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Title:
RESIN FOR THERMAL IMPRINTING, RESIN SOLUTION FOR THERMAL IMPRINTING, INJECTION MOLDED BODY FOR THERMAL IMPRINTING, THIN FILM FOR THERMAL IMPRINTING, AND PROCESS FOR PRODUCING THE THIN FILM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/004797
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a resin for thermal imprinting, which, in microfabrication by thermal imprinting, can suppress the occurrence of particles by virtue of excellent heat deterioration resistance, has low resin modulus of elasticity during fluidization, and has good fine pattern transfer properties, a resin solution for thermal imprinting using the resin, an injection molded body for thermal imprinting using the resin, a thin film for thermal imprinting using the resin, and a process for producing the thin film. For the resin for thermal imprinting, the exothermic onset temperature (oxidation onset temperature) of an exothermic peak involved in oxidation as measured with a differential scanning calorimeter in the air at a temperature rise rate of 5°C/min is the glass transition temperature of the resin + 35°C or above, and the complex modulus of the resin at the glass transition temperature of the resin + 35°C in terms of dynamic viscoelasticity in a nitrogen stream at a frequency of 1 rad/sec is less than 0.24 MPa.

Inventors:
SATSUKA TAKURO (JP)
TAKAYA YOSHIAKI (JP)
KUSUURA TAKAHISA (JP)
MITRA ANUPAM (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/001732
Publication Date:
January 08, 2009
Filing Date:
July 02, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MARUZEN PETROCHEM CO LTD (JP)
SCIVAX CORP (JP)
SATSUKA TAKURO (JP)
TAKAYA YOSHIAKI (JP)
KUSUURA TAKAHISA (JP)
MITRA ANUPAM (JP)
International Classes:
C08F32/08; B05D1/40; B29C45/00; B29C59/02
Domestic Patent References:
WO2007066712A12007-06-14
WO2007037085A12007-04-05
Foreign References:
US5772905A1998-06-30
JP2003082017A2003-03-19
Other References:
See also references of EP 2163565A4
J. MATER. CHEM., vol. 10, 2000, pages 2634
Attorney, Agent or Firm:
OKUDA, Noritsugu (Yurigaoka Moriya-shi, Ibaraki 10, JP)
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Claims:
 熱インプリント用途に供される樹脂であって、空気中、昇温速度5℃/minでの示差走査熱量計測定において、酸化に伴う発熱ピークの発熱開始温度(酸化開始温度)が、当該樹脂のガラス転移温度+35℃以上であることを特徴とする熱インプリント用樹脂。
 環状オレフィン系樹脂からなることを特徴とする請求項1記載の熱インプリント用樹脂。
 式(1)で示される繰返し単位を少なくとも一つ含むことを特徴とする請求項1記載の熱インプリント用樹脂。
(式(1)中、Xはハロゲン原子又は炭素数1~12の炭化水素基である。XとR21(又はR20)は互いにアルキレン基などを介して結合していても良い。p、q、rは0、1又は2である。R1~R21はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、及び脂環族炭化水素基である。また、R11(又はR12)とR13(又はR14)とは炭素数1~5のアルキレン基を介して結合してもよく、また、何れの基も介さずに結合してもよい。但し、R11(又はR12)とR13(又はR14)とが何の基も介さずに結合した場合、結合しない残基である、R11(又はR12)はハロゲン原子又は炭素数1~12の炭化水素基であり、R13(又はR14)は水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、又は脂環族炭化水素基である。)
 窒素気流中、周波数1rad/secでの動的粘弾性率測定おいて、樹脂のガラス転移温度+35℃での複素弾性率が0.24MPa未満であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の熱インプリント用樹脂。
 請求項1ないし3のいずれかに記載の熱インプリント用樹脂および当該樹脂を溶解する少なくとも1種類以上の溶剤を含むことを特徴とする熱インプリント用樹脂溶液。
 粒径0.2μm以上の異物の含有量が3000個/cm 3 未満であることを特徴とする請求項5記載の熱インプリント用樹脂溶液。
 0.8μm未満の目開きを有するフィルタで濾過されたものであることを特徴とする請求項5記載の熱インプリント用樹脂溶液。
 請求項1ないし3のいずれかに記載の熱インプリント用樹脂から製造されることを特徴とする熱インプリント用射出成型体。
 請求項1ないし3のいずれかに記載の熱インプリント用樹脂から製造されることを特徴とする熱インプリント用薄膜。
 請求項5ないし7のいずれかに記載の熱インプリント用樹脂溶液から製造されることを特徴とする熱インプリント用薄膜。
 残存揮発分が0.25%以下であることを特徴とする請求項10記載の熱インプリント用薄膜。
 膜厚が40μm以下であることを特徴とする請求項10記載の熱インプリント用薄膜。
 支持基材上に請求項5記載の熱インプリント用樹脂溶液を塗布した後、残存揮発分が0.25%以下となるまで乾燥させることを特徴とする熱インプリント用樹脂薄膜の製造方法。
 前記薄膜の膜厚が40μm以下であることを特徴とする請求項13記載の熱インプリント用樹脂薄膜の製造方法。
 前記薄膜の膜厚が10nm~4000nmであり、スピンコート法により塗布することを特徴とする請求項13記載の熱インプリント用樹脂薄膜の製造方法。
Description:
熱インプリント用樹脂、熱イン リント用樹脂溶液、熱インプリント用射出 型体、熱インプリント用薄膜およびその製 方法

 本発明は、熱インプリントによる微細加 において、樹脂劣化により発生する樹脂表 のパーティクル状物が極めて少なく、かつ 好なパターン転写精度を有する熱インプリ ト用樹脂、熱インプリント用樹脂溶液、熱 ンプリント用射出成型体、熱インプリント 薄膜およびその製造方法に関する。

 光通信、光ディスク、ディスプレイ、光 ンサ等の各種光学デバイス分野の著しい発 に伴い、光学樹脂材料には性能とコストの 立が求められている。またバイオチップ、 イクロリアクター等の分野でもガラスに替 り種々の加工が容易である透明性樹脂材料 の期待は大きくなっている。いずれの分野 も基材表面の加工、特に微細加工が要求さ るようになり、その微細加工技術は近年集 化が著しい半導体分野でも重要な技術とな ている。

 従来、透明性材料の表面に微細なパター を形成するには、表面を機械的に切削する 、あるいはレジストや熱、紫外線又は電子 硬化型樹脂等を用いてパターンを印刷する といった方法が採用されている。しかしな ら、機械的な切削では非常に高度で煩雑な 工技術を必要とする問題があり、レジスト を使用したパターン印刷では工程が複雑な に、印刷されたパターンの剥がれなどの耐 性に問題が指摘されている。更には、パタ ンの微細化に伴い、プロセス全体を高精度 制御する機構が要求されるなど、各種デバ ス製造におけるコストの問題を無視できな なってきた。

 これに対し、微細なパターンを低コスト 形成する方法として熱インプリント法が提 されている。すなわち、樹脂表面に樹脂の ラス転移温度以上に加熱した微細パターン 有する型を押し当てて、溶融した樹脂表面 型の微細パターンを転写する方法である(例 えば、特許文献1参照)。

 熱インプリントに用いられる樹脂材料と ては、ポリメタクリル酸(PMMA)に代表される( メタ)アクリル樹脂あるいはポリカーボネー 樹脂等がある。また、耐熱性と低吸水率に る寸法安定性等を兼ね備えた樹脂として、 状オレフィン系熱可塑性樹脂もある(例えば 非特許文献1参照)。

 しかしながら、従来の樹脂は、熱インプ ントによる微細加工において、樹脂表面に ーティク状物が発生し、パターン転写不良 離型不良、金型汚染等を生じるという課題 あった。

US5772905号公報 J.Mater.Chem.、2000年、10巻、2634頁

 このようなパーティクル状物発生の理由 しては、高温、高圧下でのパターン転写時 樹脂表面の酸化反応や分解・架橋反応を生 、ゲル成分を発生するためと推定される。 に、樹脂の流動性が不十分な場合、より高 、高圧力でのパターン転写となり、樹脂劣 による表面のパーティクル状物がより発生 易く、熱インプリント材料として、耐熱劣 性、流動性の向上が望まれる。

 そこで本発明は、上記の問題点を鑑み、 インプリントによる微細加工において、パ ティクル状物の発生を抑制するために、耐 劣化性に優れ、かつ流動化時の樹脂弾性率 低く微細パターン転写性の良好な熱インプ ント用樹脂、当該樹脂を用いた熱インプリ ト用樹脂溶液、当該樹脂を用いた熱インプ ント用射出成型体、当該樹脂を用いた熱イ プリント用薄膜およびその製造方法を提供 ることを目的とする。

 本発明者らは、上記目的を達成するため 鋭意検討した結果、被成型物である樹脂の 化開始温度(空気中、昇温速度5℃/minでの示 走査熱量計測定において、酸化に伴う発熱 ークの発熱開始温度)を熱インプリントの成 型温度より高くすることにより、パーティク ル状物の発生が極めて少なくなり、パターン 転写性に優れることを見出し、本発明を完成 させた。

 すなわち、本発明の熱インプリント用樹 は、熱インプリント用途に供される樹脂で って、当該樹脂の空気中、昇温速度5℃/min の示差走査熱量計測定において、酸化開始 度が、当該樹脂のガラス転移温度+35℃以上 あることを特徴とする。

 この場合、前記熱インプリント用樹脂は 状オレフィン系樹脂からなる方が良く、更 好ましくは、式(1)で示される繰返し単位を なくとも一つ含む熱インプリント用樹脂で る方が良い。

(式(1)中、Xはハロゲン原子又は炭素数1~12の炭 化水素基である。XとR21(又はR20)は互いにアル キレン基などを介して結合していても良い。 p、q、rは0、1又は2である。R1~R21はそれぞれ独 立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水 素基、及び脂環族炭化水素基である。また、 R11(又はR12)とR13(又はR14)とは炭素数1~5のアル レン基を介して結合してもよく、また、何 の基も介さずに結合してもよい。但し、R11( はR12)とR13(又はR14)とが何の基も介さずに結 した場合、結合しない残基である、R11(又は R12)はハロゲン原子又は炭素数1~12の炭化水素 であり、R13(又はR14)は水素原子、ハロゲン 子、脂肪族炭化水素基、又は脂環族炭化水 基である。)

 また、前記熱インプリント用樹脂は、窒 気流中、周波数1rad/secでの動的粘弾性率測 おいて、樹脂のガラス転移温度+35℃での複 弾性率が0.24MPa未満が好ましい。

 本発明の熱インプリント用樹脂溶液は、 記熱インプリント用樹脂および当該樹脂を 解する少なくとも1種類以上の溶剤を含むこ とを特徴とする。

 熱インプリント用途に供される薄膜を形成 るための前記熱インプリント用樹脂溶液で って、粒径0.2μm以上の異物の含有量が3000個 /cm 3 未満であることを特徴とする。

また、前記熱インプリント用樹脂溶液は、 0.8μm未満の目開きを有するフィルタで濾過さ れたものであることを特徴とする。

 本発明の熱インプリント用射出成型体は 前記熱インプリント用樹脂から製造される とを特徴とする。

 本発明の熱インプリント用薄膜は、前記 インプリント用樹脂から製造されることを 徴とする。この場合、前記熱インプリント 樹脂溶液から製造しても良い。

 また、本発明の熱インプリント用薄膜は 熱インプリントプロセスの観点上、残存揮 分が0.25%以下である方が好ましく、膜厚は40 μm以下である方が好ましい。

 本発明の熱インプリント用樹脂薄膜の製 方法は、支持基材上に、上述した本発明の インプリント用樹脂溶液を塗布した後、薄 の残存揮発分が0.25%以下となるまで乾燥さ ることを特徴とする。

 また、薄膜の膜厚が10~4000nmであり、スピ コート法により薄膜形成した場合、特に本 明の効果が顕著に発現する。

 本発明の熱インプリント用樹脂、熱イン リント用樹脂溶液、熱インプリント用射出 型体、および熱インプリント用薄膜および の製造方法は、熱インプリントによる微細 工において、樹脂劣化により発生する樹脂 面のパーティクル状物が極め少なく、かつ 好なパターン転写精度を有し、パターン転 不良、離型不良、金型汚染を大幅に低減で る。

 また、本発明の熱インプリント用樹脂溶 から薄膜を形成する際、加熱乾燥工程にお る樹脂の表面酸化が少なく、後の熱インプ ント工程でパーティクル状物の発生が極め 少ない。

本発明の樹脂および比較例に係る樹脂 示差走査熱量分析計(DSC)で測定したグラフ ある。 本発明の樹脂および比較例に係る樹脂 複素弾性率Gを示すグラフである。

 本発明の熱インプリント用樹脂は、耐酸化 化性に優れており、示差走査熱量計測定に いて、空気気流中、室温から5℃/minの昇温 度で測定したときの酸化劣化 反応 による発熱ピークの発熱開始温度(以下、酸 開始温度という)が、ガラス転移温度(tg)+35℃ 以上である。熱インプリントにおいては、被 成型物である樹脂の少なくとも表面をTg~Tg+35 の範囲で加熱してパターンを転写するため 樹脂の酸化開始温度をガラス転移温度(tg)+35 ℃以上に調製することにより、樹脂劣化によ り発生する樹脂表面のパーティクル状物を抑 えることができる。なお、酸化開始温度は、 できるだけ高い方が良く、好ましくは、ガラ ス転移温度(Tg)+50℃以上、更に好ましくは、 ラス転移温度(Tg)+65℃以上の方が良い。また 熱インプリントにおいて、樹脂流動時の弾 率が低い方がインプリント時の流動性が良 で微細パターンの転写精度に優れる。よっ 、本発明に用いられる樹脂は、窒素気流中 周波数1rad/secでの動的粘弾性率測定おいて 樹脂のガラス転移温度+35℃での複素弾性率 0.24MPa未満が好ましい。

 このような熱インプリント用樹脂として 、例えば、炭素数2以上のα―オレフィン(モ ノマー成分〔A〕)と式(2)で示される芳香族含 環状オレフィン類(モノマー成分〔B〕)との 重合体である芳香族含有環状オレフィン系 重合体を用いることができる。なお、当該 香族含有環状オレフィン系共重合体は、上 した耐酸化劣化性、低弾性率の特徴を損な ない範囲で式(3)で示される環状オレフィン (モノマー成分〔C〕)を共重合していてもよ 。

(式(2)中、X、p、q、r、及びR1~R21は、式(1)で定 したのと同じである。)

(式(3)中、p及びR1~R14は以下の様に定義される pは0、1または2である。R1~R14はそれぞれ独立 に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素 基、又は脂環族炭化水素基である。但し、R12 とR13はそれぞれ結合している炭素原子と一緒 に単環又は多環を形成していても良く、かつ 該単環又は多環が二重結合を有していてもよ い。)

 上記モノマー成分[A]としては、炭素数2~20 、好ましくは2~10のα―オレフィンであって、 例えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、1- ンテン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1―ペ テン、1-ヘキセン、1-オクテン、1―デセン、 1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン 、1-オクタデセンなどが示される。これらは 独であるいは組み合わせて使用することが きる。これらのうち、エチレンまたはプロ レンが好ましく、更にはエチレンが特に好 しい。

 式(2)で示されるモノマー成分[B](芳香族含有 環状オレフィン類)はの具体例としては、5-メ チル-5-フェニル-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン 5-エチル-5-フェニル-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2- エン、5-n-プロピル-5-フェニル-ビシクロ[2,2,1] ヘプト-2-エン、5-n-ブチル-5-フェニル-ビシク [2,2,1]ヘプト-2-エン、5,6-ジメチル-5-フェニ -ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン、5-メチル-6-エ ル-5-フェニルビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン、 5,6,6'-トリメチル-5-フェニル-ビシクロ[2,2,1]ヘ プト-2-エン、1,4,5-トリメチルビシクロ[2,2,1] プト-2-エン、5,6-ジエチル-5-フェニルビシク [2,2,1]ヘプト-2-エン、5-ブロモ-5-フェニル-ビ シクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン、5-クロロ-5-フェニ ル-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン、5-フルオロ-5 -フェニル-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン、5-メ ル-5-(tert-ブチルフェニル)-ビシクロ[2,2,1]ヘ ト-2-エン、5-メチル-5-(ブロモフェニル)-ビ クロ[2,2,1]ヘプト-2-エン、5-メチル-5-(クロロ ェニル)-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン、5-メ ル-5-(フルオロフェニル)-ビシクロ[2,2,1]ヘプ -2-エン、5-メチル-5-(α-ナフチル)-ビシクロ[2 ,2,1]ヘプト-2-エン、5-メチル-5-アントラセニ -ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン、8-メチル-8-フ ニル-テトラシクロ[4,4,0,1 2.5 ,1 7.10 ]-3-ドデセン、8-エチル-8-フェニル-テトラシ ロ[4,4,0,1 2.5 ,1 7.10 ]-3-ドデセン、8-n-プロピル-8-フェニル-テトラ シクロ[4,4,0,1 2.5 ,1 7.10 ]-3-ドデセン、8-n-ブチル-8-フェニル-テトラシ クロ[4,4,0,1 2.5 ,1 7.10 ]-3-ドデセン、8-クロロ-8-フェニル-テトラシ ロ[4,4,0,1 2.5 ,1 7.10 ]-3-ドデセン、11-メチル-11-フェニル-ヘキサシ クロ[6,6,1,1 3.6 ,1 10.13 ,0 2.7 ,0 9.14 ]-4-ヘプタデセン、1,4-メタノ-4a,9,9'-トリメチ -1,4,9a-トリヒドロフルオレン等が示される

 これらの種々の単量体は対応するシクロ ンタジエン類と芳香族含有オレフィン類を ィールス・アルダー反応させる事によって る事ができる。

 モノマー成分[A]及び式(2)のモノマー成分[B]] と共に共重合され得る式(3)で示されるモノマ ー成分[C](環状オレフィン)の具体例としては ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン、5-メチルビシ ロ[2,2,1]ヘプト-2-エン、7-メチルビシクロ[2,2 ,1]ヘプト-2-エン、5-エチルビシクロ[2,2,1]ヘプ ト-2-エン、5-プロピルビシクロ[2,2,1]ヘプト-2- エン、5-n-ブチルビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン 5-イソブチルビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン、1 ,4-ジメチルビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン、5-ブ ロモビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン、5-クロロビ シクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン、5-フルオロビシク ロ[2,2,1]ヘプト-2-エン、5,6-ジメチルビシクロ[ 2,2,1]ヘプト-2-エン、ジシクロペンタジエン、 トリシクロペンタジエン、テトラシクロ[4,4,0 ,1 2.5 ,1 7.10 ]-3-ドデセン、5,10-ジメチルテトラシクロ[4,4,0 ,1 2.5 ,1 7.10 ]-3-ドデセン、2,10-ジメチルテトラシクロ[4,4,0 ,1 2.5 ,1 7.10 ]-3-ドデセン、11,12-ジメチルテトラシクロ[4,4, 0,1 2.5 ,1 7.10 ]-3-ドデセン、2,7,9-トリメチルテトラシクロ[4 ,4,0,1 2.5 ,1 7.10 ]-3-ドデセン、9-エチル-2,7-ジメチルテトラシ ロ[4,4,0,1 2.5 ,1 7.10 ]-3-ドデセン、9-イソブチル-2,7-ジメチルテト シクロ[4,4,0,1 2.5 ,1 7.10 ]-3-ドデセン、9,11,12-トリメチルテトラシクロ [4,4,0,1 2.5 ,1 7.10 ]-3-ドデセン、9-エチル-11,12-ジメチルテトラ クロ[4,4,0,1 2.5 ,1 7.10 ]-3-ドデセン、9-イソブチル-11,12-ジメチルテ ラシクロ[4,4,0,1 2.5 ,1 7.10 ]-3-ドデセン、5,8,9,10-テトラメチルテトラシ ロ[4,4,0,1 2.5 ,1 7.10 ]-3-ドデセン、8-ヘキシルテトラシクロ[4,4,0,1 2.5 ,1 7.10 ]-3-ドデセン、8-ステアリルテトラシクロ[4,4,0 ,1 2.5 ,1 7.10 ]-3-ドデセン、8-メチル-9-エチルテトラシクロ [4,4,0,1 2.5 ,1 7.10 ]-3-ドデセン、8-シクロヘキシルテトラシクロ [4,4,0,1 2.5 ,1 7.10 ]-3-ドデセン、8-エチリデンテトラシクロ[4,4,0 ,1 2.5 ,1 7.10 ]-3-ドデセン、8-クロロテトラシクロ[4,4,0,1 2.5 ,1 7.10 ]-3-ドデセン、8-ブロモテトラシクロ[4,4,0,1 2.5 ,1 7.10 ]-3-ドデセン、8-フルオロテトラシクロ[4,4,0,1 2.5 ,1 7.10 ]-3-ドデセン、8,9-ジクロロテトラシクロ[4,4,0, 1 2.5 ,1 7.10 ]-3-ドデセン、ヘキサシクロ[6,6,1,1 3.6 ,1 10.13 ,0 2.7 ,0 9.14 ]-4-ヘプタデセン、12-メチルヘキサシクロ[6,6, 1,1 3.6 ,1 10.13 ,0 2.7 ,0 9.14 ]-4-ヘプタデセン、12-エチルヘキサシクロ[6,6, 1,1 3.6 ,1 10.13 ,0 2.7 ,0 9.14 ]-4-ヘプタデセン、12-イソブチルヘキサシク [6,6,1,1 3.6 ,1 10.13 ,0 2.7 ,0 9.14 ]-4-ヘプタデセン、1,6,10-トリメチル-12-イソブ チルヘキサシクロ[6,6,1,1 3.6 ,1 10.13 ,0 2.7 ,0 9.14 ]-4-ヘプタデセン等が示される。

 本発明に用いられる共重合体において、 重合体に含まれるのモノマー成分〔A〕、モ ノマー成分〔B〕及びモノマー成分〔C〕は1種 類だけではなく、複数の種類を混合して使用 しても良い。

 本発明に用いられる式(1)で示される芳香 含有環状オレフィン系熱可塑性樹脂の重量 均分子量(Mw)は1,000~1,000,000の範囲にあり、好 ましくは5,000~500,000の範囲である。好ましい26 0℃におけるMFR実測値としては0.1~300、更に好 しくは0.5~250の樹脂である。

 樹脂のガラス転移温度は熱インプリント より微細パターンが転写された製品の用途 依存し、式(1)で示される樹脂の温度を任意 調整して使用することが可能であるが、熱 ンプリントプロセスの観点からすると50℃~2 20℃であることが好ましい。

 該樹脂を製造するための重合方法に特に 限はなく、Ziegler-Natta触媒やsingle-site触媒を いた配位重合、更には必要に応じて共重合 を水素添加する方法等、公知の方法を用い ことができる。水素添加する方法としても 知である方法が使用でき、例えばニッケル パラジウム等金属成分を含有する触媒によ 好適に実施することができる。例えば式(1) 示される共重合体を製造するために使用さ るsingle-site触媒としては種々のメタロセン 合物が使用可能であるが、例えば特開2003-820 17に記載されているメチレン(シクロペンタジ エニル)(テトラシクロペンタジエニル)ジルコ ニウムジクロリド等が好適に使用できる。

 重合反応に用いられる助触媒としては特 制限はないが、公知であるメチルアルミノ サン類が好適に使用でき、反応に応じて適 他の有機アルミニウム化合物を共存させて 合してもよい。該重合反応は室温~200℃の範 囲で好適に実施できるが、反応性および触媒 の安定性を考慮すると40~150℃の範囲で実施す ることが望ましい。

 また重合反応に使用する有機溶剤として 特に制限はなく、例えばベンゼン、トルエ 、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族系 剤、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン メチルシクロヘキサン、オクタン等の飽和 化水素系溶剤、もしくはこれらの混合溶剤 が好適に使用できる。

 該樹脂を製造後、ラジカル反応により酸 原子、硫黄原子等のヘテロ原子を適宜導入 ることも可能である。また市販されている 種環状オレフィン系樹脂を入手しても好適 本発明の目的に供することが可能である。

 本発明に用いられる芳香族含有環状オレ ィン系樹脂は、通常の熱可塑性樹脂と同様 公知の方法で成型加工することができる。 えば、単軸押出機、ベント式押出機、2本ス クリュー押出機、円錐型2本スクリュー押出 、コニーダー、プラティフィケーター、ミ ストルーダー、2軸コニカルスクリュー押出 、遊星ねじ押出機、歯車式押出機またはス リューレス押出機等の成形機を用いて押出 形、射出成形、ブロー成形または回転成形 を行うことにより所望の形状の成型体、シ ト、フィルムを得ることができる。

 本発明の熱インプリント用途に用いられ 射出成型体の厚みは0.5~4.0mmが好ましい。ま 、シートもしくはフィルムの厚みは500μm以 であることが好ましい。

 該樹脂には必要に応じて酸化防止剤、耐 安定剤、耐候安定剤、光安定剤、帯電防止 、スリップ剤、アンチブロッキング剤、レ リング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天 油、合成油、ワックスなどを添加、配合す ことができ、その配合割合は適宜設定する とができる。添加する酸化防止剤、滑剤等 特に制限はなく、公知の化合物を好適に使 することができる。

 熱インプリント用樹脂溶液を調製するに たり、当該樹脂を溶解する溶剤であれば任 に使用することができる。例えば芳香族溶 としてはベンゼン、トルエン、キシレン、 シチレン、p-メンタン、エチルベンゼン、 エチルベンゼン等が、炭化水素系溶剤とし はシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン デカヒドロナフタレン等が、ハロゲン系溶 としてはジクロロメタン、クロロホルム、 ロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリク ロベンゼン等が、好適に使用できる。これ の溶剤は単独で使用しても良いが、適宜2種 以上の溶剤を組み合わせて使用することも 能である。当該樹脂を溶解するために適宜 温して溶解しても構わない。また添加剤の 解性改善のために、樹脂の溶解性を損なわ い範囲でアルコール類、ケトン類を少量添 しても構わない。樹脂濃度は製造する薄膜 厚みにより任意に調製することが可能であ 。

 薄膜形成の方法としてはスピンコート法 溶液キャスト法(溶液流延法)、ディッピン 等の公知の方法を好適に使用できる。また 熱インプリント可能な樹脂薄膜の要件とし 薄膜中の残存揮発分がある。膜厚が厚くな ばなるほど乾燥工程後の残存揮発分が多く 在し、熱インプリント時に樹脂薄膜上に発 現象が認められ、パターン転写精度が低下 る。したがって、薄膜中の残存揮発分は少 くとも0.25%以下、好ましくは0.15以下に制御 ることが好ましい。好適に薄膜中の残存揮 分を低減できる膜厚として、形成される薄 の膜厚は40μm以下がより好ましい。

 支持基材としてはシリコン、アルミ、銅 サファイア、ガラス、樹脂フィルム等の各 基材を任意に使用することができ、薄膜形 後に支持基材を剥離して薄膜単体として使 しても構わない。

 また、樹脂薄膜表面に膜厚に比較して大 い異物があると、その部分を型で十分に押 することができず、転写不良を生じる場合 ある。そこで、樹脂薄膜表面に異物による ーティクル状物を発生させないために、公 の方法を用いて樹脂溶液を濾過しても構わ い。例えば2μm以上の膜厚を有する薄膜を形 成するのであれば、形成したい薄膜の厚さの 2分の1以下程度の目開きを有するフィルタを いて濾過することで、パーティクル状物の 生要因となり得る樹脂溶液中の異物・不溶 を好適に除去することが可能となる。より 緻にパーティクル状物を抑制したい場合、 るいは2μm未満の膜厚を有する薄膜を形成す る場合には、0.8μm未満の目開きのフィルタで 処理することにより制御が可能となる。なお 、使用する樹脂溶液の溶剤種類により適宜フ ィルタの材質を変更することも可能である。 また電荷捕捉能を有さないフィルタも好適に 使用することが可能である。

 塗膜後の乾燥工程では通常の熱乾燥方法 好適に使用できる。なお、基板上の薄膜を 圧乾燥、加熱乾燥しても目的の薄膜を製造 ることが可能であるが、溶媒由来の発泡を 制するためには溶媒の沸点よりも低い温度 予備乾燥した後に、昇温して乾燥する方法 より好ましい。また乾燥工程では樹脂の熱 化を抑制するため、窒素雰囲気下もしくは 圧下がより好ましいが、ホットプレートの うな空気下での乾燥処理も可能である。更 は乾燥時の熱劣化を最大限に抑制するため 化防止剤等を樹脂に添加しても良い。

 また、熱インプリント時の発泡現象を抑 するため、樹脂薄膜中の残存揮発分は少な とも0.25%以下、好ましくは0.15以下に制御す ことが好ましい。

 本発明に用いられる芳香族含有環状オレ ィン系樹脂の種々成形機を用いた成型体、 ート、フィルムの作製、及び、当該樹脂溶 からの薄膜形成時の作業環境としては、通 の成形室、実験室を使用しても構わないが より好ましくは異物混入リスクを低減する めにクリーンブース、あるいはクリーンル ムで実施することが好ましい。

 インプリントを行う装置としては種々の 品が上市されており、適宜機種を選定する とができる。微細化が要求されている転写 ターンとして好ましいサイズは10μm以下、 に好ましくは1μm以下のパターンである。パ ーンの転写精度に優れ、かつ生産性の改善 れたプロセスを実現するためには、金型温 が低ければ冷却時間を短縮することができ 成形圧力が小さく保持時間が短ければ成形 間を短縮することができるインプリント条 が好ましい。

 当該インプリント製品の用途としては光 波路、導光板、回折格子等の光デバイス類 バイオチップを始めとするバイオデバイス 野、マイクロ流路、マイクロリアクター等 流体デバイス、データ保存用メディア、回 基板の用途があげられる。

 以下に実施例により本発明を説明するが 本発明はこれら実施例に限定されるもので ない。

 尚、使用した樹脂の重量平均分子量(Mw)、 数平均分子量(Mn)、および分子量分布(Mw/Mn)は ルパーミエイションクロマトグラフィー法( GPC)により、Waters製GPC装置を使用し、カラム:S hodex製K-805L/K-806L、カラム温度:40℃、溶媒:ク ロホルム、通液量:0.8mL/minの条件で測定した また、使用した樹脂のガラス転移温度Tg(℃) はセイコー電子工業株式会社製の示差走査熱 量分析計(型式EXSTAR6000、DSC6200)を用いて昇温 の吸熱ピークから得た。更に260℃におけるMF Rの実測値[M]はTECHNOL SEVEN Co., LTD.製のMELT IND EXER(型式L248-2531)を使用し、荷重2.16kgfで測定 た値を採用した。動的粘弾性率評価は、テ ー・エイ・インスツルメント・ジャパン社 の溶融粘弾性測定装置ARESを用いて、窒素気 中、周波数1rad/secでの樹脂流動時の複素弾 率Gを測定した。

 熱インプリント評価に使用した樹脂の製 方法を以下に示す。ここで、実施例1は上述 した式(1)を満たす樹脂の製造方法であり、比 較例1~2は式(1)を満たさない樹脂の製造方法で ある。

〔実施例1〕エチレンとメチルフェニルノル ルネン共重合体の製造
 エチレン雰囲気下、容量279Lの反応槽に5-メ ル-5-フェニル-ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン( チルフェニルノルボルネン)濃度が0.80mol/L、 メチルアルミノキサン(日本アルキルアルミ 式会社製、MAO20%トルエン溶液)をAl基準で25.0m mol/L、総液量が95Lとなるようにトルエン、メ ルフェニルノルボルネン、メチルアルミノ サン/トルエン溶液を入れた。

 触媒溶液として、メチレン(シクロペンタ ジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニ )ジルコニウムジクロリドの濃度が444μmol/L メチルアルミノキサンをAl基準で144mmol/L、総 量が5Lとなるようにトルエン、メチレン(シク ロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペン ジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチル アルミノキサン/トルエン溶液を添加し、調 した。

 触媒溶液を少量ずつ重合槽に供給し、エ レンを導入して圧力を0.2MPaに保持しながら 80℃で160min反応させた。反応の間、エチレ の消費量に合わせて、槽内メチルフェニル ルボルネン濃度が低下しないように、80wt%に 調製したメチルフェニルノルボルネン/トル ン溶液を供給した。触媒溶液を2.0L、エチレ を3.52Nm3、メチルフェニルノルボルネン/ト エン溶液を25.6L供給した所で反応を終了した 。

 反応終了後、放冷しながらエチレンを脱 し、系内を窒素で置換した。その後、吸着 分量を10wt%に調整したシリカ(富士シリシア 製、グレード:G-3、粒径:7μm)を1567g加えて1時 間反応させた。その反応液を濾紙(5C、300mm)と セライト(WAKO)をセットした加圧ろ過器(アド ンテック東洋株式会社、型式KST-293-20-JA)に入 れ、窒素で加圧ろ過して重合液を回収した。 その重合液を6倍量のアセトン中に少量ずつ 下して生成した重合体を析出させた。析出 せた重合体を再度トルエンに溶解させ、も 一度6倍量のアセトン中に少量ずつ滴下して 合体を再析出させた。得られた重合体を真 下、120℃で乾燥させ、乾燥後のGC測定で重 体中に未反応モノマーが残存していない事 確認した。

 得られた樹脂Aの収量は14.1kg、Mw=136,000、Mw /Mn=1.86であり、本反応における重合活性は174k g-polymer/g-Zrであった。重合体のガラス転移温 は135℃であった。

〔比較例1〕エチレンとノルボルネン共重合 の製造
 水素/エチレン比=0.002の混合ガス雰囲気下、 容量279Lのジャケット付き反応槽にビシクロ[2 ,2,1]ヘプト-2-エン(ノルボルネン)濃度が2.10mol/ L、メチルアルミノキサン(日本アルキルアル 株式会社製、MAO20%トルエン溶液)をAl基準で4 .0mmol/L、総液量が130Lとなるようにトルエン、 ノルボルネン、メチルアルミノキサン/トル ン溶液を入れた。

 触媒溶液として、メチレン(シクロペンタ ジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニ )ジルコニウムジクロリドの濃度が111μmol/L メチルアルミノキサンをAl基準で120mmol/L、総 量が5Lとなるようにトルエン、メチレン(シク ロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペン ジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチル アルミノキサン/トルエン溶液を添加し、調 した。

 触媒溶液を少量ずつ重合槽に供給し、重 槽内気相部の水素/エチレン比が0.002となる うにコントロールしながら、水素とエチレ を導入し、且つ圧力を0.2MPaに保持しながら 70℃で150min反応させた。反応の間、エチレ の消費量に合わせて、槽内ノルボルネン濃 が低下しないように、75.92wt%のノルボルネン /トルエン溶液を供給した。触媒溶液を3.6L、 チレンを4.22Nm3、ノルボルネン/トルエン溶 を40.6L供給した所で反応を終了した。

 その後の操作は、実施例1の重合体析出時 のアセトン使用量を重合液の3倍量に変更し 以外は、同様の方法で行った。

 得られた樹脂Bの収量は21.7kg、Mw=122,500、Mw /Mn=1.41であり、本反応における重合活性は603k g-polymer/g-Zrであった。重合体のガラス転移温 は135℃であった。

〔比較例2〕エチレンとフェニルノルボルネ 共重合体の製造
エチレン雰囲気下、容量800mLのオートクレー にフェニルノルボルネン濃度が2.0mol/Lで、 液量が320mLとなるようにトルエンとフェニル ノルボルネン/トルエン溶液を入れた。メチ アルミノキサン(日本アルキルアルミ株式会 製、MAO20%トルエン溶液)をAl基準で5.88mmol、 チレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチ シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロ ド1.5μmolを添加し、エチレンを導入して圧 を0.35MPaに保持しながら、80℃で11min反応させ た。

 その後の操作は、実施例1の重合体の真空 乾燥温度を100℃に変更した以外は、同様の方 法で行った。

 得られた樹脂Cの収量は36.9g、Mw=140,000、Mw/ Mn=1.81であり、本反応における重合活性は273kg -polymer/g-Zrであった。重合体のガラス転移温 は135℃であった。

 熱インプリント時のパーティクル発生要 である樹脂劣化の指標として、実施例1及び 比較例1~2樹脂の耐酸化劣化性の評価を行った 。また、微細パターン転写性の指標として、 樹脂の流動性、動的粘弾性評価を行った。

〔樹脂の耐酸化劣化性の評価〕
 実施例1及び比較例1~2の同じガラス転移温度 を持つ各環状オレフィン系樹脂の耐酸化劣化 性評価として、示差走査熱量分析計(DSC)分析 行った。DSC測定は空気中(空気供給流速50mL/m in)で温度を30℃から320℃に昇温速度5℃/minで 温させ、酸化劣化に伴う発熱開始温度(酸化 始温度)を測定した(図1参照)。表1のように ノルボルネン系樹脂では、166℃、フェニル ルボルネン系樹脂では140℃から酸化反応に る発熱ピークが現れ、耐酸化劣化性が低い それに対して、実施例1の構造のベンジル位 メチル基を持つメチルフェニルノルボルネ 系樹脂では200℃付近まで発熱ピークは無く 同じガラス転移温度を持つ他の環状オレフ ン系樹脂に比べ、より高い温度まで酸化さ にくいことが確認された。

〔樹脂の流動性評価〕
実施例1、比較例1~2で得られた樹脂の260℃に けるMFRの実測値[M]を測定した(表2)。実施例1 得られたメチルフェニルノルボルネン系樹 は比較例1のノルボルネン系樹脂と比較して 、同じガラス転移温度でありながら、260℃高 温下において高い流動性を有している。

*測定不能:260℃下における樹脂の分解、ゲル が激しく流動せず、測定不可。

 〔樹脂流動時の動的粘弾性評価〕
 実施例1、比較例1で得られた樹脂の動的粘 性測定にて、樹脂流動時の複素弾性率Gを測 した(図2参照)。表3のように、実施例1で得 れたメチルフェニルノルボルネン系樹脂は 較例1ノルボルネン系樹脂に比較して、同じ ラス転移温度でありながら、樹脂流動時の 性率が低くインプリント時の流動性、パタ ン転写精度の向上が期待できる。

 熱インプリント評価に使用した射出成型 及びフィルムの製造方法について示す。こ で、実施例2~3は上述した式(1)を満たす実施 1の樹脂Aからなる射出成型体及びフィルム あり、比較例3~6は上述した式(1)を満たさな 樹脂からなる射出成型体及びフィルムであ 。

 射出成型体及びフィルム製造に供した実 例1及び比較例1の樹脂は添加剤として酸化 止剤0.6phr、及び滑剤0.4phrを含むものを使用 た。また、市販樹脂ペレットは酸化防止剤 滑剤を含む市販品をそのまま使用した。尚 酸化防止剤の添加は、加熱時に樹脂が酸化 、樹脂の着色や樹脂分子鎖の架橋によるゲ 発生、樹脂分子鎖の切断による物性低下等 防止するためであり、滑剤の添加は、射出 型時及びインプリント時の離型性をよくす ためのものである。

〔芳香族含有環状オレフィン系樹脂成形体、 フィルムの作製〕
〔実施例2〕(射出成型体の製造)
 実施例1の樹脂A(エチレン/メチルフェニルノ ルボルネン系共重合体、MFR@260℃:56.5、Mw:136,00 0、Tg:135℃)を射出成型し、厚さ2mmの透明な射 成型体を製造した。

〔実施例3〕(フィルムの製造)
 実施例1の樹脂A(エチレン/メチルフェニルノ ルボルネン系共重合体、MFR@260℃:56.5、Mw:136,00 0、Tg:135℃)をフィルム成形機で成形し、厚さ1 00μmの透明なフィルムを製造した。

〔環状オレフィン系樹脂成形体、フィルムの 作製〕
〔比較例3〕(射出成型体の製造)
 比較例1の樹脂B(エチレン/ノルボルネン系共 重合体、MFR@260℃:41.4、Mw:86,500、Tg:135℃)を射 成型し、厚さ2mmの透明な射出成型体を製造 た。

〔比較例4〕(射出成型体の製造)
 市販環状オレフィン系開環重合体の樹脂ペ ットD(エチレン/ノルボルネン系開環重合体 水添体、MFR@260℃:7.7、Tg:138℃)、厚さ2mmの透 な射出成型体を製造した。

〔比較例5〕(フィルムの製造)
 比較例1の樹脂B(エチレン/ノルボルネン系共 重合体、MFR@260℃:12.9、Mw:122,500、Tg:135℃)をフ ルム成形機で成形し、厚さ100μmの透明なフ ルムを製造した。

〔比較例6〕(フィルムの製造)
 市販環状オレフィン系開環重合体の樹脂ペ ットD(エチレン/ノルボルネン系開環重合体 水添体、MFR@260℃:7.7、Tg:138℃)をフィルム成 機で成形し、厚さ110μmの透明なフィルムを 造した。

〔成形体及びフィルムの熱インプリント評価 〕
 実施例2~3、および比較例3~6の成型体又はフ ルムの熱インプリント評価を行った。熱イ プリントはSCIVAX社のインプリント装置(VX-200 0N-US)を使用し、各フィルムを当該樹脂のガラ ス転移温度Tg-23℃に加熱した基盤上に固定し 予め成形設定温度Tg+30℃に加熱した金型(一 750nm/ウォール幅250nm/深さ370nmのナノハニカ パターン)を使用して熱インプリントを実施 、金型のパターンが精密に転写されたもの ○、樹脂表面にパーティクル状物が発生し ターン転写精度が低いものを×として評価 た(表4)。

 比較例3~6はパーティクル状物発生により インプリント不良箇所が見られたのに対し 実施例2~3ではパーティクル状物が極めて少 く金型のパターンが精密に転写された。

 熱インプリント評価に使用した樹脂溶液 び樹脂薄膜の製造方法について示す。ここ 、実施例4~6は上述した式(1)を満たす実施例1 の樹脂Aからなる樹脂溶液であり、比較例8~10 式(1)を満たさない樹脂からなる樹脂溶液で る。また、比較例7は実施例4のフィルタ濾 を省略した樹脂溶液である。

〔芳香族含有環状オレフィン系樹脂溶液調整 〕
〔実施例4〕
 乾燥、窒素置換したフラスコ容器内で実施 1の樹脂A粉末(エチレン/メチルフェニルノル ボルネン系共重合体、MFR@260℃:56.5、Mw:136,000 Tg:135℃)4重量部、酸化防止剤(チバスペシャ ティケミカルズ社製IRGANOX1010)0.004重量部をデ カヒドロナフタレン96重量部に室温下、攪拌 解した後、孔径0.04μmのナイロン製フィルタ (キュノ社製 PhotoShield N)で濾過し熱インプリ ント用芳香族含有環状オレフィン系樹脂溶液 を調整した。

〔実施例5〕
 実施例4の酸化防止剤(チバスペシャルティ ミカルズ社製IRGANOX1010)配合量を0重量部に変 した以外は同樹脂、同様の方法で熱インプ ント用芳香族含有環状オレフィン系樹脂溶 を調整した。

〔実施例6〕
 実施例1の樹脂A粉末、酸化防止剤、溶剤配 量を樹脂A粉末 3重量部、酸化防止剤0.003重 部デカヒドロナフタレン97重量部に変更した 以外は同様の方法で熱インプリント用芳香族 含有環状オレフィン系樹脂溶液を調整した。

〔比較例7〕
 実施例4の孔径0.04μmのナイロン製フィルタ( ュノ社製 PhotoShield N)濾過を省略した以外 同樹脂、同様の方法で熱インプリント用芳 族含有環状オレフィン系樹脂溶液を調整し 。

〔環状オレフィン系樹脂溶液調整〕
〔比較例8〕
 乾燥、窒素置換したフラスコ容器内で比較 1の樹脂B粉末(エチレン/ノルボルネン系共重 合体、MFR@260℃:12.9、Mw:122,500、Tg:135℃)3.5重量 、酸化防止剤(チバスペシャルティケミカル ズ社製IRGANOX1010)0.0035重量部をデカヒドロナフ タレン96.5重量部に室温下、攪拌溶解した後 孔径0.04μmのナイロン製フィルタ(キュノ社製  PhotoShield N)で濾過し熱インプリント用オレ ィン系樹脂溶液を調整した。

〔比較例9〕
 比較例8の酸化防止剤(チバスペシャルティ ミカルズ社製IRGANOX1010)配合量を0重量部に変 した以外は同樹脂、同様の方法で熱インプ ント用環状オレフィン系樹脂溶液を調整し 。

〔比較例10〕
 乾燥、窒素置換したフラスコ容器内で市販 状オレフィン系樹脂ペレットE(エチレン/ノ ボルネン系共重合体、MFR@260℃:13.0、Tg:138℃) 3.5重量部をデカヒドロナフタレン96.5重量部 室温下、攪拌溶解した後、孔径0.2μmのナイ ン製フィルタ(キュノ社製 PhotoShield N)で濾 し、濾過液を更に孔径0.04μmのナイロン製フ ルタ(キュノ社製 PhotoShield N)で濾過して熱 ンプリント用環状オレフィン系樹脂溶液を 整した。

〔樹脂溶液中のパーティクル評価〕
 実施例4、比較例7で調整した熱インプリン 用樹脂溶液について、溶液中に含まれる粒 径分布を液中パーティクルカウンター(リオ 社製 KS-40B)にて測定し、溶液1cm 3 当たりの0.2μm以上の粒子個数をに示した(表5)

〔樹脂薄膜の作製および薄膜上のパーティク ル評価〕
 4インチシリコンウェハー上に実施例4~6の樹 脂溶液をスピンコーター(イーエッチシー社  SC-300)を用いスピンコート条件400rpm×5sec+4000 rpm×20secで塗布後、加熱乾燥により溶剤を除 し熱インプリント用芳香族含有環状オレフ ン系樹脂薄膜を作製した(実施例7~10)。比較 して、比較例7~10の樹脂溶液を用い同様の方 で樹脂薄膜を作製した(比較例11~15)。また、 実施例4記載の樹脂溶液を使用して溶液キャ ト法によりガラス基板上に熱インプリント 芳香族含有環状オレフィン系樹脂薄膜を作 した(実施例11)。

 加熱乾燥方法は、以下の3種類の方法で行 った。

 加熱乾燥1(真空乾燥):  窒素気流下、100 で10min予備乾燥後、真空加熱乾燥機内で室温 下、1torr以下まで減圧し、200℃に昇温後、減 下で20min保持した。乾燥機内を1torr以下に真 空保持した状態で室温まで放冷後、窒素にて 脱圧し樹脂薄膜コートウェハーを取り出した 。

 加熱乾燥2(熱風循環乾燥): 窒素気流下の 風循環式乾燥機内にて100℃で10min予備乾燥 、200℃で30min本乾燥を行い、樹脂のガラス転 移温度+10℃で30minのアニール加熱したのち、 脂薄膜コートウェハーを取り出した。

 加熱乾燥3(ホットプレート乾燥): 大気中 ホットプレート上にて100℃で10min予備乾燥 、200℃で30min本乾燥を行い、樹脂のガラス転 移温度+10℃で30minのアニール加熱したのち、 脂薄膜コートウェハーを取り出した。

 なお、膜厚測定はファイブラボ社製自動 リプソメーター(MARY-102FM)を用いて測定した また、薄膜形成後の樹脂表面観察はキーエ ス社製マイクロスコープ(VH-X450)を用いて観 し、パーティクル状物が認めらないものを 、著しく認められたものを×として評価し (表6)。

 比較例11の樹脂薄膜では、薄膜形成後の 脂表面にパーティクル状物が見られた。

〔樹脂薄膜の熱劣化評価〕
 4インチシリコンウェハー上、もしくはガラ ス基板上に形成した加熱乾燥後の樹脂薄膜の 熱劣化評価として、薄膜上に3μLの純水を着 し、接触角を測定した。接触角測定は協和 面科学株式会社製接触角測定装置(FAMAS)を使 した。更に、樹脂薄膜の熱劣化評価として シリコンウェハー上、もしくはガラス基板 に形成した樹脂薄膜を室温下、トルエン洗 により再溶解し、トルエン不溶解分が認め ないものを○、認められたものを×として 価した(表7)。

*測定不能:薄膜表面のパーティクル状物より 接触角測定値のバラツキが大きく定量評価 能なため。

 比較例12~15の環状オレフィン樹脂薄膜で 、ホットプレートを用いた空気下における 熱乾燥3において、真空下又は窒素気流下の 熱乾燥1、2に比較し樹脂の表面酸化による 触角の低下、トルエン不溶解分の発生が認 られる。

 一方、実施例7~11の芳香族含有環状オレフ ィン樹脂薄膜は、ホットプレートを用いた空 気下における加熱乾燥3と、真空下又は窒素 流下の加熱乾燥1、2との接触角の差異が無く 、トルエン不溶解分も認めらない。

〔樹脂薄膜の熱インプリント評価〕
 実施例11記載の薄膜製造条件において、乾 時間を短くした条件で製造した薄膜を比較 16とした(200℃で10minの乾燥)。実施例7~11、お び比較例12~16の薄膜を使用して熱インプリ ト評価を実施した。熱インプリント評価はSC IVAX社のインプリント装置(VX-2000N-US)を使用し 各薄膜を当該樹脂のガラス転移温度Tg-20℃ 加熱した基板上に固定し、予め成型設定温 Tg+30℃に加熱した金型(一辺750nm/ウォール幅25 0nm/深さ370nmのナノハニカムパターン)を使用 て熱インプリントを実施し、金型のパター が精密に転写されたものを○、転写精度が いものを×として評価した(表8)。尚、樹脂薄 膜中の残存揮発分はトルエンで薄膜を再溶解 してガスクロマトグラフィーにて分析、定量 した。

 表中、「<10」は10ppm未満を意味する。

 比較例12~15はパーティクル状物発生によ 熱インプリント不良箇所が認められた。ま 、比較例16では熱インプリント時に薄膜が発 泡してパターンの転写は全く達成できなかっ た。上記、結果より熱インプリントを好適に 実施するためには薄膜中の残存揮発分が少な くとも0.25%以下、好ましくは0.15%以下である 要があることが示唆された。

 一方、実施例7~11ではパーティクル状物が 極めて少なく金型のパターンが精密に転写さ れ、各加熱乾燥方法に対応可能な熱劣化の少 ない熱インプリント用芳香族含有環状オレフ ィン系樹脂薄膜を形成することができた。

 以上説明した通り、本発明により、熱イ プリント用途に適した芳香族含有環状オレ ィン系樹脂およびその樹脂溶液を提供する とができた。