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Patent Searching and Data


Title:
ROTATION TRANSMITTING DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/075256
Kind Code:
A1
Abstract:
A rotation transmitting device having small play in the rotational direction, having high reliability during idle rotation, and having a large torque capacity. An axially movable control retainer (19A) and a rotatable rotation retainer (19B) are mounted between an outer ring (11) having on its inner periphery a circular tube surface (17) and an inner ring (12) having on its outer periphery a cam surface (18). An opposite pair of rollers (26) and a coiled spring (27) for urging the pair of rollers (26) in the direction in which the pair is separated from each other are mounted in a pocket (25) between pillars (21, 23) provided at the retainers (19A, 19B). A torque cam (30) is provided between flanges (20, 22) of the control retainer (19A) and the rotation retainer (19B). An armature (41) is connected to the pillar (21) of the control retainer (19A), and an electromagnet (43) is placed so as to face a rotor (42) axially facing the armature (41). Conduction of an electric current to the electromagnet (43) moves the control retainer (19A) toward the rotor (42) to cause the torque cam (30) to rotate the control retainer (19A) and the rotation retainer (19B) relative to each other in the direction in which the circumferential width of the pocket (25) decreases. This sets the opposite pair of rollers (26) to a disengaged state. Further, interruption of the electric current to the electromagnet (43) allows a separation spring (44) to press the control retainer (19A), moving the control retainer (19A) in the direction in which the control retainer (19A) separates from the rotor (42), and pressing by the coiled spring (27) rotates the control retainer (19A) and the rotation retainer (19B) relative to each other in the direction in which the circumferential width of the pocket (25) increases.This sets the opposite pair of rollers (26) to an engaged state.

Inventors:
AKIYOSHI KOJI (JP)
SATO TAKANOBU (JP)
SAITO TAKAHIDE (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/072301
Publication Date:
June 18, 2009
Filing Date:
December 09, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NTN TOYO BEARING CO LTD (JP)
AKIYOSHI KOJI (JP)
SATO TAKANOBU (JP)
SAITO TAKAHIDE (JP)
International Classes:
F16D41/08
Foreign References:
JP2005042898A2005-02-17
JP2000104754A2000-04-11
JP2004245280A2004-09-02
JP2006170416A2006-06-29
Attorney, Agent or Firm:
KAMADA, Bunji et al. (Nipponbashi1-chome, Chuo-ku,Osaka-sh, Osaka 73, JP)
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Claims:
 外輪の内周と、その外輪の内側に組込まれた内輪の外周の一方に円筒面を形成し、他方にその円筒面との間で周方向の両端に至るに従って狭小のくさび空間を形成する複数のカム面を周方向に間隔をおいて設け、前記外輪と内輪の対向面間に、制御保持器と回転保持器を、各保持器に形成されたフランジが軸方向で対向し、かつ、各フランジの外周に形成された複数の柱部が周方向に交互に配置されるよう組込んで、隣接する柱部間に形成されたポケットをカム面に対向し前記制御保持器を摺動自在に、かつ、回転自在に支持し、回転保持器を軸方向に非可動に、かつ、回転自在に支持し、その制御保持器と回転保持器のフランジ間に、その対向するフランジ間の間隔が狭くなる方向への制御保持器の移動によってポケットの周方向幅が小さくなる方向に一対の保持器を相対回転させるトルクカムを設け、前記複数のポケットのそれぞれ内部に対向一対のローラと、その一対のローラを離反する方向に向けて付勢するコイルばねとを組込み、前記内輪の側面に固定された円板状のばねホルダの外周に、制御保持器と回転保持器とがポケットの周方向幅を縮小する方向に相対回転した際に、各保持器の柱部を受け止めて対向一対のローラを中立位置に保持する複数の回り止め片を設け、前記内輪の内側に軸端部がスプライン嵌合されたトルク伝達軸上に、電磁石を有し、その電磁石の電磁コイルに対する通電と遮断とによって制御保持器を軸方向に移動させる電磁クラッチを設けた回転伝達装置。
 前記トルクカムが、制御保持器のフランジと回転保持器のフランジの対向面それぞれに周方向で対向する一対の突出部を設け、その一対の突出部の対向面それぞれに互いに接触する傾斜カム面を設けた構成からなる請求項1に記載の回転伝達装置。
 前記トルクカムが、制御保持器のフランジと回転保持器のフランジの対向面それぞれに周方向の中央部で深く両端に至るに従って次第に浅くなる対向一対のカム溝を設け、一方のカム溝の一端部と他方のカム溝の他端部間にボールを組み込んだ構成からなる請求項1に記載の回転伝達装置。
 前記電磁クラッチが、制御保持器の柱部の端部に連結されてトルク伝達軸の軸方向にスライド可能なアーマチュアと、トルク伝達軸に固定されてアーマチュアと軸方向で対向するロータと、静止部材に支持されてロータと軸方向で対向し、通電によりアーマチュアをロータに吸着させる電磁石と、電磁石に対する通電の遮断時にロータから離反する方向にアーマチュアを付勢する離反ばねとからなる請求項1乃至3のいずれかの項に記載の回転伝達装置。
 前記電磁クラッチが、制御保持器の柱部の端部に連結されてトルク伝達軸の軸方向にスライド可能なアーマチュアと、トルク伝達軸に固定されてアーマチュアと軸方向で対向するロータと、そのロータから離反する方向にアーマチュアを付勢する離反ばねと、その離反ばねの弾性に抗してロータにアーマチュアを吸着させる永久磁石と、静止部材に支持されてロータと軸方向で対向し、通電により永久磁石の磁力を離反ばねの弾性力以下に低下させる電磁石とからなる請求項1乃至3のいずれかの項に記載の回転伝達装置。
 前記制御保持器の柱部とアーマチュアの連結が、加締めによる連結とされた請求項4又は5に記載の回転伝達装置。
 前記スプライン嵌合が、内輪の内周に形成されたスプライン溝と、トルク伝達軸の軸端部の外周に設けられて前記スプライン溝に嵌合されたスプライン歯とからなり、そのスプライン溝とスプライン歯の少なくとも一方に捩じれ角を付与した請求項1乃至6のいずれかの項に記載の回転伝達装置。
 外輪の内周と、その外輪の内側に組込まれた内輪の外周の一方に円筒面を形成し、他方にその円筒面との間で周方向の両端に至るに従って狭小のくさび空間を形成する複数のカム面を周方向に間隔をおいて設け、前記外輪と内輪間に組込まれて両端に内向きのフランジを有する円筒形の保持器には、前記複数のカム面のそれぞれと対向する位置にポケットを形成し、各ポケット内に対向一対のローラと、その対向一対のローラを離反する方向に向けて付勢するコイルばねとを組込み、前記保持器を隣接するポケット間に形成された柱部からの切り離しによって軸方向に移動可能とされ、かつ、回転可能とされた制御保持器と、軸方向に非可動とされ、かつ、回転可能とされた回転保持器とに分割し、その制御保持器の分割柱部と回転保持器の分割柱部の軸方向の突合せ部に、回転保持器に向けての制御保持器の移動により、ポケットの周方向幅が縮小する方向に制御保持器と回転保持器とを相対回転させる傾斜カム面を形成し、前記内輪の一側面に環状のばねホルダを固定し、そのばねホルダの外周部に複数のポケットのそれぞれ内部に挿入されて、制御保持器と回転保持器とがポケットの周方向幅を縮小する方向に相対回転した際に、各保持器の分割柱部を受け止めて対向一対のローラを中立位置に保持する複数の回り止め片を設け、前記内輪の内側に軸端部がスプライン嵌合されたトルク伝達軸上に、電磁石を有し、その電磁石の電磁コイルに対する通電と遮断とによって制御保持器を軸方向に移動させる電磁クラッチを設けた回転伝達装置。
 前記回り止め片のそれぞれに前記コイルばねと交差する方向に延びて、各コイルばねの径方向外方への移動を防止する支持片を設けた請求項8に記載の回転伝達装置。
 前記外輪およぶ電磁クラッチを円筒状のハウジング内に収容し、そのハウジングの端部内に軸受を取付け、前記外輪には前記軸受の内径面に嵌合される軸受嵌合面と、前記軸受の内側面に対する当接により外輪を軸方向を位置決めする位置決め面とを設け、その位置決め面が軸受の内側面に圧接される方向に外輪を付勢する付勢手段を設け、前記電磁クラッチの電磁石をハウジングで支持した請求項1乃至9のいずれかの項に記載の回転伝達装置。
Description:
回転伝達装置

 この発明は、動力の伝達と遮断の切換え 用いられる回転伝達装置に関するものであ 。

 FRベースの4輪駆動車において、補助駆動 としての前輪に駆動力の伝達と遮断とを行 回転伝達装置として、特許文献1に記載され たものが従来から知られている。

 上記特許文献1に記載された回転伝達装置 においては、入力側部材に形成された大径部 とその外側に設けられた外輪間に2方向クラ チを組込み、その2方向クラッチに併設した 磁クラッチによって2方向クラッチの係合お よび係合解除を制御し、上記2方向クラッチ 係合により入力側部材と外輪を結合して、 力側部材と外輪の相互間で回転トルクの伝 を行うようにしている。

 ここで、2方向クラッチは、外輪の内周に 円筒面を形成し、入力側部材の大径部の外周 には上記円筒面との間で周方向の両端が狭小 のくさび形空間を形成するカム面を設け、そ のカム面と円筒面との間にローラからなる係 合子を組込み、その係合子を保持する保持器 と入力側部材の相対回転により係合子を円筒 面およびカム面に係合させるようにしている 。また、入力側部材と保持器との間にスイッ チばねを組込み、そのスイッチばねにより、 係合子が円筒面およびカム面に対して係合解 除される中立位置に保持器を弾性保持してい る。

 一方、電磁クラッチは、保持器に回り止 され、かつ軸方向に移動自在に支持された ーマチュアと、外輪に接続されてアーマチ アと軸方向で対向するロータと、そのロー と軸方向で対向する電磁石と、上記アーマ ュアをロータから離反する方向に付勢する 反ばねとからなり、上記電磁石に対する通 により、ロータにアーマチュアを吸着し、 輪に結合されたアーマチュアと入力側部材 相対回転により係合子を円筒面およびカム に係合させるようにしている。

 ところで、上記2方向クラッチにおいては 、くさび空間の広幅部に配置された中立位置 のローラを入力側部材と保持器の相対回転に よりくさび空間の狭小部に噛み込ませる構成 であるため、回転方向のガタが大きいという 不都合がある。

 また、外輪と入力側部材の相互間で一方 の回転トルクを伝達する状態から回転トル の伝達方向を切換える場合、ローラがくさ 空間の他端側の狭小部に噛み込むまで保持 を回転させる必要があるため、回転方向の 換え時における応答性が低いという不都合 ある。

 そのような不都合を解消するため、特許 献2では、隣接するローラの一方がくさび空 間の一端側に位置し、他方のローラがくさび 空間の他端側に位置するよう複数のローラを 周方向に不等配に配置した2方向ローラクラ チを提案している。

特開2005-249003号公報

特開2003-262238号公報

 ところで、上記特許文献2に記載された2 向ローラクラッチにおいては、回転方向ガ を小さくすることができるものの、回転方 ガタを完全に無くすことはできず、また、 ーラと外輪円筒面および内輪カム面間の隙 が小さいため、2方向ローラクラッチの空転 にローラがミス係合する可能性があり、空 時の信頼性が低いという問題がある。

 さらに、外輪と内輪の相互間における回 トルクの伝達状態では、複数のローラの半 のローラが係合状態であって、残りの半数 ローラは係合解除状態にあるため、トルク 量が小さいという問題がある。

 この発明の課題は、回転方向ガタが小さ 、空転時の信頼性の高い、トルク容量の大 な回転伝達装置を提供することである。

 上記の課題を解決するため、第1の発明に おいては、外輪の内周と、その外輪の内側に 組込まれた内輪の外周の一方に円筒面を形成 し、他方にその円筒面との間で周方向の両端 に至るに従って狭小のくさび空間を形成する 複数のカム面を周方向に間隔をおいて設け、 前記外輪と内輪の対向面間に、制御保持器と 回転保持器を、各保持器に形成されたフラン ジが軸方向で対向し、かつ、各フランジの外 周に形成された複数の柱部が周方向に交互に 配置されるよう組込んで、隣接する柱部間に 形成されたポケットをカム面に対向し前記制 御保持器を摺動自在に、かつ、回転自在に支 持し、回転保持器を軸方向に非可動に、かつ 、回転自在に支持し、その制御保持器と回転 保持器のフランジ間に、その対向するフラン ジ間の間隔が狭くなる方向への制御保持器の 移動によってポケットの周方向幅が小さくな る方向に一対の保持器を相対回転させるトル クカムを設け、前記複数のポケットのそれぞ れ内部に対向一対のローラと、その一対のロ ーラを離反する方向に向けて付勢するコイル ばねとを組込み、前記内輪の側面に固定され た円板状のばねホルダの外周に、制御保持器 と回転保持器とがポケットの周方向幅を縮小 する方向に相対回転した際に、各保持器の柱 部を受け止めて対向一対のローラを中立位置 に保持する複数の回り止め片を設け、前記内 輪の内側に軸端部がスプライン嵌合されたト ルク伝達軸上に、電磁石を有し、その電磁石 の電磁コイルに対する通電と遮断とによって 制御保持器を軸方向に移動させる電磁クラッ チを設けた構成を採用したのである。

 上記の構成からなる回転伝達装置におい 、電磁クラッチの作動により、制御保持器 、そのフランジが回転保持器のフランジに 近する方向に向けて移動させると、トルク ムが作動し、制御保持器と回転保持器はポ ットの周方向幅が小さくなる方向に相対回 し、対向一対のローラは制御保持器の柱部 回転保持器の柱部により互いに接近する方 に押圧されて係合解除状態とされる。

 このため、内輪が回転しても、その回転 外輪に伝達されず、内輪がフリー回転する

 内輪のフリー回転状態において、電磁ク ッチの作動により制御保持器のフランジが 転保持器のフランジから離反する方向に制 保持器を軸方向に移動させると、コイルば の押圧により制御保持器と回転保持器がポ ットの周方向幅が大きくなる方向に相対回 し、対向一対のローラのそれぞれがくさび 間の狭小部に直ちに噛み込み、その対向一 のローラの一方を介して内輪と外輪の相互 で一方向の回転トルクを伝達し、他方のロ ラを介して他方向の回転トルクを伝達する とができる。

 ここで、制御保持器の軸方向への移動に って、その制御保持器と回転保持器を相対 転させるトルクカムとして、制御保持器の ランジと回転保持器のフランジの対向面そ ぞれに周方向で対向する一対の突出部を設 、その一対の突出部の対向面それぞれに互 に接触する傾斜カム面を設けた構成からな ものを採用することができる。

 上記トルクカムとして、制御保持器のフ ンジと回転保持器のフランジの対向面それ れに周方向の中央部で深く両端に至るに従 て次第に浅くなる対向一対のカム溝を設け 一方のカム溝の一端部と他方のカム溝の他 部間にボールを組み込んだ構成からなるも を採用することにより、ボールの転がり移 によって制御保持器と回転保持器を相対回 させることができるため、傾斜カム面の接 によって制御保持器と回転保持器とを相対 転させる場合に比較して制御保持器の移動 抗が小さく、制御保持器と回転保持器をス ーズに相対回転させることができる。

 制御保持器を軸方向に移動させる電磁ク ッチとして、制御保持器の柱部の端部に連 されてトルク伝達軸の軸方向にスライド可 なアーマチュアと、トルク伝達軸に固定さ てアーマチュアと軸方向で対向するロータ 、静止部材に支持されてロータと軸方向で 向し、通電によりアーマチュアをロータに 着させる電磁石と、電磁石に対する通電の 断時にロータから離反する方向にアーマチ アを付勢する離反ばねとからなるものを採 すると、電磁石に対する通電によって、制 保持器を、そのフランジが回転保持器のフ ンジに接近する方向に移動させることがで 、通電の遮断時に離反ばねの押圧により、 御保持器を、そのフランジが回転保持器の ランジから離反する方向に移動させること できる。

 また、電磁クラッチとして、制御保持器 柱部の端部に連結されてトルク伝達軸の軸 向にスライド可能なアーマチュアと、トル 伝達軸に固定されてアーマチュアと軸方向 対向するロータと、そのロータから離反す 方向にアーマチュアを付勢する離反ばねと その離反ばねの弾性に抗してロータにアー チュアを吸着させる永久磁石と、静止部材 支持されてロータと軸方向で対向し、通電 より永久磁石の磁力を離反ばねの弾性力以 に低下させる電磁石とからなるものを採用 ることにより、電磁石に対する通電によっ 、制御保持器を、そのフランジが回転保持 のフランジから離反する方向に移動させる とができ、通電の遮断時に制御保持器を、 のフランジが回転保持器のフランジに接近 る方向に移動させることができる。

 上記のような電磁クラッチの採用におい 、制御保持器の柱部とアーマチュアの連結 加締めによる連結とすることにより、制御 持器とアーマチュアを別々に精度よく加工 ることができ、しかも、低コストの加工で 体することができるため、回転伝達装置の コスト化に寄与することができる。

 第1に発明に係る回転伝達装置において、 内輪とトルク伝達軸とを、内輪の内周に形成 されたスプライン溝にトルク伝達軸の外周に 設けられスプライン歯をスプライン嵌合する 場合において、スプライン溝とスプライン歯 の少なくとも一方に捩じれ角を付与しておく と、内輪とトルク伝達軸の嵌合部における回 転方向のガタの低減化を図ることができる。

 上記の課題を解決するために、第2の発明 においては、外輪の内周と、その外輪の内側 に組込まれた内輪の外周の一方に円筒面を形 成し、他方にその円筒面との間で周方向の両 端に至るに従って狭小のくさび空間を形成す る複数のカム面を周方向に間隔をおいて設け 、前記外輪と内輪間に組込まれて両端に内向 きのフランジを有する円筒形の保持器には、 前記複数のカム面のそれぞれと対向する位置 にポケットを形成し、各ポケット内に対向一 対のローラと、その対向一対のローラを離反 する方向に向けて付勢するコイルばねとを組 込み、前記保持器を隣接するポケット間に形 成された柱部からの切り離しによって軸方向 に移動可能とされ、かつ、回転可能とされた 制御保持器と、軸方向に非可動とされ、かつ 、回転可能とされた回転保持器とに分割し、 その制御保持器の分割柱部と回転保持器の分 割柱部の軸方向の突合せ部に、回転保持器に 向けての制御保持器の移動により、ポケット の周方向幅が縮小する方向に制御保持器と回 転保持器とを相対回転させる傾斜カム面を形 成し、前記内輪の一側面に環状のばねホルダ を固定し、そのばねホルダの外周部に複数の ポケットのそれぞれ内部に挿入されて、制御 保持器と回転保持器とがポケットの周方向幅 を縮小する方向に相対回転した際に、各保持 器の分割柱部を受け止めて対向一対のローラ を中立位置に保持する複数の回り止め片を設 け、前記内輪の内側に軸端部がスプライン嵌 合されたトルク伝達軸上に、電磁石を有し、 その電磁石の電磁コイルに対する通電と遮断 とによって制御保持器を軸方向に移動させる 電磁クラッチを設けた構成を採用したのであ る。

 上記第2の発明において、電磁クラッチの 作動により、制御保持器を回転保持器から離 反する方向に移動させると、制御保持器の分 割柱部に形成された傾斜カム面と回転保持器 の分割柱部に形成された傾斜カム面間に隙間 が生じるため、コイルばねの押圧力により対 向一対のローラを介して制御保持器の分割柱 部と回転保持器の分割柱部が相反する方向に 押圧されて、制御保持器と回転保持器はポケ ットの周方向幅が大きくなる方向に相対回転 し、対向一対のローラのそれぞれがくさび空 間の両端の狭小部に直ちに噛み込むことにな り、対向一対のローラの一方を介して外輪と 内輪の相互間で一方向の回転トルクが伝達さ れ、他方のローラを介して他方向の回転トル クが伝達される。

 外輪と内輪の相互間における回転トルク 伝達状態において、電磁クラッチの作動に り制御保持器を回転保持器に向けて移動さ ると、柱部の突合せ部に設けた傾斜カム面 カム作用により、制御保持器と回転保持器 ポケットの周方向幅が小さくなる方向に相 回転し、対向一対のローラは制御保持器の 割柱部と回転保持器の分割柱部により互い 接近する方向に押圧されて係合解除状態と れ、外輪と内輪の相互間で回転トルクの伝 が遮断される。

 第2の発明に係る回転伝達装置において、ば ねホルダの外周部に設けられた
回り止め片のそれぞれにコイルばねと交差す る方向に延びて、各コイルばねの径方向外方 への移動を防止する支持片を設けると、コイ ルばねが遠心力によって対向一対のローラ間 から外径側に離脱するのを防止することがで き、対向一対のローラの係合および係合解除 を確実に行なわせことができる。

 第1の発明および第2の発明の回転伝達装 においては、円筒状のハウジング内に外輪 よび電磁クラッチを収容し、そのハウジン の端部内に軸受を取付けて外輪を回転自在 支持し、電磁クラッチの電磁石をハウジン に固定して製品とする。

 その場合において、外輪に軸受の内径面 嵌合される軸受嵌合面と、軸受の内径面に する当接により外輪を軸方向に位置決めす 位置決め面とを設け、その位置決め面が軸 の内側面に圧接される方向に外輪を付勢す 付勢手段を設けることにより、外輪に軸方 ガタのない組付け状態を得ることができ、2 方向のローラクラッチを確実に作動させるこ とができる。

 上記のように、第1の発明においては、電 磁クラッチの作動によって制御保持器のフラ ンジが回転保持器のフランジから離反する方 向に向けて制御保持器を移動させると、コイ ルばねの押圧により制御保持器と回転保持器 がポケットの周方向幅が大きくなる方向に相 対回転して対向一対のローラのそれぞれがく さび空間の両端の狭小部に直ちに噛み込むた め、回転方向ガタの小さい回転伝達装置を得 ることができる。

 また、制御保持器のフランジが回転保持 のフランジに接近する方向に制御保持器を 動させると、トルクカムの作用により制御 持器と回転保持器がポケットの周方向幅が さくなる方向に相対回転し、対向一対のロ ラは制御保持器と回転保持器の柱部で押さ て係合解除状態とされ、その係合解除状態 対向一対のローラは制御保持器と回転保持 の柱部によってくさび空間の狭小部に向け 移動するのが防止されるため、2方向ローラ クラッチの空転時にローラがミス係合するよ うなことはなく、空転時の信頼性の高い回転 伝達装置を得ることができる。

 さらに、カム面と同数のローラを介して 輪と内輪の相互間で回転トルクが伝達され ため、トルク容量の大きな回転伝達装置を ることができる。

 第2の発明においては、制御保持器を回転 保持器から離反する方向に移動させると、コ イルばねの押圧により制御保持器と回転保持 器がポケットの周方向幅が大きくなる方向に 相対回転して対向一対のローラのそれぞれが くさび空間の両端の狭小部に直ちに噛み込む ため、第1の発明と同様に、回転方向ガタの さい回転伝達装置を得ることができる。

 また、制御保持器を回転保持器に向けて 動させると、対向一対のローラは制御保持 と回転保持器の分割柱部で押されて係合解 状態とされ、その係合解除状態で対向一対 ローラは制御保持器と回転保持器の分割柱 によってくさび空間の狭小部に向けて移動 るのが防止されるため、2方向ローラクラッ チの空転時にローラがミス係合するようなこ とはなく、空転時の信頼性の高い回転伝達装 置を得ることができる。

この発明に係る回転伝達装置の第1の実 施の形態を示す縦断正面図 (I)は、図1のII-II線に沿った断面図、(II) は、ローラの係合解除状態を示す断面図 2方向ローラクラッチの保持器の一部分 を示す平面図 図1のIV-IV線に沿った断面図 (I)は、制御保持器とアーマチュアの加 め連結部を拡大して示す断面図、(II)は、制 御保持器とアーマチュアの加締めの他の例を 示す断面図 トルクカムの他の例を示し、(I)は、作 前の状態を示す断面図、(II)は、作動状態を 示す断面図 電磁クラッチの他の例を示す縦断正面 内輪と入力軸のスプライン嵌合の他の を示す断面図 図8の横断平面図 外輪支持装置の例を示す断面図 (I)は、外輪支持装置の他の例を示す断 面図、(II)は、波形止め輪を示す斜視図 (I)は、外輪支持装置のさらに他の例を 示す断面図、(II)は、止め輪を示す斜視図 この発明に係る回転伝達装置の第2の 施の形態を示す縦断正面図 図13の一部分を拡大して示す断面図 図13に示す2方向ローラクラッチの保持 器の一部分を示す平面図 図15のXVI-XVI線に沿った断面図 図15のXVII-XVII線に沿った断面図

符号の説明

1   ハウジング
5   軸受
11  外輪
12  内輪
15  入力軸(トルク伝達軸)
16  スプライン
16a スプライン歯
16b スプライン溝
17  円筒面
18  カム面
19A 制御保持器
19B 回転保持器
20、22  フランジ
21、23  柱部
25  ポケット
26  ローラ
27  コイルばね
30  トルクカム
31、32  突出部
33、34  傾斜カム面
35  ばねホルダ
36  回り止め片
40  電磁クラッチ
41  アーマチュア
42  ロータ
43  電磁石
43a 電磁コイル
44  離反ばね
52、53  カム溝
54  ボール
62  永久磁石
70  軸受嵌合面
71  位置決め面
72  係合溝
74  波座金(付勢手段)
75  波形止め輪(付勢手段)
76  止め輪(付勢手段)
80  保持器
80A  制御保持器
80B  回転保持器
80a、80b  フランジ
81  ポケット
82  柱部
82a、82b  分割柱部
84a、84b  傾斜カム面
85  ばねホルダ
86  回り止め片
87  支持片

 以下、この発明の実施の形態を図面に基 て説明する。図1は、この発明に係る回転伝 達装置の第1の実施の形態を示す。図示のよ に、静止部材としてのハウジング1は、円筒 の筒体2と、その筒体2の両端開口部に取付 られた一対の蓋体3a、3bとから成り、上記筒 2の一端部は厚肉部2aとされ、その厚肉部2a 内周に軸受嵌合面4と、その軸受嵌合面4に圧 入された軸受5を軸方向に位置決めする位置 め肩6とが形成されている。

 ハウジング1の内部には、2方向ローラク ッチ10と、その2方向ローラクラッチ10の係合 および係合解除を制御する電磁クラッチ40が 容されている。

 2方向ローラクラッチ10は、外輪11と、そ 外輪11の内側に組込まれた内輪12とを有し、 記外輪11はハウジング1の一端部内に組込ま た上記の軸受5によって回転自在に支持され ている。

 内輪12は、一端部に小径筒部12aを有し、 の小径筒部12aの外径面に嵌合された軸受13を 介して外輪11と内輪12は相対的に回転自在と れている。

 外輪11の閉塞端部には出力軸14が設けられ ている。一方、内輪12にはトルク伝達軸とし の入力軸15の軸端部が嵌合され、その嵌合 に形成されたスプライン16によって入力軸15 内輪12は相対的に回り止めされている。ま 、入力軸15と内輪12は、入力軸15の軸端部に 成された係合溝50と内輪12の内径面に設けら たリング溝51に跨るようにして取付けた止 輪52によって相対的に抜止めされている。

 入力軸15は、ハウジング1の一方の蓋体3a 貫通し、その貫通部に組込まれた軸受7によ て回転自在に支持されている。

 図2に示すように、外輪11の内周には円筒 17が形成され、一方、内輪12の外周には、そ の円筒面17との間で周方向の両端に向けて狭 となるくさび空間を形成する複数の平坦な ム面18が周方向に等間隔に設けられている

 外輪11と内輪12との間には、制御保持器19A と回転保持器19Bが組込まれている。図1およ 図3に示すように、制御保持器19Aは、フラン 20の外周にカム面18と同数の柱部21を周方向 等間隔に設けた構成とされている。一方、 転保持器19Bは、フランジ22の外周にカム面18 と同数の柱部23を周方向に等間隔に設け、か 、フランジ22の内周に柱部23と反対方向に向 く筒部24を設けた構成とされている。

 回転保持器19Bは、内輪12の小径筒部12aに 部24が嵌合され、かつ、柱部23が円筒面17と ム面18間に位置する組込みとされ、一方、制 御保持器19Aは、回転保持器19Bの筒部24にフラ ジ20が嵌合され、そのフランジ20が回転保持 器19Bのフランジ22と軸方向で対向する組込み され、かつ、柱部21が回転保持器19Bの柱部23 間に位置する組込みとされている。

 上記のような保持器19A、19Bの組込みによ 、図2(I)および図3に示すように、制御保持 19Aの柱部21と回転保持器19Bの柱部23間にポケ ト25が形成され、そのポケット25は内輪12の ム面18と径方向で対向し、各ポケット25内に 対向一対のローラ26と、その一対のローラ26 相反する方向に向けて付勢するコイルばね27 が組込まれている。

 ここで、回転保持器19Bは、図1に示すよう に、内輪12の一側面とフランジ22間に組込ま たスラスト軸受28によって回転自在に支持さ れ、上記小径筒部12aの外周に取付けた止め輪 53によって軸方向に非可動とされている。

 一方、制御保持器19Aは、回転保持器19Bの 部24外径面に沿って移動自在とされ、かつ 筒部24を中心にして回転自在とされている。

 図3に示すように、制御保持器19Aのフラン ジ20と回転保持器19Bのフランジ22間には、ト クカム30が設けられている。トルクカム30は 制御保持器19Aのフランジ20と回転保持器19B フランジ22の対向面それぞれに周方向で対向 する一対の突出部31、32を設け、その一対の 出部31、32のそれぞれに互いに接触する傾斜 ム面33、34を設けた構成からなっている。

 上記トルクカム30は、制御保持器19Aのフ ンジ20が回転保持器19Bのフランジ22に接近す 方向に制御保持器19Aが軸方向に移動した際 傾斜カム面33、34のカム作用によって制御保 持器19Aと回転保持器19Bをポケット25の周方向 が小さくなる方向に相対回転させるように っている。

 図1、図3および図4に示すように、内輪12 他側面にはばねホルダ35が固定されている。 ばねホルダ35は環状板からなり、その外周面 は制御保持器19Aと回転保持器19Bの柱部21、23 間の各ポケット25内に配置される複数の回り め片36が形成されている。

 複数の回り止め片36は、制御保持器19Aと 転保持器19Bとがポケット25の周方向幅を縮小 する方向に相対回転した際に、制御保持器19A の柱部21および回転保持器19Bの柱部23を両側 で受け止めて対向一対のローラ26を中立位置 に保持するようになっている。

 回り止め片36のそれぞれには、軸方向に びる支持片37が形成され、各支持片37によっ コイルばね27が支持されている。

 図1に示すように、電磁クラッチ40は、制 保持器19Aにおける柱部21の端面と軸方向で 向するアーマチュア41と、そのアーマチュア 41と軸方向で対向するロータ42と、そのロー 42と軸方向で対向する電磁石43と、上記ロー 42から離反する方向に向けてアーマチュア41 を付勢する離反ばね44とを有している。

 アーマチュア41は、入力軸15に嵌合されて 回転自在に支持され、そのアーマチュア41と 御保持器19Aの柱部21は加締めにより連結一 化されている。

 アーマチュア41と制御保持器19Aの柱部21の 加締めに際し、図5(I)では、複数の柱部21のそ れぞれ先端面に突起45を形成し、その突起45 アーマチュア41に形成された段付き孔46の小 孔部46aに挿入し、上記突起45の先端部に段 き孔46の大径孔部46b内に収容される大きさの 一対の折曲げ片45aを設け、各折曲げ片45aを段 付き孔46の段46cに係合させるようにしている また、図5(II)では、折曲げ片45aを単一とし その単一の折曲げ片45aを段付き孔46の段46cに 係合させるようにしている。

 ここで、突起45をアーマチュア41より軟質 の材料により形成すると、アーマチュア41を 形させることなく突起45を容易に加締める とができる。

 図1に示すように、ロータ42は、入力軸15 嵌合され、その入力軸15の外周に設けられた 肩15aと入力軸15の外周に取付けられた止め輪4 7によって軸方向に位置決めされ、かつ、入 軸15に対して回り止めされている。

 電磁石43は、電磁コイル43aと、その電磁 イル43aを支持するコア43bとからなり、上記 ア43bは静止部材としてのハウジング1の蓋体3 aに支持されている。

 第1の実施の形態で示す回転伝達装置は上 記の構造からなり、図1は、電磁石43の電磁コ イル43aに対する通電の遮断状態を示し、アー マチュア41は離反ばね44の押圧によりロータ42 から離反する状態にある。また、2方向ロー クラッチ10の対向一対のローラ26は、図2(I)に 示すように、外輪11の円筒面17および内輪12の カム面18に対して係合し、2方向ローラクラッ チ10は係合状態とされている。

 2方向ローラクラッチ10の係合状態におい 、電磁コイル43aに通電すると、アーマチュ 41に吸引力が作用し、アーマチュア41が軸方 向に移動してロータ42に吸着される。

 ここで、アーマチュア41は制御保持器19A 柱部21に連結一体化されているため、アーマ チュア41の軸方向への移動に伴って制御保持 19Aは、そのフランジ20が回転保持器19Bのフ ンジ22に接近する方向に移動する。

 このとき、制御保持器19Aに設けられた突 部31の傾斜カム面33が回転保持器19Bに設けら れた突出部32の傾斜カム面34を押圧するため 制御保持器19Aと回転保持器19Bはポケット25の 周方向幅が小さくなる方に相対回転し、対向 一対のローラ26は制御保持器19Aの柱部21と回 保持器19Bの柱部23により押圧されて係合解除 し、図2(II)に示すように、2方向ローラクラッ チ10は係合解除状態とされる。

 2方向ローラクラッチ10の係合解除状態に いて、入力軸15に回転トルクを入力して内 12を一方向に回転すると、ばねホルダ35に形 された回り止め片36が制御保持器19Aの柱部21 と回転保持器19Bの柱部23の一方を押圧するた 、内輪12と共に制御保持器19Aおよび回転保 器19Bが回転する。このとき、対向一対のロ ラ26は係合解除された中立位置に保持されて いるため、内輪12の回転は外輪11に伝達され 、内輪12はフリー回転する。

 このように、ロータ42に接近する方向に ーマチュア41が移動し、そのアーマチュア41 同方向に制御保持器19Aが移動すると、対向 対のローラ26が制御保持器19Aと回転保持器19 Bの柱部21、23で押されて係合解除状態とされ その係合解除状態で対向一対のローラ26は 御保持器19Aと回転保持器19Bの柱部21、23によ てくさび空間の狭小部に向けて移動するの 防止されるため、2方向ローラクラッチ10の 転時にローラ26がミス係合するようなこと ない。

 ここで、制御保持器19Aと回転保持器19Bが ケット25の周方向幅を小さくなる方向に相 回転すると、制御保持器19Aの柱部21と回転保 持器19Bの柱部23がばねホルダ35の回り止め片36 の両側縁に当接して相対回転量が規制される 。

 このため、コイルばね27は必要以上に収 することはなくなり、伸長と収縮が繰り返 行われても疲労によって破損するようなこ はない。

 内輪12のフリー回転状態において、電磁 イル43aに対する通電を解除すると、離反ば 44の押圧により制御保持器19Aのフランジ20が 転保持器19Bのフランジ22から離反する方向 制御保持器19Aが軸方向に移動する。また、 イルばね27の押圧により制御保持器19Aと回転 保持器19Bがポケット25の周方向幅が大きくな 方向に相対回転し、対向一対のローラ26の れぞれがくさび空間の狭小部に直ちに噛み み、その対向一対のローラ26の一方を介して 内輪12と外輪11の相互間で一方向の回転トル が伝達される。

 ここで、入力軸15を停止して、その入力 15の回転方向を切換えると、他方のローラ26 介して内輪12の回転が外輪11に伝達される。

 このように、電磁コイル43aに対する通電 遮断により、制御保持器19Aと回転保持器19B ポケット25の周方向幅が大きくなる方向に 対回転して、対向一対のローラ26のそれぞれ がくさび空間の両端の狭小部に直ちに噛み込 むため、回転方向ガタは小さく、内輪12の回 を外輪11に直ちに伝達することができる。

 また、内輪12から外輪11への回転トルクの 伝達は、カム面18と同数のローラ26を介して われるため、内輪12から外輪11に大きな回転 ルクを伝達することができる。

 図3に示すトルクカム30においては、制御 持器19Aのフランジ20と回転保持器19Bのフラ ジ22の対向面それぞれに周方向で対向する一 対の突出部31、32を設け、その一対の突出部31 、32の対向面それぞれに傾斜カム面33、34を設 けたが、トルクカム30はこれに限定されるも ではない。

 図6(I)は、トルクカム30の他の例を示す。 の例においては、制御保持器19Aのフランジ2 0と回転保持器19Bのフランジ22の対向面それぞ れに周方向の中央部で深く両端に至るに従っ て次第に浅くなる対向一対のカム溝52、53を け、一方のカム溝52の一端部と他方のカム溝 53の他端部間にボール54を組み込んだ構成と ている。

 カム溝52、53として、ここではV溝を示し が、円弧状の溝であってもよい。

 上記の構成からなるトルクカム30におい 、電磁コイル43aに対する通電によってアー チュア41がロータ42に向けて移動し、そのア マチュア41と同方向に制御保持器19Aが移動 ると、図6(II)に示すように、ボール54がカム 52、53の溝深さの最も深い位置に向けて転が り移動し、制御保持器19Aと回転保持器19Bはポ ケット25の周方向幅が小さくなる方向に相対 転し、図3に示す対向一対のローラ26が制御 持器19Aの柱部21と回転保持器19Bの柱部23で押 されて係合解除する。

 また、電磁コイル43aに対する通電を解除 ると、図1に示す離反ばね44の押圧により、 御保持器19Aのフランジ20が回転保持器19Bの ランジ22から離反する方向に制御保持器19Aが 移動すると共に、図3に示すコイルばね27の押 圧により、制御保持器19Aと回転保持器19Bがポ ケット25の周方向幅が広くなる方向に相対回 し、図2(I)に示すように、一対のローラ26が 筒面17およびカム面18に係合する。

 上記のトルクカム30においては、カム溝52 、53に沿うボール54の転がり移動によって制 保持器19Aと回転保持器19Bを相対回転させる 成であるため、図3に示すように、傾斜カム 33、34の接触によって制御保持器19Aと回転保 持器19Bとを相対回転させる場合に比較して制 御保持器19Aの移動抵抗が小さく、制御保持器 19Aと回転保持器19Bをスムーズに相対回転させ ることができる。

 図7は、電磁クラッチ40の他の例を示す。 の例においては、ロータ42のアーマチュア41 と対向する面に環状溝60を形成し、その環状 60内に離反ばね44を組込み、上記環状溝60の 塞端面に形成された複数の円弧状のスリッ 61内に永久磁石62を組込んでいる点でのみ図 1に示す電磁クラッチ40と相違している。この ため、図1に示す電磁クラッチ40と同一のもの は同一の符号を付して説明を省略する。

 上記の構成からなる電磁クラッチ40にお ては、電磁石43の電磁コイル43aに対する通電 の遮断時、永久磁石62の磁力によりアーマチ ア41をロータ42に向けて移動させるようにし ている。また、電磁コイル43aに対する通電に より永久磁石62の磁力を弱め、離反ばね44の 性力でアーマチュア41をロータ42から離反す 方向に移動させるようにしている。

 上記のように、電磁石43に対する通電と 電の遮断によってアーマチュア41を軸方向に 移動させると、そのアーマチュア41に連結一 化された制御保持器19Aも軸方向に移動する その制御保持器19Aを、そのフランジ20が回 保持器19Bのフランジ22に接近する方向に移動 させると、トルクカム30の作用により制御保 器19Aと回転保持器19Bがポケット25の周方向 が小さくなる方向に相対回転し、対向一対 ローラ26は制御保持器19Aと回転保持器19Bの柱 部21、23で押されて係合解除状態とされる。

 また、制御保持器19Aのフランジ20が回転 持器19Bのフランジ22から離反する方向に制御 保持器19Aを移動させると、コイルばね27の押 により制御保持器19Aと回転保持器19Bがポケ トの周方向幅が大きくなる方向に相対回転 て対向一対のローラ26のそれぞれがくさび 間の両端の狭小部に直ちに噛み込むことに る。

 図7において、内輪12とトルク伝達軸とし の入力軸15とを相対的に回り止めするスプ イン16は、スプライン溝およびスプライン歯 がストレート状のものであってもよいが、ス トレート状のスプライン16においては、スプ イン溝とスプライン歯の嵌合部に回転方向 きまが形成され、入力軸15の回転方向の切 時に、スプライン歯がスプライン溝の側面 当接して異音を発生させるおそれがある。

 そのような不都合の発生を抑制するため 図8および図9では、内輪12の内径面に形成さ れたスプライン溝16bを内輪12の軸心に平行す ストレートとし、入力軸15の外径面に形成 れたスプライン歯16aに捩じれ角θを付与して 、そのスプライン歯16aをスプライン溝16bに圧 入嵌合するようにしている。

 上記のように、スプライン溝16bをストレ トとし、スプライン歯16aに捩じれ角θを付 することにより、スプライン溝16bに対する プライン歯16aの初期のはめ合いをすきま嵌 のはめ合いとすることができるため、入力 15に対して内輪12を容易に圧入することがで る。また、スプライン溝16bにスプライン歯1 6aを圧入すると、スプライン歯16aの挿入方向 先端部の一側面と後端部の他側面がスプラ ン溝16bの両側面に圧接するため、回転方向 ガタのない接続状態を得ることができる。

 なお、スプライン歯16aを入力軸15の軸心 平行するストレートとし、スプライン溝16b そのスプライン歯16aが圧入される捩じれ角 付与するようにしてもよく、あるいはスプ イン歯16aとスプライン溝16bの双方に異なる じれ角を付与するようにしてもよい。

 図10乃至図12は、外輪11を回転自在に支持 る支持装置の例を示している。図10に示す においては、外輪11の外周に、ハウジング1 一端部に組込まれた軸受5の内径面に嵌合さ る軸受嵌合面70と、上記軸受5の内側面に当 される位置決め面71とを形成し、上記軸受 合面70には、軸受5の外側面と対応する位置 係合溝72を設け、その係合溝72に止め輪73の 周部を嵌合し、その止め輪73と軸受5の外側 間に波座金74を軸方向に圧縮させた状態で組 み込み、その波座金74により、位置決め面71 軸受5の内側面に圧接される方向に外輪11を 勢している。

 図11(I)、(II)に示す例においては、外輪11 軸受嵌合面70に形成された係合溝72に一部が り離されて径方向に弾性変形可能とされ、 つ、周方向に山と谷が交互に連続して軸方 にも弾性変形可能な波形止め輪75を軸方向 圧縮させた状態で組み込んで、位置決め面71 が軸受5の内側面に圧接される方向に外輪11を 付勢している。

 図12(I)、(II)に示す例においては、外輪11 軸受嵌合面70に形成された係合溝72に径方向 弾性変形可能な止め輪76を拡径させた状態 組込んで、その止め輪76の外側面の内周部に 形成されたテーパ面77を係合溝72の一側面72a エッジeに圧接係合させ、上記止め輪76が縮 しようとする弾性力により位置決め面71が軸 受5の内側面に圧接される方向に外輪11を付勢 している。この場合、係合溝72の一側面を止 輪76のテーパ面77と同方向に傾斜するテーパ 面としてもよい。

 図10乃至図12のいずれの支持装置において も、外輪11に軸方向ガタのない組付け状態を ることができる。

 図13乃至図17は、この発明に係る回転伝達 装置の第2の実施の形態を示す。この実施の 態においては、図1に示す回転伝達装置と同 に、ハウジング1内に2方向ローラクラッチ10 と、その2方向ローラクラッチ10の係合および 係合解除を制御する電磁クラッチ40を収容し いる。

 2方向ローラクラッチ10は、第1の実施の形 態で示す2方向ローラクラッチ10と同様に、外 輪11の内周に形成された円筒面17と内輪12の外 周に形成されたカム面18との間に保持器80を 込んでいる。

 保持器80は円筒状をなし、その両端には 向きのフランジ80a、80bが設けられている。 持器16には複数のカム面18と対向する位置に ケット81が形成され、各ポケット81内に対向 一対のローラ26と、その一対のローラ26を離 する方向に付勢する複数のコイルばね27が組 込まれている。

 図15に示すように、保持器80は隣接するポ ケット81間に形成された柱部82からの切り離 により制御保持器80Aと回転保持器80Bとに分 されている。

 図14に示すように、制御保持器80Aは、フ ンジ80aの内周部に形成された筒部80cが入力 15上を摺動自在に、かつ、回転自在に支持さ れている。一方、回転保持器80Bは内輪12の端 に形成された小径筒部12aに嵌合されて回転 在に支持され、小径筒部12aの外周に取付け 止め輪83と内輪12の一側面とによって軸方向 に非可動の支持とされている。

 図15に示すように、制御保持器80Aの分割 部82aと回転保持器80Bの分割柱部82bの切り離 部における軸方向の突合せ面には傾斜カム 84a、84bが形成され、上記制御保持器80Aを回 保持器80Bに向けて移動させると、傾斜カム 84a、84bのカム作用によってポケット81の周方 向幅が縮小する方向に制御保持器80Aと回転保 持器80Bが相対回転するようになっている。

 図14乃至図16に示すように、内輪12の他側 に固定された環状のばねホルダ85の外周に 、保持器80の各ポケット81内に配置される複 の回り止め片86が形成されている。

 複数の回り止め片86は、制御保持器80Aと 転保持器80Bとがポケット81の周方向幅を縮小 する方向に相対回転した際に、制御保持器80A の分割柱部82aおよび回転保持器80Bの分割柱部 82bを両側縁で受け止めて対向一対のローラ26 中立位置に保持するようになっている。

 回り止め片86のそれぞれには、複数のコ ルばね27に対して交差方向に延びる支持片87 形成され、その支持片87によってコイルば 27は径方向外方に向けて移動するのが防止さ れている。

 2方向ローラクラッチ10の他の構成は、図1 に示す2方向ローラクラッチ10と同一であるた め、同一の部品には同一の符号を付して説明 を省略する。

 電磁クラッチ40は、図7に示す電磁クラッ 40と同様にアーマチュア41を有し、そのアー マチュア41は制御保持器80Aのフランジ80aに形 された筒部80cに嵌合されて回転自在に支持 れ、その筒部80cの外周に取付けられた止め 88によって軸方向に非可動に支持されてい 。

 電磁クラッチ40の他の構成は図7に示す電 クラッチ40と同一であるため、同一の部品 は同一の符号を付して説明を省略する。

 第2の実施の形態で示す回転伝達装置は上 記の構造からなり、図14は電磁石43の電磁コ ル43aに通電している状態を示し、アーマチ ア41は離反ばね44の押圧によりロータ42に対 て吸着解除された状態にある。また、2方向 ーラクラッチ10の対向一対のローラ26は、図 17に示すように、外輪11の円筒面17および内輪 12のカム面18に対して係合解除された中立位 に保持され、2方向ローラクラッチ10は係合 除状態とされている。

 2方向ローラクラッチ10の係合解除状態に いて、入力軸15に回転トルクを入力して、 輪12を一方向に回転すると、ばねホルダ85に 成された回り止め片86が制御保持器80Aの分 柱部82aと回転保持器80Bの分割柱部82bの一方 押圧するため、内輪12と共に制御保持器80Aお よび回転保持器80Bが回転する。このとき、対 向一対のローラ26は中立位置に保持されてい ため、内輪12の回転は外輪11に伝達されず、 内輪12はフリー回転する。

 内輪12のフリー回転状態において、電磁 イル43aに対する通電を遮断すると、永久磁 62の磁力によりアーマチュア41に吸引力が作 し、アーマチュア41は軸方向に移動してロ タ42に吸着される。

 ここで、アーマチュア41は制御保持器80A 対して軸方向に非可動に支持されているた 、アーマチュア41の軸方向への移動に伴って 制御保持器80Aは回転保持器80Bから離れる方向 に移動する。

 このとき、制御保持器80Aの分割柱部82aに 成された傾斜カム面84aと回転保持器80Bの分 柱部82bに形成された傾斜カム面84b間に隙間 生じるため、コイルばね27の押圧力により 向一対のローラ26を介して制御保持器80Aの分 割柱部82aと回転保持器80Bの分割柱部82bが相反 する方向に押圧され、その押圧により制御保 持器80Aと回転保持器80Bはポケット81の周方向 が大きくなる方向に相対回転し、対向一対 ローラ26のそれぞれがくさび空間の両端の 小部に直ちに噛み込むことになり、対向一 のローラ26の一方を介して内輪12の回転が外 11に伝達され、外輪11が内輪12と同方向に回 する。

 ここで、入力軸15を停止して、その入力 15の回転方向を切換えると、他方のローラ26 介して内輪12の回転が外輪11に伝達される。

 このように、制御保持器80Aが回転保持器8 0Bから離反する方向に移動すると、コイルば 27の押圧により制御保持器80Aと回転保持器80 Bがポケット81の周方向幅が大きくなる方向に 相対回転して、対向一対のローラ26のそれぞ がくさび空間の両端の狭小部に直ちに噛み むため、回転方向ガタは小さく、内輪12の 転を外輪11に直ちに伝達することができる。

 また、内輪12から外輪11への回転トルクの 伝達は、カム面18と同数のローラ26を介して われるため、内輪12から外輪11に大きな回転 ルクを伝達することができる。

 外輪11と内輪12の相互間における回転トル クの伝達状態において、電磁コイル43aに通電 すると、永久磁石62のアーマチュア41に対す 磁束が弱められるため、離反ばね44の押圧に よりアーマチュア41はコア43bから離反する方 に移動し、制御保持器80Aは回転保持器80Bに けて移動する。

 このとき、制御保持器80Aの分割柱部82aと 転保持器80Bの分割柱部82bの突合せ部に設け 傾斜カム面84a、84bのカム作用により、制御 持器80Aと回転保持器80Bはポケット81の周方 幅が小さくなる方に相対回転し、対向一対 ローラ26は制御保持器80Aの分割柱部82aと回転 保持器80Bの分割柱部82bにより押圧されて、図 17に示すように、係合解除状態とされる。こ ため、内輪12の回転は外輪11に伝達されず、 内輪12がフリー回転する。

 このように、制御保持器80Aが回転保持器80B 向けて移動すると、対向
一対のローラ26が制御保持器80Aと回転保持器8 0Bの分割柱部82a、82bで押されて係合解除状態 され、その係合解除状態で対向一対のロー 26は制御保持器80Aと回転保持器80Bの分割柱 82a、82bによってくさび空間の狭小部に向け 移動するのが防止されるため、2方向ローラ ラッチの空転時にローラ26がミス係合する うなことはない。

 内輪12のフリー回転時、コイルばね27に遠 心力が作用し、コイルばね27は径方向外方に 動しょうとするが、その外径側には支持片8 7が設けられているため、コイルばね27は対向 一対のローラ26間から外径側に離脱するのを 止される。

 ここで、制御保持器80Aを回転保持器80Bに けて移動させ、その両保持器80A、80Bをポケ ト81の周方向幅が小さくなる方向に相対回 させると、制御保持器80Aの分割柱部82aと回 保持器80Bの分割柱部82bがばねホルダ85に形成 された回り止め片86の両側縁に当接して相対 転量が規制される。

 このため、コイルばね27は必要以上に収 することはなくなり、伸長と収縮が繰り返 行われても疲労によって破損するようなこ はない。