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Patent Searching and Data


Title:
ROLLING BEARING DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/028151
Kind Code:
A1
Abstract:
A rolling bearing device in which a retainer is stably held when the bearing rotates at high speed, direct contact between guide surfaces is prevented, and a power loss at a retainer guide clearance is reduced. The rolling bearing device has a rolling bearing (1) where rolling bodies (4) held by the annular retainer (5) are arranged between raceway surfaces (2a, 3a) of an inner ring (2) and an outer ring (3), and also has a nozzle member (8) placed adjacent to the outer ring (3). The nozzle member (8) has an annular flange (8a) inserted in a bearing space between the inner ring (2) and the outer ring (3) and having a nozzle hole (10) for a lubricant. An outer diameter surface (8aa) of the flange (8a) functions as a retainer guide surface, and the retainer guide surface (8aa) is caused to guide an inner diameter surface (5a) of the retainer (5).

Inventors:
KOBAYASHI TAKUJI (JP)
MORI MASATSUGU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/002238
Publication Date:
March 05, 2009
Filing Date:
August 19, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NTN TOYO BEARING CO LTD (JP)
KOBAYASHI TAKUJI (JP)
MORI MASATSUGU (JP)
International Classes:
F16C33/66; B23Q11/12; F16C19/16; F16C19/36; F16C33/46
Foreign References:
JP2002089573A2002-03-27
JPH11132244A1999-05-18
JP2006300323A2006-11-02
JPH06199508A1994-07-19
JP2002139032A2002-05-17
JPH05148052A1993-06-15
Attorney, Agent or Firm:
SUGIMOTO, Shuji et al. (10-2 Edobori 1-chome,Nishi-ku, Osaka-shi, Osaka 02, JP)
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Claims:
 内輪と外輪の軌道面の間に、環状の保持器に保持された転動体を介在させた転がり軸受と、前記外輪に隣接して設けたノズル部材とを備えた転がり軸受装置であって、
 前記ノズル部材に、内輪と外輪間の軸受空間に挿入され潤滑剤のノズル孔を有する環状の鍔部を設け、この鍔部の外径面を保持器案内面とし、この保持器案内面で前記保持器の内径面を案内させる転がり軸受装置。
 請求項1において、前記内輪の外径面に、軌道面側が大径となる斜面部を設け、前記ノズル部材の前記鍔部に設けられたノズル孔を、前記内輪の前記斜面部に向けて潤滑剤を吐出させるものとした転がり軸受装置。
 請求項1において、前記ノズル部材の前記鍔部に設けられたノズル孔を、保持器の内径面に向けて潤滑剤を吐出させるものとした転がり軸受装置。
 請求項3において、前記ノズル孔に絞り部を設けた転がり軸受装置。
 請求項3において、前記内輪の外径面を斜面部とし、前記鍔部の内径面を前記内輪の外径面に沿う斜面に形成した転がり軸受装置。
 請求項1において、前記ノズル部材の前記鍔部における円周方向の複数箇所に前記ノズル孔を設けた転がり軸受装置。
 請求項1において、前記ノズル部材の前記ノズル孔から吐出する潤滑剤がエアオイルである転がり軸受装置。
 請求項1に記載の転がり軸受装置であって、工作機械の主軸の支持に用いられるものである転がり軸受装置。
 請求項1において、前記内輪がセラミックスで構成されている転がり軸受装置。
 請求項9において、前記セラミックスは、窒化けい素を主成分とする焼結体である転がり軸受装置。
 請求項9において、前記セラミックスは、Si 6-Z Al Z O Z N 8-Z の組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイアロンを主成分とする焼結体である転がり軸受装置。
 請求項9において、前記転動体が、前記内輪とは種類の異なるセラミックスで構成されている転がり軸受装置。
 請求項9において、前記内輪は、軌道面よりも軸方向外側に位置する肩部を有し、この肩部の外径面に内径面が嵌合する内輪間座を設け、この内輪間座により前記内輪の肩部に対して径方向の圧縮応力を付与されている転がり軸受装置。
 請求項9において、前記内輪は、軌道面よりも軸方向外側に位置する肩部を有し、この肩部の外周を周方向に沿う繊維からなる繊維性部材で拘束して、前記内輪の肩部に対して径方向の圧縮応力を付与されている転がり軸受装置。
 請求項9において、前記内輪は、軌道面よりも軸方向外側に位置する肩部を有し、この肩部の外径面に内径面が嵌合する内輪間座を設け、前記内輪および内輪間座の内周に軸が嵌合し、内輪と軸の嵌めあいをしまりばめ、内輪間座と軸の嵌めあいをすきまばめとして、この内輪間座により前記内輪の肩部に対して径方向の圧縮応力を付与されている軸受装置。
Description:
転がり軸受装置 関連出願

 本出願は、2007年8月24日出願の特願2007-2187 34および2008年6月20日出願の特願2008-162439の優 権を主張するものであり、その全体を参照 より本願の一部をなすものとして引用する

 この発明は、工作機械用主軸装置等の高 スピンドルの支持に用いられる転がり軸受 置に関する。

 転がり軸受の保持器の案内形式として、 輪案内、内輪案内、転動体(ボールまたはこ ろ)案内の方式がある。工作機械用主軸装置 は、転がり軸受が内輪回転で用いられるこ が多く、内輪案内方式の保持器では遠心力 より潤滑油が案内面に保持されにくい。こ ため、工作機械用主軸装置では、潤滑性の 点から、保持器を外輪案内方式や転動体案 方式とした転がり軸受が用いられる。一方 保持器を転動体案内方式とした転がり軸受 場合、高速回転時に保持器の振れ回りが大 くなる。この点、保持器を外輪案内方式と た転がり軸受では、保持器の振れ回りを外 で抑えることができるので、工作機械用軸 装置の軸受として、保持器を外輪案内方式 した転がり軸受(例えば特許文献1)を用いる 、特に高速回転時において、保持器運動の 定性や案内面での潤滑油確保につき利点が められる。

 また、工作機械用主軸装置の高速化に対 した転がり軸受装置として、内輪の外径面 斜面部を設け、搬送エアに潤滑油を混合し エアオイルを噴射するノズルを有するノズ 部材を、前記斜面部に隙間を持って沿わせ 環境対応型の潤滑構造を有するものも提案 れている(例えば非特許文献1)。この潤滑構 の場合、ノズルから噴射された潤滑油が内 の外径面に沿って軸受内へと導かれるので 一般的なエアオイル給油の場合のように、 持器と軌道面の隙間から転動体に向けてエ オイルを直接噴射するものに比べて、静音 に優れ、エアおよびオイル流量も少なくて む。

 さらに、非特許文献2、3に、転がり軸受の 速化への対応についての記載がある。非特 文献2には、ファインセラミックス、特に窒 けい素(Si 3 N 4 )を材料に用いた転がり軸受が紹介されてい 。また、工作機械主軸用途として、転動体 たは軌道輪を窒化けい素で構成した例が紹 されている。非特許文献3には、窒化けい素( Si 3 N 4 )を材料に用いた工作機械主軸用転がり軸受 紹介されている。例えば、転動体のみ、転 体と内輪、転動体と内外輪をセラミックス した構成例が、同文献の図2に示されている

特開2006-329233号公報 NTNカタログ 精密転がり軸受 CAT.No2260/J 53ページ 精密工学会誌 第54巻 7号 1988 1240-1244ペ ージ Koyo ENGINEERING JOURNAL 第135号 1989 62-71ペ ジ

 特許文献1に開示された外輪案内保持器を 有する転がり軸受の場合、外輪と保持器の間 の案内隙間は通常1/10mmのオーダであるが、保 持器運動の安定性を確保するためには前記案 内隙間をできるだけ小さく設定したい。しか し、高速回転時には、発熱と遠心力の影響に より、前記案内隙間は静止時よりも小さくな る。近年、保持器を樹脂で成形する例も多い が、外輪を構成する鋼と比較して特に樹脂の 線膨張率は大きく、また縦弾性率は小さいた め、前記案内隙間は小さくなる。その結果、 案内面同士が油膜を介することなく直接に接 触して軸受の正常な動作を妨げる恐れがあり 、最適設計の妨げとなる。

 エアオイルを噴射する潤滑構造を有する 特許文献1に開示の転がり軸受装置の場合も 、保持器は外輪案内方式もしくは転動体案内 方式となるので、外輪案内方式であれば特許 文献1に開示の転がり軸受と同様の問題が生 る。また、転動体案内方式であれば、先述 たように保持器の振れ回りが大きくなると 、転動体との干渉により保持器ポケットが 傷するなどの問題が生じやすい。

 非特許文献2,3には、転がり軸受要素(転動 体、内外軌道輪)の材料として窒化けい素を いることで、軸受剛性と高速回転性能が向 することが記載されている。しかし、高速 転のためには、保持器案内部も高速に適し 構造にしなければ、軸受全体としての高速 転性は十分ではない。

 この発明の目的は、高速回転時の保持器の 定性保持と案内面同士の直接接触の防止、 よび保持器案内隙間での動力損失低減が可 な転がり軸受装置を提供することである。
 この発明の他の目的は、高速回転性能に優 た転がり軸受装置とすることである。

 この発明の転がり軸受装置は、内輪と外輪 軌道面の間に、環状の保持器に保持された 動体を介在させた転がり軸受と、前記外輪 隣接して設けたノズル部材とを備えた転が 軸受装置であって、前記ノズル部材に、内 と外輪間の軸受空間に挿入され潤滑剤のノ ル孔を有する環状の鍔部を設け、この鍔部 外径面を保持器案内面とし、この保持器案 面で前記保持器の内径面を案内させるもの している。
 この構成によると、保持器の案内方式が転 体案内方式ではなく、環状の鍔部で案内す 方式であるので、保持器の振れ回りが大き なったり、転動体との干渉で保持器ポケッ が損傷するといった問題を避けることがで る。
 また、高速回転に起因する案内隙間量の変 も大きくなる方向であり、運転中の案内面 士(ノズル部材の鍔部の保持器案内面と保持 器の内径面)の油膜が介在しない直接の接触 確実に防ぐことができる。
 さらに、この場合の保持器の案内方式では 外輪案内方式と比較して案内面での滑り速 が小さいため、軸受動力損失も小さく、そ だけ軸受温度も抑えられ、予圧管理の面で 有利である。
 その結果、高速回転時の保持器の安定性保 と案内面同士の直接接触の防止、および保 器案内隙間での動力損失低減が可能となる

 この発明において、前記内輪の外径面に 軌道面側が大径となる斜面部を設け、前記 ズル部材の前記鍔部に設けられたノズル孔 、前記内輪の前記斜面部に向けて潤滑剤を 出させるものとしても良い。この構成の場 、ノズル孔から内輪の斜面部に向けて吐出 れた潤滑剤は、内輪の回転による遠心力と 面張力とにより内輪の斜面部に沿って軸受 へと導かれるので、軸受内への潤滑剤の導 を円滑に行うことができる。

 この発明において、前記ノズル部材の前 鍔部に設けられたノズル孔を、保持器の内 面に向けて潤滑剤を吐出させるものとして 良い。この構成の場合、ノズル孔から吐出 れる潤滑剤により、鍔部の外径面の保持器 内面と保持器の内径面との間に形成される 内隙間の潤滑が可能となる。

 この発明において、前記ノズル孔に絞り を設けても良い。この構成の場合、ノズル 材鍔部の外径面である保持器案内面と保持 の内径面との間に形成される案内隙間を、 圧軸受ではなく定圧型の静圧軸受として構 でき、その静圧軸受効果により、軸受回転 度が低い場合でも、流体潤滑作用により安 して保持器を案内できる。

 この発明において、前記内輪の外径面を 面部とし、前記鍔部の内径面を前記内輪の 径面に沿う斜面に形成しても良い。この構 の場合、鍔部の内径面の斜面と内輪の外径 の斜面部との間に微小隙間が形成されるが この微小隙間から軸受外へ流出しようとす 潤滑剤が、遠心力と内輪斜面部やノズル部 鍔部の内径斜面での表面張力とにより、軸 内へ戻され、効率良く潤滑に供することが きる。

 この発明において、前記ノズル部材の前 鍔部における円周方向の複数箇所に前記ノ ル孔を設けても良い。この構成の場合、軸 内の円周方向に均等に潤滑剤が導入される で、潤滑性能が向上する。ノズル孔から保 器の内径面に潤滑剤を吐出する場合には、 持器の内径面の全周にわたって均等に潤滑 が吐出されるので、保持器をバランス良く 内できる。

 この発明において、前記ノズル部材の前 ノズル孔から吐出する潤滑剤がエアオイル あっても良い。エアオイルの場合、微量潤 が行い易い。

 この発明において、前記転がり軸受装置 、工作機械の主軸の支持に用いられるもの あっても良い。この場合、主軸の高速化お び温度上昇低減が可能となる。

 この発明において、前記内輪がセラミック で構成されていても良い。前記セラミック は、例えば窒化けい素を主成分とする焼結 、またはSi 6-Z Al Z O Z N 8-Z の組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイ アロンを主成分とする焼結体とすることがで きる。

 セラミックスが窒化けい素を主成分とする 結体である場合を例にとって説明する。
 内輪と外輪の双方を鋼で構成した転がり軸 (鋼製内輪タイプ)と、内輪を窒化けい素、 輪を鋼で構成した転がり軸受(セラミックス 内輪タイプ)とを比較する。鋼の線膨張係数 は約11×10 -6 、窒化けい素の線膨張係数は約3.2×10 -6 であるから、運転時には内輪の方が外輪より も温度が高いと想定すると、セラミックス製 内輪タイプは鋼製内輪タイプと比較して、運 転時における転動体と内外輪間の径方向すき ま(工作機械では通常は負すきま)が大きい(負 の値としての絶対値が小さい)。そのため、 ラミックス製内輪タイプは、予圧過大現象 緩和することができ、高速回転性能に優れ 。予圧過大現象は、転動体を径方向に過度 圧縮する現象であり、転がり軸受の高速回 性を阻害する大きな要因である。
 また、鋼の密度は7.8×10 3 kg/m 3 、窒化けい素の密度は3.2×10 3 kg/m 3 であるから、両者の密度の差を考えると、遠 心膨張による予圧過大に対しても、セラミッ クス製内輪タイプは鋼製内輪タイプと比較し て、特に高速回転時に有利である。
 さらに、鋼のヤング率は約210GPa、窒化けい のヤング率は約314GPaであるから、セラミッ ス製内輪タイプは鋼製内輪タイプと比較し 、軸受剛性の面でも有利である。

 上の説明は、セラミックスが窒化けい素 主成分とする焼結体である場合についてで るが、セラミックスがβサイアロンを主成 とする焼結体である場合についてもほぼ同 のことが言える。加えて、βサイアロンを主 成分とする焼結体は、窒化けい素を主成分と する焼結体よりも低コストで製造できるとい う利点がある。

 内輪をセラミックスで構成する場合、さら 高速化するためには、転動体をセラミック とするのが良い。前記転動体もセラミック で構成する場合、前記転動体が、前記内輪 は種類の異なるセラミックスで構成されて ても良い。
 転動体もセラミックスで構成すれば、内輪 セラミックスで構成した場合と同様に、熱 張や遠心膨張による予圧過大に対して高速 転時に有利であるため、さらなる軸受の高 化が図れる。その場合、製造面の便宜等を えて、内輪と転動体とを異なる種類のセラ ックスで構成することができる。

 この発明において、前記内輪は、軌道面よ も軸方向外側に位置する肩部を有し、この 部の外径面に内径面が嵌合する内輪間座を け、この内輪間座により前記内輪の肩部に して径方向の圧縮応力を付与されているの 良い。あるいは、前記内輪は、軌道面より 軸方向外側に位置する肩部を有し、この肩 の外周を周方向に沿う繊維からなる繊維性 材で拘束して、前記内輪の肩部に対して径 向の圧縮応力を付与されているようにして 良い。
 概略円筒形である内輪に熱や遠心力の影響 径方向の応力が加わる場合、内輪に生じる 方向の応力(たが応力)は、材料力学的に径 向、軸方向の応力よりも絶対値において大 くなる。一般的に、セラミックスは鋼と比 して引っ張り強度が小さいため、たが応力 引っ張り応力として作用する場合に、内輪 損傷する恐れがある。そこで、上記のよう 、内輪間座または繊維性部材により内輪の 部に対して径方向の圧縮応力が付与される とで、引っ張り方向に作用するたが応力を ち消すようにした。それにより、内輪の損 が防がれ、高速回転に対して強い構造とな 。

 この発明において、前記内輪は、軌道面よ も軸方向外側に位置する肩部を有し、この 部の外径面に内径面が嵌合する内輪間座を け、前記内輪および内輪間座の内周に軸が 合し、内輪と軸の嵌めあいをしまりばめ、 輪間座と軸の嵌めあいをすきまばめとして この内輪間座により前記内輪の肩部に対し 径方向の圧縮応力を付与されているのが望 しい。
 この構成によれば、内輪間座により内輪の 部に対して径方向の圧縮応力が付与される とで、引っ張り方向に作用するたが応力を ち消すようにされて、内輪の損傷が防がれ 高速回転に対して強い構造となる。
 さらに、内輪および内輪間座の内周に軸が 合する場合、組立時の嵌めあいにつき、内 と軸とはしまりばめ内輪間座と軸とはすき ばめ(ケース1)、両方ともしまりばめ(ケース 2)、内輪と軸とはすきまばめ内輪間座と軸と しまりばめ(ケース3)の3通りのケースが考え られる。熱や遠心力による軸の外径面の膨張 を考えると、ケース1が、内輪間座により内 の肩部に対して径方向の圧縮応力を付与さ るという機能が最も発揮される点で好まし 。また、内輪軌道面の剛性を確保する上で 、ケース1が望ましい。

 組立時の内輪と軸の嵌めあい代は、内輪 作用するたが応力を考慮すれば、必要以上 大きくすることは避けるべきである。例え 、工作機械主軸用に多用される内径50~100mm 度の転がり軸受の場合、低速回転時の剛性 保も考慮して、嵌めあい代は5μm未満程度を 安とする。対して、同サイズの鋼製内輪で 、dmn値が200万を超える高速回転時の熱や遠 力による膨張を見込んで、嵌めあい代が20~3 0μm必要である。このように、セラミックス 内輪は、鋼製内輪よりも嵌めあい代を小さ できるので、組立時の圧入作業が容易であ 。

 この発明は、添付の図面を参考にした以下 好適な実施形態の説明からより明瞭に理解 れるであろう。しかしながら、実施形態お び図面は単なる例示および説明のためのも であり、この発明の範囲は添付の特許請求 範囲によって定まる。添付図面において、 数の図面における同一の部品番号は、同一 分を示す。
(A)はこの発明の第1実施形態にかかる転 がり軸受装置の断面図、(B)はその部分拡大断 面図である。 (A)はこの発明の第2実施形態にかかる転 がり軸受装置の断面図、(B)はその部分拡大断 面図である。 (A)はこの発明の第3実施形態にかかる転 がり軸受装置の断面図、(B)はその部分断面図 である。 この発明の第4実施形態にかかる転がり 軸受装置の断面図である。 図1および図4に示す転がり軸受装置を えたスピンドル装置の構成図である。 この発明の第5実施形態にかかる転がり 軸受装置の断面図である。 この発明の第6実施形態にかかる転がり 軸受装置の断面図である。 この発明の第7実施形態にかかる転がり 軸受装置の断面図である。 この発明の第8実施形態にかかる転がり 軸受装置の断面図である。 この発明の第9実施形態にかかる転が 軸受装置の断面図である。 この発明の第10実施形態にかかる転が 軸受装置の断面図である。 この発明の第11実施形態にかかる転が 軸受装置の断面図である。 この発明の第12実施形態にかかる転が 軸受装置の断面図である。 図6および図13に示す転がり軸受装置を 備えたスピンドル装置の構成図である。 βサイアロンを主成分とする焼結体で 成された内輪の製造方法の概略を示す図で る。 試験片の観察用の断面を光学顕微鏡の 斜光で撮影した写真である。 図16の写真の画像を、画像処理ソフト 用いて輝度閾値により2値化処理した状態を 示す一例である。 図16の写真の画像を、画像処理ソフト 用いて輝度閾値により2値化処理する際に、 画像処理を行う領域(評価領域)を示す図であ 。

 この発明の第1実施形態を図1と共に説明す 。図1(A)はこの実施形態の転がり軸受装置の 面図を示す。この転がり軸受装置は、工作 械の主軸軸受として用いられるものであっ 、転がり軸受1と、その外輪3に隣接して設 たノズル部材8とを備える。転がり軸受1は、 内輪2と、外輪3と、これら内外輪2,3の軌道面2 a,3a間に介在させた複数の転動体である円筒 ろ4と、これらの円筒ころ4を円周方向に所定 間隔を隔てて保持する環状の保持器5とでな 円筒ころ軸受である。
 内輪2は、軌道面2aの両側に鍔を有する鍔付 内輪であり、図示しない主軸の外径面に嵌 する。内輪2の軌道面2aを挟んだ軸方向両側 外径面には、軌道面2a側が大径となる斜面 2bがそれぞれ設けられている。また、内輪2 各斜面部2bには、円周溝6が設けられる。

 外輪3は、図示しない軸受箱内に固定され る。外輪3の両側には、外輪3に隣接して外輪 置決め間座7がそれぞれ配置され、各外輪位 置決め間座7の内径面に環状のノズル部材8が けられる。外輪位置決め間座7およびノズル 部材8には、内外輪2,3等と同じ軸受鋼や、他 適宜の鉄系材料が用いられる。外輪位置決 間座7は軸受箱内に固定される。ノズル部材8 には、内輪2と外輪3間の軸受空間に挿入され 環状の鍔部8aが設けられる。これら左右の 輪位置決め間座7およびノズル部材8のそれぞ れにわたって、転がり軸受1に潤滑剤として アオイルを供給する給油手段9が設けられて る。エアオイルは、搬送エアに潤滑油を混 したものである。この給油手段9は、ノズル 孔10、円周溝11、および給油路12によって構成 される。ノズル孔10は、ノズル部材8の鍔部8a おいて円周方向の複数箇所に設けられ、内 2の対応する斜面部2bの円周溝6に向けて潤滑 剤であるエアオイルを吐出させる。なお、ノ ズル孔10は、ノズル部材の鍔部8aの1箇所にだ 設けても良い。円周溝11は、外輪位置決め 座7とノズル部材8との接面境界部に設けられ 、前記複数のノズル孔10に連通する。給油路1 2は、外輪位置決め間座7に設けられ、その外 面から前記円周溝11に連通する。このよう 構成された給油手段9により、軸受箱のエア イル供給路(図示せず)から外輪位置決め間 7の給油路12に到達したエアオイルが、円周 11を経て全周のノズル孔10から転がり軸受1の 内輪斜面部2bに向けて吐出される。

 図1(B)に拡大して示すように、前記ノズル 部材8の環状の鍔部8aの外径面8aaは保持器案内 面とされ、この保持器案内面8aaで保持器5の 径面5aを案内させる。また、ノズル部材の鍔 部8aの内径面8abは、内輪2の対応する斜面部2b 沿って、斜面部2bとの間に微小隙間δを形成 するように斜面に形成されている。

 このように構成された転がり軸受装置では 外輪位置決め間座7の外径側から給油路12を て導入されたエアオイルが、円周溝11を経 ノズル部材8のノズル孔10から内輪2の斜面部2 bの円周溝6に向けて吐出される。内輪2の円周 溝6で受け止められた潤滑油は、内輪2の回転 よる遠心力と表面張力とにより内輪2の斜面 部2bに沿って軸受内へと導かれ、主に斜面部2 bの上端で外径側に飛散した後、保持器5のポ ット5bと円筒ころ4の間、あるいは円筒ころ4 の転動面と内外輪軌道面2a,3aの間の潤滑に用 られる。同時に、軸受内に圧送されるエア 一部は、ノズル部材鍔部8aの外径面である 持器案内面8aaと保持器5の内径面5aとで構成 れる案内隙間gにおいて、円筒ころ4側からノ ズル部材8側へと移動する。すなわち、案内 間gを潤滑することになる。
 ノズル部材鍔部8aの内径面8abは、内輪斜面 2bに沿う斜面に形成され、内輪斜面部2bとの に隙間δを形成しており、この隙間δにおい て、内輪斜面部2bに表面張力で付着した油が 心力の斜面方向成分によって、内輪斜面部2 bに沿って軸受内へと潤滑油がより円滑に導 れる。また、ノズル孔10から軸受内にエアオ イルを直接噴射するものではないので、軸受 回転に伴う風切り音が無く、静音性に優れ、 エア流量も少なくて済む。

 しかも、ノズル部材8の鍔部8aの外径面8aa 保持器案内面とされて、保持器5の内径面5a 案内するので、保持器5を転動体案内とする 方式の場合のように、保持器5の振れ回りが きくなったり、転動体である円筒ころ4との 渉で保持器5のポケット5bが損傷するといっ 問題を回避することができる。

 また、前記案内隙間gは、直径に対して幅 が狭い、いわゆる真円形短幅ジャーナル動圧 軸受を構成しており、油膜による荷重負荷能 力や減衰性により、保持器5を安定して非接 で支持することができる。

 さらに、先述した従来例(特許文献1)の外輪 内方式と比較すると、この保持器案内方式 場合の方が、保持器5の内径面5aを案内する 持器案内面8aaの半径と滑り速度は小さくな 。工作機械用主軸装置に用いられる軸受の 輪は、一般に起動停止時を除けば数千~数万 min  -1 で高速回転しており、保持器もその40%程度の 速度で回転するので、動圧発生に必要な滑り 速度は十分得られる。そこで、実用上の問題 は、前記案内隙間gでの粘性抵抗トルク損失 低減することであるが、そのトルク損失仕 率は保持器回転速度の2乗と保持器案内面8aa 半径の3乗の積に比例するため、この保持器 案内方式ではトルク損失低減が可能となる。

 また、この保持器案内方式では、上記し ように新鮮な低温潤滑油が前記案内隙間gに 常時供給されることで案内隙間gが冷却され ので、軸受系の温度上昇を抑えられ、予圧 理の面でも外輪案内方式に比べて有利であ 。

 さらに、この保持器案内方式では、高速回 に起因する案内隙間gの変化も大きくなる方 向であり、運転中に保持器案内面8aaと保持器 5の内径面5aとが直接に接触するのを確実に防 止することができる。
 すなわち、この保持器案内方式では、高速 転時には、保持器5に働く遠心力の作用で前 記案内隙間gは増大する。同時に、熱膨張の で見ると、保持器5の内径面5aだけでなく、 持器案内面8aaも直径が増大するが、ノズル 材8は鉄系の材料で構成され、保持器5は樹脂 や銅系の材料で構成される場合が多く、線膨 張係数の違いを考えると、やはり案内隙間g 増大する方向にある。これに対して、従来 (特許文献1)の外輪案内方式では、案内隙間 高速回転時に減少する方向にある。したが て、この保持器案内方式では、高速回転時 の保持器案内面8aaと保持器内径面5aとの直接 の接触を確実に回避することができる。

 なお、第1実施形態では、ノズル孔10から アオイルを吐出するエアオイル潤滑の場合 例示して説明したが、潤滑方式としてはこ に限らず、冷却と潤滑を兼ねた潤滑油をノ ル孔10から噴射させるジェット潤滑方式を 用しても同様の作用効果を得ることができ 。

 図2は、この発明の第2実施形態を示す。 2実施形態は、図1の第1実施形態において、 ズル部材鍔部8aにおけるノズル孔10を、鍔部8 aの外径面である保持器案内面8aaに開口させ 、ノズル孔10から潤滑剤であるエアオイルを 保持器5の内径面5aに向けて吐出させることに より、案内隙間gの潤滑を考慮している。こ 場合も、ノズル孔10は、ノズル部材鍔部8aの 周方向の1箇所に設けただけでも、保持器5 案内する機能や潤滑機能を発揮できるが、 周方向の複数箇所に等配して設けた場合に 、保持器5を一層バランス良く案内すること できる。

 また、保持器5の内径面5aの中央部5aaは、 央側が大径となる斜面に形成されている。 れにより、保持器5の内径面5aに付着した潤 油が、遠心力により前記中央部5aaの斜面に って保持器5のポケット5bの方向に導かれ、 持器ポケット5bと円筒ころ4の間や、円筒こ 4の転動面と内外輪軌道面2a,3aの間の潤滑に される。

 内輪2の軌道面2aを挟んだ軸方向両側の外 面に、軌道面2a側が大径となる斜面部2bがそ れぞれ設けられていることは、図1の第1実施 態の場合と同様であるが、その斜面部2bに 周溝6は設けられていない。また、ノズル部 の鍔部8aの内径面8abを、内輪2の対応する前 斜面部2bに沿って、斜面部2bとの間に微小隙 間δを形成するように斜面に形成されている とも、図1の第1実施形態の場合と同様であ 。これにより、前記微小隙間δから軸受外へ 流出しようとする潤滑油が、遠心力と内輪斜 面部2bやノズル部材鍔部8aの内径斜面8abでの 面張力とにより、軸受内へ戻され、潤滑に される。

 図3は、この発明の第3実施形態を示す。 3実施形態は、図2の第2実施形態において、 ズル部材鍔部8aにおけるノズル孔10の出口部 、図3(B)に拡大して示すようにポケット付き オリフィス絞り部10aを設けることで、案内隙 間gを動圧軸受ではなく定圧型の静圧軸受と て構成している。なお、絞り部10aの絞り形 としては、毛細管絞りや自成絞りなど他の 式のものを採用しても良い。この場合、ノ ル孔10は、ノズル部材鍔部8aの円周方向に、3 箇所から8箇所程度等配して設けると、静圧 受効果により、軸受回転速度が低い場合で 、流体潤滑作用により安定して保持器5を案 できる。その他の構成および作用効果は、 2の第2実施形態の場合と同様である。

 図4は、この発明の第4実施形態を示す。 の実施形態は、図1の第1実施形態において、 転がり軸受1を円筒ころ軸受に代えてアンギ ラ玉軸受としたものである。この場合、ノ ル部材8が軸受箱内に固定される。すなわち この場合のノズル部材8は、図1の第1実施形 における外輪位置決め間座7とノズル部材8 一体とした部材とされており、このノズル 材8に給油手段9Aを構成するノズル孔10、給油 路12、および円周溝13が設けられている。円 溝13は、ノズル部材8の外径面に設けられ、 ズル孔10および給油路12は、ノズル部材8の円 周方向の複数箇所に等配して設けられる。こ れにより、軸受箱のエアオイル供給路(図示 ず)から円周溝13に導入されたエアオイルが 各給油路12を経てノズル孔10に供給される。 の場合、ノズル部材8は、アンギュラ玉軸受 1の背面側に配置され、正面側には配置され い。その他の構成および作用効果は図1の第1 実施形態の場合と同様である。

 図5は、図1および図4の第1および第4実施 態の転がり軸受装置を備えた高速スピンド 装置の一例を示す。このスピンドル装置24は 工作機械に応用されるものであり、主軸25の 側(加工側)端部に工具またはワークのチャ クが取付けられる。主軸25は、軸方向前側が 2列1組のアンギュラ玉軸受型の転がり軸受装 (図4)により支持され、軸方向後側が円筒こ 軸受型の転がり軸受装置(図1)により支持さ ている。各転がり軸受1の内輪2は主軸25の外 径面に嵌合し、外輪3は軸受箱26の内径面に嵌 合している。主軸前側の転がり軸受1につい は、その内輪2が主軸25の段面25aにより、外 3が外輪位置決め間座7を介して押さえ蓋28Aに より、軸受箱26内に固定されている主軸後ろ の転がり軸受1については、その内輪2が内 位置決め間座27により、外輪3が外輪位置決 間座7を介して押さえ蓋28Bにより、軸受箱26 に固定されている。軸受箱26は、内周軸受箱 26Aと外周軸受箱26Bの二重構造とされ、内外の 軸受箱26A,26B間に冷却溝29が形成されている。 両転がり軸受1の外輪3の他方の端面側にはそ ぞれ外輪位置決め間座7が配置され、これら 外輪位置決め間座7,7間に内周軸受箱26Aが介在 している。主軸25の後端部には、内輪位置決 間座27に押し当てて転がり軸受1を固定する 受固定ナット31が螺着されている。

 前記押さえ蓋28A,28Bには、転がり軸受1を アオイル潤滑する場合の供給源であるエア イル供給装置32A,32Bからエアオイルを導入す エアオイル導入孔33がそれぞれ設けられ、 れらエアオイル導入孔33は内周軸受箱26Aに設 けられたエアオイル供給路34に連通している また、押さえ蓋28A,28Bには排油孔35が設けら 、これら排油孔35は内周軸受箱26Aに設けら た排油路36に連通している。

 このように構成されたスピンドル装置24 は、上記した転がり軸受装置を組み込んで るので、主軸25の高速化および温度上昇低減 が可能となる。

 上記各実施形態は、内外輪2,3がいずれも 受鋼で構成されたものであるが、以下に内 をセラミックスで構成した転がり軸受装置 ついて説明する。

 本発明の第5実施形態に係る図6の転がり軸 装置は、図1の第1実施形態に係る転がり軸受 装置の内輪2に代えて、内輪2Aとその両側に配 置した2個の内輪間座13Aとの組み合わせから る内輪・間座組合体14Aとしたものである。 輪2Aはセラミックス、例えば窒化けい素を主 成分とする焼結体、またはSi 6-Z Al Z O Z N 8-Z の組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイ アロンを主成分とする焼結体で構成される。 内輪間座13Aは、軸受鋼や、他の適宜の鉄系材 料で構成される。

 内輪2Aは、鍔を有しない形状であり、軌 面2aの内径側に、軌道面2aの両端よりも軸方 外側に位置する肩部2cを有する。この実施 態では、肩部2cの外径面は軸方向に平行な面 とされている。

 内輪間座13Aは、円筒ころ4の端面に接する 鍔部13aを有し、この鍔部13aの内径面で内輪2A 肩部2cの外径面に接するとともに、軸方向 側の端面13cで内輪2Aの端面に接している。内 輪間座13Aの鍔部13aが内輪2Aの肩部2cに径方向 圧縮応力を付与するように組立てられる。 た、内輪間座13Aの端面13cが内輪2Aの端面に接 することで、内輪間座13Aの位置決めがされる 。内輪間座13Aの外径面には、内輪2A側が大径 なる斜面部13bが設けられている。この斜面 13bに、ノズル10から吐出される潤滑剤を受 る円周溝6が設けられる。内輪間座13Aの軸方 外側には、内輪位置決め間座27が設けられ 。

 内輪・間座組合体14Aの内周には、軸15が嵌 している。内輪2Aと軸15の嵌めあいはしまり め、内輪間座13Aと軸15の嵌めあいはすきま めとしてある。その理由を説明する。
 組立時の嵌めあいにつき、内輪2Aと軸15とは しまりばめ、内輪間座13Aと軸15とはすきまば (図6)、両方ともしまりばめ(図7、第6実施形 )、内輪2Aと軸15とはすきまばめ、内輪間座13 Aと軸15とはしまりばめ(図8、第7実施形態)の3 りのケースが考えられる。熱や遠心力によ 軸15の外径面の膨張を考えると、図6の構成 、上述の内輪間座13Aにより内輪2Aの肩部2cに 対して径方向の圧縮応力を付与するという機 能が最も発揮される点で好ましいのである。 また、内輪軌道面2aの剛性を確保する上から 、図6の構成が望ましい。

 他は図1の第1実施形態に係る転がり軸受 置と同じ構成である。構成が同じ箇所につ ては、同じ符号を付して、その説明を省略 る。この転がり軸受装置も、エアオイルが ズル孔10から内輪間座13Aの斜面部13bの円周溝 6に向けて吐出されることにより、図1の第1実 施形態に係る転がり軸受装置と同様の作用効 果が得られる。

 加えて、この転がり軸受装置は、内輪2Aを ラミックスで構成したことにより、以下の 果が得られる。セラミックスが窒化けい素 主成分とする焼結体である場合を例にとっ 説明する。
 内輪2Aと外輪3の双方を鋼で構成した転がり 受装置(鋼製内輪タイプ)と、内輪2Aを窒化け い素、外輪3を鋼で構成した転がり軸受(セラ ックス製内輪タイプ)とを比較する。鋼の線 膨張係数は約11×10 -6 、窒化けい素の線膨張係数は約3.2×10 -6 であるから、運転時には内輪2Aの方が外輪3よ りも温度が高いと想定すると、セラミックス 製内輪タイプは鋼製内輪タイプと比較して、 運転時における転動体である円筒ころ4と内 輪間2A,3の径方向すきま(工作機械では通常は 負すきま)が大きい(負の値としての絶対値が さい)。そのため、セラミックス製内輪タイ プは、予圧過大現象を緩和することができ、 高速回転性能に優れる。予圧過大現象は、円 筒ころ4を径方向に過度に圧縮する現象であ 、転がり軸受1の高速回転性を阻害する大き 要因である。
 また、鋼の密度は7.8×10 3 kg/m 3 、窒化けい素の密度は3.2×10 3 kg/m 3 であるから、両者の密度の差を考えると、遠 心膨張による予圧過大に対しても、セラミッ クス製内輪タイプは鋼製内輪タイプと比較し て、特に高速回転時に有利である。
 さらに、鋼のヤング率は約210GPa、窒化けい のヤング率は約314GPaであるから、セラミッ ス製内輪タイプは鋼製内輪タイプと比較し 、軸受剛性の面でも有利である。

 上の説明は、セラミックスが窒化けい素を 成分とする焼結体である場合についてであ が、セラミックスがβサイアロンを主成分 する焼結体である場合についてもほぼ同様 ことが言える。
 加えて、βサイアロンを主成分とする焼結 は、低圧、例えば1MPa以下の圧力下で焼結さ るため、10MPa以上の圧力下で加圧焼結する 化けい素を主成分とする焼結体よりも低コ トで製造できるという利点がある。
 なお、βサイアロンについては、後段に詳 な説明を付記してある。

 概略円筒形である内輪2Aに熱や遠心力の 響で径方向の応力が加わる場合、内輪2Aに生 じる周方向の応力(たが応力)は、材料力学的 径方向、軸方向の応力よりも絶対値におい 大きくなる。一般的に、セラミックスは鋼 比較して引っ張り強度が小さいため、たが 力が引っ張り応力として作用する場合に、 輪2Aが損傷する恐れがある。そこで、内輪 座13Aにより内輪2Aの肩部2cに対して径方向の 縮応力を付与することで、引っ張り方向に 用するたが応力を打ち消すようにしてある それにより、内輪2Aの損傷が防がれて、高 回転に対して十分に対応可能となる。

 上述の内輪間座13Aにより内輪2Aの肩部2cに対 して径方向の圧縮応力を付与するという機能 を最も有効に発揮させるには、図6のように 内輪2Aと軸15の嵌めあいをしまりばめ、内輪 座13Aと軸15の嵌めあいをすきまばめとする が望ましい。場合によっては、図7のように 内輪2Aと軸15、内輪間座13Aと軸15の両方とも まりばめとしても良い。
 図6および図7のいずれの場合、組立時の内 2Aと軸15の嵌めあい代は、内輪2Aに作用する が応力を考慮すれば、必要以上に大きくす ことは避けるべきである。例えば、工作機 主軸用に多用される内径50~100mm程度の転がり 軸受の場合、低速回転時の剛性確保も考慮し て、嵌めあい代は5μm未満程度を目安とする 対して、同サイズの鋼製内輪では、dmn値が20 0万を超える高速回転時の熱や遠心力による 張を見込んで、嵌めあい代が20~30μm必要であ る。このように、セラミックス製内輪は、鋼 製内輪よりも嵌めあい代を小さくできるので 、組立時の圧入作業が容易である。

 図9は第8実施形態を示す。この転がり軸受 置も、内輪2Bと2個の内輪間座13Bの組み合わ からなる内輪・間座組合体14Bを備えるが、 輪2Bは、円筒ころ4の端面に接する鍔部2dを有 し、その鍔部2dの外側に内輪間座13Bが配置さ ている。内輪間座13Bは、内輪2Bの肩部2cに径 方向の圧縮応力を付与するように組立てられ る。内輪2Bの内周が軸15にしまりばめで嵌合 、内輪2Bの端面に接して内輪位置決め間座27 設けられている。前記同様、内輪2Bはセラ ックス、例えば窒化けい素を主成分とする 結体、またはSi 6-Z Al Z O Z N 8-Z の組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイ アロンを主成分とする焼結体で構成され、内 輪間座13Bは、軸受鋼や、他の適宜の鉄系材料 で構成される。

 この転がり軸受は、図6に示すものと同様 の作用効果を有する。加えて、鍔部2dもセラ ックスで構成されていることにより、図6に 示すものよりも、鍔部2dと円筒ころ4の端面と の潤滑性が良く、鍔部2dの耐焼付け性に優れ という利点を有する。

 内輪2Bが鍔部2dを有する形状である場合、本 発明の第9実施形態である図10に示すように、 肩部2cの外周を周方向に沿う繊維からなる繊 性部材16で拘束することで、内輪2Bの肩部2c 径方向の圧縮応力を付与することができる 例えば、繊維性部材16を肩部2cの周囲に360度 巻き付ける。繊維性部材16としては、引っ張 強度に優れた炭素繊維やアラミド繊維が適 る。特に、負の線膨張係数(-4×10 -6 )を有するアラミド繊維を用いれば効果的で る。この場合、外径面に内輪2B側が大径とな る斜面部が設けられ、この斜面部に円周溝が 設けられた部材(図示せず)を、内輪間座13Bの わりに用いればよい。

 本発明の第10実施形態である図11のように 、鍔部を有しない内輪2Cと鍔部13aを有する内 間座13Cとを組み合わせて内輪・間座組合体1 4Cを構成した転がり軸受装置において、図6の ものよりも内輪2Cの肩部2cを軸方向外側に延 して、内輪2Cの端面に内輪位置決め間座27の 面が接するようにしてもよい。その場合、 輪間座13Cの端面13cが内輪2Cの段差面2eに接す ることで、内輪間座13Cの位置決めがされる。 この構成とすると、図6のものと比較して、 輪2Cの内周と軸15との接触面が広いため、よ 大きな軌道面2aの剛性を与えることができ 。

 また、本発明の第11実施形態である図12に 示すように、内輪2Dと内輪間座13Dとの組立性 向上させるために、内輪2Dの肩部2cを外側に いくほど小径となるテーパ形状にしてもよい 。

 本発明の第12実施形態である図13の転がり軸 受装置は、図4の転がり軸受がアンギュラ玉 受である転がり軸受装置の内輪2に代えて、 輪2Eとその両側に配置した2個の内輪間座13E, 17Eとの組み合わせからなる内輪・間座組合体 14Eとしたものである。内輪2Eはセラミックス 例えば窒化けい素を主成分とする焼結体、 たはSi 6-Z Al Z O Z N 8-Z の組成式で表され、0.1≦z≦3.5を満たすβサイ アロンを主成分とする焼結体で構成される。 内輪間座13E,17Eは、軸受鋼や、他の適宜の鉄 材料で構成される。

 転がり軸受がアンギュラ玉軸受である場 も、転がり軸受が円筒ころ軸受である場合 同様、内輪2Eの内径がしまりばめで軸15に嵌 合し、内輪間座13E,17Eの鍔部13a,17aが内輪2Eの 部2cに径方向の圧縮応力を付与するように組 立てられる。それにより、転がり軸受が円筒 ころ軸受である場合と同様の作用効果を奏す る。

 図6ないし図13に示す第5ないし第12実施形 では、内輪2A,2B,2C,2D,2Eのみをセラミックス 構成したが、転動体4もセラミックスで構成 てよい。転動体4もセラミックスで構成すれ ば、内輪2A,2B,2C,2D,2Eをセラミックスで構成し 場合と同様に、熱膨張や遠心膨張による予 過大に対して高速回転時に有利であるため さらなる軸受の高速化を図れる。その場合 製造面の便宜等を考えて、内輪2A,2B,2C,2D,2E 転動体4とを異なる種類のセラミックスで構 することができる。

 図14は、図5の高速スピンドル装置における 軸25の前側を支持する転がり軸受装置を図13 の第12実施形態の転がり軸受装置に、主軸25 後側を支持する転がり軸受装置を図6の第5実 施形態の転がり軸受装置にそれぞれ置き換え たものである。図6に示す転がり軸受装置の わりに、図7ないし図12(第6ないし第11実施形 )のいずれかに示す転がり軸受装置を用いて も良い。
 一般に、工作機械主軸は、内輪回転・外輪 止で運転され、外輪3の外径側に設けた軸受 箱26に冷却することでスピンドル系を冷却す 構造が採用されている。したがって、内輪 での放熱性が低い。さらに、最近ではスピ ドル内部において主軸25(15)と一体化したビ トインモータ形式で主軸25を駆動すること 多く、モータの発熱により内輪側が高温環 となりやすい傾向にある。この傾向は、高 回転時に顕著である。このような工作機械 主軸25の支持に、内輪2A,2B,2C,2D,2Eがセラミッ スで構成された転がり軸受装置を用いれば より一層の高速回転化を図ることが可能で る。

 以下、βサイアロンを主成分とする焼結体 ついて、さらに詳しく説明する。
 この焼結体は、βサイアロンを主成分とし 残部不純物からなる焼結体、またはβサイア ロンを主成分とし、残部焼結助剤および不純 物からなる焼結体のことを言う。不純物は、 原料に由来するもの、あるいは製造工程にお いて混入するものを含む不可避的不純物を含 む。焼結助剤としては、マグネシウム(Mg)、 ルミニウム(Al)、けい素(Si)、チタン(Ti)、希 類元素の酸化物、窒化物、酸窒化物のうち なくとも1種類以上を採用することができる なお、焼結助剤は、焼結体のうち20質量%以 とすることが望ましい。

 図15に、βサイアロンを主成分とする焼結体 から構成される内輪2Aの製造方法を示す。
 βサイアロン粉末準備工程S1は、βサイアロ の粉末を準備する工程である。例えば、燃 合成法を採用することにより、安価にβサ アロンの粉末を製造することができる。

 混合工程S2は、βサイアロン粉末準備工程 S1において準備されたβサイアロンの粉末に 焼結助剤を添加して混合する工程である。 結助剤を添加しない場合は、この工程を省 することができる。

 成形工程S3は、βサイアロンの粉末、また はβサイアロンの粉末と焼結助剤との混合物 、内輪2Aの概略形状に成形する工程である 具体的には、βサイアロンの粉末、またはβ イアロンの粉末と焼結助剤との混合物に、 レス成形、鋳込み成形、押し出し成形、転 造粒等の成形手法を適用することにより、 輪2Aの概略形状に成形された成形体を作製 る。

 焼結前加工工程S4は、上記成形体を表面 工して、当該成形体が焼結後に所望の内輪2A の形状により近い形状となるよう成形する工 程である。具体的には、グリーン体加工等の 加工手法を適用することにより、上記成形体 が焼結後に内輪2Aの形状により近い形状とな ように成形する。この焼結前加工工程S4は 成形工程S3において上記成形体が成形された 段階で、焼結後に所望の内輪2Aの形状に近い 状が得られる状態である場合には省略する とができる。

 焼結工程S5は、上記成形体を1MPa以下の圧 下で焼結する工程である。具体的には、上 成形体を、ヒータ加熱、マイクロ波やミリ による電磁波加熱等の加熱方法により加熱 て焼結することにより、内輪2Aの概略形状 有する焼結体を作製する。

 仕上げ工程S6は、焼結工程S5において作製 された焼結体に対して仕上げ加工を実施する ことにより、内輪2Aを完成させる工程である 具体的には、焼結工程S5において作製され 焼結体の表面を研磨することにより、内輪2A を完成させる。

 ここで、上記焼結工程S5における焼結に り、焼結体の表面から厚さ500μm程度の領域 は、内部よりも緻密性が高く、断面を光学 微鏡の斜光にて観察した場合、白色の領域 して観察される白色領域の面積率は7%以下で ある緻密層が形成される。さらに、焼結体の 表面から厚さ150μm程度の領域には、緻密層内 の他の領域よりもさらに緻密性が高く、断面 を光学顕微鏡の斜光にて観察した場合、白色 の領域として観察される白色領域の面積率は 3.5%以下である高緻密層が形成されている。 たがって、仕上げ工程S6においては、除去さ れる焼結体の厚みは、特に軌道面となるべき 領域において150μ以下とすることが好ましい これにより、内輪軌道面2aを含む領域に、 緻密層を残存させ、内輪2Aの転動疲労寿命を 向上させることができる。

 サイアロン焼結体の断面における緻密層 よび高緻密層の形成状態の調査をする試験 行った。試験の手順は以下のとおりである

 はじめに、燃焼合成法で作製した組成がSi 5 AlON 7 であるβサイアロンの粉末(株式会社イスマン ジェイ製、商品名メラミックス)を準備し、 記図15に示す内輪の製造方法と同様の方法で 、一辺が約10mmの立方体試験片を作製した。 体的な製造方法は次のとおりである。まず サブミクロンに微細化されたβサイアロン粉 末と、焼結助剤としての酸化アルミニウム( 友化学株式会社製、AKP30)および酸化イット ウム(H.C.Starck社製、Yttriumoxide grade C)とをボ ルミルを用いて湿式混合により混合した。 の後、スプレードライヤーにて造粒を実施 、造粒粉を製造した。当該造粒粉を金型で 定の形状に成形し、さらに冷間静水圧成形( CIP)で加圧を行い、成形体を得た。引き続き 該成形体を圧力0.4MPaの窒素雰囲気中で1650℃ 加熱焼結することで、上記立法体試験片を 造した。

 その後、当該試験片を切断し、切断され 面をダイヤモンドラップ盤でラッピングし 後、酸化クロムラップ盤による鏡面ラッピ グを実施することにより、立方体の中心を む観察用の断面を形成した。そして、当該 面を光学顕微鏡(株式会社ニコン製、マイク ロフォト‐FAX)の斜光で観察し、倍率50倍のイ ンスタント写真(フジフィルム株式会社製 FP- 100B)を撮影した。その後、得られた写真の画 を、スキャナーを用いて(解像度300DP1)パー ナルコンピューターに取り込んだ。そして 画像処理ソフト(三谷商事株式会社製 WinROOF) を用いて輝度閾値による2値化処理を行って( 試験での2値化閾値:140)、白色領域の面積率 測定した。

 次に、試験結果について説明する。図16 、試験片の上記観察用の断面を光学顕微鏡 斜光で撮影した写真である。また、図17は、 図16の写真の画像を、画像処理ソフトを用い 輝度閾値により2値化処理した状態を示す一 例である。また、図18は、図16の写真の画像 、画像処理ソフトを用いて輝度閾値により2 化処理する際に、画像処理を行う領域(評価 領域)を示す図である。図16において、写真上 側が試験片の処理側であり、上端が表面であ る。

 図16および図17を参照して、図15に示す内 の製造方法と同様の方法で作成された試験 は、表面を含む領域に内部よりも白色領域 少ない層が形成されていることがわかる。 して、図18に示すように、撮影された写真 画像を試験片の最表面からの距離に応じて3 の領域(最表面からの距離が150μm以内の領域 、150μmを超え500μm以内の領域、500μmを超え800 μm以内の領域)に分け、領域毎に画像解析を って白色領域の面積率を算出したところ、 1に示す結果が得られた。表1においては、図 18に示した各領域を1視野として、無作為に撮 影された5枚の写真から得られる5視野におけ 白色領域の面積率の、平均値と最大値とが されている。

 表1を参照して、試験片における白色領域 の面積率は、内部において18.5%であったのに し、表面からの深さが500μm以下である領域 おいては3.7%、表面からの深さが150μm以下の 領域においては1.2%となっていた。このこと ら、図15に示す内輪の製造方法と同様の方法 で作成された試験片は、表面を含む領域に内 部よりも白色領域の少ない緻密層および高緻 密層が形成されていることが確認された。

 以上のとおり、図面を参照しながら好適 実施形態を説明したが、当業者であれば、 件明細書を見て、自明な範囲内で種々の変 および修正を容易に想定するであろう。し がって、そのような変更および修正は、添 のクレームから定まるこの発明の範囲内の のと解釈される。