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Patent Searching and Data


Title:
ROLLER BEARING RETAINER, NEEDLE ROLLER BEARING, AND METHOD OF PRODUCING ROLLER BEARING RETAINER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/084362
Kind Code:
A1
Abstract:
A roller bearing retainer (33) has columns (15) and a pair of circular annular rings (14). The columns (15) each includes a coulmn center portion (16), a pair of column ends (17), and a pair of column slopes (18) located between the column center portion (16) and the pair of column ends (17). The pair of circular annular rings (14) is connected to one and the other longitudinal ends of each column (15) and has flanges (19) extending radially inward from the places to which the columns (15) are connected. The column center portions (16), the pair of column ends (17), and the pair of column slopes (18) are formed by expanding the diameter of axially opposite ends of a circular tube material, and the flanges (19) are formed by axially compressing the tubular material. The wall thickness of the column center portions (16), the pair of column ends (17), the pair of column slopes (18), the flanges (19), and the pair of rings (14) is set to be less than the wall thickness of boundary portions adjacent to these portions.

Inventors:
OISHI SHINJI (JP)
ABE KATSUFUMI (JP)
YOSHIMURA YUGO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/071863
Publication Date:
July 09, 2009
Filing Date:
December 02, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NTN TOYO BEARING CO LTD (JP)
OISHI SHINJI (JP)
ABE KATSUFUMI (JP)
YOSHIMURA YUGO (JP)
International Classes:
F16C33/54; F16C19/46
Foreign References:
JP2000257638A2000-09-19
JP2000205273A2000-07-25
JP2001314921A2001-11-13
JP2005233317A2005-09-02
JP2006118604A2006-05-11
JP2002181052A2002-06-26
JPH07151153A1995-06-13
JP2007016816A2007-01-25
JP2007263220A2007-10-11
JP2000337388A2000-12-05
JP2000257638A2000-09-19
Attorney, Agent or Firm:
ITOH, Hidehiko et al. (Oriental Sakaisuji Bldg. 21-19, Shimanouchi 1-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 82, JP)
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Claims:
 軸方向中央部領域で相対的に径方向内側に位置する柱中央部、軸方向端部領域で相対的に径方向外側に位置する一対の柱端部、および前記柱中央部と前記一対の柱端部それぞれとの間に位置する一対の柱傾斜部を含む複数の柱部と、
 前記複数の柱部の長手方向一方側および他方側端部と接続し、前記柱部との接続位置から径方向内側に延びる鍔部を有する円環形状の一対のリング部とを備えるころ軸受用保持器において、
 前記柱中央部、前記一対の柱端部、および前記一対の柱傾斜部を、直径が前記柱中央部と実質的に等しい円筒部材の軸方向両端部を拡径させて形成し、
 前記円筒部材を軸方向に圧縮して前記鍔部を形成すると共に、前記柱中央部、前記一対の柱端部、前記一対の柱傾斜部、前記鍔部、および前記一対のリング部の各部の肉厚より、隣接する各部の境界部分の肉厚を大きくしたことを特徴とする、ころ軸受用保持器。
 前記鍔部は、前記円筒部材の軸方向両端部を径方向内側に所定の角度折り曲げ、さらに軸方向に垂直な方向に折り曲げて形成する、請求項1に記載のころ軸受用保持器。
 前記保持器は、打ち抜き加工によって前記円筒部材の円周面に形成される複数のポケットと、
 しごき加工によって前記柱部の前記ポケットに対面する壁面に形成されるころ止め部とを有する、請求項1に記載のころ軸受用保持器。
 前記柱中央部、前記一対の柱端部、前記一対の柱傾斜部、前記鍔部、および前記一対のリング部の各部の肉厚は、隣接する各部の境界部分の曲率半径より大きい、請求項1に記載のころ軸受用保持器。
 複数の針状ころと、
 隣接する前記柱部の間に前記ころを収容するポケットが形成されている請求項1に記載のころ軸受用保持器とを備える、針状ころ軸受。
 軸方向中央部領域で相対的に径方向内側に位置する柱中央部、軸方向端部領域で相対的に径方向外側に位置する一対の柱端部、および前記柱中央部と前記一対の柱端部それぞれとの間に位置する一対の柱傾斜部を含む複数の柱部と、
 前記複数の柱部の長手方向一方側および他方側端部と接続し、前記柱部との接続位置から径方向内側に延びる鍔部を有する円環形状の一対のリング部とを備えるころ軸受用保持器の製造方法であって、
 前記柱中央部、前記一対の柱端部、および前記一対の柱傾斜部を、直径が前記柱中央部と実質的に等しい円筒部材の軸方向両端部を拡径させて形成する工程と、
 前記円筒部材を軸方向に圧縮して前記鍔部を形成すると共に、前記柱中央部、前記一対の柱端部、前記一対の柱傾斜部、前記鍔部、および前記一対のリング部の各部の肉厚より、隣接する各部の境界部分の肉厚を大きくする工程とを含む、ころ軸受用保持器の製造方法。
Description:
ころ軸受用保持器、針状ころ軸 、およびころ軸受用保持器の製造方法

この発明は、プレス加工によって製造され るころ軸受用保持器、ころ軸受用保持器を備 える針状ころ軸受、およびころ軸受用保持器 の製造方法に関するものである。

 自動車用トランスミッションのアイドラ 軸受、およびオートバイ用エンジンのコン ッド大端用軸受等には、ころと保持器とで 成されるケージ&ローラタイプの針状こ 軸受が採用されることが多い。このような 受が、例えば、特開2000-257638号公報に記載さ れている。

 同公報には、管状素材をバルジ加工によ 断面M字型の環状部材に成形し、環状部材に ころ保持用の窓を形成することにより、軽量 で負荷容量の大きいころ軸受用保持器を得る ことができると記載されている。

 上記公報に記載されている方法でころ軸 用保持器を形成した場合、屈曲部分、すな ち柱中央部と柱傾斜部との境界部分、柱傾 部と柱端部との境界部分、および柱端部と 状側部との境界部分の肉厚が、管状素材の 厚と比較して薄くなってしまう。軸受回転 に保持器に作用する応力は屈曲部分に集中 るので、屈曲部分の薄肉化によってころ軸 用保持器の破損の危険性が増大する。

 この発明の目的は、屈曲部分の強度を高 たころ軸受用保持器、このようなころ軸受 保持器を備えた針状ころ軸受、およびこの うなころ軸受用保持器の製造方法を提供す ことである。

 この発明に係るころ軸受用保持器は、軸 向中央部領域で相対的に径方向内側に位置 る柱中央部、軸方向端部領域で相対的に径 向外側に位置する一対の柱端部、および柱 央部と一対の柱端部それぞれとの間に位置 る一対の柱傾斜部を含む複数の柱部と、複 の柱部の長手方向一方側および他方側端部 接続し、柱部との接続位置から径方向内側 延びる鍔部を有する円環形状の一対のリン 部とを備える。そして、柱中央部、一対の 端部、および一対の柱傾斜部を、直径が柱 央部と実質的に等しい円筒部材の軸方向両 部を拡径させて形成し、円筒部材を軸方向 圧縮して鍔部を形成すると共に、柱中央部 一対の柱端部、一対の柱傾斜部、鍔部、お び一対のリング部の各部の肉厚より、隣接 る各部の境界部分の肉厚を大きくしたこと 特徴とする。

 こうすることにより、境界部分の強度が 対的に向上する。その結果、応力集中によ 保持器の破損の危険性を低減することがで る。また、鍔部を形成すると共に、境界部 を肉厚を大きくすることができるため、保 器の加工工程を簡素化することができる。 の結果、安価な保持器を得ることができる なお、本明細書中「肉厚」とは、柱中央部 柱端部、柱傾斜部、およびリング部におい は、内径面と外径面との間の厚み寸法を指 ものとし、鍔部においては、軸方向の厚み 法を指すものとする。また、「隣接する各 の境界部分」とは、異なる方向に延びる隣 する各部の境界部分を指すものとする。す わち、柱中央部と一対の柱傾斜部との境界 分、一対の柱端部と一対の柱傾斜部との境 部分、およびリング部と鍔部との境界部分 指すものとする。

 一実施形態として、鍔部は、円筒部材の 方向両端部を径方向内側に所定の角度折り げ、さらに軸方向に垂直な方向に折り曲げ 形成する。

 好ましくは、保持器は、打ち抜き加工に って円筒部材の円周面に形成される複数の ケットと、しごき加工によって柱部のポケ トに対面する壁面に形成されるころ止め部 を有する。こうすることにより、ころが保 器から脱落するのを適切に防止することが きる。

 好ましくは、柱中央部、一対の柱端部、 対の柱傾斜部、鍔部、および一対のリング の各部の肉厚は、隣接する各部の境界部分 曲率半径より大きい。こうすることにより 周辺部材と接触する部分の表面積を増加す ことができる。その結果、接触面圧を低減 て、摩耗や焼付きを防止することができる

 この発明の他の局面においては、針状こ 軸受は、複数の針状ころと、隣接する柱部 間にころを収容するポケットが形成されて る上記のいずれかに記載のころ軸受用保持 とを備える。上記構成のころ軸受用保持器 採用することにより、信頼性の高い針状こ 軸受を得ることができる。

 この発明のさらに他の局面においては、 ろ軸受用保持器の製造方法は、軸方向中央 領域で相対的に径方向内側に位置する柱中 部、軸方向端部領域で相対的に径方向外側 位置する一対の柱端部、および柱中央部と 対の柱端部それぞれとの間に位置する一対 柱傾斜部を含む複数の柱部と、複数の柱部 長手方向一方側および他方側端部と接続し 柱部との接続位置から径方向内側に延びる 部を有する円環形状の一対のリング部とを えるころ軸受用保持器の製造方法である。 ろ軸受用保持器の製造方法は、柱中央部、 対の柱端部、および一対の柱傾斜部を、直 が柱中央部と実質的に等しい円筒部材の軸 向両端部を拡径させて形成する工程と、円 部材を軸方向に圧縮して鍔部を形成すると に、柱中央部、一対の柱端部、一対の柱傾 部、鍔部、および一対のリング部の各部の 厚より、隣接する各部の境界部分の肉厚を きくする工程とを含む。

 こうすることにより、境界部分の強度が 対的に向上した保持器を製造することがで る。その結果、応力集中による保持器の破 の危険性を低減することができる。また、 部を形成すると共に、境界部分の肉厚を大 くすることができるため、保持器の加工工 を簡素化することができる。その結果、安 に保持器を製造することができる。

 すなわち、この発明に係るころ軸受用保 器によれば、境界部分の肉厚を他の部分よ 厚くすることにより、高強度のころ軸受用 持器を得ることができる。また、鍔部を形 すると共に、境界部分の肉厚を大きくする とができるため、保持器の加工工程を簡素 することができる。その結果、安価な保持 を得ることができる。

 また、この発明に係る針状ころ軸受は、 記したころ軸受用保持器を採用することに り、信頼性を高めることができる。

 また、この発明に係る保持器の製造方法 、境界部分の強度が相対的に向上した保持 を製造することができる。その結果、応力 中による保持器の破損の危険性を低減する とができる。また、鍔部を形成すると共に 境界部分の肉厚を大きくすることができる め、保持器の加工工程を簡素化することが きる。その結果、安価に保持器を製造する とができる。

この発明の一実施形態に係るころ軸受 保持器を示す斜視図である。 図1のころ軸受用保持器を採用した針状 ころ軸受を示す斜視図である。 図1のころ軸受用保持器のポケットの構 造を示す斜視図である。 図3の矢印IVから見た矢視図である。 図1に示すころ軸受用保持器の変形例で あって、図4に対応する図である。 図1に示すころ軸受用保持器の主な製造 工程を示すフロー図である。 深絞り工程を示す図である。 打ち抜き加工工程を示す図である。 バーリング加工工程を示す図である。 トリミング加工工程を示す図である。 拡開プレス工程の加工前の状態を示す 図である。 拡開プレス用外型を軸方向から見た図 である。 拡開プレス工程の加工途中の状態を示 す図である。 拡開プレス工程の加工後の状態を示す 図である。 前処理工程を示す図である。 ネッキング用内型を軸方向から見た図 である。 後処理工程を示す図である。

 図1~図4を参照して、この発明の一実施形 に係る針状ころ軸受31、およびころ軸受用 持器33(以下、単に「保持器33」という)を説 する。なお、図1は保持器33の斜視図、図2は 状ころ軸受31の斜視図、図3は保持器33の柱 15の形状を示す斜視図、図4は図3の矢印IVの 向から見た矢視図である。

 まず、図2を参照して、針状ころ軸受31は 複数の針状ころ12と、複数の針状ころ12を保 持する保持器33とを備える。次に、図1を参照 して、保持器33は、円環形状の一対のリング 14と、複数の柱部15とを備える。一対のリン グ部14は、複数の柱部15の長手方向一方側お び他方側端部と接続し、柱部15との接続位置 から径方向内側に延びる鍔部19を有する。ま 、隣接する柱部15の間には、針状ころ12を収 容するポケット20が形成されている。

 なお、本明細書中「円環形状のリング部 とは、円周方向に連続する一体型のリング のみを指すものとする。すなわち、両端部 溶接等によって接合したリング部は含まな ものとして理解すべきである。

 柱部15は、その軸方向中央部領域で相対 に径方向内側に位置する柱中央部16と、軸方 向端部領域で相対的に径方向外側に位置する 一対の柱端部17と、柱中央部16および一対の 端部17それぞれの間に位置する一対の柱傾斜 部18とを含む。

 次に、図3および図4を参照して、ポケッ 20に対面する柱部15の壁面には、針状ころ12 脱落を防止する第1および第2のころ止め部16a ,17aと、針状ころ12の回転を案内する案内面16b ,17b,18bと、非接触部16c,17cと、油溝16d,17dとが けられている。

 第1のころ止め部16aは、柱中央部16の2箇所 に設けられている。より具体的には、ポケッ ト20に対面する柱中央部16の壁面の径方向内 に偏在している。そして、針状ころ12の径方 向内側への脱落を防止する。

 第2のころ止め部17aは、一対の柱端部17そ ぞれに設けられている。より具体的には、 ケット20に対面する柱端部17の壁面の径方向 外側に偏在している。そして、針状ころ12の 方向外側への脱落を防止する。

 案内面16bは、柱中央部16の第1のころ止め 16aと軸方向に隣接する領域に設けられてい 。案内面17bは、柱端部17の第2のころ止め部1 7aと軸方向に隣接する領域に設けられている 案内面18bは、柱傾斜部18の全域に設けられ いる。また、案内面16b,17b,18bは、同一の平面 を構成している。

 また、第1のころ止め部16aの径方向外側の 領域、および第2のころ止め部17aの径方向内 の領域には、それぞれ案内面16b,17bより後退 て、針状ころ12と接触しない非接触部16c,17c 設けられている。この領域は、潤滑油を保 する油溜まりとして機能する。さらに、第1 のころ止め部16aおよび第2のころ止め部17aの 方向両側には、径方向に延びる油溝16d,17dが けられている。これにより、保持器33の径 向の通油性が向上する。

 上記構成の柱部15において、柱中央部16、柱 端部17、柱傾斜部18、リング部14、および鍔部 19(以下、これらを総称して「直線部分」とい う)の肉厚t 1 は実質的に等しく設定されている。一方、柱 中央部16と柱傾斜部18との境界部分、柱端部17 と柱傾斜部18との境界部分、およびリング部1 4と鍔部19との境界部分(以下、これらを総称 て「境界部分」という)の肉厚t 2 は直線部分の肉厚t 1 より厚くなっている(t 1 <t 2 )。これにより、境界部分の強度が相対的に 上する。その結果、軸受回転時の応力が境 部分に集中しても保持器33の破損を有効に防 止することができる。

 また、直線部分の肉厚t 1 と境界部分の曲率半径rとは、r<t 1 の関係を満たす。境界部分の曲率半径rを小 くすれば、境界部分に隣接する直線部分の 方向長さを長く、すなわち、直線部分の表 積を大きくすることができる。その結果、 受回転時の接触面圧を低減することができ 。

 具体的には、保持器33を外径側案内(ハウ ング案内)とする場合、柱端部17の外径面と ウジング(図示省略)とが接触する。そこで 少なくとも柱端部17と柱傾斜部18との間の境 部分、およびリング部14と鍔部19との間の境 界部分の曲率半径rを上記の範囲内とすれば 柱端部17の外径面とハウジングとの間の接触 面圧を低減することができる。

 また、リング部14および柱端部17の外径面 の表面粗さRaは、0.05μm以上0.3μm以下に設定す る。これにより、リング部14および柱端部17 外径面とハウジングとの接触による摩耗を 止することができる。なお、「表面粗さRa」 とは、算術平均粗さのことである。

 一方、保持器33を内径側案内(回転軸案内) とする場合、柱中央部16の内径面と回転軸(図 示省略)とが接触する。そこで、少なくとも 中央部16と柱傾斜部18との間の境界部分の曲 半径rを上記の範囲内とすれば、柱中央部16 内径面と回転軸との間の接触面圧を低減す ことができる。また、この場合には、柱中 部16の内径面の表面粗さRaを、0.05μm以上0.3μ m以下に設定すればよい。

 なお、境界部分は、凸側(曲げ加工時に引っ 張り応力が作用する側)と、凹側(曲げ加工時 圧縮応力が作用する側)とにそれぞれR部分 形成される。このとき、凸側の曲率半径は 常に凹側の曲率半径より大きい。そこで、 明細書中「境界部分の曲率半径r」とは、凸 の曲率半径を指すものとする。また、「境 部分の肉厚t 2 」とは、凸側の中央部と凹側の中央部とを結 ぶ線分の長さを指すものとする。

 また、柱中央部16の外径面は、柱端部17の 内径面よりも径方向外側に位置している。そ して、針状ころ12のピッチ円12aは、柱中央部1 6の外径面より径方向内側であって、かつ柱 部17の内径面より径方向外側に位置している 。これにより、針状ころ12は、案内面16b,17b,18 bそれぞれに接触する。このように、針状こ 12と案内面16b,17b,18bとの接触面積を増加させ ことにより、針状ころ12のスキューを有効 防止することができる。

 ただし、柱中央部16と柱端部17との位置関 係は上記の場合に限られない。図5を参照し 、保持器33の変形例を説明する。なお、図5 保持器33の変形例を示す図であって、図4に 応する図である。なお、各構成要素の形状 機能は共通するので、同一の構成要素には 4と同一の参照番号を付し、説明は省略する

 図5を参照して、柱中央部16の外径面は、 端部17の内径面よりも径方向内側に位置し いる。そして、針状ころ12のピッチ円12aは、 柱中央部16の外径面より径方向外側であって かつ柱端部17の内径面より径方向内側に位 している。この場合、針状ころ12は、柱傾斜 部18の案内面18bでのみ案内されることになる 上記構成とすれば、第1のころ止め部16aと第 2のころ止め部17aとが径方向に離れて配置さ るので、針状ころ12の脱落を適切に防止する ことができる。

 次に、図6~図17を参照して、保持器33の製 方法を説明する。なお、図6は保持器33の主 製造工程を示すフロー図、図7~図10は第1の 程の詳細を示す図、図11~図14は第2の工程の 細を示す図、図15~図17は第3の工程の詳細を す図である。

 まず、保持器33の出発材料としては、炭 含有量が0.15wt%以上1.1wt%以下の鋼板(炭素鋼) 使用する。具体的には、炭素含有量が0.15wt% 上0.5wt%以下のSCM415やS50C等、または、炭素含 有量が0.5wt%以上1.1wt%以下のSAE1070やSK5等が挙 られる。

 なお、炭素含有量が0.15wt%未満の炭素鋼は 、焼入処理によって浸炭硬化層が形成されに くく、保持器33に必要な硬度を得るためには 浸炭窒化処理を行う必要がある。浸炭窒化 理は、後述する各焼入処理と比較して設備 用が高額になるので、結果として、針状こ 軸受31の製造コストが上昇する。また、炭 含有量が0.15wt%未満の炭素鋼では浸炭窒化処 によっても十分な浸炭硬化層が得られない 合があり、表面起点型の剥離が早期に発生 る恐れがある。一方、炭素含有量が1.1wt%を える炭素鋼は加工性が著しく低下する。

 図6に示す第1の工程では、上記した出発 料としての鋼板から円筒部材22を得る(S11)。 体的には、図7を参照して、深絞り加工によ って鋼板からカップ状部材21を得る。このと 、カップ状部材21の軸方向一方側端部(図7の 上側)には底壁21aが、軸方向他方側端部(図7の 下側)には外向きフランジ部21bが形成される また、このとき、しごき加工によって、カ プ状部材21の外径面または内径面の表面粗さ Raを、0.05μm以上0.3μm以下にする。

 次に、図8を参照して、打ち抜き加工によ ってカップ状部材21の底壁21aを除去する。た し、打ち抜き加工によっては底壁21aを完全 除去することはできず、カップ状部材21の 方向一方側端部には内向きフランジ部21cが 成される。

 次に、図9を参照して、バーリング加工に よって内向きフランジ部21cを軸方向に立ち上 げる。さらに図10を参照して、トリミング加 によってカップ状部材21の軸方向他方側端 を切断することによって外向きフランジ部21 bを除去する。

 これにより、円筒部材22を得ることがで る。上記の工程で得られた円筒部材22の外径 寸法は、柱中央部16の外径寸法に一致する。 た、上記の工程で得られた円筒部材22の肉 をtとする。

 次に、図6に示す第2の工程では、拡開プ スによって柱中央部16、一対の柱端部17、お び一対の柱傾斜部18を形成する(S12)。拡開プ レスは、円筒部材22の外径面を拘束する拡開 レス用外型23(以下、単に「外型23」という) 、円筒部材22の内径面を拘束する一対の拡 プレス用内型25,26(以下、単に「内型25,26」と いう)とを使用して円筒部材22の軸方向両端部 を拡径させる。

 図11~図14を参照して、外型23は、内部に円 筒部材22を受け入れる円筒空間23aを有する。 の円筒空間23aは、柱中央部16の外径寸法に 致する小径部23bと、柱端部17の外径寸法に一 致する大径部23cと、小径部23bおよび大径部23c の間に柱傾斜部18の傾斜角度に一致する傾斜 23dとで構成されている。

 第1の内型25は、円筒部材22の軸方向一方 端部(図11の上側)から挿入される円柱形状の 材である。第1の内型25は、柱中央部16の内 寸法に一致する小径部25aと、柱端部17の内径 寸法に一致する大径部25bと、小径部25aおよび 大径部25bの間に柱傾斜部18の傾斜角度に一致 る傾斜部25cとで構成される。第2の内型26も 一の構成であって、円筒部材22の軸方向他 方端部(図11の下側)から挿入される。

 外型23は、例えば、90°の間隔で放射状に 割された第1~第4の分割外型24a,24b,24c,24dによ て構成されている。この第1~第4の分割外型2 4a~24dは、それぞれ移動治具27によって円筒部 22の径方向に移動可能である。また、第1お び第2の内型25,26は、それぞれ円筒部材22の 方向に移動可能である。

 図11を参照して、第1~第4の分割外型24a~24d 径方向に後退し、第1および第2の内型25,26が 軸方向に後退すると、円筒部材22を円筒空間2 3aから出し入れ可能な状態となる。ここで「 退」とは、円筒部材22から遠ざかる方向に 動することを指すものとする。

 次に、図13を参照して、第1~第4の分割外 24a~24dが径方向に前進すると、小径部23bで円 部材22の外径面を拘束する。さらに、図14を 参照して、第1および第2の内型25,26が軸方向 前進すると、大径部25b,26bおよび傾斜部25c,26c によって円筒部材22の軸方向両端部が径方向 側に押し広げられる。ここで「前進」とは 円筒部材22に近づく方向に移動することを すものとする。

 これにより、柱中央部16、一対の柱端部17、 および一対の柱傾斜部18がそれぞれ形成され 。なお、拡開プレスによって円筒部材22が き伸ばされるので、第2の工程終了後の柱中 部16、一対の柱端部17、および一対の柱傾斜 部18の肉厚t 1 は、円筒部材22の肉厚tより薄くなっている(t 1 <t)。

 次に、図6に示す第3の工程では、鍔部19を 形成すると共に、増肉加工によって境界部分 の肉厚を大きくする(ネッキング加工、S13)。 体的には、鍔部19は、前処理工程と後処理 程の2段階の工程を経て形成される。そして 増肉加工は後処理工程と同時に行われる。

 図15を参照して、前処理工程は、鍔部19と なる円筒部材22の軸方向両端部を柱端部17に して所定の角度(この実施形態では45°)内側 折り曲げる工程であって、ネッキング用外 43(以下、単に「外型43」という)と、ネッキ グ用内型45(以下、単に「内型45」という)と 一対のネッキング治具48,49とによって行われ る。

 外型43は、拡開プレス用外型23と同様の構 成であって、円筒部材22の外径面を拘束する ただし、軸方向長さが拡開プレス用外型23 り短く、鍔部19となる円筒部材22の軸方向両 部を拘束しないようになっている。

 内型45は、外径面の軸方向中央部領域に 中央部16の内径寸法に一致する小径部45aと、 軸方向端部領域に柱端部17の内径寸法に一致 る大径部45bと、小径部45aおよび大径部45bの に柱傾斜部18に沿う傾斜部45cと、軸方向両 の角部に前処理加工による鍔部19の折り曲げ 角度(45°)を規定するネッキング部45dとを含む 円筒形状の部材である。

 図16を参照して、この内型45は、例えば、 45°の角度で放射状に分割された第1~第8の分 内型46a,46b,46c,46d,46e,46f,46g,46hとによって構成 れる。第1~第8の分割内型46a~46hは、それぞれ 径方向に移動可能な状態となっている。

 具体的には、第1~第8の分割内型46a~46hを径 方向に後退させると、第1~第8の分割内型46a~46 hを円筒部材22から出し入れ可能な状態となる 。一方、第1~第8の分割内型46a~46hを径方向に 進させると、円筒部材22の内径面を拘束する ことができる(図15の状態)。なお、分割内型46 a~46hは、挿入治具47を挿入することによって 進させることができる。

 ネッキング治具48は、先端に前処理工程 おける鍔部19の傾斜角度(45°)に沿うネッキン グ部48aを有し、円筒部材22の軸方向に移動可 な状態となっている。ネッキング治具49も 様の構成である。そして、一対のネッキン 治具48,49を軸方向に後退させると、円筒部材 22を円筒空間から出し入れ可能な状態となる 一方、一対のネッキング治具48,49を軸方向 前進させると、円筒部材22の軸方向両端部( 15中の破線で示す部分)を所定の角度(45°)内 に折り曲げることができる。

 次に、図17を参照して、後処理工程では 鍔部19を柱端部17に対して90°、すなわち、軸 方向に垂直な方向に折り曲げる。後処理工程 における加工治具は、前処理工程で使用した ものとほぼ同じ構成のネッキング用外型54a~54 d(54a,54cのみ図示)、ネッキング用内型56a~56h(56a ,56eのみ図示)、挿入治具57、および一対のネ キング治具58,59を使用する。ただし、ネッキ ング用内型56a~56hおよび一対のネッキング治 58,59の鍔部19に対面する部分には、ネッキン 部は設けられていない。

 後処理工程では、前処理工程と同様の手 で円筒部材22の内外径面を拘束し、ネッキ グ治具58,59によって鍔部19を軸方向から圧縮 る。これにより、柱端部17と鍔部19とのなす 角が90°となる。

 さらに、このとき、直線部分の内外径面は ネッキング用外型54a~54dおよびネッキング用 内型56a~56hによって拘束されているので、肉 は変化しない。一方、境界部分とネッキン 用外型54a~54dおよびネッキング用内型56a~56hと の間には、微小な隙間が形成されている。こ れにより、円筒部材22の軸方向寸法が減少す と共に、境界部分のみが増肉される。後処 工程後の境界部分の肉厚t 2 は、第1の工程で得られた円筒部材22の肉厚t り厚くなっている(t 1 <t<t 2 )。これにより、柱部15の肉厚を全体的に厚く して強度を向上するのではなく、直線部分の 肉厚を薄くし、応力集中の生じる境界部分の 肉厚を選択的に厚くすることによって強度を 向上する。したがって、保持器33を軽量化す ことができる。また、このとき、同時に境 部分の曲率半径rも直線部分の肉厚t 1 より小さくなる。

 次に、図6に示す第4の工程では、円筒部 22にポケット20および油溝16d,17dを形成する(S1 4)。具体的には、打ち抜き加工によって円筒 材22の円周面に複数の矩形形状のポケット20 および油溝16d,17dを形成する。次に、しごき 工によって第1および第2のころ止め部16a,17a 案内面16b,17b,18b、および非接触部16c,17cをそ ぞれ形成する。

 次に、図6に示す第5の工程では、保持器33 に表面硬さ等の所定の機械的性質を付与する ために熱処理を施す(S15)。熱処理としては、 持器33が十分な深さの硬化層を得るために 出発材料の炭素含有量によって適切な方法 選択する必要がある。具体的には、炭素含 量が0.15wt%以上0.5wt%以下の材料の場合には浸 焼入処理を、炭素含有量が0.5wt%以上1.1wt%以 の材料の場合には光輝焼入処理または高周 焼入処理を施す。

 浸炭焼入処理は、高温の鋼に炭素が固溶 る現象を利用した熱処理方法であって、鋼 部は炭素量が低いまま、炭素量の多い表面 (浸炭硬化層)を得ることができる。これに り、表面は硬く、内部は軟らかく靭性の高 性質が得られる。また、浸炭窒化処理設備 比較して設備費用が安価である。

 光輝焼入処理は、保護雰囲気や真空中で 熱することによって、鋼表面の酸化を防止 ながら行う焼入処理を指す。また、浸炭窒 処理設備や浸炭焼入処理設備と比較して設 費用が安価である。

 高周波焼入処理は、誘導加熱の原理を利 して、鋼表面を急速に加熱、急冷して焼入 化層を作る方法である。他の焼入処理設備 比較して設備費用が大幅に安価であると共 、熱処理工程でガスを使用しないので環境 優しいというメリットがある。また、部分 な焼入処理が可能となる点でも有利である

 さらに、焼入によって生じた残留応力や 部ひずみを低減し、靭性の向上や寸法を安 化させるために、上記の焼入処理の後に焼 を行うのが望ましい。

 上記の各工程を経ることによって、保持 33を得ることができる。なお、保持器33の外 径面の表面粗さRaは、円筒部材22の形成(S11)の 際のしごき加工において、既に0.05μm以上0.3μ m以下となっている。したがって、仕上げ加 工程としての独立した研削加工工程は、省 することができる。

 また、図15~図17に示すネッキング加工工 (S13)において、鍔部19の形成と、境界部分の 肉とを同時に行うことができる。したがっ 、保持器33の加工工程を簡素化して、安価 保持器33を得ることができる。

 なお、上記の実施形態においては、鋼板( 平板)を出発材料として保持器33を製造した例 を示したが、これに限ることなく、パイプ材 等の円筒部材を出発材料として製造すること もできる。この場合、図6に示す第1の工程(S11 )は省略することができる。

 また、上記の実施形態においては、鍔部1 9は、まず円筒部材22の軸方向両端部を45°に り曲げ、次に90°に折り曲げるという2段階に 分けて折り曲げて形成する例を説明したが、 これに限ることなく、1段階で90°に折り曲げ 形成してもよい。

 また、上記の実施形態においては、柱中 部16、一対の柱端部17、および一対の柱傾斜 部18は、外型23および内型25,26等の金型を用い て、円筒部材22から形成される例を説明した 、これに限ることなく、円筒部材22を内側 ら押し広げるようなその他の方法で形成し もよい。

 また、上記の実施形態においては、ケー &ローラタイプの針状ころ軸受31の例を示 したが、この発明は、内輪、および/または 外輪をさらに有する針状ころ軸受にも適用 ることが可能である。また、転動体として 状ころ12を採用した例を示したが、これに限 ることなく、円筒ころや棒状ころであっても よい。

 さらに、上記の実施形態に係る針状ころ 受31は、例えば、自動車用トランスミッシ ンのアイドラー軸受、およびオートバイ用 ンジンのコンロッド大端用軸受として使用 ることにより、特に有利な効果を奏する。

 以上、図面を参照してこの発明の実施形 を説明したが、この発明は、図示した実施 態のものに限定されない。図示した実施形 に対して、この発明と同一の範囲内におい 、あるいは均等の範囲内において、種々の 正や変形を加えることが可能である。

 この発明は、ころ軸受用保持器、針状こ 軸受、およびころ軸受用保持器の製造方法 有利に利用される。