポリ乳酸樹脂 PLA-1とポリカーボネート樹脂PC-1とを52/48の質 比にて混合した樹脂ブレンド物100質量部に して、メタクリル酸メチル系共重合体MMA-1 3質量部添加して、溶融混練した。溶融混練 れた樹脂をストランド状に押出し、水浴で 却後、ペレタイザーでペレット状に切断し 、樹脂組成物ペレットを得た。

 得られたペレットを乾燥後、東芝機械社 射出成形機、型番IS-80G型を用いて、シリン 設定温度220℃、射出圧力100MPa、射出時間15 の条件で射出成形した。得られた成形体を いて、各種物性評価を行った。このとき、 型温度は75℃とし、冷却時間は30秒とした。

 実施例2~16、比較例1~6
 ポリ乳酸樹脂(A)、ポリカーボネート樹脂(B) メタクリル酸メチル系共重合体(C)、エポキ 基含有添加剤(D)、反応性化合物(E)、コアシ ル型グラフト共重合体(F)をそれぞれ表1に示 す種類と量に変えた。それ以外は実施例1と 様にして樹脂組成物を得た。この樹脂組成 を射出成形して、成形体を得た。得られた 形体を用いて、各種評価を行った。

 実施例1~16及び比較例1~5の結果をまとめて 表1に示す。

 表1から明らかなように、実施例1~16は、メ クリル酸メチル系共重合体(C)を含有し、か MFR比(MFR A /MFR B )が10未満であったため、優れた物性を有して いた。また、メタクリル酸メチル系共重合体 (C)を含有していたため、外観が優れていた。

 実施例10~12および15、16は、反応性化合物( E)を添加したことにより、ポリ乳酸樹脂(A)の 端基が封鎖され、耐湿熱性に優れていた。

 実施例13~16は、コアシェル型グラフト共 合体(F)を添加したことにより、耐衝撃性が 上していた。

 これに対し、比較例1~2は、MFR比(MFR A /MFR B )が10未満であるものの、比較例1ではメタク ル酸メチル系共重合体(C)を含有しておらず また、比較例2では共重合体(C)の重量平均分 量が500,000未満であったため、他の物性は優 れているものの外観が劣っていた。

 比較例3は、MFR比は10未満であるが、ポリ 酸樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)の質量 率(A/B)が90/10であったため、耐衝撃性・耐熱 性に劣っていた。

 比較例4は、共重合体(C)の含有量が多すぎ たため、耐熱性に劣っていた。

 比較例5は、メタクリル酸メチル系共重合 体(C)を含有しておりかつMFR比が10以上であっ ため、耐衝撃性・耐熱性に劣っていた。

 実施例17
 ポリ乳酸樹脂(A)としてPLA-2を用い、ポリカ ボネート樹脂(B)としてPC-3を用いた。メタク ル酸メチル系共重合体(C)は、用いなかった 池貝社製二軸押出機、型番PCM-30(ダイス直径 4mm×3孔)を用い、押出温度240℃にて、PLA-2の55 量部とPC-3の45質量部とを混合した。混合さ た樹脂をストランド状に押出し、水浴で冷 後、ペレタイザーでペレット状に切断して 樹脂組成物ペレットを得た。

 得られたペレットを乾燥後、東芝機械社 射出成形機、型番IS-80G型を用いて、シリン 設定温度220℃、射出圧力100MPa、射出時間15 の条件で射出成形した。得られた成形体を いて、各種物性評価を行った。このとき、 型温度は75℃とし、冷却時間は30秒とした。

 実施例18~32、比較例6~11
 ポリ乳酸樹脂(A)、ポリカーボネート樹脂(B) エポキシ基含有添加剤(D)、反応性化合物(E) 、それぞれ表2に示す種類と量に変えた。そ れ以外は実施例17と同様にして、樹脂組成物 得た。この樹脂組成物を射出成形して、成 体を得た。得られた成形体を用いて、各種 価を行った。

 実施例17~32及び比較例6~11の結果をまとめ 表2に示す。

 表2から明らかなように、実施例17~32は、メ クリル酸メチル系共重合体(C)を含有せず、 つMFR比(MFR A /MFR B )が10以上であったため、外観が優れていた。 これに対し、比較例6~10は、メタクリル酸メ ル系共重合体(C)を含有せず、かつMFR比が10未 満であったため、外観が劣っていた。

 実施例27~32は、反応性化合物(E)を添加し ことにより、ポリ乳酸樹脂(A)の末端基が封 され、耐湿熱性に優れていた。

 比較例11は、メタクリル酸メチル系共重 体(C)を含有せず、かつMFR比が10以上であった が、ポリ乳酸樹脂(A)とポリカーボネート樹脂 (B)の質量比率(A/B)が90/10であったため、耐衝 性・耐熱性に劣っていた。

 実施例21および比較例8について、成形体 表面から深さ約20μmの範囲の断面を透過型 子顕微鏡を用いて撮影することにより得ら た画像を、図1及び図2に示す。これらの画像 中の濃色部はポリカーボネート(B)、淡色部は ポリ乳酸(A)である。

 実施例21の画像を示す図1では、成形体の 面から深さ5μmまでの範囲においてポリ乳酸 樹脂(A)の中にポリカーボネート樹脂(B)が島状 に粒子分散し、その分散粒子断面の長さは0.1 μm以上であった。

 一方、比較例8の画像を示す図2では、成 体の表面から深さ5μmまでの範囲においては リ乳酸樹脂(A)の中にポリカーボネート樹脂( B)が島状に粒子分散しているとは言いがたく ポリ乳酸樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B) がナノ分散構造になっていた。さらに、深 方向に進むにつれて徐々にポリ乳酸樹脂(A) ポリカーボネート樹脂(B)との区別がつくく いの分散状態、つまりミクロ分散構造にな ていた。

 外観不良の現象は、このナノ分散層とそ 下にあるミクロ分散層が関係していると考 られる。つまり、ナノ分散層では分散粒子 大きさは光の波長よりも十分短いため、光 通過して透明に見えるが、内層に行くにつ ナノ分散が崩れミクロ分散となり、光が乱 射することにより不透明となる。この不均 構造によって外観不良となって見えると推 される。一方、外観が良いものについては 表層部に分散粒子断面の長さが0.1μm以上の リカーボネート樹脂(B)の分散粒子が存在す ために、光が乱反射して不透明となり、こ ため外観が良好に見えると推察される。